(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】電磁把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
B25J15/06 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544878
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2020016463
(87)【国際公開番号】W WO2020160561
(87)【国際公開日】2020-08-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521339360
【氏名又は名称】シーイーエー イノベーションズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シェイクホレスラミ, セファー
(72)【発明者】
【氏名】メノン, カルロ
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS23
3C707CY34
3C707EV14
3C707EV22
3C707EW01
3C707FS06
3C707FT08
(57)【要約】
本発明では、電磁力により操作される弾性膜により把持動作が得られる装置が提供される。移動のために必要な把持力が穏やかに印加されるため、本発明により提供される把持力は、デリケートな物体に特に適する。これは、チャンバ、膜、膜に取り付けられたプランジャ、およびプランジャさらには膜を操作するように構成されたソレノイドを介して達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁把持装置であって、
導電性材料を有するソレノイドであって、電流が印加された際に電磁場を発生する、ソレノイドと、
変形可能な膜と、
前記変形可能な膜に取り付けられ、前記電磁場内に配置されたプランジャであって、さらに、前記電磁場と相互作用するように構成された、強磁性体、フェリ磁性体、または磁性材料を有する、プランジャと、
を有し、
前記プランジャは、前記電磁場内の変化に従って移動し、
前記プランジャの移動により、前記変形可能な膜も移動し、前記変形可能な膜が物体に隣接して配置された際に、把持力または引き付け力が提供される、電磁把持装置。
【請求項2】
さらに、チャンバを有し、
前記変形可能な膜は、前記チャンバに隣接して配置され、前記チャンバは、当該装置に構造的支持を提供するように構成される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項3】
前記ソレノイドに印加される前記電流に対する変化により、前記電磁場の力および方向が変化し、該変化により、前記電磁場内の前記プランジャの動きおよび位置が操作される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項4】
前記プランジャは、さらに、複数のプランジャを有し、前記複数のプランジャは、積層される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項5】
前記膜は、前記プランジャとは独立に、前記電磁場と相互作用するように構成された、強磁性体、フェリ磁性体、または磁性材料を有する、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項6】
さらに、前記膜は、可変の厚さを有し、
前記膜は、さらに、複数の異なる材料を有する、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項7】
さらに、前記ソレノイドと隣接して配置されたアダプタを有し、
前記膜は、前記アダプタに取り付けられ、
前記アダプタは、前記膜の変形を修正するように構成され、前記膜により提供される把持力または引き付け力が最大化される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項8】
さらに、前記チャンバ内に配置された複数のセンサを有し、
前記センサは、前記チャンバ内の圧力、前記チャンバ内の体積、前記ソレノイドの温度、および前記プランジャの位置を検出するように構成される、請求項2に記載の電磁把持装置。
【請求項9】
さらに、前記ソレノイドに隣接して配置され、前記ソレノイドの温度を低下するように構成された冷却システムを有する、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項10】
前記ソレノイドは、さらに、中空管を有し、
前記中空管を介して冷却体が流れ、前記ソレノイドの温度が低下する、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項11】
さらに、前記ソレノイド内に配置されたガイドを有し、
前記ガイドは、さらに、前記プランジャを受容するように構成された開口を有し、
前記プランジャは、前記ガイドとの相互作用の間、移動の方向を維持するように構成される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項12】
前記膜は、さらに、乾燥吸着を提供するように適合されたマイクロフィーチャ表面を有する、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項13】
前記膜は、さらに、静電吸着を提供するように適合された、少なくとも一つの導電性材料を有し、
前記膜を自己予備負荷させる引き付け力、前記膜を自己剥離させる抵抗力を提供するため、前記少なくとも一つの導電性材料に電圧が印加され、または前記膜を自己清浄化するため前記電圧が変更される、請求項1に記載の電磁把持装置。
【請求項14】
電磁把持装置であって、
チャンバと、
電磁場を発生するように構成されたソレノイドと、
前記チャンバに隣接して配置された変形可能な膜と、
前記変形可能な膜に取り付けられ、前記電磁場内に配置されたプランジャであって、前記電磁場と相互作用するように構成された、プランジャと、
を有し、
前記変形可能な膜の変形は、前記電磁場の操作を介して、前記プランジャの制御された配置を介して維持され、物体に吸引力が提供される、電磁把持装置。
【請求項15】
物体を電磁的に把持する方法であって、
物体に隣接して、変形可能な膜を配置するステップであって、前記変形可能な膜は、さらに、前記電磁波と相互作用するように構成されたプランジャを有する、ステップと、
前記変形可能な膜およびプランジャの外側に隣接して配置されたソレノイドを介して、前記電磁場を発生するステップと、
電流の変化を介して、前記電磁場を操作するステップと、
を有し、
前記変形可能な膜の変形は、前記電磁場の操作を介して、前記プランジャの前記制御された位置を介して維持され、
前記変形により、前記物体に対して把持力または引き付け力が印加される、方法。
【請求項16】
前記膜は、前記プランジャとは独立に、前記電磁場と相互作用するように構成された、強磁性体、フェリ磁性体、または磁性材料を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記ソレノイドに隣接して配置されたアダプタを有し、
前記膜は、前記アダプタに取り付けられ、
前記アダプタは、前記膜の変形を修正するように構成され、前記膜により提供される把持力または引き付け力が最大化される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月2日に出願された米国仮出願第62/799,870号の優先権を主張するものであり、この内容は参照として取り入れられている。
【0002】
本発明は、全般に、電磁把持装置に関し、特に、電磁力を用いて物体を把持し移動させるロボットマニピュレータのエンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0003】
自動製造工程の世界では、何百もの異なる自動化されたシステムが反復的なジョブを実行する。ロボットマニピュレータおよびロボット把持装置は、デリケートな物体の動きが必要とされる、最も望ましい自動化タスクの一つである。伝統的に、フレキシブルグリッパおよび剛性グリッパのようなロボット把持装置は、異なる作動システムを用いて開発され、自身の利点および欠点を有している。異なる物体を持ち上げる必要のため、フレキシブルな把持装置が必要となる。
【0004】
フレキシブルグリッパは、ほとんどの領域において、物体を取り扱うように設計されており、中には剛性グリッパが最良ではない場合が含まれる。より柔軟なグリッパの目標を達成するため、異なる形状および重量を有する物体を持ち上げ配置できる、多くのソフトグリッパが設計されている。これらのグリッパのいくつかには、作動のため、真空ポンプまたは空気圧縮機が必要となる。例えば、ある変形例では、吸引カップおよび真空を取り入れ、吸引力を介して物体が持ち上げられる。他の把持装置は、エラストマーで被覆された粒状材料で充填され、エラストマーは、被持ち上げ物体の周囲に形成され、内部空気が排気されて硬くなり、物体がピックアップされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術でも、異なるソフトグリッパが存在するが、それらは、多くの局面において制限される。従って、速度および信頼性を損なわずに、デリケートな物体を取り扱うソフトグリッパに対してニーズがある。例えば、工場内でトマトを持ち上げて配置し、これらを1つずつ整理された箱に収めることが必要となる。さらに、操作速度を犠牲にせずに作動させるため、高コストの真空システムを必要とせず、比較的重い物体をピックアップできる、内蔵式グリッパにもニーズがある。本発明は、これらのニーズを満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、速度および信頼性を損なうことなく、デリケートな物体を取り扱うように適合された、電磁把持装置が提供される。さらに、本発明は、内蔵式であり、追加のシステムを必要とせず、動作速度を低下させずに、比較的重い物体を把持するように適合されている。これは、変形可能な膜、該膜に取り付けられたプランジャ、および物体のまわりで、プランジャ、従って膜を操作するように構成されたソレノイドを介して達成される。これらの素子は、協働して、電磁力を用いて、またはより具体的には膜を変形させることにより、物体に対する把持を提供するように作動し、物体を持ち上げ移動させるために必要な把持力が提供される。
【0007】
本発明のこれらのおよび他の目的は、好適実施形態の以下の詳細な記載を読んだ後の当業者には明らかである。前述の一般的な記載および以下の詳細な説明は、例示的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の別の説明を提供することを意図することが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】単一のプランジャを有する本発明の正面断面図である。
【
図2】複数のプランジャを示す本発明の正面断面図である。
【
図3】複数の積層されたプランジャを示す本発明の正面断面図である。
【
図4】ソレノイド内に配置された膜を示す本発明の正面断面図である。
【
図5】開放端チャンバを示す本発明の正面断面図である。
【
図6】円錐小体形のチャンバを有する開放端チャンバを示す本発明の正面断面図である。
【
図7】加圧可能なラインに取り付けられた円錐小体形のチャンバを示す本発明の正面断面図である。
【
図9】厚さが変化する膜を示す本発明の正面断面図である。
【
図11】複数のセンサを示す本発明の正面断面図である。
【
図12】ソレノイドに隣接する冷却システムを示す本発明の正面断面図である。
【
図13】2つのソレノイドの間に配置された冷却システムを示す本発明の正面断面図である。
【
図14】ソレノイドに隣接する冷却プレートを示す本発明の正面断面図である。
【
図15】複数のソレノイドを示す本発明の正面断面図である。
【
図16】異なる構成のソレノイドを示す本発明の正面断面図である。
【
図17】把持された物体、および該物体と膜との間に形成された吸引部を示す本発明の正面断面図である。
【
図23】ロッドを用いてプランジャを誘導する本発明の断面図である。
【
図24】開放端を有し、ロッドを用いてプランジャを誘導する本発明の断面図である。
【
図25】ルーズ膜に取り付けられた大きなプランジャを示す本発明の断面図である。
【
図26】ガイド溝を有するルーズ膜に取り付けられた大きなプランジャを示す本発明の断面図である。
【
図27】物体と膜との間に形成された吸引部、および物体の周囲の膜の形成を示す、ランダム形状の物体を把持する本発明の断面図である。
【
図28】プランジャが膜に埋め込まれた小粒子の形態である本発明の断面図である。
【
図29】コネクタが示されている本発明の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について説明する。以降の記載では、これらの実施形態を十分に理解し、説明を可能にするための具体的な詳細が提供される。当業者には、本発明がそのような詳細を有さずに実施されてもよいことが理解される。別の例では、実施形態の説明が不必要に不明瞭になることを避けるため、良く知られた構造および機能は、詳細には示され説明されていない。
【0010】
文脈上明らかに別段の定めがない限り、明細書および特許請求の範囲を通じ、「comprise」、「comprising」等の用語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈される必要がある。すなわち、「有するが、これに限定されない」という意味である。単数または複数を用いる用語は、それぞれ、複数または単数を含む。
【0011】
また、本願において使用される場合、「ここで」、「上記」、「下記」および類似の意味を有する用語は、本願全体を表し、本願の特定の部分を表すものではない。請求項において、2または3以上の項目のリストを参照して「または」という用語を使用する場合、その用語は、以下の用語の全ての解釈を包含する:当該リストの中の任意の項目、当該リストの中の項目の全ての項目、および当該リストの中の項目の任意の組合せ。
【0012】
本発明は、チャンバ20と、該チャンバ20の周囲にコイル状に巻かれたソレノイド21と、変形可能膜31と、該変形可能膜31に取り付けられたプランジャ41とを有する。これらの構成部材は、各種構成で記載され、協働して作動し、物体91に対する把持が提供され、またはより具体的には、電磁力を介して膜30を変形させることにより、膜31は、物体91を持ち上げ移動させる上で必要な負圧(吸引)、および/または他の力を形成する。ソレノイド21とプランジャ41との間の電磁的相互作用は、膜31の動きを誘起し、その結果、物体91の周囲で膜31の変形が生じる。物体91の粗さおよびポロシティに応じて、物体91がさらに移動すると、物体91と膜31との間に吸引ポケットが形成され、本発明の把持ポテンシャルがさらに増加する。
【0013】
好ましい実施形態では、チャンバ20は、装置の構造支持を有し、これは略円柱状である。好適実施形態では、チャンバ20は、少なくとも1つの開放端を有する。あるいは、チャンバ20は、閉止端を有し、膜31とともにシールされたチャンバを形成してもよい。チャンバ20は、円柱状、矩形状、または円錐状など、任意の好適な形状であってもよい。別の実施形態では、複数のチャンバ20が接続され、協働して作動し、プランジャ41を移動させるために必要な力が提供されてもよい。チャンバ20は、アルミニウムまたは他の金属合金のような、耐久性がある弾力性材料を有する。あるいは、チャンバ20は、耐久性、弾力性がある非磁性材料で構成されてもよい。さらに別の実施形態では、複数のセンサが導入され、膜31、プランジャ41、物体91の位置、装置の温度、装置の圧力、および他の環境情報が検出される。
【0014】
ソレノイド21は、チャンバ20の周囲内または周囲に配置され、略螺旋状コイルの形状でチャンバ20の周囲に巻き付けられ、ソレノイド21に電流が印加された際に、磁場を発生するように適合された、導電性ワイヤを有する。ソレノイド21により生成される磁場は、ソレノイド21に隣接してまたはソレノイド21内に配置された、プランジャ41と相互作用するように適合される。磁場の強さは、用途によって変化し、本発明の設計基準は、用途に応じて変化してもよい。より具体的には、磁場の強度は、チャンバ20の周囲に巻き付けられるソレノイド21のワイヤの巻き数を増減させることにより、ソレノイド21におけるワイヤの直径および全長を増減させることにより、ソレノイドに印加される電流および/または電圧を増減させることにより、ソレノイドの内径もしくは外径を増減させることにより、またはソレノイド21に使用される材料を変えることにより、調整される。また、磁場の方向は、ソレノイド21に印加される電力の極性を変化させることにより、切り替えることができる。
【0015】
ソレノイド21は導電性であり、その導電性は、使用材料に依存する。ソレノイド21は、電力、効率、および適用のコストの必要性に応じて、銅、銀、金、または他の好適な導電性材料で構成されてもよい。また、ソレノイド21は、伸縮性で可撓性であってもよい(例えば、導電性ポリマー)。別の実施形態では、本発明は、直列、並列、または協働して作動するように適合された他の構成の、複数のソレノイド21を有し、プランジャ41と相互作用する単一の磁場を形成してもよい。例えば、複数のソレノイド21は、積層されてもよく、各々は、独立した端子セットを有し、それらは、個別に給電され、または直列もしくは並列に給電されてもよい。また、複数のソレノイドは、異なるワイヤ厚さを有し、各々は、異なる電流を要してもよく、さらに、相互に隣接して巻かれ、より制御された電磁場が提供されてもよい。図には略螺旋形状が示されているが、ソレノイド21の全体形状は、円柱状、円錐状、トロイダル状、螺旋状、またはプランジャ41と相互作用するように磁場が形成される、他の形状であってもよい。
【0016】
膜31は、実質的な把持を提供できる可撓性で耐久性のある基板を有し、ソレノイド21に隣接して配置される。膜31は、物体91と直接接触し、物体91の一部または全表面の周囲を変形するように適合される。より具体的には、膜31は、チャンバ20内を内側に移動する。ただし、チャンバ20内の膜31の動きは、用途に応じて変化し得る。好適な膜31材料には、ラテックス、シリコーン、ポリウレタン、ゲル、および他のポリマーまたは可撓性材料が含まれる。また、膜31は、円形、長方形、閉止端を有する円筒形、およびソレノイド21およびプランジャ41の形状に応じた他の任意の形状で製造できる。また、膜21は、一定のまたは可変の厚さを有し得る。最後に、膜31の表面は、滑らかであり、平滑な物体に良く追従でき、あるいは粗い表面を有する物体に対して構造化され、または、構造化された表面は、膜31が折り畳まれる方法および場所を決定でき、把持力および吸引力が最大化される。
【0017】
膜31は、該膜31により、物体91の近傍での変形の結果として作動する圧力を介して、物体91に直接的な把持力を提供する。また、膜31は、他の把持力を印加し、これには、摩擦、吸引、乾燥接着、電気接着、磁気接着、負圧、または膜31および物体91の機械的、化学的、もしくは核的性質により提供される他の形態が含まれる。乾性接着は、膜31の表面で生じるファンデルワールス力に基づく。電気ダイポール相互作用に基づくこれらのファンデルワールス力は、電気乾燥接着により増強できる。従って、電気乾燥接着では、持ち上げる対象の物体に電気力を行使することにより、膜の予荷重を高められる。この目的のため膜31に電極が埋設され、これに応じて電極が帯電され、予荷重が高められ、膜により物体に印加される圧力が抑制される。
【0018】
より具体的には、膜31は、その変形とは独立に、引力および/または斥力を提供するように特に設計されてもよい。ここで、膜31は、さらに、乾燥接着を提供するように適合されたマイクロフィーチャ表面と、静電接着を提供するように適合された少なくとも1つの導電性材料とを有する。導電性材料に電圧が印加され、前記マイクロフィーチャ表面を自己予備負荷させる引き付け力、前記マイクロフィーチャ表面を自己剥離する抵抗力が提供され、あるいは前記マイクロフィーチャ表面を自己洗浄化する前記電圧が交互に変化される。膜31は、導電性ポリマー、ゴムもしくはシリコーンゴム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、銀粒子、グラフェン、グラフェン、グラファイトのような、埋設された導電性粒子を有する、複合材ポリマー、ゴム、もしくはシリコーンゴム材料、または他の導電性材料と、1つの電極とを有してもよい。
【0019】
プランジャ41は、ソレノイド21により発生した磁場に反応するように適合された磁性材料または強磁性材料を有する。プランジャ41は、膜31に直接取り付けられ、従って、プランジャ41が移動すると、膜31も同様に移動する。より具体的には、ソレノイド21からプランジャ41に印加される磁力のパワーにより、膜31は、制御された位置に移動し、パワーおよび磁力が変化すると、プランジャ41の位置も同様に移動する。これにより、プランジャ41の制御された位置を介して物体が移動した際に、膜31の変形が維持される。例えば、物体が膜31の下方に配置される場合、ソレノイド21を介して送られる電流は、減少しまたは反転し、これにより、膜31が低下し、物体91と直接接触するようになり、その後、電流が増加すると、膜31が上昇し、摩擦、吸引、および他の力が生じ、物体91が把持され、持ち上げられる。
【0020】
好適実施形態では、プランジャ41は、膜31の中心に配置される。あるいは、プランジャ41は、用途に基づき、膜31の他の場所に配置することもでき、必ずしも中央に配置される必要はない。図面には、各種プランジャ41の形状が提供されているが、プランジャ41は、ソレノイド21により提供される磁場と相互作用する限り、矩形、円筒形、または他の形状のような、任意の好適な形状であってもよい。より具体的には、プランジャ41のサイズおよび形状は、プランジャ41に使用される材料および装置内のその位置とともに、プランジャ41と磁場との相互作用に直接影響を及ぼし、従って、プランジャのサイズ、形状、位置および材料は、全て、用途の仕様に基づいて選択される。別の実施形態では、複数のプランジャ41が膜31に取り付けられる。さらに別の実施形態では、プランジャ41は、膜31から絶縁される。さらに別の実施形態では、プランジャ41は、ドープされ、または膜31に組み合わされ、膜31は、プランジャ41を用いずに、ソレノイド21により直接操作される。さらに別の実施形態では、プランジャ41は、中空であり、凝集磁性材料で充填される。
【0021】
図19は、把持方法201を説明するフロー図である。まず、221で、ソレノイド21が活性化される。その結果、ソレノイド21の磁場のため、222でプランジャ41および/または膜31が活性化される。従って、223で物体91が把持される。
【0022】
図20に示す別の方法202では、膜31は、第1のステップ231において、物体91と直接接触する。第2のステップ232では、摩擦または電気的接着のような前述の膜の31の把持力により、物体91に把持力が提供される。次に、ソレノイド21が活性化され、摩擦および吸引のような、追加の把持力233が上昇または発生する。従って、234で物体91が把持される。
【0023】
図面には、本発明を実施する際に使用され得る各種実施形態を示す。
図1では、ソレノイド21、プランジャ41、および膜31が使用され、物体91が把持される。
図21には、物体を把持する方法のフロー
図203を示す。第1のステップ241では、物体91が移動し、その後、ステップ242に示すように、把持装置と接触する。次に、243でソレノイド21が活性化され、ソレノイド21との相互作用のため、プランジャ41が物体91から離れるように移動される。物体の粗さおよびポロシティに基づき、ソレノイド21によるプランジャ41の移動を介して、物体91と膜31との間にシールが形成され、吸引ポケットが形成される。把持装置100により物体91に印加される吸引ポケットおよび/または他の力を介して、244で膜31は、物体91を把持することができる。
【0024】
図22に示す別の実施形態には、物体91を把持する方法のフロー
図204が示されている。ここでは、251においてソレノイド21が物体91に向かって移動され、ステップ252では、把持装置が物体91に接触する。次に、253でソレノイド21が活性化され、膜31および/または吸引ポケットによる把持力により、254において物体91の把持が可能となる。
【0025】
さらに別の実施形態では、ソレノイド21は、プランジャ41を介した膜の変形を誘起する。別の実施形態では、プランジャ41は、ソレノイド21の軸に配置される。
【0026】
さらに別の実施形態では、
図1および18に示すように、把持装置100は、ソレノイド21、膜31、およびプランジャ41を有する。プランジャ41は、膜31の中心のそばまたは近傍に配置される。ソレノイド21および膜31は、異なる形状および材料を有するコネクタを介して、互いに接続され得る。このようなコネクタは、突出したまたは陥没した形状を有し得る。これを用いることで、膜31が被把持物体に対して適合することが容易化され得る。
図29には、コネクタ171が膜36に取り付けられた把持装置143の一例を示す。そのようなコネクタ171は、ソレノイド23またはチャンバ53またはグリッパの他の部分に固定することができる。
【0027】
より詳細には、
図1および
図18を参照すると、ソレノイド21は、特定の物体を持ち上げるように設計でき、従って、そのサイズは、被移動物体に基づいて設計され得る。この例では、ソレノイド21は、円柱状である。設計基準に応じて、ワイヤは、異なる巻数を有する異なる直径にすることができ、従って、ソレノイドの21の内径、外径、および全長が定められる。膜21は、エポキシのような任意の結合材料により、その端部にソレノイド21に隣接して取り付けられ、またはソレノイド21とすでに接触している場合、膜21が硬化され得る。
図1に示す膜21は、ソレノイド21の一端に取り付けられているが、これは、必ずしもソレノイド21の端部に接続される必要はない。換言すれば、これは、ソレノイド21の中央部に接続されても、あるいは2つのソレノイドの間に配置されてもよい。本実施形態におけるプランジャ41は、膜31に結合できる任意の材料を用いて、膜31に取り付けられる。また、プランジャ41は、膜31に埋設することもできる。ソレノイド21に対するプランジャ41の均等性は重要であり、持ち上げられる物体のサイズおよび重量に応じて選択される必要がある。
【0028】
次に、
図2を参照すると、把持装置101の別のバージョンが示されている。ここでは、ソレノイド21、膜31、およびプランジャ42は、膜31に付着された小粒子の形態である。また、プランジャ42は、膜31に埋設することもできる。例えば、膜31は、強磁性粒子または磁性粒子がドープされたポリマーで構成され得る。
図28には、粒子47が埋め込まれた膜35が示されている。
【0029】
次に、
図3を参照すると、把持装置108の別のバージョンが示されている。ここでは、ソレノイド23および膜31は、単一プランジャのスタックであるプランジャ43とともに存在する。任意の数のピースが相互に積層され、プランジャ43が形成され、従って、必要に応じてその全長は変化し得る。例えば、プランジャ43が磁化されている場合、その後より多くをスタックに加えることにより、ソレノイド23によりプランジャ43が引き寄せられ、または反発されるため、最終的な把持力を増加させることができる。従って、設計に大きな変更を加えることなく、持ち上げられる物体に基づいて、把持装置108の把持強度を増加または減少させることができる。
【0030】
図4に示す別の実施形態では、把持装置109は、設計仕様に応じて、ソレノイド25に直列または並列に接続されたソレノイド24を有する。この実施形態では、膜31は、2つのソレノイド24と25の間に配置される。膜31の配置は、物体91のより良い把持のため、プランジャ41を所望の位置に配置することを助長する。一般に、ソレノイド21に対するプランジャ41のサイズおよび配置は、必要な箇所で要求される把持強度を得るための重要な設計因子である。プランジャ41と相互作用するソレノイド24および25の磁場は、ソレノイド21の全体に対するプランジャ41の配置に応じて変化する。
【0031】
図5に示す別の実施形態では、把持装置102は、ソレノイド21が巻き付けられたチャンバ20を有する。このチャンバ20は、把持プロセスにより役立つような、異なる形態にできる。一例では、チャンバ51は、
図5に示すように、シリンダに取り付けられた半環状体(toroid)コイルの形態である。実際、把持装置の異なる形状は、薄膜32で物体のより多くの表面積を被覆することにより、物体の把持を容易にでき、物体をソレノイド21の軸に誘導することを助長する。また、チャンバ51は、底部に余剰の半環状体をもたらすことにより、従って、膜32の変位により、ソレノイド21に対するプランジャ41の位置を変えることができる。例えば、プランジャ41は、ソレノイド21から遠ざかるように配置され、より大きな力が必要とされる把持位置に、より強い磁場を形成できる。換言すれば、物体がソレノイド21に近づいた後、プランジャ41は、ソレノイド21におけるより強い磁場内に配置される。
【0032】
図6に示す別の実施形態では、円錐形のチャンバ52を有するグリッパ103があり、その周囲には、ソレノイド22が同じ形態で巻かれている。チャンバ52のこの円錐形状は、異なる利点を有し得る。例えば、物体が把持され、ソレノイド22の軸をさらに上方に移動すると、ソレノイド22の内径を小さくすることにより、把持力をさらに増加させることができる。ソレノイド22に対するプランジャ41の相対的なサイズに応じて、プランジャ41に影響を及ぼす磁力は増加する。この実施形態では、プランジャ41のサイズおよびソレノイド22は、変化していないが、プランジャ41がソレノイド22の軸をさらに上昇させると、プランジャ41からソレノイド22までの距離が短くされるためである。
【0033】
図7に示す別の実施形態では、把持装置104は、チャンバ53の周囲に巻かれたソレノイド22を有する。チャンバ53の一端は、加圧ガスまたは流体のラインに取り付けられる。この実施形態では、物体が把持される際に、プランジャ41が引き上げられ、あるいはソレノイド21により引き寄せられ、加圧ガスまたは流体がプランジャ41を押し離し、把持された物体がリリースできる。従って、物体は、チャンバ53内でよりタイトに、より強固に固定することができる。なぜなら、用途に応じて、加圧ガスまたは液体の力は、プランジャ41を反発させる上で十分に強いからである。
【0034】
図8に示す別の実施形態では、把持装置105は、ソレノイド23、膜32、およびプランジャ41を有する。この実施形態では、先端が切除された膜32が使用される。この形態の膜32により、物体をより柔軟にピックアップすることができる。例えば、膜32の表面積は、前述の実施形態と比較してより大きい。換言すれば、物体91が把持され、ソレノイド21内に移動されると、膜32の伸びは小さくなる。従って、物体91を保持するのにより小さな保磁力が要求され、またはプランジャ41をソレノイド21に保持する上で、より小さな磁力が必要となる。この実施形態において磁力の大部分は、プランジャ41をソレノイド23内に保持するために使用され、その結果、把持位置において物体91が保持される。理想的には、膜32の伸張によって生じる応力を補償するため、ゼロの力が使用される。
【0035】
図9に示す別の実施形態では、把持装置106は、ソレノイド23、膜33、およびプランジャ41で構成される。この例では、膜33は、可変厚さを有する。これを用いて、膜33の異なる領域における伸縮比がより良く制御される。換言すれば、膜33に加えられる応力が同じ場合、薄い領域は、厚い部分よりも伸びる。またこのアイデアは、
図17に示すように、物体91を把持するため、より良好な吸引を得ることを助長する。これは、別の実施形態において、より詳細に説明される。
【0036】
図10に示す別の実施形態では、把持装置107は、ソレノイド23、膜31、プランジャ41、チャンバ54、およびラッチ61で構成される。この構成では、ソレノイド23は、チャンバ54の周囲に巻かれ、チャンバ54は、ラッチ61を保持する一端に、ブラケットを有する。このラッチ61は、プランジャ41の引き付けが可能な、任意の装置の形態とすることができる。例えば、これは、強磁性材料または磁性材料で製造された固体ピースであってもよく、または活性化または不活性化してプランジャ41を引き付けることができる、ラッチ機構であってもよい。このラッチ61は、把持装置107の電力消費を低減することができる。物体が把持装置107により把持されると、ラッチも、ソレノイド23内で上方にプランジャ41を引き付け、保持することができ、従って、ソレノイド23により必要となる磁力が低減できる。
【0037】
別の実施形態では、プランジャ41は、ソレノイド23によって引っ張られ、その後ソレノイドパワーが非接続にされ、ラッチ61は、プランジャ41を把持したまま、保持する。次に、プランジャ41、さらには物体91をリリースするため、ソレノイド23の極性が反転され、物体91が押し出され、リリースできる。この例では、プランジャ41は、磁石であってもよく、従って、ソレノイド23の極性を反転することにより、これはソレノイド23内に押し出され、または引き出され得る。
【0038】
図11に示す別の実施形態では、把持装置110は、チャンバ55の周囲に巻き付けられたソレノイド23を有し、一組のセンサ71が導入される。例えば、これらのセンサ71を用いて、被把持物体91が検出され、圧力および温度のような環境属性が測定され、またはこれらは、別の装置のトリガとして機能する。これらのセンサは、赤外線または他の原理に基づいてもよい。
【0039】
コイル状のワイヤは、抵抗を有し、磁場を発生する。従って、これは、特に、連続的に活性にされると、高温になる場合がある。従って、より良い特性および長時間の使用のため、冷却装置を使用してソレノイドの温度が冷却され得る。
図12乃至
図14には、ソレノイド温度を低下させるため、把持装置に冷却装置が組み込まれた実施形態を示す。例えば、
図12には、ソレノイド23の周囲に巻き付けられた冷却装置81を有する把持装置111を示す。冷却装置81は、中空管の形態であってもよく、ソレノイド23から上昇した温度を除去するため、冷却液体または冷却ガスを通過させてもよい。また、冷却装置81は、導電性材料で構成され、第2のソレノイドとして機能し、並列または直列に、ソレノイド23に接続され得る。
【0040】
次に、
図13を参照すると、把持装置112は、冷却装置81の周囲に巻き付けられた別のソレノイド26をも有する。この実施形態では、冷却装置81は、ソレノイド23および26の両方を冷却する上、ソレノイド自体としても機能し、ソレノイド23および26と直列または並列に接続され得る。
図14に示す別の実施形態では、把持装置113は、冷却装置82を有し、これは、ソレノイド23を覆うシリンダである。この実施形態では、冷却装置82は、大きな表面積を有し、これは、液体冷却または空気冷却により、逸散できる。例えば、より良好な空気冷却のため、冷却装置82は、周囲のフィンと、上部のファンとを有し、フィン同士の間で冷えた空気を移動させ、他端から熱を除去することもできる。
【0041】
図15に示す別の実施形態では、把持装置114は、3つのソレノイド26~28を有する。チャンバ56は、ソレノイド26~28がその枝の周囲に巻き付けられるように構成される。例えば、ソレノイド26~28を使用して、プランジャ41の移動方向をより良好に制御することができる。設計仕様に応じて、ソレノイド26~28は、相互に全く異なっていてもよい。また、これらは、個々に制御器に接続され、あるいは直列または並列で相互に接続されてもよい。
図15には、3つのソレノイドが含まれているが、この数は、より多くても、少なくてもよく、これらの配置は、用途に応じて異なるように配置されてもよい。
【0042】
図16に示す別の実施形態では、把持装置115は、これがソレノイド29の周囲にプランジャ44を有するように示されている。この実施形態では、ソレノイド29の外側の磁場は、プランジャ44と相互作用して膜31を誘導し、把持力または引きつけ力が提供される。
【0043】
図17に示す別の実施形態では、把持装置116は、物体91を把持するように示されている。この実施形態では、ソレノイド23は、物体91よりもさらに高い位置にプランジャ41を引き寄せる。その結果、膜31と物体91との間に吸引が発生する。従って、膜31と物体91との間の表面テクスチャおよび摩擦により、物体91が把持されることに加えて、物体91と膜31との間に形成される吸引ポケットによっても、把持力が増加する。物体91は、必ずしも物体の周囲にある必要はなく、これは、異なる形状であってもよい。例えば、物体91が平坦な場合、形成される吸引は、把持強度に大きな影響を及ぼす。この実施形態における吸引は、物体91と膜31との間のポケットの、初期体積と最終体積との間の比によって引き起こされる。初期体積は、膜31が物体91に丁度接触する際の体積であると見なされる。そのような初期体積は、ゼロであり得る。最終体積は、
図17に示す吸引ポケットの体積である。
【0044】
さらに
図17を参照すると、より詳しくは、吸引強度は、設計寄与を変更することにより、上昇または低減させることもできる。例えば、ソレノイド21の磁場を減少または増加させ、プランジャ41を、それぞれ、下方または上方に配置することができ、従って、形成される吸引ポケットを減少または増加させることができる。別の例では、膜33は、
図9に示すように、可変厚さを有することができる。一例では、吸引ポケットが配置される部分において、膜33の厚さが高められる。この余剰の厚さにより、この部分において膜33の伸びが少なくなり、その結果、吸引ポケットを形成する体積比が変化する。従って、膜33は、円錐台形、平坦円形、それらの全ての組み合わせ、または他の任意の形状として、可変厚さを有するように形状化できる。換言すれば、膜33の異なる形状は、形成される吸引ポケットの増大および低減に影響を及ぼし得る。
【0045】
本発明の利点は、これに限定されるものではないが、その単純さ、速度、汎用性、サイズ、および多様な物体を持ち上げる能力を含み、物体には、デリケートな物体、異なる形状を有し、異なる材料および表面仕上げで構成された物体が含まれる。これは、その主作動はソレノイド21に基づくため、高速作動グリッパである。また、本発明は、吸引力を使用して物体を把持し、別個の真空ラインは必要ではない。また、設計により、機械的摩耗が最小限に抑制される。さらに、本装置は、工業用ロボットに容易に取り付けることができ、狭い空間内で動かすことができる。
【0046】
図23に示す別の実施形態では、把持装置117の別のバージョンが示されている。グリッパ117は、膜31に固定されたプランジャ41に取り付けられたロッド121を有する。プランジャ41およびロッド121は、単一の素子にすることができる。プランジャ41およびロッド121は、異なる形状および配向を有し得る。グリッパ117は、カバー131を有し得る。カバー131は、ロッド121の動きを制限する形状を有し得る。例えば、カバー131は、溝を有し、ロッド121をソレノイド21の軸の中心に誘導できる。カバー131は、単一のまたは複数の部品および材料で構成され得る。カバー131は、チャンバの一部であり、該チャンバは、膜31をシールし、ガスまたは流体をチャンバおよび膜31内に収容できる。
【0047】
図24に示す別の実施形態には、グリッパ118が示されており、カバー132は、孔を有し、コイル21内の空気が周囲圧力に暴露される。孔は、異なる形状を有し、または多孔質材料により代替されてもよい。
【0048】
図25に示す別の実施形態には、グリッパ119が示されている。プランジャ45は、異なるサイズおよび形状とすることができる。例えば、
図25に示されるプランジャ45は、細長い形状を有する。
図25に示すように、膜32は、緩められることに留意する必要がある。さらに、そのような緩い膜32では、容易に膜自体を物体の形状に適合できる。
図26に示すように、グリッパ141は、カバー131を有し得る。プランジャ45は、カバー131の溝の制限内で移動することができる。
【0049】
図27に示す別の実施形態には、物体92を把持するグリッパ142が示されている。物体92は、任意の形状および方向とすることができる。
図27に示すように、物体92の周囲には、膜34が形成されており、物体92と膜34との間には吸引キャビティ151が形成される。物体92および吸引キャビティ151の周囲に膜34を形成することにより、物体92の把持が助長される。前述のように、プランジャ41は、異なる形状を有することができる。
図27には、円錐形状のプランジャ46の一例を示す。
【0050】
広い態様では、本発明は、少なくともソレノイド21、少なくともプランジャ41、および少なくとも膜31で構成される。ソレノイド21、プランジャ41、および膜31の間の相互作用により、膜31に把持力または引き付け力が提供される。
【0051】
広い態様では、本発明は、少なくともソレノイド21、少なくともプランジャ41、および少なくとも膜31を用いて、物体91を把持する方法で構成される。
【0052】
上記説明は、ある素子、サイズ、および他の教示に関する特定の詳細を含んでいるが、本発明の実施形態、またはそれらの任意の組み合わせは、これらの特定の詳細を含まずに実施され得ることが理解される。具体的には、上記実施形態において、特定の材料および形状が規定されている場合でも、任意の好適な材料または形状が使用されてもよい。これらの詳細は、任意の実施形態の範囲に対する限定として解されるものではなく、現在の好ましい実施形態の単なる例示として解される必要がある。他の例では、本発明の細部を明確に説明するための、良く知られた構造、素子、および技術は示されていない。
【0053】
本発明の実施形態の前述の詳細な説明は、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を、前述の正確な形態、または本願に記載された特定の分野での使用に限定するものでもない。本発明の特定の実施形態および実施例が説明の目的で示されているが、当業者には明らかなように、本発明の範囲内で各種等価な変更が可能である。また、本願で提供される本発明の示唆は、他のシステムにも適用することができる。これは、必ずしも前述のシステムではなくてもよい。前述の各種実施形態の素子および動作が組み合わされ、さらに別の実施形態が提供されてもよい。
【0054】
前述の「詳細な説明」に照らして、本発明を変更することができる。前述の記載は、本発明の特定の実施形態を詳細に説明し、想定される最良の形態を記載するものであるが、本文中に前述の詳細が記載されていても、本発明は、多くの方法で実施することができる。従って、実施形態の詳細は、本願に開示の本発明により網羅される場合、相応に変化してもよい。前述のように、本発明の特定の特徴または態様を記載する際に使用される特定の用語は、該用語が関連する本発明の任意の特定の特性、特徴または態様に限定されるように、用語が再定義されることを意味するために採用されてはならない。
【0055】
以下、本発明の特定の態様が特定の請求項の形態で提示される。ただし、本願発明者は、請求項の形態の任意の数において、本発明の各種態様を想定する。従って、発明者は、本発明の他の態様のそのような追加請求項の形式を追求するため、出願後に請求項を追加する権利を留保する。
【国際調査報告】