IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アールデックス グループの特許一覧

特表2022-520624治療的処置の実施または行為を支援するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】治療的処置の実施または行為を支援するための方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/50 20180101AFI20220324BHJP
【FI】
G16H50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547488
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020053979
(87)【国際公開番号】W WO2020165444
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】2019/5097
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLACKBERRY
2.Alexa
3.Cortana
4.Bixby
5.Siri
(71)【出願人】
【識別番号】520467671
【氏名又は名称】アールデックス グループ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】トゥセ,エリック,ピエール,ジョゼ
(72)【発明者】
【氏名】ヴリエンス,ベルナール,クリスティアン,ジャン-マリー
(72)【発明者】
【氏名】ダッラ ヴェッキア,ダヴィド,マルク,エドガー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本発明は、個体Iiに対する治療的処置の実施または行為の支援、そのシステム(1)およびそれを実施するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための方法であって、
第1の装置(2)により、データベース(3)から、少なくとも1つの既定の指示における、一連のファーマコメトリクスモデルおよび前記治療的処置におけるターゲットウィンドウなどの前記治療的処置のデータモデルを得ること;
電子モニタリング装置(4)により、前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする、特に前記個体Iiのタイムスタンプを含む、表示データを記録すること;
前記第1の装置(2)により、前記電子モニタリング装置(4)から、前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データを受信すること;
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記データモデルおよび前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算すること;
前記第1の装置(2)により、前記個体Iiの前記訂正されたモデルおよび実施または行為の前記表示データから、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける前記個体Iiの位置決めデータを計算すること、
を含む、方法。
【請求項2】
規定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される前記個体Iiの可変データ、および/または、
遺伝マーカ、生物マーカの生理学上の群(例えば、体重、年齢、性別)から選択される、前記個体Iiに対する前記治療的処置の前記データモデルのパラメータ、および/または
前記処置の測定された効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続時間、費用/効果比の群から選択される、前記個体Iiの医療データ
を含む前記個体Iiの特定のデータを、前記第1の装置(2)により得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法であって、
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記データモデルおよび前記個体Iiの前記可変データから、前記個体Iiの予測データモデルを得、
前記治療的処置の前記データモデルおよび前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの前記訂正されたデータモデルを計算する、方法。
【請求項3】
前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータが、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為についての時間情報を示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為に対して尊重されるべき最大時間、および/または前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為の前に尊重されるべき最小時間を計算することをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為に対して尊重されるべき最大緩衝時間、および/または前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為前に尊重されるべき最小緩衝時間を計算することをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータが、以下を含む群から選択される少なくとも1つのデータを示す、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法:
前記治療的処置の実施時間、前回の行為時間
前記個体Iiに対する既定の前記治療的処置の前記ファーマコメトリクスモデルからの応答
前記ターゲットウィンドウの前記最小閾値を下回る、既定の前記治療的処置からの応答前の最大時間
既定の前記治療的処置からの応答が前記ターゲットウィンドウの前記最大閾値を上回らない、最小時間。
【請求項7】
前記位置決めデータが、既定の前記治療的処置の応答が前記ターゲットウィンドウの最小緩衝閾値を下回る前の少なくとも1つの時間間隔緩衝Tmaxを示す;および/または前記位置決めデータが、既定の前記治療的処置からの応答が前記ターゲットウィンドウの最大緩衝閾値を上回らないような少なくとも1つの時間間隔緩衝Tminを示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の装置(2)により、実施または行為とリンクする1セットの前記表示データ中から、前記電子モニタリング装置(4)から受信される実施または行為とリンクする第1の表示データを除外することをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
好ましくは例えばディスプレイ装置(5)などの情報装置により、少なくとも1つのデータを示すことをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データが前記タイムスタンプおよび前記投薬を含む方法であって、
前記方法は、
電子モニタリング装置(4)により、前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記タイムスタンプおよび前記投薬を記録すること、
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記データモデルならびに前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記タイムスタンプおよび前記投薬から、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算すること
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記電子モニタリング装置(4)により受信される実施または行為の各タイムスタンプを使用して、前記個体Iiの前記訂正されたデータモデルを繰り返し再決定し、
各繰り返しにおいて、前記個体Iiの別の訂正されたデータモデルは、最後の実施または最後の行為時における最後の繰り返しjの前記個体Iiの前記訂正されたデータモデル、および前記治療的処置のデータモデルまたは前記個体の予測データモデル、に基づいて決定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援することを目的とするシステム(1)であって、
前記治療的処置のデータモデルを有するデータベース(3)、
前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクするタイムスタンプを記録するための電子モニタリング装置(4)、
前記治療的処置の前記データモデルおよび前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記タイムスタンプから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算するため、および前記個体Iiの前記訂正されたモデルから、前記治療的処置のターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの位置決めデータを計算するため、および/または前記治療的処置の次回の実施または次回の行為に対する時間情報を計算するための第1の装置(2)
前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの前記位置決めデータ、および/または前記治療的処置の次回の実施または次回の行為に対する時間情報を提供するための情報装置
を含む、システム。
【請求項13】
前記第1の装置(2)、前記情報装置および前記電子モニタリング装置(4)が1つの筐体に統合されている、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記電子モニタリング装置(4)および前記情報装置が、前記第1の装置(2)とは別個に、1つの筐体に統合されている、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記電子モニタリング装置(4)、前記情報装置および前記第1の装置(2)が別個の筐体に統合されている、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項16】
前記第1の装置(2)、前記データベース(3)、前記情報装置および前記電子モニタリング装置(4)が、通信ユニットを含み、無線通信による通信手段で接続されるか、またはデータ交換のために物理的に接続される、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項17】
前記電子モニタリング装置(4)が、少なくとも1つの電源、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの時計、少なくとも1つの通信ユニットおよび少なくとも1つのメモリを含み、
前記電子モニタリング装置(4)が、既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする、前記タイムスタンプ、前記投薬および前記治療的処置の実施または行為の履歴を含む表示データ、を生成するように構成される、請求項12~16のいずれか1項に記載のシステム(1)。
【請求項18】
コンピュータプログラムであって、
当該プログラムがプロセッサ(2)上で実行されるとき、以下のステップ:
前記プロセッサにより、データベース(3)から、治療的処置のデータモデルを得るステップ;
前記プロセッサにより、前記電子モニタリング装置(4)から、個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクするタイムスタンプを受信するステップ、
前記プロセッサにより、前記治療的処置の前記データモデルおよび前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算するステップ;
前記プロセッサにより、前記個体Iiの前記訂正されたモデルから、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウ中の前記個体Iiの位置決めデータを計算する、および/または前記治療的処置の次回の実施または次回の行為についての時間情報を計算するステップ
を実施するためのソフトウェアコード部を含む、コンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のコンピュータプログラムを格納するコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための方法であって、
第1の装置(2)により、データベース(3)から、少なくとも1つの既定の指示における、一連のファーマコメトリクスモデルなどの前記治療的処置のデータモデルを得ること;
電子モニタリング装置(4)により、既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする、特に前記個体Iiのタイムスタンプを含む表示データを記録すること;
前記第1の装置(2)により、前記電子モニタリング装置(4)から、前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データを受信すること、
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の前記データモデルおよび前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算すること、
前記第1の装置(2)により、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為についての時間情報を計算または示すこと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、個体Iiに対する治療的処置を実施または行為の支援、そのシステムおよびそれを実施するためのコンピュータプログラム製品に関する。
【0002】
治療的処置の実施または行為なる用語は、本発明の意義において、保健専門家から疾病に直面する個体Iiへ指示される1セットの行動を、回復、症状の緩和また疾病の発症の予防するために、その個体Iiが行うことを意味する。
【0003】
より具体的には、治療的処置の実施は、例えば治療剤、緩和剤、予防剤などの活性物質の摂取であり得る。また、活性物質の効果および/または有効性が測定可能な範囲での食品、栄養素、オリゴ成分、炭水化物、ビタミンなどの活性物質の摂取も考慮され得る。
【0004】
より具体的には治療的処置の行為は、行為の効果および/または有効性が測定可能な範囲での、物理的行為、生理学的行為または薬剤の摂取に関連すると類推される医療装置の使用であり得る。治療的行為の例には、皮膚損傷の場合、例えばメラニン比率、皮膚損傷の大きさをモニタリングして、処置の有効性または効果を測定可能な範囲での、光線療法における光への曝露がある。
【0005】
薬剤を摂取するとは、例えば、糖尿病処置においてインスリンを摂取することを意味する。その効果は、血中の血糖を測定することによりモニタリングできる。
【0006】
食品、栄養素、オリゴ成分、炭水化物、ビタミンを摂取するとは、例えば、貧血に対する処置において鉄を摂取することを意味する。その効果は、血中のヘモグロビン比率を測定することによりモニタリングできる。
【0007】
近年、患者が処置の投薬計画を順守することへの関心が、ますます高まっている。患者へ処方される処置の投薬計画(または薬量学とも呼ばれる)は、実施または行為で推奨される用量および実施または行為の頻度によって決められる。
【0008】
処置を実施することで、薬剤、食品、栄養素、オリゴ成分、炭水化物、ビタミンの場合、その活性成分が患者により、吸収、分配、代謝、処理され、一連の処置の実施に従って、活性成分の濃度(血漿、唾液、尿、組織、血液、毛細血管など)が経時的に増加および減少することが知られる。
【0009】
投薬計画は、一般的に、治療ウィンドウ(therapeutic window)とも呼ばれる、治療間隔中の活性成分の濃度(血漿、唾液、尿、組織、血液、毛細血管など)、すなわち活性成分の濃度域が、副作用のリスクを最小限としながら治療効果、例えば治療、緩和または予防効果を確保するよう維持されることを目的とする。投薬計画は、患者に対する不十分な投薬に相当する最小濃度を下回らないことを目的とする。最小濃度を下回ることは、治療または予防の失敗のリスクの増大につながる。投薬計画は、患者に対する過剰な投薬に相当する活性成分の最大濃度を上回らないことを目的とする。最大濃度を上回ることは、毒性のリスクの増大につながる。
【0010】
また、ある特定の場合において、投薬計画は、患者の感じる副作用をより制限された時間に集約するため、または例えば特定のトランスミッターあるいはインヒビターがブロックされているような身体で確固たる効果を発揮するために、短時間の間、活性成分が非常に高濃度(血漿、唾液、尿、組織、血液、毛細血管など)であること、すなわちピークを有することを目的とする。
【0011】
そのため、治療ウィンドウは、経時的に変化し得、具体的には、各処置サイクル後に、一時的な高濃度のピークに達するかまたは休息期間となり得る。
【0012】
患者の50%より多くが自身の処置に従っていないか、またほとんど従っておらず、これは、不十分な投薬および過剰な投薬の問題の再発につながる。この数字は、人口の高齢化、慢性的疾病数の世界的増加、および異なる投薬計画であることもしばしばである複数の薬剤の摂取をすることとなる、1人の同一の患者における複数の病的状態の組み合わせ、に伴い増加する。
【0013】
処置が1つ以上の治療的行為を含む場合、処置の効果は、処置の行動方法に従って、経時的に変化し得る。
【0014】
治療的行為の頻度は、例えば、処置を無効にする不十分な行為への曝露と、処置を潜在的に危険にする過剰な行為への曝露との間となるような処置の有効性のウィンドウ中で、治療的処置の効果を維持することを目的とする。
【0015】
患者にとって、治療的処置の効果がみえることが重要である。実際、各治療的処置の実施または行為に対して、附随する効果がある。附随する効果は、例えば痛みを感じるなどの患者が直接認識可能である効果、または例えば治療的処置の活性物質の濃度などの直接認識可能でない効果である。
【0016】
各治療的処置の実施または行為に附随する効果は、濃度(血漿、唾液、尿、組織、血液、毛細血管など)、生物マーカ、測定可能または較正(例えば痛覚閾値の較正など)された治療効果により、測定可能および/または認識可能である。
【0017】
例えば、患者を光線療法により処置する場合、患者が直接認識可能である附随する効果は、患者の気分の改善または皮膚損傷の縮小である。皮膚損傷の場合、患者から直接入手可能でない附随する効果は、光線療法による治療的処置の行為後の体内のメラニンの量の調節である。患者の気分の改善の場合、患者から直接入手可能でない附随する効果は、光線療法による治療的処置の行為後の体内のメラトニンの量の調節である。
【0018】
また、患者を治療的鎮痛処置で処置する場合、患者が直接認識可能である附随する効果は、患者の痛みの減少であり、痛みは、痛覚閾値に従って較正することができる。さらには、患者から直接入手可能でない附随する効果は、治療的処置の実施後の体内の痛みを阻害することができる活性物質の量の増加である。
【0019】
治療順守とは、本発明の意義において、一方では、患者が自身の処置を実施し続ける継続期間を定義することを可能とする持続性であり、他方では、患者に自身の処置の管理および投与を毎日持続させる方法を特徴付けることができる実施である。
【0020】
例えば、患者は、省略をせず規則正しく、すなわち最大限の実施で、自身の処置に従うことができる。しかし、患者は、投薬を省略する、投薬を遅延/先行する、追加で投薬する、または自身の処置を早めに中断することがあり、これは、非持続性に相当する。
【0021】
また、例えば慢性的疾病の場合、患者は、自身の処置を数年間実施することができる、すなわち、患者は処置を持続できる。しかし、日常生活を考えると、患者は自身に最適でない実施をすることができる。すなわち患者は、意図してもしくは意図せず、薬量学に関する処置の実施時間をずらすこと、2、3回の独立した処置を実施しないこと、2、3回の連続した処置を実施しないこと、または治療的休暇に相当する処置を実施しない期間を設けることができる。
【0022】
患者は処置により提供される投薬の一部のみを実施する、または患者が処置において提供されるよりも多くの投薬を実施するので、投薬の観点から、患者は薬量学に従わないこともあり得る。
【0023】
さらに、治療順守は、文献(Adhesion therapeutique du patient chronique: des concepts a la prise en charge ambulatoire (Therapeutic adherence of the chronic patient: concepts in outpatient management), Rev Med Suisse 2013; volume 9. 1032-1036)中に挙げられるように、多数のパラメータにより影響を受ける:
個人的な有効性の感じ方
疾病のリスクにおける知識および理解
処置に関する患者の期待
処置の認識される利益
障害および促進因子。
【0024】
いずれの場合も、理論上、個体、患者の健康、ならびにヘルスケアの経済収支の維持のためには、治療、緩和または予防の治療的処置に対する最適な治療順守が有利であることは明らかである。
【0025】
現実には、患者に対する投薬計画が尊重されるかは、患者が意図しているか否かに関わらず、多数の因子に依存することは容易に考えられる。
【0026】
また、患者は、毎日同じことが起きる典型的な日を過ごすロボットではないことは、容易に観察、認識できる。対照的に、患者は、睡眠の必要性、食事、職業、職業以外の行動などの多数の「人生における偶然の出来事」に影響を受けやすい。加えて、副作用などの障害が発生すると、患者は処方された治療的処置を実施することに気が進まない。その結果、より適した場所または時間に副作用に悩まされるようにするという快適さのために、治療的処置の実施または行為のいずれかを遅延し得る。さらに、このことは、患者が時には治療が困難である病気の個体であると考えられる場合、および患者が、少しでも快適であるために休息もしくは副作用の回避が必要であるなどの「人生における偶然の出来事」にますます影響を受けやすいと考えられる場合、ますます事実に則している。
【0027】
さらに、多数の個体は、特に認知的な問題がある場合、実施する方法を確立することが困難に感じる。
【0028】
処置を受ける患者は、毎日の習慣だけでなく、臨床的研究中の試験的な治療的処置の場合においても、処方される投薬計画から頻繁に逸脱してしまう。より具体的には、例えば抗拒絶反応処置または抗凝血剤などの狭い治療ウィンドウを有する処置は、前回の投薬からの経過時間を記憶することを伴い、規則的な間隔での薬剤の摂取が重要であり、規則正しい薬剤の摂取が処置の成功における重要な因子である。患者が自身の治療的処置を実施しなければならないことを記憶することを理論上支援するための通知装置が、大多数ある。
【0029】
しかし、治療的処置の実施または行為、規則正しくない実施または行為と、例えば処置の成功か否かまたは副作用の発生と、の間の不用意なリンクを認識できることが重要である。認識される不用意なリンクにより、患者の薬量学を処置に適応させる否か、または研究における薬剤が市場に出る場合に薬量学を処方に適応させるか否か、または患者の行動を修正するために行動するか否かを決定することができる。
【0030】
処方される処置に対する順守の度合いを示し、治療を実施することを支援する装置がある。
【0031】
本発明は、本文中に記載され、個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための方法であって、
第1の装置により、データベースから、少なくとも1つの既定の指示における一連のファーマコメトリクスモデルおよび既定の各治療的処置におけるターゲットウィンドウなどの治療的処置データ、を得ること;
前記第1の装置により、以下を含む、前記個体Iiの特定のデータを得ること:
a)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される前記個体Iiの可変データ;
前記第1の装置により、前記個体Iiの前記一連のファーマコメトリクスモデルおよび前記可変データから、前記個体Iiの予測データモデルを計算すること
を含む、方法に関する。
【0032】
文献WO2015/006033の目的は、任意の個体に対する薬量学を選択することを支援する方法である。
【0033】
上述の方法において、システムは、処置のためのファーマコメトリクスモデル、より具体的には薬剤の薬物動態モデル、および処置のターゲットウィンドウ、より具体的には治療濃度域を得る。
【0034】
そのため、ヘルスケアスタッフは、特定のデータ(処置を実施するための、個体、処方される投薬、処方される薬学量、理論上の時間の可変データ)に基づいて、最も個体Iiに近似する患者のサンプルの1セットの薬物動態プロファイルから選択する。
【0035】
この文献に係る方法は、医者などのヘルスケアスタッフのために意図され、医者が個体Iiにおける薬量学、投薬間隔および血漿タンパク質の許容可能な最小濃度を調節することができる。実際、この文献に係る方法は、患者、個体Iiのために意図されていない。そのため、この方法が、患者、個体Iiの治療的処置に影響することはなく、ヘルスケアスタッフが介入することで直接的に管理される可能性はない。
【0036】
US2004/193446は、薬剤を摂取するために、電子装置により個体をモニタリングすることを記載している。電子装置は個体が薬剤を摂取し忘れた場合に、個体へ信号を送信する。
【0037】
残念なことには、現行の装置は、行われた治療的処置の効果を考慮して、過去の効果から推定される静的情報を提供する。その情報は、ヘルスケア専門家から処方されるような理論上の行動、例えば患者の情報およびパラメータを用いて訂正された処方箋に従ったモデルに基づいている。また、現行の装置は、ヘルスケアスタッフへ、患者に適応するより良い薬量学を再定義できる情報を提供する。
【0038】
従って、このモデルがときどき現実と対応しない場合がみられる。実際に実地において、患者の血液濃度測定に基づいて得られるモデルの位置を変えることは不可能である。このモデルは、不完全な順守の結果である濃度の変化を考慮しておらず、たとえモデルの変質を介して得られた訂正の後であっても、モデルから計算される濃度データを観察/測定される濃度に相当させることは不可能である。
【0039】
任意の個体の人生の事象を考慮する、各瞬間t、現在または未来の情報を提供するだけでなく、患者の治療順守の改善、すなわち規則正しい処置、さらには関心、投薬計画から逸脱した結果の患者の意識についての情報もまた提供する装置の提供が必要とされている。
【0040】
本発明は、初めに言及したような個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための第1の方法であって、
第1の装置により、データベースから、少なくとも1つの既定の指示における、一連のファーマコメトリクスモデルおよび治療的処置におけるターゲットウィンドウなどの治療的処置のデータモデルを得ること;
電子モニタリング装置により、前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする、特に個体Iiのタイムスタンプを含む、表示データを記録すること;
前記第1の装置により、前記電子モニタリング装置から、前記個体Iiの前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データを受信すること;
前記第1の装置により、前記治療的処置の前記データモデルおよび前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算すること;
前記第1の装置により、前記個体Iiの前記訂正されたモデルおよび実施または行為の前記表示データから、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける前記個体Iiの位置決めデータを計算すること、および/または前記第1の装置により、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為のための時間情報を計算するおよび/または示す
ことをさらに含むことを特徴とする方法を提供することで、上述の問題を解決することを目的とする。
【0041】
前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めまたは前記治療的処置の次回の実施または次回の行為のための時間情報は、個体が治療的処置の次回の実施または次回の行為をよりよく計画できることを可能にし、治療的処置の順守をより簡単で柔軟にする。その結果、治療的処置の順守がより効率的となる。
【0042】
本発明はまた、初めに言及したような個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための第2の方法であって、
前記第1の装置により、電子モニタリング装置から、既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする、特にタイムスタンプ、投薬および実施または行為の履歴を含む、表示データを受信すること;
前記第1の装置により、前記個体Iiの前記予測データモデルおよび既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの訂正されたデータモデルを計算すること;
前記第1の装置により、各瞬間tにおいて、前記個体Iiの前記訂正されたデータモデルおよび既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、前記個体Iiの個別化データモデルを計算すること、ここで前記個別化モデルは、前記個体Iiに対する既定の治療的処置の前回の実施または行為の全部または一部の各瞬間tにおける効果の値、実施または行為のタイムスタンプおよび前回の実施または行為の投薬を考慮する;
前記第1の装置により、前記個体Iiの前記個別化モデルおよび前記治療的処置の実施または行為の前記表示データから、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける前記個体Iiの位置決めデータを計算すること、ここで、前記ターゲットウィンドウは最小および/または最大閾値、例えば既定の有効性損失閾値および/または既定の毒性閾値を含む;
をさらに含むことを特徴とする方法を提供することにより、上述の問題を解決することを目的とする。
【0043】
本発明に係る方法は、過去の統計を変換して、先行技術における薬物動態モデルの点での治療効果との差異を明らかにし、上述の薬量学的処置/計画の点での差異を考慮する。実際に、個体Iiの個別化モデルは、前記治療的処置の実施または行為とリンクする、タイムスタンプ、実際のまたは予定される投薬、および実施または行為の履歴を含む表示データを考慮するだけでなく、個体Iiに対する既定の治療的処置の残余物量の値を考慮してもいるため、現実と対応する。
【0044】
本発明によれば、データベースは、少なくとも1つの既定の指示におけるファーマコメトリクスモデル(例えば、薬物動態学的(pharmacokinetic)および/または薬理学的(pharmacodynamic)および/または薬物経済学的(pharmacoeconomic)および/または他の任意の入手可能なファーマコメトリクスモデル)などの治療的処置データ、および既定の各治療的処置におけるターゲットウィンドウ(例えば、治療ウィンドウおよび/または到達すべき有効性閾値および/または上回るべきでない毒性閾値および/または費用/利益ウィンドウおよび/または他の任意のターゲットウィンドウであり、ターゲットウィンドウは経時的に変化する)を含み、これらは、データベースに保存、記録される。個体Iiのパラメータがデータベースに記録されていてもよく、個体Iiの濃度データがデータベースに記録されていてもよく、より具体的には個体Iiの可変データがデータベースに記録されていてもよい。
【0045】
さらに、本発明に係る方法は、前記第1の装置により、遺伝マーカ、生物マーカの生理学上のグループ(例えば、体重、年齢、性別)から選択される、前記個体Iiの前記ファーマコメトリクスモデルのパラメータを含む、前記個体Iiの特定のデータを得ることを含む。
【0046】
本発明に係る方法は、前記第1の装置により、測定された処置の効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続期間、費用/効果比の群から選択される、前記個体Iiの医療データを含む、前記個体Iiの特定のデータを得ることをさらに含む。
【0047】
本発明に係る方法は、前記第1の装置により、前記個体Iiにおけるファーマコメトリクスモデルのパラメータおよび/または前記個体Iiの前記医療データから、前記個体Iiの予測データモデルまたは前記個体Iiの訂正されたデータモデルまたは前記個体Iiの個別化データモデルを計算することをさらに含む。
【0048】
実際には、本発明に係る第1の装置は、個体Iiにおけるファーマコメトリクスモデルのパラメータおよび/または個体Iiの医療データを得ることで、現実に近い予測データモデルまたは訂正されたデータモデルまたは個別化データモデルを計算することができる。実際には、本発明に係る第1の装置が個体Iiの特定のデータを得るほど、個体Iiの予測データモデルまたは訂正されたデータモデルまたは個別化データモデルがより正確で完全になる。
【0049】
さらに、第1の装置は、1つ以上のデータベースを含み得る。実際には、第1の装置は、少なくとも1つの既定の指示における一連のファーマコメトリクスモデル(例えば薬物動態学的および/または薬理学的および/または薬物経済学的)および既定の各治療的処置におけるターゲットウィンドウ(ターゲットウィンドウは経時的に変化し得る)などの治療的処置データを含む、第1のデータベースを含み得る。
【0050】
第1の装置は、a)遺伝マーカ、生物マーカの生理学上のグループ(例えば、体重、年齢、性別)から選択される、個体Iiにおけるファーマコメトリクスモデルのパラメータ;b)測定された処置の効果、測定された濃度、副作用推定半減期、推定行為持続期間、費用/効果比の群から選択される個体Iiの医療データ;およびc)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される個体Iiの可変データなどの、個体Iiの特定のデータを含む第2のデータベースを含み得る。
【0051】
第1の装置は、少なくとも1つの既定の指示における一連のファーマコメトリクスモデル(例えば、薬物動態学的および/または薬理学的および/または薬物経済学的)および既定の各治療的処置におけるターゲットウィンドウなどの治療的処置のデータ、ならびにa)遺伝マーカ、生物マーカの生理学上のグループ(例えば、体重、年齢、性別)から選択される、個体Iiにおけるファーマコメトリクスモデルのパラメータ;b)測定された処置の効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続期間、費用/効果比の群から選択される個体Iiの医療データ;c)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される、個体Iiの可変データなどの、個体Iiの特定のデータの両方を含む第3のデータベースを含み得る。
【0052】
本発明によれば、第1の装置は、電子モニタリング装置から、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを受信する。これらの表示データは、特に、タイムスタンプ、例えば実際のまたは予定される投薬および処置の実施または行為の履歴を含む。
【0053】
次いで、第1の装置は、個体Iiの同化、分配、代謝、および/または除去、および/または測定された処置の効果および/または測定された濃度および/または副作用および/または推定半減期および/または推定行為持続期間に関する医療データ、ならびに日付、時間、投薬、および実施または行為および治療的処置の実施または行為の履歴を考慮しながら、個体Iiの予測データモデルおよび治療的処置の実施とリンクする表示データから、患者に対する治療的処置の時間に伴う効果を表す個体Iiの訂正されたデータモデルを計算する。
【0054】
個体Iiの訂正されたデータモデルを計算することで、従来のファーマコメトリクスモデルに関する差異を考慮し、かつ処方された処置に関する実施または行為における差異を考慮するモデルを提供することができる。それは、治療的処置の実際の実施または行為の履歴を考慮する。
【0055】
実際には、先行技術の従来の薬物動態モデルに関して、測定される治療効果のピークまたは谷(trough)は、例えば、吸収、分配、代謝、および/または除去における変化などの患者の薬物動態学的パラメータによる説明しかできない。
【0056】
本発明によれば、例えば治療的処置の活性物質の濃度のピークなどの治療効果のピークがモデルにおいて観察されるとき、ピークが治療的処置の実施または行為の事象と同時に発生する場合、ピークは急速な同化に起因すると考えるのではなく、処置の実施または行為の結果として説明することができる。例えば濃度の谷などの治療効果における谷がモデルにおいて観察されるとき、ある時間に渡って谷が治療的処置の実施または行為をしていないのと同時に発生する場合、谷は急速な除去によるものではなく、治療的処置の実施または行為の省略によるものであると説明することができる。
【0057】
従って、個体の訂正されたデータモデルは、治療的処置の実施とリンクする表示データを考慮しているため、差異を明らかにすることが可能であり、効果の変動を誤った原因に帰さないことが可能である。
【0058】
その結果、治療効果の差異または治療効果の副作用もが、例えば吸収、分配、代謝または除去における変化などの患者とリンクする生理学的問題または治療的処置とリンクする問題だけでなく、患者の治療順守の問題に直接的に起因すると考えることができる。
【0059】
電子モニタリング装置は、電源、センサ、プロセッサ、通信ユニット、時計およびメモリを含む。上述の構成要素は、1つ以上の電子装置に含まれ得る。個体Iiが治療的処置の実施または行為を行う場合、電子モニタリング装置のセンサが自動的または非自動的に作動する。例えば、押下ボタンの場合、センサ上の個体Iiの行為が治療的処置の実施または行為の事象として記録される。プロセッサは、治療的処置の実施または行動の事象を処理し、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを含む信号を生成するよう設計される。これらの表示データは、タイムスタンプ、実際のまたは予定される投薬、および治療の実施または治療的行為の履歴を含む。実際には、プロセッサは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを、電子モニタリング装置のメモリ内に記録する。またプロセッサは、ディストリビュータによる薬剤の分配または治療的処置の行為とリンクする表示データを記録する。
【0060】
電子モニタリング装置とは、本発明の意義において、電子モニタリング装置を有する、例えばパッケージ、筐体、薬剤のための容器、埋め込み型(または非埋め込み型)ディストリビュータを意味する。また、電子モニタリング装置とは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを含む信号を生成するよう設計されるスマートフォンアプリケーション、タブレットまたはスマートウォッチ、または他の任意の電子記録装置を介して接続される、パッケージ、筐体、薬剤のための容器、埋め込み型(または非埋め込み型)ディストリビュータをも意味する。電子モニタリング装置はまた、患者が自身の治療的処置の実施または行為を行ったことを明示することを可能にする他の任意の記録手段、例えばレジスターを意味する。
【0061】
本発明によれば、第1の装置は、個体Iiの訂正されたデータモデルおよび治療的処置の実施または行為とリンクする表示データに基づき、各瞬間t、現在または未来において、個体Iiの個別化データモデルを計算する。
【0062】
実際には、本発明によれば、個体Iiの個別化データモデルは、各瞬間tにおける、個体Iiに対する既定の治療的処置の前回の実施または効果の全部または一部の効果の値、すなわち治療的処置の割合、例えば個体に対する治療的処置の活性物質のうち依然として除去されていない割合、を考慮する。残留強度および前回の実施または行為の投薬の値を考慮した個体の訂正されたデータモデルに基づき、本発明に係る第1の装置は、治療的処置の実施または行為とリンクするデータおよびタイムスタンプを用いて、各瞬間t、現在または未来において、個体Iiの個別化データモデルを計算する。
【0063】
本発明によれば、第1の装置は、個体の個別化モデルおよび治療的処置の実施または行為とリンクする表示データに基づき、各瞬間において、既定の治療的処置のターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータを計算する。
【0064】
実際には、第1の装置は、治療的処置の別の実施または行為の後の濃度および/または効果の時間に伴う変化を予測して計算することを可能にし、これは、各瞬間tにおける、個体Iiに対する既定の治療的処置の前回の実施または行為の全部または一部の効果の予測される値を考慮している。
【0065】
ターゲットウィンドウは、経時的に変化し得、任意の時間における最小および/または最大閾値、例えば既定の有効性損失閾値および/または毒性閾値を含む。
【0066】
特に有利なことには、本発明によれば、第1の装置により、ターゲットウィンドウ(治療ウィンドウおよび/または到達すべき有効性閾値および/または上回るべきでない毒性閾値および/または費用/利益ウィンドウおよび/または他の任意のターゲットウィンドウ)における個体Iiの位置決めデータを計算することができる。これらの位置決めデータは、個体Iiの個別化モデルおよび治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを考慮しており、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データにより、治療順守における差異を考慮しながら個体Iiのために個別化される。
【0067】
実際には、有利なことに、本発明に係る第1の装置は、治療的処置の実施または行為を支援するための方法を実施することで、各瞬間t、現在または未来においてターゲットウィンドウにおける個体Ii、すなわち患者の治療効果の位置決めを行うことにより、ある個体Iiを、規則正しい治療的処置すなわち最適な治療順守の重要性を重視させることが可能である。そのため、各瞬間t、現在または未来において、個体Iiは、自身が、毒性閾値および/または有効性損失閾値、および/または到達すべき有効性閾値に近いかどうか、および/または費用/利益ウィンドウまたは他の任意のターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めを認識することができる。
【0068】
本発明に係る装置は、各瞬間t、現在または未来でのターゲットウィンドウにおける自身の処置の治療効果を実体化することにより、個体Ii、すなわち患者を、処置の治療効果に対する治療順守の影響を重視させることが可能である。実際には、治療順守、治療効果および治療的処置の有効性の関係が患者に見えることが重要である。
【0069】
ヘルスケア専門家がこの情報を入手可能であれば、その結果、患者、個体Iiが、同化、分配、代謝および/または除去の問題に直面しているのではなく、治療順守の問題に直面していることを認識することができる。この場合、解決法は、治療的処置、例えば薬剤を毒性が増加するリスクを伴って過剰摂取することまたは治療的処置分子を変更することではなく、この行動の原因を理解することおよび良い治療順守を患者に教育することである。
【0070】
本発明の好ましい実施形態に係る方法は、第1の装置により、個体Iiの前記位置決めデータから、既定の前記治療的処置のターゲットウィンドウにおける、治療的処置の次回の実施または行為前に尊重されるべき時間間隔Tminを計算することをさらに含む。
【0071】
本発明の別の好ましい実施形態に係る方法は、第1の装置により、個体Iiの前記位置決めデータから、既定の前記治療的処置のターゲットウィンドウにおける、治療的処置の次回の実施または行為に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することをさらに含む。
【0072】
特に有利なことには、第1の装置により、治療的処置の次回の実施前に尊重されるべき時間間隔Tminおよび/または治療的処置の次回の実施に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することで、正確かつ簡潔な情報を患者に提供し、未来の患者の治療計画、すなわち治療的処置の次回の実施、次回の行為が発生すべきまでのTminおよびTmax間の時間間隔を理解することが可能となる。
【0073】
第1の装置により、治療的処置の次回の実施前に尊重されるべき時間間隔Tminを計算することで、治療効果、例えば個体Iiに対する活性物質の濃度が、最大閾値、例えば既定の毒性閾値を上回らないような、患者、個体Iiが治療的処置の実施または行為を行ってはならない時点までの最小時間についての情報を提供することが可能となる。
【0074】
第1の装置により、治療的処置の次回の実施に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することで、治療効果、例えば体内の活性物質の濃度が最小閾値、例えば規定の有効性損失閾値を下回らないような、患者、個体Iiが治療的処置の実施または行為を行わなければならない時点までの最大時間についての情報を提供することができる。
【0075】
実際、治療効果、例えば活性物質の濃度が、毒性閾値を上回る、または有効性損失閾値を下回ることは望ましくなく、どちらの場合においても、治療的処置を成功させるためには、個体Iiの活性物質の濃度が臨界閾値を通過することを可能な限り制限することにより、個体Iiの活性物質の濃度をターゲットウィンドウ内に留めることが重要である。
【0076】
本発明によれば、過去または患者の治療順守の履歴に関するスコアについての情報を提供することとは異なり、第1の装置は、将来的に尊重されるべき時間および/または分(整数であるかどうかに関わらず)の値で表すことができる数字を提供する:
-治療的効果、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、既定の毒性の最大閾値を上回らないような、治療的処置の次回の実施または次回の行為前の時間間隔Tmin、
-治療効果、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、既定の有効性損失閾値の最小閾値を下回らないような、治療的処置の次回の実施または次回の行為に対する時間間隔Tmax。
【0077】
本発明に係る方法はそれゆえ、いずれにせよ行為が遅すぎる場合の過去の効果に基づく単一の指示を個体Iiに提供せず、治療的処置の将来の実施または行為のために個体Iiをガイドすることによって、個体Iiの治療的処置の効果の最適化を支援する。
【0078】
これにより、一例として、気分を改善するために光線療法により処置される患者は、体内のメラトニン比率が有効性損失閾値を下回り、気分が悪化する前に、例えば、20時間、18時間、15時間、12時間、10時間、8時間、5時間、2時間の間、光線療法が患者において維持されることを知ることができる。
【0079】
また、これにより、鎮痛活性物質によって治療される患者においては、患者の体内の鎮痛活性物質比が有効性損失閾値を下回り、痛みが再発する前に、例えば5時間、鎮痛活性物質が患者の体内に維持されることを知ることができる。
【0080】
有利には、本発明に係る方法は、第1の装置により、前記既定の治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為前の、少なくとも1つの時間間隔「緩衝Tmin」を計算することをさらに含む。
【0081】
有利には、本発明に係る方法は、第1の装置により、前記既定の治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為のための、少なくとも1つの時間間隔「緩衝Tmax」を計算することをさらに含む。
【0082】
従来のターゲットウィンドウ、例えば治療ウィンドウは、以下の3つの領域を含む:治療効果、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、治療的処置によって所望の治癒的、緩和的、予防的効果を生じるような効果である最適領域;既定の毒性閾値によって最適領域から区切られた毒性領域;有効性損失閾値によって最適領域から区切られた有効性損失領域。
【0083】
本発明において特に有利であると考えられることは、例えば3つの上述した領域に加えて、(例えば有効性損失)最小緩衝領域および(例えば毒性)最大緩衝領域をさらに含む、5つの領域を有するターゲットウィンドウ(例えば治療ウィンドウ)を提供することである。
【0084】
有効性損失緩衝領域は、典型的には処置の許容性の概念に基づいており、治療効果、例えば個体の活性物質の濃度が、有効性損失領域を通過することを予測することができる。
【0085】
毒性緩衝領域は、治療効果、例えば活性物質の濃度が、毒性領域を通過すること予測することができる。
【0086】
本発明によれば、有利なことには、第1の装置により、時間間隔緩衝Tminおよび/または時間間隔緩衝Tmaxを計算することにより、患者がより柔軟かつ快適に、自身の治療的処置を管理することができる。
【0087】
さらに、有効性損失領域および毒性緩衝領域は、一方では改変されてもよく、他方では動的であってもよい。
【0088】
実際に、これらの緩衝領域は、患者の感じ方に従って改変されてもよく、例えば、治療的処置の実施または行為の後に深刻な副作用を感じる患者は、副作用の感じ方を減少させるために、毒性緩衝領域を改変することを、患者自身または医療従事者を介して決定することができる。
【0089】
また、患者が治療的処置の実施または行為を行う習慣を構築することが重要であり、これを行うためには、動的な緩衝領域を有することが必要である。目的は、規則正しい治療的処置の実施または行為の習慣を患者に作らせるために、患者に、狭い最適領域、すなわち大きな毒性緩衝領域および大きな有効性損失緩衝領域で開始させることである。一度患者が治療的処置の実施または行為の習慣を作れば、毒性緩衝領域および有効性損失緩衝領域を減少させ、制限してもよく、最適領域がより大きくなることにより、より柔軟かつ快適に治療的処置を管理することができる。
【0090】
他の実施形態において、本発明に係る方法は、第1の装置により、前記既定の治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為の前の、少なくとも1つの第2の時間間隔緩衝Tmin、および/または前記既定の治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為に対する、少なくとも1つの第2の時間間隔緩衝Tmaxを計算することを、さらに含む。
【0091】
さらに、緩衝領域は患者が誰であったとしても存在し、薬剤の特性を含む。これらの緩衝領域は、患者、または医療従事者によって、予防的または非予防的に改変されて適応されることが可能であり、医療従事者による治療的処置の実施または行為に対するアドバイスに基づいて行動することを可能にする。
【0092】
有利なことには、前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータが、以下から構成される群の中から選択される情報の少なくとも1つを示す:
-治療的処置の実施時間、前回の行為時間、
-個体Iiに対する既定の治療的処置のファーマコメトリクスモデルの応答、
-既定のターゲットウィンドウの前記最小閾値を下回る、既定の治療的処置の応答前の時間、Tmax
-既定の治療的処置の応答が既定のターゲットウィンドウの前記最大閾値を超えないような時間、Tmin。
【0093】
有利には、位置決めデータは、ターゲットウィンドウの最小緩衝閾値を下回る、既定の治療的処置の応答前の少なくとも1つの時間間隔緩衝Tmaxをさらに表す。
【0094】
有利には、位置決めデータは、既定の治療的処置からの応答がターゲットウィンドウの前記最大緩衝閾値を超えないような、少なくとも1つの時間間隔緩衝Tminをさらに表す。
【0095】
実際、位置決めデータは以下を示す:
治療的処置の実施時間、前回の行為時間は、病気、老化した患者、または記憶障害を患っている患者にとってより重要である、治療的処置の実施または行為の履歴に基づく指示を患者に提供する。
【0096】
個体Iiに対する既定の治療的処置の効果は、ターゲットウィンドウにおける患者の位置決めについての情報を、患者に提供することを可能にする。これはさらに、例えば副作用または疲労が増加した場合において、患者の危険、毎日の人生のイベントを予測することを可能にする。患者は、治療効果、例えば患者の体内の活性物質の濃度が、ターゲットウィンドウにおいてどこに位置するかを知り、安心することができ、治療的処置の成功を心配することなく任意の活動を行うことができる機会を有する。
【0097】
時間Tmaxは、既定の治療的処置の応答がターゲットウィンドウの最小閾値を下回る前の時間であり、時間Tminは、既定の治療的処置の応答がターゲットウィンドウの最大閾値を超えないような時間である。非常に有利なことに、これらの2つの情報により、患者、個体Iiは、例えば睡眠、副作用、仕事関連の旅行、専門外の活動などの人生のイベントをより良く予期することができる。
【0098】
実際、時間間隔緩衝Tmaxおよび/または時間間隔緩衝Tminを患者に提供することにより、患者が、治療的処置をより良く理解し、確実に適切な用量を服用し、最適な有効性/毒性バランスを維持しながら、より柔軟により快適に治療的処置を管理することができる。
【0099】
最終的に、提案されたシステムは、患者が、処方者と協力し、処置の効果を最適に制御しながら、用量および薬剤を摂取する間隔の両方に関して、自身の薬剤を管理することを可能にするとみなすことができ、このことは、薬量学が個別化されているまたは経時的に変動するということに立ち戻る。
【0100】
この情報により、患者は、自身の治療の応答の前に、例えば患者の体内の治療的処置の活性物質の濃度が、有効性損失緩衝領域において有効性損失緩衝閾値を下回る、または臨界有効性喪失領域を超える前に、どのぐらい時間があるかを知ることができる。実際に有利なことには、患者がこの時間枠内に治療的処置の実施または行為を行わずに、臨界有効性損失領域を下回る前に、患者には2時間残されているという情報を、有効性損失緩衝領域を介して、患者に与えることができる。
【0101】
さらに、この情報により、患者は、治療効果、例えば治療的処置の活性物質の濃度が、毒性緩衝領域、毒性緩衝閾値を超えない、または毒性緩衝領域中を通過しないような時間はどれくらいあるかを知ることができる。実際に有利なことには、この時間枠内に治療的処置の実施または行為を行い、臨界特性領域を通過しないために、治療の実施または治療的行為を行うまでに2時間またなければならないという情報を、毒性緩衝領域を介して、患者に与えることができる。
【0102】
これは、偶然の出来事または日常のイベントの場合において、自身の治療的処置の実施または行為を適応したい患者にとって特に有利である。例えば、ターゲットウィンドウの最適領域に位置する患者は、本発明に係るデータを用いて、患者は、臨界毒性閾値を下回ったままにするための理想的な時間に、薬剤の摂取(例えば半錠の摂取)または治療的処置の行為を行う機会を有し、さらに患者は臨界有効性損失領域に入る目に残された時間を知る。これにより、治療的処置に対する自主性および快適性を患者に提供することが可能となり、患者が、仕事に関する旅行、任意の活動、必要な睡眠時間等の日常の人生のイベントを予期することを可能とする。
【0103】
さらに、医療従事者には、治療的処置の薬量学に適応させる可能性、または治療上の決定を行う機会を有する。
【0104】
別の実施形態において、本発明に係る方法は、好ましくは情報装置、例えばディスプレイ装置により、少なくとも1つのデータを表示することをさらに含む。
【0105】
実際、少なくとも1つのデータを表示することは、患者、個体Iiに明確、正確、かつ直接入手可能で理解可能な情報を提供することができるため、特に有利である。
【0106】
さらに、ターゲットウィンドウにおける患者の位置決めを示す、明確、正確、かつ理解可能な情報を入手可能であることによって、患者は、例えば困難な治療の副作用を低減するために、自身の治療的処置の実施または行為を最適化できる。実際、患者は、24時間ごとに、例えば1つの錠剤全体を摂取するといった治療的処置を完全に実施するのではなく、12時間ごとに、例えば半錠摂取するといった治療的処置を半分実施することを選択することができる。
【0107】
有利には、本発明に係る方法は、第1の装置および/または電子モニタリング装置および/またはスマートデバイス(タブレット、時計、スマートフォンなど)により、各瞬間t、現在または未来において、治療効果が、最小閾値、例えば有効性損失閾値を下回る、最大閾値、例えば毒性閾値を上回る、最小緩衝閾値、例えば有効性損失閾値を下回る、最大緩衝閾値、例えば毒性閾値を上回る場合に、好ましくは可視的または可聴的な警告信号を送信することをさらに含む。
【0108】
さらに、特に有利なことには、本発明によれば、少なくとも1つのデータの表示を可能とする情報装置、および/または第1の装置、および/または電子モニタリング装置、および/またはディスプレイ装置、および/または警告信号の送信を可能とするスマートデバイスは、インターフェースを備え、より具体的にはスマートパーソナルアシスタンスシステム(より一般的にはスマートパーソナルアシスタント、またはバーチャルパーソナルアシスタントとも称される)を備える。これはさらに、情報、警告、リマインダなどの信号を個体に送ることによって、個体にタスクまたはサービスを行わせることを可能にする。インターフェースは、より具体的にはスマートパーソナルアシスタントは、文字による通信手段および/または音声による通信手段によって、患者と対話し、信号を送信し、情報を与えることができる。例としては、Alexa、Google Assistant、Google Now、Cortana、Blackberry Assistant、Bixby、Siri、Vivなどが挙げられる。
【0109】
実際に、特に有利なことには、本発明によれば、治療的処置の治療効果が上述の閾値の1つを通過する場合に、各瞬間t、現在または未来において、警告信号を患者に提供することができる。
【0110】
有利には、本発明に係る方法は、少なくとも1つの前記治療的処置の実施または行為とリンクするデータを受信した後、好ましくは、治療的処置の少なくとも2半減期、好ましくは治療的処置の少なくとも2.5半減期、有利には治療的処置の少なくとも3半減期、有利には治療的処置の少なくとも4半減期、好ましくは治療的処置の5半減期についてのデータ受信した後、第1の装置により、個体Iiの前記予測データモデルおよび前記表示データから、個体Iiの個別化データモデルを計算することをさらに含む。
【0111】
実際に、第1の装置が治療的処置の実施または行為の前記表示データをより多く受信するほど、個体Iiの個別化データモデルがより正確になり、より現実を反映するようになる。
【0112】
例えば、治療的処置の1半減期についての前記表示データを受信することで、個体Iiの個別化データモデルの計算が可能となり、治療的処置の2半減期についての前記表示データを受信することで、より良い個体Iiの個別化データモデルの計算が可能となり、治療的処置の3半減期についての前記表示データを受信することで、現実に最も近い個体Iiの個別化データモデルの計算が可能となる。
【0113】
有利には、本発明に係る方法は、第1の装置により、表示データセットにおいて、受信される第1の表示データを除外することをさらに含む。
【0114】
特に有利なことには、第1の装置により、治療的処置の実施または行為の表示データセットにおいて、受信される第1の表示データを除外することにより、個体Iiの個別化モデルの精度を顕著に失うことなく、必要な計算時間および要求される記憶容量を最適化しながら、各瞬間tにおける現実を反映することが可能となる。
【0115】
実際には、既定数の第1の表示データ、例えば1つ、2つ、3つ、4つの第1の表示データが、例えば10、9つ、8つ、7つなどの受信した表示データから、第1の装置によって除外される。
【0116】
有利なことに、これは、個体Iiの個別化モデルを計算するために、ある瞬間tにおける最新の患者の順守の行動を最もよく示す、治療的処置の実施または行為の表示データを保存することを可能にする。
【0117】
本発明に係る個体Iiの治療的処置の実施または行為を支援するための方法の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示される。
【0118】
本発明はまた、個体Iiの治療的処置の実施または行為の支援を目的とするシステムであって、前記システムは、
-第1の装置
-データベース
-ディスプレイ装置
-電子モニタリング装置
を含み、
前記システムは、本発明に係る方法のステップを実行するよう構成されている、システムに関する。
【0119】
実際に、第1の装置、データベース、ディスプレイ装置、および電子モニタリング装置を含み、個体Iiに対する治療的処置の実施または行為の支援を目的とする装置を用いて、本発明に係る方法のステップを実施することが可能である。
【0120】
実際には、データベースは薬剤についてのデータを含み、これらのデータは、少なくとも1つの既定の指示における少なくとも1つの既定の治療的処置の一連の薬物動態学的および/または薬物力学的モデルおよび既定の各治療的処置に対するターゲットウィンドウを含む。データベースは、通信ユニットを含む。さらに、このデータベースまたは別のデータベースにはさらに、データ(a)、(b)、および(c)もまた保存、記録される。
【0121】
電子モニタリング装置は、電源、センサ、プロセッサ、通信ユニット、時計およびメモリを備える。上述の構成要素は、1つ以上の電子装置に含まれ得る。個体Iiが治療的処置の実施または行為を行うとき、電子モニタリング装置のセンサは、自動的または非自動的に作動する。例えば押しボタンの場合、センサ上の個体Iiの行為が、治療的処置の実施または行為として記録される。プロセッサは治療的処置の実施または行為の事象を処理し、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを含む信号を生成するよう設計される。これらの表示データは、タイムスタンプ、実際のまたは想定される投薬、および治療の実施または治療的行為の履歴を含む。実際に、プロセッサは、治療的処置の実施または行為にリンクする表示データを、電子モニタリング装置のメモリ内に記録する。
【0122】
本発明に係るシステムの第1の装置は、電源、プロセッサ、通信ユニット、およびメモリを含み、データベースおよび電子モニタリング装置から受信したデータに基づいて、計算するステップを実行するように構成されている。
【0123】
ディスプレイ装置は、装置に統合されていてもよく、電源、通信ユニットおよびプロセッサを含み、明確、正確、単純かつ直接入手可能で、理解可能な情報を、個体Iiに提供するよう構成される。
【0124】
本発明に係るシステムの好ましい実施形態では、第1の装置、ディスプレイ装置、電子モニタリング装置が、1つの筐体に統合されている。
【0125】
本発明に係るシステムの別の実施形態では、第1の装置およびディスプレイ装置が、電子モニタリング装置とは別個に、1つの筐体に統合されている。
【0126】
本発明に係るシステムの別の実施形態では、電子モニタリング装置およびディスプレイ装置が、第1の装置とは別個に、1つの筐体に統合されている。
【0127】
本発明に係るシステムの別の実施形態では、第1の装置および電子モニタリング装置が、ディスプレイ装置とは別個に、1つの筐体に統合されている。
【0128】
本発明に係るシステムの別の実施形態では、電子モニタリング装置、ディスプレイ装置、および第1の装置が、別個の筐体に統合されている。
【0129】
有利には、本発明に係るシステムは、第1の装置、データベース、ディスプレイ装置および電子モニタリング装置は、通信ユニットを含み、かつ無線通信による通信手段で接続されるか、またはデータ交換のために物理的に接続されることを特徴とする。
【0130】
有利には、本発明に係るシステムの電子モニタリング装置は、少なくとも1つの電源、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの時計、少なくとも1つの通信ユニット、および少なくとも1つのメモリをさらに備える。上述の構成要素は、1つ以上の電子装置に含まれ得る。電子モニタリング装置は、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする、タイムスタンプ、投薬、および治療的処置の実施または行為の履歴を含む表示データを生成するよう構成される。
【0131】
本発明に係るシステムの他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示される。
【0132】
本発明はさらに、第1の装置のためのプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムは、前記第1の装置上で実行されるとき本発明に係る方法のステップを実施するためのソフトウェアコード部を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0133】
有利な実施形態においては、本発明に係るコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアコード部が格納されているコンピュータ読み取り可能な媒体を含み、プログラムは、第1の装置の内部メモリに直接読み込むことができる。
【0134】
本発明に係るコンピュータプログラム製品の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示される。
【0135】
本発明はさらに、個体Iiに対する治療的処置の実施または行為を支援するための第2の方法であって、
-第1の装置(2)により、データベース(3)から、少なくとも1つの既定の指示における一連のファーマコメトリクスモデル、および既定の各治療的処置のためのターゲットウィンドウのような、治療的処置のデータを取得すること;
-第1の装置(2)により、(a)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間からなる群から選択される、個体Iiの可変データを含む個体Iiの特定のデータを取得すること:
-第1の装置(2)により、前記一連のファーマコメトリクスモデルおよび前記個体Iiの可変データから、個体Iiの予測データモデルを計算すること:
を含む、方法に関する。
【0136】
治療的処置の実施または行為を支援するためのこの第2の方法は、
-第1の装置(2)により、電子モニタリング装置(4)から、既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする、特にタイムスタンプ、投薬、および既定の治療的処置の実施または行為の履歴を含む、表示データを受信すること;
-前記既定の治療的処置の実施または行為とリンクするデータを少なくとも1つ受信した後、第1の装置(2)により、個体Iiの前記予測データモデルおよび前記表示データから個体Iiの個別化データモデルを計算すること;
-第1の装置(2)により、各瞬間tにおいて、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データに基づいて個体Iiの個別化データモデルを計算すること、
ここで前記個別化モデルは、各瞬間tにおける、個体Iiに対する既定の前記治療的処置の事前の実施または行為の一部または全ての効果、実施または行為のタイムスタンプおよび治療的処置の実施または前回の行為の投薬の値を考慮する;
ことをさらに含むことを特徴とする。
【0137】
個体が自身の治療的処置を開始する時、個体は治療的処置の最初の実施または行為を行い、この実施または行為の事象が、電子モニタリング装置内に記録される。その後、患者は治療的処置を継続し、治療的処置の実施または行為の度に、治療的処置の実施または行為の事象が、電子モニタリング装置に記録される。
【0138】
第1の装置は既定の治療的処置の実施または行為にリンクする表示データを受信し、その後個体Iiの個別化データモデルを計算する。
【0139】
本発明によれば、第1の装置により、前記既定の治療的処置の実施または行為にリンクする少なくとも1つのデータを受信することにで、個体Iiの個別化データモデルを計算することが可能であることが示される。
【0140】
第1の装置は、各瞬間t、現在または未来において、個体Iiの個別化モデルを計算する。治療的処置の少なくとも1半減期についての前記表示データ、好ましくは少なくとも2半減期、好ましくは治療的処置の少なくとも2.5半減期、有利には治療的処置の少なくとも3半減期、有利には治療的処置の少なくとも4半減期、好ましくは治療的処置の少なくとも5半減期についての前記表示データ、個体Iiの前記予測データモデルを受信した後、最良の個体Iiの個別化モデルが得られる。
【0141】
「治療的処置の半減期」とは、本発明の意義において、例えば分子、薬剤、活性成分といった活性物質が、その薬理学的活性または生理学的活性の半分を失うまでにかかる時間を意味する。
【0142】
実際に、第1の装置が治療的処置の実施または行為の前記表示データをより多く受信するほど、個体Iiの個別化データモデルがより正確性になり、より現実を反映する。
【0143】
例えば、治療的処置の1半減期についての前記表示データを受信することで、個体Iiの個別化データモデルを計算することが可能となり、治療的処置の2半減期についての前記表示データを受信することとで、個体Iiのより良い個別化データモデルの計算が可能となり、治療的処置の3半減期についての前記表示データを受信することで、個体Iiの最も現実に近い個別化データモデルの計算が可能となる。
【0144】
有利には、第2の方法はさらに、第1の装置により、治療的処置の実施または行為の表示データセット中の、受信した第1の表示データを除外することを含む。
【0145】
特に有利なことには、第1の装置により、表示データ内の受信した第1の表示データを除外することで、個体Iiの個別化モデルが、顕著に精度を失うことなく、必要な計算時間、および要求される記憶容量を最適化しながら現実を反映することが可能となる。
【0146】
実際には、第1の装置により、既定数の第1の表示データ、例えば1つ、2つ、3つ、4つの第1の表示データが、例えば10、9つ、8つ、7つ、などの受信した表示データから除外される。
【0147】
これは、個体Iiの個別化モデルを計算するための、ある瞬間tにおける最新の患者の順守の行動を最も示している治療的処置の実施または行為の表示データの保存を可能とするため有利である。
【0148】
さらに、本発明に係る第2の方法は、第1の装置により、遺伝マーカ、生物マーカの生理学上の群(例えば、体重、年齢、性別)から選択される個体Iiのファーマコメトリクスモデルのパラメータを含む、個体Iiの特定のデータを得ることを含む。
【0149】
本発明に係る第2の方法はさらに、第1の装置により、処置の測定された効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続時間、費用/効果比の群から選択される個体Iiの医療データを含む、個体Iiの特定のデータを得ることを含む。
【0150】
本発明に係る第2の方法はさらに、第1の装置により、個体Iiのファーマコメトリクスモデルおよび/または個体Iiの医療データの前記パラメータから、個体Iiの予測データモデル、または個体Iiの訂正されたデータモデルまたは個体Iiの個別化データモデルを計算することを含む。
【0151】
実際、特に有利なことには、本発明に係る第1の装置が、個体Iiに対するファーマコメトリクスモデルのパラメータおよび/または個体Iiの医療データを得ることにより、より現実に近い予測データモデルを計算することができる。実際、本発明に係る第1の装置が個体Iiの特定のデータをより多く得るほど、個体Iiの予測データモデルはより正確かつより完全となる。
【0152】
有利には第2の方法はさらに、第1の装置により、個体Iiの前記個別化モデルおよび前記治療的処置の実施の表示データから、前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータを計算することを含み、前記ターゲットウィンドウは、最小閾値および/または最大閾値、例えば既定の有効性損失閾値および/または既定の毒性閾値を含む。
【0153】
好ましい実施形態において、第2の方法はさらに、第1の装置により、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける、個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為前に尊重されるべき時間間隔Tminを計算することを含む。
【0154】
本発明に係る第2の方法の他の好ましい実施形態において、第2の方法はさらに、第1の装置により、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける、個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することを含む。
【0155】
特に有利なことには、第1の装置により、治療的処置の次回の実施前に尊重されるべき時間間隔Tminおよび/または治療的処置の次回の実施に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することにより、患者の将来の治療計画、すなわち治療的処置の次回の実施、次回の行為が発生すべきまでのTminとTmaxとの間の時間間隔について理解するための、正確かつ単純な情報を、患者に提共することが可能となる。
【0156】
第1の装置により、治療的処置の次回の実施前に尊重されるべき時間間隔Tminを計算することで、治療効果、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、既定の毒性閾値を上回らないように、患者、個体Iiが治療的処置の実施または行為を行ってはいけない最小時間についての情報を提供することが可能となる。
【0157】
第1の装置により、治療処置の次回の実施に対して尊重されるべき時間間隔Tmaxを計算することで、治療効果、例えば体内の活性物質の濃度が、既定の有効性喪失閾値を下回らないように、患者、個体Iiが治療的処置の実施または行為を行わなければならなくなるまでの最長時間についての情報を提供することができる。
【0158】
実際、治療効果、例えば活性物質の濃度が、毒性閾値を上回るまたは有効性損失閾値を下回ることは望ましくなく、どちらの場合においても、治療的処置を成功させるためには、個体Iiの活性物質の濃度が臨界閾値を通過することを可能な限り制限することによって、個体Iiの活性物質の濃度をターゲットウィンドウ内に留めることが重要である。
【0159】
本発明によれば、過去または患者の治療順守の履歴に関するスコアについての情報を提供することとは異なり、第1の装置は、例えば、将来的に尊重されるべき時間および/または分(整数であるかどうかに関わらず)の値で表すことができる数字を提供する:
-治療応答、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、最大閾値、例えば既定の毒性を上回らないような、治療的処置の次回の実施または次回の行為前の時間間隔Tmin、
-治療応答、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、最小閾値、例えば既定の有効性損失閾値を下回らないような、治療的処置の次回の実施または次回の行為に対する時間間隔Tmax。
【0160】
本発明に係る第2の方法はそれゆえ、いずれにせよ行為が遅すぎる場合の過去の効果に基づく単一の指示を提供せずに、将来の治療的処置の実施または行為のために個体Iiをガイドすることにより、個体Iiが治療的処置の効果を最適化するよう支援する。
【0161】
また、鎮痛活性物質によって治療される患者については、第2の方法により、患者は、患者の体内の鎮痛活性物質比が、有効性損失閾値を下回らず、痛みが再発する前に、例えば5時間残されていることを知ることができる。
【0162】
有利には、本発明に係る第2の方法はさらに、第1の装置により、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為前の、少なくとも1つの時間間隔緩衝Tminを計算することを含む。
【0163】
有利には、本発明に係る第2の方法はさらに、第1の装置により、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、前記治療的処置の次回の実施または行為に対する、少なくとも1つの時間間隔緩衝Tmaxを計算することを含む。
【0164】
従来のターゲットウィンドウ、例えば治療ウィンドウは、以下の3つの領域を含む:治療効果、例えば個体Iiの活性物質の濃度が、治療的処置によって所望の治癒的、緩和的、予防的効果を生じるような効果である最適領域;既定の毒性閾値によって最適領域から区切られた毒性領域;有効性損失閾値によって最適領域から区切られた有効性損失領域。
【0165】
特に有利なことには、本発明によれば、3つの上述した領域に加えて、有効性損失緩衝領域および毒性緩衝領域をさらに含む、5つの領域を有するターゲットウィンドウ、例えば治療ウィンドウを提供する。
【0166】
有効性損失緩衝領域により、治療効果、例えば個体の活性物質の濃度が、有効性損失領域内へと通過することを予測することができる。
【0167】
毒性緩衝領域により、治療効果、例えば活性物質の濃度が、毒性領域内へと通過することを予測することができる。
【0168】
本発明によれば、有利なことには、第1の装置により、時間間隔緩衝Tminおよび/または時間間隔緩衝Tmaxを計算することによって、患者がより柔軟かつ快適に治療的処置を管理することができる。
【0169】
さらに、有効性損失領域および毒性緩衝領域は一方では改変されてもよく、他方では動的であってもよい。
【0170】
実際に、これらの緩衝領域は、患者の感じ方に従って改変してもよく、例えば、治療的処置の実施または行為の後に深刻な副作用を感じる患者は、副作用の感じ方を低減するために、毒性緩衝領域をより低くすることを、患者自身または医療従事者を介して決定することができる。
【0171】
また、患者が治療的処置の実施または行為を行う習慣を構築することが重要であり、これを行うためには、動的な緩衝領域を有することが必要である。この目的は、患者に規則正しい治療的処置の実施または行為の習慣を作らせるために、患者に、狭い最適化領域、すなわち大きな毒性緩衝領域および大きな有効性損失緩衝領域で開始させることである。一度患者が治療的処置の実施または行為の自身の習慣を作れば、毒性緩衝領域および有効性損失緩衝領域を減少させ、制限してもよく、最適領域がより大きくなることにより、より柔軟かつ快適に治療的処置を管理することができる。
【0172】
他の実施形態において、本発明に係る方法はさらに、第1の装置により、既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為前の、少なくとも1つの第2の時間間隔緩衝Tmin、および/または既定の前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおいて、個体Iiの前記位置決めデータから、治療の次回の実施または行為に対する、少なくとも1つの第2の時間間隔緩衝Tmaxを計算することを含む。
【0173】
さらに、緩衝領域は、患者が誰であったとしても存在し、薬剤の特性を含む。これらの緩衝領域は、患者または医療従事者によって、予防的または非予防的に改変され、適応されることが可能であり、医療従事者による治療的処置の実施または行為に対するアドバイスに基づいて行動することを可能とする。
【0174】
有利には、前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータが、以下から構成される群の中から選択されるデータの少なくとも1つを示す:
-治療的処置の実施時間、または前回の行為時間、
-個体Iiの既定の治療的処置のファーマコメトリクスモデルの応答、
-既定の治療的処置の応答が、既定のターゲットウィンドウの前記最小閾値を下回る前の時間、Tmax
-既定の治療的処置からの応答が、既定のターゲットウィンドウの前記最大閾値を上回らないような時間、Tmin。
【0175】
有利には、位置決めデータはさらに、既定の治療的処置の応答が、ターゲットウィンドウの最小緩衝閾値を下回る前の、少なくとも1つの時間間隔緩衝Tmaxを示す。
【0176】
有利には、位置決めデータはさらに、既定の治療的処置の応答が、ターゲットウィンドウの前記最大緩衝閾値を上回らないような、少なくとも1つの時間間隔緩衝Tminを示す。
【0177】
実際、位置決めデータは以下を示す:
治療的処置の実施時間、または前回の行為時間は、病気、老化した患者、または記憶障害を患っている患者にとってより重要である、治療的処置の実施、行為の履歴に基づく指示を、患者に提供することを可能にする。実際、治療的処置の実施時間、前の行為時間の指示により、治療的処置の後の実施または行為の指示が提供される。
【0178】
個体Iiに対する既定の治療的処置の応答は、ターゲットウィンドウ内の患者の位置決めについての情報を、患者に提供することを可能にする。これはさらに、患者が、例えば副作用または疲労が増加した場合に、患者の危険、日常のイベントを予期することを可能にする。患者は、治療効果、例えば体内の活性物質の濃度が、ターゲットウィンドウ内のどこに位置するかを知り、安心することができ、治療的処置の成功を心配することなく任意の活動を行うことができる機会を有する。
【0179】
既定の治療的処置の応答が、最小閾値、例えば既定の有効性損失閾値を下回る前の時間、Tmax、および既定の治療的処置の応答が、最大閾値、例えば既定の毒性閾値を上回らないような時間、Tmin。これらの2つの情報により、非常に有利なことには、患者、個体Iiは、例えば睡眠、副作用、仕事関連の旅行、専門外の活動などの人生のイベントをより良く予期することができる。
【0180】
有利には、位置決めデータはさらに、既定の治療的処置の効果が、有効性損失緩衝閾値を下回る前の少なくとも1つの時間間隔緩衝Tmaxを示す。
【0181】
有利には、位置決めデータはさらに、既定の治療的処置の効果が、毒性緩衝閾値を上回らないような少なくとも1つの時間間隔Tminをさらに示す。
【0182】
実際、時間間隔緩衝Tmaxおよび/または時間間隔緩衝Tminを患者に提供することにより、患者が、治療的処置をより良く理解し、適切な用量に関して自信を持って、治療的処置をより柔軟かつ快適に管理することを可能とする。
【0183】
これにより、患者は、例えば患者の体内の治療的処置の活性物質の濃度が有効性損失緩衝領域において、有効性損失緩衝閾値を下回るだけでなく、臨界有効性損失領域を上回るといった、自身の治療応答の前にどのぐらい時間があるかを知ることができる。実際に有利なことには、有効性損失緩衝領域を介して、患者がこの時間枠内で治療的処置の実施または行為を行わない場合に、臨界有効性損失領域に入る前に、例えば2時間残されていることを、患者に知らせられることができる。
【0184】
またこれにより、患者は、治療効果、例えば治療的処置の活性物質の濃度が、毒性緩衝領域における毒性緩衝閾値を上回らないだけでなく、臨界毒性領域を下回るような時間がどのくらいあるかを知ることができる。実際に有利なことには、毒性緩衝領域を介して、患者がこの時間枠内で治療的処置の実施または行為を行う場合に、臨界毒性領域に入らないために、治療の実施または行為を行うまで例えば2時間待機しなければならないことを、患者に知らせられることができる。
【0185】
これは、偶然または日常のイベントがある場合に、自身の治療的処置の実施または行為を適応させたい患者にとって、特に有利である。例えば、ターゲットウィンドウの最適な領域に位置する患者については、本発明に係るデータにより、患者は、臨界毒性閾値を下回ったままにするための理想的な時間に、治療的処置の実施(例えば半錠の摂取)または行為を行う機会を得る。さらに、患者は、臨界有効性損失領域に入るまでの残り時間を知る。これにより、患者は、治療的処置に対する自主性および快適性を得ることができ、仕事に関する旅行、任意の活動、必要な睡眠時間などの日常のイベントを予期することができる。
【0186】
さらに、医療従事者はまた、治療的処置の薬量学を適応させる、または治療の決定を行う機会もある。
【0187】
別の実施形態では、本発明に係る方法はさらに、好ましくは情報装置、例えばディスプレイ装置により、少なくとも1つのデータを表示することを含む。
【0188】
実際、少なくとも1つのデータを表示することは、患者、個体Iiに明確、正確、かつ直接的入手可能で、理解可能な情報を提供することができるため、特に有利である。
【0189】
さらに、ターゲットウィンドウ内における患者の位置を示す、明確、正確、かつ理解可能な情報を入手かのうであることによって、患者は、患者自身の治療的処置の実施または行為を、例えば困難な治療の副作用を低減するために、最適化することができる。実際、患者は、8時間ごとに、例えば1つの錠剤全体を摂取するといった治療的処置を完全に実施を行うのではなく、4時間ごとに、例えば半錠を摂取するといった治療的処置を半分実施することを選択することができる。
【0190】
有利には、本発明に係る方法はさらに、第1の装置および/または電子モニタリング装置および/またはディスプレイ装置により、各瞬間t、現在または未来において、治療効果が有効性損失閾値を下回る、毒性閾値を上回る、有効性損失緩衝閾値を下回る、毒性緩衝閾値を上回る場合に、好ましくは視覚的または音声の警告信号を送信することを含む。
【0191】
実際、本発明によれば、特に有利なことには、各瞬間t、現在または未来において、治療的処置の治療効果が上述した閾値の1つを超える場合に、患者に警告信号の提供が可能である。
【0192】
有利には、本発明に係る方法はさらに、第1の装置により、個体Iiの前記予測データモデルおよび既定の前記治療的処置の実施または行為とリンクする前記表示データから、個体Iiの訂正されたデータモデルを計算することを含む。
【0193】
本発明に係る第2の方法の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示される。
【0194】
本発明は、添付の図面を参照することにより、より詳細に説明される。
【0195】
図1は、本発明に係る治療的処置の実施または行為を支援することを目的とするシステムを表す。
【0196】
図2は、「ロボット」個体における理論上の薬物動態予測モデルを表す。
【0197】
図3は、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された薬物動態モデルを表す。
【0198】
図4は、「週末」型イベントに適応された、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
【0199】
図5Aおよび5Bは、「高可変」型イベントに適応された、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
【0200】
図6A、6Bおよび6Cは、次回の投薬のための時間間隔Tminおよび時間間隔緩衝Tminならびに次回の投薬の前の時間間隔Tmaxおよび時間間隔緩衝Tmaxを含む、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
【0201】
図7Aおよび7Bは、「ロボット」個体における理論上の予測薬理モデルを表す。
【0202】
図8Aおよび8Bは、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された予測薬理モデルを表す。
【0203】
図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
【0204】
図1は、本発明に係るシステム1を図示する。
【0205】
本発明に係るシステム1は、第1の装置(2)、データベース(3)、電子モニタリング装置(4)およびディスプレイ装置(5)を備える。
【0206】
第1の装置(2)は、好ましくは電源、プロセッサ、通信ユニットおよびメモリを備える。動作は、図2~9により説明される。
【0207】
電源は、例えば、バッテリまたはセルであり、第1の装置(2)の異なる要素を接続する電気回路に電力を供給するように配置される。
【0208】
第1の装置(2)の通信ユニットは、データベース(3)の通信ユニット、電子モニタリング装置(4)の通信ユニット、および本発明に係るシステム1のディスプレイ装置(5)の通信ユニットと通信するように配置される。
【0209】
第1の装置(2)のプロセッサは、電源、通信ユニット、およびメモリに接続されている。プロセッサは、第1の装置(2)の通信ユニットと通信するように配置され、データベース(3)の通信ユニット、電子モニタリング装置(4)の通信ユニット、ディスプレイ装置(5)の通信ユニットと通信するように配置される。第1の装置(2)のプロセッサは、第1の装置(2)のメモリに信号を送信するように、より具体的には計算されたデータモデルを記録するように構成される。
【0210】
本発明に係るシステム1のデータベース(3)は、第1の装置(2)の通信ユニットと通信するように配置される通信ユニットを備える。さらに、データベース(3)は、治療的処置のデータモデル(略称:治療的処置データとも称する)を有する。治療的処置のデータモデルは、少なくとも1つの既定の指示における薬物動態学的および/または薬物力学的モデルであり得る。薬物動態学的および/または薬物力学的モデルは、少なくとも1つの既定の指示における一連の薬物動態および/または薬物力学的モデルを含み得る。治療的処置のデータモデルは、結果として前記治療的処置の実施後または行為後の体内の物質の濃度、物質の同化度(例えば、薬物動態モデル)を導出する、時間の関数f1(t)、または結果として前記治療的処置の実施後または行為後の体上または体内の効果(例えば、薬物力学的モデル)を導出する、時間の関数f1(t)であり得る。治療的処置のデータモデルは時間に加えて、投薬、年齢、性別、体重、バイオマーカーなどの個体Iiのパラメータ(すなわち個体Iiの特定のデータ)のような1つ以上の追加のパラメータを有し得る。治療的処置のデータモデルは、(この関数のパラメータを有する)分析モデルまたは(経時的な一連のデータを有する)デジタルモデルを含み得る。治療的処置のデータモデルは、経時的な薬物力学的または薬物動態的進行を伴う連続関数を含み得る。しかしながら、治療的処置のデータモデルは、例えば2元関数f1(t)を用いて簡略化することもできる。ここで、2元関数f1(t)は、前記治療的処置の実施または行為後の第1の期間で、処置が効果的または活性的であることを示す第1の値を定義し、かつ第1の期間の後の第2の期間で、処置が効果的または活性的でなくなったことを示す第2の値を定義する。
【0211】
治療的処置のデータモデルは、後に詳述する一連の測定Miによって決定される関数f1(t,M)であり得る。治療的処置のデータモデルは、関数f1(t)によって表される。関数f1(t)は、個体において測定された応答(濃度、効果の測定など)に基づいて、構成(投薬、年齢、体重、バイオマーカーなどの個体Iiのパラメータ)または調整(一連のデータを用いる)することができる。投薬は、実際の投薬または想定される投薬であってもよい。
【0212】
好ましくは、データベース(3)は、本発明に係るシステム1のデータベース(3)に格納、記録される、既定の各治療的処置に対するターゲットウィンドウ(例えば、治療ウィンドウおよび/または到達すべき有効性閾値および/または超えるべきでない毒性閾値および/またはコスト/利益ウィンドウおよび/または任意の他のターゲットウィンドウ、標的ウィンドウは経時的に変化し得る)を有する。個体Iiのパラメータは、データベース(3)に記録され得、個体Iiの医療データは、データベース(3)に記録され得、より具体的には個体Iiの可変データは、データベース(3)に記録される。データベース(3)は、第1の装置(2)内に配置されてもよく、または例えばオンラインネットワーク中のサーバー上に格納するなど他の場所に配置されてもよい。
【0213】
例えば、データベース(3)は、1つ以上のデータベースを含み得る。前記データベースの全てが、第1の装置(2)内に、または他の場所にある他の装置内にあってもよく、または第1の装置(2)内および他の場所にあるいくつかの他の装置内に分散させてもよい。用語「他の場所(elsewhere)」は、例えばオンラインネットワーク内のサーバーを意味する。実際に、データベース(3)は、治療的処置データおよび/または既定の各治療的処置に対するターゲットウィンドウを含む、第1のデータベースを含み得る。
【0214】
データベース(3)は、以下のような個体Iiの特定のデータを含む第2のデータベースを含み得る:a)体重、年齢、性別、または遺伝学的または生物学的マーカの群から選択される個体Iiのパラメータ;b)既定の各治療的処置の同化および/または除去を含む個体Iiの医療データ;およびc)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間。
【0215】
データベース(3)は、少なくとも1つの既定の指示における一連の薬物動態および/または薬物力学的モデルのような治療的処置のデータ、および以下のような個体Iiの特定のデータの両方を含む、第3のデータベースを含むことができる:a)体重、年齢、性別、または遺伝学的または生物学的マーカの群から選択される個体Iiのパラメータ;b)既定の各治療的処置の同化および/または除去を含む個体Iiの医療データ;およびc)既定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される個体Iiの可変データ。
【0216】
下記実施例では、全てのデータベースが、き第1の装置(2)内に格納されているが、これは本発明を限定するものではない。変形例では、データベースを別の場所に格納することができる。
【0217】
第1の装置(2)または第2のデータベースは、体重、年齢、性別、または遺伝学的または生物学的マーカの群から選択される個体Iiの特定のデータ、すなわち個体Iiのパラメータを得る。これらの個体Iiのパラメータは、例えば医者、薬剤師、または患者自身によって、第1の装置(2)のメモリに、入力される。
【0218】
第1の装置(2)のプロセッサは、これらのパラメータを復元し、薬物動態および/または薬物力学的モデルから、個体Iiのデータモデルを計算する。
【0219】
第1の装置(2)は、例えば既定の各治療的処置の同化および/または除去などの得られる効果のような、個体の特定のデータ、すなわち個体Iiの医療データを得る。これらの個体Iiの医療データは、例えば医者、薬剤師、または患者自身によって、第1の装置(2)のメモリに入力される。
【0220】
第1の装置(2)のプロセッサは、個体Iiの医療データおよび個体Iiのデータモデルから、個体Iiの特定のデータモデルを計算する。
【0221】
第1の装置(2)は、個体Iiの可変データ、すなわち薬量学、既定の各治療的処置を実施するための理論上の時間を取得する。これらの個体Iiの可変データは、例えば医者、薬剤師、または患者自身によって、第1の装置(2)のメモリに入力される。
【0222】
第1の装置(2)のプロセッサは、個体Iiの可変データおよび個体Iiの特定のデータモデルから、個体Iiの予測データモデルを計算する。個体Iiの予測データモデルを計算するステップは、任意である。
【0223】
治療的処置のデータモデルは一般に、すべての個体または特定のパラメータを共有する個体の群に適用される一方で、個体Iiの予測データモデルは、特に個体Iiに適用される。治療的処置のデータモデルを個体Iiに個別化することができない場合、本発明は、治療的処置のデータモデルを用いて、そのまま継続することを考慮する。また、個別化が必要でない場合、本発明は、治療的処置のデータモデルを用いてそのまま継続することを考慮する。個体Iiの予測データモデルは、好ましくは経時的な関数f2(t)(予測関数f2(t))である。治療的処置のデータモデルは、定義されていないモデルPの前記少なくとも1つのパラメータを有する時間の一連の関数f1(t、P)とすることができる。個体Iiの予測データモデルは、個体IiのパラメータPiで定義された関数と同一とすることができるf1(t、Pi)=f2(t)。個体Iiの予測データモデルは、個体Iiの身体に関連する測定Miによって定義される関数f(t、Mi)とすることもできる。前記測定は、治療的処置のデータモデルを個体Iiに適応させるための、血中または別の体液中の物質の濃度の測定、X線、電気測定などであり得る。予測関数f2(t、Mi)は、一連の測定Miによって決定することができる。予測関数f2(t、Pi、Mi)は、一連の測定Miによって決定することができ、および/または個体IiのパラメータPiで定義することができる。
【0224】
いずれの場合においても、本発明に係る方法は、治療的処置のデータモデルを使用する。一例では、本発明に係る方法は、以下に記載される計算のために治療的処置のデータモデルを使用する。好ましい例では、本発明に係る方法は、治療的処置のデータモデルから個体Iiの予測データモデルを計算し、次に、個体Iiの予測データモデルを使用する。以下の方法は、計算に個体Iiの予測データモデルを使用して説明されるが、個体Iiの予測データモデルを置き換えて、治療的処置のデータモデルを使用することもできる。
【0225】
第1の装置(2)は、電子的モニタリング装置(4)から治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを受信する。前記表示データは特に、治療的処置の実施または行為のタイムスタンプ、および任意選択で、治療的処置の実施または行為の投薬も含む。治療的処置の実施または行為のタイムスタンプは、実施または行為が発生する時点である。例えば、実際のまたは想定される投薬は、(例えば、行為における)強度であってもよい。第1の装置(2)のプロセッサは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データおよび個体Iiの予測データモデル(または治療的処置のデータモデル)から、個体Iiの訂正されたデータモデルを計算する。個体Iiの訂正されたデータモデルは、現在または将来の治療的処置の実施または行為の指標である。好ましくは、個体Iiの訂正されたデータモデルは、時間の関数f3(t)(訂正された関数)であるか、または時間の関数f3(t)(訂正された関数)を含む。好ましくは、訂正された関数f3(t)は、モニタリング装置(4)から受信される実施または行為の各タイムスタンプで更新される。実施または行為のタイムスタンプは、t1、t2、…、tjとして定義される。(現在の瞬間において)最後のタイムスタンプtjは、最後の実施または最後の行為のタイムスタンプを示す。(現在の瞬間において)次回のタイムスタンプtj+1は、次回の実施または次回の行為の(計画された)時間である。好ましくは、個体Iiの訂正された関数f3(t)および/または訂正されたデータモデルは、モニタリング装置(4)から受信される実施または行為の各タイムスタンプを用いて、繰り返し的に決定される。繰り返し的な方法は、再帰的方法を含み得る。好ましくは、モニタリング装置(4)から受信される実施または行為の各タイムスタンプtjは、別の繰り返しj+1に対応する。好ましくは、各繰り返しj+1について、個体のIiの別の訂正されたデータモデルは、最後の実施または最後の行為時/タイムスタンプtj(繰り返しj+1の残差値)における、最後の繰り返しjの個体Iiの訂正されたデータモデルおよび個体Iiの予測データモデル(または治療的処置のデータモデル)に基づいて決定される。好ましくは、各繰り返しj+1において、別の訂正された関数f3j+1(t)は、最後の実施または最後の行為時/タイムスタンプtj(繰り返しk+1の残差値)における最後の繰り返しjの訂正された関数f3j(tj)および時間の予測関数f2(t)(または時間の関数f1(t))に基づいて決定される。好ましくは、各再帰的周期j+1について、別の訂正された関数f3j+1(t)は、繰り返しj+1の残差値xj+1に基づく時間の予測関数f2(t、xj+1)(または繰り返しj+1の残差値xj+1に基づく時間の予測関数f1(t、xj+1))に基づいて決定される。好ましくは、繰り返しj+1の残差値xj+1に基づく時間の予測関数f2(t、xj+1)(または繰り返しj+1の残差値xj+1の加算に基づく時間の予測関数f1(t、xj+1))は、繰り返しj+1の残差値の加算および時間の予測関数f2(t)(または時間の関数f1(t))に基づいて決定される。
【0226】
治療的処置の実施または行為とリンクする表示データはまた、最後の実施または最後の行為jの投薬Djを含み得、第1の装置(2)のプロセッサは、治療的処置の実施または行為の時間(好ましくは最後の実施または最後の行為の時間tj)と、治療的処置の実施または行為の投薬(好ましくは最後の実施または最後の行為の投薬Dj)と、個体Iiの予測データモデル(または治療的処置のデータモデル)とから、個体Iiの訂正されたデータモデルを計算する。好ましくは各繰り返しj+1について、個体Iiの別の訂正されたデータモデルは、繰り返しj+1、個体Iiの予測データモデル(または治療的処置のデータモデル)、および投薬Djの残差値に基づいて決定される。好ましくは、各繰り返しサイクルj+1について、別の訂正された関数f3j+1(t)は、繰り返しj+1のサイクルの残差値および時間の予測関数f2(t、Dj)に基づいて決定され、投薬Djの関数(または時間の関数f1(t、Dj)および投薬Djの関数)として決定される。
【0227】
最後の実施または最後の行為の時間tjと、次回の実施または次回の行為の時間tj+1との間での、経時的な治療的処置の現在または将来の経過/進行は、(繰り返しj+1の)個体Iiの訂正されたデータモデルおよび/または訂正された関数f3j+1(t)によって説明され得る。
【0228】
第1の装置(2)のプロセッサにより、各瞬間t、現在、または将来において、個体Iiの訂正されたデータモデルおよび既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データから、個体Iiの個別化されたデータモデルを計算する。個体Iiの個別化されたデータモデルは、個体Iiの訂正されたデータモデルの別名であり、これは治療的処置の将来の経過/進行を説明するものであり、もはやこれ以下のものと区別されない。以下の開示では、個体Iiの個別化されたデータモデルと個体Iiの訂正されたデータモデルとは、相互交換可能である。
【0229】
第1の装置(2)のプロセッサは、好ましくは前記治療的処置の次回の実施または次回の行為についての時間情報を計算する。この情報は将来のものであり、現在の時間から次回の実施または次回の行為について計算された時間までの間の有効な1つの情報に対応する(これは、単にアラームではない)。この情報は、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為までに経過し得る計画された時間を含み得る。この情報は、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為について計画された最大時間、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為について計画された最大緩衝時間、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為について計画された最小時間、前記治療的処置の次回の実施または次回の行為について計画された最小緩衝時間、またはこれらの時間の組合せを含み得る。各時間は、絶対時間(時間、日付など)または時間間隔(次回の行為を維持するため、例えば6時間以内など)で表すことができる。
【0230】
最小時間は、次回の治療的処置が実施されるまたは行われる前に、最低限到達しなければならない時間である。最小時間は、最小緩衝時間、最大緩衝時間、または最大時間を下回る。個体Iiが、経過するとされていた最低限の時間の前に、次回の治療的処置を再度実施するまたは再度行う場合、治療的処置は望ましくない領域にあるとみなされる過剰投与および/または個体Ii、または治療的処置の毒性領域にあるとみなされる個体Iiのような、望ましくない影響を及ぼし得る。
【0231】
最小緩衝時間は、最適化された効果をもたらすために、次回の治療的処置が実施されるまたは行われる前に、最低限到達されなければならない時間である。最小緩衝時間は、最大緩衝時間または最大時間を下回り、最小時間を上回る。最小時間から最小緩衝時間までの間に、個体Iiが次回の治療的処置を再度実施または再度行う場合、治療的処置は、望ましくない影響をもたらさないが、最適ではないか、または個体Iiが治療的処置の緩衝毒性領域へ入る。
【0232】
最大時間は、次回の治療的処置が遅くとも実施されなければならないまたは行われなければならない時間である。最大時間は、最小緩衝時間、最大緩衝時間、または最小時間を上回る。最大時間が経過した後に、個体Iiが次回の治療的処置を再度実施または再度行う場合、治療的処置はその効果を失い、および/または個体Iiが有効性喪失領域へ入る。
【0233】
最大緩衝時間は、毒性または副作用を伴わずに、次回の治療的処置がすでに実施されまたは行われ、非連続効果をもたらし得る時間である。最大緩衝時間は、最大時間を下回り、最小時間または最小緩衝時間を上回る。最小緩衝時間から最大緩衝時間までの間に、個体Iiが次回の治療的処置を再度実施または再度行う場合、治療的処置は最適であり、および/または個体Iiは治療的処置の連続性を維持しながら、有効性の喪失および副作用を伴わずに最適な領域(治療ウィンドウ)にある。最大緩衝時間から最大時間までの間に、個体Iiが次回の治療的処置が再度実施されるまたは再度行われる場合、治療的処置は(許容可能な範囲で)その効果を失い始め、および/または個体Iiが有効性喪失領域へ入る。
【0234】
時間情報は、好ましくは以下に記載するようにターゲットウィンドウを用いて計算される。しかし、別の方法で時間情報を計算することも可能である。
【0235】
計算された時間情報は、例えば、図9A図9Dに示すように、ディスプレイ装置(5)を用いて表示されることが好ましい。
【0236】
好ましくは、第1の装置(2)のプロセッサにより、前記治療的処置のターゲットウィンドウを受信し、前記治療的処置の前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置情報を、前記個体Iiの訂正されたモデルから計算する。
【0237】
ターゲットウィンドウは、好ましくは第1の閾値、および第1の閾値から第2の閾値までの間の最適領域を有する第2の閾値を含む。第1の閾値は有効性喪失閾値であり、通常は最小閾値である。有効性喪失閾値は、有効性喪失領域を制限する。第2の閾値は、毒性閾値であり、通常は最大閾値である。毒性閾値は、毒性領域を制限する。好ましくは、ターゲットウィンドウは、好ましくは第1の緩衝閾値および第2の緩衝閾値を含む。第1の緩衝閾値は有効性喪失緩衝閾値であり、通常は最小緩衝閾値である。有効性喪失緩衝閾値は、有効性喪失緩衝領域および最適領域を制限する。第2の緩衝閾値は毒性緩衝閾値であり、通常は最大緩衝閾値である。毒性緩衝閾値は、毒性緩衝領域および最適領域を制限する。ターゲットウィンドウおよび/またはその閾値、ならびに治療的処置のデータモデル、個体の予測データモデル、および/または個体Iiの訂正されたデータモデルは、同じ物理的な(または可変の)パラメータ(例えば、濃度)で表される。通常、このパラメータは、時間のパラメータ(または可変)ではない。しかしながら、特定の場合には、これは直接的な時間であり得る。
【0238】
第1の装置(2)のプロセッサにより、好ましくは個体Iiの前記訂正されたモデルの電流値(電流値)を計算し、電流値に基づいて、前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータの位置決めを計算する。
【0239】
好ましくは、前記ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータの位置決めは、時間ターゲットウィンドウにおける個体Iiの時間位置決めデータに変換される。時間ターゲットウィンドウにおける個体Iiの時間位置決めデータは、好ましくは最小時間、最小緩衝時間、最大緩衝時間、最大時間のうちの1つ以上を含む。最小時間は、好ましくは前記個体Iiの訂正されたモデルおよび第2の閾値に基づいて計算され、好ましくは治療的処置の次回の再度実施または行為によって、個体Iiの訂正されたモデルが第2の閾値に対応する時間に基づいて計算される。最小緩衝時間は、好ましくは前記個体Iiの訂正されたモデルおよび第2の緩衝閾値に基づいて計算され、好ましくは治療的処置の次回の再度実施または次回の再度実行によって、個体Iiの訂正されたモデルが第2の緩衝閾値に対応する時間に基づいて計算される。最大時間は、好ましくは前記個体Iiの訂正されたモデルおよび第1の閾値に基づいて計算され、好ましくは個体Iiの訂正されたモデルが第1の閾値に対応する時間、または個体Iiの訂正されたモデルが第1の閾値と交差する時間に基づいて計算される。最大緩衝時間は、好ましくは前記個体Iiの訂正されたモデルおよび第1の閾値に基づいて計算され、好ましくは個体Iiの訂正されたモデルが第1の緩衝閾値に対応する時間、または個体Iiの訂正されたモデルが第1の緩衝閾値と交差する時間に基づいて計算される。
【0240】
時間ターゲットウィンドウにおける個体Iiの時間位置決めデータは、好ましくはディスプレイ装置(5)を用いて表示される。
【0241】
しかしながら、ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータを、時間ターゲットウィンドウにおける個体Iiの時間位置決定データで変換させないようにすることもできる。例えば、個体Iiの訂正されたモデルは、すでに時間の大きさに対応しているからである。別の例では、個体Iiの訂正されたモデルの物理的な大きさで表された、ターゲットウィンドウにおいて個体Iiの位置を示すことに対応している。
【0242】
電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施時間または行為時間を検出するように構成されている。好ましくは、電子モニタリング装置(4)は、第1の装置(2)の通信ユニットと通信するように構成された通信ユニットを備える。好ましくは、電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施または行為の実行を自動的に検出するように構成されたセンサを備える。例えば、センサまたは電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施の投薬または行為の投薬を自動的に検出するように構成される。薬剤の場合、電子モニタリング装置(4)は、薬剤のパッケージからの薬剤を出す工程、または光線療法装置のトリガとしての治療的処置の行為の実行する工程を検出する装置とすることができる。しかし、電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施時間または行為時間を非自動的に検出することができる。例えば、電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施または行為の時点または時間をマークする、ユーザの(例えば、個人の)入力を受信することができる。電子モニタリング装置(4)はまた、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートメガネ、スマートウォッチ、またはタッチスクリーンタブレット用のアプリであってもよい。
【0243】
好ましくは、電子モニタリング装置(4)は、個体Iiの治療的処置の実施または行為の時間(略称:実施または行為の時間と呼ばれることもある)を、リアルタイムで第1の装置(2)に通信する。より単純なケースでは、装置(4)は単に信号を送信することができ、装置(2)は信号を受信した時間に基づいて、実施または行為の時間を含むことができる。この場合、実施または行為とリンクするデータは、単にこの信号に対応する。しかし、好ましくは、装置(4)は、実施または行為の時間の表示データを含む信号を装置(2)に送信する。「リアルタイム」は、直前の実施または直前の行為の時間データ(タイムスタンプ)を第1の装置(2)に送信し、治療的処置の次回の実施または次回の行為を行わなければならない時間または時点の予測を可能にすることを意味する。リアルタイムは、治療的処置の次回の実施または次回の行為の前に、直前の実施または直前の行為の時間データ(タイムスタンプ)を第1の装置(2)に送信することを意味する。治療の間隔は、連続した2つの治療的処置の実施または行為の間の、平均的または計画された間隔(例えば、投薬計画)である。好ましくは、直前の実施または直前の行為の時間データ(タイムスタンプ)を、直前の実施または直前の行為のタイムスタンプの治療の間隔の50%に対応する最大値として、好ましくは治療の間隔の30%に対応する時間内の最大値として、好ましくは治療の間隔の20%の時間の最大値として、好ましくは治療の間隔の10%の時間の最大値として、好ましくは治療の間隔の5%に対応する時間内の最大値として、第1の装置(2)に送信することを、リアルタイムは意味する。
【0244】
好ましくは、電子モニタリング装置(4)は、電源、センサ、プロセッサ、時計、およびメモリを含む。
【0245】
個体Iiが治療的処置の実施または行為を実行する時、電子モニタリング装置(4)のセンサは自動的に作動するか、または作動せず、例えば、押しボタンの場合、センサに対する個体Iiの動作が、治療的処置の実施または行為の事象として記録される。電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、治療的処置の実施または行為の事象を処理し、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを含む信号を生じるように構成されている。これらの表示データは、タイムスタンプ、投薬、および治療の実施または行為の履歴を含む。実際に、電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、3年までの期間にわたり、電子モニタリング装置(4)のメモリにおいて、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを記録する。
【0246】
ディスプレイ装置(5)は、第1の装置(2)の通信ユニットと通信するように構成された通信ユニットを備える。さらに、ディスプレイ装置(5)は、電源およびプロセッサを備え、明確、簡単、正確、かつ直接入手可能で、理解可能な情報を、個体Iiに提供するように構成されている。
【0247】
ディスプレイ装置(5)の代わりに出力装置を、第1の装置(2)において計算されたデータを別の装置または音声装置に送信するためだけに使用して、第1の装置(2)において計算されたデータを含む音声信号を送信することもできる。音声装置は、音声出力またはスピーカのみとすることができる。好ましくは、システム(1)は、第1の装置(2)において計算されたデータをユーザに知らせるための情報装置を含む。情報装置は、ディスプレイ装置(5)、出力装置、音声装置または他の情報装置であり得る。
【0248】
本発明に係るシステム(1)の実施形態では、第1の装置(2)、電子モニタリング装置(4)、およびディスプレイ装置(5)は、1つの筐体に統合されている。これにより、個体は、1つで単体の筐体に統合された本発明に係るシステム(1)を有することができる。
【0249】
本発明に係るシステム(1)の別の実施形態では、第1の装置(2)およびディスプレイ装置(5)は、電子モニタリング装置(4)とは別個の1つの筐体に統合されている。
【0250】
本発明に係るシステム(1)の別の実施形態では、第1の装置(2)は第1の筐体に統合され、電子モニタリング装置(4)およびディスプレイ装置(5)は第1の筐体とは別個の第2の筐体に統合されている。
【0251】
本発明に係るシステム(1)の別の実施形態では、第1の装置(2)は第1の筐体に統合され、電子モニタリング装置(4)は第2の筐体に統合され、ディスプレイ装置(5)は第3の筐体に統合され、互いに別個の筐体に統合されている。
【0252】
本発明に係るシステム(1)の別の実施形態では、第1の装置(2)および電子モニタリング装置(4)は、ディスプレイ装置(5)とは別個の第1の筐体に統合されている。
【0253】
本発明に係るシステム(1)の別の実施形態では、電子モニタリング装置(4)は第1の筐体に統合され、第1の装置(2)およびディスプレイ装置(5)は第1の筐体とは別個の第2の筐体に統合されている。
【0254】
さらに、本発明に係るシステム(1)の第1の装置(2)、データベース(3)、電子モニタリング装置(4)、およびディスプレイ装置(5)は、無線通信による通信手段で接続されるか、またはデータ交換のために物理的に接続されていてもよい。
【0255】
図2は、「ロボット」個体における理論上の予測薬物動態モデルを示す。
【0256】
予測薬物動態モデルは、規定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される前記個体Iiの可変データを含むことができ、遺伝マーカ、生物マーカの生理学上の群(例えば、体重、年齢、性別)から選択される、前記個体Iiに対する薬理学的モデルのパラメータを含むこともできる。前記予測薬物動態モデルは、処置の測定された効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続時間、費用/効果比の群から選択される、個体Iiの医療データをさらに含むことができる。
【0257】
実際、第1の装置(2)は、個体の可変データ、個体に対するモデルのパラメータ、および個体の医療データを含む。これらのデータ/パラメータは、最初の装置(2)のメモリに記録される。
【0258】
これらのデータ/パラメータおよび一連の薬物動態モデルに基づいて、本薬物動態ケースにおいて、第1の装置(2)は、既定の指示における所与の治療的処置の個体の活性物質の濃度を経時的に表す1つ以上の式からなる、図示される予測薬物動態モデルを計算する。
【0259】
この予測薬物動態モデルは、理論上、完全個体、すなわち、毎日同じ時間に、系統的に治療的処置の実施または行為を行う「ロボット」個体を代表する。
【0260】
個体に対する活性物質の濃度は、ターゲットウィンドウ、例えば治療的ウィンドウにおける実施に従って同一に増加および減少する。
【0261】
図3は、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体Iiの訂正された薬物動態モデルを示す。
【0262】
第1の装置(2)は、電子モニタリング装置(4)から、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを受信する。表示データは特に、タイムスタンプ、および任意選択で治療的処置の実施または行為の投薬を含む。
【0263】
電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、電子モニタリング装置(4)のメモリに、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを記録する。
【0264】
動作中、第1の装置(2)のプロセッサは、第1の装置(2)の通信ユニットにリクエストを送信する。前記リクエストは、第1の装置(2)の通信ユニットによって、電子モニタリング装置(4)の通信装置に送信される。電子モニタリング装置(4)の通信ユニットによって受信されたリクエストは、電子モニタリング装置のメモリから表示データを抽出する電子モニタリング装置(4)のプロセッサによって分析され、より具体的には、抽出された表示データが、タイムスタンピング、投薬、および治療的処置の実施または行為の履歴を含む。電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、抽出した表示データを電子モニタリング装置(4)の通信ユニットに送信する。表示データは、電子モニタリング装置(4)の通信ユニットから第1の装置(2)の通信ユニットに送信される。第1の装置(2)のプロセッサは、第1の装置(2)の通信ユニットが受信した表示データを第1の装置(2)のメモリに記録する。
【0265】
第1の装置(2)のプロセッサは、既定の治療的処置の実施と行為とリンクする表示データ、および個体Iiの予測データモデル(図2)の表示データから、個体Iiの訂正されたデータモデルを計算する。
【0266】
本発明に係る方法によって得られた個体Iiの訂正されたデータモデルは、経時的に訂正された個体Iiに対する活性物質の濃度を表し、ターゲットウィンドウ、例えば、個体Iiの規定の治療的処置のための治療ウィンドウを含む。訂正されたデータモデルは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを考慮し、ならびに従来の薬物動態モデルとの差異を考慮するデータモデル、および指示された処置との差異を考慮するデータモデルを提供することを可能にするので、特に有利である。
【0267】
実際に、本発明に係る個体Iiの訂正された薬物動態モデルは、応答のピークがモデルにおいて観察される場合、例えば、治療的処置の活性物質の濃度のピークが治療的処置の実施または行為の事象と一致する場合、それは迅速な同化に起因しないが、処置の実施または行為から生じるものとして説明されることを、説明することができる。モデルにおける治療的応答の谷、例えば、濃度の谷は、ある期間にわたる治療的処置の実施または行為の事象の欠如と一致する場合、迅速な取り出しによるのではなく、治療的処置の実施または行為を忘れることによって説明される。
【0268】
したがって、個体の訂正されたデータモデルは治療的処置の実施とリンクする表示データを考慮するため、差異を明らかにすることが可能であり、効果の変動を誤った原因に帰さないことが可能である。
【0269】
図4は、「週末」型イベントに適応された、個体についての個別化薬物動態モデルを示す。
【0270】
本発明に係る方法によって得られる個体Iiの個別化薬物動態モデルは、経時的な個体Iiに対する活性物質の濃度を表し、ターゲットウィンドウ、例えば、個体Iiの規定の治療的処置のための治療ウィンドウを含む。個別化薬物動態モデルは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを考慮する。
【0271】
図示される個別化薬物動態モデルは、有効性喪失閾値、より具体的には最小限界有効性喪失閾値に対応する第1の最小閾値と、毒性閾値、より具体的には最大限界毒性閾値に対応する第1の最大閾値とをさらに含む。
【0272】
図示される個別化薬物動態モデルは、有効性喪失緩衝閾値に対応する第2の最小閾値と、毒性緩衝閾値に対応する第2の最大閾値とをさらに含む。
【0273】
さらに、個別化薬物動態モデルは、ターゲットウィンドウ、例えば、各瞬間t、現在、または将来において、第1の最小閾値、第1の最大閾値、第2の最小閾値、第2の最大閾値に近いかどうかを個体が同定することを可能にする治療ウィンドウにおける、個体に対する活性物質の濃度を、各瞬間t、現在、または将来において位置決めすることを可能にする。
【0274】
ターゲットウィンドウは、特に、事象を検出するケース、および患者または医療スタッフがこの行動の原因を理解し、患者に良好な治療順守を教育する必要性を伴うケースにおいて、経時的に変化し得る。
【0275】
実際、活性物質の濃度は、有効性喪失緩衝閾値に対応する第2の最小閾値を下回ることが観察される。このことは、これらが週末に生じる実施であり、睡眠のような事象に同意する患者が毎日のように午前8時00分ではなく、午前11時00分に治療的処置を受けていることによって説明される。
【0276】
ターゲットウィンドウは、この「週末」型の事象を予想することに対して動的かつ調整可能であり、ターゲットウィンドウの緩衝閾値の間で患者の体内の活性物質の濃度を維持する目的で、患者または医療スタッフは、より良好な治療順守のために患者を制限し、教育するために、緩衝閾値を調整する可能性を有する。
【0277】
図5Aおよび5Bは、「高可変」型イベントに適応された、個体についての個別化薬物動態モデルを示す。
【0278】
個体の個別化薬物動態モデルは、個体に対する活性物質の濃度を経時的に表し、それ自体が図4に記載されるような閾値を含むターゲットウィンドウを含む。
【0279】
患者または医療スタッフが個体に対する活性物質の濃度の高可変を検出する場合、毒性緩衝閾値、臨界毒性緩衝閾値さえも上回るいくつかの経過、および有効性喪失緩衝閾値を下回る経過を誘発する。治療順守の失敗、より具体的には治療の不規則な実施または行為について、電子モニタリング装置(4)の治療の実施または行為の表示データが得られた場合に、高い変動性が説明される。
【0280】
治療順守が原因で高可変が検出される場合、患者がより良好な順守を伴う治療の行為を実施または実行するよう制限するために、より狭い緩衝閾値のターゲットウィンドウを、患者または医療スタッフが作成することを目的とする(図5A)。
【0281】
高可変に対する応答における治療順守において、より良好な規則性を患者または医療スタッフが観察した場合、良好な治療順守行動を教育されることにおいて、患者を正しく管理したという事実の表れである。この場合、良好な治療順守の重要性を今では認識し教育された患者に対してより柔軟性および快適性を与えることを目的として、緩衝閾値間のスペースを増加させることによって(図5B)ターゲットウィンドウを再び適応させることができる。
【0282】
図6A、6B、および6Cは、次回の投薬についての時間間隔Tminおよび緩衝Tmin、ならびに次回の投薬の前の時間間隔Tmaxおよび緩衝Tmaxを含む、個体についての個別化薬物動態モデルを示す。
【0283】
第1の装置(2)のプロセッサは、好ましくは、各瞬間t、現在、または将来において、個体Iiの個別化データモデルおよび治療的処置の実施または行為の表示データから、ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決定データ、既定の治療的処置の個体Iiを計算する。ターゲットウィンドウは、既定の最大有効性喪失閾値および規定の毒性閾値をさらに含む。
【0284】
実際、個体Iiの個別化データモデルおよび表示データから計算される個体Iiの位置決めデータは、個別化され、治療順守の差異を考慮する。
【0285】
実際には、治療的処置の実施または行為の表示データを考慮して、個体Iiの個別化データモデルに基づく既知の濃度曲線に基づいて、各瞬間t、現在または将来において、瞬間tにおける治療の実施または行為の後の経時的な濃度曲線のプロファイルを決定することができる。
【0286】
Tmin(図6A)は、現在の時点と、治療的処置の実施または行為が毒性領域の範囲で濃度ピークをもたらす時点との間の時間として計算される。さらに、治療的処置の実施または行為の時点に関わらず、濃度ピークが毒性領域を下回るままである場合、緩衝Tminは0に等しい。現在から治療的処置の次回の実施または行為までの時間に基づいてTminの計算が決定されるのと同様に、異なる用量、例えば、治療的処置の半分の実施についてTminを計算することも可能である。
【0287】
緩衝Tmin(図6B)は、現在の時点と、治療的処置の実施または行為が毒性緩衝領域の範囲で濃度ピークをもたらす時点との間の時間として計算される。さらに、治療的処置の実施または行為の時点に関わらず、濃度ピークが毒性緩衝領域を下回るままである場合、緩衝Tminは0に等しい。
【0288】
時間間隔Tminおよび時間間隔緩衝Tminの両方にアクセスすることは、任意の事象(例えば、治療の行為の実施または実行を可能にするために数時間の移動を計画しなければならないこと、毒性緩衝閾値を超えることだけではなく、臨界毒性閾値は超えないことを患者が知る)を予測することを可能にするので、患者および/または医療従事者にとって特に有意である。
【0289】
Tmax(図6C)は、この時間間隔Tmaxにおいて治療的処置の実施と行為を行わない場合に、濃度が有効性喪失領域の範囲を下回る時点と、現在の時点との間の時間として計算される。
【0290】
緩衝Tmax(図6C)は、この時間間隔Tmaxにおいて治療的処置の実施と行為を行わない場合に、濃度が有効性喪失緩衝領域の範囲を下回る時点と、現在の時点との間の時間として計算される。
【0291】
患者および/または医療従事者が時間間隔Tmaxおよび時間間隔緩衝Tmaxの両方にアクセスすることが特に有利であり、これは、事象、例えば、患者は4時間(緩衝Tmax)以内に治療的処置を実施または行わなければならないこと、しかし4時間以内にこの実施またはこの行為を行うことができない場合、限界有効性喪失領域に入る前に、例えば、さらに2時間有することを、患者が知っていることを予期することを可能にする。
【0292】
また、緩衝Tmin/Tmaxは、非常に強く感じられる副作用などの感じ方に応じて、患者や医療従事者が調整することができる。さらに、特に実施履歴を通して知ることができる定義された習慣によりよく固執するために、緩衝領域を適応/訂正し得る。実際に、緩衝Tmin/Tmaxは実際の行動により良く対応(例えば、睡眠のような週末にのみ存在する特定の行動に対して適応)するために、実施履歴に従って動的に再計算し得る。
【0293】
また、患者が治療的処置の実施または行為の習慣を構築することが重要であり、これを行うためには、動的緩衝領域を有することが必要である。患者に治療的処置の実施または行為の習慣を作らせるために、患者に、狭い最適領域、すなわち、大きな毒性緩衝領域および大きな有効性喪失緩衝領域で開始させることを目的とする。一度患者が治療的処置の実施または行為の習慣を作れば、毒性および有効性喪失緩衝領域を減少させ、制限してもよく、最適領域がより大きくなることにより、より柔軟かつ快適に治療的処置を管理することができる。
【0294】
これは、有利には患者に、それらの規則正しい治療的処置の重要性を認識させることを可能にし、すなわち、ターゲットウィンドウにおいて治療効果を最適領域にとどめるために、最適な治療順守を伴わせることを可能にする。これは、患者および個体Iiの位置決定データによって可能となり、各瞬間tにおいて可能となる。
【0295】
患者が、自身の治療計画、すなわち、自身の治療的処置、治療的処置の有効性、および治療順守データ間をリンクさせることができることが重要である。一方で、個体Iiの位置決定データは、患者および個体Iiが治療計画に適応することを可能にし、差異が予想される過剰な治療的処置を提供することを回避するために、良好な治療順守を有する患者および個体Iiの治療を、医療スタッフが個別化することを可能にする。
【0296】
ターゲットウィンドウの有効性喪失閾値および毒性閾値は、個々の良好または不良な治療順守に従って調節され得る。
【0297】
さらに、ターゲットウィンドウにおける個体Iiの位置決めデータは、以下の群から選択されるデータの少なくとも1つを示す:
-治療的処置の実施時間または前回の行為時間、
-個体Iiに対する既定の治療的処置のファーマコメトリクスモデルの応答
-既定の治療的処置の応答が、既定のターゲットウィンドウの前記最小閾値を下回る前の時間、Tmax、
-既定の治療的処置の応答が、既定のターゲットウィンドウの前記最大閾値を上回らないような時間、Tmin。
【0298】
図7Aおよび7Bは、「ロボット」個体における理論上の予測薬理モデルを示す。
【0299】
予測薬理モデルは、規定の各治療的処置の実施における投薬、薬量学、理論上の時間の群から選択される個体Iiの可変データを含み得、遺伝マーカ、生物マーカの体重、年齢、性別の群から選択される、個体Iiに対する薬理学的モデルのパラメータを含むこともできる。予測薬理モデルは、治療の測定された効果、測定された濃度、副作用、推定半減期、推定行為持続時間の群から選択される、個体Iiの医療データをさらに含むことができる。
【0300】
実際、第1の装置(2)は、個体の可変データ、個人のモデルのパラメータ、および個体の医療データを取得する。これらのデータ/パラメータは、第1の装置(2)のメモリに記録される。
【0301】
これらのデータ/パラメータおよび一連のファーマコメトリクスモデルに基づいて、本薬理学的ケースにおいて、第1の装置(2)は、既定の指示における所与の治療的処置の治療的処置の効果を経時的に表す1つ以上の式からなる、図示される予測薬理学的モデルを計算する。処置の効果は、処置の作用方法に応じて経時的に変化し得る。
【0302】
図示された予測薬理学的モデル(図7A)は、有効性喪失閾値に対応する第1の最小閾値、より具体的には最小限界有効性喪失閾値、および有効性喪失緩衝閾値に対応する第2の最小閾値をさらに備える。
【0303】
図示された予測薬理学的モデル(図7B)は、毒性閾値に対応する第1の最大閾値、より具体的には最大限界毒性閾値、および毒性緩衝閾値に対応する第2の最大閾値を含む。
【0304】
治療的行為の頻度は、治療的処置の効果を、例えば、処置を無効にする不十分な行為への曝露(有効性喪失閾値)と、処置を潜在的に危険にする過剰な行為への曝露(毒性閾値)との間のような処置の有効性ウィンドウ内に維持することを目的とする。
【0305】
患者が治療的処置の効果を見ることができることが重要である。実際に、治療的処置の各実施または行為に対して附随する効果がある。附随する効果は、例えば痛みの感じ方などの患者が直接認識可能である効果、または例えば治療的処置の活性物質の濃度などの直接認識可能でない効果である。
【0306】
治療的処置の各実施または行為に附随する効果は、濃度(血漿、唾液、尿、組織、血液、毛細血管など)、バイオマーカー、測定可能なまたは較正された治療効果(例えば、痛覚閾値の較正)によって測定可能および/または同定可能である。
【0307】
この予測薬理学的モデルは、理論上、完全個体、すなわち、毎日同じ時間に、系統的に治療の実施または行為を行う「ロボット」個体を代表する。個体に対する処置の効果は、ターゲットウィンドウ、例えば治療ウィンドウにおける治療的処置の実施に応じて、同様に増加および減少する。
【0308】
図8Aおよび8Bは、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された予測薬理学的モデルを示す。
【0309】
第1の装置(2)は、電子モニタリング装置(4)から、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを受信する。前記表示データは特に、タイムスタンプ、投薬、および治療的処置の実施または行為の履歴を含む。
【0310】
電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、電子モニタリング装置(4)のメモリに、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを記録する。
【0311】
動作中、第1の装置(2)のプロセッサは、第1の装置(2)の通信部にリクエストを送信する。前記リクエストは、第1の装置(2)の通信ユニットによって電子モニタリング装置(4)の通信ユニットに送信される。電子モニタリング装置(4)の通信ユニットによって受信されたリクエストは、電子モニタリング装置のメモリから表示データを抽出する電子モニタリング装置(4)のプロセッサによって分析され、より具体的には抽出された表示データは、タイムスタンプ、投薬、および治療的処置の実施または行為の履歴を含む。電子モニタリング装置(4)のプロセッサは、抽出した表示データを電子モニタリング装置(4)の通信装置に送信する。表示データは、電子モニタリング装置(4)の通信ユニットから第1の装置(2)の通信ユニットに送信される。第1の装置(2)のプロセッサは、第1の装置(2)の通信ユニットが受信した表示データを第1の装置(2)のメモリに記録する。
【0312】
第1の装置(2)のプロセッサは、既定の治療的処置の実施または行為とリンクする表示データ、および個体Iiの予測薬理学的データモデル(図7Aおよび図7B)の表示データから、個体Iiの訂正された薬理学的データモデル(図8Aおよび図8B)を計算する。
【0313】
本発明に係る方法によって得られた個体Iiの訂正された薬理学的モデルは、訂正された治療的処置の経時的な効果を表し、ターゲットウィンドウを含む。
【0314】
治療の実施または行為の図示された履歴を考慮する、訂正された薬理学的モデル(図8A)は、有効性喪失閾値に対応する第1の最小閾値、より具体的には最小限界有効性喪失閾値、および有効性喪失緩衝閾値に対応する第2の最小閾値をさらに含む。
【0315】
治療の実施または行為の図示された履歴を考慮する、訂正された薬理学的モデル(図8B)は、毒性閾値に対応する第1の最大閾値、より具体的には最大限界毒性閾値、および毒性緩衝閾値に対応する第2の最大閾値をさらに含む。
【0316】
治療行為の頻度は、例えば、処置を無効にする不十分な行為への曝露(有効性喪失閾値)と、処置を潜在的に危険にする過剰な行為への曝露(毒性閾値)との間のような、治療の有効性ウィンドウにおける治療的処置の効果を維持することを目的とする。
【0317】
訂正された薬理学的モデルは、治療的処置の実施または行為とリンクする表示データを考慮し、指示される処置に関する差異を考慮する従来のモデルとの差異を考慮する、薬理学的モデルを提供することを可能にするので、特に有利である。
【0318】
実際に、本発明に係る個体Iiの訂正された薬理学的モデルは、応答のピーク(例えば、治療的処置の効果のピーク)がモデルにおいて観察される場合、治療的処置の実施または行為の事象と一致する場合に、治療的処置の実施または行為の結果として説明されることを説明することができる。モデルにおける治療的応答の谷、例えば、治療的処置の治療効果の谷は、ある期間にわたる治療的処置の実施または実施の事象の欠如と一致する場合、治療的処置の実施または行為を忘れることによって説明される。
【0319】
したがって、個体の訂正されたデータモデルは、治療的処置の実施とリンクする表示データを考慮するため、差異を明らかにすることが可能であり、効果の変動を誤った原因に帰さないことが可能である。
【0320】
図9A図9B図9C図9D、および図9Eは、治療の実施または行為のためのターゲットウィンドウにおける個体の位置決めデータを表すタイムゲージの例を示し、各区画は1時間を表す。
【0321】
図9Aは、個体の治療の実施または行為の実行を表すタイムゲージを表す。
【0322】
タイムゲージは100%まで満たされ、全ての部分は満たされており、個体は最大閾値と最大緩衝閾値との間の上部緩衝領域に位置し、個体は限界毒性閾値に対応する最大閾値を上回る不利益な条件下で、実施または治療的行為を再度実行してはならない。
【0323】
図9Bは、治療の最後の実施または行為の2時間後の個体を表すタイムゲージを表す。
【0324】
ゲージは77%まで満たされ、最大閾値と最大緩衝閾値との間の2つの区画は空であり、個体は、毒性緩衝閾値に対応する最大緩衝閾値を下回る最適領域に位置する。個体は、限界毒性閾値に対応する最大閾値を上回るという不利益な条件下で、治療の再度実施または行為の再度実行をしてはならない。
【0325】
しかしながら、個体は、例えば、毎日の事象を予期するために、毒性領域に入ることなく、4分の1の治療の実施または行為(例えば、4分の1の錠剤)を再開してもよい。
【0326】
図9Cは、治療の最後の実施または行為の4時間後の個体を表すタイムゲージを表す。
【0327】
ゲージは55%まで満たされ、最大閾値と最大緩衝閾値との間の2つの区画は空であり、最適領域の2つの区画は空であり、個体は完全な実施に対する閾値の下で最適領域に位置する。個体は、限界毒性閾値に対応する最大閾値を上回るリスクを伴わずに、治療の行為を再度実施または再度実行してもよい。
【0328】
図9Dは、治療の最後の実施または行為の6時間後の個体を表すタイムゲージを表す。
【0329】
ゲージは33%まで満たされ、最大閾値と最大緩衝閾値との間の2つの区画は空であり、最適領域の4つの区画は空であり、個体は最小緩衝領域と最小閾値との間の下部緩衝領域に位置する。最小緩衝閾値と最小閾値との間の有効性喪失緩衝領域の3つの区画は満たされており、患者は治療的処置の有効性が3時間残っていることを知っている。個体は、臨界有効性喪失閾値に対応する最小閾値を下回る不利益な条件下で、次の3時間以内に治療の行為を再度実施または再度実行しなければならない。
【0330】
図9Eは、治療の最後の実施または行為の9時間後の個体を表すタイムゲージを表す。
【0331】
ゲージは0%まで満たされ、最大閾値と最大緩衝閾値との間の2つの区画は空であり、最適領域の4つの区画および最小緩衝閾値と最小閾値との間の3つの区画は空である。治療的処置は、個体においていかなる治療効果ももはや有さない。彼らは、治療の行為を絶対に再度実施または再度実行しなければならない。
【0332】
本発明は以下に記載する実施形態に限定されるものではないこと、および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの修正が実施形態に適用され得ることは、十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0333】
図1図1は、本発明に係る治療的処置の実施または行為を支援することを目的とするシステムを表す。
図2図2は、「ロボット」個体における理論上の薬物動態予測モデルを表す。
図3図3は、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された薬物動態モデルを表す。
図4図4は、「週末」型イベントに適応された、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図5A図5Aおよび5Bは、「高可変」型イベントに適応された、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図5B図5Aおよび5Bは、「高可変」型イベントに適応された、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図6A図6A、6Bおよび6Cは、次回の投薬のための時間間隔Tminおよび時間間隔緩衝Tminならびに次回の投薬の前の時間間隔Tmaxおよび時間間隔緩衝Tmaxを含む、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図6B図6A、6Bおよび6Cは、次回の投薬のための時間間隔Tminおよび時間間隔緩衝Tminならびに次回の投薬の前の時間間隔Tmaxおよび時間間隔緩衝Tmaxを含む、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図6C図6A、6Bおよび6Cは、次回の投薬のための時間間隔Tminおよび時間間隔緩衝Tminならびに次回の投薬の前の時間間隔Tmaxおよび時間間隔緩衝Tmaxを含む、個体における個別化薬物動態モデルを表す。
図7A図7Aおよび7Bは、「ロボット」個体における理論上の予測薬理モデルを表す。
図7B図7Aおよび7Bは、「ロボット」個体における理論上の予測薬理モデルを表す。
図8A図8Aおよび8Bは、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された予測薬理モデルを表す。
図8B図8Aおよび8Bは、治療の実施または行為の履歴を考慮した、個体における訂正された予測薬理モデルを表す。
図9A図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
図9B図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
図9C図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
図9D図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
図9E図9A~9Eは、治療的処置の実施または行為におけるターゲットウィンドウ中の個体の位置決めデータを示すタイムゲージの例を表す。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
【国際調査報告】