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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】核酸抽出装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220324BHJP
   C12M 1/32 20060101ALI20220324BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/32
C12N15/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544334
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2019119366
(87)【国際公開番号】W WO2020181825
(87)【国際公開日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】201910184157.7
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920311623.9
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517101414
【氏名又は名称】陳輝
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】陳輝
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB01
4B029CC01
4B029DG08
4B029GA03
4B029GB05
4B029HA06
4B029HA09
(57)【要約】
本発明は、核酸抽出装置を開示し、テーブルを備える作業台、さらに摺動台、サンプルホルダー、試薬ストリップホルダー、ピペッティングテーブル、ピストンアセンブリおよびチップアセンブリを備える。核酸抽出装置は、摺動台とピペッティングテーブルを備え、摺動台にサンプルホルダーと試薬ストリップホルダーが設けられ、ピペッティングテーブルにそれぞれピストンアセンブリとチップアセンブリが設けられ、サンプルホルダーにはサンプル穴があり、試薬ストリップホルダーには収納溝があり、収納溝の数はサンプル穴に1対1で対応しており、試薬ストリップが各収納溝に収納されている場合、各試薬ストリップの第1吸引穴、第2吸引穴および各試薬穴は対応するサンプル穴に向かい、これにより、ピペッティングテーブルが摺動台に対する上下の動き、または摺動台がピペッティングテーブルに対する横方向の動きを通して、チップアセンブリおよびチップの装填およびサンプルと各種試薬の吸引、注入および混合を実現し、さらに核酸抽出の自動操作を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸抽出装置であって、テーブル(10)を備える作業台(1)を備え、さらに、前記テーブル(10)に設置され、摺動アセンブリ(22)の駆動下で前記テーブル(10)に沿って摺動できる摺動台(21)と、
前記摺動台(21)に設置され、その上に摺動台(21)の摺動方向に垂直方向に沿って並列に設置するサンプル穴(31)を備えるサンプルホルダー(3)と、
前記摺動台(21)に設置され、その上に試薬ストリップ(7)を収納するための収納溝(213a)が設置され、かつ、該収納溝(213a) の数は前記サンプル穴(31)の数と一致し、前記試薬ストリップ(7)は直線に設置する第1吸引穴(71)、第2吸引穴(72a、72b)および試薬穴を備え、その中で、該第1吸引穴(71)はチップアセンブリの収納に使用され、第2吸引穴(72a、72b)はチップ(82)の収納に使用され、試薬穴は希釈液を収納するための第1試薬穴(73)、洗浄液を収納するための第2試薬穴(74a、74b、74c、74d)、溶出液を収納するための第3試薬穴(75)、および目標物質を貯蔵するための第4試薬穴(76)を備え、各前記収納溝(213a)にそれぞれ試薬ストリップ(7)を収納した状態下で、各前記試薬ストリップ(7)の前記第1吸引穴(71)、第2吸引穴(72a、72b)および各前記試薬穴はそれぞれ対応するサンプル穴(31)に向かう試薬ストリップホルダー(213)と、前記テーブル(10)のスタンド(12)に水平に固定し、昇降アセンブリ(64)の駆動により前記摺動台(21)に対して上下に昇降することができるピペッティングテーブル(4)と、
前記ピペッティングテーブル(4)に設置され、ピストンアセンブリ(62)とピストン駆動装置(61)を備え、前記ピストンアセンブリ(62)の数は前記サンプル穴(31)の数と一致し、各前記ピストンアセンブリ(62)はピストンチューブ(622)と前記ピストンチューブ(622)に埋め込まれ、前記ピストンチューブ(622)の内壁に沿って上下に移動できるピストン(621)を備え、かつ、前記ピストンチューブ(622)は前記ピペッティングテーブル(4)に垂直に穿設され、前記ピストンチューブ(622)の下端に前記チップ(82)を挿入および接続するための第1継手(621a)が形成され、前記ピストン駆動装置(61)は各前記ピストンアセンブリ(62)の前記ピストン(621)を駆動して対応するピストンチューブ(611)に沿って上下に移動することができるピストンアセンブリと、
接続ピペット(91)と真空ポンプ(5)を備え、該接続ピペット(91)の数は前記サンプル穴(31)の数と一致し、各前記接続ピペット(91)は前記ピペッティングテーブル(4)に穿設され、かつ前記接続ピペット(91)上端はそれぞれ真空ポンプ(5)に連通し、下端には前記チップアセンブリを挿入および接続するための第2継手(911)が形成されるチップアセンブリとを備えることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸抽出装置であって、前記摺動台(21)にさらに前記サンプルホルダー(3)を加熱するための加熱装置が設置されていることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1または2に記載の核酸抽出装置であって、さらに各試薬穴のシールを突き刺すための突き刺しアセンブリを備え、該突き刺しアセンブリは突き刺しフレーム(141)と前記突き刺しフレーム(141)に取付けている突き刺しヘッド(12)を備え、該突き刺しヘッド(14)は前記サンプル穴(31)と一致し、前記ピストン(621)はピストンフレーム(63)に取付けられ、該ピストンフレーム(63)はピストン駆動装置(61)の出力軸に固定され、前記突き刺しフレーム(141)は前記ピストンホルダー(63)に固定されていることを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸抽出装置であって、前記真空ポンプ(5)は複数があり、かつ、前記ピストンアセンブリ(62)に1対1で対応し、前記ピストンホルダー(63)には吸引継手(92)が設置され、該吸引継手(92)の数はピストンアセンブリ(62)に1対1で対応し、かつ各吸引継手(92)は吸引継手ホルダー(65)に穿設され、各前記吸引継手(92)の一端の継ぎ口と対応する真空ポンプ(5)上の継ぎ口は接続管を介して接続され、他端の継ぎ口と接続ピペット(91)の上端の継ぎ口は、接続管を介して接続されることを特徴とする。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸抽出装置であって、前記テーブル(10)には取付フレーム(51)が設置され、各前記真空ポンプ(5)は該取付フレーム(51)に配置していることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1または2に記載の核酸抽出装置であって、前記摺動アセンブリ(22)は第1スライダ(227)、第1スライドレール(226)、押え板(225)、摺動モーター(221)、タイミングベルト(224)、駆動プーリー(222)および従動プーリー(223)を備え、前記第1スライダ(227)は摺動台(21)の底部に固定され、前記第1スライドレール(226)は前記テーブル(10)の表面に固定され、第1スライダ(227)は第1スライドレール(226)に沿って前後に摺動することができ、前記摺動モータ(221)はテーブル(10)の表面に固定され、前記駆動プーリ(222)は前記摺動モータ(221)の出力軸に固定され、前記従動プーリー(223)はテーブル(10)の表面に取付けられ、タイミングベルト(224)は前記駆動プーリー(222)と前記従動プーリー(223)の間に張力がかかっており、前記押え板(225)は摺動台(21)の一側に固定され、タイミングベルト(224)に押し付けることを特徴とする。
【請求項7】
請求項1または2に記載の核酸抽出装置であって、前記昇降アセンブリ(64)は昇降モータ(641)、昇降スクリュー(642)および昇降台(643)を備え、前記スタンド(12)は門型フレーム(121)と門型フレーム(121)の天板に固定される縦板(122)を備え、前記昇降モータ(641)は前記縦板(122)の上端に取付けられ、該縦板(122)は前記昇降モータ(641)の下に垂直に延長する第1スライドレール(122b)とスライド穴(122a)を設置し、前記昇降スクリュー(642)は垂直に設置され、かつ、その上端は前記昇降モータ(641)の出力軸に接続され、下端は前記門型フレーム(121)の天板に接続し、前記昇降台(643)は前記スライド穴(122a) を介して前記縦板(122)に穿設され、かつ、その前端は前記ピペッティングテーブル(4)に固定され、後端は前記昇降スクリュー(642)に覆設され、かつ、該昇降スクリュー(642)とねじ伝動ペアを構成し、かつ、該昇降台(643)に第2スライダ(644)が設けられ、前記昇降モータ(641)がスクリュー(642)を回転させるように駆動するとき、昇降スクリュー(642)は昇降台(643)を駆動することができ、それにより、第2スライダ(644)を前記第2スライドレール(122b)に沿って上下に摺動させ、昇降台(643)の対応部分は前記スライド穴(122a)に沿って上下に移動することができることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1または2に記載の核酸抽出装置であって、前記試薬ストリップ(7)はキャリアボード(70)を備え、該キャリアボード(70)のその長手方向に沿って複数の第1貫通孔(701)と第2貫通孔(702)が並列に設置され、該キャリアボード(70)の一側から第1貫通孔(701)に1対1で対応する管体(703)が突き出ており、同時に該キャリアボード(70)の一側から前記第2貫通孔(702)に1対1で対応するスリーブ(704)が突き出ており、かつ、各管体(703)の管口はそれぞれ第1貫通孔(701)に向かい、スリーブ(704)の開口部はそれぞれ対応する第2貫通孔(701)に向かい、それによって、それぞれ第1吸引穴(71)、第2吸引穴(72a、72b)および各試薬穴を形成することを特徴とする。
【請求項9】
請求項8に記載の核酸抽出装置であって、前記キャリアボード(70)の両側にそれぞれ第1接続部品(78)と第2接続部品(77)が設置され、該第1接続部品(78)と第2接続部品(77)は取外し可能に接続されることを特徴とする。
【請求項10】
請求項9に記載の核酸抽出装置であって、前記第1接続部品(78)は接続柱であり、前記第2接続部品(77)は前記接続柱を挿入するための接続スリーブであることを特徴とする。
【請求項11】
請求項1または2に記載の核酸抽出装置であって、前記チップアセンブリはフィルターチップ(83)と使い捨てキャピラリーピペット(81)を備え、吸着フィルター(830)は前記フィルターチップ(83)に埋め込まれ、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)の上端は前記接続ピペット(91)の下端に覆設され、かつ前記フィルターチップ(83)の上端口に嵌入され、かつ、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)は前記フィルターチップ(83)内で、かつ前記吸着フィルター(830)の上方にあることを特徴とする。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸抽出装置であって、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)の下端は前記吸着フィルター(830)の上下に対応することを特徴とする。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸抽出装置であって、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)の下端と前記吸着フィルター(830)の上面との距離は0~10mmであることを特徴とする。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸抽出装置であって、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)の下端と吸着フィルター(830)の上面との間の距離は2~5mmであることを特徴とする。
【請求項15】
請求項11に記載の核酸抽出装置であって、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)は上端にある第1部分(811)と下端にある第2部分(812)を備え、その中で、その中で、該第1部分(811)は接続ピペット(91)に覆設され、該第2部分(812)の管径は、液体が吸引の作用下で前記使い捨てキャピラリーピペット(81)をスムーズに通過させることができることを特徴とする。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸抽出装置であって、前記第1部分(811)の管体の管径は0.5~2.0mmである。
【請求項17】
請求項11に記載の核酸抽出装置であって、前記使い捨てキャピラリーピペット(81)の上端口の縁部は前記フィルターチップ(83)の上端口の縁部よりも低いであることを特徴とする。
【請求項18】
請求項11に記載の核酸抽出装置であって、前記フィルターチップ(83)の上端の内周面には、円周方向に沿って凸状リング(831)が設置され、該凸状リング(831)は使い捨てキャピラリーピペット(81)に対応する部分の外周面に当接することを特徴とする。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸抽出装置であって、前記凸状リング(831)は、少なくとも2つ設置され、かつ、各前記凸状リング(831)は間隔を置いて上下に設置されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、出願人の陳輝が2019年3月12日に中国特許庁に提出した、出願番号は201910184157.7、発明の名称は「核酸抽出装置」である中国発明特許出願および出願人は同出願日に中国特許庁に提出した、出願番号は201920311623.9、発明の名称は「核酸抽出装置」である中国実用新案特許出願の優先権であり、この出願のすべての内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バイオテクノロジー分野に関し、特に核酸抽出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
核酸抽出は、ライフサイエンスの研究、バイオテクノロジーの応用および遺伝子診断において非常に重要な技術であり、初期段階の核酸抽出は、核酸の不純物やエタノール沈殿を除去するためのフェノール-クロロホルム抽出の原理に基づいていたが、この方法は非常に面倒である。
【0004】
現在、市販の核酸抽出方法は、主に固相吸着法を採用しており、すなわち、特定の条件下(pH、特定の塩など)において、核酸分子を特定の固相吸着剤の表面に吸着させ、そして溶出する精製方法である、主に次の2つの方法がある:(1) スピンカラム法:シリコン含有材料または核酸を吸着できる他の固体を媒体としてスピンカラムに装填し、そして、結合剤としてグアニジン塩などのカオトロピック塩を使用し、核酸分子がスピンカラムを通過すると、固相に吸着され、エタノールを含む溶液で不純物を除去し、最後に低塩溶液で核酸を溶出することである。この方法は抽出効率が高く、抽出効果が高く、シンプルで便利であり、現在最も使用されている核酸精製方法である、その欠点は、抽出時に繰り返し遠心分離を必要とすることで、ハイスループットで自動化された操作には不便である。(2) 磁気ビーズ法:表面にシリコン材料がありまたは核酸を結合することができる他の材料の磁性ミクロスフェアを固相担体として、カオトロピック塩(塩酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジンなど)と外部磁場の作用により、サンプルからDNAとRNAを分離することである。この方法は、自動化とハイスループット操作を簡単に実現できるが、コストが高く、抽出や遺伝子の検査にかなり時間がかかるので、医師や患者が適時に検査結果を得ることができない欠点がある。磁気ビーズの化学的安定性が低く、抽出効率は影響を受けやすく、抽出効果は、サンプル、メーカー、製品ロットによって大きく違い、抽出と精製結果も不安定である。さらに、磁気ビーズ抽出時に磁気ビーズを繰り返し洗浄すると、相互汚染が発生しやすくなり、偽陽性の結果が生じる場合もある。特許番号ZL201620294747.7(公認発表番号CN205635634U)の中国発明特許、および特許番号ZL201610687392.2(公認発表番号CN205635634U)の中国発明特許で開示された核酸抽出装置など、既存の核酸自動抽出装置は、一般に上記の磁気ビーズ法を採用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、従来技術に対して、構造がシンプルで、使用しやすい核酸抽出装置を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、従来技術に対して、核酸抽出純度が高い核酸抽出装置を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする第3の技術的課題は、従来技術に対して、核酸抽出にサンプル間の相互汚染が発生しない核酸抽出装置を提供することである。
【0008】
上記の技術的課題を解決するために本発明が採用された技術的解決策は、以下である:核酸抽出装置であって、テーブルを備えた作業台を含み、さらに以下を備えることを特徴とする。
【0009】
テーブルに設置され、スライドコンポーネントの駆動下でテーブルに沿って前後にスライドできる摺動台と、
【0010】
摺動台に設置され、摺動台のスライド方向に垂直する方向に沿ってサンプルチューブを配置するための複数のサンプル穴を並列に設置したサンプルホルダーと、
【0011】
摺動台に設置され、その上に試薬ストリップの収納溝が設置され、かつ、収納溝の数はサンプル穴と一致する試薬ストリップホルダーと、
【0012】
試薬ストリップはそれぞれ、直線に設置される第1吸引穴、第2吸引穴および試薬穴を備え、該第1吸引穴はチップアセンブリの収納に使用され、第2吸引穴はチップの収納に使用され、試薬穴には、希釈液を収納する第1試薬穴、洗浄液を収納する第2試薬穴、溶出液を収納する第3試薬穴および目標物質を貯蔵するための第4試薬穴を備え、かつ、第2試薬穴は少なくとも2つあり、各収納溝に試薬ストリップを収納している場合、各試薬ストリップの第1吸引穴、第2吸引穴および各試薬穴は、それぞれ対応するサンプル穴に向かう。
【0013】
テーブルに固定されたスタンドに水平に設置され、昇降機構の駆動により摺動台に対して上下に移動できるピペッティングテーブルと、
【0014】
ピペッティングテーブルに設置され、ピストンアセンブリとピストン駆動装置を備え、ピストンアセンブリの数はサンプル穴の数と一致する、各ピストンアセンブリにはピストンチューブおよびピストンチューブに組み込まれてピストンチューブの内壁に沿って上下に移動できるピストンを備え、かつ、各ピストンチューブはピペッティングテーブルに垂直に穿設され、ピストンチューブの下端にそれぞれチップを挿入して接続するための第一継手が形成され、ピストン駆動装置は、各ピストンアセンブリのピストンを駆動して対応するピストンチューブに対して上下に移動できるピストンアセンブリと、および
【0015】
接続ピペットと真空ポンプを備え、接続ピペットの数はサンプル穴の数と一致し、各接続ピペットはピペッティングテーブルに穿設され、各接続ピペットの上端はそれぞれ真空ポンプに連通するチップアセンブリと、
【0016】
操作要件に応じてサンプルを便利に加熱および保温するために、前記摺動台にサンプルホルダーを加熱するための加熱装置が設けられる。
【0017】
試薬ストリップのシールを簡単に突き刺すために、各試薬穴のシールを突き出すための突き刺しアセンブリも備える、この突き刺しアセンブリは突き刺しフレームと突き刺しフレームに設置する突き刺しヘッドを備え、この突き刺しヘッドはサンプル穴と一致し、ピストンはピストンフレームに固定され、このピストンフレームはピストン駆動装置の出力軸に固定され、突き刺しフレームはピストンフレームに固定される。それにより、ピストン駆動装置はピストンフレームを駆動して下に移動すると、ピストンの同時に突き刺しフレームを駆動して下に移動させ、さらに各突き刺しヘッドを下に移動させて試薬ストリップのシールを突き刺すことができるようにする。
【0018】
吸引作用をよりよく実現するために、前記真空ポンプは複数あり、ピストンアセンブリと1対1で対応し、前記ピストンフレームに吸引継手が設置され、該吸引継手の数はピストンアセンブリと1対1で対応し、かつ、各吸引継手はピストンフレームに穿設され、各吸引継ぎ口は接続パイプを介して対応する真空ポンプの継ぎ口に接続され、他端の継ぎ口は接続パイプを介して接続ピペットの上端継ぎ口に接続する。
【0019】
各真空ポンプの設置をより安定させるために、前記テーブル上に取り付けフレームが設置され、各真空ポンプが取り付けフレーム上に配置される。
【0020】
摺動アセンブリによって駆動される摺動台はテーブル表面に沿って移動することをよりよく実現するために、前記摺動アセンブリは、第1スライダ、第1スライドレール、押え板、摺動モーター、タイミングベルト、および駆動プーリーおよび従動プーリーを備え、スライダは摺動台の下部に固定され、第1スライドレールはテーブル表面に固定され、第1スライドは第1スライドレールに沿って前後にスライドでき、摺動モーターはテーブル表面に固定され、駆動プーリーは摺動モーターの出力軸に固定され、従動プーリーはテーブル表面に取付けられ、タイミングベルトは駆動プーリーと従動プーリーの間で張力がかかられており、押え板は摺動台の一側に固定され、タイミングベルトにしっかりと押し付けられる。
【0021】
好ましくは、前記試薬ストリップは、キャリアボードを備え、キャリアボードの長手方向に沿って複数の第1貫通孔および第2貫通孔が並列に設置され、該キャリアボードの一側から第1貫通孔に1対1で対応する管体が突き出ており、同時に該キャリアボードの一側から第2貫通孔に1対1で対応するスリーブが突き出ており、各管体の管口はそれぞれ第1貫通孔に向かい、スリーブの開口部はそれぞれ対応する第2貫通孔に向かい、それによって、それぞれ第1吸引穴、第2吸引穴および各試薬穴を形成する。
【0022】
さらに、前記キャリアボードの両側にそれぞれ第1接続部品と第2接続部品が設置され、該第1接続部品と第2接続部品は取り外し可能に接続される。
【0023】
さらに、前記第1接続部品は接続柱、第2接続部品は接続柱を挿入するための接続スリーブである。
【0024】
好ましくは、前記チップアセンブリはフィルターチップと使い捨てキャピラリーピペットを備え、吸着フィルターは、フィルターチップの下端に埋め込まれ、前記使い捨てキャピラリーピペットの上端は接続ピペットの下端に覆設され、かつフィルターチップの上端開口部に嵌入され、該使い捨てキャピラリーピペットはフィルターチップ内で、吸着フィルターの上方にある。使い捨てキャピラリーピペットを設置することにより、接続ピネットとフィルターチップを汚染されていない使い捨てキャピラリーピペットによって分離され、吸引時の接続ピペットとフィルターチップとの接触を回避し、さらにフィルターチップの汚染を回避し、核酸抽出の純度を確保できる、また、使い捨てキャピラリーピペットを設置することで接続ピペットが繰り返して利用できるようになり、核酸抽出のコストの削減にもつながる。さらに、使い捨てキャピラリーピペットは、毛細管現象によって溶液をフィルターから迅速かつ完全に引き出すことができるため、フィルターに吸着した核酸と液体を完全に分離し、フィルター上の不純物を完全に洗い落とすことができる。
【0025】
より良い吸引効果を実現するために、使い捨てキャピラリーピペットの下端は、吸着フィルターの上下に向かう。
【0026】
吸引効果を向上させるために、前記使い捨てキャピラリーピペットの下端と吸着フィルターの上面との間の距離は0~10mmである。
【0027】
好ましくは、前記使い捨てキャピラリーピペットの下端と吸着フィルターの上面との間の距離は2~5mmであり、十分な吸引を実現できる。
【0028】
好ましくは、前記使い捨てキャピラリーピペットは上端にある第1部分と下端にある第2部分があり、その中で、該第1部分は接続ピペットに覆設され、該第2部分の管径は、液体が吸引の作用下で使い捨てキャピラリーピペットをスムーズに通過させることができる。第2部分の管径が大きすぎる場合は、1つは、毛細管としての役割がなく、液体の完全な除去に不利である、2つは、一部の液体が第2部分とフィルターピペットの間に残ることもある。逆に、第2部分の管径が小さすぎる場合は、液体が第2部分に詰まられ、スムーズな吸引ができなくなる場合がある。
【0029】
さらに、好ましくは、前記第2部分の管径は、0.5~2.0mmである。
【0030】
好ましくは、前記使い捨てキャピラリーピペットの上端口の縁部はフィルターチップの上端口の縁部よりも低い。上記の設計により、チップを2回分けて退出することができる、1回目はフィルターチップを使い捨てキャピラリーピペットから分離させ、2回目は使い捨てキャピラリーピペットを接続ピペットから分離させる、これにより、チップを退出してからフィルターチップを他のチップに装着してフィルターチップ中の吸着フィルターを洗浄し、核酸物質の溶出を実現することができる。
【0031】
使い捨てキャピラリーピペットとフィルターチップとの間の分離を容易にするために、前記フィルターチップの上端の内周面には、円周方向に沿って凸状リングが設置され、該凸状リングは使い捨てキャピラリーピペットに対応する部分の外周面に当接する。使い捨てキャピラリーピペットの内周面と接続ピペットの外周面の間の面接触と比較して、凸状リングと使い捨てキャピラリーピペットの外周面の間の線面接触のほうが摩擦が小さい、このような設計により、フィルターチップと使い捨てキャピラリーピペットは、接続ピペットから退出することができる、最初に退出するのは摩擦がより小さいフィルターチップであり、次に使い捨てキャピラリーピペットである、それに、凸状リングの設置により、使い捨てキャピラリーピペットとフィルターチップの間が密閉状態になることができ、さらに、凸状リングは、吸着フィルターがフィルターチップから落下するのを防ぐこともできる。
【0032】
使い捨てキャピラリーピペットとフィルターチップの間により良い密閉状態を形成するために、前記凸状リングは少なくとも上下に2つ配置する。
【0033】
使い捨てキャピラリーピペットとフィルターチップとの間により良い密閉状態を形成するよう促進するため、前記凸状リングが間隔を置いて上下に配置する。
【0034】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は次のとおりである:本発明の核酸抽出装置は、摺動台とピペッティングテーブルを備え、摺動台にサンプルホルダーと試薬ストリップホルダーが設置され、ピペッティングテーブルにそれぞれピストンアセンブリとチップアセンブリが設置され、サンプルホルダーにサンプル穴を備え、試薬ストリップホルダーに収納溝が設けられ、該収納溝の数はサンプラ穴と1対1で対応され、かつ、各収納溝に試薬ストリップを収納した条件下で、各試薬ストリップの第1吸引穴、第2吸引穴および各試薬穴はそれぞれ、対応するサンプル穴に向かう、これにより、摺動台に対するピペッティングテーブルの上下の動き、またはピペッティングテーブルに対する摺動台の横方向の動きにより、チップアセンブリとチップの装填およびサンプルとさまざまな試薬の吸引、注入および混合作業を実現し、核酸抽出の自動化された操作の基礎を築くことができる。さらに、本発明において使い捨てキャピラリーピペットを設置することにより、吸引時に接続ピペットが接続ピペットの下端に接触して接続ピペットを汚染することを防ぐことができる、それにより、異なる核酸抽出サンプル間で汚染が発生しないことを保証でき、接続ピペットの繰り返し使用を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は本発明の実施例における核酸抽出装置の構造概略図である。
図2図2図1の別方向の構造概略図である。
図3図3は本発明の実施例における核酸抽出装置の部分構造概略図である。
図4図4図3のI部の拡大図である。
図5図5図3の別方向の構造概略図である。
図6図6図3のさらに別方向の構造概略図である。
図7図7は本発明の実施例における核酸抽出装置の別部分の構造概略図である。
図8図8は本発明の実施例における核酸抽出装置のさらに別部分の構造概略図である。
図9図9は本発明の実施例における退出板の構造概略図である。
図10図10は本発明の実施例における試薬ストリップの構造概略図である。
図11図11は本発明の実施例におけるサンプルホルダーの構造概略図である。
図12図12は本発明の実施例におけるピストンの構造分解図である。
図13図13は本発明の実施例における試薬ストリップの構造概略図である。
図14図14図13の別方向の構造概略図である。
図15図15図3のさらに別方向の構造概略図である。
図16図16は本発明の実施例におけるチップアセンブリの構造概略図である。
図17図17は本発明の実施例におけるチップアセンブリの断面図である。
図18図18図17のII部の拡大図である。
図19図19は本発明実施例におけるフィルターチップの構造概略図である。
図20図20は本発明の実施例におけるチップアセンブリの構造分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0037】
図1~20に示すように、核酸抽出装置であって、テーブル10を備える作業台1、摺動台21、サンプルホルダー3、試薬ストリップホルダー213、ピペッティングテーブル4、ピストンアセンブリおよびチップアセンブリを備える。この実施例において、前記テーブル10にはハウジング11が設けられ、上記摺動台21とピペッティングテーブル4は該ハウジング11に設置され、ハウジング11の背面には放熱ファン13が設けられる。
【0038】
上記摺動台21は前記テーブル10に設置され、それが摺動アセンブリ22の駆動によりテーブル10に沿って摺動することができる。この実施例において、摺動アセンブリ22によって駆動されるテーブル10に沿った摺動台21の摺動をよりよく実現するために、上記摺動アセンブリ22は、第1スライダ227、第1スライドレール226、押え板225、摺動モーター221、タイミングベルト224、駆動プーリー222および従動プーリー223を備え、前記第1スライダ227は摺動台21の底部に固定され、前記第1スライドレール226はテーブル10の表面に固定され、第1スライダ227は第1スライドレール226に沿って前後に摺動することができ、摺動モータ221はテーブル10の表面に固定され、駆動プーリ222は摺動モータ221の出力軸に固定され、従動プーリー223はテーブル10の表面に取付けられ、タイミングベルト224は駆動プーリー222と従動プーリー223の間に張力がかかっており、前記押え板225は摺動台21の一側に固定され、タイミングベルト224に押し付ける。この実施例において、前記摺動モータは、ステッピングモータである。
【0039】
前記サンプルホルダー3は前記摺動台21に設置され、該サンプルホルダー3には摺動台21の摺動方向に垂直する方向に沿って並列に設置する複数のサンプル穴31を備え、該サンプル穴31はサンプルチューブ15の収納に使用される。この実施例において、該サンプルホルダー3は長いブロック状であり、前記サンプル穴31は長手方向に沿って均等に分布しており、かつ、各サンプル穴31はサンプルホルダー3の高さ方向に沿って延伸し、止まり穴形状を形成している。操作要件に応じてサンプルを便利に加熱および保温できるように、摺動台21にサンプル穴31に置いているサンプルチューブ15を加熱するために使用される加熱装置が設けられる。具体的には、この実施例において、前記加熱装置は、摺動台21の前端に設置している加熱浴211であり、上記サンプルホルダー3は該加熱浴211に収納され、サンプルホルダー3上のサンプルを十分に加熱して保温する。
【0040】
前記試薬ストリップホルダー213は前記摺動台21の後端に設置され、その上に試薬ストリップ7を収納するための摺動溝213aが設置され、かつ、試薬ストリップ7の収納溝213aの数はサンプル穴31と1対1で対応し、前記試薬ストリップ7には、直線に設置する第1吸引穴71、第2吸引穴72a、72bおよび試薬穴を備え、第1吸引穴71はチップアセンブリの収納に使用され、第2吸引穴72a、72bはチップ82の収納に使用され、試薬穴は希釈液を収納するためのの第1試薬穴73、洗浄液を収納するための第2試薬穴74a、74b、74c、74d、溶出液を収納するための第3試薬穴75および目標物質を貯蔵するための第4試薬穴76を備え、各前記収納溝213aに前記試薬ストリップ7を収納した状態下で、各試薬ストリップ7上の第1吸引穴71、第2吸引穴72a、72bおよび各試薬穴はそれぞれ対応するサンプル穴31に向かう。この実施例において、前記試薬ストリップ7はキャリアボード70を備え、該キャリアボード70のその長手方向に沿って複数の第1貫通孔701と第2貫通孔702が並列に設置され、該キャリアボード70の一側から第1貫通孔701に1対1で対応する管体703が突き出ており、同時に該キャリアボードの一側から第2貫通孔702に1対1で対応するスリーブ704が突き出ており、各管体703の管口はそれぞれ第1貫通孔701に向かい、スリーブ704の開口部はそれぞれ対応する第2貫通孔702に向かい、それによって、それぞれ第1吸引穴71、第2吸引穴72a、72bおよび各試薬穴を形成する。さらに、前記第2試薬穴74a、74b、74c、74dに収納する洗浄液は、それぞれ第1洗浄液、第2洗浄液、第3洗浄液および第4洗浄液であり、このように、核酸抽出時に何度もすすぐことで、核酸抽出の品質を効果的に保証することができる。
【0041】
さらに、前記キャリアボード70の両側にそれぞれ第1接続部品78と第2接続部品77が設置され、該第1接続部品78と第2接続部品77は取り外し可能に接続することができる。この2つまたは2つ以上の試薬ストリップ7は前記第1接続部品78と第2接続部品77を介して接続することができ、さらに接続して組み合わせた試薬ストリップ7は垂直に放置することができるようになり、試薬ストリップ7の放置のために別の装置を設置する必要がなくなり、試薬ストリップ7の使用が便利になる。第一接続部品78と第2接続部品77のとの間の取り外し可能な接続は、いくつかの方法で実現することができる。好ましくは、前記第1接続部品78は接続柱であり、前記第2接続部品77は前記接続柱を挿入するための接続スリーブである。具体的には、前記第1接続部品78はキャリアボード70の一側の側縁の底部に固定され、かつ、該第1接続部品78は、垂直に下向きに伸びて吊り下げられる状態にしており、前記第2接続部品77はキャリアボード70の他側の側縁の底部に固定しおよび/またはこの側における管体703の対応する管壁に対応し、該第2接続部品77は垂直に下向きに伸び、その開口部は外部に露出する。
【0042】
前記ピペッティングテーブル4は上記テーブル10に固定されたスタンド12上に水平に配置され、昇降機構64の駆動により上記摺動台21に対して上下に移動することができる。昇降機構64によって駆動されるピペッティングテーブル4の上下移動をよりよく実現するために、前記昇降機構64は昇降モータ641、昇降スクリュー642および昇降台643を備え、前記スタンド12は門型フレーム121および門型フレーム121の天板に固定される縦板122を備え、前記昇降モータ641は縦板122の上端に取付けられ、この縦板122は昇降モータ641の下にそれぞれ垂直に伸びる第2スライドレール122bとスライド穴122aを備え、前記昇降スクリュー644は垂直に設置され、かつ、その上端は昇降モータ641の出力軸に接続され、下端は門型フレーム121の天板に接続され、前記昇降台643は前記スライド穴122aを介して縦板122に穿設され、かつ、その前端は前記ピペッティングテーブル4に固定され、後端は前記スクリュー642に覆設され、かつ、該スクリュー642とねじ伝動ペアを構成し、かつ、該昇降台643に第2スライダ644が設けられ、前記昇降モータ641がスクリュー642を回転させるように駆動するとき、スクリュー642は昇降台643を駆動することができ、それにより、第2スライダ644をスライドレール122bに沿って上下に摺動させ、昇降台643の対応部分は前記スライド穴122aに沿って上下に移動することができる。初期状態では、前記試薬ストリップホルダー231は前記の門型フレーム121の下にある。
【0043】
前記ピストンアセンブリは前記ピペッティングテーブル4に設置され、ピストンアセンブリ62とピストン駆動装置61を備える、この実施例において、該ピストンアセンブリの駆動装置61はモータであり、前記ピストンアセンブリ62の数は前記サンプル穴31の数と1対1で対応し、各ピストンアセンブリ62はピストンチューブ622およびピストンチューブ622に組み込まれ、ピストンチューブ622の内壁に沿って上下に移動できるピストン621を備え、各ピストンチューブ622は前記ピペッティングテーブル4に垂直に穿設され、ピストンチューブ622の下端には前記チップ82を挿入および接続するための第1継手621aがそれぞれ形成され、前記ピストン駆動装置61は各ピストンアセンブリ62内のピストン621を駆動して、対応するピストンチューブ622に対して上下に移動することができる。この実施例において、前記ピストン駆動装置61は貫通型ステッピングモータであり、前記ピストン621はピストンフレーム63に固定され、かつ、各ピストン621はピストン本体6210と該ピストン本体6210の上端に固定されたピストンロッド6211を備え、該ピストンフレーム63はピストン駆動装置61の出力軸に固定される。各真空ポンプ5をより安定して設置できるようにするために、前記テーブル10に取付けフレーム51が設置され、各真空ポンプ5はそれぞれ該取付フレーム51に配置する。
【0044】
前記チップアセンブリは接続ピペット91と真空ポンプ5を備え、該接続ピペット91の数は前記サンプル穴31と1対1で対応し、かつ、各接続ピペット91は前記ピペッティングテーブル4に穿設され、各接続ピペット91の上端はそれぞれ真空ポンプ5に連通し、下端にはそれぞれ前記チップアセンブリを挿入および接続するための第2継手911が形成される。吸引作用をよりよく実現するために、前記真空ポンプ5は複数あり、前記接続ピペット91に1対1で対応する、前記ピストンフレーム63に吸引継手92が設置され、該吸引継手92の数は接続ピペット91に1対1で対応し、かつ、各吸引継手92は吸引継手ホルダー65に穿設され、各吸引継手92の一端の継ぎ口と対応する真空ポンプ5の継ぎ口は接続管(図に示していない)を介して接続され、他端の継ぎ口と接続ピペット91の上端の継ぎ口は接続管(図に示していない)を介して接続される。
【0045】
前記チップアセンブリは、フィルターチップ83と使い捨てキャピラリーピペット81を備え、その中で、前記接続ピペット91の下端口は前記フィルターチップ83の上端に挿入し、吸着フィルター803はフィルターチップ83の下端に埋め込まれる。使い捨てキャピラリーピペット81の上端は前記接続ピペット91の下端に覆設されてフィルターチップ83の上端口に埋め込まれ、かつ、該使い捨てキャピラリーピペット81は前記フィルターチップ83にあり、かつ前記吸着フィルター830の上方にあり、該使い捨てキャピラリーピペット81の下端は前記吸着フィルター830の上下に向かう。これにより、この実施例において、前記使い捨てキャピラリーピペット81を設置することにより、吸引時に接続ピペット91とフィルターチップ83との接触を回避することができ、さらにフィルターチップ83の汚染を防止し、核酸抽出の純度を保証できる。
【0046】
さらに、前記使い捨てキャピラリーピペット81の下端は前記吸着フィルター830の上下に向かい、吸引効果を最大化するために、前記使い捨てキャピラリーピペット81の下端は前記吸着フィルター830の上表面と適切な距離を保持する。この実施れにおいて、十分な吸引を実現するために、使い捨てキャピラリーピペット81の下端は前記吸着フィルター830の上表面との距離は4mmである。
【0047】
前記使い捨てキャピラリーピペット81は上端にある第1部分811と下端にある第2部分812を備え、その中で、該第1部分811は前記接続ピペット91に連通することに使用され、該第2部分812の管径の大きさは吸引作用下で液体が使い捨てキャピラリーピペット81をスムーズに通過できるようにしている。前記第2部分812の管径が大きすぎる場合、第2部分812の毛細管効果が顕著ではなく、液体が第2部分812と接続ピペット91の間に残留する可能性がある、逆に、第2部分812の管径が小さすぎる場合は、第2部分812は液体に塞がれ、スムーズに吸引できなくなる。この実施例において、好ましくは、前記第2部分812管体の管径は0.5~2.0mmである。
【0048】
さらに、2回のチップ退出のため、使い捨てキャピラリーピペット81の上端口の縁部は前記フィルターチップ83の上端口の縁部よりも低く設計している。これにより、1回目のチップ退出により、フィルターチップ83を使い捨てキャピラリーピペット81から分離させ、2回目は使い捨てキャピラリーピペット81を接続ピペット91から分離させることができる、これにより、チップが退出した後、フィルターチップ83は他のチップに覆設してフィルターチップ83内の吸着フィルター830を洗浄し、核酸物質の溶出を実現することができる。
【0049】
さらに、使い捨てキャピラリーピペット81とフィルターチップ83の間の分離を容易にするため、前記フィルターチップ83の上端の内周面内周面に円周方向に沿って凸状リング831が設けられ、該凸状リング831は前記使い捨てキャピラリーピペット81に対応する部分の外周面に当接する。使い捨てキャピラリーピペット81の外周面とフィルターチップ83の内周面の間の面面接触と比較して、凸状リング831と使い捨てキャピラリーピペット81の外周面の間の線面接触のほうが摩擦力が小さい、このような設計により、フィルターチップ83と使い捨てキャピラリーピペット81は、それぞれ接続ピペット91から退出することができる、最初に退出するのは摩擦がより小さいフィルターチップ83であり、次に使い捨てキャピラリーピペット81である、それに、凸状リング831の設置により、使い捨てキャピラリーピペット81とフィルターチップ83の間が密閉状態を形成することができる。この実施例において、使い捨てキャピラリーピペット81とフィルターチップ83の間によりよい密閉状態を形成するために、前記凸状リング831は上と下に2つ設置され、かつ、該2つの凸状リング831は間隔を置いて上下に配置され、これにより、使い捨てキャピラリーピペット81とフィルターチップ83の間の密閉をさらに促進することができる、また、前記凸状リング831は、吸着フィルター830がフィルターチップ83から脱落するのを防ぐことができるように設計されている。
【0050】
試薬ストリップ7のシールを簡単に突き刺すために、本発明の核酸抽出装置はさらに各試薬穴のシールを突き刺すための突き刺しアセンブリも備える、該突き刺しアセンブリは突き刺しフレーム141と突き刺しフレーム141に接地する突き刺しヘッド14を備え、該突き刺しヘッド14は前記のサンプル穴31に1対1で対応し、前記突き刺しフレーム141は前記ピストンフレームと一体に固定される。それにより、昇降モータ641はピペッティングテーブル4を駆動して下に移動すると同時に、ピストン駆動装置61はピストンフレーム63を駆動して下に移動し、ピストン621を駆動して下に移動し、さらに突き刺しフレーム141を駆動して下に移動し、最後に各突き刺しフレーム14を下に移動させて試薬ストリップ7の各試薬穴のシールを突き刺すことができるようにする。第1継手621a上のチップ82と第2継手911上のチップアセンブリの取外しを容易にするため、ピペッティングテーブル4の底部にチップ退出板41が固定され、該退出板41には第1退出穴41aと第2退出穴41bが設置され、前記第1継手621aと第2継手911は、それぞれ該第1退出穴41aと第2退出穴41bの中に穿設され、かつ、第1退出穴41aの孔径は第1継手621aの対応する部分の半径と一致し、かつ、フィルターチップ83の接続端の半径より小さく、第2退出穴41bの孔径と第2継手911の対応する部分の半径に一致し、かつ、チップ83の接続端の半径より小さい。ピペッティングテーブル4の両端には、それぞれ垂直ガイドポス411が設けられており、ピストン駆動装置61はピストンフレーム63を一定の距離まで下へ駆動するとき、ピストンフレーム63は前記ガイドポスト411の上端に当接することができる。各ガイドポスト411はピペッティングテーブル4に穿設され、かつピペッティングテーブル4に対応して上下に移動でき、その下端はそれぞれ前記退出板41に固定され、かつ、各ガイドポスト411は両端が太い、中央が細い構造であり、かつ、各ガイドポスト411の中央部に戻りばね411aが穿設される。具体的には、各ガイドポスト411の下端はピペッティングテーブル4に穿設され、戻りばね411aはガイドポスト411の上端とピペッティングテーブル4の天面の間に位置制限され、ピストン駆動装置61はピストンフレーム63を一定の距離まで下へ駆動するとき、ピストンフレーム63は各ガイドポスト411の上端に当接し、退出板41を下へ駆動してチップアセンブリまたはチップ82を退出させる。各ガイドポスト411に作用する圧力がなくなると、各ガイドポスト411は、対応する戻りばね411aの作用下で復帰できる。このように、前記退出板41を設けることにより、チップ82を第1継手621aから取り外すか、チップアセンブリを第2継手911から取り外すか、フィルターチップ83を使い捨てキャピラリーピペット81から取り外すことができる。
【0051】
本発明の作業プロセスは以下の通りである。
【0052】
サンプルチューブ15および試薬ストリップ7をそれぞれサンプルホルダー3および試薬ストリップホルダー231に入れ、核酸抽出装置を始動し、各モーターをリセットし、加熱装置は、設定された保温プログラムに従ってサンプルを加熱および保持する。サンプルが加熱した後、ピストン駆動装置61は、昇降モーター641と協働して、突き刺しフレーム141を駆動し、その結果、各突き刺しヘッド14は、対応する試薬穴のシールを突き刺し、次の操作の準備ができる。
【0053】
摺動モーター221は、摺動台は21上の各チップ82がピペッティングテーブル4の各第1継手621aに1対1で対応するように摺動台21を駆動し、昇降モーター641は、ピペッティングテーブル4を駆動して下に移動し、各第1621aは、チップ82を押して持ち上げる。摺動モーター221は、希釈液を収納した第1試薬穴73がそれぞれ各チップ82に1対1で対応するよう摺動台21を駆動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、各チップ82は対応する第1試薬穴73に挿入され、ピストン駆動装置61が作動し、チップ82が希釈液を吸引し、吸引が完了した後、昇降モータ641がピペッティングテーブル4を駆動して上昇させる。
【0054】
摺動台21は、サンプルホルダー3上のサンプルチューブ15はピペッティングテーブル4上の各第1継手621aに向かうように平行移動し、昇降モータ641はピペッティングテーブル4を下へ駆動し、ピストン駆動装置61が作動して各チップ82内の希釈液を対応したサンプルチューブ15に加え、ピストンアセンブリ62は、希釈液とサンプルを完全に混合するために複数回の吸引を実行し、必要に応じて5~10保温する。
【0055】
昇降モータ641はピペッティングテーブル4を駆動して上昇させ、摺動モータ221は第2吸引穴72a、72bが各第1継手621aに1対1で対応するようにし、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動し、退出板41を駆動して各チップ82を対応する第2吸引穴72a、72bに退出する。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、各使い捨てキャピラリーピペット81がそれぞれ第2継手911に1対1で対応するように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、チップアセンブリを押し付けて上昇する。
【0056】
摺動台21は、サンプルチューブ15が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、真空ポンプ5が作動し、サンプルを吸引する。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第1洗浄液が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、真空ポンプ5が作動し、第1洗浄液を吸引する。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第2洗浄液が第2継手の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、真空本5が作動し、第2洗浄液を吸引する。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第3洗浄液が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、真空ポンプ5が作動し、第3洗浄液を吸引する。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第4洗浄液が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、真空ポンプ5が作動し、第4洗浄液を吸引する同時にフィルターチップ83を2-5分間真空吸引する。
【0057】
ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第1吸引穴71が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動し、退出板41を駆動してフィルターチップ83を第1吸引穴71に退出させる。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第1試薬穴73が第2継手911の下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動し、退出板41を駆動して使い捨てキャピラリーピペット81を第1試薬穴に退出させる(第1試薬穴の希釈液が完全に吸引され、使用済みの使い捨てキャピラリーピペット81の収納に使用される)。ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、フィルターチップ83が第1継手621aの下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、フィルターチップ83を押し付けて上昇する。摺動台21は、第3試薬穴75が第1継手621aの下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動し、溶出液を吸引する。
【0058】
吸引を完了した後、ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動台21は、第4試薬穴76が第1継手621aの下にあるように移動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動して溶出液を押し出す。
【0059】
ピペッティングテーブル4が上昇し、摺動モータ221は、第1吸引穴71が第1継手621aの下にあるように摺動台21を駆動し、ピペッティングテーブル4が下げられ、ピストン駆動装置61が作動し、退出板41を駆動してフィルターチップ83を第1吸引穴71に退出させ、各モーターがリセットする。
【0060】
従来技術と比較して、本発明の核酸抽出装置は、核酸抽出の自動かつ迅速な操作を実現することができ、全過程でわずか5~10かかり、短時間で大量のサンプル処理を実現し、さらに核酸の効率的な抽出を実現できる、また、サンプルを吸引洗浄により精製しているので、相互汚染のリスクがなく、コストが低く、再現性の良い高純度の核酸抽出が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】