(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(54)【発明の名称】トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素からトリフルオロヨードメタンを製造するためのワンステッププロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 17/363 20060101AFI20220324BHJP
C07C 19/16 20060101ALI20220324BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220324BHJP
【FI】
C07C17/363
C07C19/16
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548264
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 US2020017888
(87)【国際公開番号】W WO2020172018
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ボロメイ、パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、テリス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイユウ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA25
4H006BA55
4H006BC31
4H006BD84
4H006BE20
4H039CA54
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を含む気相反応物を提供すること、気相反応物を加熱すること、触媒の存在下で加熱された気相反応物を反応させてトリフルオロヨードメタンを生成することと、を含む。触媒は、遷移金属を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスであって、
トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を含む気相反応物を提供するステップと、
前記気相反応物を加熱するステップと、
遷移金属を含む触媒の存在下で加熱された前記気相反応物を反応させて、トリフルオロヨードメタンを生成すると、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記提供するステップにおいて、前記トリフルオロアセチルハライド、前記ヨウ素、及び前記水素が各々、約500重量ppm未満の水を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記提供するステップにおいて、前記水素と前記ヨウ素のモル比が、約0.1:1~約5:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記遷移金属が、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、及びパラジウムの群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記触媒が、酸化アルミニウム担体、炭素担体、シリカゲル担体、及び炭化ケイ素担体の群から選択される少なくとも1つを含む担体を更に含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記遷移金属が、前記遷移金属及び前記担体の総重量の約0.01重量%~約40重量%である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記遷移金属が、パラジウムを含み、前記担体が、酸化アルミニウムを含み、前記パラジウムが、前記パラジウム及び前記酸化アルミニウムの総重量の約0.5重量%である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記遷移金属が、ニッケルを含み、前記担体が、酸化アルミニウムを含み、前記ニッケルが、前記ニッケル及び前記酸化アルミニウムの総重量の約21重量%である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項9】
前記気相反応物が、約200℃~約600℃の温度に加熱される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、
未反応のヨウ素を前記トリフルオロヨードメタンから分離する追加のステップと、
前記未反応のヨウ素を前記提供するステップに戻す追加のステップと、を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、トリフルオロヨードメタンを生成するための触媒及び統合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
トリフルオロヨードメタン(CF3I)は、例えば、冷媒又は火災抑制剤として商業用途において有用な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数が低い、環境的に許容可能な化合物である。トリフルオロヨードメタンは、より環境的に害のある材料に取って代わることができる。
【0003】
トリフルオロヨードメタンの調製方法は既知である。例えば、米国特許第7,132,578号(Mukhopadhyayら)もまた、トリフルオロアセチルクロリドからトリフルオロヨードメタンを生成するための、触媒によるワンステッププロセスを開示している。しかしながら、ヨウ素源は、フッ化ヨウ素(IF)である。ヨウ素は比較的不安定であり、0℃を超えるとI2及びIF5に分解する。フッ化ヨウ素はまた、商業的に有用な量で利用することができない場合がある。
【0004】
別の例では、米国特許第7,196,236号(Mukhopadhyayら)は、ヨウ化水素などのヨウ素源、少なくとも化学量論量の酸素、及び反応物CF3Rを含む反応物を使用してトリフルオロヨードメタンを生成するための触媒プロセスを開示しており、式中、Rは、-COOH、-COX、-CHO、-COOR2、及び-SO2Xからなるグループから選択され、式中、R2は、アルキル基であり、Xは塩素、臭素、又はヨウ素である。反応により生成され得るヨウ化水素は、少なくとも化学量論量の酸素によって酸化され、経済的な回収ために水及びヨウ素を生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの他のプロセスが、気相反応においてトリフルオロアセチルクロリドからヨウ化水素を用いてCF3Iを作製するための文献で参照されている。しかしながら、トリフルオロアセチルクロリド及びヨウ化水素からのCF3Iの生成は、ヨウ化水素を作製するための追加のステップを必要とする。本開示は、トリフルオロアセチルハライド、水素及びヨウ素を触媒の存在下で反応器内に共供給することによって、CF3Iを製造するためのワンステッププロセスを導入する。
【0006】
本開示は、水素(H2)、元素状ヨウ素(I2)、及びトリフルオロアセチルハライド(CF3C(O)X)からトリフルオロヨードメタンを生成するプロセスを提供する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を含む気相反応物を提供すること、気相反応物を加熱すること、触媒の存在下で加熱された気相反応物を反応させてトリフルオロヨードメタンを生成することと、を含む。触媒は、遷移金属を含む。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスを提供する。プロセスは、トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を気相で反応させ、触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度でトリフルオロヨードメタン、未反応のトリフルオロアセチルハライド、未反応の水素、未反応のヨウ素、及びヨウ化水素を含む生成物流を生成するステップを含む。触媒は、遷移金属を含む。プロセスは、生成物流を冷却して気相からヨウ素を凝縮することにより、生成物流から未反応のヨウ素の少なくとも一部を除去することと、凝縮したヨウ素を反応段階に回収することと、を更に含む。
【0009】
本開示の上記及び他の特徴、並びにそれらを達成する形態は、より明白になり、以下の実施形態の説明を参照することによってよりよく理解されるであろう
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、遷移金属触媒の使用を含む、トリフルオロアセチルハライド(CF3C(O)X)、水素(H2)、及びヨウ素(I2)からトリフルオロヨードメタン(CF3I)を製造するためのワンステッププロセスを提供する。遷移金属触媒の存在下で約200℃~約600℃で反応させることにより、これらの容易に入手可能な反応物からのトリフルオロヨードメタンの効率的な製造を提供することができることが見出された。反応物を回収することにより、効率が更に向上する。
【0011】
本明細書に開示されるように、トリフルオロヨードメタンは、反応物トリフルオロアセチルハライド、水素(H2)及びヨウ素(I2)が約200℃~約600℃の反応温度で触媒の存在下で反応器に共供給されるワンステッププロセスで生成される。全ての反応物は、無水物である。反応中のいずれの水も、二次反応経路に加勢的に働き、トリフルオロメタン(CF3H)などの望ましくない副生成物を形成する可能性があるため、反応物中の水はできるだけ少なくすることが好ましい。
【0012】
トリフルオロアセチルハライドは、水を実質的に含まない。つまり、トリフルオロアセチルハライド中の任意の水は、重量で約500パーツパーミリオン(ppm)、約300ppm、約200ppm、約100ppm、約50ppm、約30ppm、約20ppm、又は約10ppm未満、又は、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量である。好ましくは、トリフルオロアセチルハライド中の任意の水は、約100重量ppm未満の量である。より好ましくは、トリフルオロアセチルハライド中の任意の水は、約30重量ppm未満の量である。最も好ましくは、トリフルオロアセチルハライド中の任意の水は、約10重量ppm未満の量である。
【0013】
ヨウ素は、水を実質的に含まない。つまり、ヨウ素中の任意の水は、重量で約500ppm、約300ppm、約200ppm、約100ppm、約50ppm、約30ppm、約20ppm、又は約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量である。好ましくは、ヨウ素中の任意の水は、約100重量ppm未満の量である。より好ましくは、ヨウ素中の任意の水は、約30重量ppm未満の量である。最も好ましくは、ヨウ素中の任意の水は、約10重量ppm未満の量である。
【0014】
水素は、水を実質的に含まない。つまり、水素中の任意の水は、重量で約500ppm、約300ppm、約200ppm、約100ppm、約50ppm、約30ppm、約20ppm、又は約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量である。好ましくは、水素中の任意の水は、約100重量ppm未満の量である。より好ましくは、水素中の任意の水は、約30重量ppm未満の量である。最も好ましくは、水素中の任意の水は、約10重量ppm未満の量である。
【0015】
トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルフルオリド(CF3C(O)F)、トリフルオロアセチルクロリド(CF3C(O)Cl)、トリフルオロアセチルブロミド(CF3C(O)Br)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドを含む。より好ましくは、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドから基本的になる。最も好ましくは、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドからなる。
【0016】
例えば、トリフルオロアセチルクロリドは、Halocarbon Products Corporation、Peachtree Corners、Georgiaから、又はSolvay S.A.、Brussels、Belgiumから市販されている量で容易に入手することができる。水素は、Air Products、Allentown、PAから市販されている。固体ヨウ素は、SQM,Santiago,Chile、又はKanto Natural Gas Development Co.,Ltd,Chiba,Japanから市販されている。
【0017】
反応物は、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、又は約1:1程度に低く、又は1.1:1、1.2:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、4:1、又は5:1程度に高く、又は、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約0.1:1~約5:1、約0.2:1~約4:1、約0.3:1~約3:1、約0.4:1~約2.5:1、約0.5:1~約2:1、約0.5:1~約1.5:1、約0.7:1~約1.2:1、約0.8:1~約1.1:1、又は約0.9:1~約1:1の低い水素対ヨウ素のモル比で反応のために提供され得る。好ましくは、水素とヨウ素のモル比は、約0.1:1~約1:1である。より好ましくは、水素とヨウ素のモル比は、約0.3:1~約0.8:1である。最も好ましくは、水素とヨウ素のモル比は、約0.5:1~約0.7:1である。水素とヨウ素のモル比が1未満の場合、1を超える場合よりも収率の大幅な向上を提供することがわかっている。いずれの理論にも拘束されることを望まないが、水素とヨウ素のモル比が1未満の場合、CF3H及びCH3Iなどのトリフルオロアセチルハライドから望ましくない副生成物を形成する競合する副反応に利用できる水素はほとんどないと考えられる。
【0018】
反応物は、約0.002:1、約0.004:1、約0.006:1、約0.008:1、約0.01:1、約0.02:1、約0.03:1、約0.04:1程度に低く、又は約0.05:1、約0.07:1、約0.09:1、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、又は約1:1程度に高く、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約0.002:1~約1:1、約0.004:1~約0.5:1、約0.006:1~約0.4:1、又は約0.01:1~0.1:1である、水素とトリフルオロアセチルハライドのモル比で反応のために提供され得る。好ましくは、水素とヨウ素のモル比は、約0.01:1~約0.05:1である。
【0019】
反応物は、反応器内に含まれる触媒の存在下で反応して、以下の式1に従って、トリフルオロヨードメタン及び反応副生成物の一酸化炭素(CO)及びハロゲン化水素(HX)を含む生成物流を生成する。
等式1:2CF3C(O)X+H2+I2→2CF3I+2HX+2CO
式中、Xは、選択したトリフルオロアセチルハライド反応物に応じて、フッ化物、塩化物、又は臭化物である。したがって、ハロゲン化水素は、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、及び/又はフッ化水素(HBr)である。
【0020】
反応器内で、水素とヨウ素が反応してその場でヨウ化水素(HI)を形成し、それがほぼ即座にハロゲン化トリフルオロアセチルと反応してトリフルオロヨードメタンを形成すると考えられている。競合する副反応により、例えば、トリフルオロメタン(CF3H)、ヨードメタン(CH3I)、及びヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)などの副生成物が生成され得る。反応器は、触媒を含有する管を含む、固定床管状反応器などの加熱管反応器であり得る。管は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル合金、例えば、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、若しくはニッケル-銅合金などの金属製であってもよい。管反応器を加熱することにより、触媒も加熱される。あるいは、反応器は、いずれのタイプの充填反応器であってもよい。
【0021】
反応は、実質的に酸素(O2)なしで実施される。つまり、反応中の任意の酸素は、重量で約500パーツパーミリオン、約300ppm、約200ppm、約100ppm、約50ppm、約30ppm、約20ppm、約10ppm、約5ppm、約3ppm、約2ppm、若しくは約1ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量である。好ましくは、反応中の任意の酸素は、約100重量ppm未満の量である。より好ましくは、反応中の任意の酸素は、約10重量ppm未満の量である。最も好ましくは、反応中の任意の酸素は、約3重量ppm未満の量である。ヨウ化水素が反応してトリフルオロヨードメタンを形成する前に、ヨウ化水素の少なくとも一部を酸化してヨウ素及び水を形成し、それによってプロセスの効率を低下させる可能性があるため、反応中の酸素はできるだけ少ないことが好ましい。
【0022】
触媒は、遷移金属を含む。好ましくは、遷移金属は、非貴金属遷移金属ニッケル、コバルト、又は鉄、又は貴金属遷移金属ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。より好ましくは、遷移金属は、ニッケル、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせから基本的になる。最も好ましくは、遷移金属は、パラジウムから基本的になる。
【0023】
触媒は、繊維金属のための担体を含む。好ましくは、担体は、炭素、酸化アルミニウム(Al2O3)、シリカゲル(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、又はそれらの組み合わせを含む。最も好ましくは、担体は、酸化アルミニウムから基本的になる。
【0024】
遷移金属及び担体の総組み合わせ重量のパーセンテージとしての、触媒の表面上の遷移金属の量は、約0.01重量パーセント(重量%)、約0.02重量%、約0.1重量%、約0.3重量%、約0.5重量%、約0.7重量%、約1重量%、約2重量%、又は約4重量%程度に少なく、又は最大で約6重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約21重量%、約25重量%、約30重量%、又は約40重量%程度に多く、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約0.01重量%~約40重量%、約0.02重量%~約30重量%、約0.1重量%~約25重量%、約0.3重量%~約20重量%、約0.5重量%~約15重量%、約0.7重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%、約1重量%~約4重量%、又は約0.3重量%~約0.7重量%などであり得る。好ましくは、触媒の表面上の非貴金属遷移金属の量は、約5重量%~約35重量%である。より好ましくは、触媒の表面上の非貴金属遷移金属の量は、約10重量%~約30重量%である。最も好ましくは、触媒の表面上の非貴金属遷移金属の量は、約20重量%~約30重量%である。好ましくは、触媒の表面上の貴金属遷移金属の量は、約0.1重量%~約5重量%である。より好ましくは、触媒の表面上の貴金属遷移金属の量は、約0.3重量%~約1重量%である。最も好ましくは、触媒の表面上の貴金属遷移金属の量は、約0.3重量%~約0.7重量%である。
【0025】
反応物は、約0.1秒、1秒、約2秒、約4秒、約6秒、約8秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、又は約30秒程度に短く、又は約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約100秒、約120秒、又は約1,200秒程度に長く、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約0.1秒~約1,200秒、約2秒~約120秒、約4秒~約100秒、約6秒~約80秒、約8秒~約70秒、約10秒~約60秒、約15秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約10秒~約20秒、又は約100秒~約120秒などの接触時間の間、触媒と接触し得る。好ましくは、反応物は、約1秒~約100秒までの接触時間の間、触媒と接触している。より好ましくは、反応物は、約2秒~約50秒までの接触時間の間、触媒と接触している。最も好ましくは、反応物は、約10秒~約30秒までの接触時間の間、触媒と接触している。
【0026】
反応は、約200℃、約250℃、約300℃、約320℃、約330℃、約340℃、約350℃程度に低い温度から、又は約360℃、約370℃、約380℃、約390℃、約400℃、500℃、又は約600℃程度に高い温度まで、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約200℃~約600℃、約250℃~約500℃、約300℃~約400℃、約320℃~約390℃、約340℃~約380℃、約350℃~約370℃、又は約340℃~約360℃などで行われる。好ましくは、反応物は、約300℃~約400℃の温度に加熱されるより好ましくは、反応物は、約320℃~約360℃の温度に加熱される最も好ましくは、反応物は、約340℃~約360℃の温度に加熱される
【0027】
圧力は重要ではない。便利な動作圧力は、約10kPa~約4,000kPa、好ましくは約100kPa~約350kPaの範囲である。
【0028】
反応器から出る生成物流中の有機化合物の組成は、ガスクロマトグラフィー(GC)及びガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)法によって測定することができる。各有機化合物のGC分析によって提供されるグラフ領域を組み合わせて、生成物流中の有機化合物の相対濃度の測定値として、有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC領域パーセンテージ(GC領域%)を提供することができる。
【0029】
反応器を出る生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、ハロゲン化トリフルオロアセチルを含まない全有機化合物のGC領域%において、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%又は約60%程度の低さであり得、又は約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約又は99%程度の高さであり得、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内、例えば、約10%~約99%、約20%~約95%、約30%~約90%、約40%~約85%、約45%~約80%、約50%~約75%、約55%~約70%、約60%~約65%、約90%~約99%、又は約95%~約99%などであり得る。好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約30%~約99%である。より好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約70%~約99%である。最も好ましくは、生成物流中のトリフルオロヨードメタンの濃度は、約90%~約99%である。
【0030】
生成物流は、反応器から1つ以上のヨウ素除去槽に向けられ、そこで生成物流が冷却されて未反応のヨウ素が凝縮し、生成物流からヨウ素の少なくとも一部が除去されて反応物としてリサイクルされる。生成物流は、ヨウ素の沸点よりも低いが、ヨウ素の融点よりも高い温度に冷却されて、ヨウ素を液体の形で凝縮することができる。あるいは、又はそれに加えて、反応器から出る生成物流は、ヨウ素を固体形態で回収するために、ヨウ素の融点よりも低い温度に冷却され得る。生成物流は、ヨウ素除去槽から1つ以上の更なるヨウ素除去槽へと進み、リサイクルのために更なる未反応ヨウ素を除去してもよい。
【0031】
生成物流は、1つ以上のヨウ素除去槽から重蒸留塔に向けられて、ヨウ化メチル(CH3I)及びヨウ化トリフルオロアセチル(TFAI)などの高沸点副生成物を、トリフルオロヨードメタン(CF3I)、未反応のトリフルオロアセチルハライド(CF3C(O)X)、並びにトリフルオロメタン(CF3H)、ハロゲン化水素酸(HX)、ヨウ化水素(HI)、及び一酸化炭素(CO)などの他の副生成物から分離することができる。CF3I、CF3C(O)X、CF3H、HX、HI、H2、及びCOを含む重蒸留塔からのオーバーヘッド流は、CF3H、HX、CO、及びH2などの低沸点化合物からCF3C(O)X、HI及びCF3Iなどの高沸点化合物を分離するために軽蒸留塔に向けることができる。CF3H、HX、CO、及びH2を含む軽蒸留塔からのオーバーヘッド流は、HXを除去するためにスクラバに送られ、次に熱酸化装置に送られ得る。高沸点化合物CF3C(O)X、HI、及びCF3Iは、軽蒸留塔の下流から1つ以上の蒸留塔に送られ、CF3C(O)X及びHIをCF3Iから分離することができる。分離されたCF3C(O)X及びHIは、反応器にリサイクルされてもよい。分離されたCF3Iは、CF3I生成物を分離するために、1つ以上の生成物蒸留塔に向けられてもよい。CF3Iは、最後の生成物蒸留塔のオーバーヘッド流から収集することができる。ヨウ素、CF3C(O)X及びHIのリサイクルにより、CF3Iを生成するための効率的なプロセスが得られる。
【0032】
図は、トリフルオロヨードメタンを製造するための統合プロセス10を示すプロセスフロー図である。図に示すように、プロセス10は、固体ヨウ素12、水素14、及びトリフルオロアセチルハライド、トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)16の材料の流れを含む。固体ヨウ素12は、固体貯蔵タンク18に連続的又は間欠的に添加され得る。固体ヨウ素の一定の流れは、固体輸送システム(図示せず)によって、固体貯蔵タンク18からヨウ素液化装置20に送達され、そこで固体ヨウ素は、その融点より上であるが、その沸点より下に加熱されて、ヨウ素液化装置20中の液体ヨウ素のレベルを維持する。液体ヨウ素は、ヨウ素液化装置20からヨウ素気化装置22へ流れる。ヨウ素液化装置20は、液体ヨウ素の流れを動かすために不活性ガスによって加圧されてもよい。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、若しくはヘリウム、又はこれらの混合物が挙げられ得る。液体ヨウ素の流量は、液体流量制御装置24によって制御されてもよい。ヨウ素気化装置22では、ヨウ素がその沸点を超えて加熱され、ヨウ素蒸気の流れを形成する。
【0033】
水素14は、水素14が選択された反応温度に加熱される水素予熱器26に提供されてもよい。加熱された水素の流量は、ガス流量制御装置28によって制御されてもよい。
【0034】
TFAC16は、TFACが選択された反応温度に加熱される、TFAC予熱器30に提供されてもよい。加熱されたTFACの流量は、ガス流量制御装置32によって制御されてもよい。加熱された水素の流れ及び加熱されたTFACの流れは、混合弁34内で組み合わされ得、次いで、それは、別の混合弁36内のヨウ素蒸気の流れと組み合わされ得る。代替的に、加熱された水素の流れ、加熱されたTFACの流れ、及びヨウ素の流れは、単一の混合バルブ内で組み合わされてもよい。ヨウ素蒸気、水素及びTFACの加熱された混合物は、反応器38に提供される。
【0035】
ヨウ素蒸気、水素及びTFACの加熱された混合物は、反応器38内に含有される触媒40の存在下で反応して、粗生成物流を生成する。触媒40は、本明細書に記載の触媒のいずれであってもよい。粗生成物流は、例えば、トリフルオロヨードメタン、未反応水素、未反応ヨウ素、未反応TFAC、及びHI、CO、CF3H、TFAI、HCl、及びCH3Iなどの反応副生成物を含み得る。
【0036】
粗生成物流は、ヨウ素除去槽44に提供される。粗生成物流は、ヨウ素除去槽44内でヨウ素の沸点より低い温度に冷却されて、ヨウ素の少なくとも一部を凝縮し、それを粗生成物流から分離する。ヨウ素除去槽44で収集されたヨウ素は、ヨウ素リサイクル流46を形成し得る。ヨウ素リサイクル流46は、ヨウ素を回収するためにヨウ素液化器20に提供される。
【0037】
粗生成物流は、ヨウ素除去槽44内でヨウ素の融点よりも低い温度に更に冷却されて、粗生成物流から更に多くのヨウ素を分離し、ヨウ素除去槽44内にヨウ素の少なくとも一部を個体として沈着させることができる。続いてヨウ素除去槽44をオフラインで採取し、ヨウ素を加熱してヨウ素をヨウ素リサイクル流46に液化してもよい。
【0038】
単一のヨウ素除去槽44が示されているが、ヨウ素除去槽44は、並列構成で動作する2つ以上のヨウ素除去槽44、直列構成で動作する2つ以上のヨウ素除去槽44、及びそれらの任意の組み合わせを含み得ることが理解される。ヨウ素除去槽44は、固体の形態のヨウ素を収集しながら連続動作を提供するために、固体ヨウ素の除去のために別のトレインがオフラインである間に少なくとも1つのトレインが動作しているように、ヨウ素除去槽44の複数のトレインを含み得ることも理解される。
【0039】
粗生成物流は、ヨウ素除去槽44から重蒸留塔48に提供される。重蒸留塔48は、CH3I及びTFAIなどの有機重質物を、CF3I、未反応TFACなどの有機軽物質、及びHI、CO、CF3H、及びHClなどの副生成物から分離するように構成される。重蒸留塔48から得られた有機重質物を含む底流50は、容器に提供されてもよい。容器中の有機重質は、更なる使用又は販売のために構成要素を回収するために廃棄されてもよく、又は更に蒸留されてもよい。
【0040】
CF3I、TFAC、CF3H、HCl、HI、H2及びCOを含む重蒸留塔48からの有機軽物質を含むオーバーヘッド流52は、軽蒸留塔54に向けられて、CF3H、HCl、CO、及びH2などの低沸点化合物からTFAC、HI、及びCF3I、などの高沸点化合物を分離する。CF3H、HCl、CO、及びH2を含む軽蒸留塔54のオーバーヘッド流56は、HClの除去のためにスクラバ(図示せず)に提供され、次いで、CF3H、CO、及びH2の酸化のために熱酸化装置(図示せず)に提供され得る。
【0041】
軽蒸留塔54からのCF3I、TFAC、及びHIを含む底部流58は、リサイクル塔60に提供される。リサイクル塔60は、CF3IをTFAC及びHIから分離するように構成され得る。TFAC及びHIを含むリサイクル塔60のオーバーヘッド流62は、TFAC/HIリサイクル流を形成する。TFAC/HIリサイクル流62は、TFAC及びHIをリサイクルするために、TFAC予熱器30に提供される。単一リサイクル塔60が示されているが、リサイクル塔60は、所望の分離効率を達成するために、直列、並列、又はそれらの任意の組み合わせで動作する2つ以上のリサイクル塔を含み得ることが理解される。
【0042】
リサイクル塔60からのCF3I及び微量の有機軽物質及び重物質を含む底部流64が、第1の生成物塔66に提供される。第1の生成物塔66は、微量の有機軽物質からCF3Iを分離するように構成されている。有機軽物質及びいくつかのCF3Iを含む第1の生成物塔66のオーバーヘッド流68は、追加のCF3Iを回収するためにリサイクル塔60に提供される底部流58にリサイクルされ得る。CF3Iを含む底部流70、及び第1の生成物塔66からの有機重物質は、第2の生成物塔72に提供される。得られた生成物のCF3Iは、第2の生成物塔72の底部流74から収集され得る。いくつかのCF3I及び第2の生成物塔72からの有機重質物を含む底部流76は、追加のCF3Iを回収するためにリサイクル塔60に提供される底部流58にリサイクルされ得る。
【0043】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図されている。
【0044】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれかの2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、トリフルオロヨードメタンを製造するための統合プロセス10を示すプロセスフロー図である。
【実施例】
【0046】
実施例1~4:トリフルオロアセチルクロリド(TFAC)、水素、及び元素状ヨウ素からのCF3Iの生成
以下の実施例では、上記の式1によるTFAC、水素及びヨウ素からのトリフルオロヨードメタンの製造が実証されている。長さ11.5インチの3/4インチのInconel600管を反応器として使用し、Johnson Mattheyの0.1重量%Pd/Al2O3触媒又はBASFの0.5重量%Pd/Al2O3触媒のいずれかを11インチ充填した。反応器を350℃に予熱した。下の表に示すように、一定量のTFAC及びH2をTFAC/H2予熱器に共供給し、次に1000グラムの固体ヨウ素を最初に充填したI2気化器に供給した。I2気化器の温度を150~165℃で制御し、これによりI-2蒸気を生成した。次に、I2蒸気、TFAC蒸気及びH2蒸気の混合物を、触媒が装填された加熱された固定床管状反応器に供給した。反応器の流出物は、2段階のI2コレクタを通過して、未反応のI2を固体の形態で捕捉し、次に脱イオン水スクラバに供給して、未反応のTFAC、及び反応中に生成されたHCl及びHIを捕捉した。
【0047】
定期的に、脱イオン水スクラバの排水からサンプルを採取し、サンプル中の有機化合物の組成をガスクロマトグラフィ(GC)で測定した。各有機化合物のGC分析によって提供されるグラフ領域を組み合わせて、有機化合物の各々に対する全有機化合物のGC領域パーセンテージ(GC領域%)を提供した。
【0048】
反応の実行時間の終わりに、システムを停止し、ヨウ素気化器の重量損失及びヨウ素除去槽の重量増加を測定して、ヨウ素の供給速度を判定した。ヨウ素の供給速度を水素の供給速度と比較して、反応器に供給されるH2:I2の平均モル比を決定した。反応器内の滞留時間は、水素、ヨウ素、及びTFACの組み合わせ供給速度に基づいて計算された。
【0049】
各実施例の結果を表1に示す。各実施例について、表1は、使用された酸化アルミニウム触媒上のパラジウムの量、TFACの供給速度、H
2の供給速度、H
2対I
2の平均モル供給比、TFAC対HIの平均モル供給比、滞留時間、及び実行終了時のCF
3I、CF
3H、及びCH
3IのGC領域%を示す。実施例1、3、及び4は、24時間実行され、実施例2は20時間実行された。表1に示すように、H
2とI
2の平均モル供給比が1:1未満で、H
2とTFACの平均モル供給比が0.05:1未満の実施例では、CF
3Iの選択性を大幅に向上させた。また、H
2とI
2の平均モル供給比が1:1未満で、H
2とTFACの平均モル供給比が0.05:1未満の場合、担体上のパラジウムの量が多いと、CF
3Iの選択性が改善するようである。
【表1】
【0050】
態様
態様1は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するためのプロセスであり、このプロセスは、トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を含む気相反応物を提供することと、気相反応物を加熱すること、加熱された気相反応物を触媒の存在下で反応させてトリフルオロヨードメタンを生成することとであって、触媒は、遷移金属を含む、生成することと、を含む。
【0051】
態様2は、態様1のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約500重量ppm未満の水を含む。
【0052】
態様3は、態様1のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約100重量ppm未満の水を含む。
【0053】
態様4は、態様1のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約30重量ppm未満の水を含む。
【0054】
態様5は、態様1のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約10重量ppm未満の水を含む。
【0055】
態様6は、態様1~5のいずれかのプロセスであり、水素は、約500重量ppm未満の水を含む。
【0056】
態様7は、態様1~5のいずれかのプロセスであり、水素は、約100重量ppm未満の水を含む。
【0057】
態様8は、態様1~5のいずれかのプロセスであり、水素は、約30重量ppm未満の水を含む。
【0058】
態様9は、態様1~5のいずれかのプロセスであり、水素は、約10重量ppm未満の水を含む。
【0059】
態様10は、態様1~9のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約500重量ppm未満の水を含む。
【0060】
態様11は、態様1~9のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約100重量ppm未満の水を含む。
【0061】
態様12は、態様1~9のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約30重量ppm未満の水を含む。
【0062】
態様13は、態様1~9のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約10重量ppm未満の水を含む。
【0063】
態様14は、態様1~13のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とヨウ素のモル比は、約0.1:1~約5:1である。
【0064】
態様15は、態様1~13のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とヨウ素のモル比は、約0.1:1~約1:1である。
【0065】
態様16は、態様1~13のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とヨウ素のモル比は、約0.3:1~約0.8:1である。
【0066】
態様17は、態様1~13のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とヨウ素のモル比は、約0.5:1~約0.7:1である。
【0067】
態様18は、態様1~17のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とトリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.002:1~約1:1である。
【0068】
態様19は、態様1~17のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、水素とトリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.01:1~約0.05:1である。
【0069】
態様20は、態様1~19のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、気相反応物は、約500重量ppm未満の酸素を含む。
【0070】
態様21は、態様1~19のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、気相反応物は、約100重量ppm未満の酸素を含む。
【0071】
態様22は、態様1~19のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、気相反応物は、約10重量ppm未満の酸素を含む。
【0072】
態様23は、態様1~19のいずれかのプロセスであり、提供するステップにおいて、気相反応物は、約3重量ppm未満の酸素を含む。
【0073】
態様24は、態様1~23のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、及びパラジウムの群から選択される少なくとも1つを含む。
【0074】
態様25は、態様1~23のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせから基本的になる。
【0075】
態様26は、態様1~23のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせから基本的になる。
【0076】
態様27は、態様1~23のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、パラジウムから基本的になる。
【0077】
態様28は、態様1~27のいずれかのプロセスであり、触媒は、酸化アルミニウム担体、炭素担体、シリカゲル担体、及び炭化ケイ素担体の群から選択される少なくとも1つを含む担体を更に含む。
【0078】
態様29は、態様1~27のいずれかのプロセスであり、触媒は、酸化アルミニウム担体から基本的になる担体を更に含む。
【0079】
態様30は、態様28又は態様29のいずれかのプロセスであり、触媒の表面上の遷移金属は、遷移金属及び担体の総重量の約0.01重量%~約40重量%である。
【0080】
態様31は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約5重量%~約35重量%である。
【0081】
態様32は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約10重量%~約30重量%である。
【0082】
態様33は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約20重量%~約30重量%である。
【0083】
態様34は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ニッケルを含み、担体は、酸化アルミニウムを含み、ニッケルは、ニッケル及び酸化アルミニウムの総重量の約21重量%である。
【0084】
態様35は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.1重量%~約5重量%である。
【0085】
態様36は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.3重量%~約1重量%である。
【0086】
態様37は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも0.7つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.3重量%~約1重量%である。
【0087】
態様38は、態様30のプロセスであり、遷移金属は、パラジウムを含み、担体は、酸化アルミニウムを含み、パラジウムは、パラジウム及び酸化アルミニウムの総重量の約0.5重量%である。
【0088】
態様39は、態様1~38のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約200℃~約600℃の温度に加熱される。
【0089】
態様40は、態様1~38のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約300℃~約400℃の温度に加熱される。
【0090】
態様41は、態様1~38のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約320℃~約360℃の温度に加熱される。
【0091】
態様42は、態様1~38のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約340℃~約360℃の温度に加熱される。
【0092】
態様43は、態様1~42のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約0.1秒~約1,200秒である。
【0093】
態様44は、態様1~42のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約1秒~約100秒である。
【0094】
態様45は、態様1~42のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約2秒~約50秒である。
【0095】
態様46は、態様1~42のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約10秒~約30秒である。
【0096】
態様47は、態様1~46のいずれかのプロセスであり、プロセスは、未反応のヨウ素をトリフルオロヨードメタンから分離すること、及び未反応のヨウ素を提供するステップに戻すこと、の追加のステップを更に含む。
【0097】
態様48は、態様1~47のいずれかのプロセスであり、プロセスは、連続プロセスである。
【0098】
態様49は、態様1~47のいずれかのプロセスであり、プロセスは、バッチプロセスである。
【0099】
態様51は、態様1~49のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0100】
態様52は、態様1~49のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドを含む。
【0101】
態様53は、態様1~49のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドから基本的になる。
【0102】
態様54は、態様1~49のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドから基本的になる。
【0103】
態様55は、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を生成するプロセスであり、プロセスは、以下のステップ、トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を気相で反応させ、触媒の存在下で約200℃~約600℃の温度でトリフルオロヨードメタン、未反応のトリフルオロアセチルハライド、未反応の水素、未反応のヨウ素、及びヨウ化水素を含む生成物流を生成することであって、触媒は、遷移金属を含む、生成することと、生成物流を冷却して気相からヨウ素を凝縮することにより、生成物流から未反応のヨウ素の少なくとも一部を除去することと、凝縮したヨウ素を反応ステップにリサイクルすることと、を含む。
【0104】
態様56は、態様55のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約500重量ppm未満の水を含む。
【0105】
態様57は、態様55のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約100重量ppm未満の水を含む。
【0106】
態様58は、態様55のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約30重量ppm未満の水を含む。
【0107】
態様59は、態様55のプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、約10重量ppm未満の水を含む。
【0108】
態様60は、態様55~59のいずれかのプロセスであり、水素は、約500重量ppm未満の水を含む。
【0109】
態様61は、態様55~59のいずれかのプロセスであり、水素は、約100重量ppm未満の水を含む。
【0110】
態様62は、態様55~59のいずれかのプロセスであり、水素は、約30重量ppm未満の水を含む。
【0111】
態様63は、態様55~59のいずれかのプロセスであり、水素は、約10重量ppm未満の水を含む。
【0112】
態様64は、態様55~63のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約500重量ppm未満の水を含む。
【0113】
態様65は、態様55~63のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約100重量ppm未満の水を含む。
【0114】
態様66は、態様55~63のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約30重量ppm未満の水を含む。
【0115】
態様67は、態様55~63のいずれかのプロセスであり、ヨウ素は、約10重量ppm未満の水を含む。
【0116】
態様68は、態様55~67のいずれかのプロセスであり、水素とヨウ素のモル比は、約0.1:1~約5:1である。
【0117】
態様69は、態様55~67のいずれかのプロセスであり、水素とヨウ素のモル比は、約0.1:1~約1:1である。
【0118】
態様70は、態様55~67のいずれかのプロセスであり、水素とヨウ素のモル比は、約0.3:1~約0.8:1である。
【0119】
態様71は、態様55~67のいずれかのプロセスであり、水素とヨウ素のモル比は、約0.5:1~約0.7:1である。
【0120】
態様72は、態様55~71のいずれかのプロセスであり、水素とトリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.002:1~約1:1である。
【0121】
態様73は、態様55~71のいずれかのプロセスであり、水素とトリフルオロアセチルハライドのモル比は、約0.01:1~約0.05:1である。
【0122】
態様74は、態様55~73のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約500重量ppm未満の酸素を含む。
【0123】
態様75は、態様55~73のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約100重量ppm未満の酸素を含む。
【0124】
態様76は、態様55~73のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約10重量ppm未満の酸素を含む。
【0125】
態様77は、態様55~73のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約3重量ppm未満の酸素を含む。
【0126】
態様78は、態様55~77のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、及びパラジウムの群から選択される少なくとも1つを含む。
【0127】
態様79は、態様55~77のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせから基本的になる。
【0128】
態様80は、態様55~77のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせから基本的になる。
【0129】
態様81は、態様55~77のいずれかのプロセスであり、遷移金属は、パラジウムから基本的になる。
【0130】
態様82は、態様55~81のいずれかのプロセスであり、触媒は、酸化アルミニウム担体、炭素担体、シリカゲル担体、及び炭化ケイ素担体の群から選択される少なくとも1つを含む担体を更に含む。
【0131】
態様83は、態様55~81のいずれかのプロセスであり、触媒は、酸化アルミニウム担体から基本的になる担体を更に含む。
【0132】
態様84は、態様82又は態様83のいずれかのプロセスであり、触媒の表面上の遷移金属は、遷移金属及び担体の総重量の約0.01重量%~約40重量%である。
【0133】
態様85は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約5重量%~約35重量%である。
【0134】
態様86は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約10重量%~約30重量%である。
【0135】
態様87は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約20重量%~約30重量%である。
【0136】
態様88は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ニッケルを含み、担体は、酸化アルミニウムを含み、ニッケルは、ニッケル及び酸化アルミニウムの総重量の約21重量%である。
【0137】
態様89は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.1重量%~約5重量%である。
【0138】
態様90は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.3重量%~約1重量%である。
【0139】
態様91は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、ロジウム、イリジウム、白金、パラジウム又はそれらの組み合わせの群から選択される少なくとも1つを含み、触媒の表面上の遷移金属の量は、遷移金属及び担体の総重量の約0.3重量%~約0.7重量%である。
【0140】
態様92は、態様84のプロセスであり、遷移金属は、パラジウムを含み、担体は、酸化アルミニウムを含み、パラジウムは、パラジウム及び酸化アルミニウムの総重量の約0.5重量%である。
【0141】
態様93は、態様55~92のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約300℃~約400℃の温度に加熱される。
【0142】
態様94は、態様55~92のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約320℃~約360℃の温度に加熱される。
【0143】
態様95は、態様55~92のいずれかのプロセスであり、気相反応物は、約340℃~約360℃の温度に加熱される。
【0144】
態様96は、態様55~95のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約0.1秒~約1,200秒である。
【0145】
態様97は、態様55~95のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約1秒~約100秒である。
【0146】
態様98は、態様55~95のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約2秒~約50秒である。
【0147】
態様99は、態様55~95のいずれかのプロセスであり、反応ステップにおいて、気相反応物の触媒との接触時間は、約10秒~約30秒である。
【0148】
態様100は、態様55~99のいずれかのプロセスであり、プロセスは、未反応のトリフルオロアセチルハライドを生成物流から分離し、分離したトリフルオロアセチルハライドを反応ステップにリサイクルする追加のステップを更に含む。
【0149】
態様101は、態様55~100のいずれかのプロセスであり、プロセスは、未反応のヨウ化水素を生成物流から分離し、分離したヨウ化水素を反応ステップにリサイクルする追加のステップを更に含む。
【0150】
態様102は、態様55~101のいずれかのプロセスであり、プロセスは、連続プロセスである。
【0151】
態様103は、態様55~101のいずれかのプロセスであり、プロセスは、バッチプロセスである。
【0152】
態様104は、態様55~103のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルフルオリド、トリフルオロアセチルクロリド、トリフルオロアセチルブロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0153】
態様105は、態様55~103のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドを含む。
【0154】
態様106は、態様55~103のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドから基本的になる。
【0155】
態様107は、態様55~103のいずれかのプロセスであり、トリフルオロアセチルハライドは、トリフルオロアセチルクロリドから基本的になる。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリフルオロヨードメタン(CF
3I)を生成するためのプロセスであって、
トリフルオロアセチルハライド、水素、及びヨウ素を含む気相反応物を提供するステップと、
前記気相反応物を加熱するステップと、
遷移金属を含む触媒の存在下で加熱された前記気相反応物を反応させて、トリフルオロヨードメタンを生成するステップと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記提供するステップにおいて、前記トリフルオロアセチルハライド、前記ヨウ素、及び前記水素が各々、約500重量ppm未満の水を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記提供するステップにおいて、前記水素と前記ヨウ素のモル比が、約0.1:1~約5:1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【国際調査報告】