(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】免疫グロブリン軽鎖に対するモノクローナル抗体と、抗体産生細胞および他の免疫細胞上のCD38細胞膜分子に対するモノクローナル抗体の組み合わせによるALアミロイドーシスの処置
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220324BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220324BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220324BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220324BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220324BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P7/00
A61P35/02
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547075
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 US2019066648
(87)【国際公開番号】W WO2020167376
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】318003021
【氏名又は名称】プロシーナ バイオサイエンシーズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504311419
【氏名又は名称】タフツ メディカル センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コメンゾ, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ザーゴ, ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】アシュトン, ニーナ メルセデス
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085BB43
4C085EE03
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA42
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン軽鎖の凝集体に対するモノクローナル抗体と、抗体産生細胞および他の免疫細胞上のCD38細胞膜分子に対するモノクローナル抗体との組み合わせによるALアミロイドーシスの処置。前記複数の抗体の有効投薬量は、典型的には、血液学的機能または心臓もしくは他の臓器の機能の改善を実現するために有効である。前記投薬量は、血液学的機能と臓器機能(例えば、心臓機能)の両方の改善を実現するために有効であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ALアミロイドーシスを有する患者を処置する方法であって、有効投薬量のアミロイド軽鎖抗体を、CD38抗体と組み合わせて患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、抗体2A4(ATCC寄託番号9662)もしくは7D8(ATCC寄託番号PTA-9468)と競合するか、またはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、11-1F4と同じエピトープに結合するかもしくは競合する、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記アミロイド軽鎖抗体が、2A4のヒト化バージョンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み、前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、前記配列番号11、12、または13として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ビルタミマブである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記CD38抗体が、配列番号14または15に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記CD38抗体が、配列番号17または18に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記CD38抗体が、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;(c)配列番号16と19にそれぞれ規定されている;(d)配列番号43と44にそれぞれ規定されている;(e)配列番号53と54にそれぞれ規定されている;(f)配列番号57と58にそれぞれ規定されている;(g)配列番号59と60にそれぞれ規定されている;(h)配列番号61と62にそれぞれ規定されている;または(i)配列番号63と64にそれぞれ規定されている、重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記CD38抗体が、配列番号47、48、および49にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号50、51、および52にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記CD38抗体が、配列番号20、21、および22にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号23、24、および25にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記CD38抗体が、配列番号26、27、および28にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記CD38抗体が、配列番号32に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記CD38抗体が、配列番号34に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記CD38抗体が、配列番号36に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記CD38抗体が、配列番号38に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記CD38抗体が、ダラツムマブである、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記CD38抗体が、配列番号43として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号44として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記CD38抗体が、イサツキシマブである、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記CD38抗体が、配列番号53として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記患者が、以前に、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、ダラツムマブ、自家移植片、またはそれらの組み合わせによる処置を受けた、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記患者が、ボルテゾミブによる治療に対して応答を示したことがない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記アミロイド軽鎖抗体と前記CD38抗体が、2日間あけて静脈内注入によって患者に投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記アミロイド軽鎖抗体が最初に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記CD38抗体が最初に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後に、より高いVGPRを達成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記患者が、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後より短時間で血液学的奏効を達成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記患者が、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後より短時間で心臓奏効を達成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記患者が、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後に、N末端プロBNPのより大きな減少を達成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記投薬量が、約0.5mg/kg~約30mg/kgであり、前記アミロイド軽鎖抗体が、静脈内または皮下に、約1週に1回~約四半期に1回の頻度で投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
アミロイド軽鎖抗体の前記有効投薬量が、
a)前記アミロイド軽鎖抗体を約50mg/mLの濃度で;
b)前記ヒスチジンバッファーを約25mMの濃度で;
c)前記トレハロースを約230mMの濃度で;
d)前記ポリソルベート20を約0.2g/Lの濃度で含み;
pHが約6.5
である製剤として投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アミロイド軽鎖抗体または前記CD38抗体が、Fab、Fab’、F(ab’)
2、F(ab)c、Dab、ナノボディ、またはFvである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記投薬量が、該投薬量に必要な量の前記製剤をバイアルから液体が入っている静脈注入用バッグに移した後、静脈内に投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記アミロイド軽鎖の前記投薬量が、約24mg/kgであり、前記抗体が、静脈内に、28日に1回投与される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記処置の継続期間が、少なくとも9か月である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記処置の継続期間が、少なくとも12か月である、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記患者が、処置後に、85%よりも高いVGPRの改善を示す、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記改善が、少なくとも88%である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記患者が、処置後60日未満で血液学的奏効の改善を示す、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記患者が、45日未満で改善を示す、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、33日またはそれ未満で改善を示す、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記患者のN末端プロBNPレベルが、処置後に、少なくとも55%減少する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記N末端プロBNPレベルが、少なくとも65%減少する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記N末端プロBNPレベルの減少が、74%またはそれを超える、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記アミロイド軽鎖抗体およびCD38抗体のいずれかによる処置を受ける前は、前記患者が、処置ナイーブであった、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
患者における形質細胞疾患を処置するための方法であって、前記患者が、形質細胞療法を受ける前に、まずアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法によって処置される方法。
【請求項51】
前記形質細胞疾患が、意義未確定の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、無症候性骨髄腫、多発性骨髄腫、PC白血病、形質細胞腫からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記形質細胞疾患が、前記患者において、ALアミロイドーシスを引き起こしている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記形質細胞療法が、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、およびドキシサイクリンからなる群から選択される、請求項50~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記併用療法が、患者の健康を安定化または改善し、前記患者の健康における前記安定化または改善が、非常に良好な部分奏効(VGPR)および/またはN末端プロBNPレベルによって測定される、請求項50~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記患者の健康における前記安定化または改善が、前記形質細胞療法を受ける前の前記患者の心臓機能の安定化または改善を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の前記併用療法を受ける前の患者のN末端プロBNPレベルと比較して、N末端プロBNPレベルの減少を達成した後に、前記形質細胞療法を受ける、請求項50~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記N末端プロBNPレベルが、少なくとも55%減少する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記N末端プロBNPレベルが、少なくとも65%減少する、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記N末端プロBNPレベルの減少が、74%またはそれを超える、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、抗体2A4(ATCC寄託番号9662)もしくは7D8(ATCC寄託番号PTA-9468)と競合するか、またはヒトカッパ(κ)もしくはヒトラムダ(λ)軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、11-1F4と同じエピトープに結合するか、もしくは競合する、請求項50~59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記アミロイド軽鎖抗体が、2A4のヒト化バージョンである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む、請求項50~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項62~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み、前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項62~64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号11、12、または13として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項62~65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ビルタミマブである、請求項50~67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記CD38抗体が、配列番号14または15に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記CD38抗体が、配列番号17または18に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記CD38抗体が、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;(c)配列番号16と19にそれぞれ規定されている;(d)配列番号43と44にそれぞれ規定されている;(e)配列番号53と54にそれぞれ規定されている;(f)配列番号57と58にそれぞれ規定されている;(g)配列番号59と60にそれぞれ規定されている;(h)配列番号61と62にそれぞれ規定されている;または(i)配列番号63と64にそれぞれ規定されている重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記CD38抗体が、配列番号47、48、および49にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号50、51、および52にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記CD38抗体が、配列番号20、21、および22にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号23、24、および25にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記CD38抗体が、配列番号26、27、および28にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記CD38抗体が、配列番号32に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記CD38抗体が、配列番号34に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~6568のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記CD38抗体が、配列番号36に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記CD38抗体が、配列番号38に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項50~68のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記CD38抗体が、ダラツムマブである、請求項50~78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記形質細胞療法が、ボルテゾミブである、請求項50~79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記アミロイド軽鎖抗体の投薬量が、約0.5mg/kg~約30mg/kgであり、前記アミロイド軽鎖抗体が、静脈内または皮下に、約1週に1回~約四半期に1回の頻度で投与される、請求項50~80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記アミロイド軽鎖の前記投薬量が、約24mg/kgであり、前記抗体が、静脈内に、28日に1回投与される、請求項81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記投薬量が、
a)前記アミロイド軽鎖抗体を約50mg/mLの濃度で;
b)ヒスチジンバッファーを約25mMの濃度で;
c)トレハロースを約230mMの濃度で;
d)ポリソルベート20を約0.2g/Lの濃度で含み;
pHが約6.5
である製剤として投与される、請求項81~82のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記投薬量が、該投薬量に必要な量の前記製剤をバイアルから液体が入っている静脈注入用バッグに移した後、静脈内に投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記併用療法が、前記形質細胞療法の前に、少なくとも9か月投与される、請求項50~84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
前記併用療法が、前記形質細胞療法の前に、少なくとも12か月投与される、請求項50~84のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
前記患者が、併用療法後に、85%よりも高いVGPRの改善を示す、請求項50~86のいずれかに記載の方法。
【請求項88】
VGPRの前記改善が、少なくとも88%である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記患者が、併用療法による処置後60日未満で血液学的奏効の改善を示す、請求項50~88のいずれかに記載の方法。
【請求項90】
前記患者が、併用療法による処置後45日未満で血液学的奏効の改善を示す、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記患者が、前記併用療法による処置後1日~28日の間に血液学的奏効の改善を示す、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記形質細胞療法のための前記処置が、前記併用療法による処置の少なくとも28日後に開始される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
ALアミロイドーシスの処置における使用のための、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせ。
【請求項94】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、抗体2A4(ATCC寄託番号9662)と競合するか、またはヒトカッパまたはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、11-1F4と競合する、請求項93に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項95】
前記アミロイド軽鎖抗体が、2A4のヒト化バージョンである、請求項94に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項96】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む、請求項93に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項97】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項96に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項98】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項96に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項99】
前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み、前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域が、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む、請求項96に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項100】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号11、12、または13として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項93に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項101】
前記アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、請求項100に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項102】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ビルタミマブである、請求項93~101のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項103】
前記CD38抗体が、配列番号14および15に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項104】
前記CD38抗体が、配列番号17および18に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項105】
前記CD38抗体が、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;または(c)配列番号16と19にそれぞれ規定されている;(d)配列番号43と44にそれぞれ規定されている;(e)配列番号53と54にそれぞれ規定されている;(f)配列番号57と58にそれぞれ規定されている;(g)配列番号59と60にそれぞれ規定されている;(h)配列番号61と62にそれぞれ規定されている;または(i)配列番号63と64にそれぞれ規定されている重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項106】
前記CD38抗体が、配列番号47、48、および49にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号50、51、および52にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項107】
前記CD38抗体が、配列番号20、21、および22にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号23、24、および25にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項108】
前記CD38抗体が、配列番号26、27、および28にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項109】
前記CD38抗体が、配列番号32に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項110】
前記CD38抗体が、配列番号34に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項111】
前記CD38抗体が、配列番号36に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項112】
前記CD38抗体が、配列番号38に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項113】
前記CD38抗体が、ダラツムマブである、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項114】
前記CD38抗体が、配列番号43として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号44として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項115】
前記CD38抗体が、イサツキシマブである、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項116】
前記CD38抗体が、配列番号53として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項93~102のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項117】
前記アミロイド軽鎖抗体または前記CD38抗体のいずれかによる処置を受ける前は、前記患者が、処置ナイーブであった、請求項93~116のいずれかに記載の使用のための組み合わせ。
【請求項118】
NEOD001による処置に対して非応答性のAL患者における心臓機能を改善する方法であって、CD38抗体の有効な投与レジメンを、NEOD0001と組み合わせて患者の処置に追加することを含む方法。
【請求項119】
前記患者のNEOD001処置に対する前記非応答性が、NEOD001処置後の期間内の前記患者におけるN末端プロBNPレベルが、NEOD001処置前の前記患者における前記N末端プロBNPレベルよりも高いか、またはそれと等しいことによって判定される、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記N末端プロBNPレベルが、NEOD001処置前の前記N末端プロBNPレベルよりも高い、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
NEOD001処置後の前記期間が、少なくとも2か月である、請求項118~120のいずれかに記載の方法。
【請求項122】
前記患者が、前記CD38抗体を受ける前に、NEOD001の少なくとも2回の用量を受けている、請求項118~121のいずれかに記載の方法。
【請求項123】
前記患者が、前記CD38抗体を受ける前に、NEOD001の少なくとも3回の用量を受けている、請求項118~121のいずれかに記載の方法。
【請求項124】
前記CD38抗体が、前記患者におけるN末端プロBNPの増加が約6,000pg/mLを超えた後に投与される、請求項118~123のいずれかに記載の方法。
【請求項125】
前記CD38抗体が、前記患者におけるN末端プロBNPの増加が約12,000pg/mLを超えた後に投与される、請求項118~123のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
前記CD38抗体が、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約100%増加した後に投与される、請求項118~125のいずれかに記載の方法。
【請求項127】
前記CD38抗体が、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約200%増加した後に投与される、請求項118~125のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
前記CD38抗体が、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約300%増加した後に投与される、請求項118~125のいずれかに記載の方法。
【請求項129】
前記AL患者が、以前に、NEOD001およびCyBorDを受けている、請求項118~128のいずれかに記載の方法。
【請求項130】
前記CD38抗体が、ダラツムマブまたはイサツキシマブである、請求項118~128のいずれかに記載の方法。
【請求項131】
前記CD38抗体が、ダラツムマブである、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
ダラツムマブが、前記患者に対して、16mg/kgで、28日に1回投与される、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
NEOD001が、CCD38抗体と組み合わせて投与される場合、前記患者に対して、24mg/kgで、28日に1回投与される、請求項118~132のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
前記CD38抗体による前記処置の継続期間が、前記患者のN末端プロBNPレベルを、少なくともNEOD001処置を受ける前のレベルまで減少させるために有効である、請求項118~133のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
前記継続期間が、前記患者のN末端プロBNPレベルを、NEOD001処置を受ける前のレベル未満に減少させるために有効である、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記処置が、前記CD38抗体の少なくとも1回の用量を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
前記処置が、前記CD38抗体の少なくとも2回の用量を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項138】
前記処置が、前記CD38抗体の少なくとも3回の用量を含む、請求項134に記載の方法。
【請求項139】
前記継続期間が、少なくとも9か月である、請求項134に記載の方法。
【請求項140】
前記継続期間が、少なくとも12か月である、請求項134に記載の方法。
【請求項141】
前記患者が、形質細胞療法を受ける前に、患者の健康を安定化または改善するために、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせによって処置される、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記形質細胞療法が、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、および/またはドキシサイクリンのうちの1つまたはそれを超える療法を含み、それによって前記形質細胞療法の副作用に耐える患者の能力を増強させる、請求項140に記載の方法。
【請求項143】
前記患者の健康における前記安定化または改善が、VGPRおよび/またはN末端プロBNPレベルによって測定される、請求項141に記載の方法。
【請求項144】
前記患者の健康の安定化または改善が、患者の心臓機能の安定化または改善を含む、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
前記患者が、前記アミロイド軽鎖抗体と前記CD38抗体の前記組み合わせによる処置を受ける前の患者のN末端プロBNPレベルと比較して、N末端プロBNPの減少を達成した後に、前記形質細胞療法を受ける、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
N末端プロBNPの前記減少が、少なくとも55%である、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記アミロイド軽鎖抗体が、ビルタミマブである、請求項141のいずれかに記載の方法。
【請求項148】
前記CD38抗体が、ダラツムマブである、請求項141のいずれかに記載の方法。
【請求項149】
前記形質細胞療法が、ボルテゾミブである、請求項141のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、免疫学および医薬品の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシスは、ミスフォールドを起こし疾患の一因となり得る免疫グロブリン軽鎖を産生するクローン性形質細胞によって引き起こされる、血液学的障害を伴う。形質細胞によってミスフォールドした軽鎖が過剰に産生されると、ALアミロイドーシスを有する個体の組織および臓器における異常ALタンパク質(アミロイド)の沈着が生じる。ALアミロイドーシスの臨床的特徴としては、心臓、腎臓、および肝臓機能不全、胃腸管合併症、ニューロパチー、ならびに巨舌症を含み得る一連の症状および臓器機能不全があげられる。アミロイド形成性免疫グロブリン軽鎖が臓器機能不全を引き起こすメカニズムの特徴は十分には解明されていないが、仮説として、アミロイド沈着物と前線維性凝集体の両方が、ALアミロイドーシスを有する患者において観察される臓器に対する細胞毒性効果に寄与している可能性があるとされている。ALアミロイドーシスは、それ自体が疾患実体であるが、多発性骨髄腫を有する患者の一部(最大15%)、または意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症を有する患者の一部(MGUS;最大9%)において、併発的に起こり得る。心臓合併症を有する患者は、心臓合併症を有する患者のおよそ25%が、今日の臨床的な進歩にもかかわらず、診断から6か月以内に死亡するという事実によって実証されているように、ハイリスクな疾患を有している。
【0003】
ALアミロイドーシスは、推定される罹患率が1,000,000人に8人という稀な障害である。米国において、年間に報告されるALアミロイドーシスの新たな症例は、わずか1200~3200例である。ALアミロイドーシスを有する患者の三分の二は男性であり、年齢40歳未満の患者は5%未満である。ALアミロイドーシスの原因と起源のいずれも、依然として十分に理解されないままである。
【0004】
ALアミロイドーシスを有する患者の現在の処置は、骨髄障害(すなわち、軽鎖産生の原因となる形質細胞)を低減または除去し、それによってアミロイドの産生を抑制または停止させることを目標としている。最も積極的な処置上の選択肢は、幹細胞移植および高用量化学療法を、それらに耐えることができる患者に対して行うことを含む。他の処置レジメンとしては、軽鎖産生を低減させる試みにおける、血液学的悪性腫瘍の処置に頻用される薬物、例えばメルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、およびプロテアソーム阻害剤(例えばボルテゾミブ)の組み合わせがあげられる。ダラツムマブ(DARZALEX(登録商標))およびイサツキシマブなどのCD38抗体が、多発性骨髄腫の処置のために開発されている。ダラツムマブは、骨髄腫細胞表面上に存在するCD38に結合する。ダラツムマブの作用は、直接的に腫瘍細胞を死滅させることによるもの、および癌細胞に対する免疫応答を刺激することによるものの両方であると考えられている。
【0005】
現在、ALアミロイドーシスのための承認された処置は存在せず、また、潜在的に有毒な形態のアミロイド形成性タンパク質を直接的に標的とするものは存在しない。いくつかの処置上の選択肢によって、ALアミロイドーシスに関連するいくつかの病的状態が改善され得るが、患者において血液学的奏効および心臓奏効を高率で達成することが実証されたものは、あるとしてもわずかである。
【0006】
よって、ALアミロイドーシスを有する患者の転帰を改善する療法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
要旨
本開示は、ALアミロイドーシスまたは形質細胞疾患(dyscrasia)に関連する異なるタンパク質を標的とする複数の抗体によって、ALアミロイドーシスを有する患者を処置する方法に関し、また本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者を処置する方法であって、アミロイド軽鎖に特異的に結合する抗体と、CD38に特異的に結合する抗体(例えば、CD38に対するキメラまたはヒト化モノクローナル抗体)の有効投薬量を投与することを含む方法を提供する。典型的には、前記投薬量は、血液学的機能または心臓もしくは他の臓器の機能の改善を実現するために有効である。前記投薬量は、血液学的機能と臓器機能(例えば、心臓機能)の両方の改善を実現するために有効であり得る。いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体またはCD38抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディ、またはFvである。
【0008】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、ヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、抗体2A4(ATCC寄託番号9662)もしくは7D8(ATCC寄託番号PTA-9468)と競合するか、またはヒトカッパまたはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について11-1F4と同じエピトープに結合するか、もしくは競合する。いくつかの方法において、前記アミロイド軽鎖抗体は、2A4または7D8のヒト化バージョンである。いくつかの方法において、前記抗体は、11-1F4、2A4、および/または7D8の組み合わせを含有するヒト化二重特異性または多特異性バージョンである。
【0009】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む。
【0010】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域は、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む。例えば、前記アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域は、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み得、前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含み得る。
【0011】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、前記配列番号11、12、または13として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、birtamimab(ビルタミマブ:NEOD001としても知られる)である。
【0012】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体は、製剤中に約50mg/mLの濃度で存在し、ヒスチジンバッファーは、製剤中に約25mMの濃度で存在し、トレハロースは、製剤中に約230mMの濃度で存在し、ポリソルベート20は、製剤中に約0.2g/Lの濃度で存在し、pHは、約6.5である。
【0013】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号14または15に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。いくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号17または18に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの方法において、CD38抗体は、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;または(c)配列番号16と19にそれぞれ規定されている;(d)配列番号43と44にそれぞれ規定されている;(e)配列番号53と54にそれぞれ規定されている;(f)配列番号57と58にそれぞれ規定されている;(g)配列番号59と60にそれぞれ規定されている;(h)配列番号61と62にそれぞれ規定されている;または(i)配列番号63と64にそれぞれ規定されている、重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
【0014】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号47、48、および49にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号50、51、および52にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0015】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号26、27、および28にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0016】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号32に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0017】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号34に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0018】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号36に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0019】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号38に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0020】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、ダラツムマブである。いくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号43として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号44として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0021】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、イサツキシマブまたはWO2016/187546およびUS2017/0008966(これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されている他のCD38抗体である。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、イサツキシマブである。
【0022】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、少なくとも領域SKRNIQFSCKNIYR(配列番号45)、および領域EKVQTLEAWVIHGG(配列番号56)に結合する。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、それぞれ配列番号47、48、および49のCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、それぞれ配列番号50、51、および52のCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0023】
いくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号53として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号55として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号56として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0024】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、CD38抗体は、(a)配列番号57の可変重鎖領域と配列番号58の可変軽鎖領域;(b)配列番号59の可変重鎖領域と配列番号60の可変軽鎖領域;(c)配列番号61の可変重鎖領域と配列番号62の可変軽鎖領域;または(d)配列番号63の可変重鎖領域と配列番号64の可変軽鎖領域の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3とを含む。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、配列番号57の可変重鎖領域と配列番号58の可変軽鎖領域とを含む。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、配列番号59の可変重鎖領域と配列番号60の可変軽鎖領域とを含む。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、配列番号61の可変重鎖領域と配列番号62の可変軽鎖領域とを含む。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、配列番号63の可変重鎖領域と配列番号64の可変軽鎖領域とを含む。
【0025】
いくつかの方法において、抗体は、ダラツムマブ、イサツキシマブ、または他のCD38抗体の組み合わせを含む、ヒト化二重特異性または多特異性バージョンである。いくつかの方法において、前記抗体は、ダラツムマブ、イサツキシマブまたは他のCD38抗体と、11-1F4、2A4、および/もしくは7D8または他のヒト軽鎖アミロイド抗体との組み合わせを含む、ヒト化二重特異性または多特異性バージョンである。
【0026】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、患者は、以前に、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、ダラツムマブ、自家移植片、またはそれらの組み合わせによる処置を受けた。いくつかの方法において、患者は、ボルテゾミブによる治療に対して応答を示したことがない。
【0027】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体は、2日間あけて静脈内注入によって患者に投与される。いくつかの方法において、前記アミロイド軽鎖抗体が最初に投与される。あるいは、前記CD38抗体が最初に投与されてもよい。
【0028】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、患者は、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後に、より高いVGPR(非常に良好な部分奏効)を達成する。いくつかの方法において、患者は、処置後に、85%よりも高いVGPRの改善を示す。いくつかの方法において、改善は、少なくとも88%である。いくつかの方法において、患者は、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後より短時間で血液学的奏効を達成する。いくつかの方法において、患者は、処置後60日未満で血液学的奏効の改善を示す。いくつかの方法において、患者は、45日未満で改善を示す。いくつかの方法において、患者は、33日以内に改善を示す。
【0029】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、患者は、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後より短時間で心臓奏効を達成する。いくつかの方法において、患者は、CD38抗体単独を受けた患者と比較して、処置後に、N末端プロBNPのより大きな減少を達成する。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルは、処置後に、少なくとも55%減少する。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルは、少なくとも65%減少する。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルの減少は、74%またはそれを超える。
【0030】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体の投薬量は、約0.5mg/kg~約30mg/kgであり、前記アミロイド軽鎖抗体は、静脈内または皮下に、約1週に1回~約四半期に1回の頻度で投与される。いくつかの方法において、処置の継続期間は、少なくとも9か月である。いくつかの方法において、処置の継続期間は、少なくとも12か月である。
【0031】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体の投薬量は、該投薬量に必要な量の製剤をバイアルから液体が入っている静脈注入用バッグに移した後、静脈内に投与される。
【0032】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体の投薬量は、約24mg/kgであり、前記抗体は、静脈内に、28日に1回投与される。いくつかの方法において、CD38抗体の投薬量は、16mg/kgである。
【0033】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体またはCD38抗体のいずれかによる処置を受ける前は、患者は処置ナイーブであった。
【0034】
本開示はまた、ALアミロイドーシスの処置における使用のための、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせを提供する。
【0035】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体は、ヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、抗体2A4(ATCC寄託番号9662)と競合するか、またはヒトカッパまたはラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する結合について、11-1F4と競合する。いくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体は、2A4のヒト化バージョンである。
【0036】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体が、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含。
【0037】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体の前記軽鎖可変領域が、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの組み合わせにおいて、前記軽鎖可変領域は、アミロイド軽鎖抗体のうち、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み、前記アミロイド軽鎖抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む。
【0038】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体は、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号11、12、または13として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。いくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体が、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。いくつかの組み合わせにおいて、アミロイド軽鎖抗体は、ビルタミマブである。
【0039】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号14、15,16、43、53、57、59,61または63に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み、前記CD38抗体は、配列番号17、18、19、44,54、58、60、62または64に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;または(c)配列番号16と19にそれぞれ規定されている;(d)配列番号43と44にそれぞれ規定されている;(e)配列番号53と54にそれぞれ規定されている;(f)配列番号57と58にそれぞれ規定されている;(g)配列番号59と60にそれぞれ規定されている;(h)配列番号61と62にそれぞれ規定されている;または(i)配列番号63と64にそれぞれ規定されている重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
【0040】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号47、48、および49にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号50、51、および52にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0041】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号20、21、および22にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号23、24、および25にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0042】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号26、27、および28にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0043】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号32に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0044】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号34に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0045】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号36に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0046】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号38に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0047】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、ダラツムマブである。いくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体が、配列番号43として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号44として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0048】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体が、イサツキシマブである。いくつかの組み合わせにおいて、CD38抗体は、配列番号53として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0049】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、NEOD001またはダラツムマブのいずれかによる処置を受ける前は、患者は処置ナイーブであった。
【0050】
本開示は、また、患者における形質細胞疾患の処置方法であって、前記患者が、形質細胞療法を受ける前に、まずアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法によって処置される方法に関する。いくつかの方法において、形質細胞ssia(plasma cell ssia)は、意義未確定の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、無症候性骨髄腫、多発性骨髄腫、PC白血病、形質細胞腫からなる群から選択される。いくつかの方法において、前記形質細胞疾患は、ALアミロイドーシスの発現を引き起こし得る。いくつかの方法において、CD38抗体とアミロイド軽鎖抗体による前記共処置は、ALアミロイドーシスの発現前に、予防的に実施される。いくつかの方法において、前記形質細胞療法は、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、およびCD38抗体から選択される。いくつかの方法において、前記形質細胞療法は、ボルテゾミブである。
【0051】
いくつかの方法において、併用療法は、患者の健康を安定化または改善し、形質細胞療法不耐容のリスク、および処置関連合併症のリスクのレベルを低下させ、ここで、患者の健康における安定化または改善は、非常に良好な部分奏効(VGPR)および/またはN末端プロBNPレベルによって測定される。いくつかの方法において、患者の健康における安定化または改善は、形質細胞療法を受ける前の患者の心臓機能の安定化または改善を含む。いくつかの方法において、患者の健康における安定化または改善は、カルノフスキーパフォーマンスステータスもしくはECOGパフォーマンスステータス、または同等の機能アセスメントツールによって測定される、患者の機能ステータスの安定化または改善を含む。いくつかの方法において、患者の健康における安定化または改善は、患者の意図しない体重減少、持久力低下、虚弱、低歩行速度、および低身体活動性を含む。いくつかの方法において、患者の健康における安定化または改善は、患者の手段的日常生活動作の安定化または改善を含む。いくつかの方法において、患者は、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法を受ける前の患者のN末端プロBNPレベルと比較して、N末端プロBNPレベルの減少を達成した後に、形質細胞療法を受ける。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルは、少なくとも55%減少する。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルは、少なくとも65%減少する。いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルの減少は、74%またはそれを超える。
【0052】
いくつかの方法において、併用療法は、形質細胞療法の前に、少なくとも9か月投与される。いくつかの方法において、併用療法は、形質細胞療法の前に、少なくとも12か月投与される。いくつかの方法において、患者は、併用療法後に、85%を超えるVGPRの改善を示す。いくつかの方法において、VGPRの改善は、少なくとも88%である。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後60日未満で血液学的奏効の改善を示す。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後45日未満で血液学的奏効の改善を示す。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後1日~28日の間33(33 between)(例えば、併用療法による処置後7日、14日、21日、または28日など)に、血液学的奏効の改善を示す。
【0053】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、前記方法は、CD38抗体の有効な投与レジメンを患者の処置に追加することを含む、NEOD001による処置に対して非応答性のAL患者における心臓機能の改善方法を含む。
【0054】
いくつかの方法において、患者のNEOD001処置に対する前記非応答性は、NEOD001処置後の期間内の前記患者におけるN末端プロBNPレベルが、NEOD001処置前の前記患者における前記N末端プロBNPレベルよりも高いか、またはそれと等しいことによって判定される。
【0055】
いくつかの方法において、N末端プロBNPレベルは、NEOD001処置前の前記N末端プロBNPレベルよりも高い。
【0056】
いくつかの方法において、NEOD001処置後の前記期間は、少なくとも2か月である。
【0057】
いくつかの方法において、患者は、前記CD38抗体を受ける前に、NEOD001の少なくとも2回の用量を受けている。
【0058】
いくつかの方法において、患者は、前記CD38抗体を受ける前に、NEOD001の少なくとも3回の用量を受けている。
【0059】
いくつかの方法において、CD38抗体は、前記患者におけるN末端プロBNPの増加が約6,000pg/mLを超えた後に投与される。
【0060】
いくつかの方法において、CD38抗体は、前記患者におけるN末端プロBNPの増加が約12,000pg/mLを超えた後に投与される。
【0061】
いくつかの方法において、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約100%増加した後に投与される。いくつかの方法において、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約200%増加した後に投与される。いくつかの方法において、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの前記水準が少なくとも約300%増加した後に投与される。
【0062】
いくつかの方法において、AL患者は、以前に、NEOD001およびCyBorDを受けている。
【0063】
いくつかの方法において、CD38抗体は、ダラツムマブまたはイサツキシマブである。いくつかの方法において、CD38抗体は、ダラツムマブである。
【0064】
いくつかの方法において、ダラツムマブは、前記患者に対して、16mg/kgで、28日に1回投与される。
【0065】
いくつかの方法において、NEOD001は、前記患者に対して、24mg/kgで、28日に1回投与される。
【0066】
いくつかの方法において、CD38抗体による前記処置の継続期間は、前記患者のN末端プロBNPレベルを、少なくともNEOD001処置を受ける前のレベルまで減少させるために有効である。いくつかの方法において、継続期間は、前記患者のN末端プロBNPレベルを、NEOD001処置を受ける前のレベル未満に減少させるために有効である。
【0067】
いくつかの方法において、処置は、前記CD38抗体の少なくとも1回の用量を含む。いくつかの方法において、処置は、前記CD38抗体の少なくとも2回の用量を含む。いくつかの方法において、処置は、前記CD38抗体の少なくとも3回の用量を含む。いくつかの方法において、継続期間は、少なくとも9か月である。いくつかの方法において、処置の継続期間は、少なくとも12か月である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、NEOD001とダラツムマブを含む、本開示による2剤抗体療法の例に対する心臓奏効を示す。
【0069】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、NEOD001とダラツムマブを含む、本開示の2剤抗体療法の例に続く、N末端プロBNP奏効(
図2A)の曲線と、ラムダ軽鎖(
図2B)の緩やかな曲線のオーバーラップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
説明
本開示は、ALアミロイドーシスを有する患者を処置する方法であって、アミロイド軽鎖に特異的に結合する抗体を、CD38に特異的に結合する抗体と組み合わせて前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【0071】
I.定義
用語「抗体」は、インタクトな抗体、およびその抗原結合フラグメントを含む。典型的には、フラグメントは、そのフラグメントの起源となったインタクトな抗体と、標的に対する特異的な結合について競合し、重鎖、軽鎖Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディ、およびFvを含む。フラグメントは、組換えDNA技術、またはインタクトな免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって作成することができる。用語「抗体」は、また、二重特異性抗体および/またはヒト化抗体も含む。用語「アミロイド軽鎖抗体」は、ミスフォールドした軽鎖において曝露されるネオエピトープに対して特異的に結合する抗体を含み、これについては以下により詳細に論じる。用語「CD38抗体」は、形質細胞および他のリンパ系免疫細胞上に発現されるCD38抗原に結合する抗体を含み、これについては以下にさらに詳細に論じる。
【0072】
用語「ヒト化免疫グロブリン」または「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのヒト化免疫グロブリンまたは抗体鎖(すなわち、少なくとも1つのヒト化軽鎖または重鎖)を含む免疫グロブリンまたは抗体を指す。用語「ヒト化免疫グロブリン鎖」または「ヒト化抗体鎖」(すなわち、「ヒト化免疫グロブリン軽鎖」または「ヒト化免疫グロブリン重鎖」)は、実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の可変フレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の相補性決定領域(CDR)(例えば、少なくとも1つCDR、好ましくは2つのCDR、さらに好ましくは3つのCDR)とを含む可変領域を有する免疫グロブリンまたは抗体鎖(すなわち、それぞれ軽鎖または重鎖)を指し、かつ、「ヒト化免疫グロブリン鎖」または「ヒト化抗体鎖」は、さらに定常領域(例えば、軽鎖のケースでは、少なくとも1つ定常領域またはその部分、および重鎖のケースでは、好ましくは3つの定常領域)を含む。用語「ヒト化可変領域」(例えば、「ヒト化軽鎖可変領域」または「ヒト化重鎖可変領域」)は、実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の可変フレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の相補性決定領域(CDR)とを含む可変領域を指す。
【0073】
語句「実質的にヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の」は、比較する目的でヒト免疫グロブリンまたは抗体アミノ酸配列とアラインさせた場合に、その領域が、ヒトフレームワークまたは定常領域配列と、例えば、保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖細胞系置換、復帰変異などを許容する、少なくとも80~90%、好ましくは90~95%、より好ましくは95~99%の同一性(すなわち、局所的配列同一性)を共有することを指す。保存的置換、コンセンサス配列置換、生殖細胞系置換、復帰変異などの導入は、しばしばヒト化抗体または鎖の「最適化」と呼ばれる。語句「実質的に非ヒト免疫グロブリンまたは抗体由来の」または「実質的に非ヒト」は、非ヒト生物(例えば非ヒト哺乳動物)の免疫グロブリンまたは抗体配列に対して、少なくとも80~95%、好ましくは90~95%、より好ましくは96%、97%、98%、または99%同一な免疫グロブリンまたは抗体配列を有することを意味する。
【0074】
したがって、ヒト化免疫グロブリンまたは抗体の全ての領域もしくは残基、またはヒト化免疫グロブリンまたは抗体鎖の全ての領域もしくは残基は、おそらくCDRを除けば、1つまたはそれを超える天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する領域または残基と実質的に同一である。用語「対応する領域」または「対応する残基」は、下記第1の配列と下記第2の配列が比較する目的で最適にアラインされた場合に、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基と同じ(すなわち、等価な)位置を占める、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列上の領域または残基を指す。
【0075】
II.処置方法および適する対象
本明細書において、心機能不全を有するALアミロイドーシスの症状を示すヒト患者、または心機能不全を有するALアミロイドーシスと診断されたヒト患者の処置方法であって、前記患者におけるポジティブな血液学的および/または心臓奏効を達成するために有効な、本明細書に記載されているアミロイド軽鎖抗体のいずれかのレジーム(regime)を、本明細書に記載されているCD38抗体のいずれかと組み合わせて患者に投与することを含む方法が提供される。このような患者の何人かは、ALアミロイドーシスに起因する、他の全身性臓器機能不全(腎臓、肝臓、末梢神経系、胃腸管系、自律神経系、肺、および/または軟組織もしくはリンパ系の機能不全を含む)を有し得る。
【0076】
処置に適する患者は、また、ALアミロイドーシスまたは関連する状態(例えば、炎症性疾患、慢性微生物感染症、悪性新生物、遺伝性炎症性疾患、およびリンパ球増殖性障害など)の処置ための代替療法を受けたことがあるか、現在受けているか、または後に受けるであろうALアミロイドーシス患者も含む。例えば、患者は、また、併用療法に関して本明細書において特定された1つまたはそれを超える治療剤も受けてもよく、または受けたことがあってもよい。例として、ALアミロイドーシスに罹患している患者は、また、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、サリドマイド、レナリドミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、シクロホスファミド、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、自家移植片、またはそれらの組み合わせも受けてもよく、受けたことがあってもよく、または後に受けてもよい。アミロイド疾患の処置のための代替療法を以前に受けたことのある患者について、そのような療法は、適切な臨床的測定によって、奏効していてもよく、奏効していなくてもよく、また健康状態を改善しなかった可能性がある。そのような先行する療法の追加の例としては、(1)ダラツムマブ単独、(2)CyBorD(これは、シクロホスファミド、ボルテゾミブ、およびデキサメタゾンを含む併用療法である)、(3)BMDex(これは、ボルテゾミブ、メルファラン、およびデキサメタゾンの組み合わせである)、(4)MDex(これは、メルファランおよびデキサメタゾンの組み合わせである)、(5)LDex(これは、レナリドミドおよびデキサメタゾンの組み合わせである)、(6)CLD(これは、シクロホスファミド、レナリドミド、およびデキサメタゾンの組み合わせである)、(7)PomDex(これは、ポマリドミドおよびデキサメタゾンの組み合わせである)、(8)CRd(これは、レナリドミド、シクロホスファミド、およびデキサメタゾンの組み合わせである)、および(9)イサツキシマブがあげられる。このような患者は、このような処置の結果として、心臓および/または腎臓の改善を経験していてもよく、経験していなくてもよい。
【0077】
血液学的奏効の改善は、VGPR(非常に良好な部分奏効)を上回ることを観察することによって確立することができる。VGPRと結論づけるには、以下のうち1つまたはそれを超えるものがなければならない:(i)血清および/または尿Mタンパク質が、免疫固定法によって検出可能であるが、電気泳動法によっては検出不能であること;および(ii)血清Mタンパク質および/または尿Mタンパク質レベルの減少が、≧90%であり、<100mg/24時間であること。もしこれらのものが測定不能であれば、無血清軽鎖アッセイによって示される関連遊離軽鎖レベルが>10mg/dLであり、かつ無血清軽鎖比が異常であることを条件として、関連遊離軽鎖レベルと非関連遊離軽鎖レベルの間の差異における減少が≧90%であること。本明細書に開示されている併用療法によって処置された患者は、80%を超えるVGPRの改善、例えば、少なくとも85%、88%、または88%を超える改善を示し得る。患者は、血液学的奏効における最大の改善を、75日未満で、例えば、60日未満で、45日未満で、33日で、または33日未満で達成し得る。
【0078】
心臓奏効の改善は、N末端プロBNP(N末端プロbタイプナトリウム利尿ペプチド)レベルの減少(Bayら、2003,NT-proBNP:a new diagnostic screening tool to differentiate between patients with normal and reduced left ventricular systolic function,Heart,v.89(2):p150-154)、および/またはNYHA(ニューヨーク心臓協会)による心不全の機能分類における減少(Nomenclature and Criteria for Diagnosis of Diseases of the Heart and Great Vessels.9th ed.Boston,Mass:Little,Brown&Co;1994:253-256)によって確立され得る。本明細書に開示されている併用療法によって処置された患者は、ベースラインに対して、50%を超えるN末端プロBNPの減少、例えば、55%を超える、65%を超える、74%の、または74%を超える減少を示し得る。
【0079】
本明細書に開示されている方法および使用のための適切な抗体、製剤、および処置レジメンを、以下にさらに詳細に論じる。
【0080】
III.抗体
本開示の方法は、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体を、ALアミロイドーシス患者に投与することを含む。
【0081】
アミロイド軽鎖抗体は、免疫グロブリン軽鎖に特異的に結合する抗体である。例としては、免疫グロブリン軽鎖との結合について、11-1F4(CAEL-101としても知られる)と競合する抗体、およびヒトアミロイドAペプチドまたはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンとの結合について、2A4(ATCC寄託番号9662)もしくは7D8(ATCC寄託番号PTA-9468)と競合するか、またはヒトカッパもしくはヒトラムダ軽鎖免疫グロブリンに対する11-1F4(米国特許第8,105,594号)、2A4、もしくは7D8(米国特許第7,928,203号)の結合と同じエピトープに特異的に結合するか、または競合する抗体があげられる。いくつかの方法において、抗体は、2A4のヒト化バージョンである。いくつかの方法において、抗体は、配列番号3、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの方法において、軽鎖可変領域は、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの方法において、重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの方法において、軽鎖可変領域は、配列番号1として規定されているアミノ酸配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号2として規定されているアミノ酸配列を含む。いくつかの方法において、抗体は、配列番号9、4、および5として規定されている3つの相補性決定領域を含む軽鎖可変領域と、配列番号6、7、および8として規定されている3つの相補性決定領域を含む重鎖可変領域とを含む。
【0082】
他の方法において、抗体は、米国特許第7,928,203号および国際公開番号WO2009/086539(これらは、それぞれ参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されているように、マウス、キメラ、もしくはヒト化2A4抗体の軽鎖および重鎖可変領域、またはマウス、キメラ、もしくはヒト化7D8抗体の軽鎖および重鎖可変領域を含む(参照したこれらの特許および公開に記載されている軽鎖および重鎖可変領域配列は、参照により具体的に本明細書に援用される)。本明細書に開示されている方法のためのいくつかの製剤は、米国特許第9,089,529号および国際公開番号WO2013/063284に記載されている。
【0083】
いくつかの方法において、抗体は、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号11~13のいずれか1つとして規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含む。例えば、抗体は、配列番号10として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号12として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖とを含んでいてもよい。抗体は、上記した軽鎖および重鎖アミノ酸配列のリーダー配列を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。いくつかの方法において、抗体は、ビルタミマブ(CAS登録番号1608108-91-3)(NEOD001としても知られる)である。
【0084】
他の方法において、抗体は、2A4または7D8抗体(そのキメラおよびヒト化バージョンを含む)のフラグメント、例えばFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(ab)c、Dab、ナノボディ、またはFvである。
【0085】
CD38抗体は、抗体産生形質細胞およびB細胞上、ならびに他のリンパ系免疫細胞上のCD38(配列番号40)のエピトープに特異的に結合する抗体である。このような抗体のいくつかは、CD38(配列番号40)のアミノ酸44~206の範囲内に、例えばアミノ酸44~66、82~94、142~154、148~164、158~170、または192~206の範囲内に結合する。いくつかのCD38抗体は、領域SKRNIQFSCKNIYR(配列番号41)および領域EKVQTLEAWVIHGG(配列番号42)に結合する このようなCD38抗体のいくつかは、CD38+標的細胞の補体依存性細胞傷害、抗体依存性細胞傷害、抗体依存性貪食作用、およびトロゴサイトーシスを媒介する。いくつかの方法において、CD38抗体は、ダラツムマブ(CAS登録番号945721-28-8)である。いくつかの例示的なCD38抗体が、米国特許第7,829,673号(’673号特許)、米国特許第8,263,746号(’746号特許)、および米国特許第9,249,226号(これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されている。
【0086】
いくつかのCD38抗体は、配列番号20、21、および22(それぞれ、’673号特許の配列番号8、9、および10)にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号23、24、および25(それぞれ、’673号特許の配列番号3、4、および5)にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかのCD38抗体は、配列番号26、27、および28(それぞれ、’673号特許の配列番号18、19、および20)にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号29、30、および31(それぞれ、’673号特許の配列番号13、14、および15)にそれぞれ規定されているアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0087】
いくつかのCD38抗体は、配列番号32(’746号特許の配列番号5)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号33(’746号特許の配列番号13)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかのCD38抗体は、配列番号34(’746号特許の配列番号6)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号35(’746号特許の配列番号14)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかのCD38抗体は、配列番号36(’746号特許の配列番号7)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号37(’746号特許の配列番号15)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかのCD38抗体は、配列番号38(’746号特許の配列番号8)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号39(’746号特許の配列番号16)に規定されているアミノ酸配列を含む抗体由来のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0088】
例えば、CD38抗体は、配列番号14、15、または16(それぞれ、’673号特許の配列番号7、17、27)に規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでいてもよい。CD38抗体は、配列番号17、18、または19(それぞれ、’673号特許の配列番号2、12、または22)に規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでいてもよい。適切なCD38抗体は、本明細書に開示されている重鎖可変領域と軽鎖可変領域の組み合わせを含んでいてもよい。例えば、そのようなCD38抗体のいくつかは、(a)配列番号14と17にそれぞれ規定されている;(b)配列番号15と18にそれぞれ規定されている;または配列番号16と19にそれぞれ規定されている、重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する。
【0089】
あるいは、CD38抗体は、イサツキシマブ、またはWO2016/187546もしくはUS2017/0008966(米国特許出願番号第15/160,476号(’476号出願)の公開である)に開示されているCD38抗体であってもよい。いくつかのCD38抗体は、少なくとも、領域SKRNIQFSCKNIYR(配列番号45)、および領域EKVQTLEAWVIHGG(配列番号56)に結合する。例えば、CD38抗体は、それぞれ配列番号47、48、および49のCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、それぞれ配列番号50、51、および52のCDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含んでいてもよい。いくつかの適切なCD38抗体は、配列番号53として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号54として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかの方法において、CD38抗体は、配列番号55として規定されているアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号56として規定されているアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0090】
いくつかのCD38抗体は、(a)配列番号57の重鎖可変領域と配列番号58の軽鎖可変領域;(b)配列番号59の重鎖可変領域と配列番号60の軽鎖可変領域;(c)配列番号61の重鎖可変領域と配列番号62の軽鎖可変領域;または(d)配列番号63の重鎖可変領域と配列番号64の軽鎖可変領域の、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3とを含む。例えば、前記CD38抗体は、配列番号57の重鎖可変領域と配列番号58の軽鎖可変領域とを含んでいてもよい。いくつかの方法において、前記CD38抗体は、配列番号59の可変重鎖領域と配列番号60の可変軽鎖領域とを含む。別の例として、前記CD38抗体は、配列番号61の重鎖可変領域と配列番号62の軽鎖可変領域とを含んでいてもよい。さらに別の例として、前記CD38抗体は、配列番号63の重鎖可変領域と配列番号64の軽鎖可変領域とを含んでいてもよい。
【0091】
いくつかの方法において、患者は、ビルタミマブとダラツムマブを投与される。他の方法において、患者は、ビルタミマブとイサツキシマブを投与される。以下にさらに詳細に論じるように、抗体は,医薬製剤として投与することができる。
【0092】
IV.医薬製剤および製品
本明細書に開示されているいくつかの方法において、抗体は、例えば、抗体に加えて、ヒスチジンバッファー、トレハロース、およびポリソルベート20を含む医薬製剤(例えば、米国特許第9,884,020号(参照により歩本明細書に援用される)に開示されている製剤)としてALアミロイドーシス患者に投与することができる。
【0093】
いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体は、一緒に製剤化される。他の方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体は、別々の医薬製剤に調製される。そのような方法のいくつかにおいて、アミロイド軽鎖抗体は、前記製剤のいずれかに調製され、CD38抗体は、例えば、米国特許出願公開番号US2017/0121414号または米国特許第9,364,542号(これらは、参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されている製剤のいずれかなどの、別の製剤に調製される。
【0094】
V.処置レジーム(regime)
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」および「処置(treatment)」は、本明細書に記載されているように、疾患に関連する1つもしくはそれを超える症状または効果の軽減もしくは回復、疾患の1つもしくはそれを超える症状または効果の発生の予防、抑制、もしくは遅延、疾患の1つもしくはそれを超える症状または効果の重症度もしくは頻度の低減、および/または所望の転帰に向かう向上もしくは傾向を指す。
【0095】
本明細書に開示されている処置の所望の転帰は、アミロイド疾患および患者のプロファイルに応じて異なり、そして当業者が容易に決定することができる。所望の転帰は、患者の健康状態の改善を含む。一般に、所望の転帰は、病的アミロイド線維の低減またはクリアランス、アミロイド凝集および/またはアミロイド線維の沈着の減少または阻害、ならびに病的および/または凝集アミロイド線維に対する免疫応答の増強などの、測定可能な指標を含む。所望の転帰は、また、アミロイド疾患に特異的な症状の軽減も含む。例えば、ALアミロイドーシスの処置についての所望の転帰は、臓器機能不全、末梢性および自律神経ニューロパチー、手根管症候群、巨舌症、拘束型心筋症、大関節の関節症、免疫疾患(dyscrasia)、骨髄腫、ならびに潜在性疾患(dyscrasia)を含む、知られている症状の発生率または重症度の減少を含む。本開示の療法の所望の転帰は、一般に、対照またはベースラインの測定値と比較して、数量化できる測定値である。本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加」、または「低減」などの相対的な用語は、本明細書に記載されている処置を開始する前の同一の個体における測定値、または対照個体もしくは対照群における測定値などの、対照と比較した場合の値を指す。対照個体は、処置を受けている個体と同一のアミロイド疾患に罹患している個体であって、(処置個体と対照個体における疾患のステージが同等であることを確実にするために)処置を受けている個体とほぼ同年齢であるが、本開示の抗体製剤を用いた処置を受けていない個体である。このケースにおいて、本開示の抗体製剤の有効性は、未処置対照における測定可能な指標から離れるシフトまたは傾向によって評価される。あるいは、対照個体は、健常個体であって、処置を受けている個体とほぼ同年齢の個体である。このケースにおいて、本開示の抗体製剤の有効性は、健常対照における測定可能な指標に向かうシフトまたは傾向によって評価される。療法に対する応答の変化または改善は、一般に、統計的に有意であり、p値によって記述され、0.1以下、0.05未満、0.01未満、0.005未満、または0.001未満は、有意であるとみなされ得る。
【0096】
処置は、典型的には、ある期間にわたる多数回の投薬を必要とする。処置は、経時的に、抗体をアッセイすることによって、または放射性標識SAPシンチグラフィーを使用することによってモニターすることができる。奏効が低下した場合、ブースター投薬が指示され得る。加えて、ALアミロイドーシスを有する患者の処置に対する応答は、N末端プロBNPならびに/またはトロポニン、血清クレアチン、および/もしくはアルカリホスファターゼなどの心臓マーカーをアッセイすることによって、無血清軽鎖(SFLC)アッセイ、定量的免疫グロブリンアッセイ、バイオプシー、血清タンパク質電気泳動(SPEP)、尿タンパク質電気泳動(UPEP)、血清、尿免疫固定電気泳動(IFE)、および/または臓器イメージング技術を実施することによってモニターすることができる。例示的な完全奏功(CR)は、血清および尿のIFEが陰性であること、カッパ/ラムダ(lamda)(κ/λ)比が正常であること、および/または骨髄中の形質細胞が<5%であることを含む奏効判定基準によって判定することができる。例示的な非常に良好な部分奏効(VGPR)は、dFLCが<40mg/Lであることから判定することができる。例示的な部分奏効(PR)は、dFLCの低下が≧50%であることから判定することができる。腎臓において、処置に対する応答は、例えば、eGFRの減少が≧25%であるか、または血清クレアチンの増加が≧0.5mg/dLであるかのどちらかにあてはまらず、24時間内の尿タンパク排泄量の減少が≧50%(例えば、>0.5g/24時間)であることから判定することができる。肝臓において、処置に対する応答は、例えば、初期に上昇したアルカリホスファターゼの減少が≧50%であるか、またはCTスキャンもしくはMRIによる肝臓サイズの減少が≧2cmであることから判定することができる。心臓において、処置に対する応答は、例えば、N末端プロBNPのベースラインが>650ng/Lである患者におけるN末端プロBNPの減少が、>30%かつ>300ng/Lであることから判定することができる。腎臓において、処置に対する応答は、例えば、腎臓の増悪がなく、タンパク尿の減少が>30%であるか、またはタンパク尿の減少が<0.5g/24時間であることから判定することができる。ニューロパチーのレスポンダーは、一般に、ベースラインからのNIS-LLの増加が<2ポイントであることによって特徴付けられる。ニューロパチーの改善(例えば、神経機能の改善)は、ベースラインからのNIS-LLの減少から判定される。
【0097】
抗体製剤は、静脈内または皮下に、約0.5mg/kg体重~約30mg/kg体重の投薬量範囲で投与できる。例えば、投薬量は、約0.5mg/kg体重、約1.0mg/kg体重、約1.5mg/kg体重、約2.0mg/kg体重、約4.0mg/kg体重、約5.0mg/kg体重、約8.0mg/kg体重、約10mg/kg体重、約15mg/kg体重、約16mg/kg体重、約20mg/kg体重、約24mg/kg体重、約25mg/kg体重、または約30mg/kg体重であり得る。静脈内投薬について、個々の患者のための所望の投薬量を実現するために十分な量の抗体製剤が、1つまたはそれを超えるバイアルから液体(例えば、生理食塩水)が入っている1つまたはそれを超える静脈注入用バッグに移され、そして患者に投与される。いくつかの方法において、本明細書に開示されているアミロイド軽鎖抗体(例えば、ビルタミマブなど)のいずれかが、用量約24mg/kgで患者に投与される。いくつかの方法において、本明細書に開示されているCD38抗体(例えば、ダラツムマブなど)のいずれかが、用量約16mg/kgで患者に投与される。
【0098】
抗体は、通常、多数の機会に投与される。例示的な処置レジーム(regime)は、2週に1回、1か月に1回、または3~6か月に1回の投与を必要とする。例えば、患者は、4週に1回を1サイクルとして(例えば、28日に1回)、抗体製剤を受けてもよい。投薬頻度は、患者における抗体製剤の薬物動態プロファイルに応じて調節することができる。例えば、抗体の半減期を根拠として、投薬頻度を2週に1回としてもよい。
【0099】
いくつかの方法において、医薬製剤は、約24mg/kgのアミロイド軽鎖抗体投薬量で、静脈内に、28日に1回投与される。例えば、何人かの患者は、本明細書に開示されているアミロイド軽鎖抗体のいずれか(例えば、ビルタミマブなど)の静脈内投薬を、約24mg/kgの用量で、28日に1回受けてもよい。そのような患者の何人かは、本明細書に開示されているCD38抗体のいずれか(例えば、ダラツムマブなど)の静脈内投薬を、例えば16mg/kgの用量で、28日に1回の頻度で受けてもよい。何人かの患者は、CD38抗体を1週に1回受ける。何人かの患者は、CD38抗体を2週に1回受ける。何人かの患者は、CD38抗体を、最初はより高頻度で受け、経時的に受ける頻度を低下させる。例えば、患者は、CD38抗体を、ある期間にわたって1週に1回、次いである期間にわたって2週に1回、その後、処置の継続期間にわたって1か月に1回または28日に1回受けてもよい。そのような投与レジメンの1つは、ダラツムマブなどのCD38抗体の1週に1回の投薬を8週間、次いで2週に1回の投薬を4か月間、その後1か月に1回の投薬が処置の継続期間にわたる投与レジメンである。
【0100】
そのような患者の何人かについて、静脈注入用バッグに移されたアミロイド軽鎖抗体製剤は、まず、凍結乾燥製剤から、約50mg/mLのビルタミマブなどのアミロイド軽鎖抗体、約25mMのヒスチジンバッファー、約230mMのトレハロース、および約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pHが約6.5の製剤に再構成された。
【0101】
何人かの患者について、所望の投薬量の1つまたはそれを超えるアミロイド軽鎖抗体および/またはCD38抗体は、本明細書に開示されている製剤のいずれかを含有するバイアルから、希釈せずに、皮下に投与することができる。
【0102】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、抗体は、少なくとも9か月、少なくとも12か月、またはより長い期間にわたって、患者に投与される。
【0103】
アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体による併用療法を行う場合、これら2つの抗体は、同時に投与してもよく、任意の順序で順次投与してもよく、すなわち、一方の抗体を、他方の抗体の投与前に投与してもよく、他方の抗体と同時に投与してもよく、または他方の抗体の投与後に投与してもよい。例えば、併用療法は、第1の抗体を、第2の抗体の投与前(例えば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、第2の抗体の投与と同時、または第2の抗体の投与後(例えば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与してもよい。いくつかの方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体は、患者に対して同じ日に、例えば、同時に投与されるか、または1日の中で順次投与される。いくつかの方法において、前記2つの抗体は、少なくとも24時間あけて、2日間あけて、3日間あけて、4日間あけて 5日間あけて、6日間あけて、または1週間あけて、別々に投与される。前記2つの抗体の同時投与ではない場合、いくつかの方法において、CD38抗体が最初に投与され、次いでアミロイド軽鎖抗体が投与される。別の方法において、アミロイド軽鎖抗体が最初に投与され、次いでCD38抗体が投与される。
【0104】
前記組み合わせの各コンポーネントの投薬量、頻度、および投与モードは、独立して制御することができる。例えば、1つの治療剤/療法を、1日3回経口投与してもよく、その一方で、第2の治療剤/療法を、1日1回筋肉内投与してもよい。併用療法は、休止期間を含むオンオフサイクルで施してもよい。これらの化合物は、また、1回の投与によって両方の化合物が送達されるように、混合してもよく、またはその他の方法で一緒に製剤化してもよい。このケースにおいて、各治療剤の存在量は、一般に、組成物の総重量の1~95重量%である。あるいは、本明細書に開示されている抗体製剤と第2の治療剤を別々に製剤化し、個別の投薬量で投与してもよい。処置のための薬物の組み合わせは、1つの医薬パックのコンポーネントとして提供してもよい。
【0105】
ALアミロイドーシスの処置における使用のためのいくつかの組み合わせにおいて、NEOD001またはダラツムマブのいずれかによる処置を受ける前は、患者は処置ナイーブであった。例えば、患者は、以前に、ALアミロイドーシスのための任意の処置を(標準治療処置でさえも)受けている。
【0106】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、患者は、形質細胞疾患のための処置の前に、アミロイド軽鎖抗体またはCD38抗体のいずれかによって処置される。形質細胞疾患(plasma cell dyscrasia)(PCD;形質細胞障害または形質細胞異常増殖症とも呼ばれる)は、形質細胞のクローンまたは多数のクローンが免疫グロブリンまたはそのフラグメントを過剰産生して血流中に分泌する、より重篤な単クローン性ガンマグロブリン血症に進行するスペクトラムである。PCDは、それらに限定されないが、意義未確定の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、無症候性骨髄腫、多発性骨髄腫、PC白血病、形質細胞腫を含み得る。このような方法のいくつかにおいて、患者は、形質細胞療法(例えば、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、ドキシサイクリン、またはCD38抗体のうちの1つまたはそれを超える療法など)による処置の前に、患者の健康(例えば、患者の心臓機能)を安定化または改善するために、まずアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体で処置される。形質細胞療法のための処置は、その形質細胞療法のための処置がアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体による処置の後に行われると仮定して、CD38抗体を含んでいてもよい。本開示のこのような方法の1つにおいて、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせによる処置後に、形質細胞疾患のための処置が続き、ここで、前記疾患のための処置はCD38抗体であるか、または前記疾患のための処置はボルテゾミブである。
【0107】
アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体による前処置は、その後の形質細胞療法の副作用に耐える患者の能力を増強させ得る。この前処置は、また、形質細胞療法不耐容のリスク、および処置関連合併症のリスクのレベルを低下させ得る。いくつかの方法において、CD38抗体とアミロイド軽鎖抗体による組み合わせ処置は、ALアミロイドーシスの発現前に、予防的に実施される。
【0108】
このような方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の投与の順序および投与レジメンは、本明細書に記載されているとおりであってもよい。例えば、患者は、本明細書に記載されているように、患者の健康の改善に向けて、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせによって処置されてもよい。例えば、この改善は、形質細胞療法(例えば、ボルテゾミブ)の投与前のN末端プロBNPの減少であってもよい。例えば、本明細書に開示されている併用療法によって処置された患者は、形質細胞療法による処置の前に、ベースラインに対して、50%を超えるN末端プロBNPの減少、例えば、55%を超える、65%を超える、74%の、または74%を超える減少を示し得る。患者の健康の改善に関する他の指標は、本明細書に記載されており、例えば、他の心臓マーカー(トロポニン、血清クレアチン、および/またはアルカリホスファターゼを測定することによるもの、および無血清軽鎖(SFLC)アッセイ、定量的免疫グロブリンアッセイ、バイオプシー、血清タンパク質電気泳動(SPEP)、尿タンパク質電気泳動(UPEP)、血清、尿免疫固定電気泳動(IFE)、および/または臓器イメージング技術を実施することによるものである。改善の他の指標としては、また、カルノフスキーパフォーマンスステータスもしくはECOGパフォーマンスステータス、または同等の機能アセスメントツールによって測定される患者の機能ステータスの安定化もしくは改善、患者の意図しない体重減少、持久力低下、虚弱、低歩行速度、および低身体活動性の改善、ならびに/または患者の手段的日常生活動作の改善も含む。
【0109】
したがって、本明細書に開示されている方法のいくつかは、患者における形質細胞疾患の処置方法に関し、ここで、患者は、形質細胞療法を受ける前に、まずアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法によって処置される。PCDの種々の徴候は、異なる処置レジメン(regiments)を必要とし得る。PCD療法は、造血幹細胞移植(HSCT)、および/または化学療法剤の使用を包含してもよい。いくつかの方法において、形質細胞療法は、イキサゾミブ、ベネトクラクス、メルファラン、プレドニゾン、デキサメタゾン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、ドキソルビシン、およびドキシサイクリンのうちの1つまたはそれを超える療法である。いくつかの方法において、前記形質細胞療法は、ボルテゾミブである。
【0110】
そのような方法のいくつかにおいて、患者は、形質細胞療法による処置の前に、患者の健康(例えば、患者の心臓機能)を安定化または改善するために、まずアミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法によって処置される。患者の健康の改善は、例えば、患者において、ベースラインに対して、N末端プロBNPの減少が50%を超えることを判定することによって判定することができる。特に、患者の健康における改善は、N末端プロBNPの減少が、ベースラインに対して、55%を超えること、65%を超えること、74%であること、または74%を超えることによって示され得る。患者の健康における改善は、その後の形質細胞療法の副作用に耐える患者の能力を増強させ得る。このような方法において、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の併用療法の投与の順序および投与レジメンは、本明細書に記載されているとおりであってもよい。例えば、患者は、形質細胞療法(例えば、ボルテゾミブなど)の投与の前に、少なくとも55%のN末端プロBNPの減少を達成するために、アミロイド軽鎖抗体とCD38抗体の組み合わせによって処置されてもよい。
【0111】
本明細書に記載されている組み合わせ抗体療法は、形質細胞療法の前に得られた患者の健康における改善を維持するために、形質細胞療法と重複していてもよい。あるいは、組み合わせ抗体療法は、患者の健康が形質細胞療法の副作用により容易に耐えることができる程度に改善されている限り、形質細胞療法の直前に中止してもよく、数日前に中止してもよく、数週間または数か月前に中止してもよい。例えば、併用療法は、形質細胞療法の前に、本明細書に記載されている投与レジメンを用いて、少なくとも9か月間または少なくとも12か月間投与し、抗体併用療法の前、または抗体併用療法の間に終了してもよい。
【0112】
いくつかの方法において、患者は、併用療法後に、85%を超えるVGPRの改善を示す。いくつかの方法において、VGPRの改善は、少なくとも88%である。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後60日未満で血液学的奏効の改善を示す。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後45日未満で血液学的奏効の改善を示す。いくつかの方法において、患者は、形質細胞療法による処置の前に、併用療法による処置後1日~28日の間(例えば、併用療法による処置後7日、14日、21日、または28日後など)に、血液学的な改善を示す。
【0113】
アミロイド軽鎖抗体は、本明細書に記載されているとおりであってもよく、アミロイド軽鎖抗体に関する配列で提供されているとおりであってもよい。同様に、CD38抗体は、本明細書に記載されているとおりであり、例えば、ダラツムマブであってもよい。同様に、本明細書に記載されているように、アミロイド軽鎖抗体の投薬量は、約0.5mg/kg~約30mg/kgであってもよく、それが静脈内または皮下に、約1週に1回~約四半期に1回の頻度で投与されてもよい。本明細書の1つの方法において、アミロイド軽鎖の投薬量は、約24mg/kgであり、前記抗体は、静脈内に28日に1回投与され、本明細書に記載されている製剤を含んでいてもよい。
【0114】
本明細書に開示されているいくつかの方法において、前記方法は、CD38抗体の有効な投与レジメンを患者の処置に追加することを含む、NEOD001による処置に対して非応答性のAL患者における心臓機能の改善方法を含む。NEOD001に対して非応答性の患者は、CyBorD(シクロホスファミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)によって処置された患者を含む。患者の応答は、N末端プロBNPなどの心臓奏効として測定してもよい。非応答性患者は、NEOD001に対する改善がない患者(CyBorDの有無を問わない)、または状態が
図1に示すように悪化し続けている患者を含む。例えば、患者のNEOD001処置に対する非応答性は、NEOD001処置後の期間内の患者におけるN末端プロBNPレベルが、NEOD001処置前の患者におけるN末端プロBNPレベルよりも高いか、またはそれと等しいことによって判定してもよい。例えば、N末端プロBNPレベルは、NEOD001処置前のN末端プロBNPレベルよりも高い。
【0115】
投与レジメンは、様々であり得、CD38抗体の投与の少なくとも2か月前のNEOD001処置に続く期間を含んでいてもよい。いくつかの例において、患者は、CD38抗体を受ける前に、NEOD001の少なくとも2回の用量または3回の用量を受けていてもよい。CD38抗体は、N末端プロBNPの増加が約2,000pg/mLを超えた後(約15,000pg/mL)に投与される。例えば、N末端プロBNPの増加は、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、または15,000pg/mLの患者におけるN末端プロBNPであってもよい。本方法のいくつかにおいて、CD38抗体は、患者におけるN末端プロBNPの増加が約12,000pg/mLを超えた後に投与される。
【0116】
本開示の方法のいくつかにおいて、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの水準が少なくとも約100%増加した後に投与される。いくつかの方法において、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの水準が少なくとも約200%増加した後に投与される。いくつかの方法において、CD38抗体は、N末端プロBNPレベルの水準が少なくとも約300%増加した後に投与される。本明細書においてさらに記載されているように、CD38抗体は、ダラツムマブまたはイサツキシマブであってもよい。
【0117】
本開示の方法のいくつかにおいて、ダラツムマブは、患者に対して、16mg/kgで、28日に1回投与される。いくつかの方法において、NEOD001は、患者に対して、24mg/kgで、28日に1回投与される。
【0118】
本開示の方法のいくつかにおいて、CD38抗体による、アミロイド軽鎖抗体と組み合わせた処置の継続期間は、患者のN末端プロBNPレベルを、少なくともアミロイド軽鎖抗体処置を受ける前のレベルまで減少させるために有効である。方法のいくつかにおいて、前記期間は、患者のN末端プロBNPレベルを、アミロイド軽鎖抗体処置を受ける前のレベル未満に減少させるために有効である。
【0119】
本開示の方法のいくつかにおいて、患者は、CD38抗体の少なくとも1回の用量、少なくとも2回の用量、少なくとも3回の用量、少なくとも4回の用量、少なくとも5~12回の用量、または12回を超える回数の用量を受けている。また、前記処置の継続期間は、少なくとも3か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、少なくとも12か月であってもよく、CD38抗体の多数回のドース(does)を含んでいてもよい。
【実施例】
【0120】
以下の実施例は、本明細書に開示されているモードを実証するために含められている。以下の実施例のある特定の態様は、本共同発明者らによって、本明細書に開示されている実施において良好に機能することが見出されたか、または予期された技術および手順によって説明されている。本開示および当該技術分野における一般的な水準を考慮すれば、以下の実施例は例示のみを意図しており、本開示の範囲を逸脱することなく多数の変化、改変、および変更が可能であることが、当業者によって理解される。
【0121】
実施例1.NEOD001のフェーズ3臨床評価
プラセボを対照とした、NEOD001のフェーズ3世界的多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を、ALアミロイドーシスおよび心機能不全を有し、試験の群が共に標準治療(VITAL試験)を受けている、新たに診断を受けた処置ナイーブな患者において実施した。患者を、静脈内注入で、28日に1回、24mg/kgのNEOD001を受ける群と、プラセボを受ける群に、1:1の基準でランダム化した。全ての患者は、NEOD001またはプラセボと同時に、ボルテゾミブに基づく化学療法を受けた。プラセボは、通常の生理食塩水の250mLバッグとして、28日に1回投与された。臨床試験のデザインに関するさらなる情報は、https://clinicaltrials.gov.で入手することができる。
【0122】
実施例2.NEOD001とダラツムマブを受けた患者の評価
治験モノクローナル抗体NEOD001の処置を受けたVITAL試験からのALアミロイドーシスを有する9人の患者は、さらに、16mg/kgのダラツムマブによる処置を、2日にわたって分割した第1の用量で受けた。患者は、ダラツムマブによって、1週に1回の処置を8週間、次いで2週に1回の処置を4か月間、次いで28日に1回の処置を受けた。これら9人の患者のうち、男性は4人、女性は5人であり、中央値で、年齢が68歳(52~75歳の範囲)であり、診断から261日(51~2037日の範囲)であった。N末端プロBNPの中央値は、3807pg/ml(1326~13193pg/ml)であった。NEOD001とダラツムマブは、2日間あけて注入され、いかなる予期せぬ毒性もなく、耐容性は良好であった。心臓合併症を有するこれら9人の患者は、ボルテゾミブに基づくレジメンによる最初の療法に対して応答を示さなかった。
図1を参照のこと。
【0123】
患者の88%は、ダラツムマブ+NEOD001によって、33日間(中央値)で、>VGPRを達成し、心臓奏効は、<90日間で達成された。対照的に、VITAL試験の一部ではない、ダラツムマブ単独を受けた患者(n=10)は、より後になって血液学的および心臓奏効を達成した(表1)。この試験において、別々のアミロイド軽鎖とCD38を標的とするモノクローナル抗体は、心臓合併症を有する全身性ALアミロイドーシスを有する患者において、安全に組み合わせることができた。表1に示すように、ダラツムマブとNEOD001の組み合わせによって、ダラツムマブ単独を受けた患者と比較して、高率で血液学的および心臓奏効が達成された。
【0124】
【0125】
図1は、NEOD001とCyBorD(シクロホスファミド、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)による処置にも関わらず進行し悪化するAL心臓合併症を有する患者に、続けてダラツムマブを前記療法に追加し、N末端プロBNPによって測定した、患者の典型的な応答を示す。この2剤抗体併用療法は、心臓奏効の悪化を反転させることができた。
【0126】
図2A~Bは、2剤抗体療法に続く、N末端プロBNP応答に基づく急速な心臓の改善を示すカーブ(
図2A)と、ラムダ軽鎖の緩やかな改善を示すカーブ(
図2B)のオーバーラップを示す。このパターンは、臓器応答を経験したAL患者について典型的なものではない。通常、臓器応答は、短鎖応答と、数か月位相がずれている。
【0127】
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願、および刊行物は、参照によりその全てが本明細書に援用される。本開示は、特定の実施形態を参照して開示されてきたが、他の実施形態および本開示の変形が、本開示の真の趣旨および範囲を逸脱することなく、他の当業者によって案出され得る。添付の特許請求の範囲は、そのような実施形態および同等の変形を全て含む。
【0128】
配列
配列番号01 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4軽鎖可変領域バージョン3)
DVVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLHWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPFTFGGGTKVEIK
配列番号02 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4重鎖可変領域バージョン3)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMYWIRQAPGKGLEWVARIRSKSNNYAIYYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARPYSDSFAYWGQGTLVTVSS
配列番号03 2A4 VL CDR1
RSSQSLVHSTGNTYLH
配列番号04 2A4 VL CDR2
KVSNRFS
配列番号05 2A4 VL CDR3
SQSTHVPFT
配列番号06 2A4 VH CDR1
GFTFNTYAMY
配列番号07 2A4 VH CDR2
RIRSKSNNYAIYYADSVKD
配列番号08 2A4 VH CDR3
PYSDSFAY
配列番号09 7D8 VL CDR1
RSSLSLVHSTGNTYLH
配列番号10 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4カッパ軽鎖)
DVVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLHWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCSQSTHVPFTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号11 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4IgG1重鎖バリアント1(G1m1アロタイプ))
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMYWIRQAPGKGLEWVARIRSKSNNYAIYYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARPYSDSFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号12 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4IgG1重鎖バリアント2(G1m3アロタイプ))
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMYWIRQAPGKGLEWVARIRSKSNNYAIYYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARPYSDSFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号13 マウスおよびヒト残基を含むヒト化抗体配列(ヒト化2A4 IgG2重鎖)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFNTYAMYWIRQAPGKGLEWVARIRSKSNNYAIYYADSVKDRFTISRDDSKNSLYLQMNSLKTEDTAVYYCARPYSDSFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号14 米国特許第7,829,673号からの配列番号7
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQAPGQGLEWMGRVIPFLGIANSAQKFQGRVTITADKSTSTAYMDLSSLRSEDTAVYYCARDDIAALGPFDYWGQGTLVTVSSAS
配列番号15 米国特許第7,829,673号からの配列番号17
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVTVSSAS
配列番号16 米国特許第7,829,673号からの配列番号27
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSNYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPHDSDARYSPSFQGQVTFSADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARHVGWGSRYWYFDLWGRGTLVTVSS
配列番号17 米国特許第7,829,673号からの配列番号2
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGQGTKVEIK
配列番号18 米国特許第7,829,673号からの配列番号12
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIK
配列番号19 米国特許第7,829,673号からの配列番号22
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPGLLIYDASNRASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
配列番号20 米国特許第7,829,673号からの配列番号8
SYAFS
配列番号21 米国特許第7,829,673号からの配列番号9
RVIPFLGIANSAQKFQ
配列番号22 米国特許第7,829,673号からの配列番号10
DDIAALGPFDY
配列番号23 米国特許第7,829,673号からの配列番号3
RASQGISSWLA
配列番号24 米国特許第7,829,673号からの配列番号4
AASSLQS
配列番号25 米国特許第7,829,673号からの配列番号5
QQYNSYPRT
配列番号26 米国特許第7,829,673号からの配列番号18
SFAMS
配列番号27 米国特許第7,829,673号からの配列番号19
AISGSGGGTYYADSVKG
配列番号28 米国特許第7,829,673号からの配列番号20
DKILWFGEPVFDY
配列番号29 米国特許第7,829,673号からの配列番号13
RASQSVSSYLA
配列番号30 米国特許第7,829,673号からの配列番号14
DASNRAT
配列番号31 米国特許第7,829,673号からの配列番号15
QQRSNWPPTF
配列番号32 米国特許第8,263,746号からの配列番号5
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYSINWVRQAPGQGLEWMGYIDPNRGNTNYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREYIYFIHGMLDFWGQGTLVTVSS
配列番号33 米国特許第8,263,746号からの配列番号13
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLLFIDGNNYLNWYLQKPGQSPQLLIYLGSNRASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCQQYSSKSATFGQGTKVEIKRT
配列番号34 米国特許第8,263,746号からの配列番号6
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMHWVRQAPGKGLEWVSNIRSDGSWTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARRYWSKSHASVTDYWGQGTLVTVSS*
配列番号35 米国特許第8,263,746号からの配列番号14
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISAFLNWYQQKPGKAPKLLIYKVSNLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQAYSGSITFGQGTKVEIKRT
配列番号36 米国特許第8,263,746号からの配列番号7
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVSNIYSDGSNTFYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNMYRWPFHYFFDYWGQGTLVTVSS
配列番号37 米国特許第8,263,746号からの配列番号15
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGNKYVSWYQQKPGQAPVVVIYGDNNRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCSSYDSSYFVFGGGTKLTVLGQ
配列番号38 米国特許第8,263,746号からの配列番号8
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSNGMSWVRQAPGKGLEWVSNISYLSSSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARFYGYFNYADVWGQGTLVTVSS
配列番号39 米国特許第8,263,746号からの配列番号16
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNIGHYYASWYQQKPGQAPVLVIYRDNDRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQSYDYLHDFVFGGGTKLTVLGQ
配列番号40 米国特許第8,263,746号からの配列番号22
MANCEFSPVSGDKPCCRLSRRAQLCLGVSILVLILVVVLAVVVPRWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRHVDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPCNKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTWCGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEAACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLEAWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIYRPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI
配列番号41 SKRNIQFSCKNIYR
配列番号42 EKVQTLEAWVIHGG
配列番号43 https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D10777に示されているDARZALEX(登録商標)の重鎖配列
【化1】
配列番号44 https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D10777に示されているDARZALEX(登録商標)の軽鎖配列
【化2】
配列番号45 US 2017/0008966の配列番号2
SKRNIQFSCKNIYR
配列番号46 US 2017/0008966の配列番号3
EKVQTLEAWVIHGG
配列番号47 US 2017/0008966の配列番号6
SFAMS
配列番号48 US 2017/0008966の配列番号7
AISGSGGGTYYADSVK
配列番号49 US 2017/0008966の配列番号8
DKILWFGEPVFDY
配列番号50 US 2017/0008966の配列番号9
RASQSVSSYLA
配列番号51 US 2017/0008966の配列番号10
DASNRAT
配列番号52 US 2017/0008966の配列番号11
QQRSNWPPTF
配列番号53 US 2017/0008966の配列番号4
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVTVSS
配列番号54 US 2017/0008966の配列番号5
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIK
配列番号55 US 2017/0008966の配列番号12
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号56 US 2017/0008966の配列番号13
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号57 US 2017/0008966の配列番号14
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQAPGQGLEWMGRVIPFLGIANSAQKFQGRVTITADKSTSTAYMDLSSLRSEDTAVYYCARDDIAALGPFDYWGQGTLVTVSSAS
配列番号58 US 2017/0008966の配列番号15
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPRTFGQGTKVEIK
配列番号59 US 2017/0008966の配列番号16
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSNYWIGWVRQMPGKGLEWMGIIYPHDSDARYSPSFQGQVTFSADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCARHVGWGSRYWYFDLWGRGTLVTVSS
配列番号60 US 2017/0008966の配列番号17
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIK
配列番号61 US 2017/0008966の配列番号18
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQAPGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVSS
配列番号62 US 2017/0008966配列番号19
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKPGQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAEDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ
配列番号63 US 2017/0008966の配列番号20
QVQLVQSGAEVAKPGTSVKLSCKASGYTFTDYWMQWVKQRPGQGLEWIGTIYPGDGDTGYAQKFQGKATLTADKSSKTVYMHLSSLASEDSAVYYCARGDYYGSNSLDYWGQGTSVTVSS
配列番号64 US 2017/0008966の配列番号21
DIVMTQSHLSMSTSLGDPVSITCKASQDVSTVVAWYQQKPGQSPRRLIYSASYRYIGVPDRFTGSGAGTDFTFTISSVQAEDLAVYYCQQHYSPPYTFGGGTKLEIK
【配列表】
【国際調査報告】