(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】装飾された封入体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20220324BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20220324BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20220324BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220324BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220324BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220324BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220324BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220324BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220324BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220324BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220324BHJP
A61K 35/66 20150101ALI20220324BHJP
A61K 35/74 20150101ALI20220324BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C12N15/11 Z
A61K38/00
A61P31/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P37/06
A61K39/00 C
A61K48/00
A61K47/64
A61K35/66
A61K35/74
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546007
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020053933
(87)【国際公開番号】W WO2020165425
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521348144
【氏名又は名称】アベラ バイオサイエンス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ユーン ライリンク
(72)【発明者】
【氏名】バウテル シモン ペートルス ヨング
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク バルト ファン デン ベルフ ファン サパルア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA03
4C084AA06
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4C085AA03
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4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA04
4C087BC30
4C087CA16
4C087NA14
4C087NA20
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB11
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB32
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、一般的に、封入体の分野に関する。共有イソペプチド結合の形成を介してパートナーペプチドにカップリングするのに適したカップリングペプチドを含む封入体、並びに、例えば、バイオテクノロジーおよび生物医学における封入体の使用を改善するために、生物学的に機能的な分子による封入体の効率的且つ安定した装飾を可能にするための異なる連結システムの使用が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングするのに適切なカップリングペプチドを含む封入体。
【請求項2】
前記カップリングペプチドが、前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドが、前記イソペプチドに含まれる他の前記を含む、請求項1に記載の封入体。
【請求項3】
前記カップリングぺプチド及びパートナーペプチドが、グラム陽性又はグラム陰性細菌のタンパク質に由来する、請求項1~2のいずれか1項に記載の封入体。
【請求項4】
前記カップリングペプチドが、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の封入体。
【請求項5】
前記パートナーペプチドが、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の封入体。
【請求項6】
前記カップリングペプチド及びパートナーペプチドが、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択された連結ペアを形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の封入体。
【請求項7】
カップリングペプチドと、パートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングされた、請求項1~6のいずれか1項に記載の封入体を含む複合体。
【請求項8】
少なくとも1つの目的のタンパク質(PDI)又はその一部をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の封入体又は複合体。
【請求項9】
前記目的のタンパク質又はその一部が、抗原又はそのフラグメントである、請求項8に記載の封入体又は複合体。
【請求項10】
封入体形成配列をさらに含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の封入体又は複合体。
【請求項11】
前記パートナーペプチドが、追加の部分を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の封入体又は複合体。
【請求項12】
前記追加の部分が、標的部分である、請求項11に記載の封入体又は複合体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の封入体の封入体形成ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の封入体、複合体、核酸、遺伝子コンストラクト及び/又は宿主細胞を含む組成物。
【請求項15】
診断、予後、予防又は治療剤として使用するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の封入体、複合体又は組成物。
【請求項16】
請求項7に記載の複合体の生成方法であって、請求項1に記載の封入体をパートナーペプチドにコンジュゲートし、それにより、前記複合体を形成する工程を含む方法。
【請求項17】
前記複合体が、封入体のカップリングペプチドとパートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合の形成により生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カップリングペプチドが前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドが前記イソペプチド結合に含まれる他の残基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記封入体が、溶解物、例えば細胞溶解物、例えば細菌溶解物に存在するパートナーペプチドにコンジュゲートされる、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記封入体が、精製されたパートナーペプチドにコンジュゲートされる、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記カップリングペプチドが、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記パートナーペプチドが、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、請求項16~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記複合体が、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択されたカップリングペプチド-パートナーペプチド連結ペアの形成に続いて生成される、請求項16~22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、封入体の分野に関する。より具体的には、本開示は、共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングするのに適切なカップリングペプチドを含む封入体に関する。本開示はまた、例えば、バイオテクノロジー及び生物医学における封入体の使用を改善するために、生物学的機能性分子による封入体の効率的且つ安定した装飾を可能にするための異なる連結システムの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
封入体(IB)は一般的に、宿主細胞、例えば細菌細胞、酵母細胞又は哺乳類細胞におけるタンパク質の過剰産生に基いて形成できる大きな水不溶性凝集体として知られている。封入体は、細菌細胞、例えば大腸菌のサイトゾルでの組換えタンパク質の発現に基いて生成され得、そして工業用タンパク質生成の望ましくない副産物として、しばしば見なされる。しかしながら、IBにおけるタンパク質発現は、可溶性形での組換えタンパク質の発現に関連する問題のいくつかを回避するための効果的な戦略であることが証明されている。IB発現タンパク質は、宿主細胞のプロテアーゼによる分解に対して大きな耐性があり、そして毒性作用を及ぼす可能性は低い。さらに、それらの高い浮力密度のために、IBは、画分遠心分離により細胞溶解物から容易に分離でき、大量の比較的純粋なタンパク質を取得するための高速で、堅牢な、及び従ってコスト効率の高いプロトコルを提供する。
【0003】
残念ながら、IBを形成する異種タンパク質の傾向は、変動し、そして予測困難である。凝集しやすいポリペプチド又はIB形成配列(IBFS)への目的のタンパク質(POI)の融合は、不溶性の形でそれを生成するために有用な戦略である。IB形成配列の例は、以下を含む:ssTorA (Jong et al. 2017 Microb Cell Fact 16:50)、TrpΔLE (Derynck et al. 1984 Cell 38:287-97)、ケトステロイドイソメラーゼ (Kuliopulos & Walsh 1994 J Am Chem Soc 116:4599-607)、 β-ガラクトシダーゼ (Schellenberger et al. 1993 Int J Peptide Protein Res 41:326-32)、 PagP (Hwang et al. 2012 Protein Expr Purif 85:148-51)、 EDDIE (Achmuller et al. 2007 Nat Methods 4:1037-43)、 ELK16 (Wu et al. 2011 Microb Cell Fact 10:9)、GFIL8 (Wang et al. 2015 Microb Cell Fact 14:88)、 PaP3.30 (Rao et al. 2004 Protein Expr Purif 36:11-8)、TAF12-HFD (Vidovic et al. 2009, J Pept Sci 15:278-84)及び PurFのF4フラグメント (Lee et al. 2000 Biochem Biophys Res Commun 277:575-80)。
【0004】
IBは非常に安定しており、そして中性洗剤(例えば、Triton X-100)及びカオトロープ(例えば、尿素及び塩酸グアニジン)による可溶化に対して有意な耐性を示す。長い間、IBは、露出された疎水性表面の非特異的相互作用により形成される無秩序な凝集体を含むと思われた。しかしながら、過去10年間の証拠は、IBが規則正しいアミロイド様構造を示し、タンパク質は密に詰まった交差β構成で蓄積していることを示している(De Groot et al. 2009 Trends Biochem Sci 34:408-16; Wang 2009 Prion 3:139-45)。研究者はまた、IBがしばしば、少なくとも部分的に、適切に折りたたまれた生物学的活性タンパク質から構成されていることを見出した(Garcia-Fruitos et al. 2005 Microb Cell Fact 4:27; Jevsevar et al. 2005 Biotechnol Prog 21:632-639)。従って、IBは、タンパク質生成の廃棄物と見なされるよりも、今日では、バイオテクノロジー及び生物医学における種々の潜在的用途を有する機能的ナノ粒子と見なされている(Rinas et al. 2017 Trends Biochem Sci 42(9):726-737)。
【0005】
IBの形で発現される酵素、例えばレダクターゼ、キナーゼ、ホスホリラーゼ、リアーゼ及びリパーゼは、有望な結果を有する、固定化された触媒として試験されて来た(Hrabarova et al. 2015 Insoluble Prot Methods Protoc 1258, 411-422; Garcia-Fruitos, & Villaverde 2010 Korean J Chem Eng 27, 385-389)。生物医学においては、IBは、細胞増殖及び組織再生の刺激因子として研究されて来た((Seras-Franzoso et al. 2015 Nanomedicine 10: 873-891)。さらに、それらの粒状性質及び高い細胞膜結合力のために、IBは哺乳類細胞により容易に内在化され、そして従って、細胞内送達及び生物活性治療用タンパク質の放出のための優れた媒体である(Vazquez et al. 2012 Adv Mater 24: 1742-1747; Unzueta et al. 2017 Nanotechnology 28:015102; Cespedes et al. 2016 Sci Rep 6: 35765)。いくつかの研究はまた、免疫化のために、例えばウサギにおける生化学研究目的のために抗体を誘発するために、IBの可能性を分析して来た(例えば、Cameron et al. 1998 Infect Immun 66(12):5763-70を参照のこと)。さらに、IBとして生成された抗原性ポリペプチド配列は、ワクチン接種研究において試験され、そして異なる経路(例えば、経口、鼻腔内、水浸)を介しての投与に基いて、種々の動物種(マウス、ウシ、羊、魚及びニワトリを含む)で、免疫反応を誘発(保護)できることが示された(Yang et al. 2011 Afr Journal Biotechnol 10(41): 8146-8150; Kesik et al. 2007 Vaccine 25: 3619-3628; Kesik et al. 2004 Immunology Letters 9: 197-204; Rivera & Espino 2016 Experimental Parasitology 160: 31-38; Wedrychowicz et al. 2007 Veterinary Parasitology 147: 77-88; PCT 出願 WO2014/052378号)。
【0006】
IBの標的化を調査する研究も存在する。Unzueta及び共著者は、癌治療に関連する細胞表面受容体(CXCR4)へのIBの標的化を促進するための、2つのホーミングペプチド(リガンドR9及びT22)のIB形成タンパク質への遺伝子融合について記載している(Unzueta et al. 2017, 上記)。類似する研究が、Jiang et al. FASEB J 2018 Oct 15によっても提供されている。同じ方針に沿って、IBは、遺伝子的に融合されたCD44-結合ペプチドの表示を通してCD44+細胞を特異的に標的化するよう設計された(Pesarrodona et al. 2016. Biofabrication, 8(2):025001)。しかしながら、このアプローチは、ホーミングペプチドが利用できる標的物及びアプリケーションに対してのみ機能し、そのカタログはまだ、かなり限られている。別の研究において、Nahalkaなどは、細菌アドヘシンへの標的化を可能にするための、糖タンパク質フェチュイン及び非グリコシル化対照のプロトタイプIBの結合について記載している(Talafova et al. 2013 Microbial Cell Factories 12:16)。結合のために、化学試薬グルタルアルデヒドが、アミン反応性ホモ二官能性架橋剤として使用された。しかしながら、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドなどの試薬は、タンパク質に対して高い反応性を有し、そしてタンパク質の機能を妨げることが知られている。実際、それらは一般的に知られている細胞及びタンパク質固定剤であり、そして例えば、無細胞百日咳ワクチン中の百日咳菌毒素の不活性化のために使用される(米国特許第5,578,308号)。従って、そのような化学的架橋法は、IBへのそれらのカップリングに基いて生物学的に活性を維持する必要があるパートナータンパク質と調和することは困難である。さらに、化学的カップリングを含む方法は、費用効果の高い方法でのタンパク質の工業規模の生産と、しばしば両立しない。
【0007】
さらなる別のアプローチにおいては、ロイシンジッパーペプチドペア間のペプチド-ペプチド相互作用が、封入体に機能的パートナータンパク質を付着するために使用された。しかしながら、ロイシンジッパーペプチドに遺伝子融合されたIB形成タンパク質は、同属の逆平行ロイシンジッパーペプチドに遺伝子融合された機能的パートナータンパク質と同じ宿主細胞において共発現されるべきであるので、このアプローチの用途は限られている(Steinmann et al. 2010 Appl Environ Microbiol 76(16):5563-9; Choi et al. 2014 PLoS One 9(6): e97093; Han et al. 2017 Metab Eng 40:41-49)。この共発現方法論の別の欠点は、非タンパク質性起源の分子のIBへの結合が達成され得ないことである。
【0008】
さらなる、ロイシンジッパーがタンパク質-タンパク質相互作用により結合する場合、この方法で生成されたIBは、ヒト又は動物への投与時、又は(長期)貯蔵中、安定性の問題にしばしば直面し、ロイシンジッパーペアの使用は分子をIBに付着するための魅力のないオプションにする。
【0009】
結論として、生物学的機能性を維持しながら分子によるIBの容易で安定した装飾を可能にする普遍的な方法は、バイオテクノロジー及び生物医学におけるIBの使用を有意に改善するので、非常に価値がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題を克服し、そしてバイオテクノロジー及び生物医学におけるIBの使用を改善するために、追加の部分及び生物学的機能性分子により容易に装飾できる封入体(IB)を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の側面によれば、この目的及び他の目的は、共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングするのに適切なカップリングペプチドを含む封入体の発明者の驚くべき発見及び生成に従って達成される。
【0012】
適切には、前記カップリングペプチドは、前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドは、前記イソペプチド結合に含まれる他の残基を含む。
【0013】
1つの実施形態によれば、前記カップリングペプチドが反応性リシン残基を含む場合、前記パートナーペプチドは反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン又はグルタミン酸残基を含むか、又はカップリングペプチドが反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン又はグルタミン酸残基を含む場合、前記パートナーペプチドは反応性シリン残基又は反応性α-アミノ末端を含む。
【0014】
別の実施形態によれば、前記カップリングペプチドは反応性アスパラギン残基を含み、そして前記パートナーペプチドは反応性リシン残基を含むが、又は前記カップリングペプチドは反応性リシン残基を含み、そして前記パートナーペプチドは反応性アスパラギン残基を含む。
【0015】
1つの実施形態によれば、前記カップリングぺプチド及びパートナーペプチドは、グラム陽性又はグラム陰性細菌のタンパク質に由来する。適切には、前記タンパク質は、Streptococcaceae 科、例えばStreptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae 又はStreptococcus dysgalactiaeからのグラム陽性細菌のものである。従って、前記タンパク質は、Streptococcus pneumoniaeのアドヘシンRrgA、Streptococcus pyogenesのフィブロネクチン結合タンパク質FbaB、Streptococcus pyogenesの主要なピリンタンパク質Spy0128、又はStreptococcus dysgalactiaeのフィブロネクチン結合タンパク質CnaBであり得るか、又は1又は2以上のイソペプチド結合を形成できる、少なくとも70%の配列同一性を有するタンパク質であり得る。
【0016】
1つの実施形態によれば、カップリングペプチドは、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される。
【0017】
特定の実施形態によれば、カップリングペプチドは、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、及びSnoopTagJrから成る群から選択される。
【0018】
1つの実施形態によれば、パートナーペプチドは、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される。
【0019】
特定の実施形態によれば、パートナーペプチドは、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、及びSnoopTagJrから成る群から選択される。
【0020】
1つの実施形態によれば、第1の側面に従っての封入体が提供され、ここでカップリングペプチド及びパートナーペプチドは、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択された連結ペアを形成する。
【0021】
特定の実施形態によれば、第1の側面に従っての封入体が提供され、ここでカップリングペプチド及びパートナーペプチドは、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、及びSnoopTagJr-DogTagから成る群から選択された連結ペアを形成する。
【0022】
別の実施形態によれば、第1の側面に従っての封入体が提供され、ここで(i)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTagであり、そして共有イソペプチド結合の形成がSpyLigaseの添加により媒介され;(ii)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTag002であり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iii)カップリングペプチドはSpyTagであり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iv)カップリングペプチドはSpyTag002であり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(v)カップリングペプチドはDogTagであり、パートナーペプチドはSnoopTagJrであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介され;(vi)カップリングペプチドはSnoopTagJrであり、パートナーペプチドはDogTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介され;(vii)カップリングペプチドはSpyTagであり、パートナーペプチドはBDTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyStaplerの添加によって媒介されるか;又は(viii)カップリングペプチドはBDTagであり、パートナーペプチドはSpyTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyStaplerの添加によって媒介される。
【0023】
特定の実施形態によれば、第1の側面に従っての封入体が提供され、ここで(i)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(ii)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTag002であり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iii)カップリングペプチドはSpyTagであり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iv)カップリングペプチドはSpyTag002であり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(v)カップリングペプチドはDogTagであり、パートナーペプチドはSnoopTagJrであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介されるか;又は(vi)カップリングペプチドはSnoopTagJrであり、パートナーペプチドはDogTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介される。
【0024】
本発明の第2の側面によれば、カップリングペプチドと、パートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングされた、第1の側面による封入体を含む複合体が提供される。
【0025】
1つの広い実施形態によれば、第1の側面の封入体、又は第2の側面の複合体はさらに、少なくとも1つの目的のタンパク質(POI)又はその一部を含む。
【0026】
1つの実施形態によれば、前記目的のタンパク質は、以下の群から選択された状態又は障害を治療する治療目的のタンパク質である:癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植拒絶反応及び感染症。
【0027】
別の実施形態によれば、前記目的のタンパク質は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片拒絶及び感染症からなる群から選択された状態又は障害から保護する予防目的を有するタンパク質である。
【0028】
好ましくは、前記目的のタンパク質は、抗原又はそのフラグメントである。
【0029】
前記抗原は、感染性生物由来の抗原、腫瘍抗原、腫瘍ストロマ抗原、及び腫瘍関連抗原をから成る群から選択され得る。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、第1の側面の封入体はさらに、封入体形成配列(IBFS)を含む。前記IGFSは、例えばssTorA, TrpΔLE, ケトステロイドイソメラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、PagP、EDDIE、 ELK16、GFIL8、 PaP3.30、TAF12-HFD 及びPurFのF4フラグメントから選択され得る。本発明での使用に適切な他のIBFSは、国際公開第2018/138316号に記載されている。
【0031】
1つの広い実施形態によれば、パートナーペプチドは追加の部分を含む、第1の側面の封入体、又は第2の側面の複合体が提供される。
【0032】
追加の部分は例えば、グリカン、接着分子、酵素及び追跡可能なプローブから成る群から選択され得る。
【0033】
1つの実施形態によれば、追加の部分は、免疫調節化合物である。前記免疫調節化合物は、例えば以下から成る群から選択され得る:サイトカイン、アジュバント、抗体、Nanobody(登録商標)分子、DARPIN、PAMP、TLRリガンド又はアゴニスト、RNA、DNA、免疫調節ペプチド、ペプチド模倣体、Tヘルパー細胞エピトープ、免疫チェックポイント阻害剤、PLGA、キトサン、及びTRAIL。
【0034】
1つの実施形態によれば、追加の部分は、標的化部分である。前記標的化部分は、免疫系の細胞に対して親和性を有することができる。従って、前期標的化部分は、免疫系の細胞の表面に露出した成分に対して親和性を有することができる。前期表面に露出した成分は、以下から成る群から選択され得る:CD4、CD8、CD1、CD180、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、TCR、CRD、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NLR)、レチノイン酸誘導性遺伝子I様ヘリカーゼ受容体(RLR)、及びC型レクチン受容体(CLR)、エンドサイトーシス受容体、CD205 / DEC205、CD209 / DC-SIGN、Clec9A / DNGR-1 / CD370、Clec7A / Dectin-1 / CD369、Clec6A /デクチン-2、Clec12A、CD1d、CD11c、CD11b、CD40、CD152 / CTLA-4、CD279 / PD-1、NOD様受容体、RIG-I様受容体、PRR、CCR、CD36、Siglec H、PDCTREM、Langerin、MR、D-SIGN及び葉酸受容体。
【0035】
適切には、前記標的化部分は、少なくとも1つの疾患細胞に対して親和性を有する。前記疾患細胞は、以下から成る群から選択された癌の腫瘍細胞であり得る:リンパ腫、白血病、骨髄腫、肺癌、メラノーマ、腎細胞癌、卵巣癌、神経膠芽細胞腫、メルケル細胞癌、膀胱癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、食道癌、頸部癌、胃癌、肝細胞癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌及び甲状腺癌。
【0036】
1つの実施形態によれば、標的化部分は、抗体、抗体ドメイン、及び抗体結合能力を保持する抗体フラグメントから成る群から選択される。
【0037】
本発明の第3の側面によれば、第1の側面の封入体の封入体系性ポリペプチドをコードする核酸が提供される。
【0038】
本発明の第4の側面によれば、第3の側面の核酸を含む遺伝子コンストラクトが提供される。
【0039】
本発明の第5の側面によれば、第3の側面の核酸又は第4の側面の遺伝子コンストラクトを含む宿主細胞が提供される。
【0040】
本発明の第6の側面によれば、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、第3の側面の核酸、第4の側面の遺伝子コンストラクト、及び/又は第5の側面の宿主細胞を含む組成物が提供される。
【0041】
本発明の第7の側面によれば、薬剤として使用するための、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物が提供される。
【0042】
本発明の第8の側面によれば、診断剤、予後剤、予防剤又は治療剤として使用するための、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物が提供される。
【0043】
本発明の第9の側面によれば、ワクチンとして使用するための、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物が提供される。
【0044】
本発明の第10の側面によれば、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物を、対象に投与する工程を含む、対象における疾患又は障害の治療方法が提供される。
【0045】
本発明の第11の側面によれば、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物を用いての、対象における疾患又は障害の診断又は予後方法が提供される。
【0046】
本発明の第12の側面によれば、第1の側面の封入体、第2の側面の複合体、又は第6の側面の組成物を、対象に投与する工程を含む、予防接種又は免疫化方法が提供される。
【0047】
適切には、前記対象は動物である。
【0048】
1つの実施形態によれば、前記動物は、ヒト、家畜(例えば、牛、羊、豚、山羊
)、及びコンパニオンアニマル(例えば、馬、犬、猫)から選択された哺乳類動物である。
【0049】
他の実施形態によれば、前記動物は、鳥(例えば、家禽)及び魚(例えば、鮭、マス、シーバス、ティラピア、ナマズ)から選択される。
【0050】
本発明の第12の側面によれば、第1の側面の封入体を、パートナーペプチドに結合し、それにより複合体を生成する工程を含む、第2の側面の複合体を生成する方法が提供される。
【0051】
適切には、複合体は、封入体のカップリングペプチドと、パートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合の形成により生成される。典型的には、カップリングペプチドは、前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドは、前記イソペプチド結合に含まれる他の残基含む。
【0052】
1つの実施形態によれば、封入体は、溶解物、例えば細胞溶解物、例えば細菌溶解物に存在するパートナーペプチドにコンジュゲートされる。
【0053】
別の実施形態によれば、封入体h、精製されたパートナーペプチドにコンジュゲートされる。
【0054】
カップリングペプチドは、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される。
【0055】
従って、カップリングペプチドは、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、及びSnoopTagJrから成る群から選択される。
【0056】
パートナーペプチドは、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される。
【0057】
パートナーペプチドは、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、及びSnoopTagJrから成る群から選択される。
【0058】
特定の実施形態によれば、複合体は、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択されたカップリングペプチド-パートナーペプチド連結ペアの形成に続いて生成される。
【0059】
従って、複合体は、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、及びSnoopTagJr-DogTagから成る群から選択されたカップリングペプチド-パートナーペプチド連結ペアの形成に続いて生成される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1Aは、SpyTag 及びSpyCatcherの連結システムを用いて、GFP(配列番号10)に対して親和性を有する緑色蛍光Nanobody(登録商標)分子(GFPnb)により装飾された封入体の概略図を示す。封入体(IB)は、SpyCatcherに共有結合しているその表面にSpyTagを発現しているのが見られる。追加の部分GFPnbは、SpyCatcherに連結され、そしてGFPnbはGFPに非共有結合される(実施例1)。
図1Bは、パートナーペプチド(結合タンパク質パートナー)SpyCatcher(左)及びGFPnbに結合したGFP(右)のリボン図(例1)を示す。
【0061】
【
図2】
図2Aは、SpyTag/SpyCatcher連結システムを使用しての成功したIB装飾のSDS-PAGE分析を示す。約75kDa付加物の矢印は、SpyTagがSpyCatcherに結合し、融合タンパク質SpyCatcher-SnoopCatcher(配列番号1)をssTorA(3x)-MBP-SpT(配列番号2)IBに連結していることを示す(実施例2)。
図2Bは、SnoopTag/SnoopCatcher連結システムを使用しての成功したIB装飾のSDS-PAGE分析を示す。約75kDa付加物の矢印は、SnoopTagがSnoopCatcherに結合し、融合タンパク質SpyCatcher-SnoopCatcherをssTorA(3x)-MBP-SnTIBに連結していることを示す(実施例2 )。
【0062】
【
図3】
図3Aは、SpyTag/SpyCatcher又はSnoopTag /SnoopCatcherシステムのいずれかを使用しての、封入体形成配列ssTorAのないPla2 IB、及び封入体形成配列ssTorAのあるAEDOIBのパートナーペプチドへの結合の成功したSDS-PAGE分析を示す。付加物は矢印で示される(実施例3)。
図3Bは、SpyCatcher-SnoopCatcher融合タンパク質に組み込まれたポリヒスチジン検出を認識する抗体を使用したウエスタンブロッティングを介して、SpyTag/SpyCatcher又はSnoopTag/SnoopCatcherシステムのいずれかを使用して、封入体形成配列ssTorAを含まないPla2 IB、及び封入体形成配列ssTorAを含むAEDOIBのパートナーペプチドへの成功した結合の検証を示す。付加物は矢印で示される(実施例3)。
【0063】
【
図4】
図4Aは、三分岐型システムを使用しての、SnT-mEGFP-SpT(配列番号7)とssTorA(3x)-MBP-KT(配列番号5)IBとの間の成功した連結の位相差及び蛍光顕微鏡分析を示す。GFP蛍光シグナルは、SnT-mEGFP-SpT及びSpyLigase(配列番号6)(+ SpyLigase)と混合されたIBにより放出されるが、SpyLigaseが存在しない場合(‐)にはシグナルは検出されない(実施例4)。
図4Bは、SpyLigase(三分岐型システム)の存在下及び非存在下で混合されたssTorA(3x-MBP-KTIB及び可溶性SnT-mEGFP-SpTのSDS-PAGE分析を示す。分析は、SpyLigaseが存在する場合(+ SpyLigase)、ssTorA(3x)-MBP-KT IBsとSnT-mEGFP-SpyTagとの間での結合形成を象徴する新たなバンドを示し、SpyLigaseが存在しない場合(-)のssTorA(3x)-MBP-KT IBとSnT-mEGFP-SpyTagの間の結合形成を象徴する新たなバンド、及びSpyLigaseが存在しない場合のその欠如(-)を示している。ssTorA(3x)-MBP-KT-SnT-mEGFP-SpTの付加物は、矢印で示されている(実施例4)。
【0064】
【
図5】
図5Aは、GFP特異的Nanobody(登録商標)分子(GFPnb)によるIBの都合よい装飾の位相差及び蛍光顕微鏡分析を示す。融合タンパク質SpC-GFPnb及びGFPと混合されたssTorA(3x)-MBP-SpT IBは、蛍光顕微鏡分析でシグナルを放出するのが見られるが、GFPnb-SpC EQ(配列番号9)と混合されたIB(SpyCatcherにおけるE77Qアミノ酸置換はイソペプチド結合の形成を妨害する)及びGFPは妨害しない(実施例5)。
図5Bは、ssTorA(3x)-MBP-SpT IBとGFPnb-SpC(配列番号8)タンパク質の混合は付加物を生ぜしめるが、ssTorA(3x)-MBP-SpTIBと変異型GFPnb-SpCEQの混合は生ぜしめないことを示すSDS-PAGE分析を示す。付加物は矢印で示される(実施例5)。
【0065】
【
図6A】
図6Aは、プロテインAの抗体結合ドメイン、ZZドメイン、およびC末端に位置するSpyCatcher002部分である、ZZ-SpC2(配列番号11)を形成するSpC2のタンデム融合デュアルバージョンを含む融合タンパク質と混合されたssTorA(3x)-AEDO-SpTIBのSDS-PAGE分析を示す。対照として、ZZ-SPC2もまた、(3X)-AEDOを欠くSPT ssTorAと混合された。IB関連H鎖材料及びZZ-SpC2に結合したssTorA(3x)-AEDO-SpTの付加物は矢印で示されている(実施例6)。
【0066】
【
図6B】
図6Bは、SpTの有無下で、上記のようにZZ-SpC2と共にプレインキュベートされ、そしてAlexa594ウサギ抗マウスIgGと共にインキュベートされた、ssTorA(3x)-AEDO- IBの蛍光顕微鏡分析を示す。
【0067】
【
図7】
図7は、SpC2を装備したZZドメイン(ZZ)及びプロテインA /G(AG)のSpT担持IBへの成功したカップリングのSDS-PAGE分析を示す。IB関連のH鎖及びL鎖材料、並びに付加物(ZZ付加物、AG付加物)は矢印で示されている(実施例7)。
【0068】
【
図8】
図8は、細菌溶解物からssTorA(3x)-AEDO-SpTへのZZ-SpC2の成功した結合のSDS-PAGE分析を示す。 付加物は矢印で示される(実施例8)。
【発明を実施するための形態】
【0069】
定義
本明細書で使用される場合、以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供される。
【0070】
「封入体」という用語は、「IB」と略されることもあり、細胞の細胞質又は核における凝集したポリペプチドの不溶性沈着物を指す。本明細書では、この用語は主に、原核生物の細菌細胞の細胞質内に形成された封入体を指す。この用語はまた、原核生物の細菌細胞のペリプラズムにおけるポリペプチド凝集体、または真核生物細胞の細胞質および/または核におけるポリペプチド凝集体を指す。封入体は、例えば、不溶性又は部分的に不溶性のポリペプチドの過剰発現の結果として、宿主細胞内で自発的に形成され得る。本開示においては、宿主細胞内で通常可溶性又は部分的に可溶性である目的のポリペプチド又はタンパク質は、IB形成配列に融合され得、IB形成配列に作動可能に連結された目的のポリペプチドを含む融合ポリペプチドをもたらす。融合ポリペプチドが発現される場合、封入体形成配列は、融合ポリペプチド、及び従って目的のポリペプチドを誘導して、封入体を形成する。封入体に含まれる凝集ポリペプチドは、誤って折りたたまれているか、部分的に誤って折りたたまれているか、又は天然またはほぼ天然の折り畳みを有し得る。封入体内のポリペプチド中の不溶性形は、宿主細胞内のタンパク質分解酵素による分解からポリペプチドを保護する。さらに、それは、ポリペプチドがその可溶性の天然の形で有する可能性のある毒性作用から宿主細胞を保護する。また、封入体の形成は、他の方法では精製が困難であるか、そうでなければ多くの及び/又は高価な精製工程を必要とする特定のポリペプチドの単離及び精製を容易にし得る。封入体を同定し、そして封入体形成を定量化するための手段及び方法は、当技術分野でよく知られている。そのような手段及び方法の非限定的な例には、封入体分画アッセイ、位相差顕微鏡法、他の光学測定技術、粒子サイズ測定、ゲル分離アッセイ(例えば、SDS-PAGE)、タンパク質分解消化及び電子顕微鏡法が含まれる。
【0071】
従って、上記のように、本明細書で「IBFS」と略されることもある「封入体形成配列」という用語は、目的のポリペプチドに融合された場合、封入体の形成を誘導するポリペプチド配列を指す。 封入体形成配列は、目的のポリペプチド及び封入体形成配列によってコードされるペプチドを含む融合ポリペプチドを封入体に凝集させる。
【0072】
「ポリペプチド」という用語は、本明細書においては、隣接する残基のα-アミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合によって互いに連結された一連の2つ以上のアミノ酸残基を示すために使用される。この用語は、長さが特定されていないペプチドを示すために使用される。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、本明細書の「ポリペプチド」の定義に含まれる。典型的には、排他的ではないが、本明細書においては、「ペプチド」という用語は、例えば、約2つアミノ酸から約50のアミノ酸の長さを有する短いポリペプチドを示すために使用される。「タンパク質」という用語は、本明細書においては、より長い及び/又はより複雑なポリペプチド、例えば2つ以上のポリペプチド鎖の複合体を示すために使用される。タンパク質は、補因子又は他のタンパク質にも結合され得る。「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語はまた、翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などのを含み得る。1つ又は複数のアミノ酸類似体又は標識アミノ酸を含むポリペプチドも定義に含まれる。
【0073】
交換可能な用語「ポリペプチド配列」、「ペプチド配列」及び「タンパク質配列」は、ポリペプチド、ペプチド又はタンパク質中のアミノ酸の順序を指す。 従来のように、ポリペプチド配列は、本明細書においては、一般に、N末端からC末端まで報告される。
【0074】
「目的のポリペプチド」、「目的のペプチド」及び「目的のタンパク質」という用語は、「POI」と略され、本発明のユーザーにとって関心のあり、そして例えば、組換えタンパク質として、宿主細胞の遺伝子機構によって発現される可能性がある、ポリペプチド、ペプチド、又はタンパク質を指すために交換可能に使用される。場合によっては、「POI」という用語は、問題のPOIをコードする遺伝子配列を指すものとしても理解されるべきである。 POIは、任意のタイプのPOIであり得る。例えば、POIは、異種又は相同ポリペプチド、可溶性又は部分的に可溶性の細胞質ポリペプチド、可溶性又は部分的に可溶性の分泌ポリペプチド又は膜ポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態によれば、POIは、宿主細胞に対して毒性であるか、宿主細胞内で容易に分解するか、又は可溶性形態である場合に宿主細胞から精製することが困難であるポリペプチドである。POIは、様々な異なるタンパク質に由来する、または合成起源の、翻訳的に融合されたペプチドまたはフラグメントを含み得る。POIは、様々な異なるタンパク質に由来する、又は合成起源の、翻訳的に融合されたペプチド又はフラグメントを含み得る。POIは任意の長さにすることができる。 特に、POIは、少なくとも約2、5、10、25又は50のアミノ酸長であり得、そして最大1000、1500、2000、3000又は5000のアミノ酸長であり得る。いくつかの実施形態によれば、POIは、様々な異なるタンパク質に由来する、又は合成起源の翻訳的に融合されたペプチドを含み得る。
【0075】
「融合ポリペプチド」、「融合タンパク質」及び「融合ペプチド」という用語は、アミノ酸のポリマー、すなわち、少なくとも2つの部分を含み、各部分が別個の機能及び/又は起源を表す、アミノ酸のポリマーを指す。本発明の融合ポリペプチドは、任意の順序で、開示された封入体形成配列を含む少なくとも第1の部分と、目的のポリペプチド又はペプチドを含む少なくとも第2の部分とを含み得る。融合ポリペプチドは、代替の実施形態によれば、複数の封入体形成配列及び/又は複数のPOIを含み得る。融合ポリペプチドは、例えば、そのN末端に1つ又は複数の封入体形成配列、及び/又はそのC末端に1つ又は複数の封入体形成配列を含み得る。 それはまた、封入体形成配列をPOIから分離するための切断可能な要素などの他の機能を含むさらなる部分を含み得る。
【0076】
「遺伝子構築物」という用語は、単一の核酸に組み立てられた、遺伝子又は他のポリペプチドコード要素、プロモーター、調節要素、転写及び終結領域などの遺伝子要素の操作された組み合わせを指す。遺伝子構築物はまた、異なるポリペプチドからの2つ以上の部分をコードする遺伝子要素を含み得、その結果、遺伝子コンストラクトは、2つ以上の部分を含む融合ポリペプチドをコードする。発現ベクターは、遺伝子コンストラクトの一例です。 遺伝子コンストラクトの別の例は、宿主のゲノムに組み込まれ、そこから発現されるポリペプチドをコードする核酸である。
【0077】
「組換えポリペプチド」、「組換え遺伝子コンストラクト」及び「組換え複合体」という表現は、複数の供給源からの遺伝物質を集める実験的方法を使用して、そこからコードされる核酸及びポリペプチドを作成することから生じるポリペプチド又は核酸を指し、 そうでなければ、自然界に見られる。
【0078】
「宿主」、「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書では互換的に使用され、1つ又は複数のベクター又は単離及び精製された核酸分子が導入された、又は導入され得る原核生物又は真核生物細胞を示す。従って、遺伝子コンスオラクトは、ベクターから発現されるか、又は宿主のゲノムに組み込まれ、そこから発現され得る。
【0079】
好ましい実施形態によれば、宿主細胞は微生物宿主細胞である。 別の好ましい実施形態によれば、微生物宿主細胞は細菌細胞である。 そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫又は潜在的な子孫も指すことが理解される。突然変異又は環境の影響のいずれかにより、特定の変更が次の世代で発生する可能性があるため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではない可能性があるが、本明細書で使用される用語の範囲内に含まれる。
【0080】
「連結システム」又は「タンパク質連結システム」という用語は、互いに親和性を有し、その間にある種の結合が形成され得る、少なくとも第1及び第2の分子部分を含む任意のシステムを説明するために使用される。連結システムは、例えば、共有結合が自発的に又は酵素の助けを借りて形成され得るか、又は又は化学的架橋手段が異なる分子を一緒に連結するために使用され得る2つのペプチドからなり得る。本開示において、連結システムは、イソペプチド結合を自発的に形成する機能を有するか、又は酵素(例えば、リガーゼ、例えばSnoopLigase又はSpyStapler)の存在下でイソペプチド結合を形成することができる第1及び第2のペプチドを具体的に指す。さらに、追加の分子を2つのペプチドのそれぞれに連結して、連結システムの連結を構成するのが互いに親和性を有する2つのペプチドである複合体を作成することが可能である。本開示において、連結システムの2つのペプチドのうちの1つは「カップリングペプチド」と名付けられ、そして連結システムの他のペプチドは「パートナーペプチド」と名付けられ、ここで、カップリングペプチドはIBに連結され、パートナーペプチドは任意には、追加の分子を複合体全体に連結できる。従って、「複合体」という用語は、本明細書においては、カップリングペプチドを含み、カップリングペプチドとパートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングされたIBを説明するために使用される。
【0081】
前述のように、「カップリングペプチド」という用語は、本明細書においては、連結システムを構成する2つのペプチドのうちの1つを説明するために使用される。より具体的には、カップリングペプチドは、連結システムの他のペプチド、すなわち「パートナーペプチド」に結合するという明確な機能を有するアミノ酸のポリマーである。本発明の文脈においては、カップリングペプチドは、典型的には、POI(例えば、C末端、N末端、又は内部ペプチドタグとして)及び任意にはIBFSにも遺伝的に融合され、遺伝的構築物を形成する。前記遺伝子コンストラクトは、宿主細胞に導入され、続いて発現されるベクターに組み込まれ、連結システムのパートナーペプチドにアクセス可能なカップリングペプチドを有する封入体を含む組換えポリペプチドを生成し得る。遺伝子コンストラクトはまた、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そこから発現され得る。
【0082】
「パートナーペプチド」という用語は、本発明の文脈で定義されるような連結システムの他のペプチドを指す。これは、連結システムの最初の部分、つまり「カップリングペプチド」に結合するという明確な機能を有するアミノ酸のポリマーである。カップリングペプチドとは異なり、パートナーペプチドは通常、IBに結合せずに生成される。任意には、それは、追加の分子との融合又は他は複合体で発現され得る。 本明細書に記載の連結システムの部分は「ペプチド」と呼ばれるが、いくつかの実施形態によれば、それらが50を超えるアミノ酸を含み得ることが理解されるであろう。
【0083】
「SpyTag-SpyCatcher連結システム」、「SpyTag」及び「SpyCatcher」という用語は、それぞれ、本開示で使用され得る特定の連結システムの第1の部分(カップリングペプチド)及び第2の部分(パートナーペプチド)を説明する。連結システムは、化膿レンサ球菌のフィブロネクチン結合タンパク質FbaBに存在するCnaBドメインに由来しる。このドメインの疎水性コア内で、3つのアミノ酸(リジン、アスパラギン酸、及び触媒グルタミン酸)が自発的にイソペプチド結合を形成する(Hagan et al. 2010 Angew Chem Int Ed Engl Nov 2;49(45):8421-5)。単離されたCnaBドメインは、ペプチド、いわゆる「SpyTag」(「SpT」と略されることもある)と、残りのタンパク質パートナーである「SpyCatcher」(「SpC」と略されることもある)に分割することにより、タンパク質連結システムに変換された(Zakeri et al. 2012 Proc Natl Acad Sci USA 109)。2つのペプチドは、互いにイソペプチド結合を自発的に形成する能力を有する。本発明の文脈においては、 SpyTag及びIB中の目的のタンパク質は、SpyTagがカップリングペプチドとして作用し、パートナーペプチドにアクセス可能である(例えば、IBの表面に表示されることによって)組換えポリペプチドを形成し得る。SpyCatcherはパートナーペプチドとして機能し、SpyTagとの強固な結合を形成する可能性がある。
【0084】
SnoopTag-SnoopCatcher連結システム」、「SnoopTag」及び「SnoopCatcher」という用語は、それぞれ、StreptococcuspneumoniaeからのアドヘシンRrgAのD4 Ig様ドメインに由来する別の連結システムの第1部(カップリングペプチド)及び第2部(パートナーペプチド)を指す(Veggiani et al. 2016 Proc Natl Acad Sci USA 113(5):1202-7)。このシステムを作成するために、D4 Ig様ドメインを切断して、「SnoopTag」(「SnT」と略されることもある)と呼ばれるカップリングペプチドと、残りのパートナーペプチド「SnoopCatcher」(「SnC」と略されることもある)を作成した。本発明の文脈において、SnoopTag及びIBの目的のタンパク質は、組換えポリペプチドを形成し得、ここで、SnoopTagは、パートナーペプチドにアクセス可能である(例えば、IBの表面に表示されることによって)。
【0085】
「KTag」及び「SpyLigase」という用語は、それぞれペプチドタグ及び酵素を指す。CnaBドメインのSpyTag/SpyCatcherタンパク質連結システムへの適応が成功した後、SpyCatcherはさらに「KTag」(「KT」と略されることもある)と「SpyLigase」に分割された(Fierer et al. 2014 Proc Natl Acad Sci U S A Apr 1;111(13):E1176-81)。KTagは、結合形成を触媒するために必要なSpyLigaseの存在下で、パートナーペプチドと共有結合を形成する可能性のあるカップリングペプチドとして機能する。SpyLigaseの存在下では、KTagとSpyTagの両方がカップリングペプチドとしての作用とパートナーペプチドとしての作用を交互に繰り返す可能性があることも発見された。しかしながら、SpyLigaseは、結合形成時に連結システムとは別のポリペプチドのままである。
【0086】
本明細書で言及される「キャッチャー」は一般にパートナーペプチドと呼ばれるが、いくつかのキャッチャーはまた、カップリングペプチド(すなわち、IBで発現され、パートナーペプチドにアクセス可能な部分)として適切であり得る。
【0087】
「操作可能的に連結された」という用語は、ポリペプチド又は核酸フラグメントの第1の部分と、ポリペプチド又は核酸フラグメントの第2の部分との会合を指し、その結果、一方の部分の機能が他方によって影響を受ける。例えば、本発明による融合ポリペプチドは、カップリングペプチドに操作可能的に連結され、任意選択でIBFSに操作可能的に連結されたPOIを含み、これは、POIがカップリングペプチド及び任意にはIBFSに操作可能的に連結され、影響を受けるが、 パーツは必ずしも連続して融合しているわけではない。同様に、核酸に関して、プロモーターは、例えば、例えば、本発明による融合ポリペプチドをコードするコード配列に操作可能的に連結され得、これは、プロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼし得、すなわちコード配列がプロモーターの転写制御下にあることを意味する。リボソーム結合部位などの翻訳開始領域は、例えば、それがポリペプチドの翻訳を容易にするように配置されている場合、例えばポリペプチドをこーどする核酸配列に操作可能的に連結されている。
【0088】
「装飾されたIB」という用語は、カップリングペプチドを発現し、パートナーペプチドにアクセス可能なカップリングペプチドの部分(例えば、IBの表面に表示される部分)と、パートナーペプチドとの間にイソペプチド結合が形成されているIBを指す。前記パートナーペプチドは、特定の機能を有し得る追加の部分にさらに結合し得る。
【0089】
本明細書で使用される「部分」という用語は、分子又は細胞成分を指す。すなわち、「部分」という用語は、化学の技術分野で以前に定義及び使用されているので、分子の半分又は一部に関係することに限定されない。
【0090】
「追加部分」という用語は、パートナーペプチド、例えば、ペプチド、サイトカイン、アジュバント、抗体、グリカン、アジュバント、接着物、酵素、及び追跡可能なプローブに連結することができる任意の分子又は細胞成分を指す。
【0091】
「標的化部分」という用語は、パートナーペプチドに連結することができ、例えば標的分子、組織、細胞、受容体などの特定のマークを標的化する機能を有する任意の分子又は細胞成分を指す。
【0092】
「機能的部分」という用語は、特定の機能性を有する少なくとも1つの分子又は細胞成分を指し、したがって、この用語は、任意の種類の機能的成分又は基を指し得る。
【0093】
「抗原」という用語は、宿主生物において免疫応答を誘導することができる分子を指す。
【0094】
「アジュバント」という用語は、他の薬剤の効果を改変する能力を有する薬理学的又は免疫学的薬剤を指す。
【0095】
「免疫刺激ツール」という用語は、宿主の免疫系を刺激するために、すなわち、例えば免疫応答が開始されるような方法で免疫系を誘発するために使用され得る分子又は細胞成分、又は分子又は細胞成分系を指す。これは、例えば、抗原が免疫刺激ツールの一部であり得る宿主細胞に特定の抗原を導入することによって行うことができる。
【0096】
AEDO」という用語は、「異なる起源の抗原性エピトープ」を指す。
【0097】
「許容される担体、希釈剤又は賦形剤」という用語は、局所又は全身投与(例えば、医薬組成物又はワクチン)において安全に使用され得る固体又は液体の充填剤、希釈剤又は封入物質を指す。経口、非経口、直腸、舌下、頬側、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、局所、粘膜、 及び皮内投与を含む安全な投与経路が使用され得る。特定の投与経路に応じて、当技術分野で知られている様々な担体、希釈剤及び賦形剤を使用することができる。これらは、例えば、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝液、乳化剤、等張食塩水および塩、例えば塩酸塩、臭化物、硫酸塩などの鉱酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩などの有機酸、水、及び発熱物質を含まない水から成る群から選択され得る。
【0098】
詳細な説明
本発明は、一般的に、カップリングペプチド(例えば、ペプチドタグ)を発現及び表示する封入体に関する。 共有イソペプチド結合の形成を介して、前記カップリングペプチドは、任意に追加の部分に融合されたパートナーペプチドにカップリングされ得、封入体と追加の部分との間にリンクを作成する。
【0099】
従って、大まかに言えば、本開示は、異なる連結システムを使用して様々な機能的部分により封入体を装飾するための強力なシステム及び方法の発明者の驚くべき発見および開発に基づいている。
【0100】
封入体へのタンパク質連結を達成するために、いくつかの試みがなされてきた。 しかしながら、背景技術のセクションで説明したように、連結の達成には多くの障害と欠点が伴う。例えば、タンパク質の生物学的活性を維持することは、化学的架橋を使用する場合に遭遇する問題です。 不安定な結合形成、及び封入体を他のタンパク質でのみ装飾するという制限は、ロイシンジッパーペプチドペアのタンパク質間相互作用の使用に関連する問題である。
【0101】
本発明者らは、驚くべきことに及び好都合には、カップリングペプチドを有するIBを生成することに成功し、そのカップリングペプチドは機能を維持し、そのパートナーペプチドへのその結合特異性を保持する。 その結果、非常に堅牢な共有イソペプチド結合が形成され、カップリングペプチドがパートナーペプチドに直接結合し、封入体がパートナーペプチドに結合する。
【0102】
典型的には、カップリングペプチドはイソペプチド結合に関与する1つの残基を含み、一方、パートナーペプチドはイソペプチド結合に関与する他の残基を含む。例えば、カップリングペプチドが反応性リジン残基を含む場合、パートナーペプチドは、反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン又はグルタミン酸残基を含むか、又はカップリングペプチドが反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミンまたはグルタミン酸残基を含む場合、 パートナーペプチドは、反応性リジン残基又は反応性α-アミノ末端を含む。従って、カップリングペプチドは、反応性アスパラギン残基を含み得、一方、パートナーペプチドは、反応性リジン残基を含み得るか、又はカップリングペプチドは、反応性リジン残基を含み得、一方、パートナーペプチドは、反応性アスパラギン残基を含み得る。
【0103】
従って、パートナーペプチドに対する親和性を有するカップリングペプチドを含む連結システムを、任意にはPOIを含むかか又は構成するIBと組み合わせることにより、本発明者らは、封入体装飾及びその後の標的抗原及び/又は薬物送達及び他のアプリケーションのための新規且つ発明のプラットフォームを作成した。
【0104】
この組み合わせは、タンパク質性部分を共有結合させてIB上でアクセス可能にする本発明者の能力により可能になり、IBに改善された機能を提供する。そのような機能の例としては、抗原又は薬物送達のためのIBの使用、さらにIBを特定の組織又は細胞型に標的化するための親和性結合剤(抗体、Affibody(登録商標)分子、Nanobody(登録商標)分子)又は炭水化物/糖分子を装備することがある。
【0105】
カップリングペプチド及びパートナーペプチドは、典型的には、グラム陽性菌又はグラム陰性菌のタンパク質に由来し、このタンパク質は、1つ又は複数のイソペプチド結合を形成することができるドメインであり、及び/又はドメインを含む。
【0106】
当業者は、1つまたは複数のイソペプチド結合を形成することができるタンパク質に精通しており、本発明での使用に適切な非限定的な例は、以下を含む:Streptococcus pyogenesのSpy0128 (Kang et al. 2007 Science 318(5856), 1625-28)、Spy0125 (Pointon et al. 2010 J Biol Chem 285(44), 33858-66)及び FbaB (Oke et al. 2010 J Struct Funct Genomics 11(2), 167-80)、Streptococcus dysgalactiaeのフィブロネクチン結合タンパク質CnaB(Proschel et al. 2017 PLoS One 12(6))、Staphylococcus aureus のCna (Kang et al. 2007 上記)、Enterococcus faecalis のACE19 タンパク質(Kang et al. 2007 上記)、Bacillus cereus のBcpA ピリン (Budzik et al. 2007 PNAS USA, 106(47), 19992-7)、Streptococcus agalactiaeのマイナーピリンGBS52 (Kang et al. 2007 Science 318(5856), 1625-8)、Corynebacterium diphtheriae のSpaA (Kang et al. 2009 PNAS USA 106(40), 16967-71), Streptococcus mutans のSpaP (Nylander et al. 2011 Acta Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Commun 67(Pt1), 23-6)、 RrgA (Izore et al. 2010 Structure 18(1), 106-15), Streptococcus pneumoniae のRrgB 及び RrgC (El Mortaji et al. 2010 J Biol Chem 285(16), 12405-15)、及びStreptococcus gordonii のSspB (Forsgren et al. 2010 J Mol Biol 397(3), 740-51)。
【0107】
適切には、前記タンパク質は、レンサ球菌科のグラム陽性菌、例えばStreptococcus pyogenes、Streptococcus pneumoniae 又は Streptococcus dysgalactiae.のものである。従って、前記タンパク質は、Streptococcus pneumoniaeのアドヘシンRrgA、Streptococcus pyogenesのフィブロネクチン結合タンパク質FbaB、Streptococcus pyogenesの主要なピリンタンパク質Spy0128、又はStreptococcus dysgalactiaeのフィブロネクチン結合タンパク質CnaB、又は1つ又は複数のイソペプチド結合を形成することができる、少なくとも70%の配列同一性を有するタンパク質であり得る。
【0108】
1つの実施形態によれば、本発明者らは、細菌Streptococcus pyogenes(例えば、Spy0128又はFbaB)からの接着タンパク質の利用反応に基づいて自発的アミド結合を形成することができるペプチドタグなどのカップリングペプチドを利用して、異種タンパク質をIBに連結した。それらは、カップリングペプチドSpyTagとその関連パートナーペプチドSpyCatcherとの不可逆的なペプチド-タンパク質相互作用を含む。従って、IBは連結システムにリンクされており、最終的なコンストラクトはIB-SpyTag-SpyCatcherである。
【0109】
実施例1及び
図1A及び1Bは、特定の標的、細胞及び/又は組織へのIBの標的化を可能にするための機能的親和性部分を有するIBの装飾に関する本発明者らの概念実証を説明及び例示する。この特定の例においては、封入体(IB)は、SpyTag及びSpyCatcherの連結システムを使用して、緑色蛍光タンパク質(GFP)に親和性のある緑色蛍光タンパク質Nanobody(登録商標)分子(GFPnb)で装飾され
た(Zakeri et al.2012上記)。
【0110】
別の実施形態によれば、Streptococcus pneumoniae由来のアドヘシンRrgAに基づいて、第2の連結システムが使用される。このシステムは、そのパートナーペプチド(結合タンパク質パートナー)SnoopCatcherに自発的なイソペプチド結合を形成するカップリングペプチド(ペプチドタグ)SnoopTagを含む。この実施形態によれば、封入体は、SnoopTag及びSnoopCatcher(Veggiani et al. 2016 上記)の第2の連結システムに連結されており、最終的なコンストラクトは、IB-SnoopTag-SnoopCatcherである。
【0111】
同様の方法で本発明を実施するために使用することができる連結システムの追加の非限定的な例は、以下を含む:SdyTag-SdyCatcher (Proschel et al. 2017 PLoS One 12(6); Tan et al. PLoS One. 2016. 11(10))、SpyTag002-SpyCatcher002 (Keeble et al. 2017 Angew Chem Int Ed Engl Dec 22 56(52): 16521-16525)、SpyTag003-SpyCatcher003 (Keeble et al. 2019 Proc Natl Acad Sci USA Dec 26 116(52): 26523-26533)、SpyTag0128-SpyCatcher0128 (Zakeri & Howarth 2010 J Am Chem Soc 132(13); 国際公開第2011/098772号)、 KTag-SpyTag, SpyTag-KTag, DogTag-SnoopTagJr及びSnoopTagJnr-DogTag (Buldun et al. 2018 J Am Chem Soc. Feb 28;140(8):3008-3018)、SpyTag-SpyCatcher002、 SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag-BDTag 及び BDTag-SpyTag (Wu et al. 2018 J Am Chem Soc Nov 19 140(50): 17474-17483)。
【0112】
上記の連結システムに関連して、本発明者らは、驚くべきことには、SpyCatcherのタンパク質に由来するペプチドKTag、及びSpyTagがカップリングペプチド及びパートナーペプチドとして作用することを交互に行い、SpyLigaseの促進下にある両方のカップリングとパートナーペプチドとの不可逆的なペプチド-タンパク質相互作用を形成する可能性があることを発見した。これは、カップリングペプチドとして作用する場合、KTagがパートナーペプチドとして作用するSpyTagに結合して、KTag-SpyTagに従って連結システムを形成する可能性があることを意味する。従って、開示された封入体の1つの実施形態によれば、最終的なコンストラクトは、IN-KTag-SpyTagであり得る。
【0113】
同様に、細菌Streptococcus pneumoniaeのアドヘシンRrgAに由来する三者系においては、カップリングペプチドがDogTagであり、そしてパートナーペプチドがSnoopTagJrであるか、又はカップリングペプチドがSnoopTagJrであり、パートナーペプチドがDogTagである場合、共有イソペプチド結合の形成は、 SnoopLigaseの添加加によって媒介される可能性がある。
【0114】
以前はタンパク質生産の望ましくない副産物と見なされていましたが、封入体で生産されたタンパク質は、今日、診断、組織工学、薬物送達、抗原送達などの分野で多くの潜在的な用途を有する機能性ナノ粒子と見なされている。従って、本発明の封入体は、典型的には、少なくとも1つの目的のタンパク質(POI)又はその一部を含む。
【0115】
1つの実施形態によれば、前記目的のタンパク質は、状態又は障害を治療する治療目的を有するタンパク質である。 適切には、前記状態又は障害は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片拒絶及び感染症からなる群から選択される。
【0116】
別の実施形態によれば、目的の前記タンパク質は、状態又は障害から保護する予防目的を有するタンパク質である。 適切には、前記状態又は障害は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片拒絶及び感染症からなる群から選択される。
【0117】
好ましくは、目的の前記タンパク質は、抗原又はそのフラグメントである。 前記抗原は、感染性生物由来の抗原、腫瘍抗原、腫瘍ストロマ抗原及び腫瘍関連抗原からなる群から選択され得る。
【0118】
IBで又はIBとして表されるPOIの特性は異なる場合がある。 それは、例えば、可溶性又は部分的に可溶性の細胞質ポリペプチド、可溶性又は部分的に可溶性の分泌ポリペプチド、又は膜ポリペプチドであり得る。
【0119】
POIの機能も異なる場合がある。 それは、例えば、生物活性分子、例えば免疫化のための抗原、疾患に対する治療薬又は治癒薬(例えば、成長因子、ホルモン、インターロイキン、インターフェロン、又は細胞成分、例えば受容体、チャネル及び脂質に影響を与える他のポリペプチド)、酵素、毒素、構造ポリペプチド、研究ツール、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、又は抗菌ポリペプチドを構成することができる。
【0120】
IBFSをPOI配列に操作可能的に融合することが、融合ポリペプチドを形成する。配列は、例えば、よく知られている組換えDNA技法を使用してベクター内で容易に融合される。前記融合ポリペプチドは、2つ以上のPOIを含み得る。従って、融合ポリペプチドは、2つ、3つ、又はそれ以上のPOIを含み得る。融合ポリペプチドのおそらくいくつかのPOIは、異なる特徴及び機能を有し得る。本明細書で単数形で言及されるときはいつでも、POIはまた、代替的に、2つ、3つ、又はそれ以上のPOIとして存在し得る。
【0121】
融合ポリペプチドの成分は、それらが1つの連続したポリペプチドを形成するように融合される。1つ又は複数のPOIは、封入体形成配列に隣接していても良い。 あるいは、融合ポリペプチドは、POIと封入体形成配列との間の中間アミノ酸配列を含み得る。さらに、封入体形成配列に対するPOIの順序に制限はない。融合ポリペプチドの設計はDNAレベルで行われるため、POIのリーディングフレームが封入体形成配列のリーディングフレームと同じになるように注意する必要がある。
【0122】
一部の環境では、封入体が自然に形成される。 また、封入体において目的のペプチド(POI)を特異的に発現させる必要がある場合、封入体形成配列(IBFS)、例えばシグナル配列ssTorAを使用することができる。当業者に周知の技術により、そのようなIBFSは、POIを発現する配列に遺伝的に融合され、そのような融合の結果として、POIは、不溶性封入体(IB)で発現される。IBFSは、封入体におけるPOIの生成のために、任意の長さ、機能、及び溶解度のPOIに融合させることができる。通常、POIの生成は、タンパク質分解から保護されているため、不溶性の封入体で発現及び凝集すると増加する。さらに、宿主細胞はPOIの毒性から保護されている。 POIを構成する封入体は、例えば遠心分離及び/又は濾過により、他のタンパク質や細胞成分から簡単に分離できる。
【0123】
当業者は、TrpΔLE、ケトステロイドイソメラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、PagP、EDDIE、ELK16、GFIL8、PaP3.30、TAF12-HFD及びPurFのF4フラグメントを含む、ssTorA以外のIBFSに精通しているであろう。本発明での使用に適切な他のIBFSは、国際公開第WO2018 / 138316号に記載されているssTorAからの最小モチーフに基づく配列である。
【0124】
POIはまた、任意には、他の機能のためのアミノ酸配列、例えばPOIの精製又は生化学的検出に使用するアミノ酸タグ、例えばhexa-Hisタグの追加の部分を含み得る
【0125】
1つ実施形態によれば、POIは、配列がIBFS及び/又はカップリングペプチド(例えば、ペプチドタグ)配列に連結されて融合ポリペプチドをもたらすことができる抗原であり得る。 前記融合ポリペプチドは、抗原である2つ以上のPOIを含み得るが、他の種類の隣接して連結されたPOIも含み得る。
【0126】
実施例2において、本発明者らは、2つの異なるカップリングペプチド(ペプチドタグ)SpyTagおよびSnoopTagをそれらの同族のSpyCatcherおよびSnoopCatcherにそれぞれ都合良く結合することによって、彼らの発見を検証した。封入体は、融合タンパク質ssTorA(3x)-MBPカップリングペプチドを使用して生成され、ここで、ssTorA(3x)は、マルトース結合タンパク質(MBP)に遺伝的に融合したIBFSssTorAの3つのコピーであり、これは、ssTorA(3x)と、SpyTag(ssTorA(3x)-MBP-SpT)又はSnoopTag(ssTorA(3x)-MBP-SnT)のいずれかのC末端カップリングペプチド(ペプチドタグ)を含む封入体を正常に生成することが知られている。次に、各融合タンパク質を、可溶性のSpyCatcher-SnoopCatcherと共に、N末端のSpyCatcher部分及びC末端のSnoopCatcher部分を含む融合タンパク質とインキュベートした。SDS-ページ分析は、ssTorA(3x)-MBP-SpT / SnT-SpyCatcher-SnoopCatcherに従っていずれかのシステムを使用して付加物が形成されることを示している(
図2A及び
図2B)。カップリングペプチド(ペプチドタグ)は通常、POIのC末端にあるが、N末端又は内部にある場合もある。「内部」とは、ペプチドタグが、POIのN末端及びC末端(本明細書では、それぞれ、N末端およびC末端とも呼ばれる)から少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、又は少なくとも30のアミノ酸に位置することを意味する。
【0127】
封入体の形成のために結合ペプチド配列及びPOI配列にIBFSを融合することは可能であるが、現在の開示では必要ではない。しかしながら、IBFSが使用された実施形態はまた、IBFS-IBカップリングペプチドに従って融合ポリペプチドを形成し、そして例えば、POIの特性に関してIBFSが使用されなかった融合ポリペプチドと同じ条件に従う。
【0128】
上記を考慮して、封入体は、IBFSの有無にかかわらず製造され得ることが理解されるであろう。本発明者らは、例えば、表面にSpyTag又はSnoopTagなどのカップリングペプチドを有し、そしてSpyCatcher、SnoopCatcher又はKTagパートナーペプチドに連結され得るヒト組換えタンパク質ホスホリパーゼ2(Pla2)を使用することにより、自発的に形成されたIBを装飾することに成功した。実施例3は、本発明者が、ssTorA(3x)誘導性及びssTorA(3x)非依存性封入体の両方をSpyTag又はSnoopTagで都合よく装飾した方法をより詳細に開示している。本発明者らは、C末端SpyTagまたはSnoopTagのいずれかを担持する封入体の形態で発現され、タグをSpyCatcher-SnoopCatcher(SpC-SnC)融合タンパク質に共有結合させたヒト組換えタンパク質(Pla2)を使用した。SDS-PAGE分析(
図3A)は、Pla2-SpT-SpC-SnC連結付加物を表すバンドを示すことによってカップリングを検証する。SpyCatcher-SnoopCatcher融合タンパク質に組み込まれたポリヒスチジン検出タグにより、抗体認識を使用したウエスタンブロッティングによるさらなる検証が可能になった(
図3B)。同様の方法論を使用して、N末端IBFS(ssTorA [3x])、C末端SpyTag又はSnoopTag、及びそれらの間の異なる起源の短い抗原性エピトープ(ssTorA(3x))を含むポリペプチドによって形成されるIBへのSpyCatcher-SnoopCatcherのカップリング -AEDO-SpT及びssTorA(3x)-AEDO-SnT)が示されている。
【0129】
IBFSを使用する場合、本発明者らは、融合タンパク質ssTorA(3x)-MBP-SnT又はssTorA(3x)-MBP-SpTを使用して封入体を生成した:封入体形成のためのトリプルTorAシグナル配列、既知のマルトース結合タンパク質(MBP) ssTorA(3x)、及びC末端のSnoopTag又はSpyTagをそれぞれ備えた良好な封入体を生成する。当業者は、ssTorA、MBP及びAEDOが、封入体の形成に使用され得るIBFS、タンパク質及び抗原の単なる例であり、現在の開示は、これらの例の使用に決して限定されないことを理解している。これは、封入体へのタンパク質連結の成功の概要を示す以下の表1を検討する際に留意する必要があり、ここで、MBP、AEDO、及びssTorAは、本発明の封入体を利用する方法の実例として機能する。
【0130】
【0131】
適切な可能性のあるIB(カップリングペプチドを含む)及びパートナーペプチドの追加の例を以下の表2に示す。
【0132】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【0133】
前述のように、本開示は、様々な異なる連結システムを使用して、様々な追加の部分で封入体を装飾するための強力な方法を実証している。適切には、追加の部分は、パートナーペプチドに結合、連結、又は他の方法で結合される。
【0134】
追加の部分は、任意の生物活性分子、例えば疾患に対する治療薬(例えば、成長因子、ホルモン、インターロイキン、インターフェロン、又は受容体、チャネル、脂質などの細胞成分に影響を与える他のポリペプチド)、酵素、毒素、構造ポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、又は抗菌ポリペプチドを構成し得る。
【0135】
追加の部分の非限定的な例は、以下の免疫調節又は標的化合物を含む:サイトカイン、アジュバント、抗体、Affibody(登録商標)分子、Nanobody(登録商標)分子、DARPIN、PAMP、TLRリガンド又はアゴニスト、脂質、RNA、DNA、免疫調節ペプチド、ペプチド模倣体、ヘルパーT細胞エピトープ、免疫チェックポイント阻害剤、PLGA、キトサン、TRAIL、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10R DN又はそのサブユニット、IL-15 、IL-18、IL-21、IL-23、IL-24、IL-27、GM-CSF、IFN-α、IFN-γ、CCL3(MIP-Ia)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP3)、XCL1(リンホタクチン)、CXCL1(MGSA-alpha)、CCR7、CCL 19(MIP-3b)、CXCL9(MIG)、CXCL10(IP-10)、CXCL 12(SDF-I)、CCL21(6Ckine)、OX40L、4 -IBBL、CD40、CD70、GITRL、LIGHT、b-ディフェンシン、HMGB1、Flt3L、IFN-β、TNF、dnFADD、TGF-α、PD-L1RNAi、PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド、TGFbRII DN、ICOS-L及びS100。いくつかの実施形態によれば、封入体の追加の部分は、IBを特定の細胞内位置、細胞又は組織、例えば、グリカン、アジュバント、アドヘシン、酵素、追跡可能なプローブ、抗体、Affibody(登録商標)分子、Nanobody(登録商標)分子、DARPIN、毒素、薬物、化学療法薬、補体系の構成要素、ホルモンに向ける部分である。これにより、封入体を標的化に使用できるようになり、抗原又は薬物送達に適したものになる。
【0136】
従って、連結システムを使用して開示された封入体の第1の装飾の後、本発明者らはさらに、パートナーペプチドを追加の部分に結合することによって、前記封入体が第2の装飾を受けることが可能であることを示した。本開示の実施例4において、追加の部分は、そのN末端にSnoopTag及びそのC末端にSpyTag(SnT-mEGFP-SpT)を有する可溶性mEGFP(単量体強化緑色蛍光タンパク質)誘導体である。これは、遺伝的に融合したKTag(ssTorA(3x)-MBP-KT)を担持するssTorA(3x)-MBPIBと混合された。前述のように、SpyLigaseは、K-TagとSpyTagとの間の結合を形成するために必要であるため、1つのバッチを追加せずに、1つのバッチに追加した。蛍光顕微鏡分析(
図4A)は、SpyLigaseなしのバッチからはシグナルが放出されなかったが、SpyLigaseありのバッチからは明確なシグナルが放出されたため、結合形成を促進するSpyLigaseの必要性を確認した。続いて、SDS-PAGEを使用してサンプルを分析し、これにより、約100 kDaの付加物を象徴するバンドが見られたため、結果がさらに検証されました(
図4B)。
【0137】
結果として、カップリングペプチドをIBの一部として都合よく発現し(例えば、その表面に表示される)、そしてパートナーペプチドに対するその結合特異性を維持することにより、本発明者らは、IBを特定の化合物、例えば、E。 機能部分に都合よく連結した。当業者は、これが、開示された装飾された封入体を免疫刺激ツールとして使用することなど、様々な可能な応用分野のロックを解除することを理解するであろう。
【0138】
追加の部分を変えることにより、装飾された封入体は大きな可能性を秘めた生物医学的ツールを構成する。本発明者らは、IBの形態で発現されたPOIを特定の標的に連結することが可能であることを示した。例えば、POIが抗原であり、追加の部分が免疫系の特定の細胞に対して親和性を有する場合、封入体は、標的化された抗原送達のためのシステムを提供する。従って、1つの実施形態によれば、追加の部分は、受容体などの表面に露出した成分に対して親和性を有する標的化部分である。
【0139】
標的部分が親和性を有し得る表面露出成分の非限定的な例は、CD4、CD8、CD1、CD180、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、TCR、CRD、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NLR)、レチノイン酸誘導性遺伝子I様 ヘリカーゼ受容体(RLR)、及びC型レクチン受容体(CLR)、エンドサイトーシス受容体、CD205 / DEC205、CD209 / DC-SIGN、Clec9A / DNGR-1 / CD370、Clec7A / Dectin-1 / CD369、Clec6A / Dectin-2、Clec12A、CD1d、CD11c、CD11b、CD40、CD152 / CTLA-4 、CD279 / PD-1、NOD様受容体、RIG-I様受容体、PRR、CCR、CD36、Siglec H、PDCTREM、ランゲリン、MMR、D-SIGN及び葉酸受容体である。
【0140】
別の実施形態によれば、POIが治療特性を有するタンパク質である場合、開示された標的化送達システムは、IBの形態で生成された薬剤を身体の特定の領域に向けるのに適している可能性がある。例には、損傷又は罹患した組織及び細胞にIBを向けることが含まれるが、これらに限定されない。 本開示の1つ実施形態によれば、標的化部分は、任意のタイプの癌の少なくとも1つの腫瘍細胞に対して親和性を有する。癌は、以下からなる群から選択され得る:リンパ腫、白血病、骨髄腫、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、黒色腫、腎細胞癌、卵巣癌、神経膠芽細胞腫、メルケル細胞癌、膀胱癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、食道癌、子宮頸癌、胃癌、肝細胞癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、及び甲状腺癌。
【0141】
別の実施形態によれば、標的化部分は抗体である。 当業者は、この実施形態が、例えば、免疫療法、免疫化、ワクチン送達、及び免疫活性化などの膨大な数の領域に適用可能であり得ることを理解するであろう。従って、標的化部分は、予防目的で目的のタンパク質を体の特定の領域に向けるのに適した抗体であり得る。従って、標的化部分は、予防目的で目的のタンパク質を体の特定の領域に向けるのに適した抗体であり得る。1つの実施形態によれば、抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又はドメイン抗体(例えば、Nanobody(登録商標)分子又はdAb)である。
【0142】
良く知られているように、抗体は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的(抗原)に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、「抗体又はその抗原結合フラグメント」という用語は、完全長又は無傷のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結合フラグメント、例えばFab、Fab '、F(ab‘)2、Fab3、Fv及びそれらの変異体、1つ又は複数の抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、ミニボディ、ダイアボディ、トライアボディ、テトラボディ、線形抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体(例:二重特異性抗体)及び抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有結合的に修飾された抗体を含む、必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他の修飾された構成体も包含する。修飾抗体およびその抗原結合フラグメントのさらなる例は、以下を含む:Nanobody(登録商標)分子、AlbudAbs、DART(二重親和性リターゲティング)、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージメント)、TandAbs(タンデムダイアボディ)、DAF(二重作用Fab)、ツーインワン抗体、SMIP(小型モジュラー免疫医薬品)、FynomAbs(抗体に融合したfynomers)、DVD-Igs(デュアル可変ドメイン免疫グロブリン)、CovX-body(ペプチド修飾抗体)、duobodies及びtriomAbs。抗体の変異体及びその抗原結合フラグメントのこのリストは、限定的であると見なされるべきではない。
【0143】
当業者はさらに、DARPINS、Affibody(登録商標)分子、staphylococcalプロテインA、streptococcalプロテインG、プロテインA/Gキメラ、プロテインL、又はプロテインAドメイン誘導体プロテインZ及びそのZZダイマーを含む非抗体起源の適切な親和性分子にもきずいている。それらの分子が免疫グロブリンに特異的に結合することが理解されるであろう。したがって、本明細書に記載のイソペプチド結合技術によるプロテインA/G/L又はそれらの誘導体によるIBの装飾は、それらのIBがその後に既製の抗体を備えられることを可能にする。
【0144】
本明細書で使用される「全長抗体」という用語は、IgD、IgE、IgG、IgA、IgM又はIgY(又はその任意のサブクラス)などの任意のクラスの抗体を指す。異なるクラスの抗体のサブユニット構造と三次元構成はよく知られている。
【0145】
「抗原結合フラグメント」は、対応する完全長抗体の抗原結合の全て又は有意な部分を保持する、抗体分子又はその誘導体の一部又は領域である。抗原結合フラグメントは、H鎖可変領域(VH)、L鎖可変領域(VL)、又はその両方を含み得る。 VHとVLのそれぞれは、典型的には、3つの相補性決定領域CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VH又はVLの3つのCDRには、フレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)が隣接している。上に簡単に列挙したように、抗原結合フラグメントの例は、以下を含むが、これらに限定されない:(1)VL-CL鎖及びVH-CH1鎖を有する一価フラグメントであるFabフラグメント;(2)H鎖ヒンジ領域を有するFabフラグメントであるFab 'フラグメント、(3)例えば、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された、H鎖ヒンジ領域によって結合されたFab'フラグメントの二量体であるF(ab ')2フラグメント;(4)Fcフラグメント;(5)抗体の単鎖のVL及びVHドメインを有する最小の抗体フラグメントであるFvフラグメント;。(6)scFvのVHドメインとVLドメインがペプチドリンカーによって連結されている単鎖ポリペプチド鎖である単鎖Fv(scFv)フラグメント;(7)ジスルフィド架橋を介して2つのVHドメインを介して関連付けられている、2つのVHドメインと2つのVLドメインを含む(scFv)2;及び(8)抗原に特異的に結合する抗体単一可変ドメイン(VH又はVL)ポリペプチドであり得る、ドメイン抗体。
【0146】
抗原結合フラグメントは、通常の方法で調製できる。 例えば、F(ab ‘)2フラグメントは、完全長抗体分子のペプシン消化によって生成でき、Fabフラグメントは、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成できる。あるいは、フラグメントは、適切な宿主細胞(例えば、大腸菌、酵母、哺乳動物、植物又は昆虫細胞)でH鎖およびL鎖フラグメントを発現させ、それらをインビボ又はインビトロで組み立てて所望の抗原結合フラグメントを形成することにより、組換え技術を介して調製することができる。 一本鎖抗体は、H鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列とL鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を連結することにより、組換え技術を介して調製することができる。例えば、柔軟なリンカーを2つの可変領域の間に組み込むことができる。 当業者は、完全長抗体及びその抗原結合フラグメントの両方を調製するための方法を知っている。
【0147】
従って、1つの実施形態によれば、本開示のこの側面は、完全長抗体、Fabフラグメント、Fab 'フラグメント、F(ab')2フラグメント、Fcフラグメント、Fvフラグメント、単鎖Fvフラグメント、(scFv)2及びドメイン抗体からなる群から選択された、抗体又はその抗原結合フラグメントである標的化部分を含む封入体を提供する。
【0148】
1つの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合フラグメントは、完全長抗体、Fabフラグメント及びscFvフラグメントから選択される。 1つの特定の実施形態によれば、前記少なくとも1つの抗体又はその抗原結合フラグメントは、完全長抗体である。
【0149】
1つの実施形態によれば、抗体又はその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、及びそれらの抗原結合フラグメントからなる群から選択される。
【0150】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、一価の親和性を有する抗体を指し、これは、モノクローナル抗体のサンプル中の各抗体分子が抗原上の同じエピトープに結合することを意味し、そして本明細書で使用される「ポリクローン抗体」という用語は、 特定の抗原に対して反応する抗体のコレクションであるが、そのコレクションには、たとえば抗原上の異なるエピトープを識別するための異なる抗体分子が存在する場合がある。ポリクローナル抗体は通常、適切な哺乳動物の接種によって産生され、哺乳動物の血清から精製される。 モノクローナル抗体は、固有の親細胞(例えば、ハイブリドーマ細胞系)のクローンである同一の免疫細胞によって作られる。本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト対象から得られた抗体に実質的に対応するか、又はそれに由来する可変及び定常領域を有する抗体を指す。本明細書で使用される「キメラ抗体」という用語は、例えば抗体の免疫原性を低下させるために導入された、例えばヒトなどの異なる種からのポリペプチド又はドメインを含む、例えばマウスモノクローナル抗体などの組換え又は遺伝子操作抗体を指す。「ヒト化抗体」という用語は、例えば免疫原性を低下させるために、ヒトで自然に産生される抗体変異体との類似性を高めるためにタンパク質配列が改変された非ヒト種由来の抗体を指す。
【0151】
Nanobody(登録商標)分子(単一ドメイン抗原結合フラグメント)は、サイズが小さく、製造が簡単で、親和性が高いため、幅広いバイオテクノロジー及び治療への応用が可能である。それらは、例えば、マウスの特定の免疫細胞型を標的とするために使用されてきた(Groeve, K. et al. 2010 J Nucl Med 51(5): p. 782-9)。本明細書に記載のIBをナノボディ(登録商標)分子などの親和性結合剤で装飾することにより、IBを、例えば、特定の免疫細胞型に標的化することが可能になり、これにより、所望の免疫応答の効率が大幅に向上する可能性が高い。Nanobody(登録商標)分子は、IBを腫瘍又は損傷した組織に標的化するためにも使用され得る。アゴニストNanobody(登録商標)分子が特定の細胞を活性化する可能性がある一方で、アンタゴニストNanobody(登録商標)分子が特定のプロセス、細胞及び/又は成分を阻害する可能性があることが理解されるであろう。
【0152】
実施例5においては、本発明者らは、ssTorA(3x)-MBP-SpTの構築物に従って、IBFS ssTorAの3つのコピー、モデルタンパク質としてのマルトース結合タンパク質、及びSpyTagを発現する配列を含む融合配列から封入体を作製することによって、この種の装飾を得ることが可能であることを示す。封入体は、パートナーペプチドSpyCatcher(GFPnb-SpC)にすでに融合している緑色蛍光タンパク質GFP(ここではGFPnbと表記)にたいして親和性のあるNanobody(登録商標)分子と共にPBSにおいて混合された。対照として、PBS中、ssTorA(3x)-MBP-SpT封入体を、SpyTagカップリングペプチド(ここではGFPnb-SpC EQと表示)とイソペプチド結合を形成する能力を欠く触媒的に不活性なSpyCatcher変異体(E56Q)に融合したGFPnbと混合しました。位相差顕微鏡を使用して混合物を分析し(
図5A)、GFPnb-SpCとの混合物からの封入体は均一に蛍光を発しましたが、GFPnb-SpCEQとインキュベートしたものは暗かった。混合物はまた、SDS-PAGEとそれに続くクーマシー染色を使用して分析された(
図5B)。GFPnb-SpCコンストラクトのSpyCatcher部分は、ssTorA(3x)-MBP-SpTコンストラクトのSpyTagとイソペプチド結合を形成し、封入体をGFPnbに結合し、その後GFPと相互作用すると結論付けられました。
【0153】
発現ベクター
本開示の融合ポリペプチドを発現するために、それをコードする核酸は、発現ベクターの形態で構築されるか、又は宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そこから直接発現される。
【0154】
遺伝子発現コンストラクトは、制限酵素、DNAリガーゼ、PCR、オリゴヌクレオチド合成、DNA精製、及び当業者に周知の他の方法を含む標準的な分子生物学技術を使用して作成することができる。
【0155】
1つの実施形態によれば、発現コンストラクトは、POI配列及びカップリングペプチド(例えば、ペプチドタグ)配列を含む転写ユニットを含む。適切には、カップリングペプチド(例えば、ペプチドタグ)配列は、POIのC末端(C末端)に位置する。いくつかの実施形態によれば、ペプチドタグ配列は、POIのN末端(N末端)にある。 他の実施形態によれば、ペプチドタグ配列は、前述のように、POIの内部にある。任意には、遺伝子コンストラクトは、封入体産生を容易にするために、封入体形成配列(IBFS)をさらに含むことができる。この場合、転写ユニットは、POIをコードする部分のリーディングフレームがIBFSのリーディングフレームと一致するように配置されている。任意には、転写ユニットはまた、POIとIBFSとの間の中間アミノ酸配列をコードする配列、及び/又は他の機能を提供する追加のアミノ酸配列をコードする配列、例えば、POIの精製のためのタグも含む。
【0156】
発現コンストラクトにおいては、転写ユニットは、それがその発現を制御する1つ以上のプロモーター及び/又は他の配列に操作可能的に連結されるように配置される。典型的には、コンストラクトは、プロモーター又は転写開始領域を含む転写ユニットの領域5 '、及び任意には、転写終結を制御する転写ユニットの領域3'を含む。そのような制御領域は、通常、必ずしもそうではないが、選択された発現宿主細胞に固有の遺伝子に由来する。
【0157】
異なる宿主細胞における転写ユニットからの融合ポリペプチドの発現を駆動するのに有用な転写開始領域及びプロモーターは多数あり、当業者によく知られている。適切なプロモーターは、発現のために選択された宿主細胞に依存する。それらは、以下を含むが、これらに限定されない:E. coliで使用するためのtet、lac、tac、trc、ara(pBAD)、trp、rha、ラムダPL及びT7プロモーター、Bacillusで使用するためのamy、apr及びnprプロモーター、及びSaccharomycesで使用するCYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO及びTPIプロモーター。E. coliで好ましいプロモーターは、tet、araBAD、lac及びT7プロモーターを含む。同様の速度論的特性を有する他のプロモーターもまた、E. coli及び他の宿主の両方において好ましい。そのようなプロモーターは、強力且つ迅速なタンパク質産生を可能にし、従って、以下でさらに説明するように、効率的な封入体産生に寄与する。
【0158】
転写終結領域は、発現の最適化及び/又は転写されたmRNAの安定性を高めるために、必要に応じてベクターに含まれ得る。 そのような領域はまた、当技術分野で知られているか、または好ましい宿主に固有の様々な遺伝子に由来し得る。
【0159】
さらに、コンストラクトは、典型的には、1つ以上の選択マーカー、及び複製起点(ori)などのベクターの自律的複製を可能にし、制御する配列などの他の機能を含む。 複製起点は、ベクターのコピー数を決定する。好ましくは、複製起点は、高いコピー数の複製起点である。このような複製起点は、強力且つ迅速なタンパク質産生を可能にし、従って、以下でさらに説明するように、効率的な封入体産生に寄与する。
【0160】
ベクターは、好ましくは、自律的又は自己複製するプラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス又はレトロウイルスである。 本発明の融合ポリペプチドを発現する際に、多種多様な宿主/ベクターの組み合わせを使用することができる。有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体、及び/又は合成核酸配列のセグメントを含み得る。適切なベクターは、特定の宿主範囲を有するベクター、例えば E. coliに対して特異的なベクター、及びグラム陰性菌又はグラム陽性菌に有用なベクターを含む。
【0161】
より好ましいのは、特定のホスト範囲を持つベクター、例えばE. coliに対して特異的なベクターである。
【0162】
例えば、E. coliにおける発現のための他の有用なベクターは、以下である:pQE70、pQE60及びpQE-9(QIAGEN、Inc.); pBluescriptベクター7、Phagescriptベクター、pNH8A、[rho]NH16a、pNH18A、[rho]NH46A (Stratagene Cloning Systems, Inc.); ptrc99a、pKK223-3、 [rho]KK233-3、 pDR540、pRIT5 (Pharmacia Biotech, Inc.); pLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、 pUC19、pKC30、pRep4、pACYC177、 pACYC184、pRSFlOlO 及びpBW22 (Wilms et al., 2001 Biotechnology and Bioengineering, 73 (2) 95-103)又はそれらの誘導体。さらに有用なプラスミドは当業者に周知であり、そして例えば、“Cloning Vectors” (Eds. Pouwels P. H. et al. Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)に記載されている。
【0163】
ベクターは宿主細胞に導入され、ベクターによってコードされるタンパク質は封入体で発現される。現在の開示の場合、これは、それらのパートナーペプチドにアクセス可能なカップリングペプチド(例えば、それらの表面上)を表示する目的のタンパク質の封入体をもたらす。封入体上のカップリングペプチドは、少なくとも1つのパートナーペプチドに対して特異的な親和性を有し、それとイソペプチド結合を形成することができる。その結果、非常に強固な共有結合が形成され、カップリングペプチドをパートナーペプチドに直接結合し、封入体をパートナーペプチドに間接的に結合する。
【0164】
効率的な封入体形成のための発現動態
典型的には、排他的ではないが、本開示におけるベクターは、比較的短期間で融合ポリペプチド(例えば、カップリングペプチドに連結されたPOI、任意にはIBFSを含む)の比較的高レベルの発現を促進するように配置される。融合ポリペプチドの迅速かつ強力な発現は、効率的な封入体形成に貢献する。宿主細胞における融合ポリペプチドの発現は、いつでも、発現のレベル、すなわち強度だけでなく、発現の速度、すなわち動力学によっても決定される。効率的な封入体形成のためには、発現レベルが高い、すなわち発現が強いこと、また発現速度が高い、すなわち発現が速いことが好ましい。さまざまな方法で、高速で高レベルの発現を実現できる。 例えば、迅速な発現動態を提供する強力なプロモーターを、融合ポリペプチドの発現を制御するために選択することができる。別の方法は、融合ポリペプチドをコードする核酸の複数のコピーが宿主細胞に存在するように、融合ポリペプチドをコードする核酸配列を高いコピー数のベクターに配置することである。発現が誘導されると、融合ポリペプチドは複数のコピーから並行して発現され、高速で高レベルの発現が保証される。強力で高速なプロモーターと高いコピー数のベクターの組み合わせにより、レベルと速度の点でさらに効率的な発現が得られる。
【0165】
IB形成を促進する強力で迅速な発現は、複製起点のコピー数が高いベクター又はプラスミドを使用することで達成できる。細胞内の発現ベクターの多数のコピーにより、一度に多数の転写ユニットからの並行発現が可能になり、融合ポリペプチドの迅速かつ強力な発現がもたらされる。
【0166】
速くて強い発現が有利であり、典型的には好ましいが、IBのより遅い発現速度(例えば、遅い誘導動態を有するベクターを使用することによる)もまた適切であり得ることが理解されるであろう。
【0167】
宿主細胞
タンパク質の発現及び融合ポリペプチドの産生のために、融合ポリペプチドをコードする転写ユニットを含むベクターは、当技術分野で知られている適切な方法を使用して、適切な宿主細胞に形質転換される。宿主細胞は、好ましくは、当業者に周知の方法によって培養及び操作することができ、異種タンパク質を発現することができ、特定のポリペプチドの過剰発現時に封入体が形成され得る細胞である。融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを保有する宿主細胞は、融合ポリペプチドの産生のための発現システムを構成する。 発現システムは、誘導性又は非誘導性であり得る。
【0168】
封入体における融合ポリペプチドの発現のための好ましい宿主細胞は、細菌、酵母及び糸状菌などの微生物宿主の細胞を含む。使用できる宿主細胞の例は、以下を含むが、これらにだけには限定されな:細菌属Escherichia, Salmonella、 Bacillus、 Pseudomonas、Erwinia、Agrobacterium、 Lactococcus、Vibrio、Shigella、 Burkholderia、 Acinetobacter、 Zymomonas、 Erythrobacter、Chlorobium、Chromatium、 Flavobacterium、Cytophaga、Rhodobacter、Rhodococcu、Streptomyces、 Brevibacterium、 Corynebacteria、Mycobacterium、Deinococcus、 Pantoea、 Sphingomonas、Methylomonas, Methylobacter、Methylococcus、Alcaligenes、 Synechocystis、 Synecoccus、 Anabaena、 Thiobacillus、Methanobacterium、Klebsiella、 Myxococcus、Bordetella及び Caulobacter、Aspergillusなどの真菌又は酵母属。
【0169】
融合ポリペプチドの発現
封入体における目的のポリペプチドの発現は、宿主細胞において達成することができる。宿主細胞は、融合ポリペプチドをコードする核酸が多数の融合ポリペプチド分子に翻訳され、融合ポリペプチド分子が封入体に凝集する条件下で培養される。
【0170】
宿主細胞は、特定の宿主細胞に適した培地で培養される。 例えば、培地は適切な炭素源を含む。 さらに、培地は、タンパク質発現のために最適化されることが好ましい。例えば、宿主細胞は、当技術分野で知られている従来の培地、例えばルリア-ベルターニブロスのような複雑な培地又は「栄養酵母ブロス培地」、Kortz et al. 1995, J Biotechnol 39, 59-65に記載されるようなグリセロール含有培地、又はKulla et al. 1983, Arch Microbiol 135, 1に記載されるような無機塩培地において培養され得る。培地は、必要に応じて、さらなる成分、例えば緩衝液、塩、ビタミン、又はアミノ酸加えることによって、修飾され得る。ベクターの安定した存在、従って安定したタンパク質発現を確実にするために、発現ベクターの抗生物質耐性マーカーと一致する抗生物質を培地に添加することが好ましい。
【0171】
宿主が大腸菌の場合、ルリア-ベルターニブロス(LB培地)が有利に使用される。細胞は一般的に37℃の温度で培養される。培養物が対数増殖期の初期(OD660が約0.3から約0.5)に達すると、培地に、使用する発現ベクターのプロモーターに適合するインデューサーを添加することにより、標的タンパク質の発現が適切に誘導される。インデューサーは、POI及び封入体形成配列を含む融合ポリペプチドの発現を誘導する。誘導は一般的に約30~45℃の温度で、しばしば約37℃で行われ、多くの場合、約30~45°Cの温度で行われる。わずかに高い温度、例えば約42℃での誘導は、しばしばより効率的な封入体形成をもたらすので、好ましい。
【0172】
細胞培養に適したシステムに関しては、バッチ培養又は流加培養などの連続又は不連続培養を、例えば、培養チューブ、振盪フラスコ又は細菌発酵槽で使用することができる。融合ポリペプチドの発現は、例えば、以下によってモニターすることができる:クーマシー/銀染色、ウエスタンブロッティング、又はドットブロッティングを含むその変異体と組み合わせたSDS-PAGE。
【0173】
胞増殖は、600nm又は660nmでの光学密度を経時的に追跡することによっても監視され得る。細胞培養がタンパク質回収に最適な段階に達すると、細胞が回収され、融合ポリペプチドを含む封入体が宿主細胞の培養から回収される。発現されたポリペプチドの最大収量を得るために、細胞培養物が定常期に達する場合、細胞は通常収穫される。典型的には、細胞は、融合ポリペプチドを含む不溶性封入体を放出するために、例えば、EDTAお予備/又はリゾチーム処理、及び/又は超音波処理又はフレンチプレスによって均質化又は溶解される。
【0174】
封入体の回収
細胞溶解物から封入体を単離するための方法は、当技術分野で周知であり、そして遠心分離、濾過、及びそれらの組み合わせを含む(Burgess RR 2009 Methods Enzymol 463:259-82; Nguyen L 1993 Protein Expr Purif 4:425-433; Palmer and Wingfield 2012 Curr Protoc Protein Sci Chapter 6: UNIT 6.3; Batas B et al. 1999 J Biotechnol 68(2-3):149-58)。通常、このプロセスには数サイクルの均質化が含まれる。
【0175】
パートナーペプチド(例えば、キャッチャー)及びそれらの関連する追加の部分は、典型的には、限定的ではないが、POI及びカップリングペプチドを発現するために使用されるものとは異なる可能性があるベクター/ゲノム及び宿主を使用して可溶性形態でクローン化および発現される。従って、パートナーペプチド及びそれらの追加の(機能的)部分は、細菌(例えば、E.coli)又は酵母細胞においてクローン化及び発現され得るが、それらはまた、昆虫細胞(例えば、S2、Sf9、 Mimic(登録商標)Sf9、Sf21及びTrichoplusia ni High-5)又は哺乳動物細胞(例えば、PER.C6.(登録商標)、COS-7、CHO、HeLa及びHEK293)及び当業者に知られている標準的な技術及び方法を使用して精製され得る。
【0176】
飾された封入体は、特定の薬物を特定の標的に送達するために有利に使用され得る。従って、特定の側面及び実施形態によれば、前述の封入体、複合体、核酸、核酸コンストラクト、及び/又は宿主細胞は、別個に、又は組成物の形態で対象に投与され得る。前記組成物は、許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含み得る。1つの実施形態によれば、組成物は、医薬組成物及び/又は免疫学的組成物である。1つの実施形態によれば、組成物はワクチン組成物である。
【0177】
1つの実施形態によれば、本明細書に開示される封入体又は複合体は、薬剤として使用される。
【0178】
本発明の封入体は、治療、診断、予後又は予防剤として使用することができる。これは、例えば、パートナーペプチドに結合した追加の部分として抗体を使用することによって達成することができ、その結果、前記抗体に親和性のある抗原を人体で検出することができる。この技術を利用する例は、実施例5及び
図5に開示されており、追加の部分は、緑色蛍光タンパク質に親和性を有する緑色蛍光Nanobody(登録商標)分子である。GFP Nanobody(登録商標)分子を、特定の疾患の条件下で特異的に存在するタンパク質に親和性のあるNanobody(登録商標)分子に交換することにより、開示された封入体を使用して、疾患の診断及び/又は予後を提供することができる。
【0179】
本発明のいくつかの側面及び実施形態はまた、本発明の封入体、複合体又は組成物を前記対象に投与する工程を含む、対象における疾患又は障害の治療、診断、予後または予防の方法を提供する。対象は、ヒトから選択された哺乳動物、家畜(例えば、牛、羊、豚及び山羊)及びコンパニオンアニマル(例えば、馬、犬及び猫)などの任意の動物であり得る。動物はまた、魚(例えば、鮭、マス、シーバス、ティラピア及びナマズ)又は鳥(例えば、家禽)であり得る。
【0180】
以前に開示された実施形態による封入体、複合体又は組成物はまた、ワクチンとして使用され得る。 例えば免疫刺激部分をパートナーペプチドに、したがって抗体の形態で発現されるPOIに連結することにより、開示された封入体を使用して、特定のタイプの病変細胞又は感染を標的とするように免疫系を刺激することができる。
【0181】
上記に示した種類の標的化部分は、免疫系の特定の成分に親和性のある装飾された封入体を作成する方法を提供する。さらに、本発明者らは、例えば封入体中の抗原などの目的のタンパク質を凝集する能力を、前記封入体を免疫標的化部分で装飾することと組み合わせることにより、免疫系からの特定の応答を刺激し、本明細書では、例えば、ワクチンとして記載されているように、装飾された封入体を使用することを可能にした。同じ原理に基づいて、本開示は、封入体が凝集した生物学的薬物分子からなり、そして例えば癌細胞などの特定の細胞型にたいして親和性を有する標的化部分で装飾され、したがって、 医薬品としての封入体を用いる、薬物送達システムを提供する。標的化された薬物送達は、薬物を目的の部位及び/又は標的に効率的に送達し、例えば薬物が血液系を介して分配される経口投与と比較して患者への負担が少ない投与経路を提供し得るので、非常に望ましい。
【0182】
前述のことを考慮して、当業者は、このアプローチが、IBと、ヒト及び動物の細胞又は組織との間の特定の相互作用が前提条件である用途に有用であり得ることを理解するであろう。例えば、抗原送達にIBを使用する免疫化法は、免疫系の細胞の特定のサブセットを標的とし、調整された免疫応答を可能にする、親和性分子(抗体、Affibody(登録商標)分子又はNanobody(登録商標)分子など)によるIBの装飾から大きな恩恵を受けることが期待される。同様に、腫瘍特異的分子(例えば、腫瘍細胞の表面に存在する分子)を認識する親和性分子によるIBの装飾は、標的化されたIBベースの癌治療を可能にするであろう。
【0183】
さらに、タンパク質性アドヘシン又はグリカンをIBの表面に付着させて、好ましい細胞型又は組織とのそれらの会合を促進することができる。抗原送達又は癌治療のためのIBの機能は、カスタマイズされた免疫応答を可能にするために、アジュバント又はサイトカインなどの免疫調節分子をそれらに装備することによっても強化され得る。
【0184】
他の実施形態よれば、IBは、例えば、固定化された生体触媒作用を促進するために、特定のマトリックス上でのIBの固定化を可能にする結合パートナーで装飾され得る。
【0185】
本明細書に開示される封入体、複合体、及び組成物は、様々な医学的及び/又は獣医学的用途に適しており、そして任意の動物、例えば哺乳動物、例えばヒト、家畜(牛、羊、豚、山羊など)、またはコンパニオンアニマル(馬、犬、猫など)を治療するために使用され得ることが理解されよう。1つの実施形態によれば、前記哺乳動物はヒトである。 動物はまた、鳥(例えば、家禽)又は魚(例えば、鮭、マス、シーバス、ティラピア又はナマズ)であり得る。
【0186】
結論として、本明細書に記載されているのは、連結システムを使用して封入体を機能的部分で装飾するための普遍的で簡単且つ費用効果の高い方法であり、これにより、封入体は様々な生物工学的及び生物医学的目的に適用可能になる。
【0187】
本発明を完全に理解して実用化するために、以下の非限定的な実施例を参照する。
【実施例】
【0188】
一般的な手順
追加の部分を含む可溶性パートナーペプチドのタンパク質発現及び精製
E. coliBL21(DE3)細胞を使用して、本明細書に開示された異なる構築物を収容し、適切な発現ベクター(pET28a又はpDEST14)にクローン化した。細胞を一晩放置し、一晩培養物を新鮮な培地で継代培養し、細胞増殖を続けた。対数増殖期の初期(OD600≒0.3)に達すると、0.4mMのIPTGで目的のタンパク質の発現を誘導した。低速遠心分離による誘導の4時間後に培養物から細胞を収集し、45mlのPBSに再懸濁した。その後、低速遠心分離により細胞を再度回収し、-80℃で保存した。細胞を結合緩衝液(50 mMのリン酸ナトリウム、300 mMの NaCl、pH 7.4)に再懸濁(42倍濃縮)した。PMSFを0.5mMまで加えた。細胞懸濁液を1.2kバールのOneShotセルディスラプターに2回通した。続いて、懸濁液を4℃で2回の遠心分離工程で清澄化した:最初の工程は10,000 x gで10分間、2番目の工程は293,000 xgで45分間。目的のタンパク質を、TALON Superflow(GE Healthcare Life Sciences)を製造元の指示に従って使用して、清澄化した溶解物から精製した。
【0189】
封入体の発現及びカップリングペプチドを含むPOIの単離
一晩の培養物から発現ベクターpIBAにクローン化されたコンストラクトを含むE.coli TOP10F ‘細胞を新鮮な培地で継代培養し、対数増殖期の初期(OD600≒0.3)に達するまで増殖を続け、0.2 μg/mlのアンヒドロテトラサイクリンで融合タンパク質の発現を誘導した。低速遠心分離による誘導の3時間後に培養物から細胞を収集し、次に40mlのpH8.0の10mMのTris-HClに再懸濁した。細胞を再び低速遠心分離によって収集し、凍結保存した(-20℃又は-80℃)。 続いて、細胞を10 mMの Tris-HCl pH 8.0、1 mM のNa-EDTA、10 μg/mlリゾチームに再懸濁してOD600を20(最終培養ODから計算)にし、37℃で1時間インキュベートした。懸濁液を氷上で冷却し、チップソニケーター(Branson Sonifier 250、設定はサンプルごとに異なる)を使用して、すべての細胞が溶解するまで超音波処理した(細胞溶解は顕微鏡で確認した)。封入体を含むすべての不溶性物質は、15,000 xgで15分間の遠心分離を使用して収集された。ペレット化した材料を半量の10mM Tris-HCl pH 8.0に再懸濁し、超音波処理して封入体の塊を破壊しました。半量の10mM Tris-HCl pH 8.0、2 mM のNa-EDTA、2%Triton X-100(1mMのEDTA及び1%TX-100最終を与えるため)を添加した。懸濁液を周囲温度で1時間撹拌しながらインキュベートした。 封入体は、15,000 x gで15分間の遠心分離によって収集され、再び半量の10 mMのTris-HCl pH 8.0に再懸濁され、超音波処理され、凝集塊が破壊された。半量の10mMのTris-HCl pH 8.0、2Mの尿素を添加した。 懸濁液を周囲温度で1時間撹拌しながらインキュベートした。15,000 x gで15分間の遠心分離を使用して封入体を収集し、半量の10 mMのTris-HCl pH 8.0に再懸濁し、超音波処理して凝集塊を破壊した。半量の10mMのTris-HCl pH 8.0、2MのNaClを添加した。 懸濁液を周囲温度で1時間撹拌しながらインキュベートした。15,000 x gで15分間の遠心分離を使用して封入体を収集し、1容量の10mMのTris-HCl pH 8.0に再懸濁し、超音波処理して凝集塊を破壊した。15,000 x gで15分間の遠心分離を使用して封入体を収集し、PBSに再懸濁し、-20℃で保存した。
【0190】
実施例1
概念の実証
この実施例は、特定の細胞及び/又は組織へのIBの標的化を可能にする機能的親和性部分を備えたIBの装飾の概念実証を示している。
図1Aは、SpyTag及びSpyCatcherの連結システムを使用して、緑色蛍光タンパク質(GFP)に対して親和性を有するNanobody(登録商標)(GFPnb)で装飾された封入体(IB)の概略図である。GFPnbはGFPに結合することができ、蛍光で装飾されたIBをもたらす。
図1Bは、パートナーペプチドSpyCatcher(左側)とGFPに結合したGFPnb(右側)を示すリボン図である。
【0191】
実施例2
2つの異なるイソペプチド結合技術を使用した封入体への結合
この例は、IBの形で発現したタンパク質に融合した場合、2つの異なるカップリングペプチド(すなわちペプチドタグ)がそれぞれの同族のパートナーペプチド(すなわち結合タンパク質パートナー)に共有結合することに成功したことを示している。配列ssTorA(3x)-MBPは、C末端SpyTag(ssTorA(3x)-MBP-SpT;配列番号2)又はSnoopTag(ssTorA(3x)-MBP-SnT;配列番号: 13)のいずれかと融合され、そして得られた融合物は2つの異なるバッチでIB形態で発現された。
【0192】
N末端SpyCatcher成分及びC末端SnoopCatcher成分(SpyCatcher-SnoopCatcher; SpC-SnC;配列番号1)を含む可溶性融合タンパク質が、pET28aから発現された。精製されたSpyCatcher-SnoopCatcherを、3500 DaのMWCO(Spectra / Por)を備えた透析膜を使用して4℃で16時間、500倍量のPBSに対して透析した。透析後、グリセロールを最終濃度が10%(v / v)になるように添加した。
【0193】
ssTorA(3x)-MBP-SpT又はssTorA(3x)-MBP-SnT(総タンパク質約15 μg)を発現する細胞から分離した封入体を、精製及び透析されたSpyCatcher-SnoopCatcher(最終濃度10 μM)とPBS pH8.0において混合しました。 。 混合物を25℃で2時間インキュベートした。
【0194】
SpyCatcher-SnoopCatcherのssTorA(3x)-MBP-SpT IB及びssTorA(3x)-MBP-SnT IBへの結合の成功は、0.75μgの封入体に対応するサンプルのSDS-PAGE及びクーマシー染色分析から確認できる。
図2A及び
図2Bにそれぞれ見られるように、約75kDaの付加物が効率的に形成され、ペプチドタグ(SpyTag又はSnoopTag)と結合タンパク質パートナー(SpyCatcher又はSnoopCatcher)の間の共有結合を示す。
【0195】
比較のために、反応混合物で使用される等量の封入体材料とSpyCatcher-SnoopCatcherをゲル上に負荷した。分子量(kDa)マーカーは、パネルの左側に示されている。 付加物は矢印で示されている。
【0196】
実施例3
2つの異なるイソペプチド結合技術を使用したssTorA(3x)誘導及びssTorA(3x)非依存封入体への結合
この例は、2つの異なるイソペプチド結合システムSpyCatcher / SpyTag及びSnoopCatcher / SnoopTagを使用したパートナータンパク質のIBへの結合を示している。さらに、それは、両方のシステムが、様々な設計のIB形成配列への結合に使用され得ることを示している。さらに、IB形成タグとは独立して形成されたPla2IBへのパートナータンパク質のカップリングの成功を示している。
【0197】
融合タンパク質SpyCatcher-SnoopCatcher(SpC-SnC;配列番号1)を実施例2のようにベクターpET28aから発現させ、3500DaのMWCO(Spectra / Por)を備えた透析膜を使用して500倍量のPBSに対して4℃で16時間透析した。透析後、グリセロールを最終濃度が10%(v / v)になるように添加した。
【0198】
C末端SpyTag又はSnoopTagのいずれかを保有するPla2に由来する封入体は、それぞれ、コンストラクトPla2-SpT(配列番号4)及びPla2-SnT(配列番号3)として生成された。同様に、封入体は、IBFS ssTorA(3x)とSnoopTag又はSpyTagの間でコンストラクトssTorA(3x)-AEDO-SnT及びssTorA(3x)-AEDO-SpTとして融合した異なる起源の短い抗原性エピトープ(AEDO)を含むように作成された。封入体(総タンパク質30μg)を、PBS中の精製されたSpyCatcher-SnoopCatcher(最終濃度70μM)と混合した。混合物を25℃で2時間インキュベートした。封入体を遠心分離によって収集し、PBSに再懸濁した。1.5 μgの封入体総タンパク質に対応するサンプルをSDS-PAGE及びクーマシー染色を使用して分析した。分析は、C末端SpyTag又はSnoopTagのいずれかを担持するPla2に由来するIBが、
図3A(矢印で示されている)に見られる付加物によって確認されるように、一緒に混合された場合、SpyCatcher-SnoopCatcher融合タンパク質に共有結合したことを示している。同様に、ssTorA(3x)-AEDO-SnT又はssTorA(3x)-AEDO-SpT IBは、
図3Aに見られる付加物によって確認されるように、SpyCatcher-SnoopCatcherに共有結合した。
【0199】
1.5μgの封入体総タンパク質及びモノクローナル抗ポリヒスチジン抗体(Sigma、H1029)に対応するサンプルを使用して、SDS-PAGE及びウエスタンブロッティングによってさらなる検証を行った(
図3B)。分子量(kDa)マーカーは、パネルの左側に示されている。
図3Aでは、付加物は矢印で示されている。
図3Bでは、対応する位置が同様に示されている。
【0200】
実施例4
SnT-mEGFP-SpTのssTorA(3x)-MBP-KT封入体への結合
この実施例は、パートナーペプチド(SpyTag)とカップリングペプチド間の共有イソペプチド結合形成を介した、生物学的に機能する分子の封入体への結合の成功を示している。この場合、カップリングペプチドは、C末端でマルトース結合タンパク質ssTorA(3x)-MBP(ssTorA(3x)-MBP-KT;配列番号5)に遺伝的に融合されたKTagであった。封入体は、ssTorA(3x)-MBP-KT(総タンパク質14μg)を発現する細胞から分離された。
【0201】
単量体の強化緑色蛍光タンパク質(mEGFP)を、C末端のパートナーペプチド(SpyTag)及びN末端の冗長SnoopTag(SnT-mEGFP-SpT;配列番号7)に結合する追加部分として使用した。SnT-mEGFP-SpTはpET28aから発現され、精製されました。 リガーゼタンパク質SpyLigase(配列番号6)は、カップリング反応を促進するために存在し、pDEST14から発現された。SpyLigaseとSnT-mEGFP-SpTは、3500Daの MWCO(Spectra / Por)を備えた透析膜を使用して4℃で3時間、15時間、3時間、PBSを交換しながら、250倍量のPBSに対して透析した。
【0202】
ssTorA(3x)-MBP-KT(総タンパク質14 μg)を発現する細胞から分離した封入体を、精製されたSnT-mEGFP-SpT及びSpyLigase(それぞれ、最終濃度5μM及び20μM)と共に40mMのNa2HPO4、20mMのクエン酸、1.5MのトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)において混合した。対照実験では、SpyLigaseの代わりにPBSを添加した。 混合物を4℃で23時間インキュベートした。 封入体を遠心分離によって収集し、PBSに再懸濁した。
【0203】
ssTorA(3x)-MBP-KTag - SpT-mEGFP-SnTによるSnT-mEGFP-SpTのssTorA(3x)-MBP-KT IBへの結合の成功は、
図4A(スケールバーは1μmを示す)に示す蛍光顕微鏡分析によって検証された。分析では、SnT-mEGFP-SpT及びSpyLigaseと混合されたIBによって放出されたGFP蛍光シグナルが示されているが、SpyLigaseが存在しない場合、シグナルは検出されない。
【0204】
パネルの左側に分子量(kDa)マーカーが示されている
図4Bに示すように、0.7μgの封入体総タンパク質に対応するサンプルをSDS-PAGE及びクーマシー染色で分析した。ssTorA(3x)-MBP-KT-SpT-mEGFP-SnT付加物は矢印で示されている。分析は、SpyLigaseが存在する場合、ssTorA(3x)-MBP-KTとSnT-mEGFP-SpTの間の付加物を表すバンドの出現を明らかにし、ssTorA(3x)-MBP-KTIBと可溶性SnT- mEGFP-SpTの間の共有イソペプチド結合形成を示している。
【0205】
実施例5
GFPNanobody(登録商標)SpyCatcher(GFPnb-SpC)のssTorA(3x)-MBP-SpT封入体への結合
実施例1の概念実証の拡張であるこの実施例は、追加の部分を封入体に結合するための連結システム技術の成功した使用を示している。 より具体的には、この実施例は、Nanobody(登録商標)分子の封入体への結合を示している。
【0206】
E. coli BL21(DE3)細胞を使用して、一晩の培養でベクターpET22bにクローン化されたGFPnb-SpyCatcher(配列番号8)のコンストラクトを収容した。次に、培養物を新鮮な培地で継代培養し、細胞増殖を再開した。 培養物がOD600≒0.85に達した場合、GFPnbの発現を0.5 mMのIPTGで誘導し、温度を12℃に下げた。細胞を、低速遠心分離による誘導の20時間後に培養物から収集し、-20℃で保存した。 次に、細胞を解凍し、PBSに再懸濁した。振盪しながら21℃で30分間インキュベートした後、遠心分離を使用して細胞を除去した。対照として、イソペプチド結合形成を破壊するアミノ酸置換E77Qを有するSpyCatcherを含むコンストラクトも生成された(GFPnb-SpC EQ;配列番号9)。
【0207】
GFPnb-SpC及びGFPnb-SpCEQタンパク質を、製造元の指示に従ってTALON Superflow(GE Healthcare Life Sciences)を使用して懸濁培地から精製した。精製されたGFPnb-SpC及びGFPnb-SpCEQを、3500DaのMWCO(Spectra / Por)を備えた透析膜を使用して4℃で16時間、1000倍量のPBSに対して透析した。
【0208】
ssTorA(3x)-MBP-SpT(配列番号2)(~15μgの総タンパク質)を発現する細胞から分離した封入体を、精製されたGFPnb-SpC又はGFPnb-SpC EQ(それぞれ最終濃度3.0μM又は3.2μM)とPBSにおいて混合した。混合物を25℃で2時間インキュベートした。 封入体を遠心分離によって収集し、PBSに再懸濁した。pET28aから発現された精製されたGFP(配列番号10)を2.8μMの最終濃度で添加した。
【0209】
GFPnb-SpCのssTorA(3X)-MBP-SpT IBへの結合の成功は、SDS-PAGE及びクーマシー染色分析から得らる。
図5Bに示すように、約75kDaの付加物が効率的に形成され、これは、カップリングペプチド/ペプチドタグ(SpC)とパートナーペプチド/結合タンパク質パートナー(SpT)の間の共有結合を示す。対照として、ssTorA(3X)-MBP-SpTIBをイソペプチド結合形成が欠損したSpyCatcher部分を有するGFPnb-SpCEQとインキュベートしても、付加物は観察されなかった。
【0210】
連結反応時のNanobody(登録商標)分子の機能を確認するために、IBを可溶性GFPと共に周囲温度で50分間インキュベートし、遠心分離を使用して封入体を収集した後、PBSに再懸濁し、蛍光顕微鏡で分析した。
【0211】
能性Nanobody(登録商標)分子のIBへの効果的な結合は、GFPnb-SpCとインキュベートし、続いてGFPで処理されたIBによる蛍光シグナルの放出によって実証されました(
図5A)。対照として、GFPnb-SpCEQとインキュベートしたIBのGFP処理では蛍光シグナルは検出されなかった。従って、ssTorA(3x)-MBP-SpT IBとGFPnb-SpC(ssTorA(3x)-MBP-SpT-SpC-GFPnb)の間のイソペプチド結合形成は、使用するアッセイでIBの蛍光標識を達成するために発生する必要がある。
【0212】
実施例6
機能的な抗体結合ZZ分子のIBへのカップリング
この実施例は、イソペプチド結合技術を使用して、Ig結合タンパク質又は派生ドメインのカップリングを介して抗体でIBを装飾できることを示している。 また、IBの文脈でのSpyCatcher002の機能が示されている。
【0213】
StaphylococcalプロテインA、streptococcalプロテインG及びPeptostreptococcusプロテインLは、哺乳類の免疫グロブリン分子に結合するタンパク質である。組換えバージョンも利用可能であり、抗体精製手順で親和性分子として広く使用されている。このような分子の例は、プロテインZと呼ばれるプロテインAの抗体結合ドメインBの誘導体(Nilsson et al(1987)、Prot Eng 1:107-113)、またはZZと呼ばれるタンデム融合デュアルバージョンも含む。 プロテインAと同様に、ZとZZは抗体のFcドメインに親和性がある。別の例は、StaphylococcusプロテインAとstreptococcalプロテインGの両方のIgG結合ドメインを組み合わせた組換え融合タンパク質であるプロテインA / Gであり、質量は50kDaである。ZとZZは主にヒトとウサギのIgG、及びいくつかのクラスのマウスとラットのIgGに結合するが、プロテインA / Gはすべてのサブクラスのヒト、ウサギ、マウス、ラットのIgGに結合する。
【0214】
ZZのIBへのイソペプチド結合を介したカップリングを可能にするために、ZZ及びC末端に位置するSpyCatcher002部分(ZZ-SpC2;配列番号11)を含む融合タンパク質を作成及び精製した。さらに、ssTorA(3x)-AEDO-SpTIBは同族のSpT部分を担持して調製した。ZZ-SpC2とIBを混合し、4℃で一晩インキュベートした。 対照として、ZZ-SpC2はSpTを欠くssTorA(3x)-AEDOとも混合された。 翌朝、低速遠心分離によってIBを収集し、PBS /グリセロール(15%)に再懸濁した。この時点で、E. coli SurAに対するポリクローナル抗体を含むウサギ抗血清を添加し、その混合物を周囲温度で1時間インキュベートし、ZZによる抗体の結合を可能にした。次に、低速遠心分離によってIBを単離して、IB結合抗体を可溶性抗体から分離し、クーマシー染色したSDS-PAGEによって分析した。ZZ-SpC2のSpTを担持するIBへの結合の成功は、付加物ssTorA(3x)-AEDO-SpT及びZZ-SpC2を表すタンパク質バンドの出現によって実証された。 SpTを欠くIBを使用した場合、付加物は観察されなかった。次に、ZZを表示するIBへのSurA抗体の結合の成功に続いて、特にSpTを備え、ZZ-SpC2で装飾されたIBサンプルにおけるIgG H鎖物質が回収された(
図6A)。
【0215】
抗体の結合の成功は、蛍光顕微鏡を含む別のアプローチによっても実証された(
図6B)。この目的のために、上記のようにZZ-SpC2とプレインキュベートしたssTorA(3x)-AEDO-SpT及びssTorA(3x)-AEDO IBを、蛍光Alexa594ウサギ抗マウスIgGと周囲温度で30分間インキュベートした。続いて、IBを蛍光顕微鏡分析にかけた。SpTを欠くIBではバックグラウンドレベルの蛍光のみが観察されたが、SpTを備え、ZZ-SpC2と共有結合を形成できるssTorA(3x)-AEDOでは蛍光抗体による効率的な標識が観察された(上記を参照)。
【0216】
実施例7
ZZ又はプロテインA / Gのカップリングを介したIBへの特異的抗体結合
この実施例は、イソペプチド結合技術を使用して、Ig結合タンパク質又はZZやプロテインA/Gなどの派生ドメインのカップリングを介して抗体でIBを装飾できることを示している。 さらに、IB表面で結合されたZZとプロテインA/Gの保持された機能性と特異性が実証されている。
【0217】
ZZは一般的にヒトIgGに結合するが、ラットIgGには中程度の親和性しかありませんが、プロテインA/Gはヒトとラットの両方のIgGに高い親和性で結合する。ZZ及びプロテインA/GのIBへのカップリングを可能にするために、それらをC末端SpyCatcher002(SpC2)ドメインに翻訳融合し、精製た(それぞれ、ZZ-SpC2(配列番号11)及びAG-SpC2(配列番号12))。さらに、ssTorA(3x)-AEDO-SpT IBを、同族のSpT部分の有無にかかわらず(モック)調製した。 それぞれのIBをZZ-SpC2及びAG-SpC2のいずれかと混合し、4℃で一晩インキュベートした。翌朝、遠心分離によってIBを分離し、PBS /グリセロール(15%)に再懸濁した。 懸濁液を分割し、半分をラット血清由来のIgG(Sigma I8015)とインキュベートし、もう一方をヒト血清由来のIgGと室温で30分間インキュベートした。続いて、ZZとプロテインA/Gのカップリングの成功と、それに続くSDS-PAGE及びクーマシー染色による抗体結合についてIBを分析した。
【0218】
SpC2を装備したZZ及びプロテインA/GのSpTを担持するIBへの共有結合の成功は、ssTorA(3x)-AEDO-SpTとZZ-SpC2又はAG-SpC2のいずれかとの間の共有結合融合を含む付加物(ZZ付加物、AG付加物)の検出によって実証された。IBに結合した場合のZZの機能は、ヒト抗体のH鎖とL鎖に対応するクーマシー染色バンドの出現によって示されたが、ラット抗体とインキュベートしたIBサンプルではH鎖又はL鎖の物質は観察されなかった。プロテインA/Gに結合したIBは、ヒト及びラット由来のIgGとのインキュベーション時にH鎖及びL鎖のバンドを示し、このことは、カップリングされたプロテインA/Gとこれら2種類の抗体との機能的関連をIBとの関連で示している(
図7)。
【0219】
実施例8
細菌溶解物中のIBへの結合パートナータンパク質のカップリングの成功
この実施例は、細菌溶解物に含まれる結合パートナータンパク質へのIBの結合が成功したことを示している。 驚くべきことには、連結は、精製された連結パートナーの使用と比較して同様の効率で進行する。
【0220】
IBに結合する前に結合パートナータンパク質を精製することは、時間と費用のかかるプロセスである。結合パートナータンパク質コンストラクトを発現する細菌宿主株の溶解物中に提示された未精製物質とのイソペプチド結合反応を実行することは、時間及び費用効率の点で連結されたIBの産生プロセスを増強する。概念実証として、C末端SpyTagを担持する融合タンパク質ssTorA(3x)-AEDO-SpTに由来するIBを、C末端SpyCatcher002部分を備え、産生E.coli株の溶解物に含まれる、Z-SpC2に結合した。
【0221】
溶解物を、0.5mMのIPTGで3時間誘導されたE.coli BL21(DE3):: pET28-ZZ-SpC2の培養物から調製した。約1,700OD600ユニットの細胞材料を回収し、9 mlの結合緩衝液(50mMのリン酸ナトリウム、300mMの塩化ナトリウム、pH7.4)に再懸濁した。OneShotセルディスラプター(Constant Systems Ltd.、Daventry、UK)を通過させることにより細胞を溶解し、溶解物を低速(10,000 xg、10分、4°C)及び高速(293,000 xg、1時間、4°C)で連続的に処理し、破片やその他の不溶性成分を除去した。得られた透明な溶解物(上清)をカップリング実験に使用した。連結を試験するために、6.1μlのPBS懸濁されたssTorA(3x)-AEDO-SpT IB(8μg)をZZ-SpC2を含む1μlの透明な溶解物と混合し、室温で2時間インキュベートした。サンプルを低速遠心分離にかけ、非IB関連物質を含む得られた上清(sup)、及びIB及び関連物質を含むペレットをSDS-PAGE及びクーマシー染色によって分析した。負の対照として、SpyTag(ssTorA(3x)-AEDO)を欠くIBを、溶解物由来のZZ-SpC2への結合について試験した。さらに、実施例6に概説されるように、精製されたZZ-SpC2と共にインキュベートされたssTorA(3x)-AEDO-SpT及びssTorA(3x)-AEDO IBの反応サンプルを比較のために分析した。
【0222】
細菌溶解物からssTorA(3x)-AEDO-SpTへのZZ-SpC2の結合の成功は、ssTorA(3x)-AEDO-SpTとZZ-SpC2の間の共有結合融合を含むIB画分における付加物(adduct)の検出に続く。SpyTagが利用できなかった負の対照サンプルでは、そのような付加物は検出されなかった。重要なことに、付加物バンドの強度は、ssTorA(3x)-AEDO-SpTIBを親和性精製されたZZ-SpC2とインキュベートした場合に検出された付加物と同等であり 、このことは、予期せぬことには、複雑な溶解物でのパートナーペプチド(結合パートナータンパク質)の使用は、IBへの結合を妨げないことを示している。さらに、非常に類似したタンパク質プロファイルが、粗製又は精製済みのZZ-SpC2とインキュベートされたIBサンプルで観察され、このことは、複雑な溶解物環境での連結が、精製された結合パートナータンパク質の使用と比較して、IB連結物
の高度なタンパク質汚染を引き起こさないことを示している(
図8)。一緒に、データは、イソペプチド結合ベースのIB連結物の生産における未精製の結合パートナータンパク質の使用の可能性を示している。
【0223】
本発明を実施するために使用されるコンスツラクトのタンパク質配列を表3に列挙する。
【0224】
【0225】
特にことわらない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」などの用語は、非排他的な包含を意味することを意図しており、要素又は機能の列挙されたリストには、記載又はリストされた要素のみが含まれるのではなく、記載又は記載されていない他の要素ま他は機能が含まれる場合がある。
【0226】
本発明は、様々な例示的な態様および実施形態を参照して説明されてきたが、本発明の広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、同等物をその要素に置き換えることができることが当業者によって理解される。さらに、特定の状況又は分子を、その本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。従って、本発明は、企図される特定の実施形態に限定されないが、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0227】
実施例の項目別リスト
1. 共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングするのに適切なカップリングペプチドを含む封入体。
2. 前記カップリングペプチドが、前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドが、前記イソペプチドに含まれる他の前記を含む、項目1に記載の封入体。
3. 前記カップリングペプチドが反応性リジン残基を含む場合、前記パートナーペプチドは、反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン又はグルタミン酸残基を含むか、又は前記カップリングペプチドが反応性アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン又はグルタミン酸残基を含む場合、前記パートナーペプチドは、 反応性リジン残基又は反応性α-アミノ末端を含む、項目1~2のいずれか1項目に記載の封入体。
4.前記カップリングペプチドが反応性アスパラギン残基を含み、そして前記パートナーペプチドが反応性リジン残基を含むか、又は前記カップリングペプチドが反応性リジン残基を含み、そして前記パートナーペプチドが反応性アスパラギン残基を含む、項目1~3のいずれか1項目に記載の封入体。
5.前記カップリングぺプチド及びパートナーペプチドが、グラム陽性又はグラム陰性細菌のタンパク質に由来する、項目1~4のいずれか1項目に記載の封入体。
6.前記のタンパク質がグラム陽性菌である、項目5に記載の封入体。
7.前記タンパク質が、Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae or Streptococcus dysgalactiaeから選択されるStreptococcaceae科のグラム陽性菌である、項目5又は6に記載の封入体。
8.前記タンパク質が、Streptococcus pneumoniaeのアドヘシンRrgA、Streptococcus pyogenesのフィブロネクチン結合タンパク質FbaB、Streptococcus pyogenesの主要なピリンタンパク質Spy0128、又はStreptococcus dysgalactiaeのフィブロネクチン結合タンパク質CnaBであり得るか、又は1又は2以上のイソペプチド結合を形成できる、少なくとも70%の配列同一性を有するタンパク質である、項目5~7のいずれか1項目に記載の封入体。
9.前記カップリングペプチドが、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、項目1~8のいずれか1項目に記載の封入体。
10.前記パートナーペプチドが、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、項目1~9のいずれか1項目に記載の封入体。
11.前記カップリングペプチド及びパートナーペプチドが、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択された連結ペアを形成する、項目1~8のいずれか1項目に記載の封入体。
12.(i)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTagであり、そして共有イソペプチド結合の形成がSpyLigaseの添加により媒介され;(ii)カップリングペプチドはKTagであり、パートナーペプチドはSpyTag002であり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iii)カップリングペプチドはSpyTagであり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(iv)カップリングペプチドはSpyTag002であり、パートナーペプチドはKTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyLigaseの添加によって媒介され;(v)カップリングペプチドはDogTagであり、パートナーペプチドはSnoopTagJrであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介され;(vi)カップリングペプチドはSnoopTagJrであり、パートナーペプチドはDogTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSnoopLigaseの添加によって媒介され;(vii)カップリングペプチドはSpyTagであり、パートナーペプチドはBDTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyStaplerの添加によって媒介されるか;又は(viii)カップリングペプチドはBDTagであり、パートナーペプチドはSpyTagであり、共有イソペプチド結合の形成はSpyStaplerの添加によって媒介される、項目1~8のいずれか1項目に記載の封入体。
13.カップリングペプチドと、パートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合を介してパートナーペプチドにカップリングされた、項目1~8のいずれか1項目に記載の封入体を含む複合体。
14.少なくとも1つの目的のタンパク質(PDI)又はその一部をさらに含む、項目1~7のいずれか1項目に記載の封入体又は複合体。
15.前記目的のタンパク質が、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植拒絶反応及び感染症から成る群から選択された状態又は障害を治療する治療目的のタンパク質である、項目14に記載の封入体を含む複合体。
16.前記目的のタンパク質は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、移植片拒絶及び感染症からなる群から選択された状態又は障害から保護する予防目的を有するタンパク質である、項目14に記載の封入体又は複合体。
17.前記目的のタンパク質又はその一部が、抗原又はそのフラグメントである、項目14に記載の封入体又は複合体。
18.前記抗原は、感染性生物由来の抗原、腫瘍抗原、腫瘍ストロマ抗原、及び腫瘍関連抗原をから成る群から選択される、項目17に記載の封入体又は複合体。
19.封入体形成配列をさらに含む、項目14~18のいずれか1項目に記載の封入体又は複合体。
20.前記パートナーペプチドが、追加の部分を含む、請求項14~19のいずれか1項目に記載の封入体又は複合体。
21.前記追加の部分が、グリカン、アジュバント、接着分子、酵素、及び追跡可能なプローブから成る群から選択される、項目20に記載の封入体又は複合体。
22.前記追加の部分が、である、免疫調節化合物、項目20に記載の封入体又は複合体。
23.前記免疫調節化合物が、サイトカイン、アジュバント、抗体、Nanobody(登録商標)分子、DARPIN、PAMP、TLRリガンド又はアゴニスト、RNA、DNA、免疫調節ペプチド、ペプチド模倣体、Tヘルパー細胞エピトープ、免疫チェックポイント阻害剤、PLGA、キトサン、及びTRAILから成る群から選択される、項目22に記載の封入体又は複合体。
24.前記追加の部分が、標的化部分である、項目20に記載の封入体又は複合体。
25.前記標的化部分が、免疫系の細胞に対して親和性を有する、項目24に記載の封入体又は複合体。
26.前記標的化部分が、免疫系の細胞の表面に親和性を有する、項目25に記載の封入体又は複合体。
27.前期表面に露出した成分が、CD4、CD8、CD1、CD180、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、TCR、CRD、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体(NLR)、レチノイン酸誘導性遺伝子I様ヘリカーゼ受容体(RLR)、及びC型レクチン受容体(CLR)、エンドサイトーシス受容体、CD205 / DEC205、CD209 / DC-SIGN、Clec9A / DNGR-1 / CD370、Clec7A / Dectin-1 / CD369、Clec6A /デクチン-2、Clec12A、CD1d、CD11c、CD11b、CD40、CD152 / CTLA-4、CD279 / PD-1、NOD様受容体、RIG-I様受容体、PRR、CCR、CD36、Siglec H、PDCTREM、Langerin、MR、D-SIGN及び葉酸受容体から成る群から選択される、項目26に記載の封入体又は複合体。
28.前記標的化部分が、少なくとも1つの罹患細胞に対して親和性を有する、項目24に記載の封入体又は複合体。
29.前記罹患細胞が、癌の腫瘍細胞である、項目28に記載の封入体又は複合体。
30.前記癌が、リンパ腫、白血病、骨髄腫、肺癌、メラノーマ、腎細胞がん、卵巣癌、神経膠芽細胞腫、メルケル細胞癌、膀胱癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、食道癌、頸部癌、胃癌、肝細胞癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌及び甲状腺癌から成る群から選択される、項目29に記載の封入体又は複合体。
31.前記標的化部分が、抗体、抗体ドメイン、又は抗体結合を保持する抗体フラグメントである、項目24~30のいずれか1項目に記載の封入体又は複合体。
32.項目1~12のいずれか1項目に記載の封入体の封入体形成ポリペプチドをコードする核酸。
33.項目32に記載の核酸を含む遺伝子コンストラクト。
34.項目32に記載の核酸又は項目33に記載の遺伝子コンストラクトを含む宿主細胞。
35.項目1~34のいずれか1項目に記載の封入体、複合体、核酸、遺伝子コンストラクト及び/又は宿主細胞を含む組成物を含む組成物。
36.薬剤として使用するための、項目1~35のいずれか1項目に記載の封入体、複合体又は組成物。
37.診断、予後、予防又は治療剤として使用するための、項目1~36のいずれか1項目に記載の封入体、複合体又は組成物。
38.ワクチンとして使用するための、項目1~35のいずれか1項目に記載の封入体、複合体又は組成物。
39.対象の疾患又は障害の治療方法であって、項目1~35のいずれか1項目に記載の封入体、複合体、又は組成物を前記対象に導入する工程を含む、方法。
40.目1~35のいずれか1項目に記載の封入体、複合体、又は組成物を用いて、対象における疾患又は障害の診断又は予後方法。
41.項目1~35のいずれか1項目に記載の封入体、複合体、又は組成物を前記対象に導入する工程を含む、予防接種又は免疫化方法。
42.前記対象が動物である、項目39~41のいずれか1項目に記載の方法。
43.前記動物が哺乳類である、項目42に記載の方法。
44.前記哺乳類が、ヒト、家畜、又はコンパニオンアニマルである、項目43に記載の方法。
45.z塩基動物が鳥か魚である、項目42に記載の方法。
46.項目13に記載の複合体の生成方法であって、項目1に記載の封入体をパートナーペプチドに連結し、それにより、前記複合体を形成する工程を含む方法。
47.前記複合体が、封入体のカップリングペプチドとパートナーペプチドとの間の共有イソペプチド結合の形成により生成される、項目46に記載の方法。
48.前記カップリングペプチドが前記イソペプチド結合に含まれる1つの残基を含み、そして前記パートナーペプチドが前記イソペプチド結合に含まれる他の残基を含む、項目47に記載の方法。
49.前記封入体が、溶解物、例えば細胞溶解物、例えば細菌溶解物に存在するパートナーペプチドに連結される、項目46~48のいずれか1項目に記載の方法。
50.前記封入体が、精製されたパートナーペプチドに連結される、項目46~48のいずれか1項目に記載の方法。
51.前記カップリングペプチドが、SpyTag、KTag、SnoopTag、SpyTag002、SpyTag003、SpyTag0128、SdyTag、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、項目46~50のいずれか1項目に記載の方法。
52.前記パートナーペプチドが、SpyTag、KTag、SpyCatcher、SnoopCatcher、SpyCatcher002、SpyCatcher003、SpyCatcher0128、SdyCatcher、DogTag、SnoopTagJr、及びBDTagから成る群から選択される、項目46~51のいずれか1項目に記載の方法。
53.前記複合体が、SpyTag-SpyCatcher、SpyTag-SpyCatcher002、SnoopTag-SnoopCatcher、SpyTag002-SpyCatcher002、SpyTag002-SpyCatcher、SpyTag003-SpyCatcher003、SpyTag0128-SpyCatcher0128、SdyTag-SdyCatcher、KTag-SpyTag、SpyTag-KTag、DogTag-SnoopTagJr、SnoopTagJr-DogTag、SpyTag-BDTag及びBDTag-SpyTagから成る群から選択されたカップリングペプチド-パートナーペプチド連結ペアの形成に続いて生成される、項目46~52のいずれか1項に記載の方法。
【配列表】
【国際調査報告】