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特表2022-520757ピストンコンプレッサ用のシリンダヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】ピストンコンプレッサ用のシリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20220325BHJP
【FI】
F04B39/12 D
F04B39/12 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545939
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2020052794
(87)【国際公開番号】W WO2020161153
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】A50091/2019
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】304033177
【氏名又は名称】ヘルビガー ウィーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hoerbiger Wien GmbH
【住所又は居所原語表記】Seestadtstrasse 25,AT-1220 Wien,Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ツェザク
(72)【発明者】
【氏名】パウル クノフェ
(72)【発明者】
【氏名】マークス エルトル
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003CD02
3H003CD07
(57)【要約】
ピストンコンプレッサ(3)、特にシリンダヘッド(1)における構造的な変更を実施する必要なしに、ピストンコンプレッサ(3)のできるだけ柔軟な配置を可能にする、ピストンコンプレッサ(3)用のシリンダヘッド(1)を提供するために、本発明によれば、吸込み接続部(14)および/または吐出し接続部(13)が、シリンダヘッド(1)において少なくとも2つの位置に調節可能に構成されていることが規定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンコンプレッサ(3)用のシリンダヘッド(1)であって、吸込みチャンバ(7)と、該吸込みチャンバ(7)から空間的に分離した吐出しチャンバ(6)とを備え、前記シリンダヘッド(1)に、前記吸込みチャンバ(7)に連通する、圧縮媒体(KM)を供給するための吸込み接続部(14)と、前記吐出しチャンバ(6)に連通する、圧縮された前記圧縮媒体(KM)を導出するための吐出し接続部(13)とが設けられている、シリンダヘッド(1)において、
前記吸込み接続部(14)および/または前記吐出し接続部(13)が、前記シリンダヘッド(1)において少なくとも2つの位置に調節可能に構成されていることを特徴とする、シリンダヘッド(1)。
【請求項2】
前記吸込みチャンバ(7)が、少なくとも部分的に前記吐出しチャンバ(6)の半径方向外側に配置されているか、または前記吐出しチャンバ(6)が、少なくとも部分的に前記吸込みチャンバ(7)の半径方向外側に配置されている、請求項1記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項3】
前記吸込みチャンバ(7)が、前記吐出しチャンバ(6)を少なくとも部分的に環状に取り囲んでいるか、または前記吐出しチャンバ(6)が、前記吸込みチャンバ(7)を少なくとも部分的に環状に取り囲んでいる、請求項2記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項4】
前記吸込み接続部(14)が、前記シリンダヘッド(1)の周面に半径方向外側に位置して設けられているか、または前記シリンダヘッド(1)の軸方向の第1のシリンダヘッド端部(ZE1)に設けられており、かつ/または、前記吐出し接続部(13)が、前記シリンダヘッド(1)の前記周面に半径方向外側に位置して設けられているか、または前記シリンダヘッド(1)の軸方向の第1のシリンダヘッド端部(ZE1)に設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項5】
前記シリンダヘッド(1)に、少なくとも1つの弁座プレート(8)が設けられており、該弁座プレート(8)が、前記吸込みチャンバ(7)および/または前記吐出しチャンバ(6)を軸方向の第2のシリンダヘッド端部(ZE2)において画定する、請求項1から4までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項6】
少なくとも前記吸込み接続部(14)が、吸込み装入部分(15)に設けられており、該吸込み装入部分(15)が、前記シリンダヘッド(1)内に調節可能に配置されており、かつ前記吸込みチャンバ(7)を少なくとも部分的に画定し、前記シリンダヘッド(1)に、前記吸込み接続部(14)の前記位置を調節するために、複数の開口(16)または周方向に延びる1つの開口(16)が設けられており、前記吸込み接続部(14)が、前記開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出する、請求項1から5までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項7】
前記吸込み装入部分(15)が、少なくとも部分的に環状に形成されており、前記吸込み接続部(14)が、半径方向で前記吸込み装入部分(15)の前記周面に配置されており、かつ前記複数の開口(16)または周方向に延びる前記開口(16)が、半径方向で前記シリンダヘッド(1)の前記周面に設けられており、前記吸込み接続部(14)が、前記開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出する、請求項6記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項8】
前記吸込み装入部分(15)が、少なくとも部分的に環状に形成されており、前記吸込み接続部(14)が、前記吸込み装入部分の端面に配置されており、前記複数の開口(16)または周方向に延びる前記開口(16)が、前記シリンダヘッド(1)の前記軸方向の第1のシリンダヘッド端部(ZE1)に設けられており、前記吸込み接続部(14)が、前記開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に軸方向外方に向かって貫通して突出する、請求項6記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項9】
前記吐出しチャンバ(6)が、環状に構成され、前記シリンダヘッド(1)に中心で内側に位置して配置されており、かつ前記吸込み装入部分(15)が、環状に形成され、前記吐出しチャンバ(6)の半径方向外側に配置されていて、前記吐出しチャンバ(6)を取り囲んでいる、請求項6から8までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項10】
前記吐出し接続部(13)が、吐出し装入部分に設けられており、該吐出し装入部分が、前記吐出しチャンバ(6)を部分的に画定し、前記シリンダヘッド(1)に、前記吐出し接続部(13)の前記位置を調節するために、複数の開口(16)が設けられており、前記吐出し装入部分の前記吐出し接続部(13)が、前記シリンダヘッド(1)の前記複数の開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出する、請求項6から9までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項11】
前記吐出し装入部分が、少なくとも部分的に環状に形成されており、前記吐出し接続部(13)が、前記吐出し装入部分の端面に配置されており、前記開口(16)が、前記シリンダヘッド(1)の前記軸方向の第1のシリンダヘッド端部(ZE1)に設けられており、前記吐出し接続部(13)が、前記開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に軸方向外方に向かって貫通して突出する、請求項10記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項12】
前記吐出し装入部分が、少なくとも部分的に環状に形成されており、前記吐出し接続部(13)が、半径方向で前記吐出し装入部分の周面に配置されており、前記開口(16)が、半径方向で前記シリンダヘッド(1)の前記周面に設けられており、前記吐出し接続部(13)が、前記複数の開口(16)のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出する、請求項10記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項13】
前記吸込み装入部分(15)および/または前記吐出し装入部分に、少なくとも1つの押圧エレメント(21)が設けられており、該押圧エレメント(21)が、前記吸込み装入部分(15)および/または前記吐出し装入部分を軸方向で前記弁座プレート(8)に対して緊締する、請求項6から12までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項14】
前記押圧エレメント(21)が、弾性的なOリングとして形成されており、該Oリングが、前記吸込み装入部分(15)および/または前記吐出し装入部分に、好適には環状の溝(23)内に配置されている、請求項13記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項15】
前記吸込み装入部分(15)および/または前記吐出し装入部分が、断熱性の材料、好適にはプラスチックから構成されている、請求項6から14までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項16】
コンプレッサケーシング(2)と、該コンプレッサケーシング(2)内に配置されたシリンダ(4)であって、ピストン(5)が内部で圧縮媒体(KM)を圧縮するために往復運動するシリンダ(4)と、前記コンプレッサケーシング(2)において前記シリンダ(4)に配置された、請求項1から15までのいずれか1項記載のシリンダヘッド(1)とを備えたピストンコンプレッサ(3)。
【請求項17】
前記シリンダヘッド(1)が、前記シリンダヘッド(1)の周面に配置されたクランプリング(17)により、前記ピストンコンプレッサ(3)の前記コンプレッサケーシング(2)に取り付けられている、請求項16記載のピストンコンプレッサ。
【請求項18】
前記クランプリング(17)が、周面に少なくとも1つの中断部(17a)を有しており、前記クランプリング(17)の、前記中断部(17a)内で互いに面した端部が、半径方向外方に向いた舌片(18)を有しており、該舌片(18)において、前記シリンダヘッド(1)を前記コンプレッサケーシング(2)に取り付けるために、前記クランプリング(17)が取付け装置(19)により緊締可能である、請求項17記載のピストンコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンコンプレッサ用のシリンダヘッドであって、吸込みチャンバと、この吸込みチャンバから空間的に分離した吐出しチャンバとを備え、シリンダヘッドに、吸込みチャンバに連通する、圧縮媒体を供給するための吸込み接続部と、吐出しチャンバに連通する、圧縮された圧縮媒体を導出するための吐出し接続部とが設けられている、シリンダヘッドに関する。さらに本発明は、コンプレッサケーシングと、このコンプレッサケーシング内に配置されたシリンダであって、シリンダ内においてピストンが圧縮媒体を圧縮するために往復運動する、シリンダと、コンプレッサケーシングにおいてシリンダに配置されたシリンダヘッドとを備えた、ピストンコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
ピストンコンプレッサは、種々異なる多数の使用分野において、たとえば、気体を圧縮するために、またはピストンポンプとして液体を圧送するためにも使用される。車両、特に、たとえば列車またはトラックのような大きな長さを有する車両では、通常、圧縮空気ブレーキシステムが使用される。この場合に、たとえば牽引車両において、周辺空気がピストンコンプレッサによって圧縮され、ブレーキシステムに供給される圧縮空気となる。次いで、それぞれホイールまたはアクスルにおいて、従来のディスクブレーキまたはドラムブレーキにより制動が行われる。制動のためのエネルギは、通常はばね等により提供され、圧縮された圧縮空気は、ブレーキをばね力に抗して開いた状態で保持する働きをする。これは、ブレーキは、安全上の理由から、たとえば漏れに基づいて圧力が過度に低い場合に、自動的に閉じることを意味している。圧縮空気ブレーキシステムは、通常、たとえば乗用車において使用されるようなハイドロリック式ブレーキシステムに対して、一方では、ハイドロリック液が不要であるという利点を有しており、これは特に長い車両において有利である。別の利点は、連結可能かつ切離し可能な貨車またはトレーラのブレーキに、たとえば牽引車両においてピストンコンプレッサにより形成された圧縮空気を同様に比較的に簡単に供給することができることである。圧縮空気の使用により、貨車またはトレーラの連結および切離し時にも、ハイドロリック液が流出することはない。圧縮空気の実質的に連続的な形成に基づいて、たとえば貨車またはトレーラの切離し時に起こり得るような、場合によっては生じる短時間の漏れは問題とならない。
【0003】
特に、トラックでは、牽引車両における構造空間は通常、著しく制限されている。これは、ピストンコンプレッサの配置を困難にする。ますます厳しくなる法規制により、コンプレッサがしばしば配置されているエンジンルームは、できるだけ小さな騒音放射が生じるように、大抵は封止されている。特に、ますます厳しくなる排ガス法規を遵守するためにも、たとえばSCR触媒、粒子フィルタ等のような、使用可能な構造空間をさらに制限する排ガス浄化装置が必要となる。したがって、製造者は、ピストンコンプレッサの配置に関して、できるだけ柔軟であるように努めている。しかし、従来のコンプレッサでは、このような柔軟性を不十分にしか達成することができない。なぜならば、コンプレッサの空間的な配置の変更には、通常、コンプレッサ全体またはコンプレッサの少なくとも複数の部分の構造的な変更、たとえば接続部の変更も伴うからである。これは、この変更が時間手間およびコストを増大させるので不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、ピストンコンプレッサと、ピストンコンプレッサ用のシリンダヘッドとを改良して、ピストンコンプレッサ、特にシリンダヘッドにおける構造的な変更を実施する必要なしに、ピストンコンプレッサのできるだけ柔軟な配置を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、吸込み接続部および/または吐出し接続部が、シリンダヘッドにおいて少なくとも2つの位置に調節可能に構成されており、好適には、吸込みチャンバが、少なくとも部分的に吐出しチャンバの半径方向外側に配置されているか、または、吐出しチャンバが、少なくとも部分的に吸込みチャンバの半径方向外側に配置されていることによって解決される。これにより、コンプレッサの配置に関する柔軟性が高まり、吸込み接続部および/または吐出し接続部へのアクセス性が改善される。
【0006】
有利には、吸込みチャンバが、吐出しチャンバを少なくとも部分的に環状に取り囲んでいるか、または、吐出しチャンバが、吸込みチャンバを少なくとも部分的に環状に取り囲んでおり、吸込み接続部が、好適にはシリンダヘッドの周囲に半径方向外側に位置して設けられているか、またはシリンダヘッドの軸方向の第1のシリンダヘッド端部に設けられており、かつ/または、吐出し接続部が、シリンダヘッドの周囲半径に半径方向外側に位置して設けられているか、またはシリンダヘッドの軸方向の第1のシリンダヘッド端部に設けられている。これにより、吸込み接続部および吐出し接続部の配置の柔軟性をさらに高めることができ、特にこれにより、シリンダヘッドにおける周方向での吸込み接続部および/または吐出し接続部の簡単な調節性を実現することができる。
【0007】
有利には、シリンダヘッドにおいて、少なくとも1つの弁座プレートが設けられている。この弁座プレートは、吸込みチャンバおよび/または吐出しチャンバを軸方向の第2のシリンダヘッド端部において画定する。
【0008】
1つの有利な構成によれば、少なくとも吸込み接続部が、吸込み装入部分に設けられており、この吸込み装入部分は、シリンダヘッド内に調節可能に配置されており、吸込みチャンバを少なくとも部分的に画定し、シリンダヘッドには、吸込み接続部の位置を調節するために、複数の開口または周方向に延びる1つの開口が設けられており、吸込み接続部が、複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出する。好適には、吸込み装入部分が、少なくとも部分的に環状に形成されており、吸込み接続部が、半径方向で吸込み装入部分の周面に配置されており、複数の開口または周方向に延びる開口が、半径方向でシリンダヘッドの周面に設けられており、吸込み接続部が、複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出する。しかし吸込み接続部が、吸込み装入部分の端面に配置されていてもよく、複数の開口が、シリンダヘッドの軸方向の第1の端部に設けられていてよく、吸込み接続部が、複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に軸方向で外方に向かって貫通して突出する。これにより、吸込み接続部の所望の配向に応じて、シリンダヘッドに対する吸込み装入部分の位置を変更することができ、これにより、吸込み接続部の極めて簡単な調節性が達成される。
【0009】
特に好適には、吐出しチャンバが、環状に構成され、シリンダヘッドに中心で内側に位置して配置されており、かつ吸込み装入部分が、環状に形成され、吸込み装入部分が、吐出しチャンバの半径方向外側に配置され、吐出しチャンバを取り囲んでいる。これにより、シリンダヘッドの周方向での吸込み接続部の調節性が達成され、吐出し接続部を実質的に軸方向で不変に設けることができる。
【0010】
本発明の有利な別の1つの構成によれば、吐出し接続部が、吐出し装入部分に設けられており、吐出し装入部分が、吐出しチャンバを部分的に画定し、シリンダヘッドに、吐出し接続部の位置を調節するために、複数の開口が設けられており、吐出し装入部分の吐出し接続部が、シリンダヘッドの複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出する。好適には、吐出し装入部分が、少なくとも部分的に環状に形成されており、吐出し接続部が、吐出し装入部分の端面に配置されており、複数の開口が、シリンダヘッドの軸方向の第1のシリンダヘッド端部に設けられており、吐出し接続部が、複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に軸方向外方に向かって貫通して突出するか、吐出し接続部が、半径方向で吐出し装入部分の周面に配置されており、複数の開口が、半径方向でシリンダヘッドの周面に設けられており、吐出し接続部が、複数の開口のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出する。これにより、吐出し接続部のためにも、吸込み接続部と同様に、簡単な調節性を達成することができる。吐出し接続部および開口の半径方向および/または軸方向の配向により、調節性の柔軟性を高めることができる。
【0011】
さらに、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分に、少なくとも1つの押圧エレメントが設けられており、この押圧エレメントが、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分を軸方向で弁座プレートに対して緊締し、押圧エレメントが、好適には弾性的なOリングとして形成されており、このOリングが、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分に、好適には環状の溝内に配置されていると有利である。これにより、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分と、シリンダヘッドとの間で軸方向のギャップが発生しないことが保証されており、これにより、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分と弁座プレートとの間の密閉性が改善される。弾性的なOリングとしての簡単な構成により、簡単な組付けも保証することができ、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分の全延在長さにわたる吸込み装入部分および/または吐出し装入部分のできるだけ均一な圧着が達成される。
【0012】
有利には、吸込み装入部分が、断熱性の材料、好適にはプラスチックから構成されている。これにより、吸い込まれた圧縮媒体の加熱が減り、これによりコンプレッサの供給量を高めることができる。
【0013】
シリンダヘッドが、シリンダヘッドの周面に配置されたクランプリングにより、ピストンコンプレッサのコンプレッサケーシングに取り付けられている場合、簡単な組付け可能性を達成することができ、この組付け可能性は、吸込み装入部分および/または吐出し装入部分の位置の迅速な変更を可能にし、クランプリングは好適には周面に少なくとも1つの中断部を有しており、クランプリングの、中断部内で互いに面した端部が、半径方向外方に向いた舌片を有しており、この舌片において、シリンダヘッドをコンプレッサケーシングに取り付けるために、クランプリングを取付け装置によって緊締可能である。
【0014】
本発明を以下に、本発明の有利な構成を例示的かつ概略的に、しかし制限しない形式で示している図1図3を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ピストンコンプレッサのコンプレッサケーシングに組み付けられたシリンダヘッドの断面図である。
図2】ピストンコンプレッサのコンプレッサケーシングに組み付けられた本発明に係るシリンダヘッドを示す図である
図3】調節可能な吸込み接続部および吐出し接続部を備えたシリンダヘッドの代替的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、シリンダヘッド1の有利な構成が、ピストンコンプレッサ3のコンプレッサケーシング2に組み付けられた状態で図示されている。ピストンコンプレッサの基本的な構造および作用形式は公知であるので、本明細書ではこれに関して詳細に言及しない。シリンダヘッド1は、公知の形式でシリンダ4の軸方向の端部において、コンプレッサケーシング2に配置されており、シリンダ4を軸方向で外方に向かって密閉する。シリンダ4内にはピストン5が可動に配置されており、ピストン5は、圧縮媒体を圧縮し、概略的に図示されたプッシュロッド25を介して、クランクシャフト(図示せず)により駆動される。クランクシャフトは、コンプレッサケーシング内に回転可能に支承されており、既知の形式で駆動トルクがクランクシャフトに導入される。この駆動トルクは、たとえばトラックの内燃機関、機関車の電動モータにより、または別の適切な形式で提供される。クランクシャフトおよびプッシュロッド25を介して、クランクシャフトの回転運動が、ピストン5の、実質的に並進的な往復運動に変換される。図示の例では、ピストンコンプレッサは空気圧縮機であり、圧縮媒体は周辺空気である。周辺空気は、当然ながら適切な装置(図示せず)により前処理することができ、たとえば濾過または除湿することができる。しかし、当然ながら別の圧縮媒体も考慮することができる。
【0017】
シリンダヘッド1は、吐出しチャンバ6と、この吐出しチャンバ6から空間的に分離した吸込みチャンバ7とを有している。吐出しチャンバは、本実施例では、実質的に環状の中心の吐出しチャンバ6として構成されている。吸込みチャンバ7は、本実施例では同様に環状に形成されており、吐出しチャンバ6の半径方向外側に位置しており、つまり実質的に吐出しチャンバ6を取り囲んでいる。シリンダヘッド1の軸方向の第2のシリンダヘッド端部ZE2において、シリンダヘッド1とコンプレッサケーシング2との間に、弁座プレート8が配置されている。この弁座プレート8には、吸込みチャンバ7に対応する吸込み開口9と、吐出しチャンバ6に対応する吐出し開口10とが設けられている。吸込み開口9と吐出し開口10とは、弁座プレート8をそれぞれ軸方向で貫通するので、シリンダは、吸込みチャンバ7と吐出しチャンバ6とに接続している。これにより、弁座プレート8は、吸込み弁SVおよび吐出し弁DVの弁座を形成する。吸込み開口9および吐出し開口10はそれぞれ、通常は圧力制御された弁エレメント11,12により開閉される。弁座プレート8は、たとえば、図1において示唆されているように、中央のねじ24によりシリンダヘッド1に取り付けることができ、吸込みチャンバ7および吐出しチャンバ6を、軸方向の第2のシリンダヘッド端部ZE2において軸方向で画定する。弁座プレート8の、シリンダ4に面した端面において、吸込み開口9にそれぞれ吸込み弁エレメント11が配置されており、弁座プレート8の、シリンダ4とは反対側の端面において、吐出し開口10にそれぞれ吐出し弁エレメント12が配置されている。吸込み弁SVと吐出し弁DVとは、本実施例では、ディスク弁(Lamellenventil)の形で構成されているが、当然ながら、たとえばばね操作式の逆止弁または輪形弁のような別の構成も可能である。調節または制御された弁が設けられることも可能であり、この場合、たとえばレシプロエンジンにおける場合と類似の、対応する弁制御装置が必要とされるだろう。吸込み弁SVおよび吐出し弁DVの構成の具体的な種類は、本発明にとって重要ではない。
【0018】
ピストン5が、弁座プレート8から離れる方向に(本実施例では下方に向かって)運動すると、シリンダ4内で負圧が生じ、これにより吸込み弁エレメント11が弁座プレート8から持ち上げられ、吐出し弁エレメント12が弁座プレート8に圧着される。これにより、吐出し開口10は閉じられ、吸込み開口9は開放される。これにより、圧縮媒体、本実施例では空気が周囲から、吸込みチャンバ7に連通する吸込み接続部14(図2を参照)を介して、吸込みチャンバ7内に吸い込まれ、吸込みチャンバ7から吸込み開口9を介してシリンダ4内へと流入する。ピストン5が再び弁座プレート8の方向に(本実施例では上方に向かって)運動すると、シリンダ4内の圧力状況が変化してシリンダ4内で正圧が生じ、これにより、吸込み弁エレメント11が弁座プレート8に圧着され、吸込み開口9が閉じる。圧縮媒体は、今、吐出し弁エレメント12が弁座プレート8から持ち上げられるまで、シリンダ4内で圧縮され、圧縮された圧縮媒体は、吐出し開口10を介して吐出しチャンバ6内へ、かつ次いでこの吐出しチャンバ6に接続している吐出し接続部13へと流れる。吐出し接続部13は、図示された実施例では、シリンダヘッド1の、シリンダ4とは反対側の軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に設けられている。
【0019】
吐出し弁DVが開放するシリンダ4内の圧力は、実質的に、吐出し弁DVの、達成すべき所望の圧力レベルに合わせて調整された構造的な構成に依存する。図示のディスク弁の場合、達成可能な圧力レベルは、たとえばディスクの剛性に依存しており、ディスクの剛性が高いほど、吐出し弁DVはより遅く開放し、圧縮された圧縮媒体の圧力は高くなる。制御または調節された弁が使用される場合、たとえば、吐出し弁DVが、ピストン5の規定されたストローク時に開放するか、またはシリンダ4内の規定された圧力に依存して開放することも可能である。しかし、このような圧力制御は、対応して駆動可能な弁を必要とし、これは、当然ながら手間の増加に結びついている。しかし、圧力制御は、たとえばピストンコンプレッサ3の外側の周辺圧力が大きく変動する場合に有意であることがあり、これはたとえば、車両が様々な高度において運転される場合であってよい。
【0020】
図示の例では、吐出し接続部13が、シリンダヘッドカバー1aに軸方向で配置されている。シリンダヘッドカバー1aは、たとえばねじ20のような取付けエレメントによって、シリンダヘッド1の軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に取り付けられている。吐出し接続部13から、圧縮された圧縮媒体KMを、たとえば蓄圧器(図示せず)に供給することができ、またはたとえば圧縮空気ブレーキ装置に供給するために、直接に使用することができる。吐出し接続部13の配向は、実質的にピストンコンプレッサにおける要求に合わせて調整されるので、吐出し接続部13は、半径方向外側でシリンダヘッド1の周面に設けられていてもよい。このためには、吐出しチャンバ6は、当然ながら対応してシリンダヘッド1に形成されていなければならない。吐出しチャンバ6は、たとえば、図1に示した実施例のように、必ずしも環状に中心に構成されていなくてもよい。たとえば、吐出しチャンバ6が、吸込みチャンバ7の半径方向外側に環状に配置されていてもよく、つまり吸込みチャンバ7と吐出しチャンバ6との図示されているものと実質的に反対の配置であってもよい。したがって、吐出し接続部13が、シリンダヘッド1の半径方向の周面に設けられていてもよく、または、吐出し接続部13が吐出しチャンバ6と連通するように、軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に設けられていてもよい。同様に、吸込みチャンバ7も吐出しチャンバ6も、少なくとも部分的に環状に構成されていてよく、半径方向外側でシリンダヘッドに配置されていてよい。
【0021】
たとえば、吸込みチャンバ7と吐出しチャンバ6とが、周方向で互いに隣接しており、図3において概略的に破線で図示されているように、それぞれシリンダヘッド1の周面の一部にわたって延びていてよい。吸込み接続部14(または複数の吸込み接続部14)および吐出し接続部13(または複数の吐出し接続部13)が、それぞれ半径方向でシリンダヘッド1の周面に配置されていてもよいし、または軸方向で、軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に配置されていてもよい。当然ながら、吸込み接続部14だけ、または吐出し接続部13だけが、半径方向に配置されており、それぞれ他方が軸方向に配置されていてもよいし、または両方とも軸方向に配置されていてもよい。つまり、本発明では、実質的に、たとえばピストンコンプレッサ3の予定された組込み位置のような予め規定された周辺条件に合わせて調整された、具体的な構造的な構成の多数の可能性があることが判る。本発明にとって重要であるのは、吐出し接続部13を備えた吐出しチャンバ6と、この吐出しチャンバ6から空間的に分離した、吸込み接続部14を備えた吸込みチャンバ7とが設けられていることである。
【0022】
ピストン圧縮機3の配置においてできるだけ柔軟であるために、本発明によれば、吸込み接続部14および/または吐出し接続部13が、シリンダヘッド1において少なくとも2つの位置で調節可能に構成されていることが規定されている。これにより、ピストンコンプレッサ3を、シリンダヘッド1における手間のかかる構造上の変更を実施する必要なしに、様々な組込み状況に極めて簡単に適合させることができる。簡単な構成では、図1に示すように、吐出し接続部13が、軸方向で軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に配置され、中央の環状の吐出しチャンバ6に連通している。これにより、吐出し接続部13は、実質的に不変であるだろう。当然ながら、吐出し接続部13は、シリンダヘッドカバー1aの正確な中心に配置されている必要はなく、当然ながら僅かに偏心して配置されていてよく、重要であるのは、吐出し接続部13が吐出しチャンバ6に接続されていることである。
【0023】
したがって、吸込み接続部14は、たとえば、少なくとも2つの吸込み接続部14が、たとえばシリンダヘッド1の外周面において半径方向に径方向で対向して設けられているように構成されていてよい。この調節性は、両吸込み接続部14が半径方向で吸込みチャンバ7に連通しているが、単に1つの吸込み接続部14が圧縮媒体KMを供給するためにその都度使用され、その都度他方の吸込み接続部14が閉じられていることによって実現される。閉鎖は、たとえば、適切な閉鎖プラグ26により行うことができ、この場合、たとえば適切な形式でねじ山が吸込み接続部14に設けられている。このような閉鎖プラグ26は、図3において例示的に、軸方向の吸込み接続部14と軸方向の吐出し接続部13のための分解図で図示されている。当然ながら、吸込み接続部14、吐出し接続部13および/またはそれぞれの閉鎖プラグ16にシールエレメント(図示せず)が設けられていてもよく、これは、特に吐出し接続部13における比較的高い圧力により、圧縮された圧縮媒体の漏れがないか、僅かな漏れしか許容しないようにするので有利である。ピストンコンプレッサ3の配置をさらに柔軟にするために、当然ながら2つよりも多くの吸込み接続部14を周面に設けることもでき、たとえば、図3に示唆されているように、互いに90°の角度だけ離間した4つの吸込み接続部14または複数の吐出し接続部13を設けることもできる。
【0024】
同様に、半径方向外側に位置する環状の吐出しチャンバ6および内側に位置する中央の吸込みチャンバ7を備えた反転したバリエーションも可能である。したがって、シリンダヘッド1の周面に複数の吐出し接続部13を配置することができ、好適には複数の吐出し接続部13のうち1つの吐出し接続部だけがその都度使用される。当然ながら、調節性は、吸込み接続部14または吐出し接続部13の一方に制限されておらず、図3に図示されているように、両方の接続部が調節可能であってよく、その際にシステムは同一のままである。吸込み接続部14および吐出し接続部13の延伸の方向も、軸方向および半径方向に制限されていない。シリンダヘッド1の適切な構造的な構成では、1つ以上の吸込み接続部14(または吐出し接続部13)が、たとえば、軸方向および半径方向に対して45°で延びることができる。
【0025】
図1および図2に示した本発明の特に有利な構成によれば、少なくとも吸込み接続部14が、吸込み装入部分15に設けられている。吸込み装入部分15は、吸込みチャンバ7を少なくとも部分的に画定する。吸込み装入部分15は、シリンダヘッド1に設けられた切欠き27内に配置され、吸込みチャンバ7を少なくとも部分的に形成する。吸込み装入部分15は、たとえば、実質的にU字形の横断面を有するリングとして構成されており、吸込み装入部分15の開いた端面が、弁座プレート8に軸方向で接触する。これにより、吸込みチャンバ7がU字形の横断面内に形成される。これにより、吸込み装入部分15は、周面にわたってシリンダヘッド1のハウジングに対して調節可能である。これにより、シリンダヘッド1の周面における吸込み接続部14の位置を、周面を介した吸込み装入部分15の調節により同様に調節することができる。シリンダヘッド1のハウジングに、吸込み接続部14の位置を調節するための複数の開口16が設けられていてよい。したがって、吸込み装入部分15は、吸込み接続部14が複数の開口16のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出するように、シリンダヘッド1内に配置することができる。図2による図示の実施例では、シリンダヘッド1の外周面に2つの開口16が設けられており、これらの開口16は、吸込み接続部14の位置を調節するために、規定された角度距離で互いに離間している。吸込み装入部分15は、本実施例では実質的に環状に形成されており、吸込み接続部14は、半径方向で吸込み装入部分15の周面に配置されている。吸込み装入部分15は、吸込み接続部14が所望の配向に応じて複数(本実施例では2つ)の開口16のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出するように、シリンダヘッド1内に配置することができる。
【0026】
同様に、1つの開口16が、シリンダヘッド1のハウジングの周面に設けられた長孔の形で周方向に延びることも可能である。これにより、吸込み接続部14の位置を開口16の領域において実質的に無段階に調節することができ、これは、吸込み接続部14のための特に柔軟な調節性を可能にする。
【0027】
これと同様に、開口16が、シリンダヘッド1の半径方向の周面の代わりに、軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に設けられており、吸込み接続部14が、吸込み装入部分15の、軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に面した軸方向の端面に配置されていることも、当然ながら可能である。したがって、吸込み装入部分15を、吸込み接続部14が所望の配向に応じてたとえばシリンダヘッドカバー1aの軸方向の端部に設けられた複数の開口16のうちの1つの開口を軸方向に貫通して突出するように、シリンダヘッド1に配置することができる。
【0028】
図2に示した有利な実施例では、吸込み装入部分15が実質的に環状に形成されており、内側に位置する中心の吐出しチャンバ6の半径方向外側に配置されている。したがって、吸込み装入部分15が、吐出しチャンバ6を実質的に完全に取り囲んでいる。吐出しチャンバ6は、本実施例ではシリンダヘッド1に直接組み込まれており、これは、吐出しチャンバ6の良好な密閉性が保証され、弁座プレート8を除いて付加的な密閉手段が必要とされないので、特に比較的高い圧縮圧力の場合に有利である。当然ながら、図1に示唆されているように、吸込み装入部分15のためにシールエレメントが設けられていてもよい。
【0029】
当然ながら、吸込み接続部14と同様に、吐出し接続部13のためにも同様の調節性を実現することができる。このために、吐出し接続部13を、吐出しチャンバ6を少なくとも部分的に画定する吐出し装入部分(図示せず)に設けることができる。したがって、吐出し装入部分は、やはりシリンダヘッド内で調節可能に配置されている。したがって、シリンダヘッド1には、吐出し接続部13の位置を調節するために複数の開口16が設けられており、この場合、吐出し装入部分は、吐出し接続部13が複数の開口16のうちの1つの開口を少なくとも部分的に外方に向かって貫通して突出するように、シリンダヘッド1内に配置されるだろう。たとえば、吐出し装入部分は、少なくとも部分的には環状に形成されていてよく、吐出し接続部13は、吐出し装入部分の、第1のシリンダヘッド端部ZE1に軸方向に面している端面に配置されていてよい。開口16は、シリンダヘッド1の軸方向の第1の端部(本実施例ではシリンダヘッドカバー1a)に設けられており、吐出し接続部13は、複数の開口16のうちの1つの開口を少なくとも部分的に軸方向で外方に向かって貫通して突出する。同様に、吐出し接続部13が、半径方向で吐出し装入部分の周面に配置されており、複数の開口は、半径方向でシリンダヘッド1の周面に設けられていてよい。したがって、吐出し装入部分は、図2で吸込み接続部14の例に示したように、吐出し接続部13が複数の開口16のうちの1つの開口を少なくとも部分的に半径方向外方に向かって貫通して突出するように、シリンダヘッド1内に配置されるだろう。
【0030】
吸込み接続部14には、たとえば、フィルタを介して車両の外側からたとえば空気を吸い込む吸込み管路(図示せず)を接続することができる。吐出し接続部13には吐出し管路(図示せず)を配置することができ、吐出し管路により、圧縮された圧縮媒体が、たとえば蓄圧器に供給される。吸込み装入部分15および/または吐出し装入部分は、たとえば、適切なプラスチックまたは金属材料、たとえば、アルミニウム、スチール等から製造することができる。当然ながら、吸込み装入部分15および/または吐出し装入部分を規定された使用条件に適合させるために、複数の材料、たとえば、種々異なる材料特性を有する複数のプラスチックの組み合わせも可能である。特に、吸込み装入部分15が、適切な断熱性のプラスチックから製造されていると有利である。これは、吸い込まれた圧縮媒体が、たとえば、吸込みチャンバ7内よりも通常は高い温度を有する隣接する吐出しチャンバ6またはシリンダ4によってあまり加熱されないという利点を有している。これにより、小さな加熱は、ピストンコンプレッサの供給量の向上をもたらし、つまり主にコンプレッサのより高い効率をもたらす。たとえば、吸込み装入部分15の、弁座プレート8に接触している区分は、密閉性を改善するために、比較的軟質の適切なプラスチックから構成されていてよく、吸込み装入部分15の残りの部分は、適切な強度特性を有する別のプラスチックから構成されていてよい。吸込み装入部分15および吐出し装入部分の製造のために、多数の既知のプロセス、たとえば、砂型鋳造、ダイキャストのような流込みプロセスまたは、3Dプリント、レーザー焼結などの生成プロセスを使用することができる。シリンダヘッド1およびコンプレッサケーシング2のためには、好適には、アルミニウムやスチールなどの金属材料が使用されるが、適切なプラスチックも同様に可能だろう。
【0031】
開口16の形は、実質的に任意に選択可能である。しかし、開口16の形は、いずれの場合も、吸込み接続部14および/または吐出し接続部13が通過するために十分なスペースが設けられているように選択することが望ましい。図示の例では、開口16は実質的に丸み付けされたコーナを有する方形に構成されており、組み付けを容易にするために、吸込み接続部14とシリンダヘッド1との間に、軸方向および周方向にある程度のギャップが設けられている。
【0032】
図2は、シリンダヘッド1をコンプレッサケーシング2に組み付けられた状態で示しており、シリンダヘッド1は、図示の例では、クランプリング17によってコンプレッサケーシング2に取り付けられている。クランプリング17は、周面に少なくとも1つの中断部17aを有しており、クランプリング17の、中断部17aにおいて互いに面した端部は、半径方向外方に向けられた舌片18を有しており、この舌片18において、シリンダヘッド1をコンプレッサケーシング2に取り付けるために、クランプリング17が取付け装置19によって緊締可能である。取付け装置19は、本実施例ではねじ結合部の形で形成されている。クランプリング17は、迅速かつ容易な組付けを可能にし、特に、吸込み接続部14および/または吐出し接続部13の迅速かつ容易な調節を可能にする。このためには、たとえば、吸込み装入部分15を周面にわたって調節することができるように、クランプリング17を緩める必要がある。その後に、クランプリング17を再び緊締することができる。さらに、クランプリング17は、シリンダヘッド1とコンプレッサケーシング2との間の十分に良好な密閉も保証する。当然ながら、シリンダヘッド1を異なるようにコンプレッサケーシング2に取り付けることもでき、たとえば、シリンダヘッド1とコンプレッサケーシング2とに互いに面したフランジが設けられていてよく、フランジにおいて周面に分配して、対応する孔を設けることができる。孔内には、フランジを軸方向でねじ締結するねじ結合部を配置することができる。当然ながら、密閉性を高めるために、シリンダヘッド1とコンプレッサケーシング2との間にシールエレメントやシール材料を設けることもできる。
【0033】
図1において確認可能であるように、吸込み装入部分15は、シリンダに面した側で弁座プレート8によって閉じられている。弁座プレート8と吸込み装入部分15との間で十分に良好な密閉を実現することができるように、吸込み装入部分15の、軸方向の第1のシリンダヘッド端部ZE1に面した端面に、少なくとも1つの押圧エレメント21が設けられていると有利である。シリンダヘッド1の組み付け時に、吸込み装入部分15は所望の位置にもたらされ、これにより、吸込み接続部14が所望の位置に位置して、たとえば複数の開口16のうちの1つの開口を通って突出し、クランプリング17によってコンプレッサケーシング2に緊締される。クランプリング17の緊締時に、シリンダヘッド1が構造的に対応して構成されている場合、シリンダヘッド1の切欠き27の、吸込み装入部分15とは軸方向で反対側に位置する面22から押圧エレメント21へと作用する軸方向の力が生じる(図1参照)。図示の例では、押圧エレメント21が弾性的なOリングとして構成されており、吸込み装入部分15に設けられた環状の溝23内に配置されている。面22からOリングに作用する軸方向の力により、Oリングは弾性変形して、吸込み装入部分15を実質的にばねと同様に弁座プレート8に対して押圧する。これにより、シリンダヘッド1と吸込み装入部分15との間、吸込み装入部分15と弁座プレート8との間に軸方向のギャップが発生せず、これにより、吸込み装入部分15と弁座プレート8との間の密閉性が改善される。当然ながら、押圧エレメント21の別の構成も可能であり、たとえば、個別のゴムエレメント、コイルばねあるいは皿ばねを押圧エレメント21として設けることもできる。吐出し接続部13のために吐出し装入部分が設けられている場合、吐出し装入部分に同様に少なくとも1つの押圧エレメント21が設けられていることが当然ながら有利である。吐出し装入部分または吸込み装入部分15が、環状とは構造的に異なって構成されている場合、押圧エレメント21の形状をそれぞれの装入部分の形状に適合させると、当然ながら有利である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】