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特表2022-520886第VII因子療法のための組成物、デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-01
(54)【発明の名称】第VII因子療法のための組成物、デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20220325BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220325BHJP
   A61K 35/30 20150101ALI20220325BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220325BHJP
   A61K 38/36 20060101ALI20220325BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20220325BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220325BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220325BHJP
   C12N 15/14 20060101ALI20220325BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220325BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20220325BHJP
【FI】
C12N15/12
A61P7/04
A61K35/30
A61K9/48
A61K38/36
A61K47/42
A61K47/36
C12N5/10 ZNA
C12N15/14
C12N15/62 Z
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557393
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 US2020025511
(87)【国際公開番号】W WO2020198695
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/824,963
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/907,386
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519118164
【氏名又は名称】シギロン セラピューティクス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SIGILON THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バーニー, ローレン エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ボウレガード, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カルモナ, ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス, フランシスコ キャバレロ
(72)【発明者】
【氏名】ハイデブレクト, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン, エリカ エレン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ロバート ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】オコナー, オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】オベルリ, マティアス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ペリット, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スウェル, ジャレッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, デヴィン マッキンリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーシャ, オミッド
(72)【発明者】
【氏名】ウォットン, ポール ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】イン, ゾエ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065BD06
4B065BD50
4B065CA44
4C076AA09
4C076AA53
4C076CC14
4C076EE36H
4C076EE41H
4C076FF68
4C084AA01
4C084CA53
4C084DC14
4C084MA37
4C084NA10
4C084ZA541
4C084ZA542
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB56
4C087BB65
4C087CA04
4C087MA37
4C087MA67
4C087NA10
4C087ZA53
(57)【要約】
FVIIタンパク質を分泌するように組み換えられたRPE細胞、並びに組み換えRPE細胞を含む組成物、医薬製剤、及び移植可能なデバイス、並びに血友病若しくはFVII欠乏症を処置するためにそれらを作製及び使用する方法が本明細書に記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FVIIタンパク質を発現及び分泌することができる、組み換えRPE細胞であって、前記細胞は、前記FVIIタンパク質のコード配列を含む外因性ヌクレオチド配列を含み、前記コード配列は、
(i)配列番号3、
(ii)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列、
(iii)配列番号4、及び
(iv)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列
からなる群から選択される前駆体FVIIコード配列を含む、組み換えRPE細胞。
【請求項2】
前記外因性ヌクレオチド配列は、前記コード配列に動作可能に連結されたプロモーターであって、前記プロモーターは、任意選択により、配列番号10又は配列番号21と同一又は実質的に同一であるヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる、プロモーターをさらに含む、請求項1に記載のRPE組み換え細胞。
【請求項3】
前記コード配列は、配列番号3を含み、前記プロモーターは、配列番号10又は配列番号21からなる、請求項2に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項4】
前記FVIIタンパク質は、FVII融合タンパク質であり、任意選択により、前記FVII融合タンパク質は、配列番号11又は配列番号12を含む、請求項1に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項5】
前記コード配列は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18を含む、請求項4に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項6】
配列番号23、配列番号24又は配列番号25を含む、請求項1に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項7】
配列番号22を含む、請求項1に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項8】
前記外因性ヌクレオチド配列は、染色体外発現ベクターを含むか、又は前記RPE細胞内の少なくとも1つの染色体位置に組み込まれている、請求項1に記載のRPE組み換え細胞。
【請求項9】
ARPE-19細胞に由来する、請求項1に記載の組み換えRPE細胞。
【請求項10】
請求項1に記載の組み換えRPE細胞を含む組成物。
【請求項11】
ポリクローナル細胞培養物又はモノクローナル細胞株の培養物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号23、配列番号24又は配列番号25からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された二本鎖DNA分子。
【請求項13】
配列番号22から本質的になる、請求項12に記載の単離されたDNA分子。
【請求項14】
請求項1に記載の組み換えRPE細胞を含む少なくとも1つの細胞含有区画と、デバイスが対象に移植される場合の異物反応(FBR)を軽減するための少なくとも1つの手段とを含む、移植可能なデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの細胞含有区画が、前記複数の組み換えRPE細胞をカプセル化するポリマー組成物を含み、任意選択により少なくとも1つの細胞結合物質(CBS)を含む、請求項14に記載の移植可能なデバイス。
【請求項16】
前記細胞含有区画は、アルギン酸塩ヒドロゲル、及び任意選択により、バリア区画の外面に配置された式(I)の化合物を含む、前記バリア区画で取り囲まれている、請求項14に記載の移植可能なデバイス。
【請求項17】
前記ポリマー組成物はペプチドで共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含み、前記ペプチドはGRGDSP(配列番号49)又はGGRGDSP(配列番号51)から本質的になるか、又はそれからなり、前記バリア区画は、
【化1】

で修飾されたアルギン酸塩又はその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項15に記載の移植可能なデバイス。
【請求項18】
ヒドロゲルカプセルであって、
(a)第1のポリマー組成物中でカプセル化された、請求項1に記載の組み換え細胞を含む内側区画であって、前記第1のポリマー組成物は、ヒドロゲル形成ポリマーを含む、内側区画;及び
(b)前記内側区画を取り囲み且つ第2のポリマー組成物を含むバリア区画であって、前記第2のポリマー組成物は、以下の表に示されている化合物100、化合物101、化合物110、化合物112、化合物113、及び化合物114からなる群から選択される少なくとも1種の化合物で共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含む、バリア区画
【表1】

又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩を含む、ヒドロゲルカプセル。
【請求項19】
前記選択された化合物は、
【化2】

である、請求項18に記載のヒドロゲルカプセル。
【請求項20】
前記内側区画は、請求項1に記載の複数の組み換え細胞を含み、任意選択により、前記内側区画内の前記組み換え細胞の濃度は、前記第1のポリマー組成物1mlあたり少なくとも4000万個の細胞である、請求項18に記載のヒドロゲルカプセル。
【請求項21】
前記組み換え細胞は、ARPE-19細胞に由来し、配列番号25を含む、請求項18に記載のヒドロゲルカプセル。
【請求項22】
請求項18に記載の複数のヒドロゲルカプセルを含む組成物。
【請求項23】
請求項14に記載のデバイス、請求項18に記載のヒドロゲルカプセル、又は請求項22に記載の組成物を、患者に投与することを含む、FVII療法剤を、それを必要とする患者に送達する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2019年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/824,963号;及び2019年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/907,386号に対する優先権を主張するものである。上記の仮出願のそれぞれの開示内容は、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[配列表]
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、全体が参照により本明細書に援用される配列表を含む。2020年5月25日に作成された前記ASCIIコピーは、S2225-7029WO_SL.txtという名称であり、サイズは122,698バイトである。
【背景技術】
【0003】
第VII因子(FVII)は、血漿不活性チモーゲンが活性酵素に変換され、不溶性のフィブリン血餅を形成する一連の反応である血液凝固において、極めて重要な役割を果たす。FVIIの不活性型は肝臓で発現し、単鎖チモーゲンとして血中に分泌される。血管が損傷すると、組織因子(TF)は循環FVIIにさらされ、TFと複合体を形成すると、FVIIはいくつかの異なるプロテアーゼによってFVIIaに活性化され、FVIIa因子:TF複合体は第IX因子(FIX)及び第X因子(FX)の両方をそれぞれ活性化形態のFIXa及びFXaの変換を触媒し、これにより、トロンビンが生成され、続いてフィブリン血餅が形成される。
【0004】
第VII因子欠乏症は、FVIIの欠乏症又は活性低下を特徴とする希少な出血性障害であり、推定発生率は300,000人に1人から500,000に1人である。先天性FVII欠乏症は、F7遺伝子の変異によって引き起こされる。後天性FVII欠乏症は、重度の肝疾患、敗血症又はビタミンK欠乏症、及びワルファリンなどの特定の薬物に起因し得る。
【0005】
組み換え活性化FVIIタンパク質(rFVIIa)は、FVIII及びFIXに対する抗体阻害剤を有する血友病の個体、後天性血友病の患者、及び先天性FVII欠乏症の患者の止血を促進することにつき承認されている。しかしながら、rFVIIaは半減期が短いため、血友病患者の活性出血エピソードを管理するには、短期間に複数回の投与が必要である。したがって、さらなるFVII療法が望ましい。
【発明の概要】
【0006】
[概要]
FVIIを発現及び分泌するように組み換えられた網膜色素上皮(RPE)細胞、及び組み換えRPE細胞を含む組成物、医薬品、医療デバイス、並びにそれらを作製及び使用する方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、組み換えRPE細胞を含む組成物、製品、及びデバイスは、哺乳動物対象に投与、例えば、その内部に配置された場合に、異物反応を軽減するように構成される。
【0007】
一態様において、本開示は、前駆体FVIIコード配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む単離されたポリヌクレオチドを特徴とする。実施形態において、プロモーター配列は、配列番号10(図6Bに示される配列のヌクレオチド337~2069)と同一であるか、又は実質的に同一であるヌクレオチド配列から本質的になる。実施形態において、前駆体又はFVIIコード配列は、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている。実施形態において、前駆体FVIIコード配列は、FVII融合タンパク質をコードする。実施形態において、FVII融合タンパク質は、FVIIアミノ酸配列のC末端に動作可能に連結された非FVIIポリペプチドをコードするアミノ酸配列を含む。実施形態において、非FVIIポリペプチドは、融合タンパク質に有益な特性を付与し、例えば、発現及び/又は分泌されるタンパク質の量を増加させ、又はインビボでの半減期を延長する。実施形態において、FVII融合タンパク質は、ペプチドリンカーを介してFVIIアミノ酸配列のC末端に接続されている、哺乳動物アルブミン、例えば、ヒトアルブミンのアミノ酸配列を含む。実施形態において、ペプチドリンカーは、タンパク質分解的に切断可能である。実施形態において、前駆体FVIIコドン最適化コード配列は、配列番号3又は配列番号4である。実施形態において、コドン最適化FVII配列(例えば、配列番号3又は配列番号4)は、配列番号6又は配列番号8に動作可能に連結されている。実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、二本鎖DNA分子、例えば発現ベクターの鎖の1つとして提供される。
【0008】
別の態様において、本開示は、前駆体FVIIコード配列に動作可能に連結されたプロモーター配列を含む外因性ヌクレオチド配列を含む組み換えRPE細胞を提供する。実施形態において、外因性ヌクレオチド配列は、染色体外発現ベクターを含む。実施形態において、外因性ヌクレオチド配列は、RPE細胞、例えば、ARPE-19細胞のゲノム内の少なくとも1つの位置に組み込まれる。
【0009】
さらに別の態様において、本開示は、本明細書に記載の組み換えRPE細胞又は複数のそのような細胞を含む、少なくとも1つの細胞含有区画を含むデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、組成物、製品、及びデバイスは、組み換えRPE細胞をカプセル化するポリマー組成物を含む。実施形態において、カプセル化ポリマー組成物は、少なくとも1つの細胞結合物質(CBS)、例えば、細胞結合ペプチド、例えば、RGD(配列番号33)又はRGDSP(配列番号48)である。実施形態において、カプセル化ポリマー組成物は、GRGDSP(配列番号49)で共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含む。いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスが対象の内部に配置された場合に異物反応(FBR)を軽減するための少なくとも1つの手段をさらに含む。実施形態において、FBRを軽減するための手段は、デバイスの外面上に及び/又は細胞含有区画を取り囲むバリア区画内に配置された、本明細書で定義されるような抗線維性化合物を含む。ある実施形態において、この抗線維性化合物は、式(I):
【化1】

の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、変数A、L、M、L、P、L、及びZ、並びに関連するサブ変数は、本明細書で定義されている。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩(例えば、式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(II)、(II-a)、(III)、(III-a)、(III-b)、(III-c)、又は(III-d))は、本明細書で説明されている化合物であり、例えば、本明細書の表3で示されている化合物の内の1つが挙げられる。ある実施形態において、この抗線維性化合物は、表3で示されている化合物100、化合物101、又は化合物102である。
【0010】
一態様において、本開示のデバイスは、2区画ヒドロゲルカプセル(例えば、マイクロカプセル(直径が1mm未満)又はミリカプセル(millicapsule)(直径が少なくとも1mm))であり、この2区画ヒドロゲルカプセルでは、複数の組み換え生RPE細胞(及び任意選択により1つ又は複数の細胞結合物質)を含む細胞含有区画(例えば内側区画)が、抗線維性ポリマーを含むバリア区画(例えば外側区画)で取り囲まれている。ある実施形態において、抗線維性化合物は、式(I)の化合物である。実施形態において、ヒドロゲルカプセルは球形カプセルである。
【0011】
別の態様において、本開示は、本明細書で説明されている複数(3個、6個、12個、25個、50個、又はそれ以上のうちの少なくともいずれか)のRPE細胞含有デバイスを含む調製物(例えば組成物)を特徴とする。いくつかの実施形態において、この調製物は、薬学的に許容可能な組成物である。
【0012】
別の態様において、本開示は、FVIIを発現及び分泌するように組み換えられた複数のRPE細胞を含むデバイスを作製又は製造する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、方法は、複数の組み換えRPE細胞を提供し、複数のRPE細胞を、封入構成要素、例えば、本明細書に記載のデバイスの細胞含有区画内に配置することを含む。いくつかの実施形態において、封入成分は、可撓性ポリマー(例えば、PLA、PLG、PEG、CMC、又は多糖、例えば、アルギン酸塩)を含む。いくつかの実施形態において、封入成分は、非可撓性ポリマー又は金属ハウジングを含む。いくつかの実施形態において、デバイスの表面は、例えば本明細書に記載の式(I)の化合物で、化学的に修飾されている。
【0013】
別の態様において、本開示は、本明細書で説明されている組み換えRPE細胞又はデバイスを評価する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、方法は、組み換えRPE細胞又はデバイスを提供し、RPE細胞又はデバイスの構造的又は機能的パラメータを評価することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、組み換えRPE細胞又はデバイスを、a)細胞生存率及びb)生成されたFVIIの量の1つ又は複数について評価することを含む。いくつかの実施形態において、この評価を、(i)デバイス(若しくはデバイスの調製物)の形成後又は(ii)対象へのデバイス(若しくはデバイスの調製物)の投与後少なくとも1、5、10、20、30、60、90、又は120日で実施する。ある実施形態において、この評価は、対象への投与後少なくとも30、60、90、又は120日でデバイス(又は調製物内のデバイス)の線維化の量及び/又は構造的完全性を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態において、この対象は、哺乳動物(例えば、マウス、ヒト)である。
【0014】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されるように、FVIIを発現及び分泌するように組み換えられたRPE細胞を含むデバイス又はデバイス調製物を対象に投与することを含む、FVII補充療法を必要とする対象(例えば、FVII欠乏症の患者、FVIII及び/又はFIXに対する阻害剤を有する血友病の患者)を処置する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、投与する工程は、複数のデバイスを含む薬学的に許容可能な調製物を対象内に配置することを含み、これらのデバイスの各々は、FVIIを産生する能力を有する。いくつかの実施形態において、デバイス又はデバイス調製物は、中枢神経系、脳、脊柱、眼、又は網膜以外の部位に投与、配置、又は提供される。いくつかの実施形態において、移植可能な要素は、対象の腹膜腔(例えば、膜嚢)、大網、又は皮下脂肪に、投与、配置、又は注射される。実施形態において、方法は、対象から取り出された組織サンプル、例えば、血液サンプルから分離された血漿、肝生検に存在するFVIIの量又は活性を測定することをさらに含む。実施形態において、組織サンプルは、15、30、60又は120日で取り出される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0015】
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細が本明細書において記載されている。本開示の他の特徴、対象及び利点は、発明を実施するための形態、図面、実施例及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される野生型ヒト前駆体FVIIタンパク質のアミノ酸配列(図1A、配列番号1)を示す。下線はFVIIシグナルペプチドのアミノ酸及びコード配列を示す。
図1B】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される野生型ヒト前駆体FVIIタンパク質のヌクレオチドコード配列(図1B、配列番号2)を示す。下線はFVIIシグナルペプチドのアミノ酸及びコード配列を示す。
図2図1に示される野生型前駆体ヒトFVIIタンパク質をコードする例示的なコドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号3)を示す。下線はFVIIシグナルペプチドのコード配列を示す。
図3図1に示される野生型前駆体ヒトFVIIタンパク質をコードする別の例示的なコドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号4)を示す。下線はFVIIシグナルペプチドのコード配列を示す。
図4A】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される例示的なFVII融合タンパク質のアルブミン部分のアミノ酸配列(図4A、配列番号5)を示す。太字はリンカーペプチドのアミノ酸及びヌクレオチドコード配列を示す。
図4B】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される例示的なFVII融合タンパク質のアルブミン部分のヌクレオチドコード配列(図4B、配列番号6)を示す。太字はリンカーペプチドのアミノ酸及びヌクレオチドコード配列を示す。
図5A】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される別の例示的なFVII融合タンパク質のタンパク質分解的に切断可能なアルブミン部分のアミノ酸配列(図5A、配列番号7)を示す。太字はリンカーペプチドのアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。
図5B】本開示の例示的な組み換えヒトRPE細胞によって発現される別の例示的なFVII融合タンパク質のタンパク質分解的に切断可能なアルブミン部分のヌクレオチドコード配列(図5B、配列番号8)を示す。太字はリンカーペプチドのアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。
図6A】本明細書に記載のFVIIタンパク質を発現する組み換えRPE細胞を生成するのに有用な例示的なPiggyBacトランスポゾン発現ベクターを示す。図6Aは、ベクターマップを示す。
図6B-1】本明細書に記載のFVIIタンパク質を発現する組み換えRPE細胞を生成するのに有用な例示的なPiggyBacトランスポゾン発現ベクターを示す。図6Bは、ベクターのヌクレオチド配列(配列番号9)を示し、プロモーター配列に下線が引かれている(配列番号10)。
図6B-2】本明細書に記載のFVIIタンパク質を発現する組み換えRPE細胞を生成するのに有用な例示的なPiggyBacトランスポゾン発現ベクターを示す。図6Bは、ベクターのヌクレオチド配列(配列番号9)を示し、プロモーター配列に下線が引かれている(配列番号10)。
図7】Cbhプロモーター(配列番号21)のヌクレオチド配列を示す。
図8】本開示の例示的な2区画ヒドロゲルカプセルを示し、線は下記を示す:ヒドロゲル形成ポリマーと、細胞結合ペプチドに共有結合的に付着したヒドロゲル形成ポリマーとの混合物から形成された第1の内側区画中でカプセル化された組み換えRPE細胞;第2の区画;並びに第2の区画内及びこのカプセルの表面上の両方に配置された抗線維性化合物。図8は、配列番号49として「GRGDSP」を開示する。
図9】本明細書に記載の8つの異なるFVII発現コンストラクトの1つで組み換えられた例示的なRPE細胞によってインビトロで分泌されたFVIIタンパク質の量(ピコグラム/細胞/日(y軸)として定量化)を示す棒グラフである。
図10】本明細書に記載のFVII発現コンストラクトの1つで組み換えられたRPE細胞を含む例示的な2区画ヒドロゲルカプセルの移植後13日でのヌードマウスにおけるFVIIタンパク質の血漿レベル(1つの群当たり2匹又は3匹のマウス)を示す棒グラフである。図10は、配列番号49として「GRGDSP」を開示する。
図11】本明細書に記載の2つの異なるFVII発現ベクターの1つを用いて組み換えられたRPE細胞を含む例示的な2区画ヒドロゲルカプセルの移植後6日でのヌードマウスにおけるFVIIタンパク質の血漿レベル(1つの群当たり4匹のマウス)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[詳細な説明]
本開示は、FVIIを発現及び分泌するように組み換えられた網膜色素上皮(RPE)細胞、並びにその組成物、そのような組み換えRPE細胞を含むデバイス、及びそれを含むデバイス調製物を特徴とする。いくつかの実施形態において、デバイスは、細胞結合物質及び組み換えRPE細胞を含む、細胞含有区画を含む。いくつかの実施形態において、デバイスは、対象、例えば、ヒト対象の内部に配置された場合にFBRを軽減するように構成される。いくつかの実施形態において、組み換えRPE細胞、組成物、及びデバイスは、それを必要とする対象、例えば、FVII欠乏症の患者又はrFVIIa療法の別の適応がある対象に、FVII補充療法を提供するために有用である。
【0018】
[略語及び定義]
本開示の詳細な説明及び実施例の全体を通して、下記の略語が使用される。
CBP:細胞結合ペプチド
CBPP:細胞結合ポリペプチド
CBP-ポリマー:リンカーを介してCBPで共有結合的に修飾されたポリマー
CBS:細胞結合物質
CM-Alg:化学修飾アルギン酸塩
CM-LMW-Alg:化学修飾された、低分子量アルギン酸塩
CM-LMW-Alg-101:表3に示される化合物101で化学修飾された、低分子量アルギン酸塩
CM-HMW-Alg:化学修飾された、高分子量アルギン酸塩
CM-HMW-Alg-101:表3に示される化合物101で化学修飾された、高分子量アルギン酸塩
CM-MMW-Alg:化学修飾された、中間分子量アルギン酸塩
CM-MMW-Alg-101:表3に示される化合物101で化学修飾された、中間分子量アルギン酸塩
HMW-Alg:高分子量アルギン酸塩
MMW-Alg:中間分子量アルギン酸塩
RGD-アルギン酸塩:アミノ酸配列RGD(配列番号33として開示された「RGD」)を含むペプチドで共有結合的に修飾されたアルギン酸塩
U-Alg:非修飾アルギン酸塩
RPE:網膜色素上皮細胞
U-HMW-Alg:非修飾高分子量アルギン酸塩
U-LMW-Alg:非修飾低分子量アルギン酸塩
U-MMW-Alg:非修飾中間分子量アルギン酸塩
70:30のCM-Alg:U-Alg:化学修飾アルギン酸塩及び非修飾アルギン酸塩の70:30混合物(V:V)、例えば、下記の実施例に記載のとおり
【0019】
本開示が、より容易に理解され得るように、本明細書において使用されるいくつかの専門用語及び科学用語が、以下に具体的に定義される。本明細書において他の箇所に特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての他の専門用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0020】
添付の特許請求の範囲を含め、本明細書において用いられるところ、「a」、「an」、及び「the」などの単数形の用語は、文脈上特に明記されない限り、それらの対応する複数の指示対象を含む。
【0021】
「約」又は「おおよそ」は、数値として定義されたパラメータ(例えば、RPE細胞によって分泌されたFVIIの量、デバイス(例えばヒドロゲルカプセル)の物理的性質、例えば、直径、球形度、このカプセル中でカプセル化された細胞の数、調製物中のデバイスの数)を修飾するために本明細書で使用される場合には、引用された数値が、当業者により決定された場合に、定義されたパラメータの許容可能な機能的範囲内であることを意味し、この機能的範囲は、この数値がどのように測定されるか又は決定されるかに部分的に依存し、例えば、この測定システムの許容可能な誤差範囲等の測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、引用された数値の20%上下の範囲を意味し得る。非限定的な例として、直径が約1.5ミリメートル(mm)であり且つ約500万(M)個の細胞をカプセル化すると定義されたデバイスは、直径が1.2~1.8mmであり得、且つ4M~6M個の細胞をカプセル化し得る。別の非限定的な例として、約100個のデバイス(例えばヒドロゲルカプセル)の調製物として80~120個のデバイスを有する調製物が挙げられる。いくつかの実施形態において、用語「約」は、修飾されたパラメータが、このパラメータに関して述べられた数値の15%、10%、又は5%上下だけ変動し得ることを意味する。或いは、特に、本明細書で説明されているデバイスのある特定の特性(例えば、細胞産生性、又はCBP若しくは抗線維性化合物の密度)に関して、用語「約」は、引用された値の一桁内(例えば、5倍、4倍、3倍、2倍、又は1倍以内)の上下を意味し得る。
【0022】
本明細書において用いられるところ、「取得する(Acquire)」又は「取得している(acquiring)」は、値又は物理的エンティティを「直接的に取得する」又は「間接的に取得する」ことによる、値(例えば数値若しくはイメージ)、又は、物理的エンティティ(例えばサンプル)の入手を達成することを指す。「直接的に取得する」とは、プロセスを実施(例えば分析方法又はプロトコルの実施)して、値又は物理的エンティティを得ることを意味する。「間接的に取得する」とは、他の団体又は提供者(例えば、物理的エンティティ又は値を直接的に取得した第三者の実験室)から値又は物理的エンティティを受け取ることを指す。値又は物理的エンティティを直接的に取得するステップは、物理的な物質における物理的な変更、又は、機器若しくはデバイスの使用を含むプロセスの実施を含む。値を直接的に取得するステップの例としては、ヒト対象からのサンプルの入手が挙げられる。値を直接的に取得するステップは、例えば、蛍光顕微鏡データを取得する蛍光顕微鏡の使用といった、機器又はデバイスを使用するプロセスの実施を含む。
【0023】
「投与する(administer)」、「投与する(administering)」、又は「投与」は、本明細書で使用される場合、本明細書で説明されている実体(例えば、デバイス、若しくはデバイスの調製物)を対象に移植するか、吸収させるか、摂取させるか、注射するか、配置するか、若しくは別の方法で導入することを指すか、又は投与のためにそのような実体を対象に提供することを指す。
【0024】
「抗線維性」は、本明細書で使用される場合、異物反応(FBR)を軽減する化合物又は物質を意味する。例えば、抗線維性化合物を含むデバイス(例えばヒドロゲルカプセル)(例えば、表3で列挙される化合物で共有結合的に修飾されたポリマーを含むヒドロゲルカプセル)の組織への移植により誘発される生体組織中でのFBRの量は、抗線維性なしの参照デバイス(即ち、あらゆる抗線維性化合物を欠くが、組成(例えば、同一のCBP-ポリマー、同一の細胞型)及び構造(例えば、サイズ、形状、区画の数)が実質的に同一のデバイス)の移植により誘発されるFBRと比べて少ない。実施形態において、FBRの程度は、例えば、国際公開第2017/075630号パンフレットに記載される当該技術分野において公知のアッセイを用いて、又はVegas,A.,et al.,Nature Biotechnol(上掲)に記載されるアッセイ/方法(例えば、移植されたカプセルの皮下カテプシン測定、組織切片のマッソンのトリクローム(MT)、ヘマトキシリン又はエオジン染色、コラーゲン密度の定量化、マクロファージ(CD68又はF4/80)細胞染色及び共焦点顕微鏡検査、筋線維芽細胞(α平滑筋アクチン(alpha-muscle actin)、SMA)又は一般的な細胞付着、公知の炎症因子及び免疫細胞マーカーの79RNA配列の定量化、又は好適な被験体、例えば、免疫応答性マウスの腹腔内で14日後に回収されたデバイス(例えば、カプセル)におけるマクロファージ及び好中球についてのFACS分析のうちの1つ又は複数を用いて、例えば、タンパク質吸着、マクロファージ、多核異物巨細胞、線維芽細胞、及び血管新生を含み得る移植されたデバイス(例えば、ヒドロゲルカプセル)を含む組織における免疫応答によって評価される。実施形態において、FBRは、免疫応答の1つ又は複数のバイオマーカー、例えば、カテプシン、TNF-α、IL-13、IL-6、G-CSF、GM-CSF、IL-4、CCL2、又はCCL4の移植を含む組織におけるレベルを測定することによって評価される。いくつかの実施形態において、本発明のデバイス(例えば、外面上に配置された抗線維性化合物を含むヒドロゲルカプセル)により誘発されたFBRは、FBRなしの参照デバイス(例えば、FBRを軽減するための手段を欠く以外は試験デバイス又は特許請求されているデバイスと実質的に同一であるデバイス(例えば、抗線維性化合物を含まないが、それ以外は特許請求されているカプセルと実質的に同一であるヒドロゲルカプセル))により誘発されたFBRと比べて少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約99%、又は約100%低い。いくつかの実施形態において、FBR(例えば、バイオマーカーのレベル)は、約30分、約1時間、約6時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約1週間、約2週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約6ヶ月、又は約より長い後に測定されている。
【0025】
「細胞」は、本明細書で使用される場合、組み換えられた細胞を指すか、又は組み換えられていない細胞を指す。ある実施形態において、細胞は、不死化細胞であるか、又は不死化細胞に由来する組み換え細胞である。ある実施形態において、細胞は、生細胞であり、例えば、本明細書で説明されているか又は当該技術分野で既知の任意の技術により測定した場合に生存している。
【0026】
「細胞結合ペプチド(CBP)」は、本明細書で使用される場合、細胞付着分子(CAM)(例えば、細胞-マトリックス接合又は細胞-細胞接合を媒介するCAM)のリガンドの細胞結合ドメインに由来するアミノ酸配列を含む直鎖状又は環状のペプチドを意味する。CBPは、50個、40個、30個、25個、20個、15個、又は10個未満のアミノ酸の長さである。ある実施形態において、CBPは、3~12個のアミノ酸であるか、4~10個のアミノ酸の長さであるか、又は3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、若しくは10個のアミノ酸の長さである。CBPのアミノ酸配列は、天然に存在する結合ドメイン配列と同一であってもよいし、その保存的に置換された変異体であってもよい。ある実施形態において、CAMリガンドは、哺乳動物タンパク質である。ある実施形態において、CAMリガンドは、下記の表1で列挙されているタンパク質の群から選択されるヒトタンパク質である。ある実施形態において、CBPは、下記の表1で列挙されている細胞結合配列、又はその保存的に置換された変異体を含むか、又はそれから本質的になるか、若しくはそれからなる。ある実施形態において、CBPは、RGDペプチドであり、これは、このペプチドが、アミノ酸配列RGD(配列番号33)を含み、任意選択的に、N末端及びC末端の内の一方又は両方に位置する1つ又は複数の追加のアミノ酸を含むことを意味する。ある実施形態において、CBPは、RGDを含む環状ペプチドであり、例えば、Vilaca,H.et al.,Tetrahedron 70(35):5420-5427(2014)で説明されている環状RGDペプチド(配列番号33)の内の1つである。ある実施形態において、CBPは、RGD(配列番号33)を含む直鎖状ペプチドであり、且つ6個未満のアミノ酸の長さである。ある実施形態において、CBPは、RGD(配列番号33)又はRGDSP(配列番号48)から本質的になる直鎖状ペプチドである。
【0027】
【表1】
【0028】
「CBP-ポリマー」は、本明細書で使用される場合、ポリマーであって、リンカーを介してこのポリマーに共有結合的に付着している少なくとも1つの細胞結合ペプチド分子を含むポリマーを意味する。ある実施形態において、CBP-ポリマー中のポリマーは、ペプチドでもポリペプチドでもない。ある実施形態において、CBP-ポリマー中のポリマーは、合成の又は天然に存在する多糖であり、例えばアルギン酸塩であり、例えばアルギン酸ナトリウムである。ある実施形態において、リンカーは、アミノ酸リンカーであり(即ち、単一のアミノ酸から本質的になるか、又はいくつかの同一の若しくは異なるアミノ酸のペプチドから本質的になり)、このアミノ酸リンカーは、CBPのN末端又はC末端に結合したペプチドを介して連結されている。ある実施形態において、アミノ酸リンカーのC末端は、CBPのN末端に連結されており、アミノ酸リンカーのN末端は、アミド結合を介して多糖中の少なくとも1つのペンダントカルボキシル基に連結されている。ある実施形態において、リンカー-CBPの構造は、リンカーが1個、2個、3個、又は4個のグリシン残基を有することを意味するG(1~4)-CBPと表される。ある実施形態において、CBP-多糖、例えばCBP-アルギン酸塩)中の単糖部分の内の1つ又は複数は、CBPで修飾されておらず、例えば、この非修飾部分は、遊離カルボキシル基を有するか、又は修飾可能なペンダントカルボキシル基を欠いている。ある実施形態において、CBPが共有結合的に付着している多糖部分の数は、下記の値の内のいずれか未満である:99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%。
【0029】
ある実施形態において、CBP-ポリマー中のCBP修飾の密度は、例えば下記の実施例で説明されているように、窒素パーセントに関する燃焼分析により推定される。ある実施形態において、CBP-ポリマーは、RGD-ポリマー(例えばRGD-アルギン酸塩)であり、このRGD-ポリマーは、リンカーRGD分子(例えば、GRGD(配列番号50)又はGRGDSP(配列番号49)から本質的になるペプチド)で共有結合的に修飾されたポリマー(例えばアルギン酸塩)であり、リンカー-RGD分子との修飾の密度は、本明細書で説明されているアッセイを使用して決定した場合に、約0.05%の窒素(N)~1.00%のN、約0.10%のN~約0.75%のN、約0.20%のN~約0.50%のN、又は約0.30%のN~約0.40%のNである。ある実施形態において、RGD-アルギン酸塩(例えば、GRGDSP(配列番号49)で共有結合的に修飾されたMMWアルギン酸塩)中のリンカー-RGD修飾のコンジュゲーション密度は、ポリマーにコンジュゲートされたペプチドの量を定量し得る任意のアッセイ(例えば、本明細書で説明されている定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイ)により決定した場合に、粘度が80~120cPである溶液(例えば生理食塩水)中のRGD-ポリマー1g当たりリンカー-RGD部分0.2~2.0、0.2~1.5、0.2~1.0、0.3~0.7、0.3~0.6、又は0.4~0.6マイクロモルである。別途明示的に述べられていない限り、又は文脈から明らかでない限り、CBP-ポリマー組成物中のCBPに関する具体的に列挙された数値濃度、濃度範囲、密度、又は密度範囲は、CBP-ポリマー組成物中のコンジュゲートしたCBP分子の濃度を指し、即ち、CBP-ポリマー中に存在し得るいかなる残留遊離(例えばコンジュゲートしていない)CBPも含まない。
【0030】
「細胞結合ポリペプチド(CBPP)」は、本明細書で使用される場合、少なくとも50個、少なくとも75個、又は少なくとも100個のアミノ酸の長さであり且つCAMリガンドの細胞結合ドメインのアミノ酸配列又はその保存的に置換された変異体を含むポリペプチドを意味する。ある実施形態において、CAMリガンドは、哺乳動物タンパク質である。ある実施形態において、CBPPアミノ酸は、完全長CAMリガンドの天然に存在するアミノ酸配列を含み、例えば、表1で列挙されているタンパク質の内の1つ又はその保存的に置換されている変異体を含む。
【0031】
「CBP密度」は、本明細書で使用される場合、別途本明細書で明示的に述べられていない限り、CBP-ポリマー組成物(例えば、G1~3RGD(配列番号53)又はG1~3RGDSP(配列番号54)で修飾されたアルギン酸塩)中のリンカー-CBP部分の濃度を指す。
【0032】
「細胞結合物質(CBS)」は、本明細書で使用される場合、細胞-マトリックス接合若しくは細胞-細胞接合又は他のレセプター媒介シグナル伝達を媒介する細胞付着分子(CAM)又は他の細胞表面分子のリガンドの少なくとも1種の活性を模倣し得るあらゆる化学物質、生物学的物質、又は他のタイプの物質(例えば、小有機化合物、ペプチド、ポリペプチド)を意味する。ある実施形態において、生細胞をカプセル化するポリマー組成物中に存在する場合には、CBSは、1つ又は複数の細胞との一過性の又は永続的な結合又は接触を形成し得る。ある実施形態において、CBSは、ポリマー組成物中でカプセル化された2個以上の生細胞間の相互作用を促進する。ある実施形態において、複数の細胞(例えば生細胞)をカプセル化するポリマー組成物中のCBSの存在は、カプセル化された細胞が試験対象(例えばマウス)に移植された場合の細胞産生性(例えば、治療薬の発現)の増加、及び細胞の生存率の増加の内の一方又他は両方と相関する。ある実施形態において、CBSは、ポリマー組成物中の1つ又は複数のポリマー分子に物理的に付着している。ある実施形態において、CBSは、本明細書で定義されているように、細胞結合ペプチド又は細胞結合ポリペプチドである。
【0033】
本明細書において用いられるところ、「保存的に修飾された変異体」又は保存的置換」は、そのアミノ酸配列中に1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有することを除いて、参照分子と同一である参照ペプチド又はポリペプチドの変異体を指す。実施形態において、保存的に修飾された変異体は、参照アミノ酸配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列からなる。保存的アミノ酸置換は、同様の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格構造及び剛性など)を有し、且つ得られる置換ペプチド又はポリペプチドの生物活性に最小限の影響を与えるアミノ酸による、アミノ酸の置換を指す。機能的に類似したアミノ酸の保存的置換の表は、当該技術分野において周知であり、機能的特徴によって分類された例示的な置換が、以下の表2に記載されている。
【0034】
【表2】
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲を通して用いられるところの「から本質的になる(consists essentially of)」、及び「から本質的になる(consist essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変化形は、任意の記載される要素又は要素の群の包含、及び規定の分子、組成物、デバイス、又は方法の基本的又は新規な性質を実質的に変化させない、記載される要素と類似の又は異なる性質の他の要素の任意選択の包含を示す。非限定的な例として、列挙されたアミノ酸配列から本質的になる細胞結合ペプチド又はFVIIタンパク質はまた、この細胞結合ペプチド又はFVIIタンパク質の関連する生物学的活性にそれぞれ実質的に影響を及ぼさない1つ又は複数のアミノ酸残基の列挙されたアミノ酸配列中の置換を含む、1つ又は複数のアミノ酸も含み得る。
【0036】
「に由来する」は、細胞に関して本明細書で使用される場合、組織、細胞株、又は細胞から得られる細胞を指し、この細胞は、次いで任意選択的に、例えば、培養され、継代され、不死化され、分化され、及び/又は誘導されて、由来細胞を生じる。
【0037】
「デバイス」は、本明細書で使用される場合、あらゆる移植可能な物体(例えば、粒子、ヒドロゲルカプセル、移植片、医療機器)を指し、この物体は、このデバイスの移植後にFVIIタンパク質を発現及び分泌し得る、生きた組み換えRPE細胞を含み、且つこのデバイスに細胞栄養素が入ることを可能にすることにより、このRPE細胞の生存率を支える構造を有する。いくつかの実施形態において、このデバイスは、生細胞により生成された代謝副産物のこのデバイスからの放出が可能である。
【0038】
本明細書において用いられるところ、「差分体積」は、別の区画に占有される空間を除く、本明細書に記載のデバイス内の1つの区画の体積を指す。例えば、内側及び外側区画を有する2区画デバイス中の第2の(例えば、外側)区画の差分体積は、第1(内側)の区画に占有される空間を除く、第2の区画内の体積を指す。
【0039】
本明細書で使用される「有効量」は、以下のいずれかの量を指す:望ましい生物学的反応を引き出すのに十分な、FVIIを分泌する組み換えRPE細胞、そのようなFVII分泌細胞を含有するデバイス組成物若しくはデバイス調製物、又はデバイスの構成要素(例えば、デバイス内の組み換えRPE細胞の数、デバイス内のCBS及び/又は非線維性化合物の量)。いくつかの実施形態において、用語「有効量」は、デバイスの成分の量を指し、例えば、このデバイス中の細胞の数、このデバイスの表面上に及び/又はバリア区画中に配置された抗線維性化合物の密度、細胞含有区画中のCBSの密度を指す。実施形態において、所望の生物学的応答は、組み換えRPE細胞、デバイス、又はそのような細胞を含むデバイス調製物で処置された(例えば、移植された)対象から取り出された組織サンプルにおけるFVIIレベルの増加である。当業者に認識されるように、有効量は、所望される生物学的エンドポイント、分泌されたFVIIの薬物動態、組成物又はデバイス、処置される状態、投与様式、並びに対象の年齢及び健康状態等の因子に応じて変動し得る。有効量は、治療的処置及び予防的処置を包含する。実施形態において、デバイス上又はデバイス内に配置された式(I)の化合物の有効量は、参照デバイスと比較して、移植されたデバイスに対するFBRを減少させる、例えば、移植されたデバイス上又はその近くの線維症又は線維性組織の量を減少させる、量である。実施形態において、細胞含有区画内に組み換えRPE細胞とともに配置されたCBSの有効量は、参照デバイスと比較して細胞の生存率(例えば、生細胞の数)を増強する、及び/又は参照デバイスと比較してRPE細胞によるFVIIの産生を増加させる(例えば、デバイスを移植した対象の血漿中のFVIIレベルの増加)量である。デバイス、組成物、又は成分(例えば、抗線維性化合物、CBS、組み換え細胞)の有効量は、当該技術分野で既知であるか又は本明細書で説明されている任意の技術により決定され得る。
【0040】
ある実施形態において、細胞含有区画中のCBS(例えば、RGDペプチドで修飾されたアルギン酸塩、例えば、GRGDSP-アルギン酸塩(配列番号49))は、本明細書において下記で定義されているCBSなしの参照デバイスと比較して、デバイスが免疫無防備動物又は免疫適格性動物(例えば、免疫適格性マウス(例えば、Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME USAから入手可能なC57BL/6Jマウス株))に移植された後の時点で細胞の生存率を増加させるのに及び/又は細胞の産生性を増加させるのに有効な量で存在する。ある実施形態において、細胞の生存率及び/又は産生性の増加は、移植後の所望の時点で検出可能であり、例えば、1日、3日、5日、1週間、2週間、4週間、8週間、12週間、24週間、36週間、及び48週間の内の1つ又は複数で検出可能である。ある実施形態において、CBSの有効量は、(i)移植後1週間、2週間、4週間、又は12週間で測定した場合の細胞生存率の少なくとも10%、25%、50%、又は100%の増加、及び(ii)移植後1週間、2週間、4週間、又は12週間で測定した場合の細胞産生性の少なくとも1.25倍、1.5倍、2倍、5倍、8倍、又は10倍の増加の内の一方又は両方をもたらす。ある実施形態において、細胞含有区画中のCBSの有効量は、最小有効量と、CBSなしの参照デバイスと比較して又は細胞含有区画中のCBSの最大有効量(例えば最適量)を含むデバイスと比較して細胞の生存率及び/又は産生性が低下しているより高い量との間の範囲内である。ある実施形態において、細胞含有区画中のCBSの量は、最適量(例えば、CBSなしの参照デバイスと比較して細胞の生存率及び/又は産生性の最大の増加をもたらす量)を50%、25%、10%、又は5%以下上回るか、又は下回る。
【0041】
本明細書で説明されているデバイス中の生存細胞(及び任意選択的な死滅細胞)の数を、当該技術分野で既知の任意の技術(例えば、2種の蛍光色素で生細胞及び死滅細胞を別個に標識し、続いて蛍光顕微鏡を使用して標識細胞を検出して任意選択的に定量するアッセイ)を使用して推定し得る。細胞生存率を、他の細胞生存率の指標を評価する(例えば、エステラーゼ活性を測定するか、又は細胞中のATPの量を定量する)ことによっても評価し得る。
【0042】
ある実施形態において、細胞産生性の移植後の増加を、インビボで細胞により発現されたか又はエクスビボで細胞により発現された(例えば、デバイスを動物から回収した後の細胞発現)FVIIタンパク質のレベルに関してアッセイすることにより検出する。FVIIの発現を、細胞外ではあるがデバイス内部で測定し得、及び/又はデバイスの外部(例えば、本明細書で説明されているデバイス又はデバイス調製物で処置された動物(例えば非ヒト動物)から摘出された組織サンプル中)で測定し得る。ある実施形態において、細胞産生性は、投与されたデバイスの数(例えば、動物中に配置されたカプセルの数)で除算され、及び/又は投与された組み換えRPE細胞の数(例えば、投与されたカプセル調製物中の1個のカプセル当たりのおおよその数)で除算された、FVIIタンパク質又はFVII活性の測定量として表される。ある実施形態において、FVIIの決定された量又は活性を、目的の2つの時点の間の時間(例えば、投与と測定との間の時間、例えば、数時間、数日、又は数週間)で除算することにより、細胞産生性の増加をさらに正規化する。ある実施形態では、動物から摘出された組織サンプル(例えば、動物から採取された血液サンプルから分離された血漿)中のFVIIタンパク質の量及び/又は活性を測定し、この測定された量及び/又は活性を、投与されたデバイスの数(例えば、移植された2区画カプセルの数)で除算し、任意選択的に、この結果を、投与と組織サンプルの摘出との間の日数で除算することにより、産生性の増加を決定する。
【0043】
本明細書において用いられるところ、「内因性の核酸」とは、対象の細胞内で自然に生じる核酸である。
【0044】
本明細書において用いられるところ、「内因性のポリペプチド」とは、対象の細胞内で自然に生じるポリペプチドである。
【0045】
本明細書において用いられるところ、「組み換えRPE細胞」とは、天然のものではない改変を有するRPE細胞であり、典型的には、同様の条件下で組み換えがなされていない他の同様のRPE細胞中に存在していない(又は、異なるレベルで存在する)核酸配列(例えば、DNA又はRNA)又はポリペプチドを含む(外因性の核酸配列)。実施形態において、組み換えRPE細胞は、FVIIタンパク質をコードする外因性の核酸を含む(例えば、ベクター又は改変染色体配列)。実施形態において、組み換えRPE細胞は、ヒト野生型FVIIアミノ酸配列又はその変異体を含むFVIIタンパク質を分泌する。実施形態において、外因性の核酸配列は、染色体性であるか(例えば、外因性の核酸配列は、内因性の染色体配列中に配置された外因性の配列である)、又は染色体外性(例えば、非組み込み型発現ベクター)である。実施形態において、外因性の核酸配列は、RNA配列、例えば、mRNAを含む。実施形態において、外因性の核酸配列は、RNAとして発現される配列、例えばmRNA又は調節RNAを含む染色体性又は染色体外性の外因性の核酸配列を含む。実施形態において、外因性の核酸配列は、第2の核酸配列、例えば、FVIIコード配列の立体構造又は発現を調節する第1の染色体性又は染色体外性の外因性の核酸配列を含み、ここで、第2のアミノ酸配列は外因性又は内因性であることが可能である。例えば、組み換えRPE細胞は、内因性の配列の発現を制御する外因性の核酸を含んでいることが可能である。実施形態において、組み換えRPE細胞は、FVIIをコードし、天然に存在するFVIIコード配列よりも高いFVIIの発現を達成する、コドン最適化配列を含む外因性核酸配列を含む。このコドン最適化配列は、市販のアルゴリズムを使用して生成され得、例えば、GeneOptimizer(ThermoFisher Scientific)、OptimumGene(商標)(GenScript,Piscataway,NJ USA)、GeneGPS(登録商標)(ATUM,Newark,CA USA)、又はJava Codon Adapatation Tool(JCat,www.jcat.de,Grote、A.et al.,Nucleic Acids Research,Vol 33,Issue suppl_2,pp.W526-W531(2005)を使用して生成され得る。ある実施形態において、組み換えRPE細胞(例えば組み換えARPE-19細胞)は、安定的にトランスフェクトされた細胞の集団から培養されるか、又はモノクローナル細胞株から培養される。
【0046】
「外因性の核酸」とは、本明細書で使用される場合、対象細胞中に天然には存在しない核酸のことである。
【0047】
「外因性のポリペプチド」とは、本明細書で使用される場合、対象細胞(例えば組み換え細胞)中に天然には存在しないポリペプチドのことである。特定の配列のアミノ酸位置への言及は、(別途述べられていない限り)参照アミノ酸配列(例えば、完全長の成熟(シグナルペプチド開裂後)野生型タンパク質の配列)中での前記アミノ酸の位置を意味しており、且つ参照アミノ酸配列中の他の位置での変異(例えば、欠失、挿入、及び/又は置換)の存在を排除しない。
【0048】
本明細書において用いられるところ、「第VII因子タンパク質」又は「FVIIタンパク質」は、別段の定めがある場合を除き、当該技術分野において認識されているアッセイによって決定される際、FVII生物活性、例えば、血液凝固の促進を有する、天然の第VII因子タンパク質又はその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。天然のFVIIは、一本鎖酵素前駆体、酵素前駆体様の二本鎖ポリペプチド及び完全に活性化された二本鎖形態(FVIIa)として存在する。本明細書に記載の組み換えRPE細胞によって生成され得るFVIIタンパク質は、野生型霊長類(例えば、ヒト)、ブタ、イヌ、及びマウスタンパク質、並びに1つ又は複数のアミノ酸置換及び/又は欠失を有する断片、突然変異体、変異体を含む、このような野生型タンパク質の変異体を含む。ヒトFVIIはリーダー配列で発現し、成熟循環単鎖チモーゲンは406アミノ酸を含む。ヒト第VII因子の活性化第VIIa因子への変換は、Arg152とIle153の間の結合のセリンプロテアーゼ切断によるものである。ヒトFVIIaは、ガンマ-カルボキシグルタミン酸残基を持つ20kDの152残基の軽鎖、及び30kDの254残基の重鎖からなり、これは、触媒ドメインを含む。軽鎖及び重鎖はジスルフィド結合によって結合している。いくつかの実施形態において、FVIIへの言及は、酵素前駆体様及びFVIIaを含む、その一本鎖及び二本鎖形態を含む。いくつかの実施形態において、変異体FVIIタンパク質は、野生型第VIIa因子の活性の少なくとも50%、75%、90%又はそれ以上(>100%を含む)を有する完全に活性化された二本鎖形態(第VIIa因子)へと活性化されることが可能である。FVII及びFVIIaの変異体は公知であり、例えば、マルゼプタコグアルファ(marzeptacog alfa)(活性化)(MarzAA)並びに欧州特許第1373493号明細書、米国特許第7771996号明細書、米国特許第9476037号明細書及び米国特許出願公開第20080058255号明細書に記載されている変異体である。
【0049】
「FVII欠乏症」、「F7欠乏症」、「アレクサンダー病」、「低プロコンバーチン血症」、「プロコンバーチン欠乏症」、「プロトロンビン変換促進剤欠乏症」、及び「血清プロトロンビン変換促進剤欠乏症」は、互換的に使用することができ、正常なFVIIレベルよりも低い、且つ/又は正常なFVII活性よりも低いことを特徴とする、先天性又は後天性の状態を指す。FVII欠乏症の症状は、機能的なFVIIのレベルに応じて、軽度から重度まで異なり得る。軽度の症状には、打撲及び軟部組織の出血、傷又は抜歯による長期間の出血、関節の出血、鼻血、歯茎の出血、重い月経期間を含み得る。より重度のFVII欠乏症を有する患者は、出血エピソード及び腸、胃、筋肉又は頭の出血による、関節軟骨の破壊を経験し得る。乳児は、頭蓋内出血などの中枢神経系、又は消化管の出血を持続した後、生後6か月以内にFVII欠乏症と診断される場合が多い。第VII因子欠乏症の診断は、特徴的な症状の特定、詳細な患者の病歴、詳細な臨床評価及び血液が凝固するのにかかる時間を測定する凝固検査、すなわち活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)検査及びプロトロンビン時間(PT)検査に基づく。FVII欠乏症の個体は、正常なaPTT及び延長されたPTを有する。FVII診断を確認するためのさらなる検査には、血中のFVII活性を測定するためのFVIIアッセイが含まれる。
【0050】
本明細書において用いられるところ、「FVII欠乏症患者」は、FVII欠乏症と診断されたか、又はその疑いがある個体を指す。実施形態において、FVII欠乏症患者は、変異したF7遺伝子を有する。ヒトF7遺伝子は9つのエクソンを含み、染色体13q34上で約12.8kbに及ぶ。
【0051】
「ポリマー組成物」とは、本明細書で使用される場合、1種又は複数種のポリマーを含む組成物(例えば、溶液、混合物)のことである。クラスとして、「ポリマー」は、ホモポリマー、ヘテロポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、ブロックコポリマーを含み、天然及び合成の両方であり得る。ホモポリマーは、1種類のビルディングブロック(即ちモノマー)を含むが、コポリマーは、複数種類のモノマーを含む。
【0052】
本明細書において用いられるところ、「ポリペプチド」は、ペプチド結合を介して結合されたアミノ酸残基を含み、少なくとも2、いくつかの実施形態において、少なくとも3、4、5、10、50、75、100、150又は200のアミノ酸残基を有するポリマーを指す。
【0053】
本明細書において用いられるところ、「予防(prevention)」、「予防する(prevent)」、及び「予防している(preventing)」は、FVII補充療法剤の投与又は適用を含む処置であって、例えば、組み換えRPE細胞を封入するデバイスの組成物(例えば、本明細書に記載のもの)を、FVII欠乏症の1つ又は複数の症状の発症の前に、症状に係る物理的徴候を妨げるために投与するステップを含む処置を指す。いくつかの実施形態において、「予防(prevention)」、「予防する(prevent)」及び「予防(preventing)」は、FVII欠乏症の兆候又は症状が未だ発生していないか、又は、実測されていないことが必要とされる。いくつかの実施形態において、処置は予防を含み、他の実施形態においては含まない。
【0054】
「参照デバイス」は、特許請求されているデバイス(例えばヒドロゲルカプセル)に関して本明細書で使用される場合、(i)特許請求されたデバイスの特定の特徴(例えば、特定の外因性ヌクレオチド配列、例えば、mRNA又はタンパク質発現を増強する要素、例えば、プロモーター配列、シグナルペプチド配列)、FBR軽減手段(例えば、抗線維性化合物(本明細書で定義されている)、又はCBS(本明細書で定義されている)(例えばRGDポリマー)を含むバリア区画)を欠き、(ii)特許請求されているデバイス中と同一の細胞型のほぼ同量の細胞を細胞含有区画中でカプセル化し、(iii)特定の特徴(例えば抗線維性化合物又はCBS)を欠く以外は、特許請求されているデバイス中と実質的に同様のポリマー組成及び構造を有するデバイス(例えばヒドロゲルカプセル)を意味する。ある実施形態において、参照デバイスの細胞含有区画中の生きた組み換えRPE細胞の数は、特許請求されているデバイスの細胞含有区画中の生きた組み換えRPE細胞の数の80~120%以内であるか、又は90%~110%以内である。ある実施形態において、参照デバイス中の組み換え細胞及び特許請求されているデバイス中の組み換え細胞は、同一の細胞培養物から得られる。ある実施形態において、実質的に同様のポリマー組成は、参照デバイス中の及び特許請求されているデバイス中の全てのポリマー(例えば、任意のCBP-ポリマー及び抗線維性ポリマーのポリマー成分)が、該当する場合には、化学クラス及び分子量クラスが同一である(例えば、G含有量が高く且つ分子量範囲が同一であるアルギン酸塩)ことを意味する。例えば、ある実施形態において、CBPなしの参照デバイスの細胞含有区画は、特許請求されているデバイスの細胞含有区画を形成するために使用されるCBP-ポリマー中のポリマー(例えばアルギン酸塩)の非修飾バージョンから形成されている。特許請求されている2区画ヒドロゲルミリカプセルが、(i)複数の細胞をカプセル化するCBP-ポリマーから形成された内側区画と、(ii)化学的に修飾されたポリマー(例えば、本明細書で説明されているCM-LMW-アルギン酸塩)及び非修飾ポリマー(例えば、本明細書で説明されているU-HMW-アルギン酸塩)の混合物から形成された外側区画とを有するいくつかの実施形態において、参照カプセル及び特許請求されているカプセルの外側区画は、同一のポリマー混合物から形成されているが、参照カプセルの内側区画は、外側区画のために使用された同一のポリマー混合物中の細胞の懸濁液から形成される。ある実施形態において、実質的に同様の構造は、参照デバイスと特許請求されているデバイスとが、同数の区画(例えば、1個、2個、3個等)並びにほほ同一のサイズ及び形状を有することを意味する。
【0055】
「RPE細胞」は、本明細書で使用される場合、下記の特徴の内の1つ又は複数を有する細胞を指す:a)網膜色素上皮細胞(RPE)(例えば、ARPE-19細胞株(ATCC(登録商標)CRL-2302(商標))を使用して培養される)、又は、例えば、FVIIタンパク質をコードする外因性の配列で、ARPE-19細胞株から培養された細胞を安定的にトランスフェクトすることによるか、又は別の方法で、そのように培養されたARPE-19細胞を、FVIIタンパク質を発現するように組み換えることによる、このRPEに由来するか又は組み換えられた細胞、RPE細胞の初代細胞培養物に由来する細胞、(例えば、ヒト又は他の哺乳動物からの)天然に存在するRPE細胞から直接単離された細胞(長期の培養を伴わない、例えば、単離から5又は10回未満の継代又はラウンドの細胞分裂)、形質転換されたか、不死化されたか、又は長期(例えば、5若しくは10回超の継代若しくはラウンドの細胞分裂)にわたるRPE細胞培養物に由来する細胞を含む;b)低分化細胞から得られている細胞、例えば、RPE細胞へと発生したか、プログラムされたか、若しくは(例えばインビトロで)再プログラムされた細胞、又は、任意の遺伝子組み換えを除いて、1種若しくは複数種の天然に存在するRPE細胞と実質的に同様である細胞、又はRPE細胞の初代培養物若しくは長期培養物からの細胞(例えば、この細胞は、IPS細胞から由来し得る);又はc)下記の特性の内の1つ又は複数を有する細胞:i)バイオマーカーCRALBP、RPE-65、RLBP、BEST1、若しくはαB-クリスタリンの内の1つ若しくは複数を発現するか;ii)バイオマーカーCRALBP、RPE-65、RLBP、BEST1、若しくはαB-クリスタリンの内の1つ若しくは複数を発現しないか;iii)網膜中に天然に見出され、且つブルッフ膜中の脈絡膜血管上に単一層を形成するか;iv)網膜における上皮輸送、光吸収、分泌、及び免疫調節に関与するか、又はv)不死化RPE細胞株(例えば、ARPE-19細胞株(ATCC(登録商標)CRL-2302(商標)))と同一の若しくは実質的に同一の遺伝的内容、及び任意選択的に同一の若しくは実質的に同一の後成的内容を有するように、合成により生成されているか、若しくは天然に存在する細胞から修飾されている。ある実施形態において、本明細書で説明されているRPEは、例えば新たな特性を有するように組み換えられており、例えば、この細胞は、FVIIを発現及び分泌するように組み換えられている。他の実施形態において、RPE細胞は組み換えられていない。
【0056】
「生理食塩水」は、本明細書で使用される場合、別途明記されない限り、通常の生理食塩水を意味しており、即ち、0.9%NaClを含む水を意味する。
【0057】
「配列同一性」又は「パーセント同一」は、本明細書において、2つのヌクレオチド配列又は2つのアミノ酸配列を指すために用いられる場合、2つの配列が比較され、比較ウィンドウ(comparison window)又は指定される領域にわたって最大の一致のために整列される場合、2つの配列が規定の領域内で同じであるか、又は規定の領域内のヌクレオチド又はアミノ酸位置の規定のパーセンテージの同じヌクレオチド又はアミノ酸を有することを意味する。配列同一性は、限定されないが、米国特許出願公開第2017/02334455A1号明細書に記載されているアルゴリズムのいずれかを含む、当該技術分野において公知の標準的な技術を用いて決定され得る。実施形態において、同一のヌクレオチド又はアミノ酸位置の規定のパーセンテージは、少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上である。
【0058】
「球状」は、本明細書で使用される場合、例えば表面上で波及び起状を有する場合がある球体(例えば、完全に円形の球)又は球体様の形状を形成する曲面を有するデバイス(例えば、ヒドロゲルカプセル又は他の粒子)を意味する。球体及び球体様の物体は、3つの垂直軸、a、b、及びcのそれぞれの周りの円、楕円、又は組み合わせの回転によって数学的に定義され得る。球体については、3つの軸が同じ長さである。一般に、球体様の形状は、互いに10%、又は5%、又は2.5%以内である半主軸(semi-principal axes)を有する楕円体(その平均面について)である。球体又は球体様の形状の直径は、半主軸の平均などの平均直径である。
【0059】
「スフェロイド」は、この用語が、デバイス(例えば、ヒドロゲルカプセル又は他の粒子)を指すために本明細書で使用される場合、このデバイスが、(i)完全な若しくは古典的な扁平スフェロイド若しくは扁長スフェロイドの形状を有するか又は(ii)スフェロイドを大まかに形成する表面を有し、例えば、波及び起状を有し得、及び/又は半主軸が互いに100%内である楕円体(平均的な表面)であり得ることを意味する。
【0060】
本明細書において用いられるところ、「対象」は、ヒト又は非ヒト動物を指す。実施形態において、対象は、例えば任意の年齢群のヒト(すなわち、男性又は女性)、例えば、小児科のヒト対象(例えば乳児、小児、青年)又は成人ヒト対象(例えば、若年成人、中年成人、又は老人)である。実施形態において、対象は、非ヒト動物、例えば哺乳動物(例えば、マウス、イヌ、霊長類(例えばカニクイザル又はアカゲザル)である。実施形態において、対象は、(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、又はイヌ)の商業的に関連する哺乳動物)又は鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、又はシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類)である。一定の実施形態において、動物は哺乳動物である。動物は、オス又はメスであり得、任意の成長段階であり得る。非ヒト動物は遺伝子組み換え動物であり得る。
【0061】
本明細書において用いられるところ、「総体積」は、別の区画に占有される空間を含む多区画デバイスの1つの区画内の体積を指す。例えば、2区画デバイスの第2の(例えば、外側)区画の総体積は、第1の区画に占有される空間を含む第2の区画内の体積を指す。
【0062】
「転写ユニット」は、例えば、外因性核酸に存在し、コード配列に動作可能に連結された少なくとも1つのプロモーター配列を含み、コード配列のRNA分子への転写又はRNA分子のポリペプチド分子への翻訳を制御又は増強する1つ又は複数の追加の要素も含み得る、DNA配列を意味する。いくつかの実施形態において、転写ユニットはまた、ポリアデニル化(ポリA)シグナル配列及びポリA部位を含む。実施形態において、転写ユニットは、例えば、図6に示されるように、外因性の染色体外性発現ベクターに存在するか、又は本明細書に記載の組み換えRPE細胞の染色体に組み込まれた外因性配列として存在する。
【0063】
本明細書において用いられるところ、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」、及び「処置している(treating)」は、FVII欠乏症の発症の低減、逆転、緩和、遅延の1つ又は複数、又は疾病、障害、若しくは状態の症状、兆候、若しくは基礎原因の1つ又は複数の進行の阻害を指す。実施形態において、処置は、FVII欠乏症に関連する症状又は状態の低減、逆転、緩和、発症の遅延、又は進行の阻害を含む。実施形態において、処置は、それを必要とする対象におけるFVII血漿レベルの増加を含む。いくつかの実施形態において、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」及び「処置している(treating)」は、FVII欠乏症に関連する兆候又は症状が発生しているか、又は、実測されていることを必要とする。他の実施形態において、処置は、FVII欠乏症の兆候又は症状が不在でも、例えば予防的処置で投与されてもよい。例えば、処置は、症状の発症(例えば、症状の履歴を鑑みて、及び/又は、遺伝的又は他の感受性要因に照らして)の前に感受性の個体に投与され得る。処置はまた、例えば再発を遅延又は予防するために、症状が回復した後も継続してもよい。いくつかの実施形態において、処置は予防を含み、他の実施形態においては含まない。
【0064】
選択される化学的定義
特定の官能基及び化学用語の定義を以下により詳細に記載する。化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.の内表紙のPeriodoic Table of the Elements,CAS versionに従って識別し、特定の官能基は、ここに記載されているとおり通常どおり定義している。また、有機化学の一般原則、並びに特定の官能基部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito、1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York、2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York、1989;及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0065】
本明細書で用いている略語は、化学及び生物学の技術分野におけるその従来の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学技術分野において既知である化学原子価に係る標準的な規則に従って構成されている。
【0066】
値の範囲が列挙されている場合、範囲中の各値及び部分範囲が包含されることが意図されている。例えば「C1~C6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1~C6、C1~C5、C1~C4、C1~C3、C1~C2、C2~C6、C2~C5、C2~C4、C2~C3、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C6、C4~C5、及びC5~C6アルキルを包含することが意図されている。
【0067】
本明細書において用いられるところ、「アルキル」は、1~24個の炭素原子(「C1~C24アルキル」)を有する直鎖又は分岐飽和炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~12個の炭素原子(「C1~C12アルキル」)、1~10個の炭素原子(「C1~C10アルキル」)、1~8個の炭素原子(「C1~C8アルキル」)、1~6個の炭素原子(「C1~C6アルキル」)、1~5個の炭素原子(「C1~C5アルキル」)、1~4個の炭素原子(「C1~C4アルキル」)、1~3個の炭素原子(「C1~C3アルキル」)、1~2個の炭素原子(「C1~C2アルキル」)、又は1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~C6アルキル」)。C1~C6アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、イソ-ブチル(C4)、n-ペンチル(C5)、3-ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3-メチル-2-ブタニル(C5)、第三級アミル(C5)、及びn-ヘキシル(C6)が挙げられる。アルキル基の追加の例としては、n-ヘプチル(C7)、n-オクチル(C8)などが挙げられる。アルキル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1~5個の置換基、1~3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルキル」)。
【0068】
本明細書において用いられるところ、「アルケニル」は、2~24個の炭素原子、1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有し、及び三重結合を有さない直鎖又は分岐炭化水素基のラジカル(「C2~C24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~12個の炭素原子(「C2~C12アルケニル」)、2~10個の炭素原子(「C2~C10アルケニル」)、2~8個の炭素原子(「C2~C8アルケニル」)、2~6個の炭素原子(「C2~C6アルケニル」)、2~5個の炭素原子(「C2~C5アルケニル」)、2~4個の炭素原子(「C2~C4アルケニル」)、2~3個の炭素原子(「C2~C3アルケニル」)、又は2個の炭素原子を有する(「C2アルケニル」)。1つ又は複数の炭素-炭素二重結合は、中間(2-ブテニルにおけるものなど)又は末端(1-ブテニルにおけるものなど)であることが可能である。C2~C4アルケニル基の例としては、エテニル(C2)、1-プロペニル(C3)、2-プロペニル(C3)、1-ブテニル(C4)、2-ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)などが挙げられる。C2~C6アルケニル基の例としては、前述のC2~4アルケニル基並びにペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)などが挙げられる。アルケニル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルケニル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1~5個の置換基、1~3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルケニル」)。
【0069】
本明細書において用いられるところ、「アルキニル」という用語は、2~24個の炭素原子、1つ又は複数の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素基のラジカル(「C2~C24アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~12個の炭素原子(「C2~C12アルキニル」)、2~10個の炭素原子(「C2~C10アルキニル」)、2~8個の炭素原子(「C2~C8アルキニル」)、2~6個の炭素原子(「C2~C6アルキニル」)、2~5個の炭素原子(「C2~C5アルキニル」)、2~4個の炭素原子(「C2~C4アルキニル」)、2~3個の炭素原子(「C2~C3アルキニル」)、又は2個の炭素原子を有する(「C2アルキニル」)。1つ又は複数の炭素-炭素三重結合は、中間(2-ブチニルにおけるものなど)又は末端(1-ブチニルにおけるものなど)であることが可能である。C2~C4アルキニル基の例としては、エチニル(C2)、1-プロピニル(C3)、2-プロピニル(C3)、1-ブチニル(C4)、2-ブチニル(C4)などが挙げられる。アルキニル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アルキニル」)又は1個以上の置換基(例えば、実例として、1~5個の置換基、1~3個の置換基、又は1個の置換基)で置換されている(「置換アルキニル」)。
【0070】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロアルキル」という用語は、非環式の安定な直鎖若しくは分岐鎖、又はこれらの組み合わせであって、少なくとも1個の炭素原子と、O、N、P、Si、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とを含むものを指し、ここで、窒素原子及び硫黄原子は任意選択により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択により四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、P、S、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の位置に配置されていてもよい。例示的なヘテロアルキル基としては、これらに限定されないが:-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、及び-O-CH2-CH3が挙げられる。2個又は3個以下のヘテロ原子が連続していてもよい(例えば-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3など)。「ヘテロアルキル」が引用され、続いて、特定のヘテロアルキル基が引用されている場合(-CH2O、-NRCRDなど)、用語ヘテロアルキル及び-CH2O又は-NRCRDは、重複していないか、又は相互に排他的ではないことが理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基が追加的な明確さのために引用されている。それ故、「ヘテロアルキル」という用語は、-CH2O、-NRCRDなどの特定のヘテロアルキル基を排除していると本明細書において解釈されるべきではない。ヘテロアルキル基の各実例は、独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロアルキル」)又は例えば1個以上の置換基、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基、若しくは1個の置換基で置換されている(「置換ヘテロアルキル」)。
【0071】
「アルキレン」、「アルケニレン」、「アルキニレン」、又は「ヘテロアルキレン」という用語は、単独で、又は他の置換基の一部として、別段の定めがある場合を除き、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、又はヘテロアルキレン基は、例えば、C1~C6員アルキレン、C2~C6員アルケニレン、C2~C6員アルキニレン、又はC1~C6員ヘテロアルキレンと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素原子を指す。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖終端の一方又は両方を占有することも可能である(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の式が書かれている方向によって連結基の向きは示唆されていない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-及び-R’C(O)2-の両方を表し得る。
【0072】
本明細書において用いられるところ、「アリール」は、6~14個の環炭素原子及びゼロ個のヘテロ原子を芳香族環系中に有する(「C6~C14アリール」)、単環式又は多環式(例えば、二環式又は三環式)4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイにおいて共有される6、10、又は14個のπ電子を有する)のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アリール基は6個の環炭素原子を有する(「C6アリール」;例えば、フェニル)。いくつかの実施形態において、アリール基は10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」;例えば、1-ナフチル及び2-ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態において、アリール基は14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」;例えば、アントラシル)。アリール基は、例えば、C6~C10員アリールと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。アリール基としては、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチルが挙げられる。アリール基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換アリール」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換アリール」)。
【0073】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロアリール」は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5~10員単環式又は二環式4n+2芳香族環系(例えば、環式アレイにおいて共有される6又は10個のπ電子を有する)のラジカルを指し、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される(「5~10員ヘテロアリール」)。1個以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基において、結合点は、原子価的に許容されるとおり、炭素又は窒素原子であることが可能である。ヘテロアリール二環系は、1個以上のヘテロ原子を一方又は両方の環中に含んでいることが可能である。「ヘテロアリール」はまた、上記に定義されているヘテロアリール環が、1個以上のアリール基と縮合しており、結合点がアリール又はヘテロアリール環のいずれかにある環系を含み、このような実例において、環員の数は、縮合(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員の数を示す。一方の環がヘテロ原子を含有しない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)において、結合点は、いずれかの環にあることが可能であり、すなわち、結合点は、ヘテロ原子を有する環(例えば、2-インドリル)又はヘテロ原子を含有しない環(例えば、5-インドリル)のいずれかにあることが可能である。ヘテロアリール基は、例えば6~10員ヘテロアリールと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。
【0074】
いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5~10員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5~10員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5~8員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5~8員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を芳香族環系中に有する5~6員芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5~6員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロアリール」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロアリール」)。
【0075】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピロリル、フラニル及びチオフェニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられる。4個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基としては、限定されないが、テトラゾリルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピリジニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられる。3又は4個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基としては、限定されないが、それぞれトリアジニル及びテトラジニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基としては、限定されないが、アゼピニル、オキセピニル、及びチエピニルが挙げられる。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基としては、限定されないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられる。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基としては、限定されないが、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられる。他の例示的なヘテロアリール基としては、ヘム及びヘム誘導体が挙げられる。
【0076】
本明細書において用いられるところ、「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」という用語は、単独で、又は他の置換基の一部として、それぞれ、アリール及びヘテロアリールから誘導される二価ラジカルを意味する。
【0077】
本明細書において用いられるところ、「シクロアルキル」は、3~10個の環炭素原子(「C3~C10シクロアルキル」)及びゼロ個のヘテロ原子を非芳香族環系中に有する非芳香族環状炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子(「C3~C8シクロアルキル」)、3~6個の環炭素原子(「C3~C6シクロアルキル」)、又は5~10個の環炭素原子を有する(「C5~C10シクロアルキル」)。シクロアルキル基は、例えば、C4~C7員シクロアルキルと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中の非水素環原子を指す。例示的なC3~C6シクロアルキル基としては、限定されないが、シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)などが挙げられる。例示的なC3~C8シクロアルキル基としては、限定されないが、前述のC3~C6シクロアルキル基並びにシクロヘプチル(C7)、シクロヘプテニル(C7)、シクロヘプタジエニル(C7)、シクロヘプタトリエニル(C7)、シクロオクチル(C8)、シクロオクテニル(C8)、クバニル(C8)、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル(C5)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C8)、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル(C6)、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(C7)などが挙げられる。例示的なC3~C10シクロアルキル基としては、限定されないが、前述のC3~C8シクロアルキル基並びにシクロノニル(C9)、シクロノネニル(C9)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C9)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などが挙げられる。前述の例に例示されているとおり、一定の実施形態において、シクロアルキル基は、単環式(「単環式シクロアルキル」)であるか、又は二環系などの縮合、架橋若しくはスピロ環系を含有し(「二環式シクロアルキル」)、また、飽和であることが可能であり、又は部分不飽和であることが可能である。「シクロアルキル」はまた、上記に定義されているシクロアルキル環が、1個以上のアリール基と縮合しており、結合点がシクロアルキル環にある環系を含み、このような実例において、炭素の数は引き続きシクロアルキル環系中の炭素の数を示す。シクロアルキル基の各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換シクロアルキル」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。
【0078】
本明細書において用いられるところ、「ヘテロシクリル」は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員非芳香族環系のラジカルを指し、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から独立して選択される(「3~10員ヘテロシクリル」)。1個以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、結合点は、原子価的に許容されるとおり、炭素又は窒素原子であることが可能である。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)又は二環系などの縮合、架橋若しくはスピロ環系(「二環式ヘテロシクリル」)であることが可能であり、また、飽和であることが可能であり、又は部分不飽和であることが可能である。ヘテロシクリル二環系は、1個以上のヘテロ原子を一方又は両方の環中に含んでいることが可能である。「ヘテロシクリル」はまた、上記に定義されているヘテロシクリル環が、1個以上のシクロアルキル基と縮合しており、結合点がシクロアルキル又はヘテロシクリル環のいずれかにある環系、又は上記に定義されているヘテロシクリル環が、1個以上のアリール又はヘテロアリール基と縮合しており、結合点がヘテロシクリル環にある環系を含み、このような実例において、環員の数は引き続きヘテロシクリル環系中の環員の数を示す。ヘテロシクリル基は、例えば、3~7員ヘテロシクリルと記載され得、ここで、「員」という用語は、部分中における、非水素環原子、すなわち、炭素、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素を指す。ヘテロシクリルの各実例は独立して任意選択により置換され得、すなわち、非置換であるか(「非置換ヘテロシクリル」)又は1個以上の置換基で置換されている(「置換ヘテロシクリル」)。一定の実施形態において、ヘテロシクリル基は非置換3~10員ヘテロシクリルである。一定の実施形態において、ヘテロシクリル基は置換3~10員ヘテロシクリルである。
【0079】
いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から独立して選択される(「5~10員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5~8員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香族環系であり、ここで、各ヘテロ原子は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される(「5~6員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0080】
1個のヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アジルジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゼチジニル、オキセタニル及びチエタニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル及びピロリル-2,5-ジオンが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン-2-オンが挙げられる。3個のヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられる。2個のヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、トリアジナニル又はチオモルホリニル-1,1-ジオキシドが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゼパニル、オキセパニル及びチエパニルが挙げられる。1個のヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基としては、限定されないが、アゾカニル、オキセカニル及びチオカニルが挙げられる。C6アリール環に縮合した例示的な5員ヘテロシクリル基(本明細書において、5,6-二環式複素環とも称される)としては、限定されないが、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられる。アリール環に縮合した例示的な6員ヘテロシクリル基(本明細書において、6,6-二環式複素環とも称される)としては、限定されないが、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられる。
【0081】
本明細書において用いられるところ、「アミノ」は、ラジカル-NR70R71を指し、ここで、R70及びR71は各々独立して、水素、C1~C8アルキル、C3~C10シクロアルキル、C4~C10ヘテロシクリル、C6~C10アリール、及びC5~C10ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、アミノはNH2を指す。
【0082】
本明細書において用いられるところ、「シアノ」はラジカル-CNを指す。
【0083】
本明細書において用いられるところ、「ハロ」又は「ハロゲン」は、独立して、又は他の置換基の一部として、別段の定めがある場合を除き、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、又はヨウ素(I)原子を意味する。
【0084】
本明細書において用いられるところ、「ヒドロキシ」はラジカル-OHを指す。
【0085】
本明細書において定義されるところ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、任意選択により置換されている(例えば、「置換」若しくは「非置換」アルキル、「置換」若しくは「非置換」アルケニル、「置換」若しくは「非置換」アルキニル、「置換」若しくは「非置換」ヘテロアルキル、「置換」若しくは「非置換」シクロアルキル、「置換」若しくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」若しくは「非置換」アリール又は「置換」若しくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、「置換されている」という用語は、用語「任意選択により」が先行しているか否かに関わらず、ある基(例えば炭素又は窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が許容される置換基で置き換えられることを意味し、この置換基は、例えば、置換により安定な化合物(例えば、再配列、環化、脱離、又は他の反応などによって自発的な変換を起こさない化合物)をもたらすものである。別段の定めがある場合を除き、「置換されている」基は、その基の1つ又は複数の置換可能な位置に置換基を有し、また、いずれかの所与の構造における2つ以上の位置が置換されている場合、この置換基は各位置において同一であるか又は異なる。「置換されている」という用語は、安定な化合物が形成される本明細書に記載の置換基のいずれかなどの、有機化合物の全ての許容可能な置換基による置換を含むことが想定される。本開示は、安定な化合物を得るためのあらゆるこのような組み合わせを想定する。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たすと共に、安定な部分の形成をもたらす、水素置換基及び/又は本明細書に記載のいずれかの好適な置換基を有し得る。
【0086】
2個以上の置換基は、任意選択により結合されて、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基を形成し得る。このようないわゆる環形成置換基は、典型的には、必須ではないが、環基礎構造に結合して見出される。一実施形態において、環形成置換基は基礎構造の隣接する構成員に結合している。例えば、環基礎構造の隣接する構成員に結合する2個の環形成置換基が、縮合環構造を形成する。他の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の単一の構成員に結合している。例えば、環基礎構造の単一の構成員に結合する2個の環形成置換基が、スピロ環式構造を形成する。さらに他の実施形態において、環形成置換基は、基礎構造の隣接していない構成員に結合している。
【0087】
本明細書に記載の式(I)の化合物は1つ又は複数の不斉中心を含んでいることが可能であり、それ故、例えば、鏡像異性体及び/又はジアステレオマーといった種々の異性形態で存在することが可能である。例えば、本明細書に記載の化合物は個々の鏡像異性体、ジアステレオマー若しくは幾何異性体の形態であることが可能であり、又はラセミ混合物及び1種以上の立体異性体が富化された混合物を含む立体異性体の混合物の形態であることが可能である。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、並びにキラル塩の形成及び結晶化を含む当業者に公知の方法によって混合物から単離可能であり;又は好ましい異性体は、不斉合成により調製可能である。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照のこと。本開示はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、及び代わりに、種々の異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を含む。
【0088】
本明細書において用いられるところ、純粋な鏡像異性化合物は、化合物の他の鏡像異性体又は立体異性体を実質的に含まない(すなわち鏡像体過剰量である)。換言すると、「S」形態の化合物は「R」形態の化合物を実質的に含まず、それ故、「R」形態が鏡像体過剰量である。「鏡像異性体的に純粋な」又は「純粋な鏡像異性体」という用語は、化合物が、75重量%超、80重量%超、85重量%超、90重量%超、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、99重量%超、99.5重量%超、又は99.9重量%超の鏡像異性体を含むことを示す。一定の実施形態において、重量は、化合物の全ての鏡像異性体又は立体異性体の総重量に基づく。
【0089】
本明細書に記載の式(I)の化合物はまた、1つ又は複数の同位体置換を含んでいてもよい。例えば、Hは、1H、2H(D又は重水素)、及び3H(T又は三重水素)を含むいずれかの同位体形態であり得;Cは、12C、13C、及び14Cを含むいずれかの同位体形態であり得;Oは、16O及び18Oなどを含むいずれかの同位体形態であり得る。
【0090】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書に記載の化合物に見出される特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸又は塩基を伴って調製される有効な化合物の塩を含むことを意味する。本開示のデバイスの提供において使用される式(I)の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、塩基付加塩は、このような中性型の化合物を、十分な量の所望の塩基と、そのまま、又は好適な不活性溶剤中において接触させることにより得ることが可能である。薬学的に許容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、若しくはマグネシウム塩、又は同様の塩が挙げられる。本開示において使用される化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸付加塩は、このような中性型の化合物を、十分な量の所望の酸と、そのまま、又は好適な不活性溶剤中において接触させることにより得ることが可能である。薬学的に許容可能な酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などのような無機酸から誘導されるものが挙げられ、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような有機酸から誘導される塩が挙げられる。また、アルギニン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などのような有機酸の塩が含まれる(例えば、Berge et al,Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1977)を参照のこと)。一定の特定の本開示のデバイスにおいて使用される化合物(例えば、粒子、ヒドロゲルカプセル)は、塩基又は酸付加塩への化合物の転換を可能とする塩基性及び酸性官能基の両方を含有する。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。当業者に公知である他の薬学的に許容可能なキャリアが本開示において使用するのに好適である。
【0091】
本開示のデバイスは、プロドラッグ形態の式(I)の化合物を含み得る。プロドラッグは、生理学的状態で化学変化を容易に生起して本開示のデバイスに対するFBRを軽減するために使用される化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境における化学的又は生化学的方法によって式(I)の有用な化合物に転換されることが可能である。
【0092】
一定の式(I)の化合物は、非溶媒和形態、並びに水和物形態を含む溶媒和形態で存在することが可能である。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と同等であり、本開示の範囲内に包含される。一定の式(I)の化合物は、多数の結晶性又はアモルファス形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態が本開示によって想定される使用について同等であり、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0093】
「溶媒和物」という用語は、通常は加溶剤分解反応による、溶剤に付随する化合物の形態を指す。この物理的な付随は水素結合を含み得る。従来の溶剤としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。本明細書に記載の化合物は、例えば結晶形態で調製され得、溶媒和され得る。好適な溶媒和物としては、薬学的に許容可能な溶媒和物が挙げられ、さらに、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の両方が挙げられる。
【0094】
「水和物」という用語は、水に付随している化合物を指す。典型的には、化合物の水和物に含有される水分子の数は、水和物中の化合物分子の数に対する確定された割合である。したがって、化合物の水和物は、例えば一般式R・x H2O(式中、Rは化合物であり、xは0超の数字である)によって表され得る。
【0095】
「互変異性体」という用語は、本明細書において用いられるところ、化合物構造の相互変換可能な形態であって、水素原子及び電子の変位が様々である化合物を指す。それ故、2つの構造が、π電子及び原子(通常はH)の移動を介して平衡状態にあり得る。例えば、酸又は塩基のいずれかを伴う処理によって急速に相互変換されるため、エノール及びケトンは互変異性体である。互変異性体は、対象となる化合物の最適な化学反応性及び生物活性の獲得と関連性があり得る。
【0096】
本明細書において用いられるところ、記号
【化2】

は、エンティティ、例えば、ポリマー(例えば、アルギン酸塩などのヒドロゲル形成ポリマー)又は移植可能な要素(例えば、粒子、デバイス(例えば、ヒドロゲルカプセル)若しくは物質)の表面への結合を指す。
【化3】

によって表される結合は、エンティティ、例えば、ポリマー又は移植可能な要素(例えば、デバイス)への直接結合を指し得、又は結合基を介したエンティティへの連結を指し得る。本明細書において用いられるところ、「結合基」は、エンティティ(例えば、本明細書に記載のポリマー又は移植可能な要素)への式(I)の化合物の連結のための部分を指し、当該技術分野において公知であるいずれかの結合化学を含み得る。例示的な結合基の列挙は、本明細書において参照によりその全体が援用される、Bioconjugate Techniques(3rd ed,Greg T.Hermanson,Waltham,MA:Elsevier,Inc,2013)に概説されている。いくつかの実施形態において、結合基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-C(O)-、-OC(O)-、-N(RC)-、-N(RC)C(O)-、-C(O)N(RC)-、-N(RC)N(RD)-、-NCN-、-C(=N(RC)(RD))O-、-S-、-S(O)x-、-OS(O)x-、-N(RC)S(O)x-、-S(O)xN(RC)-、-P(RF)y-、-Si(ORA)2-、-Si(RG)(ORA)-、-B(ORA)-、又は金属を含み、ここで、RA、RC、RD、RF、RG、x及びyの各々は、独立して本明細書に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、結合基は、アミン、ケトン、エステル、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はチオールを含む。いくつかの実施形態において、結合基は架橋剤である。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)(C1~C6-アルキレン)-であり、ここで、アルキレンはR1で置換され、R1は本明細書に記載されているとおりである。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)(C1~C6-アルキレン)-であり、ここで、アルキレンは、1~2個のアルキル基(例えば、1~2個のメチル基)で置換される。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)C(CH3)2-である。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)(メチレン)-であり、ここで、アルキレンは、1~2個のアルキル基(例えば、1~2個のメチル基)で置換される。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)CH(CH3)-である。いくつかの実施形態において、結合基は-C(O)C(CH3)-である。
【0097】
[FVII発現コンストラクト]
本開示は、ヒトFVII前駆体タンパク質又はその変異体、例えば、FVII融合タンパク質、をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結されたプロモーターを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。実施形態において、ポリヌクレオチドは、二本鎖ポリヌクレオチドである。
【0098】
実施形態において、プロモーターは、ヒトFVII遺伝子のプロモーターに動作可能に連結された同じFVIIコード配列と比較して、RPE細胞(例えば、ARPE-19細胞)においてFVII mRNAのより高い発現を達成するように選択される。実施形態において、プロモーターは、配列番号10、又は配列番号10と実質的に同一である、例えば、配列番号10と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上同一である、ヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる。実施形態において、プロモーターは配列番号10からなる。
【0099】
実施形態において、プロモーターは、配列番号21、又は配列番号21と実質的に同一である、例えば、配列番号10と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上同一である、ヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる。実施形態において、プロモーターは配列番号21からなる。
【0100】
実施形態において、FVII前駆体タンパク質は、野生型ヒトFVIIタンパク質、例えば、配列番号1、又はその保存的に置換された変異体からの成熟アミノ酸配列を含む。実施形態において、保存的に置換された変異体は、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下又は1つ以下の保存的置換を有する。実施形態において、FVII前駆体タンパク質は、配列番号1からなる。
【0101】
実施形態において、前駆体FVIIタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、哺乳動物細胞におけるFVII発現のためにコドン最適化されている。実施形態において、コドン最適化配列は、配列番号3、又は配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上同一のヌクレオチド配列である。実施形態において、コドン最適化配列は、配列番号4、又は配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%若しくはそれ以上同一のヌクレオチド配列である。
【0102】
実施形態において、ヌクレオチド配列は、FVII融合タンパク質をコードする。実施形態において、FVII融合タンパク質は、非FVIIポリペプチドをコードするアミノ酸配列に動作可能に連結された前駆体ヒトFVII又はその保存的に置換された変異体のアミノ酸配列を含む。非FVIIポリペプチドは、融合タンパク質により長い半減期又は他の所望の特性を付与する任意のタンパク質又はタンパク質ドメイン、例えば、アルブミン、IgG Fc、IgG軽鎖からの定常ドメイン、IgG重鎖の定常ドメインの1つ、2つ若しくは3つ、ナノボディ、トランスフェリン、CTP(4つのO-グリカンを含むヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の28アミノ酸C末端ペプチド(CTP))、XTEN、ホモアミノ酸ポリマー(HAP)、プロリン-アラニン-セリン(PAS)、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0103】
実施形態において、FVII-アルブミン融合タンパク質のアルブミン部分は、配列番号5、配列番号7、又は配列番号5又は配列番号7の保存的に置換された変異体から本質的になるか、又はそれからなる。実施形態において、配列番号5又は配列番号7の保存的に置換された変異体は、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下又は1つ以下の保存的置換を有し、リンカーペプチドに置換を有しない。実施形態において、FVII融合タンパク質は、アミノ酸配列の以下の組み合わせ:
i)配列番号1及び配列番号5(本明細書において配列番号11と呼ばれる)又は
ii)配列番号1及び配列番号7(本明細書において配列番号12と呼ばれる)
の1つを含む。
【0104】
実施形態において、FVII融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、FVII及びアルブミンコード配列の以下の組み合わせ:
i)配列番号3及び配列番号6(本明細書において配列番号13と呼ばれる);
ii)配列番号3及び配列番号8(本明細書において配列番号14と呼ばれる);
iii)配列番号4及び配列番号6(本明細書において配列番号15と呼ばれる);
iv)配列番号4及び配列番号8(本明細書において配列番号16と呼ばれる);
v)配列番号2及び配列番号6(本明細書において配列番号17と呼ばれる);及び
vi)配列番号2及び配列番号8(本明細書において配列番号18と呼ばれる)
の1つを含む。
【0105】
実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、ポリペプチドコード配列のATG開始コドンのすぐ上流にあるKozak翻訳配列をさらに含む転写ユニットを含む。実施形態において、Kozak翻訳配列は、配列番号9のヌクレオチド2094-2099(本明細書において配列番号19と呼ばれる)、又は配列番号19と実質的に同一である(例えば、配列番号19と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上同一である)、ヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる。実施形態において、転写ユニットは、配列番号9のヌクレオチド2163-2684(本明細書において配列番号20と呼ばれる)、又は配列番号20と実質的に同一である(例えば、配列番号20と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれ以上同一である)、ヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる、ポリA配列をさらに含む。実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号2、3、4、13、14、15、16、17、若しくは18のいずれかに動作可能に連結されたプロモーターとしての配列番号10又は配列番号21を含む。実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、プロモーターとKozak翻訳配列との間に位置するUTR配列を含む。実施形態において、UTR配列は、配列番号22のヌクレオチド2094~2375から本質的になるか、又はそれからなる。実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号9のヌクレオチド2100と2101の間に挿入された配列番号2、3、4、13、14、15、16、17又は18のいずれかを含む。実施形態において、転写ユニットは、逆位末端反復配列の対の間、例えば5’ITR(例えば、配列番号9のヌクレオチド1~313)と3’ITR(例えば、配列番号9のヌクレオチド2894~3128)の間に配置されている。実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号23又は配列番号24を含む。
【0106】
実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、2つ、3つ、又はそれ以上の転写ユニットを含む。実施形態において、各転写ユニットは、同じ又は異なるFVIIコード配列に動作可能に連結された異なるプロモーターを有し、これは、任意選択により、非FVIIコード配列に融合される。実施形態において、ポリヌクレオチドは、プロモーター以外の点では同一である2つの転写ユニットを含む。実施形態において、ポリヌクレオチドは、プロモーター及び前駆体FVIIタンパク質をコードするヌクレオチド配列以外の点では同一である2つの転写ユニットを含む。実施形態において、転写ユニットは、逆位末端反復配列の対の間、例えば5’ITRと3’ITRの間に、タンデムに配置されている。
【0107】
実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、プロモーター及びFVIIコード配列を含む上流転写ユニットと、プロモーター及びFVIIコード配列を含む下流転写ユニットとの組み合わせを含み、ここで、組み合わせは、以下からなる群から選択される:
i)上流:配列番号2、3、4、13、14、15、16、17及び18のいずれかに1つに動作可能に連結された配列番号10
下流:配列番号2、3、4、13、14、15、16、17及び18のいずれかに1つに動作可能に連結された配列番号21;
ii)上流:配列番号2、3、4、13、14、15、16、17及び18のいずれかに1つに動作可能に連結された配列番号21
下流:配列番号2、3、4、13、14、15、16、17及び18のいずれかに1つに動作可能に連結された配列番号10;
iii)上流:配列番号2に動作可能に連結された配列番号10;
下流:配列番号3に動作可能に連結された配列番号21;
iv)上流:配列番号3に動作可能に連結された配列番号10;
下流:配列番号2に動作可能に連結された配列番号21;
v)上流:配列番号2に動作可能に連結された配列番号10;
下流:配列番号4に動作可能に連結された配列番号21;
vi)上流:配列番号3に動作可能に連結された配列番号10;
下流:配列番号2に動作可能に連結された配列番号21;
vii)上流:配列番号3に動作可能に連結された配列番号10;
下流:配列番号3に動作可能に連結された配列番号21。
【0108】
実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、(a)配列番号25又は(b)配列番号22を含む。
【0109】
[組み換えRPE細胞]
上記の単離されたポリヌクレオチドは、網膜色素上皮(RPE)細胞、又はFVIIタンパク質を発現及び分泌するように組み換えられたRPE細胞に由来する細胞を生成するのに有用である。実施形態において、組み換え(engineered)(例えば、組み換え(recombinant))RPE細胞は、配列番号2、3、4、13、14、15、16、17及び18の1つ若しくは複数を含む。実施形態において、組み換えRPE細胞は、染色体外性発現ベクターに存在するか、又は細胞核の1つ又は複数の染色体部位に組み込まれ得る、本明細書に記載の転写ユニットを含む。実施形態において、組み換え細胞は、細胞核内の同じゲノム部位にタンデムに組み込まれている転写ユニットの2つ、3つ、4つ、又はより多くのコピーを含む。
【0110】
本明細書に記載の組み換えRPE細胞は、様々な株のいずれかに由来し得る。RPE細胞の例示的な株には、ARPE-19細胞、ARPE-19-SEAP-2-neo細胞、RPE-J細胞、及びhTERTRPE-1細胞が含まれる。いくつかの実施形態において、組み換え細胞は、ARPE-19(ATCC CRL(登録商標)-2302(商標))細胞株に由来する。いくつかの実施形態において、組み換えRPE(例えば、ARPE-19)細胞は、モノクローナル細胞株から増殖される。
【0111】
実施形態において、本明細書に記載の組み換え細胞は、RPE細胞、例えば、天然に存在するRPE細胞に特徴的なバイオマーカー、例えば、抗原を発現する。いくつかの実施形態において、バイオマーカー(例えば、抗原)はタンパク質である。例示的なバイオマーカーには、CRALBP、RPE-65、RLBP、BEST1、又はαB-クリスタリンが含まれる。実施形態において、組み換え細胞は、CRALBP、RPE-65、RLBP、BEST1、又はαB-クリスタリンの少なくとも1つを発現する。実施形態において、組み換え細胞は、CRALBP及びRPE-65の少なくとも1つを発現する。
【0112】
例えば、ヒドロゲルカプセルに含有されるか又はその中にカプセル化された複数の組み換え細胞として、本明細書に記載のデバイス、組成物及び方法における使用のための組み換えRPE細胞は、細胞周期の様々な段階にあり得る。いくつかの実施形態において、複数の組み換え細胞のうちの少なくとも1つの組み換え細胞は、細胞分裂を起こしている。細胞分裂は、例えば、DeFazio A et al(1987)J Histochem Cytochem 35:571-577及びDolbeare F et al(1983)Proc Natl Acad Sci USA 80:5573-5577(これらはそれぞれ、その全体が参照により組み込まれる)に記載されているように、当該技術分野における任意の既知の方法を使用して測定され得る。実施形態において、細胞の少なくとも1、2、3、4、5、10、又は20%が、例えば、5-エチニル-2’デオキシウリジン(EdU)アッセイ又は5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)アッセイによって決定されるように、細胞分裂を起こしている。いくつかの実施形態において、細胞増殖は、顕微鏡検査(例えば、蛍光顕微鏡検査(例えば、タイムラプス又は紡錘体形成の評価))又はフローサイトメトリーによって視覚化又は定量化される。いくつかの実施形態において、複数の組み換え細胞内の組み換え細胞はいずれも、細胞分裂を起こしておらず、静止状態である。実施形態において、細胞の1、2、3、4、5、10、又は20%未満が、細胞分裂を起こしており、5-エチニル-2’デオキシウリジン(EdU)アッセイ、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)アッセイ、顕微鏡検査(例えば、蛍光顕微鏡検査(例えば、タイムラプス又は紡錘体形成の評価))又はフローサイトメトリー。
【0113】
実施形態において、複数の組み換えRPE細胞の少なくとも1、2、3、4、5、10、20、40、又は80%が生存可能である。細胞生存率は、例えば、Assay Guidance Manual(Sittapalam,G.S.et al,編)のRiss,T.et al(2013)“Cell Viability Assays”に記載されるように、当技術分野で既知の任意の方法を使用して測定され得る。例えば、細胞生存率は、ATPアッセイ、5-エチニル-2’デオキシウリジン(EdU)アッセイ、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)アッセイによって測定又は定量化され得る。いくつかの実施形態において、細胞生存率は、顕微鏡検査(例えば、蛍光顕微鏡検査(例えば、タイムラプス又は紡錘体形成の評価))又はフローサイトメトリーによって視覚化又は定量化される。実施形態において、複数のRPE細胞の少なくとも1、2、3、4、5、10、20、40又は80%が、例えばATPアッセイ、5-エチニル-2’デオキシウリジン(EdU)アッセイ、5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU)アッセイ、顕微鏡検査(例えば、蛍光顕微鏡検査(例えば、タイムラプス又は紡錘体形成の評価))又はフローサイトメトリーによって決定されるように、生存可能である。
【0114】
本明細書に記載のパラメータはいずれも、組織学的検査、顕微鏡検査、及び様々な機能アッセイなどの、当業者の1人に知られている標準的な技術を使用して評価することができる。
【0115】
[FVII活性の測定]
本明細書に記載の組み換え細胞又はデバイスによって分泌されるFVIIの活性は、当該技術分野で既知の又は下記の実施例に記載される直接的又は間接的なFVII活性アッセイによって測定され得る。
【0116】
例えば、生体液、例えば、血漿のサンプルのFVII生物活性は、(i)脂質膜及び第X因子に埋め込まれたTFを含むシステムにおいて生成された第Xa因子の量を測定すること(Persson et al.,J.Biol.Chem.272:19919-19924,1997);(ii)水性系における第X因子加水分解を測定すること;(iii)表面プラズモン共鳴に基づいて機器を用いて組織因子(TF)へのその物理的結合を測定すること(Persson,FEBS Letts.413:359-363,1997);又は(iv)合成基質の加水分解を測定すること;及び/又は(v)TF非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成を測定することによって定量化され得る。実施形態において、FVII活性は、市販の発色アッセイ(BIOPHEN FVII,HYPHEN BioMed Neuville sur Oise,France)によって評価され、ここで、FVIIを含有する生体サンプルが、トロンボプラスチンカルシウム、第X及びSXa-11因子(第Xa因子に特異的な発色性基質と混合される。
【0117】
[デバイス]
本明細書に記載の組み換えRPE細胞又は複数のそのような細胞は、FVIIタンパク質を、対象、例えば、出血障害を有する患者、例えば、FVIIIの阻害剤又はFIX補充療法剤を有する血友病患者、FVII欠乏症の患者に提供する際に使用するための移植可能なデバイスに組み込まれ得る。
【0118】
例示的な移植可能なデバイスは、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、繊維、不活性材料、及びこれらの組み合わせ等の材料を含む。デバイス(例えば粒子)は、意図された標的位置への移植後にカプセル化細胞の生存率及び産生性を支持するのに適した任意の構成及び形状を有し得る。いくつかの実施形態において、デバイスは、ヒドロゲルカプセル、例えば、ミリカプセル又はマイクロカプセル(例えば、ヒドロゲルミリカプセル又はヒドロゲルマイクロカプセル)である。デバイス(例えば、カプセル、粒子)は、組み換えRPE細胞により発現されない1種又は複数種の外因性の薬剤を含み得(且つ任意選択により放出するように構成され)、この薬剤として、例えば、核酸(例えばRNA若しくはDNA分子)、タンパク質(例えば、ホルモン、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、オキシゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ、レダクターゼ)、抗体、抗体断片、抗原、若しくはエピトープ))、小分子、脂質、薬物、ワクチン、又はこれらの任意の誘導体、小分子、タンパク質若しくはポリペプチドの活性な若しくは不活性な断片が挙げられ得る。いくつかの実施形態において、デバイスは、異物反応(FBR)を軽減するための(例えば、このデバイスが対象中に移植されたか対象上に移植された場合にFBRを軽減するための)少なくとも1つの手段を含む。
【0119】
本明細書で説明されているデバイスは、対象への移植用か又は投与用の調製物又は組成物(即ち、デバイス調製物又はデバイス組成物)として提供され得る。いくつかの実施形態において、デバイス調製物又はデバイス組成物は、少なくとも2個、4個、8個、16個、32個、64個、又はより多くのデバイスを含み、この調製物中の又は組成物中のデバイスの少なくとも20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%は、本明細書で説明されている特徴(例えば、平均カプセル直径、又は細胞含有区画中の細胞数)を有する。
【0120】
デバイス、デバイス調製物、又はデバイス組成物は、身体の任意の部位又は部分の内部又はその上へのインプラント、又は移植又は配置のために構成され得る。いくつかの実施形態において、移植可能なデバイス又はデバイス調製物は、腹腔(例えば、網嚢(omental bursa)又は網嚢(bursalis omentum)としても知られる網嚢(lesser sac))内への移植のために構成される。デバイス、デバイス調製物、又はデバイス組成物は、腹膜腔(例えば、網、例えば、網嚢)内に移植されるか、又は注入若しくはカテーテルによって腹膜腔(例えば、網、例えば、網嚢)内の表面に配置され得る。網(例えば、網嚢)内へのデバイス、デバイス調製物、又はデバイス組成物のインプラント又は配置についてのさらなる検討が、M.Pellicciaro et al.(2017)CellR4 5(3):e2410に示されている。
【0121】
いくつかの実施形態において、移植可能なデバイスは、ポリマー組成物によってカプセル化された複数の生細胞を含む少なくとも1つの細胞含有区画を含む。ある実施形態において、デバイスは、2個、3個、4個、又はより多くの細胞含有区画を含む。各細胞含有区画は、複数の生細胞を含み、これらの区画の内の少なくとも1個中の細胞は、デバイスが対象に移植された場合にFVIIタンパク質を発現及び分泌し得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、細胞含有区画内のポリマー組成物は、多糖又は他のヒドロゲル形成ポリマー(例えば、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩又はコンドロイチン)を含む。いくつかの実施形態において、ポリマーはアルギン酸塩であり、これは、β-D-マンヌロン酸(M)及びα-L-グルロン酸(G)から構成される多糖である。いくつかの実施形態において、アルギン酸塩は、低分子量(例えば、おおよその分子量75kD未満)且つG:M比≧1.5を有するか、(ii)中分子量のアルギン酸、例えば、おおよその分子量75~150kDa且つG:M比≧1.5を有するもの、(ii)高分子量のアルギン酸、例えば、おおよそのMW150~250kDa且つG:M比≧1.5を有するもの、(iv)又はこれらのアルギン酸塩の2つ以上のブレンドである。
【0123】
いくつかの実施形態において、細胞含有区画は、少なくとも1つの細胞結合物質(CBS)、例えば、細胞結合ペプチド(CBP)又は細胞結合ポリペプチド(CBPP)をさらに含む。ある実施形態において、CBSは、リンカーを介してポリマー組成物中のポリマー分子に共有結合的に付着したCBP(「CBP-ポリマー」)を含む。実施形態において、CBPポリマー中のポリマーは、多糖(例えば、アルギン酸塩)又は他のヒドロゲル形成ポリマーである。本明細書では、本開示のデバイスでの使用のための様々な細胞結合ペプチドが説明されている。ある実施形態において、この細胞結合ペプチドは、25個以下(例えば、20個、15個、10個、若しくはより少ない)のアミノ酸の長さであり、且つ細胞付着分子(CAM)のリガンドの細胞結合配列を含む。ある実施形態において、この細胞結合ペプチドは、本明細書の表1で示されている細胞結合配列から本質的になる。ある実施形態において、この細胞結合配列は、RGD(配列番号33)又はRGDSP(配列番号48)である。ある実施形態において、この細胞結合ペプチドのアミノ末端は、アミノ酸リンカーを介してポリマーに共有結合的に付着している。ある実施形態において、このアミノ酸リンカーは、1~3個のグリシン残基から本質的になる。ある実施形態において、この細胞結合ペプチドは、RGD(配列番号33)又はRGDSP(配列番号48)から本質的になり、このリンカーは、単一のグリシン残基から本質的になる。
【0124】
実施形態において、細胞含有区画(例えば、2区画ヒドロゲルカプセルの内側区画)に存在する各CBPポリマーは、少なくとも0.05%、0.1%、0.2%、又は0.3%であるが、4%、3%、2%、又は1%未満である、細胞結合ペプチド密度(本明細書の実施例に記載される燃焼分析によって決定される%窒素)を有する。実施形態において、細胞含有区画内のリンカーCBPの総密度は、定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイ(例えば、本明細書で説明されているアッセイ)により決定した場合に、溶液中のCBP-ポリマー(例えば、GRGD(配列番号50)若しくはGRGDSP(配列番号49)で共有結合的に修飾されたMMW-アルギン酸塩)1g当たりCBP約0.1~約1.0マイクロモルである。ある実施形態において、CBPはRGDSP(配列番号48)であり、リンカーはGであり、ポリマーは、分子量が75kDa~150kDaであり且つG:M比が1.5以上であるアルギン酸塩である。ある実施形態において、細胞含有区画はまた、CBP-ポリマー中のポリマーと同一であるか又は異なる非修飾ヒドロゲル形成ポリマーも含む。ある実施形態において、CBP-ポリマー及び非修飾ポリマー中のポリマーは、分子量が75kDa~150kDaであり且つG:M比が1.5以上であるアルギン酸塩である。
【0125】
ある実施形態において、定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイは、CPB-ポリマーのサンプルを酸性加水分解に供して、コンジュゲートペプチド(及びCBP-ポリマー中の任意の残留非コンジュゲートペプチド)から個々のアミノ酸を生成すること、これら個々のアミノ酸を定量すること、各アミノ酸のモル濃度を平均化すること、並びにサンプル中の総ペプチド濃度を算出することを含む。ある実施形態において、定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイを、本明細書の下記の実施例で説明されているプロセスと実質的に同様に実施する。ある実施形態において、定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイはまた、総ペプチド濃度からサンプル中の任意の残留非コンジュゲートペプチドの濃度を減算することも含む。CBP-ポリマー組成物中の非コンジュゲートペプチドの濃度を、当該技術分野で既知の任意の適切なアッセイを使用して決定し得、例えば、本明細書の下記の実施例で説明されているLC-MSにより決定し得る。典型的には、定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイを、デバイスを調製するために使用されるCBP-ポリマーの生理食塩水溶液のサンプルに対して実施するが、CBP-ポリマーの凍結乾燥サンプルに対して実施してもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、デバイスは、異物反応(FBR)を軽減するための(例えば、このデバイスが対象中に移植されたか対象上に移植された場合にFBRを軽減するための)少なくとも1つの手段をさらに含む。デバイスのFBRを軽減するための様々な手段が本明細書に記載されているが、参照デバイスと比較してデバイスに対するFBRを低減することができる任意の生物学的、化学的又は物理的要素が本明細書で企図される。
【0127】
例えば、本明細書で開示されているデバイスにおけるFBRを軽減するための手段は、半透過性の生体適合膜であって、細胞の生存及び機能に重要な酸素及び他の分子がこの半透膜を通って移動することを可能にするが、免疫細胞が孔を通過することを防止するように選択されている孔径を有する半透過性の生体適合膜で細胞を取り囲むことを含み得る。ある実施形態において、この半透膜は、分子量カットオフが1000kD未満であるか、又は50~700kD、70~300kD、若しくは70~150kD、若しくは70~130kDである。
【0128】
別のFBR軽減手段は、細胞フリー生体適合材料から形成されたバリア区画で細胞含有区画を取り囲むことを含む(例えば、Ma,M et al.,Adv.Healthc Mater.,2(5):667-672(2012)で説明されているコア-シェルマイクロカプセル)。そのようなバリア区画は、半透膜手段とともに使用されるか又は半透膜手段なしで使用される可能性がある。FBR軽減手段は、例えば米国特許第9,867,781号明細書で説明されているように、FBRを阻害するために、移植されたデバイスから放出される抗炎症剤をこのデバイス上に又はこのデバイス内に配置することを含み得る。他のFBR軽減手段は、国際公開第2017/176792号パンフレット及び同第2017/176804号パンフレットで説明されているように、デバイス表面上に配置されているか又はデバイス内にカプセル化されているCSF-1R阻害剤を用いる。他のFBR軽減手段は、Veiseh,O.,et al.,Nature Materials 14:643-652(2015)で説明されているように、直径が1mm超である球状の形状にデバイスを構成することを用いる。いくつかの実施形態において、FBRを軽減するための手段は、デバイスの外面上に及び/又は細胞含有区画を取り囲むバリア区画内に抗線維性化合物を配置することを含む。例示的な抗線維性化合物としては、本明細書の下記で説明する式(I)の化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、デバイスは、上記FBR軽減手段の内の2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、デバイスは、2個のヒドロゲル区画を有し、これら2個のヒドロゲル区画では、内側の細胞含有区画が、第2の外側の(例えばバリア)区画で完全に取り囲まれている。ある実施形態において、第2の区画の内側の境界は、例えば図9で示されているように、第1の区画の外側の境界と界面を形成する。そのような実施形態において、第2の(外側)区画の厚さは、第2の区画の外側の境界と、これら2個の区画の間の界面との平均距離を意味する。いくつかの実施形態において、外側区画の厚さは、約10ナノメートル(nm)超であり、好ましくは100nm以上であり、1ミリメートル(mm)と同程度であり得る。例えば、本明細書で説明されているヒドロゲルカプセルデバイス中の外側区画の厚さは、10nm~1mm、100nm~1mm、500nm~1ミリメートル、1マイクロメータ(μm)~1mm、1μm~1mm、1μm~500μm、1μm~250μm、1μm~1mm、5μm~500μm、5μm~250μm、10μm~1mm、10μm~500μm、又は10μm~250μmであり得る。いくつかの実施形態において、外側区画の厚さは、100nm~1mm、1μm~1mm、1μm~500μm、又は5μm~1mmである。いくつかの実施形態において、外側区画の厚さは、約50μm~約100μmである。
【0130】
いくつかの実施形態において、デバイス中の1つ又は複数の区画は、抗線維性ポリマーを含み、例えば、CBP-ポリマー中のポリマーと同一であるか又は異なるポリマーに共有結合的に付着した式(I)の抗線維性化合物を含む。ある実施形態において、この抗線維性ポリマー中の一部又は全てのモノマーは、式(I)の同一の化合物で修飾されている。いくつかの実施形態において、この抗線維性ポリマー中の一部又は全てのモノマーは、式(I)の様々な化合物で修飾されている。デバイスが2区画ヒドロゲルカプセルであるいくつかの実施形態において、この抗線維性ポリマーは、外面を含む外側のバリア区画中にのみ存在する。
【0131】
デバイス中の1つ又は複数の区画は、CBP-ポリマー中のポリマー及びこのデバイス中に存在する任意の抗線維性ポリマー中のポリマーと同一か又は異なる非修飾ポリマーを含み得る。ある実施形態において、デバイス中の第1の区画、第2の区画、又は全ての区画は、非修飾ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、非修飾ポリマーは非修飾アルギン酸塩である。ある実施形態において、非修飾アルギン酸塩は、分子量が150kDa~250kDaであり、且つG:M比が≧1.5である。
【0132】
いくつかの実施形態において、抗線維性ポリマーは、式(I)の化合物で化学的に修飾されたアルギン酸塩を含む。この抗線維性ポリマー中のアルギン酸塩は、デバイス中に存在する任意の非修飾アルギン酸塩と同一であってもよいし異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物(例えば、表3中の化合物101)は、以下の実施例に記載される窒素パーセントの燃焼分析によって決定した際に、少なくとも2.0%且つ9.0%未満の窒素、又は2.0%~5%の窒素、3.0~8.0%の窒素、5~8.0%の窒素、4.0~7.0%の窒素、5.0%~7.0%の窒素、又は約6.0%~約7.0%の窒素又は約6.8%の窒素のコンジュゲーション密度で、アルギン酸塩(例えば、おおよそのMW<75kDa、G:M比≧1.5を有するアルギン酸塩)に共有結合される。実施形態において、化合物101の量は、約0.5%~2%、2%~4%のN、約4%~6%のN、約6%~8%、又は約8%~10%のN)の、(非修飾アルギン酸塩と比した)%Nの増加をもたらし、ここで、% Nは、燃焼分析によって決定され、修飾アルギン酸塩中の化合物101の量に相当する。
【0133】
他の実施形態において、抗線維性アルギン酸塩中の式(I)の化合物(例えば化合物101)の密度(例えば濃度)は、w/w%として定義され、例えば、適切な定量的アミンコンジュゲーションアッセイ(例えば、本明細書で説明されているアッセイ)により決定した場合のアミンの重量/溶液(例えば生理食塩水)中の抗線維性アルギン酸塩の量の%として定義され、一定の実施形態において、式(I)の化合物(例えば化合物101)の密度は、約1.0w/w%~約3.0w/w%、約1.3w/w%~約2.5w/w%、又は約1.5w/w%~2.2w/w%である。ある実施形態において、定量的アミンコンジュゲーションアッセイは、化学修飾ポリマー(例えば、式(I)の化合物で修飾されたアルギン酸塩、例えばCM-LMW-Alg-101)のサンプルを酸性加水分解に供して遊離アミンを生成すること、及びサンプル中の全遊離アミンを定量することを含む。ある実施形態において、定量的アミンコンジュゲーションアッセイはまた、総アミン濃度から、非加水分解サンプル中の非コンジュゲートアミン(例えば、式(I)の化合物)の濃度を減算することも含む。定量的アミンコンジュゲーションアッセイを、典型的には、デバイスを調製するために使用される化学修飾アルギン酸塩の生理食塩水溶液のサンプルに対して実施するが、化学修飾アルギン酸塩の凍結乾燥サンプルに対して実施してもよい。ある実施形態において、定量的アミンコンジュゲーションアッセイを、本明細書の実施例9で説明されているプロセスと実質的に同様に実施する。ある実施形態において、式(I)の化合物は、表3で示されている化合物101である。
【0134】
抗線維性ポリマー中のアルギン酸塩は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法を用いて、式(I)の化合物で化学修飾され得る。例えば、アルギン酸塩カルボン酸部分は、式(I)の化合物で修飾されたアルギン酸塩を得るために、1つ又は複数のアミン官能化化合物への結合のために活性化され得る。アルギン酸塩ポリマーは、水(ポリマーのグラム当たり30mL)に溶解され、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(0.5当量)及びN-メチルモルホリン(1当量)で処理され得る。この混合物に、アセトニトリル(0.3M)中の式(I)の化合物の溶液が加えられ得る。反応物が、例えば、16時間にわたって55℃に温められ、次に、室温に冷却され、回転蒸発によって徐々に濃縮され得る。次に、残渣が、例えば水に溶解され得る。次に、混合物は、例えば、シアノ修飾シリカゲル(Silicycle)の床に通してろ過され得、ろ過ケーキが水で洗浄され得る。次に、得られた溶液が、24時間にわたって水に対して透析され得(10,000 MWCO膜)、例えば、水を2回交換する。得られた溶液が、例えば、凍結乾燥によって濃縮されて、所望の化学修飾アルギン酸塩が得られる。
【0135】
[式(I)の化合物]
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、式(I):
【化4】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O)-、-N(RC)-、-N(RC)C(O)-、-C(O)N(RC)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルケニレン)-、-N(RC)N(RD)-、-NCN-、-C(=N(RC)(RD))O-、-S-、-S(O)x-、-OS(O)x-、-N(RC)S(O)x-、-S(O)xN(RC)-、-P(RF)y-、-Si(ORA)2-、-Si(RG)(ORA)-、-B(ORA)-、又は金属であり、これらの各々は、結合基(例えば、本明細書に記載の結合基)に任意選択により結合され、1個以上のR1で任意選択により置換されており;
L1及びL3の各々は独立して、結合、アルキル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、1個以上のR2で任意選択により置換されており;
L2は結合であり;
Mは、不在であるか、各々が1個以上のR3で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Pは、不在であるか、各々が1個以上のR4で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールであり;
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、-ORA、-C(O)RA、-C(O)ORA、-C(O)N(RC)(RD)、-N(RC)C(O)RA、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR5で任意選択により置換されており;
RA、RB、RC、RD、RE、RF、及びRGの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、アジド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR6で任意選択により置換されており;
又はRC及びRDは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1個以上のR6で任意選択により置換されている環(例えば5~7員環)を形成し;
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、-C(O)RB1、-OC(O)RB1、-N(RC1)(RD1)、-N(RC1)C(O)RB1、-C(O)N(RC1)、SRE1、S(O)xRE1、-OS(O)xRE1、-N(RC1)S(O)xRE1、-S(O)xN(RC1)(RD1)、-P(RF1)y、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR7で任意選択により置換されており;
RA1、RB1、RC1、RD1、RE1、及びRF1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1個以上のR7で任意選択により置換されており;
各R7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
xは1又は2であり;
yは2、3、又は4である。
【0136】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-a):
【化5】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、
Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O)-、-N(RC)-、-N(RC)C(O)-、-C(O)N(RC)-、-N(RC)N(RD)-、-NCN-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルケニレン)-、-C(=N(RC)(RD))O-、-S-、-S(O)x-、-OS(O)x-、-N(RC)S(O)x-、-S(O)xN(RC)-、-P(RF)y-、-Si(ORA)2-、-Si(RG)(ORA)-、-B(ORA)-、又は金属であり、これらの各々は、結合基(例えば、本明細書に記載の結合基)に任意選択により結合され、1個以上のR1で任意選択により置換されており;
L1及びL3の各々は独立して、結合、アルキル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、1個以上のR2で任意選択により置換されており;
L2は結合であり;
Mは、不在であるか、各々が1個以上のR3で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Pは、1個以上のR4で任意選択により置換されているヘテロアリールであり;
Zは、各々が1個以上のR5で任意選択により置換されている、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
RA、RB、RC、RD、RE、RF、及びRGの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、アジド、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR6で任意選択により置換されており;
又はRC及びRDは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、1個以上のR6で任意選択により置換されている環(例えば5~7員環)を形成し;
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、-C(O)RB1、-OC(O)RB1、-N(RC1)(RD1)、-N(RC1)C(O)RB1、-C(O)N(RC1)、SRE1、S(O)xRE1、-OS(O)xRE1、-N(RC1)S(O)xRE1、-S(O)xN(RC1)(RD1)、-P(RF1)y、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールの各々は、1個以上のR7で任意選択により置換されており;
RA1、RB1、RC1、RD1、RE1、及びRF1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1個以上のR7で任意選択により置換されており;
各R7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;
xは1又は2であり;
yは2、3、又は4である。
【0137】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O)-、-N(RC)C(O)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルケニレン)-、又は-N(RC)-である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O)-、又は-N(RC)-である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O-、又は-N(RC)-である。いくつかの実施形態において、Aは、アルキル、-O-、-C(O)O-、-C(O)-、-OC(O)、又は-N(RC)-である。いくつかの実施形態において、Aは、-N(RC)C(O)-、-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-、又は-N(RC)C(O)(C1~C6-アルケニレン)-である。いくつかの実施形態において、Aは-N(RC)-である。いくつかの実施形態において、Aは-N(RC)-であり、RC及びRDは独立して、水素又はアルキルである。いくつかの実施形態において、Aは-NH-である。いくつかの実施形態において、Aは-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-であり、ここで、アルキレンはR1で置換されている。いくつかの実施形態において、Aは-N(RC)C(O)(C1~C6-アルキレン)-であり、R1はアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態において、Aは-NHC(O)CH(CH3)2-である。いくつかの実施形態において、Aは-N(RC)C(O)(メチレン)-であり、R1はアルキル(例えば、メチル)である。いくつかの実施形態において、Aは-NHC(O)CH(CH3)-である。いくつかの実施形態において、Aは-NHC(O)C(CH3)-である。
【0138】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、L1は結合、アルキル、又はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L1は結合又はアルキルである。いくつかの実施形態において、L1は結合である。いくつかの実施形態において、L1はアルキルである。いくつかの実施形態において、L1はC1~C6アルキルである。いくつかの実施形態において、L1は、-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2CH2CH2、又は-CH2CH2-である。いくつかの実施形態において、L1は、-CH2-又は-CH2CH2-である。
【0139】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、L3は結合、アルキル、又はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L3は結合である。いくつかの実施形態において、L3はアルキルである。いくつかの実施形態において、L3はC1~C12アルキルである。いくつかの実施形態において、L3はC1~C6アルキルである。いくつかの実施形態において、L3は-CH2-である。いくつかの実施形態において、L3はヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L3は、1個以上のR2(例えば、オキソ)で任意選択により置換されているC1~C12ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L3は、1個以上のR2(例えば、オキソ)で任意選択により置換されているC1~C6ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、L3は、-C(O)OCH2-、-CH2(OCH2CH2)2-、-CH2(OCH2CH2)3-、CH2CH2O-、又は-CH2O-である。いくつかの実施形態において、L3は-CH2O-である。
【0140】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Mは、不在、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Mはヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Mは不在である。いくつかの実施形態において、Mはアルキル(例えば、C1~C6アルキル)である。いくつかの実施形態において、Mは-CH2-である。いくつかの実施形態において、Mはヘテロアルキル(例えば、C1~C6ヘテロアルキル)である。いくつかの実施形態において、Mは(-OCH2CH2-)zであり、ここで、zは、1~10から選択される整数である。いくつかの実施形態において、zは、1~5から選択される整数である。いくつかの実施形態において、Mは、-OCH2CH2-、(-OCH2CH2-)2、(-OCH2CH2-)3、(-OCH2CH2-)4、又は(-OCH2CH2-)5である。いくつかの実施形態において、Mは、-OCH2CH2-、(-OCH2CH2-)2、(-OCH2CH2-)3、又は(-OCH2CH2-)4である。いくつかの実施形態において、Mは(-OCH2CH2-)3である。いくつかの実施形態において、Mはアリールである。いくつかの実施形態において、Mはフェニルである。いくつかの実施形態において、Mは非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、Mは
【化6】

である。いくつかの実施形態において、Mは、R7(例えば、1個のR7)で置換されているフェニルである。いくつかの実施形態において、Mは
【化7】

である。いくつかの実施形態において、R7はCF3である。
【0141】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Pは、不在、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは不在である。いくつかの実施形態において、式(I)及び(I-a)について、Pは、三環式、二環式、又は単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは単環式ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは、単環式、窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは5員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは5員窒素含有ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Pは、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、又はトリアゾリル、ピロリル、オキサゾリル、又はチアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、又はトリアゾリル、又はピロリルである。いくつかの実施形態において、Pはイミダゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化8】

である。いくつかの実施形態において、Pはトリアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは1,2,3-トリアゾリルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化9】

である。
【0142】
いくつかの実施形態において、Pはヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Pは、5員ヘテロシクリル又は6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Pはイミダゾリジノニル(imidazolidinonyl)である。いくつかの実施形態において、Pは
【化10】

である。
【0143】
いくつかの実施形態において、Pはチオモルホリニル-1,1-ジオキシジルである。いくつかの実施形態において、Pは
【化11】

である。
【0144】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Zは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Zはヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、単環式又は二環式ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、4員ヘテロシクリル、5員ヘテロシクリル、又は6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、6員酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zはテトラヒドロピラニルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化12】

である。いくつかの実施形態において、Zは、4員酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化13】

である。
【0145】
いくつかの実施形態において、Zは、二環式酸素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは無水フタル酸(phthalic anhydridyl)である。いくつかの実施形態において、Zは、硫黄含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、6員硫黄含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、窒素原子及び硫黄原子を含有する6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zはチオモルホリニル-1,1-ジオキシジルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化14】

である。いくつかの実施形態において、Zは窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは6員窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化15】

である。
【0146】
いくつかの実施形態において、Zは二環式ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個以上のR5で任意選択により置換されている二環式窒素含有ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Zは2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニルである。いくつかの実施形態において、Zは
【化16】

である。いくつかの実施形態において、Zは1-オキサ-3,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-オンである。いくつかの実施形態において、Zは
【化17】

である。
【0147】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Zはアリールである。いくつかの実施形態において、Zは単環式アリールである。いくつかの実施形態において、Zはフェニルである。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニル(例えば、1個のR5により)である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5は窒素含有基である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5はNH2である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5は酸素含有基である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5は酸素含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5はOCH3である。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5はオルト位にある。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5はメタ位にある。いくつかの実施形態において、Zは単置換フェニルであり、ここで、1個のR5はパラ位にある。
【0148】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Zはアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C12アルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C10アルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1~5個のR5で置換されたC1~C8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR5で置換されたC1~C8アルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR5で置換されたC1~C8アルキルであり、ここで、R5は、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、-C(O)RB1、-OC(O)RB1、又は-N(RC1)(RD1)である。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR5で置換されたC1~C8アルキルであり、ここで、R5は、-ORA1又は-C(O)ORA1である。いくつかの実施形態において、Zは、1個のR5で置換されたC1~C8アルキルであり、ここで、R5は、-ORA1又は-C(O)OHである。いくつかの実施形態において、Zは-CH3である。
【0149】
いくつかの実施形態において、式(I)又は(I-a)について、Zはヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C12ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C10ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C8ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、ZはC1~C6ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1個以上のR5で任意選択により置換された窒素含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、1~5個のR5で置換された窒素及び硫黄含有ヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、Zは、N-メチル-2-(メチルスルホニル)エタン-1-アミニルである。
【0150】
いくつかの実施形態において、Zは、-ORA又は-C(O)ORAである。いくつかの実施形態において、Zは、-ORA(例えば、-OH又は-OCH3)である。いくつかの実施形態において、Zは、OCH3である。いくつかの実施形態において、Zは、-C(O)ORA(例えば、-C(O)OH)である。
【0151】
いくつかの実施形態において、Zは水素である。
【0152】
いくつかの実施形態において、L2は結合であり、P及びL3は独立して、不在である。いくつかの実施形態において、L2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。
【0153】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-b):
【化18】

の化合物又はその塩であり、式中、環M1は、各々が1~5個のR3で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;環Z1は、1~5個のR5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;Xは、不在、N(R10)(R11)、O、又はSであり;RCは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールの各々は、1~6個のR6で任意選択により置換されており;R3、R5、及びR6の各々は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、アジド、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、-C(O)RB1、-OC(O)RB1、-N(RC1)(RD1)、-N(RC1)C(O)RB1、-C(O)N(RC1)、SRE1、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R10及びR11の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、-C(O)ORA1、-C(O)RB1、-OC(O)RB1、-C(O)N(RC1)、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;RA1、RB1、RC1、RD1、及びRE1の各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールの各々は、1~6個のR7で任意選択により置換されており;各R7は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;各m及びnは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化19】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。いくつかの実施形態において、各R3及びR5について、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールの各々は、ハロゲン、オキソ、シアノ、シクロアルキル、又はヘテロシクリルで任意選択により及び独立して置換されている。
【0154】
いくつかの実施形態において、式(I-b)の化合物は、式(I-b-i):
【化20】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環M2は、1個以上のR3で任意選択により置換されている、アリール又はヘテロアリールであり;環Z2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;Xは、不在、O、又はSであり;各R3及びR5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;又は2個のR5は一緒になって、環Z2に縮合した5~6員環を形成し;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化21】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0155】
いくつかの実施形態において、式(I-b-i)の化合物は、式(I-b-ii):
【化22】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R2c及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;各R3及びR5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;p及びqは各々独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化23】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0156】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-c):
【化24】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;R2c及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;各R3及びR5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;mは、1、2、3、4、5、又は6であり;p及びqは各々独立して、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化25】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0157】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-d):
【化26】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;Xは、不在、O、又はSであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;各R5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルの各々は、ハロゲンで任意選択により置換されており;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化27】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0158】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-e):
【化28】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり;Xは、不在、O、又はSであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dの各々は一緒になってオキソ基を形成し;各R5は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化29】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0159】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-f):
【化30】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Mは、1個以上のR3で任意選択により置換されているアルキルであり;環Pは、1個以上のR4で任意選択により置換されているヘテロアリールであり;L3は、1個以上のR2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、各々が1個以上のR5で任意選択により置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R2a及びR2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2bは一緒になってオキソ基を形成し;R2、R3、R4、及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化31】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0160】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II):
【化32】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Mは、結合、アルキル又はアリールであり、ここで、アルキル及びアリールは、1個以上のR3で任意選択により置換されており;L3は、1個以上のR2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール又は-ORAであり、ここで、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールは、1個以上のR5で任意選択により置換されており;RAは水素であり;R2a及びR2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2bは一緒になってオキソ基を形成し;R2、R3、及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化33】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0161】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、式(II-a):
【化34】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、L3は、各々が1個以上のR2で任意選択により置換されている、アルキル又はヘテロアルキルであり;Zは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又は-ORAであり、ここで、アルキル及びヘテロアルキルは、1個以上のR5で任意選択により置換されており;R2a及びR2bの各々は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり、又はR2a及びR2bは一緒になってオキソ基を形成し;R2、R3、及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;RAは水素であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;nは独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;
【化35】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0162】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(III):
【化36】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Z1は、各々が1~5個のR5で任意選択により置換されている、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;RCは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルであり、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はヘテロアルキルの各々は、1~6個のR6で任意選択により置換されており;R3、R5、及びR6の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;qは、0~25の整数であり;
【化37】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0163】
いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、式(III-a):
【化38】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、各々が1~5個のR5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ハロであり;又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;R3及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;o及びpは各々独立して、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0~25の整数であり;
【化39】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0164】
いくつかの実施形態において、式(III-a)の化合物は、式(III-b):
【化40】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、環Z2は、各々が1~5個のR5で任意選択により置換されている、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ハロであり;又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;R3及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;o及びpは各々独立して、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0~25の整数であり;
【化41】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0165】
いくつかの実施形態において、式(III-a)の化合物は、式(III-c):
【化42】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Xは、C(R’)(R”)、N(R’)、又はS(O)xであり;R’及びR”の各々は独立して、水素、アルキル、ハロゲン、又はシクロアルキルであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又はハロであり;又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;R3及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0~25の整数であり;xは、0、1、又は2であり;
【化43】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0166】
いくつかの実施形態において、式(III-c)の化合物は、式(III-d):
【化44】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、式中、Xは、C(R’)(R”)、N(R’)、又はS(O)xであり;R’及びR”の各々は独立して、水素、アルキル、ハロゲン、又はシクロアルキルであり;R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、又はハロであり;又はR2a及びR2b又はR2c及びR2dは一緒になってオキソ基を形成し;R3及びR5の各々は独立して、アルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン、オキソ、-ORA1、-C(O)ORA1、又は-C(O)RB1であり;各RA1及びRB1は独立して、水素、アルキル、又はヘテロアルキルであり;m及びnは各々独立して、1、2、3、4、5、又は6であり;pは、0、1、2、3、4、又は5であり;qは、0~25の整数であり;xは、0、1、又は2であり;
【化45】

は、本明細書に記載の結合基又はポリマーに対する結合を指す。
【0167】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I)の化合物である。いくつかの実施形態において、L2は結合であり、P及びL3は独立して、不在である。
【0168】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-a)の化合物である。式(II-a)のいくつかの実施形態において、L2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。いくつかの実施形態において、L2は結合であり、P及びL3は独立して、不在である。いくつかの実施形態において、L2は結合であり、Pはヘテロアリールであり、L3は結合であり、Zは水素である。いくつかの実施形態において、Pはヘテロアリールであり、L3はヘテロアルキルであり、Zはアルキルである。
【0169】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b)の化合物である。いくつかの実施形態において、Pは不在であり、L1は-NHCH2であり、L2は結合であり、Mはアリール(例えば、フェニル)であり、L3は-CH2Oであり、Zはヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、チオモルホリニル-1,1-ジオキシド)である。いくつかの実施形態において、式(I-b)の化合物は、化合物116である。
【0170】
式(I-b)のいくつかの実施形態において、Pは不在であり、L1は-NHCH2であり、L2は結合であり、Mは不在であり、L3は結合であり、Zはヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I-b)の化合物は、化合物105である。
【0171】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b-i)の化合物である。式(I-b-i)のいくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は独立して、水素又はCH3であり、R2c及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1又は2であり、nは1であり、XはOであり、pは0であり、M2は、1個以上のR3で任意選択により置換されているフェニルであり、R3は-CF3であり、Z2はヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I-b-i)の化合物は、化合物100、化合物106、化合物107、化合物108、化合物109、又は化合物111である。
【0172】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b-ii)の化合物である。式(I-b-ii)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、qは0であり、pは0であり、mは1であり、Z2はヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I-b-ii)の化合物は、化合物100である。
【0173】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-c)の化合物である。式(I-c)のいくつかの実施形態において、R2c及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、pは1であり、qは0であり、R5は-CH3であり、Zはヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、ピペラジニル)である。いくつかの実施形態において、式(I-c)の化合物は、化合物113である。
【0174】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-d)の化合物である。式(I-d)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは3であり、XはOであり、pは0であり、Zはヘテロシクリル(例えば、酸素含有ヘテロシクリル、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、又はオキシラニル)である。いくつかの実施形態において、式(I-d)の化合物は、化合物110又は化合物114である。
【0175】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-f)の化合物である。式(I-f)のいくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、Mは-CH2-であり、Pは、窒素含有ヘテロアリール(例えば、イミダゾリル)であり、L3は-C(O)OCH2-であり、ZはCH3である。いくつかの実施形態において、式(I-f)の化合物は、化合物115である。
【0176】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(II-a)の化合物である。式(II-a)のいくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、qは0であり、L3は-CH2(OCH2CH2)2であり、Zは-OCH3である。いくつかの実施形態において、式(II-a)の化合物は、化合物112である。
【0177】
式(II-a)のいくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は独立して、水素であり、nは1であり、L3は結合又は-CH2であり、Zは水素又は-OHである。いくつかの実施形態において、式(II-a)の化合物は、化合物103又は化合物104である。
【0178】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III)の化合物である。式(III)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、RCは水素であり、Z1は、R5(例えば、-N(CH3)(CH2CH2)S(O)2CH3)で任意選択により置換されているヘテロアルキルである。いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、化合物120である。
【0179】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III-b)の化合物である。式(III-b)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは0であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、Z2は、1個のR5(例えば、-NH2)で置換されたアリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施形態において、式(III-b)の化合物は、化合物102である。
【0180】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III-b)の化合物である。式(III-b)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは3であり、pは0であり、RCは水素であり、Z2はヘテロシクリル(例えば、窒素含有ヘテロシクリル、例えば、窒素含有スピロヘテロシクリル、例えば、2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナニル)である。いくつかの実施形態において、式(III-a)の化合物は、化合物121である。
【0181】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(III-d)の化合物である。式(III-d)のいくつかの実施形態において、R2a、R2b、R2c、及びR2dの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは、1、2、3、又は4であり、pは0であり、XはS(O)2である。式(III-d)のいくつかの実施形態において、R2a及びR2bの各々は独立して、水素であり、mは1であり、nは2であり、qは、1、2、3、又は4であり、pは0であり、XはS(O)2である。いくつかの実施形態において、式(III-d)の化合物は、化合物101、化合物117、化合物118、又は化合物119である。
【0182】
いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b)、(I-d)、又は(I-e)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b)、(I-d)、又は(II)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b)、(I-d)、又は(I-f)の化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は、式(I-b)、(I-d)、又は(III)の化合物である。
【0183】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、国際公開第2012/112982号パンフレット、国際公開第2012/167223号パンフレット、国際公開第2014/153126号パンフレット、国際公開第2016/019391号パンフレット、国際公開第2017/075630号パンフレット、米国特許出願公開第2012-0213708号明細書、米国特許出願公開第2016-0030359号明細書又は米国特許出願公開第2016-0030360号明細書に開示されている化合物でない。
【0184】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、表3で示されている化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているデバイス内の外面及び/又は1個若しくは複数個の区画は、表3で示されている小分子化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0185】
【表3】
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】
いくつかの実施形態において、この化合物は、式(I)(例えば、式(I-a)、(I-b)、(I-c)、(I-d)、(I-e)、(I-f)、(II)、(II-a)、(III)、(III-a)、(III-b)、(III-c)、若しくは(III-d))の化合物又はその薬学的に許容可能な塩であり、並びに
【化46】

、又は前記化合物のいずれかの薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0189】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されているデバイスは、
【化47】

の化合物、又はいずれかの化合物の薬学的に許容可能な塩を含む。
【0190】
実施形態において、本明細書に記載のデバイスは、アルギン酸塩ポリマーに共有結合した式(I)の化合物(例えば、表3に示される化合物)を含む。実施形態において、本明細書に記載の粒子は、アルギン酸塩ポリマー中の1つ又は複数のグルロン酸及び/又はマンヌロン酸モノマーに、例えばアミド結合により、共有結合した式(I)の化合物(例えば、表3に示される化合物、例えば、化合物101)を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物(例えば、表3中の化合物101)は、以下の実施例に記載される窒素パーセントの燃焼分析によって決定した際に、少なくとも2.0%且つ9.0%未満の窒素、又は2.0%~5%の窒素、3.0~8.0%の窒素、5~8.0%の窒素、4.0~7.0%の窒素、5.0%~7.0%の窒素、又は6.0%~7.0%の窒素又は約6.8%の窒素のコンジュゲーション密度で、アルギン酸塩(例えば、おおよそのMW<75kDa、G:M比≧1.5を有するアルギン酸塩)に共有結合される。
【0192】
[処置方法]
本明細書に記載のFVIIタンパク質を発現及び分泌することができる複数の組み換えRPE細胞の投与又は移植によって対象の出血性障害を予防又は処置するための方法が本明細書に記載される。実施形態において、複数のRPE細胞は、本明細書に記載の移植可能なデバイスに含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、出血性障害の少なくとも1つの症状を直接的又は間接的に低減又は軽減するか、又は障害の発症を予防するか又は遅らせる。実施形態において、方法は、内側区画に本明細書に記載の組み換えRPE細胞及び細胞結合ポリマーを含み、式(I)の化合物、例えば、化合物101を、カプセルの外側表面上に、及び任意選択により外側区画内に含む、有効量の2区画アルギン酸塩ヒドロゲルカプセルの組成物を投与すること(例えば、移植すること)を含む。
【0193】
[列挙される例示的な実施形態]
1.第VII因子(FVII)タンパク質コード配列を含む、単離されたポリヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドは、以下の特徴:
(a)コード配列に動作可能に連結されたプロモーターであって、プロモーターは、配列番号10又は配列番号21と同一又は実質的に同一であるヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる、プロモーター;
(b)以下からなる群から選択される前駆体FVIIコード配列を含む、コード配列
(i)配列番号3、
(ii)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列、
(iii)配列番号4、及び
(iv)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列
【0194】
2.前駆体FVIIコード配列は、配列番号3又は配列番号4を含む、実施形態1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0195】
3.前駆体FVIIコード配列に動作可能に連結されたプロモーターとして、配列番号10を含む、実施形態2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0196】
4.FVIIタンパク質は、FVII融合タンパク質である、実施形態1~3のいずれか一つに記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0197】
5.FVII融合タンパク質は、配列番号11又は配列番号12を含む、実施形態4に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0198】
6.コード配列は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17若しくは配列番号18を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、実施形態5に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【0199】
7.上流転写ユニット及び下流転写ユニットを含む単離されたポリヌクレオチドであって、上流転写ユニットは、配列番号3に動作可能に連結された配列番号10を含み、下流転写ユニットは、配列番号3に動作可能に連結された配列番号21を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【0200】
8.単離された二本鎖DNA分子、例えば発現ベクターとして提供される、上記の実施形態のいずれか一つの単離されたポリヌクレオチド。
【0201】
9.FVIIタンパク質(例えば、ヒトFVIIタンパク質又はその変異体)を発現及び分泌することができる、複数の組み換えRPE細胞であって、複数の各細胞は、FVIIタンパク質のコード配列を含む外因性ヌクレオチド配列を含み、外因性ヌクレオチド配列は、以下の特徴:
(a)コード配列に動作可能に連結されたプロモーターであって、プロモーターは、配列番号10又は配列番号21と同一又は実質的に同一であるヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる、プロモーター;
(b)以下からなる群から選択される前駆体FVIIコード配列を含む、コード配列
(i)配列番号3、
(ii)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列、
(iii)配列番号4、及び
(iv)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列
の少なくとも1つ又は複数を有する、組み換えRPE細胞。
【0202】
10.前駆体FVIIコード配列は、配列番号3又は配列番号4を含む、実施形態9に記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0203】
11.外因性ヌクレオチド配列は、FVIIコード配列に動作可能に連結されたプロモーターとして配列番号10又は配列番号21を含む少なくとも1つの転写ユニットを含む、実施形態9又は10に記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0204】
12.FVIIタンパク質は、FVII融合タンパク質である、実施形態9~11のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0205】
13.FVII融合タンパク質は、配列番号11又は配列番号12を含む、実施形態12に記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0206】
14.外因性ヌクレオチド配列は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17又は配列番号18を含む、実施形態9~13のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0207】
15.外因性ヌクレオチド配列は、染色体外発現ベクターを含むか、又はRPE細胞の核ゲノム内の少なくとも1つの位置に組み込まれている、実施形態9~14のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0208】
16.実施形態1~8のいずれか一つに記載の単離ポリヌクレオチドでトランスフェクトされたARPE-19細胞に由来する、実施形態9~15のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0209】
17.ポリクローナル細胞培養物として、又はモノクローナル細胞株培養物として提供される、実施形態9~16のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0210】
18.複数が以下の特徴:
a)少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも1か月、又は少なくとも2か月間、例えば、インビトロ細胞培養において、又は対象に移植された場合(例えば、本明細書に記載の参照方法によって評価される場合)に、FVIIタンパク質を分泌する;又は
b)前駆体FVIIをコードする野生型ヒトヌクレオチド配列でトランスフェクトされた参照の複数の組み換えRPE細胞よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍多い量のFVIIタンパク質を分泌する
の1つ又は複数を示す、実施形態8~17のいずれか一つに記載の複数の組み換えRPE細胞。
【0211】
19.実施形態9~18のいずれかに記載の複数の組み換えRPE細胞を含む少なくとも1つの細胞含有区画と、デバイスが対象に移植される場合の異物反応(FBR)を軽減するための少なくとも1つの手段とを含む、移植可能なデバイス。
【0212】
20.少なくとも1つの細胞含有区画が、複数の組み換えRPE細胞をカプセル化するポリマー組成物を含み、任意選択により少なくとも1つの細胞結合物質(CBS)を含む、実施形態19に記載のデバイス。
【0213】
21.細胞含有区画が、アルギン酸ヒドロゲルを含み、且つバリア区画で取り囲まれており、バリア区画は、アルギン酸塩ヒドロゲルを含み、任意選択により、バリア区画の外面に配置された式(I)の化合物、例えば、表3の化合物101を含む、実施形態19又は20に記載のデバイス。
【0214】
22.ポリマー組成物はペプチドで共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含み、ペプチドはGRGDSP(配列番号49)、GGRGDSP(配列番号51)、又はGGGRGDSP(配列番号52)から本質的になるか、又はそれからなる、実施形態20又は21に記載のデバイス。
【0215】
23.バリア区画が、未修飾のアルギン酸塩と化合物101で修飾されたアルギン酸塩との混合物を含み、
(a)非修飾アルギン酸塩は、分子量が150kDa~250kDaであり、且つG:M比が1.5以上であり、
(b)修飾アルギン酸塩におけるアルギン酸塩は、分子量が75kDa未満であり、且つG:M比が1.5以上である、
実施形態21又は22に記載のデバイス。
【0216】
24.修飾アルギン酸塩における化合物101のコンジュゲーション密度が、例えば本明細書の下記の実施例9で説明されている、定量的遊離アミン分析により決定され、決定されたコンジュゲーション密度は、1.0w/w%~3.0w/w%、1.3w/w%~2.8w/w%、1.3w/w%~2.6w/w%、1.5w/w%~2.4w/w%、1.5w/w%~2.2w/w%、若しくは1.7w/w%~2.2w/w%である、によって決定される、実施形態23のデバイス。
【0217】
25.ヒドロゲルカプセルであって、
(a)第1のRGD-ポリマーを含む第1のポリマー組成物中でカプセル化された、実施形態8~17のいずれか一つに記載の複数の組み換え細胞を含む内側細胞含有区画であって、任意選択により、複数の細胞の濃度は、第1のポリマー組成物1mlあたり4000万細胞;第1のポリマー組成物1mlあたり4000万~1億細胞、若しくは1mlあたり6000万~1億細胞、又は1mlあたり8000万~1億細胞のいずれかである、内側細胞含有区画;及び
(b)細胞含有区画を取り囲み且つ第2のポリマー組成物を含むバリア区画であって、第2のポリマー組成物は、非修飾アルギン酸塩と、表3で示されている化合物100、化合物101、化合物110、化合物112、化合物113、及び化合物114からなる群から選択される少なくとも1種の化合物で共有結合的に修飾されたアルギン酸塩との混合物を含む、バリア区画
を含み、ヒドロゲルカプセルは、球状の形状であり、且つ直径が0.5ミリメートル~5ミリメートルであり、任意選択的に、バリア区画の平均厚は、約10~約300ミクロン、約20~約150ミクロン、又は約40~約75ミクロンである、ヒドロゲルカプセル。
【0218】
26.第VII因子タンパク質の分泌の増加に有効な量の第1のRGD-ポリマーを含み、第1のRGD-ポリマーは、リンカーを介してRGDペプチドで共有結合的に修飾されたアルギン酸塩から本質的になり、細胞含有区画は、あらゆる抗線維性化合物を実質的に含まず、バリア区画は、細胞及びRGDペプチドを実質的に含まず、任意選択的に、RGD-ポリマーの有効量は、最適な量である、実施形態25に記載のヒドロゲルカプセル。
【0219】
27.RGDペプチドは、RGD(配列番号33)又はRGDSP(配列番号48)のアミノ酸配列から本質的になり、リンカーは、RGDペプチドのN末端に付着している単一のグリシン残基又は単一のベータ-アラニン残基である、実施形態25又は26に記載のヒドロゲルカプセル。
【0220】
28.
(a)第1のRGD-ポリマー中のポリマーは、アルギン酸塩であり、分子量が150~250kDaであり且つG:M比が1.5以上であり、任意選択的に、細胞含有区画は、約90cPと、約230cP~約300、350、若しくは400cPとの間、又は約80~約120cPの粘度のアルギン酸塩溶液から形成されており;
(b)バリア区画中における共有結合的に修飾されたアルギン酸塩中のアルギン酸塩は、分子量が<75kDaであり、且つG:M比が1.5以上であり;
(c)バリア区画中の非修飾アルギン酸塩は、分子量が150kDa~250kDaであり、且つG:M比が1.5以上であり、
(d)任意選択的に、バリア区画は、共有結合的に修飾されたアルギン酸塩と非修飾アルギン酸塩との混合物を含み且つ粘度が250~350cPであるアルギン酸塩溶液から形成されている、
実施形態25 ~27のいずれか一つに記載に記載のヒドロゲルカプセル。
【0221】
29.
(a)カプセルは、直径が約1.0ミリメートル~2.0ミリメートルであり;
(b)アルギン酸塩上のRGDペプチドのコンジュゲーション密度は、一定量に凍結乾燥されているRGD-ポリマー(配列番号33)の燃焼分析(例えば、本明細書の実施例1Bで説明されている)により決定された窒素パーセントであり、決定された窒素パーセントは、約0.10%の窒素(N)~1.00%のN、約0.20%のN~約0.80%のN、約0.30%のN~約0.60%のN、約0.30%~約0.50%、又は0.33%のN~0.46%のNであり;
(c)バリア区画中の共有結合的に修飾されたアルギン酸塩は、化合物101のみで修飾されており、共有結合的に修飾されたアルギン酸塩中の化合物101の密度は、例えば本明細書の実施例1Aで説明されている、一定量に凍結乾燥されている共有結合的に修飾されたアルギン酸塩の燃焼分析により決定された窒素パーセントであり、決定された窒素パーセントは、少なくとも2.0%及び9.0%未満であるか、又は3.0%~8.0%、4.0%~7.0%、5.0%~7.0%、若しくは6.0%~7.0%であるか、又は約6.8%である、
実施形態28に記載のヒドロキシカプセル。
【0222】
30.
(a)カプセルは、直径が約1.5ミリメートルであり;
(b)RGDペプチドは、RGDSP(配列番号48)のアミノ酸配列から本質的になり、及びリンカーは、単一のグリシン残基であり;
(c)アルギン酸塩上のRGDペプチドのコンジュゲーション密度は、
(i)例えば本明細書で説明されているアッセイにより決定した場合に、組み換えRPE細胞の生存率を増加させるのに十分な量;
(ii)例えば本明細書で説明されているアッセイにより決定した場合に、組み換えRPE細胞の産生性を増加させるのに十分な量;
(iii)一定重量に凍結乾燥されているRGD-ポリマーの燃焼分析(例えば本明細書の実施例1Bで説明されている)により決定され、約0.10%の窒素(N)~1.00%のN、約0.20%のN~約0.80%のN、約0.30%のN~約0.60%のN、約0.30%~約0.50%、又は0.33%のN~0.46%のNである決定した窒素パーセント;
(iv)例えば本明細書の実施例7及び任意選択的に実施例8で説明されているように、溶液中のRGD-ポリマー1グラム当たりGRGDSP(配列番号49)0.1~1.0、0.2~0.8、0.3~0.7、又は0.3~0.6マイクロモル;
並びに
(v)c(i)、c(ii)、c(iii)、及びc(iv)の内の2つ以上の任意の組み合わせ
からなる群から選択され、
(d)バリア区画中の共有結合的に修飾されたアルギン酸塩は、化合物101のみで修飾されており、共有結合的に修飾されたアルギン酸塩中の化合物101の密度は、
(i)例えば本明細書の実施例1Aで説明されている、一定量に凍結乾燥されている共有結合的に修飾されたアルギン酸塩の燃焼分析により決定された窒素パーセントであり、決定された窒素パーセントは、少なくとも2.0%及び9.0%未満であるか、又は3.0%~8.0%、4.0%~7.0%、5.0%~7.0%、若しくは6.0%~7.0%であるか、又は約6.8%であるか;
又は
(ii)例えば本明細書の実施例9で説明されている、定量的遊離アミン分析により決定された重量/重量ベースの%アミンであり、決定された密度は、1.0w/w%~3.0w/w%、1.3w/w%~2.8w/w%、1.3w/w%~2.6w/w%、1.5w/w%~2.4w/w%、1.5w/w%~2.2w/w%、又は1.7w/w%~2.2w/w%である、
実施形態29に記載のヒドロゲルカプセル。
【0223】
31.RGD-ポリマー中のアルギン酸塩上のRGDペプチドのコンジュゲーション密度は、溶液中のRGD-ポリマー1グラム当たりGRGDSP(配列番号49)0.3~0.6マイクロモルである、実施形態30に記載のヒドロゲルカプセル。
【0224】
32.デバイスの調製物であって、調製物中の各デバイスは、実施形態18~23のいずれか一項に記載のデバイスである、デバイスの調製物。
【0225】
33.複数のヒドロゲルカプセルを含む組成物であって、組成物中の各カプセルは、実施形態25~31のいずれか一つに記載のヒドロゲルカプセルである、組成物。
【0226】
34.各カプセルは、直径が0.5ミリメートル~2ミリメートル;0.7ミリメートル~1.8ミリメートル、1.0ミリメートル~1.8ミリメートル;1.2ミリメートル~1.7ミリメートル;1.3ミリメートル~1.7ミリメートル;及び1.4~1.6ミリメートルからなる群から選択される球状のヒドロゲルカプセルである、実施形態33に記載の組成物。
【0227】
35.薬学的に許容可能な組成物である、実施形態33又は34の組成物。
【0228】
36.FVII療法剤を、それを必要とする患者に送達する方法であって、実施形態32に記載のデバイスの調製物又は実施形態33~35のいずれか一つに記載の組成物の有効量を患者に投与することを含む方法。
【0229】
37.患者が血友病を有する、実施形態36に記載の方法。
【0230】
38.患者は、先天性FVII欠乏症又は後天性FVII欠乏症を有すると診断されている、実施形態37に記載の方法。
【0231】
39.実施形態1~8のいずれか一つで定義されるようなポリヌクレオチドでRPE細胞を安定的にトランスフェクトすること、及び任意選択により、FVIIタンパク質を発現するモノクローナル細胞株を単離することを含む、本明細書に記載の特性を有するFVIIタンパク質(例えば、ヒトFVIIタンパク質又はその変異体)を産生するように複数のRPE細胞を組み換える方法。
【0232】
40.複数のRPE細胞は、ARPE-19細胞に由来する、実施形態39の方法。
【0233】
41.FVIIタンパク質を発現及び分泌することができる、組み換えRPE細胞であって、細胞は、FVIIタンパク質のコード配列を含む外因性ヌクレオチド配列を含み、コード配列は、(i)配列番号3、(ii)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列、(iii)配列番号4、及び(iv)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一のヌクレオチド配列からなる群から選択される前駆体FVIIコード配列を含む、組み換えRPE細胞。
【0234】
42.外因性ヌクレオチド配列は、コード配列に動作可能に連結されたプロモーターであって、プロモーターは、任意選択により、配列番号10又は配列番号21と同一又は実質的に同一であるヌクレオチド配列から本質的になるか、又はそれからなる、プロモーターをさらに含む、実施形態41に記載のRPE組み換え細胞。
【0235】
43.コード配列は配列番号3を含み、プロモーターは配列番号10又は配列番号21からなる、実施形態42に記載の組み換えRPE細胞。
【0236】
44.FVIIタンパク質は、FVII融合タンパク質であり、任意選択により、FVII融合タンパク質は、配列番号11又は配列番号12を含む、実施形態41に記載の組み換えRPE細胞。
【0237】
45.コード配列は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、又は配列番号18を含む、実施形態44に記載の組み換えRPE細胞。
【0238】
46.配列番号23、配列番号24、又は配列番号25を含む、実施形態41に記載の組み換えRPE細胞。
【0239】
47.配列番号22を含む、実施形態41に記載の組み換えRPE細胞。
【0240】
48.染色体外発現ベクターを含むか、又はRPE細胞の少なくとも1つの染色体位置に組み込まれている、実施形態41~47のいずれか一つに記載の組み換えRPE細胞。
【0241】
49.ARPE-19細胞に由来する、実施形態41~48のいずれか一つに記載の組み換えRPE細胞。
【0242】
50.実施形態41~49のいずれか一つに記載の組み換えRPE細胞を含む組成物。
【0243】
51.ポリクローナル細胞培養物又はモノクローナル細胞株の培養物である、実施形態50に記載の組成物。
【0244】
52.配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号22、配列番号23、配列番号24、又は配列番号25からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離された二本鎖DNA分子。
【0245】
53.配列番号22から本質的になる、実施形態52に記載の単離されたDNA分子。
【0246】
54.実施形態41~49のいずれか一つに記載の組み換えRPE細胞を含む少なくとも1つの細胞含有区画と、デバイスが対象に移植される場合の異物反応(FBR)を軽減するための少なくとも1つの手段とを含む、移植可能なデバイス。
【0247】
55.少なくとも1つの細胞含有区画が、複数の組み換えRPE細胞をカプセル化するポリマー組成物を含み、任意選択により少なくとも1つの細胞結合物質(CBS)を含む、実施形態54に記載の移植可能なデバイス。
【0248】
56.細胞含有区画は、アルギン酸塩ヒドロゲル、及び任意選択により、バリア区画の外面に配置された式(I)の化合物を含む、バリア区画で取り囲まれている、実施形態54又は55に記載の移植可能なデバイス。
【0249】
57.ポリマー組成物はペプチドで共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含み、ペプチドはGRGDSP(配列番号49)又はGGRGDSP(配列番号51)から本質的になるか、又はそれからなり、バリア区画は、
【化48】

で修飾されたアルギン酸塩又はその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態55又は56に記載の移植可能なデバイス。
【0250】
58.ヒドロゲルカプセルであって、
(a)第1のポリマー組成物中でカプセル化された、実施形態41~49のいずれか一つに記載の組み換え細胞を含む内側区画であって、第1のポリマー組成物は、ヒドロゲル形成ポリマーを含む、内側区画;及び
(b)内側区画を取り囲み且つ第2のポリマー組成物を含むバリア区画であって、第2のポリマー組成物は、表3で示されている化合物100、化合物101、化合物110、化合物112、化合物113、及び化合物114からなる群から選択される少なくとも1種の化合物で共有結合的に修飾されたアルギン酸塩を含む、バリア区画
を含む、ヒドロゲルカプセル。
【0251】
59.選択された化合物は、
【化49】

である、実施形態58に記載のヒドロゲルカプセル。
【0252】
60.内側区画は、実施形態41~49のいずれか一つに記載の複数の組み換え細胞を含み、任意選択により、内側区画内の組み換え細胞の濃度は、第1のポリマー組成物1mlあたり少なくとも4000万個の細胞である、実施形態58又は59に記載のヒドロゲルカプセル。
【0253】
61.組み換え細胞は、ARPE-19細胞に由来し、配列番号25を含む、実施形態58~60のいずれか一つに記載のヒドロゲルカプセル。
【0254】
62.実施形態19~22のいずれか一つの複数のヒドロゲルカプセルを含む組成物。
【0255】
63.実施形態54~57のいずれか一つに記載の移植可能なデバイス、実施形態58若しくは59のいずれか一つに記載のヒドロゲルカプセル、又は実施形態62に記載の組成物を投与することを含む、FVII療法剤を、それを必要とする患者に送達する方法。
【0256】
[実施例]
本明細書に記載の本開示がより完全に理解され得るよう、以下の実施例が記載されている。本出願に記載されている実施例は、本明細書において提供されている組み換えRPE細胞、移植可能なデバイス、及び組成物及び方法を例示するために提供されており、如何様にもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0257】
[実施例1:例示的な組み換えARPE-19細胞の生成及び培養]
FVII分泌細胞は、図8に示される発現ベクターを使用して作成され、ここで、前駆体FVIIタンパク質をコードする外因性ヌクレオチド配列は、標準的なクローニング方法を使用して挿入された。これを達成するために、ARPE-19細胞をFVII発現ベクターとともにトランスポザーゼプラスミドを含むPiggyBacでコトランスフェクトし、安定的にトランスフェクトされた細胞を、ピューロマイシンを含む完全成長培地で培養した。FVII発現ベクターは、5’ITRと3’ITRの間に1つ又は2つの転写ユニットが挿入されていることを除き、図6のベクターと同一であった。プロモーター配列及び挿入されたFVIIコード配列又はFVII-アルブミン融合配列を除き、各転写ユニットの骨格配列は、図6A及び図6Bに示される対応する配列と同一であり、例えば、各転写ユニットは、同じKozak配列及び同じrBG pA配列を有していた。FVII発現ベクターに存在するプロモーターとFVIIコード配列との組み合わせを以下に列挙する。
【0258】
FVII-1ベクター:野生型、ヒト前駆体FVIIのコドン最適化コード配列である配列番号3に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含む、単一の転写ユニット。
【0259】
FVII-2ベクター:野生型、ヒト前駆体FVIIのコドン最適化コード配列である配列番号4に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含む、単一の転写ユニット。
【0260】
FVII-3ベクター:野生型、ヒト前駆体FVIIの野生型コード配列である配列番号2に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含む、単一の転写ユニット。
【0261】
FVII-4ベクター:上流ユニットは配列番号2に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含み、下流ユニットは配列番号3に融合した配列番号21を含む、2つの転写ユニット。
【0262】
FVII-5ベクター:配列番号8に融合した配列番号3に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含む、単一の転写ユニット。配列番号8は、成熟ヒト血清アルブミンタンパク質のコドン最適化コード配列に融合された切断可能なリンカーペプチドからなる。
【0263】
FVII-6ベクター:配列番号6に融合した配列番号3に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含む、単一の転写ユニット。配列番号6は、FVII-5ベクターで使用される成熟ヒト血清アルブミンタンパク質の同じコドン最適化コード配列に融合されたグリシンセリンリンカーペプチドからなる。
【0264】
FVII-7ベクター:上流ユニットは配列番号3に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含み、下流ユニットは配列番号2に動作可能に連結された異なるプロモーター(配列番号21)を含む、2つの転写ユニット。
【0265】
FVII-8ベクター:上流は配列番号8に融合した配列番号3に動作可能に連結されたプロモーター(配列番号10)を含み、下流ユニットは配列番号8に融合した配列番号3に対し動作可能に配列番号21を含む、2つの転写ユニット。
【0266】
得られた、安定的にトランスフェクトされたARPE-19細胞を、以下のプロトコルに従って培養した。細胞は、150cm2の細胞培養フラスコ内の完全成長培地(10%FBSを含むDMEM:F12)で成長させた。細胞を継代するために、培養フラスコ内の培地を吸引し、細胞層をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4、137mM NaCl、2.7mM KCl、8mM Na2HPO4、及び2mM KH2PO4、Gibco)で短時間すすいだ。5~10mLの0.05%(w/v)トリプシン/0.53mM EDTA溶液(「TrypsinEDTA」)を、フラスコに添加し、細胞を、細胞層が分散されるまで、通常、3~5分間、倒立顕微鏡で観察した。凝集を避けるために、細胞を慎重に取り扱い、分散期間中フラスコをぶつけたり又は振ったりするのを最小限に抑えた。細胞が脱離しなかった場合、フラスコを37℃に置いて、分散を促進した。細胞が分散したら、10mLの完全成長培地を添加し、細胞を、穏やかなピペッティングによって吸引した。細胞懸濁液を遠心分離管に移し、5~10分間にわたって約125×gで遠沈して、TrypsinEDTAを除去した。上清を廃棄し、細胞を新鮮な成長培地に再懸濁させた。適切な分量の細胞懸濁液を新たな培養容器に添加し、これを37℃でインキュベートした。培地は毎週取り替えた。
【0267】
[実施例2:例示的な組み換えARPE-19細胞からのFVIIの分泌]
細胞からのFVIIタンパク質分泌を定量化するために、実施例1に記載の様々なFVII発現コンストラクトで組み換えられたARPE-19細胞のポリクローナル集団を上記のようにトリプシン処理し、2mlの増殖培地中、500,000個の細胞を6ウェル組織培養皿の単一ウェルに播種した。組み換え細胞は、成長培地を新鮮な培養培地と交換する前に、3~4時間沈降させ、皿に付着させた。培地交換の1日(24時間)後に、分泌されたFVIIを含む成長培地を回収し、氷上に置いた。細胞を前述のようにリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、0.05%トリプシンEDTAでトリプシン処理した。細胞を採取し、Countess IIセルアナライザーでトリパンブルーを使用してカウントした。FVIIタンパク質レベルは、上記の組み換え細胞からの馴化成長培地を使用して決定され、市販のFVII ELISAキット(Abcam#190810)で実行される。総タンパク質分泌は、細胞の総数(ピコグラム/細胞/日)に対して正規化され、結果は図9に示される。
【0268】
[実施例3:式(I)の例示的な化合物の合成]
[一般的なプロトコル]
以下の手順は、本明細書に記載の移植可能なデバイスを調製するための例示的な化合物を調製する方法を説明する。本明細書で提供される化合物は、当業者に周知である、以下に記載される特定の合成プロトコルへの改変を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。典型的又は好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられている場合、特に明記しない限り、他のプロセス条件も使用できることが理解されよう。最適な反応条件は、使用される特定の反応物又は溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、当業者が日常的な最適化手順によって決定することができる。
【0269】
さらに、当業者には明らかであるように、特定の官能基が望ましくない反応を受けるのを防ぐために、従来の保護基が必要とされ得る。特定の官能基に適した保護基の選択、並びに保護及び脱保護に適した条件は、当該技術分野で周知である。例えば、多数の保護基、及びそれらの導入及び除去は、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991及びそこに引用されている参考文献に記載されている。
【0270】
[1,4-置換トリアゾールを得るためのヒュスゲン環化付加]
銅触媒によるヒュスゲン[3+2]環化付加反応を使用して、トリアゾールベースの化合物及びその組成物、デバイス、及び材料を調製した。範囲及び典型的なプロトコルは、多くのレビューの対象となっている(例えば、Meldal,M.及びTornoe,C.W.Chem.Rev.(2008)108:2952-3015;Hein,J.E.及びFokin,V.V.Chem.Soc.Rev.(2010)39(4):1302-1315;これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。
【化50】
【0271】
上記の例では、アジドは結合エレメントAを含む断片の反応性部分であり、アルキンはペンダント基Zの反応性成分である。以下に示すように、これらの機能性ハンドルを交換して、構造的に関連するトリアゾール製品を生成できる。これらの代替物の調製は類似しており、特別な考慮は不要である。
【化51】
【0272】
ヨウ化物から出発する典型的なヒュスゲン環化付加手順の概要を以下に示す。いくつかの場合において、安全のために反応の過程でヨウ化物がアジドに変換される。
【化52】
【0273】
メタノール溶液(1.0M、限定試薬)中のアジ化ナトリウム(1.1当量)、アスコルビン酸ナトリウム(0.1当量)、トランス-N,N’-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.25当量)、ヨウ化銅(I)の溶液を、バブリング窒素で脱気し、アセチレン(1当量)及びヨウ化アリール(1.2当量)で処理した。この混合物を室温で5分間撹拌し、次に55℃まで16時間温めた。次に、反応物を室温に冷却し、漏斗を通してろ過し、ろ過ケーキをメタノールで洗浄した。合わせたろ液を濃縮し、ジクロロメタン中のシリカゲル(120gシリカ、0~40%の勾配(3%水酸化アンモニウム水溶液、22%メタノール、残りはジクロロメタン)でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の標的物質を得た。
【0274】
アジドから出発する典型的なヒュスゲン環化付加手順の概要を以下に示す。
【化53】
【0275】
メタノール(0.4M、限定試薬)中のトリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(0.2当量)、トリエチルアミン(0.5当量)、ヨウ化銅(I)(0.06当量)の溶液をアセチレン(1.0当量)で処理し、0℃に冷却した。反応物を30分かけて室温まで温め、次に55℃まで16時間加熱した。反応物を室温に冷却し、濃縮し、ジクロロメタン中のHPLC(C18カラム、0~100%の勾配(3%水酸化アンモニウム水溶液、22%メタノール、残りはジクロロメタン)で精製して、所望の標的材料を得た。
【0276】
[1,5-置換トリアゾールを得るためのヒュスゲン環化付加]
ヒュスゲン[3+2]環化付加もルテニウム触媒を用いて実施されて、1,5-二置換生成物が優先的に得られた(例えば、Zhang et al,J.Am.Chem.Soc.,2005,127,15998-15999;Boren et al,J.Am.Chem.Soc.,2008,130,8923-8930に記載されるとおりであり、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【化54】
【0277】
前述のように、アジド基とアルキン基を交換して、以下に示すものと同様のトリアゾールを形成することができる。
【化55】
【0278】
典型的な手順は次の通りである:ジオキサン(0.8M)中のアルキン(1当量)及びアジド(1当量)の溶液を、ジオキサン(0.16M)中のペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)塩化ルテニウム(II)(0.02当量)の溶液に滴下して加えた。バイアルを窒素でパージし、密封し、混合物を60℃まで12時間加熱した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、必要な化合物を得た。
【0279】
[(4-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(3)の実験手順]
【化56】

メタノール(9mL)及び水(1mL)中の(4-ヨードフェニル)メタンアミン(1、843mg、3.62mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(74μL、0.47mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(72mg、0.36mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(69mg、0.36mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(470mg、7.24mmol、2.0当量)、及び1-メチル-4-(プロプ-2-イン-1-イル)ピペラジン(2、0.5g、3.62mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、褐色がかったスラリーをジクロロメタンで抽出した。合わせたジクロロメタン相にセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(80g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から7.5%に徐々に増加させて、(4-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(3、0.45g、43%)を得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H22N6の計算値287.2;測定値287.1。
【0280】
[N-(4-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(4)の実験手順]
【化57】

CH2Cl2(50mL)中の(4-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(3、1.2g、4.19mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.70mL、5.03mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0°Cに冷却し、塩化メタクリロイル(5mLのCH2Cl2中0.43mL、4.40mmol、1.05eq)を加えた。氷浴で冷却しながら、反応物を1日撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)の濃度を0%から7.5%に徐々に増加させた。溶媒を減圧下で除去し、得られた固体をジエチルエーテルで粉砕し、ろ過し、ジエチルエーテルで複数回洗浄して、N-(4-(4-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(4、0.41g、28%収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C19H26N6Oの計算値355.2;測定値355.2。
【0281】
[(4-(4-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(6)の実験手順]
【化58】

メタノール(40mL)及び水(4mL)中の(4-ヨードフェニル)メタンアミン(1、2.95g、12.64mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(259μL、1.64mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(250mg、1.26mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(241mg、1.26mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(1.64g、25.29mmol、2.0当量)、及び1-メチル-4-(プロプ-2-イン-1-イル)ピペラジン(5、2.0g、12.64mmol、1.0当量)の混合物を窒素で5分間パージし、55°Cで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタンに溶解し、ろ過し、セライト(10g)で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(220g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から6.25%まで徐々に増加させて、(4-(4-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(6、1.37g、35%)を得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H22N4O3の計算値307.2;測定値307.0。
【0282】
[N-(4-(4-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(7)の実験手順]
【化59】

CH2Cl2(50mL)中の4-(4-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(6、1.69g、5.52mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.92mL、6.62mmol、1.2当量)の溶液を氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(0.57mL、5.79mmol、1.05当量)を滴下して加えた。反応物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲル(80g)クロマトグラフィーによって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から1.25%に徐々に増加させて、N-(4-(4-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(7、1.76g、85%収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C19H26N4O4の計算値375.2;測定値375.0。
【0283】
[3-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)オキセタン(9)の実験手順]
【化60】

THF(200mL)中の水素化ナトリウム(27.0g、675mmol、純度60%)の懸濁液を氷浴で冷却した。オキセタン(oexetan)-3-オール(8、25g、337mmol)を滴下し、0℃で30分間撹拌した。次に、3-ブロモプロプ1-イン(9、41.2mL、371mmol、純度80%)を滴下して加えた。室温まで温めながら、混合物を一晩撹拌した。混合物をセライトでろ過し、THFで洗浄し、減圧下で、セライトで濃縮した。粗生成物をシリカゲル(220g)で精製し、ヘキサン/EtOAcで溶出した。移動相中のEtOAcの濃度を0から25%に増加させて、(9、18.25g 48%)の黄色の油を得た。
【0284】
[3-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(11)の実験手順]
【化61】

メタノール(80mL)中の3-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)オキセタン(9、7.96g、71mmol、1.0当量)、3-アジドプロパン-1-アミン(10、7.82g、78mmol、1.1当量)の混合物、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-アミン(8.29g、15.6mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(1.35g、7.1mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(2.47mL、17.8mmol、0.25当量)を55℃まで温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(20g)を加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から15%に徐々に増加させて、3-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(11、11.85g、79%)を黄色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C9H16N4O2の計算値213.1;測定値213.0。
【0285】
[N-(3-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピル)メタクリルアミド(12)の実験手順]
【化62】

CH2Cl2(100mL)中の3-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(11、3.94g、18.56mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(3.1mL、22.28mmol、1.2当量)の溶液を氷浴で0℃に冷却し、塩化メタクリロイル(1.99mL、20.42mmol、1.1当量)を滴下して加えた。室温まで温めながら、反応物を一晩撹拌した。20グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(220g)によって精製した。メタノールの濃度を0%から5%に徐々に増加させて、N-(3-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピル)メタクリルアミド(12、3.22g、62%収率)を固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C13H20N4O3の計算値281.2;測定値281.0。
【0286】
[N-(4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(14)の実験手順]
【化63】

CH2Cl2(100mL)中の(4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(13、WuXiから入手、1.2g、5.70mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(15mL、107.55mmol、18.9当量)の溶液に塩化メタクリロイル(893mg、8.54mmol、1.5当量)をゆっくりと滴下して加えた。反応物を一晩撹拌した。20グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から1.25%に徐々に増加させて、N-(4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(14、1.38g、40%収率)を得た。
【0287】
[(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(15)の実験手順]
【化64】

メタノール(50mL)及び水(12mL)中の(4-ヨードフェニル)メタンアミン塩酸塩(5.0g、18.55mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.59mL、3.71mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(368mg、1.86mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(530mg、2.78mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(2.41g、37.1mmol、2.0当量)、Et3N(3.11mL、22.26mmol、1.2当量)及び2-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(2.6g、18.55mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、413ろ紙を通してろ過した。セライトを加え、溶媒を減圧下で除去し、残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から6.25%まで徐々に増加させて、(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(15、3.54g、66%)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H20N4O2の計算値289.2;測定値289.2。
【0288】
[N-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(16)の実験手順]
【化65】

CH2Cl2(40mL)中の(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(15、3.46g、12.00mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(2.01mL、14.40mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃まで冷却し、塩化メタクリロイル(1.23mL、12.60mmol、1.05当量、5mLのCH2Cl2中に希釈)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応物を4時間撹拌した。20グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から3.75%に徐々に増加させて、N-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(16、2.74g、64%収率)を白色固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C19H24N4O3の計算値357.2;測定値357.3。
【0289】
[N-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(17)の実験手順]
【化66】

N-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(16、1.2g、3.37mmol、1.0当量)の溶液を、メタノール(6mL)及びHCl(1N、水溶液、9mL)中に室温で一晩溶解させた。セライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(24g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から12.5%に徐々に増加させて、N-(4-(4-(ヒドロキシメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(17、0.85g、92%収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C14H16N4O2の計算値273.1;測定値273.1。
【0290】
[(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)カルバメート(19)の実験手順]
【化67】

ジクロロメタン(100mL)中のベンジル(4-(ヒドロキシメチル)ベンジル)カルバメート(2.71g、10mmol、1当量)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(1.81mL、20mmol、2当量)、p-トルエンスルホン酸一水和物(285mg、1.5mmol、0.15当量)を室温で一晩撹拌した。セライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、溶離液としてヘキサン/EtOAcを使用して、100%ヘキサンで開始し、EtOAcの濃度を100%まで徐々に増加させてシリカゲル(24g)で精製して、ベンジル(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)-カルバメート(19、2.4g、68%)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+Na]+ C21H25NO4の計算値378.17;測定値378.17。
【0291】
[(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-フェニル)メタンアミン(20)の実験手順]
【化68】

EtOH中の(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)カルバメート(19、1.5g、4.2mmol、1当量)、パラジウム炭素(160mg、10重量%)を短時間排気し、次にバルーンで水素を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。セライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(12g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%まで徐々に増加させて、(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)フェニル)メタンアミン(20、890mg、95%)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C13H19NO2の計算値222.15;測定値222.14。
【0292】
[N-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)-メタクリルアミド(21)の実験手順]
【化69】

CH2Cl2(10mL)中の(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)フェニル)メタンアミン(20、0.5g、2.26mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.47mL、3.39mmol、1.5当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.33mL、3.39mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAcを使用するシリカゲルクロマトグラフィー(12g)により、100%ヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%に増加させて、N-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)ベンジル)メタクリルアミド(21、0.47g、72%収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+Na]+ C17H23NO3の計算値312.16;測定値312.17。
【0293】
[(4-(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(22)の実験手順]
【化70】

メタノール(20mL)及び水(5mL)中の(4-ヨードフェニル)メタンアミン(5.0g、21.45mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.44mL、2.79mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(425mg、2.15mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(409mg、2.15mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(2.79g、42.91mmol、2.0当量)、及び2-(ブト-3-イン-1-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(3.36mL、21.45mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55°Cで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、413ろ紙を通してろ過した。セライト(10g)を加え、溶媒を減圧下で除去し、残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から5%に徐々に増加させて、(4-(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(22、3.15g、49%)を固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C16H22N4O2の計算値303.18;測定値303.18。
【0294】
[N-(4-(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(23)の実験手順]
【化71】

CH2Cl2(55mL)中の(4-(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(22、3.10g、10.25mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.71mL、12.30mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃まで冷却し、塩化メタクリロイル(1.05mL、12.30mmol、1.2当量、5mLのCH2Cl2中に希釈)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応物を4時間撹拌した。8グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から2.5%まで徐々に増加させて、N-(4-(4-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(23、2.06g、54%収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C20H26N4O3の計算値371.2078;測定値371.2085。
【0295】
[(4-(1-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)メタンアミン(24)の実験手順]
【化72】

メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4-エチニルフェニル)メタンアミン(2.36g、18.00mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.56mL、3.60mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(357mg、1.80mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(514mg、2.70mmol、0.15当量)、及び2-(2-アジドエトキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(3.08、18.00mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトでろ過し、MeOH(3×50mL)ですすいだ。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタンに再溶解し、セライト(20g)を加え、溶媒を減圧下で除去し、残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%に徐々に増加させて、(4-(1-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)メタンアミン(24、3.51g、64%)を黄色がかった油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C16H22N4O2の計算値303.1816;測定値303.1814。
【0296】
[N-(4-(1-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)メタクリルアミド(25)の実験手順]
【化73】

CH2Cl2(30mL)中の(4-(1-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル)メタンアミン(24、1.5g、4.96mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.04mL、7.44mmol、1.5当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.72mL、7.44mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAcを使用するシリカゲルクロマトグラフィー(40g)により、100%ヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%に増加させて、N-(4-(1-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)メタクリルアミド(25、0.9g、49%収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+Na]+ C20H26N4O3の計算値371.2078;測定値371.2076。
【0297】
[1-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)エタン-1-アミン(26)の実験手順]
【化74】

メタノール(9mL)及び水(1mL)中の1-(4-ヨードフェニル)エタン-1-アミン塩酸塩(1.0g、4.05mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.08mL、0.53mmol、0.13当量)、アスコルビン酸ナトリウム(80mg、0.40mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(77mg、0.40mmol、0.1当量)、アジ化ナトリウム(526g、8.09mmol、2.0当量)、及び2-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(0.57g、4.05mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残留物をジクロロメタンに再溶解し、セライトのプラグでろ過した。ろ液にセライトを加え、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(40g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から5%に徐々に増加させて、1-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)エタン-1-アミン(26、0.62g、51%)を黄色がかった固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C16H22N4O2の計算値303.2;測定値303.2。
【0298】
[N-(1-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)エチル)メタクリルアミド(27)の実験手順]
【化75】

CH2Cl2(11mL)中の1-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)エタン-1-アミン(26、0.52g、1.7mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.29mL、2.1mmol、1.2当量)の溶液を、氷浴で0℃まで冷却し、塩化メタクリロイル(0.18mL、1.8mmol、1.05当量、11mLのCH2Cl2中に希釈)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応物を4時間撹拌した。5グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(40g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から2.5%まで徐々に増加させて、N-(1-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)エチル)メタクリルアミド(27、0.49g、76%収率)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C20H26N4O3の計算値371.2078;測定値371.2087。
【0299】
[(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28)の実験手順]
【化76】

メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4-ヨード-2-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(3.0g、9.97mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.31mL、1.99mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(197mg、1.00mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(285mg、1.49mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(1.30g、19.93mmol、2.0当量)、Et3N(1.67mL、11.96mmol、1.2当量)及び2-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(1.40g、9.97mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトのプラグを通してろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。ろ液にセライトを加え、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%まで徐々に増加させて、(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28、2.53g、71%)を緑色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C16H19N4O2F3の計算値357.2;測定値357.1。
【0300】
[N-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2(トリフルオロメチル)ベンジル)メタクリルアミド(29)の実験手順]
【化77】

CH2Cl2(25mL)中の(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2-(トリフルオロメチル)フェニル)メタンアミン(28、1.0g、2.81mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.59mL、4.21mmol、1.5当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.41mL、4.21mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAcを使用するシリカゲルクロマトグラフィー(40g)により、100%ヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%に増加させて、N-(4-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-2(トリフルオロメチル)ベンジル)メタクリルアミド(29、0.65g、55%収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C20H23N4O3F3の計算値425.2;測定値425.1。
【0301】
[3-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(30)の実験手順]
【化78】

メタノール(50mL)及び水(6mL)中の3-アジドプロパン-1-アミン塩酸塩(1.5g、14.98mmol、1.0当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-アミン(1.99g、3.75mmol、0.25当量)、ヨウ化銅(0.29g、1.50mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.52mL、3.75mmol、0.25当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、0℃まで冷却した。2-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(2.10g、14.98mmol、1.0当量)を加え、反応混合物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトのプラグでろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。ろ液にセライト(20g)を加え、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から20%まで徐々に増加させて、3-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(30、2.36g、66%)を得た。LCMS m/z:[M+H]+ C11H20N4O2の計算値241.2;測定値241.2。
【0302】
[N-(3-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピル)メタクリルアミド(31)の実験手順]
【化79】

CH2Cl2(20mL)中の3-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロパン-1-アミン(30、1.0g、4.16mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.58mL、4.16mmol、1.0当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.40mL、4.16mmol、1.0当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(40g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から20%まで徐々に増加させて、N-(3-(4-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピル)メタクリルアミド(31、0.96g、75%収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H24N4O3の計算値309.2;測定値309.4。
【0303】
[(4-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(32)の実験手順]
【化80】

メタノール(24mL)及び水(6mL)中の(4-ヨードフェニル)メタンアミン塩酸塩(2.64g、9.80mmol、1.0当量)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(0.31mL、1.96mmol、0.2当量)、アスコルビン酸ナトリウム(198mg、0.98mmol、0.1当量)、ヨウ化銅(279mg、1.47mmol、0.15当量)、アジ化ナトリウム(1.27g、19.59mmol、2.0当量)、Et3N(1.64mL、11.75mmol、1.2当量)及び3-(プロプ-2-イン-1-イルオキシ)オキセタン(9、1.10g、9.80mmol、1.0当量)の混合物を、窒素で5分間パージし、55℃まで一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトのプラグを通してろ過し、メタノール(3×50mL)ですすいだ。ろ液にセライトを加え、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(120g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%まで徐々に増加させて、(4-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(32、1.43g、56%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C13H16N4O2の計算値261.1346;測定値261.1342。
【0304】
[N-(4-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(33)の実験手順]
【化81】

CH2Cl2(20mL)中の(4-(4-((オキセタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)フェニル)メタンアミン(32、0.58g、2.23mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.47mL、3.34mmol、1.5当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(0.32mL、3.34mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、溶離液としてヘキサン/EtOAcを使用するシリカゲルクロマトグラフィー(24g)により、100%ヘキサンから開始し、EtOAcの濃度を徐々に100%に増加させて、N-(4-(4-((オキサタン-3-イルオキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)ベンジル)メタクリルアミド(33、0.48g、66%収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C17H20N4O3の計算値329.1608;測定値329.1611。
【0305】
[1-(2-メタクリルアミドエチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸エチル(35)の実験手順]
【化82】

CH2Cl2(20mL)中の1-(2-アミノエチル)-1H-イミダゾール-4-カルボン酸エチル(34、2.0g、10.91mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(3.80mL、27.29mmol、2.5当量)の溶液を短時間排気し、窒素でフラッシュした。塩化メタクリロイル(1.60mL、16.37mmol、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。15グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(40g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%まで徐々に増加させて、エチル1-(2-メタクリルアミドエチル)-1H-イミダゾール-4-カルボキシレート(35、1.28g、47%収率)を無色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C12H17N3O3の計算値252.1;測定値252.1。
【0306】
[N-(4-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)ベンジル)メタクリルアミド(37)の実験手順]
【化83】

CH2Cl2(80mL)中の4-(4-(アミノメチル)フェニル)チオモルホリン1,1-ジオキシド塩酸塩(36、1.15g、4.15mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.39mL、9.97mmol、2.4当量)の溶液に、塩化メタクリロイルの溶液(CH2Cl2、5mL中、0.43mL、4.36mmol、1.05当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で22時間撹拌した。8グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から3.75%まで徐々に増加させて、N-(4-(1,1-ジオキシドチオモルホリノ)ベンジル)メタクリルアミド(37、0.32g、25%収率)を固体として得た。
【0307】
[N-メチル-N-(2-(メチルスルホニル)エチル)プロプ-2-イン-1-アミン(38)の実験手順]
【化84】

1-メチルスルホニルエチレン(4.99g、47.03mmol、4.13mL)及びAmberlyst-15((30%w/w))の混合物に、N-メチルプロプ-2-イン-1-アミン(2.6g、37.62mmol)を滴下して加えた。混合物を室温で12時間撹拌した。触媒をろ過により除去し、ろ液を減圧下で濃縮して、N-メチル-N-(2-(メチルスルホニル)エチル)プロプ-2-イン-1-アミン(38、6.43g、98%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C7H13NSO2の計算値176.11;測定値176.1。
【0308】
[N-((1-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-N-メチル-2-(メチルスルホニル)エタン-1-アミン(40)の実験手順]
【化85】

メタノール(50mL)及び水(6mL)中のN-メチル-N-(2-(メチルスルホニル)エチル)プロプ-2-イン-1-アミン(38、5.02g、28.64mmol、1.25当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-アミン(3.04g、5.73mmol、0.25当量)、ヨウ化銅(436mg、2.29mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.8mL、5.7mmol、0.25当量)の混合物を排気し、窒素でフラッシュし(3回)、氷浴で冷却した。2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(39、5.02g、22.91mmol、1.0当量)を滴下して加え、冷却浴を取り除き、混合物を5分間撹拌した。反応物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(20g)を加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から25%まで徐々に増加させて、N-((1-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-N-メチル-2-(メチルスルホニル)エタン-1-アミン(40、4.98g、55%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H31N5O5Sの計算値394.2;測定値394.2。
【0309】
[N-(2-(2-(2-(2-(4-((メチル(2-(メチルスルホニル)エチル)アミノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(41)の実験手順]
【化86】

CH2Cl2(15mL)中のN-((1-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-N-メチル-2-(メチルスルホニル)エタン-1-アミン(40、1.0g、2.54mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.43mL、3.05mmol、1.2当量)の溶液に、塩化メタクリロイル(0.30mL、3.05mmol、1.5当量)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。セライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(40g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から12.5%に徐々に増加させて、N-(2-(2-(2-(2-(4-((メチル(2-(メチルスルホニル)エチル)アミノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(41、0.86g、73%収率)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C19H35N5O6Sの計算値462.2;測定値462.2。
【0310】
[7-(プロプ-2-イン-1-イル)-2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン(42)の実験手順]
【化87】

3-ブロモプロプ-1-イン(4.4mL、39.32mmol 1.0 当量)を、メタノール(200mL)中の2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン(8.54g、39.32mmol、1.0当量)、炭酸カリウム(17.9g、129.7mmol、3.3当量)の混合物に加え、室温で一晩撹拌した。混合物をろ過し、セライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(220g)によって精製した。メタノールの濃度を0%から5%に徐々に増加させて、7-(プロプ-2-イン-1-イル)-2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン(42、4.44g、68%)を油として得た。
【0311】
[2-(2-(2-(2-(4-((2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(43)の実験手順]
【化88】

メタノール(50mL)中の7-(プロプ-2-イン-1-イル)-2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン(42、2.5g、15.13mmol、1.0当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-アミン(1.77g、3.33mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(288mg、1.51mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.53mL、3.8mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2-(2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(39、3.86g、17.70mmol、1.17当量)を滴下して加え、冷却浴を取り除き、混合物を5分間撹拌した。反応物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(10g)を加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から10%に徐々に増加させて、2-(2-(2-(2-(4-((2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(43、4.76g、82%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C18H33N5O4の計算値384.3;測定値384.2。
【0312】
[N-(2-(2-(2-(2-(4-((2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(44)の実験手順]
【化89】

CH2Cl2(100mL)中の2-(2-(2-(2-(4-((2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(43、2.65g、6.91mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(1.16mL、8.29mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.74mL、7.6mmol、1.1当量)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(120g)によって精製した。メタノールの濃度を0%から10%まで徐々に増加させて、N-(2-(2-(2-(2-(4-((2-オキサ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(44、1.50g、48%収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C22H37N5O5の計算値452.29;測定値452.25。
【0313】
[4-((1-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(45)の実験手順]
【化90】

メタノール(20mL)中の4-(プロプ-2-イン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(1.14g、6.58mmol、1.0当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール- 4-イル)メチル]-アミン(768mg、1.45mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(125mg、0.66mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.23mL、1.65mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2-(2-アジドエトキシ)エタン-1-アミン(1.00g、7.70mmol、1.17当量)を滴下して加え、冷却浴を取り除き、混合物を5分間撹拌した。反応物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(10g)を加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(40g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から9.5%に徐々に増加させて、4-((1-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(45、1.86g、93%)を白色の固体として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C11H21N5O4Sの計算値304.1438;測定値304.1445。
【0314】
[N-(2-(2-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(46)の実験手順]
【化91】

CH2Cl2(100mL)中の4-((1-(2-(2-アミノエトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(45、1.32g、4.35mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.73mL、5.22mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.47mL、4.8mmol、1.1当量)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(120g)によって精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から1.25%に徐々に増加させて、N-(2-(2-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エチル)-メタクリルアミド(46、0.90g、56%収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C15H25N5O4Sの計算値372.17;測定値372.15。
【0315】
[4-((1-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(47)の実験手順]
【化92】

メタノール(80mL)中の4-(プロプ-2-イン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(4.6g、26.55mmol、1.0当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール- 4-イル)メチル]-アミン(3.1g、5.84mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(506mg、2.66mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(0.93mL、6.64mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。2-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(5.00g、28.68mmol、1.08当量)を滴下して加え、冷却浴を取り除き、混合物を5分間撹拌した。反応物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトを加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から10%に徐々に増加させて、4-((1-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(47、5.26g、57%)を黄色がかった油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C13H25N5O4Sの計算値348.1700;測定値348.1700。
【0316】
[N-(2-(2-(2-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エチル)メタクリルアミド(48)の実験手順]
【化93】

CH2Cl2(50mL)中の4-((1-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(47、1.49g、4.29mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.72mL、5.15mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.46mL、4.7mmol、1.1当量)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。メタノールの濃度を0%から5%に徐々に増加させて、N-(2-(2-(2-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)エトキシ)エトキシ)エチル)-メタクリルアミド(48、0.67g、38%収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C17H29N5O5Sの計算値416.20;測定値416.20。
【0317】
[4-((1-(14-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(49)の実験手順]
【化94】

メタノール(90mL)中の4-(プロプ-2-イン-1-イル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(5.0g、28.86mmol、1.0当量)、トリス[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-アミン(3.37g、6.35mmol、0.22当量)、ヨウ化銅(550mg、2.89mmol、0.1当量)、及びトリエチルアミン(1.01mL、7.22mmol、0.25当量)の混合物を氷浴で冷却した。14-アジド-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン-1-アミン(8.86g、33.77mmol、1.17当量)を滴下して加え、冷却浴を取り除き、混合物を5分間撹拌した。反応物を55℃に温め、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライト(15g)を加え、減圧下で濃縮した。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含有するメタノール)を使用してシリカゲル(220g)で精製した。(12%(v/v)水酸化アンモニウム水溶液を含むメタノール)の濃度を0%から10%に徐々に増加させて、4-((1-(14-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(49、7.56g、60%)を油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C17H33N5O6Sの計算値436.2224;測定値436.2228。
【0318】
[N-(14-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル)メタクリルアミド(50)の実験手順]
【化95】

CH2Cl2(50mL)中の4-((1-(14-アミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)チオモルホリン1,1-ジオキシド(49、1.95g、4.79mmol、1.0当量)及びトリエチルアミン(0.80mL、5.74mmol、1.2当量)の溶液を、窒素雰囲気下、氷浴で冷却した。塩化メタクリロイル(0.51mL、5.26mmol、1.1当量)を滴下して加えた。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。10グラムのセライトを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、移動相としてジクロロメタン/メタノールを使用して、シリカゲルクロマトグラフィー(80g)によって精製した。メタノールの濃度を0%から5%に徐々に増加させて、N-(14-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)-3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル)メタクリルアミド(50、0.76g、32%収率)を無色の油として得た。LCMS m/z:[M+H]+ C21H37N5O7Sの計算値504.25;測定値504.20。
【0319】
[実施例4A:例示的な修飾ポリマーの調製]
1A.化学修飾ポリマー。ポリマー材料を、本明細書で説明されているデバイス(例えばヒドロゲルカプセル)の形成前に、式(I)の化合物(又はその薬学的に許容可能な塩)で化学的に修飾し得る。ポリマー材料を修飾するための例示的な化合物の合成プロトコルは、上記の実施例3に概説されている。これらの化合物又は他の化合物は、任意のポリマー材料を化学的に修飾するために使用され得る。
【0320】
例えば、アルギン酸塩の場合、アルギン酸塩カルボン酸が、抗線維化化合物(afibrotic compound)、例えば、式(I)の化合物で修飾されたアルギン酸塩を得るために1つ又は複数のアミン官能化化合物に対するカップリングのために活性化される。アルギン酸塩ポリマーを、水(30mL/グラムポリマー)に溶解させ、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(0.5当量)N-メチルモルホリン(1当量)で処理する。この混合物に、アセトニトリル(0.3M)中の対象とする化合物(例えば、表3に示される化合物101)の溶液を添加する。
【0321】
添加される化合物及びカップリング試薬の量は、アルギン酸塩に結合される化合物の所望の濃度、例えば、コンジュゲーション密度に応じて決まる。化合物101の中程度のコンジュゲーション密度は、典型的には2%~5%Nの範囲であり、一方、化合物101の高いコンジュゲーション密度は、典型的には5.1%~8%Nの範囲である。CM-LMW-Alg-101-Mediumポリマー溶液を調製するために、溶解された非修飾低分子量アルギン酸塩(およその分子量<75kDa、G:M比≧1.5)を、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(5.1mmol/gアルギン酸塩)及びN-メチルモルホリン(10.2mmol/gアルギン酸塩)及び化合物101(5.4mmol/gアルギン酸塩)で処理する。CM-LMW-Alg-101-Highポリマー溶液を調製するために、溶解された非修飾低分子量アルギン酸塩(およその分子量<75kDa、G:M比≧1.5)を、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(5.1mmol/gアルギン酸塩)及びN-メチルモルホリン(10.2mmol/gアルギン酸塩)及び化合物101(10.5mmol/gアルギン酸塩)で処理する。
【0322】
反応を55℃に16時間温め、次いで室温に冷却し、ロータリー蒸発で穏やかに濃縮し、次いで、残渣を水に溶解させる。混合物をシアノ修飾シリカゲル(Silicycle)ベッドを通してろ過し、ろ過ケーキを水で洗浄する。次いで、得られる溶液を、十分に透析し(10,000MWCOメンブラン)、アルギン酸塩溶液を、凍結乾燥によって濃縮して、所望の化学修飾アルギン酸塩を固体として得るか、又は25cP~35cPの粘度を有する化学修飾アルギン酸塩溶液を生成するのに好適な任意の技術を用いて濃縮する。
【0323】
化学修飾アルギン酸塩の結合密度を、窒素パーセントの燃焼分析によって測定する。化学修飾アルギン酸塩の溶液を、水に対して24時間透析し(10,000MWCOメンブラン)、水を2回交換した後、一定重量になるまで凍結乾燥することによって、サンプルを調製する。
【0324】
上記の組み換えARPE-19細胞をカプセル化する例示的なヒドロゲルカプセルの生成に使用するために、化学修飾アルギン酸塩ポリマーを、窒素パーセントに関する燃焼分析により決定した場合に中程度(2%~5%のN)密度又は高(5.1%~8%のN)密度で低分子量アルギン酸塩(約MW<75kDa、G:M比≧1.5)にコンジュゲートした化合物101(表3で示されている)で調製し、本明細書ではCM-LMW-Alg-101-Medium及びCM-LMW-Alg-101-Highと称する。
【0325】
1B.CBP-アルギン酸塩。当該技術分野で既知の方法を使用して、ポリマー材料を、本明細書で説明されているデバイス(例えば、本明細書で説明されているヒドロゲルカプセル)の形成前に、細胞結合ペプチドで共有結合的に修飾し得る(例えば、Jeon O,et al.,Tissue Eng Part A.16:2915-2925(2010)及びRowley,J.A.et al.,Biomaterials 20:45-53(1999)を参照されたい)。
【0326】
例えば、アルギン酸塩の場合には、pH6.5にて、0.5M NaClを含む50mMの2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸水和物緩衝溶液で、アルギン酸塩溶液(1%、w/v)を調製し、N-ヒドロキシスクシンイミド及び1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)と順次混合する。N-ヒドロキシスクシンイミド対EDCのモル比は、0.5:1.0である。このアルギン酸塩溶液に、目的のペプチドを添加する。添加するペプチド及びカップリング試薬の量は、アルギン酸塩に結合するペプチドの所望の濃度(例えば、ペプチドコンジュゲーション密度)に依存する。ペプチド及びカップリング試薬の量を増加させることにより、より高いコンジュゲーション密度を得ることができる。24時間にわたる反応後、この反応を、3日にわたる超高純度脱イオン水(diH2O)(MWCO 3500)に対する透析により精製し、30分にわたり活性炭で処理し、ろ過し(0.22mmフィルタ)、所望の粘度まで濃縮する。
【0327】
ペプチド修飾アルギン酸塩のコンジュゲーション密度を、窒素パーセントに関する燃焼分析で測定する。24時間にわたり水に対して化学的修飾アルギン酸塩の溶液を透析し(10,000 MWCO膜)、水を2回交換し、続いて一定重量まで凍結乾燥させることにより、サンプルを調製する。
【0328】
別の実施形態において、ペプチド修飾アルギン酸塩のコンジュゲーション密度を、実施例7及び任意選択的に実施例8で説明されている定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイを使用して測定する。
【0329】
[実施例4B:ヒドロゲルカプセルを作成するための例示的なアルギン酸塩溶液の調製]
化学修飾及び非修飾アルギン酸塩の70:30混合物。低分子量アルギン酸塩(PRONOVA(商標)VLVGアルギン酸塩、NovaMatrix、Sandvika、Norway、cat.#4200506、おおよその分子量<75kDa;G:M比≧1.5)を、表2中の化合物101で化学修飾して、上記のような25cp~35cPの粘度、及び窒素パーセントに関する燃焼分析により決定した場合に5.1%~8%Nのコンジュゲーション密度を有する化学修飾低分子量アルギン酸塩(CM-LMW-Alg-101)溶液を生成する。高分子量非修飾アルギン酸塩(U-HMW-Alg)の溶液を、0.9%の生理食塩水に重量体積比3%で非修飾アルギン酸塩(PRONOVA(商標)SLG100,NovaMatrix,Sandvika,Norway,cat.#4202106、150kDa~250kDaのおおよその分子量)を溶解させることによって調製する。CM-LMW-Alg溶液を、70%のCM-LMW-Alg対30%のU-HMW-Algの体積比のU-HMW-Alg溶液(本明細書において70:30のCM-Alg:UM-Alg溶液と呼ばれる)と混合する。
【0330】
非修飾アルギン酸塩溶液。非修飾中間分子量アルギン酸塩(SLG20,NovaMatrix,Sandvika,Norway,cat.#4202006、75~150kDaのおおよその分子量)を、0.9%の生理食塩水に重量体積比1.4%で溶解させて、U-MMW-Alg溶液を調製する。
【0331】
細胞結合部位を含むアルギン酸塩溶液。SLG20アルギン酸塩の溶液をGRGDSP(配列番号49)からなるペプチドで修飾し、上記の実施例4Aに説明されているように約100cPの粘度に濃縮する。実施形態において、使用されるGRGDSPペプチド(配列番号49)及びカップリング試薬の量は、上記の実施例4Aに記載の燃焼分析によって測定されるように、約0.2~0.3の標的ペプチドコンジュゲーション密度を達成するように選択される。別の実施形態において、使用される中分子量アルギン酸塩(おおよその分子量75~150kDa、G:M比1.5以上)、GRGDSPペプチド(配列番号49)及びカップリング試薬の量は、80~120cPの粘度を有する生理食塩水中のGRGDSP-MMW-Alg(「GRGDSP」は、配列番号49として開示される)のグラムあたり0.3~0.6マイクロモルのGRGDSP(配列番号49)の標的ペプチドコンジュゲーション密度を有するGRGDSP-MMW-Alg溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)を調製するために選択される。
【0332】
[実施例5:例示的な2区画ヒドロゲルカプセルの形成]
組み換えARPE-19細胞の懸濁液は、以下に説明するプロトコルに従って、2区画ヒドロゲルカプセル内の単一細胞としてカプセル化される。
【0333】
カプセル化の直前に、組み換えARPE-19細胞を、1分にわたり1,400r.p.mで遠心分離し、カルシウムフリーKrebs-Henseleit(KH)緩衝液(4.7mM KCl、25mM HEPES、1.2mM KH2PO4、1.2mM MgSO4×7H2O、135mM NaCl、pH≒7.4、約290mOsm)で洗浄する。洗浄後、この細胞を再度遠心分離し、上清の全てを吸引する。次に、細胞ペレットを、実施例4Bに記載のGRGDSP修飾アルギン酸塩溶液(「GRGDSP」は、配列番号49として開示される)に、所望の細胞密度(例えば、アルギン酸塩溶液1mlあたり約5千万~1億5千万個の懸濁単一細胞の密度)で再懸濁する。
【0334】
ヒドロゲルカプセルの作製の前に、緩衝液及びアルギン酸塩溶液を、無菌プロセスを使用して0.2μmフィルタに通すろ過により滅菌する。
【0335】
約1.5mmの直径の2区画ヒドロゲルミリカプセルとして構成される粒子を調製するために、静電液滴生成装置を下記のように設定する:ESシリーズ0~100kV、20ワット高電圧発電機(EQ series,Matsusada,NC,USA)を、同心針(22Gの内腔、18Gの外腔、Rame-Hart Instrument Co.,Succasunna,NJ,USA)の上部及び下部に連結する。内腔を、BD Luer-Lockシリンジ(BD,NJ,USA)を備えた第1のBD使い捨て5mlシリンジに取り付け、このシリンジを、垂直に配向されたシリンジポンプ(Pump 11 Pico Plus,Harvard Apparatus,Holliston,MA,USA)に接続する。外腔を、第2の5ml Luer-lockシリンジにluerカップリングを介して接続し、このシリンジを、水平に配向された第2のシリンジポンプ(Pump 11 Pico Plus)に接続する。GRGDSP修飾アルギン酸塩溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)中に懸濁された組み換えFVII-ARPE-19細胞(単一細胞として)を含む第1のアルギン酸塩溶液を、第1のシリンジに入れ、化学的に修飾されたアルギン酸塩及び未修飾のアルギン酸塩の混合物を含む無細胞アルギン酸塩溶液を第2のシリンジに入れる。2個のシリンジポンプは、第1及び第2のアルギン酸塩溶液を、同心針の両方の腔を通ってシリンジから移動させ、両方のアルギン酸塩溶液を含む単一の液滴が、針から、架橋溶液が入っているガラス皿へと押し出される。各Pico Plusシリンジポンプの設定は、12.06mmの直径であり、各ポンプの流量を、2種のアルギン酸塩溶液に関して1:1の流量比を達成するように調整する。そのため、10ml/時で設定された総流量で、各アルギン酸塩溶液の流量は、約5ml/時であった。内部構成要素に使用するアルギン酸塩溶液が細胞を含まない溶液であること以外は同様にして、対照の(空の)カプセルを作製する。
【0336】
アルギン酸塩溶液の所望の体積の押し出しの後、アルギン酸塩液滴を、25mMのHEPES緩衝液、20mMのBaCl2、0.2Mのマンニトール、及び0.01%のポロキサマー188を含有する架橋溶液中で5分間にわたって架橋させる。架橋容器の底に落下するカプセルを、コニカルチューブ中にピペッティングすることによって収集する。カプセルがチューブ中で沈降して後、架橋緩衝液を除去し、カプセルを洗浄する。細胞を含まないカプセルを、HEPES緩衝液(NaCl 15.428g、KCl 0.70g、MgCl2・6H2O 0.488g、2リットルの脱イオン水中の0mlのHEPES(1M)緩衝液(Gibco,Life Technologies,California,USA))で4回洗浄し、使用するまで4℃で貯蔵してもよい。細胞をカプセル化するカプセルを、HEPES緩衝液で4回、0.9%の生理食塩水で2回、及び培養培地で2回洗浄し、37℃で培養器中に貯蔵してもよい。
【0337】
2区画の構成のカプセルの品質を調べることができる。例えば、少なくとも200個のカプセルを含有するアリコートを組成物から取り出し、ウェルプレートに移し、全体から球形カプセルの数を数えることによって、アリコート全体が光学顕微鏡検査によって品質について検査される。
【0338】
[実施例6A:FVIIタンパク質を送達するための例示的なカプセル]
FVIIタンパク質(ARPE19:FVII)をコードする転写ユニットで安定的にトランスフェクトされたARPE-19細胞をカプセル化する2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を、実質的に実施例5に記載されるように、同心針を通して第1及び第2のアルギン酸塩溶液を押し出すことにより調製した。第2の(外側)区画は、70:30 CM-LMW-Alg-101-培地:U-HMW-Alg溶液から形成され(実施例4B)、第1の(内側)区画は、U-MMW-Alg溶液(実施例4B)又はGRGDSP-MMW-Alg溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)から形成され、粘度は80~120cPであり、GRGDSP(配列番号49)のコンジュゲーション結合密度は、GRGDSP-MMW-Alg(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)1グラムあたり0.12~1.98マイクロモル(μmol)のGRGDSP(配列番号49)の範囲である(実施例4B)。内側区画を形成するために使用される未修飾及びGRGDSP-アルギン酸塩溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)のそれぞれは、アルギン酸塩溶液1mlあたり約4000万細胞のARPE19:FVII細胞の懸濁液を含んでいた。
【0339】
各カプセル組成物の0.5mLアリコートを、ヌードマウスのIP空間に移植した(1種の組成物当たり2匹又は3匹のマウス)。移植後13日で、動物を屠殺し、各マウスから血液サンプルを採取した。これらのサンプルにおけるFVIIの血漿レベルをELISAで測定し、結果を図10に示す。
【0340】
FVIIの血漿レベルは、未修飾アルギン酸塩又は結合密度が0.12又は0.21μmol/gのGRGDSP-アルギン酸塩(配列番号49)を含有するカプセルを移植されたマウスよりも、コンジュゲーション密度が0.38~1.98μmol/gのGRGDSP-アルギン酸塩(配列番号49)を含有するカプセルを移植されたマウスの方が高かった。
【0341】
[実施例6B:異なる例示的なFVII発現ベクターで組み換えられたカプセル化ARPE-19細胞の移植後のインビボFVII発現]
FVII分泌細胞は、ARPE-19細胞をFVII発現ベクターとともにトランスポザーゼプラスミドを含むPiggyBacでコトランスフェクトすることによって生成し、安定的にトランスフェクトされた細胞(ARPE19:FVII細胞)を、ピューロマイシンを含む完全成長培地で培養した。FVII発現ベクターは、上記の実施例1に記載されたFVII-7発現ベクター又は以下の表4に記載されたFVII-9発現ベクターのいずれかであった。FVII-9発現ベクターは、上流転写ユニット(5’ITRに対し)のプロモーターがCAGプロモーター(配列番号10)、下流転写ユニットのプロモーターがCBhプロモーター(配列番号21)からなることを除き、同一のヌクレオチド配列を持つ2つのタンデム転写ユニットを有する。
【0342】
【表6】
【0343】
ARPE19:FVII-7細胞又はARPE19:FVII-9細胞をカプセル化する2区画ヒドロゲルミリカプセルの組成物を、実質的に実施例5に記載されるように、同心針を通して第1及び第2のアルギン酸塩溶液を押し出すことにより調製した。第2の(外側)区画は、70:30 CM-LMW-Alg-101-培地:U-HMW-Alg溶液から形成され(実施例4B)、第1の(内側)区画は、U-MMW-Alg溶液(実施例4B)又はGRGDSP-MMW-Alg溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)から形成され、粘度は80~120cPであり、GRGDSP(配列番号49)のコンジュゲーション結合密度は、GRGDSP-MMW-Alg(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)1グラムあたり0.44マイクロモル(μmol)のGRGDSP(配列番号49)である(実施例4B)。内側区画を形成するために使用されるGRGDSP-アルギン酸塩溶液(「GRGDSP」は配列番号49として開示される)は、アルギン酸塩溶液1mlあたり約4000万細胞のARPE19:FVII細胞の懸濁液を含んでいた。
【0344】
各カプセル組成物の0.250mLアリコートを、ヌードマウスのIP空間に移植した(1種の組成物当たり4匹のマウス)。移植後6日で、動物を屠殺し、各マウスから血液サンプルを採取した。これらのサンプルにおけるFVIIの血漿レベルをELISAで測定し、結果を図11に示す。
【0345】
FVIIの血漿レベルは、FVII-7発現ベクターでトランスフェクトされたARPE-19細胞を含有するカプセルを移植されたマウスよりも、FVII-9発現ベクターでトランスフェクトされたARPE-19細胞を含有するカプセルを移植されたマウスの方が高かった。
【0346】
[実施例7:例示的な定量的ペプチドコンジュゲーションアッセイ]
このアッセイでは、CBP-ポリマーのサンプルを、CBPを個々のアミノ酸として開裂する酸性加水分解にかけることにより、CBP-ポリマー中のペプチドの量が決定される。この加水分解サンプル中の個々のアミノ酸を分離し、プレカラムオンライン誘導体化と逆相液体クロマトグラフィー-紫外線蛍光(LC-UV-FLR)とにより、アミノ酸基準を使用して定量する(出典:Agilent Biocolumns Amino Acid Analysis“How-To”Guide,Agilent Technologies,Inc.,5991-7694EN,2018年3月1日刊行)。一次AA(例えば、20種の標準的なL-アルファアミノ酸の内のプロリンを除く全て)を、オルト-フタルアルデヒド(OPA)で誘導体化し、二次AA(例えばプロリン)を、9-フルオレニルメチルクロロホルメート(FMOC)で誘導体化する。次いで、各アミノ酸のモル濃度を平均化して、サンプル中の全ペプチドの濃度を算出する。例えば実施例8で説明されている任意の適切な分析技術を使用して、CBP-ポリマーの非加水分解サンプル中のペプチドの量を決定し、この量を全ペプチド量から減算することにより、CBP-ポリマー中の任意の残留する非コンジュゲートCBPの存在に関して、この濃度を補正し得る。
【0347】
このアッセイを、GRGDSP-アルギン酸塩(配列番号49)中のペプチドコンジュゲーション密度を決定するために適用されるとして下記でさらに説明するが、当業者は、非修飾ポリマーがいかなるアミノ酸も含まない場合には、GRGDSP-アルギン酸塩(配列番号49)又は他のペプチド修飾ポリマー中のペプチド濃度を決定するために、このアッセイを容易に変更し得る。同様に、当業者は、下記に示す任意の機器、器具、又は化学物質を、このアッセイにおいて実質的に同一の機能又は役割を実施し得るか又は果たし得る別の機器、器具、又は化学物質に容易に置き換え得る。
【0348】
【表7】
【0349】
[機器、器具、及び化学物質]
[機器]
・ Agilent 1260 LCシステム
・ Agilentダイオードアレイ検出器(G1315D):13μL/10mm フローセル
・ Agilent蛍光検出器(G1321B)
・ AdvanceBio AA LCカラム、2.7μm、4.6×100mm、Agilent 655950-80
・ AdvanceBio AAAガードカラム、2.7μm、4.6×5mm、Agilent 820750-931
【0350】
【表8】
【0351】
[手順]
LC/MS手順で使用するために、10mMのNa2HPO4/Na2B4O7/pH8.2(水性移動相)溶液及び45/45/10 ACN/MeOH/水(有機移動相)を調製する。
【0352】
[例示的な凍結乾燥ペプチド-アルギン酸塩コンジュゲートのサンプルの酸性加水分解]
・ 凍結乾燥させたペプチド-アルギン酸コンジュゲート12~16mgを、マイクロ波反応バイアルに秤量し、サンプルが撹拌されないようにする。
・ 下記の工程3.3.2~3.3.19に従って加水分解する
【0353】
[生理食塩水中のペプチド-アルギン酸塩コンジュゲートの例示的なサンプルの酸性加水分解]
・ 生理食塩水中のペプチド-アルギン酸コンジュゲート溶液1000±50mgを、マイクロ波反応バイアルに秤量する
・ 10mLトランスファーピペット又は容積測定ピペット及び撹拌子を使用して、6N HCl 10.0mLをサンプル添加し、クリンパによりPTFE裏打ちキャップを密封する。
・ 各サンプルバイアルを熱/撹拌プレートの対応するヒートブロックに入れる
・ 120℃で加熱し、400rpmで6時間撹拌する
・ 熱源から取り出し、周囲温度まで冷却する
・ キャップを外し、使い捨てトランスファーピペットにより、溶液全体を反応バイアルから20mLメスフラスコに移す
・ 空になった反応バイアルにLCMSグレードの水 2mLをピペットし、同一の使い捨てトランスファーピペットで内壁を十分にすすぎ、このすすぎ液を同一の20mLメスフラスコに完全に移す
・ 上記の工程を2回繰り返す
・ LCMSグレードの水でメスフラスコの目盛りに合わせる
・ このフラスコをキャップして複数回反転させて、十分に混合する
・ 50mL遠心分離管に完全に移す
・ 10分にわたり5000rpmで遠心分離する
・ 上清 1mLをLCバイアルに正確にピペットし、乾燥するまで(例えば翌日まで)2~8℃で貯蔵する(必要に応じて、任意の再検査のために、残余の上清を2~8℃で貯蔵する)
・ 上清 1mLを、60℃にて窒素下で完全に乾燥させ、針が、サンプルに触れないがサンプルを素早く乾燥させるために十分に低いかを確かめる
・ 乾燥したサンプルが入ったバイアルに、0.1μmol/mLの内部標準混合物 0.25mLをピペットする
・ 徹底的にボルテックスする
・ LCバイアルインサートが入ったLCバイアルに、ピペットで移す
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0354】
[標準調製]
[AA標準ストック溶液:10μmol/mL]
・ 各AAに関して、MWに基づいて、10μmol/mLストック溶液を調製するのに必要な重量を算出する
・ 下記の例を参照されたい:
【0355】
【表9】
【0356】
・ 算出した重量を、50mLメスフラスコに秤量する
・ 0.1N HClで溶解させて目盛りに合わせる
・ キャップして反転させるか又はボルテックスすることにより、十分に混合する
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0357】
[内部標準混合物:1μmol/mL]
・ 同一の10mLメスフラスコに、ノルバリンストック溶液(10μmol/mL)1.0mL及びサルコシンストック溶液(10μmol/mL)1.0mLを正確にピペットする
・ 0.1N HClで目盛りに合わせる
・ キャップして反転させるか又はボルテックスすることにより、十分に混合する
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0358】
[内部標準混合物:0.1μmol/mL]
注記:この溶液は、乾燥後のサンプルの再構成用である
・ 10mLメスフラスコに、内部標準混合物(1μmol/mL)1.0mLを正確にピペットする
・ 0.1N HClで目盛りに合わせる
・ キャップして反転させるか又はボルテックスすることにより、十分に混合する
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0359】
[5AA混合物(+iSTD0.1):0.025/0.1/0.25μmol/mL]
・ 同一の10mLメスフラスコに、D、S、G、R、N-iSTD、S-iSTD、及びP(10μmol/mL)溶液 xxμL(下記の表を参照されたい)を正確にピペットする
・ 0.1N HClで目盛りに合わせる
・ キャップして反転させるか又はボルテックスすることにより、十分に混合する
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0360】
【表10】
【0361】
[17AA標準(+iSTD0.1)混合物:0.1μmol/mL]
・ 0.1μmol/mL 17AA標準溶液のアンプルを開封する
・ このAA標準混合物 0.9mLをLCバイアルに正確にピペットする
・ 同一のLCバイアルに、iSTD混合物(1μmol/mL)100μLを正確にピペットする
・ ボルテックスすることにより十分に混合する
・ LCバイアルインサートが入ったLCバイアルに100μLアリコートNLTを分注する
・ HPLC分析まで2~8℃で貯蔵する(工程3.6)
【0362】
【表11】
【0363】
【表12】
【0364】
[システムの適合性の基準]
定量に使用した目的の各AA(D/S/G/R)並びに標準の注入(UV及びFLRの両方)での内部標準(ノルバリン及びサルコシン)の保持時間及びピーク面積を分析する。
【0365】
【表13】
【0366】
[データ解析-システムの適合性が合格した場合にのみサンプルを分析する]
[目的のAAの同定]
・ 目的のAA及び17AA(+iSTD)標準混合物中の内部標準のRTは、5AA(+iSTD)標準混合物のRTと一致するべきである
・ 各サンプル中のAAのRTは、標準(UV/FLR)のRTと一致するべきである
相対面積(D、S、G、R)=面積(D、S、G、R)/面積(ノルバリン)
相対面積(P)=面積(P)/面積(サルコシン)
【0367】
[標準較正曲線]
・ 分析証明書で報告されている値を使用するか、又は標準調製中の希釈係数で調整した実重量を使用して、標準溶液の濃度を算出する。
・ 下記の標準の注入からの目的の各AAの濃度に対して、平均面積又は平均相対面積をプロットする:0.025、0.1、及び0.25μmol/mL。線形回帰を実施する。
濃度=m*面積又は相対面積+b
(式中、mは、線形近似曲線の傾きであり、bは、線形近似曲線のY切片である)
・ RSQは、0.99以上であるべきである。
・ 線形性が損なわれる場合には、新たな誘導体化試薬/標準溶液を調製し、システムの異常を解決して試験を繰り返す。
【0368】
[サンプル分析]
・ UV及びFLRの両方により定量を行ない得る
・ 相対面積(内部標準に対する面積比)を使用して定量を行なう
・ 線形近似標準曲線を使用して、各サンプル中のAA:G、R、D、Sの濃度を算出する:
濃度、AA(μmol/mL)=(m*面積又は相対面積+b)
・ 各AAの濃度を平均化することにより、全GRGDSP(配列番号49)の濃度を算出する:
濃度、全GRGDSP(配列番号49)(μmol/mL)=(濃度、G/2+濃度、R+濃度、D+濃度、S+濃度、P)/5
μmol(全GRGDSP)(配列番号49)/g(コンジュゲート)=濃度、全GRGDSP(配列番号49)(μmol/mL)×0.25mL/1.0mL×20mL/重量(g)
μmol(コンジュゲートGRGDSP(配列番号49))/g(コンジュゲート)=μmol(全GRGDSP(配列番号49))/g(コンジュゲート)-μmol(残留遊離GRGDSP(配列番号49))/g(コンジュゲート)
【0369】
[実施例8:CBP-ポリマー組成物中の残留遊離ペプチドを決定するための例示的なアッセイ]
このアッセイは、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を使用して、例えば、典型的には、1つ又は複数の精製工程を実施して、非コンジュゲートペプチドの相対な割合(例えば、95%超、98%、99%、又はより多く)を除去した後の、ペプチド-ポリマーコンジュゲートを含む組成物中の残留非コンジュゲートペプチドの量を決定する。簡潔には、生理食塩水中のコンジュゲートのサンプルを、ペプチドの分子量と比べて高い分子量カットオフ(MWCO)を有するMWCOチューブに入れ、このチューブを遠心分離して、このコンジュゲートから残留ペプチドを分離し、既知の濃度の同一ペプチドを含む参照組成物を標準として使用するLC-MSにより、ペプチドの量を定量する。
【0370】
[実施例9:式(I)の化合物で修飾された抗線維性ポリマー中のアミンコンジュゲーション密度を決定するための例示的な定量的アミンアッセイ]
このアッセイにより、アミン化合物で化学的に修飾されたポリマー中のアミン含有化合物(例えば式Iの化合物、例えば表3中の化合物101)の量が決定される。化学修飾ポリマーのサンプルを酸性加水分解に供し、この酸性加水分解によりコンジュゲートアミンが開裂され、加水分解サンプル中の全アミンの重量%を、標準として非コンジュゲートアミン化合物を使用して、紫外線検出を備える逆相液体クロマトグラフィー(LC-UV)により定量する。LCピークの同一性を、質量分析によりさらに確認し得る。全アミンの重量%を、化学修飾ポリマー中のアミン化合物の%コンジュゲーションとして使用し得る。任意の適切な方法(例えば下記で説明する方法)を使用して、化学修飾ポリマーの非加水分解サンプル中の任意の残留する非コンジュゲートアミン化合物の量を決定し、この量を全ペプチド量から減算することにより、より正確な結果を得ることができる。
【0371】
このアッセイを、化合物101で化学的に修飾されたアルギン酸塩(即ち、CM-LMW-Alg-101)中の%コンジュゲーション密度を決定するために適用されるとして下記でさらに説明するが、当業者は、アミンを含まない多糖(例えばアルギン酸塩)又は別のポリマーを化学的に修飾するために使用される任意の式Iの化合物のコンジュゲーション密度を決定するために、このアッセイを容易に変更し得る。同様に、当業者は、下記に示す任意の機器、器具、又は化学物質を、このアッセイにおいて実質的に同一の機能又は役割を実施し得るか又は果たし得る別の機器、器具、又は化学物質に容易に置き換え得る。
【0372】
【表14】
【0373】
[機器]
・ Agilent 1260 LCシステム(DAD:13μL/10mmフローセル)
・ Agilent SQ MS検出器(G1956B)
・ XBridge C18、2.5μm、4.6×50mm、Waters 186006037
・ 小分子参照物質(表3の化合物101の非コンジュゲート、遊離アミンバージョン;純度98.0%超)
【0374】
[手順]
LC手順で使用するために、水溶液中の0.1%アンモニア(水性移動相)及びACN溶液中の0.1%アンモニア(有機移動相)を調製する。
【0375】
[例示的な固体小分子アルギン酸塩コンジュゲートサンプルの酸加水分解]
・ 凍結乾燥させた小分子-アルギン酸コンジュゲート固体50±5mgを、マイクロ波反応バイアルに秤量し、サンプルが撹拌されないようにする。
・ 10mLトランスファーピペット又は容積測定ピペット及び撹拌子を使用して、2N HCl 10.0mLを添加し、クリンパによりPTFE裏打ちキャップを密封する。
・ 各サンプルバイアルを熱/撹拌プレートの対応するヒートブロックに入れ、120℃で加熱し、400rpmで120分間撹拌する。
・ 熱源から取り出し、周囲温度まで冷却する
・ 使い捨てトランスファーピペットにより、溶液全体を反応バイアルから25mLメスフラスコに移す
・ 空になった反応バイアルにLCMSグレードの水5mLをピペットし、同一の使い捨てトランスファーピペットで内壁を十分にすすぎ、このすすぎ液を同一の25mLメスフラスコに完全に移す
・ 上記の工程を2回繰り返す
・ LCMSグレードの水でメスフラスコの目盛りに合わせる
・ 50mL遠心分離管に完全に移す
・ 10分にわたり3000rpmで遠心分離する
・ 上清をHPLC分析にかける
・ 2~8℃で貯蔵する
【0376】
[生理食塩水中の例示的小分子アルギン酸コンジュゲートのサンプルの酸性加水分解]
・ 小分子アルギン酸コンジュゲートの生理食塩水溶液1000±50mgを、マイクロ波反応バイアルに秤量する
・ 10mLトランスファーピペット又は容積測定ピペット及び撹拌子を使用して、2N HCl 10.0mLを添加し、クリンパによりPTFE裏打ちキャップを密封する
・ 各サンプルバイアルを、ホット/撹拌プレート上の適合する加熱ブロックに入れる
・ 120分にわたり、120℃で加熱し、400rpmで撹拌する
・ 熱源から取り出し、周囲温度まで冷却する
・ 使い捨てトランスファーピペットにより、溶液全体を反応バイアルから25mLメスフラスコに移す
・ 空になった反応バイアルにLCMSグレードの水5mLをピペットし、同一の使い捨てトランスファーピペットで内壁を十分にすすぎ、このすすぎ液を同一の25mLメスフラスコに完全に移す
・ 上記の工程を2回繰り返す
・ LCMSグレードの水でメスフラスコの目盛りに合わせる
・ 50mL遠心分離管に完全に移す
・ 10分にわたり3000rpmで遠心分離する
・ 上清をHPLC分析にかける
・ 2~8℃で貯蔵する
【0377】
[固体小分子アルギン酸コンジュゲート中の残留遊離アミンのサンプル調製]
凍結乾燥させた小分子アルギン酸コンジュゲート固体50±5mgを、シンチレーションバイアルに秤量する
このシンチレーションバイアルに、生理食塩水5.0mLをピペットする
10分にわたり振盪させたりボルテックスしたりすることにより、完全に溶解させる
MWCOチューブに完全に移す
60分にわたり5000rpmで遠心分離する
このMWCOチューブの上部を取り除いて廃棄する
底部のサンプルを5mLメスフラスコに完全に移す
水又は生理食塩水で目盛りに合わせ、反転させて十分に混合する
シンチレーションバイアルに移して2~8℃で貯蔵する
アリコートをHPLC分析に移す
【0378】
[生理食塩水中における小分子アルギン酸コンジュゲート中の残留遊離アミンのサンプル調製]
生理食塩水中の小分子アルギン酸コンジュゲート(又は非修飾アルギン酸塩とのブレンド)1000±50mgを、WMCOチューブに秤量する
このMWCOチューブに生理食塩水4.0mLをピペットする
このチューブを、5回か又は溶液が十分に混合されるまで反転させたりボルテックスしたりして、遊離アミンを完全に抽出する
90分にわたり5000rpmで遠心分離する
このMWCOチューブの上部を取り除いて廃棄する
底部のサンプルを5mLメスフラスコに完全に移す
水で目盛りに合わせ、反転させて十分に混合する
シンチレーションバイアルに移して2~8℃で貯蔵する
アリコートをHPLC分析に移す
【0379】
[標準調製]
[標準溶液:1mg/mL]
小分子参照物質標準50.00±5.00mgを、シンチレーションバイアルに秤量する
LCMSグレードの水約10mLを添加し、振盪させたりボルテックスしたりして固体を完全に溶解させる
使い捨てトランスファーピペットを使用して、このシンチレーションバイアルをLCMSグレードの水で2回すすぐことにより、50mLメスフラスコに完全に移す
LCMSグレードの水で体積を合わせ、十分に混合する
2~8℃で貯蔵する
【0380】
[標準溶液:0.01mg/mL]
・ 10mLメスフラスコに、この1mg/mL溶液100μLをピペットする
・ LCMSグレードの水で体積を合わせる
・ 反転させることにより十分に混合する
・ 2~8℃で貯蔵する
【0381】
【表15】
【0382】
【表16】
【0383】
[データ解析-システムの適合性が合格した場合にのみサンプルを分析する]
[アミンの同定]
・ (任意選択)各サンプル中の遊離アミンピークのm/zは、392.1±0.5内であるべきである。
・ 各サンプルにおけるUVでのアミンピークのRTは、標準のRTと一致する。
濃度、標準(mg/mL)=
重量(mg)/50mL/希釈係数、
ここで、1.0mg/mL標準の場合には、希釈係数=1;
0.01mg/mL標準の場合には、希釈係数=100
濃度、遊離アミン(mg/mL)=
面積、非加水分解サンプル/面積、0.01標準×濃度、0.01標準
%残留遊離アミン=
濃度、遊離アミン(mg/mL)×5mL/
重量、非加水分解コンジュゲート(mg)×100
濃度、全アミン(mg/mL)=
面積、加水分解サンプル/面積、1.0標準×濃度、1.0標準
%全アミン=
濃度、全アミン(mg/mL)×25mL/重量、加水分解コンジュゲート(mg)×100
【0384】
[均等物及び範囲]
本出願は、それらの全体が参照により本明細書において援用されている、種々の発行された特許、公開された特許出願、学術記事、書籍、マニュアル及び他の刊行物を参照する。援用された文献のいずれかと、本明細書との間に齟齬が存在する場合、本明細書が優先されるべきである。加えて、従来技術に属する本開示の特定の実施形態のいずれかは、いずれかの1つ又は複数の請求項からは明示的に除外され得る。このような実施形態は技術分野における当業者に公知であるとみなされるため、これらは、本明細書において明示的に除外されていない場合においても除外され得る。本開示の特定の実施形態のいずれかは、従来技術の存在に関連しているかに関係なく、いかなる理由によってもいずれかの請求項から除外可能である。
【0385】
当業者は、多くのルーチン的な実験を行うことなく、本明細書に記載の特定の実施形態の均等物を認識又は確認可能である。本明細書に記載の本実施形態の範囲が上記の明細書、図面又は実施例に限定されることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に記載されているとおりであることが意図されている。当業者は、以下の特許請求の範囲において定義されているとおり、本開示の趣旨又は範囲を逸脱することなく、本記載に対する種々の変更及び修正が可能であり得ることを認めるであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B-1】
図6B-2】
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2022520886000001.app
【国際調査報告】