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特表2022-520472統合された格子を使用してホログラフィック導波管ディスプレイを提供するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】統合された格子を使用してホログラフィック導波管ディスプレイを提供するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20220323BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547754
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 US2020018686
(87)【国際公開番号】W WO2020168348
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,665
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/813,373
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509325972
【氏名又は名称】ディジレンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グラント, アラステア ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルダーン, ジョナサン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ, ミラン モムシロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ, シフイ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ロジャー コンリー
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA48
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA55
2H199CA62
2H199CA65
2H199CA68
2H249CA04
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
本発明の種々の実施形態による、統合された格子を使用してホログラフィック導波管ディスプレイを提供するためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、光の源と、第1の導波管であって、第1および第2の格子を含む、格子構造と、光の第1の視野部分を結合し、光の第2の視野部分を結合するように構成される、入力結合器とを含み、第1の格子は、光の第1の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第2の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成され、第2の格子は、光の第2の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第1の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成される、第1の導波管とを含む、導波管ディスプレイを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管ディスプレイであって、
光の源と、
第1の導波管と
を備え、
前記第1の導波管は、
第1および第2の格子を備える格子構造と、
入力結合器であって、
前記光の源からの光の第1の視野部分を前記第1の導波管の中に、かつ前記第1の格子に向かって結合することと、
前記光の源からの光の第2の視野部分を前記第1の導波管の中に、かつ前記第2の格子に向かって結合することと
を行うように構成される、入力結合器と
を備え、
前記第1の格子は、
前記光の第1の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供することと、
前記光の第2の視野部分に関して前記第1の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供することと
を行うように構成され、
前記第2の格子は、
前記光の第2の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供することと、
前記光の第1の視野部分に関して前記第2の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供することと
を行うように構成され、
前記入力結合器、前記第1の格子、および前記第2の格子は、それぞれ、格子ベクトルを備え、
前記入力結合器、前記第1の格子、および前記第2の格子の格子ベクトルは、実質的にゼロの大きさを伴う結果として生じるベクトルを提供する、導波管ディスプレイ。
【請求項2】
前記第1の格子は、第1および第2の格子処方を備え、
前記第2の格子は、第3および第4の格子処方を備え、
前記第1の格子処方は、前記光の第1の視野部分に関して前記第1の方向における前記ビーム拡大を提供するように構成され、
前記第2の格子処方は、前記光の第2の視野部分に関して前記第1の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成され、
前記第3の格子処方は、前記光の第2の視野部分に関して前記第2の方向における前記ビーム拡大を提供するように構成され、
前記第4の格子処方は、前記光の第1の視野部分に関して前記第2の方向における前記ビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成される、
請求項1に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項3】
前記第1および第2の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化され、前記第3および第4の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化される、請求項2に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項4】
前記第1の格子は、少なくとも部分的に、前記第2の格子と重複する、請求項3に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の導波管は、第1および第2の格子層を備え、
前記第1の格子は、前記第1の格子層内に配置され、
前記第2の格子は、前記第2の格子層内に配置される、
請求項4に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項6】
前記第1の導波管はさらに、前記第1および第2の格子層の間に、かつ隣接して配置される、透明層を備える、請求項5に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項7】
第2の導波管をさらに備え、前記第1の導波管は、光の第1のスペクトル帯域において結合するように構成され、前記第2の導波管は、光の第2のスペクトル帯域において結合するように構成される、請求項6に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項8】
前記入力結合器は、入力プリズム、入力格子、第1および第2の入力格子、および2つの多重化格子処方を備える入力格子から成る群から選択される、入力構成を備える、請求項1に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項9】
前記入力結合器の格子ベクトルは、前記第1の格子の格子ベクトルと異なる大きさを有する、請求項1に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項10】
前記光の源は、少なくとも2つの異なる波長の光を提供する、請求項1に記載の導波管ディスプレイ。
【請求項11】
画像を表示する方法であって、前記方法は、
導波管ディスプレイを提供することであって、前記導波管ディスプレイは、第1の導波管を備え、前記第1の導波管は、入力結合器と、第1および第2の格子を備える格子構造とを支持し、前記入力結合器、前記第1の格子、および前記第2の格子は、それぞれ、格子ベクトルを備え、前記入力結合器、前記第1の格子、および前記第2の格子の格子ベクトルは、実質的にゼロの大きさを伴う結果として生じるベクトルを提供する、ことと、
前記入力結合器を介して第1の視野部分を前記導波管の中に結合することと、
前記入力結合器を介して第2の視野部分を前記導波管の中に結合することと、
前記第1の格子を使用して、第1の方向において前記第1の視野部分の光を拡大することと、
前記第2の格子を使用して、第2の方向において前記第1の視野部分の光を拡大し、前記導波管からこれを抽出することと、
前記第2の格子を使用して、前記第2の方向において前記第2の視野部分の光を拡大することと、
前記第1の格子を使用して、前記第1の方向において前記第2の視野部分の光を拡大し、前記導波管からこれを抽出することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記第1の格子は、第1および第2の格子処方を備え、
前記第2の格子は、第3および第4の格子処方を備え、
前記第1の視野部分の光は、前記第1の格子処方を使用して、前記第1の方向において拡大され、
前記第2の視野部分の光は、前記第2の格子処方を使用して、前記第1の方向において拡大され、前記導波管から抽出され、
前記第2の視野部分の光は、前記第3の格子処方を使用して、前記第2の方向において拡大され、
前記第1の視野部分の光は、前記第4の格子処方を使用して、前記第2の方向において拡大され、前記導波管から抽出される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化され、前記第3および第4の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の格子は、少なくとも部分的に、前記第2の格子と重複する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の導波管は、第1および第2の格子層を備え、
前記第1の格子は、前記第1の格子層内に配置され、
前記第2の格子は、前記第2の格子層内に配置される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の導波管はさらに、前記第1および第2の格子層の間に、かつ隣接して配置される、透明層を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導波管ディスプレイはさらに、第2の導波管を備え、前記第1の導波管は、光の第1のスペクトル帯域において結合するように構成され、前記第2の導波管は、光の第2のスペクトル帯域において結合するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記入力結合器は、入力プリズム、入力格子、第1および第2の入力格子、および2つの多重化格子処方を備える入力格子から成る群から選択される、入力構成を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記入力結合器の格子ベクトルは、前記第1の格子の格子ベクトルと異なる大きさを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記光の源は、少なくとも2つの異なる波長の光を提供する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、第35 U.S.C. § 119(e)号に基づいて、2019年2月15日に出願され、「Methods and Apparatuses for Providing a Color Holographic Waveguide Display Using Overlapping Bragg Gratings」と題された米国仮特許出願第62/806,665号および2019年3月4日に出願され、「Improvements to Methods and Apparatuses for Providing a Color Holographic Waveguide Display Using Overlapping Bragg Gratings」と題された米国仮特許出願第62/813,373号の利益および優先権を主張する。米国仮特許出願第62/806,665号および第62/813,373号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、導波管デバイスに関し、より具体的には、ホログラフィック導波管ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
導波管は、波を閉じ込め、誘導する(すなわち、波が伝搬し得る空間領域を制限する)能力を伴う構造と称されることができる。1つのサブクラスは、電磁波、典型的には、可視スペクトルにおけるものを誘導し得る構造である、光導波管を含む。導波管構造は、いくつかの異なる機構を使用して波の伝搬経路を制御するように設計されることができる。例えば、平面導波管は、回折格子を利用し、入射光を回折させ、導波管構造の中に結合するように設計されることができ、したがって、内部結合された光は、全内部反射(TIR)を介して平面構造内で進行し続けることができる。
【0004】
導波管の加工は、導波管内のホログラフィック光学要素の記録を可能にする材料システムの使用を含むことができる。そのような材料の1つのクラスは、光重合性モノマーと、液晶とを含有する混合物である、ポリマー分散液晶(PDLC)混合物を含む。そのような混合物のさらなるサブクラスは、ホログラフィックポリマー分散液晶(HPDLC)混合物を含む。体積位相格子等のホログラフィック光学要素は、2つの相互にコヒーレントなレーザビームを用いて材料を照明することによって、そのような液体混合物中に記録されることができる。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、光重合誘発相分離を受け、クリアなポリマーの領域が点在する、液晶微小液滴が密集する領域を作成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成する。一般的に、切替可能ブラッグ格子(SBG)と称される、結果として生じる格子は、体積またはブラッグ格子と通常関連付けられる全ての性質を有するが、回折効率(所望の方向に回折される入射光の割合)の連続的範囲にわたって格子を電気的に調整する能力と組み合わせられる、はるかに高い屈折率変調範囲を伴う。後者は、100%に近い効率で非回折(クリア)から回折に拡張することができる。
【0005】
上記に説明されるもの等の導波管光学系は、様々なディスプレイおよびセンサ用途のために考慮されることができる。多くの用途では、複数の光学機能をエンコードする1つ以上の格子層を含有する導波管が、種々の導波管アーキテクチャおよび材料システムを使用して実現され、拡張現実(AR)および仮想現実(VR)のための接眼ディスプレイ、道路交通、航空、および軍事用途のためのコンパクトなヘッドアップディスプレイ(HUD)およびヘルメット搭載型ディスプレイまたは頭部搭載型ディスプレイ(HMD)、およびバイオメトリックおよびレーザレーダ(LIDAR)用途のためのセンサにおける新しい革新を可能にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の種々の実施形態による、統合された格子を使用してホログラフィック導波管ディスプレイを提供するためのシステムおよび方法が、例証される。一実施形態は、光の源と、第1の導波管であって、第1および第2の格子を含む、格子構造と、光の源からの光の第1の視野部分を第1の導波管の中に、かつ第1の格子に向かって結合し、光の源からの光の第2の視野部分を第1の導波管の中に、かつ第2の格子に向かって結合するように構成される、入力結合器とを含み、第1の格子は、光の第1の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第2の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成され、第2の格子は、光の第2の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第1の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成され、入力結合器、第1の格子、および第2の格子は、それぞれ、ある格子ベクトルを含み、入力結合器、第1の格子、および第2の格子の格子ベクトルは、実質的にゼロの大きさを伴う結果として生じるベクトルを提供する、第1の導波管とを含む、導波管ディスプレイを含む。
【0007】
別の実施形態では、第1の格子は、第1および第2の格子処方を含み、第2の格子は、第3および第4の格子処方を含み、第1の格子処方は、光の第1の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供するように構成され、第2の格子処方は、光の第2の視野部分に関して第1の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成され、第3の格子処方は、光の第2の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供するように構成され、第4の格子処方は、光の第1の視野部分に関して第2の方向におけるビーム拡大および視認者に向かうビーム抽出を提供するように構成される。
【0008】
さらなる実施形態では、第1および第2の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化され、第3および第4の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化される。
【0009】
なおも別の実施形態では、第1の格子は、少なくとも部分的に、第2の格子と重複する。
【0010】
なおもさらなる実施形態では、第1の導波管は、第1および第2の格子層を含み、第1の格子は、第1の格子層内に配置され、第2の格子は、第2の格子層内に配置される。
【0011】
また別の実施形態では、第1の導波管はさらに、第1および第2の格子層の間に、かつ隣接して配置される、透明層を含む。
【0012】
またさらなる実施形態では、導波管ディスプレイはさらに、第2の導波管を含み、第1の導波管は、光の第1のスペクトル帯域において結合するように構成され、第2の導波管は、光の第2のスペクトル帯域において結合するように構成される。
【0013】
別の付加的実施形態では、入力結合器は、入力プリズム、入力格子、第1および第2の入力格子、および2つの多重化格子処方を含む入力格子のうちの少なくとも1つから選択される、入力構成を含む。
【0014】
さらなる付加的実施形態では、入力結合器の格子ベクトルは、第1の格子の格子ベクトルと異なる大きさを有する。
【0015】
再び、別の実施形態では、光の源は、少なくとも2つの異なる波長の光を提供する。
【0016】
再び、さらなる実施形態では、画像を表示する方法であって、本方法は、入力結合器と、第1および第2の格子を含む、格子構造とを支持する、第1の導波管を含む、導波管ディスプレイを提供するステップであって、入力結合器、第1の格子、および第2の格子は、それぞれ、ある格子ベクトルを含み、入力結合器、第1の格子、および第2の格子の格子ベクトルは、実質的にゼロの大きさを伴う結果として生じるベクトルを提供する、ステップと、入力結合器を介して第1の視野部分を導波管の中に結合するステップと、入力結合器を介して第2の視野部分を導波管の中に結合するステップと、第1の格子を使用して、第1の方向において第1の視野部分の光を拡大するステップと、第2の格子を使用して、第2の方向において第1の視野部分の光を拡大し、導波管からこれを抽出するステップと、第2の格子を使用して、第2の方向において第2の視野部分の光を拡大するステップと、第1の格子を使用して、第1の方向において第2の視野部分の光を拡大し、導波管からこれを抽出するステップとを含む。
【0017】
なおもまた別の実施形態では、第1の格子は、第1および第2の格子処方を含み、第2の格子は、第3および第4の格子処方を含み、第1の視野部分の光は、第1の格子処方を使用して、第1の方向において拡大され、第2の視野部分の光は、第2の格子処方を使用して、第1の方向において拡大され、導波管から抽出され、第2の視野部分の光は、第3の格子処方を使用して、第2の方向において拡大され、第1の視野部分の光は、第4の格子処方を使用して、第2の方向において拡大され、導波管から抽出される。
【0018】
なおもまたさらなる実施形態では、第1および第2の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化され、第3および第4の格子処方は、少なくとも部分的に、多重化される。
【0019】
なおも別の付加的実施形態では、第1の格子は、少なくとも部分的に、第2の格子と重複する。
【0020】
なおもさらなる付加的実施形態では、第1の導波管は、第1および第2の格子層を含み、第1の格子は、第1の格子層内に配置され、第2の格子は、第2の格子層内に配置される。
【0021】
再び、なおも別の実施形態では、第1の導波管はさらに、第1および第2の格子層の間に、かつ隣接して配置される、透明層を含む。
【0022】
再び、なおもさらなる実施形態では、導波管ディスプレイはさらに、第2の導波管を含み、第1の導波管は、光の第1のスペクトル帯域において結合するように構成され、第2の導波管は、光の第2のスペクトル帯域において結合するように構成される。
【0023】
また別の付加的実施形態では、入力結合器は、入力プリズム、入力格子、第1および第2の入力格子、および2つの多重化格子処方を備える入力格子のうちの少なくとも1つから選択される、入力構成を含む。
【0024】
またさらなる付加的実施形態では、入力結合器の格子ベクトルは、第1の格子の格子ベクトルと異なる大きさを有する。
【0025】
再び、また別の実施形態では、光の源は、少なくとも2つの異なる波長の光を提供する。
【0026】
付加的実施形態および特徴が、続く説明に部分的に記載され、部分的に、本明細書の考察に応じて当業者に明白となるであろう、または本発明の実践によって学習され得る。本発明の性質および利点のさらなる理解が、本明細書の残りの部分および本開示の一部を形成する図面を参照することによって実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
説明は、本発明の例示的実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列挙として解釈されるべきではない、以下の図およびデータグラフを参照して、より完全に理解されるであろう。
【0028】
図1図1は、本発明のある実施形態による、導波管ディスプレイを概念的に図示する。
【0029】
図2図2は、本発明のある実施形態による、2つの青色-緑色回折導波管と、2つの緑色-赤色回折導波管とを有する、カラー導波管ディスプレイを概念的に図示する。
【0030】
図3図3A-3Cは、本発明の種々の実施形態による、統合された格子を概念的に図示する。
【0031】
図4図4A-4Cは、本発明のある実施形態による、入力格子と、2つの統合された格子とを有する、格子構造を通した光線伝搬を図式的に図示する。
【0032】
図5図5A-5Eは、本発明の種々の実施形態による、種々の格子ベクトル構成を概念的に図示する。
【0033】
図6図6は、本発明のある実施形態による、入力格子と、統合された格子とを有する、格子アーキテクチャの概略平面図を概念的に図示する。
【0034】
図7図7は、本発明のある実施形態による、画像を表示する方法を概念的に図示する、フロー図を示す。
【0035】
図8図8は、本発明のある実施形態による、複数の格子を含有する統合された格子を利用して画像を表示する方法を概念的に図示する、フロー図を示す。
【0036】
図9図9は、本発明のある実施形態による、統合された格子を実装する2つの重複する導波管部分の輪郭図を概念的に図示する。
【0037】
図10図10は、本発明のある実施形態による、統合された格子の2つのセットを有する、格子アーキテクチャの概略平面図を概念的に図示する。
【0038】
図11図11は、本発明のある実施形態による、異なる視野角において生じる回折に関する導波管に関する回折効率対角度のプロットを概念的に図示する。
【0039】
図12図12は、本発明のある実施形態による、導波管によって提供される視認幾何学形状を示す。
【0040】
図13図13は、本発明のある実施形態による、導波管によって提供される左および右眼画像の間に両眼重複を伴う両眼ディスプレイに関する視野幾何学形状を概念的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
実施形態を説明する目的のために、光学設計および視覚ディスプレイの当業者に公知の光学技術のいくつかの周知の特徴は、本発明の基本的原理を不明瞭にしないために、省略または簡略化されている。別様に記載されない限り、光線またはビーム方向に関連する用語「軸上」は、本発明に関連して説明される光学構成要素の表面に対して法線方向の軸に平行な伝搬を指す。以下の説明では、光、光線、ビーム、および方向という用語は、同義的に、かつ相互に関連付けて使用され、直線軌道に沿った電磁放射の伝搬の方向を示し得る。光および照明という用語は、電磁スペクトルの可視および赤外帯域に関連して使用され得る。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般的に採用される専門用語を使用して提示されるであろう。本明細書に使用されるように、格子という用語は、いくつかの実施形態では、格子のセットから成る格子を包含し得る。例証目的のために、図面が、別様に記載されない限り、縮尺通りに描かれないことを理解されたい。
【0042】
本発明の種々の実施形態による導波管ディスプレイは、多くの異なる技法を使用して実装されることができる。導波管技術は、多くの異なる用途のための低費用、効率的、かつ多用途の回折光学解決策を可能にすることができる。1つの一般的に使用される導波管アーキテクチャは、画像源からの光を導波管内のTIR経路の中に結合するための入力格子と、第1の方向においてビーム拡大を提供するための折り返し格子と、第1の方向に直交する方向において第2のビーム拡大を提供し、射出瞳またはアイボックスから視認するために導波管から瞳拡大されたビームを抽出するための出力格子とを含む。2次元ビーム拡大および抽出において有効であるが、本配列は、典型的には、大きい格子面積を要求する。複屈折格子と併用されるとき、本アーキテクチャはまた、折り返しにおける数百万の格子相互作用から生じるヘイズに悩まされ得る。さらなる問題は、より長い光路が導波管の基板とのより多くのビーム相互作用を受けることに起因する画像不均一性である。したがって、本発明の多くの実施形態は、広角、低費用、効率的、かつコンパクトな導波管ディスプレイを対象とする。
【0043】
多くの実施形態では、導波管ディスプレイは、それぞれ、従来的な折り返しおよび出力格子の機能を実施することが可能である、少なくとも1つの入力格子と、少なくとも2つの統合された格子とを含む。さらなる実施形態では、単一の多重化入力格子が、入力光に2つの分岐経路を提供するために実装される。他の実施形態では、2つの入力格子が、分岐光学経路を提供するために実装される。入力格子の異なる構成に加えて、統合された格子もまた、種々の方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、交差した格子ベクトルを含有し、入力格子から生じる光に関する2つの方向におけるビーム拡大およびビーム抽出を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、交差した格子ベクトルと重複する格子として構成される。格子アーキテクチャの統合された性質は、限定ではないが、AR、VR、HUD、およびLIDAR用途を含む、種々の用途のために好適であるコンパクトな導波管ディスプレイを可能にすることができる。容易に理解され得るように、導波管ディスプレイの具体的アーキテクチャおよび実装は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。例えば、いくつかの実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも50°対角線の両眼視野を提供するために、統合された格子を用いて実装される。さらなる実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも約100°対角線の両眼視野を提供するために、統合された格子を用いて実装される。本発明の種々の実施形態による、導波管ディスプレイ、格子アーキテクチャ、HPDLC材料、および製造プロセスが、下記にさらに詳細に議論される。
(光学導波管および格子構造)
【0044】
導波管内に記録される光学構造は、限定ではないが、回折格子等の多くの異なるタイプの光学要素を含むことができる。格子は、限定ではないが、光を結合すること、光を指向すること、および光の透過を防止することを含む、種々の光学機能を実施するように実装されることができる。多くの実施形態では、格子は、導波管の外面上に存在する、表面レリーフ格子である。他の実施形態では、実装される格子は、周期的屈折率変調を有する構造である、ブラッグ格子(体積格子とも称される)である。ブラッグ格子は、種々の異なる方法を使用して加工されることができる。1つのプロセスは、周期的構造を形成するためのホログラフィックフォトポリマー材料の干渉露光を含む。ブラッグ格子は、殆どの光が高次に回折されない高効率を有することができる。回折されたゼロ次における光の相対量は、大きい瞳にわたって光を抽出するための損失導波管格子を作製するために使用され得る性質である、格子の屈折率変調を制御することによって変動されることができる。
【0045】
ホログラフィック導波管デバイスにおいて使用されるブラッグ格子の1つのクラスは、切替可能ブラッグ格子(SBG)である。SBGは、最初に、光重合性モノマーおよび液晶材料の混合物の薄フィルムを基板の間に設置することによって加工されることができる。基板は、ガラスおよびプラスチック等の種々のタイプの材料から作製されることができる。多くの場合では、基板は、平行構成にある。他の実施形態では、基板は、楔形状を形成する。一方または両方の基板は、フィルムを横断して電場を印加するために、電極、典型的には、透明な酸化スズフィルムを支持することができる。SBG内の格子構造は、空間的周期的強度変調を伴う干渉露光を使用する光重合誘発相分離を通して、液体材料(多くの場合、シロップと称される)中に記録されることができる。限定ではないが、照射強度、混合物中の材料の成分の体積分率、および露光温度の制御等の因子が、結果として生じる格子形態および性能を決定することができる。容易に理解され得るように、多種多様な材料および混合物が、所与の用途の具体的要件に応じて使用されることができる。多くの実施形態では、HPDLC材料が、使用される。記録プロセスの間、モノマーは、重合し、混合物は、相分離を受ける。LC分子は、集合し、光学波長のスケールでポリマーネットワーク内に周期的に分散される離散または合体液滴を形成する。交互する液晶が豊富な領域および液晶が空乏した領域は、格子のフリンジ面を形成し、これは、液滴中のLC分子の配向秩序からもたらされる強力な光学偏光を伴うブラッグ回折を生成することができる。
【0046】
結果として生じる体積位相格子は、非常に高い回折効率を呈することができ、これは、フィルムを横断して印加される電場の大きさによって制御されることができる。電場が、透明電極を介して格子に印加されると、LC液滴の自然な配向は、変化し、フリンジの屈折率変調を低下させ、ホログラム回折効率を非常に低いレベルに下降させることができる。典型的には、電極は、印加された電場が、基板に垂直であろうように構成される。いくつかの実施形態では、電極は、酸化インジウムスズ(ITO)から加工される。いかなる電場も印加されないオフ状態では、液晶の異常軸は、概して、フリンジに対して法線方向に整合する。格子は、したがって、P偏光に関して高い屈折率変調および高い回折効率を呈する。電場が、HPDLCに印加されると、格子は、オン状態に切り替わり、液晶分子の異常軸は、印加された場に平行に、したがって、基板に垂直に整合する。オン状態では、格子は、SおよびP偏光の両方に関してより低い屈折率変調およびより低い回折効率を呈する。したがって、格子領域は、もはや光を回折しない。各格子領域は、HPDLCデバイスの機能に従って、例えば、ピクセルマトリクス等の多数の格子要素に分割されることができる。典型的には、一方の基板表面上の電極は、均一かつ連続的である一方、対向する基板表面上の電極は、多数の選択的に切替可能な格子要素に従ってパターン化される。
【0047】
典型的には、SBG要素は、オンに切り替わるためのより長い緩和時間を伴って30μ秒でクリアに切り替えられる。本デバイスの回折効率は、連続的範囲にわたって、印加される電圧を用いて調節されることができる。多くの場合では、本デバイスは、いかなる電圧も印加されないほぼ100%効率および十分に高い電圧が印加される本質的にゼロ効率を呈する。あるタイプのHPDLCデバイスでは、磁場が、LC配向を制御するために使用されることができる。いくつかのHPDLC用途では、ポリマーからのLC材料の相分離は、いかなる認識可能な液滴構造ももたらされない程度まで遂行されることができる。SBGはまた、受動的格子として使用されることができる。本モードでは、その主要な利益は、一意に高い屈折率変調である。SBGは、自由空間用途のための透過または反射格子を提供するために使用されることができる。SBGは、HPDLCが導波管コアまたは導波管に近接するエバネッセント結合層のいずれかを形成する導波管デバイスとして実装されることができる。HPDLCセルを形成するために使用される基板は、全内部反射(TIR)光誘導構造を提供する。切替可能な格子が、TIR条件を超える角度において光を回折すると、光は、SBGから外に結合されることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、LCが、(表面エッチングおよびSRGを加工するために一般的に使用される他の従来のプロセスを使用して実践的に達成可能なものをはるかに上回る)SRG構造の深さに起因するブラッグ格子に非常に類似する性質を有する表面レリーフ格子(SRG)を提供するために、SBGから抽出または排出されることができる。LCは、限定ではないが、イソプロピルアルコールおよび溶剤を用いた濯ぎを含む、種々の異なる方法を使用して抽出されることができる。多くの実施形態では、SBGの透明基板のうちの1つが、除去され、LCが、抽出される。さらなる実施形態では、除去された基板は、交換される。SRGは、少なくとも部分的に、より高いまたはより低い屈折率の材料を用いて埋め戻されることができる。そのような格子は、種々の導波管用途に合わせるように効率、角度/スペクトル応答、偏光、および他の性質を調整するための余地をもたらす。
【0049】
本発明の種々の実施形態による導波管は、具体的目的および機能のために設計される種々の格子構成を含むことができる。多くの実施形態では、導波管は、コリメート光学システムの射出瞳を効果的に拡大することによって、レンズサイズを縮小しながら、アイボックスサイズを保全することが可能な格子構成を実装するように設計される。射出瞳は、仮想開口として定義されることができ、本仮想開口を通して通過する光線のみが、ユーザの眼に入射することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、光源に光学的に結合される入力格子と、第1の方向のビーム拡大を提供するための折り返し格子と、典型的には、第1の方向に直交する第2の方向におけるビーム拡大およびアイボックスに向かうビーム抽出を提供するための出力格子とを含む。容易に理解され得るように、導波管アーキテクチャにおいて実装される格子構成は、所与の用途の具体的要件に依存し得る。いくつかの実施形態では、格子構成は、複数の折り返し格子を含む。いくつかの実施形態では、格子構成は、入力格子と、ビーム拡大およびビーム抽出を同時に実施するための第2の格子とを含む。第2の格子は、別個の重複する格子層内に配列される、または単一の格子層内に多重化される、視野の異なる部分を伝搬するための異なる処方の格子を含むことができる。さらに、種々のタイプの格子および導波管アーキテクチャもまた、利用されることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、各層内の格子は、異なるスペクトルおよび/または角度応答を有するように設計される。例えば、多くの実施形態では、異なる格子層を横断する異なる格子が、スペクトル帯域幅の増加を提供するために、重複または多重化される。いくつかの実施形態では、フルカラー導波管が、それぞれ、異なるスペクトル帯域(赤色、緑色、および青色)において動作するように設計される、3つの格子層を使用して実装される。他の実施形態では、フルカラー導波管が、2つの格子層、すなわち、赤色-緑色格子層および緑色-青色格子層を使用して実装される。容易に理解され得るように、そのような技法は、導波管の角度帯域幅動作を増加させるために同様に実装されることができる。異なる格子層を横断する格子の多重化に加えて、複数の格子が、単一の格子層内で多重化されることができ、すなわち、複数の格子が、同一の体積内で重畳されることができる。いくつかの実施形態では、導波管は、同一の体積内で多重化された2つ以上の格子処方を有する、少なくとも1つの格子層を含む。さらなる実施形態では、導波管は、2つの格子層を含み、各層は、同一の体積内で多重化された2つの格子処方を有する。同一の体積内で2つ以上の格子処方を多重化することは、種々の加工技法を使用して達成されることができる。いくつかの実施形態では、多重化マスタ格子が、多重化格子を形成するために、露光構成を用いて利用される。多くの実施形態では、多重化格子が、2つ以上の構成の露光光を用いて光学記録材料層を順次露光することによって加工され、各構成は、ある格子処方を形成するように設計される。いくつかの実施形態では、多重化格子が、2つ以上の構成の露光光の間または中で交互させることによって、光学記録材料層を露光することによって加工され、各構成は、ある格子処方を形成するように設計される。容易に理解され得るように、当技術分野で周知のものを含む、種々の技法が、多重化格子を加工するために、適宜、使用されることができる。
【0051】
多くの実施形態では、導波管は、角度多重化格子、色多重化格子、折り返し格子、二重相互作用格子、軸回転Kベクトル格子、交差折り返し格子、モザイク式格子、チャープ格子、空間的に変動する屈折率変調を伴う格子、空間的に変動する格子厚さを有する格子、空間的に変動する平均屈折率を有する格子、空間的に変動する屈折率変調テンソルを伴う格子、および空間的に変動する平均屈折率テンソルを有する格子のうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波管は、半波長板、4分の1波長板、反射防止コーティング、ビーム分割層、整合層、グレア低減のためのフォトクロミックバック層、およびグレア低減のためのルーバフィルムのうちの少なくとも1つを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、導波管は、異なる偏光のための別個の光学経路を提供する格子を支持することができる。種々の実施形態では、導波管は、異なるスペクトル帯域幅のための別個の光学経路を提供する格子を支持することができる。いくつかの実施形態では、格子は、HPDLC格子、HPDLC内に記録される切替格子(切替可能ブラッグ格子等)、ホログラフィックフォトポリマー内に記録されるブラッグ格子、または表面レリーフ格子であり得る。多くの実施形態では、導波管は、モノクローム帯域内で動作する。いくつかの実施形態では、導波管は、緑色帯域内で動作する。いくつかの実施形態では、赤色、緑色、および青色(RGB)等の異なるスペクトル帯域内で動作する導波管層が、3層導波構造を提供するためにスタックされることができる。さらなる実施形態では、層は、導波管層の間に空隙を伴ってスタックされる。種々の実施形態では、導波管層は、2導波管層解決策を提供するために、青色-緑色および緑色-赤色等のより幅広い帯域内で動作する。他の実施形態では、格子は、格子層の数を低減させるために、色多重化される。種々のタイプの格子が、実装されることができる。いくつかの実施形態では、各層内の少なくとも1つの格子は、切替可能格子である。
【0052】
上記に議論されるもの等の光学構造を組み込む導波管は、限定ではないが、導波管ディスプレイを含む、種々の異なる用途において実装されることができる。種々の実施形態では、導波管ディスプレイは、25mmを上回るアイレリーフを伴う10mmを上回るアイボックスを用いて実装される。いくつかの実施形態では、導波管ディスプレイは、2.0~5.0mmの厚さを伴う導波管を含む。多くの実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも50°対角線の画像視野を提供することができる。さらなる実施形態では、導波管ディスプレイは、少なくとも70°対角線の画像視野を提供することができる。導波管ディスプレイは、多くの異なるタイプのピクチャ発生ユニット(PGU)を採用することができる。いくつかの実施形態では、PGUは、シリコン上液晶(LCoS)パネルまたは微小電気機械システム(MEMS)パネル等の反射型または透過型空間光変調器であり得る。いくつかの実施形態では、PGUは、有機発光ダイオード(OLED)パネル等の発光デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイは、4,000nitを上回るルミナンスおよび4k×4kピクセルの分解能を有することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、400nitを上回る画像ルミナンスが、ルミナンス4,000nitのOLEDディスプレイを使用して提供され得るように、10%を上回る光学効率を有することができる。P回折格子(すなわち、P偏光に関して高い効率を伴う格子)を実装する導波管は、典型的には、5%~6.2%の導波管効率を有する。P回折またはS回折格子は、OLEDパネル等の非偏光源からの光の半分を浪費し得るため、多くの実施形態は、最大2倍までの導波管の効率の増加を可能にするために、S回折およびP回折格子の両方を提供することが可能な導波管を対象とする。いくつかの実施形態では、S回折およびP回折格子は、別個の重複する格子層内に実装される。代替として、単一の格子が、ある条件下で、P偏光およびS偏光の両方に関して高い効率を提供することができる。いくつかの実施形態では、導波管は、上記に説明されるもの等のHPDLC格子からLCを抽出することによって生成されるブラッグ様格子を含み、好適に選定された値の格子厚さ(典型的には、2~5μmの範囲内)に関して、ある波長および角度範囲にわたって高いSおよびP回折効率を可能にする。
(光学記録材料システム)
【0053】
HPDLC混合物は、概して、LCと、モノマーと、光開始剤染料と、共開始剤とを含む。混合物(多くの場合、シロップと称される)はまた、頻繁に、界面活性剤を含む。本発明を説明する目的のために、界面活性剤は、液体混合物全体の表面張力を低下させる任意の化学薬品として定義される。PDLC混合物における界面活性剤の使用は、公知であり、PDLCの最も初期の調査に遡る。例えば、R.L Sutherland et al.による論文であるSPIE Vol. 2689, 158-169, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、界面活性剤が添加され得る、モノマーと、光開始剤と、共開始剤と、連鎖延長剤と、LCとを含む、PDLC混合物を説明している。界面活性剤はまた、Natarajan et al.による論文であるJournal of Nonlinear Optical Physics and Materials, Vol. 5 No. l 89-98, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に言及されている。さらに、Sutherland et al.による米国特許第7,018,563号は、少なくとも1つのアクリル酸モノマーと、少なくとも1つのタイプの液晶材料と、光開始剤染料と、共開始剤と、界面活性剤とを有する、ポリマー分散液晶光学要素を形成するためのポリマー分散液晶材料を議論している。米国特許第7,018,563号の開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0054】
特許および科学文献は、高回折効率、迅速な応答時間、低駆動電圧等を達成するためにそのような材料システムを調合することへの調査を含む、SBGを加工するために使用され得る材料システムおよびプロセスの多くの実施例を含有する。Sutherlandによる米国特許第5,942,157号およびTanaka et al.による米国特許第5,751,452号の両方は、SBGデバイスを加工するために好適なモノマーおよび液晶材料組み合わせを説明している。レシピの実施例はまた、1990年代初頭に遡る論文に見出されることができる。これらの材料のうちの多くは、以下を含む、アクリレートモノマーを使用する。
・R. L. Sutherland et al., Chem. Mater. 5, 1533 (1993)(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートポリマーおよび界面活性剤の使用を説明している。具体的には、レシピは、架橋多官能性アクリレートモノマー、連鎖延長剤N-ビニルピロリジノン、LC E7、光開始剤ローズベンガル、および共開始剤N-フェニルグリシンを備える。界面活性剤オクタン酸が、ある変形において添加された。
・Fontecchio et al., SID 00 Digest 774-776, 2000(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、多官能性アクリレートモノマー、LC、光開始剤、共開始剤、および連鎖停止剤を含む、反射型ディスプレイ用途のためのUV硬化性HPDLCを説明している。
・Y.H. Cho, et al., Polymer International, 48, 1085-1090, 1999(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、アクリレートを含むHPDLCレシピを開示している。
・Karasawa et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 36, 6388-6392, 1997(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、種々の官能状態のアクリレートを説明している。
・T.J. Bunning et al., Polymer Science: Part B: Polymer Physics, Vol. 35, 2825- 2833, 1997(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)もまた、多官能性アクリレートモノマーを説明している。
・G.S. Iannacchione et al., Europhysics Letters Vol. 36 (6). 425-430, 1996(その開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、ペンタアクリレートモノマーと、LCと、連鎖延長剤と、共開始剤と、光開始剤とを含む、PDLC混合物を説明している。
【0055】
アクリレートは、迅速な動態、他の材料との良好な混合、およびフィルム形成プロセスとの適合性の利益をもたらす。アクリレートは、架橋されるため、それらは、機械的にロバストかつ可撓性である傾向がある。例えば、官能性2(ジ)および3(トリ)のウレタンアクリレートが、HPDLC技術に関して広範に使用されている。ペンタおよびヘキサ官能性ステム等のより高い官能性の材料もまた、使用されている。
(材料組成の変調)
【0056】
高ルミナンスおよび優れた色忠実度が、AR導波管ディスプレイにおいて重要な因子である。各場合では、FOVを横断する高均一性が、所望され得る。しかしながら、導波管の基本的光学系は、導波管を辿って跳ね返るビームの間隙または重複に起因する不均一性につながり得る。さらなる不均一性が、格子の不完全性および導波管基板の非平面性から生じ得る。SBGでは、複屈折性格子による偏光回転のさらなる問題が、存在し得る。該当する場合では、最大の課題は、通常、ビームと格子フリンジとの複数の交差からもたらされる、数百万の光路が存在する折り返し格子である。格子性質、特に、屈折率変調の注意深い管理が、不均一性を克服するために利用されることができる。
【0057】
多数の可能性として考えられるビーム相互作用(回折またはゼロ次透過)のうち、あるサブセットのみが、アイボックスに提示される信号に寄与する。アイボックスから逆追跡することによって、所与のフィールドポイントに寄与する折り返し領域が、正確に指摘されることができる。出力照明の暗い領域にさらに送信するために必要とされる変調に対する精密な補正が、次いで、計算されることができる。1つの色に関する出力照明均一性を標的に戻すと、手順は、他の色に関して繰り返されることができる。いったん屈折率変調パターンが、確立されると、本設計は、堆積機構にエクスポートされることができ、各標的屈折率変調は、コーティング/堆積されるべき基板上の空間分解能セル毎に一意の堆積設定に変換される。堆積機構の分解能は、利用されるシステムの技術的限界に依存し得る。多くの実施形態では、空間パターンは、完全な繰り返し性を伴う30マイクロメートル分解能まで実装されることができる。
【0058】
表面レリーフ格子(SRG)を利用する導波管と比較して、本発明の種々の実施形態による製造技法を実装するSBG導波管は、異なるマスタの必要性を伴わずに、限定ではないが、堆積プロセスの間に動的に調節されるべき屈折率変調および格子厚さ等の効率および均一性に影響を及ぼす格子設計パラメータを可能にすることができる。変調がエッチング深さによって制御されるSRGでは、そのようなスキームは、格子の各変動が、複雑かつ高価なツーリングプロセスを繰り返す必要があるであろうため、実践的ではないであろう。加えて、要求されるエッチング深さ精度およびレジスト撮像複雑性を達成することは、非常に困難であり得る。
【0059】
本発明の種々の実施形態による堆積プロセスは、堆積されるべきである材料のタイプを制御することによって、格子設計パラメータの調節を提供することができる。本発明の種々の実施形態は、基板上の異なる面積において、異なる材料または異なる材料組成を堆積させるように構成されることができる。例えば、堆積プロセスは、格子領域であることを意味する基板の面積上にHPDLC材料を堆積させ、非格子領域であることを意味する基板の面積上にモノマーを堆積させるように構成されることができる。いくつかの実施形態では、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変動する光学記録材料の層を堆積させるように構成され、堆積される材料の種々の側面の変調を可能にする。異なる組成を伴う材料の堆積は、いくつかの異なる方法で実装されることができる。多くの実施形態では、1つを上回る堆積ヘッドが、異なる材料および混合物を堆積させるために利用されることができる。各堆積ヘッドは、異なる材料/混合物リザーバに結合されることができる。そのような実装は、種々の用途のために使用されることができる。例えば、異なる材料が、導波管セルの格子および非格子面積のために堆積されることができる。いくつかの実施形態では、HPDLC材料が、格子領域上に堆積される一方、モノマーのみが、非格子領域上に堆積される。いくつかの実施形態では、堆積機構は、異なる成分組成を伴う混合物を堆積させるように構成されることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、噴霧ノズルが、単一の基板上に複数のタイプの材料を堆積させるために実装されることができる。導波管用途では、噴霧ノズルは、導波管の格子および非格子面積のために異なる材料を堆積させるために使用されることができる。多くの実施形態では、噴霧機構は、格子を印刷するために構成され、材料組成、複屈折性、および/または厚さのうちの少なくとも1つが、少なくとも2つの選択可能なスプレーヘッドを有する堆積装置を使用して制御されることができる。いくつかの実施形態では、製造システムは、レーザバンディングの制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムは、偏光不均一性の制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、製造システムは、整合制御層と関連付けて偏光不均一性の制御のために最適化される格子記録材料を堆積させるための装置を提供する。いくつかの実施形態では、堆積作業セルは、ビーム分割コーティングおよび環境保護層等の付加的層の堆積のために構成されることができる。インクジェット印刷ヘッドもまた、基板の異なる領域内に異なる材料を印刷するために実装されることができる。
【0061】
上記に議論されるように、堆積プロセスは、成分組成が空間的に変動する光学記録材料を堆積させるように構成されることができる。材料組成の変調は、多くの異なる方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、インクジェット印刷ヘッドが、印刷ヘッド内で種々のインクジェットノズルを利用することによって、材料組成を変調するように構成されることができる。「ドットバイドット」ベースで組成を改変することによって、光学記録材料の層は、これが、層の平面表面を横断して様々な組成を有するように堆積されることができる。そのようなシステムは、限定ではないが、インクジェット印刷ヘッドを含む、種々の装置を使用して実装されることができる。プリンタにおけるCMYKシステムまたはディスプレイ用途における付加RGBシステム等、カラーシステムが、数百万の離散色値のスペクトルを生成するために数色のみのパレットを使用する方法と同様に、本発明の種々の実施形態によるインクジェット印刷ヘッドは、異なる材料のいくつかのリザーバのみを使用して様々な組成を伴う光学記録材料を印刷するように構成されることができる。異なるタイプのインクジェット印刷ヘッドは、異なる精密レベルを有することができ、異なる分解能で印刷することができる。多くの実施形態では、300 DPI(「インチあたりドット」)インクジェット印刷ヘッドが、利用される。精密レベルに応じて、所与の数の材料の様々な組成の離散化が、所与の面積を横断して決定されることができる。例えば、印刷されるべき2つのタイプの材料および300 DPIの精密レベルを伴うインクジェット印刷ヘッドを前提として、各ドット場所が、2つのタイプの材料のうちのいずれか1つを含有することができる場合、印刷された材料の所与の体積に関するある平方インチを横断する2つのタイプの材料の組成比の90,001個の可能性として考えられる離散値が、存在する。いくつかの実施形態では、各ドット場所は、2つのタイプの材料のうちのいずれか1つまたは両方の材料を含有することができる。いくつかの実施形態では、1つを上回るインクジェット印刷ヘッドが、空間的に変動する組成を伴う光学記録材料の層を印刷するように構成される。2材料用途におけるドットの印刷は、本質的に、バイナリシステムであるが、ある面積を横断して印刷されるドットを平均化することは、印刷されるべき2つの材料の比率のスライディングスケールの離散化を可能にすることができる。例えば、単位正方形を横断する可能性として考えられる濃度/比率の離散レベルの量は、単位正方形内に印刷され得るドット場所の数によって与えられる。したがって、第1の材料の100%から第2の材料の100%に及ぶ、異なる濃度組み合わせの範囲が、存在することができる。容易に理解され得るように、本概念は、実際のユニットに適用可能であり、インクジェット印刷ヘッドの精密レベルによって決定されることができる。印刷される層の材料組成を変調する具体的実施例が、議論されるが、インクジェット印刷ヘッドを使用して材料組成を変調する概念は、2つを上回る異なる材料リザーバを使用するために拡大されることができ、精密レベルにおいて変動することができ、これは、使用される印刷ヘッドのタイプに大いに依存する。
【0062】
印刷される材料の組成を変動させることは、いくつかの理由から有利であり得る。例えば、多くの実施形態では、堆積の間に材料の組成を変動させることは、格子の異なる面積を横断して空間的に変動する回折効率を有する格子を伴う導波管の形成を可能にすることができる。HPDLC混合物を利用する実施形態では、これは、印刷プロセスの間にHPDLC混合物内の液晶の相対的濃度を変調することによって達成されることができ、これは、材料が露光されると、様々な回折効率を伴う格子を生成し得る組成を作成する。いくつかの実施形態では、ある濃度の液晶を伴う第1のHPDLC混合物および液晶がない第2のHPDLC混合物が、印刷された材料において形成され得る格子の回折効率を変調するためのインクジェット印刷ヘッドにおける印刷パレットとして使用される。そのような実施形態では、離散化は、インクジェット印刷ヘッドの精密さに基づいて決定されることができる。離散レベルは、ある面積を横断して印刷される材料の濃度/比率によって与えられることができる。本実施例では、離散レベルは、液晶なしから第1のPDLC混合物内の液晶の最大濃度に及ぶ。
【0063】
導波管を横断して回折効率を変動させる能力は、種々の目的のために使用されることができる。導波管は、典型的には、導波管の2つの平面表面の間で光を複数回反射させることによって光を内部に誘導するように設計される。これらの複数の反射は、光路が格子と複数回相互作用することを可能にすることができる。多くの実施形態では、材料の層が、形成された格子が、空間的に変動する回折効率を有し、格子との相互作用の間に光の損失を補償し、均一な出力強度を可能にするように、材料の様々な組成を用いて印刷されることができる。例えば、いくつかの導波管用途では、出力格子は、1つの方向における射出瞳拡大を提供しながら、また、導波管から外に光を結合するように構成される。出力格子は、導波管内の光が、格子と相互作用すると、あるパーセンテージの光のみが、導波管から外に屈折されるように設計されることができる。残りの部分は、同一の光路において継続し、これは、TIR内に留まり、導波管内で反射され続ける。再び、同一の出力格子との第2の相互作用に応じて、光の別の部分が、導波管から外に屈折される。各屈折の間、依然として導波管内で進行する光の量は、導波管から外に屈折される量だけ減少する。したがって、各相互作用において屈折される部分は、全体的強度に関して徐々に減少する。これが伝搬距離とともに増加するように格子の回折効率を変動させることによって、各相互作用に沿った出力強度の減少は、補償され、均一な出力強度を可能にすることができる。
【0064】
回折効率を変動させることはまた、導波管内の光の他の減衰を補償するために使用されることができる。全ての物体は、ある反射度および吸収度を有する。導波管内のTIR内に閉じ込められた光は、導波管の2つの表面の間で連続的に反射される。表面を構成する材料に応じて、光の一部は、各相互作用の間に材料によって吸収され得る。多くの場合では、本減衰は、小さいが、多くの反射が起こる広い面積を横断して実質的であり得る。多くの実施形態では、導波管セルは、光学記録材料層から形成される格子が、様々な回折効率を有し、基板からの光の吸収を補償するように、様々な組成を用いて印刷されることができる。基板に応じて、ある波長が、基板によってより吸収されやすくあり得る。多層化導波管設計では、各層は、ある範囲の波長の光に結合するように設計されることができる。故に、これらの個々の層によって結合される光は、層の基板によって異なる量において吸収されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、導波管は、フルカラーディスプレイを実装するために3層化スタックから作製され、各層は、赤色、緑色、および青色のうちの1つのために設計される。そのような実施形態では、導波管層のそれぞれの中の格子は、様々な回折効率を有し、ある波長の光の透過の損失に起因する色不平衡を補償することによって色平衡最適化を実施するように形成されることができる。
【0065】
回折効率を変動させるために材料内の液晶濃度を変動させることに加えて、別の技法は、導波管セルの厚さを変動させるステップを含む。これは、スペーサの使用を通して遂行されることができる。多くの実施形態では、スペーサは、導波管セルの構築の間に構造支持のために光学記録材料全体を通して分散される。いくつかの実施形態では、異なるサイズのスペーサが、光学記録材料全体を通して分散される。スペーサは、光学記録材料の層の1つの方向を横断して昇順サイズで分散されることができる。導波管セルが、積層を通して構築されるとき、基板は、光学記録材料を挟装し、様々なサイズのスペーサからの構造支持を用いて、光学記録材料の楔形層を作成する。様々なサイズのスペーサが、上記に説明される変調プロセスと同様に分散されることができる。加えて、スペーササイズを変調することは、材料組成の変調と組み合わせられることができる。いくつかの実施形態では、それぞれ、異なるサイズのスペーサとともに懸濁されるHPDLC材料のリザーバが、方略的に分散される様々なサイズのスペーサとともにHPDLC材料の層を印刷し、楔形導波管セルを形成するために使用される。いくつかの実施形態では、スペーササイズ変調は、異なるサイズのスペーサの数および使用される異なる材料の数の積に等しい、いくつかのリザーバを提供することによって、材料組成変調と組み合わせられる。例えば、一実施形態では、インクジェット印刷ヘッドは、2つの異なるスペーササイズを伴う様々な濃度の液晶を印刷するように構成される。そのような実施形態では、4つのリザーバ、すなわち、第1のサイズのスペーサを伴う液晶なしの混合物懸濁液、第2のサイズのスペーサを伴う液晶なしの混合物懸濁液、第1のサイズのスペーサを伴う液晶が豊富な混合物懸濁液、および第2のサイズのスペーサを伴う液晶が豊富な混合物懸濁液が、調製されることができる。材料変調に関するさらなる議論が、2018年11月18日に出願され、「SYSTEMS AND METHODS FOR MANUFACTURING WAVEGUIDE CELLS」と題された米国出願第16/203,071号に見出されることができる。米国出願第16/203,491号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
(多層化導波管加工)
【0066】
本発明の種々の実施形態による導波管製造は、多層化導波管の加工のために実装されることができる。多層化導波管は、格子または他の光学構造を有する2つ以上の層を利用する導波管のクラスを指す。下記の議論は、格子に関し得るが、任意のタイプのホログラフィック光学構造が、実装され、適宜、代用されることができる。多層化導波管は、限定ではないが、スペクトルおよび/または角度帯域幅を改良することを含む、種々の目的のために実装されることができる。従来的に、多層化導波管は、単一の格子層を有する導波管をスタックし、整合させることによって形成される。そのような場合では、各格子層は、典型的には、透明基板の対によって境界される。所望の全内部反射特性を維持するために、導波管は、通常、個々の導波管の間に空隙を形成するために、スペーサを使用してスタックされる。
【0067】
従来的なスタックされた導波管と対照的に、本発明の多くの実施形態は、交互する基板層および格子層を有する多層化導波管の製造を対象とする。そのような導波管は、単一の導波管のための格子層を順次形成することが可能な反復プロセスを用いて加工されることができる。いくつかの実施形態では、多層化導波管は、2つの格子層を伴って加工される。いくつかの実施形態では、多層化導波管は、3つの格子層を伴って加工される。任意の数の格子層が、形成されることができ、利用されるツールおよび/または導波管設計によって限定される。従来的多層化導波管と比較して、これは、より少ない基板が、必要とされるため、厚さ、材料、および費用の低減を可能にする。さらに、そのような導波管に関する製造プロセスは、簡略化された整合および基板合致要件に起因して、生産におけるより高い収率を可能にする。
【0068】
本発明の種々の実施形態による、交互する透明基板層および格子層を有する多層化導波管に関する製造プロセスは、種々の技法を使用して実装されることができる。多くの実施形態では、製造プロセスは、光学記録材料の第1の層を第1の透明基板上に堆積させるステップを含む。光学記録材料は、限定ではないが、HPDLC混合物および上記の節に議論される材料調合物のうちのいずれかを含む、種々の材料および混合物を含むことができる。同様に、限定ではないが、噴霧、スピンコーティング、インクジェット印刷、および上記の節に説明される技法のうちのいずれか等の種々の堆積技法のうちのいずれかが、利用されることができる。種々の形状、厚さ、および材料の透明基板が、利用されることができる。透明基板は、限定ではないが、ガラス基板およびプラスチック基板を含むことができる。用途に応じて、透明基板は、種々の目的のための異なるタイプのフィルムを用いてコーティングされることができる。いったん堆積プロセスが、完了されると、第2の透明基板が、光学記録材料の堆積された第1の層上に設置されることができる。いくつかの実施形態では、プロセスは、3層複合物を所望の高さ/厚さに形成するための積層ステップを含む。露光プロセスが、光学記録材料の第1の層内に格子のセットを形成するために実装されることができる。限定ではないが、単一ビーム干渉露光および上記の節に説明される他の露光プロセスのうちのいずれか等の露光プロセスが、利用されることができる。本質的に、単一層化導波管が、ここでは、形成される。プロセスは、次いで、付加的層を導波管に追加するために繰り返されることができる。いくつかの実施形態では、光学記録材料の第2の層が、第2の透明基板上に堆積される。第3の透明基板が、光学記録材料の第2の層上に設置されることができる。以前のステップと同様に、複合物は、所望の高さ/厚さに積層されることができる。第2の露光プロセスが、次いで、光学記録材料の第2の層内に格子のセットを形成するために実施されることができる。結果は、2つの格子層を有する導波管である。容易に理解され得るように、プロセスは、付加的層を追加するために反復的に継続することができる。付加的光学記録層は、現在の積層体の両側上に追加されることができる。例えば、光学記録材料の第3の層が、第1の透明基板または第3の透明基板のいずれかの外面上に堆積されることができる。
【0069】
多くの実施形態では、製造プロセスは、1つ以上の後処理ステップを含む。限定ではないが、平面化、洗浄、保護コートの適用、熱焼鈍、所望の複屈折状態を達成するためのLCダイレクタの整合、記録されたSBGからのLCの抽出、および別の材料を用いた再充填等の後処理ステップが、製造プロセスの任意の段階において実行されることができる。限定ではないが、導波管ダイシング(複数の要素が生成されている場合)、縁仕上げ、ARコーティング堆積、最終保護コーティング適用等のいくつかのプロセスが、典型的には、製造プロセスの終了時に実行される。
【0070】
多くの実施形態では、限定ではないが、ビーズおよび他の粒子等のスペーサが、光学記録材料の層の厚さを制御および維持することに役立つために、光学記録材料全体を通して分散される。スペーサはまた、2つの基板が相互の上に圧潰しないように防止することに役立つことができる。いくつかの実施形態では、導波管セルは、2つの平面基板の間に挟装される光学記録層を用いて構築される。使用される光学記録材料のタイプに応じて、厚さ制御は、いくつかの光学記録材料の粘度および光学記録層に関する境界外周の欠如に起因して、達成することが困難であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサは、比較的に非圧縮性の固体であり、これは、一貫した厚さを伴う導波管セルの構築を可能にすることができる。スペーサは、限定ではないが、ロッドおよび球体を含む、任意の好適な幾何学形状をとることができる。スペーサのサイズは、個々のスペーサの周囲の面積に関する局所的最小厚さを決定することができる。したがって、スペーサの寸法は、所望の光学記録層厚さを達成することに役立つように選択されることができる。スペーサは、任意の好適なサイズをとることができる。多くの場合では、スペーサのサイズは、1~30μmに及ぶ。スペーサは、限定ではないが、プラスチック(例えば、ジビニルベンゼン)、シリカ、および伝導性材料を含む、種々の材料のうちのいずれかから作製されることができる。いくつかの実施形態では、スペーサの材料は、その屈折率が、導波管セル内の光の伝搬に実質的に影響を及ぼさないように選択される。
【0071】
多くの実施形態では、光学記録材料の第1の層は、真空充填方法を使用して、第1および第2の透明基板の間に組み込まれる。いくつかの実施形態では、光学記録材料の層は、異なる区分において分離され、これは、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、充填または堆積されることができる。いくつかの実施形態では、製造システムは、下方から光学記録材料を露光するように構成される。そのような実施形態では、反復的多層化加工プロセスは、露光光が、これが任意の形成された格子層に入射する前に、新しく堆積された光学記録層に入射するように、現在のデバイスを裏返すステップを含むことができる。
【0072】
多くの実施形態では、露光プロセスは、それらが、新しく堆積された光学記録層の記録プロセスに干渉しないであろうように、以前に形成された格子層を一時的に「消去する」または透明にするステップを含むことができる。一時的に「消去された」格子または他の光学構造は、透明材料と同様に挙動し、光が、光線経路に影響を及ぼすことなく通過することを可能にすることができる。そのような技法を使用して光学記録材料の層の中に格子を記録するための方法は、光学構造のスタックを加工するステップを含むことができ、基板上に堆積された第1の光学記録材料層は、格子の第1のセットを形成するために露光され、これは、格子の第2のセットが、第1の光学記録材料層を横断する光学記録ビームを使用して、第2の光学記録材料層の中に記録され得るように、一時的に消去されることができる。記録方法は、主として、2つの格子層を伴う導波管に関して議論されるが、基本原理は、2つを上回る格子層を伴う導波管に適用されることができる。
【0073】
格子構造を一時的に消去するステップを組み込む多層化導波管加工プロセスは、種々の方法で実装されることができる。典型的には、第1の層は、従来の方法を使用して形成される。利用される記録材料は、刺激に応答して消去され得る光学構造を支持することが可能な材料システムを含むことができる。光学構造がホログラフィック格子である実施形態では、露光プロセスは、交差ビームホログラフィック記録装置を利用することができる。いくつかの実施形態では、光学記録プロセスは、フォトポリマーまたは振幅格子内に記録されるブラッグホログラムであり得る、マスタ格子によって提供されるビームを使用する。いくつかの実施形態では、露光プロセスは、干渉露光ビームを形成するために、マスタ格子と併せて単一の記録ビームを利用する。説明されるプロセスに加えて、ホログラムを加工するための分野で現在使用されている他の産業プロセスおよび装置も、使用されることができる。
【0074】
いったん格子の第1のセットが、記録されると、付加的材料層が、上記に説明されるプロセスと同様に追加されることができる。第1の材料層後の任意の材料層の露光プロセスの間、外部刺激が、任意の以前に形成された格子に印加され、それらを事実上透明にすることができる。事実上透明な格子層は、光が通過し、新しい材料層を露光することを可能にすることができる。外部刺激/複数の刺激は、光学的、熱的、化学的、機械的、電気的、および/または磁気的刺激を含むことができる。多くの実施形態では、外部刺激は、所定のレベルを下回る光学雑音を生成するために、所定の閾値を下回る強さにおいて印加される。具体的な所定の閾値は、格子を形成するために使用される材料のタイプに依存し得る。いくつかの実施形態では、第1の材料層に適用される犠牲整合層が、格子の第1のセットを一時的に消去するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、格子の第1のセットに印加される外部刺激の強さは、通常の動作の間に光学デバイスにおける光学雑音を低減させるために制御される。いくつかの実施形態では、光学記録材料はさらに、上記に説明される方法のうちのいずれかを含み得る、格子を消去するプロセスを促進するための添加剤を含む。いくつかの実施形態では、刺激が、消去された層の復元のために印加される。
【0075】
上記のプロセスに説明される記録された層の一掃および復元は、多くの異なる方法を使用して達成されることができる。多くの実施形態では、第1の層は、第2の層の記録の間に連続的に刺激を印加することによって一掃される。他の実施形態では、刺激は、最初に、印加され、一掃された層内の格子は、第2の格子の記録を可能にするタイムスケールにわたってその記録された状態に自然に戻ることができる。他の実施形態では、層は、外部刺激の印加後に一掃されたままであり、別の外部刺激に応答して戻る。いくつかの実施形態では、第1の光学構造のその記録された状態への復元は、整合層または外部刺激を使用して実行されることができる。そのような復元のために使用される外部刺激は、限定ではないが、光学構造を一掃するために使用される刺激/複数の刺激を含む、種々の異なる刺激のうちのいずれかであり得る。一掃されるべき光学構造および層の組成材料に応じて、一掃プロセスは、変動し得る。外部刺激を利用する多層化導波管加工に関するさらなる議論が、2019年7月25日に出願され、「Systems and Methods for Fabricating a Multilayer Optical Structure」と題された米国出願第16/522,491号に見出されることができる。米国出願第16/522,491号の開示は、あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
(統合された格子を組み込む導波管)
【0076】
本発明の種々の実施形態による導波管は、異なる格子構成を含むことができる。多くの実施形態では、導波管は、少なくとも1つの入力結合器と、少なくとも2つの統合された格子とを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの統合された格子は、入力結合器によって導波管の中に結合された光に関するビーム拡大およびビーム抽出を提供するために、組み合わせて稼動するように実装されることができる。複数の統合された格子は、異なる格子層を横断して統合された格子を重複させることによって、または統合された格子を多重化することによって実装されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、部分的に重複または多重化される。多重化格子は、同一の体積内に異なる格子処方を有する、少なくとも2つの格子の重畳を含むことができる。異なる格子処方を有する格子は、導波管の表面に対する異なる格子ベクトルおよび/または格子傾斜を有することができる。格子の格子ベクトルの大きさは、格子周期の逆数として定義されることができる一方、その方向は、格子のフリンジに直交する方向として定義されることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、統合された格子は、ビーム拡大およびビーム抽出の両方を実施するように実装されることができる。統合された格子は、1つ以上の格子処方を伴って実装されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、少なくとも2つの格子処方を伴って実装される。さらなる実施形態では、統合された格子は、少なくとも3つの格子処方を伴って実装される。多くの実施形態では、統合された格子内の2つの格子処方は、類似する時計回り角を有する。いくつかの実施形態では、2つの格子処方は、異なる傾斜角を有する。本発明の種々の実施形態による統合された格子は、限定ではないが、SRG、SBG、ホログラフィック格子、および上記の節に説明されるものを含む他のタイプの格子等の種々のタイプの格子を使用して実装されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、2つの表面レリーフ格子を含む。他の実施形態では、統合された格子は、2つのホログラフィック格子を含む。
【0078】
統合された格子は、少なくとも部分的に、重複または多重化される、少なくとも2つの格子処方を含むことができる。さらなる実施形態では、統合された格子は、完全に重複または多重化される、少なくとも2つの格子処方を含む。いくつかの実施形態では、統合された格子は、異なるサイズおよび/または形状を有する、多重化または重複する格子を含み、すなわち、一方の格子は、他方よりも大きく、より大きい格子の部分的多重化のみをもたらしてもよい。容易に理解され得るように、種々の多重化および重複構成が、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されてもよい。下記の議論は、多重化または重複する格子を実装するような構成を説明し得るが、そのような格子は、用途に応じて、適宜、相互に代用されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、多重化および重複する格子の両方の組み合わせによって実装される。例えば、多重化格子の2つ以上のセットが、2つ以上の格子層を横断して重複されることができる。
【0079】
本発明の種々の実施形態による統合された格子は、限定ではないが、フルカラー導波管を実装することおよび従来の導波管アーキテクチャにおけるいくつかの重要な問題に対処することを含む、種々の目的のために利用されることができる。他の利点は、統合された格子の重複および/または多重化性質からもたらされる、低減された材料および導波管屈折率要件および低減された導波管寸法を含む。そのような構成は、通常、導波管形状因子および屈折率要件における許容不可能な増加を招くであろう、大きい視野の導波管を可能にすることができる。多くの実施形態では、導波管が、低屈折率を有する少なくとも1つの基板を用いて実装される。いくつかの実施形態では、導波管は、1.8よりも低い屈折率を有する基板を用いて実装される。さらなる実施形態では、導波管は、約1.5以下の屈折率を有する基板を用いて実装される。
【0080】
ビーム拡大およびビーム抽出を提供し得る統合された格子、すなわち、従来の折り返しおよび出力格子の機能は、はるかに小さい格子面積をもたらし、小さい形状因子およびより低い加工費用を可能にすることができる。従来的導波管におけるようにそれらを連続して実施する代わりに、ビーム拡大および抽出の機能を統合することによって、ビーム拡大および抽出は、通常要求される格子相互作用の約50%を伴って遂行され、複屈折格子の場合に同一の割合においてヘイズを削減することができる。さらなる利点は、大幅に短縮された光路の結果として、ガラス/空気界面におけるビームバウンスの回数が、低減され、出力画像を基板不均一性に対してあまり敏感にしないことである。これは、より高い品質の画像およびあまり高価ではない、より低い仕様の基板を使用する潜在性を可能にすることができる。
【0081】
多くの実施形態では、入力結合器および統合された格子の格子ベクトルは、実質的にゼロの結果として生じるベクトルを提供するように配列される。入力結合器および統合された格子の格子ベクトルは、三角形構成を形成するように配列されることができる。いくつかの実施形態では、格子ベクトルは、正三角形構成において配列されることができる。いくつかの実施形態では、格子ベクトルは、少なくとも2つの格子ベクトルが等しい大きさを有する、二等辺三角形構成において配列されることができる。さらなる実施形態では、格子ベクトルは、二等辺直角三角形構成において配列される。いくつかの実施形態では、格子ベクトルは、不等辺三角形構成において配列される。別の導波管アーキテクチャは、格子ベクトルが、角度の1つのセットに関する水平拡大および角度の別個のセットに関する抽出を提供するために同一の方向に整合される、統合された回折要素を含む。いくつかの実施形態では、統合された格子のうちの1つ以上のものは、それらの一般的形状において非対称である。いくつかの実施形態では、統合された格子のうちの1つ以上のものは、それらの一般的形状において少なくとも1つの対称軸を有する。いくつかの実施形態では、格子は、電気活性材料を挟装するように設計され、限定ではないが、HPDLC格子等のあるタイプの格子に関してクリア状態と回折状態との間の切替を可能にする。格子は、表面レリーフまたはホログラフィックタイプであり得る。
【0082】
多くの実施形態では、少なくとも1つの入力結合器および第1および第2の統合された格子を支持する導波管が、実装される。格子構造は、単一または多層化導波管設計において実装されることができる。単一層化設計では、統合された格子は、多重化されることができる。各統合された格子が少なくとも2つの多重化格子を含有する実施形態では、多重化された統合された格子は、少なくとも4つの多重化格子を含有することができる。上記に説明されるように、任意の個々の多重化格子が、部分的または完全に、他の格子と多重化されることができる。いくつかの実施形態では、多層化導波管は、重複する統合された格子を伴って実装される。さらなる実施形態では、統合された格子は、部分的に重複される。統合された格子はそれぞれ、別個の格子または多重化格子であり得る。
【0083】
多くの実施形態では、導波管アーキテクチャは、入力結合器を使用して、入力光を2つの分岐経路の中に結合するように設計される。そのような構成は、種々の方法で実装されることができる。いくつかの実施形態では、多重化入力格子が、入力光を2つの分岐経路の中に結合するために実装される。他の実施形態では、2つの入力格子が、入力光を2つの分岐経路の中に別個に結合するために実装される。2つの入力格子は、同一の層内で、または2つの層内で別個に実装されることができる。いくつかの実施形態では、2つの重複する、または部分的に重複する入力格子が、入力光を2つの分岐経路の中に結合するために実装される。多くの実施形態では、入力結合器は、プリズムを含む。さらなる実施形態では、入力結合器は、プリズムおよび上記に説明される入力格子構成のうちのいずれかを含む。
【0084】
種々の入力結合器アーキテクチャに加えて、第1および第2の統合された格子は、種々の構成において実装されることができる。本発明の種々の実施形態による統合された格子は、2次元ビーム拡大およびビーム抽出の二重機能を実施するために、導波管の中に組み込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の統合された格子は、交差格子である。上記に説明されるように、いくつかの導波管アーキテクチャは、入力光が2つの分岐経路の中に結合される設計を含む。そのような設計では、2つの分岐経路は、それぞれ、異なる統合された格子に向かって指向される。容易に理解され得るように、そのような構成は、限定ではないが、角度およびスペクトル帯域幅を含む、種々の光特性に基づいて、入力光を分岐させるように設計されることができる。いくつかの実施形態では、光は、偏光状態に基づいて分岐されることができ、例えば、入力非偏光光が、SおよびP偏光経路に分岐されることができる。多くの実施形態では、統合された格子はそれぞれ、導波管を通して伝搬されている視野部分に従って、第1の方向におけるビーム拡大または第1の方向と異なる第2の方向におけるビーム拡大のいずれかを実施する。第1および第2の方向は、相互に直交し得る。他の実施形態では、第1および第2の方向は、相互に直交しない。各統合された格子は、第1の方向における光の拡大を提供する一方、他の統合された格子に向かって光を指向することができ、これは、第2の寸法における光の拡大および抽出を提供する。例えば、本発明の種々の実施形態による多くの格子アーキテクチャは、入力光を光の第1および第2の部分に分岐させるための入力構成を含む。第1の統合された格子は、光の第1および第2の部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第2の部分に関してビーム抽出を提供するように構成されることができる。逆に、第2の統合された格子は、光の第1および第2の部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、光の第1の部分に関してビーム抽出を提供するように構成されることができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1の統合された格子は、多重化された第1および第2の格子処方を含み、第2の統合された格子は、多重化された第3および第4の格子処方を含む。そのような実施形態では、第1の格子処方は、光の第1の部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、第4の格子処方に向かって拡大された光を再指向するように構成されることができる。第2の格子処方は、光の第2の部分に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、導波管から外に光を抽出するように構成されることができる。第3の格子処方は、光の第2の部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、第2の格子処方に向かって拡大された光を再指向するように構成されることができる。第4の格子処方は、光の第1の部分に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、導波管から外に光を抽出するように構成されることができる。容易に理解され得るように、統合された格子は、多重化格子処方の代わりに、重複する格子処方を用いて実装されることができる。多くの実施形態では、第1および第2の格子処方は、同一の時計回り角を有するが、異なる格子傾斜を有する。いくつかの実施形態では、第3および第4の格子処方は、第1および第2の格子処方の時計回り角と異なる、同一の時計回り角を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の格子処方は全て、異なる時計回り角を有する。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の格子処方は全て、異なる格子周期を有する。いくつかの実施形態では、第1および第3の格子処方は、同一の格子周期を有し、第2および第4の格子処方は、同一の格子周期を有する。
【0086】
図1は、本発明のある実施形態による、導波管ディスプレイを概念的に図示する。示されるように、装置100は、入力格子102および格子構造103を支持する、導波管101を含む。各格子は、導波管の平面内の格子フリンジの配向を定義する格子ベクトルによって特徴付けられることができる。格子はまた、3D空間内のKベクトルによって特徴付けされることができ、これは、ブラッグ格子の場合では、格子フリンジに対して法線方向のベクトルとして定義される。導波管反射面は、図面に挿入されるデカルト基準フレームのXY平面に平行である。いくつかの実施形態では、XおよびY軸は、ディスプレイのユーザの基準フレーム内のグローバル水平および垂直軸に対応することができる。
【0087】
図1の例証的実施形態では、入力格子102は、ブラッグ格子104を含む。他の実施形態では、入力格子102は、表面レリーフ格子である。入力格子102は、入力光を2つの異なる部分に分岐させるために実装されることができる。さらなる実施形態では、入力格子102は、異なる格子処方を有する、2つの多重化格子を含む。他の実施形態では、入力格子102は、2つのオーバーレイされた表面レリーフ格子を含む。格子構造103は、異なる格子ベクトルを有する、2つの有効格子105、106を含む。格子105、106は、表面レリーフ格子または体積格子として実装される、統合された格子であり得る。多くの実施形態では、格子105、106は、単一の層内で多重化される。いくつかの実施形態では、導波管101は、格子構造内に2つを上回る分離された格子をオーバーレイすることによって、格子構造103を横断する全ての点において2つの有効格子を提供する。容易な明確化のために、格子構造103を形成する格子105、106は、格子構造におけるそれらの役割が、導波管の平面内の誘導されたビームの方向を変化させることによるビーム拡大およびビーム抽出を提供することを含むため、第1および第2の統合された格子と称されるであろう。種々の実施形態では、統合された格子105、106は、導波管101からの光の2次元ビーム拡大および抽出を実施する。導波管の中に結合される視野は、第1および第2の部分にパーティション化されることができ、これは、入力格子102によってそのように分岐されることができる。多くの実施形態では、第1および第2の部分は、垂直または水平に、正および負の角度に対応する。いくつかの実施形態では、第1および第2の部分は、角度空間内で重複してもよい。いくつかの実施形態では、視野の第1の部分は、第1の統合された格子によって第1の方向において拡大され、並行動作において、第2の統合された格子によって第2の方向において拡大され、抽出される。光線が、格子フリンジと相互作用するとき、ブラッグ条件を満たす光の一部は、回折される一方、非回折光は、そのTIR経路に沿って次のフリンジまで進み、拡大および抽出プロセスを継続する。次に、視野の第2の部分を考慮すると、格子の役割は、視野の第2の部分が、第2の統合された格子によって第2の方向において拡大され、第1の統合された格子によって第1の方向において拡大され、抽出されるように、逆転される。
【0088】
多くの実施形態では、格子構造103内の統合された格子105、106は、非対称に配置されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子105、106は、異なる大きさの格子ベクトルを有する。いくつかの実施形態では、入力格子102は、Y軸からオフセットされる格子ベクトルを有することができる。いくつかの実施形態では、入力格子102および格子構造103内の統合された格子105、106の格子ベクトルのベクトル組み合わせが、実質的にゼロの大きさの結果として生じるベクトルを与えることが、望ましい。上記に説明されるように、格子ベクトルは、正三角形、二等辺三角形、または不等辺三角形構成において配列されることができる。用途に応じて、ある構成が、より望ましくあり得る。
【0089】
多くの実施形態では、格子ベクトル方向、Kベクトル方向、格子屈折率変調、および格子空間周波数の群から選択される少なくとも1つの格子パラメータは、角度帯域幅、導波管効率、および出力均一性を最適化し、角度応答および/または効率を増加させる目的のために、導波管内に実装される少なくとも1つの格子を横断して空間的に変動することができる。いくつかの実施形態では、導波管内に実装される格子のうちの少なくとも1つは、軸回転Kベクトル、すなわち、空間的に変動するKベクトルを採用することができる。いくつかの実施形態では、格子の空間周波数は、色分散を克服するために合致される。
【0090】
図1の装置100はさらに、入力画像発生器を含む。例証的実施形態では、入力画像発生器は、入力格子102によって導波管内の全内部反射経路(TIR経路)(例えば、108A、108B)の中に結合され、(例えば、光線109A、109Bによって示されるように)拡大および抽出されるように統合された格子105、106に向かって指向される、走査ビーム107Aを視野にわたって提供する、レーザ走査プロジェクタ107を含む。いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタ107は、走査ビームを導波管の中に注入するように構成される。いくつかの実施形態では、レーザプロジェクタ107は、導波管内の光学歪みを補償するために修正される走査パターンを有することができる。いくつかの実施形態では、入力格子102および格子構造103内のレーザ走査パターンおよび/または格子処方は、照明バンディングを克服するために修正されることができる。種々の実施形態では、レーザ走査プロジェクタ107は、レーザまたはLEDによって照明されるマイクロディスプレイに基づいて、入力画像発生器によって置換されることができる。多くの実施形態では、入力画像は、発光ディスプレイによって提供されることができる。レーザプロジェクタは、改良された色域、より高い輝度、より広い視野、高い分解能、および非常にコンパクトな形状因子の利点をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、装置100はさらに、デスペックラを含むことができる。さらなる実施形態では、デスペックラは、導波管デバイスとして実装されることができる。図1は、統合された格子を実装する具体的導波管用途を示すが、そのような構造および格子アーキテクチャは、種々の用途のために利用されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子を有する導波管が、フルカラー用途のために単一の格子層内に実装されることができる。多くの実施形態では、統合された格子を実装する1つを上回る格子層が、実装される。そのような構成は、より広い角度またはスペクトル帯域幅動作を提供するために実装されることができる。いくつかの実施形態では、多層化導波管が、フルカラー用途を提供するために実装される。いくつかの実施形態では、多層化導波管が、より広い視野を提供するために実装される。多くの実施形態では、少なくとも約50°対角線の視野を有するフルカラー導波管が、統合された格子を使用して実装される。いくつかの実施形態では、少なくとも約100°対角線の視野を有するフルカラー導波管が、統合された格子を使用して実装される。
【0091】
図2は、本発明のある実施形態による、2つの青色-緑色回折導波管と、2つの緑色-赤色回折導波管とを有する、カラー導波管ディスプレイを概念的に図示する。図2は、図1のものに類似するアーキテクチャを伴う装置200を概念的に図示するが、2つの青色-緑色回折導波管と、2つの緑色-赤色回折導波管とを含む、4つのスタックされた導波管201A-201Dの使用を含む。示されるように、装置200は、走査ビーム202A-202Dを提供する、レーザ走査プロジェクタ202を含む。例証的実施形態では、各色帯域を提供する導波管は、異なる視野部分を伝搬するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、所与の色帯域内で動作する導波管はそれぞれ、35°h×35°v(50°対角線)の視野を提供し、2つの視野が組み合わせられるとき、色帯域毎に70°h×35°v(78°対角線)の視野をもたらす。多くの実施形態では、走査ビームは、赤色、緑色、および青色レーザエミッタを使用して発生され、赤色、緑色、および青色から選択される2つのレーザ波長の各光が、導波管によって伝搬されることが意図される色帯域に従って、各導波管の中に注入されることができる。レーザビーム強度は、色平衡の目的のために変調されることができる。スタックされた導波管は、任意の順序で配列されることができる。いくつかの実施形態では、限定ではないが、色クロストーク等の因子の考慮が、スタック順序に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、1つの導波管の統合された格子は、部分的または完全に、別の導波管の統合された格子と重複される。上記に説明されるように、統合された格子は、種々の構成において実装されることができる。いくつかの実施形態では、統合された格子は、1つを上回る格子層を横断して実装される。いくつかの実施形態では、統合された格子はそれぞれ、2つの多重化格子処方を含む。
【0092】
多くの実施形態では、1つを上回る視野または色帯域に関する導波管経路を組み合わせるための光学幾何学的要件は、入力格子および統合された格子において使用される格子の非対称配列を決定することができる。言い換えると、入力格子および統合された格子の格子ベクトルは、Y軸を中心として等辺に配置されない、または対称に配置されない。
【0093】
図1および2は、導波管アーキテクチャの具体的構成を示すが、種々の構造が、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されることができる。いくつかの実施形態では、6層化導波管が、フルカラー用途のために実装される。6層化導波管は、それぞれ、赤色、緑色、および青色の色帯域のために構成される層の3つの対を伴って実装されることができる。そのような実施形態では、各対内の導波管は、異なる視野部分のために構成されることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ビーム拡大および抽出を実施するために、導波管は、光線と格子構造との相互作用の各点が、重複する有効格子の領域内で生じるように設計される。非完全重複格子構成では、格子構造は、第1および第2の有効格子が、部分的にのみ重複し、したがって、いくつかの光線が、有効格子のうちの1つのみと相互作用する領域を有するであろう。多くの実施形態では、格子構造は、2つの多重化格子から形成される。図3Aに示される、多重化格子のうちの第1のもの300は、第1の有効格子301を、異なる有効格子ベクトル(または時計回り角)を有するもの302と多重化する。図3Bに示される、第2の多重化格子310は、第2の有効格子311を、異なる有効格子ベクトルを有するもの312と多重化する。図3A-3Bは、多重化格子の相対的配向を図示することを意図しており、実装されるような格子の形状を表さない。いくつかの実施形態では、格子301、302および311、312は、相互と形状において異なってもよい。図3A-3Bの実施形態では、第2の多重化格子の格子ベクトル(時計回り角)は、第1の多重化格子の第1の格子ベクトルと同じである。同様に、第1の多重化格子の格子ベクトルは、第2の多重化格子の第2の格子ベクトルと同じである。ここで、図3Cに目を向けると、格子が、重複されるとき(320)、有効格子の格子構造内(例えば、図3Cに数字2-4によって標識化される、部分的重複の領域内)の任意の点において、異なる時計回り角の2つの格子が存在することが、明白であるはずである。有効格子の完全重複の領域(図3Cに数字1によって標識化される)では、格子構造内の任意の点において重複する、4つの格子が、存在するであろう。しかしながら、そのような領域では、同一の時計回り角を有する格子の各対は、2つのみの重複する有効格子をもたらす。上記の説明から、多くの実施形態では、多重化格子の2つの対が、4つの格子301、302および311、312から形成される1つの多重化格子として実装され得ることを理解されたい。
【0095】
図4A-4Cは、本発明のある実施形態による、入力格子401と、2つの統合された格子402、403とを有する、格子構造400を通した光線伝搬を図式的に図示する。光線伝搬は、光線と格子との間の相互作用を明確にするために、折り返されていない光線経路を使用して図示される。図4Aの概略図に示されるように、FOVの第1の部分からの光は、入力格子401によって導波管内のTIR経路の中に結合される光線404A、第1の統合された格子402につながるTIR光線405A、第1の統合された格子403によって回折されるTIR光線406A(これはまた、第1の方向におけるビーム拡大を提供する)、および第2の統合された格子403によって導波管から外に回折される光線407A(これはまた、第2の方向におけるビーム拡大を提供する)を示す。ここで、図4Bに示される、FOVの第2の部分の伝搬に目を向けると、光線経路は、入力格子401によって導波管内のTIR経路の中に結合される光線404Bと、第2の統合された格子403につながるTIR光線405Bと、第2の統合された格子403によって回折されるTIR光線406B(これはまた、第2の方向におけるビーム拡大を提供する)と、第1の統合された格子402によって導波管から外に回折されるTIR光線407B(これはまた、第1の方向におけるビーム拡大を提供する)とを含む。図4Cは、統合された格子がオーバーレイされる、図4A-4Bの組み合わせられた経路を示す。図4Cはまた、光線の経路に沿った統合された格子の部分的重複性質を示す。容易に理解され得るように、そのような構成は、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、修正されることができる。種々の形状の格子が、利用されることができる。統合された格子は、2つの多重化格子を含むことができ、1つは、従来的折り返し格子の機能を提供し、別のものは、従来的出力格子と同様に光を抽出するためのものである。単一の統合された格子内の2つの多重化格子はそれぞれ、入力構成によって分岐される光の異なる部分に作用するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、単一の統合された格子内の2つの多重化格子は、異なる形状を有することができ、すなわち、格子のうちの一方または両方のある面積は、多重化されない。いくつかの実施形態では、2つを上回る格子が、単一の統合された格子のために多重化される。多くの実施形態では、統合された格子は、単一の格子層内で多重化される。いくつかの実施形態では、統合された格子は、完全に多重化または重複される。他の実施形態では、統合された格子の一部のみが、多重化または重複される。
【0096】
上記に説明されるように、統合された格子を実装するものを含む格子アーキテクチャは、格子ベクトルを使用して説明および可視化されることができる。多くの実施形態では、従来的入力、折り返し、および出力機能を表し得る、3つの格子ベクトルが、実質的にゼロの結果として生じるベクトルを伴って実装されることができる。図5Aは、本発明のある実施形態による、実質的にゼロの結果として生じるベクトルを伴う格子ベクトル構成を概念的に図示する。示されるように、構成500は、それぞれ、k、k、およびkとして表される、3つの格子ベクトル501-503を含む。3つの格子ベクトルを用いて、実質的にゼロの結果として生じるベクトルを有する構成は、限定ではないが、正三角形、二等辺三角形、および不等辺三角形等の種々の三角形構成を提供することができる。統合された格子を利用するアーキテクチャの場合では、1つを上回る三角形構成が、可視化されることができる。図5Bは、1つのそのような実施形態を概念的に図示する。示されるように、構成510は、2つの三角形構成を図示する。1つの三角形構成は、格子ベクトルk、k、およびk(511-513)によって形成され、第2の構成は、格子ベクトルk、k、およびk(511、514、および515)によって形成される。例証的実施形態では、格子ベクトルkは、入力結合器の機能を表し、格子ベクトルkおよびkは、第1の統合された格子の機能を表し、格子ベクトルkおよびkは、第2の統合された格子の機能を表す。
【0097】
多くの実施形態では、実装される格子ベクトル構成は、種々の三角形構成を含むことができる。典型的には、格子ベクトルの大きさは、結果として生じる三角形構成を決定することができる。いくつかの実施形態では、正三角形構成が、実装され、全ての格子ベクトルは、類似する、または実質的に類似する大きさである。統合された格子が実装される場合では、構成は、2つの三角形構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、格子ベクトル構成は、少なくとも1つの二等辺三角形を含み、格子ベクトルのうちの少なくとも2つは、類似する、または実質的に類似する大きさを有する。図5Cは、本発明のある実施形態による、2つの二等辺三角形を伴う格子ベクトル構成を概念的に図示する。示されるように、構成520は、格子ベクトルk-kが類似する大きさを有することに起因して、2つの二等辺三角形を形成する。いくつかの実施形態では、格子構成は、少なくとも1つの不等辺三角形を含む。図5Dは、本発明のある実施形態による、2つの不等辺三角形を伴う格子ベクトル構成を概念的に図示する。示されるように、構成530は、2つの不等辺三角形を形成する。例証的実施形態では、2つの不等辺三角形は、鏡像であり、すなわち、格子ベクトルkおよびkは、大きさにおいて等しく、格子ベクトルkおよびkは、大きさにおいて等しい。図5Eは、本発明のある実施形態による、2つの異なる不等辺三角形を伴う格子ベクトル構成を概念的に図示する。示されるように、構成540は、異なる大きさを有する格子ベクトルk-kを伴う2つの異なる不等辺三角形を含む。
【0098】
図5A-5Eは、具体的格子ベクトル構成を図示するが、種々の他の構成も、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、入力結合器は、2つの異なる格子ベクトルを有するように実装される。そのような構成は、重複する、または多重化格子処方を使用して実装され得る、2つの異なる格子処方を有する入力格子を利用する。図5B-5Eに図示される実施形態では、示される構成は、統合された格子の実装に起因し得る。多くの実施形態では、格子ベクトルkおよびkは、第1の統合された格子の機能を表し、格子ベクトルkおよびkは、第2の統合された格子の機能を表す。いくつかの実施形態では、各格子ベクトルkは、異なる格子処方を表す。例えば、本発明の種々の実施形態による多くの格子アーキテクチャは、それぞれ、2つの異なる格子処方を含有する統合された格子を実装することができる。そのような場合では、格子ベクトルkおよびkは、それぞれ、第1の統合された格子の2つの異なる格子処方を表すことができ、格子ベクトルkおよびkは、それぞれ、第2の統合された格子の2つの異なる格子処方を表すことができる。
【0099】
図6は、本発明のある実施形態による、入力格子と、統合された格子とを有する、格子アーキテクチャ600の概略平面図を概念的に図示する。示されるように、格子アーキテクチャ600は、入力結合器601を含む。入力結合器601は、ブラッグ格子または表面レリーフ格子であり得る。多くの実施形態では、入力結合器601は、少なくとも2つの格子を含む。そのような実施形態では、個々の入力格子は、角度またはスペクトル特性に基づき得る、入力光の異なる部分において結合するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、入力結合器601は、2つの重複された格子を含む。他の実施形態では、入力結合器601は、2つの多重化格子を含む。格子アーキテクチャ600はさらに、第1(太線)および第2(破線)の統合された格子を含む。例証的実施形態では、第1の統合された格子は、第1の格子処方を有する、第1の格子602と、第2の格子処方を有する、第2の格子603とを含む。示されるように、第2の格子603は、第1の格子602よりも小さく、第1の格子602の体積内に完全に多重化されることができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の格子602、603は、異なる格子層を横断して重複される。いくつかの実施形態では、第1および第2の格子602、603は、相互に隣接し、またはほぼ隣接し、重複されない、または多重化されない。いくつかの実施形態では、第1および第2の格子602、603は、同一の時計回り角を有するが、異なる格子処方を有する。
【0100】
多くの実施形態では、第1の統合された格子の構成は、第2の統合された格子に同様に適用されるが、軸を中心として反転される。例えば、図6の例証的実施形態は、それぞれ、第1および第2の格子602、603に対応する形状を伴う第3の格子604および第4の格子605を有する、第2の統合された格子を示す。第3の格子604は、第3の格子処方を有し、第4の格子605は、第4の格子処方を有する。第1の統合された格子と同様に、第3および第4の格子604、605は、同一の時計回り角を有するが、異なる格子処方を有することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の格子602、603は、第3および第4の格子604、605と異なる角度において時計回り回転される。再び、第3および第4の格子604、605の重複および多重化性質は、第1および第2の格子602、603と類似する様式で実装されることができる。
【0101】
図6の例証的実施形態では、第1および第3の統合された格子は、第2および第4の格子603、605もまた、部分的に重複されるように、相互と部分的に重複される。例証的実施形態では、第2および第4の格子603、605は、第1および第3の格子602、604内で多重化され、したがって、導波管アーキテクチャは、4つの格子処方がアクティブである領域606を含む。第1および第2の統合された格子が単一の層内に実装される実施形態では、面積606は、4つの多重化格子を含有するであろう。他の実施形態では、第1および第2の統合された格子は、異なる格子層を横断して実装される。
【0102】
動作の間、入力格子601に入射する入力光は、導波管内のTIR経路内で進行する光の2つの部分に分岐されることができる。一方の部分は、第1の格子602に向かって指向されることができる一方、他方の部分は、第3の格子604に向かって指向されることができる。第1の格子602は、入射光に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、第4の格子605に向かって入射光を再指向するように構成されることができる。第4の格子605は、入射光に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、導波管から外に光を抽出するように構成されることができる。一方、第3の格子604は、入射光に関して第2の方向におけるビーム拡大を提供し、第2の格子603に向かって入射光を再指向するように構成されることができる。第2の格子603は、入射光に関して第1の方向におけるビーム拡大を提供し、導波管から外に光を抽出するように構成されることができる。
【0103】
図7は、本発明のある実施形態による、画像を表示する方法を概念的に図示する、フロー図を示す。フロー図を参照すると、方法700は、入力格子、第1の統合された格子、および第2の統合された格子を支持する導波管を提供するステップ(701)を含む。多くの実施形態では、第1の統合された格子は、第2の統合された格子と部分的に重複する。いくつかの実施形態では、統合された格子は、完全に重複される。第1および第2の統合された格子は、異なるKベクトル格子の多重化された対を含むことができる。第1の視野部分が、入力格子を介して導波管の中に結合され(702)、第1の統合された格子に向かって指向されることができる。第2の視野部分が、入力格子を介して導波管の中に結合され(703)、第2の統合された格子に向かって指向されることができる。第1の視野部分の光は、第1の統合された格子を使用して、第1の方向において拡大されることができる(704)。第1の視野部分の光は、第2の統合された格子を使用して、第2の方向において拡大され、導波管から抽出されることができる(705)。第2の視野部分の光は、第2の統合された格子を使用して、第2の方向において拡大されることができる(706)。第2の視野部分の光は、第1の統合された格子を使用して、第1の方向において拡大され、導波管から抽出されることができる(707)。
【0104】
上記の節に説明されるように、統合された格子は、種々の異なる方法で実装されることができる。多くの実施形態では、統合された格子は、同一の時計回り角を有するが、異なる格子処方を有する2つの格子を伴って実装される。さらなる実施形態では、2つの格子は、多重化される。図8は、本発明のある実施形態による、複数の格子を含有する統合された格子を利用して画像を表示する方法を概念的に図示する、フロー図を示す。フロー図を参照すると、方法800は、入力格子、第1の時計回り角を有する第1および第2の格子、および第2の時計回り角を有する第3および第4の格子を支持する導波管を提供するステップ(801)を含み、第1および第3の格子は、少なくとも部分的に重複する。多くの実施形態では、第1の統合された格子は、第2の統合された格子と部分的に重複する。いくつかの実施形態では、統合された格子は、完全に重複される。第1および第2の統合された格子は、異なるKベクトル格子の多重化された対を含むことができる。第1の視野部分が、入力格子を介して導波管の中に結合され(802)、第1の格子に向かって指向されることができる。第2の視野部分が、入力格子を介して導波管の中に結合され(803)、第3の格子に向かって指向されることができる。第1の視野部分の光は、第1の格子を使用して、第1の方向において拡大され(804)、第4の格子に向かって再指向されることができる。第1の視野部分の光は、第4の格子を使用して、第2の方向において拡大され、導波管から抽出されることができる(805)。第2の視野部分の光は、第3の格子を使用して、第2の方向において拡大され(806)、第2の格子に向かって再指向されることができる。第2の視野部分の光は、第2の格子を使用して、第1の方向において拡大され、導波管から抽出されることができる(807)。
【0105】
図6-8は、画像を表示する具体的導波管構成および方法を図示するが、多くの異なる方法が、本発明の種々の実施形態に従って実装されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つを上回る入力格子が、利用される。他の実施形態では、入力構成は、プリズムを含む。そのような方法および実装される導波管はまた、性能を改良する、および/または種々の異なる機能を提供するように構成されることができる。多くの実施形態では、導波管装置は、空間的に変動するピッチを伴う少なくとも1つの格子を含む。いくつかの実施形態では、各格子は、固定されたKベクトルを有する。いくつかの実施形態では、格子のうちの少なくとも1つは、引用される参考文献に開示される実施形態および教示による、軸回転kベクトル格子である。Kベクトルを軸回転させることは、格子の角度帯域幅が、格子厚さを減少させる、または複数の格子層を利用する必要性を伴わずに拡大されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、軸回転Kベクトル格子は、異なるように整合されたKベクトルを有する離散格子要素を含有する導波管部分を含む。いくつかの実施形態では、軸回転Kベクトル格子は、その中でKベクトルが方向における平滑な単調な変動を受ける、単一の格子要素を含有する導波管部分を備える。説明される実施形態のうちのいくつかでは、軸回転Kベクトル格子は、導波管の中に光を入力するために使用される。いくつかの実施形態では、2つの統合された格子を有する導波管は、単一層化または多層化導波管として実装されることができる。いくつかの実施形態では、多層化導波管は、2つを上回る統合された格子を伴って実装される。容易に理解され得るように、実装される具体的アーキテクチャおよび構成は、いくつかの異なる因子に依存し得る。いくつかの実施形態では、統合された格子に対する入力格子の位置は、限定ではないが、プロジェクタレリーフおよび入力瞳直径および輻輳・開散運動を含む、種々の因子によって決定されることができる。多くの用途では、入力格子と統合された格子との間の距離が、小さい形状因子を有する導波管を提供するために最小限にされることが、望ましい。アイボックスを充填するために要求される視野光線角経路は、典型的には、導波管高さを支配する。多くの場合では、導波管の高さは、プロジェクタレリーフに伴って非線形に増大する。いくつかの実施形態では、瞳直径は、導波管の占有面積に対して有意な影響を及ぼさない。収束または発散する瞳が、入力格子上の任意の場所における局所的角度応答を低減させるために使用されることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、実装される導波管構成は、入力画像発生器/プロジェクタの構成に依存し得る。図9は、本発明のある実施形態による、統合された格子を実装する2つの重複する導波管部分の輪郭図900を概念的に図示する。例証的実施形態では、2層化導波管は、光線901によって示される、収束するプロジェクタ瞳入力ビームを用いて実装される高視野用途のために設計される。示されるように、本装置は、2つの統合された格子の第1のセットを有する第1の格子層903を含有する、第1の導波管902と、2つの統合された格子の第1のセットと部分的に重複する、2つの統合された格子の第2のセットを有する第2の格子層905を含有する、第2の導波管904とを含む。統合された格子を有する格子層903、905は、上記の節に議論される原理に従って動作することができる。導波管からの出力ビームは、概して、アイボックス907と交差する光線906によって示される。図示される実施形態では、アイボックスは、10.5mm×9.5mmの寸法を有し、アイレリーフは、13.5mmであり、レーザプロジェクタから導波管までの分離は、12mmである。容易に理解され得るように、そのような寸法および仕様は、所与の用途の要件に応じて、具体的に調整されることができる。
【0107】
図10は、本発明のある実施形態による、統合された格子の2つのセットを有する、格子アーキテクチャの概略平面図1000を概念的に図示する。示されるように、格子構成は、第1および第2の入力格子1001、1002を含み、影付き面積によって示される組み合わせられた入力格子面積1003を形成する。いくつかの実施形態では、入力格子はそれぞれ、多重化された、または重複する格子のセットを含む。格子構成はさらに、第1および第2の統合された格子1004、1005を有する、格子構造の第1のセットと、第3および第4の統合された格子1006、1007を有する、格子構造の第2のセットとを含む。例証的実施形態では、統合された格子の各セットは、非対称に成形および配置される。そのような構成は、いくつかの因子に応じて、適宜、実装されることができる。図10の実施形態では、非対称格子アーキテクチャは、図9に示されるもの等の収束するプロジェクタ瞳構成を用いた動作のために実装されることができる。さらに、異なる格子特性が、異なる用途のために実装および調整されることができる。図11は、本発明のある実施形態による、異なる視野角において生じる回折に関する導波管に関する回折効率対角度のプロット1100を概念的に図示する。示されるように、導波管は、3つの異なるピーク回折効率を有するように調整され、「折り返し」相互作用のための2つの異なるピーク1101、1102と、「出力」のための1つの1103とを伴う。いくつかの実施形態では、光は、格子内で二重相互作用を受ける。そのような格子は、2つの異なる入射角に関して高い回折効率を有するように設計されることができる。図10に再び目を向けると、格子構造の第1および第2のセットは、部分的に重複する構造として実装され、影付き面積によって示されるような組み合わせられた出力格子面積1008を形成することができる。アイボックス1009は、図面上にオーバーレイされ、暗い影付き面積によって示される。例証的実施形態では、導波管装置は、120度対角線のFOVを提供するように構成される。図9-10に示されるように、いくつかの実施形態では、120度対角線のFOVを提供するディスプレイが、12mmのプロジェクタから導波管までの距離および13.5mmのアイレリーフを伴って構成されることができ、これは、多くのガラス挿入物と適合する。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、10.5mm×9.5mmのアイボックスを提供し、これは、容易な装着性を提供することができる。図12は、そのような導波管の視認幾何学形状を示す。容易に理解され得るように、図10によって図示される格子構成は、種々の導波管アーキテクチャにおいて実装されることができる。いくつかの実施形態では、両方の入力格子および格子構造の両方のセットが、単一の格子層内に実装され、重複する部分は、多重化される。いくつかの実施形態では、第1の入力格子および格子構造の第1のセットは、第1の格子層内に実装される一方、第2の入力格子および格子構造の第2のセットは、第2の格子層内に実装される。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、および第4の統合された格子は、4つの格子層を横断して実装される。
【0108】
図13は、本発明のある実施形態による、導波管によって提供される左および右眼画像の間に両眼重複を伴う両眼ディスプレイに関する視野幾何学形状を概念的に図示する。図9-10に説明されるもの等の種々の格子アーキテクチャを利用する両眼ディスプレイが、実装されることができる。図示される実施形態では、導波管は、4つの導波管のスタック、すなわち、2つの青色-緑色層および2つの緑色-赤色層を含む、カラー導波管である。導波管はそれぞれ、単一色帯域に関して35°h×35°v(約50°対角線)の視野を提供し、色帯域毎に70°h×35°v(約78°対角線)の視野をもたらすことができる。左および右眼に関する各導波管セットは、約100°対角線の両眼視野を達成するために、水平に50°重複されることができる。容易に理解され得るように、種々の両眼構成が、所与の用途の具体的要件に応じて、適宜、実装されることができる。多くの実施形態では、導波管は、少なくとも5°の角度に傾斜され、これは、いくつかの両眼重複視野用途の実装を促進することができる。さらなる実施形態では、導波管は、少なくとも10°の角度に傾斜される。いくつかの実施形態では、左および右眼の両方に関する視野は、完全に重複される。
(他の導波管実施形態)
【0109】
いくつかの実施形態では、プリズムが、入力格子の代替として使用されてもよい。多くの実施形態では、これは、外部格子が格子ベクトル閉鎖目的のために提供されることを要求し得る。いくつかの実施形態では、外部格子は、プリズムの表面上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部格子は、レーザプロジェクタと入力プリズムとの間の光学縦列内に配置される、レーザデスペックラの一部を形成してもよい。光を導波管の中に結合するためのプリズムの使用は、軸回転Kベクトル格子の使用からもたらされる、有意な光損失および制限された角度帯域幅を回避する利点を有する。実践的な軸回転Kベクトル入力格子は、典型的には、約40度またはそれを上回り得る、折り返し格子のはるかに大きい角度帯域幅に合致することができない。
【0110】
図面は、異なる波長チャネル内の格子の格子幾何学形状およびレイアウトにおける高い対称度を示し得るが、格子処方および占有面積は、非対称であり得る。入力、折り返し、または出力格子の形状は、導波管用途に依存し得、要求されるビーム拡大、出力ビーム幾何学形状、ビーム均一性、および人間工学的因子等の因子に左右される任意の多角形幾何学形状であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、非偏光光源を使用するディスプレイを対象として、入力格子は、各格子が、入射した非偏光光の特定の偏光を導波管経路の中に回折させるように配向される格子を組み合わせることができる。そのような実施形態は、Waldern et al.によるPCT出願第PCT/GB2017/000040号「METHOD AND APPARATUS FOR PROVIDING A POLARIZATION SELECTIVE HOLOGRAPHIC WAVGUIDE DEVICE」(その開示は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示される実施形態および教示のうちのいくつかを組み込んでもよい。出力格子は、導波管経路からの光が、組み合わせられ、非偏光光として導波管から外に結合されるように、類似する方式で構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、入力格子および出力格子は、それぞれ、直交する偏向状態に関するピーク回折効率を伴う交差格子を組み合わせる。いくつかの実施形態では、偏光状態は、S偏光およびP偏光である。いくつかの実施形態では、偏光状態は、円偏光の反対方向である。この点で、SBG等の液晶ポリマーシステム内に記録される格子の利点は、それらの本質的な複屈折のために、それらが強い偏光選択性を呈することである。しかしながら、一意の偏光状態を提供するように構成され得る他の格子技術もまた、使用されることができる。
【0112】
液晶ポリマー材料システム内に記録される格子を使用するいくつかの実施形態では、折り返し格子、入力格子、または出力格子のうちの少なくとも1つと重複する少なくとも1つの偏光制御層が、任意の格子、特に、偏光回転をもたらし得る、折り返し格子における偏光回転を補償する目的のために提供されてもよい。多くの実施形態では、格子の全ては、偏光制御層によってオーバーレイされる。いくつかの実施形態では、偏光制御層は、折り返し格子のみに、または格子の任意の他のサブセットに適用される。偏光制御層は、光学リターダフィルムを含んでもよい。HPDLC材料に基づくいくつかの実施形態では、格子の複屈折は、導波管デバイスの偏光性質を制御するために使用されてもよい。設計変数としてのHPDLC格子の複屈折テンソル、Kベクトル、および格子占有面積の使用は、導波管デバイスの角度能力および光学効率を最適化するために設計空間を広げる。いくつかの実施形態では、4分の1波長板が、導波管のガラス-空気界面上に配置され、光線の偏光を回転させ、格子との効率的な結合を維持することができる。さらなる実施形態では、4分の1波長板は、基板導波管に適用されるコーティングである。いくつかの導波管ディスプレイ実施形態では、導波管の基板に4分の1波長コーティングを適用することは、導波管内のスキュー波を補償することによって、光線が意図される視認軸との整合を留保することに役立ち得る。いくつかの実施形態では、4分の1波長板は、多層コーティングとして提供されてもよい。
【0113】
本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかに関連して使用されるように、格子という用語は、格子のセットを含む格子を包含し得る。例えば、いくつかの実施形態では、入力格子および出力格子は、それぞれ、単一の層の中に多重化される2つ以上の格子を含む。1つを上回るホログラフィック処方が、単一のホログラフィック層の中に記録され得ることが、ホログラフィの文献において明確に確立されている。そのような多重化ホログラムを記録するための方法は、当業者に周知である。いくつかの実施形態では、入力格子および出力格子は、それぞれ、接触する、または1つ以上の薄い光学基板によって垂直に分離される、2つの重複する格子層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、格子層は、ガラスまたはプラスチック基板の間に挟装される。いくつかの実施形態では、2つ以上のそのような格子層は、その中で全内部反射が外側基板および空気界面において生じる、スタックを形成してもよい。いくつかの実施形態では、導波管は、1つのみの格子層を含んでもよい。多くの実施形態では、電極が、格子を回折状態とクリア状態との間で切り替えるために、基板の面に適用されてもよい。スタックはさらに、ビーム分割コーティングおよび環境保護層等の付加的層を含んでもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、折り返し格子角度帯域幅は、誘導された光と格子との二重相互作用を促進するように格子処方を設計することによって強化されることができる。二重相互作用折り返し格子の例示的実施形態が、「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」と題された米国特許出願第14/620,969号に開示されている。
【0115】
有利なこととして、色均一性を改良するために、本発明における使用のための格子は、アイボックスから出力格子および折り返し格子を介した入力格子への逆光線追跡を使用して設計されることができる。本プロセスは、格子、特に、折り返し格子の要求される物理的範囲が識別されることを可能にする。ヘイズに寄与する不必要な格子の実態は、排除されることができる。光線経路は、赤色、緑色、および青色に関して最適化されることができ、そのそれぞれは、折り返し格子を介した入力格子と出力格子との間の分散効果のため、わずかに異なる経路を辿る。
【0116】
多くの実施形態では、格子は、切替可能または非切替可能ブラッグ格子等のホログラフィック格子である。いくつかの実施形態では、SBGとして具現化される格子は、ホログラフィックポリマー分散液晶(例えば、液晶液滴のマトリクス)内に記録されるブラッグ格子であり得るが、SBGはまた、他の材料内に記録されてもよい。いくつかの実施形態では、SBGは、液体ポリマー中に分散される固体液晶のマトリクスを有するPOLICRYPSまたはPOLIPHEM等の均一な変調材料内に記録される。SBGは、本質的にスイッチングまたは非スイッチングであり得る。いくつかの実施形態では、入力、折り返し、および出力格子のうちの少なくとも1つは、電気的に切替可能であってもよい。多くの実施形態では、全ての3つの格子タイプが、受動的である、すなわち、非スイッチングであることが、望ましい。その非スイッチング形態では、SBGは、その液晶成分に起因する高屈折率変調を提供することが可能であるという、従来のホログラフィックフォトポリマー材料に優る利点を有する。例示的均一変調液晶ポリマー材料システムが、Caputo et al.による米国特許出願公開第US2007/0019152号およびStumpe et al.によるPCT出願第PCT/EP2005/006950号(その両方は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示されている。均一な変調格子は、高屈折率変調(したがって、高回折効率)および低散乱によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、入力結合器、折り返し格子、および出力格子は、反転モードHPDLC材料内に記録される。反転モードHPDLCは、格子がいかなる電場も印加されていないときに受動的であり、電場の存在下で回折状態になる点において、従来のHPDLCと異なる。反転モードHPDLCは、「IMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICES」と題されたPCT出願第PCT/GB2012/000680号に開示されるレシピおよびプロセスのうちのいずれかに基づいてもよい。格子は、上記の材料システムのうちのいずれかの中に記録されてもよいが、受動的(非スイッチング)モードにおいて使用される。液晶ポリマー材料内に受動的格子を記録する利点は、最終ホログラムが、液晶によってもたらされる高屈折率変調から利益を享受することである。より高い屈折率変調は、高い回折効率および広い角度帯域幅につながる。加工プロセスは、スイッチングのために使用されるものと同じであるが、電極コーティング段階は、省略される。LCポリマー材料システムは、それらの高屈折率変調の観点から非常に望ましい。いくつかの実施形態では、格子は、HPDLC内に記録されるが、切り替えられない。
【0117】
多くの実施形態では、2つの空間的に分離される入力結合器が、2つの別個の導波管入力瞳を提供するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、入力結合器は、格子である。いくつかの実施形態では、入力結合器は、プリズムである。プリズムのみに基づく入力結合器プリズムを使用する実施形態では、格子交互作用に関する条件は、折り返しおよび出力格子のピッチおよび時計回り角を使用して対処されることができる。
【0118】
多くの実施形態では、上記の導波管実施形態と併用されるデータ変調光の源は、マイクロディスプレイを組み込む入力画像ノード(「IIN」)を含む。入力格子は、IINからコリメート光を受け取り、光を導波管内で、第1の表面と第2の表面との間の全内部反射を介して、折り返し格子に進行させるように構成されることができる。典型的には、IINは、マイクロディスプレイパネルに加えて、ディスプレイパネルを照明し、反射光を分離し、これを要求されるFOVの中にコリメートさせるために必要とされる光源および光学構成要素を統合する。マイクロディスプレイ上の各画像ピクセルは、第1の導波管内で一意の角度方向に変換されることができる。本開示は、任意の特定のマイクロディスプレイ技術を仮定しない。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイパネルは、液晶デバイスまたはMEMSデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)技術に基づいてもよい。そのような発光デバイスは、別個の光源を要求せず、したがって、より小さい形状因子の利益をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、IINは、走査変調レーザに基づいてもよい。IINは、各ディスプレイピクセルが、いくつかの実施形態による基板導波管内で一意の角度方向に変換されるように、マイクロディスプレイパネル上に表示される画像を投影する。IIN内に含有されるコリメーション光学系は、レンズと、ミラーとを含んでもよく、これは、回折レンズおよびミラーであってもよい。いくつかの実施形態では、IINは、「HOLOGRAPHIC WIDE-ANGLE DISPLAY」と題された米国特許出願第13/869,866号および「TRANSPARENT WAVEGUIDE DISPLAY」と題された米国特許出願第13/844,456号に開示される実施形態および教示に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、IINは、光をマイクロディスプレイ上に指向し、反射光を導波管に向かって透過させるためのビームスプリッタを含有する。多くの実施形態では、ビームスプリッタは、HPDLC内に記録される格子であり、ディスプレイを照明する光およびディスプレイから反射される画像変調光を分離するために、そのような格子の固有の偏光選択性を使用する。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、偏光ビームスプリッタキューブである。いくつかの実施形態では、IINは、デスペックラを組み込む。デスペックラは、「LASER ILLUMINATION DEVICE」と題された米国特許第8,565,560号の実施形態および教示に基づくホログラフィック導波管デバイスであり得る。光源は、レーザまたはLEDであり得、照明ビーム角度特性を修正するための1つ以上のレンズを含むことができる。画像源は、マイクロディスプレイまたはレーザベースのディスプレイであり得る。LEDは、レーザよりも良好な均一性を提供することができる。レーザ照明が、使用される場合、照明バンディングが導波管出力において生じるリスクが、存在する。いくつかの実施形態では、導波管内のレーザ照明バンディングは、「METHOD AND APPARATUS FOR GENERATING INPUT IMAGES FOR HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE DISPLAYS」と題された米国仮特許出願第62/071,277号に開示される技法および教示を使用して克服されることができる。いくつかの実施形態では、光源からの光は、偏光される。1つ以上の実施形態では、画像源は、液晶ディスプレイ(LCD)マイクロディスプレイまたはシリコン上液晶(LCoS)マイクロディスプレイである。
【0119】
参照することによって本明細書に組み込まれる参考文献に開示されるような本発明者らによる他の導波管発明と組み合わせた本発明の原理および教示は、多くの異なるディスプレイおよびセンサデバイスにおいて適用されてもよい。ディスプレイを対象とするいくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管ディスプレイは、アイトラッカと組み合わせられることができる。いくつかの実施形態では、アイトラッカは、ディスプレイ導波管をオーバーレイする導波管デバイスであり、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE EYE TRACKER」と題された第PCT/GB2014/000197号、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE OPTICALTRACKER」と題された第PCT/GB2015/000274号、および「APPARATUS FOR EYE TRACKING」と題されたPCT出願第GB2013/000210号の実施形態および教示に基づく。
【0120】
ディスプレイを対象とする本発明のいくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管ディスプレイはさらに、動的集束要素を含む。動的集束要素は、「ELECTRICALLY FOCUS TUNABLE LENS」と題された米国仮特許出願第62/176,572号の実施形態および教示に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管ディスプレイはさらに、動的集束要素と、アイトラッカとを含むことができ、これは、「HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE LIGHT FIELD DISPLAYS」と題された米国仮特許出願第62/125,089号に開示される実施形態および教示に基づくライトフィールドディスプレイを提供することができる。
【0121】
ディスプレイを対象とする本発明のいくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管は、「HOLOGRAPHIC WIDEANGLE DISPLAY」と題された米国特許出願第13/869,866号および「TRANSPARENT WAVEGUIDE DISPLAY」と題された米国特許出願第13/844,456号の実施形態のうちのいくつかに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の原理による導波管装置は、窓、例えば、道路車両用途のためのフロントガラス統合HUD内に統合されてもよい。いくつかの実施形態では、窓統合ディスプレイは、「ENVIRONMENTALLY ISOLATED WAVEGUIDE DISPLAY」と題された米国仮特許出願:PCT出願第PCT/GB2016/000005号に開示される実施形態および教示に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、導波管装置は、IINと導波管との間で画像コンテンツを中継するための屈折率勾配(GRIN)導波構成要素を含んでもよい。例示的実施形態が、「ENVIRONMENTALLY ISOLATED WAVEGUIDE DISPLAY」と題されたPCT出願第PCT/GB2016/000005号に開示されている。いくつかの実施形態では、導波管装置は、「WAVEGUIDE DEVICE INCORPORATING A LIGHT PIPE」と題された米国仮特許出願第62/177,494号に開示される実施形態に基づく、1つの方向においてビーム拡大を提供するための光パイプを組み込んでもよい。
【0122】
多くの実施形態では、本発明の原理による導波管は、無限遠における画像を提供する。いくつかの実施形態では、画像は、ある中間距離にあってもよい。いくつかの実施形態では、画像は、人間の眼のリラックスした視認範囲と適合する距離にあってもよい。多くの実施形態では、これは、約2メートルから最大約10メートルの視認範囲を網羅してもよい。
【0123】
種々の例示的実施形態において示されるようなシステムおよび方法の構築および配列は、例証にすぎない。いくつかの実施形態のみが、本開示に詳細に説明されたが、多くの修正が、可能性として考えられる(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、搭載配列、材料の使用、色、配向等の変形例)。例えば、要素の位置は、逆転され、または別様に変動されてもよく、離散要素または位置の性質または数は、改変または変動されてもよい。本発明は、Popovich et al.による米国仮特許出願第62/778,239号「METHODS AND APPARATUSES FOR PROVIDING A SINGLE GRATING LAYER COLOR HOLOGRAPHIC WAVEGUIDE DISPLAY」および以下の米国出願、すなわち、第US14/620,969号「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」、第US15/468,536号「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」、第US15/807,149号「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」、および第US16/178,104号「WAVEGUIDE GRATING DEVICE」(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示される実施形態および教示を組み込むことができる。故に、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。任意のプロセスまたは方法ステップの順序またはシーケンスは、代替実施形態に従って変動または再順序付けされてもよい。他の代用、修正、変更、および省略が、本開示の範囲から逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件、および配列において行われてもよい。
(均等論)
【0124】
上記の説明は、本発明の多くの具体的実施形態を含有するが、これらは、本発明の範囲に対する限定としてではなく、むしろ、その1つの実施形態の実施例として解釈されるべきである。したがって、本発明が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、具体的に説明されるもの以外の方法で実践され得ることを理解されたい。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で例証的であり、制限的ではないと見なされるべきである。故に、本発明の範囲は、例証される実施形態によってではなく、添付される請求項およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】