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特表2022-520821潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220325BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220325BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/95
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547443
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2020028240
(87)【国際公開番号】W WO2020214654
(87)【国際公開日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/833,862
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/848,328
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517290947
【氏名又は名称】4シー メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ディダリング,ジェイソン エス.
(72)【発明者】
【氏名】クマール,サラヴァナ ビー.
【テーマコード(参考)】
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097SB03
4C267AA05
4C267AA42
4C267AA56
4C267CC19
(57)【要約】
人工心臓弁デバイス用の装填システムが開示されている。装填漏斗は、生体適合性流体が少なくとも部分的に充填されるまたは充填可能である水密内部空間内に設けられる。漏斗は、潰れた人工心臓弁デバイスを収容するルーメンを有する送達カテーテルが接続される円筒端部を有し得る。展開した状態の人工心臓弁デバイスは、人工心臓弁デバイスを潰すための予測可能で、信頼性でき、繰り返し可能な表面を提供する漏斗内に配置され、漏斗内に押し込まれるか、または引き込まれ得る。最終的に、人工心臓弁デバイスは、送達カテーテルのルーメンに沿ったさらなる平行移動および目的の心腔への放出のために送達カテーテルのルーメン内に潰されて平行移動される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
密閉可能な容器であって、前記容器の下面にある密閉されたまたは自己密閉可能なアクセス開口部ならびに前記容器の側面および前記容器の前記下面より上に配置された密閉可能な開口部を備える密閉可能な容器と、
装填漏斗であって、円筒部分および円錐部分であって、前記円筒部分および前記円錐部分を通るルーメンを備える円筒部分および円錐部分ならびに前記密閉可能な容器および前記容器の前記下面にある前記自己密閉可能なアクセス開口部に動作可能に接続された上部開口部分を備える装填漏斗と、
前記密閉可能な容器内に配置される展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスと、
送達カテーテルであって、前記送達カテーテルを通るルーメンを備え、前記装填漏斗の前記円筒部分および前記円錐部分と動作可能に流体連通および係合し、前記容器の前記自己密閉可能なアクセス開口部を通って延びる送達カテーテルと、
前記送達カテーテルの前記ルーメン内に配置されるプルワイヤであって、前記人工心臓弁デバイスが前記装填漏斗の前記半径方向に広がる上部開口部分内に展開され配置されるときに前記人工心臓弁デバイスに取り付けられ、最初に前記装填漏斗の前記円錐部分を通り、次に前記装填漏斗の前記円筒部分を通り、次に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記人工心臓弁デバイスを引っ張って潰すように適合されたプルワイヤと、
生体適合性流体を前記密閉可能な容器の内部に導入して、その中に配置された前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを浸漬するように適合された前記密閉可能な容器の前記内部と流体連通する流体注入ラインと
を備える装填システム。
【請求項2】
前記自己密閉可能なアクセス開口部が弁を備える、請求項1に記載の装填システム。
【請求項3】
前記プルワイヤが前記人工心臓弁デバイスから取り外し可能である、請求項1に記載の装填システム。
【請求項4】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項1に記載の装填システム。
【請求項5】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの前に前記弁支持体の前記円筒部分に入るように前記装填漏斗内に配置される、請求項1に記載の装填システム。
【請求項6】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項1に記載の装填システム。
【請求項7】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
前記展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスをその中に保持するように適合された装填漏斗であって、それを通るルーメンおよび前記ルーメン内の自己密閉アクセス開口部を備える装填漏斗と、
前記装填漏斗の上部開口部に接続され、これにより実質的に水密の内部を画定するように適合された接続上部と、
前記実質的に水密の内部に生体適合性流体を注入するように適合された、前記実質的に水密の内部と流体連通する流体注入ラインと、
前記装填漏斗の前記ルーメンと動作可能に接続され、前記実質的に水密の内部と流体連通するルーメンを備える送達カテーテルと、
前記装填漏斗内に配置され、生体適合性流体内に完全に浸漬されるように適合された展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスに接続されるプルワイヤと
を備え、前記プルワイヤは、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを、前記装填漏斗の前記ルーメンに通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰し入れるように適合されている
装填システム。
【請求項8】
前記自己密閉アクセス開口部が弁を備える、請求項7に記載の装填システム。
【請求項9】
前記プルワイヤが、前記人工心臓弁デバイスから取り外し可能であり、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを、前記装填漏斗を通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に引っ張るように適合されている、請求項7に記載の装填システム。
【請求項10】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項7に記載の装填システム。
【請求項11】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備え、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの前に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記装填漏斗内に配置される、請求項9に記載の装填システム。
【請求項12】
前記装填漏斗および接続上部がねじで互いに接続される、請求項7に記載の装填システム。
【請求項13】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項7に記載の装填システム。
【請求項14】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
前記展開した状態の潰れ可能な人工心臓弁デバイスをその中に保持するように適合された装填漏斗であって、それを通るルーメンを備え、前記装填漏斗の前記ルーメン内に自己密閉アクセス開口部を備える装填漏斗と、
前記装填漏斗の上部開口部に接続され、これにより実質的に水密の内部を画定するように適合された接続ベースと、
水密の内部を画定するように前記装填漏斗と前記接続ベースとを接続するように適合された磁気結合具と、
前記装填漏斗と動作可能に接続され、前記実質的に水密の内部と流体連通するルーメンを備える送達カテーテルと、
前記画定された水密の内部内に配置され、生体適合性流体内に完全に浸漬されるように適合された展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスに接続されるプルワイヤと
を備え、前記プルワイヤは、前記人工心臓弁デバイスを、前記装填漏斗の前記ルーメンに通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰し入れるように適合されている
装填システム。
【請求項15】
前記自己密閉アクセス開口部が弁を備える、請求項14に記載の装填システム。
【請求項16】
前記プルワイヤが、前記人工心臓弁デバイスから取り外し可能であり、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを、前記漏斗を通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に引っ張るように適合されている、請求項14に記載の装填システム。
【請求項17】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項14に記載の装填システム。
【請求項18】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備え、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの後に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記装填漏斗内に配置される、請求項16に記載の装填システム。
【請求項19】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項16に記載の装填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者
アメリカ合衆国市民、ミネソタ州ミネアポリス在住のJason S.Diedering。
アメリカ合衆国市民、ミネソタ州ミネトンカ在住Saravana B.Kumar。
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月14日に出願され、「潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムおよびその方法」と題された米国非仮特許出願第16/848328号の優先権を主張し、また、2019年4月15日に出願され、「潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムおよびその方法」と題された米国仮出願第62/833862号の利点を主張し、これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する声明
非該当
【0003】
発明の分野
本発明は、人工心臓弁デバイスを含むがこれに限定されないステントを送達カテーテル内に装填するためのデバイス、システム、および特徴に関する。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
ヒトの心臓は、4つの部屋、および心臓を通る血液の順方向(順行性)の流れを補助する4つの心臓弁を備える。部屋には、左心房、左心室、右心房、および右心室が含まれる。4つの心臓弁には、僧帽弁、三尖弁、大動脈弁、および肺動脈弁が含まれる。一般的には図1を参照されたい。
【0005】
僧帽弁は左心房と左心室との間に位置し、左心房への逆流を防ぐ一方向弁として機能することにより、左心房から左心室への血流を制御するのに役立つ。同様に、三尖弁は右心房と右心室との間に位置し、一方、大動脈弁および肺動脈弁は、心臓から血液を流す動脈に位置する半月弁である。弁はすべて一方向弁であり、順方向(順行性)の血流を可能にするために開く弁尖を有する。正常に機能している弁尖は、血液が流出したばかりの部屋への血液の逆流(逆行)を防ぐために、逆進血液によって加えられる圧力下で閉じる。例えば、適切に働いているときの僧帽弁は、左心房と左心室との間の一方向弁を提供し、左心房から左心室への順行性の流れを可能にするために開き、左心室から左心房への逆行性の流れを防ぐために閉じる。この逆行性の流れは、存在する場合、僧帽弁の逆流または僧帽弁逆流として知られている。
【0006】
図2は、僧帽弁の弁尖に対する左心房、弁輪、腱索、および左心室の関係を示す。図示されているように、弁輪の上面は、左心房の部屋の床または下面の少なくとも一部を形成し、このため、本明細書における説明のために、弁輪の上面は、左心房の部屋の下方境界を形成すると規定される。
【0007】
天然の心臓弁は、疾患、外傷、先天性奇形、および加齢を含むがこれらに限定されない種々の理由および/または状態のために機能不全である、または機能不全になる可能性がある。これらのタイプの状態は、僧帽弁の障害の場合に弁構造が適切に閉じることに失敗して、左心室から左心房への逆流する逆行性の血流をもたらす原因となり得る。図3は、例示的な機能不全の僧帽弁による逆流性血流を示す。
【0008】
僧帽弁逆流は、右心房から左心房に戻る少なくともいくらかの逆行性の血流を許す機能不全の僧帽弁から生じる特定の問題である。場合によっては、機能不全は、逆行性の流れを妨げるために接続または接合する代わりに、左心房の部屋に向かって上に、つまり、弁輪の上面より上方に脱出する僧帽弁の弁尖に起因する。この血液の逆流は、僧帽弁逆流の長期の臨床経過中に大幅に変化する、心室の部屋のサイズおよび形状の再構築を含む一連の左心室の補償適応および調整につながる可能性のある容積負荷により左心室に負担をかける。
【0009】
逆流は、僧帽弁だけでなく三尖弁、大動脈弁、および肺動脈弁を含む天然の心臓弁一般に伴う問題であり得る。
【0010】
したがって、天然の心臓弁一般、例えば僧帽弁は、部分的なまたは完全な置換を含む機能的修復および/または補助を必要とする場合がある。このような介入は、開心術および置換心臓弁の開心移植を含むいくつかの形態を取り得る。侵襲性が高く、患者のリスクを伴い、長期の入院だけでなく、非常に痛みを伴う回復期間も必要とする処置については、例えば米国特許第4,106,129号(Carpentier)を参照されたい。
【0011】
機能不全の心臓弁を置換するためのより侵襲性の低い方法およびデバイスも知られており、これらは、置換弁の経皮的アクセスおよびカテーテル促進送達を含む。これらの解決策のほとんどは、当技術分野で一般に知られているステントなどの構造的支持体に取り付けられた置換心臓弁、または送達カテーテルからの放出時に展開するように設計された他の形態のワイヤネットワークを含む。例えば、米国特許第3,657,744号(Ersek)、米国特許第5,411,552号(Andersen)を参照されたい。自己展開型の支持ステントは、対象の心腔または血管内に、弁を配置し、展開した状態のデバイスを適所に保持するのを補助する。この自己展開形態はまた、よくあることであるが、デバイスが最初の配置の試行で適切に配置されず、したがって、デバイスを再補足し、位置調整しなければならない場合に問題を呈する。完全にまたは部分的に展開したデバイスの場合のこの再捕捉プロセスは、オペレータが潰れたデバイスを送達シースまたはカテーテルに戻し、デバイスのインバウンド位置を調整し、次に送達シースまたはカテーテルから遠位方向に外に、位置調整されたデバイスを再展開することによって適切な位置に再展開する ことを可能にする点までデバイスを再び潰すことを必要とする。展開した状態のステントまたはワイヤネットワークは、一般に、収縮力または潰す力にも抵抗する展開状態を達成するように設計されているため、既に展開したデバイスを潰すことは困難である。
【0012】
上記で述べた開心手術アプローチに加えて、目的の弁へのアクセスを得ることは、少なくとも以下の既知のアクセス経路のうちの1つ、すなわち、経心尖(transapical)、経大腿(transfemoral)、経心房(transatrial)、および経中隔(transseptal)送達技術のうちの1つによって経皮的に達成される。
【0013】
一般に、当技術分野は、上記の既知のアクセス経路のうちの1つを使用して、潰れた弁デバイスの部分的な送達を可能にするシステムおよび方法に焦点を合わせ、デバイスの一端は、送達シースまたはカテーテルから放出され、最初の配置のために展開され、これに続いて、適切な配置が達成されたときに完全な放出および展開が行われる。例えば、米国特許第8,852,271号(Murray,III)、米国特許第8,747,459号(Nguyen)、米国特許第8,814,931号(Wang)、米国特許第9,402,720号(Richter)、米国特許第8,986,372号(Murray,III)、および米国特許第9,277,991号(Salahieh)ならびに米国特許出願第2015/0272731号(Racchini)および米国特許出願第2016/0235531号(Ciobanu)を参照されたい。
【0014】
さらに、すべての既知の人工心臓弁は、天然の心臓弁の完全な置換を目的としている。したがって、これらの置換心臓弁、および/または固定構造もしくは繋留構造は、僧帽弁の場合は左心房の部屋から外に物理的に延び、内側の弁輪および/または弁尖に係合し、多くの場合、内側の弁輪の壁に対して天然の弁尖を固定し、これにより、天然の弁の残りのすべての機能が恒久的に除去され、患者は完全に置換弁を頼むことになる。他の場合では、固定構造は、左心室に延び、左心室の壁組織および/または左心室の上部の弁輪下の表面に固定され得る。他は、肺動脈内での存在または肺動脈との係合を含み得る。
【0015】
明らかに、介入移植処置の前に、天然の弁が実質的に完全な機能を失う場合がある。この場合、好ましい解決策は、例えば左心房の外側に広がらず、天然の弁の機能を完全に置換するように機能する移植を含む。しかしながら、他の多くの場合、天然の弁はある程度機能し続け、移植処置後に機能を失い続ける場合もあればそうでない場合もある。この場合の好ましい解決策は、天然の弁尖の機能を存続する限り維持するために天然の弁尖に損傷を与えることなく補足弁または補助弁の両方として機能すると同時に、人工弁の移植後にその機能のほとんどまたはすべてを徐々に失う弁の生来の機能を完全に置換できる弁デバイスの送達および移植を含む。
【0016】
人工心臓弁デバイス用の既知の送達システムは、送達カテーテルのルーメンを介して患者の血管系を経由して対象の心腔、例えば心房または心室まで潰して輸送するために送達カテーテル内に人工心臓弁デバイスを装填する間に負荷力を少なくとも低減し、システム内への空気の導入を最小化することによって改善され得る。潰れた人工心臓弁デバイスが送達カテーテルのルーメンから遠位方向に外に平行移動されると、それは、潰れた輸送構成から展開した動作構成に展開し得る。
【0017】
本明細書に開示されているいくつかの発明の様々な実施形態は、とりわけこれらの問題に対処する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】心臓の特定の特徴を断面で示す。
図2】心臓の左側の断面斜視図を示す。
図3】正常な血流と比較して僧帽弁逆流から生じる逆行性の血流を示す心臓の断面図を示す。
図4】本発明の一実施形態の斜視図を示す。
図5】本発明の一実施形態の側面図を示す。
図6図6Aは、本発明の実施形態による、潰れ可能な(collapsible)人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図6Bは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図6Cは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図6Dは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図6Eは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。
図7図7Aは、本発明の一実施形態の斜視図を示す。図7Bは、本発明の一実施形態の切欠断面図を示す。
図8】本発明の一実施形態の分解図を示す。
図9図9Aは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図9Bは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図9Cは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図9Dは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図9Eは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図9Fは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。
図10】本発明の一実施形態の斜視図を示す。
図11】本発明の一実施形態の分解図を示す。
図12図12Aは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図12Bは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図12Cは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図12Dは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図12Eは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。図12Fは、本発明の実施形態による、潰れ可能な人工心臓弁デバイスを送達カテーテルのルーメン内に装填するための例示的な方法ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般に、本発明の様々な実施形態は、潰れ可能(collapsible)かつ展開可能(expandable)なフレーム、例えばステントまたは他の潰れ可能かつ展開可能なデバイスを含む人工心臓弁デバイスの、送達カテーテル(delivery catheter)のルーメン内への装填を最適化するためのデバイスおよび方法に関する。本明細書に記載の実施形態は、(1)送達カテーテルのルーメン内に潰して平行移動させる間の負荷力を低減することによって、および/または(2)人工心臓弁デバイスおよび/または送達カテーテルのルーメンを備えるシステム内への空気の導入を低減、最小化、または解消することによって人工心臓弁デバイスの送達を最適化する。
【0020】
図4および図5は、生理食塩水などの生体適合性流体または他の流体が少なくとも部分的に充填される容器、例えば、密閉可能であり得るバッグを備える本発明の一実施形態を示す。図4は、基本構造の一実施形態を示し、一方、図5は、図4の構造と共に示される方法ステップを有する方法200を提供する。
【0021】
したがって、図4および図5に目を向けると、装填システム(loading system)100の一実施形態が示されている。装填システム100は、その中に生体適合性流体104を、例えば、容器102によって画定された内部内に例えば生理食塩水を保持するように適合された再密閉可能な容器102、例えばバッグを備える。容器は、とりわけ、流体を容器102に入れるために、再密閉可能な開口部103および弁付きラインまたはフラッシュチューブ105を備え得る。漏斗(funnel)106は、容器、例えばバッグ102の内部内に配置され、その中に保持される生体適合性流体104内に浸漬される。当技術分野で知られているように、漏斗106は、円錐部分112を通って先細になり、上部開口部114の反対側の円筒部分114で終端する上部開口部110を備え、上部開口部110は、円筒部分114よりも大きな半径を備える。
【0022】
容器102は、容器102の内部へのアクセス開口部108をさらに備える。このアクセス開口部108は、漏斗106の遠位の円筒形および/または円錐形の管部分110、112によって係合され得、漏斗106と容器102との間の相互接続は、そこからの流体の流出を防止するように概ね密閉されるか、または少なくとも部分的に水密である。さらにより代替的には、送達カテーテル120の近位端が、容器102の内部内に配置され、漏斗の円筒部分114と係合し、生体適合性流体内に浸漬され得、送達カテーテル120の近位端と容器102および/または漏斗106との間の相互接続は、存在する場合に流体104の実質的な損失を防止するように適合される。
【0023】
代替的には、容器の内部へのアクセス開口部108は、漏斗106の円筒部分114もしくは円錐部分112のいずれかによって、またはカテーテル120の近位端によって穴開けされるが、穴開けが達成された後の流体の損失を防止するように自己密閉し得る自己密閉材料を含み得る。図7Bに示されているような弁も使用され得る。
【0024】
したがって、漏斗106の円筒部分114または円錐部分112のいずれかが、アクセス開口部108を通って容器102から外側に延びてもよいし、または送達カテーテル120の近位端が、容器102の内部に延びて漏斗106の円筒部分114と接続されてもよい。いずれの場合も必要とされるのは、漏斗106の円筒部分112または円錐部分112と送達カテーテルの近位端との間の流体接続である。
【0025】
図示されているように、展開した状態の潰れ可能な人工心臓弁デバイス150は、再密閉可能な開口部103を通して容器102内に配置され、容器102の、流体が充填された内部に配置され、漏斗106の上部開口部110に配置され、漏斗の円錐部分112の中に下向きに押し込まれ、これにより、心臓弁デバイス150は、デバイス150の潰れフレーム152、例えば図示のようなステントまたは同等物の周りの均一な分布の負荷力により繰り返し可能かつ予測可能な方法で潰される。これは、ステントの場合には潰れ可能な外側フレーム152を構成する個々のセルおよび/またはストラットを含む、人工心臓弁デバイス150のフレーム152の特定の領域または要素の非常に望ましくない圧迫を防止する。
【0026】
図示されているように、一部の実施形態では、内側弁支持体154は、同様に潰れ可能かつ展開可能な構造であるその中の人工弁尖(弁尖は図示されていないが当業者にはよく知られている)を支持し、人工心臓弁デバイスの外側フレーム152の内部内で半径方向に延び得る。図示されているように、デバイス150の漏斗内への平行移動はまた、予測可能で、繰り返し可能で、均一に分散された負荷力の方法で内側弁支持体を潰すように機能する。最終的に、デバイス150は、容器102に接続された送達カテーテル120のルーメン内にデバイス150が装填されるまで、制御された方法で予測可能かつ繰り返し可能に潰される。
【0027】
上記の負荷力の低減ならびに/または均一な分散および予測可能な分散に加えて、この実施形態は、生体適合性流体104への浸漬によって、システム、例えば人工心臓弁デバイス150および送達カテーテルのルーメン内への空気の導入を解消する。流体104に浸漬されると、漏斗106には空気が存在せず、流体104および潰れデバイス150のみが送達カテーテルのルーメンに入り得る。
【0028】
図示されているように、容器102の特定の実施形態は、流体104が完全に充填される領域であって、展開した状態のデバイス150が完全に浸漬される領域を提供するために、その長さの途中に密閉されたまたは再密閉可能な開口部103を備えるバッグを備え得る。アクセス開口部108が下面になるように容器102またはバッグを直立にして持ち上げると、空気がバッグまたは容器102の上部に上昇し、流体104および人工心臓弁デバイス150が完全に浸漬される。そこから、漏斗106の円筒部分114内に上記のような浸漬された心臓弁デバイス150を制御して潰し入れることが達成され、次に、完全に潰れたデバイス150は、対象の心腔に向かって送達カテーテル120のルーメン内に遠位方向に平行移動され得る。
【0029】
容器102および/または漏斗106と送達カテーテル120との接続は、潰れたデバイス150の平行移動中に適所で継続され得るし、または送達カテーテル120は、送達カテーテル120のルーメン内にデバイス150を潰して平行移動させた後で容器102および/または漏斗106から分離され得る。
【0030】
図6A図6Eは、上記の実施形態を使用する1つの例示的な方法の説明を提供する。したがって、ステップ202の図6Aに示されているように、容器、この場合はバッグ102が直立位置に設けられ、アクセス開口部108は容器102の底部にある。外部流体リザーバ(図示せず)と流体接続されたフラッシュチューブまたはライン105が接続されており、これは、制御された流体104が例えば図示のような活栓によってそこを通って容器の内部に流れ込むことを可能にする。代替的には、容器102は単純に、密閉可能な開口部103を通して充填されてもよい。
【0031】
ステップ204の図6Bでは、展開した状態の人工ステント150および任意の関連する送達ツール、例えばプッシュおよび/またはプルワイヤ(pull wire(s))が、例えば密閉可能な開口部103を通して生体適合性流体104内に導入される。バッグまたは容器102は、展開した状態のデバイス150を容器102内に導入する前に生体適合性流体104、例えば生理食塩水が事前に充填されてもよいし、またはデバイス150が容器102内に導入された後に生体適合性流体104が充填されてもよい。図6Cは、ステップ206でデバイス150を容器内に導入し、続いて生体適合性流体を充填することを示す。
【0032】
次に、ステップ208の図6Dは、上記のように漏斗106の構造を通して制御して潰すことによりカテーテルのルーメン内にデバイス150を潰し入れることを示す。デバイス150は、人工心臓弁デバイス150に接続された取り外し可能なワイヤ(プルワイヤ)を使用してカテーテルのルーメンの遠位端から引っ張られてもよいし、またはカテーテル120のルーメンの近位端に押し込まれてもよい。取り外し可能なプルワイヤが使用される場合、それは、潰れた人工デバイス150が送達カテーテルのルーメン内に装填されたときにカテーテル120のルーメンから取り外されて除去されてもよいし、またはプルワイヤは適所に残されてもよい。
【0033】
図6Eは、ステップ210で、潰れたデバイス150が送達カテーテル120内に装填された後に送達カテーテル120から容器120および漏斗106を取り外すことを示す。
【0034】
ここで図7A図9Fに目を向けると、潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムの別の実施形態が提供される。このデバイスの背後にある基本的な機能は、漏斗タイプのデバイスが優れた予測可能性有する均一に分散された負荷力を潰れる人工心臓弁デバイスに加えるために使用され、人工心臓弁デバイスが生体適合性流体に浸漬されている間に潰すことが行われ、潰れたデバイスが送達カテーテルのルーメン内に装填される点で、上記で述べたものと同様である。
【0035】
ここで、図に示されているように、展開した状態の人工心臓弁デバイス150は、漏斗106’内に配置され、送達カテーテル120のルーメンを通って延びるプルワイヤであって、デバイス150を送達カテーテル120のルーメン内に押し込んで通すために送達カテーテルの近位端でのプルワイヤとデバイス150の係合を可能にし、送達カテーテル120の遠位端での引っ張り力の印加を可能にするように送達カテーテル120の近位端および遠位端から延びるプルワイヤと接続され得る。図7Bに見られるように、装填プロセスの前および最中の流体密閉を確実にするのを助けるために漏斗106’の円筒部分114’または円錐部分112’に弁が設けられてもよい。
【0036】
また、図示されているように、送達カテーテル120の近位端は、漏斗106’と送達カテーテル120のルーメンとの間の流体連通を形成するために漏斗106’の円筒部分114’または円錐部分112’に取り付けられ得る、または係合され得る。これらのステップは、図9A(ステップ302)および図9B(ステップ304)に示されている。
【0037】
図9Cおよびステップ306に示されているように、展開した状態の人工心臓弁デバイス150が、図示されているように漏斗106’内に配置されると、接続上部160は、実質的に水密の内部を形成するために漏斗106の上部開口部110’に接続され、これを覆う。流体注入ライン105は、接続上部160が漏斗106’に固定されると、生理食塩水などの生体適合性流体104を内部に注入してその中のデバイス150を浸漬するために、図示されているように実質的に水密の内部と流体連通し得る。接続上部160の漏斗106’の上部開口部110’への固定は、ねじ山を含むがこれに限定されないいくつかの既知の方法および機構によって行われ得る。
【0038】
図9Dおよびステップ308に示されているように、実質的に水密の内部が画定および形成され、流体供給ライン105を介して生体適合性流体104が少なくとも部分的に充填されると、水密の内部と送達カテーテル120のルーメンとの間に流体連通が形成される。
【0039】
ここで、図9Eおよびステップ310におけるように、浸漬された人工心臓弁デバイス150を潰すことは、プルワイヤを遠位方向に引っ張ることによって開始され得る。次に、図9Fおよびステップ312におけるように、潰れたデバイス150が送達カテーテル120のルーメン内の所定の位置に到達したとき、漏斗106’およびカテーテル120は係合解除され得る、または分離され得る。さらに、その時点で、プルワイヤは送達カテーテル120のルーメンから分離および除去されてもよいし、またはプルワイヤは取り付けられたままであってもよい。
【0040】
ここで図10図12Fに示されているような装填システムの代替の実施形態に目を向ける。送達カテーテル120と取り外し可能に係合または接続される漏斗106’’が提供され、流体接続は、漏斗106’’と送達カテーテル120のルーメンとの間に形成される。以前のすべての実施形態におけるように、漏斗106’’の円筒部分または円錐部分のルーメンは、人工心臓デバイス150を送達カテーテル120のルーメン内に装填するときに送達カテーテル120のルーメンと実質的に軸方向に位置合わせされる。
【0041】
この実施形態では、前述の様々な実施形態と同様に、送達カテーテル120および漏斗106’’は、図12Aおよびステップ402におけるように接続または係合され、図12Bおよびステップ404におけるように、例えば、展開した状態の人工心臓弁デバイス150を漏斗106’’内の適所に保持し、人工心臓弁デバイス150を漏斗の円筒部分または円錐部分のルーメン内に、最終的には送達カテーテル120のルーメン内に潰し入れる遠位方向の力を加えるように適合された、送達カテーテル120のルーメンに通されるプルワイヤを使用して、人工心臓弁デバイス150は取り付けられる。
【0042】
図12Cおよびステップ406に示されているように、展開した状態の人工心臓弁デバイス150が漏斗106’’内に配置されると、漏斗は、展開した状態の人工デバイス150の少なくとも一部を中に収容するようにサイズ設定され、成形され、適合された内部を備えるベースまたはキャップ180に磁気的に取り付けられ得る。図10にも示されているように、展開した状態のデバイス150の上部は、ベースまたはキャップ180内に配置される。さらに、一連のリブまたは支持体182は、展開した状態のデバイスを支持するためにベースまたはキャップ180内に設けられ得、リブまたは支持体182は、生体適合性流体に少なくとも部分的に浸漬される。他の実施形態では、リブは省略されてもよい。本明細書で述べられているすべての先行する実施形態におけるように、漏斗の円筒部分または円錐部分は、空気および/または流体が送達カテーテル120のルーメン内に移動することを防止する弁を備え得る。
【0043】
図12Dおよびステップ408に目を向けると、漏斗106’’およびベースまたはキャップ180が互いに磁気的に結合されると、これにより、実質的に水密の密閉された内部が画定および形成される。流体注入ラインは、生体適合性流体の、水密の密閉された内部への制御された注入を提供するために、また展開した状態のデバイス150を完全にまたは少なくとも部分的に浸漬するためにベースもしくはキャップ180または漏斗と流体連通されてもよいし、またはベースまたはキャップ180は、単純に手動で流体104が充填されてもよい。この時点で、図12Eおよびステップ410におけるように、プルワイヤを遠位方向に引っ張ることによって人工心臓弁デバイス150を潰すことが開始され、場合によっては内側弁支持体を含む上記のようなデバイス150は、漏斗のルーメン内に、最終的には、漏斗のルーメンの弁(存在する場合)を通過して送達カテーテル120のルーメン内に潰し入れられ得る。
【0044】
潰れた人工心臓弁デバイス150は、送達カテーテル120のルーメン内の所定の位置にあるとき、その中に「装填」されており、カテーテル120および漏斗106’’は分離され得る。これは、図12Fおよびステップ412に示されている。
【0045】
すべての実施形態において、潰れた人工心臓弁デバイスが送達カテーテルのルーメン内に「装填」されるとき、それは、任意の許容可能なアクセス経路ならびに/または経心尖、経大腿、経心房、および経中隔送達技術を含むがこれらに限定されない送達技術を使用して、送達カテーテルを介して患者の血管系を経由して目的の心腔に送達され得る。
【0046】
本明細書に記載の本発明およびその用途の説明は例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。様々な実施形態の特徴は、本発明の企図内で他の実施形態と組み合わされ得る。本明細書に開示されている実施形態の変形および修正が可能であり、実施形態の様々な要素の実際的な代替物および同等物は、本特許文書を研究することにより当業者に理解されるであろう。本明細書に開示されている実施形態のこれらおよび他の変形および修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
密閉可能な容器であって、前記容器の下面にある密閉されたまたは自己密閉可能なアクセス開口部ならびに前記容器の側面および前記容器の前記下面より上に配置された密閉可能な開口部を備える密閉可能な容器と、
装填漏斗であって、円筒部分および円錐部分であって、前記円筒部分および前記円錐部分を通るルーメンを備える円筒部分および円錐部分ならびに前記密閉可能な容器および前記容器の前記下面にある前記自己密閉可能なアクセス開口部に動作可能に接続された上部開口部分を備える装填漏斗と、
前記密閉可能な容器内に配置される展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスと、
送達カテーテルであって、前記送達カテーテルを通るルーメンを備え、前記装填漏斗の前記円筒部分および前記円錐部分と動作可能に流体連通および係合し、前記容器の前記自己密閉可能なアクセス開口部を通って延びる送達カテーテルと、
前記送達カテーテルの前記ルーメン内に配置されるプルワイヤであって、前記人工心臓弁デバイスが前記装填漏斗の前記半径方向に広がる上部開口部分内に展開され配置されるときに前記人工心臓弁デバイスに取り付けられ、最初に前記装填漏斗の前記円錐部分を通り、次に前記装填漏斗の前記円筒部分を通り、次に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記人工心臓弁デバイスを引っ張って潰すように適合されたプルワイヤと、
生体適合性流体を前記密閉可能な容器の内部に導入して、その中に配置された前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを浸漬するように適合された前記密閉可能な容器の前記内部と流体連通する流体注入ラインと
を備え
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの前に前記弁支持体の前記円筒部分に入るように前記装填漏斗内に配置される、装填システム。
【請求項2】
前記自己密閉可能なアクセス開口部が弁を備える、請求項1に記載の装填システム。
【請求項3】
前記プルワイヤが前記人工心臓弁デバイスから取り外し可能である、請求項1に記載の装填システム。
【請求項4】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項1に記載の装填システム。
【請求項5】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項1に記載の装填システム。
【請求項6】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
前記展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスをその中に保持するように適合された装填漏斗であって、それを通るルーメンおよび前記ルーメン内の自己密閉アクセス開口部を備える装填漏斗と、
前記装填漏斗の上部開口部に接続され、これにより実質的に水密の内部を画定するように適合された接続上部と、
前記実質的に水密の内部に生体適合性流体を注入するように適合された、前記実質的に水密の内部と流体連通する流体注入ラインと、
前記装填漏斗の前記ルーメンと動作可能に接続され、前記実質的に水密の内部と流体連通するルーメンを備える送達カテーテルと、
前記装填漏斗内に配置され、生体適合性流体内に完全に浸漬されるように適合された展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスに接続されるプルワイヤと
を備え、
前記プルワイヤは、前記人工心臓弁から取り外し可能であり、かつ、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを、前記装填漏斗の前記ルーメンに通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰し入れて引っ張るように適合されており、
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備え、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの前に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記装填漏斗内に配置される、
装填システム。
【請求項7】
前記自己密閉アクセス開口部が弁を備える、請求項に記載の装填システム。
【請求項8】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項に記載の装填システム。
【請求項9】
前記装填漏斗および接続上部がねじで互いに接続される、請求項に記載の装填システム。
【請求項10】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項に記載の装填システム。
【請求項11】
展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイス用の装填システムであって、
前記展開した状態の潰れ可能な人工心臓弁デバイスをその中に保持するように適合された装填漏斗であって、それを通るルーメンを備え、前記装填漏斗の前記ルーメン内に自己密閉アクセス開口部を備える装填漏斗と、
前記装填漏斗の上部開口部に接続され、これにより実質的に水密の内部を画定するように適合された接続ベースと、
水密の内部を画定するように前記装填漏斗と前記接続ベースとを接続するように適合された磁気結合具と、
前記装填漏斗と動作可能に接続され、前記実質的に水密の内部と流体連通するルーメンを備える送達カテーテルと、
前記画定された水密の内部内に配置され、生体適合性流体内に完全に浸漬されるように適合された展開した状態の展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスに接続されるプルワイヤと
を備え、
前記プルワイヤは、前記人工心臓弁デバイスから取り外し可能であり、かつ、前記人工心臓弁デバイスを、前記装填漏斗の前記ルーメンに通して前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰し入れて引っ張るように適合されており、
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備え、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスは、前記内側弁支持体が前記外側ステントフレームの後に前記送達カテーテルの前記ルーメンに入るように前記装填漏斗内に配置される、
装填システム。
【請求項12】
前記自己密閉アクセス開口部が弁を備える、請求項11に記載の装填システム。
【請求項13】
前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスが、外側ステントフレーム、および前記外側ステントフレーム内に配置された内側弁支持体を備える、請求項11に記載の装填システム。
【請求項14】
前記装填漏斗は、前記展開可能かつ潰れ可能な人工心臓弁デバイスを前記送達カテーテルの前記ルーメン内に潰して装填する間に負荷力が前記人工心臓弁デバイスの周りに均一に分散されることを確実にするように構成されている、請求項13に記載の装填システム。
【国際調査報告】