(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】光を透過させるための導波路
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220325BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20220325BHJP
G02C 11/00 20060101ALN20220325BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547184
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020014506
(87)【国際公開番号】W WO2020167427
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ジニア,マイケル ルシアン
(72)【発明者】
【氏名】クロール,マーク フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,マイケル ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー,ホースト ハーバート アントン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA12
2H199CA50
2H199CA56
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA74
2H199CA85
2H249AA02
2H249AA16
2H249AA60
2H249AA62
(57)【要約】
光学デバイスは、第2の湾曲光学素子と積層された第1の湾曲光学素子を含む、積層体を含む。上記第2の湾曲光学素子は、全内部反射によって光を伝播する。上記積層体はまた、上記光を上記第2の光学素子にインカップリング(incouple)するインカップリング用回折格子と、上記第2の湾曲光学素子を介して上記インカップリング用回折格子に光学的に結合される、アウトカップリング(outcoupling)用回折格子とを含む。上記アウトカップリング用回折格子は、上記光を方向決定する。上記第1の湾曲光学素子は第1の屈折率を有し、上記第2の湾曲光学素子は第2の屈折率を有し、上記第1の屈折率は、上記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス(104;106;400)であって、
前記光学デバイス(104;106;400)は、湾曲光学素子の積層体を備え、
前記積層体は:
第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)と積層された第1の湾曲光学素子(402;702;802;902;1002;1702;1802;1902;2002)であって、前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)は、全内部反射によって光を伝播するよう構成される、第1の湾曲光学素子(402;702;802;902;1002;1702;1802;1902;2002);
前記光を前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)にインカップリング(incouple)するよう構成された、インカップリング用回折格子(414;510;1914;2014);及び
前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)を介して前記インカップリング用回折格子(414;510;1914;2014)に光学的に結合される、アウトカップリング(outcoupling)用回折格子(412;608;710;810;910;1012;1402;1502;1602;1804)であって、前記アウトカップリング用回折格子(412;608;710;810;910;1012;1402;1502;1602;1804)は、前記光を方向決定するよう構成される、アウトカップリング用回折格子(412;608;710;810;910;1012;1402;1502;1602;1804)
を備え、
前記第1の湾曲光学素子(402;702;802;902;1002;1702;1802;1902;2002)は第1の屈折率を有し、
前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)は第2の屈折率を有し、
前記第1の屈折率は、前記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる、光学デバイス。
【請求項2】
前記積層体は、前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)と積層された第3の湾曲光学素子(406;1706;1806;1906;2006)を更に備え、
前記第3の湾曲光学素子(406;1706;1806;1906;2006)は、前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)を保護するように構成され、
前記第3の湾曲光学素子(406;1706;1806;1906;2006)は、前記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる第3の屈折率を有する、請求項1に記載の光学デバイス(104;106;400)。
【請求項3】
前記第1の屈折率はおよそ1.4~1.6であり、前記第2の屈折率はおよそ1.7より大きい、請求項1又は2に記載の光学デバイス(104;106;400)。
【請求項4】
前記アウトカップリング用回折格子(412;608;710;810;910;1012;1402;1502;1602;1804)は更に、前記光の少なくとも一部分を前記第1の湾曲光学素子(402;702;802;902;1002;1702;1802;1902;2002)へとアウトカップリングするよう構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学デバイス(104;106;400)。
【請求項5】
前記第1の湾曲光学素子(402;702;802;902;1002;1702;1802;1902;2002)と前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)との間に位置決めされた中間層、及び/又は前記第2の湾曲光学素子(404;502;602;704;804;904;1004;1400;1500;1600;1704;1804;1904;2004)と前記第3の湾曲光学素子(406;1706;1806;1906;2006)との間に位置決めされた別の中間層を更に備え、
前記中間層及び/又は前記別の中間層は、空隙及び接着材料のうちのいずれか一方を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2019年2月13日出願の米国仮特許出願第62/804,967号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は依拠され、参照によりその全体が本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光をガイドするため、例えば光をヘッドマウントディスプレイへとガイドするための、導波路に関する。
【背景技術】
【0003】
光投射技術の近年の進歩により、ヘッドマウントディスプレイの可用性及び人気が高まっている。ヘッドマウントディスプレイは現在、デジタル仮想画像をユーザに提示できる。オブジェクト又は他の情報を表すことができる仮想画像は、ユーザの周囲環境に存在するかのようになる。これは典型的には、光学素子(例えばレンズ)の様々な位置からユーザの眼へと光を直接投射することによって達成される。ヘッドマウントディスプレイは、ニア・ツー・アイ(near‐to‐eye)又はニアアイ(near‐eye)デバイスとも呼ばれる。これらの用語は、従来の電子ディスプレイ(例えばモニタースクリーン)とは異なる、画像形成のための光学的計算を参照する。ヘッドマウントディスプレイのユーザにとって、ユーザが周囲環境から隔離されていながら仮想画像を提示されている場合には、視覚的体験は「仮想現実(virtual reality)」と呼ばれることが多い。用語「拡張現実(augmented reality)」は多くの場合、仮想画像が現実世界の環境に対する上層としてユーザに提示されて、ユーザが受け取る視覚情報を強化する、視覚体験を指す。また、視覚体験によってユーザが、ユーザの現実世界の環境に組み込まれたように見える視覚的オブジェクトと対話できる場合、この体験は「複合現実(mixed reality)」と呼ばれることが多い。
【0004】
「非没入型(non‐immersive)」ヘッドマウントディスプレイは、光方向決定素子を用いて、ユーザの眼にデジタル情報を投射する。上記光方向決定素子は、ユーザの視野の大半を、デジタル情報がないままとする(非没入型視覚体験)。携帯電話用仮想現実ヘッドセットは、「没入型(immersive)」ヘッドマウントディスプレイの一例である。ユーザは自身の携帯電話をヘッドセットに装着する。次にヘッドセットを、携帯電話のスクリーンがユーザの視野の大半をカバーするように、ユーザに装着する(没入型視覚体験)。これらのタイプのヘッドマウントディスプレイでは、追加の光学素子(例えば眼鏡レンズ)は任意であり、必要ではない。別の例では、没入型ヘッドマウントディスプレイは、積層されたときに、ユーザの視野の大部分にわたって広がる眼鏡レンズのようになる、1つ以上のシースルー材料の1つ以上の層を通して、光をガイドできる。このタイプのヘッドマウントディスプレイは、光をユーザの眼に投射することによって、複合現実体験を生成できる。これは、ユーザの視野の様々な点から(例えばレンズの背面上の異なる複数の点から)のものであるように見える。その一方で同時に、現実の環境を完全に視認できるようにすることができる。しかしながら、これらのタイプのヘッドマウントディスプレイは大型であり、見物人及び通行人から不要な注意を集める可能性があるため、公共の場での使用には魅力的でない。
【0005】
現在、ヘッドマウントディスプレイの広範な適用にとっての障壁は、特にコスト、サイズ、電子機器面での課題、光学的課題、社会的受容に関する課題である。例えばヘッドマウントディスプレイは、社会的により受容されているアイウェア(例えば度付き眼鏡、サングラス)よりもはるかに大型であり、目立つことが知られている。ユーザの眼への光の輸送を提供する光学素子のサイズの削減は、困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮想現実、拡張現実、及び複合現実用途のための光投射を達成できる、低コストで目立たない光学素子に対する需要が、当該技術分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態によると、光学デバイスは、湾曲光学素子の積層体を備える。上記積層体は、第2の湾曲光学素子と積層された第1の湾曲光学素子を備える。上記第2の湾曲光学素子は、全内部反射によって光を伝播するよう構成される。上記積層体は更に、上記光を上記第2の湾曲光学素子にインカップリング(incouple)するよう構成された、インカップリング用回折格子と、上記第2の湾曲光学素子を介して上記インカップリング用回折格子に光学的に結合される、アウトカップリング(outcoupling)用回折格子とを備え、上記アウトカップリング用回折格子は、上記光を方向決定するよう構成される。上記第1の湾曲光学素子は第1の屈折率を有し、上記第2の湾曲光学素子は第2の屈折率を有し、上記第1の屈折率は、上記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる。
【0008】
第2の実施形態は、上記積層体が、上記第2の湾曲光学素子と積層された第3の湾曲光学素子を更に備える、第1の実施形態の光学デバイスを含む。上記第3の湾曲光学素子は、上記第2の湾曲光学素子を保護するように構成され、上記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる第3の屈折率を有する。
【0009】
第3の実施形態は、上記第1及び/又は第3の屈折率が上記第2の屈折率より高い、第1又は第2の実施形態の光学デバイスを含む。
【0010】
第4の実施形態は、上記第1及び/又は第3の屈折率が上記第2の屈折率より低い、第1又は第2の実施形態の光学デバイスを含む。
【0011】
第5の実施形態は、上記第1及び/又は第3の屈折率がおよそ1.4~1.6であり、上記第2の屈折率がおよそ1.7より大きい、第1、第2、又は第4の実施形態の光学デバイスを含む。
【0012】
第6の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子が更に、上記光の少なくとも一部分を上記第2の湾曲光学素子へと方向転換するよう構成される、第1~第5の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0013】
第7の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子が更に、上記光の少なくとも一部分を上記第1の湾曲光学素子へとアウトカップリングするよう構成される、第1~第6の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0014】
第8の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子が、上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間の境界に沿って、上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間の境界に沿って、又は上記第2の湾曲光学素子の内側に、位置決めされる、第1~第7の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0015】
第9の実施形態は、上記インカップリング用回折格子が、上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間の境界に沿って、上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間の境界に沿って、又は上記第2の湾曲光学素子の内側に、位置決めされる、第1~第8の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0016】
第10の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子が、反射型格子又は屈折型格子を含む、第1~第9の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0017】
第11の実施形態は、上記インカップリング用回折格子が、反射型格子又は屈折型格子を含む、第1~第10の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0018】
第12の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子及び上記インカップリング用回折格子が更に、上記光を、-1次透過、+1次透過、-1次反射、及び/又は+1次反射を用いて方向決定するよう構成される、第10又は第11の実施形態の光学デバイスを含む。
【0019】
第13の実施形態は、上記光が、上記インカップリング用回折格子と相互作用する前に上記第1の湾曲光学素子を通って透過する、第1~第12の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0020】
第14の実施形態は、上記光が、上記インカップリング用回折格子と相互作用する前に上記第1の湾曲光学素子を通って透過しない、第1~第13の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0021】
第15の実施形態は、上記光学デバイスが、上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間に位置決めされた中間層、及び/又は上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間に位置決めされた別の中間層を更に備える、第1~第14の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0022】
第16の実施形態は、上記中間層及び/又は上記別の中間層が、空隙又は接着材料を含む、第15の実施形態の光学デバイスを含む。
【0023】
第17の実施形態は、上記光が赤色、緑色、及び/又は青色波長を含む、第1~第16の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0024】
第18の実施形態は、上記第1の湾曲光学素子、上記第2の湾曲光学素子、及び/又は上記第3の湾曲光学素子が、上記光学デバイスを支持して上記光学デバイスの曲がりを防止するよう構成された、剛体を備える、第1~第17の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0025】
第19の実施形態は、上記光学デバイスが、およそベース2、ベース4、ベース6、ベース8、又はベース10より大きなベースカーブを更に備える、第1~第18の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0026】
第20の実施形態は、上記第2の湾曲光学素子の厚さが、およそ1000マイクロメートル、800マイクロメートル、又は600マイクロメートルを超えない、第1~第19の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0027】
第21の実施形態は、上記光学デバイスの厚さが、およそ15mm、12mm、11mm、又は10mmを超えない、第1~第20の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0028】
第22の実施形態は、上記第2の湾曲光学素子が、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ハフニア(hafnia)、アルミナ、タンタラ(tantala)、酸窒化タンタル、二酸化チタン、ジルコニア、酸化スカンジウム、酸化ニオブ、チタン酸ランタン、ランタナ(lanthana)、セリア、プラセオジミア(praseodymia)、又はイットリアを含む、第1~第21の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0029】
第23の実施形態は、上記第1及び/又は第3の光学素子が、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、スチレンアクリレート、ポリカーボネート、CR‐39、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、又は高純度溶融シリカを含む、第1~第22の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0030】
第24の実施形態は、上記第3の湾曲光学素子が、現実世界の画像に対する眼科矯正力を提供するよう構成された光学的形状を有する、第1~第23の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0031】
第25の実施形態は、眼科矯正力がおよそ-10~10ジオプターである、第24の実施形態の光学デバイスを含む。
【0032】
第26の実施形態は、上記アウトカップリング用回折格子が更に、上記光が集束する、発散する、又は実質的にコリメートされるように、上記光のうちのアウトカップリングされた部分を方向決定するよう構成される、第1~第25の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0033】
第27の実施形態は、上記第1の湾曲光学素子が、上記光が上記第1の湾曲光学素子を出るときに集束する、発散する、又は実質的にコリメートされるように、上記光のうちの上記アウトカップリングされた部分を方向転換するよう構成される、第1~第26の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0034】
第28の実施形態は、上記光学デバイスが更に、およそ40°超かつおよそ140°未満、およそ60°超かつおよそ140°未満、およそ80°超かつおよそ140°未満、およそ100°超かつおよそ140°未満、又はおよそ120°超かつおよそ140°未満の最大水平視野を有する、第1~第27の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0035】
第29の実施形態は、上記光学デバイスが更に、上記インカップリングされた光を拡張するよう構成された少なくとも1つの中間格子を備え、これにより、上記光のうちの上記アウトカップリングされた部分が2次元アレイを形成し、上記アレイの各構成要素が、上記インカップリングされた光の複製である、第1~第28の実施形態のいずれかの光学デバイスを含む。
【0036】
第30の実施形態は、光学デバイスの系を含み、上記系は、第1の実施形態の光学デバイスを複数備える。
【0037】
本明細書に記載のプロセス及びシステムの更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、当業者には、「発明を実施するための形態」の記載から容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本明細書に記載された実施形態を実践することによって、容易に認識されるだろう。
【0038】
以上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも、様々な実施形態を説明しており、請求対象の主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図している。添付の図面は、上記様々な実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書に記載の様々な実施形態を図示し、本記載と併せて、請求対象の主題の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【0039】
図面に記載の実施形態は、説明的及び例示的性質のものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図したものではない。これらの説明用の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】1つ以上の実施形態による、光学デバイスを装用するユーザの上面図
【
図5】1つ以上の実施形態による、平面又は湾曲光学デバイスの入力セクション
【
図6】1つ以上の実施形態による、平面又は湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図7】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図8】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図9】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図10】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図17】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図18】1つ以上の実施形態による、湾曲光学デバイスの出力セクション
【
図19】1つ以上の実施形態による、光学デバイスの入力セクション
【
図20】1つ以上の実施形態による、光学デバイスの入力セクション
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の特徴及び利点は、以下に記載された「発明を実施するための形態」を図面と併せて参照すると、より明らかになるだろう。図面では全体を通して、同様の参照記号によって、対応する要素を識別する。図面では、同様の参照番号は全体として、同一の、機能的に類似した、及び/又は構造的に類似した要素を指す。更に全体として、参照番号の一番左の1つ以上の桁は、この参照番号が最初に現れる図を識別する。特段の指示がない限り、本開示全体を通して提供されている図面は、正確な縮尺の図面として解釈してはならない。
【0042】
以下、デジタル画像を特にヘッドマウントディスプレイに表示するための光学素子及び方法の実施形態について、詳細に言及する。これらの例は添付の図面に図示されている。
【0043】
本明細書では、光学デバイス(例えば光導体を備えたウェアラブルレンズ)の設計及び製造を促進するための実施形態を説明し、上記光学デバイスは、光ビームをガイドでき、また光ビームを、1つ以上の上記光学デバイスを採用したヘッドマウントディスプレイのユーザに対して、デジタル画像として出力できる。
【0044】
概算を意味する用語、例えば「おおよその(approximate)」、「およそ(approximately)」、「約(about)」等は、本明細書では、ある特定の技術、及び/又は1つ以上の特定のパラメータに基づいて変動し得る所与の量の値を示すために使用できる。例えば、概算を意味する用語は、量、サイズ、処方、パラメータ、並びに他の量及び特徴を修飾してよく、必ずしも正確でなく、必要に応じて許容誤差、換算係数、丸め、測定誤差等、及び当業者に公知のその他の因子を反映した、おおよそのもの、及び/又は大きい若しくは小さいものであってよい。このような概算を意味する用語は、所与の量の値が、例えばこの値の0~10%(例えばこの値の±0.5%、±5%、又は±10%)以内で変動することを示していてよい。
【0045】
方向及び空間的関係を意味する用語、例えば「…の下(beneath)」、「…の下方(below)」、「…より下(lower)」、「…の上方(above)」、「…の上(on)」、「…より上(upper)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「左(left)」、「右(right)」等は、本明細書では、説明を分かりやすくするために、図面に図示されているような、ある要素又は特徴の、別の1つ以上の要素又は特徴に対する関係を説明するために使用され得る。方向及び空間的関係を意味する用語は、図面に図示された配向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる複数の配向を包含することを意図したものである。装置は他の配向となる(90°又は他の配向で回転される)場合があり、本明細書中で使用される、方向及び空間的関係を意味する用語は、これに伴って同様に解釈され得る。
【0046】
用語「観察者(viewer)」、「装用者(wearer)」、「典型的な装用者(typical wearer)」、「ユーザ(user)」、「典型的なユーザ(typical user)」等は、本明細書では特に、全体としての中央値のユーザ、人口統計学又はアクティビティによる中央値のユーザ、あるいは人間に関する測定値の規格又は公知のデータベースに一致する身体的寸法を有するユーザを指すために使用され得る。例えば、典型的なヘッドマウントディスプレイユーザは、米国国家規格協会(American National Standards Institute:ANSI)、欧州規格、又は人体測定調査に一致する身体的寸法を有するユーザであってよい。
【0047】
用語「光(light)」は、本明細書では「電磁放射(electromagnetic radiation)」、又は単に「放射(radiation)」の一形態を示すために使用でき、これらの用語は相互交換可能なものとして使用され得る。同様に、用語「ビーム(beam)」は、本明細書ではビーム又はビーム状の構成を有する光を指すために使用できる。
【0048】
用語「光導体(lightguide)」は、本明細書では光をガイドする光学部品、いわゆる「導波路(waveguide)」を指すために使用でき、用語「光導体」及び「導波路」は相互交換可能なものとして使用され得る。
【0049】
用語「屈折率(index)」は、本明細書では屈折率(refractive index)を指すために使用でき、またこの用語は材料の特徴を示すために使用でき、例えば「高屈折率材料(higher index material)」は、別の材料と比較して高い屈折率を有する材料を指すことができる。
【0050】
用語「入力(input)」、「入射(launch)」、「インカップリング(incouple)」、「注入(inject)」等は、本明細書では媒体に入る光を説明するために使用できる。同様に、用語「出力(output)」、「出る(exit)」、「アウトカップリング(outcouple)」、「射出(eject)」等は、本明細書では媒体を出る光を説明するために使用できる。
【0051】
ヘッドマウントディスプレイの多くの進歩にも関わらず、広い視野、非電子的なアイウェアに迫るフォームファクタ、及び構成コストの削減を可能としながら優れた光学的品質を有する光学的構造体に対して、需要が存在し続けている。
【0052】
光導体は、光が伝播する際に、ある空間領域に閉じ込められた光をガイドする、光学的構造体である。光の閉じ込めは典型的には、光導体とその周囲の材料との間の屈折率の差、及び光が光導体に入射する角度を用いて達成される。正しい条件下では、光は全内部反射する。一般的な光導体の一例は光ファイバであり、これは光の伝播を、狭い「パイプ」、即ち光ファイバのいわゆるコアに沿って閉じ込める。典型的には、伝播は比較的低損失であり、即ち光導体を通って漏れる、又はその他の様式で減衰する光はごくわずかであり、多くの場合無視できる。光ファイバを通る光の移動経路は、比較的直線状である(例えば光ファイバの光軸に沿ってしか移動しない)が、2次元光導体を、周囲の材料との屈折率差を有する材料の薄い平面層として設計できる。光導体を取り囲む材料は、クラッド又は空気であってよい。更に、このような平面状の光導体は、平坦な面に限定されない場合がある。例えば、ある2次元曲率に従うように光導体を湾曲させてよい。限定ではなく単に説明を容易にすることを目的として、用語「光導体」は、特段の記載がない限り、この2次元のものを指すものとする。
【0053】
湾曲光導体は、平面光導体に比べて様々な利点を有する。例えば、光導体を、ヘッドマウントディスプレイのウェアラブルレンズとして使用できる。この例では、光導体の曲率により:より広い視野を可能とする、ユーザの顔を包み込むフォームファクタ;及び一般的なアイウェア(例えば眼鏡)に似たフォームファクタが可能となる。
【0054】
図1は、1つ以上の実施形態による、光学デバイス104及び光学デバイス106を装用したユーザ102の上面図を示す。いくつかの実施形態では、光学デバイス104及び光学デバイス106は湾曲している。光学デバイス104及び光学デバイス106は、例えばアイウェアのフレーム(図示せず)によって支持される。光学デバイス104及び光学デバイス106は、装用時、ユーザ102の直線状の視線の経路内にある。いくつかの実施形態では、光学デバイス104及び光学デバイス106はユーザ102の顔を包み込む。いくつかの実施形態では、光学デバイス104は、光108をユーザ102の眼に送るよう構成される。同様に、光学デバイス106は、光110をユーザ102の別の眼に送るよう構成される。いくつかの実施形態では、光学デバイス104及び光学デバイス106を、アイウェア(例えばゴーグル、バイザー等)に使用される一体レンズの類似物を形成する一体型光学デバイスとして、組み合わせてよい。
【0055】
湾曲光導体について詳述する前に、まず平面光導体について検討することが有益である。
図2は、1つ以上の実施形態による光学デバイス200を示す。いくつかの実施形態では、光学デバイス200は、光導体202、材料204、境界206a、境界206b、格子208、及び格子210を備える。格子208及び格子210はそれぞれ、アウトカップリング用回折格子及びインカップリング用回折格子と呼ぶこともできる。例えば格子の機能に従ったこのような命名スキームは、本明細書中において、本開示の他の実施形態の格子にも使用され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、材料204は光導体202を取り囲む。いくつかの実施形態では、格子208及び/又は格子210は、境界206bに位置決めされていてよい。いくつかの実施形態では、格子208及び/又は格子210は、境界206a(図示されていない位置)に位置決めされていてよい。いくつかの実施形態では、格子208及び/又は格子210は、例えば材料204と接触しない光導体202内(図示されていない位置)に位置決めされていてよい。格子208及び格子210の異なる複数の位置によって、格子の反射挙動又は屈折挙動の使用が可能となる。これらについては
図5及び6を参照して後述する。境界206a及び境界206bはおおよそ平行である。
【0057】
いくつかの実施形態では、光導体202は、境界206aと境界206bとの間の全内部反射(TIR)によって光212をガイドする。光導体202は屈折率ndを有し、材料204は屈折率n0を有する。いくつかの実施形態では、ndはn0とは異なる。いくつかの実施形態では、TIRを可能とするために、ndはn0より大きい。そして、光が境界206a又は境界206bに:
【0058】
【0059】
となるような入射角θiで入射すると、TIRが起こり、ここでθcはいわゆる臨界角である。他の実施形態では、ndはn0より小さい。
【0060】
境界206a及び境界206bがおおよそ平行である構成では、光導体202内でTIRを受ける光212は、通常、境界206a又は境界206bを通って光導体202から出ることはできない。従っていくつかの実施形態では、格子208を用いて、光導体202から光212をアウトカップリングする。同様に、境界206a及び境界206bがおおよそ平行である構成では、光212は通常、条件θi≧θcをもたらすような角度で光導体202に入ることはできない。従っていくつかの実施形態では、格子210を用いて、光212をある角度で光導体202へとインカップリングする。格子208及び格子210のこれらの構成により、光212の方向を修正して、条件θi≧θcを生成又は破棄する。
【0061】
TIR性能は、光導体の表面の損傷及び摩耗に対して敏感である。TIR性能は、光導体の比較的大規模な構造変化、例えば光導体が薄い場合又は可撓性材料製である場合に発生し得る光導体の曲げに対しても、敏感である。より堅固な構造を実現して光導体を衝撃から保護するオーバーモールド、カプセル、又はクラッドを含むことが、光学デバイスにとって有利となる。
【0062】
図3は、1つ以上の実施形態による光学デバイス300を示す。いくつかの実施形態では、光学デバイス300は、支持層302、光導体304、境界308、境界310、格子312、及び格子314を備える。いくつかの実施形態では、光学デバイス300は保護層306を備える。
【0063】
いくつかの実施形態では、支持層302、光導体304、及び保護層306は平坦である。支持層302は境界310において、光導体304と積層される。保護層306は境界308において、光導体304と積層される。いくつかの実施形態では、光学デバイス300の厚さ及び/又は全体的なサイズを削減するために、保護層306は存在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、格子312及び/又は格子314は境界310に位置決めされる。いくつかの実施形態では、格子312及び/又は格子314は境界308(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、格子312及び/又は格子314は、例えば支持層302又は保護層306と接触しない光導体304内(図示されていない位置)に位置決めされる。
【0064】
いくつかの実施形態では、光導体304は、境界308と境界310との間のTIRを用いて光316をガイドする。光導体304は屈折率ndを有し、支持層302は屈折率no,1を有する。保護層306は屈折率no,2を有する。いくつかの実施形態では、ndは、no,1及びno,2とは異なる。いくつかの実施形態では、TIRを可能とするために、ndはno,1より大きく、及び/又はno,2より大きい。いくつかの実施形態では、ndはno,1より小さく、及び/又はno,2より小さい。
【0065】
いくつかの実施形態では、格子312は光316の方向を決定する。いくつかの実施形態では、格子312は、光316の少なくとも一部分を光導体304へと方向転換する。いくつかの実施形態では、格子312は、光316の少なくとも一部分を支持層302へとアウトカップリングする。光316のうちのアウトカップリングされた部分は、支持層302を出る。この出てゆく光はビーム318で表される。ビーム318は例えば、光学デバイス104及び光学デバイス106(
図1)と同様の光学デバイス300のユーザの眼へと送達される。いくつかの実施形態では、格子314を用いて、光316を光導体304へとインカップリングする。格子314を用いて光316をインカップリングする理由は、格子210(
図2)に関して上述した理由と同様である。図示されている出力ビームの数は非限定的なものであること、及びいずれの数の出力ビーム(例えば1画素あたり1つのビーム)を出力するように光学デバイス300を設計できることは、当業者には明らかであろう。
【0066】
平面光学デバイスと比較した場合の湾曲光学デバイスのいくつかの利点としては、より広い視野、及び一般的なアイウェア(例えば眼鏡)により近いフォームファクタが挙げられる。しかしながら、湾曲光学デバイスの設計には、既存の平面光学デバイスに湾曲を付与する以上のことが必要となる。例えば、湾曲を光学デバイス300に付与する場合、光316をガイドするジオメトリは変化することになり、細心の注意を払って設計された格子が意図したとおりに機能しなくなる可能性があり、ビーム318の方向が改変され、これによって、ビーム318が形成する画像の品質が劣化する。従って、本発明の実施形態は、曲率の影響を補償する湾曲光学デバイスを提供する。
【0067】
図4は、1つ以上の実施形態による光学デバイス400を示す。いくつかの実施形態では、光学デバイス400は、支持層402、光導体404、境界408、境界410、格子412、及び格子414を備える。いくつかの実施形態では、光学デバイス400は保護層406を備える。
【0068】
いくつかの実施形態では、支持層402、光導体404、及び保護層406は湾曲している。支持層402は境界410において、光導体404と積層される。保護層406は境界408において、光導体404と積層される。いくつかの実施形態では、境界408は、材料の薄い介在層、即ち中間層(例えば接着剤、空隙)を有する。境界410もまた中間層を含んでよい。いくつかの実施形態では、光学デバイス400の厚さ及び/又は全体的なサイズを削減するために、保護層406は存在しなくてもよい。いくつかの実施形態では、格子412及び/又は格子414は境界410に位置決めされる。いくつかの実施形態では、格子412及び/又は格子414は境界408(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、格子412及び/又は格子414は、例えば支持層402又は保護層406と接触しない光導体404内(図示されていない位置)に位置決めされる。
【0069】
いくつかの実施形態では、光導体404は、境界408と境界410との間のTIRを用いて光420をガイドする。光導体404は屈折率n
dを有し、支持層402は屈折率n
o,1を有する。保護層406は屈折率n
o,2を有する。いくつかの実施形態では、n
dは、n
o,1及びn
o,2とは異なる。いくつかの実施形態では、TIRを可能とするために、n
dはn
o,1より大きく、及び/又はn
o,2より大きい。いくつかの実施形態では、n
dはn
o,1より小さく、及び/又はn
o,2より小さい。屈折率n
dと屈折率n
o,2(又はn
o,1)との間の差は、およそ0.15~1.2である。屈折率の差に関して、他の値の範囲も可能であることは、当業者には明らかであろう。屈折率の差の重要性については、
図18を参照して後述する。
【0070】
いくつかの実施形態では、光学デバイス400は、支持層402、光導体404、及び保護層406が、セクション416及びセクション418両方に存在するように、セクション416及びセクション418へと構成できる。セクション416及びセクション418はそれぞれ、光学デバイスの出力セクション及び入力セクションと呼ばれる場合もある。例えばセクションの機能に従ったこのような命名スキームは、本明細書中において、本開示の他の実施形態の光学デバイスのセクションにも使用され得る。いくつかの実施形態では、格子412はセクション416に配置される。いくつかの実施形態では、格子414はセクション418に配置される。格子412は、光420の少なくとも一部分を光導体404へと方向転換する。いくつかの実施形態では、格子412は、光420の少なくとも一部分を支持層402へとアウトカップリングする。光420のうちのアウトカップリングされた部分は、支持層402を出る。この出てゆく光は、セクション416のビーム422で表される。格子412は光420及びビーム422の方向を決定する。ビーム422は例えば、光学デバイス104及び光学デバイス106(
図1)と同様の光学デバイス400のユーザの眼へと送達される。図示されている出力ビームの数は非限定的なものである。いくつかの実施形態では、格子414を用いて、光420をセクション418の光導体404へとインカップリングする。格子414を用いて光420をインカップリングする理由は、格子210(
図2)に関して上述した理由と同様である。
【0071】
光420が光導体404を通過する際、境界408及び境界410に対する光420の入射角は、光導体404の曲率を理由として、反射のたびに異なり得る。上記入射角が光420と格子412との間の相互作用に影響するため、ビーム422の方向もまた、光導体404の曲率に影響される。この影響は、格子412を適切な格子パラメータ(例えば線幅、ピッチ等)で設計することによって補償できる。インカップリング用回折格子、例えば格子414の説明から始めると、より有益である。
【0072】
図5は、1つ以上の実施形態による平面又は湾曲光学デバイスの入力セクション500を示す。いくつかの実施形態では、入力セクション500は、光導体502、材料504、境界506、及び格子508を備える。
【0073】
いくつかの実施形態では、材料504は境界506において光導体502と接触する。例えば、材料504は、支持層302(
図3)若しくは402(
図4)、保護層306(
図3)若しくは406(
図4)、又は空気であってよい。格子508は境界506に位置決めされる。
【0074】
いくつかの実施形態では、材料504の側部から境界506に入射した光510は、格子508と相互作用する。光510は光導体502へとインカップリングされる。格子508との相互作用の後、光510は、回折次数(例えば-1、0、+1等)によって標識されることが多い多数の回折角で、回折し得る。
図5に示されている光路は、限定ではなく単に説明を容易にすることを目的としたものである。光510が、垂直入射を含む可能な入射角を無限に有し、関連する回折角も無限に有することは、当業者には明らかであろう。回折角は格子パラメータによっても決定される。いくつかの実施形態では、-1次又は+1次経路に沿って光導体502へとインカップリングされた光510は、TIRを用いた透過のために使用される。更に、格子508は、光510を光導体502に入力するための透過動作には使用する必要がない。その代わりに、いくつかの実施形態では、格子508を、境界506の反対側に位置決めされた反射型回折素子として動作させる。格子508が光導体502の内部に(例えば材料504と接触せずに)位置決めされていたとしても、格子508を用いて、反射型のインカップリングであるか屈折型のインカップリングであるかにかかわらず、光510をインカップリングしてTIRを開始させることが依然として可能であることは、当業者には理解されるだろう。このシナリオでは、光510は(例えば略垂直の入射において)境界506を透過し、光導体502内へとある距離だけ進んだ後、格子508にぶつかる。
【0075】
アウトカップリング用回折格子、例えば格子412を通って光導体を出る光についても、同様の相互作用が適用可能である。
図6は、1つ以上の実施形態による平面又は湾曲光学デバイスの出力セクション600を示す。いくつかの実施形態では、出力セクション600は、光導体602、材料604、境界606、格子608を備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、材料604は境界606において光導体602と接触する。例えば、材料604は、支持層302(
図3)若しくは402(
図4)、保護層306(
図3)若しくは406(
図4)、又は空気であってよい。いくつかの実施形態では、格子608は境界606に位置決めされる。
【0077】
いくつかの実施形態では、光導体602の側部から境界606に入射した光610は、格子608と相互作用する。格子608は光610の方向を決定する。いくつかの実施形態では、格子608は光610の一部分を材料604へとアウトカップリングする。アウトカップリングされた部分は、光612である。また、光610の別の部分は、光導体602へと方向転換(例えば反射)される。反射された部分は光614である。限定ではなく単に説明を容易にすることを目的として、
図6は、
図5に示されている回折角と対応するような光610、光612、及び光614の特定の構成を示す。他の回折次数も使用できることは、当業者には明らかであろう。また、光612及び光614の方向は、光610の方向、及び/又は格子608のパラメータを変更することによって修正できる。更に、光612によって表される、光を光導体602から出力するための透過動作には、格子608を使用する必要がない。従っていくつかの実施形態では、格子608は、光導体602から光をアウトカップリングするための反射型回折素子として使用される。例えば、光614が、図示されているものとは異なる(例えば境界606に対しておおよそ垂直な)角度で与えられる場合、光614を、アウトカップリングされる光として使用してよい。このシナリオでは、光614は反対側の境界606から出ることになる。格子608が光導体602の内部に(例えば材料604と接触せずに)位置決めされていたとしても、格子608を用いて、反射型のアウトカップリングであるか屈折型のアウトカップリングであるかにかかわらず、光610をアウトカップリングすることが依然として可能であることは、当業者には理解されるだろう。このシナリオでは、光610はまず格子608と相互作用し、これによって光612(又は光614)が光導体内で生成され、おおよそ垂直な入射で境界606(又は反対側の境界)まである距離だけ進み、その後光導体602を出る。
【0078】
図7~9はそれぞれ、1つ以上の実施形態による、光導体によって出力された光の方向を制御できる出力セクション700、出力セクション800、及び出力セクション900を示す。
【0079】
特段の指示がない限り、以下の
図7の構造の説明は、同様に番号付与された要素を使用した
図8及び9にも同様に当てはまる。いくつかの実施形態では、出力セクション700は、支持層702、光導体704、境界706、境界708、及び格子710を備える。支持層702は境界708において光導体704と積層される。格子710は、屈折動作か又は反射動作かに応じて、境界706又は境界708に位置決めされる(反射位置は図示されていない)。他の実施形態では、格子710は、例えば支持層702と接触しない光導体704内(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光を格子710によって光導体704からアウトカップリングして、出力ビーム712を形成する。いくつかの実施形態では、出力ビーム712は光導体704から支持層702へとアウトカップリングされ、その後支持層702を出る。
【0080】
アウトカップリング用回折格子を用いて、アウトカップリングされた光の方向を決定できることは、出力セクション600(
図6)に関して既に説明した。出力セクション700、出力セクション800、及び出力セクション900はそれぞれ、別個の構成の出力ビーム712、出力ビーム812、及び出力ビーム912を示す。いくつかの実施形態では、出力ビーム712は集束する。この出力ビーム712の方向は、光導体704を通過する光の入射角度、及び支持層702の外側表面を出る際の出力ビーム712の反射を考慮に入れた、適切な格子パラメータを設計することによって達成される。いくつかの実施形態では、出力ビーム812は略コリメートされ、即ち観察者の瞳に対して垂直である。出力ビーム812は、出力ビーム712に関して説明した方法と同様の方法を用いて、略コリメートできる。いくつかの実施形態では、出力ビーム912は発散する。出力ビーム912は、出力ビーム712に関して説明した方法と同様の方法を用いて、発散させることができる。
図7~9に示されているように出力光の方向を制御することによって、出力ビーム712、出力ビーム812、又は出力ビーム912によって形成される画像オブジェクトの見かけの距離を操作でき、例えば、コリメートされた出力ビーム912によって形成される画像は、ユーザの瞳に対して無限遠点にある。
【0081】
更に、光と支持層(例えば
図7の支持層702)の出力表面との相互作用を、上記出力表面の形状を変更することによって制御できる。
図10は、湾曲光学デバイスの出力セクション100を示す。いくつかの実施形態では、出力セクション1000は、支持層1002、光導体1004、境界1006、境界1008、境界1010、及び格子1012を備える。境界1010は、光を屈折させる形状を有する。支持層1002は境界1008において光導体1004と積層される。境界1010は、ユーザに対面する出力セクション1000の表面である。格子1012は、屈折動作か又は反射動作かに応じて、境界1006又は境界1008に位置決めされる(反射位置は図示されていない)。他の実施形態では、格子1012は、例えば支持層1002と接触しない光導体1004内(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光を格子1012によって光導体1004からアウトカップリングして、出力ビーム1014を形成する。いくつかの実施形態では、出力ビーム1014は光導体1004からアウトカップリングされ、境界1010を通って出力セクション1000を出る。境界1010の形状は、格子1012と共に、所望の構成の出力ビーム1014を生成するように作用するよう、設計される。
図10に示されている構成では、出力ビーム1014は、略コリメートされ、即ち観察者の瞳に対して垂直となっている。しかしながら、他の構成(例えば発散又は集束)も可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0082】
光導体の厚さを用いて光を制御できる。光導体を薄くすることによって、より密な瞳のサンプリング(例えばピクセル解像度)が可能となり、光導体を利用するヘッドマウントディスプレイを、より小型でより目立たないものとすることができる。
図11~13は、光導体の厚さをスケーリングする効果を示す。
【0083】
特段の指示がない限り、以下の
図11の構造の説明は、同様に番号付与された要素を使用した
図12及び13にも同様に当てはまる。
図11~13はそれぞれ、1つ以上の実施形態による平面光導体1100、平面光導体1200、及び平面光導体1300を示す。いくつかの実施形態では、平面光導体1100は格子1102を備える。格子1102は、平面光導体1100から出力ビーム1104をアウトカップリングするよう構成される。いくつかの実施形態では、出力ビーム1104のビームの間の間隔1106は、光導体の厚さ1108によって決定される。同様の従属性が、出力ビーム1204と厚さ1208、及び出力ビーム1304と厚さ1308にも当てはまる。
図11~13の図は、単に厚さのスケーリングの影響を比較するものであり、構造的要素(例えば全内部反射中の入射角、外側材料の存在又は不在等)をある1つの所与の図に限定することを意図したものではない。
【0084】
図11~13は、間隔1106、間隔1206、及び間隔1306がそれぞれ厚さ1108、厚さ1208、及び厚さ1308に比例することを示している。換言すれば、瞳のサンプリング、即ち解像度は、平面光導体の厚さが削減されるほど密にすることができる。
【0085】
厚さの選択の影響は、湾曲光導体においても同様である。
図14~16は、光導体の厚さをスケーリングする影響を示す。特段の指示がない限り、以下の
図14の構造の説明は、同様に番号付与された要素を使用した
図15及び16にも同様に当てはまる。
図14~16はそれぞれ、1つ以上の実施形態による湾曲光導体1400、湾曲光導体1500、及び湾曲光導体1600を示す。いくつかの実施形態では、光導体1400は格子1402を備える。格子1402は、光導体1400から出力ビーム1404をアウトカップリングするよう構成される。いくつかの実施形態では、出力ビーム1404のビームの間の間隔1406は、光導体の厚さ1408によって決定される。同様の従属性が、出力ビーム1504と厚さ1508、及び出力ビーム1604と厚さ1608にも当てはまる。
図14~16の図は、単に厚さのスケーリングの影響を比較するものであり、構造的要素をある1つの所与の図に限定することを意図したものではない。
【0086】
図14~16は、間隔1406、間隔1506、及び間隔1606がそれぞれ厚さ1408、厚さ1508、及び厚さ1608に比例することを示している。換言すれば、瞳のサンプリング、即ち解像度は、湾曲光導体の厚さが削減されるほど密にすることができる。
【0087】
従っていくつかの実施形態では、光導体の厚さは1.0mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.8mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.6mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.4mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.3mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.2mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.1mmを超えない。いくつかの実施形態では、光導体の厚さは0.05mmを超えない。
【0088】
本発明の実施形態は、眼科矯正(例えば度付きレンズ)を含む。
図17は、1つ以上の実施形態による湾曲光学デバイスの出力セクション1700を示す。いくつかの実施形態では、出力セクション1700は、支持層1702、光導体1704、保護層1706、境界1708、境界1710、境界1712、及び境界1714を備える。
【0089】
いくつかの実施形態では、支持層1702は境界1710において光導体1704と積層される。保護層1706は境界1708において光導体1704と積層される。境界1714は、ユーザに対面する出力セクション1700の表面である。境界1712は、現実世界に対面する(例えばユーザとは反対側を向いた)出力セクション1700の表面である。いくつかの実施形態では、境界1712は、およそ-10~10ジオプターの眼科矯正力を提供する形状を有する。いくつかの実施形態では、境界1712の形状は、最も遠い対向する表面(例えば境界1714)と共に作用して、眼科矯正力を提供する。
【0090】
光導体の1つのパラメータは、この光導体が観察者の眼に光を送達できる角度範囲、即ち最大視野である。
図18を用いると、光導体の最大視野の数学的関係がより良好に理解される。
図18は、1つ以上の実施形態による湾曲光学デバイスの出力セクション1800を示す。いくつかの実施形態では、出力セクション1800は、支持層1802、光導体1804、保護層1806、境界1808、境界1810、境界1812、及び格子1814を備える。
【0091】
いくつかの実施形態では、保護層1806は境界1808において光導体1804と積層される。支持層1802は境界1810において光導体1804と積層される。境界1812は、ユーザに対面する出力セクション1800の表面である。格子1814は境界1810に位置決めされる。支持層1802は屈折率n0,1を有する。光導体1804は屈折率ndを有する。保護層1806は屈折率n0,2を有する。いくつかの実施形態では、ndはn0,1及びn0,2より大きい。出力セクション1800の外側の材料は空気であり、屈折率ni≒1を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、光1816は格子1814と相互作用して、支持層1802内へと透過する。次に光1816は境界1812を通って出力セクション1800を出る。続いて光1816は、点1818(例えば標的)に向けられる。点1818と境界1812との間の距離はdとして定義される。
【0093】
湾曲光導体の最大視野は、DeHoog, E., Homstedt, J., & Aye, T. (2016) Field of View of limitations in see‐through HMD using geometric waveguides, Applied Optics, 55(22), 5924‐5930に記載されている完全前後方(QU)光線トレース法に従って導出でき、上記文献はその全体が参照により本出願に援用される。湾曲光導体の最大視野θFOVが:
【0094】
【0095】
であることを示すことができ、ここでGは格子の周波数であり、λは光1816の波長であり、Rは光導体1804の曲率半径である。式2は、光導体の全体的な厚さがRよりも大幅に小さいと仮定している。Rが無限大となるとき、式2は平面光導体を記述できる。
【0096】
特定の用途では、観察者の顔をぴったりと包み込む湾曲光学デバイスを得ることが有利となり得るが、他の用途には、わずかに湾曲した(例えば眼鏡状の)レンズ形状で十分であり得る。本開示の実施形態では、光導体の曲率半径は、ある用途に適合するように選択できる。しかしながら、式2が光導体の曲率半径を含むことに留意する必要がある。即ち上記曲率半径は、光学デバイスによって表示される画像の視野に影響を及ぼす。
【0097】
いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ40~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ60~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ80~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ100~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ120~140°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~120°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~100°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~80°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~60°の最大視野を有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、およそ20~40°の最大視野を有する。最大視野に関するこれらの値の範囲は、水平視野、垂直視野、又はこれら両方に適用できる。他の視野範囲も可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0098】
ベースカーブは、アイウェア業界で使用される有用な規格である。具体的には、アイウェアの「ラップアラウンド(wrap‐around)」曲線に言及する際に、530mm半径規格(530mm radius standard)が使用される。この規格では、530mmの曲率半径を「ベース1」として定義する。ベースカーブの値と半径との間の変換には、以下の式が使用される:
【0099】
【0100】
例えば、いくつかの一般的なラップアラウンドサングラスは、約8のベースカーブ値(即ちベース8)を有する。式3に従うと、これは66.25mmの曲率半径に等しい。またベース0は無限大の半径(即ち平面)に対応する。
【0101】
いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース2を超えるベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース4を超えるベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース6を超えるベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース8を超えるベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース10を超えるベースカーブを有する。いくつかの用途は、ベースカーブが、一定ではないものの、ベースカーブ値のある範囲内にあり続けていること、例えば自由曲面形状を有するレンズを必要とする場合がある。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース0~ベース5.6のベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース2~ベース5のベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース3~ベース5のベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース6~ベース10のベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース7~ベース10のベースカーブを有する。いくつかの実施形態では、光学デバイスはおよそベース7~ベース9のベースカーブを有する。いくつかの用途は、水平方向のベースカーブが垂直方向のベースカーブとは異なること、例えばトーリックレンズを必要とする場合がある。従って、ベースカーブのこれらの値の範囲は、水平方向のベースカーブ、垂直方向のベースカーブ、又はこれら両方に適用できる。他のベースカーブ範囲も可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0102】
屈折率ndと屈折率n0,2との間の差が大きいほど、最大視野θFOVが大きくなることが、式2から推断できる。アイウェアで使用されるいくつかの一般的な透明材料は、およそ1.4~1.6の屈折率を有する。この値の範囲内の材料は、アイウェアレンズに使用される透明材料の文脈では、低屈折率材料とみなすことができる。低屈折率材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、スチレンアクリレート、ポリカーボネート、CR‐39、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、及び高純度溶融シリカが挙げられる。これらは、例えば支持層及び保護層の製作に使用してよい材料である。屈折率値は材料の温度に依存し得ることを理解されたい。従って、特段の記載がない限り、本明細書で開示される屈折率値は、およそ25℃の温度に対応する。
【0103】
反対に、比較的高屈折率の材料は、およそ2.6に達する屈折率を有してよく、例えば二酸化チタンである。透明な高屈折率材料としては、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ハフニア、アルミナ、タンタラ、酸窒化タンタル、二酸化チタン、ジルコニア、酸化スカンジウム、酸化ニオブ、チタン酸ランタン、ランタナ、セリア、プラセオジミア、又はイットリアが挙げられる。これらは、例えば光導体の製作に使用してよい材料である。従って、光導体材料として使用される高屈折率材料と、光導体を取り囲む材料としての低屈折率材料とを合わせると、およそ1.2もの屈折率差が生じる。光導体が空気によって取り囲まれている場合、屈折率差はおよそ1.6にもなり得る。光導体とその周囲の材料との間の屈折率差の下限は、光導体内の全内部反射を可能とするものでありさえすればよく、例えば上記差はおよそ0.15であってよい。
【0104】
従っていくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差は、およそ0.15~1.6である。いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差は、およそ0.15~1.2である。
【0105】
視野の制約が厳しいものでない場合、光導体とその周囲の材料との間の屈折率差に関する制約を緩和してよい。従って、いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差はおよそ0.3~1.2である。いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差はおよそ0.3~1.1である。いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差はおよそ0.4~1.1である。いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差はおよそ0.5~1.1である。いくつかの実施形態では、屈折率ndと屈折率n0,2(又はn0,1)の間の差はおよそ0.6~1.1である。屈折率差に関する他の値の範囲も可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0106】
本開示は、光導体への光のインカップリングを可能とする、様々な構造的構成を提供する。
図19は、光学デバイスの入力セクション1900を示す。いくつかの実施形態では、入力セクション1900は、支持層1902、光導体1904、境界1908、境界1910、及び格子1912を備える。いくつかの実施形態では、入力セクション1900は保護層1906を備える。他の実施形態では、入力セクション1900を備える光学デバイスの厚さ及び/又は全体的なサイズを削減するために、保護層1906は存在しなくてもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、支持層1902は境界1908において光導体1904と積層される。保護層1906は境界1910において光導体1904と積層される。格子1912は、屈折動作か又は反射動作かに応じて、境界1908又は境界1910に位置決めされる(反射位置は図示されていない)。他の実施形態では、格子1912は、例えば支持層1902又は保護層1906と接触しない光導体1904内(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、支持層1902は光1914を、光導体1904が受け取る前に受け取る。換言すると、光1914は支持層1902を透過した後、格子1912と相互作用する。
【0108】
図20は、光学デバイスの入力セクション2000を示す。いくつかの実施形態では、入力セクション2000は、支持層2002、光導体2004、境界2008、境界2010、及び格子2012を備える。いくつかの実施形態では、入力セクション2000は保護層2006を備える。他の実施形態では、入力セクション2000を備える光学デバイスの厚さ及び/又は全体的なサイズを削減するために、保護層2006は存在しなくてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、支持層2002は境界2008において光導体2004と積層される。支持層2002は、格子2012において方向決定される光2014の経路ではない。保護層2006は境界2010において光導体2004と積層される。格子2012は、屈折動作か又は反射動作かに応じて、境界2008又は境界2010に位置決めされる(反射位置は図示されていない)。他の実施形態では、格子2012は、例えば支持層2002又は保護層2006と接触しない光導体2004内(図示されていない位置)に位置決めされる。いくつかの実施形態では、光2014が光導体2004において受け取られる前に支持層2002を通るのが回避される。換言すると、光2014は、支持層2002を最初に通過することなく、格子2012と相互作用する。
【0110】
これまで、光学デバイス又は光導体から出力された光は断面図で示されてきたが、これでは、2次元画像を形成できる出力ビームの複数の行を図示するのは困難である。本発明は、インカップリングされた光を拡張(例えば複製、クロスカップリング(cross‐couple))するための構造を提供し、これにより、光のうちのアウトカップリングされた部分が2次元アレイを形成し、アレイの各構成要素がインカップリングされた光の複製となる。
図21は、1つ以上の実施形態による光学デバイス2100を示す。いくつかの実施形態では、光学デバイス2100は、光導体2102、格子2104、格子2106、及び格子2108を備える。
【0111】
いくつかの実施形態では、光導体2102は、湾曲眼鏡レンズに類似した形状を有する。右眼レンズの形状が
図21に図示されているが、左眼レンズの要素及び構造がその鏡像であってよいことは、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態では、格子2108は、光学デバイス2100のユーザの直線状の視線の、予想される経路内に位置決めされる。この配置を補助するために、光学デバイス2100をヘッドマウントディスプレイのフレーム(例えば眼鏡フレーム)上に設置してよい。いくつかの実施形態では、格子2104及び格子2106は、光2110を生成する光源(図示せず)の付近となるように位置決めされる。例えば
図21は、ユーザの鼻により近い、格子2104の位置を示す。
【0112】
いくつかの実施形態では、格子2104は光2110を受け取る。格子2104は光2110を光導体2102に、1つの回折次数(-1又は+1)で入力する。格子2104の回折次数は、光2110がTIRによってガイドされるように方向決定される。光2110は光導体2102を通って格子2106に向かって進む。格子2106は光2110を受け取る。いくつかの実施形態では、格子2106は、2つの回折次数(例えば0及び1、0及び-1、又は-1及び+1)を有するように設計される。いくつかの実施形態では、格子2106は、光2110の反復ビーム分割によって、ビーム2112を生成する。格子2106はその機能により、瞳孔拡張器又はクロスカップリング用格子としても知られる。格子2106は、例えばその光学的位置がインカップリング用回折格子とアウトカップリング用回折格子との間である場合、中間格子と呼ばれる場合もある。格子2106はまた、アウトカップリング用回折格子と組み合わせることによって、アウトカップリング/クロスカップリング複合格子を形成する場合もある。格子2106の回折次数は、ビーム2112がTIRによってガイドされるように方向決定される。ビーム2112は光導体2102を通って格子2108に向かって進む。いくつかの実施形態では、格子2108もまた、2つの回折次数(例えば0及び1、0及び-1、又は-1及び+1)を有する。格子2108は、ビーム2112の反復ビーム分割によって、ビーム2114を生成する。いくつかの実施形態では、格子2108は、他の回折次数が光導体2102からビーム2114を出力する間、1つの回折次数が光導体2102を通ってガイドされ続けるように設計される。回折次数の効率は、格子2108にわたって、垂直な視認方向に沿って変動するため、ビーム2114は略均一な強度を有する。いくつかの実施形態では、ビーム2114は2次元アレイを形成し、このアレイの各構成要素は、光2110の複製である。次にビーム2114は、観察者の網膜に像を形成する。
図21の瞳孔拡張器の設定は、光学デバイスに2次元画像の生成及び表示を可能とする、多数の可能な構成のうちの1つである。ここで提供されている構成は、非限定的なものである。
【0113】
本発明の実施形態において、複数の波長を使用してよいことは、当業者には明らかであろう。例えば1つ以上の実施形態では、単一の光導体を、単色の光を送達するように設計してよい。例えば上記光は、赤色(620~750nm)、緑色(495~570nm)、又は青色(430~495nm)波長を有してよい。いくつかの実施形態では、各光導体が単一波長の光、例えば赤色、緑色、及び青色波長を送達する、複数の光導体を設計してよい。いくつかの実施形態では、単一の導波路が、可視スペクトル(400nm~750nm)にわたる複数の波長を有する光を送達できる。光の波長及び光導体の個数の他の組み合わせも可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0114】
ヘッドマウントディスプレイは、多様な色を処理し、また観察者からの様々な見かけの距離に画像を配置するように、設計してよい。複数の光導体を使用(例えば積層)してよく、また(TIRを促進するために)分離材料を用いて隔ててよいことは、当業者には明らかであろう。光導体の積層体内の各光導体は、別個の波長のために使用してよく、また観察者からの様々な見かけの距離(例えば深度)に画像を表示するために使用してよい。いくつかの実施形態では、光学デバイスのシステムは、複数の積層された光学デバイス(例えば限定するものではないが、
図4の光学デバイス)を備える。上記積層された光学デバイスの各光学デバイスは、本明細書で開示される実施形態に従って設計される。上記積層された光学デバイスの各光学デバイスは、1つ以上の所与の波長(例えば赤色、緑色、及び/又は青色)の光を有する画像を生成するよう構成され、上記画像は、ヘッドマウントディスプレイを使用する観察者からの、ある見かけの距離を有する。光学デバイス積層体の異なる組み合わせも可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの積層体内に3つの光学デバイスを使用してよく、各光学デバイスは、赤色、緑色、及び青色波長を個々に処理するが、全て1つの共通の見かけの深度に画像を形成するように構成される。
【0115】
いくつかの実施形態では、光学デバイスの合計厚さはおよそ20mmを超えない。いくつかの実施形態では、光学デバイスの合計厚さはおよそ15mmを超えない。いくつかの実施形態では、光学デバイスの合計厚さはおよそ12mmを超えない。いくつかの実施形態では、光学デバイスの合計厚さはおよそ11mmを超えない。いくつかの実施形態では、光学デバイスの合計厚さはおよそ10mmを超えない。
【0116】
本発明の実施形態は、多様な製作方法で実装してよい。例えば、まず初期層(例えば光導体又は支持層)が製作される。製作方法は例えば、射出成形、積層、又はプレス成形であってよい。これに続く隣接する層は、初期層の上に堆積させてよい。材料堆積技法は例えば、オーバーモールド、薄膜蒸着、積層であってよい。初期層は、格子等の特徴部分を既に含んでいてよい。あるいは、格子である特徴部分を、初期層上にエッチング、スクライビング、ナノインプリント、又はプレス加工してよい。これに続く、隣接する層の堆積により、格子である特徴部分は充填される。このシナリオでは、格子は光導体と一体である。あるいは、隣接する初期層とは異なる材料を用いて、格子である特徴部分を充填してもよい。これらの製作方法は、単なる例として提供されており、限定的なものではない。
【0117】
本明細書で使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記、その(the)」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、複数の指示対象を含む。従って例えば、「ある」構成部品に対する言及は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、2つ以上のこのような構成部品を有する態様も含む。
【0118】
本明細書中の術語又は用語法は、説明を目的としたものであって、限定を目的としたものではなく、従って、1つ以上の関連分野の当業者は、本明細書の用語法又は術語を本明細書の教示に照らして解釈するべきであることを理解されたい。
【0119】
ここに記載された1つ以上の実施形態、及び本明細書中での「一実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(an embodiment)」、「ある例示的実施形態(an example embodiment)」等への言及は、記載されている1つ以上の実施形態がある特定の特徴部分、構造又は特徴を含み得るものの、全ての実施形態が上記特定の特徴部分、構造又は特徴を必ずしも含むわけではない場合があることを示している。更に、このような句は、必ずしも同じ実施形態について言及しているわけではない。更に、ある特定の特徴部分、構造又は特徴が、ある実施形態に関連して記載されている場合、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、上記特定の特徴部分、構造又は特徴を他の実施形態に関連して実現することは、当業者の知識の範囲内であることが理解される。
【0120】
特段の記載がない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その全てのステップを実施すること又はそのステップを特定の順序で実施することを必要とするものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、あるいはいずれの装置クレームが、個々の構成部品に対して順序又は配向を実際に記載していない場合、あるいは特許請求の範囲若しくは明細書において、これらのステップが特定の順序に限定されるべきであること、又は装置の構成部品の特定の順序若しくは配向が必要となることが、具体的に記載されていない場合、順序又は配向が推定されることは、いかなる点でも一切意図されていない。これは:複数のステップの配置、動作フロー、構成部品の順序、又は構成部品の配向に関する論理の問題;文法的構成又は句読点から導出される明白な意味;及び本明細書に記載の実施形態の個数又はタイプを含む、解釈のためのいずれの非明示的根拠にも当てはまる。
【0121】
請求対象の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な修正及び変更を実施できることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書は、本明細書に記載の様々な実施形態の修正及び変更が、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限りにおいて、このような修正及び変更を包含することを意図している。
【0122】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0123】
実施形態1
光学デバイスであって、
上記光学デバイスは、湾曲光学素子の積層体を備え、
上記積層体は:
第2の湾曲光学素子と積層された第1の湾曲光学素子であって、上記第2の湾曲光学素子は、全内部反射によって光を伝播するよう構成される、第1の湾曲光学素子;
上記光を上記第2の湾曲光学素子にインカップリングするよう構成された、インカップリング用回折格子;及び
上記第2の湾曲光学素子を介して上記インカップリング用回折格子に光学的に結合される、アウトカップリング用回折格子であって、上記アウトカップリング用回折格子は、上記光を方向決定するよう構成される、アウトカップリング用回折格子
を備え、
上記第1の湾曲光学素子は第1の屈折率を有し、
上記第2の湾曲光学素子は第2の屈折率を有し、
上記第1の屈折率は、上記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる、光学デバイス。
【0124】
実施形態2
上記積層体は、上記第2の湾曲光学素子と積層された第3の湾曲光学素子を更に備え、
上記第3の湾曲光学素子は、上記第2の湾曲光学素子を保護するように構成され、
上記第3の湾曲光学素子は、上記第2の屈折率とおよそ0.15~1.2だけ異なる第3の屈折率を有する、実施形態1に記載の光学デバイス。
【0125】
実施形態3
上記第1の屈折率及び/又は上記第3の屈折率は、上記第2の屈折率より高い、実施形態1又は2に記載の光学デバイス。
【0126】
実施形態4
上記第1の屈折率及び/又は上記第3の屈折率は、上記第2の屈折率より低い、実施形態1又は2に記載の光学デバイス。
【0127】
実施形態5
上記第1の屈折率及び/又は上記第3の屈折率はおよそ1.4~1.6であり、上記第2の屈折率はおよそ1.7より大きい、実施形態1~4のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0128】
実施形態6
上記アウトカップリング用回折格子は更に、上記光の少なくとも一部分を上記第2の湾曲光学素子へと方向転換するよう構成される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0129】
実施形態7
上記アウトカップリング用回折格子は更に、上記光の少なくとも一部分を上記第1の湾曲光学素子へとアウトカップリングするよう構成される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0130】
実施形態8
上記アウトカップリング用回折格子は、上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間の境界に沿って、上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間の別の境界に沿って、又は上記第2の湾曲光学素子の内側に、位置決めされる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0131】
実施形態9
上記インカップリング用回折格子は、上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間の境界に沿って、上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間の別の境界に沿って、又は上記第2の湾曲光学素子の内側に、位置決めされる、実施形態1~8のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0132】
実施形態10
上記アウトカップリング用回折格子は、反射型格子又は屈折型格子を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0133】
実施形態11
上記インカップリング用回折格子は、反射型格子又は屈折型格子を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0134】
実施形態12
上記アウトカップリング用回折格子及び上記インカップリング用回折格子は更に、上記光を、-1次透過、+1次透過、-1次反射、及び/又は+1次反射を用いて方向決定するよう構成される、実施形態10又は11に記載の光学デバイス。
【0135】
実施形態13
上記光は、上記インカップリング用回折格子と相互作用する前に上記第1の湾曲光学素子を通って透過する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0136】
実施形態14
上記光は、上記インカップリング用回折格子と相互作用する前に上記第1の湾曲光学素子を通って透過しない、実施形態1~12のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0137】
実施形態15
上記第1の湾曲光学素子と上記第2の湾曲光学素子との間に位置決めされた中間層、及び/又は上記第2の湾曲光学素子と上記第3の湾曲光学素子との間に位置決めされた別の中間層を更に備える、実施形態1~14のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0138】
実施形態16
上記中間層及び/又は上記別の中間層は、空隙又は接着材料を含む、実施形態15に記載の光学デバイス。
【0139】
実施形態17
上記光は赤色、緑色、及び/又は青色波長を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0140】
実施形態18
上記第1の湾曲光学素子、上記第2の湾曲光学素子、及び/又は上記第3の湾曲光学素子は、上記光学デバイスを支持して上記光学デバイスの曲がりを防止するよう構成された、剛体を備える、実施形態1~17のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0141】
実施形態19
およそベース2、ベース4、ベース6、ベース8、又はベース10より大きな水平ベースカーブを更に備える、実施形態1~18のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0142】
実施形態20
上記第2の湾曲光学素子の厚さは、およそ1000マイクロメートル、800マイクロメートル、又は600マイクロメートルを超えない、実施形態1~19のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0143】
実施形態21
上記光学デバイスの厚さは、およそ15.0mm、12.0mm、11mm、又は10mmを超えない、実施形態1~20のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0144】
実施形態22
上記第2の湾曲光学素子は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ハフニア、アルミナ、タンタラ、酸窒化タンタル、二酸化チタン、ジルコニア、酸化スカンジウム、酸化ニオブ、チタン酸ランタン、ランタナ、セリア、プラセオジミア、又はイットリアを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0145】
実施形態23
上記第1の湾曲光学素子及び/又は上記第3の湾曲光学素子は、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマー、スチレンアクリレート、ポリカーボネート、CR‐39、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、又は高純度溶融シリカを含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0146】
実施形態24
上記第3の湾曲光学素子は、現実世界の画像に対する眼科矯正力を提供するよう構成された光学的形状を有する、実施形態1~23のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0147】
実施形態25
上記眼科矯正力はおよそ-10~10ジオプターである、実施形態24に記載の光学デバイス。
【0148】
実施形態26
上記アウトカップリング用回折格子は更に、上記光が集束する、発散する、又は実質的にコリメートされるように、上記光のうちのアウトカップリングされた部分を方向決定するよう構成される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0149】
実施形態27
上記第1の湾曲光学素子は、上記光が上記第1の湾曲光学素子を出るときに集束する、発散する、又は実質的にコリメートされるように、上記光のうちの上記アウトカップリングされた部分を方向転換するよう構成される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0150】
実施形態28
およそ40°超かつおよそ140°未満、およそ60°超かつおよそ140°未満、およそ80°超かつおよそ140°未満、およそ100°超かつおよそ140°未満、又はおよそ120°超かつおよそ140°未満の最大水平視野を更に有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0151】
実施形態29
上記インカップリングされた光を拡張するよう構成された少なくとも1つの中間格子を更に備え、これにより、上記光のうちの上記アウトカップリングされた部分が2次元アレイを形成し、上記2次元アレイの各構成要素が、上記インカップリングされた光の複製である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の光学デバイス。
【0152】
実施形態30
光学デバイスの系であって、上記系は、実施形態1に記載の光学デバイスを複数備える、光学デバイスの系。
【符号の説明】
【0153】
102 ユーザ
104、106、200、300、400、2100 光学デバイス
108、110、212、316、420、510、610、612、614、1816、1914、2014、2110 光
202、304、404、502、602、704、1004、1704、1804、1904、2004、2102 光導体
204、504、604 材料
206a、206b、308、310、408、410、506、606、706、708、1006、1008、1010、1708、1710、1712、1714、1808、1810、1812、1908、1910、2008、2010 境界
208、210、312、314、412、414、508、608、710、1012、1102、1402、1814、1912、2012、2104、2106、2108 格子
302、402、702、1002、1702、1802、1902、2002 支持層
306、406、1706、1806、1906、2006 保護層
318、422、2112、2114 ビーム
416、418 セクション
500、1900、2000 入力セクション
600、700、800、900、1000、1700、1800 出力セクション
712、812、912、1014、1104、1204、1304、1404、1504、1604 出力ビーム
1100、1200、1300 平面光導体
1106、1206、1306、1406、1506、1606 ビームの間の間隔
1108、1208、1308、1408、1508、1608 光導体の厚さ
1400、1500、1600 湾曲光導体
1818 点
【国際調査報告】