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特表2022-520657水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機生成物に変換する方法およびシステム
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  • 特表-水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機生成物に変換する方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機生成物に変換する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20220324BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 3/03 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 3/07 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 1/23 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 3/26 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 1/02 20060101ALI20220324BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20220324BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20220324BHJP
   C01B 3/16 20060101ALI20220324BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20220324BHJP
【FI】
C01B3/38
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B3/03
C25B3/07
C25B1/23
C25B3/26
C25B1/02
C25B9/00 Z
C25B9/00 G
C25B9/23
C25B9/70
C25B15/08 302
C01B3/16
C01B32/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547837
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020018544
(87)【国際公開番号】W WO2020172111
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/807,004
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520094798
【氏名又は名称】スカイア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYRE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100135770
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】モルター,トレント エム
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,ロバート
【テーマコード(参考)】
4G140
4G146
4K021
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EC02
4G140EC04
4G140EC05
4G146JA02
4G146JB03
4G146JC03
4G146JC21
4K021AA01
4K021AA09
4K021AB25
4K021AC02
4K021AC05
4K021AC07
4K021AC09
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA09
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC01
4K021DC03
4K021DC15
4K021EA06
(57)【要約】
一側面において、水素を回収する方法は、炭素化合物と水素を形成するために、触媒の存在下で炭化水素を反応させること、を備える、ここで、炭素化合物は、二酸化炭素または一酸化炭素の少なくとも一方を含む。当該方法は、炭素化合物を水素から分離すること、炭素化合物を電気化学セルのカソード側に導き、水を電気化学セルのアノード側に導くこと、酸素とプロトンを形成するため、アノード側で水を電気分解すること、プロトンをプロトン交換膜を介してアノードからカソード側におけるカソードに移動させるために、電気化学セルの膜および電極アセンブリに電圧を印加すること、および、有機生成物を形成するため、プロトンを炭素化合物と反応させること、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を回収する方法であって、
炭素化合物と水素を形成するために、触媒の存在下で、炭化水素を反応させること、ここで、前記炭素化合物は、二酸化炭素または一酸化炭素の少なくとも一方を含み、
前記炭素化合物を前記水素から分離すること、
前記炭素化合物を電気化学セルのカソード側に導き、水を前記電気化学セルのアノード側に導くこと、
酸素とプロトンとを形成するため、前記アノード側で前記水を電気分解すること、
前記プロトンを、プロトン交換膜を介して、アノードから前記カソード側におけるカソードへ移動させるために、前記電気化学セルの膜および電極アセンブリに電圧を印加すること、および、
有機生成物を形成するため、前記プロトンを前記炭素化合物と反応させること、を備える、
方法。
【請求項2】
前記反応させることは、
水蒸気改質、部分酸化、CO改質、または自動熱改質のうちの、少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応させることは、
前記炭素化合物と前記水素とを含む改質物を形成するため、前記炭化水素と水とを、水蒸気改質器に導くこと、および、前記炭化水素を前記水と反応させること、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反応させることは、
前記炭化水素流、水、および二酸化炭素を、オートサーマル改質器に導くこと、および、前記一酸化炭素と前記水素を含む改質物を形成するため、前記炭化水素、水、および二酸化炭素を反応させること、を含む、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素は、
メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエンのうちの、少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離することは、
圧力スイング吸着を含む、
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分離することは、
前記炭素化合物と前記水素とを含む改質物流を、電気化学水素分離器のアノード側に導くこと、
分離ユニットアノードにおける前記水素を、プロトンと電子とに分解させるために、前記電気化学水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、前記プロトンを、前記分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、前記プロトンは、前記分離ユニットカソードで、前記電子と再結合して、水素を形成し、
前記電気化学水素分離器の分離ユニットカソード側から、前記水素を除去すること、および、
前記分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を含む、
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電圧を印加することは、
再生可能エネルギ源を介して、前記電圧を印加すること、を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ある量の水は、
前記電気化学水素分離装置の前記分離ユニットカソード側から回収され、前記反応させることに使用され、および/または、前記電気化学セルに導かれる、
請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機生成物は、
メタン、カルボン酸、アルコール、ホルムアルデヒド、または一酸化炭素のうちの、少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
炭素化合物および水素を備える精製所からのオフガス流を、電気化学水素分離器のアノード側に導くこと、
分離ユニットアノードにおける前記水素を、プロトンおよび電子に解離させるため、前記電気化学水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、前記プロトンを、前記分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、前記プロトンは、前記分離ユニットカソードで前記電子と再結合し、水素を形成し、
前記電気化学水素分離器の分離ユニットカソード側から、前記水素を除去すること、
前記分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を備える、
方法。
【請求項12】
炭化水素流および反応物源を介して、炭化水素源と流体連通する、改質器と、
改質流を介して、前記改質器と流体連通する、分離ユニットと、
炭素化合物を含む分離された炭素流を介して、前記分離ユニットと流体連通する、電気化学セルと、を備え、
前記改質器は、
水素と、二酸化炭素および一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む前記炭素化合物とを形成するために、前記炭化水素源からの炭化水素を反応させることができ、
前記分離ユニットは、
改質流の前記炭素化合物から、前記水素を分離することができ、
前記水素は、
水素流を介して、前記分離ユニットから回収され、
前記電気化学セルは、
プロトン交換膜のカソード側にあるカソードと、前記プロトン交換膜のアノード側にあるアノードとを、備えており、
前記分離された炭素流は、
前記電気化学セルの前記カソード側と、流体連通しており、
水流は、
前記電気化学セルの前記アノード側と、流体連通しており、
前記電気化学セルは、
前記カソードで有機生成物を形成するために、前記アノードで水流から分離された前記プロトンから供給されるプロトンと、前記炭素化合物を反応させることができる、
水素回収システム。
【請求項13】
前記改質器は、
水蒸気改質器であり、
水源は、
前記水蒸気改質器と、流体連通している、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記改質器は、
オートサーマル改質器であり、
水源および二酸化炭素源は、
前記オートサーマル改質器と、流体連通している、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記炭化水素源は、
メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエンのうちの、少なくとも1つを含む、
請求項12乃至請求項14の何れか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記分離ユニットは、
圧力スイング吸着ユニットである、
請求項12乃至請求項15の何れか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記分離ユニットは、
電気化学水素分離器であり、
前記電気化学水素分離器の水素分離器アノード側は、
前記改質器と流体連通しており、
前記電気化学水素分離器は、
前記改質器の前記水素分離器アノード側で前記水素を解離し、前記電気化学水素分離器の水素分離器カソード側で前記水素を改質する、ように構成されている、
請求項12乃至請求項15の何れか一項に記載のシステム。
【請求項18】
再生可能なエネルギ源は、
前記電気化学水素分離器に電力を供給するために、使用される
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
ある量の水は、
前記電気化学水素分離器の前記カソード側から回収され、前記改質器または前記電気化学セルの少なくとも一方と流体連通している、
請求項17または請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
製油所からのオフガス流は、
前記電気化学水素分離器と流体連通している
請求項12乃至請求項19の何れか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機化合物に変換する方法およびシステムに、関する。
【背景技術】
【0002】
水素は、石油化学製錬所のさまざまな水素化処理プロセスで、使用される。当該処理は、燃料から硫黄を除去して元素状硫黄に変換する水素化脱硫、ノルマルパラフィンをイソパラフィンに変換する水添異性化、芳香族を水素化してシクロパラフィンまたはアルカンに変換するデアロマチゼーション、および、長鎖炭化水素を分解してガソリン領域の短鎖に変換するハイドロクラッキングを、含む。精製プロセスのさまざまな段階で発生した水素は、回収され、プラントの特定の水素化処理プロセスに供給されることができる。しかし、よりクリーンな燃料へのニーズが高まり、精製工程の効率化が必要になるにつれ、水素の需要が、精製工程により提供される生産量をますます上回るようになっている。そのため、製油所では、さまざまな方法(メタンや他の炭化水素の水蒸気改質、製油所のオフガスからの回収、合成ガスからの回収、石油精製残渣のガス化を含む)で、水素をオンサイトで補う必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、製油所では、水素を含む廃ガスを大気中に放出することが多く、その際に含まれる水素が失われている。水素は、石油化学製品を形成するための貴重な成分であり、したがって、当該水素を封じ込める新しい回収方法が、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
水素回収する方法の第一の側面によれば、当該方法は、炭素化合物と水素とを形成するため、触媒の存在下で、炭化水素を反応させることを含む。ここで、炭素化合物は、二酸化炭素または一酸化炭素の少なくとも一方を含む。当該方法は、炭素化合物を水素から分離すること、炭素化合物を電気化学セルのカソード側に導き、水を電気化学セルのアノード側に導くこと、酸素とプロトンを形成するため、アノード側の水を電気分解すること、プロトンをアノードからカソード側におけるカソードまでプロトン交換膜を通過させるために、電気化学セルの膜および電極アセンブリに電圧を印加すること、および、有機生成物を生成するため、プロトンを炭素化合物と反応させることを、含む。
【0005】
他の側面では、方法は、炭素化合物と水素を含む製油所からのオフガス流を、電気化学的水素分離器のアノード側に、導くこと、および、分離ユニットアノードの水素を、プロトンと電子とに分解させるために、電気化学的水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、プロトンを、分離ユニットアノードから分離ユニットプロトン交換膜を介して分離ユニットカソードに導くことを、含む。ここで、水素を形成するため、プロトンが、分離ユニットカソードで、電子と再結合する。当該方法は、電気化学的水素分離器の分離ユニットカソード側から、水素を除去すること、および、分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去することを、含む。
【0006】
他の側面では、水素回収システムは、炭化水素流および反応物源を介して、炭化水素源と流体連通する改質器を、備える。ここで、水素と、二酸化炭素および一酸化炭素のうちの少なくとも1つから成る炭素化合物とを、形成するために、改質器は、炭化水素源からの炭化水素を反応させることができる。水素回収システムは、改質流を介して、改質器と流体連通する分離ユニットを、備える。ここで、分離ユニットは、改質流の炭素化合物から水素を分離することができ、水素は、水素流を介して、分離ユニットから回収される。水素回収システムは、炭素化合物を含む分離された炭素流を介して、分離ユニットと流体連通している電気化学セルを、備える。ここで、電気化学セルは、プロトン交換膜のカソード側にあるカソードと、プロトン交換膜のアノード側にあるアノードとを、備える。ここで、分離された炭素流は、電気化学セルのカソード側と流体連通し、水流は、電気化学セルのアノード側と流体連通しており、カソードで有機生成物を生成するために、電気化学セルは、炭素化合物を、アノードで水流から分離されたプロトンから供給されるプロトンと、反応させることができる。
【0007】
上述したおよびその他の特徴は、以下の図、詳細な説明、および特許請求の範囲によって例示される。
【0008】
技術的に関連する出願の相互参照
本出願は、2019年2月18日に出願された米国仮特許出願番号62/807,004の利益を主張するものである。当該関連する出願は、参照によりその全体が、本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図は、例示的な側面であり、本開示を説明するために提供される。図は、本開示の例を示すものであり、本開示に従って製造された装置を、本明細書に記載された材料、条件、またはプロセスパラメータに限定する、ことを意図したものではない。
【0010】
図1】水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機化合物に変換する、システムの一側面の説明図である。
図2】水素を回収し、炭素化合物を価値のある有機化合物に変換する、システムの一側面の説明図である。
図3】水素を回収するシステムの一側面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
水素を回収する方法は開発され、図1に例示されている。図1には、炭化水素流2を改質器10に導き、改質物を回収水素流12と分離炭素流14に分離し、有機生成物流34と酸素流38を形成するために、改質器からの分離炭素流14を電気化学セル30に導きくことが、示されている。当該方法は、電気化学セル30が、光電池などの再生可能エネルギ源を介して電力を供給するなら、炭素クレジットを回収できる、という付加価値がある。
【0012】
炭化水素流2は、天然ガス、バイオガス、または製油所原料の少なくとも1つを含むことができる。炭化水素流2は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエンのうちの、少なくとも1つを含むことができる。炭化水素流2は、硫黄含有ガス(例えば、硫化水素のような)、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、水、臭気物質、または金属(例えば、水銀)を、さらに含むことができる。好ましくは、硫黄含有量を体積で1ppm未満の量に減らすために、硫黄含有ガスを、改質の前に除去することができる、ことに留意されたい。炭化水素流2は、炭化水素流2の総モル数に基づいて、75モル%以上、または80~97モル%の量のメタンを、含むことができる。
【0013】
炭化水素流2は、改質器10に導かれ、水素と一酸化炭素または二酸化炭素の少なくとも一方からなる改質物を形成するために、水蒸気改質、部分酸化、CO改質、または自動熱改質反応によって、炭化水素流2を反応させることができる。改質器10は、反応を触媒する改質触媒を含むことができる。改質触媒は、ランタン(La)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、またはマンガン(Mn)のうちの、少なくとも1つの酸化物を含むことができる。改質触媒は、マンガンの酸化物を含むことができる。改質触媒は、担体からなる成形触媒(例えば、ペレット、押出成形品、リング、球体、またはタブレット)であることができる。担体は、アルミナ(Alなど)、マグネシア(MgOなど)、シリカ、チタニア、またはジルコニアとしての、少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
改質物は、水蒸気式メタン改質器において、炭化水素、例えばメタンを、式(1)および(2)を介して変換することにより、形成されることができる。
【0015】
改質物は、オートサーマルリフォーマにおいて、式(3)および(4)を介して炭化水素、例えばメタンを、変換することによって形成されることができる。
【0016】
水素は、例えばモレキュラーシーブを用いた、圧力スイング吸着を介して、改質物から分離されることができる。圧力スイング吸着は、改質物から不純物を吸着して、水素流12と分離炭素流14とを形成することができる。
【0017】
図2に示されるように、電気化学的水素分離器50を用いて、改質物から水素を分離することができる。改質物流16が、電気化学的水素分離器50のアノード側48に向けられることができることを、図2は示している。アノード46では、電気化学反応(5)により、水素がプロトンと電子に分割される。
【0018】
反応(5)から生成されたプロトンは、印加された電圧の極性により、プロトン交換膜44を介して駆動され、反応(5)から生成された電子は、外部回路を介してバスされることができる。プロトン交換膜44を介して駆動されたプロトンは、電気化学反応(6)によって、外部回路からバスされた電子と、膜および電極アセンブリのカソード側40で、結合することができる。
【0019】
ある量の水は、水素によって、プロトン交換膜44を横切って引きずられることができる。凝縮した液体状の水は、電気化学的水素分離器50のカソード側40における水導管を介して、システムから回収されることができる。除去された水は、改質器10にリサイクルして戻されることができ、あるいは電気化学セル30のアノード側に向けられることができる。
【0020】
図3は、改質物流16を電気化学的水素分離器50に向けることに加えて、またはその代わりに、オフガス流18を電気化学的水素分離器50に向けることができることを示している。オフガス流18は、分離されるべき量の水素を含むプロセスから回収される任意の流であり得る。分離された炭素流14も同様に、電気化学セル30に向けられることができる。
【0021】
分離された炭素流14は、電気化学セル30のカソード側20に向けられることができる。水は、電気化学セル30のアノード側28に供給されることができ、水は電気分解されて、酸素ガスとプロトンとを形成する。プロトンは、プロトン交換膜24を介して、アノード26からカソード22へと横断する。カソード側20では、プロトンは、分離された炭素流14中の炭素化合物と反応して、有機生成物を形成する。有機生成物は、メタン、カルボン酸(例えば、ギ酸)、アルコール(例えば、メタノールまたはエタノール)、ホルムアルデヒド、または一酸化炭素のうちの、少なくとも1つを含むことができる。有機生成物は、有機生成物流34を介して、カソード側20から回収されることができる。
【0022】
図は、電源が、それぞれの電気化学セルに電圧を印加するために使用されることができる、ことをさらに示している。印加される電圧は、1ボルト(V)以下、0.8ボルト以下、0.5ボルト以下、または0.01~0.2ボルト、とすることができる。電源は、ソーラーアレイ、直流(DC)電源、風車、バッテリー(例えば、フローバッテリ)、燃料電池などとすることができる。
【0023】
電気化学セル30および電気化学的水素分離装置50のそれぞれの電極は、独立してプロトン交換膜24または44と直接物理的に接触し、プロトン交換膜24または44のそれぞれの表面積の90~100%を覆うことができる。各電極は、独立して、触媒層を備える。触媒層は、所望の反応を行うように選択することができる。触媒層は、白金、パラジウム、ロジウム、炭素、金、タンタル、タングステン、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、または銀のうちの、少なくとも1つを含むことができる。触媒は、結合触媒を含むことができる。電気化学セル30は、金属(例えば、インジウム、スズ、鉛、またはこれらの酸化物のうちの少なくとも1つ)、フタロシアニン(例えば、ニッケル、鉄、またはコバルトのうちの少なくとも1つを含む)、または金属水和物(例えば、パラジウムまたは銅のうちの少なくとも1つを含む)のうちの、少なくとも1つを含む触媒層を備えることができる。バインダーは、フッ素樹脂、プロトン伝導性アイオノマー、または微粒子カーボンのうちの、少なくとも1つを含むことができる。触媒および任意のバインダーは、プロトン交換膜の表面に、直接堆積させることができる。触媒は、ガス拡散層全体、またはプロトン交換膜と接触するガス拡散層の表面に配置されるように、ガス拡散層上に配置されることができる。ガス拡散層は、多孔質であることができる。ガス拡散層は、メッシュであることができる。ガス拡散層は、グラファイト材料を含むことができる。ガス拡散層は、炭素繊維などの複数の繊維を含むことができる。ガス拡散層は、導電性であってもよい。
【0024】
それぞれのプロトン交換膜は、それぞれ独立して、プロトン伝導性アイオノマーまたはイオン交換樹脂の少なくとも一方などの、電解質を含むことができる。プロトン伝導性アイオノマーは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、プロトン酸、またはプロトン酸塩のうちの、少なくとも1つと複合化した、ポリマーを含むことができる。複合化されたポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、またはポリオキシアルキレン(ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコールモノエーテル)、またはポリ(エチレングリコールジエーテル)など)の、少なくとも1つを含むことができる。
【0025】
プロトン交換膜44および24は、同じまたは異なる材料を含むことができる。例えば、プロトン交換膜は、炭化水素系およびフルオロカーボン系の樹脂などの疎水性骨格上または疎水性骨格から外れたペンダント状の基上に、ある量のイオン性基を含むアイオノマー型高分子電解質を、備えることができる。炭化水素系のイオン交換樹脂は、フェノール樹脂またはポリスチレンの、少なくとも一方を含むことができる。炭化水素系イオン交換樹脂は、スルホン化されていてもよい(例えば、スルホン化ポリ(キシレンオキシド))。炭化水素型イオン交換樹脂は、プロトン伝導性分子、例えば、フラーレン分子、炭素繊維、またはカーボンナノチューブのうちの、少なくとも1つを含むことができる。プロトン伝導性分子は、例えば、-OSOH、-OPO(OH)、-COOH、-SOH、-C、-SOH、または-OHの、うちの少なくとも1つのプロトン解離基を含むことができる。プロトン伝導性分子は、単独でプロトン交換膜を形成することができ、また、フッ素系ポリマー(例えば、ポリフルオロエチレンまたはポリ(ビニリデンフルオライド))またはポリ(ビニルアルコール)の、少なくとも1つなどのバインダーポリマーとの混合物として、存在することができる。電気化学セル50は、プロトン交換膜に相当量の酸素が存在せず、酸化の懸念が低く、プロトン交換膜が、炭化水素系イオン交換樹脂を含むことができる。
【0026】
フルオロカーボン型イオン交換樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロスルホニルエトキシビニルエーテルまたはテトラフルオロエチレン-ヒドロキシル化(パーフルオロビニルエーテル)共重合体のうちの、少なくとも1つの水和物を含むことができる。フルオロカーボン型イオン交換樹脂は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸のうち少なくとも1つの官能性を有することができる。フルオロカーボン型イオン交換樹脂は、スルホン化されたフルオロポリマー(例えば、パーフルオロエチレンスルホン酸のリチウム塩)であってもよい。フルオロカーボン型イオン交換樹脂の例としては、DuPont社から商業的に入手できるNafion(商標)がある。
【0027】
以下に、本開示の様々な非限定的な側面を説明する。
【0028】
側面1:水素を回収する方法であって、当該方法は、炭素化合物と水素を形成するために、触媒の存在下で炭化水素を反応させること、を含む、ここで、炭素化合物は、二酸化炭素または一酸化炭素の少なくとも一方を含む。当該方法は、炭素化合物を水素から分離すること、炭素化合物を電気化学セルのカソード側に導き、水を電気化学セルのアノード側に導くこと、酸素とプロトンを形成するため、アノード側で水を電気分解すること、プロトンをプロトン交換膜を介してアノードからカソード側におけるカソードに移動させるために、電気化学セルの膜および電極アセンブリに電圧を印加すること、および、有機生成物を形成するため、プロトンを炭素化合物と反応させること、を含む。
【0029】
側面2:側面1の方法において、上記反応させることは、水蒸気改質、部分酸化、CO改質、または自動熱改質の、うちの少なくとも1つを含む。
【0030】
側面3:側面1の方法において、上記反応させることは、炭素化合物と水素を含む改質物を形成するため、炭化水素流と水とを、水蒸気改質器に導くこと、および、炭化水素を水と反応させること、を含む。
【0031】
側面4:上記側面の何れか1以上の方法において、上記反応させることは、炭化水素流、水、および二酸化炭素を、オートサーマル改質器に導くこと、および、一酸化炭素と水素を含む改質物を形成するため、炭化水素、水、および二酸化炭素を反応させること、を含む。
【0032】
側面5:上記側面の何れか1以上の方法において、炭化水素は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエンのうちの、少なくとも1つを含む。
【0033】
側面6:上記側面の何れか1以上の方法において、分離は、圧力スイング吸着を含む。
【0034】
側面7:上記側面の何れか1以上の方法において、上記分離することは、炭素化合物と水素とを含む改質物流を電気化学的水素分離器のアノード側に導くこと、分離ユニットアノードにおける水素をプロトンと電子に分解させるために、電気化学的水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、プロトンを、分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、プロトンは、分離ユニットカソードで、電子と再結合して、水素を形成し、電気化学的水素分離器の分離ユニットカソード側から、水素を除去すること、および、分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を含む。
【0035】
側面8:側面7の方法において、上記電圧を印加することは、再生可能エネルギ源を介して、電圧を印加すること、を含む。
【0036】
側面9:上記側面7から8の何れか1以上の方法において、ある量の水は、電気化学的水素分離装置の分離ユニットカソード側から回収され、反応に使用され、および/または、電気化学セルに導かれる。
【0037】
側面10:選択的に、上記側面の何れか1以上の方法は、炭素化合物および水素を含む精製所からのオフガス流を、電気化学的水素分離器のアノード側に導くこと、分離ユニットアノードにおける水素を、プロトンおよび電子に解離させるため、電気化学的水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、プロトンを、分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、プロトンは、分離ユニットカソードで電子と再結合し、水素を形成し、電気化学的水素分離器の分離ユニットカソード側から、水素を除去すること、分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を含む。
【0038】
側面11:上記側面の何れか1以上の方法において、有機生成物は、メタン、カルボン酸、アルコール、ホルムアルデヒド、または一酸化炭素のうちの、少なくとも1つを含む。
【0039】
側面12:水素回収システムは、炭化水素流および反応物源を介して、炭化水素源と流体連通する改質器と、ここで、水素と、二酸化炭素および一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む炭素化合物とを形成するために、改質器は、炭化水素源からの炭化水素を反応させることができ、改質流を介して、改質器と流体連通する分離ユニットと、ここで、分離ユニットは、改質流の炭素化合物から水素を分離することができ、水素は、水素流を介して分離ユニットから回収され、炭素化合物を含む分離された炭素流を介して、分離ユニットと流体連通している電気化学セルと、を含む。ここで、電気化学セルは、プロトン交換膜のカソード側にあるカソードと、プロトン交換膜のアノード側にあるアノードとを備えており、分離された炭素流は、電気化学セルのカソード側と流体連通し、水流は、電気化学セルのアノード側と流体連通しており、カソードで有機生成物を形成するために、電気化学セルは、アノードで水流から分離されたプロトンから供給されるプロトンと、炭素化合物を反応させることができる。
【0040】
側面13:側面12のシステムにおいて、改質器は水蒸気改質器であり、水源も水蒸気改質器と流体連通している。
【0041】
側面14:側面12のシステムにおいて、改質器はオートサーマル改質器であり、水源および二酸化炭素源も、オートサーマル改質器と流体連通している。
【0042】
側面15:側面12から14の何れか1以上のシステムにおいて、炭化水素源は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、シクロヘキサン、ベンゼン、またはトルエンのうちの、少なくとも1つを含む。
【0043】
側面16:側面12から15の何れか1以上のシステムにおいて、分離ユニットは、圧力スイング吸着ユニットである。
【0044】
側面17:側面12から15の何れか1以上のシステムにおいて、分離ユニットは、電気化学水素分離器であり、電気化学水素分離器の水素分離器アノード側は、改質器と流体連通しており、電気化学水素分離器は、改質器の水素分離器アノード側で水素を解離し、電気化学水素分離器の水素分離器カソード側で水素を改質する、ように構成されている。
【0045】
側面18:側面17のシステムにおいて、再生可能なエネルギ源は、電気化学水素分離器に電力を供給するために使用される。
【0046】
側面19:側面17から18の何れか1以上のシステムにおいて、ある量の水は、電気化学水素分離器のカソード側から回収され、改質器または電気化学セルの少なくとも一方と流体連通している。
【0047】
側面20:側面12から19の何れか1以上のシステムにおいて、製油所からのオフガス流は、電気化学水素分離器と流体連通している。
【0048】
本組成物、方法、および物品は、代替的に、本明細書に開示されている任意の適切な材料、ステップ、またはコンポーネント、を備えるか、からなるか、または本質的に構成されることができる。組成物、方法、および物品は、追加的に、または代替的に、組成物、方法、および物品の機能または目的を達成するために必要ではない、任意の材料(または種)、ステップ、またはコンポーネント、を含まないように、または実質的に含まないように、配合されることができる。
【0049】
「a」および「an」という用語は、量の制限を示すものではなく、むしろ、参照されるアイテムの少なくとも1つの存在を示すものである。用語「または」は、文脈によって明確に別の意味を示さない限り、「および/または」を意味する。本明細書全体を通して、「側面」、「実施の形態」、「他の実施の形態」、「幾つかの実施の形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、または特性)が、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態に存在してもしなくてもよい、ことを意味する。さらに、記載された要素は、様々な実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。
【0050】
層、フィルム、領域、基板などの要素は、他の要素の「上に」あることができるということは、他の要素の上に直接あることができ、または、介在する要素も存在することができ、または、他の要素の上に「直接上に」あることもでき、介在する要素は存在しない。
【0051】
「少なくとも1つの」という用語は、リストが各要素を個別に含むだけでなく、リストの2つ以上の要素の組み合わせや、リストの少なくとも1つの要素と名前の付いていない同種の要素との組み合わせも含む、ことを意味する。「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。他に定義されていない限り、本明細書で使用されている技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。
【0052】
引用されたすべての特許、特許出願、およびその他の文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ただし、本願明細書の用語が組み合わされた文献の用語と矛盾する場合、本願明細書の用語が組み合わされた文献の矛盾する用語に優先する。
【0053】
特定の実施形態を説明してきましたが、現在予想されていない、または予想される、代替品、修正、変形、改良、および実質的な同等物が、出願人または当業者に生じる可能性がある。したがって、添付の提出されるおよび補正され得る特許請求の範囲は、そのような代替案、変更、変形、改良、および実質的な同等物を、すべて包含することを意図されている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を回収する方法であって、
炭素化合物と水素を形成するために、触媒の存在下で、炭化水素を反応させること、ここで、前記炭素化合物は、二酸化炭素または一酸化炭素の少なくとも一方を含み、
前記炭素化合物を前記水素から分離すること、
前記炭素化合物を電気化学セルのカソード側に導き、水を前記電気化学セルのアノード側に導くこと、
酸素とプロトンとを形成するため、前記アノード側で前記水を電気分解すること、
前記プロトンを、プロトン交換膜を介して、アノードから前記カソード側におけるカソードへ移動させるために、前記電気化学セルの膜および電極アセンブリに電圧を印加すること、および、
有機生成物を形成するため、前記プロトンを前記炭素化合物と反応させること、を備える、
方法。
【請求項2】
前記有機生成物は、
メタン、カルボン酸、アルコール、ホルムアルデヒド、または一酸化炭素のうちの、少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分離することは、
前記炭素化合物と前記水素とを含む改質物流を、電気化学水素分離器のアノード側に導くこと、
分離ユニットアノードにおける前記水素を、プロトンと電子とに分解させるために、前記電気化学水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、前記プロトンを、前記分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、前記プロトンは、前記分離ユニットカソードで、前記電子と再結合して、水素を形成し、
前記電気化学水素分離器の分離ユニットカソード側から、前記水素を除去すること、および、
前記分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を含む、
請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電圧を印加することは、
再生可能エネルギ源を介して、前記電圧を印加すること、を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応させることは、
水蒸気改質、部分酸化、CO 改質、または自動熱改質のうちの、少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応させることは、
前記炭化水素と水とを、水蒸気改質器に導くこと、および
前記炭素化合物と前記水素とを含む改質物を形成するため、前記水と前記炭化水素を反応させること、を含む、
または、
前記反応させることは、
前記炭化水素、水、および二酸化炭素を、オートサーマル改質器に導くこと、および
前記一酸化炭素と前記水素とを含む改質物を形成するために、前記炭化水素、水、および二酸化炭素を反応させること、を含む、
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の方法
【請求項7】
炭素化合物および水素を備える精製所からのオフガス流を、電気化学水素分離器のアノード側に導くこと、
分離ユニットアノードにおける前記水素を、プロトンおよび電子に解離させるため、前記電気化学水素分離器の分離ユニット膜および電極アセンブリに電圧を印加し、前記プロトンを、前記分離ユニットアノードから、分離ユニットプロトン交換膜を介して、分離ユニットカソードに導くこと、ここで、前記プロトンは、前記分離ユニットカソードで前記電子と再結合し、水素を形成し、
前記電気化学水素分離器の分離ユニットカソード側から、前記水素を除去すること、
前記分離ユニットアノード側から、分離された炭素流を除去すること、を備える、
方法。
【請求項8】
炭化水素流および反応物源を介して、炭化水素源と流体連通する、改質器と、
改質流を介して、前記改質器と流体連通する、分離ユニットと、
炭素化合物を含む分離された炭素流を介して、前記分離ユニットと流体連通する、電気化学セルと、を備え、
前記改質器は、
水素と、二酸化炭素および一酸化炭素のうちの少なくとも1つを含む前記炭素化合物とを形成するために、前記炭化水素源からの炭化水素を反応させることができ、
前記分離ユニットは、
改質流の前記炭素化合物から、前記水素を分離することができ
前記水素は、
水素流を介して、前記分離ユニットから回収され、
前記電気化学セルは、
プロトン交換膜のカソード側にあるカソードと、前記プロトン交換膜のアノード側にあるアノードとを、備えており、
前記分離された炭素流は、
前記電気化学セルの前記カソード側と、流体連通しており、
水流は、
前記電気化学セルの前記アノード側と、流体連通しており、
前記電気化学セルは、
前記カソードで有機生成物を形成するために、前記アノードで水流から分離された前記プロトンから供給されるプロトンと、前記炭素化合物を反応させることができる、
水素回収システム。
【請求項9】
前記改質器は、
水蒸気改質器であり、
水源は、
前記水蒸気改質器と流体連通している、
または、
前記改質器は、
オートサーマル改質器であり、
水源および二酸化炭素源は、
前記オートサーマル改質器と流体連通している、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記分離ユニットは、
電気化学水素分離器であり、
前記電気化学水素分離器の水素分離器アノード側は、
前記改質器と流体連通しており、
前記電気化学水素分離器は、
前記改質器の前記水素分離器アノード側で前記水素を解離し、前記電気化学水素分離器の水素分離器カソード側で前記水素を改質する、ように構成されている、
請求項8または請求項9に記載のシステム。
【国際調査報告】