(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】スクリューローター及びスクリューローターを製造する方法
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20220324BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20220324BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220324BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220324BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20220324BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20220324BHJP
C08L 71/08 20060101ALI20220324BHJP
C08L 77/10 20060101ALI20220324BHJP
C08J 5/04 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F04C18/16 R
F04C29/00 D
F04C29/00 U
C08L101/00
C08K7/02
C08L77/00
C08L79/08
C08L71/08
C08L77/10
C08J5/04 CEZ
C08J5/04 CFC
C08J5/04 CFD
C08J5/04 CFG
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547067
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 IB2020050861
(87)【国際公開番号】W WO2020165689
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】マリアン カレン アンナ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ パトリック
【テーマコード(参考)】
3H129
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129BB31
3H129BB32
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(57)【要約】
ポリマーで作られたスクリューローター(1)であって、スクリューローター(1)は、軸(2)及びその上のローター本体(3)で構成され、軸(2)のポリマーは繊維(4)で強化され、軸(2)は、ローター本体(3)又はローター本体(3)にある対応する要素(5c)と係合する要素(5a、5b)を特徴とし、要素(5a、5b、5c)は、ローター本体(3)に対して軸(2)が軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止するようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューローターであって、前記スクリューローター(1)はポリマーで作られることを特徴とし、前記スクリューローター(1)は、軸(2)で構成され、前記軸(2)は前記軸(2)上のローター本体(3)を備え、前記軸(2)の前記ポリマーは繊維(4)で強化され、前記軸(2)は、前記ローター本体(3)又は前記ローター本体(3)の対応する要素(5c)と係合する要素(5a、5b)を特徴とし、前記要素(5a、5b、5c)は、前記軸(2)が前記ローター本体(3)に対して軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止するようになっている、スクリューローター。
【請求項2】
前記要素(5a、5b)は、少なくとも1つの溝、リング、突起、又は同様のものを含み、前記軸(2)に垂直な表面上の前記軸方向(X-X’)の前記突出部は、周期的に対称であり、前記軸(2)の前記中心線(X-X’)と同軸である、請求項1に記載のスクリューローター。
【請求項3】
前記要素(5a、5b)は、前記軸方向(X-X’)に延びる少なくとも1つの溝、リング、突起、又は同様のものを含み、それによって前記要素(5a、5b)は、前記軸(2)の上に配置されるローター本体(3)の位置に位置付けられる、請求項1又は2に記載のスクリューローター。
【請求項4】
前記ローター本体(3)の形状は円柱形又は円錐形である、請求項1から3のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項5】
前記軸(2)は中空である、請求項1から4のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項6】
前記要素(5a、5b)は、前記軸(2)の周りでらせん形状の少なくとも1つの溝、突起、又は同様のものを含む、請求項1から5のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項7】
前記軸(2)内の前記繊維(4)は、主として前記軸方向(X-X’)に延びる、請求項1から6のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項8】
前記ローター本体(3)は、少なくとも部分的に、繊維(4)で製造され強化されたポリマーで作られる、請求項1から7のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項9】
前記ローター本体(3)の前記繊維(4)は、任意に又はランダムに配向される、請求項8に記載のスクリューローター。
【請求項10】
前記ポリマーは、ポリアミド、ポリイミド、又はPEEKである、請求項1から9のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項11】
前記ポリマーは、熱硬化性ポリマー、より具体的には、エポキシ、ビニルエステル、又は不飽和ポリエステルである、請求項1から9のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項12】
前記繊維(4)は、炭素繊維又はガラス繊維を含む、請求項1から11のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項13】
前記繊維(4)は、有機ポリマーを含む、請求項1から12のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項14】
有機ポリマーで作られた前記繊維(4)は、アラミド繊維である、請求項13に記載のスクリューローター。
【請求項15】
前記ポリマーは、アラミドポリマー母材内のアラミド繊維が自己強化されたポリマーである、請求項1から9のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項16】
前記軸(2)は、前記ローター本体(3)とは異なるポリマーで作られている、請求項1から15のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項17】
前記軸(2)の前記ポリマーは、前記ローター本体(3)の前記ポリマーと同じか又はそれよりも高い軟化温度を有する、請求項10に記載のスクリューローター。
【請求項18】
前記表面(7)の位置において、前記軸(2)は結合部品(8)を特徴とし、前記結合部品(8)は、内部にボルトを配置できるねじ山(9)を特徴とする、請求項1から17のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項19】
前記ローター本体(2)は、同心の2又は3以上の層で構成され、内層は後続の層と係合する要素(5c)を特徴とし、前記要素(5c)は、前記後続の層に対して前記1つの層が軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止するようになっている、請求項1から18のいずれかに記載のスクリューローター。
【請求項20】
軸(2)及びローター本体(3)で構成されるスクリューローター(1)を製造する方法であって、前記スクリューローター(1)はポリマーで作られており、前記方法は、
A)軸(2)を準備するステップと、
B)指定されたモールドを使用して前記ローター本体(3)を射出成形するステップであって、前記軸(1)を前記モールド内へのインサートとして使用する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記ローター本体(1)を射出成形するステップBは、2又は3以上のステップで実行され、前記ステップの各々において、一連の母材を使用することによって前記ローター本体(1)により多くの材料が追加され、先のステップで製造された前記ローター本体部分は、前記後続のモールド内へのインサートとして使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記軸(2)を準備するステップAは、指定されたモールドを使用して、前記スクリューローター(1)の前記軸(2)を射出成形するステップを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記軸(2)を射出成形するために、繊維(4)で強化された前記ポリマーは、前記モールド内に軸方向(X-X’)で射出される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップAにおいて、モールドは要素(5a、5b)と共に使用され、前記要素(5a、5b)は、このように製造された前記軸(2)及び前記ローター本体(3)が、互いに対して半径方向及び/又は軸方向に移動するのを防止するようになっている、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記軸(2)のための前記モールドにおいて、前記軸の表面(7)の位置に結合部品(8)が前記モールド内へのインサートとして配置され、前記結合部品(8)は、内部にボルトを配置することができるねじ山(9)を特徴とし、又は、前記ステップBの後で、前記結合部品(8)は、前記軸(2)の前記表面(7)の指定された空洞内でセルフタッピングすることによって配置される、請求項22から24のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューローターに関する。
【0002】
より具体的には、発明によるスクリューローターは、流体噴射式圧縮機、膨張機、及び真空ポンプを対象とする。
【背景技術】
【0003】
このようなスクリューローターは、従来、鋳鉄又は鋼から製造され、未加工のらせん形に鋳造されるか又は未加工の円筒形に鍛造され、次に、これは、スクリューローター(らせん輪郭付き)の軸並びに本体の、粗い及び細かい研削、やすり仕上げ、フライス加工、及び他の切削作業によって仕上げられ、その最終仕上げのらせん形が得ることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この仕上げは、鋳造プロセスでは、最終的な機械が適切に機能することを可能にするために必要な非常に高精度な公差範囲の形態を得ることができないので必要になる。
【0005】
このような従来のスクリューローターが適切に機能するとしても、研削、やすり仕上げ、フライス加工、及び他のそのようなプロセスによる仕上げは、非常に手間及び時間がかかる。
【0006】
さらに、この全ては費用を上昇させる。
【0007】
別の欠点は、仕上げプロセスの間に多くの材料が機械加工で取り除かれることであり、原材料が失われ又は無駄になることになる。
【0008】
別の欠点は、このような従来のスクリューローターは、鋳鉄又は鋼を使用するので重いことである。
【0009】
本発明の課題は、前述の及び他の欠点の少なくとも1つに対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題は、ポリマーで作られたスクリューローターであり、スクリューローターは、軸及びその上のローター本体で構成され、軸のポリマーは、繊維で強化され、軸は、ローター本体又はローター本体にある対応する要素と係合する要素を特徴とし、要素は、ローター本体に対して軸が軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止するようになっている。
【0011】
ポリマーを使用することによって、スクリューローターは、従来の金属製スクリューローターよりも軽量になるだけではなく、さらに耐食性が高くなり、しかも複雑な形状で製作することが容易になる。
【0012】
このようなスクリューローターは、例えば、射出成形プロセスによって作ることができ、これにより最終的な完成したらせん形にすでに近い、未加工のらせん形を製造することが可能になり、未加工の所要の公差に範囲にするのに必要な、未加工のらせん形の切削作業による仕上げは、範囲が限定されるか又は全く不要になるであろう。
【0013】
さらに、複合スクリューローターの加工は、鋳鉄製の又は鋼製のスクリューローターを処理するよりもはるかに簡単で容易である。
【0014】
このことは、仕上げプロセスに必要な作業及び時間がはるかに少ないことを意味し、それにより費用の大幅な節約がもたらされる。
【0015】
さらに、出発点がすでに最終形態に近い未加工のらせん形態であるため、失われる材料が少ない。
【0016】
本発明では、繊維で強化されたポリマーを軸に使用することだけを必要とするが、ローター本体を繊維強化ポリマーから製造することも排除されない。
【0017】
軸の要素は、軸の表面内への又は表面からの軸の偏りであり、これは、軸の中心線に向かう偏り、又は軸の中心線から離れる偏りを意味する。
【0018】
軸の要素、及びローター本体上又はその中の対応する又は一致する要素は、軸とローター本体との間に機械的な妨害物をもたらし、その結果、軸方向の力及びトルクは、軸からローター本体に及びその逆に伝達することができる。要素は、軸自体に配置することができるが、軸の要素は、軸上の指定された凹部に配置された、中間体又はキーによって形成することもできる。
【0019】
好ましくは、軸内の繊維は、主として軸方向に延びる。これにより、軸に必要な剛性及び強度がもたらされる。
【0020】
スクリュー圧縮機のスクリューローターにおいて、例えば、スクリューローターに非常に強い軸方向の力及びガス力が作用することは知られており、この理由のため、軸は。必要な剛性を有することが非常に重要である。
【0021】
ローター本体は、同心の2又は3以上の層で構成することができ、内層は、後続の層と係合する要素を特徴とし、要素は、後続の層に対して1つの層が軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止する。
【0022】
このようなローター本体は、特に射出成形によって大型スクリューローターを製造するために使用され、各層の最大厚さは8ミリメートルである。
【0023】
ローター本体を複数のステップ又は段階で射出成形することにより、各ステップ又は段階で追加される材料の量を制限することができ、それにより射出成形プロセス及びその後の冷却プロセスの監視を容易にすることができる。これは、スクリューローターの最終的な機械的特性を最適化するのに役立つ。要素は、軸の前述の要素に類似して同じ機能を有する。
【0024】
また、本発明の主題は、軸及びローター本体で構成されるスクリューローターを製造する方法であり、本発明は、スクリューローターがポリマーで作られることを特徴とし、本方法は、
A)軸を準備するステップと、
B)指定されたモールドを使用してローター本体を射出成形するステップであって、この軸をモールド内へのインサートとして使用する、ステップと、
を含む。
【0025】
プロセスを少なくとも2つのステップで実行することによって、ステップBの射出成形プロセスは、単一のステップでスクリューローターが射出成形される射出成形プロセスと比較して非常に容易になり、とりわけ材料、寸法の収縮、及び機械的特性の減少に関して、本発明による多段階プロセスで監視することが容易である。
【0026】
別の利点は、ローター本体のモールド内で軸をインサートとして使用することによって、ローター本体が軸の上又は軸の周りに鋳造され、その結果、ローター本体の鋳造は、軸とローター本体との間に熱結合を引き起こす。
【0027】
これにより、軸がローター本体に対して移動できないことが保証され、その理由は、ローター本体の射出成形を用いると、軸の表面が、軸に注入された高温の溶融繊維強化ポリマーとの接触に起因して再度加熱され、従って、軸の周りに鋳造されたローター本体の材料との熱結合を引き起こすことが可能になるためである。
【0028】
本発明の特徴を詳細に説明するという条件下で、以下において、これらの説明が何らの制限的特徴をもつことなく、好ましい変形例のいくつかの例が、添付の図面を参照して、本発明によるスクリューローターを製造するための方法が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるスクリューローターの可能性のある実施形態の概略的な斜視図である。
【
図2】
図1のスクリューローターの軸を示す説明図である。
【
図3】
図2の線III-IIIに沿って概略的に示す断面図である。
【
図4】
図1の線IV-IVに沿って概略的に示す断面図である。
【
図5】
図2の実施形態の変形例を示す概略図である。
【
図6】
図2の実施形態の変形例を示す概略図である。
【
図7】
図2の実施形態の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に概略的に示される本発明によるスクリューローター1は、軸2と、軸2上のローター本体3とで構成される。
【0031】
スクリューローター1は、流体噴射式圧縮機、膨張機、又は真空ポンプに使用することができる。
【0032】
図示の実施例において、ローター本体3は、円筒形である。しかしながら、ローター本体3が円錐形であることは排除されない。円錐形ローターを使用する利点は、力がより良く分散され、圧縮を高めることができる点である。
【0033】
【0034】
本発明によれば、スクリューローター1はポリマーで作られている。
【0035】
この場合、本発明に関して、少なくとも軸2は繊維4で強化されたポリマーで作られており、ローター本体3は繊維4なしでポリマーから作ることができるが、本明細書に示され、以下に説明する実施例では、ローター本体3は、同様に繊維4で強化されたポリマーで作られている。
【0036】
ポリマーは、例えば、ポリアミド又はポリイミドにすることができる。しかしながら、本発明はこれらに限定されない。例えば、ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とすることもできる。
【0037】
場合によっては、ポリマーは、熱硬化性ポリマー、例えばエポキシ、ビニルエステル、又は不飽和ポリエステルにすることもできる。
【0038】
繊維4は、必須ではないが、好ましくは炭素繊維又はガラス繊維を含む。繊維は、例えば、アラミド繊維などの有機ポリマーを含むこともできる。カーボンナノチューブも可能である。
【0039】
可能性のある実施形態において、繊維4で強化されたポリマーは、いわゆる自己強化ポリマーであり、ここでは、繊維はモールドと同じポリマーで作られる。
【0040】
好ましくは、自己強化ポリマーは、10から60重量パーセントの繊維4で強化されたポリマーポリアミド、ポリイミド、又はPEEKである。好ましくは、繊維の重量パーセントは、25から45パーセントの間である。
【0041】
軸2がローター本体3とは異なるポリマーで作られることは排除されず、ローター本体3は、繊維4で強化された又は強化されないポリマーで作ることができる。
【0042】
従って、例えば、軸2の繊維4で強化されたポリマーは、ローター本体3の繊維4で強化されたポリマーと同じ又はより高い軟化温度を有することができる。
【0043】
異なる層の軟化温度の差は、好ましくは摂氏0度から20度の間で変化する。
【0044】
これは、以下で明示するように、特にスクリューローター1の製作又は製造に関する利点につながる。
【0045】
この場合、本発明では必須ではないが、軸2内の繊維4は、主として軸方向X-X’に延びる。
【0046】
【0047】
繊維4のこの配向に起因して、軸2は必要な剛性をもつことになる。機械の運転時、軸2は、スクリューローター1が取り付けられた場所で、強い軸方向の力及びガス力にさらされることは良く知られている。
【0048】
図3から分かるように、軸2は中実軸2である。軸2が中空であることは排除されず、中空とは、長手方向の空洞が軸2を貫通していることを意味する。これにより、軸2の製作時のいわゆる流れ問題が防止される。
【0049】
この場合、必須ではないが、ローター本体3の繊維4は、任意に又はランダムに配向される。
【0050】
本発明によれば、
図2、
図3、及び
図4から明らかなように、軸2は、要素5a、5bを特徴とする。
【0051】
これらの要素5aのいくつかは、ローター本体3と係合することができ、これらの要素5bのいくつかは、ローター本体3内の対応する要素5cと係合することができ、これら全ては、要素5a、5b、5cが、ローター本体3に対して軸2が軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止するように設計されている。
【0052】
このことは図面を用いて説明される。
【0053】
図2及び
図3から分かるように、軸2は、リング形状の突起の形態の2つの要素5aを特徴とし、軸方向X-X’に照らして軸2上の突起は、周期的に対称であり、軸2の中心線X-Xと同軸である。
【0054】
周期的に対称とは、セクション又はセグメントが中心線の周りで回転的に繰り返されることを意味する。
【0055】
これらの要素5aは、この場合、リング形状の突起に関連するが、これらの要素5aは、形の異なる突起、溝、又はリングを含むこともできる。
【0056】
これらの要素5aは、
図1に示すように、ローター本体3自体と係合することができる。
【0057】
このような要素5aは、軸2からローター本体3に及びその逆に軸方向の力を伝達することができる。
【0058】
実際には、これらの要素5aは、軸2上のローター本体3のための及びその逆のストッパーを構成し、ローター本体3に軸方向の力が加えられると、この力はこのストッパーを介して軸2に伝達することができる。
【0059】
これらの要素5aを軸2の端部6からさらに離れた別の場所に配置することは排除されない。この場合、これらの要素5aは、ローター本体3自体とは係合せず、ローター本体3の対応する要素5cと係合する。
【0060】
さらに、軸2は、ローター本体3の対応する要素5cと係合することができる複数の要素5bを特徴とする。
【0061】
この場合、これらの要素5bは、軸2の軸方向X-X’に沿った突出部に関連し、これにより軸2の断面は六角形になる。
【0062】
図1及び
図2の比較から分かるように、これらの要素5bは、ローター本体3が配置される軸2上に位置する。
【0063】
図4から分かるように、ローター本体3は、軸2の要素5bと係合する対応する要素5cを特徴とする。
【0064】
このような要素5b、5cによって、トルクは、軸2からローター本体3に伝達することができる。これは、特にモーターによって軸2を介してスクリューローター1を駆動するのに適切である。
【0065】
軸方向X-X’に延びる突出部の代わりに、溝、リングなどを要素5b、5cとして同様に使用することができる。
【0066】
図1及び
図2から分かるように、この場合、軸2は、その表面7にある結合部品8を特徴とし、これは、内部にボルトを配置することができるねじ山9を特徴とする。
【0067】
このボルトを用いて、軸2は、例えばモーターの駆動軸、又は類似のものに連結することができる。
【0068】
図示の実施例において、スクリューローター1は、ローター本体3と共に軸2で構成されるが、ローター本体3自体が同心の2又は3以上の層で構成されることは排除されず、この場合、内層は、後続の層と係合する要素5b、5cを特徴とし、要素5b、5cは、1つの層が後続の層に対して軸方向及び/又は回転方向に移動するのを防止する。
【0069】
換言すれば、この原理は、前述の軸2及びローター本体3の原理と基本的に非常に類似している。
【0070】
大型スクリューローター1の場合、このことは、以下で説明するように製作プロセス時に特に好都合である。
【0071】
図1から
図4のスクリューローターは、本発明による方法に従って製造することができる。
【0072】
繊維4で強化されポリマーで作られたスクリューローター1を射出成形によって製作する方法は、基本的に、
A)軸を準備するステップと、
B)指定されたモールドを使用してローター本体3を射出成形するステップであって、前述の軸2をモールド内へのインサートとして使用する、ステップと、
の2つのステップを含む。
【0073】
必須ではないが、好ましくは、前述のステップAは、指定されたモールドを使用して、スクリューローター1の軸2を射出成形するステップを含む。
【0074】
しかしながら、このことは本発明では必須ではない。軸2は、例えば、押し出し成形することもできる。
【0075】
ステップAにおいて、軸2を射出成形するために、ここでは、要素5a、5bと共にモールドを使用することができ、前述の要素5a、5bが軸2上に形成されるようになっている。
【0076】
繊維4が軸2内で軸方向X-X’に延びるのを保証する目的で、繊維4で強化されたポリマーは、モールドの中に軸方向X-X’で注入することができる。
【0077】
次に、ローター本体3のモールド内へのインサートとして軸2を使用することによって、対応する要素5cがローター本体3内に効率的かつ自動的に形成されることになる。
【0078】
ローター本体3のために使用される繊維4で強化されたポリマーとは異なる、軸2のための繊維4で強化されたポリマーを使用することによって、軸2のために使用される繊維4で強化されたポリマーは、ローター本体3のために使用されるポリマーと同じか又はより高い軟化温度を有し、軸2は、ローター本体3がその周りに鋳造される場合に、全体として溶融又は軟化しないことになる。このように、軸2の機械的特性は完全なままであり、軸2のポリマーが幾分か軟化した場合、軸2の繊維4は、その配向を喪失することはないであろう。
【0079】
ステップBに関して、ローター本体3の射出成形を2又は3以上のステップで行うことは除外されず、その各ステップにおいて、一連の母材を使用することによって、ローター本体3により多くの材料が追加され、先のステップで製造されたローター本体部品は、後続のモールド内でインサートとして使用される。
【0080】
従って、ローター本体3自体は、同心の2又は3以上の層で作ることができ、要素5cと共に母材を使用することは、要素5cが、内層上に設けられるようにし。要素5cは、内層の周りに鋳造された後続の層と係合する。
【0081】
この手法は、各ステップで追加される材料をより制限することができるので、大型スクリューローター1には特に好都合であり、冷却は、機械的張力が発生しないか又は著しく低下するよう監視することができる。
【0082】
ローター本体3が円錐形である場合、ローター本体3を離型することができる、すなわち、モールドから非常に簡単に取り外すことができるという利点がある。
【0083】
前述の結合部品8を軸2の表面7に挿入するために、結合部品8は、軸2のモールド内で軸2のそれぞれの表面7の位置に配置される。
【0084】
従って、結合部品8は、鋳造プロセスの間に軸2と一体化することができる。
【0085】
もしくは、ステップBの後で、前述の結合部品8は、軸2の表面7上の指定された空洞内に、セルフタッピングによって配置することができる。
【0086】
図1から
図5に図示され及び説明された実施例において、要素5a、5bの可能性のある実施形態のうち一部の可能性のある実施例のみを示すことは明らかであろう。
【0087】
図5に示された別の可能性のある実施形態において、要素5a、5bは、軸2の周りに渦巻き状又はらせん状の形の少なくとも1つの突起5bを含む。
【0088】
突起の代わりに、要素5a、5bは、渦巻き状又はらせん状の溝とすることもできる。
【0089】
突起、又は要素5bは、その上にローター本体3が配置される軸2の位置に配置され、射出成形プロセスの間に対応する要素がローター本体3に形成されるようになっている。
【0090】
らせん形状の要素5bは、ローター本体3に対する軸2の軸方向及び回転方向の移動を防止するために、回転力並びに軸方向の力の組み合わせを伝達することができる。
【0091】
図6は追加の実施形態を示し、軸2は、ローター本体3にある対応する要素5cと係合することができる要素5bを特徴とする。
【0092】
この場合、この要素5bは、軸2の周りのリング状の突起である。
【0093】
この要素5bは、その上にローター本体3が配置される軸2の位置に配置される。この要素5bは、軸方向の力を軸2からローター本体3に及びその逆に伝達することができる。
【0094】
図7はさらに別の変形例を示し、軸2は、軸2に沿って軸方向に延び、その周りに分散配置される細長い突起の形の複数の要素5bを特徴とする。
【0095】
前述の変形例に基づいて、要素5a、5bは様々なやり方で具体化できること、及び図示された実施例は決して制限的ではないことが明らかである。
【0096】
本発明は、図面に表されて示された例示的な実施形態に限定されない。むしろ、本発明による方法及びスクリューローターは、本発明の範囲を超えることなく、様々な変形例で実現することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 スクリューローター
2 軸
3 ローター本体
4 繊維
5a、5b、5c 要素
【国際調査報告】