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▶ ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニーの特許一覧

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  • 特表-複合石膏ボードおよび関連方法 図1A
  • 特表-複合石膏ボードおよび関連方法 図1B
  • 特表-複合石膏ボードおよび関連方法 図1C
  • 特表-複合石膏ボードおよび関連方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】複合石膏ボードおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20220324BHJP
   B32B 13/08 20060101ALI20220324BHJP
【FI】
B28B1/30 101
B32B13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547696
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020017631
(87)【国際公開番号】W WO2020167742
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,102
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/581,070
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ヘンフィル、マーク
(72)【発明者】
【氏名】サン、ユーチュン
【テーマコード(参考)】
4F100
4G052
【Fターム(参考)】
4F100AA07A
4F100AE06A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00
4F100BA07B
4F100BA07C
4F100BA07D
4F100BA43A
4F100BA43C
4F100CC102
4F100CC10C
4F100DG10B
4F100EH462
4F100EH46C
4F100EH46D
4F100GB07
4F100JK01
4F100JK01C
4F100JL01
4G052DA01
4G052DB14
4G052DC06
(57)【要約】
【解決手段】 表カバーシートと裏カバーシートとの間に挟まれた、硬化石膏を含むボード芯を備える複合石膏ボードが開示される。複合石膏ボードはまた、ボード芯と表カバーシートとの間に中間シートを備え、中間シートと表カバーシートとの間に薄い緻密石膏層が配置される。任意で、第2の緻密石膏層がボード芯の第1の主要な側と裏カバーシートとの間に配置され得る。また、表カバーシート上に配置された緻密石膏層の上に中間シートが適用される複合石膏ボードを調製する方法も開示される。裏カバーシートは、ボード芯のもう一方の主要な側に適用され、第2の緻密石膏層が任意でそれらの間に配置される。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合石膏ボードであって、
(a)少なくとも水とスタッコとを含むスラリーから形成された硬化石膏を含むボード芯であって、前記芯が、第1および第2の芯面を画定する、ボード芯と、
(b)第1および第2の面を有する中間シートであって、前記中間シートの前記第1の面が、前記第1の芯面に面している、中間シートと、
(c)第1および第2の面を有する緻密石膏層であって、前記緻密石膏層の前記第1の面が、前記中間シートの前記第2の面に面している、緻密石膏層と、
(d)第1および第2の面を有する表カバーシートであって、前記表カバーシートの前記第1の面が、前記緻密石膏層の前記第2の面に面している、表カバーシートと、
(e)第1および第2の面を有する裏カバーシートであって、前記裏カバーシートの前記第1の面が、前記ボード芯の前記第2の面に面している、裏カバーシートと、を備える、複合石膏ボード。
【請求項2】
前記中間シートが、紙から形成される、請求項1に記載の複合石膏ボード。
【請求項3】
前記ボード芯が約15pcf~約35pcfの密度を有し、前記緻密石膏層が約35pcf~約55pcfの密度を有し、前記緻密石膏層の前記密度の前記ボード芯の前記密度に対する比率が、少なくとも約1.2である、請求項1または2に記載の複合石膏ボード。
【請求項4】
前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約40インチの幅を有し、
前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、
前記ボードが、ASTM 473-07に従って少なくとも約72lb力の釘引き抜き強度を有し、
前記ボードが、約35pcf以下の密度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項5】
前記中間シートが、約10lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約35インチの幅を有し、
前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約32lb/MSFの坪量を有し、
前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力の釘引き抜き強度を有し、
前記ボードが、約35pcf以下の密度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合石膏ボード。
【請求項6】
複合石膏ボードを製造する方法であって、
(a)少なくともスタッコと水とを含む第1のスラリーを調製することと、
(b)前記第1のスラリーを第1のカバーシートに結合関係で適用して、緻密石膏層を形成することであって、前記緻密石膏層が、第1の面および第2の面を有し、前記緻密石膏層の前記第1の面が、前記第1のカバーシートに面している、緻密石膏層を形成することと、
(c)第1および第2の面を有する中間シートを、前記緻密石膏層の前記第2の面に適用することと、
(d)少なくとも水、スタッコ、および発泡剤を混合して、第2のスラリーを形成することと、
(e)前記第2のスラリーを前記中間シートに結合関係で適用して、第1の面および第2の面を有するボード芯を形成することであって、前記第1のボード芯面が、前記中間シートの前記第2の面に面している、ボード芯を形成することと、
(f)第2のカバーシートを前記第2のボード芯面に結合関係で適用して、ボード前駆体を形成することと、
(g)前記ボード前駆体を乾燥させて、ボードを形成することであって、乾燥すると、前記緻密石膏層が、前記ボード芯よりも高い密度を有する、ボードを形成することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記中間シートが紙から形成され、前記ボードが約20pcf~約31pcfの密度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスラリーが、スタッコの約0重量%~約0.5重量%の量のデンプンをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約75%の幅を有し、
前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、
前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力の釘引き抜き強度を有し、
前記ボードが、約35pcf以下の密度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約67%の幅を有し、
前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、
前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力の釘引き抜き強度を有し、
前記ボードが、約33pcf以下の密度を有する、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
硬化石膏は、建物の建築および改築のためのパネルおよび他の製品を含む、多くの製品で使用される周知の材料である。そのような1つのパネル(多くの場合、石膏ボードと呼ばれる)は、2つのカバーシート(例えば、紙面ボード)間に挟まれた硬化石膏芯の形態であり、建物の内壁および天井の乾式壁構造で一般的に使用される。多くの場合「スキムコート」と呼ばれる1つ以上の緻密層が、通常は紙-芯界面において、芯のいずれかの側に含まれ得る。
【0002】
石膏(硫酸カルシウム二水和物)は、天然に存在し、岩石の形態で採掘することができる。またこれは、排煙脱硫などの工業プロセスの副生成物として、合成形態(当該技術分野では「シンジプ(syngyp)」と呼ばれる)である場合もある。いずれの供給源(天然または合成)からでも、石膏を高温で焼成して、スタッコ(即ち、硫酸カルシウム半水和物および/または無硫酸カルシウムの形態の焼石膏)を形成した後、再水和して、所望の形状(例えば、ボードとして)の硬化石膏を形成することができる。ボードの製造中、スタッコ、水、および必要に応じて他の成分が、典型的には、当該技術分野で用いられる用語としてのピンミキサー内で混合される。スラリーが形成され、ミキサーから、スキムコート(存在する場合)のうちの1つがすでに(多くの場合、ミキサーの上流で)適用されたカバーシートを運ぶ移動コンベヤ上に排出される。スラリーは、紙上に広げられる(スキムコートが任意で紙上に含まれている)。スキムコートの有無にかかわらず、別のカバーシートがスラリー上に適用され、例えば、形成プレートなどを用いて、所望の厚さのサンドイッチ構造を形成する。混合物を鋳造し、固化させ、焼石膏と水との反応により硬化(即ち、再水和)石膏を形成し、結晶性水和石膏(即ち、硫酸カルシウム二水和物)のマトリックスを形成する。硬化石膏結晶のインターロッキングマトリックスの形成を可能にし、それにより、生成物中の石膏構造に強度を付与するのは、所望する焼石膏の水和である。残りの遊離(即ち、未反応)水を除去して、乾燥生成物を得るために、熱が必要とされる(例えば、窯内で)。
【0003】
十分な強度が維持されている限り、ボードの密度を低下させることが、大きな関心となっている。重量を減らすために、ボードの体積から質量を除去し、例えば、泡剤から作られた空気間隙、および石膏へのスタッコの再水和に必要な量を超える水の蒸発によって生じる水の空隙などの間隙と質量を置き換えることができる。パーライトおよびその他の軽量充填剤は、空気および水の空隙の代替または補足として使用することもできる。ボードの重量が軽いほど、取り扱い、運搬、および設置がより容易であり、ボードの設置において望ましい効率が得られる。より軽量のボードが望ましいが、消費者が望むボード強度を達成することを犠牲にするべきではない。ボードから質量を取り除く場合、ボードの十分な強度および保全性を維持することが課題となる。
【0004】
この背景技術の記載が、読み手を補助するために本発明者らによって作られており、従来技術の参照としても、示された問題のうちのいずれもそれら自体が当該技術分野において理解されたという指示としてもみなされるものではないことが理解されるであろう。記載される原理は、いくつかの点および実施形態では、他のシステムに固有の問題を軽減できるが、保護される技術革新の範囲は、本明細書に記述される任意の特定の問題を解決する特許請求される発明の能力によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるであろう。
【0005】
本開示は、2つのカバーシート(即ち、表(マニラ)および裏(ニュースライン)カバーシート)の間に配置された硬化石膏芯を有する複合石膏ボードを提供し、複合ボードはまた、芯と表カバーシートとの間に配置された中間シートを含む。この点に関して、複合ボードは、ボード芯よりも一般により緻密であり、好ましくは剛性である比較的薄い石膏層を含む。中間シートは、ボード芯と緻密石膏層との間に配置される。好ましい実施形態では、中間シートと緻密石膏層との組み合わせは、例えば、良好な釘引き抜き抵抗(単に「釘引き抜き」と呼ばれることがある)に見られるように、複合ボードに強度を与える。
【0006】
有利なことに、中間シートの存在は、驚くべきことに、かつ予想外に、増強された強度(例えば、釘引き抜き抵抗または他の強度測定基準の形態で)を有するボードを可能にし、これは、壁板市場で消費者および建築請負業者によってますます所望されるように、より軽量のボードに特に有用である。一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、中間シートは、力(荷重)に耐える緻密石膏層の能力を相乗的に増強し、その結果、それがより良好な構造的完全性および強度を有すると考えられる。したがって、軽量で良好な強度を有するボードを調製することができる。
【0007】
さらに、いくつかの実施形態では、中間シートの使用がより低い坪量を有するカバーシートの使用を可能にするため、製造コストが削減され、効率の増強が達成され得る。必要に応じて、アルファ化デンプン、未調理デンプン、ポリホスフェート、分散剤などの強度添加剤を含む、スタッコスラリーに含まれることが知られているいくつかの添加剤の量を、これらまたは代替の実施形態で削減、最小化、または排除さえすることができる。したがって、本発明のいくつかの好ましい実施形態は、所望のボードの強度を維持しながら、(例えば、カバーシートのより低い坪量を介して、および/またはボード芯においてより強度の低い添加剤化学を使用することにより)ボードの重量および製造コストの両方の削減を可能にし得る。
【0008】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によって提供される別の利点は、緻密層のウォッシュアウト、したがってむだを削減または排除することができ、それにより、さらなる製造効率を可能にすることである。この点に関して、通常、ボードは、壁板マシン(即ち、壁板製造ライン)のウェットエンドで最初に上側を下にして調製される。紙が巻き戻され、移動コンベヤ上に解放される。緻密層は、従来、メインスタッコスラリーミキサー(例えば、ピンまたはピンレスミキサー)の上流で紙に適用される。従来、1つの問題は、特に最新の高速プラント(例えば、少なくとも約500フィート/分の速度で動作する)では、ブートまたは同様の構成要素を介してメインミキサーから解放される芯スラリーがかなりの速度を有することである。紙の上に配置された緻密石膏層のスラリーの上に高速芯スラリーが適用されると、緻密石膏層スラリーは、ある程度のウォッシュアウトを経験する可能性があり、それにより、緻密石膏層およびそれに付随する利点のむだおよび減少につながる。有利なことに、緻密石膏層用のスラリーとボード芯用のスラリーとの間に中間シートを適用することによって、緻密石膏層が保護され、ウォッシュアウトを削減できることが分かった。これに関して、ボードマシンは、中間シートがメインミキサーの上流で解放され(例えば、巻き戻され)、次に緻密石膏層の上に適用されることを可能にするように構成され得る。例えば、一実施形態では、中間シートをロールから巻き戻し、メインミキサーの下に向け、ミキサーのすぐ下流に適用し、次にボード芯スラリーを中間シートのすぐ上に適用することができる。
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、表カバーシートと裏カバーシートとの間にボード芯を備える複合石膏ボードを提供する。ボード芯は、少なくとも水、スタッコ、および必要に応じて他の成分(例えば、デンプン、分散剤、ポリホスフェート、遅延剤、促進剤、耐火添加剤など)から形成された硬化石膏を備え、芯は、第1および第2の芯面を画定する。複合石膏ボードはまた、第1および第2の面を有する中間シートを有し、中間シートの第1の面は、第1の芯面に面している。複合石膏ボードはまた、第1および第2の面を有する緻密石膏層を備え、緻密石膏層の第1の面は、中間シートの第2の面に面している。表カバーシートは、第1および第2の面を有し、表カバーシートの第1の面は、緻密石膏層の第2の面に面している。裏カバーシートは、第1および第2の面を有し、裏カバーシートの第1の面は、ボード芯の第2の面に面している。表および裏カバーシートのそれぞれの第2の面は、典型的には、複合石膏ボードの外表面である。任意で、第2の緻密層が、裏カバーシートとボード芯との間に提供され得る。
【0010】
別の態様では、本発明は、表カバーシートと裏カバーシートとの間に挟まれたボード芯を有する複合石膏ボードを製造する方法を提供する。本方法は、少なくともスタッコと水とを含む第1のスラリーを調製することを含む。第1のスラリーは、緻密石膏層を形成するために使用され、緻密石膏層の第1の面は、表カバーシートの第1の面に結合関係で適用される。中間シートは、緻密石膏層の第2の面に適用される。水、スタッコ、発泡剤、および必要に応じて他の成分(例えば、デンプン、分散剤、ポリホスフェート、遅延剤、促進剤、耐火添加剤など)を混合して、硬化石膏を含むボード芯を形成するために使用される第2のスラリーを形成する。第2のスラリーは、第1および第2の面を有するボード芯を形成し、ボード芯の第1の面は、中間シートの第2の面に適用される。裏紙は、第1および第2の面を有し、裏紙の第1面は、ボード芯の第2の面に面している。表および裏カバーシートのそれぞれの第2の面は、典型的には、複合石膏ボードの外表面である。任意で、第2の緻密層が、裏カバーシートとボード芯との間に提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、本発明の実施形態による、2層の緻密な層を有する壁板の断面の概略図である(原寸に比例して描かれていない)。
【0012】
図1B図1Bは、本発明の実施形態による、1層の緻密な層を有する壁板の断面の概略図である(原寸に比例して描かれていない)。
【0013】
図1C図1Cは、本発明の実施形態による、比較的狭い幅を有する中間シートを有する壁板の断面の概略図である(原寸に比例して描かれていない)。
【0014】
図2図2は、実施例1で論じられる、ASTM 473-07、方法Bに準拠した、ボード試料1および2の釘引き抜き試験からの荷重(lb)対変位(インチ)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、複合石膏ボードおよび複合石膏ボードを製造する方法を提供する。複合ボードは、表カバーシートと裏カバーシートとの間に挟まれた硬化石膏芯と共に、芯と表紙との間に中間シートを含む。比較的薄い緻密石膏層が、ボード芯の第1の主要な側と表紙との間に配置される。必要に応じて、第2の比較的薄い緻密石膏層がボード芯のもう一方の主要な側と裏カバーシートとの間に配置され得る。
【0016】
驚くべきことに、かつ予想外に、本開示の好ましい実施形態は、増強された強度を有する複合石膏ボードを提供し、ボード内の石膏層を形成する際に使用される石膏スラリーにおける特定の添加剤の使用の削減または排除を可能にし得る。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、複合石膏ボードは、例えば、デンプン(未調理またはアルファ化デンプンを含む)、トリメタリン酸ナトリウム(「STMP」)などのポリホスフェート、分散剤などの強度増強添加剤の使用の削減または排除を可能にする。例えば、石膏スラリー(「スタッコスラリー」と呼ばれることがある)を形成する際に、強度増強デンプン(例えば、アルファ化または未調理デンプン)の量を、約0%~約4%、例えば、約0%~約2%、または0%~約0.5%の量に削減することができ、ポリホスフェート(例えば、トリメタリン酸ナトリウムまたはSTMP)の量を、約0.05%~約0.4%、例えば、約0.05%~約0.2%の量に削減することができ、分散剤(例えば、ナフタレンスルホネート)の量を、約0.1%~約0.8%、例えば、約0.1%~約0.5%の量に削減することができる(ここで、前述のすべての重量は、スタッコの重量による)。あるいは、またはさらに、本発明による好ましい複合石膏ボードはまた、より低い坪量のカバーシートの使用を可能にし得る。そのような添加剤の使用の削減およびより低い坪量のカバーシートの促進は、例えば、商業または実験室規模での製造ボードにおける原材料コストの大幅な削減を可能にする。
【0017】
一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、中間シートからの引張強度と緻密石膏層からの剛性との組み合わせは、例えば、釘引き抜き抵抗によって証明されるように、複合石膏ボードの強度増強を可能にすると考えられている。この点に関して、従来技術の「スキムコート」を有する表カバーシートの存在は、強度を増強し、ボードの重量を削減するのに十分ではなかった。したがって、緻密石膏層と共に本明細書に記載されるような中間シートを使用することによって、これらの従来のボードを上回る改善が提供された。
【0018】
例示のために、図1Aおよび1Bは、複合石膏ボード10が示されている本発明の2つの実施形態を概略的に示す。ボード10は、ボード芯18と緻密石膏層20との間に配置された表カバーシート12、裏カバーシート14、および中間シート16を備える。図1Aは、第2の緻密石膏層22の存在を例示し、図1Bは、任意の第2の緻密石膏層がない複合石膏ボードを示す。各構成要素に好適な任意の厚さが使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のタイプの紙(表、裏、および/または中間体)は、約0.008インチ~約0.013インチ(例えば、約0.01インチ)の厚さを有し、緻密層は、約0.01インチ~約0.1インチの厚さを有する。
【0019】
図1Aおよび1Bに見られるように、表カバーシート12は、第1の面22および第2の面24を有し、これは、一般に、ボード10の設置時に通常見える表面であるボードの外表面である。緻密石膏層20は、第1の面26、および表カバーシート12の第1の面22に面している第2の面28を有する。中間シート16は、第1および第2の面30および32を有する。中間シート16の第2の面32は、緻密石膏層20の第1の面26に面している。ボード芯18は、第1の面34、および中間シート16の第1の面30に面している第2の面36を有する。裏カバーシート14は、第1および第2の面38および40を有する。ボード芯18の第1の面34は、裏カバーシート14の第1の面38に面しており、裏カバーシート14の第2の面40は、通常、ボード10の外表面であり、設置時、スタッド、ジョイストなどに内向きに面している。図1Aに示されるように、第2の緻密層22は、任意で、裏カバーシート14とボード芯18との間に提供され得る。
【0020】
中間シートは、任意の好適な幅を有することができる。いくつかの実施形態では、中間シートは、ボードの幅にほぼ対応する幅を有する。しかしながら、製造費用を削減するために、いくつかの実施形態では、中間シートは、ボードの幅よりも小さい幅を有することができる。例示のために、図1Cは、中間シート116がボードの幅よりもかなり小さい幅を有する場合に複合石膏ボード110が示される本発明の実施形態を概略的に示す。公称48インチ幅のボードについて概略的に示されているように、中間シートは、例えば、26インチ~36インチの幅を有することができ、中間シートの中心は、ボードの幅の中心を対象とする。ボード110は、表カバーシート112、裏カバーシート114、およびボード芯118と緻密石膏層120との間に配置された中間シート116を備える。図1Cは、任意の第2の緻密石膏層122の存在を例示するが、図1Bに示されているように、第2の緻密層122は必要ではないことが理解されるであろう。
【0021】
図1Cに見られるように、表カバーシート112は、第1の面122および第2の面124を有し、これは、一般に、ボード110の設置時に通常見える表面であるボードの外表面である。緻密石膏層120は、第1の面126、および表カバーシート112の第1の面122に面している第2の面128を有する。中間シート116は、第1および第2の面130および132を有する。中間シート116の第2の面132は、緻密石膏層120の第1の面126に面している。ボード芯118は、第1の面134、および中間シート116の第1の面130に面している第2の面136を有する。裏カバーシート114は、第1および第2の面138および140を有する。ボード芯118の第1の面134は、裏カバーシート114の第1の面138に面しており、裏カバーシート114の第2の面140は、通常、ボード110の外表面であり、設置時、スタッド、ジョイストなどに内向きに面している。図1Cに示されるように、第2の緻密層122は、任意で、裏カバーシート114とボード芯118との間に提供され得る。
【0022】
薄い緻密石膏層は、一般に、ボード芯が有するよりも高い密度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、緻密層は、約35pcf~約60pcf、例えば、約40pcf~約60pcf、約45pcf~約60pcf、約50pcf~約60pcf、約35pcf~約50pcf、約35pcf~約45pcf、約45pcf~約60pcf、または約45pcf~約55pcfの乾燥密度を有する。いくつかの実施形態では、薄い緻密石膏層は、ボード芯の厚さよりもかなり小さい。例えば、いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、約0.01インチ~約0.1インチ、例えば、約0.03インチ~約0.1インチ、約0.05インチ~約0.1インチ、約0.01インチ~約0.08インチ、約0.01インチ~約0.05インチ、約0.03インチ~約0.08インチ、約0.02インチ~約0.07インチなどの厚さを有する。緻密石膏層は、特にボード芯に関して、好ましくは比較的剛性である。例えば、いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、ボードの圧縮強度試験によれば、約1000psi~約2000psiの圧縮強度を有する。
【0023】
ボード芯は、一般に、緻密石膏層よりも低い密度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、ボード芯は、約20pcf~約35pcf、例えば、約22pcf~約33pcf、約24pcf~約31pcf、約25pcf~約30pcf、または約26pcf~約27pcfの乾燥密度を有する。いくつかの実施形態では、ボード芯は、ボード芯の厚さよりもかなり大きい。例えば、いくつかの実施形態では、公称1/2厚のボードの場合、緻密石膏層は、約0.01インチ~約0.1インチ、例えば、約0.02インチ~約0.7インチ、約0.025インチ~約0.6インチ、約0.03インチ~約0.5インチなどの厚さを有する。他のボードの厚さについては、当業者は、測定値を比例して容易に調整し得る。
【0024】
カバーシート、ならびに中間シートは、繊維状または非繊維状であり得る。いくつかの実施形態では、それらは、紙、繊維マット、または他のタイプの材料(例えば、ホイル、プラスチック、ガラスマット、不織布材料、例えば、セルロースおよび無機充填剤のブレンドなど)から形成され得る。
【0025】
表および裏カバーシートは、任意の好適な坪量および厚さを有することができる。一般に、表および裏カバーシート(例えば、紙で構成される)の厚さは、(例えば、紙)の重量によって決定される。例えば、いくつかの実施形態では、表および裏カバーシートは、約10lb/msf~約55lb/msf、例えば、約20lb/msf~約55lb/msf、約20lb/msf~約50lb/msf、約20lb/msf~約40lb/msf、約30lb/msf~約55lb/msf、約30lb/msf~約50lb/msf、約30lb/msf~約40lb/msfなどの坪量を有することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、中間シートの存在は、より軽量のカバーシートの使用を可能にし、それにより、費用を削減し、かつ/またはより軽量のボードを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、表および裏カバーシートの一方または両方は、約15lb/MSF~約35~約lb/msf、例えば、約20lb/MSF~約33lb/msf、約20lb/MSF~約31lb/msf、約20lb/MSF~約29lb/msf、約20lb/MSF~約27lb/msf、約15lb/MSF~約31lb/msfなどの重量を有する。そのような重量のボードは、約0.005インチ~約0.015インチの厚さ、例えば、0.007~約0.03インチ(例えば、約0.01インチ)の公称厚さを有することができる。
【0026】
中間シートはまた、任意の好適な坪量、したがって厚さを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、表および裏カバーシートは、約10lb/msf~約55lb/msf、例えば、約10lbs/msf~約45lb/msf、10lb/msf~約40lb/msf、20lb/msf~約40lb/msf、20lb/msf~約35lb/msfなどの坪量を有することができる。好ましい実施形態では、中間シートは、より低い目標坪量、例えば、10lb/MSF~約30lb/msf、例えば、10lb/MSF~約27lb/msf、約15lb/MSF~約25lb/msf、約15lb/MSF~約23lb/msf、約15lb/MSF~約20lb/msfなどを有する。そのような重量のボードは、約0.005インチ~約0.05インチの厚さ、例えば、0.007~約0.03インチ(例えば、約0.01インチ)の公称厚さを有することができる。好ましくは、中間シートは、特にボード芯と比較して、良好な引張強度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、中間シートは、以下の紙の引張試験によれば、約15lb/インチ~約30lb/インチの引張強度を有する。この点に関して、紙の引張強度は、修正されたTAPPI T494om-01法によって決定される。試験は、2インチ幅の試料を使用して変更される。試料は、240°Fで12.5分間乾燥される。2つのクランプジョーのゲージ長は、2.000インチに設定される。ジョーの分離速度は、2インチ/分である。
【0027】
石膏層(ボード芯および緻密石膏層)は、少なくとも水とスタッコとを含むスラリーから形成される。本明細書を通して言及するように、スタッコは、硫酸カルシウムアルファ半水和物、硫酸カルシウムベータ半水和物、および/または無水硫酸カルシウムの形態であり得る。スタッコおよび水に加えて、ボード芯は、低密度充填剤(例えば、パーライト、低密度骨材など)などの低密度に寄与する薬剤、または発泡剤から形成される。様々な発泡剤レジームが当技術分野でよく知られている。発泡剤は、硬化石膏の連続結晶マトリックス内に気泡分布を形成するために含まれ得る。いくつかの実施形態では、発泡剤は、主重量部分の不安定構成要素と、少重量部分の安定構成要素(例えば、不安定および安定/不安定のブレンドが組み合わされる場合)とを含む。安定構成要素に対する不安定構成要素の重量比は、硬化石膏芯内に気泡分布を形成するのに有効である。例えば、米国特許第5,643,510号、同第6,342,284号、および同第6,632,550号を参照されたい。いくつかの実施形態では、起泡剤は、アルキルサルフェート界面活性剤を含む。
【0028】
GEO Specialty Chemicals(ペンシルベニア州アンブラー)の石鹸製品のHYONICライン(例えば、25AS)などの多くの商業的に知られる発泡剤が入手可能であり、本開示の実施形態に従って使用され得る。他の市販の石鹸としては、Stepan Company(イリノイ州ノースフィールド)のPolystep B25が挙げられる。本明細書に記載される発泡剤は、単独で、または他の発泡剤と組み合わせて使用され得る。泡は事前に生成してからスタッコスラリーに添加できる。事前生成は、水性発泡剤に空気を挿入することによって起こり得る。泡を生成するための方法および装置は、周知である。例えば、米国特許第4,518,652号、同第2,080,009号、および同第2,017,022号を参照されたい。
【0029】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、少なくとも1つのアルキルサルフェート、少なくとも1つのアルキルエーテルサルフェート、またはそれらの任意の組み合わせを含む、またはそれらから成る、またはそれらから本質的に成るが、本質的にオレフィン(例えば、オレフィンサルフェート)および/もしくはアルキンを含まない。オレフィンまたはアルキンを本質的に含まないということは、発泡剤が(i)スタッコの重量に基づき0重量%、またはオレフィンおよび/もしくはアルキンがない、あるいは(ii)効果のない量、または(iii)微々たる量のオレフィンおよび/もしくはアルキン、のいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、オレフィンおよび/またはアルキンの発泡剤を使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。取るに足りない量は、当業者が理解するように、スタッコの重量に基づき、例えば、約0.001重量%未満、例えば、約0.0005重量%未満、約0.001重量%未満、約0.00001重量%未満などであってもよい。
【0030】
不安定な石鹸のいくつかのタイプは、本開示の実施形態に従って、異なる鎖長および異なるカチオンを有するアルキルサルフェート界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C~C12、例えば、C~C10またはC10~C12であり得る。好適なカチオンとしては、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが挙げられる。不安定な石鹸の例としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム、ドデシル硫酸カリウム、デシル硫酸カリウム、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸マグネシウム、デシル硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0031】
安定な石鹸のいくつかのタイプは、本開示の実施形態に従って、異なる(一般的により長い)鎖長および異なるカチオンを有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化)アルキルサルフェート界面活性剤である。好適な鎖長は、例えば、C10~C14、例えば、C12~C14、またはC10~C12であり得る。好適なカチオンとしては、例えば、ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、またはカリウムが挙げられる。安定な石鹸の例としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウレス硫酸マグネシウム、ラウレス硫酸アンモニウム、それらのブレンド、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、これらの列挙から安定な石鹸および不安定な石鹸の任意の組み合わせが使用され得る。
【0032】
発泡石膏生成物の調製における発泡剤およびそれらの添加の組み合わせ例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,510号に開示される。例えば、安定な泡を形成する第1の発泡剤および不安定な泡を形成する第2の発泡剤が組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、第1の発泡剤は、石鹸であり、例えば、8~12個の炭素原子のアルキル鎖長、および1~4単位のアルコキシ(例えば、エトキシ)基鎖長を有するアルコキシル化アルキルサルフェート石鹸である。第2の発泡剤は、6~20個の炭素原子、例えば、6~18個または6~16個の炭素原子のアルキル鎖長を有する任意の非アルコキシル化(例えば、非エトキシル化)アルキルサルフェート石鹸である。これらの2つの石鹸の個々の量を調節することは、いくつかの実施形態に従って、約100%安定な石鹸または約100%不安定な石鹸が達成されるまで、ボード泡構造の制御を可能にすると考えられている。
【0033】
いくつかの実施形態では、米国特許公開第US 2017/0096369 A1号、同第US 2017/0096366 A1号、および同第US 2017/0152177 A1号に記載されるように、脂肪アルコールは、任意で、発泡剤と共に、例えば、発泡体を調製するための予混合に含まれ得る。これは、泡の安定性の向上をもたらすことにより、泡(空気)空隙のサイズおよび分布をより上手く制御できる。脂肪族アルコールは、任意の好適な脂肪族脂肪アルコールであってもよい。本明細書全体を通して定義されるように、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルを指し、置換または非置換、分枝または非分枝、および飽和または不飽和であってもよく、いくつかの実施形態に関連して、本明細書に記載される炭素鎖、例えば、C~C(xおよびyは整数である)によって示されることが理解されるであろう。したがって、脂肪族という用語は、基の疎水性を維持するヘテロ原子置換を有する鎖も指す。脂肪アルコールは、単一化合物であってもよく、または2つ以上の化合物の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、任意の脂肪アルコールは、C~C20脂肪アルコール(例えば、C~C18、C~C116、C~C14、C~C12、C~C10、C~C、C~C16、C~C14、C~C12、C~C10、C10~C16、C10~C14、C10~C12、C12~C16、C12~C14、またはC14~C16脂肪族脂肪アルコールなど)である。例には、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0034】
いくつかの実施形態では、任意の泡安定剤は、脂肪アルコールを含み、脂肪酸アルキロアミドまたはカルボン酸タウリドを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、任意の泡安定剤は、本質的にグリコールを含まないが、グリコールは、いくつかの実施形態では、例えば、より高い界面活性剤の含量を可能にするために含まれ得る。上記成分のうちのいずれも本質的に含まないということは、泡安定剤が、(i)これらの成分のうちのいずれかの重量に基づき0重量%、または(ii)効果のない量、または(iii)これらの成分のうちのいずれかの微々たる量、のいずれかを含有することを意味する。効果のない量の例は、当業者が理解するように、これらの成分のうちのいずれを使用する意図された目的を達成するための閾値量未満の量である。微々たる量とは、当業者が理解するように、スタッコの重量に基づき、例えば、約0.0001重量%未満、例えば、約0.00005重量%未満、約0.00001重量%未満、約0.000001重量%未満などであってもよい。
【0035】
好適な空隙分布および壁厚(独立して)は、特により低密度のボード(例えば、約35pcf未満)で強度を増強するのに有効であり得ることが分かっている。例えば、US2007/0048490およびUS2008/0090068を参照されたい。一般に、直径約5μm以下の空隙を有する蒸発水空隙もまた、前述の空気(泡)空隙と共に総空隙分布に寄与する。いくつかの実施形態では、約5ミクロンを超える孔径を有する空隙と約5ミクロン以下の孔径を有する空隙との体積比は、約0.5:1~約9:1、例えば、約0.7:1~約9:1、約0.8:1~約9:1、約1.4:1~約9:1、約1.8:1~約9:1、約2.3:1~約9:1、約0.7:1~約6:1、約1.4:1~約6:1、約1.8:1~約6:1、約0.7:1~約4:1、約1.4:1~約4:1、約1.8:1~約4:1、約0.5:1~約2.3:1、約0.7:1~約2.3:1、約0.8:1~約2.3:1、約1.4:1~約2.3:1、約1.8:1~約2.3:1などである。
【0036】
本明細書で使用される場合、空隙のサイズは、芯内での個々の空隙の最大直径から計算される。最大直径は、フェレット径と同じである。それぞれ画定された空隙の最大直径は、試料の画像から得られ得る。画像は、二次元画像を提供する走査電子顕微鏡(SEM)などの任意の好適な技術を使用して撮影され得る。大量の空隙の孔径が、空隙の断面(孔)のランダム性が平均直径を提供することができるように、SEM画像で測定され得る。試料の芯全体を通してランダムに位置する複数の画像中の空隙の測定を行うことにより、この計算を改善することができる。加えて、いくつかの二次元SEM画像に基づき、芯の三次元立体的モデルを構築することもまた、空隙サイズの計算を改善することができる。別の技術は、三次元画像を提供するX線CT走査分析(XMT)である。別の技術は、光学顕微鏡法であり、光対比が、例えば、空隙の深度を判定するのを補助するために使用され得る。空隙は、手動、または画像分析ソフトウェア、例えば、NIHによって開発されたImageJを使用することのいずれかによって測定され得る。当業者は、画像からの空隙のサイズおよび分布の手動判定が、各空隙の寸法の目視観測によって判定され得ることを理解するであろう。試料は、石膏ボードを分割することによって得られ得る。
【0037】
発泡剤は、例えば、所望の密度に応じて、任意の適切な量で芯スラリーに含まれ得る。発泡剤の溶液は、例えば、約0.5%(w/w)で調製される。適切な量の空気が適切な量の発泡剤の溶液と混合され、スラリーに添加される。必要な空気の量に応じて、発泡剤の溶液の濃度は、約0.1%~約1%(w/w)まで変化し得る。濃縮層はより高い密度を有するため、濃縮層を形成するためのスラリーは、より少ない(または全くない)泡で作ることができる。
【0038】
脂肪アルコールは、含まれる場合、任意の好適な量で芯スラリー中に存在し得る。いくつかの実施形態では、脂肪アルコールは、スタッコの約0.0001重量%~約0.03重量%、例えば、スタッコの約0.0001重量%~約0.025重量%、スタッコの約0.0001重量%~約0.02重量%、またはスタッコの約0.0001重量%~約0.01重量%の量で芯スラリーに存在する。濃縮層スラリーは殆どまたは全く泡を含まないため、脂肪アルコールは濃縮層に必要ではなく、あるいはより少ない量で、例えば、スタッコの約0.0001重量%~約0.004重量%、例えば、スタッコの約0.00001重量%~約0.003重量%、スタッコの約0.00001重量%~約0.0015重量%、またはスタッコの約0.00001重量%~約0.001重量%で含まれ得る。
【0039】
デンプンなどの強度増強添加剤を石膏スラリーに使用することができるが、有利なことに、使用量を従来のボード(中間シートがない)と比較して削減するか、または排除することができる。例えば、好適な強度増強添加剤は、米国特許公開第US 2016/0375655 A1号、同第US 2016/0375656 A1号、同第US 2016/0375651 A1号、および同第US 2016/0376191 A1号で論じられている。
【0040】
例えば、促進剤、遅延剤などを含む当技術分野で知られている他の成分もまた、ボード芯スラリーに含められ得る。促進剤は、様々な形態であり得る(湿潤石膏促進剤、耐熱性促進剤、および気候安定化促進剤)。例えば、米国特許第3,573,947号および同第6,409,825号を参照されたい。促進剤および/または遅延剤が含まれるいくつかの実施形態では、促進剤および/または遅延剤はスタッコの約0重量%~約10重量%(例えば、約0.1%~約10%)など、例えば、スタッコの約0重量%~約5重量%(例えば、約0.1%~約5%)などの固体ベースの量で、ボード芯を形成するためのスタッコスラリー中にそれぞれ存在してもよい。
【0041】
さらに、いくつかの実施形態では、ボード芯は、少なくとも1つの分散剤からさらに形成されて、流動性を増強することができる。分散剤は、スタッコスラリー中、他の乾燥成分と共に乾燥形態で、かつ/または他の液体成分と共に液体形態で含まれてもよい。分散剤の例としては、ナフタレンスルホン酸およびホルムアルデヒドの縮合生成物である、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホネート)および誘導体などのナフタレンスルホネート、ならびにポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボキシレート分散剤、例えば、PCE211、PCE111、1641、1641F、もしくはPCE 2641型分散剤、例えば、MELFLUX 2641F、MELFLUX 2651F、MELFLUX 1641F、MELFLUX 2500L分散剤(BASF)、およびCoatex,Inc.から入手可能なCOATEX Ethacryl M;ならびに/またはリグノスルホネートもしくはスルホン化リグニンが挙げられる。リグノスルホネートは、亜硫酸塩パルプ化を用いた木材パルプ生産の副生成物である、水溶性アニオン高分子電解質ポリマーである。本開示の実施形態の原理の実施において有用なリグニンの一例は、Reed Lignin Inc.から入手可能なMarasperse C-21である。
【0042】
低分子量分散剤が一般的に好ましい。ナフタレンスルホネート分散剤の場合、いくつかの実施形態では、それらは、約3,000~約10,000(例えば、約8,000~約10,000)の分子量を有するように選択される。いくつかの実施形態では、例えば、分子量が10,000を超える、より高い水需要のナフタレンスルホネートを使用することができる。別の例として、PCE211型分散剤に関して、いくつかの実施形態では、分子量は約20,000~約60,000であってもよく、それは、60,000を超える分子量を有する分散剤よりも小さい遅延を呈する。
【0043】
ナフタレンスルホネートの一例は、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なDILOFLOである。DILOFLOは、45%ナフタレンスルホネート水溶液であるが、例えば、約35重量%~約55重量%の固形分の範囲内の他の水溶液もまた、容易に入手可能である。ナフタレンスルホネートは、例えば、GEO Specialty Chemicalsから入手可能なLOMAR Dなど、乾燥固体または粉末形態で使用され得る。ナフタレンスルホネートの別の例は、GEO Specialty Chemicals(ペンシルベニア州アンブラー)から入手可能なDAXADである。
【0044】
分散剤は、含まれる場合、任意の好適な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、例えば、分散剤は、例えば、スタッコの約0.05重量%~約0.5重量%、例えば、約0.1重量%~約0.2重量%の量で、濃縮層スラリー中に存在することができ、ボード芯スラリー中に、例えば、スタッコの約0重量%~約0.7重量%、例えば、0重量%~約0.4重量%の量で存在し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ボード芯は、必要に応じて、少なくとも1つのホスフェート含有化合物からさらに形成されて、グリーン強度、寸法安定性、および/または撓み耐性を増強することができる。例えば、いくつかの実施形態において有効なホスフェート含有構成要素としては、水溶性構成要素が挙げられ、イオン、塩、または酸、即ち、縮合リン酸の形態であってもよく、それらのそれぞれは、2つ以上のリン酸単位、縮合ホスフェートの塩またはイオンを含み、それらのそれぞれは2つ以上のホスフェート単位、オルトホスフェートの一塩基塩または一価イオン、ならびに水溶性非環式ポリホスフェート塩を含む。例えば、米国特許第6,342,284号、同第6,632,550号、同第6,815,049号、および同第6,822,033号を参照されたい。
【0046】
いくつかの実施形態で添加された場合、ホスフェート組成物は、グリーン強度、永久変形(例えば、撓み)に対する耐性、寸法安定性などを増強し得る。グリーン強度は、製造中、湿っているボードの強度を指す。製造プロセスの厳格さにより、十分なグリーン強度がないと、ボードの前駆体が製造ラインで損傷する可能性がある。
【0047】
例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウム、およびトリメタリン酸アンモニウムを含むトリメタホスフェート化合物を使用することができる。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が好ましいが、他のホスフェートが好適である場合があり、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6~約27の反復ホスフェート単位を有し、分子式Nan+23n+1(式中、n=6~27)を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式Kを有するピロリン酸四カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸三ナトリウム二カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Naを有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(POを有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Naを有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000~3,000の反復ホスフェート単位を有し、分子式(NHn+23n+1(式中、n=1,000~3,000)を有するポリリン酸アンモニウム、または2以上の反復リン酸単位を有し、分子式Hn+23n+1(式中、nは2以上である)を有するポリリン酸が挙げられる。
【0048】
ポリホスフェートは、含まれる場合、任意の好適な量で存在し得る。説明のために、いくつかの実施形態では、ポリホスフェートは、例えば、スタッコの約0.1%~約1%、例えば、約0.2%~約0.4重量%、スタッコの約0%~約0.5%、例えば、約0%~約0.2重量%の量でスラリー中に存在し得る。したがって、分散剤およびポリホスフェートは、任意で、芯スラリー中に任意の好適な量であり得る。
【0049】
ボード芯は、所望の総複合ボード密度、例えば、約16pcf(約260kg/m)~約40pcf、例えば、約18pcf~約40pcf、18pcf~約38pcf、18pcf~約36pcf、18pcf~約32pcf、20pcf~約40pcf、20pcf~約36pcf、20pcf~約32pcf、22pcf~約40pcf、22pcf~約36pcf、22pcf~約32pcf、26pcf~約40pcf、26pcf~約36pcf、または26pcf~約32pcfの芯密度に寄与するのに有用な任意の好適な密度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボード芯は、さらにより低い密度、例えば、約30pcf以下、約29pcf(約460kg/m)以下、約28pcf以下、約27pcf(約430kg/m)以下、約26pcf以下などを有する。例えば、いくつかの実施形態では、芯密度は、約12pcf(約190kg/m)~約30pcf、約14pcf(約220kg/m)~約30pcf、16pcf~約30pcf、16pcf~約28pcf、16pcf~約26pcf、16pcf~約22pcf(約350kg/m)、18pcf~約30pcf、18pcf~約28pcf、18pcf~約26pcf、18pcf~約24pcf、20pcf~約30pcf、20pcf~約28pcf、20pcf~約26pcf、20pcf~約24pcf、22pcf~約28pcfなどである。
【0050】
石膏芯、緻密石膏層、カバーシート、および中間シートは各々、任意の好適なヤング率を有することができる。いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、中間シートおよび/またはカバーシートの一方もしくは両方(例えば、少なくとも表カバーシート)のヤング率の約0.1~約0.7、例えば、約0.1~約0.5であるヤング率による値を有する。いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、ボード芯のヤング率の少なくとも約1.5倍の高さ、例えば、ボード芯のヤング率の2倍の高さ、例えば、約2倍~約10倍、約2倍~約8倍、約2倍~約5倍などであるヤング率を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示に従って製造された複合ボードは、ASTM標準C473-07に従った試験プロトコルを満たす。例えば、いくつかの実施形態では、ボードが1/2インチの厚さで鋳造されたとき、乾燥ボードは、ASTM C473-07(方法B)に従って決定されるように、少なくとも約67lb(ポンド力)、例えば、少なくとも約68lb、少なくとも約70lb、少なくとも約72lb、少なくとも約74lb、少なくとも約75lb、少なくとも約76lb、少なくとも約77lbなどの釘引き抜き抵抗を有する。様々な実施形態では、釘引き抜き抵抗は、約67lb~約100lb、約67lb~約95lb、約67lb~約90lb、約67lb~約85lb、約67lb~約80lb、約67lb~約75lb、約68lb~約100lb、約68lb~約95lb、約68lb~約90lb、約68lb~約85lb、約68lb~約80lb、約70lb~約100lb、約70lb~約95lb、約70lb~約90lb、約70lb~約85lb、約70lb~約80lb、約72lb~約100lb、約72lb~約95lb、約72lb~約90lb、約72lb~約85lb、約72lb~約80lb、約72lb~約77lb、約72lb~約75lb、約75lb~約100lb、約75lb~約95lb、約75lb~約90lb、約75lb~約85lb、約75lb~約80lb、約75lb~約77lb、約77lb~約100lb、約77lb~約95lb、約77lb~約90lb、約77lb~約85lb、または約77lb~約80lbであり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、複合石膏ボードは、ASTM C473-07、方法Bに従って決定されるように、少なくとも約11lb、例えば、少なくとも約12lb、少なくとも約13lb、少なくとも約14lb、少なくとも約15lb、少なくとも約16lb、少なくとも約17lb、少なくとも約18lb、少なくとも約19lb、少なくとも約20lb、少なくとも約21lb、または少なくとも約22lbの平均芯硬度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボードは、約 11lb~約25lb、例えば、約11lb~約22lb、約11lb~約21lb、約11lb~約20lb、約11lb~約19lb、約11lb~約18lb、約11lb~約17lb、約11lb~約16lb、約11lb~約15lb、約11lb~約14lb、約11lb~約13lb、約11lb~約12lb、約12lb~約25lb、約12lb~約22lb、約12lb~約21lb、約12lb~約20lb、約12lb~約19lb、約12lb~約18lb、約12lb~約17lb、約12lb~約16lb、約12lb~約15lb、約12lb~約14lb、約12lb~約13lb、約13lb~約25lb、約13lb~約22lb、約13lb~約21lb、約13lb~約20lb、約13lb~約19lb、約13lb~約18lb、約13lb~約17lb、約13lb~約16lb、約13lb~約15lb、約13lb~約14lb、約14lb~約25lb、約14lb~約22lb、約14lb~約21lb、約14lb~約20lb、約14lb~約19lb、約14lb~約18lb、約14lb~約17lb、約14lb~約16lb、約14lb~約15lb、約15lb~約25lb、約15lb~約22lb、約15lb~約21lb、約15lb~約20lb、約15lb~約19lb、約15lb~約18lb、約15lb~約17lb、約15lb~約16lb、約16lb~約25lb、約16lb~約22lb、約16lb~約21lb、約16lb~約20lb、約16lb~約19lb、約16lb~約18lb、約16lb~約17lb、約17lb~約25lb、約17lb~約22lb、約17lb~約21lb、約17lb~約20lb、約17lb~約19lb、約17lb~約18lb、約18lb~約25lb、約18lb~約22lb、約18lb~約21lb、約18lb~約20lb、約18lb~約19lb、約19lb~約25lb、約19lb~約22lb、約19lb~約21lb、約19lb~約20lb、約21lb~約25lb、約21lb~約22lb、または約22lb~約25lbの芯硬度を有することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、ボード芯の平均乾燥芯硬度よりも少なくとも約1.5倍大きい平均乾燥芯硬度を有し、平均芯硬度は、ASTM C-473-07に従って測定され、例えば、少なくとも約2倍大きい、2.5倍大きい、3倍大きい、3.5倍大きい、4倍大きい、4.5倍大きいなどであり、これらの範囲の各々は、例えば、8、7、6、5、4、3、または2などの任意の数学的に適切な上限を有することができる。
【0054】
曲げ強度に関して、いくつかの実施形態では、1/2インチの厚さのボードに鋳造する場合、乾燥ボードは、ASTM規格C473-07に従って決定されるように、機械方向に少なくとも約36lb(例えば、少なくとも約38lb、少なくとも約40lbなど)、および/または幅方向に少なくとも約107lb(例えば、少なくとも約110lb、少なくとも約112lbなど)の曲げ強度を有する。様々な実施形態では、ボードは、約36lb~約60lb、例えば、約36lb~約55lb、約36lb~約50lb、約36lb~約45lb、約36lb~約40lb、約36lb~約38lb、約38lb~約60lb、約38lb~約55lb、約38lb~約50lb、約38lb~約45lb、約38lb~約40lb、約40lb~約60lb、約40lb~約55lb、約40lb~約50lb、または約40lb~約45lbの機械方向の曲げ強度を有することができる。様々な実施形態では、ボードは、約107lb~約130lb、例えば、約107lb~約125lb、約107lb~約120lb、約107lb~約115lb、約107lb~約112lb、約107lb~約110lb、約110lb~約130lb、約110lb~約125lb、約110lb~約120lb、約110lb~約115lb、約110lb~約112lb、約112lb~約130lb、約112lb~約125lb、約112lb~約120lb、または約112lb~約115lbの幅方向の曲げ強度を有することができる。
【0055】
有利なことに、本明細書に記載の様々なボード密度での様々な実施形態では、乾燥複合石膏ボードは、少なくとも約170psi(1,170kPa)、例えば、約170psi~約1,000psi(6,900kPa)、170psi~約900psi(6,200kPa)、約170psi~約800psi(5,500kPa)、約170psi~約700psi(4,800kPa)、約170psi~約600psi(4,100kPa)、約170psi~約500psi(3,450kPa)、約170psi~約450psi(3,100kPa)、約170psi~約400psi(2,760kPa)、約170psi~約350psi(2,410kPa)、約170psi~約300psi(2,070kPa)、または約170psi~約250psi(1,720kPa)の圧縮強度を有することができる。いくつかの実施形態では、ボードは、少なくとも約450psi(3,100kPa)、少なくとも約500psi(3,450kPa)、少なくとも約550psi(3,800kPa)、少なくとも約600psi(4,100kPa)、少なくとも約650psi(4,500kPa)、少なくとも約700psi(4,800kPa)、少なくとも約750psi(5,200kPa)、少なくとも約800psi(5,500kPa)、少なくとも約850psi(5,850kPa)、少なくとも約900psi(6,200kPa)、少なくとも約950psi(6,550kPa)、または少なくとも約1,000psi(6,900kPa)の圧縮強度を有する。さらに、いくつかの実施形態では、圧縮強度は、前述の点のうちの任意の2つによって制限され得る。例えば、圧縮強度は、約450psi~約1,000psiの間(例えば、約500psi~約900psiの間、約600psi~約800psiの間など)であり得る。本明細書で使用される場合、圧縮強度は、Applied Test Systems(ペンシルベニア州バトラー)のATSマシンモデル1610として市販されている材料試験システムを使用して測定される。荷重は、1インチ/分の速度で衝撃を与えることなく継続的に加えられる。
【0056】
少なくとも部分的には中間シート、特に緻密石膏層と併せて、およびそれらの利益に起因して、驚くべきことに、かつ予想外に、これらの基準(例えば、釘引き抜き抵抗、曲げ強度、および芯硬度)は、本明細書に記載されるように、超軽量密度ボード(例えば、約33pcf以下、例えば、約32pcf以下、31pcf以下、30pcf以下、29pcf以下、28pcf以下、27pcf以下、26pcf以下など)に関してでさえ満たされ得る。さらに、これらの基準は、驚くべきことに、本開示の実施形態が製造効率を提供するように、全体により少ない強度添加剤を使用し、より軽いカバーシートを使用しながら、いくつかの実施形態で満たされ得る。
【0057】
本開示の実施形態に従う複合石膏ボードは、典型的な石膏壁板製造ラインで作製され得る。例えば、ボード製造技術は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に記載されている。簡潔には、プロセスは、典型的には、カバーシートを移動コンベヤ上に放出することを伴う。石膏ボードは通常「裏向き」に形成されるため、このカバーシートは、そのような実施形態において、「表」カバーシートである。
【0058】
ボード芯を形成するための、および緻密石膏層を形成するためのスラリーは、任意の好適な方法で形成され得る。例えば、2つの別々のミキサー、例えば、必要に応じて「ピンミキサー」または「ピン無しミキサー」の形態を使用して、原材料を攪拌して、それぞれのスラリーを形成することができる。ミキサーは直列にすることも、接続しないこともできる。あるいは、1つのミキサーを使用して両方のスラリー流を開発することもできる。効率のために必要に応じて、緻密石膏層に適用される必要のあるスラリーの量がボード芯を形成するために適用されるスラリーの量よりも少ないため、緻密石膏層用に使用されるミキサーは、いくつかの実施形態では、より少ない混合容積容量を有することができる。「メイン」ミキサー(即ち、ボード芯スラリー形成用)は、本体と、排出導管とを備える(例えば、当該技術分野において既知のゲート-キャニスター-ブートの配列、または米国特許第6,494,609号および同第6,874,930号に記載の修正された出口設計(MOD)の配列)。発泡剤は、ミキサーの排出導管内(例えば、米国特許第5,683,635号および同第6,494,609号に記載されているようにゲート内)に添加され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、排出導管は、例えば、米国特許出願公開第2012/0168527A1号(出願第13/341,016号)および米国特許出願公開第2012/0170403A1号(出願第13/341,209号)に記載されるものなど、単一の供給口または複数の供給口のいずれかを有するスラリー分配器を含み得ることが理解されよう。それらの実施形態では、複数供給口を有するスラリー分配器を使用することにより、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403A1号に記載のものなど、好適な分流器を含み得る。
【0060】
当技術分野で理解されるように、ボードは、通常は同時にかつ連続的にサンドイッチ構造で形成される。表カバーシートは、移動コンベヤ上で連続リボンとして移動する。ミキサーから排出された後、緻密石膏層スラリーは、移動する表カバーシートに適用される。また、当該技術分野において既知のハードエッジが、必要に応じて、例えば、便宜上、濃縮層を形成する同じスラリー流から形成され得る。中間シートはまた、任意の好適な構成で解放され得る(例えば、ロールから巻き戻される)。例えば、いくつかの実施形態では、中間シートは、例えば、ミキサーの上流で、表カバーシートと近接または同様の近傍から巻き戻され得る。ボード製造ラインは、中間シートがメインミキサーに向けられ、次にメインミキサーのすぐ下流で(例えば、メインミキサーの下を移動することによって)、緻密石膏層上に適用されるように、中間シートを解放するように構成され得る。中間シートは、本発明の好ましい実施形態に従って、緻密石膏層のウォッシュアウトの量が削減されるように、緻密石膏層スラリー上に連続的に適用され得る。
【0061】
次に、ボード芯スラリーが、中間シート上に適用され、第2のカバーシート(典型的には「裏」カバーシート)で覆われて、最終製品のボード前駆体であるサンドイッチ構造の形態の湿潤アセンブリを形成する。裏(底部)カバーシートには、任意で第2の緻密石膏層を付けることができ、これは、第1の緻密石膏層の場合と同じかまたは異なる石膏スラリーから形成され得る。いくつかの実施形態では、緻密石膏層は、ボードの両方の主要な側に、即ち、頂部および底部シートの両方に結合関係で適用される。
【0062】
いくつかの実施形態では、表紙(ボードマシンのウェットエンドで裏向きになっている)は、紙の端を、裏紙(ボードマシンのウェットエンドで上向き)に合わせるようにボードの端で折りたたんで折り重ねて、ボード封筒を形成することができるため、最終的なボード製品の幅よりわずかに広くなるように製造され得る。例えば、公称48インチ幅のボードの場合、表紙は、約50インチ以上の幅を有することができる(例えば、約50~約52インチ、例えば、約50.375インチ)。それに対応して、いくつかの実施形態では、裏紙は、ボードの幅よりも狭くなるように製造され得る。したがって、公称48インチ幅のボードの場合、裏紙は、約48インチ未満の幅を有することができる(例えば、約46.5インチ~約47.5インチ、例えば、約47.125インチ)。
【0063】
中間シートは、最終的なボード製品の幅までの任意の好適な幅で製造され得る。望ましくは、コストを削減するために、中間シートは、ボード幅よりも狭い幅を有することができる。例えば、公称48インチ幅のボードの場合、中間シートは、約26インチ~約48インチ、例えば、約26インチ~約42インチ、約26インチ~約40インチ、約26~約36インチ、約26インチ~約35インチ、約26インチ~約32インチ、約26インチ~約30インチなどの幅を有することができる。
【0064】
他の目標幅のボードの場合、当業者は、上記のサイズに比例するサイズの表、裏、および中間シートを容易に使用することができるであろう。例えば、48インチ幅のボードまたは他の所望のボード幅の場合、中間シートは、ボード製品の目標幅の約50%~約100%、例えば、約50%~約75%、約50%~約67%、約50%~約60%、約54%~約100%、約54%~約75%、約54%~約67%、約54%~約60%などの幅を有することができ、中間シートの中心(幅方向)は、好ましくは、ボードの中心上に幅方向に位置付されることを名目上目標としている。
【0065】
カバーシートと同様に、中間シートは、例えば、紙、熱可塑性、熱硬化性などの任意の好適な材料で形成され得る。材料は、好ましくは、多孔質であり、それによって、浸透性が、例えば、窯内で余分な水分が乾燥した場合を含む、ライン上での乾燥効率に対する悪影響を減らす。しかしながら、必要に応じて、非多孔質材料が使用され得る。
【0066】
これにより提供された湿潤アセンブリは、生成物が所望の厚さにサイズ決定される(例えば、形成プレートを介して)形成ステーション、およびそれが所望の長さに切断される1つ以上のナイフ区分に運ばれる。湿潤アセンブリは、固化され、硬化石膏のインターロッキング結晶マトリックスを形成し、余分な水は、乾燥プロセスを使用して除去される(例えば、窯を通してアセンブリを輸送することにより)。驚くべきことに、かつ予想外に、本開示に従って調製されたボードが、ボードの配置および組成に特徴的な低い水需要により、乾燥プロセスにおいて有意に所要時間が少ないことが分かっている。これは、エネルギーコストを削減するため有利である。
【0067】
また、堆積したスラリーから大きい空隙またはエアポケットを取り除くために、石膏ボードの製造において振動を使用することが一般的である。上記の工程の各々、ならびにそのような工程を実施するためのプロセスおよび装置は、当該技術分野で既知である。
【0068】
本発明は、以下の例示的な実施形態によりさらに説明される。しかしながら、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0069】
(1)複合石膏ボードまたは本明細書に記載の複合石膏ボードを製造する方法。
【0070】
(2)(a)少なくとも水とスタッコとを含むスラリーから形成された硬化石膏を含むボード芯であって、前記芯が、第1および第2の芯面を画定する、ボード芯と、(b)第1および第2の面を有する中間シートであって、前記中間シートの前記第1の面が、前記第1の芯面に面している、中間シートと、(c)第1および第2の面を有する緻密石膏層であって、前記緻密石膏層の前記第1の面が、前記中間シートの前記第2の面に面している、緻密石膏層と、(d)第1および第2の面を有する表カバーシートであって、前記表カバーシートの前記第1の面が、前記緻密石膏層の前記第2の面に面している、表カバーシートと、(e)第1および第2の面を有する裏カバーシートであって、前記裏カバーシートの前記第1の面が、前記ボード芯の前記第2の面に面している、裏カバーシートと、を備える、複合石膏ボード。
【0071】
(3)前記中間シートが、紙から形成される、実施形態2に記載の複合石膏ボード。
【0072】
(4)前記中間シートが、約10lb/msf~約55lb/msfの坪量を有する、実施形態2または3に記載の複合石膏ボード。
【0073】
(5)前記表およびカバーシートが、約15lb/msf~約55lb/msfの坪量を有する、実施形態2~4のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0074】
(6)前記ボード芯が約15pcf~約35pcfの密度を有し、前記緻密石膏層が約35pcf~約55pcfの密度を有し、前記緻密石膏層の前記密度の前記ボード芯の前記密度に対する比率が、少なくとも約1.2である、実施形態2~5のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0075】
(7)前記緻密石膏層が、約1000psi~約2000psiの圧縮強度を有する、実施形態2~6のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0076】
(8)前記中間シートが、約10lb/インチ~約50lb/インチの引張強度を有する、実施形態2~7のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0077】
(9)前記ボードが、約20pcf~約40pcfの密度を有する、実施形態2~8のうちのいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0078】
(10)前記スラリー中のアルファ化デンプンの量が、スタッコの約0重量%~約0.5重量%である、実施形態2~9のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0079】
(11)前記中間シートが、約26インチ~約40インチの幅を有する、実施形態2~10のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0080】
(12)前記中間シートが、約26インチ~約30インチの幅を有する、実施形態2~11のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0081】
(13)前記中間シートが、約5lb/MSF~約30MSFの坪量を有する、実施形態2~12のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0082】
(14)前記中間シートが、約10lb/MSF~約20lb/MSFの坪量を有する、実施形態2~13のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0083】
(15)前記カバーシートの一方または両方が、約25lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有する、実施形態2~14のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0084】
(16)前記ボードが、ASTM 473-07に従って少なくとも約77lb力の釘引き抜き強度を有する、実施形態2~15のいずれか1つに記載の石膏ボード。
【0085】
(17)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約40インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~16のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0086】
(18)前記中間シートが、約5lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約35インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~17のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0087】
(19)前記中間シートが、約10lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約35インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約32lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~18のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0088】
(20)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約75%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~19のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0089】
(21)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約67%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~20のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0090】
(22)前記中間シートが、約10lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約60%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約32lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態2~21のいずれか1つに記載の複合石膏ボード。
【0091】
(23)複合石膏ボードを製造する方法であって、本方法は、(a)少なくともスタッコと水とを含む第1のスラリーを調製することと、(b)前記第1のスラリーを第1のカバーシートに結合関係で適用して、緻密石膏層を形成することであって、前記緻密石膏層が、第1の面および第2の面を有し、前記緻密石膏層の前記第1の面が、前記第1のカバーシートに面している、緻密石膏層を形成することと、(c)第1および第2の面を有する中間シートを、前記緻密石膏層の前記第2の面に適用することと、(d)少なくとも水、スタッコ、および発泡剤を混合して、第2のスラリーを形成することと、(e)前記第2のスラリーを前記中間シートに結合関係で適用して、第1の面および第2の面を有するボード芯を形成することであって、前記第1のボード芯面が、前記中間シートの前記第2の面に面している、ボード芯を形成することと、(f)第2のカバーシートを前記第2のボード芯面に結合関係で適用して、ボード前駆体を形成することと、(g)前記ボード前駆体を乾燥させて、ボードを形成することであって、乾燥すると、前記緻密石膏層が、前記ボード芯よりも高い密度を有する、ボードを形成することと、を含む。
【0092】
(24)前記中間シートが、紙から形成される、実施形態23に記載の方法。
【0093】
(25)前記中間シートが、約10lb/msf~約50lb/msfの坪量を有する、実施形態23または24に記載の方法。
【0094】
(26)前記表およびカバーシートが、約15lb/msf~約55lb/msfの坪量を有する、実施形態23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
(27)前記ボード芯が約15pcf~約40pcfの密度を有し、前記緻密石膏層が約40pcf~約55pcfの密度を有し、前記緻密石膏層の前記密度の前記ボード芯の前記密度に対する比率が、少なくとも約1.2である、実施形態23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
(28)前記緻密石膏層が、約1000psi~約2000psiの圧縮強度を有する、実施形態23~27のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
(29)前記中間シートが、約10lb/インチ~約50lb/インチの引張強度を有する、実施形態23~28のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
(30)前記ボードが、約20pcf~約31pcfの密度を有する、実施形態23~29のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0099】
(31)前記スラリー中のデンプンの量が、スタッコの約0重量%~約0.5重量%である、実施形態23~30のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
(32)前記中間シートが、約26インチ~約40インチの幅を有する、実施形態23~31のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
(33)前記中間シートが、約26インチ~約30インチの幅を有する、実施形態23~32のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
(34)前記中間シートが、約5lb/MSF~約30MSFの坪量を有する、実施形態23~33のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
(35)前記中間シートが、約10lb/MSF~約20lb/MSFの坪量を有する、実施形態23~34のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
(36)前記カバーシートの一方または両方が、約25lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有する、実施形態23~35のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
(37)前記ボードが、ASTM 473-07に従って少なくとも約77lb力の釘引き抜き強度を有する、実施形態23~36のうちのいずれか1つに記載の方法。
【0106】
(38)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約40インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~37のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
(39)前記中間シートが、約5lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約35インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約33pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~38のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
(40)前記中間シートが、約10lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、約26インチ~約35インチの幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約32lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約31pcf以下(例えば、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~39のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
(41)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約75%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約15lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約35pcf以下(例えば、約35pcf以下、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約35pcf、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~40のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
(42)前記中間シートが、約5lb/MSF~約25lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約67%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約35lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約33pcf以下(例えば、約33pcf以下、約31pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約33pcf、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~41のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
(43)前記中間シートが、約10lb/MSF~約22lb/MSFの坪量を有し、前記ボードの目標幅の約54%~約60%の幅を有し、前記表および裏カバーシートが、約20lb/MSF~約32lb/MSFの坪量を有し、前記ボードが、ASTM 473-07に従って、少なくとも約72lb力(例えば、少なくとも約77lb力)の釘引き抜き強度を有し、前記ボードが、約31pcf以下(例えば、約30pcf以下、約27pcf以下、例えば、約15pcf~約31pcf、約15pcf~約27pcfなど)の密度を有する、実施形態23~42のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
前述は、単に実施形態の例であることに留意されたい。他の例示的な実施形態は、本明細書の記載全体から明らかである。これらの実施形態の各々が、本明細書で提供される他の実施形態と様々に組み合わせて使用されてもよいことも、当業者には理解されるであろう。
【0113】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0114】
実施例1
この実施例は、「緻密石膏層」と芯との間に紙のウェブを有する複合石膏パネルが、釘引き抜き強度を大幅に増加し得ることを示す。
【0115】
2つの異なるボードを試験した。ボード1は、比較ボードで、緻密石膏層と芯との間に紙がなかった。ボード1の構成を表1に列挙する。
【表1】
【0116】
ボード2は、表2に示すように、緻密石膏層と芯との間に軽量の紙を有する複合石膏ボードであった。
【表2】
【0117】
各ボードを、表1および2に示す一般的な配置に従って、6インチ×6インチの実験室試料として生成した。各ボードは、約0.5インチの総厚を有した。ボードの製造に使用される石膏スラリーの組成を表3に列挙する。スタッコは硫酸カルシウム半水和物(ベータ型)の形態であり、耐熱促進剤はブドウ糖でコーティングされた石膏シードの形態であり、分散剤はナフタレンスルホネートの形態であり、遅延剤はDOW Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)からVersenex(商標)80として市販されているジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩の水溶液の形態であった。
【表3】
【0118】
密度を表1および2に列挙されている乾燥密度に気泡を添加することによって調整した。
【0119】
釘引き抜き強度をASTM 473-07、方法Bに従って試験した。釘引き抜き値を表4に報告する。
【表4】
【0120】
表4で見ることができるように、比較試料(ボード1)は、比較的低い釘引き抜き強度値を有したが、複合ボード2は、改善された釘引き抜き強度を示した。
【0121】
ボード1および2の釘引き抜き試験をASTM 473-07、方法Bに従って実施した。この試験は、標準の釘頭を試料が崩壊するまで試料に押し入れるのに必要な荷重を決定することによって、石膏ボードが釘の引き抜きに抵抗する能力の尺度を提供する。適用された荷重(lb)および釘頭の移動距離(即ち、「変位」)(インチ)を試験に従って両方のボードについて図2にプロットする。したがって、図2に示される曲線は、力(荷重)と釘頭の変位との間の関係を示し、一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、緻密層および中間紙を含む複合板がどのように釘引き抜き強度を改善したかを例示すると考えられる。
【0122】
本開示の実施形態による動的機械分析器を使用して決定され得るヤング率は、固体の機械的特性(剛性)を評価するために使用することができる。ヤング率は、応力のひずみに対する比率に関連する。応力は単位面積あたりの力であり、ひずみは単位長さあたりの収縮である。釘引き抜き試験では、ヤング率を直接測定するように設計されていないため、荷重の変位に対する比率(傾斜)を使用して、応力のひずみに対する比率を概算した。
【0123】
曲線では、石膏層(石膏芯および緻密石膏層の両方を含む)が、図2の垂直線の前の荷重増加に寄与する。各曲線の急な傾斜(図2の矢印で例示されている)は、石膏層、特に一般に石膏芯層よりも高い剛性を有する緻密石膏層の存在を反映していると考えられる。2つのボードのそれぞれの石膏層が同じ組成および密度を有するように調製されていたため、対応する傾斜は、両方のボードに関して類似する。垂直線は、緻密石膏層の破壊も示す。垂直線の後、荷重の増加は、表紙に起因する。
【0124】
図2に見られるように、荷重対変位の曲線は、中間紙が緻密層の破壊時のひずみを増加させることを示した。この点で、ボード2は、破壊時に大きな変位を経験し、即ち、ボード2の0.059インチに対して、比較ボード1の0.037インチであった。釘引き抜き強度(ピーク荷重)は、傾斜および破断時の変位の両方によって決定される。図2に示される結果は、中間紙が複合ボードの完全性を増強したことを示す。一切の特定の理論に拘束されることを望まないが、中間紙が緻密石膏層を保持するのに相乗的に役立ち、その結果、破壊が大きな変位を必要とすると考えられる。したがって、この実施例は、本開示による中間紙を含む改善された複合設計が、緻密石膏層の破断時の変位を増加させることによって釘引き抜き強度を増強することを説明する。
【0125】
実施例2
この実施例は、緻密石膏層と芯との間に紙を組み込んだ複合設計の利益を示す。
【0126】
従来、高レベルのアルファ化デンプンをボード芯に使用して、重量のある表紙(例えば、米国特許第.8,197,952号を参照されたい)および高レベルのトリメタリン酸ナトリウム(本明細書の「STMP」)(例えば、米国特許第8,500,904号)と組み合わせて、釘引き抜き強度(例えば、ASTM 473-07に従って、67lb、70lb、72lb、75lb、78lbなど)を維持しながらボードの重量を減らした。濃縮層に高レベルのアルファ化デンプンを有する複合ボード設計を使用して、ボードの重量をさらに減らした(例えば、米国特許出願第15/186,232号、同第15/186,257号、同第15/186,147号、および同第15/186,176号を参照されたい)。しかしながら、複合設計は、芯および濃縮層の両方で高レベルのアルファ化デンプンを使用し、高デンプン濃縮層スラリーを製造するために二次ミキサーを必要とした。
【0127】
本開示の好ましい実施形態によれば、複合石膏ボードは、以下の利点のうちの1つ以上を達成する:それは、アルファ化デンプンの使用を削減もしくは排除し、STMPの使用を削減し、表紙の重量を減らし、かつ/またはメインミキサーからの緻密石膏層スラリーを効率的に使用して、個別の配合を必要とせずに複合石膏パネルを製造する。
【0128】
ボード3の実験室試料を表5に示す配置に従って製造した。
【表5】
【0129】
ボード3の製造に使用される石膏スラリーの組成を表6に列挙し、表3に関連して記載する。
【表6】
【0130】
ボード3は、プレゲル化デンプンの使用量を20lb/msfから10lb/msfに削減し、表紙の重量を50lb/msfから41lb/msfに削減した。釘引き抜き強度を表12に報告する。
【0131】
ボード4の実験室試料を表5に示す配置に従って製造した。ボードの製造に使用される石膏スラリーの組成を表7に列挙し、表3に関連して記載する。
【表7】
【0132】
ボード4は、プレゲル化デンプンの使用量を3lb/msfに、酸変性結合デンプンの使用量を3lb/msfに、表紙の重量を41lb/msfに削減した。釘引き抜き強度を表12に報告する。
【0133】
ボード5の実験室試料を表8に示す配置に従って製造した。
【表8】
【0134】
ボードの製造に使用される石膏スラリーの組成を表9に列挙し、表3に関連して記載する。
【表9】
【0135】
ボード5は、6lb/msfの酸変性結合デンプンを使用し、アルファ化デンプンの使用を完全に排除した。ボード5はまた、STMPの使用量を1lb/msfから0.5lb/msfに削減した。表紙は、41lb/msfマニラ紙であった。釘引き抜き強度を表12に報告する。
【0136】
ボード6の実験室試料を表10に示す配置に従って製造した。
【表10】
【0137】
石膏スラリーの組成は、ボード5で使用したものと同じである。表紙をニュースライン紙として通常使用される33lb/msfの紙に置き換えた釘引き抜き強度を表12に報告する。
【0138】
ボード7の実験室試料を表11に示す配置に従って製造した。石膏スラリーの組成を表9に列挙する。中間紙の重量を24lb/msfに削減した。ボードの重量は、1270lb/msfである。ボード7の釘引き抜き強度は、91.7lbであった。
【表11】
【0139】
開示された複合設計によって、ボード3~7はすべて、アルファ化デンプンの使用量、および/またはSTMPの使用量、および/または表紙の重量を減らしたにもかかわらず、77lbの釘引き抜き要件を超えた。
【表12】
【0140】
本明細書に列挙される公開、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」、および「an」、および「the」、および「少なくとも1つ」という用語、ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するよう解釈されるものである。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択された1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)のうちの2つ以上の任意の組み合わせを意味するよう解釈されるものである。「備えること」、「有すること」、「含むこと」、および「含有すること」という用語は、特に断りのない限り、非限定的な用語(即ち、「含むがこれに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内にある各個別の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図し、特許請求の範囲に別途記載されない限り、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における用語は、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施にとって不可欠と示すものとみなされるべきではない。
【0142】
本発明を実施するための本発明者らに既知の最良の様式を含む、本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形は、上記の記載を読むことで当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用される法律により許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙される主題の全ての修正物および同等物を含む。さらに、全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。

図1A
図1B
図1C
図2
【国際調査報告】