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特表2022-520500効率的な光路を備えた大型アレイステレオリソグラフィ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】効率的な光路を備えた大型アレイステレオリソグラフィ
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/124 20170101AFI20220323BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20220323BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20220323BHJP
   B29C 64/286 20170101ALI20220323BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220323BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220323BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220323BHJP
【FI】
B29C64/124
B29C64/129
B29C64/264
B29C64/286
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y70/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559447
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020026195
(87)【国際公開番号】W WO2020210101
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/833,055
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ボーシャン,ロバート ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン,ニン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジェイムズ フランシス ザ サード
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA03
4F213AA21
4F213AA33
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL43
4F213WL45
4F213WL48
4F213WL76
4F213WL80
4F213WL87
4F213WL95
(57)【要約】
三次元プリントシステム(2)は、樹脂(6)を含む樹脂容器(4)、結像バー(18)、結像バーに連結された移動機構(22)、およびコントローラ(128)を含む。結像バーは、発光素子(54)の配列を含み、これは、結像バーの出口面から放射線を選択的に照射して、樹脂中に構築平面(24)を画定する。結像バーの出口面は、好ましくは構築平面から10ミリメートル未満である。コントローラは、走査軸に沿って結像バーを走査し、走査と同時に、結像バーを操作して構築平面に樹脂の層を選択的に結像するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元プリントシステムであって、
樹脂を含む樹脂容器;
結像バー;
前記結像バーに連結された移動機構;および
コントローラ
を備え、
前記結像バーは、該結像バーの出口面から放射線を選択的に照射して、前記樹脂中に構築平面を画定する発光素子の配列を含み、前記結像バーの出口面は、前記構築平面から10mm未満であり、
前記コントローラは、
走査軸に沿って前記結像バーを走査し;かつ
走査と同時に、前記結像バーを操作して前記構築平面に樹脂の層を選択的に結像および硬化する
ように構成されている、三次元プリントシステム。
【請求項2】
前記結像バーが、走査軸に対して斜めまたは垂直である軸に沿って配置される発光素子の配列を支持する基板を含むことを特徴とする、請求項1に記載の三次元プリントシステム。
【請求項3】
前記発光素子が、発光ダイオード(LED)であることを特徴とする、請求項2に記載の三次元プリントシステム。
【請求項4】
前記結像バーが、前記発光素子からの光を個々に受け取る、前記基板に重なる光コリメータの配列を含むことを特徴とする、請求項2に記載の三次元プリントシステム。
【請求項5】
前記光コリメータが個々に、反射性の放物線状の内面を含むことを特徴とする、請求項4に記載の三次元プリントシステム。
【請求項6】
前記放物線状の内面が、3:1より大きい長さ対幅比を有することを特徴とする、請求項5に記載の三次元プリントシステム。
【請求項7】
前記光コリメータの配列に重なり、かつ、個々に光コリメータからの光の焦点を前記構築平面に合わせる、小型レンズの配列をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の三次元プリントシステム。
【請求項8】
前記小型レンズが、第1の小型レンズおよび該第1の小型レンズに重なる第2の小型レンズを含む2つの小型レンズを個々に含むことを特徴とする、請求項7に記載の三次元プリントシステム。
【請求項9】
前記小型レンズの配列に重なり、かつ、個々に偏角光を除去して前記構築平面における発光素子からスポットサイズを制約する、アパーチャの配列をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の三次元プリントシステム。
【請求項10】
前記結像バーの前記出口面が、前記構築平面から5ミリメートル未満であることを特徴とする、請求項1に記載の三次元プリントシステム。
【請求項11】
前記結像バーの前記出口面が、前記構築平面から3~4ミリメートルの範囲内であることを特徴とする、請求項10に記載の三次元プリントシステム。
【請求項12】
三次元プリントシステムであって、
樹脂を含む樹脂容器;
結像バー;
前記結像バーに連結された移動機構;および
コントローラ
を備え、
前記結像バーは、
走査軸に沿って配置された複数の発光素子を含む基板;
前記発光素子と個々に位置合わせされる複数のコリメータを画定する、前記基板の上に重なる視準層;
前記コリメータと個々に位置合わせされて前記樹脂内の構築平面上に光の焦点を合わせる複数の小型レンズを有する、前記視準層に重なる小型レンズ層;および
前記小型レンズと個々に位置合わせされる複数のアパーチャを画定するマスクを有する、前記小型レンズ層に重なるアパーチャプレート
を含み、
前記コントローラは、
走査軸に沿って前記結像バーを走査し;かつ
走査と同時に、前記結像バーを操作して前記構築平面に樹脂の層を選択的に結像する
ように構成されている、三次元プリントシステム。
【請求項13】
前記視準層が、前記コリメータを画定するポリマー材料層であり、前記コリメータが、前記ポリマー材料を通って伸長し反射性材料の裏地を有する放物線状の開口部であることを特徴とする、請求項12に記載の三次元プリントシステム。
【請求項14】
前記ポリマー材料が、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル、および環状オレフィンコポリマー(COC)のいずれかであることを特徴とする、請求項13に記載の三次元プリントシステム。
【請求項15】
前記反射性材料が、真空蒸着された金属であることを特徴とする、請求項13に記載の三次元プリントシステム。
【請求項16】
前記アパーチャプレートがガラスプレートであり、前記マスクがパターン加工された金属層であることを特徴とする、請求項12に記載の三次元プリントシステム。
【請求項17】
前記アパーチャプレートから前記構築平面までの距離が、10ミリメートル未満であることを特徴とする、請求項12に記載の三次元プリントシステム。
【請求項18】
前記アパーチャプレートから前記構築平面までの距離が、5ミリメートル未満であることを特徴とする、請求項12に記載の三次元プリントシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この非仮特許出願は、U.S.C.119(e)の下でここに参照することによって援用される、2019年4月12日出願のRobert W. Beauchampらによる「LARGE ARRAY STEREOLITHOGRAPHY WITH EFFICIENT OPTICAL PATH」と題された米国仮特許出願第62/833,055号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、放射線硬化(光硬化)樹脂から製造対象の固体三次元(3D)物品を作製する装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、大型アレイステレオリソグラフィシステムの生産性および光学的効率を改良する。
【背景技術】
【0003】
三次元(3D)プリンタは、使用が急速に増加している。3Dプリンタの1つの種類には、放射線硬化(光硬化)液体樹脂の選択的硬化および固化を含むオペレーションの原則を有するステレオリソグラフィプリンタが含まれる。典型的なステレオリソグラフィシステムには、光硬化樹脂を保持する樹脂容器、支持表面に連結される移動機構、および制御可能な光エンジンが含まれる。ステレオリソグラフィシステムは、光硬化樹脂の層を選択的に硬化することにより製造対象の三次元(3D)物品を形成する。それぞれの選択的に硬化された層は、樹脂内の「構築平面」に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらのシステムの1つの課題は、大型の構築平面システムについての処理速度を改良することである。別の課題は、光学的効率である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様では、三次元プリントシステムは、樹脂を含む樹脂容器、結像バー(imaging bar)、結像バーに連結された移動機構、およびコントローラを含む。結像バーは、発光素子の配列を含み、これは、結像バーの出口面から放射線を選択的に照射して、樹脂中に構築平面を画定する。結像バーの出口面は、構築平面から10mm未満である。コントローラは、走査軸に沿って結像バーを走査し、走査と同時に、結像バーを操作して構築平面に樹脂の層を選択的に結像するように構成されている。
【0006】
一実装形態では、結像バーは、基板、視準層(collimation layer)、小型レンズ層(lenslet layer)、およびアパーチャ層を含む。基板は、発光素子の配列を含む。視準層は、基板に重なり、発光素子と個々に位置合わせされる複数のコリメータを画定する。小型レンズ層は、視準層に重なり、コリメータと個々に位置合わせされる複数の小型レンズを有する。アパーチャ層は、小型レンズ層に重なり、小型レンズと個々に位置合わせされる複数のアパーチャを画定するマスクを有する。
【0007】
本開示の第2の態様では、三次元プリントシステムは、樹脂を含む樹脂容器、結像バー、結像バーに連結された移動機構、および制御装置を含む。結像バーは、基板、視準層、小型レンズ層、およびアパーチャ層を含む。視準層は、基板に重なり、発光素子と個々に位置合わせされる複数のコリメータを画定する。小型レンズ層は、視準層に重なり、コリメータと個々に位置合わせされる複数の小型レンズを有する。アパーチャ層は、小型レンズ層に重なり、小型レンズと個々に位置合わせされる複数のアパーチャを画定するマスクを有する。コントローラは、走査軸に沿って結像バーを走査し、走査と同時に、結像バーを操作して構築平面に樹脂の層を選択的に硬化するように構成されている。
【0008】
一実装形態では、視準層は、コリメータを画定するポリマー材料のシートを含む。コリメータは、シートを通って延びる放物線状の開口部とすることができる。放物線状の開口部は、反射性の凹面材料の裏地を有している。コリメータは、視準のために放物線状であることの他に、他の最適化された形状を有してもよい。コリメータを備えた視準層は、射出成形またはマイクロエンボス加工によって形成することができる。反射性の凹面は、コリメータ上への金属の真空蒸着によって形成することができる。ポリマーシート材料は、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル、および環状オレフィンコポリマー(COC)の1つまたは複数でもよい。
【0009】
別の実装形態では、小型レンズ層は、小型レンズを画定するポリマーシートを含む。小型レンズは、射出成形またはマイクロエンボス加工によって形成することができる。ポリマーシート材料は、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル、および環状オレフィンコポリマー(COC)の1つまたは複数でもよい。
【0010】
さらに別の実装形態では、小型レンズ層は、2つの小型レンズ層を含むことができる。2つの層の小型レンズは、位置合わせされた光軸を有する。
【0011】
さらなる実装形態では、アパーチャ層は、剛性プレートである。剛性プレートは、ガラスでもよい。マスクは、パターン加工された金属層とすることができる。アパーチャを画定するマスクは、ガラスプレートの内側表面に位置してもよい。アパーチャは、金属層をエッチングして、金属がエッチング除去されたスポットであるアパーチャを画定することによって個々に画定される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】三次元物品を作製するための三次元プリントシステムの第1の実施形態の概略図
図2図1の第1の実施形態の特定の実施形態の等角図
図3】結像バー内の発光から構築平面までの光路の実施形態を示す図
図4】結像バーを製造する方法の一部の実施形態を示すフローチャート
図5】構築平面上の発光素子とスポットとの間の光路の実施形態を示す図
図6】三次元物品を作製するための三次元プリントシステムの第2の実施形態の概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、三次元物品3を作製するための三次元プリントシステム2の第1の実施形態の概略図である。システム2の説明において、互いに直交する軸X、Y、およびZが使用される。軸XおよびYは、概して水平な横軸である。軸Zは、重力参照(gravitational reference)に対して概して位置合わせされた縦軸である。概して位置合わせされるとは、意図的にであるが通常の製造公差の範囲内で位置合わせされることを意味する。軸Xは、走査軸と称されてもよい。軸Yは、主軸と称されてもよい。
【0014】
システム2は、光硬化樹脂6を含む樹脂容器4を備える。樹脂容器4は、樹脂6についての下限を提供する透明シート8を含む。透明シート8の下には、剛性の透明プレート10がある。構築トレイ12は、物品3を支持するための下面14を有する。エレベータ機構16が、構築トレイ12に連結されている。
【0015】
結像バー18は、プレート10の下に配置され、概して上向きの方向に放射線20を照射するように構成されている。結像バー18は、1つまたは2つの横軸に沿って構築平面24に対して結像バー18の横方向の動きを与えるキャリッジ(carriage)22に連結されている。この横方向の動きにより、結像バー18は、構築平面24に対応し、物品3の下面26上に樹脂を選択的に硬化することができる。
【0016】
コントローラ28は、エレベータ機構16、結像バー18、およびキャリッジ22に連結され、これらを制御するように構成されている。コントローラ28は、情報記憶装置に連結されたプロセッサを含む。情報記憶装置は、コンピュータ可読プログラムコード部分を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。プロセッサによる実行に応答して、コンピュータ可読プログラムコード部分は、システム2の一部を操作して、少なくとも以下の工程を実行する:(1)エレベータ機構を操作して、下面14または下面26を構築平面24に配置する工程;(2)走査軸Xに沿って結像バー18を走査する工程;(3)走査と同時に、結像バー18を操作して、構築平面24に沿って樹脂6を選択的に結像および硬化する工程;および(4)工程(1)~(3)を繰り返して、層ごとの態様で物品3の作製を完了する工程。一実施形態では、追加の工程が、構築平面24に完全に対応するために、横軸Yに沿った動きを含むことができる。
【0017】
図2は、図1の三次元プリントシステム2の特定の実施形態の等角図である。システム2は、主垂直サポート30を含む。樹脂容器4は、下地の支持プレート(いくつかの他の構成要素の説明をするために図示せず)によって主垂直サポート30に取り付けられる。
【0018】
走査機構32は、走査軸Xに沿ってキャリッジ22および結像バー18を走査するように構成されている。走査機構32は、走査軸Xに沿って延びる送りネジ36に連結されたモータ34を含む。送りネジ36は、ハウジング38内に固定され、軸Xの周りに回転する。送りネジ36の回転運動は、キャリッジ22の内ネジに係合し、走査軸Xに沿ってキャリッジ22を平行移動させる。
【0019】
結像バー18は、横軸Yに沿って構築平面24に亘る発光素子のアレイ40を含む。したがって、Xに沿った結像バーの走査動作により、発光素子のアレイ40が構築平面24に完全に対応することができる。
【0020】
エレベータ機構16は、構築トレイ12を支持する一対のアーム42を備える。エレベータ機構はまた、アーム42および構築トレイ12を垂直方向に搬送するためのモータ(図示せず)および送りネジ(図示せず)を含む。送りネジは、垂直軸Zに沿って延び、垂直軸Zの周りに回転する。
【0021】
図3は、結像バー18内の発光から構築平面24までの光路44の一実施形態を示す図である。放射線20は、結像バー18の出口面45から出射し、距離Dを横断して構築平面24に至る。例示的な実施形態では、距離Dは10ミリメートル未満である。より詳細には、Dは、5ミリメートル未満または3~4ミリメートルの範囲内である。特定の実施例では、Dは約3.6ミリメートルとすることができる。出口面46から構築平面までの距離が短いことで、結像バー18の光学的効率が向上する。
【0022】
結像バー18は、基板46、視準層48、小型レンズ層50、およびアパーチャ層52を含む層状構造を含む。基板46は、発光素子54の複数またはアレイ40を含み、発光素子54は発光ダイオード(LED)54でもよい。基板46は、離散LEDが取り付けられたプリント回路基板(PCB)を含むことができる。他の実施形態では、発光素子54は、基板46上に直接形成することができる。一実施形態では、基板46は、フラットパネルディスプレイを形成するものと同様のプロセスで形成することができる。
【0023】
視準層48は、発光素子54と個々に位置合わせされた複数のコリメータ56を画定する。一実施形態では、視準層48は、射出成形またはマイクロエンボス加工されたポリマーである。コリメータ56は、視準層48を通って垂直に伸長し、金属などの反射材料で裏打ちされた開口部とすることができる。
【0024】
小型レンズ層50は、発光素子54およびコリメータ56と個々に位置合わせされる複数の小型レンズ58を含む。小型レンズ層50は、図5に関して図示されるように、小型レンズ58の複数の層を含むことができる。視準層48と同様に、小型レンズ層50は、射出成形またはマイクロエンボス加工されたポリマーでもよい。層48または50は、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アクリル、環状オレフィンコポリマー(COC)の1つまたは複数でありうる光学グレードポリマー、および他の光学グレードポリマーから形成されてもよい。
【0025】
アパーチャ層52またはプレートは、小型レンズ58、発光素子54、およびコリメータ56と個々に位置合わせされる複数のアパーチャ60を画定する。アパーチャは、金属層62でありうるマスク層62によって画定される。アパーチャ層52は、金属化されたガラスプレート52とすることができる。図示された実施形態では、金属層62は、ガラスプレート52の内側にある。金属層は、ガラスプレート52の表面上に薄膜蒸着のようなプロセスから形成されてもよく、その後、エッチングにより金属層62にアパーチャ60開口部60を画定する。アパーチャ60は、金属層62における開口部または透明な窓である。図示されているように、結像バー18の層は、発光素子54から構築平面24内のスポット64までの光路44を画定している。図示された実施形態では、アパーチャ層52は、約1ミリメートルの厚さを有することができる。
【0026】
図4は、結像バー18を製造する方法66の一部を示すフローチャートである。方法66の図示された工程は、必ずしも特定の連続した順序を示すものではない。図示された工程70、72、76、および80は、他の工程と非同期的に実行することができる。しかしながら、工程68、74、78、および80は、これらの工程が重ね合わせた層の順序であるため、順番に行われる傾向にある。
【0027】
68によれば、発光素子54のアレイ40を有する基板46が製造される。一実施形態では、基板46の製造は、フラットパネルディスプレイの製造と同様の方法で、発光素子54を基板上に直接作製する工程を含む。別の実施形態では、発光素子54は、基板46上の回路にワイヤボンディングされる前に、ピックアンドプレース操作を介して基板46取り付けられるディスクリートパッケージデバイスである。さらに別の実施形態では、LEDは、1つまたは複数の細長い基板に作製される「マイクロLED」と称される。
【0028】
70によれば、視準層48は、コリメータ56を画定するための開口部を備えて作製される。開口部は、放物線状または別の最適化された形状とすることができる。一実施形態では、視準層48は、ポリマーを射出成形することによって形成される。別の実施形態では、視準層48は、マイクロエンボス加工処理(金属マスターによって適用される熱および圧力)によって形成される。72によれば、反射材料が開口部上に堆積され、コリメータ56を画定する。一実施形態では、72は、金属の真空蒸着を含む。工程72はまた、金属の上へのパッシベーション材料の蒸着も含みうる。74によれば、コリメータ56が発光素子54に個々に位置合わせされた状態で、視準層48が基板上に取付けまたは積層される。
【0029】
76によれば、小型レンズ層50が製造される。視準層48と同様に、小型レンズ層50は、射出成形、マイクロエンボス加工、または別のプロセスを使用して製造することができる。工程76はまた、小型レンズ上への1つまたは複数の光学コーティングの堆積を含んでもよい。78によれば、小型レンズ層50は、小型レンズ58がコリメータ56に個々に位置合わせされた状態で、視準層48の上に取付けまたは積層される。
【0030】
80によれば、アパーチャマスクがアパーチャ層52上にパターン加工される。例示的な実施形態では、工程80は、ガラスプレート上に金属マスク層62(クロムなど)をパターン加工し、アパーチャプレート52を提供する工程を含む。これは、薄膜蒸着プロセスを用いてアパーチャプレート52に金属マスク層62を重ね、その後、金属マスク層62を選択的にエッチング除去してアパーチャ60を画定することによって達成することができる。したがって、アパーチャ60は、金属マスク層62がエッチング除去されるスポットによって画定される。82によれば、アパーチャ層52が、アパーチャ60が小型レンズ58と個々に位置合わせされた状態で、小型レンズ層50の上に取り付けられる。
【0031】
図5は、発光素子またはLED54と構築平面24上のスポット64との間の光路44の一実施形態を示す図である。図示された実施形態では、LED54は、広い円錐角を有する光を照射する。このため、コリメータ56を使用しないと、LED54からの光のごく一部しかスポット64に結像されない。
【0032】
コリメータ56は、偏角(off-angle)光を反射して方向転換し、小型レンズ58および開口部60を通過してスポット64に到達させる反射面84を有する。図示された実施形態では、表面84は放物線形状を有するが、他の最適化された表面形状が可能である。例示的な実施形態では、コリメータ56は、約5ミリメートルであるZに沿った長さLを有する。コリメータ56は、偏角光線を方向転換するのにより効果的なアスペクト比(幅に対する長さまたは直径に対する長さ)を有する。アスペクト比は、3より大きい、4より大きい、または約5でもよい。
【0033】
小型レンズ58は、コリメータ56からのビームの焦点をスポット64に合わせる。アパーチャ60は、スポット64に集約されない偏角光線を排除する。例示的な実施形態では、スポットは、約0.15ミリメートルの横寸法を有する。
【0034】
図6は、三次元物品103を作製するための三次元プリントシステム102の第2の実施形態の概略図である。システム102は、光硬化樹脂106を含む樹脂容器104を備える。電動構築平面108は、樹脂106内に配置され、三次元物品103を支持するための上面110を有する。エレベータ機構112は、電動構築平面108に接続されている。分配モジュール114は、三次元物品103の上面118上に樹脂106の層116を分配するように構成されている。
【0035】
結像バー18は、樹脂層116の上に配置され、概して下向きの方向に放射線を照射するように構成されている。結像バー18は、1つまたは2つの軸に沿って構築平面122に対して結像バーの横方向の動きを与えるキャリッジ120に連結されている。この横方向の動きにより、結像バー18は構築平面122に対処することができ、物品3の上面118上に樹脂を選択的に硬化させる。図示された実施形態では、分配モジュール114およびキャリッジ120は、スライダロッド124に沿って平行移動する。
【0036】
結像バー18は、放射線を上向きではなく下向きに照射するように逆さにされていることを除いて、図1~5に示されているのと同様である。先の図に示されているように、結像バー18は、構築平面122から10ミリメートル未満または5ミリメートル未満である出口面45を有する。例示的な実施形態では、出口面45から構築平面122までの距離Dは、3~4ミリメートルの範囲でもよい。結像バー18が樹脂の上を通過すると、樹脂のフィルムが出口面45上に蓄積され得る。
【0037】
サービスモジュール126は、樹脂容器104の側面でスライダロッド124に沿って配置される。キャリッジ120は、スライダロッド124に沿って平行移動し、結像バー18をサービスモジュール126内に配置することができる。サービシングモジュール126は、出口面45から蓄積された樹脂を除去するように構成されている。サービシングモジュール126は、出口面45上に剥離層または酸化剤を堆積させて、樹脂106が出口面45上で付着および/または硬化することを防止するよう構成されてもよい。
【0038】
サービスモジュール126は、出口面45から樹脂残留物を除去するためのワイパー(図示せず)および/または他の機能を含むことができる。ワイパーは、固定式または可動式のワイパーブレードまたは回転式ワイパーを含むことができる。サービスモジュール126はまた、出口面45上に酸化剤を分配するディスペンサ(図示せず)を含むことができる。
【0039】
コントローラ128は、エレベータ機構112、分配モジュール114、キャリッジ120、結像モジュール18、およびサービスモジュール126に連結され、これらを制御するように構成されている。コントローラは、情報記憶装置に連結されたプロセッサを含む。情報記憶装置は、コンピュータ可読プログラムコード部分を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0040】
プロセッサによる実行に応答して、コンピュータ可読プログラムコード部分は、システム102の一部を操作して、少なくとも以下の工程を実行する:(1)エレベータ機構を操作して、上面(110または118)を構築平面122に配置する工程;(2)キャリッジ120を操作して、走査軸Xに沿ってかつ構築平面122の特定領域上で結像バー18を走査する工程;(3)走査と同時に、結像バー18を操作して、構築平面122に沿って薄い樹脂層116を選択的に結像および硬化する工程;および(4)工程(1)~(3)を繰り返して、層ごとの態様で物品3の作製を完了する工程。一実施形態では、追加の工程が、走査の間に横軸Yに沿ったキャリッジの増分運動を含むことができる。別の実施形態では、単一の走査が、横軸Yに沿った構築平面122全体に対応する。
【0041】
プロセッサによる実行に応答して、コンピュータ可読プログラムコード部分は、システム102の一部を操作して、少なくとも以下の追加の工程を実行する:(A)キャリッジ124を操作して、結像バー18をサービスモジュール内に移動させる工程;および(B)サービスモジュール126を操作して、出口面45から樹脂残留物を除去する。いくつかの実施形態では、工程(B)はまた、出口面45上に剥離フィルムまたは酸化フィルムを堆積する工程を含むことができる。工程(A)および(B)は、物品3の作製中に構築平面122上に結像バー18を走査する前または後に生じてもよい。工程(A)および(B)は、清浄な出口面45を維持する任意の頻度で発生させることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記工程(B)は、以下の工程を含むことができる:(B1)ワイパーと出口面45との間に運動を付与し、出口面45から樹脂残留物を拭き取る工程;(B2)ディスペンサを操作して、出口面45上に剥離フィルムまたは酸化フィルムの層を分配する。このような実施形態の場合、サービスモジュール126は、ワイパー、ディスペンサ、および必要に応じて出口面に対して動きを与えるために必要な装置を含む。
【0043】
上記で説明した具体的な実施形態およびそのアプリケーションは、専ら説明目的のためのものであり、特許請求の範囲により包含される変更形態およびバリエーションを、除外するものではない。
【符号の説明】
【0044】
2 三次元プリントシステム
3 三次元物品
4 樹脂容器
6 樹脂
12 構築トレイ
16 エレベータ機構
18 結像バー
24 構築平面
28 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】