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特表2022-520737調理容器及びセラミックヒータを有する調理デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】調理容器及びセラミックヒータを有する調理デバイス
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20220325BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20220325BHJP
   F24C 7/06 20060101ALI20220325BHJP
   A47J 27/21 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
H05B3/10 A
F24C7/06 Z
A47J27/21 101V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544775
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020016927
(87)【国際公開番号】W WO2020163556
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】16/782,318
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/802,955
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591194034
【氏名又は名称】レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, ジーチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, デヴィッド, アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ジェリー, ウェイン
【テーマコード(参考)】
3K092
3L087
4B055
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA03
3K092QA05
3K092QB26
3K092QB45
3K092QB62
3K092RF11
3K092UA06
3K092VV21
3L087AA20
3L087AC13
3L087BB05
3L087BC01
3L087CA15
3L087CB02
3L087CC03
3L087DA11
4B055AA01
4B055BA63
4B055CD04
4B055DB02
4B055GB01
(57)【要約】
例示的な一実施形態による調理デバイスは、調理中に食品を保持するように構成された調理容器に接触するように位置する最上部表面を有するベースを含む。ベースは、セラミック基板と、セラミック基板の外部表面上の電気抵抗性トレースとを有するヒータを含む。ヒータは、調理容器を加熱して調理容器内の食品を加熱するために、電気抵抗性トレースに電流を印加することによって発生される熱をベースの最上部表面に供給するように位置する。一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、セラミック基板の外部表面に印刷された電気抵抗材料厚膜を含む。一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、ベースの最上部表面に向かって上向きに面するセラミック基板の最上部表面に位置する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理中に食品を保持するように構成された調理容器に接触するように位置する最上部表面を有するベースを備えた調理デバイスであって、
前記ベースは、セラミック基板と、前記セラミック基板の外部表面上の電気抵抗性トレースとを有するヒータを含み、前記ヒータは、前記調理容器を加熱して前記調理容器内の食品を加熱するために、前記電気抵抗性トレースに電流を印加することによって発生される熱を前記ベースの最上部表面に供給するように位置する、調理デバイス。
【請求項2】
前記電気抵抗性トレースは、前記セラミック基板の前記外部表面に印刷された電気抵抗材料厚膜を含む、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項3】
前記電気抵抗性トレースは、前記ベースの最上部表面に向かって上方に面する前記セラミック基板の最上部表面に位置する、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項4】
前記ヒータは、サーミスタを含み、前記サーミスタは、前記セラミック基板上に位置し、前記ヒータの制御回路と電気通信し、前記ヒータの温度に関するフィードバックを前記ヒータの前記制御回路に提供する、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項5】
前記サーミスタは、前記ベースの最上部表面とは反対側の前記セラミック基板の底部表面に位置する、請求項4に記載の調理デバイス。
【請求項6】
前記ベースは、前記ベースの最上部表面を形成する加熱板を含み、
前記加熱板は、前記ヒータと接触して、前記ヒータから前記ベースの最上部表面に熱を伝達し、前記調理容器を加熱して前記調理容器内の食品を加熱する、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項7】
前記加熱板は、前記調理容器の凹状の底部表面に接触するドーム状の最上部表面を含む、請求項6に記載の調理デバイス。
【請求項8】
前記セラミック基板は多角形状を有する、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項9】
前記セラミック基板は八角形である、請求項8に記載の調理デバイス。
【請求項10】
前記電気抵抗性トレースは、前記セラミック基板の前記外部表面を横切って蛇行パターンで延びる、請求項1に記載の調理デバイス。
【請求項11】
前記電気抵抗性トレースの蛇行パターンは、ほぼ円形の外周を有する、請求項10に記載の調理デバイス。
【請求項12】
ハウジングと、調理容器とを備えた調理デバイスであって、
前記ハウジングは、レセプタクルと、レセプタクルの底部に沿って位置するベースとを有し、
前記調理容器は、調理されるべき食品を収容するために容器内部に取り外しできるように位置決め可能であり、前記調理容器が前記レセプタクル内部に位置したときに、前記調理容器が前記ベースに接触し、
前記ベースは、ヒータを含み、前記ヒータは、セラミック基板と、前記セラミック基板の表面に印刷された電気抵抗材料厚膜とを有し、前記ヒータは、前記調理容器が前記レセプタクル内部に位置したときに、前記電気抵抗材料に電流を印加することによって発生される熱を前記調理容器に供給するように位置する、調理デバイス。
【請求項13】
前記電気抵抗材料は、前記レセプタクルに向かって上方に面する前記セラミック基板の最上部表面に位置する、請求項12に記載の調理デバイス。
【請求項14】
前記ヒータは、サーミスタを含み、前記サーミスタは、前記セラミック基板上に位置し、前記ヒータの制御回路と電気通信し、前記ヒータの温度に関するフィードバックを前記ヒータの前記制御回路に提供する、請求項12に記載の調理デバイス。
【請求項15】
前記サーミスタは、前記レセプタクルとは反対側の前記セラミック基板の底部表面に位置する、請求項14に記載の調理デバイス。
【請求項16】
前記ベースは、前記調理容器が前記レセプタクル内部に位置したときに前記調理容器と接触する前記ベースの最上部表面を形成する加熱板を含み、前記加熱板は、前記調理容器が前記レセプタクル内部に位置したときに、前記ヒータから前記調理容器に熱を伝達するために、前記ヒータと接触して位置する、請求項12に記載の調理デバイス。
【請求項17】
前記加熱板はドーム状の最上部表面を含み、前記調理容器は、前記調理容器が前記レセプタクル内部に位置したときに前記加熱板の前記ドーム状の最上部表面に接触する凹状の底部表面を含む、請求項16に記載の調理デバイス。
【請求項18】
前記セラミック基板は多角形状を有する、請求項12に記載の調理デバイス。
【請求項19】
前記セラミック基板は八角形である、請求項18に記載の調理デバイス。
【請求項20】
前記電気抵抗材料は、前記セラミック基板の前記表面を横切って蛇行パターンで延びる、請求項12に記載の調理デバイス。
【請求項21】
前記電気抵抗材料の前記蛇行パターンは、ほぼ円形の外周を有する、請求項20に記載の調理デバイス。
【請求項22】
調理デバイスと共に使用するヒータにおいて、
セラミック基板と、
前記セラミック基板の外面に印刷された電気抵抗性トレース厚膜であって、前記電気抵抗性トレースは、前記電気抵抗性トレースの第1端部から前記電気抵抗性トレースの第2端部まで、前記セラミック基板の外面を横切って蛇行パターンで延び、前記電気抵抗性トレースの前記蛇行パターンは、ほぼ円形の外周を有する、電気抵抗性トレース厚膜と、
前記電気抵抗性トレースの前記第1端部に電気的に接続された第1導電性トレースと、
前記電気抵抗性トレースの前記第2端部に電気的に接続された第2導電性トレースと、
を備え、
前記第1導電性トレース及び第2導電性トレースは、第1端子及び第2端子をそれぞれ形成し、前記第1端子及び第2端子は、前記第1導電性トレース及び第2導電性トレースと前記電気抵抗性トレースとによって形成される回路を完成するための第1電気接続及び第2電気接続を提供する、ヒータ。
【請求項23】
前記セラミック基板の前記外面上に、前記電気抵抗性トレースを電気的に絶縁する一つ又は複数のガラス層を更に備える、請求項22に記載のヒータ。
【請求項24】
前記電気抵抗性トレースが前記ヒータの温度に関するフィードバックを提供して前記ヒータの回路を制御するために位置する、前記セラミック基板の前記外面に対向する前記セラミック基板の第2外面に位置するサーミスタを更に備える、請求項22に記載のヒータ。
【請求項25】
前記セラミック基板は多角形状を有する、請求項22に記載のヒータ。
【請求項26】
前記セラミック基板は八角形である、請求項25に記載のヒータ。
【請求項27】
調理中に食品を保持する為の食品用レセプタクルと、内殻及び外殻と、ヒートパイプとを備える調理容器であって、
前記内殻の外側表面は、前記食品用レセプタクルを形成し、前記内殻の内側表面の一部分が、前記内殻と前記外殻との間に密封された容積を形成する外殻の内側表面の一部分から離間しており、
前記ヒートパイプは、前記内殻と前記外殻との間に密封された容積を通して熱を分配するための前記内殻と前記外殻との間に密封された容積内部に位置する、調理容器。
【請求項28】
前記内殻及び前記外殻の各々は、それぞれの底壁及びそれぞれの側壁を含み、前記内殻の前記底壁の一部分は、前記外殻の前記底壁の一部分から離間し、前記内殻の前記側壁の一部分は、前記外殻の前記側壁の一部分から離間し、前記密封された容積は、前記内殻および前記外殻の前記底壁の間、および前記内殻および前記外殻の前記側壁の間に延びる、請求項27に記載の調理容器。
【請求項29】
前記内殻の前記側壁は、前記内殻と前記外殻との間に密封された容積を密封する前記調理容器の上リムに沿って前記外殻の前記側壁と一体的に接合される、請求項28に記載の調理容器。
【請求項30】
前記ヒートパイプは、前記内殻および前記外殻の底壁の間の隙間、および前記内殻および前記外殻の側壁の間の隙間に位置し、前記外殻の前記底壁の外側表面で受けた熱を、前記内殻および前記外殻の前記底壁の間の隙間から、前記内殻および前記外殻の前記側壁の間の隙間に伝達させる、請求項28に記載の調理容器。
【請求項31】
前記ヒートパイプは、前記内殻の前記内側表面及び前記外殻の前記内側表面の少なくとも一方に位置するウィック構造を含む、請求項27に記載の調理容器。
【請求項32】
前記ウィック構造は、前記内殻の前記内側表面及び前記外殻の前記内側表面の少なくとも一方に焼結金属を含む、請求項31に記載の調理容器。
【請求項33】
前記ウィック構造は、前記内殻の前記内側表面及び前記外殻の前記内側表面の少なくとも一方にアーク溶射された金属を含む、請求項31に記載の調理容器。
【請求項34】
前記ウィック構造は、前記内殻の前記内側表面及び前記外殻の前記内側表面のうちの少なくとも一方に位置するメッシュを含む、請求項31に記載の調理容器。
【請求項35】
前記ウィック構造は、前記内殻の前記内側表面及び前記外殻の前記内側表面の少なくとも一方に沿って形成された溝を含む、請求項31に記載の調理容器。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
[0001][1.開示の分野]
【0002】
[0002]本開示は、一般に調理デバイスに関し、より詳細には、調理容器およびセラミックヒータを有する調理デバイスに関する。
【0003】
[0003][2. 関連技術の説明]
【0004】
[0004]炊飯器のような調理器具の製造業者は、加熱時間及び加熱効率を改善するために絶えず挑戦されている。たとえば、ほとんどのローエンドの炊飯器は、鋳造アルミニウム本体の内側に埋め込まれたステンレス鋼シースの内部にセラミックセメントを入れたニクロムワイヤのようなワイヤコイルヒータを利用する。これらのヒータは、ニクロム線に電流を流すことで熱を発生させる。これらのタイプのヒータは、電気絶縁材料及び比較的大きな金属部品によって提供される高い熱質量のために、長い暖機時間及び冷却時間に悩まされることが多い。さらに、ワイヤコイルヒータと共に使用される調理容器は、典型的には、比較的低い熱質量を有し、その結果、調理容器内の熱の分配が悪くなる。
【0005】
[0005]一部の高級炊飯器は、対流または熱伝導に頼る代わりに、誘導ヒータを用いて調理容器を直接温める。IHクッキングヒータは、金属コイルに電流を流して磁場を作る誘導加熱方式である。調理容器は、磁場内に位置して、調理容器内に電流を誘導し、次いで、熱を発生する。誘導加熱では、加熱温度は、磁場の強さを調節することによって制御することができ、これにより、短い暖機時間および冷却時間を達成することができる。しかしながら、誘導ヒータは、一般に、電気材料およびコンポーネントのコストのために高価であり、誘導ヒータの制御システムは、比較的複雑であり、結果として一般に高価である。
【0006】
[0006]従って、改善された熱効率を有するコスト的に有効な調理デバイスが望まれている。
【0007】
【概要】
【0008】
[0007]例示的な一実施形態による調理デバイスは、調理中に食品を保持するように構成された調理容器に接触するように位置する最上部表面を有するベースを含む。ベースは、セラミック基板と、セラミック基板の外部表面上の電気抵抗性トレースとを有するヒータを含む。ヒータは、調理容器を加熱して調理容器内の食品を加熱するために、電気抵抗性トレースに電流を印加することによって発生される熱をベースの最上部表面に供給するように位置する。一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、セラミック基板の外部表面に印刷された電気抵抗材料厚膜を含む。一部の実施態様において、電気抵抗性トレースは、ベースの最上部表面に向かって上向きに面するセラミック基板の最上部表面に位置する。
【0009】
[0008]実施形態は、ヒータが、セラミック基板上に位置し、ヒータの制御回路と電気通信するサーミスタを含み、ヒータの温度に関するフィードバックをヒータの制御回路に提供するものを含む。一部の実施態様において、サーミスタは、ベースの最上部表面から離れて面するセラミック基板の底部表面に位置する。
【0010】
[0009]実施形態は、ベースが、ベースの最上部表面を形成する加熱板を含むものを含む。加熱板は、ヒータと接触して位置し、ヒータからベースの最上部表面に熱を伝達し、調理容器を加熱して調理容器内の食品を加熱する。一部の実施態様において、加熱板は、調理容器の凹状底部表面に接触するドーム状の最上部表面を含む。
【0011】
[0010]実施形態は、セラミック基板が多角形を有するものを含む。一部の実施態様において、セラミック基板は、八角形の形状を有する。
【0012】
[0011]実施形態は、電気抵抗性トレースがセラミック基板の外部表面を横切って蛇行パターンで延びるものを含む。一部の実施形態では、電気抵抗性トレースの蛇行パターンは、ほぼ円形の外周を有する。
【0013】
[0012]別の例示的な実施形態による調理デバイスは、レセプタクルと、レセプタクルの底部に沿って位置するベースとを有するハウジングを含む。調理容器は、調理されるべき食品を収容するために、容器内に取り外し可能に位置決め可能である。調理容器は、調理容器がレセプタクル内に位置するときにベースに接触する。ベースは、セラミック基板と、セラミック基板の表面に印刷された電気抵抗材料厚膜とを有するヒータを含む。ヒータは、調理容器がレセプタクル内部に位置するときに、電気抵抗材料に電流を印加することによって発生された熱を調理容器に供給するように位置する。
【0014】
[0013]例示的な一実施形態による調理デバイスと共に使用するためのヒータは、セラミック基板と、セラミック基板の外面に印刷された電気抵抗性トレース厚膜とを含む。電気抵抗性トレースは、セラミック基板の外面を横切って電気抵抗性トレースの第1端部から電気抵抗性トレースの第2端部まで蛇行パターンで延びる。電気抵抗性トレースの蛇行パターンは、ほぼ円形の外周を有する。また、ヒータは、電気抵抗性トレースの第1端部に電気的に接続された第1導電性トレースと、電気抵抗性トレースの第2端部に電気的に接続された第2導電性トレースとを含む。第1導電性トレースおよび第2導電性トレースは、第1電気接続および第2電気接続をそれぞれ提供する第1端子および第2端子をそれぞれ形成し、これらが、第1導電性トレースおよび第2導電性トレースおよび電気抵抗性トレースによって形成される回路を完成する。一部の実施形態は、電気抵抗性トレースを電気的に絶縁する電気抵抗性トレースを覆う一つ又は複数のガラス層をセラミック基板の外面に含む。一部の実施形態は、ヒータの回路を制御するようヒータの温度に関するフィードバックを提供するために、電気抵抗性トレースが位置するセラミック基板の外面とは反対側のセラミック基板の第2外面に位置するサーミスタを含む。実施形態は、セラミック基板が多角形を有するものを含む。一部の実施態様において、セラミック基板は、八角形の形状を有する。
【0015】
[0014]例示的な一実施形態による調理容器は、調理中に食品を保持するための食品用レセプタクルを含む。調理容器は、内殻及び外殻を含む。内殻の外側表面は食品用レセプタクルを形成する。内殻の内側表面の一部分は、内殻と外殻との間に密封された容積を形成する外殻の内側表面の一部分から離間される。ヒートパイプは、内殻と外殻との間の密封された容積内に位置し、内殻と外殻との間の密封された容積を通して熱を分配する。
【0016】
[0015]実施形態は、内殻及び外殻の各々が、それぞれの底壁及びそれぞれの側壁を含むものを含む。内殻の底壁の一部分は、外殻の底壁の一部分から離間され、内殻の側壁の一部分は、密封容積が内殻及び外殻の底壁の間、及び内殻及び外殻の側壁の間に延びるように、外殻の側壁の一部分から離間される。一部の実施態様において、内殻の側壁は、内殻と外殻との間の密封された容積を密封する調理容器の上部リムに沿って外殻の側壁と一体的に結合される。一部の実施態様において、ヒートパイプは、内殻及び外殻の底壁の間の隙間、および内殻及び外殻の側壁の間の隙間に位置し、内殻及び外殻の底壁の間の隙間で受けた熱を、内殻及び外殻の底壁の間の隙間から内殻及び外殻の側壁の間の隙間に伝達する。
【0017】
[0016]実施形態は、ヒートパイプが、内殻の内側表面および外殻の内側表面のうちの少なくとも一方に位置するウィック構造を含むものを含む。一部の実施態様において、ウィック構造は、内殻の内側表面及び外殻の内側表面のうちの少なくとも一方に焼結金属を含む。一部の実施態様において、ウィック構造は、内殻の内側表面及び外殻の内側表面のうちの少なくとも一方にアーク溶射金属を含む。一部の実施形態では、ウィック構造は、内殻の内側表面および外殻の内側表面のうちの少なくとも一方に位置するメッシュを含む。一部の実施態様において、ウィック構造は、内殻の内側表面及び外殻の内側表面の少なくとも一方に沿って形成された溝を含む。
【0018】
[0017]別の例示的な実施形態による調理容器は、調理中に食品を収容するように構成された食品用レセプタクルを含む。調理容器は、内殻及び外殻を含む。内殻の外側表面は食品容器を形成する。内殻の内側表面の一部分は、内殻と外殻との間に密封された容積を形成する外殻の内側表面の一部分から離間される。作動流体は、内殻と外殻との間の密封された容積内に位置し、外殻の外側表面の一部分がヒータから熱を受け取る際に、内殻と外殻との間の密封された容積を通して熱を分配するのに十分である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0018]明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示の一部の態様を図示し、説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
[0019]
図1図1は、例示的な実施形態による調理デバイスの斜視図である。
図2図2は、例示的な実施形態による調理デバイスの概略図である。
図3図3は、例示的な実施形態による調理デバイスのヒータアセンブリの分解斜視図である。
図4図4は、図3に示すヒータアセンブリのヒータの最上部表面の上面図である。
図5図5は、図3に示すヒータアセンブリのヒータの底部表面の上面図である。
図6図6は、図4の6-6線に沿った、図4および図5に示すヒータの横断面図である。
図7図7は、別の例示的な実施形態によるヒータの最上部表面の平面図である。
図8図8は、例示的な実施形態によるヒートパイプを使用する調理デバイスの調理容器の横断面図である。
図9A図9Aは、ヒートパイプの例示的なウィック構造を示す、図8の9-9線に沿った、図8に示す調理デバイスの横断面図である。
図9B図9Bは、ヒートパイプの例示的なウィック構造を示す、図8の9-9線に沿った、図8に示す調理デバイスの横断面図である。
図9C図9Cは、ヒートパイプの例示的なウィック構造を示す、図8の9-9線に沿った、図8に示す調理デバイスの横断面図である。
【0020】
【詳細な説明】
【0021】
[0027]以下の説明では、添付の図面を参照し、同様の参照番号は同様の要素を表す。実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に記載される。他の実施形態を利用することができ、本開示の範囲から逸脱することなく、プロセス、電気的、および機械的な変更などを行うことができることを理解されたい。実施例は、単に可能性のある変形例の典型である。一部の実施形態の部分および特徴は、他の実施形態の部分および特徴に含まれてもよく、または他の実施形態の部分および特徴に置き換えられてもよい。したがって、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義される。
【0022】
[0028]次に、図面、特に図1を参照すると、例示的な一実施形態による調理デバイス100が示されている。例示の実施形態では、調理デバイス100は、炊飯器を含む。しかしながら、調理デバイス100は、圧力調理器、蒸気調理器などを含んでもよい。調理デバイス100は、ハウジング102と、調理容器120と、蓋105と、ヒータアセンブリ140と、ユーザインターフェース109とを含む。ハウジング102は、調理容器120を受け入れるレセプタクル103を有する上部分と、ヒータアセンブリ140が装着される下部分とを含む。図示された実施形態において、ヒータアセンブリ140は、ヒータアセンブリ140によって発生された熱が調理容器120を加熱するように、調理容器120がレセプタクル103内部に位置したときに、調理容器120がヒータアセンブリ140の最上部に接触して載置されるように、レセプタクル103の受入ベースを形成する。
【0023】
[0029]調理容器120は、一般に、米および水などの調理されるべき食品物質が収容される食品用レセプタクル121を有する容器(例えば、ボウル)である。すなわち、調理容器120の食品用レセプタクル121は、調理されている食品に直接接触してこれを保持する。調理容器120は、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウムまたは銅のような高い熱伝導率を有する金属から構成することができる。蓋105は、調理容器120のリム122の開口を覆う。蓋105は、好ましくは、蓋105を使用するときにユーザが保持する安全な表面を提供するために、低い熱伝導率を有する材料からなるハンドル107を含む。ユーザインターフェース109は、ハウジング102の前部分に設けられる。ユーザインターフェース109は、ユーザ入力を受け取るための1つまたは複数のボタン、ダイヤル、ノブなど、および/または調理デバイス100の機能および状態に関する情報をユーザに提供するためのディスプレイまたは表示灯を含むことができる。また、調理デバイス100は、調理デバイス100を外部電源114に接続するための電源コード112を含む。
【0024】
[0030]一実施形態において、使用中、調理容器120の食品用レセプタクル121は、調理するための水および米を保持し、ヒータ140は、水を沸騰させるために調理容器120に熱を伝達する。水が安定した沸騰に達すると、調理容器120の温度は、一般に安定したままとなる。一旦、調理容器120内の水の全てが米に吸収され、および/または蒸発されると、調理容器120の温度は上昇する傾向があり、これにより、ヒータアセンブリ140をオフにするか、または調理容器120内の食品を保温することを意図した低温加温サイクルに切り替えるかのいずれかの機構が、調理デバイス100内で作動する。
【0025】
[0031]図2を参照すると、例示的な実施形態による調理デバイス100の概略図が示されている。調理デバイス100は、ヒータ150および加熱板145を含むヒータアセンブリ140を含む。ヒータ150は、少なくとも1つの抵抗性トレース160が固定される基板152を含む。熱は、電源114によって供給される電流が抵抗性トレース160を通過するときに発生される。調理容器120がレセプタクル103内に配置されると、調理容器120は加熱板145に接触し、加熱板145の最上部に載る。加熱板145は、ヒータ150から調理容器120に熱を伝達するために、ヒータ150と接触するか、またはヒータ150に非常に近接して位置する。一部の実施態様において、ヒータ150と加熱板145との間に熱グリースを加えて、ヒータ150と加熱板145との間の物理的接触及び熱移動を容易にする。一部の実施態様において、隙間充填剤(例えば、シリコン隙間充填剤)又はパッド(例えば、グラファイト隙間パッド)を、ヒータ150と加熱板145との間に位置し、ヒータ150と加熱板145との間の熱移動を容易にする。加熱板145は、たとえば、鍛造アルミニウム等の熱伝導性の高い金属から構成される。
【0026】
[0032]調理デバイス100は、抵抗性トレース160に電流を供給する回路を選択的に開閉することによってヒータ150の温度を制御するように構成された制御回路115を含む。開ループまたは、好ましくは閉ループ制御を、所望に応じて利用することができる。図示の実施形態では、サーミスタなどの温度センサ170が基板152に結合され、ヒータ150の温度を検出し、制御回路115によるヒータ150の閉ループ制御を可能にする。制御回路115は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、および/または他の形態の集積回路を含むことができる。ユーザインターフェース109は、通信リンク110を介して制御回路115に通信可能に結合される。
【0027】
[0033]図2に示す実施形態では、制御回路115は、抵抗性トレース160の一端と電源114の第1端子114aとの間に接続されたスイッチ117を含む。スイッチ117は、たとえば、機械的スイッチ、電子スイッチ、リレー、または他のスイッチングデバイスであってもよい。抵抗性トレース160の他端は、電源114の第2端子114bに接続される。ヒータ150の温度は、基板152と接触して保持された温度センサ170によって基板152の温度を測定し、温度センサ170からの温度情報を制御回路115に送ることによって制御され、制御回路は、温度情報に基づいてスイッチ117を制御して抵抗性トレース160に選択的に電力を供給する。スイッチ117が閉じると、電流が抵抗性トレース160を通って流れ、ヒータ150から熱を発生する。スイッチ117が開かれると、ヒータ150からの発熱を一時停止または停止させるために抵抗性トレース160に電流は流れない。一部の実施形態において、制御回路115は、所望の温度範囲内でヒータ150によって発生される熱量の調整を可能にするために、抵抗性トレース160に送付される電力量を制御する電力制御ロジックおよび/または他の回路を含むことができる。たとえば、一部の実施態様において、ヒータ150の温度が低い(例えば、100℃未満の)場合、ヒータ150には50%の電力が供給され、次いで、ヒータ150の温度が上昇するにつれて、50%から100%まで徐々にステップアップされる。
【0028】
[0034]図3は、例示的な一実施形態による、加熱板145およびヒータ150を含むヒータアセンブリ140を示す。図4は、ヒータ150の上面図を示し、図5は、ヒータ150の底面図を示す。図示された例示的な実施形態では、加熱板145は、ドーム状の上部表面147を有する円形ディスクとして形成される(説明のために誇張された縮尺で図2にも示されている)。一実施形態では、加熱板145は、約162mmの直径、約5mmの厚みを有する中央部分、および約1mmの厚みを有する周縁を有する。他の実施形態では、加熱板145は、加熱板145がヒータ150からの熱を調理容器120の底部表面を横切って広がるるように配置される限り、他の形状を有してもよい。加熱板145の熱伝導性および相対的な薄さは、比較的低い熱質量をもたらし、これは、加熱板145、ひいては調理容器120を加熱および冷却するのに必要な時間の量を減少させる。
【0029】
[0035]ヒータ150は、酸化アルミニウム(例えば、市販の96%酸化アルミニウムセラミック)などのセラミックなどから構成される基板152を含む。以下、基板152をセラミック基板152と称する。一部の実施態様において、ヒータ150は、セラミック基板152の一つ又は複数の層を含むことができる。ヒータ150がセラミック基板152の単一層を含む場合、セラミック基板152の厚さは、たとえば、1.0mmのような0.5mm~1.5mmの範囲でもよい。ヒータ150がセラミック基板152の複数の層を含む場合、各層は、たとえば、0635mmのような0.5mm~1.0mmの範囲の厚さを有することができる。図示の実施形態では、セラミック基板152は、約147mmの内径dを有する八角形の形状である。しかしながら、セラミック基板152は、用途に応じて、例えば円形、六角形、正方形などの他の適切な形状をとることができる。一般に、図示された八角形形状は、たとえば、円形形状よりも確実に商業ベースで製造することが容易である。
【0030】
[0036]セラミック基板152は、加熱板145に面する最上部表面152aと、最上部表面152aの反対側の底部表面152bとを含む。図示の実施形態では、抵抗性トレース160は、セラミック基板152の最上部表面152a上に位置する。抵抗性トレース160は、第1端部160aおよび第2端部160bを含む。この実施形態では、一対の導電性トレース162a、162bも最上部表面152a上に位置する。導電性トレース162a、162bは、抵抗性トレース160の第1端部160a及び第2端部160bにそれぞれ接続される。抵抗性トレース160は、たとえば、銀パラジウム(例えば、混合70/30銀パラジウム)などの適切な電気抵抗材料を含む。導電性トレース162a、162bは、たとえば、銀白金のような適切な導電材料を含む。図示の実施形態では、抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bは、厚膜印刷によってセラミック基板152に加えられる。たとえば、抵抗性トレース160は、セラミック基板152に加えられる場合、10-13ミクロンの厚みを有する抵抗ペーストを含むことができ、導電性トレース162a、162bは、セラミック基板152に加えられる場合、9-15ミクロンの厚みを有する導電ペーストを含むことができる。抵抗性トレース160は、ヒータ150の加熱素子を形成し、導電性トレース162a、162bは、抵抗性トレース160に電流を供給して熱を発生させるために、抵抗性トレース160への電気接続を提供する。
【0031】
[0037]例示の実施形態では、抵抗性トレース160は、セラミック基板152の最上部表面152aに沿って第1端部160aから第2端部160bまで延びる蛇行パターンを辿る。この実施形態では、抵抗性トレース160によって形成される蛇行パターンは、ほぼ円形の外周161を有する。導電性トレース162a、162bは、各々が、ヒータ150のそれぞれの端子163a、163bを形成する。ケーブルまたはワイヤ165a、165bは、抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bを、たとえば、制御回路115および電源114に電気的に接続するために、それぞれの端子163a、163bに接続され、抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bによって形成される回路を選択的に閉じて熱を発生させる。導電性トレース162aは、抵抗性トレース160の第1端部160aと直接接触し、導電性トレース162bは、抵抗性トレース160の第2端部160bと直接接触する。導電性トレース162a、162bは、両方とも、図示された例示的な実施形態では、セラミック基板152の縁157から延びるセラミック基板152の延長部155に沿って延びるが、導電性トレース162a、162bは、必要に応じて、セラミック基板152上の他の適切な場所に位置してもよい。図4の導電性トレース162a、162bの下に隠れている抵抗性トレース160の第1端部160aおよび第2端部160bの部分は、点線で示されている。この実施形態では、たとえば端子163aにおいて導電性トレース162aを介してヒータ150に入力された電流は、抵抗性トレース160及び導電性トレース162bの順に通過し、端子163bにおいてヒータ150から出力される。端子163bにおけるヒータ150への電流入力は、同じ経路に沿って逆方向に進む。
【0032】
[0038]一部の実施形態では、ヒータ150は、サーミスタ170とも呼ばれる温度センサ170を含み、サーミスタ170は、ヒータ150の表面に近接して位置し、回路115を制御する為にヒータ150の温度に関するフィードバックを提供する。図示の実施形態では、サーミスタ170は、セラミック基板152の底部表面152bに位置する。図示された例示的な実施形態では、サーミスタ170は、セラミック基板152の底部表面152bに直接溶接される。また、この実施形態において、ヒータ150は、各々がサーミスタ170のそれぞれの端子に電気的に接続された一対の導電性トレース172a、172bも含む。各導電性トレース172a、172bは、セラミック基板152の縁158に隣接してそれぞれの端子173a、173bを形成する遠位端を有する。ヒータ150の閉ループ制御を提供するために、たとえば、制御回路115にサーミスタ170を電気的に接続するために、ケーブルまたはワイヤ175a、175bが端子173a、173bに接続される。図示の実施形態において、サーミスタ170は、セラミック基板152の底部表面152bの中央の場所に位置する。しかしながら、サーミスタ170およびその対応する導電性トレース172a、172bは、セラミック基板152の底部表面152b上の他の適切な場所に位置してもよい。
【0033】
[0039]一部の実施態様において、ヒータ150は、バイメタル熱遮断等の熱遮断(図示せず)も含むが、これは、セラミック基板152と接触し、抵抗性トレース160及び導電性トレース162a、162bによって形成された加熱回路と直列に接続され、所定量を超える温度の熱遮断による検出時に抵抗性トレース160及び導電性トレース162a、162bによって形成された加熱回路を開くことを可能にする。このようにして、熱遮断は、ヒータ150の過熱を防止することによって付加的な安全を提供する。
【0034】
[0040]図6は、図4の6-6線に沿ったヒータ150の横断面図である。示されるように、ヒータ150は、セラミック基板152上に形成された抵抗性トレース160及び導電性トレース162a、162bを含む。図6は、単一層のセラミック基板152を示す。しかしながら、セラミック基板152は、破線153によって示されるように複数の層を含んでもよい。図示の実施形態では、ヒータ150は、セラミック基板152の最上部表面152a上に印刷された一つ又は複数のガラス層156を含む。図示された実施形態では、ガラス層156は、抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bの一部を覆って、このような特徴を電気的に絶縁して、電気ショックまたはアーク放電を防止する。ガラス層156の境界は、図4に破線で示されている。この実施形態では、ガラス層156は、ガラス層156が加熱板145に面するヒータ150の最上部表面の大部分を形成するように、抵抗性トレース160およびセラミック基板152の隣接部分を覆う。ガラス層156の全体の厚みは、例えば、35-45ミクロンの範囲でもよい。
【0035】
[0041]図示の実施形態では、ヒータ150は、反りを最小限に抑えるために、セラミック基板152の底部表面152b上に一つ又は複数の印刷ガラス層159も含む。ガラス層159の境界は、図5に破線で示されている。この実施形態では、ガラス層159は、サーミスタ170および導電性トレース172a、172bの一部の部分を覆っていないなぜなら、このような特徴部に印加される(抵抗性トレース160に印加される電圧と比較して)比較的低い電圧は、電気ショックまたはアーク放電のリスクが低いからである。ガラス層159の全体の厚みは、たとえば、35-45ミクロンの範囲でもよい。
【0036】
[0042]電気絶縁を提供することに加えて、本開示のセラミックヒータをガラス層156,159で積層することにより、熱衝撃に対する抵抗が増大する。一部の実施態様において、ヒータ150は、熱衝撃抵抗を更に増加させるために、ヒータ150の周囲をファイバレーザスクライビングすることによって製作される。ファイバレーザスクライビングは、従来の二酸化炭素レーザスクライビングと比較して、分離された縁に沿った微小クラックが少ない、より均一な個片化表面を提供する傾向がある。
【0037】
[0043]ヒータ150は、厚膜印刷によって構成することができる。たとえば、一実施形態において、抵抗性トレース160は、焼成された(グリーン状態ではない)セラミック基板152上に印刷され、この実施形態は、スキージなどを用いて、パターン化されたメッシュスクリーンを介して、抵抗材料を含むペーストをセラミック基板152の最上部表面152aに選択的に加えることを含む。次に、印刷された抵抗器を室温でセラミック基板152上に定着させる。次いで、抵抗ペーストを乾燥させ、抵抗性トレース160を所定の位置に一時的に固定するために、印刷された抵抗を有するセラミック基板152を、例えば、約140-160℃で、合計約30分間加熱するが、これには、ピーク温度で約10-15分、ピーク温度から上昇および下降する残り時間が含まれる。次いで、一時的な抵抗性トレース160を有するセラミック基板152は、抵抗性トレース160を所定の位置に永久的に固定するために、たとえば、約850℃で、ピーク温度で約10分間及びピーク温度から上昇及び下降する残りの時間を含む合計約1時間加熱される。次いで、導電性トレース162a、162bがセラミック基板152の最上部表面152a上に印刷され、このセラミック基板は、抵抗材料と同様に、導体材料を含むペーストを選択的に加えることを含む。次いで、導電性トレース162a、162bを所定の位置に永久的に固定するために、印刷された抵抗器および導体を有するセラミック基板152を、それぞれの抵抗性トレース160に関して上述したのと同じ方法で、定着させ、乾燥させ、焼成する。次いで、最上部表面152a上のガラス層156は、抵抗体および導体と実質的に同じ方法で印刷され、ガラス層156を定着させ、ガラス層156を乾燥および焼成することを含む。一実施形態では、ガラス層156は、約810℃のピーク温度で焼成され、これは、抵抗器および導体より僅かに低い。サーミスタ170のための導電性トレース172a、172bは、導電性トレース162a、162bと実質的に同じ方法でセラミック基板152の底部表面152bに印刷され、ガラス層159は、ガラス層156と実質的に同じ方法でセラミック基板152の底部表面152bに印刷される。次に、サーミスタ170は、サーミスタ170の端子が導電性トレース172a、172bに直接溶接された状態で、仕上げ工程においてセラミック基板152に装着される。
【0038】
[0044]焼成セラミック基板152上の厚膜印刷抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bは、グリーン状態のセラミック上に印刷された抵抗性および導電性トレースを有するセラミックヒータと比較して、より均一な抵抗性および導電性トレースを提供する。抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bの改善された均一性は、加熱板145全体にわたってより均一な加熱、ならびにヒータ150のより予測可能な加熱を提供する。
【0039】
[0045]図3図5に示される例示的な実施形態は、八角形の形状を有するヒータ150を含むが、他の実施形態では、ヒータ150は、所望に応じて他の形態および形状を有してもよい。たとえば、図7を参照すると、ヒータ1150は、1つの例示的な実施形態に従って円形を有することができる。サーミスタ170は、図5に示される実施形態において抵抗性トレース160が位置する表面とは反対のセラミック基板152の表面上に配置されるが、サーミスタ170および/または、それに対応する導電性トレースは、抵抗性トレース160および導電性トレース162a、162bの位置決めを妨げない限り、抵抗性トレース160と同じ側に配置されてもよい。たとえば、図7において、サーミスタ1170は、抵抗性トレース160(例えば、セラミック基板1152の最上部表面1152a)と同じ表面上に位置する。一部の実施態様において、サーミスタ170の対応する導電性トレースは、セラミック基板1152の底部表面(最上部表面1152aの反対側)上に配置され、サーミスタ1170は、セラミック基板の最上部表面1152a上に位置する。この実施形態では、ヒータ150は、最上部表面1152a上のサーミスタ1170の端子を底部表面上の、対応する導電性トレースに電気的に接続するために、スルーホールとして形成されたビアを含むことができ、このスルーホールは、最上部表面1152aからセラミック基板1152の底部表面までセラミック基板1152を貫通して延びる導電性材料で実質的に充填されている。
【0040】
[0046]上述の例示的な実施形態は網羅的なものではなく、本開示のヒータは、セラミック基板152上の多くの異なるパターンおよび場所に抵抗性および導電性トレースを含むことができるが、これには、一つ又は複数のセラミック基板152の外部表面(最上部表面および/または底部表面)および/またはセラミック基板152の中間表面上の抵抗性トレースを含むことが理解されよう。他の構成要素(例えば、サーミスタ)は、抵抗性トレースと同じ表面上または反対側の表面上を含む、所望に応じてヒータの最上部表面または底部表面のいずれかに位置することができる。
【0041】
[0047]図8は、例示的な一実施形態による、ヒータアセンブリ140と共に使用するのに適した調理容器120を示す。図示の実施形態では、調理容器120は、内殻125及び外殻130を含む。内殻125の外側表面125bは、調理容器120の食品用レセプタクル121を形成する。内殻125及び外殻130は、二重壁容器を形成するために隙間129によって分離された対応する側壁126、131及び対応する底壁127、132を有する。この実施形態では、外殻130の底壁132は、加熱板145のドーム状の上面147と実質的に一致するわずかに凹んだ外部表面130bを有する。調理容器120の底壁132の凹状外側表面132bに接触するドーム状上部表面147を有する加熱板145の使用は、加熱板またはヒータの平坦な最上部表面に接触する平坦な底部表面を有する調理容器と比較して、加熱中の調理容器120の底壁130の湾曲を低減するのに役立つ。これは、次に、加熱板145の上部表面147が伝熱のために調理容器120の底壁130の外側表面130bとの一貫した接触を維持するのを助ける。内殻125および外殻130は、例えば、リム122において一体的に接合または溶接され、隙間129を含む内殻125と外殻130との間に密封された空間を形成する。一部の実施態様において、密閉された容積は、部分真空などの大気圧に対して減圧下で形成される。
【0042】
[0048]例示の実施形態では、側壁126、131間および底壁127、132間を含む、内殻125と外殻130との間にヒートパイプ134が設けられている。図示の実施形態では、内殻125および外殻130の対応する内側表面125a、130aは、水などの比較的少量の作動流体を含むウィック構造135で裏打ちされている。ウィック構造135は、以下に説明するように、密封された容積内の作動流体の毛管作用を可能にする材料から構成することができる。図9A図9Cにおいて、調理容器120と共に使用するための様々な例示的な芯構造が示されている。図9A図9Cの各々は、図8の9-9線に沿って切断した調理容器120の横断面図である。図9Aに示す実施形態では、ウィック構造は、内殻125および外殻130の内側表面125a、130a上に設けられた銅またはアルミニウムなどの焼結またはアーク溶射金属135aを含む。図9Bに示す実施形態では、ウィック構造を形成するために、内殻125および外殻130の内側表面125a、130aのそれぞれにスクリーンまたはワイヤメッシュ135bが設けられる。図9Cに示される実施形態では、溝135cが、内殻125および外殻130の内側表面125a、130aのそれぞれに形成されて、ウィック構造を提供する。各溝135cは、それぞれの側壁126、131に沿って実質的に垂直に延び、それぞれの底壁127、132に沿って実質的に水平に連続してもよい。例示の実施形態は、一つ又は複数のウィック構造135および作動流体を含むヒートパイプ134を含むが、他の実施形態において、ヒートパイプ134は、内殻125と外殻130との間に含まれる作動流体(例えば、水)を含むが、ウィック構造は含まない。
【0043】
[0049]一実施形態では、使用中、作動流体は、加熱板145によって直接加熱される調理容器120の下部区域の近くまたは周囲の蒸発ゾーン180と、調理容器120の上部区域の周囲の凝縮ゾーン190との間で循環する。特に、調理容器120がヒータアセンブリ140によって(例えば、ヒータアセンブリ140から熱を受け取る外殻130の底壁130の外側表面130bによって)加熱されると、蒸発ゾーン180内の作動流体(例えば、調理容器120の下部区域内の、内殻125および外殻130の底壁127、132の間、ならびに内殻125および外殻130の側壁126、131の間のウィック構造135内の作動流体)は、熱183を吸収し、液体から蒸気138に状態変化する。下部(より高温の)区域と上部(より低温の)区域との間の圧力および温度差によって駆動され、蒸気138は、ウィック構造135間の隙間129に沿って蒸発ゾーン180から凝縮ゾーン190へ移動する。蒸気138が凝縮ゾーン190に到達すると、蒸気は凝縮して液体形態に戻り、調理容器120の上部区域の内殻125および外殻130を介して潜熱185を放出する。凝縮ゾーン190での凝縮された液体139は、毛管作用により、ウィック構造135を介して蒸発ゾーン180に戻る。蒸発及び凝縮サイクルが繰り返されると、熱は、熱源に近い位置から調理容器120の密封された容積の残りの部分(即ち、内殻125及び外殻130の底壁127、132間から内殻125、外殻130の側壁126、131間)に伝達され、その結果、調理容器120内部の温度均一性が改善される。
【0044】
[0050]本開示は、従来の調理装置のヒータと比較して低い熱質量を有するセラミックヒータを提供する。特に、セラミック基板上の厚膜印刷された抵抗性トレースは、従来のワイヤコイルヒータと比較して、熱質量を低減する。鍛造アルミニウムのような薄い加熱板の使用も、従来のワイヤコイルヒータの鋳造アルミニウム本体と比較して、熱質量を低減する。本開示のセラミックヒータの低熱質量により、一部の実施形態において、ヒータは、従来のワイヤコイルヒータ調理装置よりも著しく早く、数秒(例えば、5秒未満)で使用するための有効温度まで加熱することができる。本開示のセラミックヒータの低熱質量により、一部の実施形態において、ヒータは、使用後に安全な温度まで数秒(例えば、5秒未満)で冷却することができ、これもまた、従来のワイヤコイルヒータ調理装置よりも著しく早い。
【0045】
[0051]さらに、本開示の調理装置のヒータの実施形態は、比較的均一な厚膜印刷抵抗性および導電性トレースと組み合わせてサーミスタによって提供される閉ループ温度制御のために、従来の調理装置よりも正確で均一な温度で動作する。セラミックヒータの低い熱質量は、従来のワイヤコイルヒータと比較してより高いエネルギ効率を可能にする。また、改善された温度制御及び温度均一性は、本開示の調理装置の性能を改善する。このようにして、本開示の調理装置の実施形態は、従来の誘導加熱調理装置と比較して大幅に低コストであるが、誘導加熱調理装置に匹敵する高い熱効率およびエネルギ効率、ならびに高性能を達成する。
【0046】
[0052]本開示はさらに、セラミックヒータと共に使用するためのヒートパイプ調理容器を提供する。調理容器内のヒートパイプ構造は、従来のアルミニウムまたは銅の調理容器と比較して改善された熱伝導率を提供し、より均一な温度分布および効果的な熱伝達を可能にする。セラミックヒータの低い熱質量と組み合わされて、ヒートパイプ調理容器は、従来の調理装置と比較して改善された温度均一性を提供する。
【0047】
[0053]上述の例示的実施形態は、ヒートパイプ調理容器と共に使用されるセラミックヒータを含むが、本開示のセラミックヒータおよび調理容器は、異なる加熱および/または調理用途において互いに別々に使用されてもよいことが理解されよう。すなわち、本開示のセラミックヒータは従来の調理容器と共に使用することができ、本開示のヒートパイプ調理容器は従来のヒータと共に使用することができる。
【0048】
[0054]前述の説明は、本開示の様々な態様を示す。これは、網羅的なものではない。むしろ、当業者が本開示を利用することを可能にするために、本開示の原理およびその実際の適用を説明することが選択され、それには、当然に続く種々の改変が含まれる。全ての修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって決定される本開示の範囲内で意図される。比較的明らかな修正は、様々な実施形態の一つ又は複数の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせることを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
【国際調査報告】