IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギャップウェーブス アーベーの特許一覧

特表2022-5207001つまたは複数のメタマテリアル構造に基づくアンテナアレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】1つまたは複数のメタマテリアル構造に基づくアンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20220325BHJP
   H01P 3/123 20060101ALI20220325BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20220325BHJP
   H01Q 13/10 20060101ALI20220325BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01P3/123
H01Q13/08
H01Q13/10
H01Q9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536725
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 SE2020050103
(87)【国際公開番号】W WO2020162818
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】1930047-4
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515096169
【氏名又は名称】ギャップウェーブス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、エマニュエルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジャン
(72)【発明者】
【氏名】アシュラフ、ウッザマン
(72)【発明者】
【氏名】ワイイェン、ヨン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AB03
5J021AB05
5J021AB06
5J045DA03
5J045DA10
(57)【要約】
層状構造を含むアンテナアレイであって、層状構造は、メタマテリアル構造を有するベース層と、プリント回路基板(PCB)層と、PCBのうちの、1つまたは複数のRF ICとは反対側の面上に配置されたフィード層と、フィード層上に配置された放射層でありかつ複数の放射素子を含む放射層と、を含み、メタマテリアル構造は、少なくとも2つの隣接した導波路どうしの間を伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数帯域内で動作するためのアンテナアレイ(100)であって、
層状構造を含み、この層状構造は、
メタマテリアル構造を有したベース層(110)であり、前記メタマテリアル構造は、前記ベース層に沿って伝搬する前記周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている、ベース層(110)と、
前記ベース層(110)の上面上に配置されたプリント回路基板(PCB)層(120)であり、前記PCB層(120)のうちの、前記ベース層(110)に対向した面上に配置された少なくとも1つの無線周波数(RF)集積回路(IC)を含み、前記1つまたは複数のRF ICから、前記PCB層(120)の反対側の面へと、RF信号を転送するための1つまたは複数のフィード(121)をさらに含む、PCB層(120)と、
前記PCB層(120)のうちの、前記1つまたは複数のRF ICとは反対側の面上に配置された少なくとも1つのフィード層(130)であり、前記フィード層のうちの、前記PCB層(120)とは反対側を向いた面上に、少なくとも1つの導波路を含み、各導波路は、自身に沿って電磁波を伝導させるリッジ(131)を含み、各導波路は、1つまたは複数のメタマテリアル構造(132)をさらに含み、前記メタマテリアル構造は、前記導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する前記周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている、少なくとも1つのフィード層(130)と、
前記少なくとも1つのフィード層(130)上に配置された放射層(140)であり、RF信号を送信および/または受信するための複数の放射素子(141)を含む、放射層(140)と、を含む、アンテナアレイ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記メタマテリアル構造(111、131)は、少なくとも2つのタイプの構成要素を含み、第1タイプの構成要素は、電気伝導性材料を含み、第2タイプの構成要素は、電気絶縁性材料を含み、前記第1タイプの構成要素は、前記第2タイプの構成要素と交互配置され、前記第1タイプの構成要素および前記第2タイプの構成要素の物理的寸法は、前記周波数帯域内の電磁放射が前記メタマテリアル構造によって減衰されるよう、前記周波数帯域内の電磁放射の波長よりも小さい、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項3】
前記第1タイプの構成要素は、突出した特徴物(201)を含み、前記第2タイプの構成要素は、前記突出した特徴物どうしの間の空間を占める、請求項2に記載のアンテナアレイ。
【請求項4】
前記第1タイプの構成要素は、複数のキャビティ(302)を有した電気伝導性材料(301)を含み、第2タイプの構成要素は、前記キャビティを占める、請求項2に記載のアンテナアレイ。
【請求項5】
前記第1タイプの構成要素および前記第2タイプの構成要素は、並進対称(501)、回転対称(502)、または映進対称(503)、あるいは準周期的パターン、によって特徴付けられるパターンで配置されている、請求項2、3、または4のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記メタマテリアル構造は、対照的な誘電特性を有した複数の材料からなる周期的なまたは準周期的な配置を含む、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項7】
前記アンテナアレイは、前記PCBと前記フィード層との間に配置されたフィルタ層(150)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項8】
前記フィルタ層(150)内の導波路は、1つまたは複数のメタマテリアル構造を含み、前記メタマテリアル構造は、少なくとも2つの隣接した前記導波路どうしの間を伝搬する前記周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている、請求項7に記載のアンテナアレイ。
【請求項9】
前記PBC層(120)上の前記フィード(121)は、前記フィード層(130)内の対応する開口に対して接続された貫通穴であり、あるいはフィルタ層が存在する場合には前記フィルタ層(150)内の対応する開口に対して接続された貫通穴であり、前記PCBの前記貫通穴は、マイクロストリップラインによって給電される、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項10】
少なくとも1つの前記放射素子は、前記放射層を貫通して延びるスロット開口である、請求項1~9のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項11】
少なくとも1つの前記放射素子は、ボウタイアンテナである、請求項1~10のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項12】
少なくとも1つの前記放射素子は、パッチアンテナである、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記放射素子は、磁電ダイポールアンテナである、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナアレイ。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載のアンテナアレイを含む、レーダ用途のためのおよび/または通信用途のための送受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナアレイに関し、特に、フェーズドアレイアンテナおよびビームステアリングアンテナに関する。アンテナアレイは、例えば電気通信およびレーダ送受信機などでの使用に好適である。
【背景技術】
【0002】
フェーズドアレイアンテナは、例えば自動車用レーダ用途などのレーダシステムにおいて、また、電気通信において、頻繁に使用されている。アンテナアレイの設計は、例えば導波路から漏れる電磁放射の形態などでの損失を考慮する必要があることが、多くの場合にネックとなる。
【0003】
フェーズドアレイアンテナ内のアンテナ素子どうしは、設計上、動作周波数における電磁放射の波長の半分以上の距離の分だけ、離間されることが多い。その結果、動作周波数が高くなると、波長が短くなるため、アンテナアレイをより小さなものとすることができる。これは、特にスペースが限られている用途(例えば、車載用通信アンテナおよびセンサアンテナ)において、多くの利点がある。しかしながら、サイズが小さくなると、例えばアンテナアレイに沿った電磁波伝搬などにより、異なるアレイ素子どうしの間の相互作用リスクも高まってしまう。このリスクも管理されなければならない。
【0004】
米国特許第8,803,638(B2)号明細書には、望ましくない方向への電磁波伝搬を停止させるために、突出したポストを使用した導波路構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、損失を低減させた改良されたアンテナアレイが、なおも要望されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、コンパクトかつ低損失なアンテナアレイを提供することである。
【0007】
この目的は、周波数帯域内で動作するためのアンテナアレイによって達成される。アンテナアレイは、層状構造を含み、この層状構造は、メタマテリアル構造を有したベース層を含み、メタマテリアル構造は、ベース層に沿って伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。アンテナアレイは、また、ベース層の上面上に配置されたプリント回路基板(PCB)層を含み、PCB層は、PCB層のうちの、ベース層に対向した面上に配置された少なくとも1つの無線周波数(RF)集積回路(IC)を含む。PCBは、1つまたは複数のRF ICから、PCBの反対側の面へと、RF信号を転送するための1つまたは複数のフィードを、さらに含む。
【0008】
加えて、アンテナアレイは、PCBのうちの、1つまたは複数のRF IC(s)とは反対側の面上に配置されたフィード層を含む。このフィード層は、フィード層のうちの、PCBとは反対側を向いた面上に配置された、少なくとも1つの導波路を含み、そのような各導波路は、自身に沿って電磁波を伝導させるリッジと、1つまたは複数のメタマテリアル構造と、を含む。メタマテリアル構造は、導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。例えば、メタマテリアル構造は、隣接した導波路どうしの間の伝搬を減衰させるように構成することができ、これにより、リークを緩和する。アンテナアレイは、また、フィード層上に配置された放射層を含み、放射層は、RF信号を送信および/または受信するための複数の放射素子を含む。
【0009】
説明したアンテナアレイは、コンパクトでありつつも、不要な方向に伝搬する電磁放射を減衰させるメタマテリアル構造の存在により、なおも低損失を維持している。例えば、フィード層内におけるメタマテリアルの配置は、隣接した導波路どうしの間の相互作用を最小化し、これにより、隣接したアンテナ素子どうしの間の相互作用を最小化する。そのような相互作用は、信号品質の劣化を引き起こしてしまい得る。メタマテリアル構造が存在しなければ、信号品質を維持するために、導波路どうしの間の間隔をより大きくする必要があったであろう。
【0010】
有利には、メタマテリアル構造以外のシールド部材を設ける必要がないため、設計が簡素化される。また、高精度の同軸ケーブルコネクタなどの高度なコネクタも必要がないという利点がある。
【0011】
態様によれば、アンテナアレイ内のメタマテリアル構造は、少なくとも2つのタイプの構成要素を含んでもよく、第1タイプの構成要素は、電気伝導性材料を含み、第2タイプの構成要素は、電気絶縁性材料を含み、第1タイプの構成要素は、第2タイプの構成要素と交互配置され、第1タイプの構成要素および第2タイプの構成要素の物理的寸法は、周波数帯域内の電磁放射がメタマテリアル構造によって減衰されるよう、周波数帯域内の電磁放射の波長よりも小さい。
【0012】
このタイプのメタマテリアルは、材料の電磁バンドギャップとも称されるように、周波数帯域内の電磁放射の減衰を引き起こすことが観測されており、これと同時に、コンパクトであって、製造が容易である。
【0013】
例示するならば、例えばフィード層などの上にメタマテリアル構造を具現し得る方法として、種々の方法が存在する。
【0014】
いくつかの態様によれば、第1タイプの構成要素は、突出した特徴物を含んでもよく、第2タイプの構成要素は、突出した特徴物どうしの間の空間を占めるように構成される。突出した特徴物どうしの間の空間を占める構成要素は、真空または空気、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの誘電体材料、あるいは、プラスチックなどのまたはFR-4ガラスエポキシのようなプリント回路基板(PCB)材料などの、他の絶縁材料、を含んでもよい。突出した特徴物は、例えば、金属製のポスト、金属化されたプラスチック製またはPTFE製のポスト、あるいは、本質的に導電性のポリマー(ICP)などの何らかの導電性ポリマー材料から形成されたポスト、などの導電性材料からなるポストを含んでもよい。
【0015】
他の態様によれば、第1タイプの構成要素は、複数のキャビティを有した電気伝導性材料を含んでもよく、第2タイプの構成要素は、それらキャビティを少なくとも部分的に占めるように構成される。第1タイプの構成要素および第2タイプの構成要素は、並進対称、回転対称、または映進対称、あるいは周期的、準周期的パターン、もしくは不規則パターン、のいずれかによって特徴付けられるパターンで配置されてもよい。この場合にも、キャビティを占める構成要素は、真空または空気、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの誘電体材料、あるいは、FR-4ガラスエポキシのようなPCB材料などの、何らかの他の絶縁材料、を含んでもよい。第1タイプの構成要素は、一体的に形成された構成要素から構成されてもよいし、別個の構成要素として構成されてもよい。第1タイプの構成要素は、金属構成要素、金属化されたプラスチックまたは金属化されたPTFE構成要素、および、本質的に導電性ポリマーのような例えば何らかの導電性ポリマー材料などの導電性材料から形成された構成要素、のいずれかを含んでもよい。
【0016】
態様によれば、アンテナアレイは、また、PCBとフィード層との間に配置されたフィルタ層を含む。任意選択的に、フィルタ層は、互いに隣接して配置された少なくとも2つの導波路を含む。フィルタ層内の導波路は、1つまたは複数のメタマテリアル構造を含んでもよく、メタマテリアル構造は、少なくとも2つの隣接した導波路どうしの間を伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。
【0017】
有利には、メタマテリアル構造は、フィルタ層内における損失を低下させることとなり、隣接した導波路内のRF信号どうしの間の干渉を妨げることとなる。
【0018】
態様によれば、フィルタ層は、干渉する信号を減衰させるように構成されてもよく、また、信号内のノイズを低減するように構成されてもよい。
【0019】
態様によれば、放射層の放射素子は、放射層を貫通して延びるスロット開口であり、好ましくは矩形のスロット開口である。
【0020】
態様によれば、放射層の放射素子は、ボウタイアンテナである。有利には、ボウタイアンテナは、製造が容易である。
【0021】
態様によれば、放射層の放射素子は、磁電ダイポールアンテナである。有利には、磁電ダイポールアンテナは、製造が容易であり、広帯域を呈しつつ、低損失を呈する。
【0022】
態様によれば、PBC上のフィードは、フィード層内の対応する開口に対して接続された貫通穴であり、あるいはフィルタ層が存在する場合にはフィルタ層内の対応する開口に対して接続された貫通穴であり、PCBの貫通穴は、マイクロストリップラインによって給電される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
次に、本開示について、添付図面を参照してより詳細に説明する。
図1図1は、本開示によるアンテナアレイを示す図である。
図2図2は、メタマテリアル構造を示す図である。
図3図3は、別のメタマテリアル構造を示す図である。
図4図4は、第3のメタマテリアル構造を示す図である。
図5図5は、4タイプのメタマテリアル構成要素の配置を示す図である。
図6図6は、本開示による、フィルタ層を有したアンテナアレイを示す図である。
図7A図7A図7B、および図7Cは、例示的な磁電ダイポールアンテナを、異なる角度で示している。
図7B図7A図7B、および図7Cは、例示的な磁電ダイポールアンテナを、異なる角度で示している。
図7C図7A図7B、および図7Cは、例示的な磁電ダイポールアンテナを、異なる角度で示している。
図8A図8A図8B、および図8Cは、例示的なフィード層のうちの、磁電ダイポールアンテナのための部分を、異なる角度で示している。
図8B図8A図8B、および図8Cは、例示的なフィード層のうちの、磁電ダイポールアンテナのための部分を、異なる角度で示している。
図8C図8A図8B、および図8Cは、例示的なフィード層のうちの、磁電ダイポールアンテナのための部分を、異なる角度で示している。
図9A図9Aおよび図9Bは、異なる例示的な磁電ダイポールアンテナを示している。
図9B図9Aおよび図9Bは、異なる例示的な磁電ダイポールアンテナを示している。
図10図10は、例示的な磁電ダイポールアンテナを示している。
図11A図11A図11B、および図11Cは、複数の磁電ダイポールアンテナからなる例示的なアレイを、異なる角度で示している。
図11B図11A図11B、および図11Cは、複数の磁電ダイポールアンテナからなる例示的なアレイを、異なる角度で示している。
図11C図11A図11B、および図11Cは、複数の磁電ダイポールアンテナからなる例示的なアレイを、異なる角度で示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下においては、本発明の概念について、本発明の概念に関する特定の実施形態が図示されている添付図面を参照して、より詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる態様で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底して完全なものであり、本発明の概念の範囲を当業者に対して充分に伝えるように、例示として提供されている。
【0025】
同様の参照符号は、本明細書を通して同様の構成要素を参照する。破線で示す任意のステップまたは特徴点は、任意選択的なものとして見なされるべきである。
【0026】
図1は、周波数帯域内の無線周波数(RF)信号を送信および/または受信するためのアンテナアレイ100を示している。周波数帯域とは、下側の遮断周波数と上側の遮断周波数との間に位置した周波数間隔である。アンテナアレイは、層状構造を有している。
【0027】
層状構造とは、層と称される複数の平面的構成要素を含む構造である。各構成要素は、2つの面または表面を有し、厚さが関連付けられている。厚さは、面の寸法よりもはるかに小さく、すなわち、層は、平坦な構成要素である。いくつかの態様によれば、層は、長方形または正方形である。しかしながら、円形または楕円形のディスク形状を含めて、より一般的な形状も、また、適用可能である。
【0028】
層状構造は、ベース層から始めて、各層を互いに上面上に配置していくという意味において、積層されている。第1層の上面上に配置される第2層は、ベース層からは、第1層と比較して、より遠くに位置する。言い換えれば、層状構造は、ベース層から一方向に構築されたサンドイッチ構造である。
【0029】
図1に示す層状構造100は、ベース層110を含む。ベース層は、ここでは、ベース層に沿って伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されたメタマテリアル構造111を含む。ここで、減衰させるとは、無線周波数信号などの電磁放射の振幅または出力を著しく低減させることとして解釈される。減衰は完全であることが好ましく、その場合、減衰と遮断とは同等であるけれども、そのような完全な減衰を常に達成し得るとは限らないことは、理解されよう。いずれにしても、メタマテリアル構造は、ベース層に沿って電磁放射が伝搬する際に発生するエネルギ損失を最小化するように構成されている。
【0030】
周波数帯域内の電磁放射を減衰させるメタマテリアルは、より一般的には、電磁バンドギャップ材料(EBM)として公知である。多数の種類のEBMが存在する。一般に、EBMは、対照的な誘電特性を有した複数の材料からなる異なるタイプの構成要素を含む。ここで、対照的な誘電特性とは、材料どうしの間の誘電特性の差が、所与の周波数帯域内の電磁波を回折させるのに充分な大きさであることを意味するものとして解釈される。一例によれば、EBMは、2つの材料からなるものであってもよく、第1材料は、空気と同様の誘電特性を有し、第2材料は、シリカガラスと同様の誘電特性を有している。言い換えれば、第1材料は、1に近い屈折率を有し、第2材料は、1.5に近い屈折率を有している。
【0031】
EBMの構成要素は、図5に関連して以下でより詳細に説明するように、1次元、2次元、または3次元内において、周期的パターンであるいは準周期的パターンで配置される。
【0032】
ここで、準周期的パターンとは、局所的には周期的であるけれども、長距離秩序を示さないパターンを意味するものとして解釈される。準周期的パターンは、1次元、2次元、または3次元で、実現することができる。一例として、準周期的パターンは、構成要素間隔の10倍未満の長さスケールでは周期的であり得るけれども、構成要素間隔の100倍を超える長さスケールでは周期的ではない。別の例として、準周期的パターンは、ペンローズタイルとすることができ、これは、非周期的なプロトタイルのセットによって生成された非周期的タイリングの一例を構成する。プロトタイルの非周期性は、タイリングのコピーをシフトしても元のタイリングとは決して一致しないことを意味する。ペンローズタイルは、反射対称性と、5回の回転対称性と、の両方を示すように構成することができる。ペンローズタイルは、非周期的であり、これは、並進対称性を有していないことを意味する。自己相似である場合には、同じパターンが、ますます大きなスケールで発生する。よって、タイリングは、「インフレーション」(または「デフレーション」)によって得ることができ、タイリングからのすべての有限のパッチは、無限に何度も発生する。これは、準結晶であり、すなわち、物理的な構造として実装されたペンローズタイルは、ブラッグ回折を起こし、その回折図は、5回対称性と、その基礎をなす長距離秩序と、の両方を呈する。
【0033】
EBM内の構成要素は、放射を減衰させる周波数を決定するサイズパラメータを有している。一例として、構成要素が、スラブである場合には、すなわち長方形の箱状の構成要素である場合には、サイズパラメータは、スラブの厚さである。別の例として、構成要素が、断面が円形のロッド状である場合には、サイズパラメータは、円形断面の直径である。適切な電磁バンドギャップを得るためには、サイズパラメータは、その周波数帯域内の電磁放射に関する空気中での波長を、2で割算した値に近接したものでなければならない。一例として、中心周波数を、周波数帯域の中央の周波数として定義すると、構成要素のサイズは、中心周波数での放射波長を2で割った値に、0.9~1.1の係数をかけた値とすることができる。このタイプのEBMは、また、フォトニック結晶とも称される。
【0034】
別の例によれば、EBMは、少なくとも2つのタイプの構成要素を含んでもよく、第1タイプの構成要素は、電気伝導性材料を含み、第2タイプの構成要素は、電気絶縁性材料を含む。第1タイプの構成要素は、銅またはアルミニウムなどの金属から形成されてもよく、あるいは、PTFEまたはFR-4などの非導電性材料に、金またはや銅などの導電性材料製の薄層をコーティングしたものであってもよい。第1タイプの構成要素は、また、カーボンナノ構造または導電性ポリマーなどの、金属と同程度の電気伝導率を有した材料から形成されてもよい。一例として、第1タイプの構成要素の電気伝導度は、10シーメンス/メートル(S/m)超とすることができる。好ましくは、第1タイプの構成要素の電気伝導度は10S/m超である。言い換えれば、第1タイプの構成要素の電気伝導度は、電磁放射が構成要素内に電流を誘導し得るほど充分に大きく、第2タイプの構成要素の電気伝導度は、第2タイプの構成要素内に電流を誘導し得ないほど充分に小さい。
【0035】
第2タイプの構成要素は、任意選択的に、非導電性ポリマー、真空、または空気、であってもよい。そのような非導電性タイプの構成要素の例は、また、FR-4 PCB材料、PTFE、プラスチック、ゴム、およびシリコーン、を含む。
【0036】
第2タイプの構成要素の物理的特性は、また、EBMを通過する電磁伝搬の減衰を得るために必要な寸法も、決定する。よって、第2タイプの材料が、空気とは異なるように選択された場合、第1タイプの構成要素の必要寸法が変化する。その結果、第1タイプおよび第2タイプの構成要素に関する材料選択を変えることによって、より小型のアンテナアレイを得ることができる。有利には、そのような選択から、小型化されたサイズのアンテナアレイを得てもよい。
【0037】
第1の例によれば、第1タイプの構成要素は、いくらかの間隔を有した周期的パターンで配置される。第1タイプの構成要素どうしの間のスペースは、第2タイプの構成要素を構成する。言い換えれば、第1タイプの構成要素は、第2タイプの構成要素と交互配置されている。第1タイプの構成要素と第2タイプの構成要素との交互配置は、1次元、2次元、または3次元、のいずれにおいても実現することができる。
【0038】
第1タイプの構成要素のサイズ、または、第2タイプの構成要素のサイズ、あるいは、両方の構成要素のサイズは、周波数帯域内の電磁放射に関する空気中での波長よりも小さい。一例として、中心周波数を、周波数帯域の中央の周波数として定義すると、構成要素のサイズは、中心周波数における電磁放射に関する空気中での波長の、1/10~1/50である。このタイプのメタマテリアルは、また、人工磁気導体(AMC)としても公知である。
【0039】
ここで、構成要素のサイズとは、放射が伝搬する方向における構成要素のサイズとして解釈される。一例として、断面が円形でありかつ電磁放射が水平面内を伝搬する鉛直方向ロッドを含む構成要素の場合、構成要素のサイズは、ロッドの断面の長さである。
【0040】
図2図3、および図4は、第1タイプの構成要素および第2タイプの構成要素を、AMC内に配置し得る態様の例を示している。図2に示すタイプのAMC200は、導電性基板上に導電性突起201を含む。突起201は、任意選択的に、誘電体材料内に封入されてもよい。図2の例では、導電性突起が、第1タイプの構成要素を構成し、突起どうしの間の空間でありかつ任意選択的に非導電性材料が充填される空間が、第2タイプの構成要素を構成する。突起201を、異なる形状で形成し得ることは、理解されよう。図2は、突起が正方形断面を有した一例を示しているけれども、突起は、また、円形や、楕円形や、長方形や、あるいはより一般的な形状の、断面形状を有するものとして形成されてもよい。
【0041】
別の例として、図3に示すタイプのAMC300は、キャビティ302が内部に形成された導電材料製のスラブ301からなる。キャビティは、空気によって充填されてもよいし、また、非導電性材料によって充填されてもよい。キャビティを、様々な形状で形成し得ることは、理解されよう。図3は、楕円断面形状の穴が形成された一例を示しているけれども、穴は、また、円形や、長方形や、あるいはより一般的な断面形状、を有して形成されてもよい。図3の例では、スラブ301が、第1タイプの構成要素を構成し、穴302が、第2タイプの構成要素を構成する。
【0042】
図4は、第3の例示的なタイプのAMC400を概略的に示しており、このタイプのAMC400は、任意選択的にロッドまたはスラブとされた、拡張された導電性部材401からなり、拡張された導電性部材401は、直前の層をなすロッドに対して角度を有しつつ層状で配置されたロッドを含んで、複数の層状で積層されている。図4の例では、ロッドが、第1タイプの構成要素を構成し、ロッドどうしの間のスペースが、第2タイプの構成要素を構成する。図4の例は、第1タイプの構成要素と第2タイプの構成要素との交互配置が3次元的に実現されているAMCを示している。
【0043】
再び図1を参照すると、アンテナアレイ100は、ベース層110の上面上に配置された、すなわちベース層上に配置される面を有した、プリント回路基板(PCB)層120をさらに含み、PCBのうちの、ベース層に対向した面上に配置された少なくとも1つのRF集積回路(IC)を含む。PCBは、1つまたは複数のRF ICから、PCBの反対側の面へと、RF信号を転送するための1つまたは複数のフィード121を、さらに含む。
【0044】
一例によれば、PCB層120のフィード121は、PCB層120の上面上に配置されたフィード層130内の対応する開口に対して接続された貫通穴であり、PCB層120の貫通穴は、マイクロストリップラインによって給電される。
【0045】
アンテナアレイは、また、PCBのうちの、1つまたは複数のRF ICとは反対側の面上に配置されたフィード層130を含み、フィード層は、フィード層のうちの、PCBとは反対側を向いた面上に配置された少なくとも1つの導波路を含む。各導波路は、このリッジ131自身に沿って電磁波を伝導させるリッジ131と、1つまたは複数のメタマテリアル構造132と、を含む。メタマテリアル構造は、導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。メタマテリアル構造は、上述したものなどの、EBMsである。
【0046】
有利には、フィード層内においてEBMsを使用することは、導波路からの損失と、隣接した導波路内のRF信号どうしの間の干渉と、を低減することができる。この結果、フィード層内にEBMを使用して配置することにより、より大きな信号雑音比を維持することができる。より有利には、フィード層が、1つまたは複数のメタマテリアル構造を有した導波路を含む場合には、PCB層120上のフィード121から導波路への転送部分において、高効率な結合を形成することができ、その結果、低損失をもたらし得る。さらに有利には、フィード121から導波路への高効率な結合は、スロット開口のところにおいて1/4波長短絡を使用しなくて済むため、よりコンパクトな設計が可能である。
【0047】
アンテナアレイは、フィード層の上面上に配置された放射層140をさらに含み、放射層は、RF信号を送信および/または受信するための複数の放射素子141を含む。
【0048】
一例として、放射層140の放射素子141は、放射層を貫通して延びるスロット開口であってもよい。スロット開口は、好ましくは長方形であるけれども、正方形や、円形や、あるいはより一般的な形状、などの他の形状も可能である。スロット開口は、好ましくは、放射層140のサイズと比較して小さいものであり、放射層140上において平行に配置されているけれども、他の配置も可能である。一例によれば、スロット開口のサイズは、8個~10個のスロット開口を放射層140上において一直線に配置し得るような、サイズである。別の例によれば、放射層の大部分にわたって延びる単一の大きなスロット開口が、使用される。
【0049】
別の例として、放射層の放射素子は、ボウタイアンテナであってもよい。第3の例として、放射層の放射素子は、パッチアンテナであってもよい。有利には、ボウタイアンテナおよびパッチアンテナの双方は、製造が容易である。
【0050】
放射素子の別の例は、磁電(ME)ダイポールアンテナであり、これについては、図7A図7B、および図7Cを参照されたい。MEダイポールは、電気ダイポールアンテナおよび等価な磁気ダイポールアンテナという2つの基本的な放射素子を組み合わせるという原理に基づいている。MEダイポールは、導電性キャビティによって囲まれた4つの導電性ピンを使用して実現することができ、ピンは、スロット開口を有する導電性表面上に配置される。このようなMEダイポールアンテナは、例えば従来のフライス加工技術などを使用して、容易に製造することができる。さらに、キャビティベースのMEダイポールアンテナは、広帯域幅でありながら低損失である。
【0051】
放射時には、フィード層130から来る電磁エネルギは、スロット730を介して放射素子に対して結合される。図7A図7B、および図7Cの例では、スロットは、セリフ書体の大文字「I」の形状、すなわちダンベル形状、を有している。例えば、長方形、ボウタイの形状、あるいは階段状、などの他の形状も可能であることは、理解されよう。スロットは、方向D2において延在するとともに、動作周波数における電磁放射の半波長に対応した延在方向長さを有している。スロット730は、限られた間隔で広い帯域幅にわたってフィード層130から放射素子へと結合されるエネルギを最大化するために採用される。
【0052】
図8A図8B、および図8Cは、例示的なフィード層130のうちの、図7A図7B、および図7Cにおける例示的なMEダイポールアンテナのための部分を、異なる角度で示している。例示的なフィード層部分は、図2における突起201と同様の突出ピン810を含む。また、この図は、導波リッジ820を示しており、スロットに関連した形状830は、スロット730の形状と一致するように配置されている。この一致は、限られた間隔で広い帯域幅にわたってフィード層130から放射素子へと結合されるエネルギを最大化するために採用される。突出ピン810は、フィード層において可能なメタマテリアル構造のほんの一例に過ぎず、本明細書において上述したように、他の多くのメタマテリアル構造が可能である。
【0053】
図7A図7B、および図7CのMEダイポールアンテナは、4つの導電性ピン710と、これらを囲むキャビティ壁720と、によって実現される。ピンは、導電面から延びる長さを有し、この長さは、動作周波数における電磁放射の波長の1/4に相当する。図7Aでは、4つのピンは、長方形の断面形状を有し、長方形の長辺は、方向D2に延び、短辺は、方向D1に延びている。第1対をなすピンは、スロットのうちの、長方形の短辺の延在方向と一致している異なる辺上に位置した2つのピンを含む。第2対をなすピンは、残りの2つのピンを含む。この2対をなすピンの表面は、D1方向に沿ってそれぞれ2つの電気ダイポールとして機能する。導電性ピンとキャビティ壁との間のギャップでありかつ方向D2に沿ったギャップと、4つのピンどうしの間のギャップでありかつ方向D2におけるギャップと、によって、3つの等価な磁気双極子が実現される。円形(図9A参照)や、楕円形や、三角形(図9B参照)や、あるいはより一般的な形状などの、ピンに関する他の断面形状も可能であることに、留意されたい。また、MEダイポールアンテナに任意の偶数のピンを設け得ること、すなわち、スロットのそれぞれ対応する側部上のピンを有した対をなすピンを設け得ることにも留意されたく、単一対をなすピンの例については、図10を参照されたい。
【0054】
好ましくは、放射層内の隣接したMEダイポールアンテナは、グレーティングローブを避けるために、動作周波数における電磁放射の半波長よりも小さな間隔を有するべきである。図11A図11B、および図11Cは、放射層140を構成し得る、MEダイポールアンテナからなる例示的なアレイを、異なる角度で示している。
【0055】
要約すると、図1は、周波数帯域内で動作するように構成されたアンテナアレイ100を示しており、このアンテナアレイは、ベース層に沿って伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されたメタマテリアル構造を有したベース層110を含む層状構造を有し、メタマテリアル構造は、複数の突出したポストを含んでいない。アンテナアレイ100は、また、ベース層110の上面上に配置されたPCB層120であり、このPCB層120のうちの、ベース層110に対向した面上に配置された少なくとも1つの無線周波数(RF)集積回路(IC)を含むPCB層120を含む。PCB層120は、1つまたは複数のRF ICから、PCB層120の反対側の面へと、RF信号を転送するための1つまたは複数のフィード121を、さらに含む。
【0056】
アンテナアレイは、PCB層120のうちの、1つまたは複数のRF ICとは反対側の面上に配置された少なくとも1つのフィード層130をさらに含み、フィード層は、フィード層のうちの、PCB層120とは反対側を向いた面上に配置された少なくとも1つの導波路を含む。各導波路は、このリッジ131自身に沿って電磁波を伝導させるリッジ131と、1つまたは複数のメタマテリアル構造132と、を含み、メタマテリアル構造は、導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されている。メタマテリアル構造は、複数の突出したポストを含んでいない。
【0057】
言い換えれば、本明細書では、メタマテリアル構造を含むアンテナアレイを開示しており、このアンテナアレイは、1つまたは複数のメタマテリアル構造が、導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されたEBMsを含み、EBMは、突出したポスト以外のタイプの構成要素を含む、ことを特徴とする。
【0058】
アンテナアレイは、また、少なくとも1つのフィード層130上に配置された放射層140を含み、放射層は、RF信号を送信および/または受信するための複数の放射素子141を含む。
【0059】
図6を参照すると、アンテナアレイ100は、また、PCB層120とフィード層130との間に配置されたフィルタ層150を含んでもよい。フィルタ層150は、RF信号をフィルタリングするように構成されている。一例によれば、フィルタ層150は、遮断周波数よりも大きな信号成分のみを伝送するように、そして、遮断周波数よりも小さな信号成分を除去するように、構成されている。別の例によれば、フィルタ層150は、下側の遮断周波数よりも大きくかつ上側の遮断周波数よりも小さな信号成分のみを伝送するように、構成されている。
【0060】
フィルタ層150は、少なくとも1つの導波路を含む。フィルタ層内の導波路は、1つまたは複数のメタマテリアル構造を含んでもよく、1つまたは複数のメタマテリアル構造は、導波路に沿った方向とは別の方向に伝搬する周波数帯域内の電磁放射を減衰させるように構成されたEBMsを含む。有利には、フィルタ層の導波路内に1つまたは複数のメタマテリアル構造を組み込むことにより、従来の導波路と比較して損失が低減されることとなるとともに、隣接した導波路どうしの間の干渉が防止されることとなる。
【0061】
全体として、この層状構造は、80GHz前後のEバンドにおける無線周波数信号などの高周波電磁信号の送受信のための効率的な手段を提供する。
【0062】
送信用の信号は、PCB層120の一方の面上に配置された1つまたは複数のRF ICによって生成される。その信号は、フィード121に伝導される。ベース層110上のメタマテリアル構造111は、このステップでの損失を低減する。フィード121を経由して、信号は、フィード層130へと進み、リッジ131に追従する。メタマテリアル構造132は、このステップの際に、損失と、隣接した導波路内の信号どうしの間の相互作用と、を低減する。その後、信号は、放射層140内の放射素子141を介して送信される。
【0063】
任意選択的に、フィルタ層150が含まれている場合には、信号は、フィード121からフィルタ層150へと通過し、そこで信号がフィルタリングされる。その後、信号は、フィード層130へと伝導され、放射層140内の放射素子を介して送信される。
【0064】
受信した信号は、放射層140内の放射素子を介して入力される。信号は、フィード層の導波路へと入り、PCB層120内のフィード121へと伝導される。フィードから、信号は、1つまたは複数のRF ICへと伝導される。これに代えて、フィルタ層150が含まれる場合には、信号は、PCB層120へと入る前に、フィルタ層150によってフィルタリングされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】