(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(54)【発明の名称】少なくとも1つの二成分繊維を有するエアレイド基材
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20220328BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20220328BHJP
D01F 8/06 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
D04H1/732
D04H1/4382
D01F8/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532861
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2018119989
(87)【国際公開番号】W WO2020118479
(87)【国際公開日】2020-06-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】519452389
【氏名又は名称】パフォーマンス マテリアルズ エヌエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チョン、リーファ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、フィル
(72)【発明者】
【氏名】チョン、シェンロン
【テーマコード(参考)】
4L041
4L047
【Fターム(参考)】
4L041BA21
4L041CA38
4L041CA41
4L041DD01
4L041DD05
4L041DD14
4L047AA08
4L047AA14
4L047AA27
4L047AA28
4L047AB06
4L047CC03
4L047CC04
4L047CC05
(57)【要約】
エアレイド基材は、第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含む。第1の領域は、ポリプロピレンを含み、第2は、エチレン系ポリマーおよびエチレン酸コポリマーのブレンドを含む。エチレン系ポリマーは、0.920g/cm3~0.970g/cm3の密度および0.5g/10分~150g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレンモノマーおよび1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含む。0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン酸コポリマー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含むエアレイド基材であって、
前記第1の領域が、ポリプロピレンを含み、
前記第2の領域が、
0.920g/cm
3~0.970g/cm
3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~150g/10分のメルトインデックス(I
2)とを有する、エチレン系ポリマーと、
エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレンモノマーおよび1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含む、エチレン酸コポリマーであって、前記エチレン酸コポリマーが、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I
2)を有する、エチレン酸コポリマーと、のブレンドを含む、エアレイド基材。
【請求項2】
前記エアレイド基材が、前記エアレイド基材の総重量に基づいて、少なくとも50重量%のパルプ、好ましくは少なくとも70%重量%のパルプを含む、請求項1に記載のエアレイド基材。
【請求項3】
前記パルプが、前記二成分繊維に結合される、請求項2に記載のエアレイド基材。
【請求項4】
前記パルプが、セルロース繊維を含む、請求項2または請求項3に記載のエアレイド基材。
【請求項5】
前記第1の領域が、前記二成分繊維のコア領域であり、前記第2の領域が、前記二成分繊維のシース領域であり、前記シース領域が、前記コア領域を取り囲む、請求項1~4のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項6】
前記第1の領域および前記第2の領域が、二成分繊維の総重量に基づいて、4:1~1:4の重量比を有する、請求項1~5のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項7】
前記第1の領域が、前記第1の領域の総重量に基づいて、少なくとも75重量%の前記ポリプロピレンを含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項8】
前記第1の領域の前記ポリプロピレンが、少なくとも150℃の溶融温度と、230℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、10g/10分~100g/10分のメルトフローレート(MFR)と、を有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項9】
前記第2の領域が、
前記第2の領域の総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、好ましくは80重量%~99重量%のエチレン系ポリマーと、
前記第2の領域の総重量に基づいて、1重量%~40重量%のエチレン酸コポリマー、好ましくは1重量%~20重量%のエチレン酸コポリマーと、を含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項10】
前記第2の領域における前記エチレン系ポリマーが、0.930g/cm
3~0.960g/cm
3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、10g/10分~50g/10分のメルトインデックス(I
2)と、を有する、請求項1~9のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項11】
前記エチレン酸コポリマーが、
前記エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、85重量%~99重量%のエチレンモノマーと、
前記エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、1重量%~15重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーと、を含む、請求項1~10のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項12】
前記第2の領域における前記エチレン酸コポリマーが、0.930g/cm
3以上の密度を有する、請求項1~11に記載のエアレイド基材。
【請求項13】
前記第2の領域における前記エチレン酸コポリマーが、0.935g/cm
3~0.945g/cm
3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、22g/10分~28g/10分のメルトインデックス(I
2)と、を有する、請求項1~12のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項14】
前記エチレン酸コポリマーの前記不飽和ジカルボン酸コモノマーが、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸、フマル酸、フマル酸モノエステル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~13のいずれかに記載のエアレイド基材。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のエアレイド基材を含む吸着物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、エアレイド基材に関し、具体的には、第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含むエアレイド基材に関する。
【背景技術】
【0002】
エアレイド不織布などのエアレイド基材は、柔らかく、糸くずがなく、丈夫で、吸収性があるため、様々な用途で一般的に使用されている材料である。これらの材料は、主に、ベビー用紙おむつ、成人用失禁製品、女性用衛生製品などのパーソナルケア製品に使用されている。
【0003】
一般的なエアレイド基材は、紙繊維と、ポリエチレンおよびポリプロピレンから形成された二成分層とのブレンドを含む。しかしながら、これらの典型的なエアレイド基材には、紙繊維と二成分層との間の接着が不十分であるという問題がある。接着が不十分であると、エアレイド基材では望ましくない高い粉塵レベルが伴う。そのため、接着を促進することにより粉塵レベルを減少させる目的で、無水マレイン酸グラフト材料のような添加剤が、二成分層に添加されている。しかしながら、紙繊維と無水マレイン酸グラフト材料を含む二成分層との間の結合を加速するには、途方もない量のエネルギーが必要である。
【発明の概要】
【0004】
したがって、改善された接着を有する代替のエアレイド基材を開発することが有益であり得る。本エアレイド基材は、これらの必要性を満たし、従来のエアレイド基材と比較して、粉塵レベルが低く、かつ引張り強度が高いことで示されるような、改善された接着を示す。
【0005】
実施形態では、本開示のエアレイド基材は、第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含み、第1の領域は、ポリプロピレンを含み、第2の領域は、ブレンドを含む。ブレンドは、エチレン系ポリマーおよびエチレン酸コポリマーを含む。エチレン系ポリマーは、0.920g/cm3~0.970g/cm3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~150g/10分のメルトインデックス(I2)と、を有する。エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレンモノマーおよび1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含む。さらに、エチレン酸コポリマーは、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1つ以上の実施形態による二成分繊維の斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による、エアレイド基材の粉塵レベルを測定するために使用される装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0008】
本明細書で説明するものと類似しているか、それらまたはそれらと同等である方法および材料は、様々な実施形態の実践または試験に使用することができるが、好適な方法および材料について本明細書において説明する。
【0009】
別途明記されない限り、すべてのパーセンテージ、部分、比率などは、重量による。量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または好ましい値の低い側および好ましい値の高い側の列挙のいずれかとして与えられる場合、範囲が別個に開示されているかどうかに関わらず、これは、任意の低い側の範囲の限度または好ましい値と、任意の高い側の範囲の限度または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書で数値の範囲が列挙されている場合、別途明記されない限り、範囲は、その端点、ならびに範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図する。本発明の範囲は、範囲を定義するときに列挙された特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0010】
「約」という用語が、範囲の値または端点を説明する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むと理解されるべきである。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する」、「を特徴とする」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの他の任意の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素に限定されず、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、別途明示的に明記されない限り、「または」は、包括的なまたはを指し、排他的なまたはではない。
【0012】
「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲を、指定された材料またはステップ、および本開示の基本的かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響しないものに限定する。出願人が、「含む」などの開放型用語で実施形態またはその一部分を定義した場合、別途明記されない限り、説明は、「から本質的になる」という用語を使用して、そのような実施形態も説明すると解釈されるべきである。
【0013】
「a」または「an」の使用は、様々な実施形態の要素および成分を説明するために採用される。これは、単に便宜上のものであり、様々な実施形態の一般的な意味を与えるものである。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形が他を意味することが明らかでない限り、それには複数形も含まれる。
【0014】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」および「コポリマー」という用語を包含する。「ホモポリマー」という用語は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指し、「コポリマー」という用語は、2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指し、本開示の目的のために、「ターポリマー」および「インターポリマー」を含み得る。
【0015】
本開示で使用される「二成分繊維」という用語は、同じ紡糸口金から押し出された異なる化学的および/または物理的特性の2つのポリマーから構成された繊維を意味し、両方のポリマーは同じフィラメント内にある。2つのポリマーは、第1の領域が繊維のシース領域を含み、第2の領域が繊維のコア領域を含むように、シース領域/コア領域の配置で配置され得る。
【0016】
本開示で使用される「不飽和ジカルボン酸モノマー」という用語は、ビニルまたはビニレンなどの反応性部分を有する分子を意味し、これは他のモノマーと結合して、ポリマーおよび反応性部分に含まれない2つのカルボン酸(-C(O)OH)基を形成し得る。加えて、「不飽和ジカルボン酸モノマー」には、半エステルおよび無水物などの不飽和ジカルボン酸誘導体モノマーが含まれる。
【0017】
本開示で使用される「エチレン酸コポリマー」という用語は、少なくとも1つのエチレンモノマーおよび少なくとも1つの酸コモノマーの重合生成物を意味する。このような好適なエチレン酸コポリマーの1つは、本開示で前述したように、エチレンモノマーおよび不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含み得る。
【0018】
本開示で使用される「パルプ」という用語は、木材、繊維作物、古紙、またはぼろきれから繊維材料を化学的または機械的に分離することによって調製された繊維材料を意味する。最も一般的な繊維材料は、セルロース系材料である。
【0019】
本開示で使用される「木材パルプ」という用語は、木材源に由来する任意のパルプを意味する。この用語は、機械パルプ(つまり、リグニンを含まない木材パルプ)、熱機械パルプ、化学パルプ、および再生パルプを包含する。
【0020】
本開示で使用される「フラッフパルプ」という用語は、針葉樹繊維から作製された任意の化学パルプを意味する。具体的には、「フラッフパルプ」という用語は、パルプのロールを機械的に粉砕し、次に空気力学的にパルプをエアレイイング機または乾式成形機のウェブ形成部品に輸送することによって調製される不織成分を意味し得る。
【0021】
本開示で使用される「針葉樹繊維」という用語は、モミ、トウヒ、マツなどの様々な針葉樹の木質物質に由来する繊維パルプを意味する。好適な樹木には、テーダマツ、スラッシュパイン、コロラドトウヒ、バルサムモミ、ダグラスファー、バンクスマツ、ラジアータマツ、ホワイトスプルース、ロッジポールマツ、セコイアなどが含まれ得るが、これらに限定されない。北アメリカの南部の針葉樹および北部の針葉樹は、世界の他の地域からの針葉樹と同様に、針葉樹繊維を提供するために使用され得る。
【0022】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、および2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、「インターポリマー」という総称は、コポリマーと、ターポリマーまたはクアテルポリマーなどの3種類以上の異なるモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0023】
本開示で使用される「エチレン系ポリマー」または「ポリエチレン」という用語は、50モル%を超える、エチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーを意味する。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野で既知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含む、シングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が含まれる。
【0024】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」と呼ばれてもよく、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)超の圧力で、オートクレーブまたは管状反応器内で、部分的または完全に、ホモ重合または共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.940g/ccの範囲の密度を有する。
【0025】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラー・ナッタ触媒系、ならびにメタロセンなどのシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂(時折「m-LLDPE」と呼ばれる)の両方を含む。LLDPEは、LDPEほど長くない分岐鎖を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号などの均一な分岐直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されたものなどの不均一な分岐鎖エチレンポリマー、および/またはそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号または米国特許第5,854,045号に開示されるものなど)を含む。直鎖状PEは、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせを介して、当該技術分野で既知の、任意の種類の反応器または反応器構成を使用して作製することができ、反応器には気相および液相反応器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「HDPE」という用語は、約0.940g/cc超の密度を有するポリエチレンを指し、一般的に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはさらにメタロセン触媒で調製される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ポリプロピレン」という用語は、50モル%を超える、プロピレンモノマーに由来する単位を重合形態で含むポリマーを指す。これには、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンコポリマー、およびプロピレン/α-オレフィンコポリマーが含まれる。
【0028】
本開示の様々な実施形態は、第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含むエアレイド基材を対象とする。1つ以上の実施形態では、第1の領域は、ポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、第2の領域は、エチレン系ポリマーおよびエチレン酸コポリマーのブレンドを含む。エチレン系ポリマーは、0.920(グラム毎立方センチメートル)g/cm3~0.970g/cm3の密度と、摂氏190度(℃)および2.16キログラム(kg)でASTM D1238により決定される、0.5グラム毎10分(g/10分)~150g/10分のメルトインデックス(I2)と、を有し得る。エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量パーセント(重量%)~99重量%のエチレンモノマーおよび1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合反応生成物を含み得る。実施形態では、エチレン酸コポリマーは、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、エアレイド基材は、ある量のパルプを含む。これらの実施形態では、エアレイド基材は、エアレイド基材の総重量に基づいて、少なくとも50重量%のパルプ、少なくとも60重量%のパルプ、少なくとも70重量%のパルプ、または少なくとも73重量%のパルプを含み得る。エアレイド基材中に存在するパルプは、機械パルプおよびその誘導体などの任意の好適なパルプを含む。ある特定の実施形態では、これらの実施形態に存在するパルプは、フラッフパルプを含む。
【0030】
1つ以上の実施形態では、パルプは、繊維材料を含む。パルプは、植物の樹皮、木、もしくは葉から、または他の植物ベースの材料から得ることができる、セルロースのエーテルまたはエステルで作製されたリグノセルロース繊維材料を含み得る。セルロースに加えて、繊維材料は、ヘミセルロースおよび/またはリグニンを含み得る。ある特定の実施形態では、パルプは、セルロース繊維を含む。
【0031】
さらなる実施形態では、エアレイド基材は、20グラム毎平方メートル(gsm)~80gsmの基本重量を有する。エアレイド基材の他の好適な基本重量範囲には、20gsm~75gsm、20gsm~70gsm、20gsm~65gsm、25gsm~60gsm、25gsm~55gsm、25gsm~50gsm、または20gsm~80gsmの間の任意の他の範囲が含まれる。
【0032】
ここで
図1を参照すると、二成分繊維10は、第1の領域12および第2の領域14を含む。第1の領域12は、二成分繊維10のコア領域であり、第2の領域14は、二成分繊維10のシース領域であり得る。ある特定の実施形態では、シース領域は、コア領域を取り囲む。
【0033】
1つ以上の実施形態では、第1の領域12および第2の領域14は、二成分繊維10の総重量に基づいて、4:1~1:4の重量比を有する。第1の領域12対第2の領域14の他の好適な重量比には、3.5:1~1:3.5、3:1~1:3、2.5:1~1:2.5、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または約1:1の重量比が含まれる。
【0034】
さらに上で述べたように、二成分繊維10の第1の領域12は、ポリプロピレンを含む。第1の領域12のポリプロピレンは、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、または少なくとも200℃の溶融温度を有し得る。さらに、ポリプロピレンは、230℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、10g/10分~100g/10分、15g/10分~75g/10分、20g/10分~50g/10分、または22g/10分~28g/10分のメルトフローレート(MFR)を有し得る。
【0035】
第1の領域12に存在するポリプロピレンは、実施形態によると、プロピレンホモポリマーである。
【0036】
1つ以上の実施形態では、二成分繊維10の第1の領域12は、第1の領域12の総重量に基づいて、少なくとも75重量%のポリプロピレンを含む。他の実施形態では、二成分繊維10の第1の領域12は、第1の領域12の総重量に基づいて、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%のポリプロピレンを含む。一実施形態では、二成分繊維10の第1の領域12に存在するポリプロピレンには、Zhejiang Satellite Petrochemical Co.Ltd.(Jiaxing,China)から市販されているPPH225(登録商標)が含まれる。
【0037】
さらに
図1を参照すると、追加の実施形態では、二成分繊維10の第2の領域14は、第2の領域14の総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレン系ポリマーを含む。他の実施形態では、二成分繊維10の第2の領域14は、第2の領域14の総重量に基づいて、62重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、64重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、66重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、68重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、70重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、75重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、80重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、85重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、90重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、または95重量%~99重量%のエチレン系ポリマーを含む。
【0038】
1つ以上の実施形態では、第2の領域14に存在するエチレン系ポリマーは、当技術分野で既知の前述のポリエチレンを含む。これらのエチレン系ポリマーは、例えば、LDPE、LLDPE、シングルサイト触媒LLDPE、MDPE、およびHDPEを含む。ある特定の実施形態では、第2の領域14に存在するエチレン系ポリマーは、HDPEを含む。
【0039】
ある特定の実施形態では、第二領域14におけるエチレン系ポリマーは、0.920g/cm3~0.970g/cm3の密度を有する。第2の領域14におけるエチレン系ポリマーの他の好適な密度範囲には、0.925g/cm3~0.965g/cm3、0.930g/cm3~0.960g/cm3、0.935g/cm3~0.955g/cm3、0.940g/cm3~0.955g/cm3、または0.945g/cm3~0.955g/cm3が含まれる。
【0040】
1つ以上の実施形態では、第2の領域14におけるエチレン系ポリマーは、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~150g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。第2の領域14におけるエチレン系ポリマーの他の好適なメルトインデックス(I2)範囲には、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、1.0g/10分~125g/10分、5.0g/10分~100g/10分、10g/10分~75g/10分、10g/10分~50g/10分、15g/10分~25g/10分、または15g/10分~20g/10分のメルトインデックス(I2)が含まれる。
【0041】
実施形態では、第2の領域14におけるエチレン系ポリマーは、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、または少なくとも125℃の溶融温度を有する。
【0042】
一実施形態では、第1の組成物のエチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンインターポリマー、さらにエチレン/α-オレフィンコポリマーである。α-オレフィンは、20個以下の炭素原子を有し得る。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択することができるか、または代替的に1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択することができ、さらに1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択することができる。
【0043】
一実施形態では、二成分繊維10の第2の領域14に存在するエチレン系ポリマーには、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から市販されているDOW(商標)HDPE17450Nが含まれる。
【0044】
実施形態では、二成分繊維10の第2の領域14は、第2の領域14の総重量に基づいて、1重量%~40重量%のエチレン酸コポリマーを含む。他の実施形態では、二成分繊維10の第2の領域14は、第2の領域14の総重量に基づいて、1重量%~38重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~36重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~34重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~32重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~30重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~25重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~20重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~15重量%のエチレン酸コポリマー、1重量%~10重量%のエチレン酸コポリマー、または1重量%~5重量%のエチレン酸コポリマーを含む。
【0045】
1つ以上の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、エチレンモノマーおよび不飽和ジカルボン酸コモノマーの重合生成物を含む。いくつかの実施形態によると、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレンモノマーを含む。他の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、65重量%~99重量%のエチレンモノマー、70重量%~99重量%のエチレンモノマー、75重量%~99重量%のエチレンモノマー、80重量%~99重量%のエチレンモノマー、85重量%~99重量%のエチレンモノマー、または90重量%~99重量%のエチレンモノマーを含む。
【0046】
1つ以上の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーを含む。ある特定の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、1重量%~35重量%の不飽和ジカルボン酸、1重量%~30重量%の不飽和ジカルボン酸、1重量%~25重量%の不飽和ジカルボン酸、1重量%~20重量%の不飽和ジカルボン酸、1重量%~15重量%の不飽和ジカルボン酸、または1重量%~10重量%の不飽和ジカルボン酸を含む。
【0047】
実施形態では、エチレン酸コポリマーは、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。他の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、1.0g/10分~450g/10分、2.0g/10分~400g/10分、5.0g/10分~350g/10分、7.5g/10分~300g/10分、10g/10分~250g/10分、12.5g/10分~200g/10分、15g/10分~150g/10分、17.5g/10分~100g/10分、20g/10分~50g/10分、20g/10分~40g/10分、20g/10分~30g/10分、または22g/10分~28g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0048】
エチレン酸コポリマーは、いくつかの実施形態によると、0.920g/cm3以上の密度を有する。エチレン酸コポリマーの他の好適な密度には、0.925g/cm3、0.930g/cm3、0.935g/cm3、または0.940g/cm3以上の密度が含まれる。他の実施形態では、エチレン酸コポリマーは、0.920g/cm3~0.960g/cm3の密度を有する。エチレン酸コポリマーの他の好適な密度範囲には、0.925g/cm3~0.955g/cm3、0.930g/cm3~0.950g/cm3、または0.935g/cm3~0.945g/cm3の密度が含まれる。
【0049】
不飽和ジカルボン酸モノマーには、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸、フマル酸、フマル酸モノエステル、またはそれらの組み合わせ、およびこれらの酸のC1~C4-アルキル半エステル、ならびに無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノエチルエステル、および無水イタコン酸を含むこれらの酸の無水物が含まれ得る。これらのモノマーのカルボン酸または無水物単位は、全く同様にモノカルボン酸カルボン酸単位が示されているように、金属イオンで中和することができるが、不飽和ジカルボン酸モノマーの中和は、その性質および溶融挙動を含むポリマー特性への影響が異なる場合がある。不飽和ジカルボン酸を脱水して、ポリマー内に(すなわち、鎖間無水物単位を架橋するのではなく、鎖内に)鎖内無水物単位を形成することができる。
【0050】
エチレン酸コポリマーには、様々な商品の実施形態が好適であると考えられる。一実施形態では、エチレン酸コポリマーは、DuPont(商標)Co.(Wilmington,Delaware)から市販されているFusabond(登録商標)M603であり得る。
【0051】
エチレン酸コポリマーは、高圧を使用し、連続的に操作する標準的なフリーラジカル共重合法によって調製され得る。モノマーは、モノマーの活性、および組み込まれることが望まれる量に関連する割合で反応混合物に供給される。このようにして、鎖に沿ったモノマー単位の均一でほぼランダムな分布が達成される。未反応のモノマーは、再利用され得る。エチレン酸コポリマーの調製に関する追加の情報は、米国特許第3,264,272号および米国特許第4,766,174号に見出すことができ、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。第2の領域14のブレンドは、当業者に既知の任意の手段によって生成することができる。
【0052】
二成分繊維10の第1の領域12および第2の領域14は、当技術分野で周知のプロセスによって調製され得る。このような好適な生成方法の1つは、溶融紡糸プロセスを含む。このプロセスでは、第1の領域12および第2の領域14の各々は、別々に押出機に供給される。押し出されると、生成物を紡糸させ、冷却し、巻き取って連続フィラメントを生成する。次に、連続フィラメントを、延伸、注油、クリンプ、および冷却して、エアレイド基材に組み込まれた二成分繊維10を生成する。
【0053】
エアレイド基材は、当技術分野で周知のプロセスによって調製され得る。実施形態では、二成分繊維10が生成されると、二成分繊維10を、熱気流中でパルプと均一に混合し得る。次に、二成分繊維10およびパルプの混合物を、スクリーン表面に堆積させてウェブを形成する。実施形態では、ウェブは、次に、105℃~145℃の温度の熱風流に2秒~60秒間供される。他の実施形態では、ウェブは、次に、135℃~139℃の温度の熱風流に4秒~10秒間供される。ウェブを熱風流に曝露した後、エアレイド基材が形成される。
【0054】
ブレンドは、可塑剤を含む少量の添加剤、粘度安定剤、加水分解安定剤を含む安定剤、一次および二次抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料もしくは他の着色剤、無機充填剤、難燃剤、潤滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの強化剤、発泡剤もしくはブロー剤、加工助剤、スリップ添加剤、シリカもしくはタルクなどのブロック防止剤、放出剤、粘着付与樹脂、またはそれらの2つ以上の組み合わせをさらに含むことができる。炭酸カルシウムなどの無機充填剤もブレンドに組み込むことができる。
【0055】
これらの添加剤は、0.01重量%~40重量%、0.01重量%~25重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~10重量%、または0.01重量%~5重量%の範囲の量でブレンド中に存在し得る。添加剤の組み込みは、例えば、乾式ブレンド、様々な構成成分の混合物の押し出し、従来のマスターバッチ技術などの任意の既知のプロセスによって行うことができる。
【0056】
実施形態によるエアレイド基材は、25ミリメートル当たり少なくとも3.0ニュートン(N/mm)の引張強度を有する。さらなる実施形態では、エアレイド基材は、少なくとも3.1N/mm、3.2N/mm、3.3N/mm、3.4N/mm、3.5N/mm、3.6N/mm、3.7N/mm、または3.8N/mmの引張強度を有する。他の実施形態では、エアレイド基材は、3.0N/mm~5.0N/mm、3.2N/mm~4.8N/mm、3.4N/mm~4.6N/mm、3.5N/mm~4.4N/mm、3.6N/mm~4.2N/mm、3.7N/mm~4.0N/mm、または3.8N/mm~3.9N/mmの引張強度を有する。
【0057】
1つ以上の実施形態では、エアレイド基材は、6.0%以下の粉塵レベルを有する。さらなる実施形態では、エアレイド基材は、5.8%、5.6%、5.4%、5.2%、5.0%、4.8%、4.6%、4.4%、4.2%、4.0%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.0%、2.5%、または2.0%以下の粉塵レベルを有する。
【0058】
様々な実施形態によると、エアレイド基材は、吸着物品を形成するために使用され得る。例えば、実施形態では、エアレイド基材を添加剤と組み合わせ、様々な製品に組み込んで、様々な形状の吸着物品を形成することができる。好適な吸着性物品には、使い捨ておむつ、女性用衛生製品、ベッドパッド、失禁パッド、肉/家禽用パッドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0059】
試験手順
メルトインデックス、(MI)を、190℃で2160グラムの重量を使用して、ASTM D-1238を使用して測定した。
【0060】
メルトフローレート(MFR)を、230℃で2160グラムの重量を使用して、ASTM D-1238を使用して測定した。
【0061】
融点(Tm)を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。示差走査熱量測定(DSC)を、RCS冷却付属品およびオートサンプラーを装備したTA Instruments Q1000 DSCで測定する。試料の融点(Tm)を、ASTM D3418に従って測定する。
【0062】
引張強度を、ASTM D-882方法を用いて機械方向(MD)方向において決定した。最低5つの標本を試験し、各フィルム試料を表すために平均値および標準偏差値を得た。25mmのフィルム標本を、一定のクロスヘッド速度および最初のグリップ分離が可能なユニバーサルテスターのグリップに置く。クロスヘッド速度は、50mmのグリップ分離で500mm/分である。時間の関数としての力は、250ニュートンのロードセルを使用して測定される。伸びは、クロスヘッド速度から時間の関数として決定される。少なくとも5つの試料を平均して、フィルムの引張値を決定する。
【0063】
粉塵レベルのパーセンテージは、合計で約1.8グラムの重量の4つの断片のエアレイド基材を5cm×20cmの長方形に切断することによって測定した。次に、4つの断片のエアレイド基材を秤量して、それらの基本重量を決定した。ここで
図2を参照すると、エアレイド基材22の断片を容器20内のクリップに取り付け、次に、容器を大気に対して閉鎖した。次に、エアレイド基材22の断片を保持する容器20を、5ヘルツ(Hz)の周波数で5分間、モーター26を動力源とする振とう機24によって振とうした。エアレイド基材の断片によって生成された粉塵は、容器20の下に位置するベース28に落ちた。5分後、4つの断片のエアレイド基材を再度秤量して、それらの最終重量を決定した。次に、粉塵レベルを、粉塵レベルパーセンテージ=1-(W2/W1)の式(式中、W1は基本重量であり、W2は最終重量である)を使用して決定した。
【0064】
剛性を、Thwing-Albert Instrument Company(West Berlin,NJ)製のHand-O-Meter211を使用して測定した。試料の剛性を、ASTM D6828-02(2015)に従って測定し、スロット幅を1/4インチに設定した。
【0065】
以下の実施例は、様々な実施形態を説明するために提供されるが、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、別途指示がない限り重量による。様々な実施例、比較例、ならびに実施例および比較例で使用される材料に関して、おおよその特性、特徴、パラメータなどを以下に提供する。さらに、実施例で使用した原料の説明は以下の通りである。
【0066】
比較用および実験用のエアレイド基材のコア/シース二成分繊維を、溶融紡糸プロセスによって製造した。そのため、コア組成物およびシース組成物を、別々の押出機に供給した。次に、組成物を紡糸し、冷却し、巻き取って連続フィラメントを生成した。次に、長さ6mmの二成分繊維を生成するために、フィラメントを2次延伸、注油、冷却、および切断に供した。次に、フラッフパルプおよび二成分繊維を気流に導入することによって、エアレイド基材を作成した。フラッフパルプおよび二成分繊維を均一に混合し、スクリーン表面に堆積させてウェブを形成した。最後に、ウェブを5秒間熱風流に供して、フラッフパルプおよび二成分繊維を結合させて、エアレイド基材を形成した。
【0067】
比較1(「C1」)は、45gsmの基本重量を有する、73重量%のフラッフパルプおよび27重量%の二成分繊維のブレンドのエアレイド基材である。二成分繊維は、第1の領域(すなわち、コア領域)および第2の領域(すなわち、シース領域)を1:1の重量比で含んでいた。第1の領域は、ポリプロピレンを含み、第2の領域は、HDPEを含んでいた。コア領域C1の形成に使用したポリプロピレンは、Zhejiang Satellite Petro Chemical Co.Ltd.(Jiaxing,China)から市販されているPPH225(登録商標)であった。ポリプロピレンPPH225(登録商標)は、25.0±2.0g/10分のメルトフローレート、および160℃の示差走査熱量測定(DSC)の溶融温度を有する。C1の形成に使用したHDPEは、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan)から入手可能であるHDPE17450N(登録商標)であった。HDPE17450N(登録商標)は、17g/10分のメルトフローインデックス(I2)、0.950g/ccの密度、128℃のDSC融点を有する。
【0068】
比較2(「C2」)は、45gsmの基本重量を有する、73重量%のフラッフパルプおよび27重量%の二成分繊維のブレンドのエアレイド基材である。二成分繊維は、第1の領域(すなわち、コア領域)および第2の領域(すなわち、シース領域)を1:1の重量比で含んでいた。第1の領域は、ポリプロピレンを含み、第2の領域は、HDPEおよび無水マレイン酸グラフト(MAH)ポリマーのブレンドを含んでいた。HDPEは、第2の領域の総重量に基づいて、ブレンドのうちの90重量%で存在し、MAHポリマーは、ブレンドのうちの10重量%で存在した。C2のコア領域の形成に使用したポリプロピレンは、PPH225(登録商標)あった。C2のシース領域のブレンドの形成に使用したHDPEは、HDPE17450N(登録商標あった。C2のシース領域のブレンドの形成に使用したMAHポリマーは、Underwriter Laboratories LLC(Northbrook,Illinois)から入手可能であるAMPLIFY(商標)GR204であった。AMPLIFY(商標)GR204は、12g/10分のメルトフローインデックス(I2)、0.954g/ccの密度、および127℃のDSC融点を有する。
【0069】
実験1(「E1」)は、45gsmの基本重量を有する、73重量%のフラッフパルプおよび27重量%の二成分繊維のブレンドのエアレイド基材である。二成分繊維は、第1の領域(すなわち、コア領域)および第2の領域(すなわち、シース領域)を1:1の重量比で含んでいた。第1の領域は、ポリプロピレンを含み、第2の領域は、HDPEおよびエチレン酸コポリマーのブレンドを含んでいた。HDPEは、第2の領域の総重量に基づいて、ブレンドのうちの90重量%で存在し、エチレン酸コポリマーは、ブレンドのうちの10重量%で存在した。E1のコア領域の形成に使用したポリプロピレンは、PPH225(登録商標)であった。E1のシース領域のブレンドの形成に使用したHDPEは、DOW(商標)HDPE17450Nであった。E1のシース領域のブレンドの形成に使用したエチレン酸コポリマーは、Dupont Co.(Wilmington,Delaware)から入手可能であるFusabond(登録商標)M603であった。Fusabond(登録商標)M603は、25g/10分のメルトフローインデックス(I2)、0.940g/ccの密度、および108℃のDSC融点を有する。
【0070】
実施例1-137℃で接着したエアレイド基材の特性
様々なエアレイド基材の引張強度、粉塵レベル、および剛性のデータを表1および2に示す。表1にまとめられている結果には、C1、C2、およびE1に由来するデータが含まれ、その組成物は前述の通りである。これらの試料は、137℃の熱風流温度に曝露され、これは、エアレイド基材が脆くなるのを防止しながら、十分な接着強度を提供する温度である。
【表1】
【0071】
比較すると、エチレン酸コポリマーを含有するエアレイド基材であるE1は、C1およびC2と比較して、改善された引張強度および粉塵レベルを示した。増加した引張強度および減少した粉塵レベルの特性は、パルプと二成分繊維との間の改善された接着を示す。E1は、C1とC2の測定値の間の剛性を示したが、E1の剛性は、依然として消費者の必要性に好適である。C2を含有するMAHと比較して、E1での接着増加の利点は、剛性低下のトレードオフを上回る。このように、このデータは、エチレン酸コポリマーを含有するエアレイド基材が、本開示で前述したように、より典型的な組成物を含有するエアレイド基材と比較して、改善された接着を実証することを示す。
【0072】
実施例2-139℃で接着したエアレイド基材の特性
表2にまとめられている結果には、C1、C2、およびE1に由来するデータが含まれ、その組成物は前述の通りである。これらの試料は、139℃の熱風流温度に曝露され、これは、139℃を超える温度でエアレイド基材が脆くなり得るため、これらのエアレイド基材が曝露され得る最大熱風流温度に近い。
【0073】
【0074】
ここでも、エチレン酸コポリマーを含有するエアレイド基材であるE1は、C1およびC2と比較して、引張強度の増加および粉塵レベルの低下を示し、これは、パルプと二成分繊維と間の改善された接着を示す。E1は、C2の測定値よりも低い剛性を示したが、E1の剛性は、依然として消費者の必要性に好適である。したがって、E1は、C1およびC2と比較して、すべての特性の優れたバランスが達成されることを示す。
【0075】
全体として、エチレン系ポリマーおよびエチレン酸コポリマーのブレンドを含有する第2の領域を含む、本開示に記載のエアレイド基材は、従来のエアレイド基材と比較して、改善された接着を示す。このような特徴は、実験エアレイド基材E1によって達成された低粉塵レベルによって特に注目される。
【0076】
本開示の第1の態様によると、第1の領域および第2の領域を有する少なくとも1つの二成分繊維を含むエアレイド基材が開示される。第1の領域は、ポリプロピレンを含む。第2の領域は、0.920g/cm3~0.970g/cm3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~150g/10分のメルトインデックス(I2とを有する、エチレン系ポリマーと、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレンモノマーおよび1重量%~40重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーを含む、エチレン酸コポリマーであって、エチレン酸コポリマーが、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、0.5g/10分~500g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、エチレン酸コポリマーと、を含む。
【0077】
本開示の第2の態様は、エアレイド基材が、エアレイド基材の総重量に基づいて、少なくとも50重量%のパルプ、好ましくは少なくとも70%重量%のパルプを含む、第1の態様を含み得る。
【0078】
本開示の第3の態様は、パルプが、二成分繊維に結合される、第1の態様または第2の態様を含み得る。
【0079】
本開示の第4の態様は、パルプが、セルロース繊維を含む、第1~第3の態様のいずれかを含み得る。
【0080】
本開示の第5の態様は、第1の領域が、二成分繊維のコア領域であり、第2の領域が、二成分繊維のシース領域であり、シース領域が、コア領域を取り囲む、第1~第4の態様のいずれかを含み得る。
【0081】
本開示の第6の態様は、第1の領域および第2の領域が、二成分繊維の総重量に基づいて、4:1~1:4の重量比を有する、第1~第5の態様のいずれかを含み得る。
【0082】
本開示の第7の態様は、第1の領域が、第1の領域の総重量に基づいて、少なくとも75重量%のポリプロピレンを含む、第1~第6の態様のいずれかを含み得る。
【0083】
本開示の第8の態様は、第1の領域のポリプロピレンが、少なくとも150℃の溶融温度と、230℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、10g/10分~100g/10分のメルトフローレート(MFR)と、を有する、第1~第7の態様のいずれかを含み得る。
【0084】
本開示の第9の態様は、第2の領域が、第2の領域の総重量に基づいて、60重量%~99重量%のエチレン系ポリマー、好ましくは80重量%~99重量%のエチレン系ポリマーと、第2の領域の総重量に基づいて、1重量%~40重量%のエチレン酸コポリマー、好ましくは1重量%~20重量%のエチレン酸コポリマーと、を含む、第1~第8の態様のいずれかを含み得る。
【0085】
本開示の第10の態様は、第2の領域におけるエチレン系ポリマーが、0.930g/cm3~0.960g/cm3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、10g/10分~50g/10分のメルトインデックス(I2)と、を有する、第1~第9の態様のいずれかを含み得る。
【0086】
本開示の第11の態様は、エチレン酸コポリマーが、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、85重量%~99重量%のエチレンモノマーと、エチレン酸コポリマー中のモノマーの総重量に基づいて、1重量%~15重量%の不飽和ジカルボン酸コモノマーと、を含む、第1~第10の態様のいずれかを含み得る。
【0087】
本開示の第12の態様は、第2の領域におけるエチレン酸コポリマーが、0.930g/cm3以上の密度を有する、第1~第11の態様のいずれかを含み得る。
【0088】
本開示の第13の態様は、第2の領域におけるエチレン酸コポリマーが、0.935g/cm3~0.945g/cm3の密度と、190℃および2.16kgでASTM D1238により決定される、22g/10分~28g/10分のメルトインデックス(I2と、を有する、第1~第12の態様のいずれかを含み得る。
【0089】
本開示の第14の態様は、エチレン酸コポリマーの不飽和ジカルボン酸コモノマーが、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、無水マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸モノプロピルエステル、無水マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸、フマル酸、フマル酸モノエステル、またはそれらの組み合わせを含む、第1~第13の態様のいずれかを含み得る。
【0090】
本開示の第15の態様は、第1~第14の態様のいずれかに記載のエアレイド基材を含む吸着物品を含み得る。
【0091】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【国際調査報告】