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特表2022-520455CD1a陽性癌の治療のためのCAR T細胞
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】CD1a陽性癌の治療のためのCAR T細胞
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20220323BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220323BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220323BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220323BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220323BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220323BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20220323BHJP
   A61K 39/00 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
C12N15/13
C12N15/62 Z
A61K39/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547571
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020053769
(87)【国際公開番号】W WO2020165350
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】19382104.8
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358187
【氏名又は名称】フンダシオン インスティテュート デ インヴェスティガシオン コントラ ラ レウセミア ジュゼップ カレラス (アイジェイシー)
(71)【出願人】
【識別番号】513019977
【氏名又は名称】インスティトゥシオ カタラーナ デ レセルカ イ エストゥディス アバンカツ (アイシーアールイーエー)
(71)【出願人】
【識別番号】519023754
【氏名又は名称】フンダシオ インスティテュート ディンベスティガシオ エン シエンシエス デ ラ サリュ ジャーマンス トライアス アイ プジョル
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メネンデス ブハン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス マルティネス ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブエノ ウロス クララ
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス アグエラ フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ロカ-オ ヘレイア
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA02
4C085BB11
4C085BB12
4C085CC03
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA14
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
再発性/難治性T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、悲惨な転帰を有し、T-ALLの効果的な標的化免疫療法は存在しない。キメラ抗原受容体T細胞(CART)のT-ALLへの拡張は、CARTとT-ALL芽球との間の標的抗原の共通発現がCARTフラトリサイドを引き起こすことから困難なままである。CD1aは、T-ALLの主要サブセットである皮質T-ALLにおいてのみ発現される。CD1aの発現は、皮質胸腺細胞に限定され、CD34+前駆体もT細胞も個体発生時にCD1aを発現せず、オンターゲット/オフ腫瘍毒性のリスクが限定される。本発明は、T細胞に形質導入又は形質転換することができるCD1a標的化部分を含むCARを提供する。得られるCARTは、皮質T-ALLの治療に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD1a陽性癌を治療する方法に使用される、
(i)CD1a標的化部分を含む細胞外ドメインであって、該CD1a標的化部分が、配列番号7のみからなるVLドメイン及び配列番号8のみからなるVHドメインを含むscFVである、細胞外ドメインと、
(ii)膜貫通ドメインと、
(iii)細胞内シグナル伝達ドメインと、
を含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含むT細胞。
【請求項2】
前記膜貫通ドメインがCD28、CD3、CD45、CD4、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154の膜貫通ドメインを含む、請求項1に記載の使用のためのT細胞。
【請求項3】
前記膜貫通ドメインがCD8の膜貫通ドメインを含む、請求項2に記載の使用のためのT細胞。
【請求項4】
前記細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζ、FcRγ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b又はCD66bの細胞内ドメインを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのT細胞。
【請求項5】
前記細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζの細胞内ドメインを含む、請求項4に記載の使用のためのT細胞。
【請求項6】
前記CARが共刺激シグナル伝達ドメインを更に含み、好ましくは該共刺激シグナル伝達ドメインがCD27、CD28、CD137、CD134、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、CD278又はCD276の細胞内ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのT細胞。
【請求項7】
前記共刺激シグナル伝達ドメインがCD137の細胞内ドメインを含む、請求項6に記載の使用のためのT細胞。
【請求項8】
CD1a陽性癌を治療する方法に使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の複数の細胞と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記CD1a陽性癌が皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病、好ましくは再発性/難治性皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのT細胞。
【請求項10】
前記CD1a陽性癌が皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病、好ましくは再発性/難治性皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記CD1a陽性癌がCD1a+T細胞リンパ芽球性リンパ腫、好ましくは再発性/難治性CD1a+T細胞リンパ芽球性リンパ腫である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のためのT細胞。
【請求項12】
前記CD1a陽性癌がCD1a+T細胞リンパ芽球性リンパ腫、好ましくは再発性/難治性CD1a+T細胞リンパ芽球性リンパ腫である、請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞急性リンパ芽球性白血病及びT細胞リンパ芽球性リンパ腫等のCD1a陽性癌の治療のための治療法を提供する。特に、本発明は、CD1aを標的化することができるキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を提供する。
【背景技術】
【0002】
T細胞系列急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は、胸腺T細胞前駆体の白血病性形質転換に起因する悪性障害である。T-ALLは、表現型的かつ遺伝的に不均一であり、一般に造血幹/前駆細胞(HSPC)の恒常性に関与する転写因子及びT細胞発生の主要制御因子の遺伝子変化/突然変異と関連する。T-ALLは、小児及び成人において診断される全ての急性白血病のそれぞれ10%~15%及び20%~25%を占め3、4、診断時年齢中央値は9歳である5~7。集中的な化学療法レジメンによりT-ALL患者の生存の改善がもたらされている。しかしながら、無イベント生存(EFS)及び全生存(OS)は、70%未満のままであり、再発性/難治性(R/R)T-ALLは、特に転帰が不良である。現在、造血細胞移植及び従来の化学療法よりも有力な治療選択肢は存在せず、これは毒性の大きなトレードオフと関係し4、8、新規の標的化療法の必要性が高まっている。T細胞リンパ芽球性リンパ腫(TCL)は、T-ALLとは病因的かつ病原的に異なるが、表現型的には非常によく似ている。主な違いは、TCLが髄外に見られ、T-ALLが骨髄疾患であることである。
【0003】
免疫療法は、癌治療においてかつてないほどの期待を生み出し、癌に対する強力な武器として免疫系に依存する。近年では、キメラ抗原受容体(CAR)に基づく養子細胞性免疫療法が大きな可能性を示している。CAR療法では、遺伝子操作されたT細胞を、特定の抗原を発現する腫瘍細胞を主要組織適合遺伝子複合体とは独立して特異的に認識し、排除するようにリダイレクトする9、10。CD19又はCD22に対するCAR T細胞(CART)のリダイレクトの成功は、B細胞悪性腫瘍(主にB-ALL)については現在議論の余地がない11~14。しかし、CARTを用いてT細胞悪性腫瘍を標的とする戦略は、CARTとT系列腫瘍細胞との間の標的抗原の共通発現のために困難なままである。この点で、汎T細胞抗原に対するCARTは、i)CARTの自己標的化/フラトリサイド(fratricide)、及びii)致死的な免疫不全につながるT細胞形成不全という2つの大きな欠点を有する15~17
【0004】
最近の的確な研究から、最も発現される汎T細胞抗原であるCD7、CD3、CD5又はTCR CARのいずれかで形質導入したT細胞は、T-ALL芽球をin vitroで効率的に排除し、疾患をin vivoで制御することが可能であることが実証されている15~20。それにもかかわらず、CRISPR/Cas9ゲノム編集又はタンパク質発現ブロッカー等のアプローチは、依然として臨床には程遠く、広範な自己抗原により誘導されるフラトリサイドを回避するためにCAR形質導入の前にT細胞中の標的抗原の破壊を必要としていた15~17、19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、T-ALLを首尾よく治療することができる療法が依然として必要とされている。本発明は、CD1a陽性T-ALLを治療する療法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
T細胞をリダイレクトすることが望まれる抗原の選択は、正常T細胞と悪性T細胞との間のT細胞マーカーの共通発現と関連する問題を解決するための大きな進歩を示す。脂質提示分子であるCD1aが、T-ALLの大きなサブセット、すなわち皮質T-ALLの治療に適した標的であると特定した。
【0007】
in vitro及びin vivoの異種移植片モデルの両方でT-ALL細胞株及び一次皮質CD1a+T-ALL細胞に対して強い細胞毒性を示すCD1a特異的CARTを開発し、機能的に特性評価した。CD1a CARTは、モックT細胞と同様、連続的に200倍に増加し、CD1a抗原に対するCARTのリダイレクトがT細胞フラトリサイドを誘導しないことが実証された。また、皮質T-ALLへのCD1a CARTの使用は、自己抗原により誘導されるフラトリサイドを回避する戦略としてCAR形質導入の前に精巧なゲノム編集に基づきT細胞中の標的抗原を破壊する必要性をなくす15~17、19。定常状態の造血では、CD1aが皮質CD34+CD7+胸腺T前駆体のサブセットのみで発現され、より早期のCD34highCD7highT前駆体がCD1aを欠いていることを更に実証した。加えて、複数の組織に由来する正常CD34+HSPCも成熟T細胞も個体発生時にCD1aを発現せず、オンターゲット/オフ腫瘍毒性(on-target/off-tumor toxicity)のリスクが最小限に抑えられる。実際に、ヒト胎児胸腺由来のCD7+胸腺細胞をCD1a CARTに曝露すると、CD1a+皮質胸腺細胞のみがCD1a CARTによって排除され、発生的により初期及び後期の胸腺T系列集団(CD34+及びCD34-)は標的化されず、オンターゲット/オフ腫瘍効果が皮質胸腺細胞の発生的に一時的な胸腺集団に限定され、CD1a CARTのフラトリサイド耐性が更に確認された。
【0008】
皮質胸腺細胞の排他的な胸腺局在性、及び生理学的/定常的に機能的T細胞に成熟するCD34+CD7+CD1a-T細胞前駆体の胸腺亜集団がCD1a+皮質胸腺細胞の上流に存在するという事実から、R/R T-ALL患者におけるCD1a CARTの使用について付加的なレベルの安全性がもたらされる。以下の理由からCD1a CARTに起因する不可逆的毒性又は重度のT細胞形成不全は予期されない:i)CD1a+胸腺細胞集団は、一時的な胸腺T細胞画分であり、最終的に上流のCD1a-T細胞前駆体によって再生する;ii)CD1a CART自体が通常はウイルス抗原に対して応答し、したがって病原体を防ぐ可能性がある;iii)CD5又はCD7に対する特異抗体の臨床使用42は、重度の又は不可逆的な毒性を示さなかった;iv)部分又は完全胸腺摘出を受けた患者において少なくとも部分的に免疫学的防御を保証し得る、T細胞の胸腺外成熟及び自然免疫系と適応免疫系との間のバランスを実証する複数の研究がある45~47
【0009】
このため、一態様において、本発明は、CD1a標的化部分を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0010】
本発明は、本発明のCARをコードする核酸も提供する。さらに、本発明は、本発明の核酸及び/又はCARを含む細胞を提供する。また、本発明は、本発明による複数の細胞と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0011】
医薬として使用される本発明の細胞又は本発明の医薬組成物が提供される。特に、本発明は、本発明の細胞又は本発明の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、CD1a陽性癌を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】T-ALLにおけるCD1a発現、並びに正常な造血及び胸腺細胞増殖を示す図である。(A)指定のマーカーに対するデノボT-ALLサンプル(n=38)の免疫表現型。上及び中間の波括弧は、それぞれCD1a+/++及びCD1alow/+coT-ALL患者を特定する。下部の黒丸は、非coT-ALL患者を表す。(B)coT-ALL患者の代表的なFACSドットプロット。CD7+CD1a+細胞は、coT-ALL芽球であり、CD3+CD7+CD1a-(CD4+又はCD8+のいずれか)は、診断サンプル中に存在する正常成熟T細胞である。(C)CD1aは、再発時に保持される(n=5の診断-再発coT-ALL対)。診断適合サンプルに対する再発サンプルにおけるCD1a発現として示されるデータ(診断を100%の発現として示す)。(D)T細胞及びCD34+HSPCは、個体発生全体にわたってCD1aを発現しない。(E)発生中の胸腺T細胞集団の表現型を示すスキーム。(F)前皮質(pre-cortical)(CD34highCD7++CD1a-)及び皮質(CD34+CD7++CD1a+)胸腺細胞についての代表的なFACS。DX:診断。RX:再発。
図2】CD1a CARTがin vitroでCD1a+T-ALL細胞株を特異的に標的化し、排除することを示す図である。(A)使用されるCD1aCAR構築物のスキーム。(B)抗scFv MoAb及びGFPを用いた293T細胞におけるCAR検出。(C)CD4+及びCD8+T細胞における代表的なCAR形質導入及び検出(n=6)。(D)適当なT細胞活性化(n=3)。(E)モック又はCD1a CARのいずれかで形質導入した活性化T細胞の強い増加は、フラトリサイドの兆候を示さない(n=4)。(F)Jurkat、MOLT4及びNALM6細胞株におけるCD1a(黒線)の表面発現。(G)細胞株、一次coT-ALLサンプル及びプリモグラフト(primografts)におけるCD1a抗原密度。(H)16時間のアッセイにおける指定のE:T比でのcoT-ALL及びB-ALL細胞株に対するCD1a CART及びモックT細胞の細胞毒性(n=4)。(I)1:1のE:T比での72時間の細胞毒性アッセイにおいてFACSによって測定された生存eFluor+標的細胞の絶対数。(J)eFluor670で標識した標的細胞による細胞毒性の代表的なFACS分析。(K)1:1のE:T比での16時間のアッセイにおいてJurkat及びNALM6(陰性対照)細胞に曝露したCD1a CARTによる炎症性サイトカインIL-2、TNFα及びIFNγの高レベルの産生を示すELISA(n=4)。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図3】CD1a CARTがin vitroで一次サンプル又はPDXモデルに由来するCD1a+T-ALL芽球を特異的に標的化し、排除することを示す図である。(A)一次患者/プリモグラフトに由来するcoT-ALL芽球におけるCD1a対CD7の発現。CD1a+芽球の%を示す。(B)4:1のE:T比での48時間の細胞毒性アッセイにおいてFACSによって測定された(eFluor+細胞の絶対数での)細胞毒性(n=3)。(C)CD1a CARTの特異性を明らかにする細胞毒性アッセイの終了時のeFluor標識標的細胞におけるCD1aの代表的なFACS分析(n=3)。(D)4:1のE:T比での16時間のアッセイにおけるELISAによって分析されたCD1a CARTによる炎症誘発性サイトカインの高レベルの産生(n=3つの独立した上清)。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図4】CD1a CARTがマウス異種移植片状況においてcoT-ALL細胞の進行を完全に制御することを示す図である。(A)異種移植片モデルのスキーム。NSGマウス(n=6匹/群)に3×10個のLuc-GFP発現Jurkat細胞をi.v.注射し、続いて3日後に5×10個のモック又はCD1a CARTの単回i.v.注射を行った。腫瘍負荷を4日~6日に1回、IVISイメージングを用いて生物発光(BLI)によってモニタリングした。モック処理動物が完全に白血病となった時点で、CD1a CART処理動物の半数を屠殺し、白血病負荷及びCART持続性についてFACS(BM、PB及び脾臓)によって分析した。残りの動物を6週間後に1.5×10個のLuc-Jurkatで再チャレンジし、それまでと同様に追跡した。(B)指定の時点でBLIによってモニタリングした腫瘍負荷のIVISイメージング。(C)指定の時点での全放射輝度定量化(p/秒/cm/sr)。†:屠殺。(D)CART注入の17日後のPBにおける循環Jurkat細胞。(E)17日目のPB、並びに屠殺時の脾臓及びBMにおけるT細胞持続性。データは平均±SDとして示す(n=6匹のマウス/群)。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図5】CD1a CARTがPDX状況において一次CD1a+coT-ALL芽球の進行を完全に消滅させることを示す図である。(A)PDXモデルのスキーム。NSGマウス(n=5匹又は6匹/群)に1×10個の一次coT-ALL細胞をi.v.注射し、続いて3日後に1×10個のモック又はCD1a CARTの単回i.v.注射を行った。腫瘍負荷を2週間に1回FACSによって、6週間後及び9週間後に採血及びBM吸引によってモニタリングした。(B、C)白血病マウスの頻度、並びにCARTの注入の6週間後及び9週間後のBM(B)及びPB(C)における白血病のレベル。左パネルは代表的なFACSプロットを示す。一次CD1a+T-ALL芽球は、ボックス内に示される(灰色)。エフェクターT細胞は、ボックス外に灰色で示される。マウス細胞は黒色で示される。(D)CD1a CART又はモックT細胞のいずれかを与えたcoT-ALLプリモグラフトの9週間のOS。(E)PB(2週目~9週目)及びBM(6週目及び9週目)における経時的なエフェクターT細胞持続性。各ドットは独立したマウスを表す。**p<0.01、マルコム-コックス(Malcolm-Cox)検定。
図6】CD1a CARTが再チャレンジPDX状況においてCD1a+細胞株及びcoT-ALL一次サンプルの進行を制御する能力を保持することを示す図である。(A)再チャレンジしたマウスにおけるJurkat細胞負荷のIVISイメージング。(B)Jurkat細胞で再チャレンジしたマウスにおける経時的な全放射輝度定量化(p/秒/cm/sr)。(C)再チャレンジの16日後のPBにおける循環Jurkat細胞。(D)再チャレンジした動物の屠殺時のPB、BM及び脾臓における強いエフェクターT細胞持続性。(E)coT-ALL一次サンプルを用いた再チャレンジPDX実験のスキーム。CART担持PDXマウスを初回CART注入の7週間後に1×10個の一次CD1a+T-ALLで再チャレンジした。(F)白血病再チャレンジの6週間後の生着したPB(左パネル)及びBM(右パネル)における二次coT-ALL負荷。(G)coT-ALL一次サンプルで再チャレンジしたPDXに由来するPB(2週目、4週目及び6週目)における経時的なエフェクターT細胞持続性。各ドットは独立したマウスを表す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****<0.0001。
図7】発症時のcoT-ALL患者に由来するCD1a CARTが自己CD1a+T-ALL芽球を特異的に溶解することを示す図である。(A)自己細胞毒性アッセイの実験設計を示すスキーム。成熟(正常)CD3+CD1aT細胞をcoT-ALL患者のPBからFACS精製し、CD1a CARを感染させ、増加させ、自己全PBMCに曝露した。(B)1:1及び4:1のE:Tでの48時間の自己細胞毒性アッセイのFACS分析。eFluor670標識全PBMC標的集団は、CD1a+T-ALL芽球(上のボックス)及び成熟CD3+CD1a-T細胞(下のボックス)を含有する。(C)coT-ALL芽球(上のパネル)及びCD3+CD1a-成熟T細胞(下のパネル)についてのCD1a CART媒介特異的溶解の定量化。(D)CMV、EBV及びインフルエンザ(CEF)に由来するペプチドのプールで刺激したモック対CD1a CARTからのIFNγ SFCの数を示すELISpot。ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)を陽性対照として使用した。
図8】本研究において提示した個々のCD1a++coT-ALL患者のそれぞれについての免疫表現型を示す図である。(A)成熟正常T細胞(CD4+又はCD8+のいずれかのCD3++CD1a-)及びcoT-ALL芽球(CD7+CD1a+)を区別するゲーティング戦略。coT-ALL芽球が一般にCD3及び/又はCD4/CD8)の異常発現を有することに留意されたい。(B)成熟正常T細胞(左象限)及びcoT-ALL芽球(右象限)のパーセンテージを示すn=16の利用可能なCD1a++coT-ALL患者についてのCD7/CD3対CD1aのFACSドットプロット。
図9】CD1a CARTのin vitro特異性を示す図である。(A)本研究に使用されるCD1aCAR、CD22CAR及びモック構築物のスキーム。(B)CD1a CARTはT-ALL細胞株Jurkatを溶解するが、CD22 CARTはJurkatを溶解しない。CD22 CARTはB-ALL株NALM6を溶解するが、CD1a CARTはNALM6を溶解しない。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図10】CD1a CARTの用量依存的なin vivo細胞毒性を示す図である。(A)早期の効率的なT-ALL生着が確認された、実験の開始時にBLIによってモニタリングした腫瘍負荷(スケール:3×10p/秒/cm/sr~1×10p/秒/cm/sr)。(B)2×10p/秒/cm/sr及び5×10p/秒/cm/srのCART用量について指定の時点でBLIによってモニタリングした腫瘍負荷のIVISイメージング。(C)2×10及び5×10のCART用量についての指定の時点での全放射輝度定量化(p/秒/cm/sr)。N=3匹又は4匹のマウス/群。†:屠殺。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図11】CD1a CARTがCD7+CD1a-胸腺細胞を標的化しないことを示す図である。胎児胸腺細胞に対する細胞毒性アッセイをCD1a CART及びモックT細胞について4:1のE:Tで16時間及び72時間の時点で行った(n=2)。
図12】CD1a-一次coT-ALL細胞の絶対数がモック又はCD1aのいずれかのCART曝露後に同一のままであることを示す図である。これによりCD1a発現が免疫圧によって喪失/下方調節されなかったことが確認される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
患者に医薬を「投与する」又は患者への医薬の「投与」(及びこの表現と文法的に同等のもの)は、医療専門家による患者への投与若しくは自己投与であり得る直接投与、及び/又は薬物を処方する行為であり得る間接投与を指す。例えば、医薬を自己投与するよう患者に指示するか、又は患者に薬物を処方する医師が患者に薬物を投与する。
【0014】
「アフィボディ(affibody)」という用語は、プロテインAのZドメインに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Frejd & Kim, 2017. Exp Mol Med. 49(3): e306を参照されたい)。
【0015】
「抗体」という用語は、特定の標的に結合するか、又は特定の標的と免疫学的に反応性の少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む分子を指す。この用語は、全抗体及びその任意の抗原結合部分又は一本鎖、並びにそれらの組合せを含む。例えば、「抗体」という用語は、特に二価抗体及び二価二重特異性抗体を含む。
【0016】
典型的なタイプの抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続した少なくとも2つの重鎖(「HC」)と2つの軽鎖(「LC」)とを含む。
【0017】
各「重鎖」は、「重鎖可変ドメイン」(本明細書にて「VH」と略される)及び「重鎖定常ドメイン」(本明細書にて「CH」と略される)を含む。重鎖定常ドメインは通例、3つの定常ドメインCH1、CH2及びCH3を含む。
【0018】
各「軽鎖」は、「軽鎖可変ドメイン」(本明細書にて「VL」と略される)及び「軽鎖定常ドメイン」(「CL」)を含む。軽鎖定常ドメイン(CL)は、κ型又はλ型であり得る。VHドメイン及びVLドメインは、「フレームワーク領域」(「FW」)と称される、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(「CDR」)と称される超可変性の領域に更に細分することができる。
【0019】
VH及びVLは各々、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFWから構成される:FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4。本開示は特に、VH配列及びVL配列、並びにCDR1、CDR2及びCDR3に対応する部分配列を提示する。
【0020】
所与のCDRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム)に記載されているものを含む多数の既知のスキームのいずれかを用いて決定することができる。
【0021】
したがって、FW1、FW2、FW3及びFW4の配列が等しく開示されることが当業者には理解される。特定のVHについて、FW1はVHのN末端とH-CDR1のN末端との間の部分配列であり、FW2はH-CDR1のC末端とH-CDR2のN末端との間の部分配列であり、FW3はH-CDR2のC末端とH-CDR3のN末端との間の部分配列であり、FW4はH-CDR3のC末端とVHのC末端との間の部分配列である。同様に、特定のVLについて、FW1はVLのN末端とL-CDR1のN末端との間の部分配列であり、FW2はL-CDR1のC末端とL-CDR2のN末端との間の部分配列である。FW3はL-CDR2のC末端とL-CDR3のN末端との間の部分配列であり、FW4はL-CDR3のC末端とVLのC末端との間の部分配列である。
【0022】
重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、結合標的と相互作用する領域を含有し、この結合標的と相互作用する領域は、本明細書にて「抗原結合部位」("antigen-binding site" or "antigen binding site")とも称される。抗体の定常ドメインは、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は宿主因子への抗体の結合を媒介することができる。本開示の例示的な抗体としては、典型的な抗体だけでなく、F(ab’)2等のその二価フラグメント及び変形も挙げられる。
【0023】
本明細書にて使用される場合、「抗体」という用語は、無傷ポリクローナル抗体、無傷モノクローナル抗体、二価抗体フラグメント(F(ab’)2等)、二重特異性抗体等の多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及び抗原結合部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。
【0024】
抗体は、それぞれα、δ、ε、γ及びμと称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要クラス(アイソタイプ):IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、又はそのサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)のいずれかとすることができる。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる既知のサブユニット構造及び三次元配置を有する。抗体は、裸であっても、又は治療剤若しくは診断剤等の他の分子とコンジュゲートして免疫複合体を形成してもよい。
【0025】
「アンチカリン(anticalin)」という用語は、リポカリンに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Skerra, 2008. FEBS J. 275(11):2677-83を参照されたい)。
【0026】
「抗原結合フラグメント」又は「Fab」という用語は、重鎖及び軽鎖の各々の1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインを含む抗体フラグメントを指す。Fabフラグメントは、無傷モノクローナル抗体をパパインで消化することによって得ることができる。
【0027】
「癌」という用語は、生理的機能を有さず、無制御の、通常は急速な細胞増殖によって生じ、身体の他の部分に侵入又は転移する可能性がある、組織の任意の異常な良性又は悪性の新生物として定義され得る疾患群を指す。
【0028】
「CD1a」という用語は、β2-ミクログロブリンと関連して発現される非多型MHCクラス1関連細胞表面糖タンパク質を指す。CD1aは皮質胸腺細胞、ランゲルハンス細胞及び指状嵌入細胞によって発現される。CD1aは、T細胞系列の一部の悪性腫瘍及びランゲルハンス細胞組織球症でも発現される。CD1aは皮質胸腺細胞、表皮ランゲルハンス細胞、樹状細胞、或る特定のT細胞白血病及び様々な他の組織において発現される。CD1aは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質と構造的に関連し、β2-ミクログロブリンとヘテロ二量体を形成する。ヒトCD1aに関する例示的な配列及びデータは、UniProtKBデータベースにID番号P06126で寄託されている。
【0029】
「CD1a陽性」癌性疾患を含む「CD1a陽性」癌は、CD1aが細胞表面に存在する細胞を含む癌である。「CD1a陽性」という用語は、本発明のCARを含む細胞が、CD1aへのCARの結合によって媒介される治療効果を有するのに十分なレベルのCD1aを細胞の表面に産生する癌も指す。幾つかの実施形態において、CD1a陽性癌は、皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病及びT細胞リンパ芽球性リンパ腫又はランゲルハンス細胞組織球症(LCH)である。
【0030】
「CD1a標的化部分」という用語は、CD1aに結合することが可能な物質を指す。CARとの関連で、CD1a標的化部分は、T細胞をCD1a陽性細胞、好ましくは癌細胞に標的化する。CARとの関連で、CD1a標的化部分が遺伝的にコード可能であることを理解されたい。
【0031】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」という用語は、T細胞を選ばれた抗原に標的化し、T細胞の機能、代謝及び持続性をリプログラミングする合成受容体を指す(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124を参照されたい)。同様に、「CART」という用語は、CARを含むT細胞を指す。
【0032】
「併用療法」、「と組み合わせて」又は「と併用して」は、本明細書にて使用される場合、少なくとも2つの異なる治療モダリティ(modalities)(すなわち化合物、構成要素、標的化剤又は治療剤)による任意の形態の併用、並行、同時、連続又は間欠的治療を表す。そのため、これらの用語は、被験体への一方の治療モダリティの実施の前、その間又はその後の他方の治療モダリティの実施を指す。組合せでのモダリティは、任意の順序で投与することができる。治療効果のあるモダリティは、共に(例えば、同じ又は別個の組成物、配合物又は単位剤形において同時に)又は別個に(例えば、同じ日又は異なる日に、別個の組成物、配合物又は単位剤形に適切な投与プロトコルに従って任意の順序で)、医療従事者によって処方される又は規制機関に従う方式及び投与計画で実施される。概して、各治療モダリティは、その治療モダリティについて決定される用量及び/又は日程で実施される。任意に、3つ以上のモダリティを併用療法において用いてもよい。さらに、本明細書にて提供される併用療法は、他のタイプの治療と併用することができる。例えば、他の抗癌治療は、被験体に対する現在の標準治療と関連する幾つかの治療の中でも化学療法、外科手術、放射線療法(放射線)及び/又はホルモン療法からなる群より選択することができる。
【0033】
「完全奏効」又は「完全寛解」又は「CR」は、RECIST v1.1ガイドラインにおいて規定される全ての標的病変の消失を示す。これは必ずしも癌が治癒したことを意味するわけではない。
【0034】
「共刺激シグナル伝達ドメイン」という用語は、例えばTCR/CD3複合体のCD3ζ鎖によって与えられる一次シグナルに加えて、活性化、増殖、分化、サイトカイン分泌等を含むが、これらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルをT細胞に与えるシグナル伝達部分を指す。共刺激ドメインは、限定されるものではないが、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドの全て又は一部を含み得る。幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、他の細胞内メディエーターと相互作用して、活性化、増殖、分化及びサイトカイン分泌等を含む細胞応答を媒介する細胞内シグナル伝達ドメインである。
【0035】
「設計アンキリンリピートタンパク質(designed ankyrin repeat proteins)」又は「DARPin」という用語は、アンキリンリピートに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Plueckthun, 2015. Annu Rev Pharmacol Toxicol. 55:489-511を参照されたい)。
【0036】
「無病生存」(DFS)は、患者が無病のままである治療中及び治療後の期間を指す。
【0037】
本明細書にて使用される場合、作用物質、例えばCART等の治療剤の「有効量」という用語は、有益な又は所望の結果、例えば臨床結果をもたらすのに十分な量であり、このため、「有効量」は、それが適用される状況に左右される。例えば、T-ALLを治療する治療剤を投与する状況では、有効量は、癌細胞の数を減少させ、腫瘍サイズ若しくは負荷を減少させ、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、或る程度遅らせ、或る特定の実施形態においては停止させる)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、或る程度遅らせ、或る特定の実施形態においては停止させる)、腫瘍成長を或る程度阻害し、癌と関連する症状の1つ以上を或る程度緩和し、及び/又は無進行生存(PFS)、無病生存(DFS)若しくは全生存(OS)の増大、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、若しくは場合によっては病勢安定(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の短縮、若しくはそれらの任意の組合せ等の有利な応答をもたらすことができる。「有効量」という用語は、「有効用量」、「治療有効量」又は「治療有効用量」と区別なく使用することができる。
【0038】
「フィノマー(fynomer)」という用語は、ヒトFynキナーゼのSH3ドメインに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Bertschinger et al., 2007. Protein Eng Des Sel. 20(2):57-68を参照されたい)。
【0039】
「個体」、「患者」又は「被験体」という用語は、ヒトを指定するために本出願において区別なく使用され、決して限定することを意図するものではない。「個体」、「患者」又は「被験体」は、任意の年齢、性別及び身体状態であってもよい。「それを必要とする患者」という用語は、通常はCD1a陽性癌を患う患者を指す。
【0040】
「注入」又は「注入する」は、治療目的での静脈を介した体内への治療剤を含有する溶液の導入を指す。概して、これは静注バッグ(intravenous bag)によって達成される。
【0041】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、本明細書にて使用される場合、リンパ球の活性化をもたらす分子(ここではキメラ受容体分子)の1つ以上のドメインの全て又は一部を指す。かかる分子の細胞内ドメインは、細胞メディエーターと相互作用することによってシグナルを媒介し、増殖、分化、活性化及び他のエフェクター機能をもたらす。本発明のCARに使用される細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、CD3ζ鎖の細胞内配列、及び/又はCAR連結後にシグナル伝達を開始するように協調して作用する補助受容体、並びにこれらの配列の任意の誘導体又は変異体、並びに同じ機能を有する任意の合成配列が挙げられる。T細胞活性化は、抗原依存性一次活性化を開始し、T細胞受容体様シグナルを与える配列(一次細胞質シグナル伝達配列)及び抗原非依存的に作用し、二次又は共刺激シグナルを与える配列(二次細胞質シグナル伝達配列)の2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列によって媒介されると言える。刺激性に作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、受容体チロシン活性化モチーフ又はITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、CD3ζ、FcRγ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dに由来するものが挙げられる。
【0042】
「モノボディ(monobody)」という用語は、フィブロネクチンIII型ドメインに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Koide et al., 2013. J Mol Biol. 415(2):393-405を参照されたい)。
【0043】
「ナノボディ」という用語は、重鎖抗体、好ましくはラクダ科重鎖抗体の可溶性単一抗原結合Vドメインを含むタンパク質を指す(Bannas et al., 2017. Front Immunol. 8:1603を参照されたい)。
【0044】
「全生存」(OS)は、患者の登録から死亡又は判明している最後の生存日で打ち切られるまでの期間を指す。OSは、未投与又は未治療の個体又は患者と比較した平均余命の延長を含む。全生存は、例えば診断又は治療の時点から1年、5年等の規定の期間にわたって患者が生存し続ける状況を指す。
【0045】
「部分奏効」又は「PR」は、RECIST v1.1ガイドラインにおいて規定される、治療に応答した、ベースライン直径和を参照として少なくとも30%の標的病変の直径の和の減少を指す。
【0046】
「ペプチドアプタマー」という用語は、特定の標的に結合することができる短い5~20アミノ酸残基の配列を指す。ペプチドアプタマーは通例、安定したタンパク質足場のループ領域内に挿入される(Reverdatto et al., 2015. Curr Top Med Chem. 15(12):1082-101を参照されたい)。
【0047】
本明細書にて使用される場合に、「薬学的に許容可能な担体」又は「薬学的に許容可能な希釈剤」は、医薬品投与と適合可能な任意の全ての溶剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を意味する。医薬品活性物質用のそのような媒体及び作用物質の使用は、当該技術分野でよく知られている。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、本発明の範囲を限定するものではないが、追加の緩衝剤、保存剤、共溶媒、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、EDTA等のキレート化剤、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、ポリエステル類等の生分解性ポリマー、ナトリウム、多価糖アルコール等の塩形成対イオン、アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸及びトレオニン等のアミノ酸、ラクチトール、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール類(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコール等の有機糖類又は糖アルコール、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム等の硫黄含有還元剤、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は他の免疫グロブリン等の低分子量タンパク質、並びにポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーが挙げられる。Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されるもののような他の薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤が、医薬組成物の所望の特性に悪影響を及ぼさない限りにおいて、本明細書に記載される医薬組成物に含まれていてもよい。
【0048】
「進行性疾患」又は「進行した疾患」は、RECIST v1.1ガイドラインにおいて規定される、もう1つの新たな病変若しくは腫瘍の出現及び/又は既存の非標的病変の明白な進行を指す。進行性疾患又は進行した疾患は、腫瘍の量又は広がりのいずれかの増大による治療開始からの20パーセントを超える腫瘍成長を指す場合もある。
【0049】
「無進行生存」(PFS)は、登録から疾患の進行又は死亡までの期間を指す。PFSは概して、カプラン-マイヤー法及び固形癌効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors:RECIST)1.1標準を用いて測定される。概して、無進行生存は、癌が増悪することなく患者が生存し続ける状況を指す。
【0050】
「RECIST」という用語は、固形癌効果判定基準を意味する。RECISTガイドライン、基準又は標準は、成人及び小児癌の臨床試験に用いられる腫瘍サイズの変化の客観的評定のための固形腫瘍の測定及び定義の標準アプローチを記載している。RECIST v1.1は、改訂RECISTガイドラインのバージョン1.1を意味し、European Journal of Cancers 45 (2009) 228-247に公開されている。
【0051】
「リピボディ(repebody)」という用語は、ロイシンリッチリピートモジュールに由来し、特定の標的に結合するように改変されたタンパク質を指す(Lee et al., 2012. PNAS. 109(9): 3299-3304を参照されたい)。
【0052】
「有利に応答する」という用語は概して、被験体において有益な状態を生じることを指す。癌治療に関して、この用語は、被験体に対して治療効果をもたらすことを指す。癌における好ましい治療効果は、多数の方法で測定することができる(Weber, 2009. J Nucl Med. 50 Suppl 1:1S-10Sを参照されたい)。例えば、腫瘍成長阻害、分子マーカー発現、血清マーカー発現及び分子イメージング技術は全て、抗癌治療法の治療効力を評定するために用いることができる。腫瘍成長阻害に関して、NCI標準によると、T/C≦42%が抗腫瘍活性の最低レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルとみなされ、T/C(%)=治療した場合の腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。有利な応答は、例えば無進行生存(PFS)、無病生存(DFS)若しくは全生存(OS)の増大、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、若しくは場合によっては病勢安定(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行までの時間(TTP)の短縮、又はそれらの任意の組合せによって評定することができる。
【0053】
「配列同一性」という用語は、ペアワイズ配列アラインメントツールを用いて2つの配列を比較した場合に得られるパーセンテージ値を指す。本件では、配列同一性は、デフォルト設定を用いるグローバルアラインメントツール「EMBOSS Needle」を用いて得られる(Rice et al., 2000. Trends Genet. 16(6):276-7、Li et al., 2015. Nucleic Acids Res. 43(W1):W580-4)。グローバルアラインメントツールは、https://www.ebi.ac.uk/Tools/psa/で利用可能である。
【0054】
「一本鎖抗原結合フラグメント」又は「scFab」という用語は、抗体の重鎖の1つの可変ドメイン及び1つの定常ドメインに付着した抗体の軽鎖の1つの可変ドメイン及び1つの定常ドメインを含み、重鎖及び軽鎖が短ペプチドによって連結した融合タンパク質を指す。
【0055】
「一本鎖可変フラグメント」又は「scFv」という用語は、ペプチドリンカーによって互いに連結した抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含む融合タンパク質を指す。この用語は、ジスルフィド安定化Fv(dsFv)も含む。ジスルフィド結合によってscFvを安定化する方法は、Reiter et al., 1996. Nat Biotechnol. 14(10):1239-45に開示されている。
【0056】
「病勢安定」は、RECIST v1.1ガイドラインにおいて規定される、進行又は再発のない疾患を指す。病勢安定では、部分奏効とみなすのに十分な腫瘍縮小も、進行性疾患とみなすのに十分な腫瘍増加も見られない。
【0057】
「腫瘍進行までの時間」(TTP)は、登録から疾患の進行までの時間として規定される。TTPは概して、RECIST v1.1基準を用いて測定される。
【0058】
本出願で使用される「治療」及び「療法」という用語は、疾患及び/又は症状を治癒及び/又は緩和する目的と共に健康上の問題の改善を目標として使用される一連の衛生的手段、薬理学的手段、外科的手段及び/又は物理的手段を指す。「治療」及び「療法」という用語には、予防法及び治癒法が含まれる。それというのも、両者とも個体又は動物の健康の維持及び/又は回復に向けられるからである。症状、疾患及び廃疾の原因にかかわらず、健康上の問題を軽減及び/又は治癒するために適した医薬の投与は、本出願の文脈内の治療又は療法の形として解釈されるべきである。
【0059】
キメラ抗原受容体
一態様において、本発明は、CD1a標的化部分を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。
【0060】
CD1a標的化部分
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は抗体、アンチカリン、リピボディ、モノボディ、scFv、Fab、scFab、アフィボディ、フィノマー、DARPin、ナノボディ、又はCD1aに特異的に結合するペプチドアプタマーである。
【0061】
CD1aに特異的に結合する結合分子は、上述の障害の診断及び治療に非常に有用であり得る。CD1aに対する幾つかのマウスモノクローナル抗体が本分野で知られている(Kelly (1994)、Amiot et al. (1986)、Furue et al. (1992))。しかしながら、マウス抗体は、in vivo使用については、短い血清半減期、或る特定のヒトエフェクター機能を誘発することができないこと、及びマウス抗体に対する望ましくない免疫応答の発生等のヒトへのマウス抗体の投与に関連する問題のために限定される(Van Kroonenburgh and Pauwels (1988))。これらの前述した欠点を克服する新たなヒト抗体が近年開発されている(Bechan (2012)及びGitanjali (2005))。NA1/34.HLKに加えて、他のハイブリドーマ、例えばSIGMA ALDRICHのOKT6(IgG1アイソタイプ)が市販されている。
【0062】
以下を参照されたい:
Amiot M., Bernard A., Raynal B., Knapp W., Deschildre C. and Boumsell L. (1986), J. Immunol. 136:1752-1757.
Furue M., Nindl M., Kawabe K., Nakamura K., Ishibashi Y. and Sagawa K. (1992), J. Am. Acad. Dermatol. 27:419-42
Kelly K. M., Beverly P. C., Chu A. C., Davenport V., Gordon I., Smith M. and Pritchard J. (1994), J. Pediatr. 125:717-722
Van Kroonenburgh M. J. and Pauwels E. K. (1988), Nucl. Med. Commun. 9:919-930.
Gitanjali Bechan, David W. Lee, R. Maarten Egeler and Robert J. Arceci Blood 2005 106:4815
Bechan, G. I., Lee, D. W., Zajonc, D. M., Heckel, D. , Xian, R. , Throsby, M. , Meijer, M. , Germeraad, W. T., Kruisbeek, A. M., Maarten Egeler, R. and Arceci, R. J. (2012), Br J Haematol, 159: 299-310.
【0063】
抗体を生成するファージディスプレイ及びコンビナトリアル方法が当該技術分野で既知である(例えば、Ladner et al.の米国特許第5,223,409号、Kang et al.の国際公開第92/18619号、Dower et al.の国際公開第91/17271号、Winter et al.の国際公開第92/20791号、Markland et al.の国際公開第92/15679号、Breitling et al.の国際公開第93/01288号、McCafferty et al.の国際公開第92/01047号、Garrard et al.の国際公開第92/09690号、Ladner et al.の国際公開第90/02809号、Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372、Hay et al. (1992) Hum Antibod Hybridomas 3:81-85、Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281、Griffths et al. (1993) EMBO J 12:725-734、Hawkins et al. (1992) J Mol Biol 226:889-896、Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628、Gram et al. (1992) PNAS 89:3576-3580、Garrad et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377、Hoogenboom et al. (1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137及びBarbas et al. (1991) PNAS 88:7978-7982に記載され、これらのいずれの内容も引用することにより本明細書の一部をなす)。
【0064】
さらに、特定の標的に結合する非免疫グロブリン足場を生成及び選択する方法が当該技術分野で既知である(例えば、Skrlec, et al., 2015. Trends Biotechnol. 33(7):408-18を参照されたい)。
【0065】
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は、VLドメインとVHドメインとを含む抗体、scFv、Fab又はscFabであり、該VLドメインはLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、該VHドメインはHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1は[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2は[YTS]のみからなり、LCDR3は[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1は[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2は[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3は[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる。
【0066】
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は、VLドメインとVHドメインとを含むscFvであり、該VLドメインはLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、該VHドメインはHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1は[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2は[YTS]のみからなり、LCDR3は[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1は[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2は[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3は[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる。
【0067】
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は、VLドメインとVHドメインとを含む抗体、scFv、Fab又はscFabであり、VLドメインは配列番号7のみからなり、VHドメインは配列番号8のみからなる。
【0068】
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は、VLドメインとVHドメインとを含むscFvであり、VLドメインは配列番号7のみからなり、VHドメインは配列番号8のみからなる。
【0069】
VLドメイン(配列番号7)
[RDIQMTQSPSSLSASLGGKVTITCQASQDINKYIAWYQFKPGKGPRLLIHYTSTLQPAIPSRFSGSGSGREYSFSISNLEPEDIATYYCLHYDNLPWTFGGGTKLEIKRA]
【0070】
VHドメイン(配列番号8)
[QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYAFSTYTMHWVKQRPRQGLEWIGYINPNSASTSYNENFKDKATLTADKSSNTAYMHLSSLTSEDSAVYYCARGFYTMDYWGQGTSVTVSS]
【0071】
幾つかの実施形態において、CD1a標的化部分は、配列番号9を含むか又はそれのみからなるscFvである。
【0072】
クローンNA1/34.HLKに由来するscFv(配列番号9)
[QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYAFSTYTMHWVKQRPRQGLEWIGYINPNSASTSYNENFKDKATLTADKSSNTAYMHLSSLTSEDSAVYYCARGFYTMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSRDIQMTQSPSSLSASLGGKVTITCQASQDINKYIAWYQFKPGKGPRLLIHYTSTLQPAIPSRFSGSGSGREYSFSISNLEPEDIATYYCLHYDNLPWTFGGGTKLEIKRA]
【0073】
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインは、天然供給源又は合成供給源のいずれに由来していてもよい。供給源が天然である場合、ドメインは任意の膜結合又は膜貫通タンパク質に由来し得る。膜貫通領域は、少なくともCD28、CD3、CD45、CD4、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137又はCD154のα鎖、β鎖又はζ鎖の膜貫通領域(複数の場合もある)を含み得る。
【0074】
膜貫通ドメインは、合成であっても又は自然発生膜貫通ドメインの変異体であってもよい。幾つかの実施形態において、合成又は変異体膜貫通ドメインは、主にロイシン及びバリン等の疎水性残基を含む。
【0075】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインはCD28、CD3、CD45、CD4、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の膜貫通ドメイン、又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は95%の配列同一性を有する。
【0076】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインはCD28、CD3、CD45、CD4、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154の膜貫通ドメイン、又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は98%の配列同一性を有する。
【0077】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインはCD28、CD3、CD45、CD4、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154の膜貫通ドメインを含む。
【0078】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は95%の配列同一性を有する。
【0079】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は98%の配列同一性を有する。
【0080】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメインを含む。
【0081】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号10又は配列番号10に対して95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0082】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号10又は配列番号10に対して98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0083】
幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号10を含む。幾つかの実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号10のみからなる。
【0084】
CD8に由来する膜貫通ドメイン(配列番号10)
[TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC]
【0085】
細胞内シグナル伝達ドメイン
細胞内シグナル伝達ドメインは、腫瘍細胞上で発現されるリガンドへの結合後にCARを発現する細胞の少なくとも1つの機能の活性化をもたらす。幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを含む細胞の少なくとも1つの機能の活性化をもたらす細胞内シグナル伝達ドメインの一部及び/又は変異体である。
【0086】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FcRγ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD66bの細胞内ドメイン、又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は95%の配列同一性を有する。
【0087】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FcRγ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD66bの細胞内ドメイン、又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は98%の配列同一性を有する。
【0088】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FcRγ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、又はCD66bの細胞内ドメインを含む。
【0089】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は95%の配列同一性を有する。
【0090】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は98%の配列同一性を有する。
【0091】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内ドメインを含む。
【0092】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11又は配列番号11に対して95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11又は配列番号11に対して98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0094】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11又は配列番号11に対して99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0095】
幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11を含む。幾つかの実施形態において、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号11のみからなる。
【0096】
CD3ζに由来する細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号11)
[RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR]
【0097】
共刺激シグナル伝達ドメイン
幾つかの実施形態において、CARは共刺激シグナル伝達ドメインを更に含み得る。幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインはCD27、CD28、CD137、CD134、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、CD276の細胞内ドメイン、又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は95%の配列同一性を有する。
【0098】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、CD134、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、CD276の細胞内ドメイン又はそれらの変異体を含み、それらの変異体は98%の配列同一性を有する。
【0099】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、CD137、CD134、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、又はCD276の細胞内ドメインを含む。
【0100】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD137の細胞内ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は95%の配列同一性を有する。
【0101】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD137の細胞内ドメイン又はその変異体を含み、その変異体は98%の配列同一性を有する。
【0102】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD137の細胞内ドメインを含む。
【0103】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12又は配列番号12に対して95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0104】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12又は配列番号12に対して98%の配列同一性を有する配列を含む。
【0105】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12又は配列番号12に対して99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0106】
幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12を含む。幾つかの実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12のみからなる。
【0107】
CD137に由来する共刺激シグナル伝達ドメイン(配列番号12)
[KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL]
【0108】
本発明による完全配列CAR
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインがLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1が[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2が[YTS]のみからなり、LCDR3が[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1が[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2が[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3が[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して95%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して95%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して95%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0109】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインがLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1が[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2が[YTS]のみからなり、LCDR3が[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1が[GYAFSTYT](配列番号4のみ)からなり、HCDR2が[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3が[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して98%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して98%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して98%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0110】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインがLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1が[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2が[YTS]のみからなり、LCDR3が[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1が[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2が[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3が[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して98%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して99%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して99%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0111】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインがLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1が[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2が[YTS]のみからなり、LCDR3が[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1が[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2が[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3が[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0112】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインがLCDR1、LCDR2及びLCDR3ポリペプチドを含み、VHドメインがHCDR1、HCDR2及びHCDR3ポリペプチドを含み、LCDR1が[QDINKY](配列番号1)のみからなり、LCDR2が[YTS]のみからなり、LCDR3が[LHYDNLPWT](配列番号3)のみからなり、HCDR1が[GYAFSTYT](配列番号4)のみからなり、HCDR2が[INPNSAST](配列番号5)のみからなり、HCDR3が[ARGFYTMDY](配列番号6)のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10からなる膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11からなる細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12からなる共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0113】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインが配列番号7のみからなり、VHドメインが配列番号8のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して95%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して95%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して95%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0114】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインが配列番号7のみからなり、VHドメインが配列番号8のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して98%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して98%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して98%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0115】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインが配列番号7のみからなり、VHドメインが配列番号8のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10又は配列番号10に対して98%の配列同一性を有する配列を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11又は配列番号11に対して99%の配列同一性を有する配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12又は配列番号12に対して99%の配列同一性を有する配列を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0116】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインが配列番号7のみからなり、VHドメインが配列番号8のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10を含む膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12を含む共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0117】
幾つかの実施形態において、CARは、
(i)VLドメインとVHドメインとを含むscFvであって、VLドメインが配列番号7のみからなり、VHドメインが配列番号8のみからなる、scFvと、
(ii)配列番号10のみからなる膜貫通ドメインと、
(iii)配列番号11のみからなる細胞内シグナル伝達ドメインと、
(iv)配列番号12のみからなる共刺激シグナル伝達ドメインと、
を含む。
【0118】
幾つかの実施形態において、CARは、配列番号2又は配列番号2と95%の配列同一性を有する配列を含むか又はそれのみからなる。幾つかの実施形態において、CARは、配列番号2又は配列番号2と98%の配列同一性を有する配列を含むか又はそれのみからなる。幾つかの実施形態において、CARは、配列番号2又は配列番号2と99%の配列同一性を有する配列を含むか又はそれのみからなる。幾つかの実施形態において、CARは、配列番号2を含むか又はそれのみからなる。
【0119】
CARの完全配列(配列番号2)
[MALPVTGLLLSLGLLLHAARPTGQVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYAFSTYTMHWVKQRPRQGLEWIGYINPNSASTSYNENFKDKATLTADKSSNTAYMHLSSLTSEDSAVYYCARGFYTMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSRDIQMTQSPSSLSASLGGKVTITCQASQDINKYIAWYQFKPGKGPRLLIHYTSTLQPAIPSRFSGSGSGREYSFSISNLEPEDIATYYCLHYDNLPWTFGGGTKLEIKRATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPQRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR]
【0120】
核酸
一態様において、本発明は、上記に開示するCARのいずれか1つを含む本発明のCARのいずれか1つをコードする核酸を提供する。キメラ受容体をコードする核酸配列は、効率的なT細胞活性化及びCD1aの認識に対してキメラ受容体をカスタマイズするために切除し、他の構成要素と置き換えることができる多数のモジュール構成要素同士を接続する。
【0121】
幾つかの実施形態において、核酸は、細胞の形質導入又は形質転換に適している。幾つかの実施形態において、核酸は、養子免疫療法に使用されるT細胞の形質導入又は形質転換に適している。
【0122】
幾つかの実施形態において、核酸は、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化される。コドン最適化方法は、当該技術分野で既知である(例えば、Parret et al., 2016. Curr Opin Struct Biol. 39: 155-162を参照されたい)。
【0123】
本発明の核酸は、T細胞の形質導入又は形質転換に使用することができるγ-レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクターに含まれ得る(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124を参照されたい)。DNAトランスポゾン、RNAトランスフェクション、又はTALEN、ZFN及びCRISPR/Cas9等のゲノム編集技術を用いて核酸を細胞に挿入することもできる(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124を参照されたい)。
【0124】
細胞
一態様において、本発明は、本発明の核酸及び/又は本発明のCARを含む細胞を提供する。幾つかの実施形態において、細胞はT細胞(CARTと称される)である。
【0125】
幾つかの実施形態において、細胞はナイーブT細胞、メモリーステムT細胞又はセントラルメモリーT細胞である。これらの細胞が適応免疫療法により良好に適していると現在考えられている(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124を参照されたい)。
【0126】
幾つかの実施形態において、細胞は自己T細胞である。「自己細胞」という用語は、本発明の方法のいずれか1つを用いて治療されるのと同じ患者から得られた細胞を指す。活動性T細胞急性リンパ芽球性白血病を有する40人の患者から得られた末梢血のフローサイトメトリー分析により、全ての患者における正常CD3+CD1a-T細胞の存在が明らかとなったことに留意する。このため、本発明の核酸及び/又はCARを含む自己T細胞を用いて患者を治療することが全く可能である。
【0127】
幾つかの実施形態において、細胞は同種寛容(allo-tolerant)T細胞である。「同種寛容細胞」という用語は、移植片対宿主病応答のリスクを低下させるように改変された細胞を指す。幾つかの実施形態において、これはTCR及び/又はβ2-ミクログロブリンのゲノム編集を介した欠失によって達成される15、19。同種寛容細胞は、当該技術分野で既知である(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124の同種T細胞の章を参照されたい)。
【0128】
幾つかの実施形態において、T細胞は、CD3陽性かつCD1a陰性のT細胞である。
【0129】
幾つかの実施形態において、細胞は、成熟T細胞へと分化する能力を有するリンパ球前駆体、胚性幹細胞又は誘導多能性幹細胞である(Riviere & Sadelain, 2017. Mol Ther. 25(5):1117-1124を参照されたい)。
【0130】
医薬組成物
一態様において、本発明は、本発明の複数の細胞と薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0131】
本明細書に記載される医薬組成物は、その他の物質も含有し得る。これらの物質としては、限定されるものではないが、凍結保護剤、界面活性剤、酸化防止剤及び安定剤が挙げられる。本明細書にて使用される「凍結保護剤」という用語は、凍結誘導ストレスに対してCARTに安定性を与える作用物質を含む。凍結保護剤の非限定的な例としては、スクロース、グルコース、トレハロース、マンニトール、マンノース及びラクトース等の糖類、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン及びポリエチレングリコール等のポリマー、ポリソルベート等の界面活性剤(例えば、PS-20又はPS-80)並びにグリシン、アルギニン、ロイシン及びセリン等のアミノ酸が挙げられる。生物系における毒性が低い凍結保護剤が一般的に使用される。
【0132】
幾つかの実施形態において、細胞を初めにそれらの培養培地から採取し、次いで細胞を洗浄し、投与に適している培地及び容器システム(「薬学的に許容可能な」担体)において治療有効量で濃縮することによって細胞を配合する。好適なインフュージョン培地は任意の等張培地配合物、通例、生理食塩水、Normosol R(Abbott)又はPlasma-Lyte A(Baxter)とすることができ、水又は乳酸リンゲル液中の5%デキストロースを用いることもできる。インフュージョン培地にヒト血清アルブミン、ウシ胎仔血清又は他のヒト血清成分を添加してもよい。
【0133】
一態様において、本発明は、医薬として使用される本発明による細胞又は本発明による医薬組成物を提供する。
【0134】
治療方法
一態様において、本発明は、本発明の細胞又は本発明の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、CD1a陽性癌を治療する方法を提供する。
【0135】
幾つかの実施形態において、患者に治療有効量の細胞を投与する。幾つかの実施形態において、患者に少なくとも10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個又は1010個の細胞を投与する。細胞の数は、組成物が対象とする最終的な用途によって決まり、組成物に含まれる細胞のタイプも同様である。例えば、特定の抗原に特異的な細胞が所望される場合、集団は70%超、概して80%超、85%及び90%~95%のかかる細胞を含有する。本明細書にて提供される用途については、細胞は概して1リットル以下の体積であり、500ml以下、更には250ml以下又は100ml以下であり得る。臨床的に関連する細胞の数は、累積して10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個、10個又は1010個の細胞に等しいか又はそれを超える複数回の注入に配分することができる。
【0136】
幾つかの実施形態において、細胞又は医薬組成物を静脈内に、腹腔内に、骨髄に、リンパ節に及び/又は脳脊髄液に投与する。
【0137】
幾つかの実施形態において、方法は併用療法を含む。幾つかの実施形態において、方法は、免疫チェックポイント阻害剤を更に投与することを含む(Lim & June, 2017. Cell. 168(4):724-740を参照されたい)。更なる実施形態において、方法は、免疫チェックポイント阻害剤及び/又はIAP阻害剤を更に投与することを含む(国際公開第2016/054555号を参照されたい)。
【0138】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される細胞又は医薬組成物を化学療法剤及び/又は免疫抑制剤と組み合わせて投与する。一実施形態において、患者を初めに他の免疫細胞を阻害又は破壊する化学療法剤、続いて本明細書に記載される細胞又は医薬組成物で治療する。場合によっては、化学療法を完全に回避することができる。
【0139】
幾つかの実施形態において、CD1a陽性癌は、皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病又はランゲルハンス細胞組織球症である。幾つかの実施形態において、CD1a陽性癌は、皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病である。幾つかの実施形態において、CD1a陽性癌は、再発性/難治性皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病である。
【0140】
概して、白血病の再発は、初回寛解の数ヶ月又は数年後に現れる可能性があるが、殆どの再発は、初期治療後2年以内に起こる。不応性は、患者が再発後に少なくとも1つの治療戦略に応答しなくなったことを意味する用語である。
【0141】
特に成人におけるALLの第一選択試験では、再発が「以前の完全寛解(CR)の達成後の骨髄における5%を超える芽細胞の検出又は髄外白血病の関与の明白な証拠」として定義されるという幅広いコンセンサスがある(Goekbuget (2017)を参照されたい)。成人ALLに関する欧州作業部会(European Working Group on Adult ALL:EWALL)は、この声明を、「集中治療段階及び/又は再生時の或る段階で5%~20%の芽細胞の場合、骨髄再発及び再生現象を区別するために骨髄の評価を1週間後に繰り返す必要がある」という付加的な説明と共にコンセンサス勧告に記録した(Dohner (2010)を参照されたい)。引用される定義は、T-ALLの場合と同様にALLの幾つかのサブタイプについて推定された急性骨髄性白血病における転帰パラメーターについての国際勧告に基づく(Cheson (2003)及びChantepie (213)を参照されたい)。
【0142】
近年、一部の試験では再発の概念さえ定義されなかった。したがって、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞を用いた研究は、「測定可能な疾患」を有する患者を含み、更には血液学的再発(付加的な指定なし)又は微小残存病変(MRE)を有する患者を含むものであった(Lee (2015)及びMaude (2014)及びGoekbuget (2017)を参照されたい)。以下を参照されたい:
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【0143】
幾つかの実施形態において、本発明の方法を用いて治療される患者は、別の療法による治療後の完全又はほぼ完全な寛解期にある。高活動性の再発性/難治性皮質T細胞急性リンパ芽球性白血病を有する患者の場合に幾つかの代替的なエフェクターT細胞が存在することから、本発明の方法を用いる前に腫瘍負荷を減少させることが好ましい(preferable desirable)場合がある。幾つかの実施形態において、本発明の方法を用いて治療される患者は、以前に部分奏効、完全奏効、病勢安定、進行性疾患の減少、腫瘍進行までの時間の短縮、又はそれらの任意の組合せをもたらした別の療法を用いて治療されている。
【実施例
【0144】
材料及び方法
CD1a特異的scFvの生成及びCARの設計
CD1a特異抗体のNA1/34.HLKクローンに由来するCD1a特異的一本鎖可変フラグメント(scFv)を、マウスIgG Library Primer Set(Progen)を用いた商業的合成(Sigma-Aldrich)を用いて得て、ヒトCD8膜貫通(TM)ドメイン、ヒトCD137及びCD3ζエンドドメイン、並びにT2A-GFPカセットを含有するpCCLレンチウイルスベースの第2世代CAR骨格にクローニングした。GFP単独(モックベクター)又はCD22 CAR骨格のいずれかを発現する同一のレンチウイルスベクターを対照として使用した(図1D及び図8A)。
【0145】
CAR発現レンチウイルスの作製、T細胞の形質導入、活性化及び増加
VSV-G偽型CAR発現ウイルス粒子を、標準ポリエチレンイミントランスフェクションプロトコルを用いて293T細胞において生成し、他の部分で記載されるように超遠心分離によって濃縮した27。ウイルス価は、一貫して10TU/mLの範囲であった。末梢血単核細胞(PBMC)を、健常なボランティアに由来するバフィーコートからフィコール-ハイパック勾配遠心分離によって単離した。バフィーコートは、IRB承認(HCB/2018/0030)後にBarcelona Blood and Tissue Bank(BST)から入手した。T細胞を、プレートに結合した抗CD3(OKT3)抗体及び抗CD28抗体(BD Biosciences)によって2日間活性化した後、インターロイキン-7(IL-7)及びIL-15(10ng/mL、Mitenyi Biotec)の存在下にてCAR発現レンチウイルス(MOI=10)で形質導入した16、18。CD1aCARの細胞表面発現を、GFPの蛍光活性化細胞選別(FACS)同時発現によって追跡し、AffiniPure F(ab’)2 Fragment Goat Anti-Mouse IgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch)を用いて確認した。CAR形質導入T細胞の適当な活性化を、2日間の増加後にCD25及びCD69について染色することによって実証した。
【0146】
健常なCD34+前駆体、T細胞及び一次T-ALLサンプルのイムノフェノタイピング
CD34+幹/前駆細胞(HSPC)、CD34+CD7+胸腺T細胞前駆体及びCD3+T細胞におけるCD1a抗原の発現を新鮮なヒト胸腺、胎児肝臓及び骨髄(BM)、臍帯血、並びに成人BM及び末梢血(PB)において予測分析した(n=3)。胎児の組織は、インフォームドコンセント並びに地域の倫理及びバイオハザード取締役会委員会による承認(CMRBCEIC-26/2013)後にMRC/Wellcome Trust Human Developmental Biology Resourceから入手した妊娠18週~22週で中絶された発生中の胚から以前に記載されているように採取した28、29。新生児及び成人の組織は、IRB承認(HCB/2018/0030)後にBSTから入手した。一次T-ALLサンプル及び診断的イムノフェノタイピングデータは、地域の病院であるSant Joan de Den、Germans Trias i Pujol及びSanta Creu i San Pau(Barcelona,Spain)から入手した。T-ALL一次サンプルのイムノフェノタイピングについては、以下の蛍光色素コンジュゲートモノクローナル抗体(MoAb)を使用した:抗CD2-PE、CD7-FITC/PE、CD13-PerCP-Cy5.5、CD34-APC、CD3-PE、CD5-FITC、CD4-BV-421、CD8-APC-Cy7、CD45-AmCyan、CD1a-BV-421/APC/PE、CD33-APC及びCD123-APC(BDBiosciencies又はMiltenyi Biotec)。アイソタイプ適合非反応性蛍光色素コンジュゲートMoAbを常に蛍光参照として使用した。簡潔に述べると、PB単核細胞(PBMC、約5×10個)を赤血球溶解溶液(BDBiosciencies)と共に10分間インキュベートした後、MoAbで染色した(暗所にて4℃で20分間)。染色した細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄し、FACSDivaソフトウェアを備えるFACSCanto-IIフローサイトメーター(BDBiosciencies)でFACSによって分析した30~32
【0147】
in vitro細胞毒性アッセイ及びサイトカイン放出の決定
細胞株Jurkat、MOLT4及びNALM6をDSMZ(Braunschweig,Germany)から購入し、DSMZの推奨に従って増加させた。ルシフェラーゼ(Luc)/GFP発現細胞を、レトロウイルス導入及びGFP+細胞のFACS精製によって安定的に生成した33。標的細胞(細胞株及び一次T-ALL芽球)を3μM eFluor670(eBioscience)で標識し、CD1a、CD22又はモックCARTと共に異なるエフェクター:標的(E:T)比にて指定の期間にわたってインキュベートした。CART媒介細胞毒性を、残存する生存(7-AAD-)eFluor670+標的細胞を各時点及びE:T比で分析することによって決定した。絶対細胞数は、Trucount absolute countビーズ(BD Biosciences)を用いて決定した。さらに、発症時の皮質T-ALL患者のPBに由来するFACS選別CD3+CD1a-成熟T細胞を活性化し、CD1a CARで形質導入し、それらのeFluor670標識自己CD1a+T-ALL芽球に対して試験した。炎症誘発性サイトカインIL-2、TNFα及びIFNγの産生を、16時間後に採取した上清中でELISA(Human ELISA SET、BD Biosciences)によって測定した。
【0148】
in vivoのJurkat及びT-ALL患者由来の異種移植片(PDX)モデル
6週齢~12週齢の非肥満糖尿病(NOD)-Cg-Prkdcscid Il2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウス(The Jackson Laboratory)を、Barcelona Biomedical Research Park(PRBB)の動物施設において病原体除去条件下で繁殖及び飼育した。マウスを放射線照射し(2Gy)、3×10個のLuc-GFP発現Jurkat細胞又は1×10個の一次皮質CD1a+T-ALL芽球(一次及びプリモグラフトで増加させた)を静脈内に(i.v.)移植した34。1.5×10個~5×10個のCD1a又はモックCARTを3日後にi.v.注入した。Luc-Jurkat細胞を使用する場合、腫瘍負荷は、Xenogen IVIS 50 Imaging System(Perkin Elmer)を用いて生物発光(BLI)によって追跡した。発光を測定するために、マウスに150mg/kgのD-ルシフェリンを腹腔内投与し、腫瘍負荷を指定の時点でモニタリングした。Living Imageソフトウェア(Perkin Elmer)を用いて全発光を可視化し、算出した。一次T-ALLサンプルの腫瘍負荷は、2週間に1回の採血及びFACS分析によって追跡した。モックCART処理動物が白血病となった時点でマウスを屠殺し、腫瘍負荷(hHLA-ABC+hCD45+hCD1a+グラフト)及びCART持続性(hHLA-ABC+hCD45+hCD3+hCD1a-GFP+)をBM、PB及び脾臓においてFACSによって分析した。再チャレンジ実験では、5週間~6週間前にCD1a CARTの注入を受けた、白血病でない動物に1.5×10個のLuc-Jurkat細胞又は1×10個のCD1a+T-ALLプリモグラフトのいずれかを再注入し、疾患の再発を上記のようにBLI及びFACSによって追跡した。全ての手順をPRBBの動物実験委員会(DAAM7393)に従って行った。
【0149】
酵素結合免疫スポットアッセイ(ELISpot)
ELISpotプレート(Millipore)を抗ヒトIFNγ抗体(1-D1K、Mabtech)でコーティングし、一晩4℃に維持した。次いで、プレートを、1%ウシ胎仔血清を含有するPBSで6回洗浄した後、3匹の独立したドナーに由来する細胞を5×10~1×10細胞/ウェルでプレーティングし、37℃及び5%COで20時間、三連で培養した。サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)及びインフルエンザのT細胞エピトープのペプチドプールである1μg/mLのCEF、並びに陽性対照としての1μg/mLのブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)に応答したIFNγ分泌細胞を測定した。次いで、プレートを以前に記載されているようにビオチン化抗ヒトIFNγ、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(Mabtech)で解明した35、36。IFNγ分泌細胞の頻度を、ImmunoCapture及びImmunoSpotソフトウェアを用いて定量化し、10個当たりのIFNγスポット形成単位(SFU)の数を算出した。
【0150】
統計分析
少なくとも3匹の個々のドナーからのデータを全ての図に示し、実験的反復を常に行った。少なくとも5匹の動物を各in vivo条件で使用した。全てのp値を、Prismソフトウェア(GraphPad)を用いて対応のない両側スチューデントt検定によって算出した。マウスの無イベント生存(EFS)を、マンテル-コックス検定を用いて決定した。0.05未満のp値を統計的に有意とみなした。
【0151】
実施例1:CD1aは皮質T-ALL芽球を特異的にマークする
CARTとT系列芽球との間の標的抗原の共通発現により、T-ALLにおける免疫療法アプローチはCART関連フラトリサイド及び潜在的な致死的T細胞形成不全のために限られている。しかしながら、CD1a抗原は、T-ALLの主要サブセットである皮質T-ALLにおいて発現され(図1A図1B)、全ての胸腺外組織において機能的T細胞では全く見られず25、定常状態CD34+HSPCは、個体発生にわたって複数の造血部位でCD1a発現を欠いている(図1C)。T細胞発生は、初めにリンパ-骨髄能を有するCD34highCD7-CD1a-原始HSPCが定着することによって胸腺内で開始し、これが続いて胸腺微小環境に応答してCD34highCD7+CD1a-初期T細胞前駆体に分化する37。T細胞前駆体は、胸腺分化を経て進行するにつれ、CD7発現を維持し、徐々にCD34発現を失うが、CD1a発現が現れ、これが一時的に皮質胸腺細胞に限定される38図1E図1F)。CD34+胸腺集団では、約50%を前皮質T細胞前駆体が占め(CD34highCD7+CD1a-、図1E図1F(灰色の細胞))、CD1aが、致命的転帰を有する3、39~41、R/R皮質T-ALLにおける免疫療法の実現可能かつ安全な標的であり得ると仮定することができる。
【0152】
実施例2:CD1aリダイレクトT細胞(CD1a CART)は、T細胞フラトリサイドなしに増加する
抗CD1a scFv、CD8TMスペーサー、並びにT2A配列を介してGFPとインフレームで連結した4-1BB(CD137)及びCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインからなる第2世代CD1a CARを設計した(図2A)。CD1a CARの発現は、293T細胞(図2B)並びに一次CD4+及びCD8+T細胞サブセット(図2C)においてscFv及びGFPの両方の同時発現によって容易に検出された。重要なことには、活性化(CD69+CD25+)CD1a CART(図2D)は、モックT細胞(図2E)と同様、12日間にわたって連続的に200倍に増加し、CD1a抗原に対するCARTのリダイレクトがT細胞フラトリサイドを誘導しないことが実証された。
【0153】
実施例3:CD1a CARTは、T-ALL細胞株及び一次芽球をin vitroで特異的に根絶させる
次いで、CD1a CARTを、CD1a+T-ALL細胞株Jurkat及びMOLT4、並びに陰性対照としてのB-ALL細胞株NALM6を用いてin vitroで試験した(図2F)。対照CART(モックT細胞又はCD22 CARTのいずれか)と比較すると、CD1a CARTは、CD1a+T-ALL細胞をE:T比に依存して特異的に排除した。2:1又は4:1の比較的低いE:T比は、16時間のアッセイにおいて50%~80%の特異的細胞溶解を誘導した(図2H図2I図9)。重要なことには、殆どのCD1a+T-ALL細胞が、72時間のアッセイにおいて1:1のE:T比ではCD1a CARTへの曝露を生き延びなかった(図2I)。CD1a CARTは、CD1a+T-ALL細胞との同時培養時に高レベルの炎症誘発性サイトカインIL-2、TNFα及びIFNγを産生し、それらの作用が確認された(図2K)。
【0154】
CD1a CARTを、原発腫瘍を排除するそれらの能力に更に取り組むために、一次皮質T-ALLサンプル(新たに採取した又はPDX由来の)と同時培養し、CD1a+芽球の割合を80%~98%の範囲とした(図3A)。モックT細胞と比較すると、CD1a CARTは、72時間の細胞毒性アッセイにおいて4:1のE:T比で一次CD1a+皮質T-ALL細胞を特異的に排除した(図3B図3C)。BMにおいてCD1a+T-ALL芽球と共存する正常造血細胞(CD1a-)は、CD1a CARTによって溶解されなかった(図3C)。高レベルのIFNγ及びTNFαもCD1a+一次T-ALL細胞との同時培養時に分泌された(図3D)。まとめると、これらの結果から、CD1a CARTがin vitroでT-ALL細胞株及び一次芽球に対して強力かつ特異的な抗白血病活性を有することが示される。
【0155】
実施例4:CD1a CARTは、in vivoで強力な抗白血病活性を示す
次に、CD1a CARTの活性を、Luc発現Jurkat T-ALL細胞(図4図10)及び一次皮質T-ALL異種移植片モデル34図5)の両方を用いてin vivoで評価した。NSGマウスに、2×10個又は5×10個のいずれかのCD1a(又はモック)CARTのi.v.注入の3日前に3×10個のLuc発現Jurkat細胞を移植し、白血病の確立をBLIによって毎週追跡した(図4A図10)。BLIにより多大な腫瘍負荷が示された、モックT細胞を与えたマウスとは対照的に、CD1a CARTを与えたマウスは、25日目まで実質的に白血病を有しなかった(図4B図4C図10)。白血病の進行の制御は、CD1a CART細胞では用量依存的であった(図10B図10C)。屠殺時のPBにおける腫瘍負荷のフローサイトメトリー分析によりBLIデータを確認した(図4D)。重要なことには、FACS分析から、分析した全ての造血組織におけるT細胞持続性が明らかとなった(図4E)。しかしながら、モックT細胞を与えたマウスにおけるT細胞生体内分布と比較して、BM及び脾臓においてCD1a CARTの顕著に増加した生体内分布が見られ(図4E)、CD1a CARTによる播種性白血病の能動的制御が示された。
【0156】
皮質T-ALLの臨床的により関連するPDXモデルにおいて、NSGマウスに初めに1×10個の一次CD1a+T-ALL芽球を移植し、続いて3日後に1×10個のCD1a(又はモック)CARTを注入した後、白血病の生着を2週間に1回、採血及びエンドポイントBM分析によって追跡した(図5A)。CD1a+皮質T-ALL細胞の生着は、モックT細胞処理PDXではBM(図5B、6週目及び9週目にそれぞれ50%±13%及び55%±11%)及びPB(図5C、6週目及び9週目にそれぞれ4.4%±2%及び18%±6%)の両方において時間と共に徐々に増大し、有意に低い9週目のOSと関連していた(42%対100%、p=0.01;図5D)。対照的に、CD1a CARTは、T-ALLの成長/生着を完全に消滅させ(BM及びPBにおいてそれぞれ0.36%及び0%のT-ALL芽球)、9週間後にBM及びPBで残存していた(図5B図5C図5E)。
【0157】
実施例5:in vivoで持続性のCD1a CARTは、再チャレンジアッセイにおいて機能的である
造血組織におけるCARTの持続性は、それらの臨床的成功に主要な生物学的パラメーターであるため、40日~50日後に残存するCD1a CARTがT-ALL進行の制御において機能的かつ効率的なままであるかを次に評定した。このため、CD1a CARTでの処理により白血病が消滅した、T-ALLを移植したマウスをLuc-Jurkat細胞(図6A図6D)又はプリモグラフトに由来する一次T-ALL(図6E図6G)のいずれかで再チャレンジした。二次性白血病が急速(早ければ2週間後)かつ大幅に生着した対照とは対照的に、Jurkat(図6C)又は6週間後のプリモグラフトモデル(図6F)では、T-ALL生着はBLI又はFACSのいずれによっても殆ど検出可能でなかった。
【0158】
実施例6:患者由来のCD1a CARTは、自己CD1a+芽球を特異的に標的化し、抗ウイルス活性を保持する
標的抗原の適当な選択及びT細胞フラトリサイドの回避は、T-ALLの治療におけるCARTの成功に不可欠である。したがって、皮質T-ALLを有する患者からのPB由来のCD3+CD1a-T細胞を単離し、CD1a CARを発現するように遺伝子操作することができるかを試験した(図7)。このため、患者からCD3+CD1a-T細胞を単離し(純度95%超、データは示さない)、CD3/CD28で活性化し、CD1a CAR又はモックでレンチウイルス形質導入した(31%~70%の形質導入)。次に、活動性T-ALL患者に適合したPBMCに対する一次T-ALLに由来するCD1a CARTの細胞溶解能を調査した(図7A)。自己細胞毒性能及びフラトリサイドの程度の両方を評定することが可能となることから、全PBMCを標的として使用した。eFluor670標識した標的PBMCにおいて、大半がCD1a+芽球であり、約15%がCD3+CD1a-正常T細胞である(図7B)。モックT細胞と比較すると、CD1a CARTは、自己CD1a+芽球に対して多大かつ特異的な細胞溶解能を示したが、CD1a-正常T細胞に対しては細胞溶解能を示さず(図6B)、CD1a CARTがフラトリサイド耐性であることが更に実証された。
【0159】
CD1a CARTの潜在的胸腺毒性を更に評定するために、ヒト正常胎児胸腺由来のCD7+胸腺細胞を標的細胞として次に使用した。CD1a+皮質胸腺細胞(2番目及び3番目の灰色のボックス)のみがCD1a CARTによって排除され、発生的により初期及び後期のCD1a-(最初のボックス)胸腺T系列集団(CD7+CD34+及びCD7+CD34-)は標的化されず(図1E図1F)、オンターゲット/オフ腫瘍効果が皮質胸腺細胞の発生的に一時的な胸腺集団に限定された。最後に、CD1a CARTが、免疫抑制患者においてウイルス血症を引き起こす最も一般的な病原体を標的化することによって単独で宿主を保護することができるかを決定しようとした。このため、CMV、EBV及びインフルエンザ抗原(CEF)に対するCD1a CARTの反応性を試験し、SCFをIFNγ ELISpotによって定量化した。モックT細胞及びCD1a CARTの両方がウイルスペプチドによる刺激に対して極めて似たような応答を示し、CD1a CARTが抗ウイルス活性を保持することが示唆された(図7D)。
【0160】
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【配列表】
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【国際調査報告】