(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】改良型スティックフィットビットデザイン
(51)【国際特許分類】
B25B 15/00 20060101AFI20220324BHJP
F16B 23/00 20060101ALI20220324BHJP
B25B 23/10 20060101ALI20220324BHJP
B23C 5/12 20060101ALI20220324BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B25B15/00 610A
F16B23/00 U
B25B23/10 A
B23C5/12 Z
B23C3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021543185
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020014822
(87)【国際公開番号】W WO2020154522
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507065795
【氏名又は名称】アキュメント インテレクチュアル プロパティーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゴス,デイビッド,シー.
【テーマコード(参考)】
3C022
3C038
【Fターム(参考)】
3C022AA03
3C022AA10
3C038AA02
3C038BB04
(57)【要約】
ビットカッターは、ビットの切削に使用され、ここでビットカッターは、対応する締結具にあるくぼみの構成に合致する。結果的に得られるビットは、複数の接触線に沿って、締結具のくぼみの上部に接触する。接触が単なる点ではなくて、複数の線に沿って存在するという事実は、ビットと締結具との間の摩擦性付着力、すなわち「スティックフィット」の改善をもたらす。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具システムであって、
ヘッドを備える締結具であって、くぼみが前記ヘッド内に設けられ、ある構成を備え、前記くぼみが上部を備える締結具と、
前記締結具の前記くぼみの葉と溝の両方に沿って、複数の線に沿って前記くぼみの前記上部と接触するように構成されたビットであって、前記複数の接触線が前記ビットと前記締結具との間に摩擦性付着力を提供するビットとを備える、締結具システム。
【請求項2】
前記締結具の前記くぼみの前記構成に合致するビットカッターをさらに備え、前記ビットカッターがテーパーおよび輪郭を備え、前記輪郭が前記テーパーに沿って進行する、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項3】
前記締結具の前記くぼみが、葉および溝を含む、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項4】
前記ビットが、前記締結具の前記くぼみの前記葉と前記溝の両方に沿った前記複数の接触線に沿って、前記くぼみの前記上部に接触するように構成される、請求項3に記載の締結具システム。
【請求項5】
各接触線が曲線状である、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項6】
各接触線が、前記葉のうちの一つの端部を横切って延在するだけでなく、隣接する溝に向かう前記葉の前記一つの側面を横切って、またそれに沿って延在する、請求項3に記載の締結具システム。
【請求項7】
前記くぼみの前記溝が、前記葉よりも深い、請求項3に記載の締結具システム。
【請求項8】
前記締結具の前記くぼみが、六つの葉および六つの溝を含む、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項9】
前記締結具の前記くぼみが、五つの葉および五つの溝を備え、不正操作防止を提供するように構成される、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項10】
前記締結具の前記くぼみが中央を有し、不正操作防止を提供するように構成されたポストを前記くぼみの前記中央に備える、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項11】
前記ビットが開口部を有する端部を備え、前記開口部が、前記ビットが前記締結具の前記くぼみに係合される時に、前記くぼみの前記中央で前記ポストを受けるように構成される、請求項9に記載の締結具システム。
【請求項12】
前記ビットと前記締結具との間の前記複数の接触線が、前記ビットと前記締結具との間の摩擦性付着力を提供する、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項13】
前記ビットの断面構成直径がテーパー付きカッター経路に沿って変化する、請求項2に記載の締結具システム。
【請求項14】
前記締結具の前記くぼみが、葉および溝を備え、前記ビットが、前記締結具の前記くぼみの前記葉と前記溝の両方に沿った前記複数の接触線に沿って、前記くぼみの前記上部と前記締結具のくぼみに沿って接触するように構成され、各接触線が曲線状であり、各接触線が、前記葉の一方の端部を横切って延在するだけでなく、隣接する前記葉に向かう前記溝の前記一つの側面を横切って、またそれに沿って延在する、請求項1に記載の締結具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月24日に出願された米国仮出願番号第62/796,440号の利益を主張するもので、その全文を参照し本書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
締結具業界では、用語「スティックフィット」は、締結具および対応するドライバー(すなわち、ビット)が、ドライバーと締結具との間に摩擦性付着力が存在するように集合的に構成される特徴を描写するために使用される。その結果、締結具は、ドライバーに取り外し可能なように係合され、ドライバーおよび締結具をユニットとしてまとめて操作して、届きにくい場所への締結具の設置を可能にすることができる。摩擦性付着力にもかかわらず、締結具が取り付けられると、ドライバーは締結具から容易に離脱されうる。
【0003】
多くの既存の締結具システムは、(接触線ではなく)締結具のヘッドのビットとくぼみとの間の複数の非連続的な接触点、典型的にはくぼみの上部に依存する。
【0004】
‘667特許に開示されているような多葉式締結具システム(すなわち、ビット駆動構成)を作製するための最も一般的な方法は、個々の葉カッターおよび溝カッターを使用して、それぞれの葉および溝をそれぞれ個別に切削する方法である。典型的に、カッター輪郭は、ビット駆動構成に合致するが、ビット駆動構成は、通常は寸法平行オフセットの形態である対応するくぼみ構成とは異なる。
【0005】
「スティックフィット」が望ましい状況では、典型的には、複数の非連続的接触点を確保するために、カッターの輪郭が修正される(
図1および2を参照のこと。図中、(
図1では、クリアランスが視覚的に識別しにくいという事実はあるが)ビット12とくぼみ14との間の接触点は、参照番号10で示され、溝と葉の中心線間のクリアランスは、参照番号11で示されている)。場合によっては、結果として生じる接触点は、特に大型の重い締結具に関しては、締結具の重量によって締結具がビットから外れる傾向があるため、摩擦性付着力または「スティックフィット」を一定に保つための十分な表面接触領域を提供しない。同様に、超小型または小型の締結具に関して適切なスティックフィットを達成することは、こうした締結具は非常に浅いくぼみを有し、深く貫入できないという事実のために、しばしば困難である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、締結具とビットとの間に、より強化されたスティックフィット係合を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、単なる接触点とは対照的に、締結具のヘッド内にあるビットとくぼみとの間の接触線を提供する。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、大きめの重い締結具および小さめの小型締結具の両方に関して満足のいくスティックフィットが達成できるように、締結具のヘッドのビットとくぼみとの間の適切な表面積の接触を提供する、締結具システムを提供する。
【0009】
簡潔に述べると、本発明の一実施形態は、対応する締結具のくぼみの構成に合致するビットカッターの使用を提供する。ビットカッターの輪郭は、テーパーに沿って進行し、最終的に形成されるビットは、複数の接触線に沿って(すなわち、締結具のくぼみの葉および溝の両方に沿って)くぼみの上部に接触するように構成される。単なる接触点ではなく、結果的に複数の接触線が生じるという事実は、二つの構成要素の間の接触点のみを提供する先行技術の構成と比較して、ビットと締結具との間の摩擦性付着力または「スティックフィット」の改善をもたらす。接触線を提供することは、締結具が大きく重いか、または小さく小型であるかによらず、満足のいくスティックフィットを達成できる可能性を増大させ、また接触線は、締結具のサイズに関係なく、より強化されたスティックビットの係合を提供する。
【0010】
本発明の構造および動作の構成および様式は、そのさらなる目的および利点と共に、添付図面に関連して取得される以下の説明を参照することによって最もよく理解されうるものであり、ここで、同様の参照番号は、同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、くぼみと係合するビットを示し、図中、係合は先行技術による接触点を提供する。
【
図2】
図2は、
図1に示すくぼみとしてのビットの係合の断面図である。
【
図3】
図3は、締結具のヘッド内に提供されたたくぼみを示す。
【
図5】
図5は、
図3のくぼみと係合した
図4のビットを示し、図中、係合は本発明の実施形態による接触線を提供する。
【
図6】
図6は、
図4に示すビットを作製する方法を示すフローチャートであり、ここで、方法は本発明の実施形態によるものである。
【
図7】
図7は、
図4に示すビットを形成するために使用できるカッターを示す。
【
図8】
図8は、
図7に示すカッターの輪郭を示し、図中、輪郭は、本発明の実施形態により
図3に示すくぼみに対応する。
【
図9】
図9は、
図3に示すくぼみに関連するいくつかの寸法を示す。
【
図12】
図12は、五葉式の不正操作防止スティックフィットビットを形成するために使用されるカッターを示す。
【
図14】
図14は、小型の不正操作防止ビットを形成するために使用されるカッターを示す。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態を示し、図中、実施形態は、事実上、米国特許第9,562,557号に開示されている締結具システムに関連する。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態を示し、図中、実施形態は、事実上、米国特許第9,562,557号に開示されている締結具システムに関連する。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態を示し、図中、実施形態は、事実上、米国特許第9,562,557号に開示されている締結具システムに関連する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、異なる形態での実施形態が可能である場合があるが、本開示が本発明の原理を例証するものとみなされ、図示されるものに本発明を限定することは意図されないという理解とともに、特定の実施形態が図面に示され、また本明細書で詳細に記述されている。
【0013】
図3は、締結具24のヘッド22内に提供されたくぼみ20を示し、
図4は、ビット26を示し、
図5は、
図3のくぼみ20と係合した
図4のビット26を示す。ここで、この係合は、
図1および
図2に示す、また先行技術によって提供される、単なる接触点10ではなく、本発明の一実施形態による接触線(参照番号28で示す)を提供する。本明細書で論じるように、接触線に関しては、各接触線は任意の曲線構造でありえ、単一の直線形状や曲面形状に限定されることは意図されない。
【0014】
単なる接触点(
図1および
図2に示す)ではなく、結果的に複数の接触線(
図5に示す)が生じるという事実は、二つの構成要素の間の接触点のみを提供する先行技術の構成と比較して、ビットと締結具との間の摩擦性付着力または「スティックフィット」の改善をもたらす。接触線を提供することは、締結具が大きく重い(5/16インチ(M8)より大など)、または小さく小型(#2-0.086インチ(M2)未満など)のいずれかであるかによらず、満足のいくスティックフィットを達成することができ、接触線は、締結具のサイズに関係なく、より強化されたスティックビットの係合を提供する。
図5に示すように、接触線は、A寸法(すなわち、葉の端部)のみを横切るのではなく、隣接する溝に向かうそれぞれの葉の側面を横切って、またそれに沿って延在することが好ましい。
【0015】
本発明の実施形態は、
図4に示すようなビット26を形成する方法を提供し、ここで、ビット26は、
図1および2に示すような接触点10ではなく、
図5に示すような接触線28に沿って、くぼみ20と接触するように構成される。
【0016】
図6のフローチャートに示すように、まずブランクが提供され、次に、
図4に示すビット26を形成するために、ブランクに対して葉30および溝32を切削するためにビットカッターが使用される。
【0017】
図7は、
図6に示す方法に関連して使用できるビットカッター40を示す。ビットカッター40は、溝32のテーパーに沿って、かつ中心線33に沿って切削するために使用されることが好ましく(
図8を参照)、それぞれの溝に対してプロセスが繰り返される。
【0018】
図8に示すように、カッター40の輪郭は、ビット26が最終的に係合するよう構成される、締結具24(
図3を参照)のくぼみ20の輪郭に合致する。その結果、
図4に示すビット26がその後、
図3に示す締結具24のくぼみ20に係合されると、ビット26は、
図1および2に示すような単なる接触点10ではなく、
図5に示すような接触線28に沿って、くぼみ20の上部に近接する締結具24と接触する。
【0019】
カッター40が、ビット26(
図4を参照)を作製するために使用される一方、パンチピンが、締結具(
図3を参照)のヘッド内のくぼみをパンチするために使用されるが、それらの両方について、以下でさらに詳細に説明する。
【0020】
図9~
図11は、ビット、カッター、くぼみ、パンチピンなどの任意の輪郭に効果的に関連しうるいくつかの寸法を示す。以下のくぼみパラメータのいずれかが
図9~
図11のいずれかで使用される限りにおいて、それのパラメータは以下を意味する。Aは、くぼみ構成の外接直径に関する。Bは、くぼみ構成の内接直径に関する。Faは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)からくぼみ構成の外接直径までのくぼみの葉の高さ(Fa)に関する。Fbは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)におけるくぼみ構成の葉の円弧幅(Fb)に関する。Eaは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)からくぼみ構成の内接直径(B)までのくぼみの溝の深さ(Ea)に関する。Ebは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)におけるくぼみ構成の溝の円弧幅(Eb)に関する。Pは、公称くぼみ構成の葉の円弧幅(Fb)がくぼみ構成の溝の円弧幅(Eb)と等しいくぼみのインボリュートピッチ半径(P)に関連する。Sは、Pと等しい。Gnは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)における、葉の中心線からのくぼみインボリュート回転角度(Gn)に関し、ここで、Gn=90/Nであり、式中、N=葉の数、例えば、N=6ではGn=15度である。Gmは、くぼみ葉の中心線とくぼみ溝の中心線との間の角度に関する(Gm=2Gn)。SSは、葉の横断寸法に関する。Grは、公称くぼみ葉の中心線からくぼみの第一の多角形セグメントの始点までのくぼみのインボリュート総回転角に関する。Gは、くぼみの多角形セグメントの掃引角度に関する。第一の多角形セグメントは、くぼみの始点であり、第一の多角形セグメントは、くぼみのインボリュート総回転角(Gr)とくぼみ構成の内接直径(B)の交点から始まる。第二の多角形セグメントは、くぼみの第二の多角形セグメントの始点に関し、くぼみの第一の多角形セグメントと第二の多角形セグメントの頂点にある。R1は、くぼみの第一の多角形セグメントの始点から始まり、くぼみの第一の多角形セグメントと第二の多角形セグメントの頂点の中心を有する、くぼみの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)に関する(注:くぼみR1=ビットR1)。R2は、くぼみの第二の多角形セグメントの端部の中心を有する、くぼみR1の端部で始まる、くぼみの第二の多角形インボリュート半径弧(R2)に関する(注:くぼみR2=ビットR2)。ここで、くぼみの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)の中心は、くぼみの第二の多角形セグメントの先頭にあり、くぼみの第二の多角形インボリュート半径弧(R2)の中心は、くぼみの第二の多角形セグメントの端部にある。Raは、くぼみ構成の外接直径(A)の円弧セグメントと、くぼみの第二の多角形インボリュート半径弧(R2)との間のくぼみのコーナーブレンド半径に関する。およびRbは、くぼみの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)と、くぼみ構成の内接直径(B)を中心とする、くぼみ構成の溝平坦部との間のくぼみのフィレットブレンド半径に関する。
【0021】
以下のビットパラメータのいずれかが
図9~
図11のいずれかで使用される限りにおいて、それらのパラメータは以下を意味する。Arは、くぼみ構成の外接直径に関する。Brは、くぼみ構成の内接直径に関する。Aは、ビット構成の外接直径に関する。Bは、ビット構成の内接直径に関する。Faは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)からビット構成の外接直径(A)までのビットの葉の高さ(Fa)に関する。Fbは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)におけるビット構成の葉の円弧幅(Fb)に関する。Eaは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)からビット構成の内接直径(B)までのビットの溝の深さ(Ea)に関する。Ebは、くぼみのインボリュートピッチ半径(P)におけるビット構成の溝の円弧幅(Eb)に関する。Pは、くぼみのインボリュートピッチ半径に関する。SはPと等しい。Gmは、ビットの葉の中心線とビットの溝の中心線との間の角度に関する(Gm=2Gn)。SSは葉の横断寸法である。Gbは、公称のビットの葉の中心線からくぼみの第一の多角形セグメントの始点までのビットのインボリュート総回転角に関する。Gbは、公称のビットの葉の中心線からくぼみの第一の多角形セグメントの始点までのビットのインボリュート総回転角に関する。Gは、ビットの多角形セグメントの掃引角度に関する。ここで、ビットの第一の多角形セグメントの始点が、ビットのインボリュート総回転角(Gb)とビット構成の内接直径(B)の交点で始まり、またビットの第二の多角形セグメントの始点が、ビットの第一の多角形セグメントと第二の多角形セグメントの頂点で始まる。R1は、ビットの第一の多角形セグメントの始点で始まり、ビットの第一の多角形セグメントと第二の多角形セグメントの頂点を中心とする、ビットの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)に関する(注:くぼみR1=ビットR1)。ここで、ビットの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)の中心は、ビットの第二多角形セグメントの始点にあり、ビットの第二の多角形インボリュート半径弧(R2)の中心は、ビットの第二多角形セグメントの端部にある。Raは、ビット構成の外接直径(A)の円弧セグメントとビットの第二の多角形インボリュート半径弧(R2)との間のビットのコーナーブレンド半径に関する。およびRbは、ビットの第一の多角形インボリュート半径弧(R1)と、ビット構成の内接直径(B)を中心とする、ビット構成の溝平坦部との間のビットのフィレットブレンド半径に関する。
【0022】
本発明の一実施形態では、ビット形状およびくぼみ形状を含む駆動システムの形状は、すべての頂点が外側を向く凸多角形を使用したインボリュートの生成に基づく。
【0023】
図3に示すくぼみ20に関して、本発明の修正の一例では、A寸法が約0.10000インチであると仮定すると、B寸法は0.07700インチであることが好ましく、Fa寸法は0.00575インチであり、Fb寸法は0.2317インチであり、Ea寸法は0.00575インチであり、Eb寸法は0.02317インチであり、S寸法は0.04425インチであり、P寸法は0.04425インチである。別の実施例では、A寸法は約0.05000インチであり、B寸法は0.03550インチであり、Fa寸法は0.00363インチであり、Fb寸法は0.01119インチであり、Ea寸法は0.00363インチであり、Eb寸法は0.01119インチであり、S寸法は0.02138インチであり、P寸法は0.02138インチとなる。
【0024】
正確な寸法が上記では列挙されているが、駆動システムの構成要素(すなわち、締結具26のヘッド24のビット26および対応するくぼみ20)に関してだけでなく、それらの構成要素(すなわち、ビット上の駆動輪郭を形成するために使用されるカッター40、および締結具26のヘッド24のくぼみ20を形成するために使用されるパンチピン)を作製するために使用される構成要素に関しては、明らかに公差が役割を演じる。そのため、すべての寸法は、最小と最大の許容値の間の範囲を持つ(すなわち、例えば、A寸法は、Amin以上、Amax以下であることが好ましく、B寸法についても同様である)。
【0025】
好ましくは、カッター輪郭の寸法Aおよび寸法Bは、パンチピンの寸法Aおよび寸法Bと同一であり、最小値については、AおよびBの両方は許容可能な公差(すなわち、それぞれAminおよびBmin)の範囲内であるべきである。言い換えれば、パンチピンのA寸法は、ビットを形成するために使用されるカッター輪郭のA寸法と少なくとも同じ大きさであることが好ましい。同様に、パンチピンのB寸法は、ビットを形成するために使用されるカッター輪郭のB寸法と少なくとも同じ大きさであることが好ましい。概して、パンチピンの構成寸法は、くぼみ構成が、ヘッド成形後に、標的のくぼみ構成寸法内にあるようなサイズであることが好ましい。
【0026】
所与のビットが、本発明の目的を満たすための許容可能な寸法を有するかどうか(すなわち、接触点ではなく、対応するくぼみとの接触線を生成するかどうか)に関しては、ゲージが使用されることが好ましく、ここで試験のためにビット輪郭がゲージに挿入される。ゲージのA寸法およびB寸法は、カッター輪郭のA寸法およびB寸法と同一であることが好ましい。
【0027】
ビットに関して、ビットの断面構成直径がテーパー付きカッター経路に沿って変化し、完全なスティックフィット式ビット構成本体を生成するように、ビットに対して輪郭を作製するためにカッターが使用されることが好ましい。
【0028】
公称のくぼみ構成寸法は、少なくともパンチピン構成寸法と同一であり、したがって、スティックフィット式ビットカッター輪郭構成寸法と同一であることが好ましい。一般に、その意図は、パンチピン構成寸法が、公差内で「ヘッド成形時」のくぼみ寸法になることである。これにより、くぼみの上部に、スティックフィット式ビット構成とほぼ完全に整列して篏合するくぼみ構成がもたらされる。
【0029】
カッター輪郭は、その中心線が構成の溝の中心線と一致する、パンチピンの最小構成から効果的に切除されることが好ましい。カッターが溝の中心線に沿って移動する際の、スティックフィットの断面構成の変化により、完全なスティックフィット式ビット構成本体が生成される。
【0030】
図16~18は、本発明の一実施形態を示し、ここで実施形態は、米国特許第9,562,557号に開示されている締結具システムに事実上関連し、これを参照し本書に組み込む。
【0031】
‘557特許に開示されているように、締結具システムが提供されており、ここでくぼみは締結具内に提供され、またくぼみは、葉よりも深い溝を有する(すなわち、くぼみは拡大されたA寸法を有する)。その結果、亜鉛コーティングなどのコーティングが溝内に定着する余地がある。これにより、くぼみと対応するビットとの間で、より良好な嵌合がその後で達成される。
【0032】
図16~18は一貫しており、くぼみ50が、葉52よりも深い溝54を有するものとして提供された(次いで、亜鉛などのコーティングが塗布された)一実施形態を示す。図示したように、ビット56は本発明に従って形成されたため、接触線58は、ビット56の溝60とくぼみ50の葉52との間に(すなわち、B寸法に沿って)提供される。
図16は、くぼみ50と係合したビット56を示し、
図17は、ビット56が取り除かれた後のくぼみ50を示し、接触線がどこであったかを参照番号58で識別し、
図18は、くぼみ50の葉52およびビット56の溝60にわたる接触線58を識別する。
【0033】
ビットを作製するのにカッターが使用できることが説明されているが、押出成形またはその他の任意の許容可能なプロセスなど、他の適切なプロセスを代わりに使用することができる。
【0034】
締結具システム自体の正確な構成および寸法にかかわらず、本発明の一実施形態は、単なる接触点ではなく、二つの構成要素間の接触線を提供し、これはいくつかの利点を提供し、その一部が本明細書に記述されている。したがって、二つの構成要素間の接触線には、限定はされないが、外部駆動システム、すなわち、ステム、ヘッド、ソケット、内部または外部の変形の組み合わせ、均等または不均等な葉の幅、対称または非対称の構成、および本明細書に開示されている構成要素の形状を反転したものが含まれうる。
【0035】
米国および海外の両方での、TORX(登録商標)およびTORX PLUS(登録商標)についてのいくつかの商標登録は、本出願の出願人であるAcument Intellectual Properties, LLCが所有する。発明以来、TORX PLUS(登録商標)ブランドの駆動システムの性能は、市場に出回っている他のすべての駆動システムよりも一貫して優れている。工具寿命の延長と最適なトルク伝達により、製品の信頼性が向上し、生産性が向上し、世界中のさまざまな業界の組立ラインの総組立コストが削減される。TORX PLUS(登録商標)ブランドの駆動システムは、楕円を基にした形状、ゼロ度の駆動角、広い断面積を持つ六葉式、垂直サイドウォール、および低いくぼみ落差、および大幅に増大した強度および信頼性を有する。TORX PLUS(登録商標)ブランドの駆動システムは、その前身であるTORX(登録商標)ブランドの駆動システムの駆動ツールにも対応する。TORX PLUS(登録商標)ブランドの駆動システムとは対照的に、TORX(登録商標)ブランドの駆動システムは円筒形状をベースとした形状を有する。TORX(登録商標)ブランドの駆動システムは、米国特許第3,584,667号に記載と説明があり、およびTORX PLUS(登録商標)ブランドの駆動システムは、米国特許第5,207,132号および第5,279,190号に記載と説明がある。これら3件の米国特許の全文を参照し、本書に組み込む。本発明は、これら3件の特許に開示されているもの、ならびに米国特許出願公開第20180003241号(米国特許出願第15/704,887号に関連)に開示されているものなど、既存の任意の多葉式駆動システムに関連して使用することができ、これについてもまた、その全文を参照し本書に組み込む。
【0036】
六葉式駆動システムが
図3~5に示されているが、本発明の範囲内で異なる数の葉を提供することができる。例えば、本発明は、五葉式の不正操作防止駆動システムに関連して用いることができる。
図12は、不正操作防止のために五葉式の輪郭を有するビット26aを形成するために使用されるカッター40aを示し、
図13は、作製後のビット26aを示す。
図13に示すように、ビットは、くぼみの真ん中でポストを受けるように構成された端部に開口部を有してもよい。
【0037】
このような修正の一例では、ビット26aの輪郭に関して、A寸法がおよそ0.111100インチであると仮定すると、B寸法は0.08020インチであることが好ましく、Fa寸法は0.00770インチであり、Fb寸法は0.01533インチであり、Ea寸法は0.00770インチであり、Eb寸法は0.01533インチであり、S寸法は0.04780インチであり、P寸法は0.04780インチである。別の実施例では、A寸法は約0.070000インチであり、B寸法は0.50680インチであり、Fa寸法は0.04880インチであり、Fb寸法は0.09710インチであり、Ea寸法は0.04780インチであり、Eb寸法は0.09610インチであり、S寸法は0.30120インチであり、P寸法は0.30120インチとなる。
【0038】
上述のように、本発明は、米国特許第5,207,132号に開示されているものなど、既存の多葉式駆動システムに関連して使用することができる。
図14は、‘132特許に従って作製される、小型の不正操作防止ビット26bを形成するために使用されるカッター40bを示し、
図14は、作製された後のビット26bを示す。
【0039】
このような修正の一例では、ビット26bの輪郭に関して、A寸法がおよそ0.05800インチであると仮定すると、B寸法は好ましくは0.04320インチであることが好ましく、Fa寸法は0.00370インチであり、Fb寸法は0.00669インチであり、Ea寸法は0.00370インチであり、Eb寸法は0.00669インチであり、S寸法は0.02539インチであり、P寸法は0.02539インチである。別の実施例では、A寸法は約0.09420インチであり、B寸法は0.07220インチであり、Fa寸法は0.00550インチであり、Fb寸法は0.01101インチであり、Ea寸法は0.00550インチであり、Eb寸法は0.01101インチであり、S寸法は0.04160インチであり、P寸法は0.04160インチとなる。
【0040】
ビットに関するすべての実施形態に関して、ビットの輪郭を試験するためのゲージが提供されることが好ましく、ここでゲージは、ビットの端部を受けるように構成され、またビットは、ビットが止まるまでゲージ内に真直ぐに挿入される。その時点で、ゲージは挿入の深さを示し、この深さは、ビットが試験に合格するためには少なくとも特定の値でなければならない。例えば、およそ0.05800インチのA寸法を有するビットに関しては、ゲージへの挿入の深さは、0.014~0.019インチであることが好ましい。
【0041】
正確な葉の数、またはビットが不正操作防止として提供されるかどうかに関係なく、ビットに輪郭を形成するために、ビットカッターが使用されることが好ましく、ここでビットカッターは、ビットが係合するように構成される対応する締結具のくぼみの構成に合致する。ビットカッターの輪郭は、テーパーに沿って進行することが好ましく、最終的に形成されるビットは、複数の接触線に沿って(すなわち、締結具のくぼみの葉および溝の両方に沿って)、締結具のくぼみの上部に接触するように構成される。複数の接触線が生じるという事実は、二つの構成要素間の接触点のみを提供する先行技術の構成と比較して、ビットと締結具との間の摩擦性付着力または「スティックフィット」の改善をもたらす。接触線を提供することにより、ビットのサイズにもかかわらず、満足のいくスティックフィットを達成することができる。図面は、くぼみの周りの特定の位置での接触線を示すが、締結具システムは、代わりに他の領域で接触線を提供するように構成されてもよい。
【0042】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されてきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な改変を考案できることが想定される。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具システムであって、
ヘッドを備える締結具であって、くぼみが前記ヘッド内に設けられ、
垂直サイドウォールを有する葉および溝の構成を備え、前記くぼみが上部を備える締結具と、
前記締結具の前記くぼみの葉と溝の両方に沿って、複数の線に沿って前記くぼみの前記上部と接触するように構成されたビットであって、前記複数の接触線が前記ビットと前記締結具との間に摩擦性付着力を提供するビットとを備える、締結具システム。
【請求項2】
前記締結具の前記くぼみの前記構成に合致するビットカッターをさらに備え、前記ビットカッターがテーパーおよび輪郭を備え、前記輪郭が前記テーパーに沿って進行する、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項3】
各接触線が曲線状である、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項4】
各接触線が、前記葉のうちの一つの端部を横切って延在するだけでなく、隣接する溝に向かう前記葉の前記一つの側面を横切って、またそれに沿って延在する、請求項
1に記載の締結具システム。
【請求項5】
前記くぼみの前記溝が、前記葉よりも深い、請求項
1に記載の締結具システム。
【請求項6】
前記締結具の前記くぼみが、六つの葉および六つの溝を含む、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項7】
前記締結具の前記くぼみが、五つの葉および五つの溝を備え、不正操作防止を提供するように構成される、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項8】
前記締結具の前記くぼみが中央を有し、不正操作防止を提供するように構成されたポストを前記くぼみの前記中央に備える、請求項1に記載の締結具システム。
【請求項9】
前記ビットが開口部を有する端部を備え、前記開口部が、前記ビットが前記締結具の前記くぼみに係合される時に、前記くぼみの前記中央で前記ポストを受けるように構成される、請求項
7に記載の締結具システム。
【請求項10】
前記ビットの断面構成直径がテーパー付きカッター経路に沿って変化する、請求項2に記載の締結具システム。
【請求項11】
前記ビットが、前記締結具の前記くぼみの前記葉と前記溝の両方に沿った前記複数の接触線に沿って、前記くぼみの前記上部と前記締結具のくぼみに沿って接触するように構成され、各接触線が曲線状であり、各接触線が、前記葉の一方の端部を横切って延在するだけでなく、隣接する前記葉に向かう前記溝の前記一つの側面を横切って、またそれに沿って延在する、請求項1に記載の締結具システム。
【国際調査報告】