(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】飲料分配システムの監視
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20220325BHJP
A47J 31/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
B67D1/04 Z
A47J31/00 307
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546871
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020053640
(87)【国際公開番号】W WO2020165277
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520297702
【氏名又は名称】カールスバーグ ブルワリーズ アグシャセルスガーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バッハ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,ローランド ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】カローリ,ルカ
【テーマコード(参考)】
3E082
4B104
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD05
3E082DD11
3E082FF07
4B104AA16
4B104BA02
4B104CA10
4B104CA30
4B104DA56
4B104EA21
(57)【要約】
接続可能な基部(14)および基部(14)に接続可能な飲料出口を有する圧潰可能な飲料容器(18)を収容し封入するための密閉内部空間(16)を画定する蓋(12)を備える1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッド(36)を備えるタッピング装置(34)と、前記基部(14)から前記タッピング装置まで延びるタッピングライン(28)であって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングライン(28)と、タッピングライン、密閉内部空間、基部、蓋、および/または圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの物理量を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置(56)であって、少なくとも10Hzのサンプリングレートを有するように構成された測定装置とを備える飲料分配システム(10)であって、測定装置からのデータを処理し、測定装置からのデータを連続的に分析することによってシステム内の事象を検出するように構成された飲料分配システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を分配するための飲料分配システムであって、
接続可能な基部と前記基部に接続可能な飲料出口を有する圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する蓋とを備える1つまたは複数の圧力チャンバと、
前記圧潰可能な飲料容器(複数可)から前記飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、
前記基部(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、
前記タッピングライン、前記密閉空間、前記基部、前記蓋および/または前記圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの物理量を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置であって、少なくとも10Hzのサンプリングレートを有するように構成された測定装置と
を備える飲料分配システムであって、
測定装置(複数可)からのデータを処理し、
前記測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによって、前記システム内の事象を検出する
ように構成された飲料分配システム。
【請求項2】
前記測定装置は、前記密閉内部空間内の圧力を監視するように構成された圧力センサを備える、請求項1に記載の飲料分配システム。
【請求項3】
前記測定装置は、前記タッピングライン内の圧力を監視するように構成された圧力センサを備える、請求項1または請求項2のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項4】
前記測定装置は、前記基部、前記蓋および/または前記圧潰可能な飲料容器の加速度/動きを監視するように構成された加速度センサを備える、請求項1~請求項3のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項5】
前記測定装置は、前記基部、前記蓋および/または前記圧潰可能な飲料容器からの音を監視するように構成された音声センサ、例えば、マイクロホンを備える、請求項1~請求項4のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項6】
前記測定装置(複数可)からのデータを処理および/または分析するように構成された処理ユニットを備える、請求項1~請求項5のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項7】
前記測定装置(複数可)からのデータを中央サーバおよび/またはクラウドサービスにアップロードするように構成される、請求項1~請求項6のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項8】
前記データは、中央サーバおよび/または前記クラウドサービスによって処理される、請求項1~請求項7のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項9】
前記事象は、1つのタッピングヘッドの動作、特定のタッピングヘッドの動作、前記タッピングライン内の飲料の流れ、特定の飲料ライン内の飲料の流れ、前記タッピングライン内のガスの流れ、特定の圧力チャンバの開放、加圧ユニットの動作、特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰、および特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰からなる群から選択される、請求項1~請求項8のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項10】
前記基部、前記蓋、前記タッピングライン、および/または前記対応する飲料容器に隣接する前記密閉内部空間の条件および/または状態の変化に関連付けられた測定物理量の変化を検出するように構成され、前記検出された変化は、前記飲料分配システムの事象の結果である、請求項1~請求項9のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項11】
前記事象の種類は、前記測定物理量の前記検出された変化に基づいて判定され得る、請求項10に記載の飲料分配システム。
【請求項12】
前記事象は、1つのタッピングヘッドの動作または特定のタッピングヘッドの動作である、請求項10または請求項11のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項13】
前記タッピングライン内および/または前記対応する飲料容器に隣接する前記密閉内部空間内の圧力変化を検出するように構成され、前記圧力変化は、特定のタッピングヘッドの動作と相関する、請求項1~請求項12のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項14】
前記タッピングライン内および/または前記対応する飲料容器に隣接する前記密閉内部空間内の圧力変化を連続的に測定し、前記測定された圧力の変化を検出し、前記変化が1つのタッピングヘッドの動作に起因すると見なすために前記変化を分析することによって、1つのタッピングヘッドの動作を検出するように構成される、請求項1~請求項13のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項15】
前記対応する飲料容器の圧潰の音を検出することによって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するように構成される、請求項1~請求項14のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項16】
前記タッピングライン内および/または前記内部空間内の圧力変化が特定のタッピングヘッドの動作に起因すると見なすことによって、前記システム内の飲料分配動作の注出体積を判定するように構成される、請求項13~請求項15のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項17】
1)前記タッピングライン内および/または前記対応する飲料容器に隣接する前記内部空間内の圧力変化を検出することによって、特定のタッピングヘッドの作動および停止を検出し、および2)前記タッピングヘッドの作動と停止との間の経過時間を判定するように構成される、請求項13~請求項16のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項18】
飲料分配中の前記タッピングライン内および/または前記密閉内部空間内の圧力変化を測定することによって、前記飲料分配中の飲料の流量を推定するように構成され、前記測定された圧力変化は、前記飲料流量と相関する、請求項13~請求項17のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項19】
前記測定された物理量の1秒以内の変化を検出するように構成される、請求項10~請求項18のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項20】
1つの圧潰可能な飲料容器の飲料タッピングごとの注出体積を判定し、前記飲料容器の初期飲料体積から前記注出体積を差し引くことによって、前記圧潰可能な飲料容器の残存体積を判定するように構成される、請求項17~請求項19のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項21】
特定の飲料容器の最終圧潰に関連する音を検出することによって、前記最終圧潰を検出するように構成される、請求項5~請求項20のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項22】
前記飲料容器の最終圧潰を検出することによって、特定の飲料容器が空になったことを判定するように構成される、請求項5~請求項21のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項23】
各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入する少なくとも2つの圧力チャンバを備える、請求項1~請求項22のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項24】
前記圧潰可能な飲料容器の前記飲料出口は、中間タッピングラインによって前記基部に接続され、前記測定装置は、前記中間タッピングラインの少なくとも1つの物理量を監視するように構成される、請求項1~請求項23のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項25】
前記測定装置は、少なくとも20Hz、好ましくは少なくとも50Hzのサンプリングレートを有するように構成される、請求項1~請求項24のいずれかに記載の飲料分配システム。
【請求項26】
飲料を分配するための飲料分配システムであり、
飲料を収容するための1つまたは複数のケグであって、飲料出口を備えるケグと、
前記飲料出口を通して前記ケグ(複数可)から前記飲料を押し出すように構成された圧力源と、
前記ケグ(複数可)から前記飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、
前記飲料出口から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、
前記タッピングラインの少なくとも1つの物理量を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置であって、少なくとも10Hzのサンプリングレートを有するように構成された測定装置と
を備える飲料分配システムであって、
前記測定装置(複数可)からのデータを処理し、
前記測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによって、前記システム内の事象を検出する
ように構成された飲料分配システム。
【請求項27】
接続可能な基部および蓋を備える1つまたは複数の圧力チャンバであって、各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、前記圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、前記圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムを監視する方法であって、
少なくとも10Hzのサンプリングレートを有する圧力センサを使用して、前記密閉内部空間内および/または前記タッピングライン内の圧力を連続的に測定するステップと、
圧力変化を検出するために圧力データを連続的に分析するステップと、
前記圧力変化(複数可)を前記飲料分配システム内の挙動または事象と相関させるステップと
を含む方法。
【請求項28】
1秒以内の圧力変化を検出することができる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
特定のタッピングヘッドの動作は、前記圧力変化に基づいて判定され得る、請求項27または請求項28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記蓋の状態の変化は、前記圧力変化に基づいて判定され得る、請求項27~請求項29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
飲料容器の空状態および/または圧潰は、前記タッピングラインに含まれる流体の圧力変化を分析することによって検出され得る、請求項27~請求項30のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムの特定の使用およびシステム内の挙動を自動的に検出するために使用され得る、飲料分配システムおよび飲料分配システムの監視のためのシステムならびに方法に関する。特に、本開示は、飲料分配システムから分配される飲料の分配体積の自動判定、さらに、そのことによるシステム内の飲料の残留内容物の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、本出願人によって製造されたDraughtMaster(登録商標)システムのような、業務用または個人用の従来の飲料分配システムは、例えば、国際公開第2007/019848号、国際公開第2007/019849号、国際公開第2007/019850号、国際公開第2007/019851号および国際公開第2007/019853号に記載されている。これにより、これらの出願の内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0003】
このような飲料分配システムは、主に炭酸飲料(例えば、ビール、ソーダ水、発砲水、発泡ぶどう酒など)だけでなく、他の種類の非炭酸飲料(例えば、牛乳、コーヒー、水、ジュースなど)を貯蔵し、分配するために使用される。これらのシステムでは、飲料は、通常は、例えば加圧された内容積のために、設置後に視認することができない使い捨ての圧潰可能な容器内に貯蔵される。したがって、飲料システムを最初に使用した後、どの時点においても飲料容器内にどれだけの飲料が残っているかは分からない。この種の閉鎖システムの利点は、操作者/支配人が内容物と直接接触することができず、そのため細菌または汚れが飲料を汚染する可能性がないので、閉鎖システムにより開封後の飲料製品の高い品質が持続的に保証されるということである。しかしながら、閉鎖システムの欠点は、飲料容器の残留内容物が常に分かるわけではないということであり、このことは、ユーザ(例えば、バーの支配人または内輪のパーティのホスト)にとって不都合である。なぜなら、ユーザは、飲料容器をいつ交換すべきかが分からないからである。したがって、好ましくは飲料との直接接触が回避されるように非接触方法を使用して、飲料分配システムの1つまたは複数の特性を自動的に監視する、または調査することが重要である。
【0004】
バーは、典型的には、実際のバーから離れた位置にある別の飲料容器(例えば、ケグ)に入れられた多くの異なる飲料を提供する。したがって、バーの支配人は、個々の飲料容器の体積レベルを調査することにより、確実に適時に新しいケグを注文し、顧客がケグ交換を待たなくても、確実にケグをちょうどよい時に交換することが重要である。さらに、どの種類の飲料が顧客に好まれているか、また日中および夜間の特定の時間にどれだけの量の特定の飲料が提供されているかを調査するために、任意の所与の分配動作中の飲料の分配量を知ることは重要である。最後に、飲料分配システムの状態(例えば、故障に関して)監視することは重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、自動的かつ非侵襲的な方法を用いて飲料分配システムを監視するための技術を提供することである。
【0006】
さらに、本開示の目的は、分配動作中の飲料の分配量および圧潰可能な飲料容器内に残っている飲料の量を推定して、空の圧潰可能な飲料容器または空のケグを新しい圧潰可能な飲料容器または新しいケグとそれぞれ交換しなければならないときに無駄になる飲料を最小限に抑えると同時に、タッピングヘッドから出てくる泡の量を最小限に抑えるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、一般的な観点において、本開示は、各々が密閉内部空間内に圧潰可能な飲料容器を収容するように構成された1つまたは複数の圧力チャンバを備える飲料分配システムを監視するための監視システムに関する。監視システムは、好ましくは、飲料分配システムの様々な特性を監視するための1つまたは複数の測定装置(例えば、センサの形態)を備える。
【0008】
本開示はさらに、飲料を分配するための飲料分配システムであって、そのような監視システムが一体化され得る飲料分配システムに関する。飲料分配システムは、
-接続可能な基部と基部に接続可能な飲料出口を有する圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する蓋とを備える1つまたは複数の圧力チャンバと、
-圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、
-前記基部(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、
-各圧力チャンバのための少なくとも1つの測定装置であって、対応するタッピングライン、密閉内部空間、基部、蓋および/または圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの特性を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置とを備える。
【0009】
本開示はさらに、各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムを監視する方法に関する。好ましい実施形態では、該方法は、少なくとも10Hz、好ましくは少なくとも50Hzのサンプリングレートで、前記圧力チャンバ、対応する密閉内部空間、および/または対応する圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの特性を測定するステップと、前記測定された特性を表すデータを連続的に分析するステップと、前記測定された特性の変化、好ましくは1秒以内の変化を飲料分配システム内の挙動と相関させるステップとを含む
【0010】
測定装置(複数可)は、圧力チャンバの密閉内部空間の少なくとも1つの物理量または物理的特性、温度、圧力、湿度、音のような特性などを監視/測定するように構成され得る。測定装置(複数可)はさらに、タッピングライン、飲料ラインおよび/または圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの特性および/または物理量(例えば、圧力、音、力、加速度など)を監視するように構成され得る。物理量は、測定によって定量化され得る材料またはシステムの特性として理解されるべきである。物理量は、ガスの特性(例えば、ガスの圧力)に関連し得る。用語「特性」および「物理量」は、同義であると理解してよい。
【0011】
測定装置の1つの目的は、飲料分配システムにおける変化または挙動を検出することである。飲料分配システムの変化を引き起こす典型的かつごく普通の挙動は、飲料分配制御手段(例えば、タップハンドル)の作動であり、この作動が、対応する圧力チャンバ内の圧力変化をもたらすことにより、対応する飲料容器から飲料が流出し、その結果、飲料容器がさらに圧潰される。飲料は、飲料分配ラインを通り、タッピングラインを通ってグラス/カップ内に流入する。このようなことは全て、飲料分配システムが調査され得るように、検出の対象であり得る。
【0012】
しかし、これらの挙動および変化の多くは短期間で起こるので、監視をリアルタイムで、または少なくとも実質的にリアルタイムで行うことができることが利点になる。これは、少なくとも1つの測定装置が高いサンプリングレート(好ましくは少なくとも5Hz、より好ましくは少なくとも10Hz、さらに好ましくは少なくとも25Hz、さらにより好ましくは少なくとも50Hz、最も好ましくは少なくとも100Hz)のサンプリングレートを有するように構成される場合に実現され得る。高いサンプリングレートを使用すれば、飲料分配システムの小さな変化でさえ検出することができ、飲料分配システムをリアルタイムで監視することができる。したがって、所与の量の所与のタイプの飲料が分配されたときなど、飲料タッピングなどの挙動および/または事象に関するタイムスタンプが生成され、記憶され得る。
【0013】
電子的かつネットワーク接続可能なセンサ/測定装置を使用することによって、高いサンプリングレートで生成されたデータを管理する必要がある。データは、ローカルに処理および/または記憶され得るが、システムおよび/または測定装置がネットワーク/インターネット接続可能である場合、一元的に(例えば、クラウドベースのサービスにおいて)データを処理および/または記憶することも選択肢である。このことにより、さらに第三者が生成されたデータにアクセスする選択肢が生まれ、すなわち、飲料分配システムへの飲料の供給業者(複数可)も飲料分配システムを監視し、調査することができる。
【0014】
圧潰可能な飲料容器の飲料出口は、中間タッピングラインによって基部に接続され得、中間タッピングラインは、飲料出口と基部との間のタッピングラインの一部であり得る。
【0015】
中間タッピングラインは、好ましくは、交換可能である圧潰可能な飲料容器コンテナの一部であり得、そのため、圧潰可能な飲料容器が空状態であり、新しい満杯の圧潰可能な飲料容器と交換される必要があるときに、中間タッピングラインも交換される。圧潰可能な飲料容器が交換される必要があるときに交換されないタッピングラインの部分は、固定タッピングラインと呼ばれる。
【0016】
圧潰可能な飲料容器が空になると、ガス(例えば、CO2)が圧潰可能な飲料容器のヘッドスペースからタッピングラインに流入し得る。飲料が別の新しい圧潰可能な飲料容器から続いて分配されるときに、泡がタッピングヘッドから出ることになる。このような泡は提供することができず、廃棄しなければならないので、かなり多くのビールを無駄にしなければならないことがある。
【0017】
しかしながら、ガスが中間タッピングラインのみに流入し、タッピングラインの残りの部分に流入しない場合、中間タッピングラインは、圧潰可能な飲料容器が空状態であるときに圧潰可能な飲料容器と一緒に交換され得るので、固定されているタッピングラインの部分にガスが残らない。
【0018】
例えば、中間タッピングライン内部の圧力および/または中間タッピングラインにおける吸光度および/または中間タッピングラインにおける電気インピーダンスおよび/または中間タッピングラインにおける音響特性のような中間タッピングラインの少なくとも1つの物理量を監視するように構成された測定装置を用いて、飲料分配システムは、ガスが固定タッピングラインに流入する前に飲料の分配を停止することができるように、発音式警報装置または点滅式警報装置を作動させることによってガスが中間タッピングラインに流入したことをユーザに警告することができ、および/または飲料分配システムは、ガスが中間タッピングラインに流入したことを示す測定装置からのデータを受信したときに飲料の分配を自動的に停止するようにタッピングラインに沿ったタッピング装置またはバルブを制御することができるプロセッサを備えることができる。プロセッサは、ガスが中間タッピングラインに流入したことを示すデータを測定装置から受信した場合、タッピングラインに沿ったタッピング装置またはバルブを制御して、ガスが固定タッピングラインに流入する前にタッピングラインに沿ったタッピング装置またはバルブを閉鎖する。
【0019】
タッピングラインの固定部分にはガスが流入しないので泡は発生せず、ビールは中間タッピングラインにごく少量しか残らないので、無駄になるビールは極めて少なくなる。
【0020】
本発明はさらに、飲料を分配するための飲料分配システムであり、
飲料を収容するための1つまたは複数のケグであって、飲料出口を備えるケグと、飲料出口を通してケグ(複数可)から飲料を押し出すように構成された圧力源と、ケグ(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、前記飲料出口から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、タッピングラインの少なくとも1つの物理量を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置であって、少なくとも10Hzのサンプリングレートを有するように構成された測定装置とを備える飲料分配システムであって、測定装置(複数可)からのデータを処理し、測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによってシステム内の事象を検出するように構成された飲料分配システムに関する。
【0021】
ケグ(複数可)は、好ましくはステンレス鋼またはアルミニウムのような金属製の標準的なケグであり、ケグは、例えば、CO2またはN2の圧力源によって加圧される。本開示は、請求項1に記載の飲料分配システムに関して言及した全ての利点を有し得る。本開示は、従属請求項2~従属請求項25のいずれかの特徴と組み合わせられ得、請求項2~請求項25に関して言及された全ての利点を有し得る。
【0022】
本発明はさらに、請求項27~請求項31のいずれかに記載の飲料分配システムを監視する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】圧潰可能な飲料充填容器を備えるモジュール式システムとしての飲料分配システムを示す図である。
【
図3】飲料充填ケグおよび少なくとも1つの圧力センサを含む可撓性圧力チャンバを有する飲料分配システムを示す図である。
【
図4】3つのグラフを示す図である。一番上のグラフは、100Hzのサンプリングレートでサンプリングされ、圧力チャンバの基部に設置され、本開示の飲料分配システムの一実施形態の密閉内部空間のガス圧力を測定するように構成された圧力センサから取得された圧力勾配、すなわち、生の圧力データの一次導関数のグラフである。中央のグラフは、生の圧力データの二次導関数のグラフであり、一番下のグラフは、流量計からの出力の一次導関数のグラフである。全ての3つのグラフのX軸は、約160秒を超える、すなわち、約420秒から約580秒の間の経過時間を示す。
【
図5A-C】1回の飲料分配、すなわち1回の注出の3つのグラフを示しており、生の圧力データが
図5Aに示され、その一次導関数が
図5Bに示され、二次導関数が
図5Cに示されている。
【
図6】「蓋をする」および「蓋を外す」事象/挙動を検出する方法の一例を説明するフローチャートである。
【
図7A-B】圧潰可能な飲料容器の最終圧潰の音の音声記録を示す図である。
【
図8】空気ラインおよびビールライン(タッピングライン)の2つの別個の流体ラインで圧力を測定した実験からの圧力データを示す図である。空気ラインは、コンプレッサからの圧縮空気を圧力チャンバに供給する。ビールラインは、ビールを飲料容器からタッピング装置に送出し、タッピング装置においてビールが分配され得る。測定装置(圧力センサ)のサンプリングレートは、この実験では20Hzとした。
【
図9】
図8に示されている圧力データの一部を示す図である。この図は、実験に入って約12分から約19分までの間にビールラインで取得された圧力データを示しており、
図8は、0分から約19分までの間の両方の流体ラインからの完全なデータセットを示している。
【
図10】
図9に示されている圧力データのさらなる拡大図である。この図は、実験の約13.7分から約14.3分までの間のビールライン内の圧力データを示している。
【
図11】
図8に示されている圧力データのさらに別のセクションを示す図である。このセクションは、実験の約18.35分から約18.55分までのビールライン内の圧力データを示している。
【
図12】飲料分配システムの2つの異なる事象を重ねた図である。2つのグラフは、(
図8に関して説明した実験と)同じ実験から得られたものであり、ここでは、説明のために、2つの事象が同じタイムスタンプで重ね合わされている。第1の事象は、タッピングヘッドの閉鎖に関連し、第2の事象は、飲料容器を空にすることによってガスがビールラインに導入されることに関連する。これらの事象はともに、本開示のシステムおよび方法を使用して検出され得る。
【
図13】本開示に係る飲料分配システムを監視する方法を示す図である。該方法は、好ましくは、測定装置(例えば、圧力センサ)を使用して飲料分配システムの特性を測定するステップを含む。該方法は、好ましくは、システムの異なる事象を区別するために、(例えば、圧力差を)連続的に計算するための処理ユニットを使用し得る。このような事象は、タッピングハンドルの開閉および/または飲料容器の空状態に関連し得る。該システムは、異なる事前定義された条件および/または閾値に基づいて前記事象を区別することができる。一例として、圧力は、好ましくは高いサンプリングレートを有する圧力センサを使用して、ビールライン内で連続的に測定され得る。
【
図14】飲料容器の初期体積に対する分配体積の推定不確実性のグラフであり、前記不確実性を使用される測定装置のサンプリングレートと対比して表示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書内で使用される測定装置は、アナログセンサ、デジタルセンサまたはそれらの組み合わせを含み得る。密閉内部空間内の圧力の情報を取得するセンサなどのアナログセンサは、取得された情報をデジタル信号などのデジタル情報に変換し得る。測定装置は、デジタルセンサであってもよい。これらの組み合わせも可能である。
【0025】
本開示の飲料分配システムは、測定装置(複数可)からのデータを処理するように構成され得る。この処理は、飲料分配システムの一部であり得るデータを処理するための処理ユニットによって行われ得る。しかしながら、代替的にまたは補足的に、飲料分配システムは、中央サーバおよび/またはクラウドサービスへのネットワーク接続を介して測定装置(複数可)からのデータをアップロードするように構成され得、該システムはさらに、前記サーバおよび/またはクラウドサービスによってデータが処理されるように構成され得る。
【0026】
したがって、測定装置(複数可)によって生成されたデータを連続的に監視および処理することができることにより、本開示の飲料分配システムは、すなわち、測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによって、システム内の挙動を検出するように構成され得る。本明細書で使用される挙動とは、典型的には、システムにおける変化、すなわち、1つまたは複数のセンサによって検出され得るシステムの1つまたは複数の物理的特性、すなわち、圧力、温度、動き/加速度、音、液体流などの変化をもたらす、短期間で発生する事象のことである。期間は、好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、最も好ましくは1秒未満、すなわち1秒以内、またはさらに短い期間である。
【0027】
好ましい実施形態では、挙動は、1つのタッピングヘッドの動作、特定のタッピングヘッドの動作、1つのタッピングヘッド状態の変化、特定のタッピングヘッド状態の変化、タッピングライン内の飲料の流れ、特定の飲料ライン内の飲料の流れ、特定の圧力チャンバの開閉、加圧ユニットの動作、特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰、および特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰からなる群から選択される。
【0028】
「タッピングヘッドの動作」とは、場合によっては複数のタッピングヘッドを備える飲料分配システム内の不特定のタッピングヘッドの動作を意味し、すなわち、挙動は、1つのタッピングヘッドの作動または停止であり得るが、どのタッピングヘッドが動作中であるかの情報が分かるとは限らない。
【0029】
「特定のタッピングヘッドの動作」とは、場合によっては複数のタッピングヘッドを備える飲料分配システム内の識別されたタッピングヘッドの動作を意味し、すなわち、挙動は、タッピング領域における特定の明確なタッピングヘッドの作動または停止、すなわち、そのタッピングヘッドに関連付けられた飲料分配制御手段の作動または停止を含む。特定のタッピングヘッドが分かると、典型的には、特定のタッピングヘッドに関連付けられた対応する圧力チャンバ、圧潰可能な飲料容器、および/または飲料の種類との1対1対応が生まれる。
【0030】
上述したように、タッピングヘッドの動作は、一般に、タッピングヘッドの状態を開放状態から閉鎖状態へ、またはその逆へ変化させる。この状態は、本明細書ではタッピングヘッド状態とも呼ばれる。
【0031】
「タッピングヘッドの状態」または「タッピングヘッド状態」は、「開放状態」または「閉鎖状態」のいずれかであり得るタッピングヘッドのバルブの状態に対応し、「開放状態」は、飲料がタッピングヘッドを通って流れることができることを意味し、「閉鎖状態」は、飲料がタッピングヘッドを通って流れることができないことを意味する。「特定のタッピングヘッドの状態」とは、場合によっては複数のタッピングヘッドを備える飲料分配システム内の1つの識別されたタッピングヘッドの状態(開放状態/閉鎖状態)を意味し、すなわち、状態は、タッピング領域内の特定の明確なタッピングヘッドのことを指す。
【0032】
「タッピングライン内の飲料の流れ」とは、様々な飲料容器から生じ得るタッピングライン内のどこかに何らかの飲料の流れが存在することを意味し、「特定の飲料ライン内の飲料の流れ」とは、典型的には、特定の圧力チャンバ、圧潰可能な飲料容器、および/または飲料の種類に関連付けられた明確な飲料ライン内で飲料の流れが検出されることを意味する。
【0033】
「特定の圧力チャンバの開閉」とは、典型的には、圧力が大気条件に対して急激に変化して、急激に圧力を増減圧させるように、圧力チャンバの蓋の取り外しまたは取り付け、すなわち、圧力チャンバの開封または封止を意味する。
【0034】
「加圧ユニットの動作」とは、加圧ユニット(例えば、圧縮機またはポンプ)が、ノイズ、圧力、加速度など、または単にアクティブもしくはパッシブを示すユニットからの直接的な読み出しによって検出され得る、動作中/稼働中であることを意味する。より具体的ではあるが関連する挙動は、加圧ユニットの作動または停止、すなわち、典型的には加圧ユニットの条件の短い1秒以内の変化を伴う加圧ユニットの実際の作動または停止の挙動であり得る。
【0035】
「特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰」とは、飲料容器からのタッピング中またはその直後に起こる飲料容器の実際の圧潰を意味し、すなわち、「特定のタッピングヘッドの動作」および「特定の飲料ライン内の飲料の流れ」の挙動に密接に関連するが、「特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰」の挙動の検出は、例えば、圧潰の音を検出することができる音声センサ(例えば、マイクロホン)によって行われ得、加速度センサおよび/または光センサは、圧潰中の動き/形状変化を検出することができる。
【0036】
「特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰」とは、飲料容器からの実質的に最後の飲料のタッピング中に圧潰可能な飲料容器が最終的に空になったことを意味し、すなわち、「特定のタッピングヘッドの動作」および「特定の飲料ライン内の飲料の流れ」の挙動に密接に関連するが、「特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰」の挙動の検出は、例えば、圧潰および最終圧潰の音を検出することができる音声センサ(例えば、マイクロホン)によって行われ得、加速度センサおよび/または光センサは、最終圧潰中の動き/形状変化を検出することができる。
【0037】
したがって、本開示の飲料分配システムは、基部、蓋、および/または対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間の条件および/または状態の1秒以内の変化との相関によって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するように構成され得る。一例は、例えば、圧力チャンバ内に配置され、密閉内部チャンバ内の圧力を測定するように構成された圧力センサによって検出された、対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間内の圧力変化との相関によって特定のタッピングヘッドの動作を検出することである。
【0038】
特定のタッピングヘッドの動作を検出することができると、本開示のシステムは、特定のタッピングヘッドの検出された動作と相関させることによって、システム内の飲料タッピングの注出体積を判定するように構成され得る。例えば、1)対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間内の圧力変化との相関によって特定のタッピングヘッドの作動および停止を検出すること、および2)前記タッピングヘッドの作動と停止との間の経過時間を判定することによって、注出体積を判定する。次に、タッピングヘッド動作の注出体積は、前記タッピングヘッドの作動と停止との間の経過時間をシステム内の事前定義されたおよび/または一定の飲料流量と相関させることによって判定され得る。したがって、圧潰可能な飲料容器の残存体積は、前記飲料容器の飲料タッピングごとの注出体積を判定し、飲料容器の既知の初期飲料体積と相関させることによって求められ得る。
【0039】
挙動の検出は、前記少なくとも1つの監視された特性の変化を検出することができるように、測定装置からの生データなどのデータの一次導関数、二次導関数および/または三次導関数を計算することによって行われ得る。これは
図4にも例示されている。好ましい実施形態では、タッピングラインは、複数の飲料ラインを備え、各々の飲料ラインは、特定の飲料の種類に対応し、タッピング装置のタッピングヘッドと協働するように適合され、各々のタッピングヘッドは、前記飲料の種類に対応する。各々の圧力チャンバは、前記タッピングヘッドのうちの1つを対応する圧潰可能な飲料容器の飲料出口に接続するための飲料容器コネクタを備え得る。
【0040】
一実施形態では、圧潰可能な飲料容器は、システムの一部であり、前記圧潰可能な飲料容器の各々は、飲料充填空間、ガス充填ヘッドスペース、および前記飲料充填空間から前記飲料を抽出するために前記飲料充填空間と連通した飲料出口を画定する。
【0041】
センサは、密閉内部空間内またはタッピングライン内の圧力値および/または圧力変化を監視するための圧力センサであり得る。バー環境では、一般に、飲料分配を始動させるためのいくつかのタップハンドルまたは他の機能が存在し、各々のタップハンドルは、典型的には、飲料容器に関連付けられる。タップハンドルを作動させることによって、飲料は飲料容器からタッピングラインを通ってタッピングヘッドから外へ流出し始める。したがって、タップハンドルの挙動と、タップを通って流出する飲料の流れとの間には直接的な関係がある。したがって、タッピングヘッドの動作を自動的に検出することが重要であり、本発明者らは、この検出が圧潰可能な飲料容器を取り囲む密閉内部空間内の圧力を監視することによって、および/またはタッピングラインもしくは飲料ライン内の圧力を監視することによって、特に上述したようにリアルタイムで圧力を監視することによって行われ得ることに気づいた。密閉内部空間内またはタッピングライン内の圧力変化、特に圧力の急激な変化は、いくつかの挙動および/または事象の結果であり得る。それは、対応する飲料容器と接触する関連タップハンドルの作動および停止であり得、密閉内部空間内の圧力を上昇させ、変化させる圧縮機または真空源でもあり得る。また、飲料容器を交換するために圧力チャンバが開放されるときでもあり得る。しかしながら、高いサンプリングレートで取得された時間分解圧力データの分析は、以下に説明するように、どの挙動が圧力変化を引き起こしたかを迅速に解決することができる。したがって、高いサンプリングレートを有する測定装置を使用することによって、タップハンドルの作動をリアルタイムで検出することが可能である。
【0042】
また、タップハンドルごとの飲料分配の作動および停止を検出することが可能になると、飲料の注出時間/流動時間、すなわち、各々の飲料容器からの1回の分配動作ごとの持続時間を測定することが可能になる。本発明者らはさらに、圧潰可能な飲料容器を有する飲料分配ステムにおける流量が実質的に一定であることが判明したので(少なくともこれはDraughtMaster(登録商標)システムの場合である)、注出時間が分かると、注出体積をかなり正確に判定することができることに気づいた。一定の流量は、典型的には40~70ミリリットル/秒、より好ましくは50~60ミリリットル/秒、さらにより好ましくは50~55ミリリットル/秒、典型的には約53ミリリットル/秒である。したがって、圧力センサは、飲料分配システム内の挙動/変化、例えば、分配動作の開始時間および終了時間を検出するのに適しており、これら2つの測定値から分配動作の時間間隔が判定され得る。したがって、本開示のアプローチでは、バー環境における事象(例えば、タップハンドルの回転)を、場合によってはバー環境から5~30メートル離れて位置する飲料分配装置内の圧力変化に関連付けて、各々のタップハンドルからの各々の分配動作の注出体積を推定することが可能である。
【0043】
さらに、高いサンプリングレートによる本開示のアプローチは、複数の飲料容器の場合であっても、最大8個の圧潰可能な飲料容器を同時に収容することができるDraughtMaster Modular 20などの1つのシステムの一部として、事象を特定の飲料容器に関連付けることができる。このような構成では、各々が圧潰可能な飲料容器を収容する全ての圧力チャンバ内の圧力を上昇させるための加圧ユニット(例えば、圧縮機)が1つだけ存在する。すなわち、全ての圧力チャンバが同じ上昇圧力を共有する。したがって、圧力変化は全ての圧力チャンバ内でほぼ同時に生じるので、分配している正確な飲料容器を識別することは一見難しく思える。しかし、実験は、高いデータサンプリングレート(10~100Hz)が、監視される特性の急激な変化の検出を可能にすることを示しており、検出された変化は、(特に、各々の飲料容器の近くに配置されたセンサがある場合に)関連する飲料容器に関連付けられ得る。
【0044】
密閉内部空間からの圧力データなどのデータを処理する1つの方法は、監視される特性を表すデータを微分することによるものである。微分は、特性の変化をより明確に認識するために、少なくとも1回、好ましくは2回行われ、そのことにより、各々の分配動作の開始および終了をデータから検出することができる。次に、分配動作の時間間隔が、注出の開始および終了にそれぞれ対応する2つの「事象」間の時間的距離として計算され得る。本明細書に開示されるアプローチにより、関心量、すなわち分配動作の時間間隔が、好ましくはセンサがビールに接触せずに、間接的かつ自動的に測定されるようになる。さらに、本開示のアプローチにより、測定に関連する追加の機器がバー環境(例えば、タップハンドル内)に設置される必要がなくなる。
【0045】
追加の機器の設置が最小限に留められるので、データは、好ましくは、クラウドサービスにアップロードされ、クラウドコンピューティングを使用して処理される。上述の分配事象に関連するデータをクラウドサービスにアップロードすることによって、第三者(例えば、飲料供給者)はさらに、各々の特定のバーについての販売事象に関するより詳細に洞察が可能であり、したがって、例えば、そのバーについての飲料の供給および選択をカスタマイズすることができる。さらに、クラウドソリューションは、データを処理する手段を提供するので、設置する必要がある追加の機器の量が最小限に留められる。最後に、処理データは、例えば、タブレットまたは同様のデバイス上で使用するためのアプリケーションにおいて視覚化され得、このことにより、バーの支配人/所有者に対する概要が確実に改善される。
【0046】
飲料分配システムから流出する飲料の体積流量が一定であると仮定すると、分配される飲料の体積は、体積流量に上述の手法を用いて判定された測定時間間隔を乗じることによって推定され得る。さらに、各々の飲料容器の残存体積は、各々の飲料容器について検出された各々の分配動作に対する圧潰可能な飲料容器の開始体積から前記分配体積を差し引くことによって計算され得る。
【0047】
一定の飲料流量の仮定が十分に正確でない状況があり得る。一般に、流量は、飲料容器の数、圧縮機のモデル、圧縮機の使用年数、タッピングラインの長さ、タッピングラインの幅、タップのモデル、およびタップレギュレータのタイプなどのいくつかのパラメータに依存し得る。したがって、本開示のアプローチは、連続的に取得されたデータ、すなわち、飲料分配中にも取得されたデータを使用して飲料流量を計算することができる。高いサンプリングレートで取得された密閉内部空間からの圧力データは、飲料分配中のガス体積の変化の指標となり得、例えば、飲料分配中に取得された圧力データの一次導関数は、飲料流量に直接関連する圧力チャンバ内の体積変化率の指標となる。したがって、飲料分配中の体積変化率を積算することによって、注出体積の推定値が得られる。
【0048】
圧潰可能な飲料容器の体積は、飲料分配と同時に徐々に減少する。これは、分配中の飲料流量に影響を及ぼす可能性があり、その結果、飲料容器の残存体積と飲料流量との間に相関があることが多く、さらに圧力チャンバ内の圧力と相関し得る。したがって、一般にこの依存関係、すなわち、1)飲料流量対残存体積、および/または2)飲料流量の変化対飲料容器の残存体積が分かっていれば、リアルタイムで計算された飲料流量の近似値が改善され得る。
【0049】
計算された飲料流量が、少なくともある期間にわたって実際に測定された流量、例えば、直接的な流量測定によって測定された流量と比較される場合、別のおよび/またはさらなる改善が得られる。少なくともこれは、流量測定値を正規化するための手段であり得る。これはまた、機械学習アプローチにおいて利用され得、このアプローチでは、残存体積および圧力チャンバ内の実際の圧力の関数として飲料容器の計算された基準流量が測定流量と比較され、各々の圧力チャンバに対する各々の飲料分配動作について調整され得る。例えば、FRnew=(1-i)*FRstored+i*FRactualのような数式による。ここで、FRactualは実際に測定された流量であり、FRstoredは特定の圧力チャンバについての流量(任意選択で、飲料容器の特定の残存体積における)であり、FRnewはFRstoredの代わりに記憶され得る特定の調整流量であり、iは、流量が圧力測定値のみによって計算され得るように、調整流量が測定流量に向かって収束するような状況に対して選択される調整パラメータである。
【0050】
好適には、測定装置は、圧力チャンバまたは圧潰可能な飲料容器の摂動後の共振周波数を測定するために設けられ得、したがって、圧力チャンバおよびケグ自体の状態に関する有用な情報が使用可能になり、その結果、飲料分配システムの安全性が向上する。本明細書で説明される挙動のうちのいくつかは、飲料分配システムの摂動と見なすことができ、これらの摂動を検出するために高いサンプリングレートが設定される。好適にはさらに、圧力シェル内のガスの流れを測定するための測定装置が設けられ得る。
【0051】
冷却装置は、本開示の飲料分配システムにおいて、例えば、前記飲料コネクタの下流側かつ前記タッピングラインを冷却するために前記タッピング装置の上流側に適用され得る。冷却装置は、前記タッピングラインに隣接して延び、前記冷却装置に取り付けられた冷却ラインの温度を測定するための温度センサの形態の測定装置を備え得る。したがって、冷却装置において温度が測定されるように、冷却管の流れ温度を取得するための温度センサが冷却装置に取り付けられる。このことは、タッピングラインの冷却がこのタッピングラインに隣接して延びる別個の冷却ラインによって行われる(いわゆる「wet Python」)場合の適切な提供温度を可能にする。飲料がビールである場合、飲料の提供温度は、好適には、3~6℃である。この提供温度(Tserv)は、冷却装置から出る時点の冷却ラインの温度(T1℃)と戻るときに冷却装置に入る時点の温度(T2℃)との平均として計算され得る、すなわち、Tserv=(T1+T2)/2となる。温度T1は、好適には3℃または4℃であり、T2は通常はT1より高いので、T1が6℃より高い場合、これは、直ちにエラーメッセージとして、つまり、冷却装置およびタッピングラインの状態、ここでは、特に冷却装置が適切に動作していない可能性があることを示すエラーメッセージとして検出され得る。さらに、タッピングラインの温度を測定するための温度センサの形態の測定装置(複数可)が冷却装置に取り付けられ得る。好適には、測定装置は、タッピングライン内の特定の飲料ラインに適用される。
【0052】
別の実施形態では、冷却装置は、前記飲料コネクタの下流側かつ前記タッピングラインを冷却するために前記タッピング装置の上流側に適用され、前記タッピングラインは、温度センサの形態の測定装置を含み、測定装置は、前記タッピング装置に近接してタッピングライン内に取り付けられる。近接しているとは、冷却装置からタッピング装置のタッピングヘッドまで(例えば、タップハンドルなどの飲料分配制御手段まで)計測されたときに、タッピングラインの長さの最後の30%、好ましくは最後の20%、より好ましくは最後の10%の範囲内に測定装置が取り付けられていることを意味する。このことは、飲料ラインの冷却が飲料ラインに隣接して延びる冷却ラインを使用せずに行われる(いわゆる「dry Python」)場合の適切な提供温度を可能にする。フォントが設けられる場合、センサは、フォントの内部、すなわち、フォントの垂直部分の内部に設けられ得る、またはタッピングラインがバーカウンタの下のフォントに入る直前のフォントの上流側に設けられ得る。
【0053】
本開示は、飲料分配システム内の監視される特性またはパラメータ、例えば、飲料、圧力チャンバ、冷却装置、タッピングラインなどに関する特性の任意の不整合を迅速に識別して補正することを可能にする。例えば、バー内の飲料分配システムの関連装置または関連部品に不具合がある場合、バーから遠く離れた場所にいる技術者は、直ちに問題を認識するので、不具合を修理するために数分以内に到着することができ、したがって、ダウンタイム期間を大幅に低減することができる。特別な例として、ビール温度が低下している場合、技術者は、直ちにこのことを認識して、迅速にバーに到着し、ビール温度が所望のレベルになるように、飲料分配システムの冷却装置を検査して修理することができる。したがって、本開示により、バーなどの飲酒施設の内部だけでなく、外部監視の可能性により飲酒施設の外部でも使用するために、記憶されている情報を使用することが可能になる。
【0054】
本開示の飲料システムの飲料ラインの各々は、流量センサ、温度センサ、または流量温度複合センサの形態の測定装置を含み得る。流量温度複合センサが好ましい。好適には、このセンサは、超音波測定システムによって操作され、飲料と接触しないように、飲料ライン挿入用、例えばビール用チューブ挿入用のスロットを含む、ブラックボックス(例えば「クランプオン」ブラックボックス)の形態である。流量温度複合センサは、好ましくは、ビール用チューブなどの飲料ラインだけでなく、冷却ライン、すなわち冷却管にも適合するように構成される。
【0055】
この流量温度複合センサにより、ビールがタッピングヘッドから分配されるときに、注出体積/飲料体積流量の連続的かつ正確な測定が可能になる。このことにより、飲料が分配されるたびに、すなわち注出されるたびに、1回の注出当たり約10ミリリットルの精度で注出量が測定される。同時に、約0.5℃の精度で飲料の温度が測定可能であり、したがって、分配されようとする飲料についての即時情報をレンダリングすることが可能である。
【0056】
本開示の飲料分配システムの圧力チャンバ、例えば、基部は、分配中に飲料容器を連続的に計量するための計量装置、好ましくはデジタル計量装置を備え、飲料容器の重量および重量から推定されるタッピング装置を通る飲料の流れを表すデジタルデータを構築し得る。分配中に飲料容器を連続的に計量することによって、重量の損失は、飲料の流れに対応すると考えられ得る。飲料の元の体積が分かっている場合、あるいは、飲料を含まない容器の重量が分かっている場合、飲料容器内の飲料の残量は、標準的な演算を使用して推定され得る。
【0057】
圧力センサがさらに設けられ、圧力センサは圧潰可能な飲料容器の出口におけるタッピングライン内の流体の圧力を測定し、そのことにより飲料容器内部の圧力を測定するように構成され得る。次に、飲料容器内部の圧力と密閉内部空間内の圧力との間の圧力差が求められ、監視され得る。圧潰可能な飲料容器内の飲料の高さのために、底部の圧力は、分配される飲料がまだ容器内にある間は比較的高くなるので、飲料容器内の飲料の残存体積の指標となる。
【0058】
本発明者らは、好ましくは飲料容器の出口付近のタッピングライン内の流体圧力を監視することによって、飲料分配システムに関連するいくつかの事象が検出され得ることに気づいた。これらの事象は、タッピングライン内に配置された測定装置からの圧力データを分析することによって検出され得る。本発明者らは、特定の挙動(例えば、タッピングヘッドの開閉)がシステム内の急激な圧力変化を引き起こすことを発見した。実際に、タッピングライン内の流体圧力は、そのような挙動時に急激に変化し、圧力チャンバの内部空間内の流体圧力は、その挙動の結果、急激に変化する。タッピングライン(python)へのガスの漏出に関連付けられた圧力変化があるので、飲料容器の空状態などの他の事象がさらに検出され得る。このような事象は
図11に示されており、
図11はタッピングライン内の圧力データを示している。約18.45分の時点で、飲料容器からのガスがpython内に導入され、その結果、前記python内の圧力が上昇する。したがって、圧力変化は、飲料分配システムの特定の挙動および事象と相関し得る。
【0059】
あるいは、測定装置は、非侵襲的測定方法を確立するためにタッピングラインの外側に配置され得、この方法は、前記タッピングラインに含まれる流体の特性を判定することができる。一例として、測定装置は、タッピングライン内のガスおよび/または泡の存在を判定するように構成された光学センサを備え得る。測定装置はさらに、前記目的のために構成された、すなわち、タッピングライン内のガスおよび/または泡の存在を判定するように構成された超音波センサを備え得る。タッピングライン(すなわち、ビールライン)内の過剰な量の泡および/またはガスは、典型的には、飲料容器が空状態またはほぼ空状態であることを示している。したがって、バーテンダーまたはバーの支配人が飲料容器の空状態を知ることができるように、前記容器からの分配が直ちに停止され、分配される泡の量が最小限に抑えられるかまたは完全に回避されるように、この事象が発生する正確な瞬間を検出することが重要である。
【0060】
測定装置の(少なくとも)2つの異なる位置に関連付けられた異なる利点がある。測定装置を圧力チャンバ内部に位置決めすることによって、注出事象(開始/停止)ならびにケグの変化(圧力チャンバの減圧による)の両方が正確に検出され得る。測定装置のこの位置の別の利点は、それが非接触方法であるということ、すなわち、センサが飲料に触れないということである。該方法はさらに、開始体積が分かっており、注出ごとの分配体積を含む注出の回数が本明細書に記載の方法から計算されるので、飲料容器の残りの内容物を推定するために使用され得る。一方、測定装置を飲料容器の出口付近のタッピングライン内部に測定装置を位置決めすることによって、計算/推定ではなく、飲料容器が空状態の時点を検出することが可能である。これが可能であるのは、本開示の方法が飲料容器に飲料が入っていないことを示すタッピングライン内のガスまたは泡を検出することができるからである。
【0061】
前述したように、「特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰」および「特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰」の挙動は、飲料容器の実際の物理的な圧潰プロセスの検出に関連する。これらの挙動を検出する1つの方法は、音声技術を使用するものであり、例えば、特定の圧力チャンバに近接して音声センサ(例えば、マイクロホン)を設けることによるものである。マイクロホンは、例えば、圧力センサの密閉内部空間内部の圧力を測定する圧力センサと共に設けられ得る。
【0062】
圧潰可能な飲料容器の圧潰は、プラスチックが砕けるときに特別な音を発生させ、飲料容器内部の液体の体積が減少するときに音がさらにますます顕著に聞こえるようになる。すなわち、例えば音の周波数および/または振幅に関して、飲料容器からの徐々に大きくなる音は、飲料容器が空になりつつある表れである。圧力チャンバ内には、少なくとも圧縮機(または他の加圧ユニット)からの音および飲料容器の圧潰による音が存在するが、これらの特徴的な短いパルスのうちの2つが示されている(振幅対時間)
図7Aに例示されるように、圧縮機は連続音を発生させるが、飲料容器圧潰の音はパルス音であるため、これらの2つの音は区別可能である。
図7Aから分かるように、パルスは約0.05秒の持続時間を有し、最初の0.02秒以内に最も特徴的な高振幅パターンを有する。
【0063】
本発明者らはさらに、本明細書で使用されるタイプの圧潰可能な飲料容器が空になると、特別な音が発生し、すなわち、飲料容器が空状態であることを示す明確な指標となる「特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰」の挙動が検出され得る。最終圧潰の音は、記録された音の振幅対時間を示す最終圧潰の音声記録を示す
図7Bおよび
図7Cに例示されている。この音は、
図7Bおよび
図7Cにおいて同じ記録であり、
図7Cは、
図7Bの拡大図である。音は、約0.1秒の持続時間および特徴パターンを有するポップコーンがはじけるような音である。
図7Aと比較すると、最終圧潰の音は、空状態でない飲料容器の圧潰の音とは異なることが分かる。
【0064】
これを利用して、飲料容器を交換しなければならず、それ以上タッピングができないことをバー支配人に知らせることができる。したがって、本開示のアプローチはさらに、システムが、例えば泡生成を防止することができるように、最終圧潰が検出されるとすぐに特定の飲料容器からのタッピングが自動的に防止されるように構成されることを含み得る。
【0065】
データ操作およびデータ処理がより容易であるため、デジタル技術が好ましい。圧潰可能な飲料容器(圧潰可能なケグ)の内容物の動的ビューを介する動的な消費フィードバックが可能であり、そのため、飲酒施設のスタッフおよび支配人に継続的に通知される。例えば、複数の圧潰可能なケグを備える飲料分配システム内のケグは、スタッフまたはバーテンダーおよび支配人に、特定のタイプのビールAを有する第1のケグの情報、ケグに飲料(例えば、ビール)がどの程度充填されているか、例えばビールタイプAのケグは60%充填されているという情報を提供し得る。同時に、別のビールタイプBを有し得、80%充填されている第2のケグに関する情報、また第3のビールタイプCを有し、10%充填されている第3のケグに関する情報も提供される。好適には、
ビールA、60%
ビールB、80%
ビールC、10%
として表されるこのような情報は、タブレットまたはスマートフォン等へのBluetoothまたはWifi接続などの無線接続を介して表示され得る。次に、供給業者へのビールの再発注は、ケグ内のビールが規定の少ない量に達したときに、自動的に行われ得る。
【0066】
一実施形態によれば、飲料分配システムから収集されたデータは、クラウドソリューションまたはクラウドサービスにアップロードされ、記憶される。データはまた、例えば、メモリ、記憶装置、および処理ユニットを有する汎用コンピューティングデバイスによって、ローカルに記憶および/または処理されてもよい。例えば、内部空間の圧力または分配動作の開始と分配動作の終了との間の経過時間について受信されたデータは、飲料の流れ、残存体積、および/または分配体積、さらに飲料および/または圧潰可能な飲料容器の他の情報などの飲料分配システムに関連する他の特性を計算するために、クラウドコンピューティングを使用して記憶され、処理され得る。処理されたデータは、電話、タブレット、コンピュータなどにおいて実行されるアプリケーションのコンテンツとして使用され得る。さらに、データは、飲料消費に関する統計を確立するために使用され得る。
【0067】
飲料分配システムはさらに、前記圧潰可能な飲料容器に力を加えるために高い圧力で内部空間を加圧して、前記圧潰可能な飲料容器を圧潰し、前記飲料充填空間からタッピングラインを通ってタッピング装置から前記飲料を押し出すために、前記内部空間と流体連通した圧縮機(例えば、空気圧縮機)などの圧力源を備え得る。好ましい加圧システムは、往復ピストンポンプを含む。
【0068】
飲料分配システムはさらに、複数の基部と、基部に接続可能な複数の蓋とを含み、圧力チャンバを形成し得る。したがって、本開示の飲料分配システムは、複数の基部および複数の蓋を含むアセンブリにまで拡張され得る。基部の個々の飲料容器コネクタは、共通のタッピングラインによって相互接続されて、圧潰可能な飲料容器の直列接続アセンブリを形成し得る、すなわち、国際公開第2009/024147号パンフレットに記載されているようなモジュラーシステムとして形成し得る。
【0069】
別の選択肢は、出願企業による係争中の国際出願PCT/EP2018/083423号明細書に例示されているように、負圧による飲料容器の圧潰である。この場合、蓋は可撓性であり、可撓性蓋が圧潰可能な飲料容器に力を加えるようにすることより、前記圧潰可能な飲料容器を圧潰して、前記飲料充填空間から飲料を押し出すために、内部空間を減圧するように内部空間と流体連通する真空ポンプが設けられる。
【0070】
可撓性蓋は、ゴムなどの弾性材料製であるか、あるいはプラスチックなどの非弾性可撓性材料製であり得る。本特許出願の文脈における可撓性とは、材料に力が加えられたときに変形し、材料は、破壊されずに、加えられた力で撓み、加えられた力に追従することを意味するものと理解される。
【0071】
ほとんどの非剛性材料は、可撓性蓋として使用され得る。蓋は、流体密でなければならないが、それほど圧力に耐えることはできず、したがって、加えられた圧力によって変形しなければならない。ゴムなどの弾性材料およびプラスチックなどの非弾性可撓性材料の両方が適している。したがって、可撓性蓋は、分配中の飲料容器の形状に適合し得る。
【0072】
一実施形態では、前記圧潰可能な飲料容器の前記飲料充填空間からの飲料は、予め炭化された、場合によっては予め窒素と混合されたビールであり、圧潰可能な飲料容器は、好ましくは、プラスチックなどのポリマー材料製である。
【0073】
本明細書に開示されている方法は、本開示の飲料分配システムの実施形態の1つまたは複数と共に使用され得る。
【0074】
圧潰可能な飲料容器は、使い捨て式圧潰可能な飲料容器であり得る。「使い捨て式圧潰可能な飲料容器」または「使い捨て式圧潰可能なケグ」という用語は、本開示全体を通して同義で使用されている。好適には、飲料容器は、ブロー成形され得、好ましくは、飲料によって画定される飲料充填空間と、ガス(典型的には炭酸ガスである)充填ヘッドスペースとによって構成される、5~50リットルの体積を有する容器であり得る。圧力チャンバの内容積から飲料容器の体積を差し引いたものであるヘッドスペースは、新しい満杯の飲料容器が圧力チャンバ内に導入されると、飲料の初期体積の5%~50%、好ましくは10%~20%のように、かなり小さいスペースでなければならない。圧潰可能な飲料容器は、輸送および取り扱いの間は閉鎖される飲料出口を含む。圧潰可能なケグは、PETなどのプラスチック材料を利用する代わりに、多層箔を使用し得る。
【0075】
飲料容器は、本出願人のDraughtMaster(登録商標)のような飲料分配システム内に設置される場合、典型的には、「上下逆さま」の姿勢のような所定の姿勢に配向される、すなわち、飲料出口は、ヘッドスペースが上方へ向けられるように下方へ向けられる。基部は、典型的には、剛性であり、飲料容器の重量を支持するのに適しており、飲料容器コネクタは、飲料出口とタッピングラインとの間の液密接続を形成する。
【0076】
蓋は、好ましくは、飲料容器を封入するための適切な体積を有する密閉内部空間を形成することができるように、液密に基部に接続可能である。
【0077】
基部は、圧潰可能な飲料容器を支持するために、剛性材料製であり得る。本特許出願の文脈において、剛性材料は、膨張せずに飲料の重量を支持することができるものとして理解されたい。タッピングハンドルが元の垂直(閉鎖)位置から移動されたことによりタッピングバルブが開放されたときに、タッピングラインを介して飲料充填体積からタッピングヘッドへ飲料を押し出すための分配圧力を加えるために、圧潰可能な飲料容器に圧力が加えられる。圧力は、圧潰可能な飲料容器の崩潰圧力プラス醸造酒のガス圧力、すなわち飲料容器の圧潰に必要な圧力を克服し、さらに、例えば、バーの下に位置する貯蔵室から飲料を上昇させるために分配ライン内の圧力損失を克服するのに十分な大きさの圧力である必要がある。最後に、適切な流速を可能にするために、タッピングヘッドにおける一定の圧力が必要とされるが、多すぎる流量または低すぎる圧力は、望ましくない発泡を引き起こし得る。また、上述したように、飲料分配のためのエネルギーは、(例えば、真空ポンプからの)負圧によって提供され得る。
【0078】
タッピングヘッドは、典型的には、押しボタンまたは好ましくはタッピングラインを操作するためのタッピングハンドルなどの飲料分配制御手段によって制御される少なくとも1つのタッピングバルブを備える。飲料を分配したいユーザは、例えば、ハンドルを垂直位置から水平位置に移動させ、そのことにより、タッピングラインを介する飲料充填空間からタッピングヘッドへの飲料の流れまたは流動を可能にするために、バルブを操作して、開放する。
【0079】
タッピングラインは、典型的には、複数の飲料ライン、好ましくは2~5本の飲料ライン、より好ましくは3つの飲料ラインを備え、各々の飲料ラインは、特定の飲料の種類に対応し、タッピング装置のタッピングヘッドと協働するように適合され、各々のタッピングヘッドは、前記飲料の種類に対応する。
【0080】
用語「測定装置」は、1つまたは複数の測定装置を意味する場合がある。
実施例
【0081】
図1は、一体的に封止されることにより、充填された使い捨て式圧潰可能な飲料容器18を含む内部空間または内容積16を形成する蓋12および剛性基部14を備える圧力チャンバを有する飲料分配システム10の斜視図である。飲料容器18(ケグとも呼ばれる)は、圧潰可能なポリマー材料製の圧潰可能なタイプの容器であり、したがって、「圧潰可能な飲料容器」である。圧潰可能な飲料容器18は、飲料20(典型的には、ビールなどの炭酸飲料である)を含む飲料充填空間を画定する。飲料容器18はさらに、
図3にさらに詳細に示されているように、飲料容器18の内部の飲料のレベルより上の上部にガス充填ヘッドスペース22を画定する。
【0082】
蓋12および剛性基部14は、分離可能であるが、動作中は、飲料容器18を収容するための内部空間16を画定するために一体的に封止される。蓋12は、例えば、ゴム製であり得る。圧潰可能な飲料容器18は、圧潰可能な飲料容器18の飲料出口(図示せず)をタッピングライン28と接続するための飲料容器コネクタ26と協働するように適合されたクロージャ24を含む。タッピングラインは、飲料を適切な提供温度(例えば、ビールは3~6℃)で提供するために、冷却装置または冷却ユニット30を通過する。冷却装置30の下流側では、1つまたは複数の飲料ライン32を含むタッピング28がタッピング装置34に達する。タッピング装置34は、1つまたは複数のタッピングヘッド36を備え、各々のタッピングヘッド36は、ビールを飲料受容器(グラス)40に分配するためのタッピングハンドル38を含む。タッピング装置の近くに、フォント42の底部に達する直前、またはフォント42の内部に取り付けられたタッピングライン上の温度センサユニット(図示せず)は、グラス40へ注出されたときのビールの提供温度に近い温度を取得するために設けられ得る。
【0083】
図2は、クロージャ24を含む圧潰可能な飲料容器18の底部の拡大正面図である。
【0084】
図3は、
図1に関連して説明したように、蓋12および基部14の封止によって形成された内部空間16内に収容された1つの圧潰可能な飲料容器と、タッピングライン28と、タッピング装置34とを備える飲料分配システム10'の概略図である。
【0085】
基部14はさらに、空気圧縮機58などの圧力源に接続される。圧縮機58により、飲料容器18と蓋12および基部14を備える圧力チャンバとの間の密閉内容積16を加圧することが可能になる。タッピング装置28が飲料の流れを可能にしているとき、飲料容器18に圧力が加えられることにより、飲料が飲料容器18からタッピング装置28に向けて押し出されるので、飲料容器18が徐々に圧潰されることになる。
【0086】
図4は、3つのグラフを示す。一番上のグラフは、圧力勾配のグラフ、すなわち、100Hzのサンプリングレートでサンプリングされ、圧力チャンバの基部に設置され、本開示の飲料分配システムの一実施形態の密閉内部空間のガス圧力を測定するように構成された圧力センサから取得された生の圧力データの一次導関数のグラフである。中央のグラフは、生の圧力データの二次導関数のグラフであり、一番下のグラフは、流量計からの出力の一次導関数のグラフである。全ての3つのグラフのX軸は、約160秒を超える、すなわち、約420秒から約580秒までの経過時間を示す。この期間の間、数回のタッピング動作が行われ、すなわち、タッピングハンドルを引くことによって、圧力チャンバ内に配置された圧潰可能な飲料容器から飲料が数回タッピングされた。圧力勾配を有する一番上のグラフのY軸は任意の単位である。一番上のグラフから分かるように、圧力勾配は時間と共に変化し、タッピングハンドルが作動または停止されるたびに、圧力勾配は急激に変化する。
【0087】
タッピングハンドルの挙動を単に明確に検出するために、圧力勾配の一次導関数、すなわち密閉内部空間内の圧力の二次導関数が中央のグラフに示されている(「トリガ信号」と表示されている)。中央のグラフは、タッピングハンドルの各々の挙動を非常に明確に示している。飲料容器からのタッピングが開始されると密閉内部空間内の圧力が降下するため、大きなピークダウンはタッピングハンドルの作動である。タッピングが停止するとすぐに密閉内部空間内の圧力が上昇するので、大きなピークアップはタッピングハンドルの停止である。この実施例は、本開示の飲料分配システムにおける挙動が圧力センサの形態の高サンプリングレート測定装置によって検出可能であること、特に、飲料容器から非常に遠く離れたところにあり得るタッピングハンドルの挙動が圧力チャンバ内の圧力を監視することのみによって検出可能であることを示している。
【0088】
図4の中央のグラフから分かるように、タッピングハンドルの作動および停止を検出することができると、タッピング動作ごとの注出体積は、タッピングハンドルの作動と停止との間の経過時間を判定することによって、また想定される/事前定義された/所定の一定飲料流量を乗じることによって判定され得る。
【0089】
図4の一番下のグラフは、圧力センサアプローチを検証するための制御装置として提供された流量計の出力の一次導関数を示す。流量計の高勾配は、システム内の飲料の流れの指標である。一番下のグラフの流量計勾配を中央のグラフのピークと比較すると分かるように、システム内の流れと各々の検出された作動および停止との間には良好な相関がある。したがって、本開示のアプローチは、飲料分配システム内の挙動を検出し、そのことにより、注出体積および飲料容器内に残っている体積などのパラメータを判定するために適用可能である。
【0090】
図5A~
図5Cは、3つのグラフを示しており、生の圧力データが一番上の
図5Aに示され、その一次導関数が中央の
図5Bに示され、二次導関数が一番下の
図5Cに示されている。しかし、
図5は、1回の注出のみを示している。飲料の実際の注出は、
図5Cの2つのピーク間で発生する。タッピングハンドルは、鋭い「負のピーク」で作動され、鋭い「正のピーク」で停止される。注出の開始は、事前定義されたトリガ値tr
1よりも低い値に対する二次導関数をチェックすることによって検出され得る。注出の終了は、同様に、二次導関数が再び正の値になる時点を判定することによって検出され得る。
図5Aでは、注出は、圧力チャンバ内の緩やかな圧力降下と見なされ得る。注出が停止すると、
図5Aにも見られるように、圧縮機は再び圧力を上昇させる。
図5Bに示されている生の圧力の一次導関数も同様に、上述したような飲料流量の尺度である。
【0091】
図6は、「蓋をする」および「蓋を外す」事象/挙動を検出する方法の一例を説明するフローチャートである。ケグが空状態であり、交換しなければならない場合、圧力チャンバの蓋が取り外され、その結果、圧力チャンバ内部の圧力は、典型的には大気圧、すなわち、約1バールまで急激に降下するが、これは、圧力チャンバの内容積内部に配置された圧力センサによって検出され得る。古いケグが取り外され、新しいケグが挿入され、蓋が再び取り付けられて、すなわち「蓋をして」、飲料分配が再開され得る。圧力は再び上昇し、このことがセンサによって検出され得る。圧力チャンバ内の圧力を約3バールまで上昇させるのに要する時間が計算され得、そのことにより、例えば圧力チャンバが通常の5リットルの空気で満たされている場合に、挿入されたケグが満杯であるかどうかが評価され得る。ケグが満杯でない場合に、他の理由で圧力チャンバの蓋が取り外されたかもしれない。ケグが満杯であると評価された場合、システムは、例えば、新しいデータを用いて較正され得る。
【0092】
本開示の測定装置において使用され得る圧力センサの一例は、TE Connectivity社製のデジタル圧力センサ(0~5バール)、例えば、小型高度計/ダイビングモジュールであり、密閉可能であるMS5803-05BAである。別の選択肢は、小型で正確な圧力センサを形成し得る圧電センサ を使用することである。
【0093】
本開示の測定装置において使用され得る温度センサの一例は、Maxim Integrated社製のプログラマブル分解能1-wireデジタル温度計DS18B20である。
【0094】
本開示の測定装置において使用され得る加速度センサの一例は、デジタルI2C/SPIシリアルインターフェース標準出力を有する超低電力高性能3軸線形加速度計であるLIS3DH(STMicrolectronics社製)などの3軸線形加速度計である。
【0095】
本開示の測定装置またはシステムにおいて一般に使用され得る処理ユニットの一例は、独立型ユニットとして、またはホストMCUに対するスレーブデバイスとして動作し得るESP32(Espressif Systems社製)である。ESP32は、そのSPI/SDIOインターフェースまたはI2C/UARTインターフェースを介してWi-FiおよびBluetooth機能を提供するために他のシステムとのインターフェースが可能であり、内蔵アンテナスイッチ、RFバラン、電力増幅器、低雑音受信増幅器、フィルタ、および電力管理モジュールと統合され得る。
【0096】
図8~
図12は、本発明者らによって行われた実験による圧力データを示す。実験装置は、本開示の飲料分配システムと、飲料分配システムの圧力チャンバを加圧するための圧縮機と、システム内の少なくとも1箇所の圧力を測定するための少なくとも1つの圧力センサとを備える。この実験では、システム内の2箇所で圧力を測定した。すなわち、圧縮機と圧力チャンバとの間に接続された空気ラインと、飲料分配システムのビールライン(すなわち、タッピングライン)とにおいて測定した。タッピングラインは、出口からタッピング装置まで延びる。出口は、飲料容器の出口または圧力チャンバの飲料出口のいずれかであると理解されたい。これら2つの出口間の距離は、短い距離であり得る。この距離は、飲料容器の出口と圧力チャンバの出口との間に飲料ラインを接続することによって長くすることができる。測定装置は、前記2つ出口のいずれかの近くに配置され得る、すなわち、測定装置は、前記出口間に配置され得る。実験は約19分間続いた。実験の目的は、挙動/事象と飲料システム内の圧力変化との間の相関を実証することであった。圧力センサのサンプリングレートは、20Hzとした。実験の結果は、以下で
図8~
図12に関して概説する。特に、
図8~
図12は同じ実験によるデータを示している。しかしながら、これらの図は、重要な所見を強調するために、データの異なる範囲を表示している。
【0097】
図8は、実験による全データセットを示す。最初の約2.5分の間に、圧力は約3.2バールまで上昇する(空気ラインおよびビールラインの両方において)。2.5分の時点から7.5分の時点まで、タップを開けて、飲料容器から大量の飲料を排出するために、システムから飲料を連続的に分配した。この時間間隔の間、空気ライン内の圧力はビールライン内の圧力よりも大きいが、これは、タップが開放されており、飲料が流れているためである。約7.5分の時点で、タップを閉鎖し、分配動作を中止した。この時点から、システム(圧力チャンバの内部空間およびビールライン)内の圧力は、圧縮機による仕事によって上昇する。空気ラインとビールラインの圧力はほぼ等しいことが分かる。約12分の時点から、
図11により明確に示されるように、飲料容器のビールがなくなる(約18.45分の時点で生じる)まで、一連のタッピング動作(開閉事象)を行った。上述のタッピング動作は、一般に、タッピングヘッドの状態を開放状態から閉鎖状態へ、またはその逆へ変化させる。
【0098】
図9は、
図8に示されているビールライン内の圧力データの選択範囲を示す図である。この図は、約12分の時点から約19分の時点までのデータを示す。この図は、実験中に行われた一連のタッピング動作の拡大図である。高振幅の細いピークは、タッピングヘッドが閉鎖されたときの水撃作用によって生じる。各サイクルの急激な圧力降下は、タッピングヘッドが開放されたときに生じる。
図10は、
図9に示されている圧力データのさらなる拡大図である。
【0099】
図10は、
図8に示されているビールライン内の圧力データの選択範囲を示す。この図は、約13.7分の時点から約14.3分の時点までのデータを示す。この図は、(タッピングヘッドを閉鎖する挙動)、タッピングヘッドを開放する挙動、およびタッピングヘッドを再び閉鎖する挙動を含む1回の分配サイクルの拡大図である。約13.78分の時点で、タッピングヘッドが閉鎖され、ビールライン内の圧力の急激な変化を引き起こす。この時点で発生する鋭いピークは、タッピングヘッドが閉鎖されたときのバルブの急速な閉鎖によって発生する水撃作用の結果である。タップが閉鎖されている間、圧力は、圧縮機による仕事によって、約2.9バールから約3.0バールまで上昇する。約14.0分の時点で、タッピングヘッドが再び開放され、直ちに圧力降下が生じる。圧力降下は、システムが外部(より低い)圧力に対して開放されているために生じ、このことが飲料を流動させる、つまり、高い圧力に関連付けられた位置エネルギーの一部が、タッピングラインを通してタッピングヘッドから外へ流体を押し出す運動エネルギーに変換される。圧力降下の大きさは、飲料の速度の2乗を2gで割ったものに対応する。ここで、gは重力加速度である。タッピングヘッドが開放されている間、圧縮機は飲料分配中に一定の圧力を維持することができないので、圧力は低下する。しかしながら、圧縮機の仕事は、圧力降下に対抗する、つまり、圧力降下の速度は分配動作中に減少する(曲線が平らになる)。約14.2分の時点で、タッピングヘッドが閉鎖される。圧力は、先に降下した量に対応して上昇し、(水撃による)圧力スパイクが再び観察される。したがって、本開示のシステムおよび方法は、例えばビールライン内の圧力を監視することによって、タッピングヘッドの開閉などの挙動を検出することができる。飲料の流量が分かっている場合、1回の注出の分配体積は、前記流量にタッピングヘッドの開放事象と閉鎖事象と間の経過時間を乗じることによって計算され得る。
【0100】
図11は、
図8に示されているビールライン内の圧力データの選択範囲を示す。この図は、約18.35分の時点から約18.60分の時点までのデータを示す。この図は、飲料容器の飲料がなくなった事象の拡大図である。約18.45分の時点で圧力が上昇することが確認されている。しかしながら、タッピングヘッドの閉鎖に関連付けられた急激な圧力変化とは対照的に、飲料容器の空状態に関連付けられた圧力上昇は、それほど急勾配でも急激でもない。後者の圧力変化は、タッピングライン(すなわち、python)内にガスが存在するために生じ、飲料容器に飲料が入っていないことを示す。2つの異なる事象に関連付けられた2つの圧力変化は、性質が異なるものであるため、観察された圧力変化は、特定の事象(例えば、タッピングヘッドの開閉または飲料容器の空状態)に起因し得る。
【0101】
図12は、飲料分配システムの2つの別個の事象に関連付けられた2つのグラフを示しており、前記2つのグラフは、単に例示を目的として同じ図に重ね合わさせて示されている。示されているデータは、
図8~
図11に関して説明した実験で得られたものである。濃いグレーの曲線は、タッピングヘッドが閉鎖された後に圧力が急激に上昇した事象に対応する。明るいグレーの曲線は、飲料容器が空になり、(飲料容器のヘッドスペースからの)ガスがビールライン内に存在している場合に対応する曲線である。2つの異なるタイプの事象に関連付けられた圧力変化は大きく異なることが確認される。タッピングヘッドの閉鎖に関連付けられた圧力変化は、急激に生じる、すなわち、圧力は、短時間で、典型的には1秒未満で、大きく(ここでは0.3バール超)上昇する。したがって、そのような急速なダイナミクス/変化を検出し、事象が発生した正確な時間を検出するために、高いサンプリングレート(少なくとも10Hz)を有する圧力センサを使用することが好ましい。一方、ビールライン内のガスの存在に関連付けられた圧力変化は、タッピングヘッドの開閉に関連付けられた圧力変化よりもはるかに遅い(典型的には1秒を超える)変化であり、さらに典型的には、より小さい変化である。
【0102】
図13は、本開示に係る飲料分配システムを監視する方法の一例を示す図である。該方法は、好ましくは、測定装置またはシステムの他の構成要素の較正から開始され得る。次のステップは、1つまたは複数の物理量(例えば、圧力、温度または他のパラメータ)を測定すること、好ましくは連続的に測定することである。前記物理量は、飲料システム内の1つまたは複数の位置で測定され得る。測定位置の例は、タッピングライン、圧力チャンバの内部空間、空気ラインなどを含む。該方法の次のステップは、測定量の変化を計算すること、好ましくは連続的に計算することである。このステップにおいて、システムは、測定量の変化/差が事前定義された閾値を超えているかどうかを評価する。測定ステップおよび計算ステップは、ループ内で同時に行われてもよく、2つのステップは、特定の事前定義された条件が満たされるまで連続的に繰り返されてもよい。前記条件は、事前定義された閾値と比較した測定量の変化の大きさに関連し得る。
【0103】
以下に、飲料分配システム内で発生する異なるタイプの挙動/事象を検出するために、飲料分配システムを監視するための方法がどのように実装され得るかについて説明する。該システムは、タッピングライン内に配置された圧力センサを備え、前記センサは、前記タッピングライン内に含まれる流体の流体圧力を測定するように構成される。本明細書に記載されている流体の一例は、ビールなどの飲料であり得るが、ガス、または泡のような飲料とガスの組み合わせでもあり得る。圧力センサは、所与のサンプリングレート(例えば、20Hz)で圧力データを取得し、2つの異なる時点で取得された圧力間の圧力差を取得するために、圧力の新しい値を直近の値と連続的に比較する。正の圧力差が所与の事前定義された閾値を超える(圧力上昇に対応する)場合、これは、タッピングヘッドが閉鎖された事象に対応する。逆に、前記圧力差が前述の閾値を超える大きさで負である(圧力降下に対応する)場合、これは、タッピングヘッドが開放された事象に起因し得る。次いで、これらの事象のタイムスタンプを使用して、タッピングヘッドが開放されていた時間間隔を計算することができる。次に、この時間間隔に流量を乗じて、関連する飲料分配事象中の飲料の分配体積を求めることができる。前記圧力差が正(圧力上昇)であるが、指定された閾値未満である場合、これは、典型的には、ガスがタッピングラインに流入し、飲料容器が空状態であることを示している。この例では、該方法の最後のステップは、2つの条件が満たされたときに行われる。つまり、タッピングヘッドが開放状態(t=1)であり、圧力差が0と所与の閾値との間であるという条件である。この場合、飲料容器が空状態であることを示しているので、飲料出口は閉鎖される。該方法は、第2の飲料容器に対して繰り返され得る。
【0104】
図14は、飲料容器の初期体積に対する分配体積の推定不確実性のグラフであり、前記不確実性は、毎秒53ミリリットルの流量であると仮定し、圧潰可能な飲料容器が20リットルの体積を有すると仮定し、タッピング装置の40回の開閉を意味する0.5リットルの提供サイズであると仮定して、一連の分配動作の開始点および終了点を検出するために利用される測定装置のサンプリングレートに対して示されている。グラフから、相対的不確実性は測定装置のサンプリングレートに反比例することが確認される。
【0105】
高いサンプリングレートを有する測定装置を使用することの利点は、測定量のダイナミクス、すなわち、値がどれだけ速く変化するかを捕らえることができるということである。一例は、密閉内部空間内の圧力であり、これは、典型的には1秒未満(1秒以内)の短い時間スケールで急激に変化する(
図12参照)。したがって、測定量のこれらの急速な変化を捕らえて、変化のタイムスタンプを判定するために、高いサンプリングレート、好ましくは少なくとも10Hzのサンプリングレートを有する測定装置を使用することが望ましい。一般に、注出動作の開始および終了の判定が正確であるほど、分配体積の推定がより正確になり、したがって飲料容器の残存体積の推定がより正確になる。一般に、分配体積の不確実性は、サンプリング周波数に反比例し、分配速度に正比例する。この関係は
図14に示されており、
図14は、飲料容器の初期総体積に対する不確実な体積のグラフを示している。不確実性は、より高いサンプリングレートを有する測定装置を使用することによって低下し得る。グラフから、1Hz~10Hzのサンプリングレートでは不確実性が著しく低下することが分かる。したがって、センサのコストも考慮すると、少なくとも10Hzの値が良い選択である。上述の仮定では、10Hzのサンプリングレートを有する測定装置を使用した場合、総分配体積(ひいては残存体積)の不確実性は、初期体積の約2%となる。
【符号の説明】
【0106】
10 飲料分配システム
12 可撓性蓋
14 基部
16 内部空間
18 圧潰可能な飲料容器
20 飲料
22 ヘッドスペース
24 クロージャ
26 コネクタ
28 タッピングライン
30 冷却装置
32 飲料ライン
34 タッピング装置
36 タッピングヘッド
38 タッピングハンドル
40 飲料受容器(グラス)
42 フォント
44 バーカウンタ
56 圧力センサ
58 圧縮機
本開示のさらなる詳細
1.飲料を分配するための飲料分配システムであって、
-接続可能な基部と基部に接続可能な飲料出口を有する圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する蓋とを備える1つまたは複数の圧力チャンバと、
-圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、
-前記基部(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、
-各圧力チャンバのための少なくとも1つの測定装置であって、対応する密閉内部空間、基部、蓋および/または圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの特性を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置と
を備える飲料分配システム。
2.前記測定装置は、アナログセンサ、デジタルセンサ、またはこれらの組み合わせの形態である、項目1に記載の飲料分配システム。
3.前記測定装置は、密閉内部空間内の圧力を監視するように構成された圧力センサを備える、項目1または項目2のいずれかに記載の飲料分配システム。
4.前記測定装置は、タッピングライン内の圧力を監視するように構成された圧力センサを備える、項目1~項目3のいずれかに記載の飲料分配システム。
5.前記測定装置は、密閉内部空間内の温度を監視するように構成された温度センサを備える、項目1~項目4のいずれかに記載の飲料分配システム。
6.前記測定装置は、基部、蓋および/または圧潰可能な飲料容器の加速度/動きを監視するように構成された加速度センサを備える、項目1~項目5のいずれかに記載の飲料分配システム。
7.前記測定装置は、基部、蓋および/または圧潰可能な飲料容器からの音を監視するように構成されるのが好ましい音声センサ、例えば、マイクロホンを備える、項目1~項目6のいずれかに記載の飲料分配システム。
8.前記測定装置は、少なくとも10Hz、より好ましくは少なくとも50Hzのサンプリングレートを有するように構成される、項目1~項目7のいずれかに記載の飲料分配システム。
9.システムは、測定装置(複数可)からのデータを処理および/または分析するように構成される、項目1~項目8のいずれかに記載の飲料分配システム。
10.データを処理するための処理ユニットを備える、項目9に記載の飲料分配システム。
11.システムは、中央サーバおよび/またはクラウドサービスへのネットワーク接続を介して、測定装置(複数可)からのデータを処理するように構成される、項目1~項目10のいずれかに記載の飲料分配システム。
12.測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによって、システム内の挙動を検出するように構成される、項目9~項目11のいずれかに記載の飲料分配システム。
13.挙動は、1つのタッピングヘッドの動作、特定のタッピングヘッドの動作、タッピングライン内の飲料の流れ、特定の飲料ライン内の飲料の流れ、特定の圧力チャンバの開放、加圧ユニットの動作、特定の圧潰可能な飲料容器の圧潰、および特定の圧潰可能な飲料容器の最終圧潰からなる群から選択される、項目12に記載の飲料分配システム。
14.基部、蓋、タッピングライン、および/または対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間の条件および/または状態の変化に関連付けられた測定物理量の変化を検出するように構成され、前記検出された変化は、飲料分配システムの事象の結果である、項目1~項目13のいずれかに記載の飲料分配システム。
15.事象の種類は、測定物理量の検出された変化に基づいて判定され得る、項目14に記載の飲料分配システム。
16.事象は、1つのタッピングヘッドの動作または特定のタッピングヘッドの動作である、項目14または項目15のいずれかに記載の飲料分配システム。
17.基部、蓋、および/または対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間の条件および/または状態の1秒以内の変化との相関によって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するように構成される、項目9~項目13のいずれかに記載の飲料分配システム。
18.基部、蓋、および/または対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間の条件および/または状態に関連付けられた測定物理量の1秒以内の変化を検出するように構成され、前記1秒以内の変化は、特定のタッピングヘッドの動作と相関する、項目1~項目17のいずれかに記載の飲料分配システム。
19.対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間内の圧力変化との相関によって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するように構成される、項目9~項目17のいずれかに記載の飲料分配システム。
20.対応する飲料容器の圧潰の音との相関によって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するように構成される、項目9~項目19のいずれかに記載の飲料分配システム。
21.特定のタッピングヘッドの検出された動作と相関させることによって、システム内の飲料タッピング動作の注出体積を判定するように構成される、項目9~項目20のいずれかに記載の飲料分配システム。
22.1)対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間内の圧力変化との相関によって特定のタッピングヘッドの作動および停止を検出し、および2)前記タッピングヘッドの作動と停止との間の経過時間を判定するように構成される、項目9~項目21のいずれかに記載の飲料分配システム。
23.前記タッピングヘッドの作動と停止との間の経過時間をシステム内の事前定義されたおよび/または一定の飲料流量と相関させることによって、タッピングヘッド動作の注出体積を判定するように構成される、項目22に記載の飲料分配システム。
24.飲料分配中の密閉内部空間内の圧力変化と相関させることによって、飲料流量を推定するように構成される、項目9~項目23のいずれかに記載の飲料分配システム。
25.前記飲料容器の飲料タッピングごとの注出体積を判定し、飲料容器の初期飲料体積と相関させることによって、圧潰可能な飲料容器の残存体積を判定するように構成される、項目21~項目24のいずれかに記載の飲料分配システム。
26.対応する圧力チャンバ内で測定された、または対応する圧力チャンバから測定された音、例えば、対応する圧力チャンバ内で測定された、または対応する圧力チャンバから測定された事前定義の音パターンとの相関によって、特定の飲料容器の圧潰を検出するように構成される、項目9~項目25のいずれかに記載の飲料分配システム。
27.対応する圧力チャンバ内で測定された、または対応する圧力チャンバから測定された音、例えば、対応する圧力チャンバ内で測定された、または対応する圧力チャンバから測定された事前定義の音または音パターンとの相関によって、特定の飲料容器の最終圧潰を検出するように構成される、項目9~項目26のいずれかに記載の飲料分配システム。
28.前記飲料容器の最終圧潰を検出することによって、特定の飲料容器が空になったことを判定するように構成される、項目9~項目27のいずれかに記載の飲料分配システム。
29.前記少なくとも1つの監視された特性の変化を検出することができるように、測定装置からのデータの一次導関数、二次導関数および/または三次導関数を計算するように構成される、項目1~項目28のいずれかに記載の飲料分配システム。
30.タッピングラインは、複数の飲料ラインを備え、各々の飲料ラインは、特定の飲料の種類に対応し、タッピング装置のタッピングヘッドと協働するように適合され、各々のタッピングヘッドは、前記飲料の種類に対応する、項目1~項目29のいずれかに記載の飲料分配システム。
31.圧潰可能な飲料容器は、システムの一部であり、前記圧潰可能な飲料容器の各々は、飲料充填空間、ガス充填ヘッドスペース、および前記飲料充填空間から前記飲料を抽出するために前記飲料充填空間と連通した飲料出口を画定する、項目1~項目30のいずれかに記載の飲料分配システム。
32.各々の圧力チャンバは、前記タッピングヘッドのうちの1つを対応する圧潰可能な飲料容器の飲料出口に接続するための飲料容器コネクタを備える、項目1~項目31のいずれかに記載の飲料分配システム。
33.システムは、測定された物理量の1秒以内の変化を検出するように構成される、項目1~項目32のいずれかに記載の飲料分配システム。
34.システムは、各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入する少なくとも2つの圧力チャンバを備える、項目1~項目33のいずれかに記載の飲料分配システム。
35.各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムを監視する方法であって、
-少なくとも10Hz、好ましくは少なくとも50Hzのサンプリングレートで、前記圧力チャンバ、対応する密閉内部空間、および/または対応する圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの特性を測定するステップと、
-前記測定された特性を表すデータを連続的に分析するステップと、
-前記測定された特性の1秒以内の変化を飲料分配システム内の挙動と相関させるステップと
を含む方法。
36.挙動は、1つのタッピングヘッドの動作、特定のタッピングヘッドの動作、タッピングライン内の飲料の流れ、特定の飲料ライン内の飲料の流れからなる群から選択される、項目35に記載の方法。
37.対応する飲料容器に隣接する密閉内部空間内の圧力変化との相関によって、特定のタッピングヘッドの動作を検出するステップを含む、項目35に記載の方法。
38.各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムを監視する方法であって、
-少なくとも10Hzのサンプリングレートを有する測定装置を使用して、密閉内部空間に含まれるガスの圧力を連続的に測定するステップと、
-圧力の急激な変化を検出するために圧力データを連続的に分析するステップと、
-圧力変化を飲料分配システム内の挙動と相関させるステップと
を含む方法。
39.各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムから分配される飲料の分配体積を推定する方法であって、
-少なくとも10Hzのサンプリングレートを有する測定装置を使用して、密閉内部空間に含まれるガスの圧力を連続的に測定するステップと、
-タッピングヘッドの作動に関連付けられた圧力変化を検出するために圧力データを連続的に分析するステップと、
-2つのそのような圧力変化間の経過時間を測定するステップと、
-前記時間にタッピングライン内の飲料の流量を乗じることによって、システムから分配される飲料の分配体積を推定するステップと
を含む方法。
40.測定装置は圧力センサである、項目39または項目40のいずれかに記載の方法。
41.圧力データは、分析ステップ中に2回微分され、圧力変化は、圧力の二次導関数のピークを観察することによって検出され、前記ピークは、事前定義された閾値を超える、項目39に記載の方法。
42.各々が圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する1つまたは複数の圧力チャンバと、圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、圧力チャンバ(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインとを備える飲料分配システムを監視する方法であって、
-タッピングライン内の流体の圧力を連続的に測定するステップと、
-システムの事象に関連付けられた圧力変化を検出するために、圧力データを連続的に分析するステップと、
-一定の事前定義された閾値を超える圧力変化を飲料分配システムの特定の事象と相関させるステップと
を含む方法。
43.事象は、飲料容器の空状態に関連する、項目42に記載の方法。
44.飲料を分配するための飲料分配システムであり、
-接続可能な基部と基部に接続可能な飲料出口を有する圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密閉内部空間を画定する蓋とを備える1つまたは複数の圧力チャンバと、
-圧潰可能な飲料容器(複数可)から飲料を抽出するための1つまたは複数のタッピングヘッドを備えるタッピング装置と、
-前記基部(複数可)から前記タッピング装置まで延びるタッピングラインであって、1つまたは複数の飲料ラインを備えるタッピングラインと、
-各圧力チャンバのための少なくとも1つの測定装置であり、対応する密閉内部空間、基部、蓋および/または圧潰可能な飲料容器の少なくとも1つの物理量を監視するように構成された少なくとも1つの測定装置であって、少なくとも10Hzのサンプリングレートを有するように構成された測定装置と
を備える飲料分配システムであって、
i.測定装置(複数可)からのデータを処理し、
ii.測定装置(複数可)からのデータを連続的に分析することによって、システム内の事象を検出する
ように構成される飲料分配システム。
前記測定装置は、密閉内部空間内および/またはタッピングライン内の圧力を監視するように構成された圧力センサを備える、項目44に記載の飲料分配システム。
45.1秒以内の圧力変化を検出することができる、項目38~項目44のいずれかに記載の方法。
46.特定のタッピングヘッドの動作は、前記圧力変化に基づいて判定され得る、項目38~項目45のいずれかに記載の方法。
47.蓋の状態の変化は、前記圧力変化に基づいて判定され得る、項目38~項目46のいずれかに記載の方法。
48.飲料容器の空状態および/または圧潰は、タッピングラインに含まれる流体の圧力変化を分析することによって検出され得る、項目38~項目47のいずれかに記載の方法。
【国際調査報告】