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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】エネルギー変換方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 29/00 20060101AFI20220324BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20220324BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
F25B29/00 441
F01K25/10
F25B1/00 396D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547318
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 CN2019112923
(87)【国際公開番号】W WO2020164255
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】201910112603.3
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355739
【氏名又は名称】孫 誠剛
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】孫 誠剛
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BB04
3G081BB07
(57)【要約】
本発明は、エネルギー変換方法に関し、その方法では、第1の熱ポンプ(I)の作動物質により、空気圧機(J)からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するとともに、圧力作動物質液体を前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送すること、第1の熱ポンプ(I)により、熱量が吸収された作動物質を圧縮して昇温させることで、熱量を空気圧機(J)の入力圧力作動物質に輸送して、圧力作動物質気体として加熱気化させることができ、圧力作動物質気体は、空気圧機(J)を作動させてから、空気圧機(J)から空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであること、および、熱量を入力圧力作動物質に輸送して降温した第1の熱ポンプ(I)の作動物質は、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収するために輸送されることにより、第1の熱ポンプ(I)の作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるになっていること、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱ポンプ(I)の作動物質により、空気圧機(J)からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するとともに、前記圧力作動物質液体を前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送すること、
第1の熱ポンプ(I)により、熱量が吸収された作動物質を圧縮して昇温させることで、熱量を空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質に輸送して、圧力作動物質気体として加熱気化させることができ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機(J)を作動させてから、前記空気圧機(J)から前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであること、および、
熱量を前記入力圧力作動物質に輸送して降温した前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収するために輸送されることにより、前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるようになっていること、を含む、エネルギー変換方法。
【請求項2】
前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質により、空気圧機(J)からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮することは、第1の蒸発型凝縮器(K)において行われ、好ましくは、前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は、前記第1の蒸発型凝縮器(K)のチューブパスを流れて吸熱気化させるが、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体が前記第1の蒸発型凝縮器(K)のケースパスに流入し、放熱凝縮し、及び/又は、
前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質が昇温してから、熱量を空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質に輸送して加熱させることは、第2の蒸発型凝縮器(L)において行われ、好ましくは、前記第1の熱ポンプ(I)の圧縮された作動物質は、前記第2の蒸発型凝縮器(L)のチューブパスを流れて放熱凝縮するが、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質が前記第2の蒸発型凝縮器(L)のケースパスにおいて吸熱気化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧力作動物質液体を前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送する前に、前記方法では、
前記第1の蒸発型凝縮器(K)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記第2の蒸発型凝縮器(L)の連通の遮断状態を保持することにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の蒸発型凝縮器(K)との連通を遮断させるとともに、前記第2の蒸発型凝縮器(L)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記第2の蒸発型凝縮器(L)内に戻るようになっていることをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第2の蒸発型凝縮器(L)との連通を遮断させて、前記第1の蒸発型凝縮器(K)と新たに連通させることにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっていることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)が前記第1の蒸発型凝縮器(K)と新たに連通した場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の蒸発型凝縮器(K)の内部の圧力との圧力差により、補助空気圧機(11’)を駆動させることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記補助空気圧機(11’)により、第2の熱ポンプ(26)を駆動させて、第2の熱ポンプ(26)が第1の蒸発型凝縮器(K)から第1の熱ポンプ(I)の少なくとも一部の作動物質を抽出して圧縮させることで、前記少なくとも一部の作動物質の温度を上昇させ、その後、温度が上昇した前記少なくとも一部の作動物質を、第1の熱ポンプ(I)によって圧縮されて昇温した作動物質と合流して、前記第2の蒸発型凝縮器(L)に流入させ、
好ましくは、前記作動物質液貯蔵タンク(14)がチューブケース型貯蔵タンクであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質液体と圧力作動物質気体が前記チューブケース型貯蔵タンクのケースパスを流れ、前記第2の熱ポンプ(26)から出力された作動物質及び/又は前記第1の熱ポンプ(I)から出力された作動物質を用いて液体タンク(27)内の液体を加熱するとともに、前記チューブケース型貯蔵タンク内の圧力作動物質液体が第2の蒸発型凝縮器(L)に輸送される前に、液体タンク(27)からの加熱された液体を前記チューブケース型貯蔵タンクのチューブパス内に輸送してチューブケース型貯蔵タンクのケースパス内の圧力作動物質液体を加熱する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の蒸発型凝縮器(K)、前記第2の蒸発型凝縮器(L)、及び/又は、前記作動物質液貯蔵タンク(14)は断熱的なものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、アンモニアNHであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質が二酸化炭素COである、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
熱ポンプ(I)、空気圧機(J)、第1の蒸発型凝縮器(K)、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を備え、
熱ポンプ(I)は、管路によって、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)が第1の管路によって流体連通し、それにより、熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)、第1の管路、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を介して循環して流れることができ、空気圧機(J)は、管路によって第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)がさらに第2の管路によって流体連通し、それにより、空気圧機(J)の圧力作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)、第2の管路、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を介して循環して流れることができ、
熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)において、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するために用いられ、前記圧力作動物質液体は前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送され、
熱ポンプ(I)は、熱量が吸収された作動物質を圧縮して前記作動物質を昇温させることで、第2の蒸発型凝縮器(L)において、空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させるために用いられ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機(J)を作動させてから、前記空気圧機(J)から前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであり、
第2の蒸発型凝縮器(L)において前記入力圧力作動物質を加熱して降温した前記熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)に輸送されて空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収することにより、前記熱ポンプ(I)の作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるために用いられる、エネルギー変換システム。
【請求項10】
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、前記第1の蒸発型凝縮器(K)のチューブパスを流れて吸熱気化させるために用いられるが、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体が前記第1の蒸発型凝縮器(K)のケースパスに流入し、放熱凝縮するために用いられ、及び/又は、
前記熱ポンプ(I)の圧縮された作動物質は、前記第2の蒸発型凝縮器(L)のチューブパスを流れて放熱凝縮するために用いられるが、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質が前記第2の蒸発型凝縮器(L)のケースパスにおいて吸熱気化させために用いられる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の蒸発型凝縮器(K)よりも低い位置に設けられるとともに、第1のバルブ(13)によって前記第1の蒸発型凝縮器(K)と流体連通し、第2のバルブ(18)によって前記第2の蒸発型凝縮器(L)と流体連通する作動物質液貯蔵タンク(14)をさらに備え、
第1のバルブ(13)が開状態にあり、第2のバルブ(18)が閉状態にある場合、前記第1の蒸発型凝縮器(K)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記第2の蒸発型凝縮器(L)の連通の遮断状態を保持することにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記第1のバルブ(13)が閉状態となり、前記第2のバルブ(18)が開状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の蒸発型凝縮器(K)との連通を遮断させるとともに、前記第2の蒸発型凝縮器(L)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記第2の蒸発型凝縮器(L)内に戻るようになっている、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記第1のバルブ(13)が開状態となり、前記第2のバルブ(18)が閉状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第2の蒸発型凝縮器(L)との連通を遮断させて、前記第1の蒸発型凝縮器(K)と新たに連通させることにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第1のバルブ(13)が設けられた管路とは異なる第3の管路によって、前記第1の蒸発型凝縮器(K)と流体連通し、前記第3の管路には、直列接続された第3のバルブ(12)と補助空気圧機(11’)とが含まれ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第2のバルブ(18)が設けられた管路とは異なる第4の管路によって、前記第2の蒸発型凝縮器(L)と流体連通し、前記第4の管路には、直列接続された第4のバルブ(16)とガス貯蔵タンク(17)とが含まれ、前記ガス貯蔵タンク(17)は前記第2の蒸発型凝縮器(L)と前記第4のバルブ(16)の間に接続されるとともに、気化された前記圧力作動物質気体を貯蔵するために用いられ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第1閾値よりも高い場合、前記第3のバルブ(12)が開状態から閉状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が閉状態から開状態に変化し、前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第2閾値よりも低い場合、前記第3のバルブ(12)が閉状態から開状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が開状態から閉状態に変化し、それにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の蒸発型凝縮器(K)の内部の圧力との圧力差により、補助空気圧機(11’)を駆動させ、且つ、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の蒸発型凝縮器(K)の内部の圧力とが平衡した後、前記第1のバルブ(13)が閉状態から開状態に変化する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のバルブ(13)と第2のバルブ(18)は単方向バルブであり、前記第3のバルブ(12)と第4のバルブ(16)は電動バルブである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記補助空気圧機(11’)によって駆動される第2の熱ポンプ(26)であって、第2の熱ポンプ(26)が第1の蒸発型凝縮器(K)から第1の熱ポンプ(I)の少なくとも一部の作動物質を抽出して圧縮させることで、前記少なくとも一部の作動物質の温度を上昇させ、その後、温度が上昇した前記少なくとも一部の作動物質を、第1の熱ポンプ(I)によって圧縮されて昇温した作動物質と合流して、前記第2の蒸発型凝縮器(L)に流入させる第2の熱ポンプ(26)をさらに備え、
好ましくは、液体タンク(27)をさらに備え、且つ、前記作動物質液貯蔵タンク(14)がチューブケース型貯蔵タンクであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質液体と圧力作動物質気体が前記チューブケース型貯蔵タンクのケースパスを流れ、前記第2の熱ポンプ(26)から出力された作動物質及び/又は前記第1の熱ポンプ(I)から出力された作動物質は液体タンク(27)内の液体を加熱するために用いられ、前記チューブケース型貯蔵タンク内の圧力作動物質液体が第2の蒸発型凝縮器(L)に輸送される前に、液体タンク(27)からの加熱された液体は前記チューブケース型貯蔵タンクのチューブパス内に輸送されてチューブケース型貯蔵タンクのケースパス内の圧力作動物質液体を加熱する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の蒸発型凝縮器(K)、前記第2の蒸発型凝縮器(L)、及び/又は、前記作動物質液貯蔵タンク(14)は断熱的なものである、請求項9~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、アンモニアNHであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質が二酸化炭素COである、請求項9~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却すること、
熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱すること、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるとともに、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温されること、および、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮し、且つ、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されること、を含むことを特徴とする分散エネルギー変換方法。
【請求項19】
熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、冷却された第1の流体が第2の流体貯蔵タンク(E)に輸送されることを含み、
熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱することは、前記熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱し、加熱された前記第2の流体が第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送されることを含み、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させることは、前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体は輸送されて空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられ、且つ、前記入力圧力作動物質を加熱した前記第2の流体は前記第3の流体貯蔵タンク(H)に戻して輸送されることを含み、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮することは、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体は輸送されて前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮してから、前記第1の流体貯蔵タンク(G)に戻るために用いられることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体は輸送されて前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられることは、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体を第1の凝縮器(C)に流せて、前記第1の凝縮器(C)に流入した、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得し、前記圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻ることを含み、且つ、
前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体は、前記蒸気発生器(D)を流れるとき、蒸気発生器(D)内の、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、前記圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、前記熱ポンプ(I)の作動物質を蒸発器(A)に流せて、前記蒸発器(A)に流入した、前記第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、前記第1の流体を冷却することを含み、
熱ポンプ(I)の前記圧縮された作動物質が第2の凝縮器(B)に流入して、第2の凝縮器(B)に流入した、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱して凝縮された後、蒸発器(A)に戻して輸送される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻る前に、前記方法では、
前記第1の凝縮器(C)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記蒸気発生器(D)の連通の遮断状態を保持することにより、凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の凝縮器(C)との連通を遮断させるとともに、前記蒸気発生器(D)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記蒸気発生器(D)内に戻るようになっていることをさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記蒸気発生器(D)との連通を遮断させて、前記第1の凝縮器(C)と新たに連通させることにより、前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっていることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)が前記第1の凝縮器(C)と新たに連通した場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機(11)を発電させて駆動させることをさらに含み、好ましくは、発生した電力が前記第4の流体貯蔵タンク(F)内の第2の流体を補助加熱するために用いられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記熱ポンプ(I)は、電動機と前記電動機によって駆動される圧縮機とを備え、前記方法では、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記電動機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送し、
及び/または、
前記空気圧機(J)が発電機に接続されて発電機を駆動させ、前記方法では、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記発電機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送する、請求項19~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の流体貯蔵タンク(G)、前記第2の流体貯蔵タンク(E)、前記第3の流体貯蔵タンク(H)、前記第4の流体貯蔵タンク(F)、前記作動物質液貯蔵タンク(14)、蒸発器(A)、蒸気発生器(D)、第1の凝縮器(C)、及び/又は第2の凝縮器(B)は、断熱的なものである、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の流体が塩水であり、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体の温度は、0℃~20℃が好ましく、0℃~12℃がより好ましく、12℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって熱量を吸収されて冷却された第1の流体の温度は、-20℃~0℃が好ましく、-12℃~0℃がより好ましく、-12℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記第2の流体が水であり、入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体の温度は、30℃~50℃が好ましく、35℃~45℃がより好ましく、40℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって加熱された第2の流体の温度は、90℃~60℃が好ましく、80℃~65℃がより好ましく、75℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、二酸化炭素COであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質がアンモニアNHである、請求項18~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
熱ポンプ(I)、空気圧機(J)、第1の流体が循環して流れる第1の循環回路、および、第2の流体が循環して流れる第2の循環回路を備え、
熱ポンプ(I)は、その作動物質により、第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却するとともに、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、その作動物質により第2の流体を加熱するために用いられ、
加熱された第2の流体は空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられ、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温され、
冷却された第1の流体は、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられ、且つ、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されることを特徴とする分散エネルギー変換システム。
【請求項29】
第1の流体貯蔵タンク(G)、第2の流体貯蔵タンク(E)、第3の流体貯蔵タンク(H)、および、第4の流体貯蔵タンク(F)をさらに備え、第1の流体貯蔵タンク(G)と第2の流体貯蔵タンク(E)は第1の循環回路に設けられて第1の流体を貯蔵するために用いられ、第3の流体貯蔵タンク(H)と第4の流体貯蔵タンク(F)は第2の循環回路に設けられて第2の流体を貯蔵するために用いられ、
第1の流体貯蔵タンク(G)は、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプ(I)がその作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、且つ、第2の流体貯蔵タンク(E)は冷却された前記第1の流体を貯蔵するために用いられ、
第3の流体貯蔵タンク(H)は、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプ(I)がその作動物質により、第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱し、且つ、第4の流体貯蔵タンク(F)は加熱された前記第2の流体を貯蔵するために用いられる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
第1の凝縮器(C)と蒸気発生器(D)をさらに備え、
第1の凝縮器(C)は、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体に、第1の凝縮器(C)を流れるとき、前記第1の凝縮器(C)に流入した、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮させて圧力作動物質液体を取得するために用いられ、前記圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻り、
蒸気発生器(D)は、前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体に、前記蒸気発生器(D)を流れるとき、蒸気発生器(D)内の、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、前記圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
蒸発器(A)と第2の凝縮器(B)をさらに備え、
前記蒸発器(A)は、前記熱ポンプ(I)の作動物質が、蒸発器(A)を流れるとき、蒸発器(A)に流入した、前記第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、前記第1の流体を冷却するために用いられ、
第2の凝縮器(B)は、熱ポンプ(I)の前記圧縮された作動物質が、第2の蒸発器(B)を流れるとき、第2の凝縮器(B)に流入した、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱して凝縮され、且つ、加熱された後、蒸発器(A)に戻して輸送されるために用いられる、請求項29または30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の凝縮器(C)よりも低い位置に設けられるとともに、第1のバルブ(13)によって前記第1の凝縮器(C)と流体連通し、第2のバルブ(18)によって前記蒸気発生器(D)と流体連通する作動物質液貯蔵タンク(14)をさらに備え、
第1のバルブ(13)が開状態にあり、第2のバルブ(18)が閉状態にある場合、前記第1の凝縮器(C)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記蒸気発生器(D)の連通の遮断状態を保持することにより、前記凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記第1のバルブ(13)が閉状態となり、前記第2のバルブ(18)が開状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の凝縮器(C)との連通を遮断させるとともに、前記蒸気発生器(D)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記蒸気発生器(D)内に戻るようになっている、請求項30または31に記載のシステム。
【請求項33】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記第1のバルブ(13)が開状態となり、前記第2のバルブ(18)が閉状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記蒸気発生器(D)との連通を遮断させて、前記第1の凝縮器(C)と新たに連通させることにより、前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第1のバルブ(13)が設けられた第1の管路とは異なる第3の管路によって、前記第1の凝縮器(C)と流体連通し、前記第3の管路には、直列接続された第3のバルブ(12)と空気圧発電機(11)とが含まれ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第2のバルブ(18)が設けられた第2の管路とは異なる第4の管路によって、前記蒸気発生器(D)と流体連通し、前記第4の管路には、直列接続された第4のバルブ(16)とガス貯蔵タンク(17)とが含まれ、前記ガス貯蔵タンク(17)は前記蒸気発生器(D)と前記第4のバルブ(16)の間に接続されるとともに、気化された前記圧力作動物質気体を貯蔵するために用いられ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第1閾値よりも高い場合、前記第3のバルブ(12)が開状態から閉状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が閉状態から開状態に変化し、前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第2閾値よりも低い場合、前記第3のバルブ(12)が閉状態から開状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が開状態から閉状態に変化し、それにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機(11)を発電させて駆動させ、好ましくは、発生した電力が前記第4の流体貯蔵タンク(F)内の第2の流体を補助加熱するために用いられ、且つ、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力とが平衡した後、前記第1のバルブ(13)が閉状態から開状態に変化する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1のバルブ(13)と第2のバルブ(18)は単方向バルブであり、前記第3のバルブ(12)と第4のバルブ(16)は電動バルブである、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記熱ポンプ(I)は、電動機と前記電動機によって駆動される圧縮機とを備え、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記電動機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に戻させ
及び/または、
前記空気圧機(J)が発電機に接続されて発電機を駆動させ、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記発電機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に戻させる、請求項29~35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の流体貯蔵タンク(G)、前記第2の流体貯蔵タンク(E)、前記第3の流体貯蔵タンク(H)、前記第4の流体貯蔵タンク(F)、前記作動物質液貯蔵タンク(14)、蒸発器(A)、蒸気発生器(D)、第1の凝縮器(C)、及び/又は第2の凝縮器(B)は、断熱的なものである、請求項29~36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の流体が塩水であり、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体の温度は、0℃~20℃が好ましく、0℃~12℃がより好ましく、12℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって熱量を吸収されて冷却された第1の流体の温度は、-20℃~0℃が好ましく、-12℃~0℃がより好ましく、-12℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記第2の流体が水であり、入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体の温度は、30℃~50℃が好ましく、35℃~45℃がより好ましく、40℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって加熱された第2の流体の温度は、90℃~60℃が好ましく、80℃~65℃がより好ましく、75℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、二酸化炭素COであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質がアンモニアNHである、請求項28~37のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー変換及び貯蔵の技術分野に関し、具体的には、入力される電気エネルギーを増幅して出力することによって外部装置を駆動させ、例えば、発電機を駆動させて発電させることができる変換方法及び変換システムに関し、特に、入力される電気エネルギーを貯蔵し、増幅して出力することによって外部装置を駆動させ、例えば、発電機を駆動させて発電させることができる分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
国内外では、従来のエネルギー貯蔵方法(例えば、蓄電方法)として、揚水貯水によるエネルギー貯蔵方法、フライホイールによるエネルギー貯蔵方法、化学電池によるエネルギー貯蔵方法、圧縮空気によるエネルギー貯蔵方法などの方法が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、以上のこれら方法では、エネルギー効率が低く、普通、0.8以下のものとなり、一方、必要な投資額が大きい。また、これら方法を実現するシステムでは、再利用可能な熱エネルギーや冷エネルギーの一部も廃熱としてシステムの外部へ排出されてしまい、エネルギーの浪費及びエネルギー効率の低下に繋がる。
【0004】
さらに、従来のエネルギー貯蔵方法では、特定の地形、例えば、山地、海辺などを利用する必要があるものもあった。そのため、具体的な実施中、地理的位置による制限で、方法に対する実際な普及や応用も制限されている。
【0005】
従って、従来技術よりも、著しく効率的なエネルギー貯蔵とエネルギー出力を可能にする分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムが望まれている。なお、従来のエネルギー変換システムにおける廃冷と廃熱とされたエネルギーを繰り返して利用して、ヒートポンプの高効率で電気エネルギーを増幅して出力することができる、エネルギー変換方法及びシステムも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を鑑みて、本発明は、上記問題を解決できる分散エネルギー変換方法及びシステムを提案することにより、エネルギー変換効率が低く、投資額が大きく、実際な実施が地形又は地理的位置によって影響されるような従来技術に存在する不備を解消するとともに、グリッド電力使用量が比較的少ない時間帯内の谷電力をエネルギー変換して貯蔵し、将来、グリッド電力使用量が比較的大きい時に、その貯蔵されたエネルギーを用いてグリッド発電を補充することを容易に実現させて、エネルギーに対する高効率な貯蔵や遅延出力を可能にし、全体的なエネルギー効率が著しく向上した。
【0007】
本発明の第1の態様では、分散エネルギー変換方法であって、
熱ポンプの作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却すること、
熱ポンプにより、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱すること、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機を作動させるとともに、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプの作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温されること、および、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮し、且つ、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプの作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されること、を含む分散エネルギー変換方法を提供する。
【0008】
一実施例によれば、熱ポンプの作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、熱ポンプの作動物質により、第1の流体貯蔵タンクによる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、冷却された第1の流体が第2の流体貯蔵タンクに輸送されることを含んでもよく、
熱ポンプにより、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱することは、熱ポンプにより、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第3の流体貯蔵タンクによる第2の流体を加熱し、加熱された第2の流体が第4の流体貯蔵タンクに輸送されることを含んでもよく、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機を作動させることは、第4の流体貯蔵タンクによる加熱された第2の流体は輸送されて空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として加熱気化させることで当該空気圧機を作動させるために用いられ、且つ、入力圧力作動物質を加熱した第2の流体は第3の流体貯蔵タンクに戻して輸送されることを含んでもよく、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮することは、第2の流体貯蔵タンクによる冷却された第1の流体は輸送されて空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮してから、第1の流体貯蔵タンクに戻るために用いられることを含んでもよい。
【0009】
一実施例によれば、第2の流体貯蔵タンクによる冷却された第1の流体は輸送されて空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられることは、第2の流体貯蔵タンクによる冷却された第1の流体を第1の凝縮器に流せて、第1の凝縮器に流入した、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得し、圧力作動物質液体が空気圧機の入力圧力作動物質として蒸気発生器に戻ることを含んでもよく、
第4の流体貯蔵タンクによる加熱された第2の流体は、蒸気発生器を流れるとき、蒸気発生器内の、空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで空気圧機を作動させる。
【0010】
一実施例によれば、熱ポンプの作動物質により、第1の流体貯蔵タンクによる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、熱ポンプの作動物質を蒸発器に流せて、蒸発器に流入した、第1の流体貯蔵タンクによる第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、第1の流体を冷却することを含んでもよく、
熱ポンプの圧縮された作動物質が第2の凝縮器に流入して、第2の凝縮器に流入した、第3の流体貯蔵タンクによる第2の流体を加熱して凝縮された後、蒸発器に戻して輸送される。
【0011】
一実施例によれば、凝縮して得られた圧力作動物質液体が空気圧機の入力圧力作動物質として蒸気発生器に戻る前に、前記方法では、
第1の凝縮器を作動物質液貯蔵タンクに連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンクと蒸気発生器の連通の遮断状態を保持することにより、凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク内に流入し、且つ、
作動物質液貯蔵タンク内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、作動物質液貯蔵タンクを第1の凝縮器との連通を遮断させるとともに、蒸気発生器と連通させることにより、作動物質液貯蔵タンクにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記蒸気発生器内に戻るようになっていることをさらに含んでもよい。
【0012】
一実施例によれば、前記方法では、
作動物質液貯蔵タンク内の液位が、所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、作動物質液貯蔵タンクを蒸気発生器との連通を遮断させて、第1の凝縮器と新たに連通させることにより、凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンクに流入するようになっていることをさらに含んでもよい。
【0013】
一実施例によれば、前記方法では、作動物質液貯蔵タンクが第1の凝縮器と新たに連通した場合、作動物質液貯蔵タンクの内部の圧力と第1の凝縮器の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機を発電させて駆動させることをさらに含んでもよく、好ましくは、発生した電力が第4の流体貯蔵タンク内の第2の流体を補助加熱するために用いられる。
【0014】
一実施例によれば、熱ポンプは、電動機と電動機によって駆動される圧縮機とを備え、前記方法では、第3の流体貯蔵タンクによる少なくとも一部の第2の流体を、電動機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送することをさらに含んでもよく、
及び/または、
空気圧機が発電機に接続されて発電機を駆動させ、前記方法では、第3の流体貯蔵タンクによる少なくとも一部の第2の流体を、発電機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、第4の流体貯蔵タンクに輸送することを含んでもよい。
【0015】
一実施例によれば、第1の流体貯蔵タンク、第2の流体貯蔵タンク、第3の流体貯蔵タンク、第4の流体貯蔵タンク、作動物質液貯蔵タンク、蒸発器、蒸気発生器、第1の凝縮器、及び/又は第2の凝縮器は、断熱的なものであることが好ましい。また、システム全体における他の部材としての、例えば、管路、バブルなども断熱的なものであることが好ましい。
【0016】
一実施例によれば、第1の流体が塩水であってもよく、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体、又は、第1の流体貯蔵タンクに貯蔵された第1の流体の温度は、0℃~20℃が好ましく、0℃~12℃がより好ましく、12℃が更に好ましいものであり、熱ポンプの作動物質によって加熱された第1の流体、又は、第2の流体貯蔵タンクに貯蔵された第1の流体の温度は、-20℃~0℃が好ましく、-12℃~0℃がより好ましく、-12℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
第2の流体が水であってもよく、入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体、又は、第3の流体貯蔵タンクに貯蔵された第2の流体の温度は、30℃~50℃が好ましく、35℃~45℃がより好ましく、40℃が更に好ましいものであり、熱ポンプの作動物質によって加熱された第2の流体、又は、第4の流体貯蔵タンクに貯蔵された第2の流体の温度は、90℃~60℃が好ましく、80℃~65℃がより好ましく、75℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
熱ポンプの作動物質は、二酸化炭素COであってもよく、空気圧機の圧力作動物質がアンモニアNHであってもよい。
【0017】
本発明の他の一態様では、分散エネルギー変換システムであって、熱ポンプ、空気圧機、第1の流体が循環して流れる第1の循環回路、および、第2の流体が循環して流れる第2の循環回路を備え、
熱ポンプは、その作動物質により、第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却するとともに、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、その作動物質により第2の流体を加熱するために用いられ、
加熱された第2の流体は、空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機を作動させるために用いられ、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプの作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温されること、および、
冷却された第1の流体は空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられ、且つ、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されること、を含むことを特徴とする分散エネルギー変換システムを提供する。
【0018】
一実施例によれば、前記システムは、第1の流体貯蔵タンク、第2の流体貯蔵タンク、第3の流体貯蔵タンク、および、第4の流体貯蔵タンクをさらに備えてもよく、第1の流体貯蔵タンクと第2の流体貯蔵タンクは第1の循環回路に設けられて第1の流体を貯蔵するために用いられ、第3の流体貯蔵タンクと第4の流体貯蔵タンクは第2の循環回路に設けられて第2の流体を貯蔵するために用いられ、
第1の流体貯蔵タンクは、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプがその作動物質により、第1の流体貯蔵タンクによる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、第2の流体貯蔵タンクは冷却された前記第1の流体を貯蔵するために用いられ、
第3の流体貯蔵タンクは、空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプ(I)がその作動物質により、第3の流体貯蔵タンクによる第2の流体を加熱し、且つ、第4の流体貯蔵タンクは加熱された前記第2の流体を貯蔵するために用いられる。
【0019】
一実施例によれば、前記システムは、第1の凝縮器と蒸気発生器をさらに備えてもよく、
第1の凝縮器は、第2の流体貯蔵タンクによる冷却された第1の流体に、第1の凝縮器を流れるとき、第1の凝縮器に流入した、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮させて圧力作動物質液体を取得するために用いられ、当該圧力作動物質液体が空気圧機の入力圧力作動物質として蒸気発生器に戻り、蒸気発生器は、第4の流体貯蔵タンクによる加熱された第2の流体に、蒸気発生器を流れるとき、蒸気発生器内の、空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで空気圧機を作動させるために用いられる。
【0020】
一実施例によれば、前記システムは、蒸発器と第2の凝縮器をさらに備えてもよく、
蒸発器は、熱ポンプの作動物質が、蒸発器を流れるとき、蒸発器に流入した、第1の流体貯蔵タンクによる第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、第1の流体を冷却するために用いられ、第2の凝縮器は、熱ポンプの圧縮された作動物質が、第2の蒸発器を流れるとき、第2の凝縮器に流入した、第3の流体貯蔵タンクによる第2の流体を加熱して凝縮され、且つ、加熱された後、蒸発器に戻して輸送されるために用いられる。
【0021】
一実施例によれば、前記システムは、第1の凝縮器よりも低い位置に設けられるとともに、第1のバルブによって第1の凝縮器と流体連通し、第2のバルブによって蒸気発生器と流体連通する作動物質液貯蔵タンクをさらに備えてもよく、
第1のバルブが開状態にあり、第2のバルブが閉状態にある場合、第1の凝縮器を作動物質液貯蔵タンクに連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンクと蒸気発生器の連通の遮断状態を保持することにより、凝縮して得られた圧力作動物質液体が重力によって作動物質液貯蔵タンク内に流入し、且つ、
作動物質液貯蔵タンク内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、第1のバルブが閉状態となり、第2のバルブが開状態となり、作動物質液貯蔵タンクを第1の凝縮器との連通を遮断させるとともに、蒸気発生器と連通させることにより、作動物質液貯蔵タンクにおける圧力作動物質液体が蒸気発生器内に戻るようになっている。
【0022】
一実施例によれば、作動物質液貯蔵タンク内の液位が、所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、第1のバルブが開状態となり、第2のバルブが閉状態となり、作動物質液貯蔵タンクを蒸気発生器との連通を遮断させて、第1の凝縮器と新たに連通させることにより、第1の凝縮器において凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンクに流入するようになっている。
【0023】
ここで、第1のバルブと第2のバルブは電動バルブであってもよい。
【0024】
一実施例によれば、作動物質液貯蔵タンクは、さらに、第1のバルブが設けられた第1の管路とは異なる第3の管路によって、第1の凝縮器と流体連通してもよく、前記第3の管路には、直列接続された第3のバルブと空気圧発電機とが含まれ、
作動物質液貯蔵タンクは、さらに、第2のバルブが設けられた第2の管路とは異なる第4の管路によって、蒸気発生器と流体連通し、第4の管路には、直列接続された第4のバルブと貯蔵タンクとが含まれ、当該貯蔵タンクは蒸気発生器と第4のバルブの間に接続されるとともに、気化された圧力作動物質気体を貯蔵するために用いられ、
作動物質液貯蔵タンク内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、第3のバルブが開状態から閉状態に変化し、第4のバルブが閉状態から開状態に変化し、そのときの第1のバブルが閉状態となり、且つ、第2のバブルが開状態となることを鑑みて、作動物質液貯蔵タンクを第1の凝縮器との連通を遮断させるとともに、蒸気発生器と連通させることにより、作動物質液貯蔵タンクにおける圧力作動物質液体が蒸気発生器内に戻るようになっており、作動物質液貯蔵タンク内の液位が所定の第2閾値よりも低い場合、第3のバルブが閉状態から開状態に変化し、第4のバルブが開状態から閉状態に変化し、それにより、作動物質液貯蔵タンクの内部の圧力と第1の凝縮器の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機を発電させて駆動させ、好ましくは、発生した電力が第4の流体貯蔵タンク内の第2の流体を補助加熱するために用いられ、且つ、作動物質液貯蔵タンクの内部の圧力と第1の凝縮器の内部の圧力とが平衡した後、第1のバルブが閉状態から開状態に変化する。
【0025】
一実施例によれば、第1のバルブと第2のバルブは単方向バルブであってもよく、第3のバルブと第4のバルブは電動バルブであってもよい。
【0026】
一実施例によれば、熱ポンプは、電動機と当該電動機によって駆動される圧縮機とを備えてもよく、第3の流体貯蔵タンクによる少なくとも一部の第2の流体を、電動機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、第4の流体貯蔵タンクに戻させ、及び/又は、空気圧機が発電機に接続されて発電機を駆動させ、第3の流体貯蔵タンクによる少なくとも一部の第2の流体を、発電機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、第4の流体貯蔵タンクに戻させる。
【0027】
一実施例によれば、第1の流体貯蔵タンク、第2の流体貯蔵タンク、第3の流体貯蔵タンク、第4の流体貯蔵タンク、作動物質液貯蔵タンク、蒸発器、蒸気発生器、第1の凝縮器、及び/又は第2の凝縮器は、断熱的なものであってもよい。また、システム全体における他の部材としての、例えば、管路、バブルなども断熱的なものであることが好ましい。
【0028】
一実施例によれば、第1の流体が塩水であってもよく、空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体、又は、第1の流体貯蔵タンクに貯蔵された第1の流体の温度は、0℃~20℃が好ましく、0℃~12℃がより好ましく、12℃が更に好ましいものであり、熱ポンプの作動物質によって熱量を吸収されて冷却された第1の流体、又は、第2の流体貯蔵タンクに貯蔵された第1の流体の温度は、-20℃~0℃が好ましく、-12℃~0℃がより好ましく、-12℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
第2の流体が水であってもよく、入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体、又は、第3の流体貯蔵タンクに貯蔵された第2の流体の温度は、30℃~50℃が好ましく、35℃~45℃がより好ましく、40℃が更に好ましいものであり、熱ポンプの作動物質によって加熱された第2の流体、又は、第4の流体貯蔵タンクに貯蔵された第2の流体の温度は、90℃~60℃が好ましく、80℃~65℃がより好ましく、75℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
熱ポンプの作動物質は、二酸化炭素COであってもよく、空気圧機の圧力作動物質がアンモニアNHであってもよい。
【0029】
本発明における分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムでは、熱ポンプを用いて第1の流体を冷却する同時に、第2の流体を加熱し、冷却された第1の流体が空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して空気圧機の排気圧力を低減し、同時に、加熱された第2の流体が空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して気化させることで空気圧機の入力圧力作動物質の圧力を増加させる。それにより、空気圧機の作動物質入力端と作動物質出力端の間の圧力差を大幅に大きくして、空気圧機の動力を強くして、発電量が増加する。ここでは、第1の流体は、1つの循環回路において循環され、第2の流体は、もう1つの循環回路において循環されるので、エネルギーをエネルギー変換システム全体の外部に排出することができず、エネルギーの損失を回避して、システム全体のエネルギー効率が向上した。また、第1の流体が空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮している場合は、第1の流体が出力圧力作動物質気体の熱量を吸収してエネルギーを貯蔵する場合でもある。それによって貯蔵される熱エネルギーは、熱ポンプの作動物質が熱量を吸収するために用いられて、システム内のエネルギー損失を回避した。
【0030】
言い換えれば、本発明における分散エネルギー変換方法及びシステムでは、従来の意味上の「廃熱」が存在しない。なぜかというと、それらの「廃熱」は他の利用段階では、役立てるエネルギーとして利用されるからである。例えば、熱ポンプの角度からすると、熱ポンプは、第2の流体を加熱することで後続の空気圧機の入力圧力作動物質を加熱して気化させる同時に、第1の流体を冷却することで後続の空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮するものである。そのため、熱ポンプは、第2の流体による顕熱を利用しながら、第1の流体による潜熱を利用するものである。更に例えば、空気圧機の角度からすると、空気圧機の圧力作動物質が仕事をした後の排気蒸気に運ばれた余熱も、冷却された第1の流体によって回収されて後続の熱ポンプの作動物質が熱量を吸収するために用いられたことで、空気圧機による「廃熱」も再利用される。ひいて言うと、熱ポンプにおける電動機及び空気圧機によって駆動される電動機が発生した廃熱も、第3の流体貯蔵タンクによる第2の流体によって水冷されて第4の流体貯蔵タンクに回収されて後続の再利用が可能なものである。
【0031】
本発明における分散エネルギー変換方法及びシステムは、外部機器を駆動するために用いられ、例えば、発電機による発電を駆動するために用いられてもよい。それにより、エネルギー効率を著しく高めて、発電効率を向上させ、また、複数の流体貯蔵タンクによるエネルギー貯蔵を活用して、グリッドにおける夜間谷電力を貯蔵して、昼間中、電力使用要求が大きい場合、夜間で貯蔵されたエネルギーを用いて発電して出力することができる分散エネルギー貯蔵発電方法及びシステムが実現される。
【0032】
上記実施例の変形によれば、分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムにおける第1の循環回路と第2の循環回路を撤去して、熱ポンプの作動物質と空気圧機の作動物質による直接な熱交換の方式に変更することによって、入力したエネルギーをタイムリーに拡大して出力することができる、エネルギー変換方法及びエネルギー変換システムが得られる。
【0033】
上記実施例の一変形によれば、エネルギー変換方法であって、
熱ポンプの作動物質により、空気圧機からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、前記空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するとともに、前記圧力作動物質液体を前記空気圧機の入力圧力作動物質として輸送すること、
熱ポンプにより、熱量が吸収された作動物質を圧縮して前記作動物質を昇温させることで、熱量を空気圧機の前記入力圧力作動物質に輸送して、圧力作動物質気体として加熱気化させることができ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機を作動させてから、前記空気圧機から前記空気圧機の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであること、および、
熱量を前記入力圧力作動物質に輸送して降温した前記熱ポンプの作動物質は、空気圧機の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収するために輸送されることにより、前記熱ポンプの作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるようになっていること、を含む、エネルギー変換方法を提供する。
【0034】
上記実施例の別の変形によれば、エネルギー変換システムであって、熱ポンプ、空気圧機、第1の蒸発型凝縮器、および、第2の蒸発型凝縮器を備え、熱ポンプは、管路によって、第1の蒸発型凝縮器と第2の蒸発型凝縮器の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器と第2の蒸発型凝縮器が第1の管路によって流体連通し、それにより、熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器、第1の管路、および、第2の蒸発型凝縮器を介して循環して流れることができ、空気圧機は、管路によって第1の蒸発型凝縮器と第2の蒸発型凝縮器の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器と第2の蒸発型凝縮器がさらに第2の管路によって流体連通し、それにより、空気圧機の圧力作動物質は、第1の蒸発型凝縮器、第2の管路、および、第2の蒸発型凝縮器を介して循環して流れることができ、
熱ポンプの作動物質は、第1の蒸発型凝縮器において、空気圧機の出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、前記空気圧機の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するために用いられ、前記圧力作動物質液体は前記空気圧機の入力圧力作動物質として輸送され、
熱ポンプは、熱量が吸収された作動物質を圧縮して前記作動物質を昇温させることで、第2の蒸発型凝縮器において、空気圧機の前記入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として加熱気化させるために用いられ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機を作動させてから、前記空気圧機から前記空気圧機の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであり、
第2の蒸発型凝縮器において前記入力圧力作動物質を加熱して降温した前記熱ポンプの作動物質は、第1の蒸発型凝縮器に輸送されて空気圧機の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収することにより、前記熱ポンプの作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるために用いられる、エネルギー変換システムを提供する。
【0035】
上記説明は、本発明の技術手段をより明瞭に理解してもらうための、本発明の技術案の概要に過ぎず、明細書の内容を基にして実施することが可能である。また、本発明の上記目的及び他の目的、特徴、及びメリットをさらに明瞭的で分かりやすくするために、以下は、特に、本発明の具体的な実施の形態を例示して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下の好適な実施の形態に対する詳細を閲覧したうえで、本発明のさまざまな他のメリットや有益な効果は、当業者にとっては明瞭なものとなるだろう。添付図面は、好適な実施の形態を例示するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。しかも、全ての添付図面において、同一の部材は同一の参照符号で示される。添付図面において、
図1図1は、本発明の実施例における分散エネルギー変換システムの概略図である。
図2図2は、本発明の実施例における分散エネルギー変換システムの局部概略図である。
図3図3は、本発明の実施例における分散エネルギー変換方法の概略図である。
図4図4は、本発明の変形実施例におけるエネルギー変換システムの概略図である。
図5図5は、本発明の別の変形実施例におけるエネルギー変換方法の概略図である。
図6図6は、本発明の更に別の変形実施例におけるエネルギー変換システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下は、添付図面を参照しながら、本開示の例示的な実施例をより詳しく説明する。添付図面には、本開示の例示的な実施例が示されたが、本開示は、種々な形式で実現することができ、ここに記載の実施例により限られたものではないと、理解すべきである。逆に、それらの実施例を提供する目的は、本開示をさらに明瞭に理解できるようにすることであって、本開示の範囲を当業者に完全に伝えることができることである。
【0038】
図1は、本発明の実施例における分散エネルギー変換システムの概略図である。図1に示されるように、本発明の一実施例における分散エネルギー変換システムは、熱ポンプI、空気圧機J、塩水が循環して流れる循環回路、および、水が循環して流れる循環回路を備える。
【0039】
ここで、熱ポンプIは、その作動物質により、循環回路内の塩水から熱量を吸収して塩水を冷却するとともに、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、その作動物質により別の循環回路内の水を加熱するために用いられる。図1では、熱ポンプIは、例えば、電動機8と電動機8と伝動して接続された圧縮機を含み、且つ、圧縮機に接続された作動物質管路及び管路内の作動物質も含む。
【0040】
加熱された水は空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機Jを作動させるとともに、入力圧力作動物質を加熱するために用いられ、降温した水が熱ポンプIの作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機Jの入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、水が別の循環回路において、繰り返して加熱され、降温されるようになる。
【0041】
冷却された塩水は空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮し、且つ、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられ、また、昇温した塩水が熱ポンプIの作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、塩水が循環回路において、繰り返して冷却され昇温されるようになる。
【0042】
本発明では、上記循環回路は、それぞれ、塩水と水を内部に単方向に循環させるために用いられ、それにより、塩水が循環回路において循環されるときに、繰り返して冷却されて昇温するようになり、水が循環回路において繰り返して加熱されて降温するようになる。これらの循環回路について、必要に応じて設計され、各種類の管路、バルブ、ポンプ輸送装置、蒸発器、凝縮器、蒸発発生器などによって実現されてもよい。必要に応じて、循環回路においても、塩水と水をそれぞれ、一時的に貯蔵するための貯蔵タンクが含まれてもよい。そのため、本発明では、循環回路の具体的な実現について、特に制限されておらず、その内部における塩水と水を循環して流動させることにより、その塩水と水が繰り返して冷却され、加熱されるようにさせることができるものであればよい。
【0043】
上記分散エネルギー変換システムにおける凝縮器Cは、流体貯蔵タンクEによる冷却された塩水に、凝縮器Cのチューブパスを流れるとき、凝縮器Cのケースパスに流入した、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体(例えば、アンモニアガス)を凝縮させて圧力作動物質液体(即ち、液体アンモニア)を取得するために用いられ、当該圧力作動物質液体が空気圧機Jの入力圧力作動物質(即ち、液体アンモニア)として蒸気発生器Dに戻り、蒸気発生器Dは、流体貯蔵タンクFによる加熱された水に、蒸気発生器Dのチューブパスを流れるとき、蒸気発生器D内の、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで空気圧機Jを作動させるために用いられる。
【0044】
上記分散エネルギー変換システムは、蒸発器Aと凝縮器Bをさらに備えてもよく、蒸発器Aは、熱ポンプIの作動物質が、蒸発器Aのケースパスを流れるとき、蒸発器Aに流入した、流体貯蔵タンクGによる塩水から熱量を吸収して蒸発させることで、塩水を冷却するために用いられ、凝縮器Bは、熱ポンプIの圧縮された作動物質が、蒸発器Bのケースパスを流れるとき、凝縮器Bのチューブパスに流入した、流体貯蔵タンクHによる水を加熱して凝縮され、且つ、加熱された後、蒸発器Aに戻して輸送されるために用いられる。
【0045】
本発明における分散エネルギー変換システムでは、熱ポンプIを用いて塩水を冷却する同時に、水を加熱し、冷却された塩水が空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮して空気圧機Jの排気圧力を低減するために用いられ、同時に、加熱された水が空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して気化させることで空気圧機Jの入力圧力作動物質の圧力を増加させるために用いられる。それにより、空気圧機Jの作動物質入力端と作動物質出力端の間(即ち、空気圧機Jの入力圧力作動物質気体と出力圧力作動物質気体である出力排出蒸気の間)の圧力差を大幅に大きくして、空気圧機Jの出力動力を強くして、発電量が増加する。ここでは、塩水は、1つの循環回路において循環され、水は、もう1つの循環回路において循環されるので、エネルギーをエネルギー変換システム全体の外部に排出することができず、エネルギーの損失を回避して、システム全体のエネルギー効率が向上した。また、塩水が空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮している場合は、塩水が出力圧力作動物質気体の熱量を吸収してエネルギーを貯蔵する場合でもある。それによって貯蔵される熱エネルギーは、熱ポンプの作動物質が熱量を吸収するために用いられて、システム内のエネルギー損失を回避した。しかも、熱ポンプIが塩水を冷却するときに生じた「廃熱」は、熱ポンプIによって水への加熱に用いられたので、システム全体には廃熱が存在しない。
【0046】
以上の実施例では、塩水用の循環回路は、蒸発器A、流体貯蔵タンクE、凝縮器C、および、流体貯蔵タンクGが管路によって順次に接続されて構成されてもよい。しかも、流体貯蔵タンクGは同様に、蒸発器Aと管路によって接続されて、閉塞された循環回路を形成し、管路内の必要な位置にポンプ輸送装置(例えば、ウォータポンプ4)が設けられたことで、塩水を循環回路内に循環して流動させて駆動する。例えば、蒸発器Aと流体貯蔵タンクEの間における管路に、蒸発器Aにおける冷却された塩水を流体貯蔵タンクEに輸送して貯蔵するためのウォータポンプ4を設置してもよい。例えば、流体貯蔵タンクEと凝縮器Cの間における管路に、流体貯蔵タンクEによる塩水を凝縮器Cに輸送するためのウォータポンプ4を設置してもよい。さらに、例えば、流体貯蔵タンクGと蒸発器Aの間における管路に、塩水を流体貯蔵タンクGから蒸発器Aに輸送するためのウォータポンプを設置してもよい。本発明では、それらについて制限されていない。実際な必要に応じて、指定された管路にウォータポンプを設置してもよい。
【0047】
同様に、水用の循環回路は、凝縮器B、流体貯蔵タンクF、蒸気発生器D、および、流体貯蔵タンクHが管路によって順次に接続されて構成されてもよい。しかも、流体貯蔵タンクHは、同様に凝縮器Bと管路によって接続されて、閉塞された循環回路を形成し、管路内の必要な位置にポンプ輸送装置(例えば、ウォータポンプ4)が設けられたことで、水を循環回路内に循環して流動させて駆動する。例えば、凝縮器Bと流体貯蔵タンクFの間における管路に、凝縮器Bにおける加熱された水を流体貯蔵タンクFに輸送して貯蔵するためのウォータポンプ4を設置してもよい。例えば、流体貯蔵タンクFと蒸気発生器Dの間における管路に、流体貯蔵タンクFによる水を蒸気発生器Dに輸送するためのウォータポンプ4を設置してもよい。さらに、例えば、流体貯蔵タンクHと蒸発器Bの間における管路に、水を流体貯蔵タンクHから凝縮器Bに輸送するためのウォータポンプを設置してもよい。本発明では、それらについて制限されていない。実際な必要に応じて、指定された管路にウォータポンプを設置してもよい。
【0048】
本発明では、1つの循環回路において塩水を循環流体として用い、もう1つの循環回路において水(即ち、一般的な淡水)を循環流体として用いるが、しかし、本発明は、塩水と水を循環流体として用いることに限らず、衝突しない場合、別の流体を用いることもできる。例えば、別の種類の液体ひいては気体であって、必要な作動温度で流体状態を保ちながら、循環に流動することができ、それにより、熱ポンプの作動物質と空気圧機の圧力作動物質と協働して指定の温度で熱交換を行うことができるものであればよい。当業者は、システムに用いられる熱ポンプの作動物質の種類、圧力、作動温度など、および、空気圧機に用いられる圧力作動物質の種類、圧力、作動温度などに応じて、上記循環回路において循環して流動することに適したものを確定することができる。本発明の各実施例には、塩水と水を循環流体としたことのみを例にして説明している。塩水を第1の流体として用いる理由は、それが零度以下においても流動性を保持することができるとともに、由来範囲が広くて、コストが安価であることにある。なお、「水」と記載する場合、0℃氷点の一般的な淡水を指す。
【0049】
図1に示されるように、流体貯蔵タンクGと流体貯蔵タンクEは、塩水用の循環回路において、それぞれ、異なる温度の塩水を貯蔵するために用いられ、流体貯蔵タンクHと流体貯蔵タンクFは、水用のもう1つの循環回路において、それぞれ、異なる温度の水を貯蔵するために用いられる。
【0050】
流体貯蔵タンクGは、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮したので昇温した塩水を貯蔵するために用いられ、その場合、塩水の温度は通常、零度以上となるように上昇し、例えば、0℃~20℃の範囲内、又は、0℃~12℃の範囲内のものであってもよく、12℃が好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。熱ポンプIは、その作動物質により、流体貯蔵タンクGによる塩水から熱量を吸収して塩水を冷却するために用いられ、且つ、流体貯蔵タンクEは、冷却された塩水を貯蔵するために用いられ、その場合、塩水の温度は通常、零度以下となるように冷却され、例えば、-20°C~0°Cの範囲内、又は、-12°C~0°Cの範囲内のものであってもよく、-12°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。
【0051】
流体貯蔵タンクHは、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱したので昇温した水を貯蔵するために用いられ、その場合、水の温度は通常、20°C~60°Cの範囲内にある、例えば、30°C~45°Cの範囲内のものであってもよく、40°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。熱ポンプIは、その作動物質により、流体貯蔵タンクHによる水を加熱するために用いられ、且つ、流体貯蔵タンクFは、加熱された水を貯蔵するために用いられ、その場合、水の温度は通常、90°C~60°Cの範囲内にあり、例えば、80℃~65℃の範囲内のものであってもよく、75°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。
【0052】
ここでは、熱ポンプIの作動物質は、例えば、二酸化炭素COが用いられ、空気圧機Jの圧力作動物質がアンモニアNHが用いられる。勿論、以上は、例として説明されるものに過ぎず、熱ポンプIの作動物質と空気圧機Jの圧力作動物質は、他の種類の作動物質が用いられてもよく、設定された温度で蒸発や凝縮を実現させて外部の流体(例えば、塩水又は水)との熱交換を行うことができるものであればよい。例えば、空気圧機Jの圧力作動物質は、フロンが用いられてもよい。
【0053】
熱ポンプIは、COを作動物質(冷媒)として遷臨界運転している場合、蒸発器Aが高い冷却エネルギー効率を取得できるために、蒸発器Aに塩水を約-12℃に冷却させることが好ましく、その場合の冷却エネルギー効率が約2となる。また、熱ポンプIは、他の種類の作動物質を用いてもよく、熱ポンプIが蒸発器Aにおける塩水から熱量を吸収するとともに、凝縮器B内の水に対して熱量を放出できるようなものであればよい。
【0054】
熱ポンプが凝縮器Bにおいて水を加熱するときのエネルギー効率が高いことを確保するために、流体貯蔵タンクH内の水の温度は、40℃が好ましく、流体貯蔵タンクF内の水の温度は、75℃が好ましい。これらの温度条件では、熱ポンプIが水を加熱するエネルギー効率が約3となる。
【0055】
空気圧機Jの圧力作動物質は、液体アンモニアが用いられた場合、例えば、環境保護型の冷媒液体アンモニアが用いられた場合、蒸気発生器Dのチューブパスの入口での水の温度が75℃であり、且つ、チューブパスの出口での水の温度が40℃である場合、液体アンモニアが蒸気発生器Dのケースパスにおいて気化して生じた蒸気圧が16.7KGとなる。その場合、仮に、凝縮器Cのチューブパスの入口での塩水の温度が-12℃であり、且つ、チューブパスの出口での塩水の温度が12℃であれば、それで発生した空気圧機Jの背圧が6.7KGとなる。そのため、本システムでは、空気圧機Jから約10KGの正味の気圧差が得られたので、従来技術と比べて、著しく向上し、空気圧機Jの出力動力が高まれる。空気圧機Jが発電機を駆動して発電させる場合では、発電量が著しく高められる。勿論、実際な実現時の蒸気発生器Dに流入した水の温度、凝縮器Dに流入した塩水の温度などに応じて、当業者は、空気圧機Jの圧力作動物質として、適切な他の作動物質を選択することもできるが、本発明では、それらについて制限されていない。
【0056】
本発明の実施例におけるシステム内の各貯蔵タンク、蒸発器、凝縮器、上記発生器、管路、バルブなどは、好ましくが断熱的なものであり、それにより、外界との望ましくない熱交換の発生を回避した。
【0057】
以下は、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体が凝縮器Cにおいて凝縮されてから空気圧機Jの入力圧力作動物質として蒸気発生器Dに戻ることに関する例示的なプロセスを具体的に説明する。
【0058】
図1図2に示されるように、本実施例におけるエネルギー変換システムは、第1の凝縮器Cよりも低い位置に設けられるとともに、バルブ13によって第1の凝縮器Cと流体連通し、バルブ18によって上記蒸気発生器Dと流体連通する作動物質液貯蔵タンクをさらに備えてもよい。ここでは、バルブ13が開状態にあり、バルブ18が閉状態にある場合、凝縮器Cを作動物質液貯蔵タンク14に連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンク14と蒸気発生器Dの連通の遮断状態を保持することにより、凝縮器Dにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が重力により(ポンプ輸送装置によってもよいが)作動物質液貯蔵タンク14内に流入し、且つ、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の高液位閾値19よりも高い場合、バルブ13が閉状態となり、バルブ18が開状態となり、作動物質液貯蔵タンク14を凝縮器Cとの連通を遮断させるとともに、蒸気発生器Dと連通させることにより、作動物質液貯蔵タンク14において収集した圧力作動物質液体が、後続で蒸発されて空気圧機Jの入力圧力作動物質気体とされるように、蒸気発生器D内に戻ることが可能となる。
【0059】
また、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が、所定の高液位閾値19よりも低い所定の低液位閾値20よりも低い場合、バルブ13が開状態となり、バルブ18が閉状態となり、作動物質液貯蔵タンク14を蒸気発生器Dとの連通を遮断させて、凝縮器Dと新たに連通させることにより、凝縮器Cにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14に流入するようになっている。ここでは、バルブ13とバルブ18は、電動バルブであってもく、作動物質液貯蔵タンク14内の液位を感知するセンサ15によって、当該液位が所定の高液位しきい値9よりも高いこと、または、所定の低液位しきい値20よりも低いことを感知された場合、上述したように、オン・オフして駆動される。
【0060】
本実施例の別の実現形態では、バルブ13とバルブ18は単方向逆止弁であってもよく、バルブ13がオンとされた場合、圧力作動物質液体が凝縮器Cから作動物質液貯蔵タンク14への方向に沿って流れることを許容されるが、バルブ18がオンとされた場合、圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14から蒸気発生器Dへの方向に沿って流れることを許容される。その場合、作動物質液貯蔵タンク14は、さらに、バルブ13が設けられた管路とは異なる管路によって、凝縮器Cと流体連通してもよく、当該異なる管路には、直列接続されたバルブ12と空気圧発電機11とが含まれたことで、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体の上方にある圧力作動物質気体が凝縮器Cに流れるように制御することができる。また、作動物質液貯蔵タンク14は、さらに、バルブ18が設けられた管路とは異なる管路によって、蒸気発生器Dと流体連通し、当該異なる管路には、直列接続されたバルブ16とガス貯蔵タンク17とが含まれ、当該ガス貯蔵タンク17は蒸気発生器Dとバルブ16の間に接続されるとともに、蒸気発生器Dからの気化された圧力作動物質気体を、そこで運ばれた空気圧機の圧力作動物質液体と互いに分離し、また、必要な場合、気化された空気圧機の圧力駆動気体を貯蔵するために用いられ、バルブ16は、蒸気発生器D内で発生した圧力作動物質気体が作動物質液貯蔵タンク14に流れるように制御することができる。ここでは、バルブ12とバルブ16は電動バルブであり、液位センサ15による感知信号によって制御され、ガス貯蔵タンク17は、他の液体気体分離の役割を果たす装置に置き換えられてもよい。
【0061】
以下は、図2に示す分散エネルギー変換システムの局部拡大概略図を組み合わせながら、当該実施例の上記別の実現形態における作動物質液貯蔵タンク14及び関連するバルブの作動プロセスを説明する。作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の高液位閾値19よりも高い場合、液位センサ15によって液位が所定の高液位閾値19よりも高いことを感知されて、電動バルブ12が開状態から閉状態に変更するように駆動し、また、電動バルブ16が閉状態から開状態に変更するように駆動するための電気信号が発生される。その場合、ガス貯蔵タンク17内の高圧気体(即ち、蒸気発生器Dにおいて気化して発生した圧力作動物質気体)はバルブ16を通過して作動物質液貯蔵タンク14に入って作動物質液貯蔵タンク14内の圧力を大きくすることで、単方向バルブ13をオフにさせるとともに、単方向バルブ18を作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質による重力作用でオンとさせて、作動物質液貯蔵タンク14を蒸気発生器Dと連通させ、圧力作動物質液体が蒸気発生器Dに戻して流れるようになる。作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の低液位閾値20よりも低い場合、液位センサ15によって液位が所定の低液位閾値20よりも低いことを感知されて、電動バルブ12が閉状態から開状態に変更するように駆動し、また、電動バルブ16が開状態から閉状態に変更するように駆動するための電気信号が発生される。その場合、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力が凝縮器Cのチューブパスの内部(空気圧機Jの圧力作動物質気体及び圧力作動物質液体が流れるためのもの)の圧力よりも大きく、それにより、当該圧力差を用いて空気圧発電機11による発電を駆動させることができ、好ましくは、発生した電力は、リード23によって加熱チューブ22を昇温させることで、流体貯蔵タンクF内の水を補助加熱して、熱量を流体貯蔵タンクFに貯蔵するために用いられる。しかも、作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力が低下することに伴い、単方向バルブ13は、凝縮器Cにおける圧力作動物質液体の重力による作用で閉状態から開状態に変化する。その場合、蒸気発生器Dのケースパスの内部(空気圧機Jの圧力作動物質液体と圧力作動物質気体が流れるためのもの)の圧力が作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力よりも高いので、単方向バルブ18が開状態から閉状態に変化し、それにより、作動物質液貯蔵タンク14と蒸気発生器Dとの連通が遮断される。そのような方式は、従来の電気ポンプによって作動物質を戻して流せる方式と比べて、大量な電力が節約され、高圧に耐えることができ、漏れることなく、効率が更に高くなる。
【0062】
本発明の実施例における分散エネルギー変換システムでは、上記熱ポンプIは、電動機8と当該電動機によって駆動される圧縮機とを備え、流体貯蔵タンクHによる少なくとも一部の水を、当該電動機8を水冷するために用いるとともに、水冷の後、流体貯蔵タンクFに戻させ、及び/又は、空気圧機Jが発電機に接続されて発電機を駆動させ、流体貯蔵タンクHによる少なくとも一部の水を、発電機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、流体貯蔵タンクFに戻させる。そのような方式により、システム内の機器(電動機と発電機などを含む)による機械的運動で発生した熱量も貯蔵されて利用されることが可能となり、廃熱の発生を回避した。
【0063】
以下は、図1図3を組み合わせながら、本発明の実施例における分散エネルギー変換方法を説明する。図3は、本発明の実施例における分散エネルギー変換方法の概略図を示す。図3に示されるように、本発明の実施例における分散エネルギー変換方法では、
熱ポンプIの作動物質により、循環回路内の塩水から熱量を吸収して塩水を冷却するとともに、熱ポンプIによって熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、その作動物質により別の循環回路内の水を加熱すること、
加熱された水を輸送して空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機Jを作動させるとともに、入力圧力作動物質を加熱し、また、降温した水が熱ポンプIの作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機Jの入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、水が前記別の循環回路において、繰り返して加熱され、降温されること、および、
冷却された塩水を輸送して空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮し、且つ、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮し、また、昇温した塩水が熱ポンプIの作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、塩水が循環回路において、繰り返して冷却され昇温されること、を含んでもよい。
【0064】
本発明の実施例では、上記循環回路は、塩水と水の各々を内部に単方向に循環させるために用いられ、上記実施例における循環回路と同一の意味を有するものである。
【0065】
ポンプIの作動物質は、流体貯蔵タンクGによる塩水から熱量を吸収して塩水を冷却することができ、且つ、冷却された塩水が流体貯蔵タンクEに輸送される。熱ポンプIは、さらに、熱量を吸収した作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、流体貯蔵タンクHによる水を加熱することができ、加熱された水が流体貯蔵タンクFに輸送される。流体貯蔵タンクFによる加熱された水は輸送されて空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで当該空気圧機Jを作動させてもよい。しかも、入力圧力作動物質を加熱した水は流体貯蔵タンクHに戻して輸送される。流体貯蔵タンクEによる冷却された塩水は輸送されて空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮してから、流体貯蔵タンクGに戻る。
【0066】
本発明の実施例におけるエネルギー変換方法における冷却や加熱は、凝縮器と蒸発器によって実現されてもよい。図1に示されるように、流体貯蔵タンクEによる冷却された第1の流体に、凝縮器Cのチューブパスを流せて、凝縮器Cのチューブパスに流入した、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体(例えば、アンモニアガス)を凝縮させて圧力作動物質液体(即ち、液体アンモニア)を取得し、当該圧力作動物質液体が空気圧機Jの入力圧力作動物質(即ち、液体アンモニア)として蒸気発生器(D)に戻る。流体貯蔵タンクFによる加熱された水は、蒸気発生器Dを流れるとき、蒸気発生器Dのケースパス内の、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで当該空気圧機を作動させてもよい。
【0067】
本発明の実施例におけるエネルギー変換方法では、熱ポンプIの作動物質に、蒸発器Aのケースパスを流せて、蒸発器Aのチューブパスに流入した、流体貯蔵タンクGによる塩水から熱量を吸収して蒸発させることで、塩水を冷却してもよい。熱ポンプIの圧縮された作動物質が凝縮器Bのケースパスに流入して、凝縮器Bのチューブパスに流入した、流体貯蔵タンクHによる水を加熱して凝縮された後、蒸発器Aに戻して輸送されてもよい。衝突しない場合、本発明における「ケースパス」と「チューブパス」は、実際な応用場面に応じて入れ替えられてもよい。
【0068】
本実施例では、塩水用の循環回路と水用の循環回路の構造は、上記実施例と同一の意味を有するものであってもよい。本発明では、1つの循環回路において塩水を循環流体として用い、もう1つの循環回路において水(即ち、一般的な淡水)を循環流体として用いるが、しかし、本発明は、塩水と水を循環流体として用いることに限らず、衝突しない場合、別の流体を用いることもできる。例えば、別の種類の液体ひいては気体であって、必要な作動温度で流体状態を保ちながら、循環に流動することができ、それにより、熱ポンプの作動物質と空気圧機の圧力作動物質と協働して指定の温度で熱交換を行うことができるものであればよい。当業者は、システムに用いられる熱ポンプの作動物質の種類、圧力、作動温度など、および、空気圧機に用いられる圧力作動物質の種類、圧力、作動温度などに応じて、上記循環回路において循環して流動することに適したものを確定することができる。本発明の各実施例には、塩水と水を循環流体としたことのみを例にして説明している。塩水を第1の流体として用いる理由は、それが零度以下においても流動性を保持することができるとともに、由来範囲が広くて、コストが安価であることにある。なお、「水」と記載する場合、0℃氷点の一般的な淡水を指す。
【0069】
流体貯蔵タンクGは、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮したので昇温した塩水を貯蔵するために用いられ、その場合、塩水の温度は通常、零度以上となるように上昇し、例えば、0℃~20℃の範囲内、又は、0℃~12℃の範囲内のものであってもよく、12℃が好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。熱ポンプIは、その作動物質により、流体貯蔵タンクGによる塩水から熱量を吸収して塩水を冷却するために用いられ、且つ、流体貯蔵タンクEは、冷却された塩水を貯蔵するために用いられ、その場合、塩水の温度は通常、零度以下となるように冷却され、例えば、-20°C~0°Cの範囲内、又は、-12°C~0°Cの範囲内のものであってもよく、-12°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。
【0070】
流体貯蔵タンクHは、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱したので昇温した水を貯蔵するために用いられ、その場合、水の温度は通常、20°C~60°Cの範囲内にある、例えば、30°C~45°Cの範囲内のものであってもよく、40°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。熱ポンプIは、その作動物質により、流体貯蔵タンクHによる水を加熱するために用いられ、且つ、流体貯蔵タンクFは、加熱された水を貯蔵するために用いられ、その場合、水の温度は通常、90°C~60°Cの範囲内にあり、例えば、80℃~65℃の範囲内のものであってもよく、75°Cが好ましいが、勿論、必要に応じて他の温度に設定されてもよい。
【0071】
ここでは、熱ポンプIの作動物質は、例えば、二酸化炭素COが用いられ、空気圧機Jの圧力作動物質がアンモニアNHが用いられる。勿論、以上は、例として説明されるものに過ぎず、熱ポンプIの作動物質と空気圧機Jの圧力作動物質は、他の種類の作動物質が用いられてもよく、設定された温度で蒸発や凝縮を実現させて外部の流体(例えば、塩水又は水)との熱交換を行うことができるものであればよい。例えば、空気圧機Jの圧力作動物質は、フロンが用いられてもよい。
【0072】
熱ポンプIは、COを作動物質(冷媒)として遷臨界運転している場合、蒸発器Aが高い冷却エネルギー効率を取得できるために、蒸発器Aに塩水を約-12℃に冷却させることが好ましく、その場合の冷却エネルギー効率が約2となる。また、熱ポンプIは、他の種類の作動物質を用いてもよく、熱ポンプIが蒸発器Aにおける塩水から熱量を吸収するとともに、凝縮器B内の水に対して熱量を放出できるようなものであればよい。
【0073】
熱ポンプが凝縮器Bにおいて水を加熱するときのエネルギー効率が高いことを確保するために、流体貯蔵タンクH内の水の温度は、40℃が好ましく、流体貯蔵タンクF内の水の温度は、75℃が好ましい。これらの温度条件では、熱ポンプIが水を加熱するエネルギー効率が約3となる。
【0074】
空気圧機Jの圧力作動物質は、液体アンモニアが用いられた場合、例えば、環境保護型の冷媒液体アンモニアが用いられた場合、蒸気発生器Dのチューブパスの入口での水の温度が75℃であり、且つ、チューブパスの出口での水の温度が40℃である場合、液体アンモニアが蒸気発生器Dのケースパスにおいて気化して生じた蒸気圧が16.7KGとなる。その場合、仮に、凝縮器Cのチューブパスの入口での塩水の温度が-12℃であり、且つ、チューブパスの出口での塩水の温度が12℃であれば、それで発生した空気圧機Jの背圧が6.7KGとなる。そのため、本システムでは、空気圧機Jから約10KGの正味の気圧差が得られたので、従来技術と比べて、著しく向上し、空気圧機Jの出力動力が高まれる。空気圧機Jが発電機を駆動して発電させる場合では、発電量が著しく高められ、発電機のエネルギー効率が5程度に達することが可能となる。勿論、実際な実現時の蒸気発生器Dに流入した水の温度、凝縮器Cに流入した塩水の温度などに応じて、当業者は、空気圧機Jの圧力作動物質として、適切な他の作動物質を選択することもできるが、本発明では、それらについて制限されていない。
【0075】
以下は、本発明の実施例におけるエネルギー変換方法では、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮して得られた圧力作動物質液体を、空気圧機Jの入力圧力作動物質として蒸気発生器Dに戻せる工程を説明する。
【0076】
具体的には、凝縮して得られた圧力作動物質液体が空気圧機の入力圧力作動物質として蒸気発生器Dに戻る前に、前記方法では、
凝縮器Cを作動物質液貯蔵タンク14に連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンク14と蒸気発生器Dの連通の遮断状態を保持することにより、凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14内に流入し、且つ、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の高液位閾値19よりも高い場合、作動物質液貯蔵タンク14を凝縮器Cとの連通を遮断させるとともに、蒸気発生器Dと連通させることにより、作動物質液貯蔵タンク14において凝縮して得られた圧力作動物質液体が、蒸気発生器D内に戻ることが可能となることを含んでもよい。
【0077】
また、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が、所定の低液位閾値よりも低い所定の低液位閾値20よりも低い場合、作動物質液貯蔵タンク14を蒸気発生器Dとの連通を遮断させて、凝縮器Dと新たに連通させることにより、凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14に流入するようになっている。
【0078】
作動物質液貯蔵タンク14が凝縮器Cと新たに連通した場合、作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力と凝縮器Cのケースパスの内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機11を発電させて駆動させてもよい。好ましくは、発生した電力が流体貯蔵タンクF内の水を補助加熱するために用いられる。
【0079】
熱ポンプIは、電動機8と当該電動機8によって駆動される圧縮機とを備え、空気圧機Jが発電機に接続されて発電機を駆動させる場合、システムにおける機械的運動で発生した熱量を再利用するために、本発明の実施例におけるエネルギー変換方法では、流体貯蔵タンクHによる少なくとも一部の水を、電動機8を水冷するために用いるとともに、水冷の後、流体貯蔵タンクFに輸送し、且つ、流体貯蔵タンクHによる少なくとも一部の水を、発電機を水冷するために用いるとともに、水冷の後、流体貯蔵タンクFに輸送することを含んでもよい。
【0080】
上記エネルギー変換システムと同様に、流体貯蔵タンクG、流体貯蔵タンクE、流体貯蔵タンクH、流体貯蔵タンクF、作動物質液貯蔵タンク14、蒸発器A、蒸気発生器D、凝縮器C、及び/又は凝縮器Bは、断熱的なものであってもよい。
【0081】
本発明の実施例における上記エネルギー変換方法では、循環回路、塩水や水などの流体、熱ポンプの作動物質、空気圧機の圧力作動物質に対する説明は、以上に記載のエネルギー変換システムと同じなので、ここでは省略されたい。
【0082】
以下は、本発明の実施例におけるエネルギー変換システム及び方法が発電分野に適用される具体的な応用場面を組み合わせながら、本発明をさらに説明する。
【0083】
当該具体的な応用場面の全体的な思想は以下の通りである。夜間では、熱ポンプにより、夜間谷電力を用いて、冷水や温水をキャリアとし、熱量(顕熱と潜熱を含む)を、谷電力期間が終了するまで、流体貯蔵タンクE、Fに貯蔵する。これを夜間エネルギー貯蔵モードという。昼間では、発電モードが実行され、即ち、流体貯蔵タンクE、F内に貯蔵された冷水と温水を総合的に生かして発電させる。夜間エネルギー貯蔵モードと昼間発電モードは、交互に循環して行われる。
【0084】
1、夜間エネルギー貯蔵モードに関する具体的な説明
【0085】
人間の通常の考え方では、廃熱の発生は非常に一般的な状況であり、その廃熱を利用しない場合も多い。例えば、空調機による冷房を例にして挙げると、夏では、室内に対して冷房する必要があるが、空調機の室外機は、大量に放熱しなければならず、この熱量は廃熱として見なされ、人々にとっては捨てられるものである。しかし、本発明では、真の「廃熱」がなく、熱ポンプにより、水をキャリアとして、「廃熱」を大型化された流体貯蔵タンクFに貯蔵することにより、昼間で、蒸気発生器D内の圧力作動物質(例えば、液体アンモニア又はフロン)を加熱して高圧蒸気を発生させて、空気圧機を駆動するようになり、廃棄物を宝物に変更する。この場合、暖房エネルギ効率(COP)は3となる。
【0086】
別の角度から言えば、空調機による暖房を例として挙げると、冬では、室内に対して暖房する必要があるが、空調機の室外機には、大量な冷熱が発生し、同様に人々にとって捨てられるものである。 しかし、本発明では真の「廃冷」がなく、熱ポンプにより、塩水をキャリアとして、「廃冷」を大型化された流体貯蔵タンクEに貯蔵することにより、昼間で、空気圧機Cの排気蒸気を凝縮し、この場合、冷熱貯蔵COPは2となる。
【0087】
すなわち、人間は、一般的には、単に熱を利用する場合もあれば、単に冷を利用する場合もあるが、冷と熱を同時に利用することがない。ただし、冷も熱もエネルギーに該当する。 本発明は、両者を同時に協働して利用することを特徴とするので、エネルギー効率が高い。
【0088】
2、昼間発電モードに関する説明
【0089】
従来の火力発電の場合、高温高圧で蒸気が膨張して仕事をした後の排気蒸気に対して、液体として凝縮する必要があり、そのとき、巨大な凝縮熱が排出されるようになる。この熱量は、同質量の水の気化熱(潜熱)に等価するものである。しかし、発電システムでは、この部分の熱量を利用することができないので、発電システム全体の効率が大幅に低下し、超臨界発電ユニットの効率も45%を超えない。本発明では、空気圧機の高圧作動物質気体(例えば、アンモニアガス又はフロンガス)が空気圧機において膨張して仕事をした後、その排気蒸気は凝縮器Cに排出されるが、相違点というと、そこで発生した大量の凝縮熱は失われることなく、流体貯蔵タンクEからの冷水によって吸収されて貯蔵されて、夜間で蒸発器Aによって吸収されて利用される点である。そのため、本発明では、空気圧機の作動物質による凝縮熱を貯蔵して利用するものである。同時に、流体貯蔵タンクEによる冷水を利用して空気圧機の排気圧力を大幅に低下させるとともに、空気圧機の入力端と出力端との間の圧力差を増加させることにより、空気圧機の動力を強くして、発電量が増加する。
【0090】
具体的な例示となる実現方式では、熱ポンプIは、夜間で谷電力を用いて作動すると、チューブケース型の蒸発器Aのケースパス内の作動物質(即ち、冷媒)が沸騰して蒸発し、温度が低下し、発生した冷熱がチューブパス内の温水1に伝達されて、その熱量を吸収することで、温水1を-12℃の冷水にさせて流体貯蔵タンクEに貯蔵し、蒸発器A内の冷媒となる蒸気は、熱ポンプIの圧縮機を介して、凝縮器Bに排出されて液体冷媒に凝縮される同時に、熱を放出してからチューブ2を介して蒸発器Aに戻り、それで、1つの冷却循環が完了する。凝縮器Bは、凝縮時に発生した熱量を凝縮器Bのチューブパス内の低温水3に伝達して、その温度を75℃までに上昇させるとともに、流体貯蔵タンクFに貯蔵して待機することにより、夜間エネルギー貯蔵モードが完了する。
【0091】
朝8時以降、ウォータポンプ4が作動し始まり、流体貯蔵タンクF内の高温水が蒸気発生器Dに流入して、そのケースパス内の液体アンモニアを加熱して昇圧させることで、高圧アンモニア蒸気を発生し、その高圧アンモニア蒸気が管路6を介して空気圧機Jに入って膨張して仕事をして、発電機による発電を連動させる。
【0092】
空気圧機Jで発生した排気蒸気は、管路6を介して凝縮器Gに入って凝縮されて放熱する同時に、流体貯蔵タンクEからの-12℃の低温塩水を加熱する。塩水が0℃~12℃に昇温されて、流体貯蔵タンクGに貯蔵され、夜間で利用されるのを待機する。同時に、空気圧機Jの排気圧力を低下させ、空気圧機の作動物質入力端と作動物質出力端の間の気圧の差を増加させ、発電量が増加する。その場合、凝縮器C内の液体アンモニアが蒸気発生器Dに輸送されて、1つの作動循環が完了する。それにより、昼間発電モードが実現される。
【0093】
本発明における分散エネルギー変換システムは、風力・光エネルギーの貯蔵、谷電力エネルギーの貯蔵、火力発電などの分野に用いられてもよく、本発明では、それらについて制限されていない。
【0094】
上記実施例における分散エネルギー変換方法及びシステムでは、熱ポンプの作動物質と空気圧機の作動物質が間接に熱交換を行うものである。即ち、第1の循環回路及びその媒体、第2の循環回路及びその媒体によって熱交換が行われる。しかし、発明者は、幾つかの応用場面では、エネルギー貯蔵の段階が不要なものであることも発見した。そのため、以上の図1図3を組み合わせて説明している分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムでは、そのエネルギー貯蔵の段階が除去されてもよい。即ち、分散エネルギー変換方法及び分散エネルギー変換システムにおける第1の循環回路及び/又は第2の循環回路を撤去して、熱ポンプの作動物質と空気圧機の作動物質による直接な熱交換の方式に変更することによって、入力したエネルギーをタイムリーに拡大して出力することができる、別のエネルギー変換方法及びエネルギー変換システムが得られる。以下は、図4図5を組み合わせながら、具体的に説明し、ここで、図1図2に示す符号と同じものは、図1図2に示す部材と同じ機能を有する部材を示すので、詳しい説明を省略する。
【0095】
図4に示されるように、本発明の一変形実施例におけるエネルギー変換システムの概略図が示され、当該エネルギー変換システムは、熱ポンプI、空気圧機J、蒸発型凝縮器K、および、蒸発型凝縮器Lを備え、熱ポンプIは、管路によって、蒸発型凝縮器Kと蒸発型凝縮器Lの各々と流体連通し、且つ、蒸発型凝縮器Kと蒸発型凝縮器Lが管路30によって流体連通し、それにより、熱ポンプIの作動物質は、蒸発型凝縮器K、管路30、および、蒸発型凝縮器Lを介して循環して流れることができ、空気圧機Jは、管路によって蒸発型凝縮器Kと蒸発型凝縮器Lの各々と流体連通し、且つ、蒸発型凝縮器Kと蒸発型凝縮器Lがさらに管路40によって流体連通し、それにより、空気圧機Jの圧力作動物質は、蒸発型凝縮器K、管路40、および、蒸発型凝縮器Lを介して循環して流れることができる。
【0096】
熱ポンプIの作動物質は、蒸発型凝縮器Kにおいて、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するために用いられ、且つ、当該圧力作動物質液体は空気圧機Jの入力圧力作動物質として輸送される。
【0097】
熱ポンプIは、熱量が吸収された作動物質を圧縮して昇温させることで、蒸発型凝縮器Lにおいて、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させるために用いられ、当該圧力作動物質気体は、空気圧機Jを作動させてから、空気圧機Jから空気圧機Jの出力圧力作動物質気体として出力されるためのものである。
【0098】
蒸発型凝縮器Lにおいて空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、また、降温した熱ポンプIの作動物質は、蒸発型凝縮器Kに輸送されて空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収することにより、熱ポンプIの作動物質は上記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるために用いられる。
【0099】
例示として、熱ポンプIの作動物質は、蒸発型凝縮器Kのチューブパスを流れて、蒸発型凝縮器Kのケースパス内を流れる空気圧機Jの圧力作動物質から吸熱して気化される同時に、蒸発型凝縮器Kのケースパス内を流れる空気圧機Jの出力圧力作動物質気体が放熱したので、凝縮される。
【0100】
例えば、熱ポンプIの圧縮された作動物質は、蒸発型凝縮器Lのチューブパスを流れて放熱して凝縮するが、空気圧機Jの出力圧力作動物質は蒸発型凝縮器Lのケースパスにおいて吸熱して気化させために用いられる。
【0101】
上記変形実施例におけるエネルギー変換システムは、蒸発型凝縮器Kよりも低い位置に設けられるとともに、バルブ13によって蒸発型凝縮器Kと流体連通し、バルブ18によって蒸発型凝縮器Lと流体連通する作動物質液貯蔵タンク(14)をさらに備えてもよい。
【0102】
作動物質液貯蔵タンク14及び関連するバルブの作動方式は、上記実施例と同じである。例えば、システムの作動時、バルブ13が開状態にあり、バルブ18が閉状態にある場合、蒸発型凝縮器Kを作動物質液貯蔵タンク14に連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンク14と蒸発型凝縮器Lの連通の遮断状態を保持することにより、蒸発型凝縮器Kにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14内に流入し、それにより、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体の液位がますます高くなる。そして、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、バルブ13が閉状態となり、バルブ18が開状態となり、作動物質液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Kとの連通を遮断させるとともに、蒸発型凝縮器Lと連通させることにより、作動物質液貯蔵タンク14において凝縮して得られた圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器L内に戻るようになっている。
【0103】
逆に、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が、所定の第2閾値よりも低い場合、バルブ13が開状態となり、バルブ18が閉状態となり、作動物質液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Lとの連通を遮断させて、蒸発型凝縮器Kと新たに連通させることにより、蒸発型凝縮器Kにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14に流入するようになっている。ここでは、所定の第2閾値は、所定の第1閾値よりも低い。
【0104】
その場合、システム内のエネルギーを回収するために、作動物質液貯蔵タンク14は、さらに、バルブ13が設けられた管路とは異なる管路によって、蒸発型凝縮器Kと流体連通してもよく、当該異なる管路には、直列接続されたバルブ12と補助空気圧機11’とが含まれる。また、作動物質液貯蔵タンク14は、さらに、バルブ18が設けられた管路とは異なる管路によって、蒸発型凝縮器Lと流体連通し、当該異なる管路には、直列接続されたバルブ16とガス貯蔵タンク17とが含まれ、当該ガス貯蔵タンク17は蒸発型凝縮器Lとバルブ16の間に接続されるとともに、蒸発型凝縮器Lからの、空気圧機Jの気化された圧力作動物質気体を、そこで運ばれた空気圧機の圧力作動物質液体と互いに分離し、また、必要な場合、気化された空気圧機の圧力駆動気体を貯蔵するために用いられる。ガス貯蔵タンク17は、他の液体気体分離の役割を果たす装置に置き換えられてもよい。当業者であれば理解できるように、管路5では、必要に応じて、必要な液体気体分離装置を設置することで、蒸発型凝縮器Lからの気化された空気圧機の圧力作動物質気体を、まず、蒸発型凝縮器Lからの空気圧機の圧力作動物質液体と分離してから、空気圧機Jに輸送してもよい。理解すべきなのは、管路5を用いることなく、ガス貯蔵タンク17から管路を引き出して、空気圧機Jの圧力作動物質の入口に接続してもよい。それにより、液体気体分離装置を別途で設置することなく、ガス貯蔵タンク17を共有して液体気体分離を行うことができる。
【0105】
システムの運行時、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、バルブ12が開状態から閉状態に変化し、バルブ16が閉状態から開状態に変化し、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の第2閾値よりも低い場合、バルブ12が閉状態から開状態に変化し、バルブ16が開状態から閉状態に変化し、それにより、作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力と蒸発型凝縮器Kの内部の圧力との圧力差により、補助空気圧機11’を駆動させ、且つ、作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力と蒸発型凝縮器Kの内部の圧力とが平衡した後、バルブ13が閉状態から開状態に変化する。
【0106】
上記変形例では、バルブ13とバルブ18は単方向バルブであり、バルブ12とバルブ16は電動バルブである。
【0107】
図6に示されるように、上記変形例では、前記システムは、補助空気圧機11’によって駆動される補助熱ポンプ26であって、熱ポンプ26が蒸発型凝縮器Kから熱ポンプIの少なくとも一部の作動物質を抽出して圧縮させることで、前記少なくとも一部の作動物質の温度を上昇させ、その後、温度が上昇した前記少なくとも一部の作動物質を、熱ポンプIによって圧縮されて昇温した作動物質と合流して、蒸発型凝縮器Lに流入させる補助熱ポンプ26をさらに備えてもよい。補助空気圧機11’によって当該補助熱ポンプ26を駆動させることで、補助空気圧機11’から出力されたエネルギーを十分に利用することが可能であり、しかも、当該補助熱ポンプ26が蒸発型凝縮器Kから熱ポンプIの作動物質を抽出することで、蒸発型凝縮器Kにおける空気圧機Jの出力圧力作動物質気体の温度をさらに低下させ、また、補助熱ポンプ26によって圧縮されたことで昇温した作動物質によって、蒸発型凝縮器Lに輸送される熱量をさらに増加させる。即ち、補助熱ポンプ26、蒸発型凝縮器K、および、蒸発型凝縮器Lにより、空気圧機Jの圧力作動物質気体の入力端と圧力作動物質気体の出力端の間の圧力の差をさらに大きくして、空気圧機Jのパワーをさらに増大させる。
【0108】
更なる変形では、上記システムは、液体タンク27をさらに含んでもよい。図6には、本発明の更に別の変形実施例におけるエネルギー変換システムの概略図が示される。ここでは、作動物質液貯蔵タンク14は、2種類の作動物質間に熱交換を行うことができるチューブケース型貯蔵タンクであり、空気圧機Jの圧力作動物質液体と圧力作動物質気体が当該チューブケース型貯蔵タンクのケースパスを流れることが可能である。補助熱ポンプ26から出力された作動物質及び/又は熱ポンプIから出力された作動物質は液体タンク27内の液体(例えば、水)を加熱するために用いられ、チューブケース型貯蔵タンク内の圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに輸送される前に、液体タンク27からの加熱された液体は当該チューブケース型貯蔵タンクのチューブパス内に輸送されてチューブケース型貯蔵タンクのケースパス内の圧力作動物質液体を加熱する。
【0109】
作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体の温度と蒸発型凝縮器L内の圧力作動物質液体及び/又は気体の温度の差が大きい場合、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに流入すると、蒸発型凝縮器Lから空気圧機Jへ輸送される圧力作動物質気体の圧力の安定性に影響を及ぼし、それにより、空気圧機Jの出力パワーの安定性にも影響を及ぼす可能性がある。そのため、発明者は、さらに、上記方法により、作動物質液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体を事前加熱して、その圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに流入するとき、蒸発型凝縮器L内の圧力作動物質の温度に対して与える影響を低減又は回避し、空気圧機Jの入力圧力作動物質気体の圧力をさらに安定的にさせる。
【0110】
以下は、上記方案に関する更なる詳細を例示で説明する。例を挙げると、作動物質液貯蔵タンク14(当該例示では、チューブケース型貯蔵タンク、又は、異なる媒体間に熱交換を行うことができる他の装置)内の空気圧機の圧力作動物質の液位(例えば、液位計によって測定されたもの)が所定の高液位閾値19よりも高い場合、液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Lと連通させる前に、液体タンク27と流体連通しているポンプ24の起動をトリガして液体タンク27内の熱い液体を液貯蔵タンク14のチューブパス内に輸送して、液貯蔵タンク14のケースパス内の空気圧機の圧力作動物質液体(例えば、0℃の液体CO)を昇温させる(例えば、30℃までに昇温させて、圧力が72kg/cmとなる)。液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体が所定の温度又は圧力に達した後(温度又は圧力センサ25によって検出され)、ポンプ24をトリガして運転を停止させるとともに、液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに流入することを許容する。その場合、バルブ16とバルブ18が開き、バルブ12とバルブ13が閉じるようになる。また、液貯蔵タンク14を、蒸発型凝縮器Kとの連通を遮断して蒸発型凝縮器Lと連通させる。それで、重力の原理により、液貯蔵タンク14内の昇温した圧力作動物質液体(例えば、液体CO)が蒸発型凝縮器Lに自動で流入する。そうすると、液貯蔵タンク14と蒸発型凝縮器Lにおける圧力作動物質液体の温度が接近し、又は、一致した場合、蒸発型凝縮器Lから出力される蒸気の圧力を安定的に維持して波動を小さいように抑えることに有利なものであり、それにより、空気圧機の回転速度を安定化して、それによって駆動される発電機から出力される電圧や電流を安定化することができる。液貯蔵タンク14内の空気圧機の圧力作動物質の液位が下降することに伴い、しかも、所定の低液位閾値20よりも低いように下降した場合、バルブ16とバルブ18が閉じるようになる。そのとき、液貯蔵タンク14内の圧力と蒸発型凝縮器L内の圧力が一致したものであり、即ち、蒸発型凝縮器K内の圧力よりもはるかに高いものとなる。そのため、そのとき、バルブ12が開くと、液貯蔵タンク14内の残りの圧力作動物質気体(例えば、高圧気体CO)が補助空気圧機11’に流入してその補助空気圧機11’の運転を駆動させて、補助熱ポンプ25の作動をさらに連動させる。蒸発型凝縮器Kのチューブパス内の熱ポンプの作動物質気体を抽出することで、蒸発型凝縮器Kのケースパス内の空気圧機Jの圧力作動物質をさらに冷却する。
【0111】
本発明の別の変形例では、エネルギー変換方法をさらに提供し、図5に示されるように、当該方法では、以下の工程を含んでもよい。
【0112】
熱ポンプIの作動物質により、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するとともに、圧力作動物質液体を空気圧機Jの入力圧力作動物質として輸送する工程。ここでは、熱ポンプIの作動物質が空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を吸収するとき、上記2種類の作動物質が熱交換装置において直接に熱交換を行ってもよく、熱ポンプIの作動物質が熱交換装置により、他の媒体から熱力を吸収し、且つ、前記他の媒体が別の熱交換装置により、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を吸収するという間接な方式によって熱交換を行ってもよい。本発明では、それらについて具体的に制限されていない。
【0113】
熱ポンプIにより、熱量が吸収された作動物質を圧縮して作動物質を昇温させることで、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させ、当該圧力作動物質気体は、空気圧機Jを作動させてから、空気圧機Jから空気圧機Jの出力圧力作動物質気体として出力される。ここでは、同様に、熱ポンプIの昇温した作動物質が空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱するとき、上記2種類の作動物質が熱交換装置において直接に熱交換を行ってもよく、熱ポンプIの昇温した作動物質が熱交換装置により、他の媒体を加熱し、且つ、前記他の媒体が別の熱交換装置により、空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱するという間接な方式によって熱交換を行ってもよい。本発明では、それらについて具体的に制限されていない。
【0114】
入力圧力作動物質を加熱したので、降温した熱ポンプIの作動物質は、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収するために輸送されることにより、熱ポンプIの作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるようになっている。
【0115】
上記方法では、熱ポンプIの作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われる工程、および、それと同時の、空気圧機Jの圧力作動物質は放熱凝縮、吸熱気化、および、仕事して降温が繰り返して行われる工程も明らかになる。
【0116】
図4に示すものを組み合わせて、熱ポンプIの作動物質により、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体を凝縮することは、蒸発型凝縮器Kにおいて行われてもよい。熱ポンプIの作動物質は、蒸発型凝縮器Kのチューブパスを流れて吸熱気化させてもよいが、空気圧機Jの出力圧力作動物質気体が蒸発型凝縮器Kのケースパスに流入し、放熱凝縮してもよい。同様に、熱ポンプIの作動物質が昇温して空気圧機Jの入力圧力作動物質を加熱することは、蒸発型凝縮器Lにおいて行われてもよい。熱ポンプIの圧縮された作動物質は、蒸発型凝縮器Lのチューブパスを流れて放熱凝縮してもよいが、空気圧機Jの出力圧力作動物質が蒸発型凝縮器Lのケースパスにおいて吸熱気化させてもよい。勿論、ここでは、蒸発型凝縮器Kのチューブパスとケースパスを流れる媒体は互いに入れ替えられてもよく、両者の間には上述したように熱交換が行われることができればよい。本発明では、それについて制限されていない。
【0117】
圧力作動物質液体を空気圧機Jの入力圧力作動物質として輸送する方式は、図1~3を組み合わせて説明した上記方式と一致し、以下は、簡単に説明する。
【0118】
圧力作動物質液体を空気圧機Jの入力圧力作動物質として輸送する前に、当該エネルギー変換方法では、
蒸発型凝縮器Kを作動物質液貯蔵タンク14に連通させるとともに、作動物質液貯蔵タンク14と蒸発型凝縮器Lの連通の遮断状態を保持することにより、蒸発型凝縮器Kにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14内に流入し、且つ、
作動物質液貯蔵タンク14内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、作動物質液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Kとの連通を遮断させるとともに、蒸発型凝縮器Lと連通させることにより、作動物質液貯蔵タンク14において凝縮して得られた圧力作動物質液体が第2の蒸発型凝縮器L内に戻るようになっていることをさらに含んでもよい。
【0119】
また、作動物質液貯蔵タンク14内の液位が、所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、作動物質液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Lとの連通を遮断させて、蒸発型凝縮器Kと新たに連通させることにより、蒸発型凝縮器Kにおいて凝縮して得られた圧力作動物質液体が作動物質液貯蔵タンク14に流入するようになっていることをさらに含んでもよい。
【0120】
そして、システム内のエネルギーをさらに再利用するために、当該エネルギー変換方法では、作動物質液貯蔵タンク14が蒸発型凝縮器Kと新たに連通した場合、作動物質液貯蔵タンク14の内部の圧力と蒸発型凝縮器Kの内部の圧力との圧力差により、補助空気圧機(11’)を駆動させることをさらに含んでもよい。
【0121】
また、空気圧機による発電工程中の廃熱をさらに回収するために、上記2つの変形例におけるエネルギー変換システム及びエネルギー変換方法では、空気圧機(J)が発電機に接続されて発電機を駆動させて、熱ポンプ(I)の、蒸発型凝縮器Lから出力された少なくとも一部の降温した作動物質を、空気圧機Jに接続された発電機の冷却に用いるとともに、前記冷却後に、蒸発型凝縮器Kに戻して輸送することにより、電動機の運転によって発生した熱量を再利用することが可能である。
【0122】
当該方法では、例えば、図6に示すシステムのように、補助熱ポンプ6を導入して、空気圧機Jの作動物質入力端と作動物質出力端の間の圧力の差をさらに大きくするとともに、液貯蔵タンク14内の空気圧機の圧力作動物質液体を事前加熱してもよい。以下は、図6を組み合わせながら、簡単に説明する。
【0123】
図6に示されるように、前記方法では、補助空気圧機11’によって駆動される補助熱ポンプ26であって、熱ポンプ26が蒸発型凝縮器Kから熱ポンプIの少なくとも一部の作動物質を抽出して圧縮させることで、前記少なくとも一部の作動物質の温度を上昇させ、その後、温度が上昇した前記少なくとも一部の作動物質を、熱ポンプIによって圧縮されて昇温した作動物質と合流して、蒸発型凝縮器Lに流入させる補助熱ポンプ26をさらに備えてもよい。
【0124】
更なる変形では、上記システムは、図6に示されるように、液体タンク27をさらに含んでもよい。ここでは、作動物質液貯蔵タンク14は、2種類の作動物質間に熱交換を行うことができるチューブケース型貯蔵タンクであり、空気圧機Jの圧力作動物質液体と圧力作動物質気体が当該チューブケース型貯蔵タンクのケースパスを流れることが可能である。補助熱ポンプ26から出力された作動物質及び/又は熱ポンプIから出力された作動物質は液体タンク27内の液体を加熱するために用いられ、チューブケース型貯蔵タンク内の圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに輸送される前に、液体タンク27からの加熱された液体は当該チューブケース型貯蔵タンクのチューブパス内に輸送されてチューブケース型貯蔵タンクのケースパス内の圧力作動物質液体を加熱する。
【0125】
具体的には、作動物質液貯蔵タンク14内の空気圧機の圧力作動物質の液位が所定の高液位閾値19よりも高い場合、液貯蔵タンク14を蒸発型凝縮器Lと連通させる前に、液体タンク27と流体連通しているポンプ24の起動をトリガして液体タンク27内の熱い液体を液貯蔵タンク14のチューブパス内に輸送して、液貯蔵タンク14のケースパス内の空気圧機の圧力作動物質液体(例えば、0℃の液体CO)を昇温させる(例えば、30℃までに昇温させて、圧力が72kg/cmとなる)。液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体が所定の温度又は圧力に達した後(温度又は圧力センサ25によって検出され)、ポンプ24をトリガして運転を停止させるとともに、液貯蔵タンク14内の圧力作動物質液体が蒸発型凝縮器Lに流入することを許容する。その場合、バルブ16とバルブ18が開き、バルブ12とバルブ13が閉じるようになる。また、液貯蔵タンク14を、蒸発型凝縮器Kとの連通を遮断して蒸発型凝縮器Lと連通させる。それで、重力の原理により、液貯蔵タンク14内の昇温した圧力作動物質液体(例えば、液体CO)が蒸発型凝縮器Lに自動で流入する。そうすると、液貯蔵タンク14と蒸発型凝縮器Lにおける圧力作動物質液体の温度が接近し、又は、一致した場合、蒸発型凝縮器Lから出力される蒸気の圧力を安定的に維持して波動を小さいように抑えることに有利なものであり、それにより、空気圧機の回転速度を安定化して、それによって駆動される発電機から出力される電圧や電流を安定化することができる。液貯蔵タンク14内の空気圧機の圧力作動物質の液位が下降することに伴い、しかも、所定の低液位閾値20よりも低いように下降した場合、バルブ16とバルブ18が閉じるようになる。そのとき、液貯蔵タンク14内の圧力と蒸発型凝縮器L内の圧力が一致したものであり、即ち、蒸発型凝縮器K内の圧力よりもはるかに高いものとなる。そのため、そのとき、バルブ12が開くと、液貯蔵タンク14内の残りの圧力作動物質気体(例えば、高圧気体CO)が補助空気圧機11’に流入してその補助空気圧機11’の運転を駆動させて、補助熱ポンプ25の作動をさらに連動させる。蒸発型凝縮器Kのチューブパス内の熱ポンプの作動物質気体を抽出することで、蒸発型凝縮器Kのケースパス内の空気圧機Jの圧力作動物質をさらに冷却する。
【0126】
上記2つの変形例におけるエネルギー変換システム及びエネルギー変換方法では、蒸発型凝縮器K、蒸発型凝縮器L、及び/又は、作動物質液貯蔵タンク14が断熱のものであってもよい。勿論、システム全体における各部材、管路が断熱のものか否かは、必要に応じて決められてもよい。また、熱ポンプIの作動物質は、アンモニアNHであってもよく、空気圧機Jの圧力作動物質が二酸化炭素COであってもよい。
【0127】
上記2つの変形例におけるエネルギー変換システム及びエネルギー変換方法では、例示として、熱ポンプIの作動物質入口では、アンモニアの温度と圧力がそれぞれ、0℃と3.38kg/cmであり、及び/又は、熱ポンプIの作動物質出口では、アンモニアの温度と圧力がそれぞれ、40℃と14.8kg/cmであり、及び/又は、空気圧機Jの圧力作動物質入口では、COの温度と圧力がそれぞれ、40℃と96kg/cmであり、及び/又は、空気圧機Jの圧力作動物質出口では、COの温度と圧力がそれぞれ、0℃と35kg/cmであるように設定されてもよい。以上は、例示したものに過ぎず、当業者であれば、システムにおける部材の種々のパラメータに基づいて各位置での作動物質の温度と圧力を調整することができる。例えば、熱ポンプIのエネルギー効率(冷却エネルギー効率と加熱エネルギー効率を含む)、熱ポンプIの作動物質、空気圧機Jのエネルギー効率、空気圧機Jの圧力作動物質、蒸発型凝縮器の熱交換効率などに応じて調整することで、当該エネルギー変換システムが全体的に、バランスを取れて長時間連続で運行できるようになる。上記作動物質の温度や圧力を基にして、例えば、熱ポンプIのエネルギー効率を5.76とし、その加熱エネルギー効率を3.36として、冷却エネルギー効率を2.4としてもよい。
【0128】
例を挙げると、グリッドの電力を入力して熱ポンプIの圧縮機の運転を駆動させると、蒸発型凝縮器Kのチューブパス内の液体アンモニアが抽出されて気化されたことで、冷却エネルギー効率が2.4となり、同時に発生した熱量によって、蒸発型凝縮器Kのケースパス内の気体COが凝縮され、そのCOが凝縮されて生じた冷熱を同時に吸収することで、蒸発型凝縮器Kの全体的温度を安定的な範囲内に保持して、バランスが取れた吸熱(NH)とバランスが取れた放熱(CO)を実現して長時間連続で運行できるようになる。
【0129】
熱ポンプIの圧縮機による冷却と同時に、圧縮機によって圧縮された気体アンモニアが蒸発型凝縮器Lのチューブパス内に流入して凝縮されて放熱し、加熱エネルギー効率が3.36となり、同時に、その熱量により、蒸発型凝縮器Lのケースパス内の液体COが加熱されたことで、気体アンモニアの液化とCOの気化が同期的に行われるようになり、高圧の気体COが得られて空気圧機Jに入って膨張して仕事をして、空気圧機Jに接続された発電機による発電を連動させる。空気圧機による発電の全体的な効率を30%にして計算すると、エネルギー効率が(3.36+2.4)*35%=2となり、従来技術と比べて、システム全体の発電効率が大幅に向上した。
【0130】
上記変形例から分かるように、本発明におけるエネルギー変換システム及びエネルギー変換方法は以下のような利点を有するものである。
【0131】
1、熱ポンプの作動物質回路循環システムと空気圧機の作動物質回路循環システムとを直接に熱交換させることにより、システム内に発生した熱量、冷熱量を統合的に利用して、蒸発型凝縮器KとL間の温度をバランスよく維持している。また、空気圧機の入口の圧力を大きくするとともに、空気圧機の出口の圧力を小さくすることにより、空気圧機の作動物質入口と作動物質出口の間の気圧の差を大きくして、空気圧機の動力を強くして、発電効率が増加する。
【0132】
2、システム全体における全ての機器、管路、バルブはいずれも、断熱のものが用いられて温度を保持することが可能となり、外界の温度が高いか否かにも関わらず、システムの運行に対して影響を及ぼすことがない。
【0133】
3、本発明のシステム内では、電気機器が極めて少なく用いられ、2つの電動バルブ12と16(例えば、電磁バルブ)以外、他の電気機器がほぼない。それにより、火力発電プラントの自己電力使用率の10%~12%と比べて、消費エネルギーが著しく節約された。
【0134】
4、補助熱ポンプ26により、空気圧機Jの作動物質入力端と作動物質出力端の間の圧力の差をさらに拡大させる。
【0135】
5、液貯蔵タンク14内の空気圧機の圧力作動物質液体を事前加熱することは、空気圧機Jの出力パワーの安定化されることにも有利である。
【0136】
本明細書において、具体的な詳細部分が大量に記述されている。しかし、理解すべきなのは、本発明の実施例は、それらの具体的な詳細がない場合においても実施されてもよい。本明細書が曖昧に理解されてしまうのを回避するために、幾つかの実施例では、公知された方法、構造及び技術について、詳しく記載されていない。
【0137】
当業界の技術者であれば理解できるように、実施例における装置内のモジュールを適応的に変化してそれらを当該実施例とは異なる1つまたは複数の装置に設置してもよい。また、実施例における若干のモジュールを1つのモジュール又はユニット又は部品として組み合わせ、また、それらを複数のモジュール又はユニット又は部品として分割してもよい。これらのような特徴及び/又は工程又はモジュールのうちの少なくとも一部の互いに排他的なものを除き、任意の組合せにより、本明細書(添付の請求項、要約書及び添付図面)に開示された全ての特徴及びそのように開示された任意の方法又は機器の全ての工程又はユニットを組み合わせてもよい。特に明確に説明しない限り、本明細書(添付の請求項、要約書及び添付図面)に開示された各特徴は、同一、同等又は類似した目的を提供できる代替な特徴に置き換えられてもよい。
【0138】
注意すべきなのは、上記実施例は、本発明を説明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない。しかも、当業者は、添付の請求項の範囲から逸脱しない限り、代替な実施例を設計することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却すること、
熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱すること、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるとともに、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温されること、および、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮し、且つ、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されること、を含むことを特徴とする分散エネルギー変換方法。
【請求項2】
熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の循環回路を循環して流れる第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、冷却された第1の流体が第2の流体貯蔵タンク(E)に輸送されることを含み、
熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第2の循環回路を循環して流れる第2の流体を加熱することは、前記熱ポンプ(I)により、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱し、加熱された前記第2の流体が第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送されることを含み、
加熱された第2の流体を輸送して空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させることは、前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体は輸送されて空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられ、且つ、前記入力圧力作動物質を加熱した前記第2の流体は前記第3の流体貯蔵タンク(H)に戻して輸送されることを含み、
冷却された第1の流体を輸送して空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮することは、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体は輸送されて前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮してから、前記第1の流体貯蔵タンク(G)に戻るために用いられることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体は輸送されて前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられることは、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体を第1の凝縮器(C)に流せて、前記第1の凝縮器(C)に流入した、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得し、前記圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻ることを含み
前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体は、前記蒸気発生器(D)を流れるとき、蒸気発生器(D)内の、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、前記圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させ
前記熱ポンプ(I)の作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却することは、前記熱ポンプ(I)の作動物質を蒸発器(A)に流せて、前記蒸発器(A)に流入した、前記第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、前記第1の流体を冷却することを含み、且つ、
熱ポンプ(I)の前記圧縮された作動物質が第2の凝縮器(B)に流入して、第2の凝縮器(B)に流入した、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱して凝縮された後、蒸発器(A)に戻して輸送される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻る前に、前記方法では、
前記第1の凝縮器(C)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記蒸気発生器(D)の連通の遮断状態を保持することにより、凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の凝縮器(C)との連通を遮断させるとともに、前記蒸気発生器(D)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記蒸気発生器(D)内に戻るようになっていることをさらに含む、請求項またはに記載の方法。
【請求項5】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記蒸気発生器(D)との連通を遮断させて、前記第1の凝縮器(C)と新たに連通させることにより、前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっていることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)が前記第1の凝縮器(C)と新たに連通した場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機(11)を発電させて駆動させることをさらに含み、好ましくは、発生した電力が前記第4の流体貯蔵タンク(F)内の第2の流体を補助加熱するために用いられる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記熱ポンプ(I)は、電動機と前記電動機によって駆動される圧縮機とを備え、前記方法では、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記電動機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送し、
及び/または、
前記空気圧機(J)が発電機に接続されて発電機を駆動させ、前記方法では、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記発電機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に輸送する、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の流体が塩水であり、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体の温度は、0℃~20℃が好ましく、0℃~12℃がより好ましく、12℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって熱量を吸収されて冷却された第1の流体の温度は、-20℃~0℃が好ましく、-12℃~0℃がより好ましく、-12℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記第2の流体が水であり、入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体の温度は、30℃~50℃が好ましく、35℃~45℃がより好ましく、40℃が更に好ましいものであり、熱ポンプ(I)の作動物質によって加熱された第2の流体の温度は、90℃~60℃が好ましく、80℃~65℃がより好ましく、75℃が更に好ましいものであり、及び/又は、
前記熱ポンプ(I)の作動物質は、二酸化炭素COであり、前記空気圧機(J)の圧力作動物質がアンモニアNHである、請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
熱ポンプ(I)、空気圧機(J)、第1の流体が循環して流れる第1の循環回路、および、第2の流体が循環して流れる第2の循環回路を備え、
熱ポンプ(I)は、その作動物質により、第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却するとともに、熱量を吸収された作動物質を圧縮して作動物質の温度をさらに高めることで、その作動物質により第2の流体を加熱するために用いられ、
加熱された第2の流体は空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられ、入力圧力作動物質を加熱し、降温した第2の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに加熱されて、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を新たに加熱させることにより、第2の流体が繰り返して加熱され、降温され、
冷却された第1の流体は、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮するために用いられ、且つ、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体が熱ポンプ(I)の作動物質によって新たに熱量を吸収されて冷却され、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を新たに凝縮させることにより、第1の流体が繰り返して冷却され昇温されることを特徴とする分散エネルギー変換システム。
【請求項10】
第1の流体貯蔵タンク(G)、第2の流体貯蔵タンク(E)、第3の流体貯蔵タンク(H)、および、第4の流体貯蔵タンク(F)をさらに備え、第1の流体貯蔵タンク(G)と第2の流体貯蔵タンク(E)は第1の循環回路に設けられて第1の流体を貯蔵するために用いられ、第3の流体貯蔵タンク(H)と第4の流体貯蔵タンク(F)は第2の循環回路に設けられて第2の流体を貯蔵するために用いられ、
第1の流体貯蔵タンク(G)は、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して昇温した第1の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプ(I)がその作動物質により、第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して第1の流体を冷却し、且つ、第2の流体貯蔵タンク(E)は冷却された前記第1の流体を貯蔵するために用いられ、
第3の流体貯蔵タンク(H)は、空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して降温した第2の流体を貯蔵するために用いられ、熱ポンプ(I)がその作動物質により、第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱し、且つ、第4の流体貯蔵タンク(F)は加熱された前記第2の流体を貯蔵するために用いられる、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
第1の凝縮器(C)と蒸気発生器(D)をさらに備え、
第1の凝縮器(C)は、前記第2の流体貯蔵タンク(E)による冷却された前記第1の流体に、第1の凝縮器(C)を流れるとき、前記第1の凝縮器(C)に流入した、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮させて圧力作動物質液体を取得するために用いられ、前記圧力作動物質液体が前記空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質として蒸気発生器(D)に戻り、
蒸気発生器(D)は、前記第4の流体貯蔵タンク(F)による加熱された前記第2の流体に、前記蒸気発生器(D)を流れるとき、蒸気発生器(D)内の、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質を加熱して、前記圧力作動物質気体として気化させることで前記空気圧機(J)を作動させるために用いられる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
蒸発器(A)と第2の凝縮器(B)をさらに備え、
前記蒸発器(A)は、前記熱ポンプ(I)の作動物質が、蒸発器(A)を流れるとき、蒸発器(A)に流入した、前記第1の流体貯蔵タンク(G)による第1の流体から熱量を吸収して蒸発させることで、前記第1の流体を冷却するために用いられ、
第2の凝縮器(B)は、熱ポンプ(I)の前記圧縮された作動物質が、第2の蒸発器(B)を流れるとき、第2の凝縮器(B)に流入した、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による第2の流体を加熱して凝縮され、且つ、加熱された後、蒸発器(A)に戻して輸送されるために用いられる、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の凝縮器(C)よりも低い位置に設けられるとともに、第1のバルブ(13)によって前記第1の凝縮器(C)と流体連通し、第2のバルブ(18)によって前記蒸気発生器(D)と流体連通する作動物質液貯蔵タンク(14)をさらに備え、
第1のバルブ(13)が開状態にあり、第2のバルブ(18)が閉状態にある場合、前記第1の凝縮器(C)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記蒸気発生器(D)の連通の遮断状態を保持することにより、前記凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記第1のバルブ(13)が閉状態となり、前記第2のバルブ(18)が開状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の凝縮器(C)との連通を遮断させるとともに、前記蒸気発生器(D)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記蒸気発生器(D)内に戻るようになっている、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記第1のバルブ(13)が開状態となり、前記第2のバルブ(18)が閉状態となり、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記蒸気発生器(D)との連通を遮断させて、前記第1の凝縮器(C)と新たに連通させることにより、前記凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第1のバルブ(13)が設けられた第1の管路とは異なる第3の管路によって、前記第1の凝縮器(C)と流体連通し、前記第3の管路には、直列接続された第3のバルブ(12)と空気圧発電機(11)とが含まれ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)は、さらに、前記第2のバルブ(18)が設けられた第2の管路とは異なる第4の管路によって、前記蒸気発生器(D)と流体連通し、前記第4の管路には、直列接続された第4のバルブ(16)とガス貯蔵タンク(17)とが含まれ、前記ガス貯蔵タンク(17)は前記蒸気発生器(D)と前記第4のバルブ(16)の間に接続されるとともに、気化された前記圧力作動物質気体を貯蔵するために用いられ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第1閾値よりも高い場合、前記第3のバルブ(12)が開状態から閉状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が閉状態から開状態に変化し、前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が前記所定の第2閾値よりも低い場合、前記第3のバルブ(12)が閉状態から開状態に変化し、前記第4のバルブ(16)が開状態から閉状態に変化し、それにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力との圧力差により、空気圧発電機(11)を発電させて駆動させ、好ましくは、発生した電力が前記第4の流体貯蔵タンク(F)内の第2の流体を補助加熱するために用いられ、且つ、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の凝縮器(C)の内部の圧力とが平衡した後、前記第1のバルブ(13)が閉状態から開状態に変化する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱ポンプ(I)は、電動機と前記電動機によって駆動される圧縮機とを備え、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記電動機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に戻させ
及び/または、
前記空気圧機(J)が発電機に接続されて発電機を駆動させ、前記第3の流体貯蔵タンク(H)による少なくとも一部の第2の流体を、前記発電機を水冷するために用いるとともに、前記水冷の後、前記第4の流体貯蔵タンク(F)に戻させる、請求項1015のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
第1の熱ポンプ(I)の作動物質により、空気圧機(J)からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するとともに、前記圧力作動物質液体を前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送すること、
第1の熱ポンプ(I)により、熱量が吸収された作動物質を圧縮して昇温させることで、熱量を空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質に輸送して、圧力作動物質気体として加熱気化させることができ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機(J)を作動させてから、前記空気圧機(J)から前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであること、および、
熱量を前記入力圧力作動物質に輸送して降温した前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収するために輸送されることにより、前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるようになっていること、を含む、エネルギー変換方法。
【請求項18】
前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質により、空気圧機(J)からの出力圧力作動物質気体の熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮することは、第1の蒸発型凝縮器(K)において行われ、好ましくは、前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質は、前記第1の蒸発型凝縮器(K)のチューブパスを流れて吸熱気化させるが、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体が前記第1の蒸発型凝縮器(K)のケースパスに流入し、放熱凝縮し、及び/又は、
前記第1の熱ポンプ(I)の作動物質が昇温してから、熱量を空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質に輸送して加熱させることは、第2の蒸発型凝縮器(L)において行われ、好ましくは、前記第1の熱ポンプ(I)の圧縮された作動物質は、前記第2の蒸発型凝縮器(L)のチューブパスを流れて放熱凝縮するが、前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質が前記第2の蒸発型凝縮器(L)のケースパスにおいて吸熱気化させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記圧力作動物質液体を前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送する前に、前記方法では、
前記第1の蒸発型凝縮器(K)を作動物質液貯蔵タンク(14)に連通させるとともに、前記作動物質液貯蔵タンク(14)と前記第2の蒸発型凝縮器(L)の連通の遮断状態を保持することにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)内に流入し、且つ、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が所定の第1閾値よりも高い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第1の蒸発型凝縮器(K)との連通を遮断させるとともに、前記第2の蒸発型凝縮器(L)と連通させることにより、前記作動物質液貯蔵タンク(14)において凝縮して得られた前記圧力作動物質液体が前記第2の蒸発型凝縮器(L)内に戻るようになっていることをさらに含み、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)内の液位が、前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値よりも低い場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)を前記第2の蒸発型凝縮器(L)との連通を遮断させて、前記第1の蒸発型凝縮器(K)と新たに連通させることにより、前記第1の蒸発型凝縮器(K)において凝縮して得られた圧力作動物質液体が前記作動物質液貯蔵タンク(14)に流入するようになっていることをさらに含み、
前記作動物質液貯蔵タンク(14)が前記第1の蒸発型凝縮器(K)と新たに連通した場合、前記作動物質液貯蔵タンク(14)の内部の圧力と前記第1の蒸発型凝縮器(K)の内部の圧力との圧力差により、補助空気圧機(11’)を駆動させることをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
熱ポンプ(I)、空気圧機(J)、第1の蒸発型凝縮器(K)、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を備え、
熱ポンプ(I)は、管路によって、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)が第1の管路によって流体連通し、それにより、熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)、第1の管路、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を介して循環して流れることができ、空気圧機(J)は、管路によって第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)の各々と流体連通し、且つ、第1の蒸発型凝縮器(K)と第2の蒸発型凝縮器(L)がさらに第2の管路によって流体連通し、それにより、空気圧機(J)の圧力作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)、第2の管路、および、第2の蒸発型凝縮器(L)を介して循環して流れることができ、
熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)において、空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を吸収して、前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体を凝縮して圧力作動物質液体を取得するために用いられ、前記圧力作動物質液体は前記空気圧機(J)の入力圧力作動物質として輸送され、
熱ポンプ(I)は、熱量が吸収された作動物質を圧縮して前記作動物質を昇温させることで、第2の蒸発型凝縮器(L)において、空気圧機(J)の前記入力圧力作動物質を加熱して、圧力作動物質気体として気化させるために用いられ、前記圧力作動物質気体は、前記空気圧機(J)を作動させてから、前記空気圧機(J)から前記空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体として出力されるためのものであり、
第2の蒸発型凝縮器(L)において前記入力圧力作動物質を加熱して降温した前記熱ポンプ(I)の作動物質は、第1の蒸発型凝縮器(K)に輸送されて空気圧機(J)の出力圧力作動物質気体から熱量を新たに吸収することにより、前記熱ポンプ(I)の作動物質は前記熱量吸収、昇温、および、降温が繰り返して行われるために用いられる、エネルギー変換システム。
【国際調査報告】