(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(54)【発明の名称】医用画像処理システムとその画像再構成方法のためのコリメータ
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20220328BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T7/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548220
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-16
(86)【国際出願番号】 US2020018663
(87)【国際公開番号】W WO2020172178
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521362335
【氏名又は名称】アルゴスペクト テクノロジーズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミュー、ジーピン
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA01
2G188BB04
2G188CC21
2G188CC23
2G188CC28
2G188DD05
2G188DD17
2G188DD18
4C188EE02
4C188FF04
4C188GG18
4C188GG19
4C188GG21
4C188JJ13
4C188JJ16
4C188KK33
4C188LL12
(57)【要約】
【要約】
種々の実施形態によれば、本開示は、医用画像処理のためのコリメータを提供する。前記コリメータは、頂面および底面を伴う、孔を開けたプレートと、前記孔を開けたプレートに分布する孔とを含む。前記孔は、複数の群に配置構成される。前記複数の群は、第1の符号化開口パターンを形成し、前記複数の群の各々における前記孔は、第2の符号化開口パターンを形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像処理のためのコリメータであって、
頂面および底面を伴う、孔を開けたプレートと、
前記孔を開けたプレートに分布する孔と
を有し、
前記孔は、複数の群に配置構成され、
前記複数の群は、第1の符号化開口パターンを形成し、
前記複数の群の各々における前記孔は、少なくとも第2の符号化開口パターンを形成する
コリメータ。
【請求項2】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記第1の符号化開口パターンは、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイのうちの1つであるコリメータ。
【請求項3】
請求項2記載のコリメータにおいて、前記第1の符号化開口パターンは、MURAアレイであるコリメータ。
【請求項4】
請求項3記載のコリメータにおいて、前記第1の符号化開口パターンは、MURA 5×5アレイ、MURA 7×7アレイ、およびMURA 11×11アレイのうちの1つであるコリメータ。
【請求項5】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記第2の符号化開口パターンは、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイのうちの1つであるコリメータ。
【請求項6】
請求項5記載のコリメータにおいて、前記第2の符号化開口パターンは、MURAアレイであるコリメータ。
【請求項7】
請求項6記載のコリメータにおいて、前記第3の符号化開口パターンは、MURA 3×3アレイ、MURA 7×7アレイ、およびMURA 11×11アレイのうちの1つであるコリメータ。
【請求項8】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記第1の符号化開口パターンは、前記第2の符号化開口パターンとは異なるものであるコリメータ。
【請求項9】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記第1の符号化開口パターンは、前記第2の符号化開口パターンと同じであるコリメータ。
【請求項10】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記複数の群のうちの少なくとも2つは、サイズまたは形状のどちらか一方が異なる前記孔を有するものであるコリメータ。
【請求項11】
請求項1記載のコリメータにおいて、前記複数の群のうち少なくとも1つの前記孔は、前記第2の符号化開口パターンを変換したものであるパターンを有するものであるコリメータ。
【請求項12】
請求項11記載のコリメータにおいて、前記変換は、転置演算、回転演算、シフト演算、および反転演算のうちの1つを含むものであるコリメータ。
【請求項13】
医用画像処理のためのコリメート装置であって、
頂面および底面を伴う、孔を開けたプレートと、
複数の孔であって、当該複数の孔の各々は、前記頂面から前記底面まで延在する、複数の孔と
を有し、
前記複数の孔は、前記孔を開けたプレートの2若しくはそれ以上の領域に群化され、
前記2若しくはそれ以上の領域の各々は、各領域内で前記複数の孔により形成された符号化開口パターンを含み、少なくとも2つの領域は、同一でない符号化開口パターンを有する
コリメート装置。
【請求項14】
請求項22記載のコリメート装置において、前記符号化開口パターンは、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイのうちの1つであるコリメート装置。
【請求項15】
請求項22記載のコリメート装置において、前記2若しくはそれ以上の領域の各々における前記符号化開口パターンは、互いに異なるものであるコリメート装置。
【請求項16】
請求項22記載のコリメート装置において、前記孔を開けたプレートは、50%未満の孔密度を有するものであるコリメート装置。
【請求項17】
画像を再構成する方法であって、
対象物と、検出器と、前記対象物および前記検出器の間に配置されたコリメータとを提供する工程と、
前記検出器により、前記対象物の測定された画像を取得する工程と、
前記対象物の第1の推定された画像を、第1の解像度で提供する工程と、
前記コリメータを複数の領域に分割する工程と、
前記複数の領域の順投影および逆投影に基づく反復により、推定された対象画像を計算する工程と、
前記推定された対象画像を、第2の解像度で、前記対象物の第2の推定された画像に変換する工程であって、前記第2の解像度は前記第1の解像度と異なる、工程と、
所定の閾値に到達するまで、前記分割工程、計算工程、および変換工程を反復する工程と
を有する方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記測定された画像を取得する工程は、前記測定された画像を異なる解像度に変換する工程を含むものである方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法において、前記コリメータは、異なる解像度の符号化開口パターンを含むものである方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法において、前記分割工程、計算工程、および変換工程を反復する間、前記分割工程により生成される前記複数の領域の数は増えるものである方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
核医学としても知られる医用分子イメージングでは、医療診断用に放射性医薬品の分布を表す画像を生成することができる。イメージング(撮像)前には、放射性医薬品が撮像対象者、例えば患者に注射される。その放射性医薬品が放射する放射性光子は身体を透過し、光子検出器により検出される。次に、受け取られた光子からの情報に基づき、前記光子検出器が、患者の体内における前記放射性医薬品の分布を決定する。前記分布は患者の生理学的機能を表すため、その分布画像からは、種々の疾患および病態の診断、例えば心臓病学、腫瘍学、神経学などにおける診断に関する有益な臨床情報が得られる。
【0002】
コリメータは、光子経路を方向付ける装置である。光子が1若しくは複数の既知の光源位置から発せられるX線またはCT診断とは異なり、分子イメージングでは、光子が対象者体内の未知の位置から発せられる。コリメータがないと、全方向からの光子がガンマ線検出器に記録されて、画像再構成が困難になりうる。そのため、画像を再構成できるよう、写真撮影用カメラでレンズが果たす役割と同様に、可能性のある光子経路への方向付け用にコリメータが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のコリメータおよび検出器の撮像システムでも、一般に、それぞれ意図された目的には十分だが、すべての点を考慮すると完全に満足のいくものではない。例えば、既存の撮像システムは、多くの場合、バックグラウンド・ノイズと不均一性アーチファクトに制約を受ける。この理由から、コリメータおよび検出器ベースの医用画像処理システムの感度または解像度を向上させるため、画像再構成方法の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
種々の実施形態によれば、本開示は画像を再構成する方法を提供し、この方法は、対象物と、検出器と、前記対象物および前記検出器の間に配置されたマスクとを提供する工程と、前記検出器により、前記対象物の測定された画像を取得する工程と、前記対象物の推定された画像を提供する工程と、前記マスクを複数の領域に分割する工程と、各前記領域について、前記対象物の前記推定された画像と、各前記領域とから順投影を導出することにより、複数の順投影を取得する工程と、前記対象物の前記測定された画像を前記順投影と比較する工程と、前記比較の結果に基づき、前記対象物の前記推定された画像を更新する工程とを含む。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、前記導出工程、比較工程、および更新工程を反復する工程を含む。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、連続した2つの工程で前記対象物の前記推定された画像間の差が所定の閾値未満であることを条件に、前記対象物の再構成された画像として、前記対象物の前記推定された画像の1つを格納する工程を含む。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、前記前記対象物の前記推定された画像を更新する工程が所定の回数だけ反復されることを条件に、前記対象物の再構成された画像として、前記対象物の前記推定された画像を格納する工程を含む。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、前記分割工程、導出工程、比較工程、および更新工程を反復する工程を含み、その場合、前記領域の数は、当該工程を反復する間に増加する。一部の実施形態において、前記順投影を導出する工程は、畳み込み演算を含む。一部の実施形態において、前記順投影を導出する工程は、各前記領域について各々の角度効果補正係数を計算する工程を含む。一部の実施形態において、前記角度効果補正係数はcos3(θ)の項を含み、θは入射角である。一部の実施形態において、前記マスクは複数の貫通孔を有し、各前記領域は、少なくとも1つの貫通孔を有する。一部の実施形態において、前記マスクは、異なる数の貫通孔を有する少なくとも2つの領域を有する。一部の実施形態において、各前記領域は凸形状を有する。一部の実施形態において、前記推定された画像を更新する工程は、各前記領域について、相関演算に対する各順投影の適用に基づき逆投影を計算する工程を含む。
【0005】
種々の実施形態によれば、本開示は画像を再構成する方法も提供し、この方法は、対象物と、その対象物からの放射線を部分的にブロックするマスクとを提供する工程と、前記対象物の推定された画像を提供する工程と、前記マスクを複数の領域に分割する工程と、各前記領域について、前記対象物の前記推定された画像と、各前記領域とから順投影を導出することにより、複数の順投影を取得する工程とを含み、前記順投影を導出する工程は、各前記領域について各々の角度効果補正係数を計算する工程を含む。一部の実施形態において、前記角度効果補正係数はcos3(θ)の項を含み、θは入射角である。一部の実施形態において、前記方法は、さらに、前記検出器により、前記対象物の測定された画像を取得する工程と、前記対象物の前記測定された画像を前記順投影と比較する工程と、前記比較の結果に基づき、前記対象物の前記推定された画像を更新する工程とを含む。
【0006】
種々の実施形態によれば、本開示は医用画像処理システムも提供し、この医用画像処理システムは、対象物から発せられる放射線をフィルタリングするよう構成されたコリメータと、前記コリメータを通過した前記放射線を検出することにより、前記対象物の測定された画像を取得するよう構成された検出器と、コンピュータ可読コードを実行するよう動作可能なコントローラであって、前記検出器から前記測定された画像を受信する工程と、前記対象物の推定された画像を提供する工程と、前記コリメータを複数の領域に分割する工程と、各前記領域について、順投影を導出することにより複数の順投影を取得する工程と、前記測定された画像および前記順投影の比較の結果に基づき、前記推定された画像を更新する工程との演算を実行するコントローラとを含む。一部の実施形態において、初期の前記推定された画像は、CTスキャンから取得される。一部の実施形態において、前記順投影を導出する工程と、前記推定された画像を更新する工程とは、反復演算の一部である。一部の実施形態において、前記コリメータを複数の領域に分割する工程も、前記反復演算の一部であり、前記領域の数は、前記反復演算中に増加する。一部の実施形態では、各前記領域ごとに、符号化開口パターンを形成する1若しくはそれ以上の貫通孔がある。
【0007】
種々の実施形態によれば、本開示は、医用画像処理のためのコリメート装置も提供し、このコリメート装置は、頂面および底面を伴う、孔を開けたプレートと、複数の孔であって、当該複数の孔の各々は、前記頂面から前記底面まで延在する、複数の孔とを含み、前記複数の孔は、前記孔を開けたプレートの2若しくはそれ以上の領域に群化され、前記2若しくはそれ以上の領域の各々は、前記複数の孔の部分により形成された符号化開口パターンを含む。一部の実施形態において、前記符号化開口パターンは、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイのうちの1つである。一部の実施形態において、前記2若しくはそれ以上の領域の各々における前記符号化開口パターンは、互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより最もよく理解される。なお、当該分野の標準慣行に基づき、種々の特徴は実際の縮尺どおりに描画されておらず、単なる例示目的で使用されることを特筆する。例えば、種々の特徴の寸法は、説明を明瞭にするため適宜拡大または縮小している場合がある。
【
図1】
図1は、本開示の種々の態様に係る例示的な核撮像システムの概略図である。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、それぞれ本開示の種々の態様に係る例示的なコリメータの概略的な上面図および断面図である。
【
図2B】
図2Aおよび2Bは、それぞれ本開示の種々の態様に係る例示的なコリメータの概略的な上面図および断面図である。
【
図3A】
図3Aおよび3Bは、それぞれ本開示の種々の態様に係る例示的な分割されたコリメータの概略的な上面図とそれに対応した行列である。
【
図3B】
図3Aおよび3Bは、それぞれ本開示の種々の態様に係る例示的な分割されたコリメータの概略的な上面図とそれに対応した行列である。
【
図4A】
図4A~4Cは、それぞれ本開示の種々の態様に係るコリメータで領域を分割する際の例示的な実施形態である。
【
図4B】
図4A~4Cは、それぞれ本開示の種々の態様に係るコリメータで領域を分割する際の例示的な実施形態である。
【
図4C】
図4A~4Cは、それぞれ本開示の種々の態様に係るコリメータで領域を分割する際の例示的な実施形態である。
【
図5】
図5は、本開示の種々の態様に係る画像再構成の方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本開示の種々の態様に係る、複数の領域を有した例示的なコリメータデザインであり、各領域が符号化開口パターンを含む。
【
図7】
図7は、複数の領域を有した例示的なコリメータデザインであり、1つの領域は、他の領域のパターンに対して回転されたパターンを有する。
【
図8】
図8、9、および10は、多重解像度方式を伴う画像再構成の方法のフローチャートである。
【
図9】
図8、9、および10は、多重解像度方式を伴う画像再構成の方法のフローチャートである。
【
図10】
図8、9、および10は、多重解像度方式を伴う画像再構成の方法のフローチャートである。
【
図11A-11C】
図11A、11B、11C、12A、12B、および12Cは、複数レベルの解像度を提供する例示的なコリメータデザインである。
【
図12A-12C】
図11A、11B、11C、12A、12B、および12Cは、複数レベルの解像度を提供する例示的なコリメータデザインである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の開示では、本開示の種々の特徴を実装する多数の異なる実施形態または例を提供している。以下では、本開示を単純化するため構成要素および配置の具体例を説明している。これらは、当然ながら、単なる例に過ぎず、限定を意図したものではない。本開示で説明する装置、システム、方法のいかなる修正形態および追加変更形態も、ならびに本開示の原理のいかなる追加用途・応用も、本開示の関連分野の当業者であれば、通常、すべて考案されるものと考えられる。例えば、本開示の一実施形態を参照して説明する特徴、構成要素、および/または工程(工程段階)は、本開示の他の実施形態を参照して説明する特徴、構成要素、および/または工程(工程段階)と組み合せることにより、そのような組み合わせが明示されなくとも、本開示に係る特徴、構成要素、および/または方法のさらに別の実施形態を形成することが可能である。また、本開示では種々の例で、参照符号を繰り返し使用する場合がある。この反復は単純化および明瞭性のためであり、それ自体が開示される種々の実施形態および/または構成の関係を決定するものではない。
【0010】
さらに、以下の説明において、別の特徴上にあり、これに連結され、および/またはこれに結合された特徴は、前記特徴が前記別の特徴と直接接触する実施形態を含む場合があり、また、前記特徴が前記別の特徴と直接接触しないよう付加的な特徴が前記特徴との間に介在可能な実施形態を含む場合もある。さらに、空間的に相対的な用語、例えば「下方」(lower)、「上方」(upper)、「水平」(horizontal)、「垂直」(vertical)、「の上」(above)、「の上」(over)、「の下」(below)、「の下」(beneath)、「上」(up)、「下」(down)、「頂部」(top)、「底部」(bottom)、などのほか、その派生語(例えば、「水平に」(horizontally)、「下方へ」(downwardly)、「上方へ」(upwardly)など)は、本開示の1つの特徴の別の特徴との関係を説明しやすくするために使用される。前記空間的に相対的な用語は、前記特徴を含む装置の種々の配向を説明することを目的としている。さらに、数値または数値の範囲は、「約」(about)、「約」(approximate)などを用いて説明しており、この用語は、説明された数値を含む妥当な範囲内の数値、例えば説明された数値±10%以内、または当業者により理解される他の値を包含することを意図している。例えば、用語「約5mm」は、4.5mm~5.5mmの寸法範囲を包含する。
【0011】
本開示は、医用画像処理(医用イメージング)分野に関し、より具体的には、画像再構成方法、ならびにコリメータおよび検出器ベースの医用画像処理システム、例えば一部の実施形態では近接場符号化開口コリメーションおよび最尤推定に基づく単一光子放射断層撮影法(single photon emission computerized tomography:SPECT)またはポジトロン断層法(positron emission tomography:PET)に関する。
【0012】
分子医用画像を撮る前には、通常、放射性医薬品が患者に経口投与または注射される。放射性医薬品は、原子核崩壊を経て、対消滅により直接的または間接的にガンマ光子を一定レートおよび特徴的エネルギーで発する。放射を記録または監視すべき患者または対象の周囲には、1若しくはそれ以上の検出器ユニットが配置される。多くの場合、製造およびデータ処理の便宜上、検出器は平面形状に構成され、したがって、しばしば投影と呼ばれる2D行列形式でデータを取得する。そのような検出された事象の位置、エネルギー、および計数を含む記録された情報に基づくと、前記放射性医薬品の分布の画像を再構築して、特定の身体部分の機能を調べることができる。
【0013】
図1は、例示的な分子または核撮像システム(イメージングシステム)10を示したもので、これを使うと、対象者、例えば患者を診察または治療できる。一実施形態において、撮像システム10は、SPECT撮像システムである。あるいは、撮像システム10は、他の分子または核撮像システム、例えばPET撮像システムであってよい。単純化のため、画像再構成方法を実証する一例として、SPECT撮像システムを例示する。ただし、関連分野の当業者であれば、提案されている画像再構成方法はSPECT撮像システムに限定されず、他の適切な撮像システム、例えばPET撮像システムに応用できることが理解されるであろう。撮像システム10は、撮像装置100と、ガントリー110と、プラットフォーム112と、制御コンソール120と、コンピュータシステム130とを含む。例示した実施形態において、コンピュータシステム130は、データ記憶装置132と、画像プロセッサ134と、画像記憶装置136と、ディスプレイ(表示装置)138とを含む。撮像装置100はガントリー110に取り付けられ、ガントリー110は、動き、回転し、データを取得することができる。患者150は、前記撮像装置100による検査または治療のためプラットフォーム112(例えば、カウチ)上に配置される。一部の実施形態において、撮像装置100は、ガントリー110上で動ける(例えば、回転できる)よう、可動部品でガントリー110に連結される。
【0014】
撮像装置100は、患者150から発せられる放射線を検出および記録し、記録された情報をデータ記憶装置132に転送する。次いで、画像プロセッサ134は、前記記録された情報を使って、患者150体内の放射性医薬品分布を表すボリュメトリック画像を再構成できる。前記再構成された画像は、画像記憶装置136に格納され、ディスプレイ138上での操作および表示閲覧が可能になる。制御コンソール120を使うと、作業者または技師は、データ取得時に撮像装置100を制御できる。一部の実施形態では、制御コンソール120と、データ記憶装置132と、画像プロセッサ134と、画像記憶装置136と、ディスプレイ138とが、コンピュータシステム130内で統合される。一部の実施形態では、1若しくはそれ以上のコンピュータ構成要素(例えば、制御コンソール120、データ記憶装置132、画像プロセッサ134、画像記憶装置136、およびディスプレイ138)の一部または全部を、遠隔(リモートの)位置(例えば、クラウド上)に配置することができる。一部の実施形態では、これら構成要素のうち1若しくはそれ以上をローカルまたはリモートに存在させることができる。
【0015】
撮像装置100は、検出器102および1若しくは複数のコリメータ104を含む。一部の実施形態において、検出器102は、半導体検出器、例えばテルル化カドミウム(cadmium telluride:CdTe)、テルル化カドミウム亜鉛(cadmium zinc telluride:CZT)、または高純度ゲルマニウム(high purity germanium:HPGe)系のものである。一部の実施形態において、検出器102は、シンチレータ(例えば、ヨウ化ナトリウム(NaI)またはヨウ化セシウム(CsI)系の)検出器である。他の一部の実施形態において、検出器102は、小型の光電子倍増管(photo multiplier tubes:PMTs)、シリコン光電子増倍管(silicon photomultiplier tubes:SiPMT)、またはアバランシェフォトダイオードに接続されたシンチレータであってもよい。コリメータ104は、1若しくはそれ以上の開口部、例えば貫通孔を含む。貫通孔の数および幾何学的配置に応じ、コリメータ104は、単一ピンホール、複数ピンホール、符号化開口(spread field imaging(商標):SFIとしても知られる)コリメータ、または他の適切なタイプのコリメータとしてよい。貫通孔の外形に応じて、コリメータ104は、平行孔、ファンビーム、またはコーンビーム・コリメータ、または他の適切なタイプのコリメータとすることができる。
【0016】
1若しくはそれ以上の放射性医薬品は、患者に経口投与または注射されると、原子核崩壊を経て、対消滅により直接的または間接的に、一定レートおよび特徴的エネルギーで放射線(例えば、ガンマ光子)を発しうる。検出器102は、放射線を記録または監視するため、患者150の近くに配置される。記録された情報、例えばそのような検出された事象の位置、エネルギー、および計数に基づくと、前記放射性医薬品の分布の画像を再構築して、患者150の特定の身体部分の状態または機能を調べることができる。SPECT撮像において、コリメータ104は、検出器102と撮像対象の間に配置され、前記コリメータの前記開口部は、それを通過して前記検出器の特定位置に到達できる放射線の方向および角度範囲を決定する。
【0017】
種々の実施形態において、コリメータは、本質的には孔を開けたプレートであり、通常、重金属、例えば鉛およびタングステンで作製される。一部の実施形態において、前記コリメータは、平面状のプレートで作製され、通常、平面状の検出器表面に平行に配置される。前記プレートの厚さは、撮像すべく設計された光子エネルギーに応じ、光子が主にプレートの小さなピンホールを通過するよう、放射線の大半を十分止められる大きさである。例えば、一般に使用される同位体、テクネチウム99m(99mTc)は、約140keVのエネルギーのガンマ線を発し、通常、鉛製のプレートなら3mmの厚さ、タングステン製のプレートなら2mmの厚さで十分である。この厚さは、より高エネルギーのガンマ線で撮像する場合、より大きくする必要がある。これらのコリメータは、前記検出器から一定の距離に配置して、設計された視野(field-of-view:FOV)から前記ピンホールを通過してくる光子が前記検出器の表面全体に広がるようにする必要がある。このシナリオにおけるコリメータと検出器間の間隙は、通常、3cmを超える。
【0018】
撮像装置100は、撮像ガントリー用に必要な他の部品、例えば複数の部品を一体的に連結する(例えば、検出器102とコリメータ104を一体的に連結する)コネクタ、部品を動かすための電動機、光子を遮蔽する構成要素、他の部品を収容するハウジング構成要素などを含むことができる。例えば、連結および遮蔽構成要素106は、検出器102およびコリメータ104を連結して双方が一体的に動く(例えば、回転する)ようにし、また放射線(光子)がコリメータ104以外の経路で検出器102に到達しないようにする。他の実施形態では、検出器102とコリメータ104が、互いに個別に動くことができる。
【0019】
図2Aおよび2Bは、例示的なコリメータ104の上面図および横断面図をそれぞれ例示したものである。コリメータ104は、特定の光子をブロックして他の光子を通過させることにより、放射線をフィルタリングするよう構成される。コリメータ104は、放射線(例えば、光子)を吸収する重金属、例えば鉛および/またはタングステンで作製される。コリメータ104は、内設された開口部108を有し、これを一部の光子が通過して検出器102に到達できるようにする(
図1)。なお、コリメータにより放射線または光子をブロックまたは吸収する際、光子を100%ブロックする必要はないことを理解すべきであり、これは、前記放射線吸収材料があっても、光子のわずかな割合(例えば、5%またはそれ未満)はその吸収材料の全厚みを透過するためである。その漏出光子の数は、コリメータの厚さに応じて指数関数的に低減できる。すなわち、ブロック(または他の同様な用語)とは、実質的にすべての光子(例えば、95%またはそれ以上、あるいは99%またはそれ以上)が前記放射線吸収材料により吸収されることを意味する。
【0020】
開口部108は、前記コリメータの頂面から前記コリメータの底面まで延在する貫通孔であってよい。あるいは、開口部108は、実質的に前記コリメータを貫通するもの―例えば、前記コリメータの頂面に設けられ、深さが前記コリメータの厚さ98%を超える凹部であってよい。開口部108は、貫通孔、トンネル、開口(アパーチャ)、または通過口形状と呼ばれることもあり、各々のコリメータ内で任意の適切な形状、サイズ、数、および/または分布を有することができる。一部の実施形態において、開口部108は、平行孔、ファンビーム、またはコーンビーム、スリット-スラット、ピンホール、マルチピンホール、符号化開口、適切に成形された他の任意の開口部、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態において、コリメータ108は、患者150の近く(例えば、2cmまたはそれ未満)に配置される。平行孔またはファンビーム(収束または発散する)は患者150から著しく離す必要がないため、コリメータ108では、このような形状を使用できる。一部の実施形態では、開口部108は傾斜、収束、または発散するものにでき、ファンビームまたはコーンビームなどを形成できる。一例において、開口部108は複数のピンホールを含み、その場合ピンホールの数は、11より大きく、23より大きく、59より大きく、または100より大きくできる。開口部108は、符号化開口パターン、例えばサイズ5、7、11、および13で、12、24、60、および84の孔をそれぞれ有するMURA(modified uniformly redundant array:修正均一冗長アレイ)を形成できる。ピンホールを増やすと、撮像感度を改善するうえで役立つ。さらに、開口部108は、単一ピンホール、複数ピンホール、複数ピンホールモジュール(spread field imaging(SFI)または符号化開口を含む)とすることができる。
【0021】
図2Bに示すように、放射線源(例えば、患者150の身体一部の)152は、コリメータ104の上方から光子を発する。コリメータ104の頂面に当たる光子は、ブロックされる。開口部108の頂部側(前記放射線源に面する側)を通過する光子も、当該開口部108の側壁によりブロックされる。開口部108の頂部開口の縁部点Aに当たる光子の入射経路154は、コリメータ104の頂面の法線方向である垂直方向Zに対して角度θを成す。この角度θを入射角という。入射角θが0度に等しくない場合(θ≠0)、前記放射線源152は、オフセンター(off-center)源と呼ばれる。前記入射経路154が開口部108の別の点、例えば開口部108の底面の縁部点B、または点AとB間の任意の点、または開口部108の近接点から測定される場合、厚さと口径が、前記線源152と前記開口部108間の距離よりも著しく小さければ、入射角θは実質的に同じであると見なされる。
【0022】
光子は、前記入射角θより大きい角度で入射経路に沿ってコリメータ104へと移動する場合、コリメータ104により吸収される(ただし、コリメータ104の前記開口部に隣接する部分を光子が透過する場合もある(例えば、前記開口部の側壁の薄い領域))。一部の実施形態において、入射角θは0°~約2°の範囲または0°~約10°の範囲である。一例において、LEHR(low energy high resolution:低エネルギー高解像度)コリメータは、約1.11mmの開口径と約24.04mmの長さを有し、入射角の許容範囲は0°~約2.64°である。別の例では、GAP(general all purpose:汎用)コリメータは、約1.40mmの開口径と約25.4mmの長さを有し、入射角の許容範囲は0°~約3.15°である。さらに別の例では、LEHS(low energy high sensitivity:低エネルギー高感度)コリメータは、約2.54mmの開口径と約24.04mmの長さを有し、入射角の許容範囲は0°~約6.03°である。他の一部の例では、許容される入射角θは0°~約15°の範囲または0°~約75°の範囲である。例えば、口径約1.0mmで長さ約3.0mmの開口部は、許容される入射角が約18.43°であり、口径約3.0mmで長さ約1.5mmの開口部は、許容される入射角が約63.43°である。
【0023】
放射線源152と検出器102間において、コリメータ104は、マスクとして機能する。患者150からの各放射線源152は、検出器102に対し、放射線源152の強度で加重された前記マスクの影を投影する。前記影の位置は、放射線源152からの入射光子の方向に依存する。その結果、検出器102により取得される生画像は、前記コリメータ104の視野(field-of-view:FOV)内に前記放射線源152のすべてから落とされる影の総和になる。画像再構成は、そのため、検出器102により取得された1若しくは複数の生画像(測定された画像という)から放射線源152の推定画像(対象画像という)を構成するものである。数学的には、撮像システムは、ノイズを考慮せずに単純化されたモデルにより近似的に表される。
【数1】
式中、*は畳み込み(コンボリューション)演算子を表し、pは測定された画像、fは対象画像、hは、前記コリメータに形成された符号化されたパターンを表す。すなわち、hは行列で、符号化したマスクの影を表している。一部の実施形態において、hは「0」と「1」の行列であり、その各要素は前記コリメータのグリッド位置に対応し、1はその位置の開口部(例えば、ピンホール)を表し、0はそれ以外を表す。この行列を拡大すると、線源により前記検出器上に射影される前記マスクの影の拡大効果を表することができ、内挿を使うと、前記行列要素の値を計算できる。
【0024】
画像再構成は、復号化の手続きと見なすことができる。対象画像fは、復号化、すなわち復号化マスク・パターンgで測定された画像pの相関を求めることにより推定できる。この復号化手続きは、次式で表せる。
【数2】
式中、
は、前記対象画像の推定値を示し、
は相関演算子を表し、gは、次式を満たす復号化マスクである。
【数3】
2次元(2D)視点からいうと、測定された画像pは、p
iで表される複数の小さな領域に分割できる。例えば、コリメータが位置する平面のXY座標に基づくと、1領域はp
xyと示せる。平面状の検出器を使う場合、XおよびY軸は、通常、その検出器の表面に平行で、Z軸は前記検出器の表面に垂直である。同様に、対象画像fは、複数の小さな領域f
j、またはXY平面ではf
xyで表される複数の小さな領域に分割できる。一実施形態において、画像再構成方法は、最尤推定-期待値最大化(Maximum Likelihood Expectation and Maximization:MLEM)法と呼ばれる。このMLEM法は、ポアソンノイズ・モデルと、所与の測定された画像pから推定される対象画像の確率
である
の最大化から導出される。MLEM法では、次式を使って対象画像を推定する。
【数4】
式中、
は、対象画像fのj番目の要素の(k+1)番目の推定値、p
iは、測定された画像のi番目の要素、K
ijは、対象のj番目の要素から発せられる光子が、検出器のi番目の要素で検出される確率を表す遷移行列である。K
ijの値は、コリメータの測定、シミュレーション、またはモデリングにより決定できる。第2の総和における分母をp
rで表し、
とすると、これは、推定されたk番目の対象画像に基づく、測定された画像の期待値
を表す。この工程は、しばしば順投影と呼ばれる。
【0025】
一部のケース、例えば符号化開口マスクがコリメータとして使用される場合、投影される画像は、MLEMの反復デコンボリューション工程の前に、角度効果(cos
3(θ)の項および開口コリメーション効果の項を含む)について補正できる。これにより、この画像処理モデルは畳み込み工程になり、式(4)はさらに次のように書ける。
【数5】
一方、上記のように、hは符号化開口マスクの影であり、p
cは測定された画像を角度およびコリメーション効果について補正したものである。具体的に言うと、p
c=p/Ccであり、式中、Ccは角度効果補正係数(例えば、行列形式)で、これはcos
3(θ)の項と開口コリメーション効果の項を含む1若しくはそれ以上の要因を説明する滑らかな関数である。ここで、角度θは、コリメータ上の1点(通常コリメータの中心)を通過して検出器のピクセルに当たる光子の入射経路の、コリメータ頂面の法線方向である垂直方向Zに対する角度である。また、*および
は、それぞれ畳み込みおよび相関演算を表す。式(5)は、順投影と逆投影という2つの主な手続きを含む。前記畳み込みは、現在の推定値
を使った順投影工程を表す。p
cの除算工程から得られるCc補正との相関は、逆投影工程を表す。
【0026】
式(5)は、対象とコリメータ、例えばコリメータ122との間の距離よりも厚みが著しく小さい薄い撮像対象に適している。それよりも厚い対象の場合は、3次元(3D)の方法が使用される。例えば、距離z(前記検出器が位置する平面から対象までの距離として測定される)における対象画像は、次式を使って推定できる。
【数5-1】
若干異なる式を使っても、前記対象について推定できる。
【数5-2】
式中、
は、k回目の反復後のスライスzにおける対象の推定値であり、h(z)は、zに対応する符号化開口マスクの影である。式(5-2)で表された工程は、「焦点が合っていない」スライス(z′≠z)から期待される寄与が測定された投影から減算されている点で、従来のMLEM逆畳み込み(デコンボリューション)と異なり、前記除算工程における補正比は、「焦点が合った」スライス(z′=z)についてのみ計算される。より具体的にいうと、前記補正比は、焦点が合ったスライスの推定値誤差からのみ計算される。したがって、このアルゴリズムは、より高速に収束することが予想される。さらに、3D撮像における距離zについては、Z軸(前記検出器の表面に垂直)に沿った対象の分割は、等間隔に行える。あるいは、Z軸に沿った対象の分割は、不均一な間隔(例えば、可変距離)でも行える。
【0027】
一実施形態において、画像再構成方法は、対象画像をより小さい領域に分割できるものである。例えば、高さzでの対象平面は、n×nの小領域f
i(z),i=1,...,n
2に分割できる。i番目の領域については、その領域の中心角効果補正係数C
Ciがコリメーションの中心として領域の中心をとって計算された。次いで、順投影工程では、現在推定される画像平面から投影への寄与p
r(z)が計算された。より具体的にいうと、最初に式(5-2)で定式化した
が、次式で計算される。
【数6】
式中、C
Ciは、i番目の領域の角度効果補正係数、C
Ci=C
C(x-x
ci,y-y
ci)であり、x
ci、y
ciは、i番目の領域内の点のxおよびy座標で、通常、
のi番目の領域内の中心である。なお、式(6)の全変数は、x、y、zをパラメータとして有するが、単純化のためこれを無視していることに注意すべきである。次に、次式を使って前記対象画像を推定することができる。
【数6-1】
若干異なる式を使っても、前記対象について推定できる。
【数6-2】
なお、式(6-1)および(6-2)の双方では、式(5)のp
cの代わりに、元の測定された画像、pが使用されていることに注意すべきである。
【0028】
上述のコリメータ行列hでは、前記記録された信号pは、前記コリメータの開口部を通過できる光子だけを反映していると仮定している。実際には、他の経路からの信号が存在する。例えば、光子は、かなり低いがゼロよりは大きな率で、金属プレートを透過できる。例えば、タングステン製の1mm厚のプレートの場合、140KeVエネルギーの光子の3%未満が透過できる。また、前記検出器には、信号に寄与するランダムな熱的または電気的事象、例えば暗電流が生じる。そのため、prの完全な計算は、前記孔以外の経路を経由する信号の計算を含むことになる。いずれにせよ、孔を通過する光子からの信号は信号全体の著しい部分を占め、主要な関心成分であり、他の経路からの信号を最小限に抑える工程、例えばプレートを厚くして透過率を軽減するなどを実施できる。
【0029】
上記の式(5)および(6)は、小型マスクを仮定した場合に、より正確であり、これは検出器サイズが符号化開口マスクのサイズより著しく大きいことを意味する。ただし、多くの場合、検出感度を高めるため、より大きいマスクが使われる。そのため、小型マスク仮定は必ずしも現実にそぐわず、画像再構成の結果が損なわれる。
【0030】
この問題を緩和しながら小型マスク仮定を近似するには、任意選択的にコリメータ行列hで表されるマスクを小領域に分割して各領域が小型マスク近似要件を十分満たすようにすることで、画像再構成法をさらに改善できる。その後、各コリメータ領域を通過する順投影が計算される。前記コリメータ領域に関する中心角補正も、各順投影に適用されて調整が行われる。各領域を通過する順投影が、次いで全体的な順投影として合計される。例えば、コリメータは、n個の小領域h
i(z),i=1,...,nに分割できる。領域ごとに、任意選択でコリメーションの中心として前記領域の中心をとることにより、その領域に適した中心角効果補正係数C
Ciが計算された(ここで、角度θは、このコリメータ領域の1点(通常この領域の中心点)を通過して検出器のピクセルに当たる光子の入射経路の、コリメータ頂面の法線方向である垂直方向Zに対する角度である)。次いで、順投影工程では、現在推定される画像平面から投影への寄与がp
r(z)として計算された。より具体的にいうと、最初に式(6)で定式化した
が、次式で計算される。
【数7】
式中、
は、コリメータのi番目の領域の順投影、C
Ciは、コリメータのi番目の領域の角度効果補正係数、p
r(z)は、画像
の全体的な順投影である。一例では、コリメータの全開口部が同じサイズおよび形状である場合は、C
Ci=C
C(x-x
ci,y-y
ci)で、これはC
Cが種々の(x
ci,y
ci)値だけシフトされたものと同じ関数であり、x
ci、y
ciは、hのi番目の領域h
i内の点のxおよびy座標で、通常、その領域の中心である。各領域は、同じ関数Ccで表現できるが、2つの異なる領域間で、それぞれ異なるCci値が可能になるように、各領域はxおよびy座標のシフトにより独自のCci値を有することができる。Cci値は、貫通孔の開口サイズおよび/または形状にも影響される。すなわち、貫通孔の開口サイズおよび/または形状が2つの領域で異なる場合、これら2領域のCciの関数と値も異なる可能性がある。一部の実施形態において、少なくとも2つの領域を通過する順投影はオーバーラップする。なお、式(7)は一例であり、個々の領域ごとに領域を分割して順投影を計算する種々の方法を限定するものではないことに注意すべきである。一部の実施形態において、より小さい領域hi(z)は、すべてhの開口部のサブセットを含み、その小領域のうち少なくとも1つは、hの全開口部を含まない。例えば、式(7)では、全体、または式(6)のように小領域に分割されて総計されたものとして、
を使用できる。別の例では、周波数領域について式(7)と等価な式を使って計算を行える。さらに別の例では、例えばスピードを落として計算の正確度要件を満たす二律背反的な計算では、1若しくはそれ以上の個々の領域を式(7)から省略することができる。
【0031】
図3Aおよび3Bは、例示的なコリメータ104の上面図とそれに対応する行列hをそれぞれ例示したものである。
図3Aに例示した特定のコリメータは、MURA 11 NTHT(no-two-holes-touching:接触しあう孔なし)パターンである。NTHTパターンは基本パターンの拡張で、基本パターンに対し、隣接しあう2行ごとにすべてゼロの行が挿入され、隣接しあう2列ごとにすべてゼロの列が挿入される。その結果、孔間の最小距離が、孔サイズの少なくとも2倍になる。
図3Aの黒いドットは、前記コリメータ104の孔を表し、
図3Bの行列の「1」に対応する。
図3Bの行列には、
図3Aの孔に対するすべてゼロの列が右側にあり、これはMURA 11パターンの一部である。破線は、式(7)に使用できる4つの領域にコリメータ104を分割する態様を示す。この具体例では、コリメータ104が2×2の領域に分割されている。また、この図示した実施形態では、分割後、各孔が唯一の領域に属し、すべての孔を有する領域はないことに注意すべきである。分割は2×2の領域に限定されるものではない。あるいは、コリメータ104は、任意の適切な数の領域、例えばa×bの領域に分割でき、その場合、bは任意の適切な整数を表し、すべての開口部はこれら領域に分割され、一部の実施形態では1より多くの領域に現れる開口部はない。さらに、一部の実施形態では、aがbと等しい場合がある(a=b)。一部の代替実施形態では、aがbと等しくない場合がある(a≠b)。
図3Aでは、「+」マークがコリメータ104上に示されて、各領域のCciの計算に使用される位置(x
ci,y
ci)を表している。例示した実施形態において、位置(x
ci,y
ci)には、各領域の中心が選択される。
【0032】
図4A~4Cは、コリメータの領域を分割する種々の実施形態を例示したものである。
図4A~4Cでは、コリメータの孔は簡潔性のため省略されている。各領域は、個別に独自の形状とサイズを有することができる。一部の実施形態において、各領域は隣接するどの領域ともオーバーラップしない。一部の実施形態では、2若しくはそれ以上の領域が、例えば分割工程を単純化するために、計算の正確度が要件を満たす範囲内で、オーバーラップする場合がある。
図4Aでは、各領域が六角形状および同じサイズを有している。
図4Bの領域は、サイズの異なる正方形と長方形の組み合わせである。さらに、領域は隣接する領域に対して当接し、または分離されている。
図4Cは、互いに離間された円形の領域を示している。一部の実施形態では、各領域が凸形状を有する(180度より大きい内角はない)。一部の実施形態では、各領域が少なくとも1つの孔を有する。領域に孔がない場合、または視野から実質的に放射が入ってこない孔しかない場合、その領域は、前記計算にほとんど若しくはまったく寄与しないため、無視できる。しかし、各領域が同じ数の孔を有する必要はない。他より多くの孔を有する領域、またはその逆の領域があってもよい。さらに、同じ領域内の孔は同じ形状を有してよいが、領域間では異なってもよい。例えば、
図4Bの正方形の領域内の孔は円形とし、
図4Bの長方形の領域内の孔は正方形とすることもできる。一実施形態において、領域のうち1若しくはそれ以上における孔は、符号化開口パターン、例えばMURAパターンを形成する。諸領域は異なるサイズであってよく、領域の符号化開口パターンは異なるサイズ、形状、または配向であってよい。さらに、同じ領域内の孔は同じサイズを有してよいが、領域間では異なってもよい。一実施形態において、中心領域内の孔サイズは、より大きく(受光角をより広く)でき、周辺領域へ向かうに伴い小さくなる。異なる孔サイズを有する領域は、対応する角度効果補正係数Cciも異なる関数を有し、したがって上述のように、異なる値を有する。すなわち、Cciは一定ではなく、領域によって異なる。一部の実施形態では、改良のため、同じ領域内であっても異なるサイズおよび/または形状の孔があってよい。そのような領域のCciの計算は、まず異なる孔サイズおよび/または形状に対応した異なる関数を計算したのち、それら異なる関数の平均をCci値として計算する工程を含むことができる。一例として、前記平均の計算は、各関数を、それに対応した孔の合計孔数に対する割合に基づいて、加重したのち、前記加重した関数を合計する工程を含むことができる。
【0033】
なお、式(7)におけるp
rの計算は、他の要素、例えば侵入およびバックグラウンド・ノイズを含みうることは注意に値する。ただし、上記の式の寄与がp
rの主要成分であり、信号強度の半分を超える。畳み込みと相関は鏡像演算(mirror operations)であるため、計算には、各順投影から逆投影を計算する次式を使用できる。
【数7-1】
式中、
は、コリメータのi番目の領域の逆投影、C
Ciは、i番目の領域に関する角度補正である。各領域の逆投影を計算すると、逆投影全体としてのq(z)を各領域の逆投影の総和として算出できる。また、r(z)は、式(7-1)または(7-2)のブラケット内の商とできる。
【数7-2】
または
【数7-3】
式(7-2)または(7-3)のいずれも、前記測定された画像pと順投影の比較と見なすことができる。逆投影計算用の式(7-1)で使用されるhの分割は、順投影計算用の式(7)で使用されるhの分割と同じであっても、そうでなくてもよい。例えば、逆投影の計算では、各順投影の計算用に分割する場合よりも、hを多くの領域に分割できる。あるいは、逆投影の計算では、各順投影の計算用に分割する場合と比べて、hを異なる形状の領域に分割できる。一例では、周波数領域について式(7-1)と等価な式を使って計算を行える。別の例では、例えばスピードを落として計算の正確度要件を満たす二律背反的な計算では、1若しくはそれ以上の個々の領域hiを式(7-1)から省略することができる。
【0034】
なお、この方法は、
が前記対象画像の(k+1)番目の推定値である反復方法であることに注意すべきである。式(5)における反復は、次のように単純化できる。
【数7-4】
q(z)の値は、
を計算する前に、まず正規化できる。
【0035】
なお、順投影は、他の応用、例えばシミュレーション、すなわち所与の若しくは仮想対象についてシミュレートした投影を生成する場合にも使用できることは注意に値し、それらの計算も(7)で行える。hの分割は、全反復について同じでなくてもよい。分割する領域hの数については、再構成後の画質と計算スピードの二律相反を考慮する。分割した領域は非常に小さくでき、孔を1つしか含まない場合もある。領域を小さくして孔を減らすと、小角度の近似により近づき精度も高まるが計算速度が下がる一方、領域を大きくして孔を増やすと、計算速度は高まるが画質が落ちる。領域hiが小さいほど、通常、より正確になるが、計算の複雑度も上がる。そのため、はじめは計算を速めるため分割を粗くして(少ない領域で)始め、反復が進むとともに分割を細かく(領域を増やして)していける。
【0036】
SPECT撮像では、対象(例えば、患者150)の周囲でカメラを回転させ、異なる角度から複数の平面画像が取得される。コリメーションに符号化開口マスクが使用される場合は、例えば、式(6)および(7)を適用して、1つの平面画像から2Dまたは3D画像が再構成可能である。なお、式(6)および(7)では、1つの平面画像を表すpまたはp
cが使われるが、これは取得された平面画像を1つ使ってfが推定されることを意味する。式(4)、(5)~(5-2)の反復は、すべて次のように単純化できる。
【数8】
式中、q
jはf(z)のj番目の要素に関する更新係数である。
【0037】
本発明では、1より多くの取得された平面画像を使って対象画像を再構成する方法も示しており、前記平面画像は、異なる角度から、または対象から異なる距離で、またはコリメータから検出器まで異なる距離で、カメラ(検出器)または対象をシフト、傾斜させて、または上記を2若しくはそれ以上を組み合わせて、取得できる。画像の再構成にはより多くのデータが使用されるため、正確さおよび信号対雑音比が高まる。1より多くの取得された平面画像が使われる場合、前記更新係数は次のようになる。
【数9】
または
【数10】
式中、Tは使用される射影の数、mは正数、q
j(z,t)は、取得されたt番目の画像だけを使って本発明で示す方法により計算されるf(z)の要素jの更新係数である。なお、座標系q
j(z,t)の下位にあるグリッドが互いに異なる(すなわち異なるtについて)場合は、それらすべてが同じグリッド上で定義されるよう内挿および/または回転/反転(フリップ)を行えることに注意すべきである。
【0038】
この方法の一実施形態の特殊なケースは、2つの逆向き投影を使ってfを更新する場合である。そのようなシナリオでは、3D画像のスライスはXY平面にあり、どちらの取得位置でも検出器の表面に平行であるため、式(9)または(10)の計算には軸反転のみ必要とされ、回転計算は不要である。多数の臨床SPECTシステムでは対向位置に取り付けられた2つのカメラを採用し、2つの逆向き投影が同時に取得されるため、この実施形態には、2つの逆向き投影のペアを取得しながら処理し、データフローを効率化するという利点がある。この方法の一実施形態の特殊なケースは、2つの逆向き投影(画像は180度離して取得される)、および直前の2つの逆向き投影に垂直な2つの投影を使ってfを更新する場合である。3D画像のスライスは検出器の表面に平行であるため、これら直交投影の軸は、軸の順列の一部に位置合わせされ、式(9)または(10)の計算に回転計算は不要である。
【0039】
ここで
図5を参照すると、コリメータおよび検出器ベースの医用画像処理システムのための画像再構成用の方法500のフローチャートが、本開示の種々の態様に基づいて例示されている。方法500は、単なる例であり、この方法500の明示的な例示内容により本開示を限定することを目的としたものではない。この方法500の前、実施中、および後には付加的な工程を提供でき、説明する工程の一部を置換、排除、または移動して、本方法の付加的な実施形態とすることが可能である。以下、
図1~4を参照して前記方法500を説明する。
【0040】
工程510では、対象(例えば、患者150)および撮像装置(例えば、撮像装置100)が提供される。その撮像装置は、コリメータ(例えば、コリメータ104)および検出器(例えば、検出器102)を含む。前記コリメータは、前記対象と前記検出器間に配置される。工程520では、前記対象から発せられた光子を、前記コリメータがフィルタリングし、前記検出器に到達した光子から測定された画像を、前記検出器が取得する。前記撮像装置は、前記対象の周囲で回転し、複数の角度から測定された複数の画像を取得することができる。一例において、前記撮像装置は、患者150の周囲で0°、90°、180°、270°の角度から測定された画像を取得する。
【0041】
工程530では、反復工程の出発点として、対象画像
の初期推定値が提供される。適切な初期推定値は、
、例えばすべて「1」の行列に使用できる。別の例では、コンピュータ断層撮影(CT)画像を
に使用できる。最新の分子撮像システムは、多くの場合、CTスキャナとタンデムのハイブリッド形態、例えばハイブリッドSPECT/CTまたはPET/CTシステムで設置される。CT画像は、対象、例えばカウチに横たわったSPECTまたはPET撮像中の患者を通過するX線により生成される。SPECT再構成前にはCTスキャンを利用でき、そのCTスキャンを使って、初期推定値が生成可能である。一実施形態では、CTスキャンを有限なサポートとして使用でき、すなわち患者身体の輪郭を使って、上述した行列内の「1」の範囲を定義し、前記行列要素の値を患者の輪郭内では「1」に、患者の輪郭外では「0」に設定できる。
【0042】
当該方法500は、次に工程540へ進んで反復工程を開始する。この反復工程(工程550~580も含む)は、前記コンピュータシステム130、例えば前記画像プロセッサ134により実行できる。工程540では、前記コリメータが複数の領域に分割される。各領域は、少なくとも1つの孔を有する。前記コリメータに対応する行列も、適宜分割される。
【0043】
工程550において、当該方法500は、対象画像の推定値と、各領域を表す分割された行列とから、例えば種々の実施形態では式(7)を使った畳み込みまたは式(7-4)を使ったMLEM法で、順投影を計算する。また、その順投影は、各領域の1または複数の角度効果補正係数により調整され、前記補正係数は、cos3(θ)項と開口コリメーション効果の項とを含む。
【0044】
工程560において、当該方法500は、例えば式(7-1)で説明した相関演算を使って、直前の工程から得られた順投影から逆投影を計算する。また、その逆投影は、各領域の角度効果補正係数により調整され、前記補正係数は、cos3(θ)項を含む。逆投影の計算では、各順投影で使用された分割と同じ分割を使用でき、あるいは、異なる分割、例えば異なる数および/または形状の領域を使用できる。工程560は、さらに、中間工程段階、例えば式(7-2)および(7-3)でpとpr(z)を使ったr(z)の計算を含むことができる。さらに、r(z)は、異なるグリッドサイズに内挿できる。次に、r(z)を使って逆投影を計算する。
【0045】
工程570において、当該方法500は、例えば式(8)を使って、直前の工程からの逆投影を使って対象画像を再構成する。方法500は、次いで、例えば所定の反復工程段階により、または連続した反復間でのfの差が所定の閾値(例えば、<0.5%)未満になった場合に、反復が終了可能かどうかを決定する。反復が終了しない場合は、
が工程540への入力として次の反復に使用され、
が計算される。工程540では、マスクを再分割し、より細かいメッシュ(例えば、より多くの領域)を得て正確度を高めることができる。反復が終了した場合、方法500は工程580へ進み、そこで推定された対象画像が格納され(例えば、画像記憶装置136に)、および/または表示される(例えば、ディスプレイ138に)。
【0046】
コリメータを複数の領域に分割し、各領域に関連付けられた順および逆投影を計算すると、新規性のあるコリメータデザインの可能性がもたらされる。一例において、コリメータは行列形態hで表され、その要素の70%未満が1である。より具体的にいうと、例えば一般的な符号化開口コリメータ、例えばURAおよびMURAアレイのものの場合、1の数は総要素数の50%未満である。例示的なコリメータデザインを
図6に例示する。上記のように、コリメータは、複数の孔、例えば貫通孔がある金属プレートと見なすことができる。
図6では、黒い点が孔を表す。従来の符号化開口設計では、コリメータ全体の孔が1つの特定のコード化されたパターン、例えばURAアレイまたはMURAアレイを形成する。それと比べて
図6のコリメータは複数の領域(または群)に分割されており(例えば、領域I、II、III、およびIV)、各領域の貫通孔は、それら自体個別に、これに限定されるものではないが、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、疑似ランダムアレイを含む符号化開口パターンを形成する。特定の一実施形態では、各領域がURAアレイまたはMURAアレイのどちらか一方から選択される一意のパターンを有する。そのパターンは全群で同じでなくてよく、孔のサイズと形状も異なってよく、または個々の群における孔の行または列の配向は異なるものであってよい。一領域の配向が異なる例示的なコリメータを
図7に例示する。
図7では、領域II、III、およびIVと比べ、領域Iのパターンは、当該コリメータの頂面の法線方向に対し、ある配向を有する。この配向は角度βで示されている。種々の実施形態において、この角度βは約5度から約85度の範囲、例えば45度にできる。その孔は、当該コリメータのメッシュグリッドの入射点(landing)と見なせる。一部の実施形態では、1つの領域のグリッドは他の領域のグリッドと異なってよい。例えば、1つの領域は、他より大きい、または逆に小さいグリッドサイズを有することができる。
図7に例示したコリメータは、領域Iで他と異なるグリッドを有すると見なすこともできる。
図6および7に例示したコリメータは、4つの符号化開口パターン群を有するが、種々の実施形態において、コリメータは、他の群数、例えば2、3、または4より多くの群を有することができる。特定の例において、コリメータは9つの符号化開口パターン群を3×3アレイで有することができる。
【0047】
同じプレート上の異なる群の孔は、異なるサイズおよび異なる形状にできる。さらに、同じ群内の孔は、異なるサイズおよび異なる形状にできる。入射角θ(
図2B)は、一般に孔のサイズと長さにより定義されるため、同じコリメータの異なる孔は異なる入射角を有するようにできる。一部の実施形態において、すべての孔のうち最小の入射角θは少なくとも10°であり、例えば具体例の一部では少なくとも15°で、FOVが広がるという利点を有する。各群のFOVは、同じプレートの少なくとも1つの他の群とオーバーラップしてよい(設計された撮像範囲内で:通常、FOVは、コリメータまたは開口部から遠ざかるほど大きくなる)。一部の実施形態において、群間の距離(2つの異なる群内での最小孔間距離)は、各群内での最小孔間距離より大きく、各群内での最小孔間距離の2倍を超える場合もあり、例えば各群内での最小孔間距離の少なくとも2.5倍となる。一実施形態において、各群内での最小孔間距離は、孔サイズの2倍未満である。孔のサイズは、その孔を完全に覆える最小の正方形のサイズと定義される。孔間の距離は、1つの孔の中心から隣接する孔の中心までの距離により定義されるピッチである。一部の実施形態において、孔の数は30より大きくできる。例えば、各領域には、MURA 5、7、11、13、17、19および23パターンで、12、24、60、84、144、180、および264のいずれかの孔があってよい。他の一部の実施形態において、コリメータマスクは、2×2形態で構成された4つの同一のMURA符号化開口パターンのモザイクを有することができ、その場合、異なる群間の隣接しあう孔の間隔が、同じ群内の孔間隔と同じである。前記4つのパターンは、サイズ、形状、および配向が同一である。本発明で示す再構成方法は、2×2分割を含む孔の群分割により、このタイプのコリメータにも適用可能である。さらに、一部の実施形態において、コリメータの孔密度は50%未満で、通常は35%または30%未満である。また、一部の実施形態において、コリメータの孔密度は2%より高く、通常は5%または7.5%より高い。コリメータの孔密度は、孔の総面積(開口部の合計)を、すべての孔を取り囲むことのできる最小の凸多角形の面積で割ったものと定義される。直線状の貫通孔以外の孔形状、例えばナイフエッジまたはチャネルエッジ孔の場合は、孔面積が最小になる部分が総孔面積の計算に使用される。同様に、一部の実施形態において、各領域の孔密度は50%未満で、通常は35%または30%未満である。また、一部の実施形態において、各領域の孔密度は2%より高く、通常は5%または7.5%より高い。領域内の孔密度は、その領域内の孔の総面積(開口部の合計)を、その領域内の全孔を取り囲むことのできる最小の凸多角形の面積で割ったものと定義される。同様に、直線状の貫通孔以外の孔形状、例えばナイフエッジまたはチャネルエッジ孔の場合は、孔面積が最小になる部分が総孔面積の計算に使用される。
【0048】
本発明では、計算の複雑さを大幅に軽減できるようにする多重解像度(またはマルチスケール)方式を統合する方法も示している。多重解像度は、画像処理、解析、および再構成に関係した効果的な戦略である。要約すると、この工程は低解像度で始まり、工程の進行とともに、より高解像度へと進んでいく。
【0049】
ここで
図8を参照すると、対象の測定画像の多重解像度方式に基づいた医用画像処理システムのための画像再構成用の方法600のフローチャートが、本開示の種々の態様に基づいて例示されている。方法600は、単なる例であり、この方法600の明示的な例示内容により本開示を限定することを目的としたものではない。この方法600の前、実施中、および後には付加的な工程を提供でき、説明する工程の一部を置換、排除、または移動して、本方法の付加的な実施形態とすることが可能である。工程510では、少なくとも1つのコリメータおよび少なくとも1つの検出器を含む撮像装置が提供される。前記コリメータは、対象と前記検出器間に配置される。工程520′では、前記対象から発せられた光子(例えば、近接場放射)を、前記コリメータがフィルタリングし、前記検出器に到達した光子から測定された画像を、前記検出器が取得する。方法500の工程520とは異なり、工程520′では、元の測定値から種々の解像度で一連の測定値を生成する。通常、これはローパスフィルターを元の測定値に適用したのち、それをダウンサンプリングしてデータサイズ(次元)を低減することにより行われる。次いで、この多重解像度方法600は、解像度またはスケールが最低の測定値から対象の画像を再構成する工程530~570へと進む。次に、前記再構成された画像を初期推定値として使って、より高解像度の別の測定値から前記対象の別の画像を再構成する。工程530は、対象画像の推定値の解像度を、選択された測定解像度に合った異なるレベルに調整する工程を含むこともできる。例えば、工程530は、直前の解像度レベルから次の解像度レベルへの、アップサンプリングまたはダウンサンプリングによる、推定された対象画像の解像度変換を含むことができる。工程540、550、560、および570は、
図5の前記方法500を参照して上述した内容と実質的に同様であり、各々の説明は、簡潔化のため省略する。当該方法600は、元の解像度の測定値を使って対象の画像が再構成されるまで、前記工程を反復できる。一部の実施形態において、当該方法600は、前記元の解像度の測定値より低い若しくは高い解像度を使って対象の画像が再構成されるまで、前記工程を反復できる。低解像度の画像および測定値は、通常、小さい次元(小さい行列サイズ)を有するため、これにより計算の複雑さが著しく低減されて、より高速な収束が可能になり、極小値を回避するうえで役立つ。
【0050】
前記元の測定値を使って種々の解像度で一連の測定画像を生成することに加え、前記対象画像の推定値を使って、多重解像度方式を使った画像再構成用に種々の解像度で一連の投影を生成することもできる。ここで
図9を参照すると、対象の推定値の多重解像度方式に基づいた医用画像処理システムのための画像再構成用の方法700のフローチャートが、本開示の種々の態様に基づいて例示されている。方法700は、単なる例であり、この方法700の明示的な例示内容により本開示を限定することを目的としたものではない。この方法700の前、実施中、および後には付加的な工程を提供でき、説明する工程の一部を置換、排除、または移動して、本方法の付加的な実施形態とすることが可能である。工程510では、少なくとも1つのコリメータおよび少なくとも1つの検出器を含む撮像装置が提供される。前記コリメータは、対象と前記検出器間に配置される。工程520では、前記対象から発せられた光子を、前記コリメータがフィルタリングし、前記検出器に到達した光子から測定された画像を、前記検出器が取得する。工程530′では、反復工程の出発点として、対象画像の推定値が提供される。方法500の工程530とは異なり、工程530′は低解像度を推定することから始まり、それをより解像度の高い別の推定値で置き換えていく。例えば、これは任意選択的にローパスフィルターを元の推定値に適用したのち、それをダウンサンプリングしてデータサイズ(次元)を低減することにより行われる。次いで、この多重解像度方法700は、解像度またはスケールが最低の推定値に基づいて対象の画像を再構成するにあたり、工程540~570へと進む。次に、前記再構成された画像を初期推定値として使って、前記対象の別の画像を再構成する。工程540、550、560、および570は、
図5の前記方法500を参照して上述した内容と実質的に同様であり、各々の説明は、簡潔化のため省略する。この反復により、直前の解像度レベルから推定された対象画像が生成され、それが、例えばアップサンプリングにより、次の解像度レベルに変換されて、工程530′のための新たな対象画像の推定値として使用される。当該方法700は、最高の解像度の測定値を使って対象の画像が再構成されるまで、前記工程を反復する。特定の一実施形態において、工程530′は、6mm解像度での対象画像の初期推定から始まり、次いで新規計算ラウンドの初期推定値として2mm解像度で再構成された画像が使用され、解像度が1mmに下がるまで続く。低解像度の推定値は、通常、小さい次元(小さい行列サイズ)を有するため、これにより計算の複雑さが著しく低減されて、より高速な収束が可能になり、極小値を回避するうえで役立つ。
【0051】
さらに、デザインに応じて、コリメータは、複数レベルの開口パターン、例えば低解像度の第1レベルの開口パターンおよび高解像度の第2レベルの開口パターンを提供できる。そのようなコリメータ実施形態の例示については、
図11および12に関連して以下でさらに詳しく説明する。ここで
図10を参照すると、コリメータにより提供される開口部アパーチャを伴う多重解像度方式に基づいたコリメータおよび検出器ベースの医用画像処理システムのための画像再構成用の方法800のフローチャートが、本開示の種々の態様に基づいて例示されている。方法800は、単なる例であり、この方法800の明示的な例示内容により本開示を限定することを目的としたものではない。この方法800の前、実施中、および後には付加的な工程を提供でき、説明する工程の一部を置換、排除、または移動して、本方法の付加的な実施形態とすることが可能である。工程510では、少なくとも1つのコリメータおよび少なくとも1つの検出器を含む撮像装置が提供される。前記コリメータは、対象と前記検出器間に配置される。工程520では、前記対象から発せられた光子を、前記コリメータがフィルタリングし、前記検出器に到達した光子から測定された画像を、前記検出器が取得する。工程530では、反復工程の出発点として、対象画像の推定値が提供される。工程535において、当該方法800は、低解像度のコリメータとして、第1のレベルの開口パターンを選択する。次いで、この多重解像度方法800は、前記低解像度のコリメータから対象の画像を再構成するにあたり、工程540~570へと進む。次に、前記再構成された画像を初期推定値として使って、高解像度のコリメータとしての第2のレベルの開口パターンから前記対象の他の画像を再構成する。工程540、550、560、および570は、異なる解像度レベルでのコリメータ分割を含めて、
図5の前記方法500を参照して上述した内容と実質的に同様であり、各々の説明は、簡潔化のため省略する。一部の実施形態において、前記順投影工程550および前記逆投影工程560は、孔群に関する角度効果補正の合計または平均値の使用を伴う。当該方法800では、異なる解像度レベルでの操作を行って前記工程を反復し、すなわち、最高解像度のコリメータの開口パターンが対象画像の再構成に使用されるまで、測定された投影画像、推定された対象画像、および対応する解像度レベルのコリメータパターンを使用する。低解像度のコリメータは、より小さい行列サイズを提供するため、これにより計算の複雑さが著しく低減されて、より高速な収束が可能になり、極小値を回避するうえで役立つ。
【0052】
一部の実施形態において、画像再構成方法は、種々の解像度またはスケールにおける対象の測定および推定と、異なる解像度における異なるレベルのコリメータ開口パターンとを含む、2つまたは3つの多重解像度方式を使用する工程を含むことができ、これにより高速な収束を実現する柔軟性をもたらす。
【0053】
複数レベルの開口パターンを備えた例示的なコリメータデザインを、
図11Aに例示する。上記のように、コリメータは、複数の孔がある金属プレートと見なすことができる。
図11Aでは、白いブロックが孔を表す。例示した実施形態において、前記コリメータは15×15の開口パターンを有する。このコリメータは、複数の群で配置された孔を有する(例えば、白い点線で印を付けた5×5の群)。前記群は、孔を有しても有さなくてもよく、孔の有無はそれぞれ1または0で表される。
図11Bに示すように、1で表される各群は、3×3アレイに構成された4つの孔を有することができるが、異なる数の孔を有してもよく、これら群内の孔数は異なってもよい。例示した実施形態では、各群の貫通孔が符号化開口パターンを形成し、前記符号化開口パターンは、これに限定されるものではないが、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイを含む。特定の一実施形態では、各領域がURAアレイまたはMURAアレイのどちらか一方から選択される一意のパターンを有する。
図11Bでは、前記3×3アレイがMURA3×3アレイを形成している。さらに、一部の実施形態では、(複数の)群が1より多くのパターンを有する場合がある。例えば、他の群と異なるパターンを有する少なくとも1つの群、例えば孔数が異なる、列または行の数が異なる、および/または符号化開口パターンが異なるアレイがあってよい。
図11A~Bにも示すように、前記孔は正方形としてよく、または円形にもできるが、他の形状、例えば六角形、三角形、卵形、長方形などにも形成できる。例示した孔はすべて同じ形状(すなわち、正方形または円形のどちらか)で、すべて同じサイズである。しかし、本発明の一実施形態に係るコリメータでは、いくつかの群が1つの孔形状(例えば、正方形)を伴い、他の群が異なる孔形状(例えば、円形)を伴うようにできる。さらに、前記孔の断面は群間で異なるようにできる。例えば、断面の異なる孔としては、直線状の孔、ナイフエッジ孔、および/またはチャネルエッジ孔などがある。また、孔のサイズは1つの群と別の群で異なるようにできる(これにより、より小さい孔を有する群が、任意選択的に、その群内でより多くの孔を有しうる可能性がもたらされる)。さらに、1若しくはそれ以上の群内の孔は、サイズ、形状、および/または空間的配向が互いに異なるようにできる。本発明の一実施形態に係るコリメータであって、孔が、形状、サイズ、および中心性について、群内で均一で、群間でも均一なコリメータを作製し使用するほうが容易な場合もある。ただし、一部の応用では、異なる孔の形状、サイズ、および/または中心性/配向を有することが有益な場合もあり、例えば、周囲または付近の組織と異なる特定の関心器官または領域からの光子を受容することが望ましい特殊用途のためにコリメータが設計される場合である。また、上記のように、一部の検出器構成では(例えば、不均一なピクセルの分布、形状、またはサイズ)、一部の撮像手続き、および/または一部の再構成/較正方式またはアルゴリズム(例えば、差分光子の受容を利用したもの)が、群内および/または群間での不均一な孔の形状、サイズ、および/または中心性/配向の使用に特に適している場合もある。
【0054】
各孔を個別のピクセルと見なすと、コリメータは15×15の開口パターンを提供し、これは
図11Aに示した高解像度の開口パターンに対応する。あるいは、
図11Cに示すように各群を個別のピクセルと見なすと、複数の群は5×5の符号化開口パターンを提供し、低解像度の開口パターンに対応するが、この場合、各群は1または0のどちらか一方で表される。前記符号化開口パターンは、URAアレイ、MURAアレイ、ランダムアレイ、および疑似ランダムアレイのうち1つであってよい。例示した実施形態において、前記5×5の符号化開口パターンは、MURA 5×5アレイにできる。このように、単一のコリメータ、例えば
図11Aに例示したものは、2つのレベルの解像度を提供する。そのため、多重解像度の画像再構成演算、例えば
図10に関連して上述した方法800において、多重解像度方式は、より粗い低解像度の開口パターンから始めて(例えば、
図11CのMURA 5×5アレイ)、その後、より低レベルの高解像度開口パターンへと進化させていける(例えば、
図11Aの15×15開口パターンが各群にMURA 3×3アレイを伴うもの)。符号化開口パターンを両レベルに有することで、構成された画像の空間解像度(空間分解能)、感度、および信号対雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)が改善される。
【0055】
図11A~Cで例示した実施形態において、(複数の)群により形成されたより高レベルの符号化開口パターン(例えば、MURA 5×5アレイ)は、各群の符号化開口パターン(例えば、MURA 3×3アレイ)とは異なる。一部の実施形態では、双方の符号化開口パターンを同じにしてよい。例えば、25×25の開口パターンを備えたコリメータは、MURA 5×5アレイの孔を各群に備えた5×5の群を有することができる一方、各群の5×5アレイは、MURA 5×5アレイをより高レベルで形成する。双方のMURA 5×5アレイは同じであってよい。あるいは、双方のMURA 5×5アレイを2つのレベルで異なるものにしてもよい。他の一部の実施形態において、より高レベルの符号化開口パターンは、各群の符号化開口パターンより大きく若しくは小さくできる。例えば、35×35の開口パターンを備えたコリメータは、MURA 7×7アレイの孔を各群に備えた5×5の群を有することができる一方、各群の5×5アレイは、MURA 5×5アレイ(すなわち、MURA 7×7アレイより小さい)をより高レベルで形成する。本明細書で例示した特定サイズのMURAアレイは、限定を意図したものではない。例えば、(複数の)群により形成された符号化開口パターンは、MURA 5×5アレイ、MURA 7×7アレイ、MURA 11×11アレイ、および他の適切なアレイの1つであってよい。各群により形成された符号化開口パターンは、MURA 5×5アレイ、MURA 7×7アレイ、MURA 11×11アレイ、および他の適切なアレイの1つであってよい。
【0056】
図11A~Bで例示した実施形態において、各群は、同一の符号化開口パターンを有する(例えば、
図11Bの同じMURA 3×3アレイ)。本明細書において、2つの符号化開口パターンは、2つの群の各々の上面の孔が仮にシフトしたとき(回転することなく)互いにオーバーラップ可能な場合、同一であるという。一方の群の孔の位置構成が他方の群と異なる場合、または孔の寸法(例えば、孔の形状、サイズ/長さ、間隔、および/または断面)が2群間で異なる場合、それら2つの符号化開口パターンは、同一ではない若しくは異なるということができる。そのため、1若しくはそれ以上の群は、異なる開口パターン、例えば他の群の既存の開口パターンを変換したものを有することができる。
図12を参照すると、
図12Aのコリメータの右下隅に位置する群は、他の群とは異なるパターン、すなわち他の群のMURA 3×3アレイを変換したものを有する。
図12Bは、いくつかの種類の変換、例えば転置演算(例えば、行が列になる)、回転演算(例えば、反時計回りに90°回転)、およびシフト演算(例えば、中間の列のシフトで第1の列が最後の列になる)を例示したものである。その他の変換としては、反転演算(例えば、正面側が裏面側になる)などもある。前記変換された符号化開口パターンを伴う1若しくはそれ以上の群は、前記コリメータの任意の場所、例えば縁部および中央に配置でき、角(隅)に限定されるものではない。このような構成は、周囲または付近の組織と異なる特定の関心器官または領域からの光子を受容することが望ましい特殊な用途に適している。
【0057】
限定は意図していないが、本開示の1若しくはそれ以上の実施形態は、対象、例えば患者の分子イメージングに多数の利点を提供する。例えば、前記画像再構成方法は、小型マスク仮定を満たさない比較的大きいコリメータが使用される場合も、撮像感度および解像度を高める。したがって、システム性能が改善される。
【0058】
以上、本開示の態様について当業者の理解が深まるよう、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者であれば、本明細書で導入した実施形態と同じ目的を実行し、および/または本明細書で紹介した実施形態と同じ利点を実現する他の工程および構造を設計または修正する基礎として、本開示内容を容易に利用できることが理解されるであろう。また当業者であれば、そのような等価構造が本開示の要旨を逸脱しないこと、また本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形形態、置換形態、および修正形態が可能であることが理解されるであろう。そのため、添付の請求項は、本開示と一貫した態様で広義に解釈することが適切である。
【符号の説明】
【0059】
10...撮像システム
100...撮像装置
102...検出器
104...コリメータ
106...連結および遮蔽構成要素
106...連結および遮蔽構成要素
108...開口部
110...ガントリー
112...プラットフォーム
120...制御コンソール
130...コンピュータシステム
132...データ記憶装置
134...画像プロセッサ
136...画像記憶装置
138...ディスプレイ(表示装置)
150...患者
152...放射線源
154...入射経路
A...縁部点
B...縁部点
θ...(光子の入射)角度
【手続補正書】
【提出日】2021-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
コリメータは、光子経路を方向付ける装置である。光子が1若しくは複数の既知の光源位置から発せられるX線またはCT診断とは異なり、分子イメージングでは、光子が対象者体内の未知の位置から発せられる。コリメータがないと、全方向からの光子がガンマ線検出器に記録されて、画像再構成が困難になりうる。そのため、画像を再構成できるよう、写真撮影用カメラでレンズが果たす役割と同様に、可能性のある光子経路への方向付け用にコリメータが使用される。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2008/0230707号明細書
(特許文献2) 米国特許第6,580,939号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2012/0305812号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2011/0190616号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2013/0299705号明細書
(特許文献6) 米国特許出願公開第2010/0067766号明細書
【国際調査報告】