(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】連続気泡発泡金属熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20220325BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/08 301B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547104
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020018009
(87)【国際公開番号】W WO2020168012
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519399497
【氏名又は名称】イーアールジー エアロスペース コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ホール、ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】シャッファーツィック、デンバー
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA16
3L103BB20
3L103BB22
3L103CC08
3L103CC10
3L103DD15
(57)【要約】
構造が連続的な流れ場全体にわたって流体および/または空気を分配する流体チャネルを使用する、連続気泡発泡金属熱交換器を強化する方法が提示される。熱交換器は、要求される圧力降下を考慮して熱伝達特性を改善するだけでなく、航空および宇宙産業に対する大容量スループット要件を満たすように大量生産できる低コストのソリューションを製造する必要性も考慮に入れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.不浸透性のハウジング容器と、
b.少なくとも2つの隣接するパネルの組み合わせであって、各々のパネルは、
i.不浸透性基体と、
ii.間膜および細孔から構成される気泡を含む連続気泡発泡金属の領域と、
iii.流体入口と、
iv.流体出口と、
v.任意選択で、少なくとも1つの流体チャネルとを含む、少なくとも2つの隣接するパネルの組み合わせと
を備える、連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項2】
各々のパネルは、前記隣接するパネルと同じ端部に位置する前記流体入口を有する、請求項1に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項3】
各々のパネルは、前記隣接するパネルと同じ端部に位置する前記流体出口を有する、請求項1に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項4】
各々のパネルは、前記隣接するパネルとは反対側の端部に位置する前記流体入口を有する、請求項1に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項5】
各々のパネルは、前記隣接するパネルとは反対側の端部に位置する前記流体出口を有する、請求項1に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項6】
前記連続気泡発泡金属の領域は、乱流および層流の流体の流れを強化するための間膜形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項7】
前記連続気泡発泡金属は、40細孔/インチ(PPI)および7~8%の相対密度を有し、圧縮可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項8】
前記連続気泡発泡金属はDUOCEL(登録商標)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器。
【請求項9】
流体の流れの場を組み合わせて改善された熱伝達性能を作り出すステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器の製造方法。
【請求項10】
a.前記組み合わせのうちの第1のパネルに第1の液体を挿入するステップと、
b.前記連続気泡発泡金属の前記領域を通して前記第1の液体を移動させ、前記第1のパネルから前記第1の液体を取り除くステップと、
c.前記組み合わせのうちの第2のパネルに第2の液体を挿入するステップと、
d.前記連続気泡発泡金属の前記領域を通して前記第2の液体を移動させるステップと、
e.前記第2のパネルから前記第2の液体を取り除くステップとを含み、
前記第2の液体の流れは、前記第1の液体の流れと反対方向であり、前記第1の液体と前記第2の液体との間で熱交換される、請求項1~9のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器を使用する方法。
【請求項11】
前記組み合わせは、前記第2のパネルに隣接する前記第1のパネルを含む、請求項10に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器を使用する方法。
【請求項12】
前記組み合わせは、一連の第1および第2のパネルを含む、請求項10または11に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器を使用する方法。
【請求項13】
前記第1の液体は低温液体であり、前記第2の液体は高温液体である、請求項10~12のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器を使用する方法。
【請求項14】
前記第1の液体は燃料であり、前記第2の液体は油である、請求項10~13のいずれか一項に記載の連続気泡発泡金属向流熱交換器を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器の技術分野に関するものである。より具体的には、本発明の実施形態は、連続気泡(オープンセル)発泡金属を利用する低コストの高性能熱交換器に向けられている。
【背景技術】
【0002】
連続気泡発泡金属材料には多くの用途がある。これらの材料は、熱交換器ソリューションとして設計および製造されている。連続気泡発泡金属熱交換器アプリケーションの主な用途は、高性能と軽量要件が必要なため、主に航空および宇宙市場区分内にある。製品が熱交換器として使用された例には、衛星ミラー、航空機のコンピューターヒートシンク、商業宇宙遠征、電力供給された電子機器冷却、NASAのヨーロッパ火星探査車が含まれる。
【0003】
連続気泡発泡金属材料は、一般的に基材合金の特性を引き継ぐ構造を有する。これらの基材合金は通常、アルミニウム、銅、亜鉛、およびその他の高融点金属などの低温合金からなる。連続気泡発泡構造の利点は、材料が大きな表面積と優れた強度対重量比を提供することである。独立気泡発泡とは異なり、気体、液体、およびその他の媒体は、材料の開いた細孔を通過することができる。これにより、この材料は、相変化熱交換器、空気/液体冷却式熱交換器、空気から空気への熱交換器、液体から液体への熱交換器、冷却板、および大きな表面積と透過性の格子構造を利用したその他の多くの熱伝達アプリケーションとして使用するのに理想的とすることができる。
【0004】
化学蒸着(CVD)タイプのプロセスを使用して製造される連続気泡発泡材料は、添加剤材料のベースとしてホスト構造を利用する。これらのホスト構造は、通常、プラスチックであるか、またはCVD添加剤と同じ組成をもたない他の材料である。その結果、CVDタイプで製造された発泡体は中空と見なされ、断面積が大幅に小さくなるため、熱還元特性が低下する。この材料の欠点は、CVDタイプの材料の性能を低下させ、CVDタイプのプロセスなしで製造された連続気泡発泡金属が遭遇しない制限を示す。
【0005】
3D印刷を含む他の積層造形プロセスは、同様の欠点を有する。ほとんどの3D印刷技術は、層間にすべり面を作成する。その結果、積層造形プロセス中の一貫性のない温度プロファイルは、そのような劣化した境界層効果を生み出す。これらの要因により、熱性能が低下する。
【0006】
1967年以来ERG Aerospaceによって製造されたDUOCEL(登録商標)は、CVDまたは他のそのような積層造形プロセスなしで製造された連続気泡発泡金属の一例である。特許文献1に記載されているように、製造は、発泡体として機能する、最終製品に所望のパターンを有する網状ポリウレタンなどの市販の従来の発泡体から始まる。従来の発泡体は、焼き石膏などの型材料に埋め込まれ、プラスチック発泡体の中および周囲に固体構造を形成するように固定される。次に、この構造体を加熱してプラスチック発泡体を揮発させて排出し、発泡体の元の構成に対応する空隙を型内に残す。次に、溶融金属を型内の空隙に流し込み、型構造を洗い流す前に冷却して固める。得られる発泡金属は、一体的に形成された固体金属間膜と、隣接する気泡を接続する細孔を備えた連続気泡との網状構造である。中実の金属間膜構造は、積層造形プロセスから形成された中空間膜と比較して改善された特性を提供する。連続気泡発泡体を圧縮して、表面積対体積比をさらに高めることもできる。このタイプの圧縮は、CVDまたは積層造形された発泡構造では不可能である。
【0007】
DUOCEL(登録商標)を含む連続気泡発泡金属材料は、様々な細孔サイズで製造される。これらのサイズには、5細孔/インチ(PPI)、10PPI、20PPI、および40PPIが含まれる。異なる細孔サイズを有することの利点は、熱交換器の圧力降下要件と熱性能に基づいて、材料を様々な用途に最適化できることである。一例として、高い圧力降下がエンドユーザーの主要な要件である場合、40PPIの材料を選択して、より大きな表面積を考慮して、適切な圧力降下を提供できる。逆に、5PPIの材料では、圧力降下はより少ないが、より低い性能につながるより少ない熱伝達を有する。したがって、選択した特定の連続気泡発泡金属材料には、圧力降下と熱伝達性能に関する考慮事項がある。
【0008】
上記の細孔サイズの各々に対して、DUOCEL(登録商標)を含む連続気泡発泡金属材料の相対密度を制御することも可能である。言い換えれば、連続気泡発泡金属の個々の間膜に材料を追加して、相対密度範囲を作成することが可能である。一例として、5PPIの連続気泡発泡金属片を個々の間膜レベルで変更して、相対密度の範囲をどこでも(固体合金の重量または金属の体積分率に対して)3~20%の相対密度を達成することができる。相対密度は、PPIと同様に、エンドユーザーの要件を満たすように設計パラメーターとして変更できる。この設計のカスタマイズにより、連続気泡発泡金属はさらに、顧客の正確な圧力降下と熱性能の基準を満たすことができる。
【0009】
DUOCEL(登録商標)などのいくつかの連続気泡発泡金属材料は何年も前から入手可能であり、カスタマイズして高性能熱交換器を作成できるが、このような改良された熱交換器の設計および製造に関連するコストにより、製品はより安価なピンフィンスタイルの熱交換システムと比べてより望ましいものではなくなってしまった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【0011】
したがって、DUOCEL(登録商標)などの高性能で手頃な価格の製造の両方に適した連続気泡発泡金属材料から熱交換器を開発する必要がある。そうすることで、そのような材料の使用が拡大し、ジェットエンジン、自動車、および最適な製造可能性によって高い需要が達成され得る電子冷却構造が含まれるようになる。そうすることで、そのような材料は、高い需要スループットが達成され得る航空および宇宙市場区分で現在利用可能な3D印刷構造、CVDタイプ、およびピンフィンタイプの熱交換器と直接競合することもできる。
【0012】
さらに、異なるエネルギーレベル要件に対する圧力降下を考慮して、設計がモジュール式である熱伝達性能を改善する必要がある。言い換えると、熱交換器の設計は、流体と空気の両方の幅広い様々な異なるエネルギーレベルに対応するように拡張可能である。これには、1キロワットのエネルギー除去システム、2キロワットのエネルギー除去システム、3キロワットのエネルギー除去システム、およびそれ以上のものの設計が含まれる。
【0013】
本発明のさらなる目的は、真空ろう付け、浸漬ろう付け、または鋳造技術を使用して大量生産することができる、DUOCEL(登録商標)などの連続気泡発泡金属材料から熱交換器を作成することである。これらの標準的な技術は、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、チタン、およびその他の一般的で新しい熱伝達合金に使用できる。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、DUOCEL(登録商標)などの連続気泡発泡材料の流れ場全体にわたって流体の分配を可能にする流路を製造する方法を提供することである。これらの流路は、圧力降下を低減しながら材料被覆率を確実に向上させるが、長さ全体にわたる圧力降下の考慮事項に対処するように設計される。
【0015】
本発明のさらなる目的は、各々の流れ場が、所与の圧力降下および熱伝達要件に固有の、DUOCEL(登録商標)などの連続気泡発泡金属材料の使用を含む、交差路流れ場を使用することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、個々の間膜構造の形状を考慮して、乱流場と層流場が粘度およびレイノルズ数を考慮して、個々の間膜を横切る流れを改善することである。
【0017】
本発明は、本明細書の以下に与えられる詳細な説明および例示としてのみ与えられ、したがって本発明を限定するものではない添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】圧力降下を考慮した、熱伝達のための連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)の斜視図である。
【
図1B】高温パネル(2)と低温パネル(3)の組み合わせが向流熱交換器を作成するために組み合わされた、連続気泡発泡金属パネル(4)の組み合わせを示す斜視図である。
【
図2A】燃料および油の入力および出力の方向の一実施形態を示す、連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)の上面図である。
【
図2B】高温流体の入口(5)および出口(6)が示されている、個々の高温パネル(2)の上面図である。
【
図2C】低温流体の入口(7)および出口(8)が示されている、個々の低温パネル(3)の上面図である。
【
図3】間膜(16)および細孔(17)構造を示す、緻密化前の相対密度連続ワンピース不溶性網状連続気泡発泡材料の単一気泡(15)の斜視図である。
【
図4】間膜(16)および細孔(17)構造を示す、特定の圧力降下を考慮して熱伝達が改善された、緻密化後の相対密度連続ワンピース不溶性網状連続気泡発泡材料からの気泡(15)の斜視図である。
【
図5】層流および乱流の選択肢を考慮して流体の流れについて考慮される個々の間膜の異なる形状を示すチャートであり、サイズバーは1mmである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、いくつかの図全体で同じまたは類似の要素を識別するために同じ符号を使用する添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。図面は、符号の方向の向きで見られるべきであることに留意すべきである。
【0020】
また、実施形態は液体の流れを示しているが、高温ガスと低温ガスとの間の熱交換も想定され、本発明に含まれる。したがって、本発明は液体に限定されると見なされるべきではない。
【0021】
図1Aは、圧力降下を考慮した、熱伝達のための連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)を示している。
図1Bは、熱交換器(1)の構造の垂直断面を示しており、熱交換器(1)は、不浸透性容器(10)に封入された少なくとも1つの高温パネル(2)と少なくとも1つの低温パネル(3)の組み合わせ(4)から構成される。不浸透性容器(10)は、適切な熱安定性物質で作ることができる。いくつかの実施形態では、連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)の不浸透性容器(10)は、A.B.S.(アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレン)、アセテート、アクリル(例えば、ACRYLITE(登録商標)、LUCITE(登録商標)、プレキシガラスなど)、セラミックス(例えば、MACOR(登録商標)、アルミナなど)、DELRIN(登録商標)、エポキシ/グラスファイバー、FEP、グラスファイバーラミネート、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、KAPTON(登録商標)、KAPTREX(登録商標)、KYNAR(登録商標)、メラミン、MELDIN(登録商標)7001、マイカ、ネオプレン、NOMEX(登録商標)、NORYL(商標名)、ナイロン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、P.E.T.G.、フェノール、PFA(パーフルオロアルコキシ)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリウレタン、TEFLON(登録商標)、ポリ塩化ビニル、REXOLITE(登録商標)1422および2200、RYTON(登録商標)、シリコーン/グラスファイバー、シリコーンゴム、TECHTRON(登録商標)、ULTEM(登録商標)、VESPEL(登録商標)SP-1を含むがこれらに限定されない断熱特性を有する熱安定性物質から作られる。いくつかの実施形態では、金属および金属合金(例えば、アルミニウム、銅、真ちゅう、鋼、青銅など)などの効率的な熱伝達が可能な材料が好ましい。しかしながら、さらに他の実施形態では、ステンレス鋼、鉄とクロムの合金、鉛、およびチタンなどの金属が好ましい。
【0022】
図示の実施形態では、燃料などの低温液体は、不浸透性バリア(11)によって高温パネル(2)から分離されている低温パネル(3)の外縁に沿ってチャネル(12)に入り、次に、連続気泡発泡金属構造(9)を通り抜けてから、連続気泡発泡金属構造(9)の他方の側に位置するチャネル(13)に出る。同時に、または時間的に近接して、油などの高温の液体が、高温パネル(2)の外縁に沿ってチャネル(12)に入り、冷却パネル(2)を通って流れる液体として反対方向に連続気泡発泡金属構造(9)を通り抜けてから、連続気泡発泡金属構造(9)の他方の側にあるチャネル(13)に出る。
【0023】
図2Aは、上から見たときの、連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)の不浸透性容器の一実施形態の液体の流れを示している。ここで、高温の液体(例えば、油)は、熱交換器(1)の一端の外側の角で連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)に入り、熱交換器(1)の反対側の面の反対側の端部で出る。同様に、低温液体(例えば、燃料)は、高温液体用の入口と同じ端部の反対側の角から連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)に入り、高温液体用の出口と同じ端部の反対側の角から出る。他の実施形態では、高温液体用の入口は、低温液体用の出口と同じ面の反対側の角に配置され、高温液体用の出口は、低温液体用の入口と同じ面の反対側の角に配置される。
【0024】
図2Bは、個々の高温パネル(2)を示し、
図2Cは、個々の低温パネル(3)を示している。高温パネル(2)と低温パネル(3)の各々は、不浸透性基体(12)を有する。不浸透性基体に適した材料には、金属および金属合金(例えば、アルミニウム、銅、真ちゅう、鋼、青銅など)などの効率的な熱伝達が可能な熱安定性物質が含まれる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ステンレス鋼、鉄とクロムの合金、鉛、およびチタンなどの金属が好ましい。DUOCEL(登録商標)などの連続気泡金属発泡材料(9)は、不浸透性基体上に配置されている。連続気泡金属発泡材料は、熱安定性であり、効率的な熱伝達が可能であり、通常、アルミニウム、炭素、銅、白金、炭化ケイ素、および亜鉛を含むがこれらに限定されない低温合金で作られる。連続気泡金属発泡材料は、流体が入口(5、7)を通ってパネルに入り、連続気泡金属発泡材料(9)に流入し、出口(6、8)でパネルを出る前に連続気泡金属発泡材料(9)を通過しなければならないように、不浸透性基体上に配置される。いくつかの実施形態では、連続気泡金属発泡材料(9)は、パネルの不浸透性基体(11)、不浸透性容器(10)、気泡金属発泡材料(9)と、上方のパネルの不浸透性基体(11)または連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)を収容する不浸透性容器(10)の上部のいずれかとの間に開放空間(12、13)が存在するように、不浸透性基体の中心に置かれる(
図1Bを参照)。他の実施形態では、流体入口(5、7)は、連続気泡金属発泡材料(9)に直接入る。
【0025】
図3は、緻密化前の相対密度連続ワンピース不溶性網状連続気泡発泡材料(9)の気泡(15)の構造を示している。通常、各々の気泡(10)は、3次元の14ファセット多面体(テトラカイデカヘドロン)構造である。各々の気泡(10)は、細孔(17)を作成する間膜(16)によって画定される。しかしながら、間膜(16)は相互接続されているため、各々の細孔(17)は少なくとも2つの気泡(15)のコンポーネントである。したがって、結果として得られる構造は、3つの方向すべてで同一であり、等方性と見なされる。
その結果、すべての細孔(17)が相互接続されているため、流体は連続気泡発泡材料(9)に自由に出入りして通過することができる。
【0026】
図4は、緻密化後の相対密度連続ワンピース不溶性網状連続気泡発泡材料(9)の単一気泡(15)を示している。相対密度は、
図5に示されるように、間膜(16)の断面形状を制御する。
図5に見られるように、連続気泡金属発泡材料(9)の細孔の数は一定のままであるが、間膜(16)の断面形状は、相対密度に応じて変化する。低密度(例えば、3~5%)から高密度(例えば、11~13%)に移行すると、間膜は角が鋭い三角柱の形状から推移して、角が丸い中間の三角柱を通って、最終的にほぼ完全な円筒形になる。
【0027】
現在、熱交換器の熱設計時の圧力降下の管理は重要な問題である。理想的には、計算された圧力降下は許容圧力降下の範囲内であり、可能な限りそれに近いものである。本発明では、流体の流れは、圧力降下を低減しながら、材料被覆率の向上を提供する、DUOCEL(登録商標)などの連続気泡発泡金属材料の領域を通過する。高温流体と低温流体との交差場の流れにより、特に粘度とレイノルズ数を考慮して乱流場と層流場が異なる状況において、細孔数と間膜形状を正確に選択して性能を向上させることができる。高圧システムの場合、40細孔/インチ(PPI)および7~8%の相対密度を有し、圧縮性のある連続気泡金属発泡体を使用すると、改善された結果が得られる。
【0028】
連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)は、当技術分野で知られている標準的な真空ろう付け、浸漬ろう付け、および/または鋳造技術を使用して低コストで製造することができる。本発明の連続気泡発泡金属向流熱交換器(1)は、ジェットエンジン、自動車エンジン、および電子冷却構造での使用に適している。
【国際調査報告】