(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】回転式内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02C 5/04 20060101AFI20220325BHJP
F02C 5/12 20060101ALI20220325BHJP
F23R 3/56 20060101ALI20220325BHJP
F23R 7/00 20060101ALI20220325BHJP
【FI】
F02C5/04
F02C5/12
F23R3/56
F23R7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549432
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020019026
(87)【国際公開番号】W WO2020172399
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521370857
【氏名又は名称】グリーン エンジン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】グリーン チャールズ マティソン
(72)【発明者】
【氏名】マスグローヴ グラント オー
(72)【発明者】
【氏名】ホーグ ケヴィン エル
(72)【発明者】
【氏名】ブラニオン デヴィッド ピー
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート トーマス イー
(57)【要約】
回転式内燃機関を提供する。エンジンは、駆動シャフトと、駆動シャフトと結合された回転可能シリンダとを含む。燃焼チャンバが、回転可能シリンダを通して形成される。燃焼チャンバは、回転可能シリンダの燃焼ブレードによって定められる。エンジンは、ガスの燃焼から及び燃焼ガスから引き起こされるタービン移動から動力を発生するように構成される。同じく開示するのは固定シリンダ燃焼エンジンである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼タービンエンジンであって、
空気吸気口と、
燃焼タービンと、を備え、
前記燃焼タービンは、
シュラウド、及び、前記シュラウドに結合された又は前記シュラウドと一体の複数のタービンブレードであって、前記タービンブレードが、前記シュラウド内に位置決めされ、隣接タービンブレード間の空間が、燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める前記シュラウド及びタービンブレード、及び
前記燃焼チャンバの中への吸気入口を含む吸気端及び前記燃焼チャンバからの排気出口を含み、
燃焼タービンエンジンは、
駆動シャフトであって、前記燃焼タービンの回転が前記駆動シャフトを回転させるように、前記燃焼タービンが前記駆動シャフトに結合される前記駆動シャフトと、
前記吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含む上部固定プレート及び前記排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む底部固定プレートであって、前記燃焼タービンが前記上部及び底部固定プレートの間に位置決めされる前記上部固定プレート及び底部固定プレートと、
を含み、
前記燃焼タービンは、前記吸気入口を通る前記燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にするために前記上部固定プレートに対して回転可能であり、かつ前記排気出口を通して燃焼ガスを排気するために前記底部固定に対して回転可能である、
ことを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記空気吸気口と前記上部固定プレートの間に位置決めされた1又は2以上の空気圧縮機を更に含み、
前記1又は2以上の空気圧縮機は、前記空気吸気口から吸入空気を受け入れて加圧吸入空気を前記燃焼タービンに提供するように位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記空気吸気口と前記1又は2以上の空気圧縮機の間に位置決めされ、かつ前記空気吸気口から吸入空気を受け入れて吸入空気を前記1又は2以上の空気圧縮機に提供するように位置決めされたターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャを更に含むことを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記1又は2以上の空気圧縮機は、直列に配置された2つの空気圧縮機を含むことを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項5】
前記底部固定プレートの下流で前記燃焼タービンの排気ストリームに位置決めされた補助タービンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項6】
前記補助タービンは、前記駆動シャフトと結合されることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
【請求項7】
前記1又は2以上の空気圧縮機と前記燃焼タービンの間に位置決めされた空気加圧ノズルを更に含み、
前記空気加圧ノズルは、吸入空気を前記燃焼タービンの中に向けるように位置決めされる、
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項8】
燃料を前記燃焼チャンバの中に注入するように位置決めされた少なくとも1つの燃料注入器を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項9】
前記燃焼チャンバ内で燃料及び空気混合物を点火するように位置決めされた少なくとも1つの点火装置を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項10】
前記上部固定プレート、前記底部固定プレート、燃焼タービン本体、又はその組合せ内に空気冷却孔を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項11】
前記燃焼タービンは、その本体上にブラスト先端を含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項12】
前記上部固定プレートと前記駆動シャフトの間に位置決めされた軸受と前記底部固定プレートと前記駆動シャフトの間に位置決めされた軸受とを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項13】
前記上部固定プレートと前記燃焼タービンの前記吸気端との間にかつ前記底部固定プレートと前記燃焼タービンの前記排気端の間に位置決めされたリングを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項14】
前記駆動シャフトは、構成要素と結合され、
前記駆動シャフトは、前記構成要素を駆動する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項15】
前記駆動シャフトは、前記駆動シャフトの第1の端部で第1の構成要素と結合され、かつ前記駆動シャフトの第2の端部で第2の構成要素と結合されることを特徴とする請求項14に記載のエンジン。
【請求項16】
前記構成要素は、プロペラ、ポンプ、発電機、タービン、圧縮機、又はホイールを含むことを特徴とする請求項14に記載のエンジン。
【請求項17】
前記空気吸気口は、吸入空気が前記燃焼タービンの中に通される前にエンジンの排気によって加熱されるように位置決めされることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項18】
吸入空気が前記燃焼タービンの上流で燃料と混合される混合ゾーンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項19】
エンジンのハウジングを少なくとも部分的に定める外部シリンダを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項20】
各空気圧縮機が、前記駆動シャフトと結合され、かつそれによって駆動されることを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項21】
前記燃焼タービンは、フライホイールとして機能することを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項22】
エンジンのサイクルを通して、前記燃焼タービンは、以下の位置:
排気が前記燃焼チャンバから逃げることを防止するように前記燃焼タービンの前記排気出口が前記底部固定プレート内の前記排気出口と位置合わせされず、かつガスが前記燃焼チャンバの中に流れることができるように前記燃焼タービン内の前記吸気入口が前記上部固定プレート内の前記吸気入口と部分的と位置合わせされる第1の位置、
ガスが前記燃焼チャンバに入る又はそこを出ることを防止するように、前記燃焼タービンの前記吸気入口が前記上部固定プレートの前記吸気入口と位置合わせされず、かつ前記燃焼タービンの前記排気出口が前記底部固定プレートの前記排気出口と位置合わせされない第2の位置、
ガスが前記燃焼チャンバに入ることを防止するように前記燃焼タービンの前記吸気入口が前記上部固定プレート内の前記開口部と位置合わせされず、かつ排気ガスが前記燃焼チャンバを出るように前記燃焼タービンの前記排気出口が前記底部固定プレートの前記排気出口と少なくとも部分的と位置合わせされる第3の位置、及び
空気が前記燃焼チャンバの中に流れることを可能にするように前記燃焼タービンの前記吸気入口が前記上部固定プレート内の前記開口部と少なくとも部分的と位置合わせされ、かつ排気ガスが前記燃焼チャンバを出るように前記燃焼タービンの前記排気出口が前記底部固定プレートの前記開口部と少なくとも部分的と位置合わせされる第4の位置、
に順次入るように回転する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項23】
燃焼タービンエンジンであって、
空気吸気口と、
静止燃焼器と、を含み、
前記静止燃焼器は、
シュラウド及び前記シュラウドに結合された又はそれと一体の燃焼チャンバ壁であって、前記燃焼チャンバ壁が、前記シュラウド内に位置決めされ、隣接燃焼チャンバ壁の間の空間が、燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める前記シュラウド及び燃焼チャンバ壁、及び
前記燃焼チャンバの中への吸気入口を含む吸気端及び前記燃焼チャンバからの排気出口を含み、
前記燃焼タービンエンジンは、
前記吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含む上部プレート及び前記排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む底部プレートであって、前記静止燃焼器が、前記上部及び底部プレートの間に位置決めされ、前記上部プレートが、吸入空気を前記燃焼チャンバの中に向けるための吸気入口を含み、前記底部プレートが、排気を前記燃焼チャンバから前記静止燃焼器の周りで周方向に誘導して前記上部及び底部プレートを回転させる推力を生成するように位置決めされた排気出口を含む前記上部プレート及び底部プレートと、
駆動シャフトであって、前記上部及び底部プレートが、前記上部及び底部プレートの回転が前記駆動シャフトを回転させるように前記駆動シャフトと結合される前記駆動シャフトと、
を含み、
前記上部及び底部プレートは、前記吸気入口を通る前記燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にして前記排気出口を通して燃焼ガスを排気するように前記静止燃焼器に対して回転可能である、
ことを特徴とするエンジン。
【請求項24】
燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法であって、
燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階であって、前記燃焼チャンバが、燃焼タービンのブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められ、前記ブレードが、駆動シャフトに結合される前記提供する段階と、
前記燃焼チャンバの前記吸気端及び排気端を閉じ、かつ前記閉じた燃焼チャンバ内で前記燃料及び吸入空気の混合物を燃焼させて燃焼ガスを形成する段階と、
前記燃焼チャンバの前記排気端を開き、かつ前記燃焼ガスを前記燃焼チャンバから排気して前記駆動シャフトの回転を駆動する前記ブレードの回転を駆動する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記吸入空気を前記燃焼チャンバの中に提供する前に前記吸入空気をターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャを通して通過させる段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記吸入空気を前記燃焼チャンバの中に提供する前に前記吸入空気を圧縮する段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記吸入空気を空気加圧ノズルを通して前記燃焼チャンバの中に向ける段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記燃料及び吸入空気を前記燃焼チャンバの中に提供する前に前記燃料及び吸入空気を混合する段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記排気された燃焼ガスを前記駆動シャフトと結合されて前記燃焼チャンバの下流にある補助タービンを通して通過させる段階を更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記燃焼タービンは、前記燃焼タービンエンジンの上部固定プレートと底部固定プレートの間に位置決めされ、そのために前記吸気端は、前記上部固定プレートに隣接して位置決めされ、前記排気端は、前記底部固定プレートに隣接して位置決めされ、
前記上部固定プレートは吸気入口を含み、前記底部固定プレートは排気出口を含み、
前記燃焼タービンの前記吸気端を開く段階は、前記吸気入口が前記燃焼チャンバと流体連通するように前記燃焼タービンを回転させる段階を含み、
前記燃焼タービンの前記排気端を開く段階は、前記排気出口が前記燃焼チャンバと流体連通するように前記燃焼タービンを回転させる段階を含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記燃焼タービンエンジンのサイクルが、
前記燃焼チャンバの前記排気端が閉じられ、かつ前記燃焼チャンバの前記吸気端が少なくとも部分的に開かれ、吸入空気が前記燃焼チャンバの中に提供される第1の状態と、
前記燃焼チャンバが閉じられ、かつ前記燃料及び吸入空気混合物が燃焼される第2の状態と、
前記燃焼チャンバの前記排気端が少なくとも部分的に開かれ、一方で前記燃焼チャンバの前記吸気端が閉じられ、燃焼ガスが前記燃焼チャンバから排気される第3の状態と、
前記燃焼チャンバの前記吸気端及び前記排気端の両方が少なくとも部分的に開かれ、燃焼ガスが前記燃焼チャンバから排気され、前記燃焼チャンバの掃気が行われる第4の状態と、
を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記燃焼チャンバ内の燃焼が、一定容積内で発生することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項33】
燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法であって、
静止燃焼器のブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められた燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階と、
前記燃焼チャンバの前記吸気端及び排気端を閉じ、かつ前記閉じた燃焼チャンバ内で前記燃料及び吸入空気の混合物を燃焼させて燃焼ガスを形成する段階と、
前記燃焼チャンバの前記排気端を開き、かつ前記燃焼チャンバから前記燃焼ガスを排気する段階と、
を含み、
前記静止燃焼器は、前記燃焼タービンエンジンの上部プレートと底部プレートの間に位置決めされ、前記上部プレートは、前記吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含み、前記底部プレートは、前記排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含み、前記上部プレートは、吸入空気を前記燃焼チャンバの中に向けるように位置決めされた吸気入口を含み、前記底部プレートは、排気を前記燃焼チャンバから前記静止燃焼器の周りで周方向に誘導して前記上部及び底部プレートを回転させる下流構成要素に対する推力を生成するように位置決めされた排気出口を含み、
前記上部及び底部プレートは、駆動シャフトと結合され、そのために前記上部及び底部プレートの回転が前記駆動シャフトを回転させ、前記上部及び底部プレートは、前記吸気入口を通る前記燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にして前記排気出口を通して燃焼ガスを排気するように前記静止燃焼器に対して回転可能である、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2019年2月20日出願の「空冷回転式内燃機関(Air-Cooled、Rotating Internal Combustion Engine)」という名称の米国仮特許出願第62/808,174号(係属中)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、回転式内燃機関を含む原動力を発生させるためのシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関(ICE)は、酸化剤の存在下で燃料を燃焼させて膨張ガスを形成し、それが、次に、機械装置、典型的には力に応答して移動するピストンに力を印加し、最終的に別の機械装置を駆動する(例えば、車両の車輪を回転させる)ことによって仕事をする。そのようなピストンエンジンは、装填段、圧縮段、爆発段、及び排気段を含む4つの段又は行程を含む。
【0004】
典型的なガスタービンエンジンは、圧縮機セクションとタービンセクションの間に位置決めされて燃焼専用であるセクションを有する。そのような典型的なガスタービンエンジンの燃焼過程は、一定圧力で発生し、ガス(例えば、空気)が、圧縮機セクションから燃焼セクションの中に連続的に流れ込み、燃料が、注入器によって燃焼セクションの中に連続的に追加され、燃焼が、燃焼セクション内で連続的に発生する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の開示の一態様は、燃焼タービンエンジンを含む。エンジンは、空気吸気口と燃焼タービンを含む。燃焼タービンは、シュラウドと、シュラウドに結合された又はそれと一体の複数のタービンブレードとを含む。タービンブレードは、シュラウド内に位置決めされ、隣接タービンブレード間の空間は、一定容積を有する燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める。燃焼タービンの吸気端は、燃焼チャンバの中への吸気入口を含み、燃焼タービンの排気端は、燃焼チャンバからの排気出口を含む。エンジンは、燃焼タービンに結合された駆動シャフトを含み、そのために燃焼タービンの回転は駆動シャフトを回転させる。エンジンの上部固定プレートは、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含み、エンジンの底部固定プレートは、排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む。燃焼タービンは、上部及び底部固定プレートの間に位置決めされる。燃焼タービンは、吸気入口を通って燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にするために上部固定プレートに対して回転可能であり、かつ燃焼ガスを排気出口を通して排気するために底部固定に対して回転可能である。
【0006】
本発明の開示の別の実施形態は、空気吸気口と静止燃焼器とを含む燃焼タービンエンジンを含む。静止燃焼器は、シュラウドと、シュラウドに結合された又はそれと一体の燃焼チャンバ壁とを含む。燃焼チャンバ壁は、シュラウド内に位置決めされ、隣接する燃焼チャンバ壁の間の空間は、燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める。燃焼チャンバの吸気端は、燃焼チャンバの中への吸気入口を含み、燃焼チャンバの排気端は、燃焼チャンバからの排気出口を含む。エンジンの上部プレートは、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含み、エンジンの底部プレートは、排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む。静止燃焼器は、上部プレート及び底部プレートの間に位置決めされる。上部プレートは、吸入空気を燃焼チャンバの中に向けるためにノズルである場合がある吸気入口を含み、底部プレートは、排気を燃焼チャンバから静止燃焼器の周りで周方向に誘導して上部プレート及び底部プレートを回転させる推力を生成するように位置決めされてノズルである場合がある排気出口を含む。駆動シャフトは、上部プレート及び底部プレートと結合され、そのために上部プレート及び底部プレートの回転は、駆動シャフトを回転させる。上部プレート及び底部プレートは、吸気入口を通って燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にし、かつ排気出口を通って燃焼ガスを排気するように静止燃焼器に対して回転可能である。
【0007】
本発明の開示の別の実施形態は、燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法である。本方法は、燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階を含む。燃焼チャンバは、燃焼タービンのブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められる。ブレードは、駆動シャフトと結合される。本方法は、燃焼チャンバの吸気端及び排気端を閉じる段階と、閉じた一定容積燃焼チャンバ内で燃料及び吸入空気混合物を燃焼させる段階とを含む。燃焼させる段階は、燃焼ガスを形成する。本方法は、燃焼チャンバの排気端を開く段階と、燃焼ガスを燃焼チャンバから排気する段階とを含む。理論によって縛られることなく、ニュートンの第三法則を用いて、燃焼ガスを排気する段階からの推力は、ブレードの回転を駆動し、ブレードの回転は、駆動シャフトの回転を駆動する。
【0008】
本発明の開示の別の実施形態は、燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法を含む。本方法は、燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階を含む。燃焼チャンバは、静止燃焼器のブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められる。本方法は、燃焼チャンバの吸気端及び排気端を閉じる段階と、閉じた燃焼チャンバ内で燃料及び吸入空気混合物を燃焼させる段階とを含む。燃焼させる段階は、燃焼ガスを形成する。本方法は、燃焼チャンバの排気端を開く段階と、燃焼ガスを燃焼チャンバから排気する段階とを含む。静止燃焼器は、燃焼タービンエンジンの上部プレートと底部プレートの間に位置決めされる。上部プレートは、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含み、底部プレートは、排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む。上部プレートは、燃焼チャンバの中に吸入空気を向けるように位置決めされてノズルである場合がある吸気入口を含み、底部プレートは、排気を燃焼チャンバから静止燃焼器の周りで周方向に誘導して上部プレート及び底部プレートを回転させる推力を生成するように位置決めされてノズルである場合がある排気出口を含む。上部プレート及び底部プレートは、駆動シャフトと結合され、そのために上部プレート及び底部プレートの回転は、駆動シャフトを回転させる。上部プレート及び底部プレートは、吸気入口を通って燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にし、かつ排気出口を通って燃焼ガスを排気するように静止燃焼器に対して回転可能である。
【0009】
本発明の開示のシステム、装置、及び/又は方法の特徴及び利点をより詳細に理解することができるように、本明細書の一部を形成する添付図面に例示する本発明の開示の実施形態を参照して、上記で要約したもののより具体的な説明を行うことができる。しかし、これらの図面は、様々な単に例示的実施形態を示すものに過ぎず、従って、本発明の開示の概念は他の有効な実施形態を含むことができるので、これらの図面を本発明の開示の概念を限定するものと見なすべきではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1B】燃焼タービンエンジンの別の概略図である。
【
図3】4つの吸気入口を有するエンジンの上部固定プレートを描く図である。
【
図4】4つの吸気入口を有する燃焼タービンの吸気端を描く図である。
【
図5】燃焼タービンの燃焼チャンバを描く図である。
【
図6】4つの排気出口を有する燃焼タービンの排気端を描く図である。
【
図7】4つの排気出口を有するエンジンの底部固定プレートを描く図である。
【
図10A】燃焼タービンの各部分の分解組立図である。
【
図10B】上部固定プレートの入口が上部回転板の入口と位置合わせしている燃焼タービンを描く図である。
【
図10C】上部固定プレートの入口が上部回転板の入口と位置合わせしていない燃焼タービンを描く図である。
【
図10D】底部固定プレートの入口が底部回転板の入口と位置合わせしていない燃焼タービンを描く図である。
【
図10E】底部固定プレートの入口が底部回転板の入口と位置合わせしている燃焼タービンを描く図である。
【
図13】理想的過程に対する圧力対比容積のグラフである。
【
図14】増大した圧縮比からもたらされる仕事出力の増大を示す圧力対比容積のグラフである。
【
図15】燃焼チャンバに入る際の漏出及び圧力降下損失の効果を示す圧力対比容積のグラフである。
【
図16】エンジンシーケンスの時系列を示す図である。
【
図17】燃焼チャンバを出る際の漏出及び圧力降下損失の効果を示す圧力対比容積のグラフである。
【
図18】ブレード速度比の関数としての正規化タービン効率のグラフである。
【
図20】燃焼チャンバ内の燃焼事象を示す概略図である。
【
図21】回転板を有する静止燃焼チャンバを示す概略図である。
【
図22A】オットーサイクルに対する圧力対容積のグラフである。
【
図22B】ディーゼルサイクルに対する圧力対容積のグラフである。
【
図22C】ブレイトンサイクルに対する圧力対容積のグラフである。
【
図22D】爆発サイクルに対する圧力対容積のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して本発明の開示によるシステム、装置、及び方法をより完全に以下に説明する。しかし、本発明の開示による概念は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に示す例示的実施形態によって限定されると解釈すべきではない。限定ではなく、これらの実施形態は、本発明の開示が完全で完全なものになり、様々な概念の範囲、並びに最良で好ましい実施モードを当業者に完全に伝えることになるように提供するものである。
【0012】
本発明の開示のある一定の実施形態は、原動力を発生させるためのシステム、装置、及び方法を含む。一部の実施形態は、空冷とすることができる回転式内燃機関、並びにそれを製造及び使用する方法を含む。
【0013】
エンジンの概要
図1を参照すると、本発明の開示の一部の実施形態によるエンジンを含むシステムが示されている。
図1Aは、一実施形態による構成要素の相対的な配置及び位置決めを示す概略図である。しかし、本明細書に開示するためのシステム及びエンジンは、
図1Aに示す配置に限定されない。システム1000は、エンジン100を含む。本明細書に開示するエンジンは、燃料の燃焼のための燃焼チャンバとして及び燃焼中に放出されるエネルギの回収のためのタービンとしての両方で機能する構成要素を含む。本明細書では、一部の実施形態では、この構成要素を燃焼タービン又は回転式シリンダと呼ぶ。燃焼タービン152は、内部で燃焼が発生する1又は2以上のチャンバを含むことができる。燃焼タービン152のチャンバは、更にタービンブレードとして機能し、それによってチャンバの中を移動する流体(例えば、膨張ガス)が燃焼チャンバの壁(ブレード)に対して力を印加するように成形及び/又は配置することができる。例えば、燃焼タービン152の一定容積燃焼チャンバ内で給送空気118とガソリン184の混合物のような燃料混合物114を燃焼させて燃焼ガス186を形成することができる。そのような流体(燃焼ガス)の排気が燃焼チャンバに対して印加する等して反対の推進力は、燃焼タービン152又はその各部分を回転させる。本明細書に使用する場合に、燃焼チャンバに関する「一定容積」は、チャンバ内で燃焼が発生している時に一定の容積を有する燃焼チャンバを意味する。例えば、典型的なピストンエンジンは、ピストンの移動と共に燃焼チャンバの容積が変化することで一定容積燃焼チャンバではない。本明細書に使用する場合に、燃焼過程に関する「一定容積」は、一定容積燃焼チャンバを用いた燃焼の発生を意味する。
【0014】
一部の実施形態では、燃焼タービン152は駆動シャフト104に結合され、それによって燃焼タービン152の回転が駆動シャフト104を回転させる。駆動シャフト104は、次に、別の構成要素111に結合することができ、それによって駆動シャフト104の回転が構成要素111を回転又は他に移動する。例えば、構成要素111は、回転する駆動シャフト104の機械的エネルギを内部で伝達、利用、及び/又は変換することができる1又は2以上の車輪、プロペラ、ポンプ、発電機、又は他のデバイスとするか又はこれらを含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、燃焼タービン152は、車両の車輪の回転を駆動する、送風機の回転を駆動する、車両(例えば、飛行機又は船)のプロペラの回転を駆動するか又は電気の生成に向けて発電機を駆動する。一部の実施形態では、燃焼ガス186は、燃焼タービン152から流出し、燃焼ガス186の少なくとも一部の残留エネルギは、駆動シャフト104に結合された補助タービン113又は他の回転拡大機を通じてのように燃焼タービン152の下流で回収される。補助タービン113によって回収されたエネルギは、システム1000の他の構成要素に動力を供給するのに使用することができる。例えば、一部の実施形態では、空気118は、燃焼タービン152の燃焼チャンバに入る前に少なくとも1つの圧縮機130内の通過によって圧縮され、補助タービン113によって回収されたエネルギは、少なくとも1つの圧縮機130に少なくとも部分的に動力を供給するのに使用される。
図1Aに示すように、圧縮機130が燃焼タービン152に圧縮空気を提供することができるように、圧縮機130も、117に示すように燃焼タービン152と結合される。一部の実施形態では、補助タービン113によって回収されたエネルギは、駆動シャフト104を通して圧縮機130に機械的エネルギとして供給される。他の実施形態では、補助タービン113によって回収されたエネルギは、圧縮機130に供給される前に電気エネルギに変換される。
図1Aでは、エンジン100は、圧縮機130と、燃焼タービン152と、補助タービン113と、駆動シャフト104とを含む。しかし、エンジン100は、これらの構成要素を含むことに限定されない。一部の実施形態では、
図1Aでのエンジン100の構成要素のうちの一部を排除することができる(例えば、一部の実施形態では補助タービンを排除することができる)。同様に、一部の実施形態では、エンジン100に追加の構成要素を追加することができる(例えば、1よりも多い圧縮機を燃焼タービン152の上流に含めることができる)。
【0015】
図1Bは、システム1000の別の実施形態を描いている。システム1000は、
図1Aでのシステムと実質的に類似である。しかし、
図1Bでは、空気118は、最初に、ターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はデュアルチャージャとすることができるチャージャ116を通過する。次に、空気118は、チャージャ116から少なくとも1つの圧縮機に流れる。チャージャ116は、少なくとも部分的に排気186によって駆動することができる。
【0016】
エンジン吸気及び圧縮
図2は、燃焼の前にターボチャージャ及び2つの圧縮段を含むエンジン100の別の実施形態を描いている。ICEとも呼ぶエンジン100は、その内部構成要素のうちの全て又は少なくとも一部を含むハウジングを少なくとも部分的に定める外部シリンダ102を含む。外部シリンダ102は、エンジン100の内部構成要素のうちの全て又は殆どを格納する比較的厚くて重い金属シリンダとすることができる。例えば、外部シリンダ102は、少なくとも部分的に鋼鉄で構成することができる。
【0017】
次に、エンジン100の燃料サイクルに沿って吸気から排気まで移行するエンジン100の作動を以下に説明する。一部の実施形態では、本明細書に開示するエンジンは、自然給気される。他の実施形態では、本明細書に開示するエンジンは、空気を受け入れ、それをエンジンの燃焼チャンバに向けて、更に1又は2以上の圧縮機(例えば、圧縮機126及び130)の中に強制注入するように位置決めされたターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャ(すなわち、ターボチャージャとツインチャージャの組合せ)を含む強制誘導エンジンである。例えば、
図2では、エンジン100は、ターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャとすることができる強制誘導デバイス116を含む。ターボチャージャは、圧縮空気をエンジンの燃焼チャンバに向けて強制する強制誘導デバイスである。ターボチャージャには、エンジンの排気ガスによって駆動されるタービンによって動力が供給される。従って、強制誘導デバイス116がターボチャージャである時に、強制誘導デバイス116は、エンジン100の排気ストリームに位置決めすることができる。スーパーチャージャは、エンジンに、例えば、その駆動シャフトに取り付けられたベルト等によって機械的に駆動することができる機械駆動式強制誘導デバイスである。
図2を参照すると、エンジン100は、空気118が中を通ってエンジン100に流入する空気入口112を含む。エンジン100の排気ストリームに位置決めされてここではターボチャージャとして示す強制誘導デバイス116は、入口112から空気118を受け入れる。強制誘導デバイス116は、空気118を燃焼タービン152の燃焼チャンバ120に向けて強制する。空気として説明するが、一部の実施形態では、エンジン100は、別の酸化剤を利用する。
【0018】
強制誘導デバイス116から、給送空気118は、供給導管122を通過し、エンジン100の給送チャンバとも呼ぶ圧縮チャンバ124の中に通過する。圧縮チャンバ124内では、給送空気118は、第1の空気圧縮機126と第2の空気圧縮機130とを含む一連の空気圧縮機を通過する。
図2には空気118が2つの連続空気圧縮機を通過するように示すが、エンジン100は、2つの連続空気圧縮機を含むことに限定されず、1つのみの空気圧縮機又は2よりも多い連続空気圧縮機を含むことができる。空気118は、圧縮チャンバ124に流入すると、第1の空気圧縮機126を通過する。第1の空気圧縮機126(低圧空気圧縮機とも呼ぶ)内で空気は圧縮され、従って、第1の空気圧縮機126から流出する空気118は、第1の空気圧縮機126に流入する空気よりも圧縮されている。第1の空気圧縮機126から流出した後に、空気118は、第2の空気圧縮機130(高圧空気圧縮機とも呼ぶ)に流入し、その内部で圧縮される。第2の空気圧縮機130内で空気は圧縮され、従って、第2の空気圧縮機130から流出する空気118は、第2の空気圧縮機130に流入する空気よりも圧縮されている。一部の実施形態では、駆動シャフト104の回転がこれらの圧縮機を駆動するように、これらの空気圧縮機のうちの一方又は両方がエンジン100の駆動シャフト104と結合され、かつそれによって駆動される。例えば、駆動シャフト104とこれらの圧縮機の間に他の構成要素のベルトを結合し、それによって駆動シャフト104の回転がベルトを移動し、ベルトの移動が圧縮機を駆動することができる。
【0019】
第2の空気圧縮機130から、空気118は、圧縮機130の出口及び燃焼タービン152の吸気入口に対してエンジン100内に同心的に配置することができる空気加圧ノズル127を通過する。空気加圧ノズル127は、燃焼タービン152の上部固定プレート108と一体であるか、それに取り付けられるか、又は他に結合することができる。空気加圧ノズル127は、比較的短い傾斜壁とすることができる漏斗壁128を含む。一部の実施形態では、漏斗壁128は、外部シリンダ102に係合しない。漏斗壁128の底端部134が、漏斗壁128の上端部132によって定められる開口部よりも小さい直径を有する開口部を定めるように、漏斗壁128は、その上端部132から上部固定プレート108まである傾きで軸線106に対して内向きに傾斜する。漏斗壁128は、高圧空気圧縮機130から圧縮給送空気118を受け入れ、圧縮給送空気118を燃焼チャンバ120の中に送り込む。空気加圧ノズル127は、給送空気118が上部固定プレート108上の入口開口部の中に流れ込む前に給送空気118を更に圧縮する。一部の実施形態では、漏斗壁128の底端部134は、上部固定プレート108の外側3分の1の場所で上部固定プレート108と結合される(すなわち、上部固定プレート108の中心点よりも上部固定プレート108の円周周囲に向けてより近いように位置決めされる)。
【0020】
燃焼タービンエンジン
図2、
図3、
図4、及び
図5を参照して、燃焼タービン152の吸気端を説明する。本発明の開示は、ピストン不在であり、すなわち、ピストンを含まない燃焼タービンエンジンを含む。エンジンは、上部固定プレート108と底部固定プレート110を含む。上部固定プレート108と底部固定プレート110の間に燃焼タービン152が位置決めされる。燃焼タービン152は、シュラウド153の中に位置決めされたブレード180を含む。ブレード180(タービンブレード)は、シュラウド153に対して移動可能である。ブレード180間の空間は、燃焼タービン152の燃焼チャンバ120を定め、ブレード180は、燃焼チャンバ152の吸気側150と燃焼チャンバ152の底部側170の間を延びる。燃焼タービン152の吸気端は、上部固定プレート108と回転燃焼タービン152の吸気側150とを含む。固定プレート108は、外部シリンダ102の壁の内周に取り付けられた比較的厚い固定金属板とすることができる。
【0021】
上部固定プレート108は、それ自体を貫通してここでは入口136として示す開口部又は孔を含む。一部の実施形態では、上部固定プレート108は、偶数個の入口136を有する。一部の実施形態では、これらの入口136は、上部固定プレート108上に対称パターンで配置かつ離間している。上部固定プレート108は、1個から12個、2個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の入口136を含むことができる。一部の実施形態では、上部固定プレート108は少なくとも4個の入口136を有する。入口136の個数は、燃焼タービン152内の燃焼チャンバの個数に適合することが可能である。ある一定の実施形態では、入口136は、上部固定プレート108の中心点140と円周周囲138との間の中間の3分の2の場所に位置決めすることができる。入口136は、圧縮チャンバ124から燃焼チャンバ120内への圧縮給送空気118の通過を可能にする。入口136の間には、上部固定プレート108を少なくとも部分的に構成する材料の本明細書では動力楔146とも呼ぶ楔がある。
【0022】
エンジン100は、1又は2以上の点火デバイスと1又は2以上の燃料注入デバイスとを含む。
図3に示すように、一部の実施形態では、エンジン100の点火デバイス及び燃料注入デバイスは、一部の実施形態では圧縮チャンバ124の外側に位置決めすることができる上部固定プレート108と結合される。上部固定プレート108は、燃焼チャンバ120内の燃料及び空気混合物の点火時に使用するための点火装置142を含む。各点火装置142は、上部固定プレート108内又は上の入口136の間の場所に位置決めすることができる。上部固定プレート108は、1個から12個、2個から11個、3個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の点火装置142を含むことができる。一部の実施形態では、上部固定プレート108は、少なくとも4つの点火装置を有する。点火装置の個数は、燃焼チャンバの個数に適合することが可能である。ある一定の実施形態では、点火装置は、スパークプラグであるか又はそれを含む。
【0023】
一部の実施形態では、各燃料注入ポート144は、エンジンシリンダの外側に位置決めすることができてエンジン100又はその構成要素の作動を制御することができる全権デジタルエンジンコントローラ(FADEC)と結合する及び/又はそれと通信することができる。例えば、FADECは、いつどの程度の量の燃料を燃焼チャンバの中に注入するか、及びいつ点火装置を作動させるか(例えば、いつスパークプラグによってスパークを発生させるか)を制御することができる。FADECは、電子エンジンコントローラ(EEC)又はエンジン制御ユニット(ECU)とも呼ぶデジタルコンピュータ、並びにエンジン性能の一部又は全ての態様を制御する関連付属品を含むシステムである。
【0024】
図3に示すように、一部の実施形態では、エンジン100の燃料注入デバイスは、上部固定プレート108内の燃料注入ポートである。上部固定プレート108は、燃焼チャンバ120内への燃料の注入時に使用するための燃料注入ポート144を含む。注入することができる一部の例示的な燃料は、ガソリン及びディーゼル燃料を含む。各燃料注入ポート144は、上部固定プレート108内又は上で入口136の間の場所に位置決めすることができる。上部固定プレート108は、1個から12個、2個から11個、3個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の燃料注入ポート144を含むことができる。一部の実施形態では、上部固定プレート108は、少なくとも4つの燃料注入ポートを有する。燃料注入ポートの個数は、燃焼チャンバの個数に適合することが可能である。
【0025】
一部の実施形態では、点火構成要素及び燃料注入構成要素(例えば、点火装置142及び燃料注入ポート144)は、外部シリンダ102の外側に位置決めされる。例えば、
図3での破線109は、点火装置142及び燃料注入ポート144が上部固定プレート108の外側かつ外部シリンダ102の外側に位置決めされるような上部固定プレート108の代替周囲を表している。
【0026】
図4は、吸気側150の燃焼タービン152の例示的な図を示している。燃焼タービン152は、上部燃焼タービン152が外部シリンダ102と結合されず、従って、外部シリンダ102に対して移動することができ、燃焼タービン152が燃料注入ポート又は点火装置を含まない点を除いて上部固定プレート108と同様とすることができる。燃焼タービン152は、駆動シャフト104に結合された比較的厚い金属板とすることができる。燃焼タービン152は、この図には燃焼チャンバ120内への入口166として示す吸気側150を貫通して定められた開口部又は孔を含む。一部の実施形態では、燃焼タービン152は、偶数個の入口166を有する。一部の実施形態では、これらの入口166は、燃焼タービン152上に対称パターンで配置かつ離間している。燃焼タービン152は、1個から12個、2個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の入口166を含むことができる。一部の実施形態では、上部回転板150は、少なくとも4つの入口166を有する。ある一定の実施形態では、入口166は、燃焼タービン152の吸気側150で中心点141と円周周囲139の間の中間の3分の2の場所に位置決めすることができる。入口136と入口166が位置合わせされた時に、入口166は、入口136から燃焼チャンバ120内への圧縮給送空気118の通過を可能にする。入口166の間には、ブレード180を少なくとも部分的に構成する材料の楔168がある。楔168は動力楔とも呼ぶ。
【0027】
すなわち、空気118は、第2の空気圧縮機130から、上部固定プレート108内に形成された入口136を通り、更に燃焼タービン152の吸気側150内に形成された入口166を通って燃焼チャンバ120の中に流入する。燃焼チャンバ120の内側に空気118がある状態で、燃焼タービン152は、入口136と入口166とがもはや位置合わせされずに楔146が入口166と位置合わせされるまで回転する。
【0028】
図5に示すように、楔146が入口166と位置合わせされている時に、燃料184は、燃料注入器144によって燃焼チャンバ120の中に注入され、点火装置142は、燃焼チャンバ120の中にスパーク182又は他の点火媒体を与え、空気118の存在下で燃焼チャンバ120の中に燃料184の点火をもたらす。空気118と燃料184の混合物の点火は、燃焼チャンバ120内に燃焼ガスの形成をもたらす。燃焼ガスは、燃焼タービン152の排気端170に向けて燃焼チャンバ120を貫流し、燃焼チャンバ120を定める燃焼チャンバ壁180(燃焼ブレードとも呼ぶ)に対する排気力と同程度の大きさを有する推進力を印加する。排気端170の排気出口176は、吸気入口166から斜めにあるので、燃焼チャンバ壁180は、燃焼チャンバが入口166から出口176に延びる時に湾曲する。その結果、膨張する燃焼ガスは、燃焼チャンバ壁180の面に対して傾斜して又は垂直に燃焼チャンバ壁180に対して推進力を作用する。燃焼チャンバ壁180に対して印加される推進力は、燃焼タービン152の回転を駆動し、更にこの回転は、駆動シャフト104の回転を駆動し、更にこの回転は、車両の車輪のような別の構成要素の回転を駆動する。
【0029】
駆動シャフト104は、軸線106に沿って位置決めされ、かつそれに沿って延びる。軸線106は、エンジン100の長手中心線に適合するか又はそれと平行であることが可能である。一部の実施形態では、エンジン100の内部構成要素のうちの全て又は殆どは、駆動シャフト104に取り付けられる又は他にそれと結合される。一部のそのような実施形態では、外部シリンダ102は、駆動シャフト104に取り付けられないか又はそれと結合されない。一部のそのような実施形態では、駆動シャフト104が上部固定プレート108及び底部固定プレート110に対して移動可能であるように、エンジン100の上部固定プレート108及び底部固定プレート110は、軸受を通して駆動シャフト104に結合されるか又はそれと一体である。
【0030】
一部の実施形態では、上部固定プレート108の外側及び/又は燃焼タービン152の壁の中に1又は2以上の空気冷却孔154が位置付けられる。空気冷却孔154は、燃焼が発生する燃焼タービン152を取り囲むより低い圧力の区域内への圧力降下から冷却空気流れがもたらされることを可能にする。一部の実施形態では、空気冷却孔は、高圧パルス減衰器及び保持チャンバ131内で空気圧を調整するための圧力コントローラを組み込むことができる。
【0031】
燃焼チャンバ120によって燃焼タービン152がエンジン100の燃焼チャンバとして機能することを可能にし、燃焼チャンバ壁180によって燃焼タービン152がエンジン100のタービンとして機能することを可能にすることにより、燃焼タービン152は、燃焼作用とタービン作用の両方を用いて動力を抽出することができる。燃料184及び空気118は、燃焼タービン152の中に周期的及び断続的に流れ込み、燃焼チャンバ120内で燃焼が周期的及び断続的に発生し、燃焼は、タービンの上流ではなくタービン内で発生する。従って、一部の実施形態では、本発明の開示は、内部で燃焼が発生するチャンバを有するタービンを含む。
【0032】
燃焼タービン152の排気端170の出口176と底部固定プレート110の出口101とは、エンジン100の排気端の少なくとも一部分を定める。排気端170は、吸気端150と同じ個数の対称に位置決めされた開口部である出口176を有する。
図6は、出口176と楔168(排気楔とも呼ぶ)とを含む排気端170の実施形態を描いている。一部の実施形態では、排気端170は、偶数個の出口176を有する。一部の実施形態では、これらの出口176は、対称パターンで配置かつ離間している。排気端は、1個から12個、2個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の出口176を含むことができる。一部の実施形態では、排気端170は、少なくとも4つの出口176を有する。ある一定の実施形態では、出口176は、排気端170の中心点141と円周周囲173の間の中間の3分の2の場所に位置決めすることができる。
【0033】
底部固定プレート110は、上部固定プレート108と同じ個数の対称に位置決めされた開口部を有することができる。
図7は、出口101と排気楔103とを含む底部固定プレート110の実施形態を描いている。一部の実施形態では、底部固定プレート110は、偶数個の出口101を有する。一部の実施形態では、これらの出口101は、底部固定プレート110上に対称パターンで配置かつ離間している。底部固定プレート110は、1個から12個、2個から10個、4個から8個、又は5個から7個のようないずれかの個数の出口101を含むことができる。一部の実施形態では、底部固定プレート110は、少なくとも4個の出口101を有する。ある一定の実施形態では、出口101は、底部固定プレート110の中心点107と円周周囲105の間の中間の3分の2の場所に位置決めすることができる。楔103は、底部固定プレート110を少なくとも部分的に構成する鋼鉄のような材料を含む。底部固定プレート110は、外部シリンダ102の壁の円周に取り付けられた又は他にそれと結合された比較的厚い固定金属板とすることができる。底部固定プレート110は、上部固定プレート108と同様に、底部固定プレート110の実質的に中間の3分の2の場所に位置決めされた偶数個(例えば、4又はそれよりも多い)の対称に位置決めされた開口部を有することができる。出口176と出口101が位置合わせされた時に、出口101及び176は、燃焼チャンバ120からの排気186の退出を可能にする。
【0034】
上部固定プレート108、燃焼タービン152、及び底部固定プレート110の各々が孔を含み、これらの孔は孔189a~189dである。孔189a~18dは、軸線106に沿って延びる駆動シャフト104がこれらの孔189a~189dを通過するようと位置合わせされる。駆動シャフト104は、燃焼タービン152の回転が駆動シャフト104を回転させるように孔189b及び189cにおいて燃焼タービン152と結合することができる。一部の実施形態では、駆動シャフト104は、上部固定プレート及び底部固定プレートを回転させることなくこれらの固定プレートに対して回転することができるように孔189a及び189dにおいてこれらの固定プレートと結合される。
【0035】
燃焼タービン152は、シリンダ又はシュラウド153を含む。シュラウド153は、比較的厚い壁の中空金属(例えば、鋼鉄)シリンダとすることができる。シュラウド153は、燃焼タービン152の吸気端150とかつ排気端170と結合することができる。シュラウド153は、上部固定プレート108よりも小さい直径とすることができる。燃焼タービン152は、駆動シャフト104と結合することができる。一部のそのような実施形態では、燃焼タービン152の吸気端150及び排気端170が駆動シャフト104と結合され、駆動シャフト104は、孔189b及び189cを通過する。燃焼タービン152の回転は、駆動シャフト104を軸線106の周りに回転させる。すなわち、燃焼タービン152の回転は、相応に回転するように駆動シャフト104を駆動する。
【0036】
図2及び
図8を参照すると、一部の実施形態では、上部固定プレート108と吸気端150の間及び底部固定プレート110と排気端170の間の公差156は、内燃ピストンエンジンでのピストン160とその側壁162の間の公差158と同じか又は実質的に同じである。
【0037】
図2と
図9の両方を参照すると、上部固定プレート108と吸気端150の間には、ピストンエンジンのピストンに使用されるリングと同じか又は実質的に類似のリングとすることができるリング164が位置決めされる。リング164は、入口166の外側及び内側、並びに上部回転板150を貫通するように形成されたブラスト先端169の外側及び内側に位置決めされる。駆動シャフト104が上部固定プレート108に対して回転することができるように、上部固定プレート108の係合部と駆動シャフト104の間に軸受172が位置決めされる。ブラスト先端169は、リング164及び軸受172を必要に応じて保護するために上部回転板150及び上部固定プレート108の中に内蔵される又は他にそれと結合される又はその中に組み込まれる。底部固定プレート110は、
図2及び
図9に関して上述した上部固定プレート108と同じ方式で構成することができ、リングは、底部固定プレート110と排気端170の間に位置決めされる。リングは、出口176の外側及び内側、並びに底部回転板170を貫通するように形成されたブラスト先端の外側及び内側に位置決めすることができる。駆動シャフト104が底部固定プレート110に対して回転することができるように、底部固定プレート110の係合部と駆動シャフト104の間にも軸受を配置することができる。ブラスト先端は、リング及び軸受を必要に応じて保護するために底部回転板170及び底部固定プレート110の中に内蔵される又は他にそれと結合される又はその中に組み込まれる。
【0038】
図10Aは、本明細書に開示するエンジンの一部分の分解組立図を示している。駆動シャフト104は、上部固定プレート108、燃焼タービン152(上部回転板150と底部回転板170を含む)、及び底部固定プレート110を通過し、これらと結合される。入口136が入口166と位置合わせされており(
図10B)、かつ出口101が出口176と位置合わせされている時に(
図10E)、空気は、燃焼チャンバ120に流入し、そこから流出することができる。入口136が入口166と位置合わせされておらず(
図10C)、かつ出口101が出口176と位置合わせされていない時に(
図10D)、空気は、燃焼チャンバ120に流入すること又はそこから流出することができない。入口136が入口166と位置合わせされており(
図10B)、かつ出口101が出口176と位置合わせされていない時に(
図10D)、空気は、燃焼チャンバ120に流入することができるが、そこから流出することができない。入口136が入口166と位置合わせされておらず(
図10C)、かつ出口101が出口176と位置合わせされている時に(
図10E)、空気は、燃焼チャンバ120から流出することができるが、そこに流入することができない。
【0039】
作動時に、入口136と166が位置合わせされている時に、圧縮給送空気118は、入口136及び166の中を貫流して燃焼タービン152内の燃焼チャンバ120に充填し、入口136と入口166及び出口176と出口101が位置合わせされていない時に、燃焼チャンバ120は封入される。燃焼チャンバ120が封入された時に、その内部で燃焼が発生する。燃焼の後に、排気186が燃焼チャンバ120から排出されるように、出口176と101が位置合わせ状態になる。一部の実施形態では、入口136及び166、並びに出口176及び101は、(1)圧縮空気が燃焼チャンバに充填して高圧空気になり、(2)燃焼チャンバが封入状態及び/又は密封状態になって一定容積燃焼チャンバを形成し、この時に導入された燃料及び空気が点火され、(3)燃焼ガスが燃焼チャンバから排出され始めることを可能にするために出口176が出口101と位置合わせされるように回転され、それによって燃焼タービンの燃焼ブレード180の回転を駆動する推進力が生成され、(4)高温高圧の燃焼ガスの排気に向けて上部入口(136及び166)と底部出口(101及び176)が同時に開いて新しい圧縮ガスが燃焼チャンバに充填し始めるように入口166が入口136と位置合わせされるように回転され、(5)高圧空気を燃焼チャンバ内に閉じ込めるために入口(136及び166)を閉じる前に底部出口(101及び176)が底部回転板170の回転によって閉じるというシーケンスで最適に設計される。
【0040】
図11Aは、エンジン100の別の実施形態を描いている。
図11Aでのエンジン100は、
図2でのエンジン100と実質的に類似であり、類似の参照番号が類似の要素を示している。
図11Aでは、空気118は、最初にターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャ116を通過し、その後に圧縮チャンバ124の中に流れ込む。
図2の場合のような2つの圧縮機の代わりに、
図11Aでのエンジン100は、1つの高圧圧縮機130を有する。圧縮後に、圧縮空気118は、パルス減衰器及び高圧保持チャンバ131内に格納され、その内部で空気118のパルス減衰が発生する。空気118は、チャンバ131からポート(入口136及び166)を通して高圧燃焼タービン152の中に吸気される。一定容積燃焼事象が燃焼チャンバ120内で発生するように、吸気ポート(136及び166)と排気ポート(101及び176)の両方が閉じている間に高圧燃焼タービン152内で燃焼が発生する。こうして排気ガス186は、排気ポート(101及び176)を通って高圧燃焼タービン152から流出し、次に膨張し、その後に排気として吐出される。排気186は、使用される場合にターボチャージャ116を通って貫流することができる。次に、排気186(空気及び燃焼ガス)は、レシプロエンジンに使用される排気システムと同じか又は実質的に類似のエンジン100の下流にある排気システムの中に流れることができる。
図11Aに図示の実施形態では、駆動シャフトの仕事は、駆動シャフト104aの端部と104bの端部との両方で利用可能である。従って、エンジン100の駆動シャフトを用いて2つの異なる構成要素を駆動することができる。一部の実施形態では、燃焼タービン152が燃焼ガスを含むことができ、従って、フライホイールとして機能することができるように、燃焼タービン152は、十分な強度及び重量の1又は2以上の材料で少なくとも部分的に構成される。
【0041】
図11Bは、エンジン100の別の実施形態を描いている。
図11Bでのエンジン100は、
図2及び
図11Aでのエンジン100と実質的に類似であり、類似の参照番号が類似の要素を示している。
図11Bでは、空気吸気口112は、排気端ではなくエンジン100の「冷温」側に位置決めされる。空気118は、エンジン100に流入し、燃焼タービン152に流入する前に1又は2以上の圧縮機(例えば、圧縮機130を含む)によって圧縮される。排気186は、燃焼タービン152から流出した後に補助タービン113を通過する。補助タービン113が、排気186から補助タービン113を回転させるエネルギを回収するように、補助タービン113は、駆動シャフト104と結合することができる。補助タービン113の回転は、駆動シャフト104を回転させる。
【0042】
エンジンサイクル
ある一定の実施形態では、本明細書に開示するエンジンは比較的効率的であり、3つの異なる段又は「行程」を含む。エンジンの3つの異なる段又は「行程」は、(1)圧縮及び装填段(すなわち、圧縮空気及び燃料による燃焼チャンバの充填)と、(2)爆発段(すなわち、燃焼チャンバ内の空気の存在下での燃料の爆発)と、(3)排気段(すなわち、燃焼チャンバからの燃焼ガスの排気)とを含む。燃焼タービンは、(1)上部固定プレートの入口から燃焼チャンバの中への空気の通過(すなわち、燃焼チャンバの装填)を選択的に可能にするように上部固定プレートに対して回転可能であり、(2)上部回転板と底部回転板の両方内の入口及び出口が上部固定プレート及び底部固定プレート内の入口及び出口に対して閉じ(すなわち、位置合わせされず)、燃焼チャンバでの空気及び燃料の爆発(すなわち、爆発段)に備えるように上部固定プレート及び底部固定プレートに対して回転可能であり、かつ(3)排気が燃焼チャンバから底部固定プレートの出口の外に流れ出ること(燃焼チャンバの排気)を選択的可能にするように底部固定プレートに対して回転可能である。従って、一部の実施形態では、本明細書に開示するエンジンは、(1)爆発、(2)排気、(3)装填、及び(4)圧縮という4つの異なる段を含む4段又は4行程のピストンエンジンと比較して少ない段又は行程を有する3段又は3行程のエンジンである。一部の実施形態では、本明細書に開示するエンジンは、エンジンの駆動シャフトの1回転未満でエンジンの3つの「段」又は「行程」を通して一巡し、それに対して爆発、排気、装填、及び圧縮を通して一巡する4段又は4行程のピストンエンジンは、720°の駆動シャフト回転を必要とする。
【0043】
図12は、エンジンの様々な段及び行程中の本明細書に開示する回転式内燃機関の構成要素の位置を示し、上部固定プレート及び底部固定プレートに対する燃焼タービンの位置及びエンジンの1回のサイクルを通じた空気及び燃焼生成物の流れを包含的に例示している。全権デジタルエンジンコントローラは、点火及び燃料注入を含むエンジン機能の全て又は少なくとも一部を制御する。
図12に表すエンジンは、4つの燃焼チャンバ120a~120dを含む。
【0044】
図12の上部に示す第1の位置702では、出口176が底部固定プレート110内の出口101と位置合わせされず、入口166が入口136と部分的にのみ位置合わせされ、それによって給送空気118が燃焼チャンバ120a~120dから流れ出ることなく燃焼チャンバ120a~120dの中に流れ込むように上部固定プレート108と上部回転板150とを含む吸気端及び底部固定プレート110と底部回転板170とを含む排気端が位置決めされる。すなわち、第1の位置702では、燃焼チャンバ120a~120dは流入空気118によって加圧される。本明細書では第1の位置702を「空気給送位置」とも呼び、この位置は、本明細書に開示するエンジンの圧縮及び装填段中の上部及び底部固定及び回転板の位置である。
【0045】
第2の位置704では、吸気端は、入口166が上部固定プレート108内の入口136と位置合わせされないように位置決めされる。同様に、排気端は、出口176が底部固定プレート110上の出口101と位置合わせされるように位置決めされる。従って、上部固定プレート108に位置決めされた空気は、燃焼チャンバ120a~120dの中に流れ込む又はその外に流れ出ることができない。すなわち、燃焼チャンバ120a~120dは、点火時に閉じている。同様に、第2の位置704での燃焼チャンバ120a~120dの容積は、第2の位置で燃焼チャンバ120a~120dが一定容積燃焼チャンバであるように固定される。第2の位置704では、点火182及び燃料184が燃焼チャンバ120a~120dの中に与えられる。第2の位置704を燃料及び空気混合物の点火及び爆発に向けて構成されるように示すが、エンジンの休止状態中のような一部の状況では、FADECは、その時間に燃焼が必要とされない場合のように給油、点火、及び爆発を開始しない場合がある。本明細書では第2の位置704を「燃焼位置」とも呼び、この位置は、本明細書に開示するエンジンの爆発燃焼中の上部及び底部固定及び回転板の位置である。燃料184の点火は、燃焼チャンバ120a~120d内に燃焼ガス186を生成する。
【0046】
第3の位置706では、出口176が底部固定プレート110内の出口101と部分的と位置合わせされ、従って、燃焼ガス186が燃焼チャンバ120a~120dから排気として流れ始めることができ、それによって燃焼チャンバ120a~120dの中に方向が定められ、燃焼チャンバ壁180に対して印加される推進力188(空気力学的推力)を印加し、燃焼タービン152の回転を駆動するトルク191を燃焼チャンバ壁180に伝達し、更にこの回転が駆動シャフト104の回転を駆動するように吸気端及び排気端が回転される(例えば、駆動シャフト104の周りに回転される)。本明細書では第3の位置706を「排気位置」とも呼び、この位置は、本明細書に開示するエンジンの排気段中の上部及び底部固定及び回転板の位置である。
【0047】
第4の位置708では、吸気端及び排気端は、第3の位置706と比較して出口176が底部固定プレート110内の出口101とより完全と位置合わせされ、入口166が上部固定プレート108内の入口136とより完全と位置合わせされるような点まで回転される。従って、給送空気118は、燃焼チャンバ120a~120dの中に流れ込み、その外に流れ出て、それによって風車、風力タービン、又はターボチャージャタービンの作用と同じか又は類似の方式で空気力学的揚力によって燃焼チャンバ壁180に対してトルク192を付与する。従って、流入空気118は、燃焼タービン152を回転させる「風車小屋効果」を生成する。第4の位置での燃焼チャンバ120a~120dからの排気193は、燃焼チャンバ120a~120d内の給送空気118といずれかの残留燃焼ガス186との混合気を含むことができる掃気排気又はスカベンジャ排気とすることができる。従って、本明細書では第4の位置706を「掃気位置」又は「スカベンジャ位置」とも呼び、この位置は、燃焼ガスの掃気段中の上部及び底部固定及び回転板の位置である。
【0048】
第4の位置708の後に、エンジンサイクルが再度始まるように吸気端及び排気端は回転して第1の位置702に戻る。
図12では、燃焼ブレード180を真っ直ぐな傾斜ブレードとして示すが、燃焼ブレードは、この形状及び構成に限定されず、空気力学的効率などに関連して湾曲させることができる。
図12に示すように、入口及び出口(101、136、166、及び176)は、
図20を参照して下記で詳細に説明するそこのガス流れを誘導するベベル面及び/又は傾斜面を有することができる。
【0049】
理想的エンジンサイクル
一部の実施形態では、圧力対容積の座標をプロットすることによって本明細書に開示する燃焼タービンの性能を評価することができる。1つの特定の評価では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンが理想的ブレイトンサイクル(ガスタービン)と比較される。圧力(P)対容積(V)の座標は、各エンジン過程中の仕事伝達の直接的な表示を与える。仕事は、圧力に容積変化を乗じたものに等しく、又は言い換えれば、仕事は、P-Vグラフの内側の面積である。
図13及び
図14は圧力対容積のグラフであり、グラフのx軸線上の容積は「比容積」である。「比容積」は、ガスの質量に対するガスの容積の比である。言い換えれば、比容積は密度の逆数である。すなわち、比容積は、単位容積当たりの質量ではなく単位質量当たりの容積である。一部の実施形態では、閉じた燃焼チャンバの場合等では、比容積と実際の物理容積とは同等である。閉じた燃焼チャンバでの燃焼中に、ガスの圧力及び温度は上昇するが、密度及び比容積は一定に留まる。
【0050】
本明細書に開示する燃焼タービンエンジンの理想的な過程を
図13に示している。
図13でのデータでは、ガスタービンエンジンと類似の圧縮セクションは、燃焼タービンエンジンの燃焼チャンバの上流に位置決めされることを仮定している。
図13でのデータでは、燃焼タービンエンジンの排気ガスからエネルギを回収するために膨張(補助タービン)段が燃焼タービンエンジンの下流に位置決めされることも仮定している。
図13を参照すると、周囲条件下の空気が状態1においてエンジンに流入する。エンジン過程の状態1から状態2への圧縮機ブレード配列内の初期圧縮が発生する。
図13でのグラフでは、プロット上の右から左への移動は、ガスに対して行うべき仕事を示し、仕事量は、過程曲線の下の面積によって与えられる。従って、状態1から状態2に移動する圧縮段は、エンジンからの仕事入力を必要とする。圧縮の完了後の状態2では、空気及び燃料は、次に、エンジンの燃焼チャンバの中に移送される。エンジンの燃焼チャンバ内では、一定容積燃焼が発生し、それによって燃焼チャンバ内の圧力及び温度が状態3まで増大する。状態2から状態3への過程ラインに沿う移動は垂直であり(すなわち、比容積変化がない)、理想的エンジン過程のこの段中に仕事はない。次に、排気ガスは、燃焼チャンバから流出し、膨張過程を通過し、状態3から状態4に移動する。プロット上の左から右への移動は、抽出された仕事を示し、仕事の抽出量は、過程曲線の下の面積によって与えられる。従って、状態3から状態4まで仕事抽出が発生する。燃焼チャンバ通路の設計は、エンジン過程のこの段において抽出することができる仕事量を少なくとも部分的に定める。
【0051】
比較目的で、更に典型的な理想的ブレイトンサイクルガスタービンエンジンの一定圧力燃焼過程を
図13に示している。図示のように、典型的な理想的ブレイトンサイクルガスタービンエンジンの過程ライン(破線)は、状態2から垂直ではなく左から右に移動する。すなわち、本明細書に開示する回転燃焼タービンエンジンを使用することにより、典型的な理想的ブレイトンサイクルガスタービンエンジンと比較して追加の仕事が抽出されるという結論が得られる。ブレイトンサイクル燃焼過程ライン(破線)の上方に示す三角形セクションは、本明細書に開示する理想的な回転燃焼タービンエンジンによって回収される追加の仕事出力を表している。理論によって縛られることなく、本明細書に開示する回転燃焼タービンエンジン内の一定容積燃焼過程の組合せは、典型的なガスタービン(ブレイトンサイクルガスタービン)と比較して燃焼からより多くの仕事の抽出を提供すると考えられる。
【0052】
理想的エンジンサイクルからの逸脱
図13は、理想的な回転燃焼タービンエンジンサイクルを示している。しかし、全てのエンジンが理想的なサイクルから逸脱する。理想的エンジンサイクルからの逸脱を最小にすることは、仕事抽出及びエンジン効率の増大を提供する。
【0053】
理想的な状態から逸脱する場合があるエンジンサイクルの1つのパラメータは、燃焼の前に吸入される空気の圧縮量である。理論によって縛られることなく、エンジンサイクル効率は、エンジンサイクル過程がより高圧を用いて実施される時に増大すると考えられる。燃焼の前に圧縮圧を増大させると圧縮仕事が増加するが、エンジンのタービンセクションでのその後のガス膨張中に抽出される仕事の量も増加する。圧縮による仕事抽出の純増を
図14に示している。
図14では、破線は、初期エンジン仕事サイクルを示し、実線は、吸入空気のより増大した圧縮比に基づいて純仕事出力が増加した潜在的エンジン仕事サイクルを示している。一部の実施形態では、燃焼チャンバの上流に位置決めされたターボチャージャ、スーパーチャージャ、ノズル、1又は2以上の圧縮機、又はその組合せの使用により、本明細書に開示する燃焼タービンエンジン内への吸入空気の圧縮を可能にし、それによってこのエンジンのエンジンサイクル効率が増大する。理論によって縛られることなく、圧縮過程の効率は、
図14での圧縮過程曲線の形状、すなわち、状態1から状態2までの線の形状に影響を及ぼすと考えられる。従って、圧縮過程の効率は、吸入空気の圧縮に必要とされる仕事量(すなわち、曲線の下の面積)に影響を及ぼす。
【0054】
理想的な状態から逸脱する可能性があるエンジンサイクルの別のパラメータは、燃焼チャンバに入るガスの移送損失である。燃焼チャンバの中に給気される吸入空気を移送する時は圧力降下に遭遇し、この圧力降下は、ガス流れを高圧保持チャンバから入口ポートを通して燃焼チャンバの中に駆動する。ガス移送損失及び気圧降下の効果を
図15での理想的な過程図に示している。
図15では、元の過程を実線に示し、燃焼チャンバの中への圧力損失を考慮した過程を破線に示している。
図15で必要とされる圧縮仕事は、
図13及び
図14でのものから変更されていない。しかし、
図15において抽出される膨張仕事は、入口ポートを通って燃焼チャンバの中に入る際のガス流量損失及び気圧降下に起因して
図13及び
図14と比較して低減されている。一部の実施形態では、移送損失を低減するために密封及び厳しい公差が使用される。
【0055】
理想的な状態から逸脱する可能性があるエンジンサイクルの別のパラメータは、燃焼過程のタイミング及び燃焼チャンバからの漏出である。好ましくは、燃焼タイミングは、燃焼チャンバが閉じている間に燃焼の完了に対して十分な時間量を保証するように構成される。すなわち、燃焼タービンの吸気入口及び上部固定プレートの入口が開放構成又は閉鎖構成にある時のタイミング、並びに燃焼タービンの排気出口及び底部固定プレートの出口が開放構成又は閉鎖構成にある時のタイミングは、好ましくは、燃焼の完了が発生するほど十分な時間にわたって吸気入口(136及び166)が閉じ、同時に排気出口(176及び101)も閉じるように構成される。
【0056】
図16は、吸気ポートの閉鎖(すなわち、入口136及び166が閉鎖構成にある時)と排気ポートの開放(すなわち、出口176及び101が閉鎖構成にある時)の間に発生する事象の一例示的シーケンスを示している。一部の実施形態では、燃料と空気は、燃焼チャンバの中への燃料及び空気の吸気の前に混合され、点火が吸気ポートの閉鎖の直後に発生することを可能にする。
図16を参照すると、時系列1900にわたって発生するエンジンサイクル事象が示されている。時間1902では、吸気ポートの閉鎖が発生し、任意的に燃料注入が時間1904において同時に発生する。時間1906では、燃料と空気が混合される。時間1904から時間1906までの期間は、燃料の気化速度及び燃料と空気の混合速度によって決定され、気体燃料を使用すること及び/又は燃料と空気を事前混合することによって短縮することができる。時間1908では、燃料/空気混合物の点火が発生する。時間1910は、点火の発生から燃焼の完了までに利用可能な残りの時間を示している。この時間フレームは、選択燃料と空気及び燃料の混合割当量とに基づく火炎速度と、燃焼チャンバの幾何学形状(例えば、点火器のスパークと燃焼チャンバの最遠壁の間の距離)と、燃焼チャンバ内の乱流度とによって決定される。時間1912では、好ましくは、排気ポートが時間1914において開く前に燃焼が完了する。時間1916では、時間1902での吸気ポート閉鎖と時間1914での排気ポート開放の間の時間は、燃焼タービンの回転速度と、燃焼タービンの入口ポート及び出口ポートのシール幾何学形状とによって決定されたものとして示されている。
【0057】
本明細書に開示する燃焼タービンエンジンの燃焼持続時間の議論の前に、背景として典型的なスパーク点火ピストンエンジンを以下に説明する。典型的なスパーク点火ピストンエンジンの燃焼は、2500RPMで作動するエンジンでは約15クランク度から20クランク度である。このクランク度は、10%の燃料が燃焼した時点から90%の燃料が燃焼した時点までの時間である10%~90%燃焼持続時間を前提とする。初期点火スパーク事象からの遅延と、利用可能な点火エネルギに依存して5度から15度内にあるとすることができる10%の燃料が燃焼した時点の達成からの遅延とがある。これら2つの遅延は累積的である。点火遅延及び10%~90%燃焼持続時間は給気運動に依存し、給気運動が点火器のスパークを消す限界までは給気運動の量が多いほど良好である。スパーク点火エンジンでは、より高い給気運動を与えるためにタンブル(タンブルフラップ)が典型的に使用される。
【0058】
図12に表す4燃焼チャンバエンジンサイクルでは、90度のクランクシャフト回転(駆動シャフト回転)毎に1回の着火事象(燃焼事象)がある。従って、
図12でのエンジンサイクルでは、エンジンサイクルの全ての段又は行程は、シャフトの90度回転内で発生する。比較すると、典型的な4行程ピストンエンジンは、燃焼チャンバへの新しい空気及び燃料の給気と、圧縮と、燃焼と、膨張とを含むエンジンサイクルの全ての段又は行程が発生するのに720度(すなわち、行程毎に180度)のクランクシャフト回転を必要とする。
【0059】
一部の実施形態では、入口ポート及び出口ポートの開放及び閉鎖のタイミングは、熱力学的要件に基づいて最適化される。例えば、入口ポート及び出口ポートの開放及び閉鎖のタイミングを最適化するために燃焼タービンエンジンの熱力学シミュレーションを実施することができる。一部のそのような実施形態では、燃焼タービンエンジンの燃焼持続時間は、火炎速度の詳細な計算解析と、燃焼チャンバの幾何学形状と、燃焼チャンバ内で発生する乱流運動とに基づいて決定することができる。一部のそのような実施形態では、燃焼タービンエンジンは、比較的高い乱流を獲得するように設計される。理論によって縛られることなく、強い乱流は、短い燃焼持続時間を可能にすると考えられる。
【0060】
一部の実施形態では、圧縮チャンバと排気(補助タービン)の両方に向う燃焼チャンバからのガス漏出の発生が低減又は排除される。燃焼タービンエンジンでは、固定プレートと回転する燃焼タービンの間に少なくとも何らかの間隙が存在する。この間隙は、圧縮機出口又は補助タービン入口と燃焼チャンバの間の圧力差のような圧力差がある時に少なくとも一部のガスが2つの板にわたって漏出することを可能にする。このガス漏出は、固定プレートと回転板の間の入念な封入、例えば、リング164を設けることによって最小限に止めることができる。燃焼事象中のガス漏出は、いずれの仕事も抽出されることなく高圧ガスがより低い圧力領域に絞られることで直接的な利用可能性の損失である。本明細書に使用する場合に、「利用可能性損失」は、エンジンサイクルの残余において仕事を行うのにもはや利用可能ではないエネルギである。
【0061】
高圧保持チャンバから燃焼チャンバの中へのガスの移送中の絞り損失と同様に、ガスが燃焼チャンバを出る時に排気ポートを通して圧力降下損失が発生する場合がある。燃焼チャンバからのガス漏出の場合と同様に、これらの圧力降下(「絞り損失」)は、抽出することができる仕事量を低減する直接的な利用可能性損失である。排気ガスのより高い温度及び気圧は、信頼性、耐久性、及びいずれかの圧力降下損失の大きさを悪化させる場合がある。仕事出力に対するそのような損失の効果を
図17に示している。グラフ内上側の実線は、理想的な過程を示し、それに対して破線は、排気ポートの両端の圧力降下、並びに燃焼チャンバからのガス漏出を考慮したものである。
【0062】
エンジンサイクルにおいて理想的な状態から逸脱する可能性がある別のパラメータは、膨張過程効率にある。一部の実施形態では、燃焼タービンエンジンは、燃焼チャンバが仕事を生成するのと同時に高効率仕事抽出を可能にする。一部の実施形態では、燃焼タービンエンジンには、追加の仕事を生成し、圧縮過程を駆動し、仕事(例えば、
図13~
図15及び
図17での2つの曲線の間の面積)を発生させるために燃焼チャンバの下流に位置決めされた高効率仕事抽出過程又は装置(例えば、膨張補助タービン)が設けられる。燃焼タービンエンジンの仕事抽出効率を増大させるように等エントロピー効率と過程線の長さ(仕事抽出中にどれ程低い排気圧力及び排気温度を取ることができるか)が最適化される。
【0063】
圧縮及び膨張効率
ブレイトン空気-標準サイクルに関連するサイクルに対して作動する従来のガスタービンでは、空気は、典型的に複数の段での定常流れ回転圧縮機ブレード配列を用いて周囲状態から高い温度及び気圧まで圧縮される。圧縮後に、圧縮ガスは、一定圧力であるが高い温度増大及び比容積増加を用いて燃料が混合及び燃焼される非移動燃焼セクションに流入する。次に、燃焼ガスは、典型的に多段の回転式タービンセクションにわたって膨張が達成されるタービン段に流入する。本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、一定流量及び一定圧力の燃焼チャンバを一定容積及び非定常流れの回転燃焼チャンバで置換する。本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、離脱する燃焼ガスが駆動シャフトに伝達される仕事を生成するようにベーン、ブレード、又は燃焼チャンバ壁の内側の他の形状を用いて回転燃焼チャンバから仕事を抽出する。
【0064】
理論によって縛られることなく、高温加圧ガスからエネルギを直接抽出するための2つの方法があると考えられる。一方の方法は、例えば、ピストンエンジン内で行われ、ガスがピストンに対して膨張し、膨張又は圧力容積(P-V)仕事を発生させる閉鎖チャンバ移動境界膨張を可能にすることである。他方の方法は、典型的にノズルを通して加速されたガスによって運動エネルギがブレードに付与される回転タービンブレードにわたる連続流れの膨張である。タービン特性は、効率に対する「ブレード速度比」効果を含む。ブレード速度比(BSR)は、ブレード速度を利用可能な圧力比にわたって等エントロピー的に膨張する場合にガスが獲得することができる速度である等エントロピーガス速度で割り算したものとして定められる。BSR(比較的固定されたブレード速度での)は、ガス速度の逆数に比例するもの、すなわち、高いガス速度においてBSRが低く、その逆も同様であるものと考えるのが有利である。従って、定常流れ環境では、最小限のBSR変化しかなく、それに対して非常にパルス振動する流れ環境では、高いBSR変化がある。高いパルスレベル及びBSR変化は、流入ガスが現在のブレード速度状態に対して過度に高速で進行する段階と過度に低速で進行する段階との間で交替することで一般的にタービン効率に対して悪影響を有する。その結果、ガスとブレードの間の入射角不足、並びに
図18に示すように最適BSRから変化することによって効率を低減する他の問題が生じる。
図18では、上側の矢印は、1という正規化BSRでの定常流れから利用可能な正規化効率を示し、下側の矢印は、タービンが有意に変化するBSRに露出された時にタービンが獲得する平均正規化効率を示している。この場合に、可能なタービン効率の約30%が失われる。
【0065】
本明細書に開示する燃焼タービンエンジンでは、燃焼チャンバは、燃焼チャンバの内部にタービン状ブレード配列を有する。この燃焼チャンバ環境では、閉じた燃焼チャンバは、ほぼゼロ速度の高温高圧ガスを閉じ込める(燃焼後であるが排気ポートが開く前に)。排気ポートが有限期間にわたって開くと、燃焼ガスに対する流出経路が与えられる。燃焼チャンバが固定ポート板に対して回転する時に、流れ経路は、小さいオリフィスとして始まって最大ポートサイズまで拡大し、その後に、小さいオリフィスに再び縮小する。一部の実施形態では、排気ポート(例えば、出口176及び/又は101)は、排気が排出されて燃焼タービンを望ましい方向に回転させる推力を生成するように燃焼タービン上で周方向に向けられたノズルを含む。理論によって縛られることなく、そのような排気ノズルからの吐出の加速は、燃焼タービンを反対方向に回転させる等しい大きさの力を伝達し、それによって駆動シャフトにトルクを印加する。一部の実施形態では、燃焼チャンバの出口に位置決めされた補助タービンによって燃焼チャンバの排気ガスからもエネルギが抽出される。
【0066】
掃気
燃焼チャンバの掃気は、直前のサイクルからの燃焼生成物を新しい空気及び/又は燃料/空気混合物で置換する段階を含む。本明細書に開示する燃焼タービンエンジンの一部の実施形態では、少なくとも吸気ポートと排気ポートの両方が開いている期間中に燃焼チャンバ入口から燃焼チャンバ出口までに正の圧力差が存在する。吸気ポートと排気ポートの両方が同時に開いている時に、正の圧力差は、新しい空気を燃焼チャンバ内に押し込み、燃焼チャンバから燃焼生成物を除去することになる。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、掃気を容易にするために燃焼チャンバの両端に正の圧力差を有し、更に一定容積燃焼からタービン入口圧としてもたらされる高圧を利用する。一部の実施形態では、燃焼器出口圧は、圧縮機吐出圧よりも高くない。一部のそのような実施形態では、圧力が低下し、一方でガス流れ速度が増大するように(補助タービン膨張セクションの中に)、排気出口(例えば、ノズル)は燃焼チャンバ出口に位置決めされる。一部の実施形態では、タービンセクションへの入口は、燃焼チャンバの入口側にある高圧保持チャンバ内の圧力又は流速よりも高い圧力又は流速を有する。
【0068】
動力発生
理論によって縛られることなく、動力発生は、化学的エネルギ(例えば、ガソリンのエネルギ)の機械的移動(すなわち、機械的エネルギ)への変換を必要とすると考えられる。電気を発生させるために、機械的エネルギを電流に変換する追加の段階が必要とされ、この変換は、典型的に回転発電機を用いて達成される。仕事(電気的仕事又は機械的仕事)を行う目的に使用される機械的移動は、回転シャフトによって与えることができる。例えば、典型的な乗用車のエンジンは、シャフトを回転させるために直線ピストン移動を利用し、それに対して典型的なガスタービンエンジンは、シャフトを直接回転させる。従って、そのようなエンジンでは、動力は、シャフトの回転速度とシャフトに印加されるトルクとによって決定される。
【0069】
ガスタービンエンジンでは、タービンの高温セクション(膨張機)が流体(燃焼した空気及び燃料)からエネルギを抽出し、それを機械的回転に変換する。
図19に示すように、エネルギは、翼2200を横切って空気力学的揚力2202を発生させる高圧高温の流体2204を膨張させることによって抽出される。更に、
図19には、翼2200の高圧側2206と低圧側2208が示されている。流体温度は、膨張機の上流で典型的に燃焼器と呼ばれるものの内部で発生する燃料の燃焼によって高められる。ガスタービンエンジンでは、燃焼は、流体が一定圧力にある間に発生する。トルクの主なソースは、タービンのブレードに印加される空気力学的揚力である。タービンブレードが流れの経路を変更する時に、流体中のエネルギがシャフトのトルクに転換される。タービンブレードの上部側と底部側の間の圧力差は、流体が翼を横切って移動する時に発生し、タービンに印加されるトルクのソースである空気力学的揚力に起因する。典型的なガスタービンは、回転膨張機段の上流に静止燃焼器を有することによってガスタービンエンジン設計を単純化するために別々の燃焼器セクションと膨張機セクションとを有する。燃焼の後に、燃焼ガスからのエネルギは、静止セグメント(固定子ベーン)と回転セグメント(回転子ブレード)の両方で各々が構成された1又は2以上の回転膨張機段にわたって抽出される。
【0070】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、ガスタービンエンジンの静止燃焼器と静止ベーンとを単一回転構成要素に組み合わせる。典型的なガスタービンエンジンとは反対に、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンでは、燃焼過程は一定容積で発生し、それに対して典型的なガスタービンエンジンでは、燃焼過程は一定圧力で発生する。燃焼器とベーンとを単一回転構成要素である燃焼タービンに組み合わせることにより、燃焼後の高圧を用いてトルクを回転駆動シャフトに直接印加することができる。
【0071】
一部の実施形態では、仕事は、高圧燃焼タービン152内の湾曲ブレード180から抽出される。一部のそのような実施形態では、燃焼タービン152から流出するガスからの空気力学的揚力が駆動シャフト104に伝達されるトルクを発生させてガス流れから仕事を抽出する。
【0072】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンから正味シャフト動力を発生させる段階は、エネルギを燃焼ガスから回転構成要素(例えば、駆動シャフト104)に伝達する段階を含む。
図20は、燃焼チャンバ内の例示的燃焼事象を示している。壁180の間の燃焼チャンバ120内に燃焼ガス186が示されている。図示のように、上部固定プレート108、上部回転板150、回転板170、及び底部固定プレート110の各々は、ベベル又は傾斜縁部165を含む。理論によって縛られることなく、ベベル縁部165は、排気ガス186を燃焼チャンバ120の中に偏向することによって燃焼チャンバ120からの燃焼ガス186の漏出を低減又は阻止することができる。一部のそのような実施形態では、燃焼タービンエンジンから正味シャフト動力を発生させるために、燃焼タービンエンジンは、膨張機段又は静止燃焼器を含む。例えば、高圧及び高温のガスをシャフトの仕事に変換するために、燃焼器(燃焼チャンバ120)の下流に追加の膨張機段(例えば、補助タービン113)を配置することができる。燃焼タービンエンジン152の燃焼過程は周期的であるので、補助タービン113内への排気ガスのパルス流れを発生させることができる。別の例示的実施形態では、
図21に示すように、回転燃焼タービン152が静止燃焼器152bで置換される。そのような実施形態では、燃焼チャンバ120の上部及び底部を定める吸気端150及び排気端170は静止又は固定のものであり(
図2の場合の回転とは反対に)、上部プレート108及び底部プレート110が回転板である(
図2の場合の静止板又は固定プレートとは反対に)。
図21に示すように、板108及び110の幾何学形状は、回転方向2402に空気力学的推力を与えるように構成することができる。例えば、板108は、燃焼チャンバ120の吸気入口ポートが開いている時に空気流れを燃焼チャンバ120の中に向けるノズルを一緒に定める複数の曲面2402を含むことができ、板110は、下流の回転構成要素に対する推力、並びに方向2402の板108及び110の回転に起因する仕事抽出を発生させる方向に燃焼チャンバ120からの排気186を向けるノズルを一緒に定める複数の傾斜面2406を含むことができる。そのような実施形態では、板108及び110は、駆動シャフト(図示せず)を駆動するために駆動シャフトと結合することができる。
【0073】
一定容積燃焼
本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、ガスを圧縮して膨張させるためにターボ機械を用いながら一定容積燃焼を可能にする。一定容積燃焼は、燃焼ガスの有意な圧力増大を提供し、この圧力増大は、一定圧力燃焼過程よりも大きい仕事を提供することができる。燃焼中のこの付随圧力増大により、より少ない圧縮段を使用することができ、それによって全体の複雑さ及びエンジンのサイズが低減される。一定容積燃焼を使用することにより、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、オットーサイクル、ディーゼルサイクル、ブレイトンサイクル、及び爆発サイクルを圧力対容積でプロットした
図22A~
図22Dに示す爆発サイクルと類似のサイクルを使用する。
【0074】
用途
以上から明らかであろうが、本発明の開示の一部の実施形態は、空気力学的に成形された回転燃焼チャンバの中に高圧空気を押し込むことに対する空気圧縮概念の応用を含む。燃焼を発生させるエネルギの1回のサイクルは、新しい圧縮空気によって回転燃焼チャンバが装填される時に開始される。燃焼チャンバが閉鎖構成に回転される時に燃料が注入されて点火される。点火は、燃焼を開始するためのエネルギを追加する。最初に高温高圧燃焼ガスを排気するために燃焼チャンバの底部が開放位置に回転し、この回転がチャンバの回転を駆動してエンジンのサイクルを完了し、燃焼チャンバの内側に高圧パルス減衰器及び保持チャンバ131内よりも低い圧力を提供し、それによって掃気が容易になる。回転式チャンバは、中心駆動シャフトに接続されてシャフト仕事出力を生成する。駆動シャフトのシャフト仕事出力は、車両の車輪を駆動すること又は別の機械の構成要素を移動することのようなあらゆる数の使用に向けて回収することができる。
【0075】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、自動車のような典型的にピストンエンジンが使用される用途に使用することができる。他の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、典型的に従来のガスタービンエンジンが使用される用途に使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、推力を生成するためにターボジェットエンジンが使用される用途、推力を生成するダクト内ファンに動力を供給するためにターボファンエンジンが使用される用途、又はプロペラに動力を供給するためにターボプロップエンジンが使用される用途に使用することができる。
【0076】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、発電機を回して電力を発生させるシャフトを駆動するのに又は船のプロペラシャフトを回すシャフトを駆動するのに使用することができる。従って、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、自動車(乗用車、トラック)、船舶、及び航空機の中に組み込むことができる。
【0077】
混成動力発生
一部の用途では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、風力エネルギ又は太陽光エネルギが利用可能ではない時に電力を供給するために風力及び太陽光のような再生可能エネルギソースと併用することができる。そのような実施形態では、本明細書に開示するエンジンは、比較的短い始動時間を有することができ、部分装填で比較的低い放出を用いて効率的に作動させることができる。更に、空気-燃料混合物の燃焼事象が火炎保持に対する典型的なタービン燃焼器要件を持たない一定容積過程で発生することに起因して、本明細書に開示するエンジンは、従来のガスタービンよりも広い作動範囲にわたってより効率的であることが可能である。
【0078】
複合熱及び電力及び水素経済
一部の用途では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、熱電併給(CHP)システムに対して使用することができる。CHPは、エンジンを機械的(例えば、シャフト)エネルギ又は電気エネルギの動力発生又は電力発生と排気から熱を生成することとの両方に向けて使用するシステム及び過程サイクルを意味する。CHPが有利である場合がある一部の過程は、化学処理工業、紡織工業、並びに紙工業及びパルプ工業を含む。一部のそのような化学過程は水素を生成し、これは、一部の実施形態では、水素が現場で利用可能であるので及び/又は水素が過程の生成物であるのでCHPに対して好ましい燃料である。本発明の開示のエンジンの一定容積燃焼により、かつ消失する可能性があるパイロット火炎の欠如により、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、CHPの中に組み込むことができ、比較的高い水素含有量を含む燃料混合物を使用することができる。一部の設置では、エンジンの場所は、ローカル的に利用可能な又は生成される天然ガス又は特定の工業過程からの他の燃料の使用を必要とする場合がある。従って、水素又はメタン又は他のローカル的に利用可能な燃料を使用する機能は、本発明の開示のエンジンに遠隔地に使用される機能を与える。
【0079】
マイクロタービン
典型的に従来のターボ機械は、効率、製造可能性、及び機械設計に対する有意な影響なしに約1MW規模まで規模を縮小することができる。しかし、1MWよりも小さい規模では、従来のターボ機械は漏出経路を提供する可能性があり、この漏出経路は、流れ経路の規模がより小さいサイズまで縮小された時に空気力学的流れ面積のより大きい百分率を占める。従来のターボ機械の燃焼器は、完全燃焼に対して十分な滞留時間を与えるほど十分に大きい必要がある。本発明の開示の燃焼タービンエンジンの一部の実施形態では、一定容積燃焼過程の使用は、滞留時間に関する制限を引き下げ、従来のターボ機械を用いて達成可能であると考えられるものよりも小さい燃焼器をマイクロガスタービンに向けて可能にする。一部の実施形態では、燃焼器と膨張機は、単一圧縮機ホイール上にあり、燃焼器はインペラ上に位置決めされる。
【0080】
高速エアブリージング推進
音速よりも高速に設計された航空機のような航空機は、ターボジェットエンジン又は低バイパス比ターボファンを典型的に含む。約マッハ3よりも高速に飛行することに対する1つの制限ファクタは、高い流速に対する燃焼器の感受性である。従来の航空機エンジンに使用される一定圧力燃焼過程は、燃焼器サイズが所要の燃焼滞留時間に適切であるようにかつ燃焼器パイロット火炎の火炎消失状態が回避されるように空気を圧縮し、亜音速(例えば、マッハ<1)まで減速することを必要とする。一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、パイロット火炎を必要としない。一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンは、航空機のターボジェット又はターボファンの中に組み込むことができる。
【0081】
他のエンジン構成
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンは、プロペラを駆動するためにプロペラ駆動航空機の中に組み込まれる。一部のそのような実施形態では、燃焼タービンエンジンは、排気ストリーム中にターボチャージを含まず、プロペラからの空気流れは、回転式燃焼タービン内への新しい空気の初期流れを形成する。
【0082】
一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンは、給送空気に圧縮を供給する低圧ファンと高圧ファンとを有するジェットエンジン及びタービンエンジンの中に組み込まれる。
【0083】
図2に示すように、一部の実施形態では、本明細書に開示する燃焼タービンエンジンのタービン端又は高温端に周囲空気が流入し、ターボチャージャ又はスーパーチャージャ内で予備圧縮が発生する。次に、空気は、エンジンの他端に移送され、そこで高圧圧縮機段を通過し、その後に燃焼タービンに流入する。他の実施形態では、吸入空気流れは、エンジンの冷温端である圧縮機端の中に直接流れ込み、複数の圧縮段を通過し、その後に燃焼タービンの燃焼チャンバに入る。
【0084】
実施形態
実施形態1.空気吸気口と、シュラウド及びそれに結合された又はそれと一体の複数のタービンブレードであって、タービンブレードがシュラウド内に位置決めされ、隣接タービンブレード間の空間が燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める上記シュラウド及びタービンブレードと、燃焼チャンバの中への吸気入口を含む吸気端と燃焼チャンバからの排気出口を含む排気端とを含む燃焼タービンと、燃焼タービンの回転によって回転するように燃焼タービンが結合された駆動シャフトと、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含む上部固定プレート及び排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む底部固定プレートであって、燃焼タービンが上部固定プレートと底部固定プレートの間に位置決めされる上記上部固定プレート及び底部固定プレートとを含み、燃焼タービンが、吸気入口を通る燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にするために上部固定プレートに対して回転可能であり、かつ燃焼ガスを排気出口を通して排気するために底部固定プレートに対して回転可能である燃焼タービンエンジン。
【0085】
実施形態2.空気吸気口と上部固定プレートの間に位置決めされ、空気吸気口から吸入空気を受け入れて加圧吸入空気を燃焼タービンに提供するように位置決めされた1又は2以上の空気圧縮機を更に含む実施形態1のエンジン。
【0086】
実施形態3.空気吸気口と1又は2以上の空気圧縮機との間に位置決めされ、空気吸気口から吸入空気を受け入れて吸入空気を1又は2以上の空気圧縮機に提供するように位置決めされたターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャを更に含む実施形態2のエンジン。
【0087】
実施形態4.1又は2以上の空気圧縮機が、直列に配置された2つの空気圧縮機を含む実施形態2又は3のエンジン。
【0088】
実施形態5.底部固定プレートの下流で燃焼タービンの排気ストリームに位置決めされた補助タービンを更に含む実施形態1から4のいずれかのエンジン。
【0089】
実施形態6.補助タービンが駆動シャフトと結合される実施形態5のエンジン。
【0090】
実施形態7.1又は2以上の空気圧縮機と燃焼タービンの間に位置決めされ、吸入空気を燃焼タービンの中に向けるように位置決めされた空気加圧ノズルを更に含む実施形態2から6のいずれかのエンジン。
【0091】
実施形態8.燃料を燃焼チャンバの中に注入するように位置決めされた少なくとも1つの燃料注入器を更に含む実施形態1から7のいずれかのエンジン。
【0092】
実施形態9.燃焼チャンバ内で燃料及び空気混合物を点火するように位置決めされた少なくとも1つの点火装置を更に含む実施形態1から8のいずれかのエンジン。
【0093】
実施形態10.上部固定プレート、底部固定プレート、燃焼タービン本体、又はその組合せ内に空気冷却孔を更に含む実施形態1から9のいずれかのエンジン。
【0094】
実施形態11.燃焼タービンがその本体上にブラスト先端を含む実施形態1から10のいずれかのエンジン。
【0095】
実施形態12.上部固定プレートと駆動シャフトの間に位置決めされた軸受と、底部固定プレートと駆動シャフトの間に位置決めされた軸受とを更に含む実施形態1から11のいずれかのエンジン。
【0096】
実施形態13.上部固定プレートと燃焼タービンの吸気端との間及び底部固定プレートと燃焼タービンの排気端との間に位置決めされたリングを更に含む実施形態1から12のいずれかのエンジン。
【0097】
実施形態14.駆動シャフトが構成要素と結合され、駆動シャフトが構成要素を駆動する実施形態1から13のいずれかのエンジン。
【0098】
実施形態15.駆動シャフトが、駆動シャフトの第1の端部で第1の構成要素と結合され、かつ駆動シャフトの第2の端部で第2の構成要素と結合される実施形態14のエンジン。
【0099】
実施形態16.構成要素が、プロペラ、ポンプ、発電機、タービン、圧縮機、又はホイールを含む実施形態14又は15のエンジン。
【0100】
実施形態17.空気吸気口が、吸入空気が燃焼タービン内への通過の前にエンジンの排気によって加熱されるように位置決めされる実施形態1から16のいずれかのエンジン。
【0101】
実施形態18.燃焼タービンの上流で吸入空気が燃料と混合される混合ゾーンを更に含む実施形態1から17のいずれかのエンジン。
【0102】
実施形態19.エンジンのハウジングを少なくとも部分的に定める外部シリンダを更に含む実施形態1から18のいずれかのエンジン。
【0103】
実施形態20.各空気圧縮機が、駆動シャフトと結合され、かつ駆動シャフトによって駆動される実施形態2から19のいずれかのエンジン。
【0104】
実施形態21.燃焼タービンがフライホイールとして機能する実施形態1から20のいずれかのエンジン。
【0105】
実施形態22.エンジンのサイクルを通して、燃焼タービンが、排気が燃焼チャンバから逃げることが防止されるように燃焼タービンの排気出口が底部固定プレート内の排気出口と位置合わせされず、ガスが燃焼チャンバの中に流れることができるように燃焼タービン内の吸気入口が上部固定プレート内の吸気入口と部分的と位置合わせされる第1の位置と、ガスが燃焼チャンバに入るか又はそこから流出することが防止されるように燃焼タービンの吸気入口が上部固定プレートの吸気入口と位置合わせされず、燃焼タービンの排気出口が底部固定プレートの排気出口と位置合わせされない第2の位置と、ガスが燃焼チャンバに入ることが防止されるように燃焼タービンの吸気入口が上部固定プレート内の開口部と位置合わせされず、排気ガスが燃焼チャンバを出るように燃焼タービンの排気出口が底部固定プレートの排気出口と少なくとも部分的と位置合わせされる第3の位置と、空気が燃焼チャンバの中に流れることを可能にするように燃焼タービンの吸気入口が上部固定プレート内の開口部と少なくとも部分的と位置合わせされ、排気ガスが燃焼チャンバを出るように燃焼タービンの排気出口が底部固定プレートの開口部と少なくとも部分的と位置合わせされる第4の位置とである複数の位置に順次入るように回転する実施形態1から21のいずれかのエンジン。
【0106】
実施形態23.空気吸気口と、シュラウド及びそれに結合された又はそれと一体の燃焼チャンバ壁であって、燃焼チャンバ壁がシュラウド内に位置決めされ、隣接する燃焼チャンバ壁間の空間が燃焼チャンバを少なくとも部分的に定める上記シュラウド及び燃焼チャンバ壁、燃焼チャンバの中への吸気入口を含む吸気端、及び燃焼チャンバからの排気出口を含む排気端を含む静止燃焼器と、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含む上部プレート及び排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含む底部プレートであって、静止燃焼器が、上部プレートと底部プレートの間に位置決めされ、上部プレートが、吸入空気を燃焼チャンバの中に向けるための吸気入口を含み、底部プレートが、排気を燃焼チャンバから静止燃焼器の周りで周方向に誘導して上部プレート及び底部プレートを回転させる推力を生成するように位置決めされた排気出口を含む上記上部プレート及び底部プレートと、上部プレート及び底部プレートの回転によって回転するように上部プレート及び底部プレートが結合された駆動シャフトとを含み、吸気入口を通る燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にして排気出口を通して燃焼ガスを排気するように上部プレート及び底部プレートが静止燃焼器に対して回転可能である燃焼タービンエンジン。
【0107】
実施形態24.駆動シャフトに結合された燃焼タービンのブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められた燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階と、燃焼チャンバの吸気端及び排気端を閉じて閉じた燃焼チャンバ内で燃料と吸入空気の混合物を燃焼させ、この燃焼によって燃焼ガスを形成する段階と、燃焼チャンバの排気端を開いて燃焼ガスを燃焼チャンバから排気し、燃焼ガスを排気することによってブレードの回転を駆動し、ブレードの回転によって駆動シャフトの回転を駆動する段階とを含む燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法。
【0108】
実施形態25.吸入空気を燃焼チャンバに供給する前に吸入空気をターボチャージャ、スーパーチャージャ、又はツインチャージャに通す段階を更に含む実施形態24の方法。
【0109】
実施形態26.吸入空気を燃焼チャンバの中に提供する前に吸入空気を圧縮する段階を更に含む請求項24又は25の方法。
【0110】
実施形態27.吸入空気を空気加圧ノズルを通して燃焼チャンバの中に向ける段階を更に含む実施形態24から26のいずれかの方法。
【0111】
実施形態28.燃料及び吸入空気を燃焼チャンバの中に提供する前に燃料と吸入空気を混合する段階を更に含む実施形態24から27のいずれかの方法。
【0112】
実施形態29.燃焼チャンバの下流にあり、駆動シャフトに結合された補助タービンの中に排気燃焼ガスを通す段階を更に含む実施形態24から28のいずれかの方法。
【0113】
実施形態30.燃焼タービンが、吸気端が上部固定プレートに隣接して位置決めされ、排気端が底部固定プレートに隣接して位置決めされるように燃焼タービンエンジンの上部及び底部固定プレートの間に位置決めされ、上部固定プレートが吸気入口を含み、底部固定プレートが排気出口を含み、燃焼タービンの吸気端を開く段階が、吸気入口が燃焼チャンバと流体連通するように燃焼タービンを回転させる段階を含み、燃焼タービンの排気端を開く段階が、排気出口が燃焼チャンバと流体連通するように燃焼タービンを回転させる段階を含む実施形態24から29のいずれかの方法。
【0114】
実施形態31.燃焼タービンエンジンのサイクルが、燃焼チャンバの排気端が閉じており、燃焼チャンバの吸気端が少なくとも部分的に開いており、かつ燃焼チャンバの中に吸入空気が供給される第1の状態と、燃焼チャンバが閉じており、かつ燃料と吸入空気の混合物が燃焼される第2の状態と、燃焼チャンバの排気端が少なくとも部分的に開いており、一方で燃焼チャンバの吸気端が閉じており、かつ燃焼チャンバから燃焼ガスが排気される第3の状態と、燃焼チャンバの吸気端と排気端とが両方共に少なくとも部分的に開いており、燃焼チャンバから燃焼ガスが排気され、かつ燃焼チャンバの掃気が行われる第4の状態とを少なくとも含む実施形態24から30のいずれかの方法。
【0115】
実施形態32.燃焼チャンバ内の燃焼が一定容積内で発生する実施形態24から31のいずれかの方法。
【0116】
実施形態33.静止燃焼器のブレード間の空間によって少なくとも部分的に定められた燃焼チャンバの吸気端の中に燃料及び吸入空気を提供する段階と、燃焼チャンバの吸気端及び排気端を閉じて閉じた燃焼チャンバ内で燃料と吸入空気の混合物を燃焼させ、この燃焼によって燃焼ガスを形成する段階と、燃焼チャンバの排気端を開いて燃焼チャンバから燃焼ガスを排気する段階とを含み、静止燃焼器が、燃焼タービンエンジンの上部プレートと底部プレートの間に位置決めされ、上部プレートが、吸気端に隣接して位置決めされた吸気入口を含み、底部プレートが、排気端に隣接して位置決めされた排気出口を含み、上部プレートが、燃焼チャンバの中に吸入空気を向けるように位置決めされた吸気入口を含み、底部プレートが、排気を燃焼チャンバから静止燃焼器の周りで周方向に誘導して上部プレート及び底部プレートを回転させる下流の構成要素に対する推力を生成するように位置決めされた排気出口を含み、上部プレート及び底部プレートの回転が駆動シャフトを回転させるように、上部プレート及び底部プレートが、駆動シャフトと結合され、上部プレート及び底部プレートが、吸気入口を通る燃焼チャンバの中への吸入空気の通過を可能にして排気出口を通して燃焼ガスを排気するように静止燃焼器に対して回転可能である燃焼タービンエンジンを用いて原動力を発生させる方法。
【0117】
以上の実施形態及び利点を詳細に説明したが、本発明の開示の精神及び範囲から逸脱することなく本明細書に様々な変更、置換、及び修正を加えることができることを理解しなければならない。更に、この出願の範囲は、本明細書に説明する過程、機械、製造、物質組成、手段、方法、及び段階の特定の実施形態に限定されるように意図していない。当業者が本発明の開示から直ちに認めるように、本明細書に説明する対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施するか又は実質的に同じ結果を獲得する既存の又は後に開発されることになる過程、機械、製造、物質組成、手段、方法、及び段階は、本発明の開示に従って利用することができるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にそのような過程、機械、製造、物質組成、手段、方法、及び段階を含むように意図している。
【符号の説明】
【0118】
100 エンジン
104 駆動シャフト
116 強制誘導デバイス
152 燃焼タービン
180 燃焼ブレード
【国際調査報告】