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特表2022-520799改善された組織特異性を有する前立腺特異的膜抗原(PSMA)リガンド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】改善された組織特異性を有する前立腺特異的膜抗原(PSMA)リガンド
(51)【国際特許分類】
   C07K 4/00 20060101AFI20220325BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20220325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220325BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220325BHJP
   A61K 103/10 20060101ALN20220325BHJP
   A61K 103/20 20060101ALN20220325BHJP
   A61K 103/32 20060101ALN20220325BHJP
   A61K 103/34 20060101ALN20220325BHJP
   A61K 103/00 20060101ALN20220325BHJP
【FI】
C07K4/00
A61K51/08 100
A61K51/08 200
A61P35/00
A61P35/04
A61K103:10
A61K103:20
A61K103:32
A61K103:34
A61K103:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547181
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2020053925
(87)【国際公開番号】W WO2020165420
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】19157214.8
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512127143
【氏名又は名称】ルプレヒト-カールス-ウニベルジテート ハイデルベルク
(71)【出願人】
【識別番号】512113803
【氏名又は名称】ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エデル,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】バランスキー,アン-クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンフット,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーベルコルン,ウーヴェ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZB261
4C085HH03
4C085KB02
4C085KB07
4C085KB08
4C085KB09
4C085KB11
4C085KB12
4C085KB15
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA14
4H045BA15
4H045BA50
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は、式(1)の化合物、並びに前記化合物及び放射性核種を含む錯体、並びにそれぞれの医薬組成物に関し、該化合物は、以下の構造、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を有し、式中、R1は、H又は-CH3、好ましくはHであり、R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、qは0~3の整数であり、n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、n+m+p > 0である。さらに、本発明は、PSMA発現がん、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置、寛解又は防止する際の使用のための、化合物、錯体、及び医薬組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
(式中、R1は、H又は-CH3、好ましくはHであり、
R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、
Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、
Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、
qは、0~3の整数であり、
n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、
n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、
n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、
n+m+p > 0である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
Aが、
【化2】
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、少なくとも2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、2~20、好ましくは2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Q1が、好ましくは、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ナフチルメチル、フェニルメチル、ビフェニルメチル、インドリルメチル及びベンゾチアゾリルメチルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくは、Q1が、
【化3】
からなる群から選択され、好ましくは、Q1
【化4】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R3、R2及びR4が-CO2Hであり、R1がHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Q2が、
【化5】
であり、好ましくは
【化6】
である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、正荷電アミノ酸が互いに独立して、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ホモアルギニン、3及び4置換アルギニン類似体、N(デルタ)-メチル-アルギニン(デルタMA)、カナバニン、カナバニンの置換類似体、α-アミノ-β-グアニジノプロピオン酸、γ-グアニジノ酪酸、シトルリン、3-グアニジノプロピオン酸、4-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ブタン酸、6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、アルギニンヒドロキサメート、アグマチン(CAS番号:2482-00-0)、並びにNG-メチル-アルギニンからなる群から選択され、好ましくは、塩基性アミノ酸が互いに独立して、リジン(K)、ヒスチジン(H)及びアルギニン(R)からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、負荷電アミノ酸が互いに独立して、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)からなる群から選択され、好ましくは、酸性アミノ酸が互いに独立して、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
(a)放射性核種、及び
(b)請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体。
【請求項11】
放射性核種が、889Zr、44Sc、111ln、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、52Fe、59Fe、及びPbの放射性核種(例えば、203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される、請求項10に記載の錯体。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物又は請求項10若しくは11に記載の錯体を含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬における使用のための、好ましくは、PSMA発現がん、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置又は防止するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項10若しくは11に記載の錯体、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
診断薬における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項10若しくは11に記載の錯体、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
がんの、好ましくはPSMA発現がんの、特に前立腺がん及び/又はその転移の診断における使用のための、請求項14に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、放射性医薬品、並びに核医薬におけるトレーサー、画像化剤としての並びにPSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の様々な疾患状態の処置のためのそれらの使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺がん(PCa)は、US及びヨーロッパの人々における主要ながんである。西半球において少なくとも1~200万人の男性が前立腺がんを患い、疾患は55歳~85歳の間の6人に1人の男性を襲うと推定される。USAにおいて各年に診断された前立腺がんの新たな症例が300,000超ある。該疾患からの死亡率は、肺がんに次いで第2位である。現在、解剖の高解像度を有する画像化方法、例えばコンピューター断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)画像化及び超音波は、前立腺がんの臨床的な画像化に対して優位である。現在、推定で年間20億ドルが、外科手術的、放射線、薬物治療及び最小侵襲処置に対して世界的に費やされている。しかしながら、目下、再発性、転移性、アンドロゲン非依存性の前立腺がんのための有効な治療がない。
【0003】
現在、様々な実験的な低分子量PCa画像化剤が、放射標識化されたコリン類似体[18F]フルオロジヒドロテストステロン([18F]FDHT)、抗-1-アミノ-3-[18F]フルオロシクロブチル-1-カルボン酸(抗[18F]F-FACBC、[11C]アセテート及び1-(2-デオキシ-2-[18F]フルオロ-L-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル(-[18F]FMAU)を含めて臨床的に追求されているところである(Scher, B.ら、Eur J Nucl Med Mol Imaging 2007、34、45~53; Rinnab, Lら、BJU Int 2007、100、786,793; Reske, S.N.ら、J Nucl Med 2006、47、1249~1254; Zophel, K.、Kotzerke、J. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2004、31、756~759; Vees, H.ら、BJU Int 2007、99、1415~1420; Larson, S. M.ら、J Nucl Med 2004、45、366~373; Schuster, D.M.ら、J Nucl Med 2007、48、56~63; Tehrani, O.S.ら、J Nucl Med 2007、48、1436~1441)。各々は、異なる機序によって作用し、ある特定の利点、例えば、[11C]コリンについて低い尿排泄、及び不利な点、例えばポジトロン放出放射性核種の短い物理的半減期を有する。
【0004】
腫瘍は、それらの悪性表現型と関連する独特のタンパク質を発現し得る、又は正常細胞よりも多くの数において正常の構成タンパク質を過剰発現し得ることがよく知られている。腫瘍細胞の表面上での異なるタンパク質の発現は、腫瘍の表現型同一性並びに生化学的組成及び活性を探索することによって、疾患を診断及び特徴付ける機会を提供する。特定の腫瘍細胞表面タンパク質に選択的に結合する放射性分子は、非侵襲的条件下で腫瘍を画像化及び処置するための魅力的な経路を提供する。低分子量画像化剤の有望な新たなシリーズは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的化する(Mease R.C.ら、Clin Cancer Res. 2008、14、3036~3043; Foss, C.A.ら、Clin Cancer Res 2005、11、4022~4028; Pomper, M.G.ら、Mol Imaging 2002、1、96~101 ; Zhou, J.ら、Nat Rev Drug Discov 2005、4、015~1026; WO 2013/022797)。
【0005】
PSMAは、PCaの表面上で、特にアンドロゲン非依存性の進行型及び転移性疾患において、豊富な及び制限された発現を有する膜貫通750アミノ酸II型糖タンパク質である(Schulke, N.ら、Proc Natl Acad Sci U S A 2003、100、12590~12595)。後者は、ほとんど全てのPCaが経時的にアンドロゲン非依存性になるので重要である。PSMAは、治療のための有望な標的の基準を有する(Schulke, N.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 2003、100、12590~12595)。PSMA遺伝子は、第11染色体の短腕上に位置し、フォレートヒドロラーゼ及びニューロペプチダーゼの両方として機能する。それは、グルタメートカルボキシペプチダーゼII(GCPII)と同等であるニューロペプチダーゼ機能を有し、「脳PSMA」と称され、N-アセチルアスパルチルグルタメート(NAAG)をN-アセチルアスパルテート(NAA)及びグルタメートに切断することによって、グルタミン酸作動性伝達をモジュレートすることができる(Nan, F.ら、J Med Chem 2000、43、772~774)。1個のがん細胞当たり最大106個のPSMA分子があり、それを、放射性核種ベースの技法を用いる画像化及び治療のための理想的な標的としてさらに示唆している(Tasch, J.ら、Crit Rev Immunol 2001、21、249~261)。
【0006】
PROSTASCINT(登録商標)走査として知られている抗PSMAモノクローナル抗体(mAb) 7E11の放射性免疫コンジュゲートは、現在、前立腺がん転移及び再発を診断するために使用されている。しかしながら、この薬剤は、解釈するのが困難である画像を生成する傾向がある(Lange, P.H. PROSTASCINT scan for staging prostate cancer。Urology 2001、57、402~406; Haseman, M.K.ら、Cancer Biother Radiopharm 2000、15、131~140; Rosenthal, S.A.ら、Tech Urol 2001、7、27~37)。より近年には、PSMAの細胞外ドメインに結合するモノクローナル抗体が開発されており、放射標識化され、動物におけるPSMA陽性前立腺腫瘍モデル中に蓄積することが示されている。しかしながら、モノクローナル抗体を使用する診断及び腫瘍検出は、固形腫瘍におけるモノクローナル抗体の低い浸透性によって制限されている。
【0007】
画像化又は治療のいずれか目的での、放射性医薬品を用いるがん細胞の選択的標的化は、困難である。様々な放射性核種は、111In、90Y、68Ga、177Lu、99mTc、123I及び131Iを含めて、放射性画像化又はがん放射線治療に有用であることが知られている。近年、放射性核種-リガンドコンジュゲートに連結されているグルタメート-尿素-グルタメート(GUG)又はグルタメート-尿素-リジン(GUL)認識要素を含有する一部の化合物は、PSMAに対する高い親和性を示すことが示された。
【0008】
WO 2015/055318において、改善された腫瘍標的化特性及び薬物動態を有する新たな画像化剤が記載された。これらの化合物は、がん性細胞の細胞膜に特異的に結合するモチーフを含み、前記モチーフは、上に記述されているグルタメート-尿素-リジンモチーフである前立腺特異的膜抗原(PSMA)を含む。WO 2015/055318に記載されている好ましい分子は、キレート剤としてDOTAのカルボン酸基にアミド結合を介して結合するリンカーをさらに含む。これらの化合物の一部は、前立腺腫瘍の特異的標的化のための有望な薬剤であると示されている。化合物は、177Lu(治療目的で)又は68Ga(診断目的で)で標識化され、放射線治療目的で前立腺がんの可視化及び標的化を可能にする。
【0009】
しかしながら、放射性標識化PSMA阻害剤の治療用途において、生理的PSMA発現を有する臓器は用量制限性であり、したがって治療の成功が最小限になることが判明した。特に、腎腺及び唾液腺による放射性標識化PSMA阻害剤物質の取り込みが多いことは注目すべきであり、これは治療用途の場合にかなりの副作用を生じさせる。腎臓によるPSMA阻害剤の取り込みを改善する試みはPSMA-617の開発につながり[Benesova、M.ら(2016) J Med Chem 59、1761~75]、これは前立腺がんの内部放射線治療のために177Lu又は225Acを用いて臨床的にすでに使用されている化合物である。しかしながら、唾液腺及び涙腺による取り込みの低減は依然として達成されておらず、早期の臨床的作業において決定的であり用量制限性であると依然として記載されている。225Ac-PSMA-617を用いるヒト初回投与研究において、極めて進行型及び末期の疾患を有する2人の患者は、完全な寛解を示した。両患者において、PSA値は、検出性限界よりも低下した。68Ga-PSMA-11を用いる付随の診断記録は、完全奏功を確認した。
【0010】
上ですでに記載の通り、多数の論文に記載されている、唾液腺及び涙腺におけるPSMAリガンドの強い蓄積は、かなりの副作用をもたらす。唾液腺及び涙腺は、特に225Acを用いるアルファ治療中に、重度に及び部分的に不可逆的に損傷される。結果的に口腔乾燥症状は、例えば用量制限する副作用を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、PSMA発現がん、特に前立腺がんの検出、処置及び管理のための有利な選択肢を提供し、好ましくは、唾液腺及び/又は涙腺に対して示す副作用が少ない、特に、唾液腺及び/又は涙腺による取り込みの低減を示し、それによってそれぞれの副作用を低減する、改善されたPSMAリガンドの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的の解決策は、特許請求の範囲において特徴付けられる実施形態を提供することによって達成される。本発明者らは、有用及び有利な放射性医薬品であり、トレーサー、画像化剤として核医薬において及びPSMA発現がん、特に前立腺がんの様々な疾患状態の処置のために使用することができる新たな化合物を見出した。これらの化合物は、より詳細に下記に記載される。
【0013】
特に、本発明は、式(1)
【0014】
【化1】
(式中、R1は、H又は-CH3、好ましくはHであり、R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、qは0~3の整数であり、n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、n+m+p > 0である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に関する。
【0015】
さらに、本発明は、
(a)放射性核種、及び
(b)上若しくは下に記載されている通りの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体に関する。
【0016】
さらに、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りのその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体を含む医薬組成物に関する。
【0017】
さらに、本発明は、PSMA発現がん、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置又は防止する際の使用のための、上若しくは下に記載されている通りの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いは上若しくは下に記載されている通りの錯体、或いは上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物に関する。
【0018】
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2
上に記載されている通り、X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸である。「荷電アミノ酸」という用語は、本明細書で使用される場合、生理学的pHで水溶液にて負に荷電されている(即ち、脱プロトン化されている)又は正に荷電されている(即ち、プロトン化されている)側鎖を含むアミノ酸を指す。該用語は、天然由来及び非天然由来の荷電アミノ酸を含み、これらのアミノ酸の全ての立体異性体、例えば、エナンチオマー及びジアステレオマーを含むと理解されるべきである。最も好ましくは、アミノ酸はアルファアミノ酸である。キラリティーに関して、L-アミノ酸が好ましい。
【0019】
「負荷電アミノ酸」という用語は、以下に限定されないが、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン酸、ホモシステイン酸、及びホモグルタミン酸、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、アスパラギン酸(D)、並びにグルタミン酸(E)を含む。より好ましくは、負荷電アミノ酸は、アスパラギン酸又はグルタミン酸(E)である。
【0020】
「Cysのスルホン酸誘導体」という用語は、好ましくは、構造HO2C-CH(NH2)-CH-S(OH)(=O)2を有するアミノ酸、CAS番号:498-40-8を指す。
【0021】
「正荷電アミノ酸」という用語は、以下に限定されないが、アルギニン、リジン、ヒスチジンホモアルギニン、3及び4置換アルギニン類似体、N(デルタ)-メチル-アルギニン(デルタMA)、カナバニン、カナバニンの置換類似体、α-アミノ-β-グアニジノプロピオン酸、γ-グアニジノ酪酸、シトルリン、3-グアニジノプロピオン酸、4-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ブタン酸、6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、アルギニンヒドロキサメート、アグマチン(CAS番号:2482-00-0)、並びにNG-メチル-アルギニンを含む。最も好ましい正荷電アミノ酸は、リジン(K)、ヒスチジン(H)及びアルギニン(R)である。
【0022】
整数n、m及びp、n1、n2、m1、m2、p1、p2
上に記載されている通り、n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であるが、但し、n+m+p > 0である。
【0023】
さらに、n1、n2、m1、m2、p1及びp2は互いに独立して、0~3の整数であり、ここで、n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0である。
【0024】
したがって、n1+n2は、少なくとも1であり、m1+m2は、少なくとも1であり、p1+p2は、少なくとも1である。さらに、n+m+pは、少なくとも1である。
【0025】
したがって、式1の化合物は、少なくとも1つの荷電アミノ酸を含む。(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)p = 1である場合、化合物は、X1、X2、Y1、Y2、Z1又はZ2のいずれかである正確に1つの荷電アミノ酸を含む。
【0026】
好ましくは、n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0又は1である。
【0027】
特に、該化合物は、少なくとも2つの荷電アミノ酸を含む。したがって、(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pは、好ましくは少なくとも2であり、n1、n2、m1、m2、p1、p2は、より好ましくは互いに独立して、0又は1である。より好ましくは、(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pは、2~20、好ましくは2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6の整数であり、最も好ましくは、n1、n2、m1、m2、p1及びp2は互いに独立して、0又は1である。
【0028】
該化合物が1つ超のアミノ酸を含む場合、これらのアミノ酸は、好ましくは、アミド結合を介して互いに直接連結されており、したがって、ペプチド性骨格を形成する。したがって、好ましくは、(n1+n2)n > 1かつ(m1+m2)m + (p1+p2)p = 0であるか、又は(m1+m2)m > 1かつ(n1+n2)n + (p1+p2)p = 0であるか、又は(p1+p2)p > 1かつ(m1+m2)m + (n1+n2)n = 0である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】小動物PET画像化を用いる薬物動態研究を示す図である。LNCaP腫瘍保有無胸腺ヌードマウス(右躯幹)における0.5nmolの68Ga標識化化合物の最大60分p.i.での注射後の腎臓についての時間活性曲線。SUV=標準取り込み値。
図2-1】小動物PET画像化を用いる薬物動態研究を示す図である。LNCaP腫瘍保有無胸腺ヌードマウス(右躯幹)における0.5nmolのそれぞれの68Ga標識化化合物X(表5を参照されたい)の最大60分p.i.での注射後の腫瘍及び筋肉についての時間活性曲線。SUV=標準取り込み値。
図2-2】[図2-1]について示した通り。
図2-3】[図2-1]について示した通り。
図2-4】[図2-1]について示した通り。
図2-5】[図2-1]について示した通り。
図2-6】[図2-1]について示した通り。
図2-7】[図2-1]について示した通り。
図2-8】[図2-1]について示した通り。
図2-9】[図2-1]について示した通り。
図2-10】[図2-1]について示した通り。
図3-1】小動物PET画像化研究を示す図である。小動物PET画像化から得られたLNCaP腫瘍保有無胸腺ヌードマウス(右躯幹)における0.5nmolのそれぞれの68Ga標識化化合物X(表6を参照されたい)の60分p.i.(図XA)及び120分p.i.(図XB)での全身最大強度投射。
図3-2】[図3-1]について示した通り。
図3-3】[図3-1]について示した通り。
図3-4】[図3-1]について示した通り。
図3-5】[図3-1]について示した通り。
図3-6】[図3-1]について示した通り。
図3-7】[図3-1]について示した通り。
図3-8】[図3-1]について示した通り。
図3-9】[図3-1]について示した通り。
図3-10】[図3-1]について示した通り。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態1a:
第1の好ましい実施形態によると、(n1+n2)n > 1であり、ここで、n1は、好ましくは0又は1であり、n2は、好ましくは0又は1である。
【0031】
より好ましくは、(n1+n2)nは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、n1は、好ましくは0又は1であり、n2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばX1及びX2の組合せ、例えば、((X1)1(X2)0)6、((X1)0(X2)1)6、並びに例えば両方のアミノ酸を含む組合せ、例えば、((X1)1(X2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0032】
この実施形態によると、n1及びn2は、好ましくは両方とも1であり、nは、2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。代替として好ましい実施形態によると、n1及びn2は、好ましくは両方とも1であり、nは、好ましくは4である。
【0033】
好ましくは、実施形態(1a)によるX1又はX2の少なくとも1つは、負荷電アミノ酸であり、X1及びX2の少なくとも1つは、正荷電アミノ酸である。
【0034】
より好ましくは、X1及びX2の少なくとも1つは、ヒスチジン(H)であり、X1及びX2の少なくとも1つは、グルタミン酸(E)である。いっそう好ましくは、構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nは、構造(HE)n又は(EH)n、好ましくは(EH)nを有する。
【0035】
より好ましくは、この第1の実施形態によると、(m1+m2)m + (p1+p2)p = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは、構造(1a)
【0036】
【化2】
を有し、構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nは、より好ましくは、構造(HE)n又は(EH)n、より好ましくは(EH)nを有し、nは、最も好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3又は4である。したがって、好ましい一実施形態によると、構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nは、構造(HE)3又は(EH)3を有する。さらに好ましい実施形態によると、構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nは、構造(HE)4又は(EH)4、好ましくは(HE)4を有する。
【0037】
したがって、以下の構造(1a_1)
【0038】
【化3】
が特に好ましい。
【0039】
さらに、以下の構造(1a_2)
【0040】
【化4】
が好ましい。
【0041】
さらに、以下の構造(1a_3)
【0042】
【化5】
が特に好ましい。
【0043】
好ましい実施形態によると、該化合物は、化合物(1a-1)、(1a-2)及び(1a-3)、より好ましくは(1a-1)又は(1a-3)からなる群から選択される。
【0044】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0045】
好ましい実施形態1aa
さらに好ましい実施形態によると、(n1+n2)n > 1であり、ここで、n1は、好ましくは0又は1であり、n2は、好ましくは0又は1である。
【0046】
より好ましくは、(n1+n2)nは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、n1は、好ましくは0又は1であり、n2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばX1及びX2の組合せ、例えば、((X1)1(X2)0)6、((X1)0(X2)1)6、並びに例えば両方のアミノ酸を含む組合せ、例えば、((X1)1(X2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0047】
この実施形態によると、n1は、好ましくは1であり、n2は、好ましくは0であり、nは、好ましくは3又は4、好ましくは3である。
【0048】
X1は、好ましくは負荷電アミノ酸又は正荷電アミノ酸であり、より好ましくは、X1は、ヒスチジン(H)又はグルタミン酸(E)、より好ましくはヒスチジンである。
【0049】
より好ましくは、この実施形態(1aa)によると、(m1+m2)m + (p1+p2)p = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは構造(1aa)
【0050】
【化6】
を有し、構成ブロック((X1)n1)nは、(H)n若しくは(E)n、より好ましくは(H)3若しくは(E)3又は(H)4若しくは(E)4、特に(H)3若しくは(E)3である。
【0051】
したがって、以下の構造(1aa_1)
【0052】
【化7】
が特に好ましい。
【0053】
さらに、以下の構造(1aa_2)
【0054】
【化8】
が特に好ましい。
【0055】
したがって、特に好ましい実施形態によると、該化合物は、構造(1a_1)、(1a_2)、(1a_3)、(1aa_2)及び(1aa-1)からなる群から選択される構造、より好ましくは、構造(1a_1)、(1a_3)、(1aa_2)及び(1aa_1)からなる群から選択される構造を有し、より好ましくは、構造は、(1a_1)又は(1a_3)である。
【0056】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0057】
好ましい実施形態1b:
第2の好ましい実施形態によると、(m1+m2)n > 1であり、ここで、m1は、好ましくは0又は1であり、m2は、好ましくは0又は1である。
【0058】
より好ましくは、(m1+m2)mは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、m1は、好ましくは0又は1であり、m2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばY1及びY2の組合せ、例えば、((Y1)1(Y2)0)6、((Y1)0(Y2)1)6並びに((Y1)1(Y2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0059】
実施形態(1b)によると、m1及びm2は、好ましくは両方とも1であり、mは、2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0060】
好ましくは、この実施形態におけるY1又はY2の少なくとも1つは、負荷電アミノ酸であり、Y1及びY2の少なくとも1つは、正荷電アミノ酸である。
【0061】
より好ましくは、Y1及びY2の少なくとも1つは、ヒスチジン(H)であり、Y1及びY2の少なくとも1つは、グルタミン酸(E)である。いっそう好ましくは、構成ブロック((Y1)m1(Y2)m2)mは、構造(HE)m又は(EH)m、好ましくは(EH)mを有する。
【0062】
より好ましくは、実施形態(1b)によると、(n1+n2)n + (p1+p2)p = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは、構造(1b)
【0063】
【化9】
を有し、構成ブロック((Y1)m1(Y2)m2)mは、より好ましくは、構造(HE)m又は(EH)m、より好ましくは(EH)mを有し、mは、最も好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0064】
したがって、以下の構造(1b_1)
【0065】
【化10】
が特に好ましい。
【0066】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0067】
好ましい実施形態1bb:
さらに好ましい実施形態によると、(m1+m2)n > 1であり、ここで、m1は、好ましくは0又は1であり、m2は、好ましくは0又は1である。
【0068】
より好ましくは、(m1+m2)mは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、m1は、好ましくは0又は1であり、m2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばY1及びY2の組合せ、例えば、((Y1)1(Y2)0)6、((Y1)0(Y2)1)6並びに((Y1)1(Y2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0069】
実施形態(1bb)によると、m1は、好ましくは1であり、m2は0であり、mは、好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0070】
Y1は、好ましくは、負荷電アミノ酸又は正荷電アミノ酸であり、より好ましくは、Y1は、ヒスチジン(H)又はグルタミン酸(E)、より好ましくはヒスチジンである。
【0071】
より好ましくは、実施形態(1b)によると、(n1+n2)n + (p1+p2)p = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは構造(1bb)
【0072】
【化11】
を有し、構成ブロック((Y1)m1)mは、より好ましくは、構造(H)m又は(H)mを有し、mは、最も好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0073】
したがって、以下の構造(1bb_1)
【0074】
【化12】
が好ましい。
【0075】
したがって、以下の構造(1bb_2)
【0076】
【化13】
が好ましい。
【0077】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0078】
好ましい実施形態1c:
第3の好ましい実施形態によると、(p1+p2)p > 1であり、p1は、好ましくは0又は1であり、p2は、好ましくは0又は1である。
【0079】
より好ましくは、(p1+p2)pは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、p1は、好ましくは0又は1であり、p2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばZ1及びZY2の組合せ、例えば、((Z1)1(Z2)0)6、((Z1)0(Z2)1)6並びに((Z1)1(Z2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0080】
実施形態(1c)によると、p1及びp2は、好ましくは両方とも1であり、pは、2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0081】
好ましくは、この実施形態におけるZ1又はZ2の少なくとも1つは、負荷電アミノ酸であり、Z1及びZ2の少なくとも1つは、正荷電アミノ酸である。
【0082】
より好ましくは、Z1及びZ2の少なくとも1つは、ヒスチジン(H)であり、Z1及びZ2の少なくとも1つは、グルタミン酸(E)である。いっそう好ましくは、構成ブロック((Z1)p1(Z2)p2)pは、構造(HE)p又は(EH)p、好ましくは(EH)pを有する。
【0083】
より好ましくは、実施形態(1c)によると、(n1+n2)n + (m1+m2)m = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは構造(1c)
【0084】
【化14】
を有し、構成ブロック((Z1)p1(Z2)p2)pは、より好ましくは、構造(HE)p又は(EH)p、より好ましくは(EH)pを有し、pは、最も好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0085】
したがって、以下の構造(1c_1)
【0086】
【化15】
が特に好ましい。
【0087】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0088】
好ましい実施形態1cc:
さらに好ましい実施形態によると、(p1+p2)p > 1であり、ここで、p1は、好ましくは0又は1であり、p2は、好ましくは0又は1である。
【0089】
より好ましくは、(p1+p2)pは、2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6であり、p1は、好ましくは0又は1であり、p2は、好ましくは0又は1である。これは、例えばZ1及びZY2の組合せ、例えば、((Z1)1(Z2)0)6、((Z1)0(Z2)1)6並びに((Z1)1(Z2)1)3を含むと理解されるべきである。
【0090】
実施形態(1cc)によると、p1は、好ましくは1であり、p2は0であり、pは、好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0091】
Z1は、好ましくは、負荷電アミノ酸又は正荷電アミノ酸であり、より好ましくは、Z1は、ヒスチジン(H)又はグルタミン酸(E)、より好ましくはヒスチジンである。
【0092】
より好ましくは、実施形態(1c)によると、(n1+n2)n + (m1+m2)m = 0である。したがって、この好ましい実施形態によると、該化合物は、好ましくは構造(1cc)
【0093】
【化16】
を有し、構成ブロック(Z1)pは、より好ましくは、構造(H)p又は(E)pを有し、pは、最も好ましくは2~10、より好ましくは2~5、より好ましくは3である。
【0094】
したがって、以下の構造(1cc_1)
【0095】
【化17】
が好ましい。
【0096】
さらに、以下の構造(1cc_2)
【0097】
【化18】
が好ましい。
【0098】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。
【0099】
R1、R2、R3及びR4
R1は、H又は-CH3、好ましくはHである。
【0100】
R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、より好ましくは、R2、R3及びR4は、CO2Hである。
【0101】
Q1
Q1は、好ましくは、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0102】
「アリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、場合により置換されている5員及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基(アリール基)、例えば、三環式又は二環式のアリール基を意味する。場合により置換されているフェニル基又はナフチル基が、例として記載され得る。多環式芳香族基は、非芳香族環を含有することもできる。
【0103】
「アルキルアリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのプロトンがアルキル基と置き換えられているアリール基(アルキル-アリール-)を指す。
【0104】
「アリールアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、アルキル基を介して連結されているアリール基(アリール-アルキル-)を指す。
【0105】
「ヘテロアリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、環系に1個以上の、例えば1~4個、例えば、1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含有する、場合により置換されている5員及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基、例えば、三環式又は二環式のアリール基を意味する。1個超のヘテロ原子が環系に存在するならば、存在する少なくとも2個のヘテロ原子は、同一であってよい又は異なっていてよい。適当なヘテロアリール基は、当業者に知られている。以下のヘテロアリール残基が、非限定的な例として記載され得る:ベンゾジオキソリル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、メチレンジオキシフェニリル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、プリニル、ベンゾフラニル、デアザプリニル、ピリダジニル及びインドリジニル。
【0106】
「アルキルヘテロアリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのプロトンがアルキル基と置き換えられているヘテロアリール基(アルキル-ヘテロアリール-)を指す。
【0107】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合は、アルキル基を介して連結されているヘテロアリール基(ヘテロアリール-アルキル-)を指す。
【0108】
「シクロアルキル」という用語は、本発明の文脈において、場合により置換されている環式アルキル残基を意味し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。場合により置換されているシクロヘキシルが、シクロアルキル残基の好ましい例として挙げることができる。
【0109】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、O、N又はSを環に有する、場合により置換されている環式アルキル残基を指し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。
【0110】
「置換シクロアルキル残基」又は「シクロヘテロアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのHが適当な置換基と置き換えられているシクロアルキル残基又はシクロヘテロアルキル残基を指す。
【0111】
好ましくは、Q1は、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ナフチルメチル、フェニルメチル、ビフェニルメチル、インドリルメチル及びベンゾチアゾリルメチルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくは、Q1は、
【0112】
【化19】
からなる群から選択され、Q1は、最も好ましくは
【0113】
【化20】
である。
【0114】
したがって、該化合物は、好ましくは、構造
【0115】
【化21】
を有し、より好ましくは、以下の基から選択される構造
【0116】
【化22】
を有する。
【0117】
Q2
上に記載されている通り、Q2は、好ましくは、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択される。
【0118】
「アリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、場合により置換されている5員及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基(アリール基)、例えば三環式又は二環式のアリール基(-Ar-)を指す。場合により置換されているフェニル基又はナフチル基が、例として記載され得る。多環式芳香族基は、その上、本発明のこの文脈において、非芳香族環、アリール基を含有することができる。
【0119】
「アルキルアリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのプロトンがアルキル基と置き換えられており(-アルキル-アリール-)、アルキル基を介して-CH2-基に及びアリール基を介してカルボニル基に連結されている、アリール基を指す。
【0120】
「アリールアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、アルキル基を介してカルボニル基に及びアリール基を介して-CH2-基に連結されているアリール基(-アリール-アルキル-)を指す。
【0121】
「ヘテロアリール」(-ヘテロアリール-)という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、1個以上の、例えば1個~4個、例えば、1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を環系に含有する、場合により置換されている5員及び6員の芳香族環、並びに置換又は非置換の多環式芳香族基、例えば三環式又は二環式のアリール基を意味する。1個超のヘテロ原子が環系に存在する場合、存在する少なくとも2個のヘテロ原子は、同一又は異なっていてよい。適当なヘテロアリール基は、当業者に知られている。以下のヘテロアリール残基が、非限定的な例として記載され得る:ベンゾジオキソリル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、メチレンジオキシフェニリル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、プリニル、ベンゾフラニル、デアザプリニル、ピリダジニル及びインドリジニル。
【0122】
「アルキルヘテロアリール」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのプロトンがアルキル基と置き換えられており(-アルキル-ヘテロアリール-)、アルキル基を介して-CH2-基に及びヘテロアリール基を介してカルボニル基に連結されている、アリール基を指す。
【0123】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、アルキル基を介してカルボニル基に及びヘテロアリール基を介して-CH2-基に(-アリール-アルキル-)連結されているヘテロアリール基を指す。
【0124】
「シクロアルキル」(-シクロアルキル-)という用語は、本発明の文脈において、場合により置換されている環式アルキル残基を意味し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。場合により置換されているシクロヘキシルが、シクロアルキル残基の好ましい例として記載され得る。
【0125】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1個のヘテロ原子、例えば、O、N又はSを環に有する、場合により置換されている環式アルキル残基を指し、ここで、それらは単環式基又は多環式基であってよい。
【0126】
「置換シクロアルキル残基」又は「シクロヘテロアルキル」という用語は、本発明のこの文脈において使用される場合、少なくとも1つのHが適当な置換基と置き換えられているシクロアルキル残基又はシクロヘテロアルキル残基を指す。
【0127】
好ましくは、Q2は、アリール基又はシクロアルキル基、より好ましくは
【0128】
【化23】
であり、最も好ましくは
【0129】
【化24】
である。
【0130】
Q2の任意の立体異性体は、可能であり、含まれると理解されるべきである。Q2が、
【0131】
【化25】
である場合、これは、シス並びにトランス異性体を含むと理解されるべきであり、トランス異性体が特に好ましい。
【0132】
整数qは、0~3の整数であり、最も好ましくは、qは、0又は1、より好ましくは1である。
【0133】
キレート剤残基A
Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基である。
【0134】
「キレート剤残基」という用語及び典型的にその上「群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基」という用語は、上に記述されているキレート剤、したがって典型的には該「基」に定義されているキレート剤が、適当な官能基を介して、好ましくはキレート剤の前者カルボン酸基を介して、化合物(I)
【0135】
【化26】
のN末端部に連結されており、それによって、キレート剤と化合物(I)との間にアミド結合を形成することを意味するために示される。(n1+n2)n > 0であるならば、キレート剤は、したがって、アミノ酸構成ブロックH-((X1)n1(X2)n2)nのN末端基に結合されており、それによって、アミド結合を形成する。(n1+n2)n = 0であり、qが>0であるならば、キレート剤は、構成ブロックH-(NH-CH2-Q2-C(=O))q-のN末端NH基に連結されている。(n1+n2)n = 0であり、qが=0であり、(m1+m2)m > 0であるならば、キレート剤は、アミノ酸構成ブロックH-((Y1)m1(Y2)m2)mのN末端基に結合されており、それによって、アミド結合を形成する。(n1+n2)n = 0であり、qが=0であり、(m1+m2)m = 0であるならば、キレート剤は、アミノ酸構成ブロックH-(NH-CH(Q1)-C(=O))-のN末端基に結合されており、それによって、アミド結合を形成する。
【0136】
好ましくは、Aは、
【0137】
【化27】
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である。
【0138】
最も好ましくは、Aは、構造
【0139】
【化28】
を有する。
【0140】
錯体
上に記載されている通り、本発明は、
(a)放射性核種、及び
(b)上若しくは下に記載されている通りの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体にも関する。
【0141】
典型的な薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物と薬学的に許容される鉱酸若しくは有機酸又は有機若しくは無機塩基との反応によって調製されるような塩が挙げられる。こうした塩は、酸付加塩及び塩基付加塩として知られている。酸付加塩を形成するために一般的に用いられる酸は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸など、及び有機酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などである。こうした薬学的に許容される塩の例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ガンマ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、マンデル酸塩などである。好ましい薬学的に許容される酸付加塩は、鉱酸、例えば、塩酸及び臭化水素酸で形成されるもの、並びに有機酸、例えば、マレイン酸及びメタンスルホン酸で形成されるものである。アミン基の塩は、アミノ窒素が、適当な有機基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアラルキル部分を有する第4級アンモニウム塩を含むこともできる。塩基付加塩は、無機塩基、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などに由来するものを含む。この発明の塩を調製する際に有用なこうした塩基としては、したがって、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニア、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。カリウム塩及びナトリウム塩形態が、特に好ましい。この発明の任意の塩の一部を形成する特別な対イオンは通常、塩が全体として薬理学的に許容される限り、及び対イオンが所望されない品質を塩に全体として寄与しない限り、重大な性質ではないと認識されるべきである。
【0142】
「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、本発明の化合物の適当な溶媒和物も包含し、ここで、該化合物は、溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、DMSO、アセトニトリル又はその混合物と組み合わさることで、適当な溶媒和物、例えば、対応する水和物、メタノレート、エタノレート、DMSO溶媒和物又はアセトニトリレートを形成する。
【0143】
放射性核種
本発明の化合物が放射性画像化剤又は放射性医薬品として使用されることになるかどうかに依存して、異なる放射性核種は、キレート剤に錯体化される。
【0144】
本発明の錯体は、1種以上の放射性核種、好ましくは1種の放射性核種を含有することができる。これらの放射性核種は、好ましくは、放射性画像化剤としての又は増殖細胞、例えば、PSMA発現がん細胞、特にPSMA発現前立腺がん細胞の処置のための治療薬としての使用に適当である。本発明によると、それらは、「金属錯体」又は「放射性医薬品」と呼ばれる。
【0145】
好ましい画像化方法は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)又は単一光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)である。
【0146】
好ましくは、少なくとも1種の放射性核種は、89Zr、44Sc、111ln、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、52Fe、59Fe、及びPbの放射性核種(例えば、203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される。
【0147】
より好ましくは、少なくとも1種の放射性核種は、90Y、68Ga、177Lu、225Ac及び213Biからなる群から選択される。より好ましくは、放射性核種は、177Lu又は225Acである。
【0148】
好ましくは、該放射性核種は、少なくとも30分の、より好ましくは少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも12時間、いっそう好ましくは少なくとも1日の、最も好ましくは少なくとも5日の半減期を有し、その上好ましくは、放射性核種は、多くとも1年、より好ましくは多くとも6カ月、さらに好ましくは多くとも1カ月、いっそう好ましくは多くとも14日の半減期を有する。したがって、好ましくは、放射性核種は、30分~1年の、より好ましくは12時間~6カ月の、いっそう好ましくは1日~1カ月の、最も好ましくは5日~14日の半減期を有する。
【0149】
好ましくは、該放射性核種は、α-及び/又はβ-エミッターであり、即ち、放射性核種は、好ましくは、α-粒子(α-エミッター)及び/又はβ-放射線(β-エミッター)を放出する。
【0150】
好ましくは、放射性核種がα-エミッターである場合、α-粒子は、1~10MeVの、より好ましくは2~8MeVの、最も好ましくは4~7MeVのエネルギーを有する。
【0151】
好ましくは、放射性核種がβ-エミッターである場合、β-放射線は、0.1~10MeVの、より好ましくは0.25~5MeVの、最も好ましくは0.4~2MeVのエネルギーを有する。
【0152】
β-放射線を放出する好ましい放射性核種は、90Y、177Lu、59Fe、66Cu、67Cu、161Tb、153Sm、212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pbからなる群から選択され、β-放射線を放出する非常に好ましい放射性核種は、177Lu又は90Y、最も好ましくは177Luである。好ましくは、この場合、使用は、診断又は治療である。
【0153】
α-放射線を放出する好ましい放射性核種は、例えば、213Bi、225Ac、149Tb、230U及び223Ra、213Bi、230Uからなる群から選択され、より好ましくは、放射性核種は、225Ac及び/又は213Biである。α-放射線を放出する非常に好ましい放射性核種は、例えば225Acである。好ましくは、この場合、使用は治療である。
【0154】
さらなる実施形態によると、該放射性核種は、ポジトロンエミッターである。この場合、放射性核種は、好ましくは、89Zr、44Sc、66Ga、68Ga及び64Cuからなる群から選択される。この場合、使用は、好ましくはPET診断である。
【0155】
さらに好ましい実施形態によると、放射性核種は、ガンマエミッターである。この場合、放射性核種は、好ましくは、111In、67Ga、99mTc、155Tb、165Er及び203Pbからなる群から選択される。この場合、使用は、好ましくはSPECT診断である。
【0156】
さらに好ましい実施形態によると、放射性核種は、オージェ電子を放出し、好ましくは、電子捕獲によって減衰する。この場合、放射性核種は、好ましくは、67Ga、155Tb、153Gd、165Er及び203Pbからなる群から選択される。この場合、使用は、好ましくは治療である。
【0157】
医薬組成物
上に記載されている通り、本発明は、上若しくは下に記載されている通りの化合物又は上若しくは下に記載されている通りの錯体を含む医薬組成物にも関する。医薬組成物は、好ましくは、該化合物及び/又は該錯体それぞれの治療有効量を含むと理解されるべきである。該医薬組成物は、少なくとも1つの有機若しくは無機の固体若しくは液体及び/又は少なくとも1種の薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。
【0158】
「医薬」及び「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物及び/又は錯体、並びに場合により1種以上の薬学的に許容される担体、即ち賦形剤に関する。本発明の化合物は、薬学的に許容される塩として製剤化することができ、塩は、本明細書において上に記載されている。医薬組成物は、好ましくは、局所性に(例えば腫瘍内に)、局所的に又は全身的に投与される。薬物投与のために従来から使用されている適当な投与経路は、経口、静脈内又は非経口投与、並びに吸入である。好ましい投与経路は、非経口投与である。「非経口投与経路」は、通常注射による経腸的及び局所的投与以外の投与モードを意味し、限定せずに、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、髄腔内及び胸骨内の注射及び注入を含む。好ましくは、投与は、静脈内投与又は注入による。しかしながら、化合物の性質及び作用モードに依存して、医薬組成物は、同様に他の経路によって投与することができる。
【0159】
さらに、該化合物は、共通の医薬組成物中で又は分離医薬組成物としてのいずれかにて他の薬物との組合せで投与することができ、ここで、前記分離医薬組成物は、部品キットの形態で提供することができる。該化合物は、好ましくは、従来の手順に従って薬物を標準的な医薬担体と組み合わせることによって調製される従来の剤形で投与される。これらの手順は、所望の調製物に適切なように成分を混合、顆粒化及び圧縮又は溶解させることを伴うことがある。薬学的に許容される担体又は希釈剤の形態及び特徴は、組み合わせられるべき活性成分の量、投与経路及び他の周知の可変要素によって決められることを認められよう。
【0160】
賦形剤は、製剤の他の成分と適合性のあること、及び健全な医学的判断の範疇内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答又は他の問題若しくは合併症なく患者の組織との接触における使用に適当な、妥当な利益/リスク比に相応するという意味において許容されなければならない。好ましくは、賦形剤は、そのレシピエントに有害でない。用いられる賦形剤は、例えば、固体、ゲル又は液体担体であってよい。例証的な固体担体は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。例証的な液体担体は、リン酸緩衝生理食塩水溶液、シロップ、油、例えば、落花生油及びオリーブ油、水、エマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、滅菌溶液などである。同様に、担体又は希釈剤は、当技術分野によく知られている時間遅延材料、例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独で又はワックスとともに含むことができる。前記適当な担体は、上に記載されているもの及び当技術分野においてよく知られている他のものを含み、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaを参照されたい。希釈剤は、組合せの生物学的活性に影響しないように選択される。こうした希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液及びハンクス液である。加えて、該医薬組成物又は製剤は、他の担体、アジュバント、又は非毒性の非治療的な非免疫原性安定剤などを含むこともできる。注入又は注射のための溶液が使用される場合、それらは、好ましくは水溶液又は懸濁液であり、それらを、使用より前に、例えば、活性物質をそのままで又は担体、例えばマンニトール、ラクトース、グルコース、アルブミンなどと一緒に含有する凍結乾燥調製物から生成することが可能である。既製の溶液は滅菌され、適切な場合、賦形剤と、例えば保存料、安定剤、乳化剤、可溶化剤、緩衝液及び/又は浸透圧を調節するための塩と混合される。滅菌は、適切な場合、組成物が凍結乾燥され得る小細孔サイズを有するフィルターを使用して滅菌濾過によって得ることができる。少量の抗生物質も、無菌の維持を確実にするために添加することができる。
【0161】
治療有効用量は、この明細書において言及されている疾患又は状態に伴う症状を防止、寛解又は処置する、本発明の医薬組成物において使用されるべき化合物の量を指す。こうした化合物の治療的有効性及び毒性は、細胞培養又は実験動物における標準的医薬手順、例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)及びLD50(集団の50%に致死的な用量)によって決定することができる。治療効果と毒性効果との間の用量比は、治療指数であり、それは、LD50/ED50の比として表現することができる。
【0162】
投与量レジメンは、主治医及び他の臨床因子によって、好ましくは上に記載されている方法のいずれか1つに従って決定される。医療技術においてよく知られている通り、任意の1人の患者のための投与量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与されることになる特別な化合物、性別、投与の時間及び経路、全般的な健康、及び同時に投与されている他の薬物を含めて、多くの因子に依存する。進行は、定期的な判定によってモニタリングすることができる。好ましい用量は、本明細書において下記に特定されている。進行は、定期的な判定によってモニタリングすることができる。本明細書において言及されている医薬組成物及び製剤は、この明細書において列挙されている疾患又は状態を処置又は防止するために少なくとも1回投与される。しかしながら、前記医薬組成物は、1回超、例えば1~10回投与することができる。好ましくは、医薬組成物は、1~6カ月毎に1回、より好ましくは2~4カ月毎に1回の頻度で投与することができる。特定の医薬組成物は、医薬技術においてよく知られている方式で調製され、添加混合物中で又はそうでなければ薬学的に許容される担体若しくは希釈剤と関連して、本明細書において上記に言及されている少なくとも1種の活性化合物を含む。それらの特定の医薬組成物を作製するため、活性化合物は、通常、担体又は希釈剤と混合されるか、或いはカプセル、サッシェ、カシェ、紙又は他の適当な容器若しくはビヒクル中に封入又はカプセル化される。結果として得られた製剤は、投与モードに、即ち、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤、懸濁剤などの形態で適応されるべきである。投与量推奨は、考えられるレシピエントに依存して用量調整を予測するために、処方者又はユーザー指示に示される。
【0163】
「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、脊椎動物、好ましくは哺乳類動物、より好ましくはヒト、モンキー、雌ウシ、ウマ、ネコ又はイヌに関する。好ましくは、哺乳動物は、霊長類、より好ましくはモンキー、最も好ましくはヒトである。
【0164】
患者に投与される式(1)に従った化合物の投与量は、好ましくは、化合物投与量、即ち、患者に投与される化合物の量として定義される。好ましい診断用化合物投与量は、1~10nmol/患者の総用量であり、したがって、好ましくは、診断用化合物投与量は、0.02~0.1nmol/kg体重である。好ましい治療用化合物投与量は、10~100nmol/患者の総用量であり、したがって、好ましくは、治療用化合物投与量は、0.2~1nmol/kg体重である。
【0165】
当業者によって理解される通り、本明細書において特定されている通りの錯体、即ち、放射性核種及び式(1)に従った化合物を含む、好ましくはそれらからなる錯体の投与量は、好ましくは、上記に特定されている通りの化合物投与量として示され、好ましい投与量は、上記で特定されているのと同じである。より好ましくは、該錯体の投与量は、活性投与量として、即ち、患者に投与される放射活性の量として示されている。好ましくは、活性投与量は、本明細書において他所に特定されている通りの有害作用を回避するように調整される。好ましくは、患者特異的用量、好ましくは患者特的活性投与量は、本明細書において他所に特定されている通りの関連因子を考慮に入れて、特に、それぞれの患者について観察された治療進行及び/又は有害作用を考慮に入れて決定される。したがって、好ましくは、活性投与量は、唾液腺における臓器特異的用量が多くとも30Sv、より好ましくは20Sv未満、さらに好ましくは10Sv未満、最も好ましくは5Sv未満であるように調整される。
【0166】
有効量は、患者に約2MBq~約30MBq、好ましくは4~30Mbq、より好ましくは6~30Mbq、より好ましくは8~30Mbq、より好ましくは10~30Mbq、より好ましくは15~30Mbq、好ましくは20~30Mbqの活性投与量にて1回(単回投与量)で投与することができる。したがって、こうした場合における好ましい治療用量は、2MBq~約30MBq/患者、好ましくは4~30Mbq/患者、より好ましくは6~30Mbq/患者、より好ましくは8~30Mbq/患者、より好ましくは10~30Mbq/患者、より好ましくは15~30Mbq/患者、好ましくは20~30Mbq/患者である。好ましくは、前記活性投与量は、投与当たり約10~30MBq、例えば、約10MBq、11MBq、12MBq、13MBq、14MBq、15MBq、16MBq、17MBq、18MBq、19MBq、20MBq、21MBq、22MBq、23MBq、24MBq、25MBq、26MBq、27MBq、28MBq、29MBq若しくは30MBq、又は上記値の任意の2つの間の任意の範囲などを範囲とする。しかしながら、本明細書において以下に特定されている通り、放射性核種によって放出される放射線の型及び/又は用途に依存して、より高い又はより低い用量が予想され得る。「有効量」又は「治療有効量」という成句は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を含む化合物、材料若しくは組成物、又は任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で患者中の少なくとも亜集団の細胞における一部の所望の治療効果を生成するのに有効である他の活性成分の量を意味する。本発明の化合物に関する治療有効量は、疾患の処置又は防止において治療的利益を提供する、単独で又は他の治療との組合せでの治療剤の量を意味する。本発明の化合物と関連して使用される該用語は、全体的な治療を改善する、疾患の症状若しくは原因を低減若しくは回避する、又は別の治療剤の治療的有効性若しくはそれとの相乗作用を増強する量を包含することができる。
【0167】
好ましい実施形態によると、放射性核種は、本明細書において上記に特定されている通りのβ-エミッターであり、より好ましくは177Luであり、使用は診断であり、こうした場合、錯体の活性投与量は、好ましくは少なくとも100kBq/kg体重、より好ましくは少なくとも500kBq/kg体重、最も好ましくは少なくとも1MBq/kg体重である。より好ましくは、放射性核種は、本明細書において上記に特定されている通りのβ-エミッターであり、より好ましくは177Luであり、使用は、治療、好ましくは本明細書において他所に特定されている通りの前立腺癌腫の治療であり、こうした場合、錯体の活性投与量は、好ましくは少なくとも25MBq/kg体重、より好ましくは少なくとも50MBq/kg体重、最も好ましくは少なくとも80MBq/kg体重である。したがって、こうした場合における好ましい治療用量は、2~10Gbq/患者、より好ましくは4~8GBq/患者、最も好ましくは約6GBq/患者である。
【0168】
より好ましくは、放射性核種は、本明細書において上記に特定されている通りのα-エミッターであり、より好ましくは225Acであり、使用は、治療、好ましくは本明細書において他所に特定されている通りの前立腺癌腫の治療であり、こうした場合、錯体の活性投与量は、好ましくは、前記患者の体重の25kBq/kg~約500kBq/kgの範囲であり、より好ましくは、錯体の活性投与量は、少なくとも75kBq/kg体重、より好ましくは少なくとも100kBq/kg体重、さらに好ましくは少なくとも150kBq/kg体重、最も好ましくは少なくとも200kBq/kg体重である。したがって、好ましくは、こうした場合、錯体の活性投与量は、75~500kBq/kg体重、より好ましくは100~400kBq/kg体重、さらに好ましくは150~350kBq/kg体重、最も好ましくは200~300kBq/kg体重である。
【0169】
本発明は、診断における使用のための、好ましくは、細胞増殖性疾患又は障害、特に前立腺がん及び/又はその転移を診断するための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は本明細書において上に記載されている通りの医薬組成物にも関する。さらに、本発明は、医薬における使用のための、好ましくは細胞増殖性疾患又は障害、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置又は防止するための、上若しくは下に記載されている通りの化合物、上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物にも関する。
【0170】
「診断すること」という用語は、本明細書で使用される場合、対象が疾患又は障害、好ましくは細胞増殖性疾患又は障害を患っているか又は患っていないかを判定することを指す。当業者によって理解される通り、こうした判定は、100%正しいことが好ましいが、通常、調査対象の100%に対しては正しくないことがある。該用語は、しかしながら、好ましくは統計的に有意な割合の対象が正しく判定され、したがって、診断され得ることを必要とする。ある部分が統計的に有意であるかどうかは、様々な周知の統計評価ツール、例えば、信頼区間の決定、p値決定、スチューデントt検定、マン-ホイットニー検定などを使用して当業者によって、さらなる面倒がなく決定することができる。詳細は、Dowdy及びWearden、Statistics for Research、John Wiley & Sons、New York 1983に見出される。好ましい信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%である。p値は、好ましくは、0.2、0.1又は0.05である。当業者によって理解される通り、診断することは、さらなる診断判定、例えば、視覚及び/又は手動検査、対象の試料における腫瘍バイオマーカー濃度の決定、X線検査などを含み得る。該用語は、患者の個々の診断並びに患者の連続的モニタリングを含む。様々な時点で、細胞増殖性疾患又はそれに伴う症状の存在又は非存在をモニタリングすること、即ち、診断することは、細胞増殖性疾患を患うことが知られている患者のモニタリング、並びに細胞増殖性疾患を発症するリスクがあることが知られている対象のモニタリングを含む。さらに、モニタリングは、患者が首尾よく処置されるかどうか、又は細胞増殖性疾患の少なくとも症状が、ある特定の治療によって時間をかけて寛解することができるかどうかを決定するために使用することもできる。さらに、該用語は、通常の分類スキーム、例えば、当技術者に知られているT1~T4段階分けに従って対象を分類することも含む。
【0171】
「処置すること」及び「処置」という用語は、本明細書において言及されている疾患若しくは障害又はそれに伴う症状の、有意な程度までの寛解を指す。前記処置することは、本明細書で使用される場合、本明細書において言及されている疾患又は障害に関して、全体的な健康の回復も含む。処置することは、該用語が本明細書において使用される場合、処置されることになる全ての対象において有効であり得るわけではないと理解されるべきである。しかしながら、該用語は、好ましくは、本明細書において言及されている疾患又は障害を患う対象の統計的に有意な割合が首尾よく処置され得ることを必要とするものとする。ある部分が統計的に有意であるかどうかは、本明細書において上記に特定されている通りの様々な周知の統計評価ツールを使用して当業者によって、さらなる面倒なく決定することができる。「防止すること」及び「防止」という用語は、本明細書において言及されている疾患又は障害に関して、対象においてある特定の時間期間の間、健康を保持することを指す。前記時間期間は、投与された薬物化合物の量及びこの明細書において他所で考察される対象の個々の因子に依存性であり得ると理解されるであろう。防止は、本発明による化合物で処置される全ての対象において有効であり得るわけではないと理解されるべきである。しかしながら、該用語は、好ましくは、コホート又は集団の対象の統計的に有意な割合が、本明細書において言及されている疾患若しくは障害又はそれに伴う症状を患うことを有効に防止されること必要とする。好ましくは、対象のコホート又は集団は、この文脈において、通常、即ち本発明による防止的措置なく、本明細書において言及されている疾患又は障害を発症すると予想される。ある部分が統計的に有意であるかどうかは、本明細書において上記に考察されている様々な周知の統計評価ツールを使用して当業者によって、さらなる面倒なく決定することができる。
【0172】
好ましくは、処置及び/又は防止は、式(1)に従った少なくとも1種の化合物及び/又は本明細書において他所に特定されている通りの少なくとも1つの錯体の投与を、より好ましくは、上記に特定されている通りの活性投与量及び/又は化合物投与量で含む。
【0173】
「細胞増殖性疾患」という用語は、本明細書で使用される場合、体細胞(「がん細胞」)群による非制御成長によって特徴付けられる、人間を含めた動物の疾患に関する。この非制御成長は、がん細胞の周囲組織中への侵入及びその破壊、並びに場合によっては体における他の位置へのその伝播(転移)を伴うことがある。好ましくは、がんという用語によってその上含まれるのは、再発である。したがって、好ましくは、がんは、固形がん、転移がん又はその再発である。好ましくは、細胞増殖性疾患は、PSMAを発現する細胞を含む、細胞の非制御増殖である。
【0174】
したがって、好ましくは、細胞増殖性疾患は、PSMA発現がんである。「PSMA発現がん」という用語は、がん性細胞が前立腺特異的膜抗原(PSMA)を発現する任意のがんを指す。好ましくは、本発明に従って処置することができるがん(又はがん細胞)は、前立腺がん、従来の腎細胞がん、膀胱の移行性細胞のがん、肺がん、精巣胚性がん、神経内分泌がん、結腸がん、脳腫瘍及び乳がんの中から選択され、より好ましくは、PSMA陽性前立腺がん、PSMA陽性腎細胞がん、膀胱の移行性細胞のPSMA陽性がん、PSMA陽性肺がん、PSMA陽性精巣胚性がん、PSMA陽性神経内分泌がん、PSMA陽性結腸がん、PSMA陽性脳腫瘍、及びPSMA陽性乳がんの中から選択される。がんがPSMA陽性であるかどうかは、当業者によって、当技術分野において知られている方法によって、例えばインビトロで、がん試料を免疫染色するによって、又はインビボで、例えばPSMAシンチグラフィーによって、好ましくは両方ともKratochwilら(2017、J Nucl Med 58(10):1624に記載されている通りに、確立され得る。本発明の特に好ましい態様において、前記PSMA発現がんは、前立腺がん又は乳がん、より好ましくは前立腺がん、いっそう好ましくは進行段階の前立腺がんである。したがって、好ましくは、細胞増殖性疾患は、前立腺がんステージT2、より好ましくはステージT3、最も好ましくはステージT4である。好ましくは、細胞増殖性疾患は、転移性前立腺がんであり、より好ましくは、転移性去勢抵抗性前立腺がんである。有利には、患者への本発明の化合物及び/又は錯体の投与は、例えば一方で共通して使用されるPSMA-617の取り込みと比較した場合、唾液腺及び涙腺、即ち、患者の唾液腺及び涙腺による前記化合物及び/又は錯体の取り込みの低減をもたらすことが、本発明の基礎となる研究において示された。取り込みの低減により、唾液腺及び/又は涙腺に対する有害副作用は、回避及び/又は低減することができる。これは、唾液腺に対する有害副作用が投与量制限として考えられるので有利である(Kratochwilら(2017、J Nucl Med 58(10):1624を参照)。本発明の所見に基づき、該技術分野において記載されている化合物及び錯体と比較した場合に、より大きい量の化合物及び/又は錯体、並びに特に、より高い用量の放射活性が患者に投与され得る。したがって、治療的窓は、現在使用されている化合物を用いるよりも広い。その上有利には、本発明の化合物は、診断の改善を提供し、というのは、非関連組織及び臓器、特に唾液腺、涙腺及び/又は腎臓の共標識化が低減されるからである。
【0175】
したがって、本発明の化合物及び/又は錯体は、PSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の処置、並びに/又はPSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の診断を可能にし、ここで、患者の唾液腺及び/又は涙腺に対する有害副作用は、回避及び/又は低減される。したがって、前記処置及び/又は診断は、唾液腺及び/若しくは涙腺に対して、より少ない若しくはより低い重度の有害副作用を有するか、又は好ましくは、唾液腺及び/若しくは涙腺に対する有害副作用を全く伴わない。好ましくは、本発明の化合物は、基本的に変化しない治療的有効性を維持しながら、唾液腺及び/又は涙腺に対する有害副作用の低減及び/又は回避を可能にし、したがって、好ましくは、本発明の化合物の排出性特性は、PSMA-617と比較して基本的に変化しない。
【0176】
したがって、本発明の化合物及び/又は錯体は、PSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の処置、並びに/又はPSMA発現がん、殊に前立腺がん及びその転移の診断を可能にし、ここで、口腔乾燥症状が回避される。
【0177】
好ましくは、上若しくは下に記載されている通りの化合物、又は上若しくは下に記載されている通りの錯体、又は上若しくは下に記載されている通りの医薬組成物は、インビボ画像化及び放射線治療のために使用される。適当な医薬組成物は、放射性画像化剤、或いは薬学的に許容される放射線学的ビヒクルと一緒に元素、即ち放射活性ヨウ素、又は画像化するのに十分な量における式(la)及び/若しくは(lb)の化合物の放射活性金属キレート錯体としてのいずれかで放射性核種を有する放射線治療剤を含有することができる。放射線学的ビヒクルは、注射又は吸引に適当であるべきであり、例えばヒト血清アルブミン;緩衝水溶液、例えば、トリス(ヒドロメチル)-アミノメタン(及びその塩)の緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、重炭酸緩衝液など;滅菌水、生理食塩水;並びに塩化物塩及び/若しくはジカーボネート塩を含有する平衡イオン溶液、又は通常の血中血漿カチオン、例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム及びマグネシウムである。
【0178】
放射線学的ビヒクル中の画像化剤又は治療剤の濃度は、満足な画像化を提供するのに十分であるべきである。適切な投与量は、本明細書において上に記載されている。画像化剤又は治療剤は、患者の中に約1時間~10日の間残るように投与されるべきであるが、より長い及びより短い時間期間の両方とも許容される。そのため、1~10mLの水溶液を含有する好都合なアンプルが調製され得る。
【0179】
画像化は、当技術者に知られている方式で、例えば、十分な量の画像化組成物を注射することで適切な画像化を提供し、次いで、適当な画像化又は走査機械、例えば、断層撮影又はガンマカメラで走査することによって、実施することができる。ある特定の実施形態において、患者における領域を画像化する方法は、以下のステップを含む: (i)放射性核種で錯体化された化合物の診断的に有効な量を患者に投与すること、(ii)患者の領域を走査デバイスに曝露すること、及び(ii)患者の領域の画像を得ること。ある特定の実施形態において、画像化される領域は、頭部又は胸郭である。他の実施形態において、式l(a)及び/又は(lb)の化合物及び錯体は、PSMAタンパク質を標的化する。
【0180】
したがって、一部の実施形態において、組織、例えば、脾臓組織、腎臓組織、又はPSMA発現腫瘍組織を画像化する方法は、組織を、放射性核種並びに式(la)及び/又は式(lb)化合物を接触させることによって合成される錯体と接触させることを含めて、提供される。
【0181】
患者に投与される、本発明の化合物、又は該化合物の錯体又はそれの塩、溶媒和物、立体異性体若しくは互変異性体を含む製剤の量は、いくつかの生理的因子に依存する。これらの因子は、実施されるべき画像化の性質、画像化又は治療のために標的化されるべき組織、並びに放射性医薬品を使用して画像化又は処置されるべき患者の体重及び病歴を含めて、医師によって知られている。
【0182】
したがって、別の態様において、本発明は、細胞増殖性疾患又は障害を患う患者を処置するために、上又は下に記載されている通りの錯体の治療有効量を患者に投与することによって患者を処置する方法を提供する。具体的に、この発明による化合物、医薬組成物又は放射性医薬品を使用して処置又は画像化されることになる細胞増殖性疾患又は障害は、例えば肺、肝臓、腎臓、骨、脳、脊髄、膀胱などにおけるがん、例えば、前立腺がん及び/又は前立腺がん転移である。
【0183】
本発明の化合物は、例えば、溶液中で、並びに固相上で、例えば、標準的なペプチドカップリング手順、例えば、Fmoc固相カップリング手順を使用して、合成することができる。好ましくは、キレート剤は、最後のカップリングステップにおいて、分子の残りの部分にカップリングされ、その後脱保護ステップが行われ、固相化学の場合は樹脂からの切断が行われる。しかしながら、他の合成手順が可能であり、当技術者に知られている。本発明の化合物の好ましい合成は、実施例セクションにおいて詳細に記載されている。
【0184】
例として、本発明の特に好ましい化合物は、表1に示されている。
【0185】
【表1】
【0186】
好ましくは、該化合物は、以下の構造
【0187】
【化29】
からなる群から選択される構造を有する。
【0188】
より好ましくは、該化合物は、以下の構造
【0189】
【化30】
からなる群から、より好ましくは、
【0190】
【化31】
からなる群から選択される構造を有する。
【0191】
特に好ましくは、該化合物は、構造
【0192】
【化32】
を有する。
【0193】
上記で概説されている通り、アミノ酸E及びHは、好ましくはL配置を有する。より好ましくは、該化合物は、したがって、以下の構造
【0194】
【化33】
からなる群から選択される構造を有し、いっそう好ましくは、該化合物は、以下の構造
【0195】
【化34】
からなる群から選択される構造を有し、いっそう好ましくは、該化合物は、以下の構造
【0196】
【化35】
からなる群から選択される構造を有する。
【0197】
本発明の所見を要約すると、以下の実施形態が好ましい。
1. 式(1)
【0198】
【化36】
(式中、R1は、H又は-CH3、好ましくはHであり、R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、qは0~3の整数であり、n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、n+m+p > 0である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
2. Aが、
【0199】
【化37】
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である、実施形態1に記載の化合物。
3. (n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、少なくとも2である、実施形態1又は2に記載の化合物。
4. (n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、2~20、好ましくは2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6の整数である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の化合物。
5. Q1が、好ましくは、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ナフチルメチル、フェニルメチル、ビフェニルメチル、インドリルメチル及びベンゾチアゾリルメチルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくは、Q1が、
【0200】
【化38】
からなる群から選択され、好ましくは、Q1
【0201】
【化39】
である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の化合物。
6. R3、R2及びR4が-CO2Hであり、R1がHである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
7. Q2が、
【0202】
【化40】
であり、好ましくは
【0203】
【化41】
である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の化合物。
8. n1、n2、m1、m2、p1、p2が互いに独立して、0又は1である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の化合物。
9. X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の化合物。
10. 正荷電アミノ酸が互いに独立して、アルギニン、リジン、ヒスチジンホモアルギニン、3及び4置換アルギニン類似体、N(デルタ)-メチル-アルギニン(デルタMA)、カナバニン、カナバニンの置換類似体、α-アミノ-β-グアニジノプロピオン酸、γ-グアニジノ酪酸、シトルリン、3-グアニジノプロピオン酸、4-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ブタン酸、6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、アルギニンヒドロキサメート、アグマチン(CAS番号:2482-00-0)、並びにNG-メチル-アルギニンからなる群から選択され、好ましくは、塩基性アミノ酸が互いに独立して、リジン(K)、ヒスチジン(H)及びアルギニン(R)からなる群から選択される、実施形態9に記載の化合物。
11. 負荷電アミノ酸が互いに独立して、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)からなる群から選択され、好ましくは、酸性アミノ酸が互いに独立して、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選択される、実施形態9又は10に記載の化合物。
12. X1及びX2の少なくとも1つが正荷電アミノ酸であり、X1及びX2の少なくとも1つが負荷電アミノ酸である、実施形態1から11のいずれか1つに記載の化合物。
13. X1及びX2の少なくとも1つがヒスチジン(H)であり、X1及びX2の少なくとも1つがグルタミン酸(E)である、実施形態1から12のいずれか1つに記載の化合物。
14. n1が0又は1であり、n2が0又は1である、実施形態1から13のいずれか1つに記載の化合物。
15. 構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nが、構造(HE)n又は(EH)n、好ましくは(EH)nを有する、実施形態1から14のいずれか1つに記載の化合物。
16. Y1及びY2の少なくとも1つが正荷電アミノ酸であり、Y1及びY2の少なくとも1つが負荷電アミノ酸である、実施形態1から15のいずれか1つに記載の化合物。
17. Y1及びY2の少なくとも1つがヒスチジン(H)であり、Y1及びY2の少なくとも1つがグルタミン酸(E)である、実施形態1から16のいずれか1つに記載の化合物。
18. m1が0又は1であり、m2が0又は1である、実施形態1から17のいずれか1つに記載の化合物。
19. 構成ブロック((Y1)m1(Y2)m2)mが、構造(HE)m又は(EH)m、好ましくは(EH)mを有する、実施形態1から18のいずれか1つに記載の化合物。
20. Z1及びZ2の少なくとも1つが正荷電アミノ酸であり、Z1及びZ2の少なくとも1つが負荷電アミノ酸である、実施形態1から19のいずれか1つに記載の化合物。
21. Z1及びZ2の少なくとも1つがヒスチジン(H)であり、Z1及びZ2の少なくとも1つがグルタミン酸(E)である、実施形態1から20のいずれか1つに記載の化合物。
22. p1が0又は1であり、p2が0又は1である、実施形態1から21のいずれか1つに記載の化合物。
23. 構成ブロック((Z1)p1(Z2)p2)pが、構造(HE)p又は(EH)p、好ましくは(EH)pを有する、実施形態1から22のいずれか1つに記載の化合物。
24. n+m+p >1である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の化合物。
25. 構成ブロック((X1)n1(X2)n2)nが、構造(HE)n又は(EH)nを有し、nが、2~4、より好ましくは3であり、mが0であり、pが0である、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
26. 構成ブロック((Y1)m1(Y2)m2)mが、構造(HE)m又は(EH)mを有し、mが、2~4、より好ましくは3であり、nが0であり、pが0である、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
27. 構成ブロック((Z1)p1(Z2)p2)pが、構造(HE)p又は(EH)pを有し、pが、2~4、より好ましくは3であり、nが0であり、mが0である、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
28. 構造
【0204】
【化42】
を有し、H及びEが、好ましくはL配置を有する、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
29. 構造
【0205】
【化43】
を有し、H及びEが、好ましくはL配置を有する、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
30. 構造
【0206】
【化44】
を有し、H及びEが、好ましくはL配置を有する、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
31. 構造
【0207】
【化45】
を有し、H及びEが、好ましくはL配置を有する、実施形態1から24のいずれか1つに記載の化合物。
32. (a)放射性核種、及び
(b)実施形態1から31のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体。
33. 放射性核種が、89Zr、44Sc、111ln、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、52Fe、59Fe、及びPbの放射性核種(例えば、203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される、実施形態32に記載の錯体。
34. 実施形態1から31のいずれか1つに記載の化合物又は実施形態32若しくは33に記載の錯体を含む医薬組成物。
35. 医薬における使用のための、好ましくは、PSMA発現がん、特に前立腺がん及び/若しくはその転移を処置及び/又は防止するための、実施形態1から31のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態32若しくは33に記載の錯体、又は請求項34に記載の医薬組成物。
36. 唾液腺及び/又は涙腺に対する有害副作用が、低減及び/又は回避される、実施形態35に記載の化合物。
37. 診断薬における使用のための、実施形態1から31のいずれか1つに記載の化合物、又は実施形態32若しくは33に記載の錯体、又は実施形態34に記載の医薬組成物。
38. がんの、好ましくはPSMA発現がんの、特に前立腺がん及び/又はその転移の診断における使用のための、実施形態37に記載の化合物。
39. 放射性核種が、β-エミッター、より好ましくは177Luであり、使用が診断であり、より好ましくは、錯体の活性投与量が、少なくとも100kBq/kg体重、より好ましくは少なくとも500kBq/kg体重、最も好ましくは少なくとも1MBq/kg体重である、実施形態35から38のいずれか1つに記載の化合物。
40. 放射性核種が、α-エミッターであり、より好ましくは225Acであり、使用が、治療、好ましくは、PSMA発現がん、好ましくは前立腺がんの治療であり、錯体の活性投与量が、好ましくは少なくとも75kBq/kg体重、より好ましくは少なくとも100kBq/kg体重である、実施形態34から38のいずれか1つに記載の化合物。
【0208】
この明細書の全体にわたって列挙されている全ての参照は、具体的に記述されている開示内容に関して並びにそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0209】
以下の実施例は、本発明を単に例示する。何であれ、それらは本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0210】
[実施例]
全ての市販の化学物質は、分析グレードのものであり、さらに精製することなく使用した。[68Ga]GaCl4 -68Ge/68Ga発生器(Eckert&Ziegler)から得た。[177Lu]LuCl3はITGから得た。逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC; Chromolith RP-18e、100×4.6mm; Merck、Darmstadt、Germany)を使用して、化合物を分析した。分析HPLC実行は、1mL/分で24分以内に5%(A)(0.1%のTFA水溶液)から50%のB(CH3CN中0.1%のTFA)の線形勾配を使用して行った。
【0211】
分析HPLC実行は、システムAgilent 1200シリーズ(Agilent Technologies、Santa Clara、California、USA)を使用して行った。UV吸光度をそれぞれ220及び280nmで測定した。質量分析のため、LC-MS SQ300(Perkin Elmer、Waltham、Massachusetts、USA)を使用した。
【0212】
前駆体PSMA-617(2-[3-(1-カルボキシ-5-{3-ナフタレン-2-イル-2-[(4-{[2-(4,7,10-トリス-カルボキシメチル-1,4,7,10-テトラアザ-シクロドデカ-1-イル)-アセチルアミノ]-メチル}-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-プロピオニルアミノ}-ペンチル)-ウレイド]-ペンタン二酸)及びPSMA-10([Glu-尿素-Lys(Ahx)]2-HBED-CC)をABX、Radeberg、Germanyから購入した。
【0213】
I. 合成
I.1 化合物PS1~PS10の合成
別段の指示がない限り、化合物は次の通りに合成した。
【0214】
ファーマコフォアGlu-尿素-Lysの合成は、Schafer Mら(2012)、EJNMMI Res. 2(1):23に従って行った。簡潔に述べると、合成はトリホスゲンを使用するグルタミル部分のイソシアネートの形成から出発した。樹脂に固定された(2-クロロ-トリチル樹脂、Merck、Darmstadt)ε-アリルオキシカルボニル保護リジンを添加し、穏やかにかき混ぜながら16hの間反応させた。樹脂を濾別し、アリルオキシ保護基をPd(PPh3)4(0.3当量)及びモルホリン(15当量)と周囲条件(1h、室温)下で2回反応させることによって除去した。樹脂を分割し、リンカーを標準的なFmoc固相プロトコールによって導入した。PS1~PS10のアミノ酸配列に従って、Fmoc保護アミノ酸(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。配列の最後のアミノ酸をカップリング後、トリス(tBu)DOTA(1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸のトリス(tBu)-エステル)(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。TFA/TIPS/H2O(95/2.5/2.5、v/v/v)を使用し室温で3時間、生成物を樹脂から切断した。
【0215】
RP-HPLCを使用して全ての生成物を精製し、質量分析で同定した。
【0216】
半分取カラム(SemiPrep、Chromolith RP-18e、100×10mm; Merck、Darmstadt、Germany)を使用して精製を行った。溶媒Aは0.1%のTFA水溶液からなり、溶媒BはCH3CN中0.1%のTFAであった。
【0217】
以下の化合物を合成した。
【0218】
【表2】
【0219】
I.2 68Ga標識化
前駆体ペプチド[HEPES緩衝液(1M、pH7)中2nmol、40μL]を40μLの[68Ga]GaCl4 -(約30MBq)に添加した。反応混合物を95℃で15分間インキュベートした。HPLCによって放射化学収率(RCY)を決定した。
【0220】
I.3 177Lu標識化
前駆体ペプチド[HEPES緩衝液(0.1M、pH7.2)中1nmol、50μL]を10μLの[177Lu]LuCl3(約30MBq)に添加した。反応混合物を95℃で15分間インキュベートした。HPLCによって放射化学収率(RCY)を決定した。
【0221】
I.4
[実施例1]
DOTA-(EH)3-CHx-2NaI-Lys-尿素-Glu及びDOTA-CHx-2NaI-(EH)3-Lys-尿素-Gluの合成
ファーマコフォアGlu-尿素-Lysの合成は、Schafer Mら(2012)、EJNMMI Res. 2(1):23に従って行った。簡潔に述べると、合成はトリホスゲンを使用するグルタミル部分のイソシアネートの形成から出発した。樹脂に固定された(2-クロロ-トリチル樹脂、Merck、Darmstadt)ε-アリルオキシカルボニル保護リジンを添加し、穏やかにかき混ぜながら16hの間反応させた。樹脂を濾別し、アリルオキシ保護基をPd(PPh3)4(0.3当量)及びモルホリン(15当量)と周囲条件(1h、室温)下で2回反応させることによって除去した。樹脂を分割し、リンカーを標準的なFmoc固相プロトコールによって導入した。
【0222】
DOTA-(EH)3-CHx-2NaI-Lys-尿素-Gluの合成
第1のステップでは、Fmoc-2-NaI-OH及びN-Fmoc-トラネキサム酸(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。(HE)3の導入のため、Fmoc-His(Trt)-OH及びFmoc-Glu(otBu)-OH(4当量)のカップリングを、HATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を使用しDMF中で行った。(HE)3を形成するため、Fmoc-His(Trt)-OH及びFmoc-Glu(otBu)-OHのカップリングをそれぞれ繰り返した。引き続いて、トリス(tBu)DOTA(1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸のトリス(tBu)-エステル)(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。TFA/TIPS/H2O(95/2.5/2.5、v/v/v)を使用し室温で3時間、生成物を樹脂から切断した。
【0223】
DOTA-CHx-2NaI-(EH)3-Lys-尿素-Gluの合成
第1のステップでは、Fmoc-His(Trt)-OH及びFmoc-Glu(otBu)-OH(4当量)のカップリングはHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を使用しDMF中で行った。(HE)3を形成するため、Fmoc-His(Trt)-OH及びFmoc-Glu(otBu)-OHのカップリングをそれぞれ繰り返した。その後で、Fmoc-2-NaI-OH及びN-Fmoc-トラネキサム酸(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。引き続いて、トリス(tBu)DOTA(1,4,7,10テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸のトリス(tBu)-エステル)(4当量ずつ)をHATU(4当量)及びDIPEA(10当量)を用いてDMF中でカップリングさせた。TFA/TIPS/H2O(95/2.5/2.5、v/v/v)を使用し室温で3時間、生成物を樹脂から切断した。
【0224】
RP-HPLCを使用して全ての生成物を精製し、質量分析で同定した。
【0225】
NUCLEOSILカラム(VP250/21、5μm粒子、120-5 C18; Macherey-Nagel、Duren、Germany)を使用して精製を行った。溶媒Aは0.1%のTFA水溶液からなり、溶媒BはCH3CN中0.1%のTFAであった。
【0226】
177Lu標識化
前駆体ペプチド[HEPES緩衝液(0.1M、pH7.2)中1nmol、50μL]を10μLの[177Lu]LuCl3(約30MBq)に添加した。反応混合物を95℃で30分間インキュベートした。HPLCによって放射化学収率(RCY)を決定した。
【0227】
II. 細胞アッセイ
II.1 細胞培養
PSMA+ LNCaP細胞(ATCC CRL-1740)をRPMI培地中で培養した。5%CO2を加えた加湿空気中37℃で細胞を成長させ、トリプシン-エチレンジアミン四酢酸を使用して回収した。
【0228】
II.2 細胞結合及び内部移行
競合的な細胞結合アッセイ及び内部移行実験は、Eder Mら(2012)、Bioconjug Chem 23(4):688に従って行った。
【0229】
簡潔に述べると、細胞(1ウェル当たり105)を68Ga標識化放射リガンド[Glu-尿素-Lys(Ahx)]2-HBED-CC(PSMA-10、ABX、Radeberg、Germanyから発注した前駆体)の0.8nM溶液を用いて12の異なる濃度の分析物(0~5000nM、100μL/ウェル)の存在下でインキュベートした。インキュベーション後、混合物を除去し、ウェルをPBSでマルチスクリーン真空マニホールド(Millipore、Billerica、MA)を使用して3回洗浄した。細胞結合放射活性をガンマカウンター(Packard Cobra II、GMI、Minnesota、USA)を使用して測定した。非線形回帰アルゴリズム(GraphPadソフトウェア)を使用してデータをフィットさせることによって、50%阻害濃度(IC50)値を算出した。
【0230】
内部移行実験のため、1ウェル当たり105の細胞を、ポリ-L-リジンコーティングされた24ウェル細胞培養プレートにインキュベーションの24h前に播種した。洗浄後、細胞を、30nMの68Ga又は177Lu放射標識化化合物を用い、それぞれ37℃及び4℃で45分間インキュベートした。1mLの氷冷PBSで3回洗浄することによって細胞取り込みを終了させた。表面結合放射活性を除去するため、細胞を、PBS(50mM、pH=2.8)中0.5mLのグリシン-HClを用いて5分間2回インキュベートした。細胞を1mLの氷冷PBSで洗浄し、0.3N NaOH(0.5mL)を使用して溶解した。表面結合及び内部移行画分をガンマカウンターで測定した。細胞取り込みを、105の細胞に結合された初期添加放射活性のパーセント[%ID/105の細胞]として算出した。
【0231】
統計的側面
全ての実験は少なくとも三重反復で行い、少なくとも3回繰り返した。定量的データは平均±SDとして表された。適用可能ならば、スチューデントのt検定を使用して平均を比較した。P値<0.05は統計学的に有意と考えられた。
【0232】
III. μPET画像化
μPET画像化のため、マウスに麻酔し(2%のイソフルラン)、小動物PETスキャナー(PET Focus、Siemens)に入れ、1マウス当たり500pmolの68Ga標識化ペプチドを注射した。60分の動的走査並びに60及び120分p.i.での静的走査を行った。画像を再構築し、最大強度投射(MIP)画像及び時間活性曲線に示されている標準取り込み値(SUV)に変換した。ROI(関心領域)技法を使用して定量化を行い、SUV平均として表した。
【0233】
IV. 結果
結合特性に対するリンカーの影響を調査するために、化合物の内部移行効率を決定した。結果は表1にまとめられている。合成化合物の両方が、標準物PSMA-617と比較して有意に高い特定の細胞表面結合及び特定の内部移行を示す。
【0234】
【表3】
【0235】
【表4】
【0236】
【表5】
【0237】
【表6】
【0238】
PSMA+腫瘍保有balb/cヌードマウスにおける薬物動態研究:
LNCaP腫瘍保有無胸腺ヌードマウス(右躯幹)における0.5nmolの68Ga標識化化合物の最大60分p.i.での注射後の腎臓についての時間活性曲線は、図1に示されている。(SUV=標準取り込み値)
【0239】
さらに、LNCaP腫瘍保有無胸腺ヌードマウス(右躯幹)における0.5nmolの68Ga標識化化合物Xの最大60分p.i.での注射後の腫瘍及び筋肉についての時間活性曲線(SUV=標準取り込み値)は、以下の図に示されている:
【0240】
【表7】
【0241】
【表8】
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図2-8】
図2-9】
図2-10】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図3-7】
図3-8】
図3-9】
図3-10】
【手続補正書】
【提出日】2021-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】
(式中、R1は、H又は-CH3 あり、
R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、
Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、
Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、
qは、0~3の整数であり、
n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、
n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、
n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、
n+m+p > 0である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
Aが、
【化2】
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、少なくとも2である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、2~20の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Q1、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ナフチルメチル、フェニルメチル、ビフェニルメチル、インドリルメチル及びベンゾチアゾリルメチルからなる群から選択される残基を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Q 1 が、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Q 1
【化4】
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R3、R2及びR4が-CO2Hであり、R1がHである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Q2が、
【化5】
である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、正荷電アミノ酸が互いに独立して、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ホモアルギニン、3及び4置換アルギニン類似体、N(デルタ)-メチル-アルギニン(デルタMA)、カナバニン、カナバニンの置換類似体、α-アミノ-β-グアニジノプロピオン酸、γ-グアニジノ酪酸、シトルリン、3-グアニジノプロピオン酸、4-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ブタン酸、6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、アルギニンヒドロキサメート、アグマチン(CAS番号:2482-00-0)、並びにNG-メチル-アルギニンからなる群から選択され、好ましくは、塩基性アミノ酸が互いに独立して、リジン(K)、ヒスチジン(H)及びアルギニン(R)からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、負荷電アミノ酸が互いに独立して、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)からなる群から選択され、好ましくは、酸性アミノ酸が互いに独立して、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
(a)放射性核種、及び
(b)請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体。
【請求項13】
放射性核種が、889Zr、44Sc、111ln、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、52Fe、59Fe、及びPbの放射性核種(例えば、203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される、請求項12に記載の錯体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12若しくは13に記載の錯体を含む医薬組成物。
【請求項15】
医薬における使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12若しくは13に記載の錯体、又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
PSMA発現がんを処置又は防止するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12若しくは13に記載の錯体、又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前立腺がん及び/又はその転移を処置又は防止するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12若しくは13に記載の錯体、又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
診断薬における使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12若しくは13に記載の錯体、又は請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
PSMA発現がんの診断における使用のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12若しくは13に記載の錯体、又は請求項14に記載の医薬組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0241
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0241】
【表8】
(付記)
(付記1)
式(1)
【化46】
(式中、R1は、H又は-CH3、好ましくはHであり、
R2、R3及びR4は互いに独立して、-CO2H、-SO2H、-SO3H、-OSO3H、-PO2H、-PO3H及び-OPO3H2からなる群から選択され、
Q1は、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Q2は、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル及びアルキルヘテロアリールからなる群から選択され、
Aは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(=DOTA)、N,N''-ビス[2-ヒドロキシ-5-(カルボキシエチル)ベンジル]エチレンジアミン-N,N''-二酢酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(=NOTA)、2-(4,7-ビス(カルボキシメチル)-1,4,7-トリアゾナン-1-イル)ペンタン二酸、(NODAGA)、2-(4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン二酸(DOTAGA)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナンホスフィン酸(TRAP)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1-[メチル(2-カルボキシエチル)ホスフィン酸]-4,7-ビス[メチル(2-ヒドロキシメチル)ホスフィン酸](NOPO)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1.]ペンタデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-三酢酸(=PCTA)、N'-{5-[アセチル(ヒドロキシ)アミノ]ペンチル}-N-[5-({4-[(5-アミノペンチル)(ヒドロキシ)アミノ]-4-オキソブタノイル}アミノ)ペンチル]-N-ヒドロキシスクシンアミド(DFO)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Trans-シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸(CHX-DTPA)、1-オキサ-4,7,10-トリアザシクロドデカン-4,7,10-三酢酸(オキソ-Do3A)p-イソチオシアナトベンジル-DTPA (SCN-Bz-DTPA)、1-(p-イソチオシアナトベンジル)-3-メチル-DTPA (1B3M)、2-(p-イソチオシアナトベンジル)-4-メチル-DTPA (1M3B)及び1-(2)-メチル-4-イソシアナトベンジル-DTPA (MX-DTPA)からなる群から選択されるキレート剤に由来するキレート剤残基であり、
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2は互いに独立して、荷電アミノ酸であり、
qは、0~3の整数であり、
n、m及びpは互いに独立して、0~9の整数であり、
n1、n2、m1、m2、p1、p2は互いに独立して、0~3の整数であり、
n1+n2 > 0、m1+m2 > 0、かつp1+p2 > 0であり、
n+m+p > 0である)
の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
(付記2)
Aが、
【化47】
からなる群から選択される構造を有するキレート剤残基である、付記1に記載の化合物。
(付記3)
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、少なくとも2である、付記1又は2に記載の化合物。
(付記4)
(n1+n2)n + (m1+m2)m + (p1+p2)pが、2~20、好ましくは2~10、より好ましくは4~8、より好ましくは6の整数である、付記1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(付記5)
Q1が、好ましくは、ナフチル、フェニル、ビフェニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ナフチルメチル、フェニルメチル、ビフェニルメチル、インドリルメチル及びベンゾチアゾリルメチルからなる群から選択される残基を含み、より好ましくは、Q1が、
【化48】
からなる群から選択され、好ましくは、Q1
【化49】
である、付記1から4のいずれか一項に記載の化合物。
(付記6)
R3、R2及びR4が-CO2Hであり、R1がHである、付記1から5のいずれか一項に記載の化合物。
(付記7)
Q2が、
【化50】
であり、好ましくは
【化51】
である、付記1から6のいずれか一項に記載の化合物。
(付記8)
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、正荷電アミノ酸が互いに独立して、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ホモアルギニン、3及び4置換アルギニン類似体、N(デルタ)-メチル-アルギニン(デルタMA)、カナバニン、カナバニンの置換類似体、α-アミノ-β-グアニジノプロピオン酸、γ-グアニジノ酪酸、シトルリン、3-グアニジノプロピオン酸、4-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ブタン酸、6-{[アミノ(イミノ)メチル]アミノ}ヘキサン酸、2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、アルギニンヒドロキサメート、アグマチン(CAS番号:2482-00-0)、並びにNG-メチル-アルギニンからなる群から選択され、好ましくは、塩基性アミノ酸が互いに独立して、リジン(K)、ヒスチジン(H)及びアルギニン(R)からなる群から選択される、付記1から7のいずれか一項に記載の化合物。
(付記9)
X1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2が互いに独立して、生理学的pHで正荷電又は負荷電アミノ酸であり、負荷電アミノ酸が互いに独立して、ホモグルタミン酸、Cysのスルホン酸誘導体、システイン酸、ホモシステイン酸、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)からなる群から選択され、好ましくは、酸性アミノ酸が互いに独立して、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選択される、付記1から8のいずれか一項に記載の化合物。
(付記10)
(a)放射性核種、及び
(b)付記1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物
を含む錯体。
(付記11)
放射性核種が、889Zr、44Sc、111ln、90Y、66Ga、67Ga、68Ga、177Lu、99mTc、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Cu、67Cu、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、161Tb、153Gd、155Gd、157Gd、213Bi、225Ac、230U、223Ra、165Er、52Fe、59Fe、及びPbの放射性核種(例えば、203Pb及び212Pb、211Pb、213Pb、214Pb、209Pb、198Pb、197Pb)からなる群から選択される、付記10に記載の錯体。
(付記12)
付記1から9のいずれか一項に記載の化合物又は付記10若しくは11に記載の錯体を含む医薬組成物。
(付記13)
医薬における使用のための、好ましくは、PSMA発現がん、特に前立腺がん及び/又はその転移を処置又は防止するための、付記1から9のいずれか一項に記載の化合物、又は付記10若しくは11に記載の錯体、又は付記12に記載の医薬組成物。
(付記14)
診断薬における使用のための、付記1から9のいずれか一項に記載の化合物、又は付記10若しくは11に記載の錯体、又は付記12に記載の医薬組成物。
(付記15)
がんの、好ましくはPSMA発現がんの、特に前立腺がん及び/又はその転移の診断における使用のための、付記14に記載の化合物。
【国際調査報告】