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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(54)【発明の名称】相乗効果のある抗酸化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/662 20060101AFI20220328BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20220328BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220328BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220328BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220328BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220328BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61K31/662
A61K8/55
A61K8/60
A61K8/37
A61K31/7048
A61K31/216
A61P17/02
A61P43/00 121
A61Q19/00
A61P39/06
A61K9/10
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548188
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 US2020019098
(87)【国際公開番号】W WO2020172455
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/808,052
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515296622
【氏名又は名称】ロダン アンド フィールズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rodan & Fields, LLC
【住所又は居所原語表記】60 Spear Street, Suite 600 San Francisco, CA 94105, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】デュエバ-コガノフ、オルガ
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド、テイラー
(72)【発明者】
【氏名】クレーン、クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ビアンチーニ、ロバート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA24
4C076BB31
4C076CC19
4C076FF02
4C083AB172
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC332
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD662
4C083CC05
4C083DD17
4C083DD31
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086EA11
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB20
4C206DB54
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 様々な実施形態の抗酸化組成物は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)と、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)と、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)とを含み、抗酸化組成物が、MCAP、ロスマリン酸、またはルチン単独と比較して、相乗効果を示すことを特徴とする。活性酸素でダメージを受けた皮膚や毛髪を治療する方法、皮膚や毛髪のダメージを予防する方法、老化した皮膚を治療する方法などがある。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化組成物であって、
カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)と、
(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)と、および
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)と、
を含む、抗酸化組成物。
【請求項2】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記抗酸化組成物は、前記MCAP、前記ロスマリン酸、または前記ルチン単独と比較して、相乗効果を示す、抗酸化組成物。
【請求項3】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記MCAPが、約0.0001wt.%~約1.0wt.%の量で前記抗酸化組成物中に存在する、抗酸化組成物。
【請求項4】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記ロスマリン酸が、約0.0001wt.%~約1.0wt.%の量で前記抗酸化組成物中に存在する、抗酸化組成物。
【請求項5】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記ルチンが、約0.0001wt.%~約1.0wt.%の量で前記抗酸化組成物中に存在する、抗酸化組成物。
【請求項6】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記抗酸化組成物中の前記MCAP:前記ルチンの比率が約1:100~約1:1の範囲である、抗酸化組成物。
【請求項7】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記抗酸化組成物中の前記MCAP:前記ロスマリン酸の比率が、約1:100~約1:1の範囲である、抗酸化組成物。
【請求項8】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記抗酸化組成物中の前記ロスマリン酸:前記ルチンの比率が、約1:100~約1:1の範囲である、抗酸化組成物。
【請求項9】
請求項1記載の抗酸化組成物において、前記抗酸化組成物中の前記MCAP:前記ロスマリン酸:前記ルチンの比率が、約1:100:100~約1:1:1の範囲である、抗酸化組成物。
【請求項10】
請求項2記載の抗酸化組成物において、前記相乗効果が250~400nmの光の吸収率の増加である、抗酸化組成物。
【請求項11】
請求項10記載の抗酸化組成物において、前記増加した吸光度の総量が、前記MCAP、前記ロスマリン酸、または前記ルチンのいずれか単独の吸光度よりも有意に多い、抗酸化組成物。
【請求項12】
請求項1記載の抗酸化組成物を含む局所製剤。
【請求項13】
請求項12記載の局所製剤において、前記局所製剤はさらに溶媒を含む、局所製剤。
【請求項14】
請求項13記載の局所製剤において、前記溶媒は、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、水、エタノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、局所製剤。
【請求項15】
請求項12記載の局所製剤において、前記局所製剤中の前記抗酸化組成物の総量が約0.000001wt.%~約5.0wt.%である、局所製剤。
【請求項16】
請求項12に記載の局所製剤において、前記局所製剤は、医薬用添加物、化粧品用添加物、水、またはそれらの組み合わせをさらに含む、局所製剤。
【請求項17】
請求項16に記載の局所製剤において、前記医薬添加物は、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、プラスチッカー、担体、賦形剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、局所製剤。
【請求項18】
請求項16に記載の局所製剤において、前記化粧品添加物は、ビタミン、化粧品ペプチド、オイルコントロール剤、感覚修正剤、スキンライトニング剤、水和剤、サンブロック剤、UV光子を吸収または反射する化合物、他のスキンケア剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、局所製剤。
【請求項19】
請求項12記載の局所製剤において、前記局所製剤は、溶液、流体、乳液、懸濁液、固体、半固体、ゼリー、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、ローション、乳液、クリーム、フォーム、ムース、液体、スプレー、懸濁液、分散液、粉末、エアロゾル、カラー化粧品、ヘアトリートメント、スカルプケア製品、または経皮吸収型パッチからなる群から選択される形態で製剤化される、局所製剤。
【請求項20】
それを必要とする対象の活性酸素種による皮膚損傷を治療する方法であって、前記対象の皮膚に、
カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチルと、
(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸と、および
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オンと、
を含む抗酸化組成物を局所的に投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法において、前記抗酸化組成物は、前記MCAP、前記ロスマリン酸、または前記ルチン単独と比較して、相乗効果を示す、方法。
【請求項22】
請求項20記載の方法において、前記対象は乳児、子供、青年、または成人である、方法。
【請求項23】
請求項20記載の方法において、前記皮膚の損傷は、脂質、タンパク質、DNA、またはそれらの組み合わせに対する損傷である、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法において、前記活性酸素種は、紫外線照射、汚染、加熱、またはそれらの組み合わせによって生成される、方法。
【請求項25】
必要とする対象の老化した皮膚の外観を改善する方法であって、前記対象の皮膚に、
カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチルと、
(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸と、および
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オンと、
を含む抗酸化組成物を局所的に投与する工程を含む、方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記抗酸化組成物は、前記MCAP、前記ロスマリン酸、または前記ルチン単独と比較して、相乗効果を示す、方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法において、前記皮膚の特性が、ハリ、弾力、小じわ、肌の質感、肌の色、外観、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項28】
請求項25記載の方法において、前記皮膚の外観を改善する工程は、より滑らかな皮膚、より硬い皮膚、より明るい顔色、前記皮膚の質感の改善、均一な外観の皮膚、またはより若い外観の皮膚をもたらす、方法。
【請求項29】
請求項25記載の方法において、皮前記膚の外観を改善する工程は、前記皮膚の弾力性の増加、前記皮膚の小じわの減少、前記皮膚のシワの減少、より一貫した肌色、およびそれらの任意の組み合わせをもたらす、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月20日に出願された米国仮出願第62/808,052号の優先権を主張するものであり、この仮出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本明細書で開示される実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル}]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象とする。
【0003】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の活性酸素種によって損傷を受けた皮膚または毛髪を治療する方法を対象とする。
【0004】
実施形態は、メチルカルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロップ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の皮膚または毛髪の損傷を防止する方法を対象とする。
【0005】
実施形態は、メチルカルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロップ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を、対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の老化した皮膚を治療する方法を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本実施形態の性質と利点をより深く理解するためには、添付の図面に関連した以下の詳細な説明を参照する必要がある。
図1図1:テストされた抗酸化物質と、個々の成分が機能することが知られる経路を表す。
図2図2:抗酸化組成物実施例1~実施例8の2%をペンチレングリコールに溶解させたものをOcean OpticsのUVがSpectrometerで250nm~500nmの範囲で測定した吸光率。
図3図3:複数のターゲットをテストするためにデザインされたアッセイの包括的な分析に基づく、実験的な抗酸化組成物実施例1~実施例8の総合ランキング。
図4図4:光毒性アッセイの相互作用プロット
図5図5:250~500nmでの吸光度測定における相互作用プロット。
図6図6:活性酸素種(ROS)蛍光アッセイの相互作用プロット。
図7図7:IC50アッセイの相互作用プロット。
図8図8:IC50を最小化し、線維芽細胞の代謝活性を最大化し、細胞内の活性酸素を最小化し、250~500nmの吸光度を最大化するための最適化プロット。
図9図9:MCAP、ロスマリン酸、ルチンの各成分単独と3成分混合のスペクトルデータ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
紫外線や大気汚染、タバコの煙などの外的要因にさらされると、肌の老化が進むと言われる。皮膚の老化は、一般の人々、特に女性にとって共通の悩みである。そのため、外部攻撃因子によるダメージを防止または治療するための効果的な薬剤が望まれる。
【0008】
この損傷のメカニズムの一つは、活性酸素種(ROS)の発生である。ROSは、太陽光や公害などさまざまな原因で発生する化学的に不安定な物質で、脂質やタンパク質、DNAなどにダメージを与える。この化学的なダメージは、コラーゲンやエラスチンの破壊、細胞のターンオーバーの低下、メラノサイトの生成増加などを引き起こし、肌を老けた印象にする。また、活性酸素は、MMPの活性化(=コラーゲンの分解)やメラニンの生成につながる炎症反応を活性化させることが知られており、ダメージを受けた老化した肌につながる。
【0009】
外的要因によって発生した活性酸素を消去することができる外用剤は、活性酸素の伝播を抑制し、皮膚の損傷を最小限に抑えることができると考えられる。
【0010】
抗酸化物質は、局所的に塗布することで、ROSによる皮膚の損傷を緩和する能力を示す。抗酸化物質には多くのメカニズムが存在し、抗酸化物質の機能や効果も様々である。
【0011】
したがって、複数の経路をターゲットとした抗酸化組成物を作ることは、単一の経路のみをターゲットとした場合と比較して、活性酸素による皮膚障害の発生を遅らせ、総合的な環境保護に貢献するために、より効果的に機能すると考えられる。
【0012】
京都分子(正式名称:ナールスゲン、化学名:カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(MCAP))は、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の阻害剤であり、細胞の酸化還元状態を制御する機能を有する。フェノール酸の一種であるロスマリン酸は、構造的にフリーラジカルを捕捉し、脂質の酸化を抑制する働きがある。ルチンはフラボノイドの一種で、金属イオンをキレートしたり、フリーラジカルを除去したりする働きがある。このように、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の阻害による細胞の酸化還元状態の制御、フリーラジカルの構造的捕捉、脂質酸化の抑制、金属イオンのっ、フリーラジカルの消去など、複数の経路をターゲットにした新規抗酸化剤のブレンドである。
【0013】
本明細書に記載される実施形態は、MCAP、ロスマリン酸、およびルチンの抗酸化組成物に向けられており、これらの抗酸化組成物は、紫外線などの外部攻撃因子への曝露によって引き起こされる皮膚の損傷を効果的に治療および/または予防するために相乗的に作用する。
【0014】
様々な側面について以下に詳細に説明する。しかしながら、そのような態様は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底して完全なものとなり、当業者にその範囲を十分に伝えることができるように提供されるものである。
【0015】
値の範囲が記載されている場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値、およびその記載された範囲内の他の記載されたまたは介在する値が、本開示に包含されることが意図される。例えば、1wt%~8wt%の範囲が記載される場合、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%も、1wt%より大きいまたはそれと同等の値の範囲や8wt%より小さいまたはそれと同等の値の範囲と同様に、明示的に開示されることが意図される。
【0016】
すべてのパーセンテージ、パート、比率は、特に指定のない限り、製剤および組成物の総重量に基づいており、すべての測定は約25℃で行われる。
【0017】
単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかにそうでないと判断される場合を除き、複数形を含む。例えば、「ポリマー」という表現は、単一のポリマーだけでなく、2またはそれ以上の同じまたは異なるポリマーを含み、「賦形剤」という表現は、単一の賦形剤だけでなく、2またはそれ以上の同じまたは異なる賦形剤を含むなど、様々な表現がある。
【0018】
数値の直前にある「約」という言葉は、本開示の文脈がそうでないことを示し、そのような解釈と矛盾しない限り、その値のプラスマイナス10%の範囲を意味する。例えば、「約50」は45~55、「約25,000」は22,500~27,500などである。例えば、「約49、約50、約55」のような数値のリストでは、「約50」は、前後の値の間隔の半分以下の範囲を意味し、例えば、49.5以上~52.5未満を意味する。さらに、値が「約未満」または「約以上」という表現は、本明細書に記載される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される「投与する(administer)」、「投与している(administering)」および「投与(administration)」という用語は、化合物(関心のある薬剤とも呼ばれる)または化合物(関心のある薬剤)の薬学的に許容される塩または組成物を対象に直接投与することを意味する。
【0020】
「含む(including)」、「含む(containing)」、または「によって特徴づけられる(characterized by)」と同義の「含む(comprising)」という経過的な用語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、引用されていない要素や方法の工程を除外するものではない。対照的に、「~から成る(consisting of)」という経過的な表現は、請求項で指定されていない要素、工程、または成分を除外する。また、「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行的な表現は、請求の範囲を、請求対象物の「基本的かつ新規な特性(複数可)に実質的な影響を与えない」指定された材料またはステップに限定する。遷移句として含む(comprising)という用語が使用されているいくつかの実施形態または請求項では、「含む(comprising)」という用語を「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語に置き換えることで、そのような実施形態を想定することも可能である。
【0021】
「化粧品」とは、人体の浄化、美化、魅力の向上、皮膚の外観の変化、またはそれらの組み合わせのために使用される、または意図された薬剤を意味する。
【0022】
本明細書において、「薬学的に許容される」または「化粧品的に許容される」という表現は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症を起こすことなく、合理的な利益/リスク比に見合って、ヒトおよび/または他の哺乳類の組織と接触して使用するのに適した、対象となる薬剤/化合物、塩、組成物、剤形などを指すために用いられる。いくつかの側面では、薬学的に許容されるとは、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されるか、または哺乳類(例えば、動物)、より詳細にはヒトに使用するために米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0023】
「患者」および「対象」という用語は互換性があり、本明細書に記載される化合物または組成物で治療される可能性のある任意の生体を意味すると考えられる。そのため、「患者」および「対象」という用語は、任意の非ヒト哺乳類、霊長類、またはヒトを含んでも良いが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、患者または対象は、成人、子供、または乳児である。いくつかの実施形態では、患者または対象はヒトである。
【0024】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、2またはそれ以上の異なる成分、コンポーネント、または物質の組み合わせまたは混合物を意味し、例えば、抗酸化物質の組み合わせなどが挙げられる。
【0025】
ここでいう「阻害剤」または「酵素阻害剤」とは、酵素に結合してその活性を低下させる分子のことである。酵素の活性を阻害することで、病原体を死滅させたり、代謝の不均衡を是正したりすることができるため、多くの医薬品が酵素阻害剤となる。
【0026】
ここでいう「γ-グルタミルトランスペプチダーゼ」(「GGT」)とは、グルタチオンなどの分子からアミノ酸、ペプチド、または水などのアクセプターへのγ-グルタミル官能基の転移を触媒するトランスフェラーゼ(酵素の一種)のことである。
【0027】
ここでいう「活性酸素」とは、太陽光や公害など様々な原因で発生する酸素を含む化学的に不安定な物質で、脂質やタンパク質、DNAなどに損傷を与えるものである。活性酸素の例としては、過酸化物、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、α-酸素などがある。
【0028】
本明細書で使用される用語「局所的(topically)」および「局所的(topical)」は、皮膚、粘膜細胞、ケラチンおよび組織の表面に組成物を適用することを指す。ケラチンの例としては、爪や毛髪が挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、皮膚疾患または全身状態を治療する方法を意味し、一般的には、化合物または組成物を投与しない対象と比較して、対象の組織表面の意図された組織治療領域の質感、外観、色、感覚、または水和を向上させる、病状の症状の頻度を減らす、または発症を遅らせる化合物または組成物の投与を含む。これには、対象の状態を改善または安定させる方法で、症状、臨床徴候、および状態の基礎となる病理を逆転させる、軽減する、または停止させることが含まれる。
【0030】
このようなグループの個々のメンバー(グループ内のサブレンジまたはサブレンジの組み合わせを含む)を除外する権利をここに留保することにより、範囲に応じてまたは同様の方法で請求することができ、いかなる理由でも本開示の完全な測定値未満を請求することができる。さらに、ここで、個々の置換基、アナログ、化合物、リガンド、構造、またはそれらのグループ、あるいは請求されたグループのメンバーを但し書きで除外する権利を留保することにより、いかなる理由でも本開示の完全な測定値よりも少ない値を請求することができる。本開示の全体を通して、様々な特許、特許出願、および出版物が参照される。これらの特許、特許出願、および出版物の開示は、本開示の日付の時点で当業者に知られる技術の状態をより完全に説明するために、その全体が参照により本開示に組み込まれる。本開示は、引用された特許、特許出願、出版物と本開示との間に矛盾がある場合に適用される。
【0031】
便宜上、本明細書、実施例および特許請求の範囲で採用される特定の用語をここに集めた。他に定義されていない限り、本開示で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。
【0032】
組成物
本明細書で開示される実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象とする。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、MCAP、ロスマリン酸、またはルチンの単独、またはそのような化合物の2つの組み合わせと比較して、相乗効果を示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約1.0wt.%~約5.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約1.0wt.%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.0003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.03wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000003wt.%~約0.0003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.00003wt.%~約0.003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.0003wt.%~約0.03wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.003wt.%~約0.3wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.001wt.%~約0.002wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000003wt.%~約0.003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000003wt.%~約0.0003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000003wt.%~約0.00003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000001wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000001wt.%~約0.1wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000001wt.%~約0.01wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000001wt.%~約0.001wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAPの量は、約0.000001wt.%~約0.0001wt.%の量で存在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約1.0wt%~約5.0wt%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約1.0wt.%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.03wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0003wt.%~約0.03wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.003wt.%~約0.03wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.001wt.%~約0.002wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0003wt.%~約0.003wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0001wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.001wt.%~約1.0wt.%の量で存在している。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.01wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.1wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0001wt.%~約0.1wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0001wt.%~約0.01wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸の量は、約0.0001wt.%~約0.001wt.%の量で存在する。
【0036】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約1.0wt.%~約5.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約1.0wt.%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.003wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.03wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0003wt.%~約0.03wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.003wt.%~約0.03wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.001wt.%~約0.002wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0003wt.%~約0.003wt.%の量で存在している。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0001wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.001wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.01wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.1wt.%~約1.0wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0001wt.%~約0.1wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0001wt.%~約0.01wt.%の量で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のルチンの量は、約0.0001wt.%~約0.001wt.%の量で存在する。
【0037】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAP:ルチンの比率は、約1:100~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAP:ロスマリン酸の比は、約1:100~約1:1の範囲内である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のロスマリン酸:ルチンの比は、約1:100~約1:1の範囲内である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAP:ロスマリン酸:ルチンの比は、約1:100:100~約1:1:1の範囲内である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物中のMCAP:ロスマリン酸:ルチンの比は、1:1:1である。
【0038】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、薬学的に許容される賦形剤である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、局所製剤である。いくつかの実施形態では、局所製剤は、溶媒をさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、溶媒は、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、水、グリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ココ-カプリレート/カプレート、1,2-ヘキサンジオール、エタノール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、局所製剤に配合される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、局所製剤に約0.000001wt.%~約5.0wt.%で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、局所製剤中に約0.1wt.%~約5.0wt.%で存在する。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、局所製剤中に約0.01%~約1.0%で存在する。
【0041】
いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.000001wt.%~約5.0wt.%の量であり、いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.001wt.%~約1.0wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.01wt.%~約0.1wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.0001wt.%~約0.01wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.01wt.%未満の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約0.1wt.%未満の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するMCAPの量は、約1.0wt.%未満の量である。
【0042】
いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約0.0001wt.%~約5.0wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約0.001wt.%~約1.0wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約0.01wt.%~約0.1wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約0.01wt.%未満の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約0.1wt.%未満の量である。%.いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するロスマリン酸の量は、約1.0wt.%未満の量である。
【0043】
いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約0.0001wt.%~約5.0wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約0.001wt.%~約1.0wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約0.01wt.%~約0.1wt.%の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約0.01wt.%未満の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約0.1wt.%未満の量である。いくつかの実施形態では、局所製剤中に存在するルチンの量は、約1.0wt.%未満の量である。
【0044】
いくつかの実施形態では、局所製剤中のMCAP:ルチンの比率は、約1:100~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、局所製剤におけるMCAP:ロスマリン酸の比率は、約1:100~約1:1の範囲内である。いくつかの実施形態では、局所製剤中のロスマリン酸:ルチンの比は、約1:100~約1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、局所製剤中のMCAP:ロスマリン酸:ルチンの比率は、約1:100:100~約1:1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、局所製剤中のMCAP:ロスマリン酸:ルチンの比は、1:1:1である。
【0045】
いくつかの実施形態では、相乗効果は、250~400nmの光の吸光度の増加である。いくつかの実施形態では、相乗効果は、ハイパークロミックシフト、ハイソクロミックシフト、またはバトクロミックシフトである。いくつかの実施形態では、増加した吸光度の総量は、MCAP、ロスマリン酸、ルチンのいずれか単独の吸光度よりも有意に多い。いくつかの実施形態では、増加は統計的に有意である。
【0046】
いくつかの実施形態では、局所用製剤は、医薬品添加物、化粧品添加物、水、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬添加物は、希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、保湿剤、可溶化剤、防腐剤、着色剤、プラスチッカー、担体、賦形剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、化粧品添加剤は、ビタミン、化粧品ペプチド、オイルコントロール剤、感覚修正剤、スキンライトニング剤、水和剤、サンブロック剤、UV光子を吸収または反射する化合物、他のスキンケア剤、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、局所製剤は、溶液、流体、乳液、懸濁液、固体、半固体、ゼリー、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、ローション、乳液、クリーム、フォーム、ムース、液体、スプレー、懸濁液、分散液、粉末、エアロゾル、または液体、クリーム、軟膏、ゲル、エアロゾルとして製剤化された経皮吸収型パッチからなる群から選択される形態で製剤化される。
【0050】
いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、アンチエイジングレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、アフターサンケアのためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、光保護レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、光保護レジメンは、サンブロックレジメンまたは日焼け止めである。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、肌を明るくするためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、肌を明るくするための養生法の一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、ニキビ治療のための養生法の一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、炎症治療のためのレジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、カラー化粧品レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、スカルプ処理レジメンの一部である。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、頭皮治療の養生法の一部である。
【0051】
本明細書に記載の組成物を調製するために、多種多様な方法を使用することができる。大まかに言えば、組成物は、本明細書に記載されるように、製剤の成分を、薬学的に許容される組成物を提供するのに十分な温度および時間で組み合わせることによって調製することができる。本明細書に記載の実施形態では、MCAP、ロスマリン酸、およびルチンを一定の加熱で混合する。本明細書に記載の実施形態では、MCAP、ロスマリン酸、およびルチンは、溶媒と混合され、予備混合された後、撹拌しながら水相に添加され、加熱される。特定の実施形態では、MCAP、ロスマリン酸、およびルチンの混合物は、約30℃~約75℃、約30℃~約60℃、約30℃~約50℃、約40℃~約75℃、約50℃~約75℃、約60℃~約75℃、または約40℃に加熱される。
【0052】
本明細書に記載の組成物の使用方法
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の活性酸素種によって損傷した皮膚を治療する方法を対象とする。
【0053】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の活性酸素種によって損傷した毛髪を治療する方法を対象とする。
【0054】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の皮膚損傷を防止する方法を対象とする。
【0055】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の毛髪に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の毛髪損傷を防止する方法を対象とする。
【0056】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を、対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の老化した皮膚を治療する方法を対象とする。
【0057】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を、対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の皮膚の外観を改善する方法を対象とする。
【0058】
実施形態は、カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(別名:MCAP)、(2R)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-{[(2E)-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパ-2-エノイル]オキシ}プロパン酸(別名:ロスマリン酸)、および2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-3-[α-L-ラムノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシルオキシ]-4H-クロメン-4-オン(別名:ルチン)を含む抗酸化組成物を対象の皮膚に局所的に投与する工程を含む、それを必要とする対象の毛髪の外観を改善する方法を対象とする。
【0059】
本明細書に記載の実施形態では、抗酸化組成物は、MCAP、ロスマリン酸、またはルチンの単独と比較して、相乗効果を示す。
【0060】
本明細書に記載の実施形態では、抗酸化組成物は、皮膚または毛髪における活性酸素種の発生を防止する。本明細書に記載の実施形態では、抗酸化組成物は、皮膚または毛髪における活性酸素の発生を緩和する。
【0061】
本明細書に記載の実施形態では、活性酸素種は、UV照射、汚染、加熱、またはそれらの組み合わせによって生成される。
【0062】
本明細書に記載の実施形態では、皮膚の損傷は、脂質、タンパク質、DNA、またはそれらの組み合わせに対する損傷である。本明細書に記載の実施形態では、毛髪の損傷は、脂質、タンパク質、DNA、またはそれらの組み合わせに対する損傷である。
【0063】
本明細書に記載の実施形態では、老化した皮膚の治療により、皮膚の特性の改善が得られる。
【0064】
本明細書に記載の実施形態では、肌の特性は、ハリ、弾力、小じわ、肌の質感、肌の色、外観、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0065】
本明細書に記載の実施形態では、皮膚の外観を改善することにより、より滑らかな皮膚、より硬い皮膚、より柔らかい皮膚、より明るい顔色、皮膚の質感の改善、均一な外観の皮膚、変色の改善、シミの消失、赤みの減少、または若々しい皮膚が得られる。いくつかの実施形態では、皮膚の外観を改善することで、抗炎症効果が得られる。いくつかの実施形態では、皮膚の外観の改善は、皮膚の弾力性の増加、皮膚の小じわの減少、皮膚のしわの減少、より一貫した肌色、およびそれらの任意の組み合わせをもたらす。
【0066】
本明細書に記載の実施形態では、毛髪の処理により、毛髪の特性が改善される。
【0067】
本明細書に記載の実施形態では、毛髪の特性は、光沢、質感、膨らみ、滑らかさ、密度、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0068】
本明細書に記載の実施形態では、毛髪の外観を改善することで、より滑らかな毛髪、より柔らかい毛髪、より明るい毛髪、毛髪の質感の改善、より輝く毛髪、より豊かな毛髪、またはより活気のある毛髪が得られる。
【0069】
本明細書に記載の実施形態では、対象は、乳児、小児、青年、または成人である。
【0070】
本明細書に記載の実施形態では、抗酸化組成物は、アンチエイジング、アフターサンケア、スキンライトニング、スキンブライトニング、ニキビ治療、炎症治療、ヘアトリートメント、またはスカルプ治療のための局所的な製剤として配合される。
【0071】
本明細書に記載の実施形態では、抗酸化組成物は、日焼け止めとして処方される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、アンチエイジングレジメンとして製剤化される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、アフターサンケア製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、光保護レジメンとして調合される。いくつかの実施形態では、光保護レジメンは、サンブロックレジメンまたは日焼け止めである。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、美白製品として処方される。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、スキンブライトニング製品として処方される。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、ニキビ治療剤として配合される。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、炎症治療剤として配合される。いくつかの実施形態では、抗酸化剤組成物は、カラー化粧品レジメンとして処方される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、毛髪処理レジメンとして処方される。いくつかの実施形態では、抗酸化組成物は、頭皮治療レジメンとして処方される。
【0072】
次に、以下の実施例を参照して、本発明の主題を説明する。これらの実施例は説明のために提供されており、特許請求の範囲は決してこれらの実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるあらゆるバリエーションを包含するものと解釈されるべきである。当業者であれば、本質的に同様の結果を得るために変更可能な様々な非重要なパラメータを容易に認識することができる。
【実施例1】
【0073】
実験計画法(DOE)を用いて、既知の3つの抗酸化物質について、様々な抗酸化アッセイにおける相乗効果の可能性を検証した。京都分子(正式名称:ナールスゲン、化学名:カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル(MCAP))は、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の阻害剤であり、細胞の酸化還元状態を制御する機能を持つ。フェノール酸の一種であるロスマリン酸は、構造的にフリーラジカルを捕捉し、脂質の酸化を抑制する働きがあります。ルチンはフラボノイドの一種で、金属イオンをキレートし、フリーラジカルを消去する機能を持つ。
【0074】
実験の結果、MCAP、ロスマリン酸、ルチンの間にさまざまな相乗効果があることがわかった。図1~7参照。これらの実験から得られたデータをもとに、これら3つの抗酸化物質を含む最適な抗酸化組成物が作られた。この最適化されたマルチターゲット組成物は、様々な化粧品に添加することで、様々なアンチエイジング効果と光保護効果をもたらす。最適化プロットによると、ロスマリン酸とルチンが最も重要な貢献分子であることを示すが、MCAPは試験レベルよりも低いレベルで効果を最大限に発揮することが理論的に示される。図8を参照。
【0075】
実施例1:実施例1~実施例8の組成物
実施例1~実施例8の組成物は、可能な相乗効果を決定するために、DOE試験品として使用された。
【表1】
【実施例2】
【0076】
実施例2:個々の抗酸化物質のデータ
MCAP、ロスマリン酸、ルチンは、試験法A(DPPH)、試験法C(DCFH)、試験法B(PHTX)を用いてその活性を調べた。表2にこれらの実験の結果を示す。
【表2】
【実施例3】
【0077】
実施例3:抗酸化組成物試験
実施例1~実施例8の組成物は、試験方法Aによって決定され、表3に示されるように、フリーラジカル2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル)の50%阻害をもたらす阻害濃度について試験された。また、追加データを表4に示した。
【表3】
【表4】
【0078】
実施例4は、MCAPとロスマリン酸の相乗効果を示しており、不活性なMCAP単独(実施例3)、ロスマリン酸単独のIC50が8.9(実施例6)と比較して、IC50が1.9と低くなっている。ルチンは、実施例5に示すように、このアッセイにおいて個々の成分として最大の効果を発揮する。
【0079】
実施例1~実施例8の組成物は、UVA照射の前後における細胞生存率への影響について試験された。細胞生存率は、試験方法Bに従って、MTTアッセイを用いて細胞の代謝活性を決定することにより測定し、その結果を表5に示す。MTTアッセイは、細胞の代謝活性を評価するための比色アッセイである。
【表5】
【0080】
抗酸化組成物実施例1の結果から、紫外線照射アッセイにおいて、ルチンとロスマリン酸の間に相乗効果があることがわかった。ルチンとロスマリン酸は単独では溶媒対照よりも細胞の代謝が低いが、ルチンとロスマリン酸を配合した実施例1では溶媒対照と比較して129%の代謝活性を示した。MCAP単独では、実施例3に示すように、このアッセイにおける個々の抗酸化物質の効果が最も大きい。試験した材料は、通常試験される最高濃度の100μg/mlの10倍である1mg/mlまで試験しても光毒性はなかった。
【0081】
実施例1~実施例8の組成物は、UVA照射されたヒト真皮線維芽細胞における活性酸素種の定量化について試験された。定量結果は、水コントロールに対するパーセンテージで表され、試験方法Cによって決定され、表6に示される。
【表6】
【0082】
活性酸素の定量データを見ると、実施例3に示したMCAPがこのアッセイではプロオキシダントであるという意外な発見がある。しかし、MCAPのプロオキシダント活性は、実施例7に示すように、ルチンとロスマリン酸の存在下では否定される。したがって、抗酸化組成物は、MCAPの潜在的な負の副作用を予想外に緩和する。ロスマリン酸は、このアッセイにおいて、個々の抗酸化物質の中で最大の効果を持つ。
【0083】
実施例1~実施例8の組成物の吸光度を、方法Dに従って測定した。図2参照。250~500nmの曲線下の面積は、UVA、UVB、および青色光領域の吸光度を表し、400~500nmは青色光領域のみの吸光度を表す。曲線下面積は試験法Dにより決定され、溶媒である実施例8のブランク補正された曲線に基づいて算出された。結果を表7に示す。吸光度データは、250~400nmの光の吸光度の増加による相乗効果を示した。増加した吸光度の総量は、MCAP、ロスマリン酸、ルチンのいずれかを単独で使用した場合の吸光度よりも有意に多い。250~400nmの光の吸収率の増加は、統計的に有意である。
【表7】
【0084】
MCAP、ロスマリン酸、およびルチンの抗酸化ブレンドは、試験方法A(DPPH)、試験方法C(DCFH)、および試験方法B(PHTX)を用いて、実施例2および表2に示されるような個々の成分の結果と比較して、相乗的な活性について試験された。表8および図9は、これらの実験の結果を示す。
【表8】
【実施例4】
【0085】
実施例4:実験室での試験方法
試験方法A
実施例の処方を連続的に希釈し、100μLの2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)と3連でインキュベートした。520nmでの吸光度の減少を水コントロールに対して標準化し、DPPH消去作用の指標とした。推定IC50値は、グラフ(阻害率)対([試験材料])のトレッドライン方程式に外挿した。アスコルビン酸をポジティブコントロールとして使用し、アッセイを検証した。
【0086】
試験方法B
ヒト成人線維芽細胞を96ウェルプレートに入れ、DMEMと10%FBSを用いて、37℃、5%CO2の加湿雰囲気下で指数関数的に増殖させた。照射前に、細胞培養液の半分をPBSに交換し、0.1%の被験物質(二重蒸留水で希釈)で処理し、さらに1時間45分培養した。その後,プレートの半分にUVAランプUVA-28Tを5mW/cm2で12分間照射し,残りの半分はアルミホイルで覆ったままとした。照射後、被験物質を含むPBSを新しい細胞培養液に交換し、さらに24時間培養した。その後、MTTアッセイで細胞の生存率を分析し、代謝活性を定量化した。
【0087】
試験方法C
ヒト成人線維芽細胞を96ウェルプレートに入れ、DMEM+5%FBSで培養した。指数関数的成長段階で、培地をPBSに交換し、細胞に10μM DCFH-DA(2'-7'-Dichlorofluorescin diacetate)を負荷した。細胞を37℃で15分間インキュベートした後、水洗いし、1mg/ml(0.1%w/w)の被験物質を加えてさらに20分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートに5mW/cmの放射線を10分間照射した。フリーラジカルの存在下では、DCFHが酸化されて蛍光性の高いDCFとなり,生きた細胞ではex/em488/530nmで検出されるため,照射の前後でDCF由来の蛍光を測定した。細胞数に対する被験物質の影響を調べるため、また、活性酸素シグナルを細胞数に標準化するために、以下の式を用いて総不溶性タンパク質を定量した。
[△ROS signal(t10分-t0)]-[細胞数(background-corrected)]。
ネガティブコントロールとして水を用いた。
【0088】
試験方法D
抗酸化組成物は、ペンチレングリコールで2%に希釈した。吸光度は、使い捨ての1.5mLキュベットを用いて、オーシャンオプティック社のUVis分光計(スリット幅10L)で測定し、UVB(290~320nm)、UVA(320~400nm)、青色光(400~490nm)、近紫外(340~400nm)の範囲で吸光度を測定した。酸化防止剤の組成物は、測定前にペンチレングリコールでブランクにした。
【0089】
試験方法E
実験計画法は,MiniTab 17 Statistical Softwareを用いて,フルファクタリモデルを構築し、分析した。前述の試験方法から得られたデータは、最適化プロットと相互作用プロットを用いて分析し、性能に対する処方の最適化と試験材料間の関係を決定した。ここで、非平行線を示す相互作用プロットは、要因間の相互作用を示す。
【実施例5】
【0090】
実施例5:プレス-パウダー製剤
抗酸化組成物は、以下の表のように、プレスパウダ-の結合相に組み込むことができる。
【表9】
【0091】
容器にココ-カプリレート/カプレート、オクチルドデシルステアロイルステアレート1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコールを入れる。
【0092】
十分に攪拌しながら75℃まで加熱する。75℃になったら、ルチンとロスマリン酸を加える。
【0093】
溶けるまで混ぜ続ける。溶けたら、混ぜながら室温まで冷まし始める。
【0094】
温度が30℃以下になったら、MCAPを加え、均一になるまで混ぜる。残りの配合成分(100.0000%になるように添加)と混ぜる。
【0095】
プレスパウダーの残りの成分としては、以下のものが考えられる。マイカ、カオリン、合成フルオルフロゴパイト、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、硫酸バリウム、ナイロン-12、タルク、ステアリン酸亜鉛、ジメチコン、酢酸トコフェロール、ステアリン酸、窒化ホウ素、ジメチコン、ラウロイルリジン、メタクリル酸メチルクロスポリマー、ステアリン酸、植物エキス、防腐剤(フェノキシエタノールなど)。酸化鉄(Ci77489、Ci77491、Ci77492、Ci77499)、ウルトラマリン(Ci77007)、グリーン酸化クロム(Ci77288)を含む場合がある。
【実施例6】
【0096】
実施例6:ピッカリングエマルジョン製剤
抗酸化組成物は、以下の表のようにピッカリングエマルジョンに組み込むことができた。
【表10】
【0097】
フェーズAの成分を十分に撹拌しながら混合する。
【0098】
ロスマリン酸とルチンが完全に溶解し、システムが均一になるまで混合する。必要に応じて、相を45~50℃に加熱しても良い(溶解プロセスを促進するため)。
【0099】
フェーズBの成分を水相にゆっくりと加え、穏やかな撹拌を行いながら、成分が完全に混ざり、システムが均一になるまで加える。
【0100】
真空下でホモジナイズする。
【0101】
別の容器にフェーズCの成分を入れ、キサンタンガムが分散するまで、適度な撹拌で均一になるまで混ぜる。
【0102】
合わせたフェーズAとBにフェーズCを適度に撹拌しながら加え、ホモジナイズする。
【0103】
温度が30℃以下になったら、適度な撹拌をしながらMCAPを加える。
【0104】
本明細書で引用した各特許、特許出願、出版物、およびアクセッション番号の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
本開示は、様々な実施形態を参照して開示されてきたが、本開示の真の精神と範囲から逸脱することなく、当業者が他の実施形態およびこれらの変形を考案することができることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての実施形態および同等の変形を含むように解釈されることを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】