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特表2022-520537列車内空気品質監視及び換気制御方法、システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】列車内空気品質監視及び換気制御方法、システム
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20220324BHJP
【FI】
B61D27/00 D
B61D27/00 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545388
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2020105472
(87)【国際公開番号】W WO2021023075
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910714887.3
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518309666
【氏名又は名称】中南大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 輝
(72)【発明者】
【氏名】李 燕飛
(72)【発明者】
【氏名】楊 睿
(72)【発明者】
【氏名】董 ▲書▼勤
(72)【発明者】
【氏名】余 澄▲慶▼
(57)【要約】
列車内空気品質監視及び換気制御方法、システムを提供する。列車内空気品質監視及び換気制御方法は、複数グループの車内外空気品質検出データを収集するステップと、実験データを利用して車内外空気の総合評価指標Q及びQを求めるステップと、QがQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、QがQよりも小さい場合、車内空気浄化制御モデルをトレーニングするステップと、車内外空気品質検出データを検出するステップと、検出データを利用して車内外空気の総合評価指標Q及びQを求めるステップと、QがQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該出力結果で換気システムを制御するステップと、QがQよりも小さい場合、車内空気浄化制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該出力結果で換気システム及び空気浄化装置を制御するステップと、を含む。空気品質に応じて適切な換気制御ポリシーを選択することにより、エネルギーを節約して環境を保護しながら、高速列車内空気品質が健康にやさしいことを確保する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車内空気品質監視及び換気制御方法であって、
複数グループの車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを収集するステップ1と、
ステップ1における車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、ステップ1における車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めるステップ2と、
ステップ2で求めたQとQの大小関係を判定し、QがQ以上である場合、ステップ41に移行し、QがQよりも小さい場合、ステップ51に移行するステップ3と、
がQ以上である場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得る方法で車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングするステップ41と、
がQよりも小さい場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置(502)の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得る方法で車内空気浄化制御モデルをトレーニングするステップ51と、
車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを検出するステップ6と、
ステップ6における車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、ステップ6における車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めるステップ7と、
ステップ7で求めたQとQの大小関係を判定し、
がQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、
がQよりも小さい場合、車内空気浄化制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置(502)を制御するステップ8と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データは、いずれも、CO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項3】
車内空気品質検出データ及び/又は車外空気品質検出データは、マルチポイント監視方式を採用して取得される、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項4】
車内空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車内CO2濃度×p+車内NO2濃度×p+車内SO2濃度×p+車内PM2.5濃度×p+車内VOC濃度×p+車内粉塵濃度×pであり、
車外空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車外CO2濃度×p+車外NO2濃度×p+車外SO2濃度×p+車外PM2.5濃度×p+車外VOC濃度×p+車外粉塵濃度×pであり、
ここで、p、p、p、p、p、pは、各汚染物質に対応する重み値である、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項5】
前記ステップ41において、BPニューラルネットワークアルゴリズムで車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、BPニューラルネットワークの重み値及び閾値は、適応重み値を有する量子粒子群アルゴリズムで最適化を行って取得され、
量子粒子群における各量子粒子個体の位置ベクトルを前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値とし、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群個体群の個数の値の範囲が[25,70]で、量子粒子群の粒子の個数の値の範囲が[5,50]で、最大反復回数の値の範囲が[400,1000]で、エリート個体群を構築する反復回数の値の範囲が[60,180]で、早熟収束判定閾値の値の範囲が[0.01,0.45]で、個体群最悪粒子変異割合δ%の値の範囲が[2%,7%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期最適量子粒子個体の位置ベクトルと反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み値と閾値をBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルで決定されたBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定して識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルの平均二乗誤差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各量子粒子群の集団適応度の分散を計算し、早熟収束判定を行い、すなわち、
量子粒子群の集団適応度の分散が早熟収束判定閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度最悪粒子及び集団極値粒子に変異を行い、現在の適応度が最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判定し、すなわち、
反復回数がエリート個体群の反復回数より大きい場合、個体群間の情報共有により、各個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、反復回数以下である場合、ステップA5に移行するステップA4と、
各個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各粒子の適応度値を再計算して比較し、現在の個体極値よりも優れる場合、個体極値を更新してグローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の集団極値よりも優れる場合、グローバル極値粒子を更新してt=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
最大反復回数を満たすか否かを判定し、満たす場合には終了し、満たさない場合にはt=t+1としてステップA3に移行し、グローバル最適値を見つけると前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値を出力するステップA8と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項6】
前記ステップ51において、灰色ニューラルネットワークアルゴリズムで車内空気浄化制御モデルをトレーニングし、灰色ニューラルネットワークの重み値及び閾値はカオスコウモリアルゴリズムで最適化選択を行うことにより得られ、
コウモリ個体位置を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルの重み値及び閾値として、コウモリ個体群を初期化し、コウモリ個体群パラメータを設定するステップB1であって、
コウモリ個体群の規模の値の範囲が[200,500]で、コウモリ個体の最大パルス頻度rの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大パルス音声強度Aの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大反復回数の値の範囲が[150,300]で、検索精度の値の範囲が[0.001,0.1]で、パルス周波数の値の範囲が[0,1.5]で、コウモリ検索頻度増加係数の値の範囲が[0.02,0.08]で、音声強度減衰係数の値の範囲が[0.8,0.96]で、最大反復回数の値の範囲が[100,500]で、最大検索精度の値の範囲が[0.01,0.1]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期最適コウモリ個体位置と反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
コウモリ個体位置に対応する重み値と閾値を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルに代入し、コウモリ個体位置で決定された灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルを利用して検出結果を得て、検出結果と実際の状況との差分Eを用いて第1適応度関数f1(x),f1(x)=1/(E+1)を構築し、
第1適応度関数を利用して各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最大適応度に対応するコウモリ個体位置を初期最適コウモリ個体位置とするステップB2と、
設定したパルス周波数を利用してコウモリ個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1がrよりも大きい場合、個体最適位置にあるコウモリに対してランダムに干渉を行い、コウモリ個体の干渉位置を生成するステップB4であって、
ここで、Rand1が[0,1]に均一に分布している乱数であり、rがi番目のコウモリのパルス頻度であるステップB4と、
RandがAよりも大きく、コウモリ個体の干渉位置の適応度が干渉前のコウモリ個体位置の適応度よりも優れる場合、コウモリ個体を干渉位置に移動し、それ以外の場合、元位置で保持するステップB5であって、
ここで、Rand2が[0,1]に均一に分布している乱数であり、Aがi番目のコウモリの音声強度であるステップB5と、
ステップB5の条件を満たす場合、コウモリ検索頻度増加係数及び音声強度減衰係数を利用してコウモリ個体のパルス頻度及びパルス音声強度を更新してステップB4に移行し、満たさない場合、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のコウモリ個体群中の各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最初のm%個のコウモリ個体を降順で選択して位置及び速度のカオス最適化を行い、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体を得て、mの値の範囲は[5,20]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達するか否かを判定し、達する場合、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体から適応度値に応じてグローバル最適コウモリ個体を選択し、グローバル最適コウモリ個体に対応する灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルの最適な重み値及び閾値を出力し、達していない場合、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を継続するステップB8と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項7】
列車内空気品質監視及び換気制御システムであって、
車内空気品質検出データを収集するために用いられる車内空気品質検出モジュール(1)と、
車外空気品質検出データを収集するために用いられる車外空気品質検出モジュール(2)と、
収集した車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データをデータ処理モジュール(4)に伝送するために用いられるデータ伝送モジュール(3)と、
モデリング及び制御に用いられるデータ処理モジュール(4)であって、
モデリングプロセスは、
車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めることと、
がQ以上である場合、
がQ以上である場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることによって、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることと、
がQよりも小さい場合、
がQよりも小さい場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置(502)の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化装置の電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることによって、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることと、を含み、
制御プロセスは、
車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを取得することと、
車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めることと、
がQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで列車の換気システム(501)を制御することと、
がQよりも小さい場合、車内浄化制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置(502)を制御することと、を含むデータ処理モジュール(4)と、
データ処理モジュール(4)により出力された換気量レベルに応じて列車に換気動作を実行するために用いられる換気システム(501)と、データ処理モジュール(4)により出力された空気浄化装置の電力レベルに応じて列車に空気浄化動作を実行するために用いられる空気浄化装置(502)とを含む換気制御モジュール(5)と、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の列車内空気品質監視及び換気制御システム。
【請求項8】
前記車内空気品質検出モジュール(1)及び車外空気品質検出モジュール(2)は、いずれも、CO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の列車内空気品質監視及び換気制御システム。
【請求項9】
前記車内空気品質検出モジュール(1)は複数の車内空気品質検出装置(101)を含み、各車両の頭部、中央部及び尾部にそれぞれ1つの車内空気品質検出装置(101)が設けられ、
前記車外空気品質検出モジュール(2)は複数の車外空気品質検出装置(201)を含み、各車両の各換気ダクトの外部空気入口に車外空気品質検出装置(201)が設けられ、
3両の車両ごとに1つのデータ処理モジュール(4)を共用する、ことを特徴とする請求項7に記載の列車内空気品質監視及び換気制御システム。
【請求項10】
前記データ伝送モジュール(3)は無線伝送モジュール(301)を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の列車内空気品質監視及び換気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に列車内空気品質監視及び換気制御方法、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
中国の高速列車の急速な発展と人々の物質文化レベルの向上に伴い、現在、人々は高速列車に対して安全性及び信頼性の要件に加え、車両内の快適性に対する要求もますます高まっている。
【0003】
高速列車の車両内の空気品質は乗客の快適性に直接影響するため、車内空気品質の監視及び制御は乗り心地に重要な役割を果たす。
【0004】
また、エネルギーと環境も現代のテーマであり、列車の空気品質に応じた換気制御手段を実施すると、省エネかつ快適で、信頼できる高速列車の開発に有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、列車の乗客の乗り心地を向上させるために、異なる程度の空気品質に応じて適切な換気制御ポリシーを選択することにより、エネルギーを節約して環境を保護しながら、高速列車内の空気品質が健康にやさしいことを確保する列車内空気品質監視及び換気制御方法、システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0007】
列車内空気品質監視及び換気制御方法であって、
複数グループの車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを収集するステップ1と、
ステップ1における車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、ステップ1における車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めるステップ2と、
ステップ2で求めたQとQの大小関係を判定し、QがQ以上である場合、ステップ41に移行し、QがQよりも小さい場合、ステップ51に移行するステップ3と、
がQ以上である場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システムの換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得る方法で車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングするステップ41と、
がQよりも小さい場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システムの換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得る方法で車内空気浄化制御モデルをトレーニングするステップ51と、
車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを検出するステップ6と、
ステップ6における車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、ステップ6における車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めるステップ7と、
ステップ7で求めたQとQの大小関係を判定し、
がQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで列車の換気システムを制御し、
がQよりも小さい場合、車内空気浄化制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで列車の換気システムを制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置を制御するステップ8とを含む、ことを特徴とする。
【0008】
好ましい態様として、車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データは、いずれも、CO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種又は複数種を含む。
【0009】
好ましい態様として、車内空気品質検出データ及び/又は車外空気品質検出データはマルチポイント監視方式を採用して取得される。
【0010】
好ましい態様として、
車内空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車内CO2濃度×p+車内NO2濃度×p+車内SO2濃度×p+車内PM2.5濃度×p+車内VOC濃度×p+車内粉塵濃度×pであり、
車外空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車外CO2濃度×p+車外NO2濃度×p+車外SO2濃度×p+車外PM2.5濃度×p+車外VOC濃度×p+車外粉塵濃度×pであり、
ここで、p、p、p、p、p、pは、各汚染物質に対応する重み値である。
【0011】
好ましい態様として、前記ステップ41において、BPニューラルネットワークアルゴリズムで車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、BPニューラルネットワークの重み値及び閾値は、適応重み値を有する量子粒子群アルゴリズムで最適化を行って取得され、そのプロセスは、以下のステップを含む。
量子粒子群における各量子粒子個体の位置ベクトルを前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値とし、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群個体群の個数の値の範囲が[25,70]で、量子粒子群の粒子の個数の値の範囲が[5,50]で、最大反復回数の値の範囲が[400,1000]で、エリート個体群を構築する反復回数の値の範囲が[60,180]で、早熟収束判定閾値の値の範囲が[0.01,0.45]で、個体群最悪粒子変異割合δ%の値の範囲が[2%,7%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期最適量子粒子個体の位置ベクトルと反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み値と閾値をBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルで決定されたBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定して識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルの平均二乗誤差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各量子粒子群の集団適応度の分散を計算し、早熟収束判定を行い、すなわち、
量子粒子群の集団適応度の分散が早熟収束判定閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度最悪粒子及び集団極値粒子に変異を行い、現在の適応度が最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判定し、すなわち、
反復回数がエリート個体群の反復回数より大きい場合、個体群間の情報共有により、各個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、反復回数以下である場合、ステップA5に移行するステップA4と、
各個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各粒子の適応度値を再計算して比較し、現在の個体極値よりも優れる場合、個体極値を更新してグローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の集団極値よりも優れる場合、グローバル極値粒子を更新してt=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
最大反復回数を満たすか否かを判定し、満たす場合には終了し、満たさない場合にはt=t+1としてステップA3に移行し、グローバル最適値を見つけると前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値を出力するステップA8と、を含む。
【0012】
好ましい態様として、前記ステップ51において、灰色ニューラルネットワークアルゴリズムで車内空気浄化制御モデルをトレーニングし、灰色ニューラルネットワークの重み値及び閾値はカオスコウモリアルゴリズムで最適化選択を行うことにより得られ、そのプロセスは、
コウモリ個体位置を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルの重み値及び閾値として、コウモリ個体群を初期化し、コウモリ個体群パラメータを設定するステップB1であって、
コウモリ個体群の規模の値の範囲が[200,500]で、コウモリ個体の最大パルス頻度rの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大パルス音声強度Aの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大反復回数の値の範囲が[150,300]で、検索精度の値の範囲が[0.001,0.1]で、パルス周波数の値の範囲が[0,1.5]で、コウモリ検索頻度増加係数の値の範囲が[0.02,0.08]で、音声強度減衰係数の値の範囲が[0.8,0.96]で、最大反復回数の値の範囲が[100,500]で、最大検索精度の値の範囲が[0.01,0.1]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期最適コウモリ個体位置と反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
コウモリ個体位置に対応する重み値と閾値を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルに代入し、コウモリ個体位置で決定された灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルを利用して検出結果を得て、検出結果と実際の状況との差分Eを用いて第1適応度関数f1(x),f1(x)=1/(E+1)を構築し、
第1適応度関数を利用して各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最大適応度に対応するコウモリ個体位置を初期最適コウモリ個体位置とするステップB2と、
設定したパルス周波数を利用してコウモリ個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1がrよりも大きい場合、個体最適位置にあるコウモリに対してランダムに干渉を行い、コウモリ個体の干渉位置を生成するステップB4であって、
ここで、Rand1が[0,1]に均一に分布している乱数であり、rがi番目のコウモリのパルス頻度であるステップB4と、
RandがAよりも大きく、コウモリ個体の干渉位置の適応度が干渉前のコウモリ個体位置の適応度よりも優れる場合、コウモリ個体を干渉位置に移動し、それ以外の場合、元位置で保持するステップB5であって、
ここで、Rand2が[0,1]に均一に分布している乱数であり、Aがi番目のコウモリの音声強度であるステップB5と、
ステップB5の条件を満たす場合、コウモリ検索頻度増加係数及び音声強度減衰係数を利用してコウモリ個体のパルス頻度及びパルス音声強度を更新して、ステップB4に移行し、満たさない場合、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のコウモリ個体群中の各コウモリ個体位置の適応度を計算し、降順に最初のm%個のコウモリ個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行い、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体を得て、mの値の範囲は[5,20]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達するか否かを判定し、達する場合、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体から適応度値に応じてグローバル最適コウモリ個体を選択し、グローバル最適コウモリ個体に対応する灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルの最適な重み値及び閾値を出力し、達していない場合、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を継続するステップB8と、を含む。
【0013】
同じ発明構想に基づいて、本発明はさらに列車内空気品質監視及び換気制御システムを提供し、その特徴は以下のとおりである。
車内空気品質検出データを収集するために用いられる車内空気品質検出モジュールと、
車外空気品質検出データを収集するために用いられる車外空気品質検出モジュールと、
収集した車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データをデータ処理モジュールに伝送するために用いられるデータ伝送モジュールと、
モデリング及び制御に用いられるデータ処理モジュールであって、
モデリングプロセスは、
車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めることと、
がQ以上である場合、下記プロセスに従ってトレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることと、
がQ以上である場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
列車の換気システムの換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることによって、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることと、
がQよりも小さい場合、
がQよりも小さい場合の対応する異なる程度の車内空気品質検出データ及び対応する車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
列車の換気システムの換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化装置の電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることによって、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることとを含み、
制御プロセスは、
車内空気品質検出データ及び車外空気品質検出データを取得することと、
車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めることと、
がQ以上である場合、車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで列車の換気システムを制御することと、
がQよりも小さい場合、車内浄化制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで列車の換気システムを制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置を制御することとを含むデータ処理モジュールと、
データ処理モジュールにより出力された換気量レベルに従って列車に換気動作を実行するために用いられる換気システムと、データ処理モジュールにより出力された空気浄化装置の電力レベルに従って列車に空気浄化動作を実行するために用いられる空気浄化装置とを含む換気制御モジュールと、を含む。
【0014】
好ましい態様として、車内空気品質検出モジュール及び車外空気品質検出モジュールは、いずれも、CO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種又は複数種を含む。
【0015】
好ましい態様として、前記車内空気品質検出モジュールは複数の車内空気品質検出装置を含み、各車両の頭部、中央部及び尾部にそれぞれ1つの車内空気品質検出装置が設けられ、前記車外空気品質検出モジュールは複数の車外空気品質検出装置を含み、各車両の各換気ダクトの外部空気入口に車外空気品質検出装置が設けられ、3両の車両ごとに1つのデータ処理モジュールを共用する。
【0016】
好ましい態様として、前記データ伝送モジュールは無線伝送モジュールを含む。
【0017】
本発明は、列車に複数の空気品質検出モジュールを設けることにより、車内外空気品質データを収集し、収集したデータに処理分析を行い、異なる状況での車内外空気品質データに対して合理的な換気制御を行うものであり、以下の利点を有する。
(1)高速列車の車両内の空気品質をリアルタイムで効果的に監視することで、列車の車両内の環境が健康にやさしいことや快適性を確保し、乗客の乗車体験を向上させる。
(2)車内外総合監視及びマルチポイント監視のような監視点配置を採用することで、車内外の空気分布のむらによる検出誤差を回避し、収集結果の正確性を確保する。
(3)車内外の異なる空気品質データに従って異なる換気制御ポリシーを選択することで、車外空気汚染が深刻である場合に車内に二次汚染が生じるという現象を回避し、車内空気品質の安定性を確保する。
(4)制御ポリシーを異なるレベルに分け、異なる空気品質の条件に従って最適な換気制御レベルを選択することで、換気の効果を確保しながら、エネルギーを最大限に節約し、環境保護を実現する。
(5)ニューラルネットワークを利用して異なる空気品質条件下での換気制御レベルの選択を行うことで、換気ポリシーの選択の有効性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のシステムの一実施例の原理図である。
図2】本発明の方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、列車の車両内の空気汚染物質の濃度及び高速列車外の空気汚染物質の濃度をリアルタイムで監視し、測定した空気汚染物質の濃度データに従って合理的な換気制御ポリシーを選択することによって、高速列車の車両の内部の空気品質が健康にやさしい状態にあることを確保することができる。ここで、換気ポリシーの選択はニューラルネットワークトレーニングにより行われ、モデルの入力は様々な測定データであり、モデルの出力は換気ポリシー番号である。
【0020】
図1に示すように、高速列車全体の車内の空気品質監視及び換気制御システムは、車内空気品質検出モジュール1、車外空気品質検出モジュール2、データ伝送モジュール3、データ処理モジュール4及び換気制御モジュール5を含む。各モジュールについての具体的な説明は以下のとおりである。
【0021】
車内空気品質検出モジュール1:該モジュールは各車両の内部に配置される車内空気品質検出装置101で構成される。各車内空気品質検出装置101は、CO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサを含む。各車両の頭部、中央部及び尾部にそれぞれ車内空気品質検出装置101が配置される。車内空気品質検出モジュール1によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3によりデータ処理モジュール4に送信される。
【0022】
車外空気品質検出モジュール2:該モジュールは各車両の換気ダクトの外部空気入口に配置され、各換気ダクトは1つの車外空気品質検出装置201に対応する。車内空気品質検出装置101と同様に、各車外空気品質検出装置201は、CO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサを含む。車外空気品質検出モジュール2によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3によりデータ処理モジュール4に送信される。
【0023】
データ伝送モジュール3:データ伝送モジュール3は無線伝送モジュール301を含み、車両ごとに、車内空気品質検出モジュール1、車外空気品質検出モジュール2及びデータ処理モジュール4を接続し、収集したデータの記憶及び装置と装置との間のデータの伝送を実現するための1つの無線伝送モジュール301が設けられる。列車の長さを考慮すると、4Gネットワークを用いて伝送することができ、経済的で簡便である。
【0024】
データ処理モジュール4:3つの車両ごとに中央コンピュータ401が設けられ、1つの空気品質監視領域として定義され、データ処理モジュール4を構成する。中央コンピュータ401は監視範囲内の3つの車両から収集した車内空気収集データ及び車外空気収集データを受信し、それぞれデータ前処理及びモデルトレーニングを行い、モデルトレーニングの結果をタイムリーに出力するために用いられる。
【0025】
換気制御モジュール5:該モジュールは、列車の換気ダクト内に設けられた換気システム501及び空気浄化装置502で構成される。データ処理モジュール4から出力した異なる結果にしたがって、対応する換気制御ポリシーを実行し、車内空気品質が合格することを確保しながら、換気システム501の省エネ化と環境保護を実現する。
【0026】
図2に示すように、高速列車全体の車内の空気品質監視及び換気制御方法は、オフライントレーニングプロセスとオンライン換気制御プロセスの2つのプロセスを含む。
【0027】
オフライントレーニングプロセス:
本発明の方法は、まず車内外の空気汚染物質の濃度情報を収集し、次に収集したデータを対応する検出領域内の中央コンピュータ401に送信してデータ予測処理及びモデルトレーニングを行う。トレーニングモデルは2種類のニューラルネットワークモデルを含み、車内空気汚染物質の濃度の各指標が車外空気汚染物質の濃度の指標よりも小さい場合、BPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、異なる程度の車内空気汚染物質の濃度データに従って異なるレベルの換気量を出力し、車内空気汚染物質の濃度の各指標が車外汚染物質の濃度のレベル指標より大きい場合、灰色ニューラルネットワークに基づく空気浄化制御モデルをトレーニングする。異なる程度の車内空気汚染物質の濃度に従って異なるレベルの換気量と空気浄化装置の電力を制御する。オフラインプロセス全体は具体的に以下のとおりである。
【0028】
一、車内外空気品質データの収集
車内空気品質検出装置101と車外空気品質検出装置201を利用して異なる汚染物質の濃度データを収集する。ここで、収集した車内空気品質検出データは、
【数1】

で示される。異なる車両の異なる位置にある空気品質検出装置によって収集されたデータを区別するために、最終的に無線伝送モジュールによって送信された車内外空気品質データフォーマットは、
【数2】

であり、ここで、nは車両の番号を示し、mは空気品質検出装置の番号を示し、車内空気品質データの場合、m=1、2、3であり、車外品質データの場合、mは各車両の換気装置と外部の空気接触口の数によって決定され、0/1はデータカテゴリー識別コードであり、0は該グループのデータが車内空気品質検出データであることを示し、1は該グループのデータが車外空気品質検出データであることを示す。
【0029】
二、データの前処理
車内空気品質検出装置101及び車外空気品質検出装置201のデータは、無線伝送モジュール301を介してデータ処理モジュール4の中央コンピュータ401に送信され、データを収集する前処理が行われる。データ前処理全体のステップは以下のとおりである。
【0030】
【数3】

の3つの時点での1つの目標検出車両の車内外空気品質収集データを取得し、3つの時点swの収集データに対して平均値処理を行い、各検出点のN時間間隔内の車内空気品質検出データ

【数4】
【0031】
(2)各グループのデータの0/1識別コード及びmの値に従って、ステップ(1)で取得されたデータに基づいて全ての車内空気品質検出点の収集データ及び全ての車外空気品質検出点の検出データに対して平均値処理を行い、6種類の汚染物質の濃度データを正規化し、最終的に目標検出車両の総車内空気品質検出データ
【数5】
【0032】
(3)空気品質総合評価指標を計算し、空気品質総合評価指標の計算方法を、Q=CO2濃度×p+NO2濃度×p+SO2濃度×p+PM2.5濃度×p+VOC濃度×p+粉塵濃度×pとして定義し、
ここで、pは異なる種類の汚染物質の濃度の重み値を示し、p=0.1,p=0.1,p=0.1,p=0.3,p=0.2,p=0.2である。次にステップ(2)で得られた最終的な車内外空気品質検出データを上式に代入して計算し、車内空気の総合評価指標Q及び車外空気の総合評価指標Qを取得する。
【0033】
三、換気制御ポリシーモデルトレーニング
(1)車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、QがQ以上である場合、該モデルは、換気制御システムの車外新鮮空気量を制御するために用いられる。
【0034】
異なる室外実験条件で車内外空気品質データを測定し、QがQ以上である場合の異なる程度の車内外空気品質データを1000グループ選択し、列車の換気システム501の換気量レベルを0、1、2、3の4つのレベルに設定し、1000グループのうち各グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応するラベルとする。
【0035】
車外新鮮空気量制御モデルは、BPニューラルネットワークを採用してトレーニングされる。モデルトレーニングの入力は、車内外空気品質検出データ
【数6】

であり、出力は換気実験条件下で取得された換気量レベルラベル0、1、2、3であり、それにより、BPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルが得られる。
【0036】
前記BPニューラルネットワークの入力層は12個のノードを含み、出力層のノードの数は1であり、トレーニングプロセスにおける最大反復回数を500に設定し、トレーニング学習率を0.2に設定する。
【0037】
BPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルにおけるBPニューラルネットワークの重み値及び閾値は、適応重み値を有する量子粒子群アルゴリズムで最適化を行って取得され、プロセスは以下のとおりである。
ステップA1: 量子粒子群における各量子粒子個体の位置ベクトルを前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値とし、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化し、
量子粒子群個体群の個数の値の範囲が[25,70]で、量子粒子群の粒子の個数の値の範囲が[5,50]で、最大反復回数の値の範囲が[400,1000]で、エリート個体群を構築する反復回数の値の範囲が[60,180]で、早熟収束判定閾値の値の範囲が[0.01,0.45]で、個体群最悪粒子変異割合δ%の値の範囲が[2%,7%]である。
ステップA2: 適応度関数を設定し、初期最適量子粒子個体の位置ベクトルと反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み値と閾値をBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルで決定されたBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定して識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルの平均二乗誤差の逆数を第2適応度関数とする。
ステップA3: 各量子粒子群の集団適応度の分散を計算し、早熟収束判定を行う、すなわち、
量子粒子群の集団適応度の分散が早熟収束判定閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度最悪粒子及び集団極値粒子に変異を行い、現在の適応度が最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とする。
ステップA4: エリート個体群を構築するか否かを判定し、
反復回数がエリート個体群の反復回数より大きい場合、個体群間の情報共有により、各個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、反復回数以下である場合、ステップA5に移行する。
ステップA5: 各個体群の粒子パラメータを更新する。
ステップA6: 各粒子の適応度値を再計算して比較し、現在の個体極値よりも優れる場合、個体極値を更新して、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の集団極値よりも優れる場合、グローバル極値粒子を更新してt=t+1とし、ステップA3に移行する。
ステップA7: エリート個体群を進化し続ける。
ステップA8: 最大反復回数を満たすか否かを判定し、満たす場合には終了し、満たさない場合にはt=t+1としてステップA3に移行し、グローバル最適値を見つけると前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値を出力する。
【0038】
(2)車内空気浄化制御モデルをトレーニングし、QがQよりも小さい場合、該モデルは、換気システム501の送風量と空気浄化装置502の電力を制御するために用いられる。
【0039】
異なる室外実験条件で車内外空気品質データを測定し、QがQよりも小さい場合の異なる程度の車内外空気品質検出データを1000グループ選択し、高速列車の換気システム501の風量レベルを0、1、2、3の4つのレベルに設定し、空気浄化装置502の電力値を0、1、2、3の4つのレベルに設定する。次に1000グループのうち各グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置502の最小電力レベルを取得し、各グループの実験データに対応するラベルとする。
【0040】
車内空気浄化制御モデルは灰色ニューラルネットワークを採用してトレーニングされ、モデルトレーニングの入力は、車内外空気品質検出データ
【数7】

であり、モデルトレーニングの出力は、換気実験条件下で取得された換気量レベルラベル及び空気浄化装置502のレベルラベル[0/1/2/3,0/1/2/3]であり、それにより、灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルが得られる。
【0041】
灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルの入力層のノードの数は12であり、隠れ層のノードの数は6であり、出力層のノードの数は2であり、トレーニングプロセスでの最大反復回数を500に設定し、トレーニング学習率を0.1に設定し、閾値を0.05に設定する。
【0042】
灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルの重み値及び閾値はカオスコウモリアルゴリズムで最適化選択を行い、プロセスは以下のとおりである。
ステップB1: コウモリ個体位置を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく姿勢異常検出モデルの重み値及び閾値として、コウモリ個体群を初期化し、コウモリ個体群パラメータを設定し、
コウモリ個体群の規模の値の範囲が[200,500]で、コウモリ個体の最大パルス頻度rの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大パルス音声強度Aの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大反復回数の値の範囲が[150,300]で、検索精度の値の範囲が[0.001,0.1]で、パルス周波数の値の範囲が[0,1.5]で、コウモリ検索頻度増加係数の値の範囲が[0.02,0.08]で、音声強度減衰係数の値の範囲が[0.8,0.96]で、最大反復回数の値の範囲が[100,500]で、最大検索精度の値の範囲が[0.01,0.1]である。
ステップB2: 適応度関数を設定し、初期最適コウモリ個体位置と反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
コウモリ個体位置に対応する重み値と閾値を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルに代入し、コウモリ個体位置で決定された灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルを利用して検出結果を得て、検出結果と実際の状況との差分Eを用いて第1適応度関数f1(x),f1(x)=1/(E+1)を構築する。
第1適応度関数を利用して各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最大適応度に対応するコウモリ個体位置を初期最適コウモリ個体位置とする。
ステップB3: 設定したパルス周波数を利用してコウモリ個体の速度及び位置を更新する。
ステップB4: Rand1がrよりも大きい場合、個体最適位置にあるコウモリに対してランダムに干渉を行い、コウモリ個体の干渉位置を生成し、
ここで、Rand1が[0,1]に均一に分布している乱数であり、rがi番目のコウモリのパルス頻度である。
ステップB5: RandがAよりも大きく、コウモリ個体の干渉位置の適応度が干渉前のコウモリ個体位置の適応度よりも優れる場合、コウモリ個体を干渉位置に移動し、それ以外の場合、元位置で保持する。
ここで、Rand2が[0,1]に均一に分布している乱数であり、Aがi番目のコウモリの音声強度である。
ステップB6: ステップB5の条件を満たす場合、コウモリ検索頻度増加係数及び音声強度減衰係数を利用してコウモリ個体のパルス頻度及びパルス音声強度を更新して、ステップB4に移行し、満たさない場合、ステップB7に移行する。
ステップB7: 現在のコウモリ個体群中の各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最初のm%個のコウモリ個体を降順で選択して位置及び速度のカオス最適化を行い、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体を得て、mの値の範囲は[5,20]である。
ステップB8: 最大反復回数又は最大検索精度に達するか否かを判定し、達する場合、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体から適応度値に応じてグローバル最適コウモリ個体を選択し、グローバル最適コウモリ個体に対応する灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルの最適な重み値及び閾値を出力し、達していない場合、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を継続する。
【0043】
オンライン換気制御プロセス:
(1)ある検出車両に対して、車内外空気品質検出モジュールにより車内外空気品質データの収集を行い、無線伝送モジュール301によりデータをデータ処理モジュール4に伝送して前処理を行い、車内空気の総合評価指標Q及び車外空気の総合評価指標Qを得る。
(2)QがQ以上である場合、データ前処理段階で得られた車内外空気品質データ
【数8】

をBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルに入力し、適切な換気量レベル0/1/2/3を取得し、異なる出力ラベルに従って列車の換気システム501を制御する。
(3)QがQよりも小さい場合、データ前処理段階で得られた車内外空気品質データ
【数9】

を灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルに入力し、適切な換気量レベルと空気浄化装置502の電力レベル[0/1/2/3,0/1/2/3]を取得し、異なる出力ラベルに従って列車の換気システム501及び設けられる空気浄化装置502を制御する。
【0044】
以上は図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は上記具体的な実施形態に限定されるものではなく、上記具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、限定的なものではなく、当業者は本発明の示唆の下で、本発明の趣旨及び特許請求の範囲を逸脱しないで、様々な形態を得ることができ、これらは全て本発明の特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0045】
1 車内空気品質検出モジュール
101 車内空気品質検出装置
2 車外空気品質検出モジュール
201 車外空気品質検出装置
3 データ伝送モジュール
301 無線伝送モジュール
4 データ処理モジュール
401 中央コンピュータ
5 換気制御モジュール
501 換気システム
502 空気浄化装置
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法であって、
複数グループの第1の車内空気品質検出データ及び第1の車外空気品質検出データを収集するステップ1と、
ステップ1における第1の車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、ステップ1における第1の車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めるステップ2と、
ステップ2で求めたQとQの大小関係を判定し、QがQ以上である場合、ステップ41に移行し、QがQよりも小さい場合、ステップ51に移行するステップ3と、
がQ以上である場合の前記対応する異なる程度の第1の車内空気品質検出データ及び前記対応する第1の車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得る方法で車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングするステップ41と、
がQよりも小さい場合の前記対応する異なる程度の第1の車内空気品質検出データ及び前記対応する第1の車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
高速列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置(502)の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得る方法で車内空気浄化制御モデルをトレーニングし、
前記トレーニングした車外新鮮空気量制御モデル及び前記トレーニングした車内空気浄化制御モデルを、前記列車内空気品質監視及び換気制御モデルとして使用するステップ51と
含む、ことを特徴とするモデリング方法。
【請求項2】
前記第1の車内空気品質検出データ及び前記第1の車外空気品質検出データは、いずれも、CO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法。
【請求項3】
前記第1の車内空気品質検出データ及び/又は前記第1の車外空気品質検出データは、マルチポイント監視方式を採用して取得される、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法。
【請求項4】
車内空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車内CO2濃度×p+車内NO2濃度×p+車内SO2濃度×p+車内PM2.5濃度×p+車内VOC濃度×p+車内粉塵濃度×pであり、
車外空気の総合評価指標Qの計算方法は、
=車外CO2濃度×p+車外NO2濃度×p+車外SO2濃度×p+車外PM2.5濃度×p+車外VOC濃度×p+車外粉塵濃度×pであり、
ここで、p、p、p、p、p、pは、各汚染物質に対応する重み値である、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法。
【請求項5】
前記ステップ41において、BPニューラルネットワークアルゴリズムで車外新鮮空気量制御モデルをトレーニングし、BPニューラルネットワークの重み値及び閾値は、適応重み値を有する量子粒子群アルゴリズムで最適化を行って取得され、
量子粒子群における各量子粒子個体の位置ベクトルを前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値とし、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群個体群の個数の値の範囲が[25,70]で、量子粒子群の粒子の個数の値の範囲が[5,50]で、最大反復回数の値の範囲が[400,1000]で、エリート個体群を構築する反復回数の値の範囲が[60,180]で、早熟収束判定閾値の値の範囲が[0.01,0.45]で、個体群最悪粒子変異割合δ%の値の範囲が[2%,7%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期最適量子粒子個体の位置ベクトルと反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み値と閾値をBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルで決定されたBPニューラルネットワークに基づく車外新鮮空気量制御モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定して識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルの平均二乗誤差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各量子粒子群の集団適応度の分散を計算し、早熟収束判定を行い、すなわち、
量子粒子群の集団適応度の分散が早熟収束判定閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度最悪粒子及び集団極値粒子に変異を行い、現在の適応度が最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判定し、すなわち、
反復回数がエリート個体群の反復回数より大きい場合、個体群間の情報共有により、各個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、反復回数以下である場合、ステップA5に移行するステップA4と、
各個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各粒子の適応度値を再計算して比較し、現在の個体極値よりも優れる場合、個体極値を更新してグローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の集団極値よりも優れる場合、グローバル極値粒子を更新してt=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
最大反復回数を満たすか否かを判定し、満たす場合には終了し、満たさない場合にはt=t+1としてステップA3に移行し、グローバル最適値を見つけると前記BPニューラルネットワークの重み値及び閾値を出力するステップA8と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法。
【請求項6】
前記ステップ51において、灰色ニューラルネットワークアルゴリズムで車内空気浄化制御モデルをトレーニングし、灰色ニューラルネットワークの重み値及び閾値はカオスコウモリアルゴリズムで最適化選択を行うことにより得られ、
コウモリ個体位置を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルの重み値及び閾値として、コウモリ個体群を初期化し、コウモリ個体群パラメータを設定するステップB1であって、
コウモリ個体群の規模の値の範囲が[200,500]で、コウモリ個体の最大パルス頻度rの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大パルス音声強度Aの値の範囲が[0.25,0.5]で、最大反復回数の値の範囲が[150,300]で、検索精度の値の範囲が[0.001,0.1]で、パルス周波数の値の範囲が[0,1.5]で、コウモリ検索頻度増加係数の値の範囲が[0.02,0.08]で、音声強度減衰係数の値の範囲が[0.8,0.96]で、最大反復回数の値の範囲が[100,500]で、最大検索精度の値の範囲が[0.01,0.1]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期最適コウモリ個体位置と反復回数t(t=1)を決定し、すなわち、
コウモリ個体位置に対応する重み値と閾値を灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルに代入し、コウモリ個体位置で決定された灰色ニューラルネットワークモデルに基づく車内空気浄化制御モデルを利用して検出結果を得て、検出結果と実際の状況との差分Eを用いて第1適応度関数f1(x),f1(x)=1/(E+1)を構築し、
第1適応度関数を利用して各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最大適応度に対応するコウモリ個体位置を初期最適コウモリ個体位置とするステップB2と、
設定したパルス周波数を利用してコウモリ個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1がrよりも大きい場合、個体最適位置にあるコウモリに対してランダムに干渉を行い、コウモリ個体の干渉位置を生成するステップB4であって、
ここで、Rand1が[0,1]に均一に分布している乱数であり、rがi番目のコウモリのパルス頻度であるステップB4と、
RandがAよりも大きく、コウモリ個体の干渉位置の適応度が干渉前のコウモリ個体位置の適応度よりも優れる場合、コウモリ個体を干渉位置に移動し、それ以外の場合、元位置で保持するステップB5であって、
ここで、Rand2が[0,1]に均一に分布している乱数であり、Aがi番目のコウモリの音声強度であるステップB5と、
ステップB5の条件を満たす場合、コウモリ検索頻度増加係数及び音声強度減衰係数を利用してコウモリ個体のパルス頻度及びパルス音声強度を更新してステップB4に移行し、満たさない場合、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のコウモリ個体群中の各コウモリ個体位置の適応度を計算し、最初のm%個のコウモリ個体を降順で選択して位置及び速度のカオス最適化を行い、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体を得て、mの値の範囲は[5,20]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達するか否かを判定し、達する場合、更新した後の最初のm%個のコウモリ個体から適応度値に応じてグローバル最適コウモリ個体を選択し、グローバル最適コウモリ個体に対応する灰色ニューラルネットワークに基づく車内空気浄化制御モデルの最適な重み値及び閾値を出力し、達していない場合、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を継続するステップB8と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法を用いて得られる列車内空気品質監視及び換気制御モデル。
【請求項8】
列車内空気品質監視及び換気制御方法であって、
第2の車内空気品質検出データ及び第2の車外空気品質検出データを検出するステップ6と、
ステップ6における第2の車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Q を求め、ステップ6における第2の車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Q を求めるステップ7と、
ステップ7で求めたQ とQ の大小関係を判定し、
がQ 以上である場合、請求項1~6のいずれかに記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法を用いて得られる列車内空気品質監視及び換気制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、
がQ よりも小さい場合、請求項1~6のいずれかに記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリング方法を用いて得られる前記列車内空気品質監視及び換気制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベル及び空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置(502)を制御するステップ8と、
を含む、ことを特徴とする列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項9】
前記第2の車内空気品質検出データ及び第2の車外空気品質検出データは、いずれも、CO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種又は複数種を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項10】
前記第2の車内空気品質検出データ及び/又は第2の車外空気品質検出データは、マルチポイント監視方式によって取得される
ことを特徴とする請求項8に記載の列車内空気品質監視及び換気制御方法。
【請求項11】
列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリングシステムであって、
第1の車内空気品質検出データを収集するために用いられる車内空気品質検出モジュール(1)と、
第1の車外空気品質検出データを収集するために用いられる車外空気品質検出モジュール(2)と、
前記収集した第1の車内空気品質検出データ及び前記収集した第1の車外空気品質検出データをデータ処理モジュール(4)に伝送するために用いられるデータ伝送モジュール(3)と、
モデリングに用いられるデータ処理モジュール(4)であって、
モデリングプロセスは、
前記第1の車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Qを求め、前記第1の車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Qを求めることと、
がQ以上である場合、
がQ以上である場合の対応する異なる程度の前記第1の車内空気品質検出データ及び対応する前記第1の車外空気品質検出データをn1グループ選択して実験データとし、
列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、
n1グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベルを取得し、各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、
n1グループの実験データを入力とし、n1グループの実験データに対応する換気量レベルラベルを出力とし、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることによって、トレーニングして車外新鮮空気量制御モデルを得ることと、
がQよりも小さい場合、
がQよりも小さい場合の対応する異なる程度の前記第1の車内空気品質検出データ及び対応する前記第1の車外空気品質検出データをn2グループ選択して実験データとし、
列車の換気システム(501)の換気量レベルをG1レベルに設定し、空気浄化装置(502)の電力値レベルをG2レベルに設定し、
n2グループの実験データを有する列車に対して換気実験を行い、5分以内に車内空気品質を人体の健康値まで低下させることができる最小換気量レベル及び空気浄化装置の最小電力レベルを取得し、取得した最小換気量レベルを各グループの実験データに対応する換気量レベルラベルとし、取得した空気浄化装置の最小電力レベルを各グループの実験データに対応する空気浄化装置の電力レベルラベルとし、
n2グループの実験データを入力とし、n2グループの実験データに対応する換気量レベルラベル及び空気浄化装置の電力レベルラベルを出力とし、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることによって、トレーニングして車内空気浄化制御モデルを得ることと、を含み、
前記列車内空気品質監視及び換気制御モデルは、前記トレーニングした車外新鮮空気量制御モデル及び前記トレーニングした車内空気浄化制御モデルを含む
ことを特徴とするモデリングシステム。
【請求項12】
前記車内空気品質検出モジュール(1)及び車外空気品質検出モジュール(2)は、いずれも、CO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種又は複数種を含む、
ことを特徴とする列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリングシステム。
【請求項13】
前記車内空気品質検出モジュール(1)は複数の車内空気品質検出装置(101)を含み、各車両の頭部、中央部及び尾部にそれぞれ1つの車内空気品質検出装置(101)が設けられ、
前記車外空気品質検出モジュール(2)は複数の車外空気品質検出装置(201)を含み、各車両の各換気ダクトの外部空気入口に車外空気品質検出装置(201)が設けられ、
3両の車両ごとに1つのデータ処理モジュール(4)を共用する、ことを特徴とする請求項11に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリングシステム。
【請求項14】
前記データ伝送モジュール(3)は無線伝送モジュール(301)を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリングシステム。
【請求項15】
列車内空気品質監視及び換気制御システムであって、
請求項11~14のいずれか一項に記載の列車内空気品質監視及び換気制御モデルのモデリングシステムを有し、
前記車内空気品質検出モジュール(1)は、第1の車内空気品質検知データを収集するために用いられ、
前記車外空気品質検出モジュール(2)は、第1の車外空気品質検出データを収集するために用いられ、
前記データ伝送モジュール(3)は、前記収集した第1の車内空気品質検出データ及び前記収集した第1の車外空気品質検出データをデータ処理モジュール(4)に伝送するために用いられ、
前記データ処理モジュール(4)は、制御に用いられ、
制御プロセスは、
第2の車内空気品質検出データ及び第2の車外空気品質検出データを取得することと、
前記第2の車内空気品質検出データを利用して車内空気の総合評価指標Q を求め、前記第2の車外空気品質検出データを利用して車外空気の総合評価指標Q を求めることと、
がQ 以上である場合、前記車外新鮮空気量制御モデルを呼び出し、必要な換気量レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御することと、
がQ よりも小さい場合、前記車内浄化制御モデルを呼び出し、前記必要な換気量レベル及び前記空気浄化装置の電力レベルを求め、該換気量レベルで高速列車の換気システム(501)を制御し、該空気浄化装置の電力レベルで空気浄化装置(502)を制御することと、を含み、
さらに、換気制御モジュール(5)であって、前記データ処理モジュール(4)により出力された換気量レベルに応じて列車に換気動作を実行するために用いられる前記換気システム(501)と、前記データ処理モジュール(4)により出力された空気浄化装置の電力レベルに応じて列車に空気浄化動作を実行するために用いられる前記空気浄化装置(502)とを含む換気制御モジュール(5)と、を含む、
ことを特徴とする列車内空気品質監視及び換気制御システム。
【国際調査報告】