(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(54)【発明の名称】自律傾斜配送車両
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20220328BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220328BHJP
B62D 61/06 20060101ALI20220328BHJP
B62D 9/04 20060101ALI20220328BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B62K5/10
G05D1/02 H
B62D61/06
B62D9/04
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548704
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020018909
(87)【国際公開番号】W WO2020172335
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520168228
【氏名又は名称】スウェイ モータースポーツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドークセン,カイル ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
3D011
5H125
5H301
【Fターム(参考)】
3D011AA02
3D011AD01
5H125AA11
5H125AB02
5H125AC12
5H125AC25
5H125BA00
5H125CA13
5H125EE58
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
自律傾斜三輪車は、機械リンクによって傾斜可能シャシに結合された1対の前輪を備え、その結果、1対の車輪およびシャシは、シャシのロール軸に対して同時に傾斜するように構成される。自律車両の電子制御器は、傾斜アクチュエータを制御して、シャシを選択的に傾斜させる。任意選択で、操向アクチュエータが、前輪に結合され、車輪を選択的に操向するように電子制御器によって制御される。姿勢依存情報を測定するように構成されたセンサは、車両の傾斜を補償するように構成されたジンバルによってシャシに結合されてよい。いくつかの例では、自律車両は、自律配送ロボットを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律車両であって、
機械リンクによって傾斜可能シャシに結合された1対の前輪であって、前記1対の車輪および前記シャシは、前記シャシのロール軸に対して同時に傾斜するように構成される、1対の前輪と、
前記シャシに結合された単一の後輪と、
前記後輪に結合され、前記後輪を駆動して前記車両を推進するように構成されたモータと、
前記シャシに加えられた合力ベクトルに関する方向情報を検出するように構成された第1センサであって、前記合力ベクトルは、前記シャシに加えられた任意の適用可能な遠心力と組み合わせた重力によって決定される、第1センサと、
前記シャシに動作可能に結合され、前記シャシを選択的に傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータと、
周囲環境に対応する姿勢依存情報を測定するように構成された第2センサであって、前記第2センサは、前記ロール軸に対する前記シャシの傾斜を補償するように構成されたジンバルによって前記シャシに結合される、第2センサと、
前記合力ベクトルを前記シャシの正中面と一直線に自動的に維持するために、前記第1センサからの方向情報に基づいて、前記傾斜アクチュエータを選択的に制御するように構成された処理論理を含む制御器と、
を備える、自律車両であり、
前記制御器の処理論理は、前記車両の所望の速さに基づいて前記モータを制御するようにさらに構成される、自律車両。
【請求項2】
操向リンクによって前記前輪に動作可能に結合され、前記前輪を選択的に操向するように構成された操向アクチュエータ
をさらに備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項3】
前記制御器の処理論理は、前記車両の実際の速さおよび所望の走行方向に基づいて、前記操向アクチュエータを選択的に制御するようにさらに構成される、請求項2に記載の自律車両。
【請求項4】
前記操向リンクは、前記操向アクチュエータを前記前輪のステアリングナックルに結合する少なくとも1つのタイロッドを含むアッカーマンリンクを備える、請求項2に記載の自律車両。
【請求項5】
前記第2センサは、LIDARセンサを備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項6】
前記第2センサは、光学カメラを備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項7】
前記第2センサは、レーダシステムを備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項8】
前記シャシに結合された荷室をさらに備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項9】
前記荷室は、上向きに開くガルウイングドアを備える、請求項8に記載の自律車両。
【請求項10】
前記制御器は、停車時に前記車両を選択的に傾斜させるようにさらに構成され、その結果、前記荷室の内容物は、重力により前記荷室から自動的に吐き出される、請求項8に記載の自律車両。
【請求項11】
前記機械リンクは、前記傾斜アクチュエータに結合された4節リンクを備える、請求項1に記載の自律車両。
【請求項12】
自律車両であって、
機械リンクによって傾斜可能シャシに結合された1対の前輪であって、その結果、前記1対の車輪および前記シャシは、前記シャシのロール軸に対して同時に傾斜するように構成される、1対の前輪と、
前記シャシに結合された単一の後輪であって、前記後輪を駆動して前記車両を推進するように構成されたハブモータを備える、後輪と、
前記シャシに加えられた合力ベクトルに関する方向情報を検出するように構成された姿勢センサと、
前記シャシに動作可能に結合され、前記シャシを選択的に傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータと、
周囲環境に対応する姿勢依存情報を測定するように構成された環境センサであって、前記環境センサは、前記ロール軸に対する前記シャシの傾斜を補償するように構成されたジンバルによって前記車両に結合される、環境センサと、
前記合力ベクトルを前記シャシの正中面と一直線に自動的に維持するために、前記姿勢センサからの方向情報に基づいて、前記傾斜アクチュエータを選択的に制御するように構成された処理論理を含む制御器と、
を備える、自律車両。
【請求項13】
操向リンクによって前記前輪に動作可能に結合され、前記前輪を選択的に操向するように構成された操向アクチュエータ
をさらに備える、請求項12に記載の自律車両。
【請求項14】
前記制御器の処理論理は、前記車両の実際の速さおよび所望の走行方向に基づいて、前記操向アクチュエータを選択的に制御するようにさらに構成される、請求項13に記載の自律車両。
【請求項15】
前記操向リンクは、前記操向アクチュエータを前記前輪のステアリングナックルに結合する少なくとも1つのタイロッドを含むアッカーマンリンクを備える、請求項13に記載の自律車両。
【請求項16】
前記環境センサは、LIDARセンサを備える、請求項12に記載の自律車両。
【請求項17】
前記環境センサは、光学カメラを備える、請求項12に記載の自律車両。
【請求項18】
前記シャシに結合された荷室をさらに備える、請求項12に記載の自律車両。
【請求項19】
前記制御器は、停車時に前記車両を選択的に傾斜させるようにさらに構成され、その結果、前記荷室の内容物は、重力により前記荷室から自動的に吐き出される、請求項18に記載の自律車両。
【請求項20】
前記機械リンクは、前記傾斜アクチュエータに結合された4節リンクを備える、請求項12に記載の自律車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、合衆国法典第35編第119条(e)の下で、2019年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/807,622号の優先権の利益を主張し、その全体は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、自律車両のためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、開示される実施形態は、傾斜懸架システムを有する自律車両に関する。
【背景技術】
【0003】
自律およびロボット車両を使用して、品物、食品、および他の商品を配送することは、買い手および売り手の双方の配送コストの削減、注文履行時間の短縮、混雑の減少、資産活用の増加、および配送のための労力の削減を含む、多くのビジネス、顧客、および社会的利点を提供する。あるカテゴリの高価値配送ロボットは、(例えば、歩道の速さを超える)比較的高速で運転可能であり、自転車レーンまたは自転車道で運転可能である。占有面積が小さいため、これらのロボットは、複数台を車またはトラックと同じフォームファクタに収めることができ、したがって混雑を改善し、同じ業務に車またはトラックを使用するのに比べて、車両当たりのコストを潜在的に削減する。加えて、そのような専用の配送ロボットのより軽い重量は、配送当たりのエネルギーを節約し、歩行者および他の運転者の安全性を高め、車両当たりの内包エネルギーを削減することができる。
【0004】
しかしながら、比較的高い速度を比較的小さい占有面積と組み合わせると、トラック幅(車輪間の横方向の距離)の狭さは、車両の横転安定性と直接競合する。車両は、横転することなくコーナリングできる、一定のトラック幅を有していなければならない。この横転しやすい傾向に対抗するために、自律車両の設計者は、トラック幅を増加させる傾向があり、小型車の幅に匹敵し得るか、またはそれを超え得る全車両外殻をもたらす。したがって、横方向に安定したまま、すなわち、横転を回避しながら、比較的高速で走行することができる自律車両が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、傾斜懸架システムおよび関連する操向システムを有する自律車両に関するシステム、機器、および方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、自律車両は、機械リンクによって傾斜可能シャシに結合された1対の前輪であって、1対の車輪およびシャシは、シャシのロール軸に対して同時に傾斜するように構成される、1対の前輪と、シャシに結合された単一の後輪と、後輪に結合され、後輪を駆動して車両を推進するように構成されたモータと、シャシに加えられた合力ベクトルに関する方向情報を検出するように構成された第1センサであって、合力ベクトルは、シャシに加えられた任意の適用可能な遠心力と組み合わせた重力によって決定される、第1センサと、シャシに動作可能に結合され、シャシを選択的に傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータと、周囲環境に対応する姿勢依存情報を測定するように構成された第2センサであって、第2センサは、ロール軸に対するシャシの傾斜を補償するように構成されたジンバルによってシャシに結合される、第2センサと、合力ベクトルをシャシの正中面と一直線に自動的に維持するために、第1センサからの方向情報に基づいて、傾斜アクチュエータを選択的に制御するように構成された処理論理を含む制御器とを備え、制御器の処理論理は、車両の所望の速さに基づいてモータを制御するようにさらに構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、自律車両は、機械リンクによって傾斜可能シャシに結合された1対の前輪であって、その結果、1対の車輪およびシャシは、シャシのロール軸に対して同時に傾斜するように構成される、1対の前輪と、シャシに結合された単一の後輪であって、後輪を駆動して車両を推進するように構成されたハブモータを備える、後輪と、シャシに加えられた合力ベクトルに関する方向情報を検出するように構成された姿勢センサと、シャシに動作可能に結合され、シャシを選択的に傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータと、周囲環境に対応する姿勢依存情報を測定するように構成された環境センサであって、環境センサは、ロール軸に対するシャシの傾斜を補償するように構成されたジンバルによって車両に結合される、環境センサと、合力ベクトルをシャシの正中面と一直線に自動的に維持するために、センサからの方向情報に基づいて、傾斜アクチュエータを選択的に制御するように構成された処理論理を含む制御器とを備える。
【0008】
特徴、機能、および利点は、本開示の様々な実施形態において独立して達成され得るか、またはさらに他の実施形態と組み合わされ得、そのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本教示の態様に従う、例示的自律傾斜車両の概略図である。
【
図2】本教示の態様に従う、例示的傾斜リンクの正面図であり、リンクは、共通枢動継ぎ手を有する1対の上部バーを含む。
【
図3】本教示の態様に従う、別の例示的傾斜リンクの正面図であり、リンクは、固有のそれぞれの枢動継ぎ手を有する1対の上部バーを含む。
【
図4】本教示の態様に従う、さらに別の例示的傾斜リンクの正面図であり、リンクは、アクチュエータアームおよび1対のショックアブソーバを含む。
【
図5】本教示の態様に従う、さらに別の例示的傾斜リンクの正面図であり、リンクは、アクチュエータプレートおよび1対のショックアブソーバを含む。
【
図6】本教示の態様に従う、例示的リニアレール懸架システムの部分正面図である。
【
図8】本教示の態様に従う、例示的車輪据え付けアセンブリおよび懸架システムの部分等角図である。
【
図9】本教示の態様に従う、単一ショックのAフレームリンクを含む例示的車両の等角図である。
【
図10】傾斜状態の車両を示す、
図9の車両の正面図である。
【
図11】本教示の態様に従う、ショックが2つあるAフレームリンクを有する例示的車両の正面図である。
【
図12】傾斜状態の車両を示す、
図11の車両の別の正面図である。
【
図13】本教示の態様に従う、Aアームリンクを含む例示的車両の部分等角図である。
【
図14】傾斜状態の車両を示す、
図13の車両の別の部分等角図である。
【
図15】本教示の態様に従う、Aアームリンクおよび離隔した枢動継ぎ手を含む例示的車両の部分等角図である。
【
図16】傾斜状態の車両を示す、
図15の車両の別の部分等角図である。
【
図17】本教示の態様に従う、バランサおよびスイングフォーク傾斜リンクを有する例示的車両の等角図である。
【
図19】本教示の態様に従う、バランサおよびスイングフォーク傾斜リンクならびに操向リンクを有する別の例示的車両の等角図である。
【
図21】本教示の態様に従う、共通中央枢動点に結合された1対のタイロッドを有する例示的車両の部分等角図である。
【
図22】本教示の態様に従う、固有の中央枢動点を有する1対のタイロッドを有する例示的車両の部分等角図である。
【
図23】本教示の態様に従う、非対称なタイロッド構成を有する例示的車両の部分等角図である。
【
図24】本教示の態様に従う、単一(または事実上単一)のタイロッドを有する例示的車両の部分等角図である。
【
図25】本教示の態様に従う、固有の中央枢動点を有する1対のタイロッドを含む別の例示的車両の部分等角図である。
【
図26】本教示の態様に従う、共通中央枢動点を有する1対のタイロッドを含む別の例示的車両の部分等角図である。
【
図27】本教示の態様に従う、単一または事実上単一のタイロッドを有する例示的車両の部分等角図である。
【
図28】ロック解除された機構を示す、本教示の態様に従う、1対の入れ子プレートを備えるチルトロック装置を有する例示的車両の部分等角図である。
【
図29】ロックされたチルトロック装置を示す、
図28の車両の別の部分等角図である。
【
図30】ロックされた機構を示す、本教示の態様に従う、枢動可能逆ブラケットを備えるチルトロック装置を有する例示的車両の部分等角図である。
【
図31】ロック解除されたチルトロック装置を示す、
図30の車両の別の部分等角図である。
【
図32】本教示の態様に従う、刻み付きキャリパおよび刻み付きディスクを備える例示的チルトロック装置の部分等角図である。
【
図33】ロック解除された装置および傾斜した傾斜リンクを示す、本教示の態様に従う、ピンおよび溝付きディスクを備える例示的チルトロック装置の正面図である。
【
図34】直立した傾斜リンクおよび依然としてロック解除された装置を示す、
図33の装置の別の正面図である。
【
図35】ロックされた装置を示す、
図33の装置のさらに別の正面図である。
【
図36】ロック状態で示される枢動可能ブラケットを備えるチルトロック装置を含み、複数の無線充電コイルをさらに含む、本教示の態様に従う例示的車両の部分等角図である。
【
図37】ロック解除されたチルトロック装置を示す、
図36の車両の別の部分等角図である。
【
図38】本教示の態様に従う、例示的自律傾斜配送車両の等角図である。
【
図39】車両の操向および傾斜リンクを示す、
図38の車両の部分正面図である。
【
図42】荷室ドアが開いた状態を示す、
図38の車両の側面図である。
【
図43】積荷ドアが閉じた状態を示す、
図38の車両の別の側面図である。
【
図44】本教示の態様に従う、積荷を自律的に降ろす車両を示す、
図38の車両の別の等角図である。
【
図45】積荷を自律的に降ろす、
図38の車両の別の背面図である。
【
図46】傾斜していない位置にある車両を示す、本教示の態様に従う、傾斜補償マウントによって車両シャシに取り付けられたセンサモジュール(例えば、LIDARセンサ)を有する例示的車両の正面図である。
【
図47】傾斜補償マウントによってセンサモジュールが直立位置に向けられた、傾斜位置にある車両を示す、
図46の車両の別の正面図である。
【
図48】本教示の態様に従う、自律傾斜車両の自律運転のための例示的方法のステップを示すフロー図である。
【
図49】本教示の態様に従う、自律傾斜車両の自律運転のための別の例示的方法のステップを示すフロー図である。
【
図50】本教示の態様に従う、例示的データ処理システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
懸架システムおよび/または能動的な操向装置を含んでいてもいなくてもよい傾斜可能自律車両、例えば自律三輪車、ならびに関連する方法の様々な態様および例が、以下に記載され、関連図面に示される。特に指定がない限り、本教示に従う自律車両、および/またはその様々な構成要素は、本明細書に記載され、説明され、および/または組み込まれた構造、構成要素、機能性、および/または変形形態の少なくとも1つを含み得る。さらに、具体的に除外されない限り、本教示に関連して本明細書に記載され、説明され、および/または組み込まれたプロセスステップ、構造、構成要素、機能性、および/または変形形態は、他の類似の装置および方法に含まれ得、開示された実施形態間で交換可能であることを含む。以下の様々な例の説明は、本質的に単に例示的なものであり、開示、その用途、または使用を限定することを意図するものではない。加えて、以下に記載される例および実施形態によって提供される利点は本質的に例示的なものであり、すべての例および実施形態が、同じ利点または同程度の利点を提供するわけではない。
【0011】
この発明を実施するための形態には、以下の節:(1)定義、(2)概要、(3)例、構成要素、および代替物、(4)利点、特徴、および利益、ならびに(5)結論が含まれ、すぐ下に続く。例、構成要素、および代替物の節は、小節A~Jにさらに分割され、各々それに従って表示されている。
【0012】
定義
特に指示がない限り、以下の定義が本明細書に適用される。
【0013】
「備える」、「含む」、および「有する」(およびそれらの活用形)は、含むが必ずしも限定するわけではないことを意味するのに交換可能に使用され、追加の、列挙されていない要素または方法ステップの除外を意図しないオープンエンド用語である。
【0014】
「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、群等の様々な部材を区別または識別するのに使用され、連続性または数値の限定を示すことを意図しない。
【0015】
「AKA」は、「別名」を意味し、単数または複数の所与の要素について代替用語または対応する用語を指示するのに使用されてよい。
【0016】
「細長い」または「細長くされた」は、幅は均一である必要はないが、それ自体の幅より大きい長さを有する物体または開口を指す。例えば、細長い溝は、楕円形またはスタジアム形であり得、細長い燭台は、そのテーパ状の直径より大きい高さを有し得る。否定の例としては、円形開口は、細長い開口とは見なされないことになる。
【0017】
「内部」、「外部」、「前方」、「後方」等の用語は、本明細に記載されるシステムが据え付けられるか、またはその他の方法で取り付けられてよいホスト車両の文脈で理解されることを意図する。例えば、「外部」は、車両の中心線から横方向により遠い相対位置、または車両中心線から離れる方向を指示してよい。反対に、「内部」は、中心線に向かう方向、または中心線により近い相対位置を指示してよい。同様に、「前方」は、車両の前部の方向を意味し、「後方」は、車両の後部の方向を意味する。ホスト車両がない場合、同じ方向用語は、車両が存在するかのように使用されてよい。例えば、分離して見た場合でも、問題の縁部がホスト車両の前部の方向を向いた状態で装置が取り付けられるであろうという事実に基づいて、装置は「前方」縁部を有してよい。
【0018】
「結合される」は、直接的かまたは介在する構成要素を通して間接的かにかかわらず、永久にまたは解放可能に接続されることを意味する。
【0019】
「弾力のある」は、通常の動作負荷(例えば、圧縮時)に弾性変形し、負荷を除くと元の形状または位置に戻ることによって応答するように構成された材料または構造を表す。
【0020】
「強固な」は、通常の動作条件下で、固く、変形しない、または実質的に柔軟性を欠くように構成された材料または構造を表す。
【0021】
「弾性」は、伸長または拡張された後に、その以前の形状を自発的に回復するように構成された材料または構造を表す。
【0022】
「処理論理」は、1つ以上の論理および/または算術演算を行う(例えば、コード化された命令を実行する)ことによってデータを処理するように構成された任意の好適な装置(単数または複数)またはハードウェアを表す。例えば、処理論理は、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)および/もしくはグラフィック処理装置(GPU))、マイクロプロセッサ、処理コアのクラスタ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、人工知能(AI)加速装置、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ならびに/または任意の他の好適な論理ハードウェアの組み合わせを含んでよい。
【0023】
「制御器」または「電子制御器」は、制御要素に対する制御機能を行う命令をプログラムされた処理論理を含む。例えば、電子制御器は、入力信号を受信し、入力信号を選択された制御値または設定値と比較し、比較に基づいて補正動作を提供する、制御要素(例えば、モータもしくはアクチュエータ)への出力信号を決定するように構成されてよい。別の例では、電子制御器は、ホスト装置(例えば、デスクトップコンピュータ、メインフレーム等)と周辺装置(例えば、記憶装置、入力/出力装置等)との間をインターフェース接続して、周辺装置に出入りする入力および出力信号を制御および/または監視するように構成されてよい。
【0024】
「上」、「下」、「垂直」、「水平」等の方向用語は、問題の特定の物体の文脈で理解されるべきである。例えば、物体は、規定されたX、Y、およびZ軸の周りに向けられてよい。それらの例では、X-Y平面は水平面を規定し、上は正のZ方向と規定され、下は負のZ方向と規定される。
【0025】
「提供すること」は、方法の文脈では、提供された物体または材料が、行われる他のステップのための状態および構成になるように、受け取ること、得ること、取得すること、製造すること、発生させること、処理すること、前処理すること等を含んでよい。
【0026】
本開示では、1つ以上の刊行物、特許、および/または特許出願が参照により組み込まれ得る。しかしながら、そのような資料は、組み込まれた資料と本明細書に示された記述および図面との間に矛盾が存在しない限りにおいてのみ組み込まれる。用語の矛盾を含め、そのような矛盾がある場合、本開示が優先される。
【0027】
概要
概して、本教示の態様に従う自律車両(別名、ロボット車両もしくはロボット)は、傾斜前輪リンク、および車両を安定化し、かつ/または車両の走行方向を少なくとも部分的に決定する方法で車両を傾斜させるように構成された制御システムを含む。いくつかの例では、車両は、車両の少なくとも1つの車輪を直接操向することによって、走行方向を少なくとも部分的に決定するように構成された操向システムをさらに含む。
【0028】
以下に記載される説明のための例では、自律車両は、車両の第1端部で連結された1対の車輪、および車両の反対側の端部の第3車輪を含む、3つの車輪を含む。しかしながら、任意の好適な数および配置の車輪が使用されてよい。車両の推進システムは、任意の好適な車輪(単数または複数)に結合されて車両を前方および/または後方に駆動してよい。例えば、場合によっては、車両は、前端で連結された1対の車輪、後端の単一の車輪、および後輪を駆動するように構成されたモータを有する。
【0029】
自律車両の制御システムは、車両シャシの正中面を重力および遠心力(もしあれば)から生じる合力ベクトルと一直線に維持しながら、車両のシャシを自動的に傾斜させ、場合によっては、能動的に車両の車輪を操向して車両を選択された経路に導くように構成された処理論理を含んでよい。車両は、シャシおよび車輪の、協調した、同じかまたは実質的に同一の傾斜をもたらすように構成された任意の好適な設計のものであってよい。例えば、車両は、左輪および右輪を中央シャシに結合する4節平行四辺形リンクを備えてよい。この種類のリンクの例は、以下に記載される。
【0030】
本開示の方法およびシステムは、例えば、装輪車を使用した、ある場所から別の場所への物品、物体、製品、または品物の配送を提供してよい。制御方法は、部分的にまたは全体的に、コンピュータ実装されてよい。上記のように、装輪車は、任意選択で、自律制御であってよく、遠隔制御されてよく、半自律制御であってよく、または自律制御との組み合わせであってよい。車両は、任意選択で、1つまたは複数の装輪車、例えば、複数の同一の装輪車の1つであってよい。本開示のシステムは、装輪車もしくはロボット配送システム、無人車両もしくはロボット配送システム、自律車両もしくはロボット配送システム、無人もしくは自律配送システム、または前述の任意の組み合わせと呼ばれてよい。本開示の方法およびシステムは、任意選択で、屋内または屋外陸上輸送ネットワークで使用されてよく、これには道路、自転車道、歩道、路地、通路、横断歩道、装輪車が走行してよい任意の経路、または前述の任意の組み合わせが含まれてよい。本開示の輸送ネットワークは、屋外ネットワーク、屋外輸送ネットワーク、陸上輸送ネットワーク等と呼ばれてよい。
【0031】
電気機械的に制御可能な車両の変数としては、車輪リンクに対するシャシ傾斜、車輪の操向、スロットルまたは車速、および制動が挙げられ得る。概して、制御システムは、旋回時に遠心力および重力の平衡を保ち、その結果、遠心力および重力の合成ベクトルが、シャシおよび車輪正中面に平行な合力ベクトルを作り出すように構成される。合成した力をシャシに平行に向けることによって、車両懸架構成要素(および該当する場合は任意の積荷)にかかる応力が低減され、横転リスクが減少し、旋回時のトラクションが改善または最大化される。
【0032】
シャシの理想的なリーン位置は、所望の性能を作り出す、アクチュエータおよび制御ソフトウェアの組み合わせを通して達成される。いくつかの例では、傾斜角および操向角は、所与の旋回について個別に制御される。概して、傾斜対操向比は、速度および地形に応じて制御され、より高い速度は、車両シャシのより大きなリーン、より少ない車輪操向をもたらす。シャシが経験する傾斜は、路面の角度と車輪リンク関節の角度を加えた合計である。表面のレベル(または補正すべきシャシ傾斜変位)の検出は、場合によっては、路面付近の好適なセンサを使用して行われ得る。しかしながら、シャシの絶対傾斜角を、重力および任意の遠心力によって引き起こされた合力ベクトルとの関係を測定することによって決定および維持することが、より効果的であり得る。
【0033】
場合によっては、不均一または斜めになった地形上で、所与の回転ベクトルで車輪の側面に沿って追跡すると、いくつかの車輪の冠着形状はスクラブを生じ得るため、冠着されたタイヤと地形との相互作用が説明されなければならない。三輪車を傾斜させるためには、地形に応じて、旋回中にオーバーステアまたはアンダーステアを生じる冠着車輪の自然な効果に対抗するために、アンダーステアまたはオーバーステアが必要であり得る。一般的に言えば、このタイヤスクラブは、車両の所望の経路の喪失よりも好ましい。
【0034】
車両の制御システム(単数または複数)は、安定した方法で所望の経路に沿って車両を自動的に走行させるように、推進システム、傾斜システム、および/または操向システムを制御するための任意の好適な処理論理を含んでよい。例えば、車両リーンと車両操向との間の任意の好適な関係(単数または複数)を含む、任意の好適な制御方法が使用されてよい。制御システムは、車両の内容物の自動荷降ろしなどの、さらなる車両機能を可能とするようにさらに構成されてよい。
【0035】
いくつかの例では、自律車両は、積荷を運ぶように構成された配送車両である。したがって、車体は、任意の好適な物体(単数または複数)または材料(単数または複数)を収容するための任意の好適な構成要素(単数または複数)を備えてよい。例えば、車体は、1つ以上のプラットフォーム、容器、タンク、閉鎖可能な区画等を含んでよい。
【0036】
いくつかの例では、自律車両は、感知された車両情報(例えば、車両の場所、タイヤ圧、バッテリ残量、および/または任意の他の好適な情報)を、遠隔コンピュータシステム(例えば、車両に搭載されていないコンピュータ)などの別の装置に伝送するように構成された通信システムなどの、フリート管理機能を装備される。これは、車両の簡便な監視および維持を可能とし得る。いくつかの例では、車両は、車両情報を中央フリート管理コンピュータに伝送するように各々構成された自律車両の集団の1つである。
【0037】
本明細書に記載された自律車両の態様は、コンピュータ方法、コンピュータシステム、またはコンピュータプログラム製品として具現化されてよい。したがって、自律車両の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、またはソフトウェアおよびハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態を取ってよく、それらのすべては、本明細書では概して「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれてよい。さらに、自律車両の態様は、そこに具現化されたコンピュータ可読プログラムコード/命令を有するコンピュータ可読媒体(単数または複数)中に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ってよい。
【0038】
コンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体および/またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体としては、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、および/もしくは半導体システム、機器、もしくは装置、またはこれらの任意の好適な組み合わせが挙げられ得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、以下が挙げられ得る:1つ以上のワイヤを有する電気的接続、携帯用コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯用読み取り専用コンパクトディスク(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、および/またはこれら等の任意の好適な組み合わせ。本開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、機器、もしくは装置による使用、またはこれらに関連した使用のためのプログラムを含むかまたは格納し得る、任意の好適な非一時的有形媒体を含んでよい。
【0039】
コンピュータ可読信号媒体は、その中に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する、例えば、ベースバンドで、または搬送波の一部として、伝播されたデータ信号を含んでよい。そのような伝播信号は、電磁、光学、および/またはそれらの任意の好適な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない様々な形態のいずれかを取ってよい。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、機器、もしくは装置によって、またはこれらに関連して使用するためのプログラムを通信、伝播、または輸送できる任意のコンピュータ可読媒体を含んでよい。
【0040】
コンピュータ可読媒体に具現化されたプログラムコードは、任意の適切な媒体を使用して伝送されてよく、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、および/またはこれらの任意の好適な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
自律傾斜車両の態様の演算を行うためのコンピュータプログラムコードは、プログラミング言語の1つまたは任意の組み合わせで書かれてよく、オブジェクト指向プログラミング言語(Java、C++など)、従来の手続き型プログラミング言語(Cなど)、および関数型プログラミング言語(Haskellなど)が挙げられる。前述のもの、およびObjective-C、Swift、C#、HTML5等を含む任意の好適な言語を使用して、モバイルアプリが開発されてよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的に遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバ上で、実行可能であってよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてよく、および/または(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通して)外部コンピュータへの接続が作られてよい。
【0042】
自律車両の態様は、方法、機器、システム、および/またはコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して、以下に説明され得る。フローチャートおよび/またはブロック図中の各ブロックおよび/またはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装されてよい。コンピュータプログラム命令は、機械を作製するための処理論理(例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、もしくは他のプログラム可能データ処理機器のプロセッサ)にプログラムされるか、またはその他の方法で提供されてよく、その結果、処理論理を介して実行する(例えば、機械可読)命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数または複数)に指定された機能/動作を実装するための手段を作り出す。
【0043】
追加として、または代替として、これらのコンピュータプログラム命令は、処理論理、および/または特定の方法で機能する任意の他の好適な装置を管理し得るコンピュータ可読媒体に格納されてよく、その結果、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数または複数)に指定された機能/動作を実装する命令を含む製造品を作製する。
【0044】
コンピュータプログラム命令はまた、処理論理、および/または装置上で一連の演算ステップを行わせてコンピュータ実装プロセスを生成する任意の他の好適な装置にロードされ得、その結果、実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(単数または複数)に指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供する。
【0045】
図面中の任意のフローチャートおよび/またはブロック図は、自律車両の態様によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および/または動作を説明することを意図する。この点に関し、各ブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を備える、コードのモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。いくつかの実装では、ブロックに記述された機能は、図面に記載されたものではない順序で起こってよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際は、実質的に同時に実行されてよく、またはブロックは、含まれる機能性に応じて、しばしば逆の順序で実行されてよい。各ブロックおよび/またはブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を行う専用ハードウェアベースのシステム(または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせ)によって実装されてよい。
【0046】
例、構成要素、および代替物
以下の節では、例示的自律傾斜車両、ならびに関連するシステムおよび/または方法の選択された態様について記載する。これらの節の例は、説明用であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。各節は、1つ以上の別個の実施形態もしくは例、ならびに/または文脈もしくは関連情報、機能、および/もしくは構造を含み得る。
【0047】
A.自律車両
図1を参照して、この節では、例えばコーナリング中に、左右に傾斜またはリーンするように構成された例示的自律三輪車100について記載する。車両100は、上に概して記載された傾斜配送車両または配送ロボットの例である。
【0048】
図1は、車両100の概略図である。図示されるように、車両100は、後部の単一の駆動輪104および前部の2つの車輪106、108を含む、本体またはシャシ102に結合された3つの車輪を有する。後輪104は、モータ110、例えばハブモータによって駆動され、モータ110は、モータ制御器112によって制御されて車両を前方向および逆方向に推進する。前輪106および108は、制御された方法で車両のシャシおよび前輪を傾斜させるように構成された傾斜リンク114によって、シャシ102の前端に結合される。傾斜リンク114は、シャシの傾斜に対応する前輪の傾斜を確実にするように構成された、4節リンクなどの任意の好適な機械リンクを含んでよい。傾斜アクチュエータ116(リーンアクチュエータもしくはロールアクチュエータとも呼ばれる)は、傾斜リンク114に動作可能に接続され、任意の好適な電気モータ(例えば、サーボモータ、ステップモータ)、ロータリアクチュエータ、またはシャシおよび車輪を傾斜させるための回転力を提供するように構成された他の装置を含んでよい。
【0049】
車両の操向は、例えば、操向リンク120に動作可能に接続された操向アクチュエータ118を使用した、前輪の傾斜および/または制御された操向によって達成され得る。様々な例示的操向スキームが、以下にさらに記載される。この文脈では、傾斜またはリーンは、ロール軸(例えば、軸A)の周りの左右の横方向のロールと規定され、一方、操向は、車輪が、それらの現在の向きに対してより左または右の方向に向くように、ヨー軸の周りに車輪(単数または複数)を回動させることによって行われる。一部の車速では、操向は、完全に傾斜によって行われてよく、一方、前輪は、自在キャスタになる。一部の車速では、操向は、完全に前輪を能動的に操向することによって行われてよい。一部の車速では、方法の組み合わせが利用されてよい。
【0050】
操向アクチュエータ118は、任意の好適な電気モータ(例えば、サーボモータ、ステップモータ)、ロータリアクチュエータ、または車両100を操向するための回転力を提供するように構成された他の装置を含んでよい。操向アクチュエータからのこの力は、操向リンクによって、車輪を旋回させるための直線力に変換される。操向リンクは、例えば、アクチュエータ118を車輪106および108に機械的に結合するように構成された1つ以上のタイロッドを含んでよい。いくつかの例では、操向リンク120は、アッカーマンステアリングリンクであり、その結果、前輪の制御は、所与の旋回中に異なる半径の円を辿る必要がある内輪および外輪を自動的に補償する。
【0051】
いくつかの例では、車両100は、リーンアクチュエータおよび操向アクチュエータの両方に、遊星ギヤボックス付きサーボモータを利用する。他の好適なアクチュエータとしては、ウォームギヤボックス、リンク要素を接続するリニアアクチュエータ、油圧アクチュエータ、ハーモニックドライブユニット、ステッパモータ、直接トルクアクチュエータ等が挙げられる。一般に、傾斜アクチュエータは、操向アクチュエータより高い負荷要求を有し、より多くの力を発生させなければならず、その結果、異なる種類のアクチュエータが各々に使用されてよい。
【0052】
懸架システム122は、傾斜リンク114、操向リンク120に統合されてよく、かつ/または車輪106および108に結合されてよい。別個の懸架システムが、後輪105に提供されてよい。懸架システム122は、荒れたまたは凹凸のある地形上での走行を容易にするように構成された、任意の好適な付勢および/または減衰装置(単数または複数)を含んでよい。例えば、懸架システム122は、1つ以上のショックアブソーバおよび/またはばねを含んでよい。懸架システム122は、積荷への、ならびに感知および制御システムならびに車両シャシへの、衝撃および振動負荷を低減するように構成される。衝撃を吸収する方法で車両を懸架するいくつかの可能な手法が存在し、4節リンク、リーディングリンク、Aアーム、直線/伸縮直接懸架装置等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
車両100の制御システム124(例えば、車載制御システム)は、1つ以上の車両センサ128からの情報を考慮して、かつ/またはナビゲーション制御システム130から受信したコマンドに応答して、様々なアクチュエータを制御するように構成された任意の好適な処理論理126を含んでよい。ナビゲーション制御システム130は、目的地への経路に沿って車両100を誘導するように構成され、車両100内、遠隔(例えば、遠隔制御ユニット)、またはそれらの組み合わせのいずれかに配置された、任意の好適なナビゲーションシステムを含んでよい。
【0054】
センサ128は、車両100および/またはその物理的動作環境に関する情報を決定するように構成された任意の好適な装置を含んでよい。例えば、センサ128は、自律車両で典型的に見られる感知ユニットを含んでよい。センサの例としては、温度センサ、タイヤ圧センサ、傾斜または他の姿勢センサ(例えば、加速度計)、速度センサ等が挙げられ得る。
【0055】
追加として、または代替として、センサ128は、姿勢依存的に(例えば、周囲環境に関する)情報を感知するように構成された少なくとも1つの姿勢依存センサ128Aを含んでよい。言い換えれば、センサ128Aによって感知される情報は、少なくとも一部の状況では、少なくとも1つの軸に対するセンサの向きおよび/または位置に影響される傾向がある。姿勢依存センサの例としては、例えば、LIDAR、レーダ、レーザ距離計、光学撮像センサ、熱撮像センサ、コンピュータビジョンシステム、近接センサ等が挙げられ得る。これらの種類のセンサによって感知される情報は、一般にセンサの向きに依存する。例えば、撮像センサによって取得される画像の向きは、撮像センサの向きによって決定され、LIDARセンサによって得られる情報は、光源の位置および方向に依存する。したがって、(例えば、車両シャシおよび/またはリンクが傾斜するため)姿勢依存センサが傾斜する場合、センサによって取得されるデータは、傾斜していないセンサによって取得されるであろうデータに対して一般に変化する。これは、車両の制御システム(例えば、ナビゲーション制御システム130、衝突回避システム等)によるデータの使用に悪影響を及ぼし得る。したがって、姿勢依存センサ128Aは、(少なくともロール軸上の)車両の傾斜を補償するように構成された傾斜補償マウントシステム131によって、シャシ102(および/または車両の別の好適な部分)に結合されてよく、その結果、車両の傾斜時に、センサ128Aは、部分的にまたは完全に傾斜していないままである。例えば、傾斜補償マウントシステム131は、ジンバルマウントを備えてよい。
【0056】
傾斜補償マウントシステム131は、能動的傾斜補償システムおよび/または受動的傾斜補償システムを備えてよい。能動的傾斜補償システムは、(例えば、センサもしくはジンバルマウントに結合された傾斜センサによって検出されるような)検出されるセンサの傾斜に基づいて、かつ/または(例えば、介入なしでセンサ128Aが間もなく傾斜することをシステム131に伝える、傾斜アクチュエータおよび/もしくは操向アクチュエータへの制御信号に基づいて)予想される車両の傾斜に基づいて、センサ128Aの向きを調節するように構成された少なくとも1つのモータまたは他のアクチュエータを含む。受動的傾斜補償システムは、センサ128Aをシャシに取り付けるように構成されたジャイロスコープまたは他の好適な装置を含んでよく、その結果、車両の傾斜時に、センサは傾斜しない傾向がある。いくつかの例では、傾斜補償システムは、傾斜リンク114に従動する機械リンクを含んでよく、その結果、対応するカウンタリーンが、傾斜補償システムで自動的に生成される。
【0057】
傾斜補償マウントシステム131は、任意の好適な軸または軸の組み合わせの周りの傾斜を補償するように構成されてよい。いくつかの例では、システム131は、車両のロール軸の周りの傾斜のみを補償するように構成される。したがって、これらの例では、センサ128Aは、ロール軸の周りに有効に安定化され、その結果、車両が傾斜される時に、水平に対して傾斜しないが、ピッチ軸またはヨー軸の周りに車両とともに傾斜することは防止されない。
【0058】
処理論理126は、車両100の運転に関する制御アルゴリズムを実行するように構成された任意の好適なモジュールまたはハードウェアを含んでよい。例えば、処理論理126は、モータ制御器112、操向アクチュエータ118を制御するように構成された操向制御器132、および/または傾斜アクチュエータ116を制御するように構成された傾斜制御器134、ならびにこれらの制御器のいずれかまたはすべての活動を協調させるように構成された処理論理を含んでよい。
【0059】
制御システム124は、遠隔システム、例えば、ナビゲーション制御130の遠隔部分と無線通信してよく、したがって、例えば送受信機136に代表されるような、情報を送受信するように構成された無線ラジオシステムを含んでよい。
【0060】
次に、制御システムおよび車両100によって実装されてよい例示的操向スキームを議論すると、自律車両100などの傾斜ロボットにおいて、リーン(すなわち、傾斜)と操向とのいくつかの可能な関係が存在する。選択された関係および関連する制御システム構成が、以下で議論される。
【0061】
a.操向にリーンを機械的に連結する
この場合、機械リンクは、車両の車輪がリーンすると車輪の旋回を引き起こす一定の比率をもたらす。この種類の実施形態では、低速操縦性および高速安定性の両方を提供するために、リーン対操向比を速さに対して動的に変化させることが望ましい場合がある。
【0062】
b.操向にリーンを電気的に連結する
この場合、リーン角が、車両をどのくらい能動的に操向するかを決定するのに利用される主な制御ベクトルである。操向は、リーン角、車速、および他の因子に基づいて、操向制御器およびアクチュエータによって制御される。
【0063】
c.自在キャスタ(FTC)
この場合、リーン角が、車両の主な制御ベクトルであり、操向システムは、任意の位置を自由に取る状態にされる。言い換えれば、能動的な操向が中断され、車輪は、地面からの力およびリーン角に完全に基づいて、自由に回るかまたは転がるようになる。トレール/キャスタ角に基づいて、車両は、リーン角に対する最適な操向角を機械的に選択することになる。この技術は、より高速でうまく機能する。
【0064】
FTC運転では、車両のジオメトリは、傾斜が開始すると、前輪が、リーンおよび速さの任意の所与の組み合わせに適した操向角まで転がるかまたは回るように設計される。この関係は、おおよそS=T/Vで表され得、式中、Sは操向角であり、Tは傾斜角であり、Vは速度である。所与の旋回において、最大リーンがすでに達成されているが、車両がより小さく旋回する必要がある場合、減速は、FTC動力学に従って旋回半径を減少させることになる。
【0065】
FTCを用いて、車両は、後輪のトラクションを失ってドリフトに入る時のカウンタステアも行うことになり、重心(CG)が高いかまたは非常に狭いホイールベースの傾斜の開始中に、一方の前輪が地面から浮いた場合の、カウンタステアも行うことになる。FTC制御スキームを利用する傾斜三輪車は、この理由から、ひっくり返ることに耐性がある。
【0066】
d.自由リーン
この場合、操向角が主な制御ベクトルであり、車両は自由にリーンする。この種類の実施形態は、望ましくない不安定性を防止し、車両を設定角度(例えば、垂直)または角度範囲に維持する、チルトロック機構を使用してよい。さらに、操向角は、自転車運転者またはオートバイ運転者が、体のリーン、カウンタステア、および他の入力の組み合わせを使用してその車両のバランスをとる方法と同様に、車両のバランスをとるように閉ループ制御下で動作してよい。
【0067】
e.IMUに基づいて、操向の後にリーンが続く
この場合、操向角が、車両の主な制御ベクトルである。加速度計および/またはジャイロセンサは、車両にかかる横方向の力を感知し、傾斜アクチュエータは、車両を旋回から滑らせる傾向を示す横加速度成分を最小化するように、制御ループを実行する。
【0068】
f.方法の組み合わせ
この場合、上記の技術が、操向アクチュエータもしくはリーンアクチュエータのいずれかもしくは両方で、クラッチ/ブレーキと組み合わせて使用され得るか、またはアクチュエータは、それらが従動体として働く「疑似低慣性制御モード」にプログラムされ得る。これは、ある車速ブレークポイントで(徐々に)オンオフされて、低速領域および高速領域の両方で最適なハンドリングを提供し得る。さらに、車両が後退動作をしている時に、制御規則は、修正を必要とする場合がある。
【0069】
上記制御スキームのいずれについても、問題の車両の所望の傾斜角は、一般に、どのくらいの左右のリーン角または傾斜角が、正中面とも呼ばれるシャシの中心垂直面、すなわち、シャシを左部分と右部分とに分割または2等分する車両の垂直中心線を通る平面と一直線になった合力ベクトルをもたらすかを決定することによって、導き出される。合力ベクトルは、下向きの重力および横方向の遠心力から生じる合成力ベクトルと規定される。車両上のセンサ(例えば、加速度計)は、(例えば、操向された旋回の開始からの遠心力、または旋回中もしくは通常の運転中、不均一な地形からの横方向の力による)シャシ上の力ベクトルの横方向の偏差を検出する。それに応じて、傾斜アクチュエータおよび場合によっては操向アクチュエータが、合力ベクトルをシャシの正中面と実質的に一直線に戻すように調節される。リーン角は、速さおよび旋回半径の小ささによって変化する。所与の旋回半径および/または速度に対する所望のまたは最適な傾斜角(すなわち、合力ベクトルをシャシと一直線上に保つ角度)が与えられると、傾斜リンクは、その角度を維持し、また、不均一な/変化する地面にかかわらず傾斜角を保つように変更されてよい。
【0070】
リーン(別名、傾斜)対操向比は、(遠心力および重力による力についての)集約力ベクトルを傾斜車両の正中面と一直線に維持するために計算される。一般的に言えば、任意の所与の旋回半径に対して車両が速くなればなるほど、この集約力ベクトルを傾斜可能シャシの正中面と一直線に保つために、車両シャシはますますリーンする必要がある。より高い速度または旋回半径の減少は、所望のリーン角の増加をもたらす。
【0071】
制御システム124は、本明細書に記載されたもののようなアルゴリズムを実行するように構成された任意の好適な処理論理を含んでよい。例えば、力ベクトル測定に基づいて傾斜/操向変数を制御する制御ループフィードバック機構を有する、PID(比例積分微分)制御器が利用されてよい。
【0072】
例えば、車両100の旋回中、横加速度および/または遠心力がシャシ102にかかっている間、車両制御システム124は、そのような横加速度および/または遠心力の全体または一部を補償するように、1つ以上の傾斜アクチュエータ1116にシャシ102を枢動および/または傾斜させように指示してよい。処理論理126は、シャシが1つ以上の傾斜アクチュエータ116によって枢動および/または傾斜されるべき程度、量、および/または角度を決定するために、センサ128の1つ以上から入力を受信して、そのような加速度、遠心力、および/またはシャシ102の他の特性を測定してよい。例えば、IMUセンサは、この点に関し、1つ以上のセンサ128に含まれてよく、任意選択で固体加速度計を含んでよく、任意の好適な加速度および/または力を測定するために利用されてよい。そのような傾斜の程度、量、および/または角度は、任意の好適なセンサによって感知および/または測定されてよく、処理論理126および/または制御システムの他の態様にフィードバックとして戻されてよい。任意の好適なアルゴリズムは、1つ以上のセンサによって提供された入力信号を解析するために、かつ1つ以上の傾斜アクチュエータを指示および/または制御するために、制御システムに、ファームウェア、ソフトウェア、または両方のいずれかとしてプログラムされてよい。
【0073】
車両100の1つ以上の制動機構は、車両の、その走行方向または走行経路に沿った減速を引き起こすように、制御システム124によって制御可能であってよい。
【0074】
いくつかの例では、車両100は、第1の場所から第2の場所へ輸送ネットワーク上を走行するように、制御システム124によって指示される。第2の場所および/または第1の場所と第2の場所との間の経路(単数または複数)に関する指示は、車両制御システムのメモリに格納されてよく、別の供給源(例えば、遠隔制御)から車両制御システムによって受信されてよく、車両制御システムによって決定されてよく、かつ/または任意の他の好適な方法で導き出されてよい。いくつかの例では、そのような指示は、第1の場所から第2の場所への走行の進路において、別の場所から車両に伝えられる。いくつかの例では、車両制御器は、第1の場所から第2の場所への走行の進路を計画するのに使用するために、(例えば、車載GPS受信機から、または別の供給源から間接的に)GPS情報を受信する。いくつかの例では、車両制御システムは、車載カメラ、LIDARシステム、コンピュータビジョンシステム、近接センサ等からの読み取り値に基づいて、走行の進路を決定しかつ/または適合させる。
【0075】
いくつかの例では、第1の場所と第2の場所との間の走行の進路は、予め(すなわち、車両が走行し始める前に)決定され、(例えば、衝突回避のために)任意選択で走行中に更新されてよい。いくつかの例では、走行の進路は、車両が走行しながら決定され、その結果、任意の所与の時間に、車両制御システムは、間もなく辿る走行経路のごく一部しか知らない。
【0076】
指示に基づいて、制御システム124は、車両の走行速度および走行方向を制御するために、モータ、傾斜アクチュエータ、および/または操向アクチュエータに適切なコマンドを送信する。車両の動作モードに応じて、傾斜アクチュエータおよび操向アクチュエータは、各々必ずしも指示を受信しない。例えば、自在キャスタモードでは、操向アクチュエータは使用されない。自由リーンモードでは、傾斜アクチュエータは使用されない。
【0077】
処理論理126は、(例えば、旋回中に)車両にかかる横加速度および/または遠心力を示すセンサ128の1つ以上から入力信号を受信する。それに応答して、処理論理は、そのような横加速度および/または遠心力を補償するように、走行面および/または適切な基準線もしくは基準面に対して車両のシャシ102を枢動および/または傾斜させて旋回させるために、1つ以上の傾斜アクチュエータ116に適切なコマンドを送信する。
【0078】
いくつかの例では、制御システムのPIDループは、所望の旋回半径を達成するために車速を自動的に調整するように構成される。例えば、より小さい旋回が必要な場合、車両は、操向または傾斜するよりもむしろ自動的に減速してよく、それにより、旋回半径を低減する。
【0079】
B.例示的傾斜リンクおよび懸架装置
図2~20に示すように、この節では、自律車両100での使用に適した例示的傾斜リンクおよび懸架システムについて記載し、それらの各々は、上に記載された傾斜リンク114および/または懸架システム122の例である。
【0080】
図2~5は、好適な機械リンクの選択されたバージョンを示す。いくつかの例では、傾斜リンクは、単純な4節平行四辺形リンクを含んでよい。他の好適な機械リンクが以下に記載される。
図2は、車両100に実質的に類似した三輪車のシャシ142に結合された例示的4節機械傾斜リンク140を示す。リンク140は、外端で左キングピン148および右キングピン150に各々結合される上部バー144および下部バー146を含む。本明細書で使用される場合、キングピンという用語は、概して、各車輪を操向するための主枢軸を備える構成要素(単数または複数)を指す。
図2に示すように、キングピン148および150の各々は、それぞれの車輪を回動式に取り付けるための車軸152、154を含む。上部バー、下部バー、およびキングピンは各々、4節リンクの「リンク」と呼ばれてよい。
【0081】
この例では、上部バー144は、共通枢動継ぎ手156で枢動する2つの部分144Aおよび144Bに分割される。下部バー146は、単一ピースであり、中央枢動継ぎ手158で傾斜アクチュエータに結合される。上部リンクの中間の回動枢軸156は、リンクの上部と傾斜シャシ142との間の取り付け場所での回動軸受の使用を容易にする。単一の強固なリンクの場合、リニア軸受またはある程度の遊びは、キングピンが完全に平行ではない条件を補償するために使用され得るが、前輪の等しくない傾斜角を可能とするいくらかの「傾斜アッカーマン」(すなわち、アッカーマンステアリングジオメトリ)を有し得る。
【0082】
図3は、車両100に実質的に類似した三輪車のシャシ172に結合された別の例示的4節機械傾斜リンク170を示す。リンク170は、外端で左キングピン178ならびに右キングピン180に各々結合される、1対の上部バー174Aおよび174Bならびに下部バー176を含む。
図3に示すように、キングピン178および180の各々は、それぞれの車輪を回動式に取り付けるための車軸182、184を含む。上部バー、下部バー、およびキングピンは各々、機械リンクの「リンク」と呼ばれてよい。
【0083】
この例では、上部バー174Aおよび174Bは、各上部バーが固有の枢動継ぎ手186A、186Bを有するように、互いから分離または離隔される。下部バー176は、単一ピースであり、中央枢動継ぎ手188で傾斜アクチュエータに結合される。上部リンクの中間の端部の回動枢軸186Aおよび186Bは再び、キングピンの傾斜または異なる傾斜を容易にする。キングピンは、いくつかの例では、操向システムの様々な構成要素への接続点を含むため、「ステアリングナックル」と呼ばれてよい。
【0084】
図4は、車両100に実質的に類似した三輪車のシャシ202に結合された例示的Aアーム機械傾斜リンク200を示す。リンク200は、外端で左キングピン208ならびに右キングピン210に各々結合される、2つの部分204Aおよび204Bに分割された上部バー204、ならびに1対の下部バー206Aおよび206Bを含む。
図4に示すように、キングピン208および210の各々は、それぞれの車輪を回動式に取り付けるための車軸212、214を含む。
【0085】
この例では、上部バー204は、共通枢動継ぎ手216で枢動する部分204Aおよび204Bに分割される。下部バー206Aおよび206Bは、内端で中央枢動継ぎ手218に結合される。アクチュエータアーム220は、枢動継ぎ手から上方に伸び、傾斜アクチュエータによって回動される。アクチュエータアームは、ロッカーと呼ばれてよい。下部バーの各々は、それぞれのショックアブソーバまたはガスばね222、224によって、アクチュエータアームの遠位端に結合される。上部204Aおよび204Bならびに/または下部206Aおよび206Bは各々、外端にアームの頂点がある状態で、Aアームまたはウイッシュボーン型アームを備えてよい。
図13~14を参照されたい。
【0086】
図5は、車両100に実質的に類似した三輪車のシャシ232に結合された別の例示的Aアーム機械傾斜リンク230を示す。リンク230は、外端で左キングピン238ならびに右キングピン240に各々結合される、1対の上部バー234Aおよび234B、ならびに1対の下部バー236Aおよび236Bを含む。
図5に示すように、キングピン238および240の各々は、それぞれの車輪を回動式に取り付けるための車軸242、244を含む。
【0087】
この例では、上部バー234Aおよび234Bの内端は、固有の枢動継ぎ手246および248で枢動する。下部バー236Aおよび236Bは、内端で、アクチュエータプレート254上の固有の枢動継ぎ手250および252に結合される。プレート254は、枢動継ぎ手から上方に伸び、傾斜アクチュエータによって回動される。アクチュエータプレートは、ロッカーと呼ばれてよい。下部バーの各々は、それぞれのショックアブソーバまたはガスばね256、258によって、アクチュエータプレートの遠位端に結合される。上部234Aおよび234Bならびに/または下部236Aおよび236Bは各々、外端にアームの頂点がある状態で、Aアームまたはウイッシュボーン型アームを備えてよい。
図15~16を参照されたい。
【0088】
いくつかの例では、傾斜リンクのための懸架システムは、操向キングピンと車輪との間に位置する、リーディングリンクスイングアーム構成を含んでよい。これは、許容される懸架の解決法をもたらす。しかしながら、トレール寸法およびスクラブ半径は、懸架装置がキングピンと車輪との間で圧縮されると、わずかに変化する。
【0089】
Aアーム懸架システムを使用することによって、これに対処することができる。しかしながら、この例では、懸架装置の移動方向は、(急角度のリーンでは)車輪面に対して接線方向であり、「ぐにゃぐにゃする状態(mushiness)」およびアライメントの問題を引き起こす。
【0090】
状況はまた、キングピンを前部懸架スイングアームに直接据え付けることによって改善されてよい。しかしながら、懸架装置の移動中のスイングアーム(リーディングリンクまたはトレーリングリンクのいずれか)の回動運動は、キングピンのキャスタ角(すなわち、レイク)を変化させ、操向懸架装置のFTCハンドリング特性を劇的に変化させ得る。
【0091】
懸架装置の圧縮中のトレールおよびスクラブ半径の変化を排除するための、リニアレール懸架システムが、
図6および
図7に示され、ここでは、キングピンと車輪との間で懸架装置の動きはない。このシステムは、車輪面内の懸架装置の移動方向、およびキングピンと車輪との一定の関係を保ちながら、傾斜枢軸と操向キングピンとの間の懸架装置の移動を作り出す。ねじれを防止するために、リニアレール解決法は、互いに平行に固定された2つの非スプラインシャフト、または1つ(もしくは複数)のスプラインシャフトを含んでよい。
【0092】
引き続き
図6および
図7を参照すると、上部バー272および下部バー274を有する4節リンク270が部分的に示されている。この例では、リンクの外部リンク276は、懸架システム278を備える。懸架システム278は、リニアレール282に沿って移動可能であり、上部バー272に結合されたショックアブソーバ284によって減衰される、摺動ブロック280を含む。キングピン286は、摺動ブロック280の外端および前輪288に回動可能に結合される。
図6は、非圧縮状態のショック284を有するリンク270を示し、
図7は、圧縮状態のショック284を有するリンク270を示す。2つのレール282が
図6および
図7に示されているが、より多いかまたはより少ないそのようなレールが利用されてよい。いくつかの例では、レール282は、直線断面を有する。いくつかの例では、レール282は、円形または楕円形断面を有する。いくつかの例では、ブロック280は、1つ以上のレール282に結合するための1つ以上のボールスプラインを含んでよい。例えば、レール282は、スプラインシャフトを備えてよく、ブロック280は、スプラインシャフトに乗るように構成されたボールスプラインを備えてよい。
【0093】
別の例示的解決法では、
図8は、より小さいAアーム292および294が内側の外部リンク296に枢動可能に結合される、別の4節リンク290を示す。外側の外部リンク298は、上部および下部で、Aアーム292および294に枢動可能に結合され、外側の外部リンクの動きは、ショックまたはガスばね300によって減衰される。キングピン302は、外側の外部リンクの外側に枢動可能に据え付けられ、そこで車輪を受けるように構成される。このアセンブリ(キングピンおよびショックを有する内側および外側の外部リンク)は、内側の外部リンクの上端および下端で、傾斜リンクの上部バー304および下部バー306に結合される。
【0094】
図9~16は、Aアーム傾斜リンクおよび懸架システムの様々な例を示す。傾斜車両に使用される場合、Aアームの枢軸は、傾斜枢軸として懸架装置の移動に使用され得る。したがって、この構成で傾斜を直接作動させるために、傾斜アクチュエータは、Aアームの枢軸に直接作用するのではなく、懸架装置のばねを通して作用する。4節設計では、4節は傾斜のみを制御しているため、傾斜アクチュエータ(例えば、モータ)は、4節枢軸を直接作動させることができる。4節リンクと車輪との間にばねが配置されるため、懸架装置の移動は、4節関節に影響しない。Aアーム懸架装置の傾斜に対して、傾斜アクチュエータモータは、ショックに直接接続するか、またはショックを接続するロッカーに接続するかのいずれかである。
【0095】
図9および
図10に示すように、車両100の例である例示的車両310は、傾斜アクチュエータ316に結合されたカラー314を有する単一のショック312を含む。
図9は、傾斜していない状態の車両310を示し、
図10は、傾斜状態の車両310を示す。車両310は、シャシ318および傾斜リンク320を含む。ショック312は、各端部で、リンク320の上部バー(単数または複数)に結合され、その結果、カラー314に横向きの作動力を加えることは、シャシおよび車輪をリーンさせる。
【0096】
図11および
図12に示すように、100の例である例示的車両330は、T字形ロッカー334の遠位端を前部傾斜リンク336に結合する1対のショック332Aおよび332Bを含む。リンク336の上部および下部バーは、(
図13~14に類似する)水平Aアーム対を備える。ロッカー334の基部は、シャシに枢動可能に結合され、その結果、傾斜アクチュエータ338を使用してロッカーに傾斜力を加えることは、前輪およびシャシを傾斜させる(しかし、ロッカーは傾斜しない)。傾斜アクチュエータ338の本体は、シャシに固定される。この例では、ロッカーの枢軸が、ショックが固定されるAアーム平面に沿って中心にあるならば、ロッカーは、任意の好適な形状を有してよい。
【0097】
図13および
図14は、車両100の例であり、傾斜リンク354を傾斜アクチュエータ356および傾斜ロッカー358に結合する1対のショック352Aおよび352Bを含む、例示的車両350を示す。車両350の傾斜リンク354は、
図4の傾斜リンクの例である。したがって、傾斜リンク354は、共通上部枢動継ぎ手362で結合された1対の上部Aアーム360Aおよび360B、ならびに共通下部枢動継ぎ手366で結合された1対の下部Aアーム364Aおよび364Bを含む。キングピン368および370は、Aアームの各々の外端に結合される。
図13は、傾斜していない状態の車両350を示し、
図14は、傾斜状態の車両350を示す。
【0098】
図15および
図16は、車両100の例であり、傾斜リンク384を傾斜アクチュエータ386および傾斜ロッカー388に結合する1対のショック382Aおよび382Bを含む、例示的車両380を示す。車両380の傾斜リンク384は、
図5の傾斜リンクの例である。したがって、傾斜リンク384は、それぞれの上部枢動継ぎ手382Aおよび382Bでシャシに結合された1対の上部リンク380Aおよび380B、ならびにそれぞれの下部枢動継ぎ手386Aおよび386Bでシャシに結合された1対の下部リンク384Aおよび384Bを含む。キングピン389および390は、上部および下部リンクの各々の外端に結合される。
図15は、傾斜していない状態の車両380を示し、
図16は、傾斜状態の車両380を示す。
【0099】
図17および
図18は、車両100の別の例であり、スイングフォーク404に取り付けられた1対の連接前輪402を有する、例示的車両400を示す。この例では、前輪402は、非操向性であり、専用の能動的な操向機構またはリンクを有しないことを意味する。スイングフォークの各々は、枢軸410を中心に回動するように構成された傾斜バランサ408の外端に(例えば、ボールジョイントコンロッド406によって)結合される。傾斜アクチュエータ412は、バランサ408を枢軸の周りに回動させるように構成される。ジンバリング単一後輪414は、シャシ416の後部に配置される。いくつかの例では、単一の車輪が前部にあってよく、スイングフォークが作動(すなわち、傾斜)すると、FTCモードで動作することになる。傾斜アクチュエータ412は、バランサを回動させ、かつ/またはフォークを傾斜させるように構成された、任意の好適な場所に配置されてよい。
【0100】
図19および
図20は、実質的に車両400に類似し、操向システムを加えた、例示的車両400’を示す。ここでは、車両400’は、スイングフォーク404’に取り付けられた1対の連接前輪402’を含む。この例では、前輪402’は、能動的に操向され、操向リンク416’および操向アクチュエータ418’に結合された操向キングピンまたはナックル420’を有する。スイングフォークの各々は、枢軸410’を中心に回動するように構成された傾斜バランサ408’の外端に(例えば、ボールジョイントコンロッド406’によって)結合される。傾斜アクチュエータ412’は、バランサ408’を枢軸の周りに回動させるように構成される。単一後輪414’は、シャシ416’の後部に配置される。いくつかの例では、単一の車輪が前部にあってよく、スイングフォークが作動(すなわち、傾斜)すると、FTCモードで動作することになる。傾斜アクチュエータ412’は、バランサを回動させ、かつ/またはフォークを傾斜させるように構成された、任意の好適な場所に配置されてよい。
【0101】
(スイングフォークの端部で)前輪にキングピンがある状態では、後輪は、ジンバリングまたは操向する必要がなく、旋回時の車輪の動きは、上に記載された4節リンクおよび/またはAアームリンクにより似ている。懸架システムも、4節リンクに関して上に記載された方法(すなわち、スイングアーム、ミニAアーム、リニアボールスプライン等)を使用して、車両400’に加えられてよい。
【0102】
スイングフォークが動く時のキングピン角の変化を防ぐために、スタビライザバーが、キングピンアセンブリの上部に加えられ、両方のフォークアーム上に4節リンクを有効に作り出す。
【0103】
C.例示的操向リンク
傾斜三輪車(例えば、車両100、もしくは本明細書に記載された任意の他のもの)の操向リンク(例えば、リンク120)に対して、操向アクチュエータは、垂直または水平に据え付けられてよく、タイロッドは、両方のキングピン/ナックルを操向クランクに(または互いに)接続する単一の部材を含んでよく、かつ/またはそれぞれの操向枢軸を操向クランクに接続する2つの別々の部材であってよい。
【0104】
図21~23は、本開示の傾斜車両での使用に適した例示的操向リンクを示し、操向アクチュエータは、水平配向で据え付けられる。言い換えれば、アクチュエータの回動軸は、シャシの中心線に実質的に水平および/または平行である。例示的車両を、文脈のために
図21~23に示す。
【0105】
図21は、本開示の車両での使用に適した例示的操向リンク500を示す。操向リンク500は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ502は、シャシ504の前端に水平に据え付けられる。操向クランク506は、アクチュエータによって回動され、1対のタイロッド508Aおよび508Bは、単一の枢動継ぎ手510で操向クランクに結合される。タイロッド508Aおよびタイロッド508Bの外端は、前輪514および516のそれぞれのステアリングナックル512に結合される。傾斜リンク518は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。
【0106】
図22は、本開示の車両での使用に適した別の例示的操向リンク550を示す。操向リンク550は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ552は、シャシ554の前端に水平に据え付けられる。操向クランク556は、アクチュエータによって回動され、1対のタイロッド558Aおよび558Bは、離隔した枢動継ぎ手560Aおよび560Bで操向クランクに結合される。タイロッド558Aおよびタイロッド558Bの外端は、前輪564および566のそれぞれのステアリングナックル562に結合される。傾斜リンク568は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。
【0107】
図23は、本開示の車両での使用に適した別の例示的操向リンク600を示す。操向リンク600は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ602は、シャシ604の前端に水平に据え付けられる。操向クランク606は、アクチュエータによって回動され、単一のタイロッド608Aは、単一の枢動継ぎ手610で操向クランクに結合される。タイロッド608Aの外端は、一方の前輪614のステアリングナックル612に結合される。第2タイロッド608Bは、同じキングピンの反対側に結合され、もう一方の端部で、もう一方の前輪618の第2ステアリングナックル616に結合される。したがって、操向アクチュエータの回動は、操向クランクを回動させ、第1タイロッドおよび第1ステアリングナックルを介して、一方の前輪に動きを伝える。反対側の前輪は、第1ステアリングナックルを第2車輪の第2ステアリングナックルに接続する第2タイロッドによって、同時に回動される。この例では、2つのタイロッドは、キングピンを挟んで反対側にある。言い換えれば、タイロッドの一方は、キングピンの前に配置され、他方は、キングピンの後ろに配置される。傾斜リンク620は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。
【0108】
図24~27は、本開示の傾斜車両での使用に適した例示的操向リンクを示し、操向アクチュエータは、垂直配向で据え付けられる。言い換えれば、アクチュエータの回動軸は、シャシの中心線に実質的に垂直もしくは直立であり、かつ/または直交する。例示的車両を、文脈のために
図24~27に示す。
【0109】
図24は、本開示の車両での使用に適した例示的操向リンク650を示す。操向リンク650は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ652は、シャシ654の前端に垂直に据え付けられる。操向クランク656は、アクチュエータによって回動され、両半分658Aおよび658Bを有するタイロッドは、単一の枢動継ぎ手660で操向クランクのコンロッドに結合される。タイロッドの半分658Aおよびタイロッドの半分658Bの外端は、前輪664および666のそれぞれのステアリングナックル662に結合される。傾斜リンク668は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。この例では、操向タイロッドは、キングピン軸の前にある。以下の例(
図25~27)は、キングピン軸の後ろに位置するタイロッドを有する。タイロッドの全体の長さまたは幅は、
図24の例が、
図25~27の以下の例より広く、適切なアッカーマンジオメトリを容易にする。
【0110】
図25は、本開示の車両での使用に適した例示的操向リンク700を示す。操向リンク700は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ702は、シャシ704の前端に垂直に据え付けられる。操向クランク706は、アクチュエータによって回動され、1対のタイロッド708Aおよび708Bは、それぞれの枢動継ぎ手710Aおよび710Bで、操向クランクのそれぞれのコンロッドに結合される。タイロッド708Aおよびタイロッド708Bの外端は、前輪714および716のそれぞれのステアリングナックル712に結合される。傾斜リンク718は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。
【0111】
図26は、本開示の車両での使用に適した例示的操向リンク750を示す。操向リンク750は、操向リンク120の例である。この例では、操向アクチュエータ752は、シャシ754の前端に垂直に据え付けられる。操向クランク756は、アクチュエータによって回動され、1対のタイロッド758Aおよび758Bは、(それぞれのボールジョイントによって)単一の枢動継ぎ手760で操向クランクのコンロッドに結合される。タイロッド758Aおよびタイロッド758Bの外端は、前輪764および766のそれぞれのステアリングナックル762に結合される。傾斜リンク768は、前輪に結合され、4節リンクとして図示されているが、本明細書に記載された任意の好適な傾斜リンクを含んでよい。
【0112】
図27は、本開示の車両での使用に適した例示的操向リンク800を示す。操向リンク800は、リンク750と実質的に同一であるが、単一のコネクタ860が、1対のタイロッド858Aおよび858Bの内端を、操向アクチュエータ852のアクチュエータクランクの単一のコンロッドに接続するのに利用される。言い換えれば、タイロッド858Aおよび858Bは、内端にそれぞれのコネクタを有する2つのタイロッドとは対照的に、事実上、中間に接続コネクタを有する単一のタイロッドである。
【0113】
D.例示的チルトロックシステム
図28~37に示すように、この節では、例示的チルトロックシステム、すなわち、自律傾斜車両の傾斜を選択的に防止し、かつ/または車両が傾斜することができる角度範囲を選択的に制限するように構成されたシステムについて記載する。チルトロックシステムは、保管、輸送、積荷の積み込み、低速操向、および/または任意の他の好適な目的のために、車両を直立位置に一時的にロックするのに便利であり得る。場合によっては、チルトロック装置は、車両によって自律的に有効化されるように構成される。代替として、または追加として、チルトロック装置は、ユーザが手動または半自動で作動させるように構成されてよい。手動で作動可能なチルトロック装置の利点は、車両の電源が切られるか、除去されるか、または枯渇した時でさえ、車両の傾斜がロックされ得ることである。
【0114】
図28~29は、2つのV字形プレート(例えば、ある長さの山形鋼)を備える例示的チルトロック装置1400を示す。内側プレート1404は、車両の傾斜リンクの下部バーに強固に結合される。内側プレート1404は、細長く、V字形断面を有し、リンクバーの中央部分から上方に伸びる。
【0115】
外側プレート1408もV字形であり、車両シャシに枢動可能に結合される。外側プレート1408は、内側プレート1404が外側プレート内に入れ子になる第1位置(
図28参照)と、外側プレートが内側プレートから離隔される第2位置(
図29参照)との間で枢動するように構成される。第1位置では、外側プレート1408は、内側プレート1404を保持し、その結果、内側プレートの、外側プレートに対する横方向の動きが防止される。このように、外側プレート1408が第1位置にある場合、外側プレートは、車両シャシが下部リンクバーに対して傾斜するのを防止する。したがって、外側プレート1408が第1位置にある場合、車両の傾斜はロックされる。外側プレート1404が第2位置にある場合、内側プレート1404は、外側プレートに対して横方向に自由に動き、車両シャシの傾斜を可能とする。
【0116】
内側プレートおよび外側プレートの大きさおよび形状、ならびにロック位置でのプレート間の任意の隙間の大きさに応じて、チルトロック装置1400は、車両の傾斜を完全に防止してよいか、または傾斜範囲を小さい角度範囲に制限してよい。いくつかの例では、外側プレートの位置は、傾斜なしを含む所望の傾斜範囲を可能とするように、(例えば、ユーザまたは車両の制御器によって)選択されてよい。
【0117】
図30~31は、車両の傾斜リンクの下部バーに枢動可能に据え付けられたU字形ブラケット1424を備える、別の例示的チルトロック装置1420を示す。ブラケット1424は、クランプ1424がロック位置にある場合、アームの端部が、シャシの傾斜を防止する方法で傾斜リンクの上部と係合するような寸法の、2つのアーム1428を有する。
図30に示す例では、ブラケット1424が傾斜ロック位置にある場合、アーム1428の端部は、4節傾斜リンクの分割された上部バーのそれぞれのバーの下に噛み込む。これは、分割された上部バーのいずれかの部分が下方に動くのを防止することによって、シャシの傾斜を防止する。しかしながら、一般に、ブラケット1424は、任意の好適な傾斜リンクと併用されてよい。
【0118】
図31は、傾斜リンクの上部から離れるように(例えば、車両シャシから離れるように前方向に)枢動されたブラケット1424を示す。この位置では、ブラケット1424は、リンクの上部から離隔し、その結果、アーム1428は、リンクの上部が動くのを防止しない。したがって、車両は、ロック解除される(すなわち、自由に傾斜する)。
【0119】
図示された例では、アーム1428は、ともに強固に結合され、したがって、ブラケット1424が枢動されると、ともに枢動する。他の例では、ブラケットのアームは、独立して枢動するように構成されてよい。
【0120】
図32は、さらに別の例示的チルトロック装置1430を示す。チルトロック装置1430は、刻み付きディスク1434と嵌合するように構成された刻み付きキャリパ1432を備える。ディスク1434は、シャシの枢動軸の周りに同心円状に配置された部分円を備える。キャリパ1432は、(
図32に部分的に透過で示された)傾斜シャシに固定され、シャシが傾斜すると、キャリパがディスク1434に沿って動くように位置付けられる。ロックアクチュエータ1436は、キャリパ1432をディスク1434に対して選択的に留めるように構成され、それによりキャリパがディスクに対して動くのを防止し、したがって車両の傾斜をロックする。ロックアクチュエータ1436が、(例えば、キャリパおよびディスクの相補的な刻み付き表面の係合が解除されようにキャリパをディスクから離すことによって)ディスク1434からキャリパ1432をロック解除すると、シャシの傾斜が可能となる。
【0121】
チルトロック装置1430は、ディスク1434に沿った任意の配向で、またはディスクに沿った角度のサブセットで、車両の傾斜をロックするように構成されてよい。すなわち、車両シャシは、直立位置または選択された傾斜角の傾斜位置にロック可能であってよい。これは、例えば、車両がロックされた傾斜位置で保管または輸送されることを可能としてよい。
【0122】
図33~35は、傾斜リンクの上部バーに取り付けられたピン1442、および傾斜リンクの下部バーに取り付けられた溝付きディスク1444を備える、さらに別の例示的チルトロック装置1440を示す。ピン1442は、ピンがディスク1444の溝の中に受け入れられるロック位置と、ピンが溝から離隔されるロック解除位置との間を選択的に移行可能である。ピンがディスクの溝内に配置される場合、車両シャシの傾斜は防止される。
【0123】
図示された例では、ピン1442は、ロック位置では、溝の中に受け入れられるのに十分な程度に上部リンクバーから下方に伸び、ロック解除位置では、溝を避けるのに十分な程度に下部バーから離れるように引き込まれる。ピン1442は、リニアアクチュエータおよび/または任意の他の好適な機構によって、ロック位置とロック解除位置との間で動かされてよい。
【0124】
図示された例では、ディスクは、下部リンクバーの中央部分の上に配置された単一の溝のみを含む。したがって、車両は、ピンが下部バーの中央部分の上に配置される場合にロック可能であり、この場合、それは、直立した、傾斜していない位置にあるシャシに対応する。しかしながら、他の例では、ディスクは、追加として、または代替として、中央の外部に横方向に位置付けられた溝を含んでよく、1つ以上のロックピンが、中央の外部に位置付けられてよく、車両が傾斜位置にロックされることを可能とする。いくつかの例では、ピンは、傾斜リンクではなく傾斜車両シャシに固定される。
【0125】
図36~37は、車両シャシの下に配置され、シャシに枢動可能に結合されたブラケット1452を備える、さらに別の例示的チルトロック装置1450を示す。フレーム1454は、傾斜リンクの一部(ここでは、4節傾斜リンクの下部バー)から後方に突出する。フレーム1454は、第1部分1456および第2部分1458を有する。ブラケット1452は、ブラケットが第1部分1456に隣接して位置付けられる第1位置と、ブラケットが第2部分1458に隣接して位置付けられる第2位置との間を移行可能である。第1部分1456は、横方向に伸びるバーを備える。ブラケット1452が第1位置にある場合、ブラケットの下部バーは、第1部分1456と並び、第1部分によって傾斜を防止される。したがって、第1部分はロック位置である。第2部分1458は、ブラケット1452よりはるかに小さい横方向の広がりを有し、その結果、ブラケットが第2位置にある場合、ブラケットの傾斜は妨げられない。したがって、第2部分はロック解除位置である。
【0126】
図36~37に示された例では、フレーム1454は、複数の無線充電コイル1460を支持し、以下の節Gにさらに記載される。
【0127】
いくつかの例では、自律傾斜車両は、単に傾斜モータ(すなわち、車両を傾斜させるように構成されたモータ)を選択された位置にロックすることによって、傾斜をロックされ得る。例えば、傾斜モータは、傾斜モータの電源が切られると、車両シャシを直立に保つ位置にロックされるように構成され得る。このようにモータの傾斜をロックすることは、上に記載されたもののような専用のチルトロック機構を含むことなく、車両の不要な傾斜を抑制することを可能とし得る。専用のチルトロック機構を含む車両の例では、モータも、(例えば、冗長性のために)傾斜をロック可能であり得る。いくつかの例では、傾斜アクチュエータは、モータがオフの時に最大トルクを有するように構成されたモータを備えてよい。言い換えれば、バックドライブ能力が低いかまたはないモータは、主要なまたは補助的なチルトロック装置として機能してよい。
【0128】
E.例示的自律配送車両
図38~45に示すように、この節では、例示的自律配送車両1800について記載する。車両1800は、上に記載された自律傾斜車両の別の例である。
【0129】
図38は、車両1800の等角図である。
図38に示すように、車両1800は、例示的荷物1812などの積荷を収容するように構成された荷室1808を備える車両シャシ1804を有する。区画1808は、床1816、およびドアが上向きに開くようにシャシの上部フレーム部1824に枢動可能に結合された、少なくとも1つのガルウイングドア1820を有する。上部フレーム部1824は、車両の中心線に沿って伸び、車両の前端でシャシの下部に結合される。これは、上部フレーム部1824が、前輪リンクの一部を損傷およびデブリから保護することを可能とする。
【0130】
センサモジュール1826は、シャシ1804上に配置され、センサモジュールがシャシ上の比較的高い(例えば、ドアが開いている時のドア1820を除く、他のすべての車両構成要素より高い)ところに位置付けられるように、プラットフォーム1828によって支持される。高さは、センサモジュールが、LIDAR機材および/または侵入する車両構成要素によって妨害され得る他のセンサを含む場合に有利であり得る。この例では、センサモジュール1826は、車両の後端付近に配置されるが、一般に、センサモジュールは、任意の好適な場所に配置されてよい。
【0131】
車両1800は、車両を前方向および逆方向に推進するように構成されたハブモータ1844によって駆動される後輪1840をさらに含む。2つの前輪1846は、車両の前端に配置され、
図39に示すように、傾斜リンクおよび操向リンクによってともに連結される。
【0132】
図39は、車両1800の傾斜リンク1850および操向リンク1854を示す。
図39では、上部フレーム部1824は、前端リンクをより良く示すために省略される。傾斜リンク1850は、上部バー1858および下部バー1862を含む4節平行四辺形リンクを備える。バー1858および1862は、外端で左キングピン1866および右キングピン1868に各々枢動可能に結合される。キングピン1866、1868およびバー1858、1862は、4節リンクの4つのリンクを備える。平行四辺形リンクが図示され、記載されているが、
図2~20に関して上に記載された前端傾斜リンクのいずれか1つが利用されてよい。
【0133】
下部バー1862は、枢動継ぎ手1872(例えば、キー付き接続)で傾斜アクチュエータ1876(ここでは、ステップモータ)に結合され、前部プレート1884の据え付けブラケット1880によって支持される。前部プレート1884は、車両シャシ1804に強固に結合され、ブラケット1880は、前部プレートに強固に結合される。したがって、傾斜モータ1876の作動は、車両シャシ1804の傾斜を引き起こす傾向がある。ギヤボックスは、例えば、モータによって提供されるトルクを増強または調整するために、傾斜モータと傾斜リンクとの間に配置されてよい。これは、本明細書に記載されたあらゆる傾斜リンクおよびアクチュエータに当てはまり得る。
【0134】
操向リンク1854は、外端でキングピン1866、1868に結合され、中央部分で操向アクチュエータ1894に結合されたタイロッド1890を備える。しかしながら、本明細書に記載された操向リンクおよびアクチュエータのいずれかが利用されてよい。
【0135】
図40および
図41は、旋回時の車両1800の前部および後部を示す。
【0136】
図42~43は、車両1800の側面図である。
図42に示すように、傾斜モータ1876および操向モータ1894は、ハウジング区画1898内に少なくとも部分的に配置される。ハウジング区画1898は、モータおよび/または他の機材を保護するのに役立つ。壁1334は、ハウジング区画1898を荷室1808から分離する。ドア1820は、ハウジング区画の側壁を形成し、その結果、ドアを開くことで、ハウジング区画内のモータおよび/または他の構成要素が選択的に露出する。これは、ハウジング区画内の機材の検査および修理を容易にし得る。
【0137】
図43は、閉じた位置にあるドア1820を示す。
図43および他の部分に示すように、荷室1808およびハウジング区画1898は、空気力学的形状を形成する(例えば、ハウジング区画の前端が、荷室の後端より小さい高さを有し、シャシの高さが、前端と後端との間で徐々に増加する)。
【0138】
F.例示的自律荷降ろしシステム
いくつかの例では、自律車両の傾斜懸架システムは、(例えば、人または他の別の装置が介入することなく)車両が積荷を自律的に降ろすことを可能とする。概して、自律荷積みは、(例えば、車両100に関して上に記載されたような)傾斜車両懸架装置、および積荷を運び、車両が特定の方法で傾斜すると積荷を放出するように構成された車体によって容易になる。例えば、車体は、車両が特定の角度に、かつ/または特定の角速度で傾斜すると、積荷品(単数または複数)が車体から落ちるように構成されてよい。
【0139】
積荷を自律的に降ろす例示的方法が、上に記載された自律配送ロボット1800に関して以下に記載され、
図44~45に示される。しかしながら、一般に、任意の好適な傾斜車両が、自律荷降ろし用に構成されてよい。
【0140】
図44~45は、積荷(ここでは、荷物1812)を自動的に降ろす自律傾斜車両1800を示す。
図44は、車両1800の等角側面図であり、
図45は、車両の背面図である。
【0141】
荷降ろしの前(例えば、荷物1812の輸送中)、荷物は、荷室1808内の床1816に置かれ、ドア1820は、典型的には閉じている。荷物1812を降ろすために、車両1800の処理論理は、ドア1820を開かせ、車体1804を傾斜させる。車体1804の傾斜とともに、区画の床1816に角度が付き、その結果、床の片側が、他方より低くなる。したがって、荷物1812が、傾いた床を滑り落ちて区画1808から出ることが可能である。
【0142】
ドア1820は、(例えば、車両の処理論理からのコマンドに応答して)自動的に開くように構成される。例えば、ドア1820は、ヒンジの周りにドア枢動させるように構成された1つ以上の好適なアクチュエータに結合されてよい。いくつかの例では、ドア1820は、開くように付勢され、車両制御器は、ドアが開いた位置に移行することを可能とするラッチを作動させるように構成される。この例のドア1820は、ガルウイングドアであるが、区画1808は、一般に、積荷を区画から取り出すことを選択的に可能とするための任意の好適なクロージャ(単数または複数)を有し得る。いくつかの例では、荷室のクロージャは、閉じた時に区画を完全には取り囲まない。例えば、クロージャは、積荷を区画内またはプラットフォーム上に選択的に保持するように構成されたバーまたはゲートを備えてよい。
【0143】
車両制御システムは、円滑な荷降ろしを達成するために(例えば、所望の荷降ろし速度を達成すること、積荷の転倒または転がりを防止すること等のために)、車両の傾斜角を調整するように構成され得る。例えば、制御システムは、排出される積荷の所望の位置、速度、加速度、および/または機械的揺れを達成する方法で車両の傾斜角を制御する、サーボ制御アルゴリズム(単数または複数)を実行するように構成されてよい。いくつかの例では、積荷の特性(例えば、横方向または垂直方向の速度、加速度等)は、車両センサ(単数または複数)によって測定され、制御アルゴリズムへの入力として使用される。代替として、または追加として、車両制御器は、所望の方法で積荷を排出するのに適するように予め決定されている、所定の角度での傾斜、角速度、角加速度等を調整するようにプログラムされてよい。いくつかの例では、車両制御器は、感知された積荷の重量および/または体積に基づいて、傾斜角などのパラメータのそれぞれの値を選択してよい(例えば、以下の例示的なペイロード重量の推定方法の説明を参照されたい)。例えば、値は、感知された積荷データに基づいて制御器によって計算されてよく、感知されたデータに基づいて、制御器のメモリに格納された複数の値から選択されてよく、かつ/または任意の他の好適な方法で選択されてよい。
【0144】
いくつかの例では、車両制御システムは、静止摩擦を克服するために高角度に(すなわち、水平からかけ離れて)傾斜することによって積荷を排出するように構成される。これは、積荷が傾いた床に沿って動き始めることを可能とする。一旦積荷が動き始めると、車両制御器は、傾斜角を(例えば、水平により近い)より低い値に低減する。静止摩擦は動摩擦を上回るため、積荷は、一般に、傾斜角が初期値から低減された後でも動き続ける。いくつかの例では、車両制御器は、傾斜角を徐々に低減する(例えば、床を水平に徐々に近づける)ように構成され、これは積荷の速度を遅くする傾向がある。このように積荷の速度を遅くすることは、損傷を防止し、かつ/または積荷を所望の場所に確実に排出するのに役立つ。積荷領域の床の高さに応じて、車両制御システムの荷降ろしアルゴリズム(単数または複数)は、より高速/より低速の積荷の横方向速度を受け入れてよい。
【0145】
いくつかの例では、傾斜角は、積荷を所望の一定の速さで床に沿って動かし続ける傾向がある方法で、低減される。一定の速さは、例えば、床と積荷との間の動摩擦係数、車両の傾斜角、床に沿って移動する時の積荷の垂直変位、および/または任意の他の好適な因子によって決定されてよい。
【0146】
いくつかの例では、車両制御システムによって命令される初期の高い傾斜角は、地面に非常に近い(例えば、可能な限り近い)床縁部の条件を達成するように選択される。したがって、傾斜角が低減された後でも、排出される積荷は、車両から地面までの比較的短い距離を落ち、これは、地面との衝突によって引き起こされる損傷を防止するのに役立つ。短い落下距離は、積荷の転倒を防止するのにも役立ち得、これは、転倒が損傷を引き起こし得る場合、または積荷を特定の向きで受け取るように構成された自動システム上に積荷が降ろされる場合に有用である。
【0147】
積荷領域の床は、低摩擦材料(超高分子量(UHMW)プラスチック、(例えば、Delrin、Ultraform、Celcon等の名前で販売されているものを含む)ポリオキシメチレン(類)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および/または任意の他の好適な材料)であってよい。追加として、または代替として、積荷領域は、ローラ、ボールトランスファ、床に空気もしくは別の好適な流体を吹き込むように構成されたシステム、および/または能動的もしくは受動的に摩擦を低減するように構成された任意の他の好適な装置を含んでよい。
【0148】
本明細書に記載された自律荷降ろしシステムおよび方法は、積荷が自律傾斜車両から自動的に降ろされることを可能とする。加えて、自律荷降ろしは、少なくともいくつかの例では、(例えば、専用の荷降ろしアクチュエータを追加することなく)車両の既存の傾斜機構のみを使用して達成され得る。これは、手動の荷降ろしを必要とするロボットに比べて著しい省力化を提供し、また、追加の荷降ろしアクチュエータを必要としないため、車両設計/BOMを単純化する。しかしながら、いくつかの例では、追加の荷降ろしアクチュエータが含まれてよい。例えば、1つ以上の追加のアクチュエータが、荷室内に配置されてよく、(例えば、ドアが開いた時に)積荷を区画から外に促すように構成されてよい。好適な追加のアクチュエータとしては、床のモータローラ、車体に取り付けられ、積荷を区画から押し出すように構成されたリニアアクチュエータ(単数または複数)等が挙げられ得る。
【0149】
G.センサの傾斜および変位に関連する例示的システムおよび方法
図46~47を参照して、この節では、車両100などの自律傾斜車両のセンサの傾斜および/または横変位の特定の影響を考慮し、かつ/または防止することに関する、例示的システムおよび方法について記載する。
【0150】
上に記載されたように、自律傾斜車両は、1つ以上のセンサを含んでよく、その少なくともいくつかは、車両シャシの傾斜部に据え付けられてよい。他の方法で構成されない限り、傾斜シャシに据え付けられたセンサは、車両の運転中に傾斜すると予想される。一部の種類のセンサでは、この傾斜は、(例えば、センサ機能に干渉すること、感知されたデータが、傾斜していないセンサによって取得されるであろうデータと異なる原因となること等によって)センサが取得するデータに悪影響を及ぼし得る。例として、自律傾斜車両は、傾斜車両フレームに据え付けられた1つ以上のカメラ、レーダ装置、LIDAR装置等を含んでよい。これらの装置によって感知されるデータは、ナビゲーション、経路探索、車両環境に関する情報の決定等のために、車両の処理論理に入力されてよい。しかしながら、センサが傾斜している場合、感知されたデータを、処理論理が意図されたように使用するのは困難であり得る。例えば、車両の走行方向を決定するように構成されたコンピュータビジョンアルゴリズムは、入力データが、車両の前の光景の傾斜した画像である場合、不正確な結果を生成し得る。
【0151】
傾斜したセンサに関連する問題を防止するための方法の例は、感知されたデータを車両の傾斜に基づいて補正し、傾斜していないセンサによって取得されたであろうデータを近似する補正されたデータを生成することである。例えば、車両の処理論理は、車両の傾斜に関する情報(例えば、傾斜角、角速度等)を受信し、傾斜情報に基づいて、回転変換および/もしくは他の因子(単数または複数)、または感知されたデータを車両の傾斜について補正および/もしくは補償するのに適した方法(単数または複数)を決定してよい。処理論理は、決定された補償因子(単数または複数)および/または方法(単数または複数)を使用して、感知されたデータを補正するようにさらに構成される。感知されたデータを補正することは、少なくとも1つの回転行列、機械学習アルゴリズム、および/または感知されたデータへのセンサの傾斜の影響を補正するための任意の他の好適な方法を使用することを含んでよい。
【0152】
補正因子(単数または複数)および/または方法(単数または複数)を決定するために処理論理が使用可能な好適な傾斜情報は、1つ以上の傾斜アクチュエータの設定、2つ以上の車両構成要素の相対な位置付け、加速度計、傾斜計、IMU、ジャイロスコープ等から得られる傾斜情報等に関する情報を含んでよい。
【0153】
車両処理論理は、補正すべきセンサデータを選択するための任意の好適な方法を使用してよい。例えば、処理論理は、特定のセンサによって感知される全データを傾斜補正してよいか、または車両傾斜情報が、問題のセンサが特定の閾値角度を超えて傾斜されていることを示す場合のみ、特定のセンサによって感知されるデータを傾斜補正してよい。感知されたデータは、取得時に、かつ/またはデータが特定の制御アルゴリズムによってアクセスされる時に要求に応じて、自動的に傾斜補正されてよい。補正されたデータは、車両処理論理によって使用されること、車両のメモリに記録されること、別の場所に伝送されること、機械学習の訓練データとして使用されること等を行われてよい。例えば、補正されたセンサ出力は、傾斜していない車両によって生成されたデータを使用するように設計された車両制御アルゴリズムへの入力として使用されてよい。
【0154】
代替として、または追加として、1つ以上のセンサは、物理センサ自体が車両とともに傾斜するのを少なくとも部分的に防止する方法で、傾斜車両に据え付けられてよい。例えば、1つ以上のセンサは、ジンバル、リンク、またはセンサのジンバリングを可能とするように構成されたロボット機構によって車両に据え付けられてよく、それにより、車両の傾斜によって引き起こされる任意のセンサ歪みを低減または排除する。例えば、センサモジュールは、ジャイロスコープによって車両に取り付けられてよく、その結果、センサモジュールは、車両とともに傾斜しない。
【0155】
いくつかの例では、センサモジュールは、モジュールを傾斜させることができる据え付けシステムによって車両に取り付けられ、据え付けシステムは、モジュールが事実上傾斜していないままであるように、モジュールの傾斜を能動的に補正するように構成された制御システムを含む。例えば、据え付けシステムは、センサモジュールの傾斜を検出するように構成された1つ以上の傾斜センサ、ならびにセンサモジュールの傾斜を調節して、センサモジュールを直立(例えば、傾斜していない)位置に戻すように構成された1つ以上のアクチュエータおよび/またはモータを含み得る。感知されたモジュールの傾斜に基づいてセンサモジュールの位置を調節することによって、据え付けシステムは、センサモジュールを傾斜していない位置に有効に維持する。
【0156】
センサモジュールの傾斜を低減または排除するように構成された据え付けシステムを含む例では、車両の処理論理は、任意選択で、上に記載されたように、感知されたデータをモジュールの傾斜について補正するように依然として構成されてよい。データ補正は、据え付けシステムがモジュールの傾斜を完全には防止しない場合、(例えば、車両が横転した場合に生じ得る)据え付けシステムが故障したかもしくは動作不能な場合、および/または任意の他の好適な状況に役立ち得る。
【0157】
図46~47は、例示的センサモジュール2008を実質的に傾斜していない位置に維持するように構成された例示的傾斜補償マウントシステム2004を有する、例示的自律傾斜車両2000の正面図である。マウントシステム2004は、車両2000のシャシ2014に結合されたジンバル2012を備える。センサ支持体2024は、センサ支持体およびモジュールが車両のロール軸の周りに傾斜するのを防止する方法で、モジュール2008をジンバル2012に結合する。他の例では、センサ支持体2024は省略され、センサモジュール2008はジンバルに直接接続される。
【0158】
傾斜補償マウントシステム2004は、任意選択で、ジンバル2012上に配置された傾斜検出器2028を含む。他の例では、傾斜検出器2028は、センサモジュールまたはセンサ支持体上に配置されてよい。傾斜検出器2028は、支持体2024とモジュール2008との間の強固な接続によりモジュール2008の傾斜に対応する、センサ支持体2024の傾斜を感知する。感知されたモジュールの傾斜に基づいて、ジンバル2012のアクチュエータは、モジュール2008が直立して(すなわち、実質的に傾斜せずに)位置付けられるように、支持体2024を回動させる。他の例では、ジンバル2012のアクチュエータは、車両の傾斜リンクの傾斜アクチュエータ(または関連する制御器)と通信してよく、ジンバルアクチュエータは、命令された車両傾斜に基づいて、傾斜を防止するように支持体2024を回動させる。
【0159】
図46は、実質的に直立した位置にある車両2000を示し、モジュール2008も直立位置にある。
図47では、車両2000は、(例えば、旋回をもたらすために)傾斜しているが、モジュール2008は、傾斜補償マウントシステム2004によって直立位置に維持されている。
【0160】
図47に示すように、モジュール2008は、マウントシステム2004によって直立位置に維持されているが、車両シャシ2014の傾斜は、モジュールを、車両シャシおよび車輪リンクに対して横方向に変位させる。この横変位はまた、マウントシステム2004または類似物によってシャシに取り付けられていないセンサモジュールで(すなわち、センサモジュールが車両シャシとともに傾斜する例で)、生じる傾向がある。横変位は、場合によっては、(例えば、車両の処理論理のアルゴリズムにおける)センサモジュール2008によって感知されるデータの使用に影響を及ぼし得る。
【0161】
例えば、場合によっては、モジュール2008は、ナビゲーションおよび/またはコンピュータビジョンアルゴリズムによって使用されるLIDARモジュールを含み、これらのアルゴリズムは、車両の横方向中央の線に位置付けられたLIDARモジュールに対応するLIDARデータを予想し得る。車両の傾斜によるセンサモジュールの横変位は、したがって、アルゴリズムの失敗を引き起こす傾向がある。
【0162】
したがって、いくつかの例では、車両の傾斜によるセンサモジュールの横変位は、車両の処理論理によるデータ取得後に、上に記載された、感知されたデータの傾斜補正に類似した方法で、補正される。例えば、横変位センサが、センサモジュール2008上(および/または車両の任意の他の好適な部分上)に配置されてよく、センサモジュール2008の横変位を検出するように構成されてよい。車両の処理論理は、感知された横変位情報を使用して、センサモジュールの横変位を補正および/または補償してよい。例えば、場合によっては、変位していないセンサ(すなわち、車両の横方向中央に位置付けられたセンサ)の出力を近似するように、センサモジュール2008の出力を補正することが可能である。代替として、または追加として、車両処理論理のアルゴリズムは、それらの計算を調節して、横方向中央からのセンサの変位を考慮するように構成されてよい。
【0163】
いくつかの例では、車両のハードウェアは、センサモジュールの横変位を防止および/または低減するように構成される。横変位のハードウェア解決法は、上に記載されたデータ補正手法を置き換えてよいか、またはそれと併用されてよい。
【0164】
H.例示的車両特徴
この節では、本開示の自律傾斜車両の例示的特徴および機能性について記載する。
【0165】
a,フェイルオペレーショナル機能
いくつかの例では、車両操向システムおよび/または車両傾斜システムは、「フェイルオペレーショナル」であるように、すなわち、特定の構成要素が故障しても、少なくともある程度機能し続けるように構成される。フェイルオペレーショナルな操向および傾斜システムを有する車両は、1つ以上の個々の構成要素または構成要素の組み合わせ(例えば、モータ巻線、アクチュエータ、電子制御器、センサ等)が機能しなくなっても、自律的に走行しかつ/またはその位置を変化させることができる。
【0166】
いくつかの例では、フェイルオペレーショナル車両は、各制御軸について、2つのモータおよび/またはアクチュエータ、2つの制御器、ならびに3つのセンサを有する。例えば、車両傾斜システムは、2つの傾斜アクチュエータ、2つの傾斜制御器、および3つの傾斜センサを含んでよい。いくつかの例では、2つの傾斜制御器は各々、傾斜アクチュエータのそれぞれ1つのみに結合され、他の例では、2つの傾斜制御器は、両方の傾斜アクチュエータに結合され、各々いずれのアクチュエータも制御することができる。車両が操向システムを有する場合、操向システムは、2つの操向アクチュエータ、2つの操向制御器、および3つの操向センサを含む。傾斜制御器と同様に、操向制御器は、それぞれの操向アクチュエータまたは両方の操向アクチュエータに各々結合されてよい。
【0167】
2つのセンサではなく3つのセンサのセット(例えば、3つの傾斜センサおよび/または3つの操向センサ)は、三重モジュール式冗長を可能とする。2つの傾斜センサしか含まれず、これらのセンサの1つが、欠陥のあるデータの出力を引き起こす方法で故障した場合、どのセンサが正確であるかを制御器が決定することは困難であり得る。しかしながら、3つのセンサを用いると、他の2つのセンサが、類似および/または同一の読み取り値を生成するため、故障したセンサは容易に特定される。各種類のセンサが3つあることの別の利点は、センサが正常に動作している場合に、精度および/または正確度を高めるために、(例えば、平均化、エラー補正アルゴリズム等によって)それらの出力が結合され得ることである。しかしながら、いくつかの例では、フェイルオペレーショナル車両は、各種類のセンサを2つしか含むことができない。
【0168】
フェイルオペレーショナル機能性の別の例として、操向モータ(単数または複数)(または他の好適な操向アクチュエータ)を有する車両は、操向モータが故障しても動作可能であるように構成され得る。バックドライブされるように構成される操向モータは、車両シャシが傾斜すると、車輪を傾斜させる。したがって、操向モータ(または操向制御器、または特定の態様の操向リンク)が故障した場合、車両は、自在キャスタ(FTC)モードで動作することができ、車両は、傾斜制御システムによって命令されると旋回し、バックドライブされた操向モータは、車輪を旋回させる。このように、バックドライブされるように構成された操向制御モータは、例えば、モータと操向輪(単数または複数)との間にギヤボックスを含まない場合がある。
【0169】
いくつかの例では、車両の処理論理は、特定のシステム構成要素(単数または複数)が故障した場合、特定の動作を行うように構成される。例えば、傾斜システムの故障に応答して、車両制御器は、操向システムを使用して、車両が安全に停止して修理を待つことができる好適な場所まで操向するようにプログラムされてよい。
【0170】
b.無線充電
いくつかの例では、自律傾斜車両は、電源への機械的接続なしで車両のバッテリの充電を可能とするように構成された無線充電構成要素を含む。例えば、無線誘導コイル(単数または複数)が、車両シャシの一部、傾斜リンク、操向リンク、および/または任意の他の好適な場所に配置されてよい。チルトロック装置の例に関して上に記載された
図36~37は、無線充電コイル1460が、4節傾斜リンクの下部バーの突出部上に配置されている例を示す。無線充電は、バッテリを交換するか、または充電プラグを接続/切断する人の介入を必要とせずに、部分的にまたは完全に自律的な方法で、車両の再充電を可能とし得る。
【0171】
c.回生制動を伴うアンチロックブレーキシステム(ABS)
車両は、推進システム(例えば、後部車輪を駆動するハブモータ)を制動力に使用して、ABSブレーキおよび/または回生制動能力を組み込むように設計され得る。例えば、アンチロックおよび回生機能性を有する制動システムは、(例えば、非制動輪上の)外部車輪速センサを使用して、かつ/またはモータの整流センサを使用して、トラクションの喪失を示すモータ減速の非線形性を検出するように構成されてよい。トラクションの喪失を示す感知されたデータに応答して、モータ制御器により、モータは、トラクションが回復されるまで制動トルクを部分的にまたは完全に低減し、次いで回生トルクを再び加える。
【0172】
d.ペイロード重量の推定
いくつかの例では、自律車両は、例えば、ロードセル、歪みゲージ等の専用のセンサを含むことなく、そのペイロード(例えば、車両シャシ上または車両シャシ内の積荷)の重量を決定するように構成される。推定ペイロード重量は、例えば、車両制御アルゴリズムの態様を調節し、車両懸架装置を調節し、モータ制御(例えば、加速度曲線)を調節し、配送顧客に請求する金額を自動的に決定するため、積荷の紛失もしくは予期せぬ物体の存在などの問題を特定するため、かつ/または任意の他の好適な目的のために、車両の処理論理によって使用されてよい。ペイロード重量の推定は、ペイロードの質量分率が重要な場合がある軽量配送車両に特に有用であり得る。
【0173】
ペイロード重量の自動推定方法は、車両総重量(すなわち、ペイロードの重量を含む)を決定すること、および既知の車両装備重量(すなわち、荷降ろしされた車両の重量)を差し引いてペイロード重量を推定することを含んでよい。車両総重量は、任意の好適な方法で決定されてよい。例えば、車両制御器は、トラクションモータ(単数または複数)に入力される電力を決定し、(例えば、車輪速の変化を測定することによって、または加速度計を使用して加速度を直接測定することによって)車両加速度を決定するように構成されてよい。入力電力および加速度に基づいて、モータ効率および任意の他の関連因子を考慮して、車両制御器は、車両総重量を推定し得る。既知の車両の風袋重量が、総重量から差し引かれて、ペイロード重量の推定値を得る。
【0174】
モータ効率に加えて、ペイロード重量の推定で考慮され得る他の関連因子としては、風の抵抗、転がり抵抗、車両が走行している表面の傾き(例えば、上り坂、下り坂、平地等)、および/または任意の他の好適な因子が挙げられ得る。走行面の傾きは、車両の加速度計もしくはジャイロスコープを使用して車両のピッチ角を推定することによって、GPS読み取り値を使用して車両の高度変化を決定することによって、かつ/または(例えば、GPSもしくは他の位置データ併せて)地図データを使用して車両の場所の高度勾配を特定することによって、決定されてよい。場合によっては、ペイロード推定計算は、車両が水平面を走行している時にもっとも単純であるので、走行面の傾きの推定は、表面が水平であるかどうかを特定するのに主に使用され得る(これは条件がペイロード推定に良好であることを示す)。
【0175】
車両総重量の推定に使用されてよい(すなわち、モータ入力電力に加えて使用されてよい)他の測定値としては、車両を停止し、かつ/またはある量だけ減速するのに必要な制動力、および回生制動システムによって発生する電力が挙げられ得る。
【0176】
前述の例は、専用の重量センサの存在なしでペイロード重量を推定する方法について記載しているが、専用の重量センサは、任意選択で含まれてよい。
【0177】
e.フリートタイヤ圧監視システム(TPMS)
いくつかの例では、自律車両の1つ以上の車輪は、空気入りタイヤを含んでよい。車両は、タイヤ圧を感知するように構成された圧力センサ(単数または複数)を含んでよく、車両の制御器は、感知されたタイヤ圧が低すぎる場合、特定の動作を行うように構成されてよい。例えば、車両制御器は、低い圧力読み取り値に応答して、エラー信号を送信し、車速を落とし、かつ/または車両を安全な場所に誘導しようとしてよい。いくつかの例では、感知されたタイヤ圧は、周期的または連続的に遠隔測定されて別の場所(例えば、遠隔コンピュータ、別の近くの車両、クラウドベースのデータストア、および/または任意の他の好適な場所)に送られる。これは、特に自律車両の集団の、車両用タイヤの簡便な監視およびメンテナンスを可能とし得る。
【0178】
f.交換可能なスキッドプレート底
交換可能なスキッドプレートが、車両の下側(例えば、シャシの底面)に組み込まれてよい。スキッドプレートは、シャシおよび/もしくは他の車両部品を保護する傾向があり、それにより、車両の寿命を延ばし、かつ/または車両の修理間隔を延ばす。スキッドプレートは、金属、プラスチック、および/または任意の他の好適な材料で作られてよい。交換可能なスキッドプレートは、容易に解放可能な方法で車両シャシに取り付けられてよく、最初のスキッドプレートを除去すること、および(例えば、最初のものが損傷しているか、または検査もしくは修理が必要なため)新しいものを取り付けることを容易にする。
【0179】
g.横転からの復帰
本教示の態様による自律車両は、車両リンク(単数または複数)の重要な関節接合を可能とする。いくつかの例では、この関節接合は、事故または衝突の後に車両の向きを補正するのに使用され得る。例えば、車両のシャシおよび/またはリンクは、協調したリンクとドライブトレインの作動との組み合わせによって、車両を完全に逆さまの状態から直立させることを可能とするように構成され得る。そのような横転からの復帰能力は、横転につながる軽微な事故から普通なら生じ得る失われた運転時間、および軽微な事故に対応するために普通なら必要な人の時間を大きく低減する。
【0180】
場合によっては、自動的に横転から復帰することができる車両は、事故後に人の介入をまったく必要としない。例えば、本明細書に記載されたような自動化車両は、比較的小さい大きさおよび重量を有してよく、その結果、車両を巻き込む大抵の事故は軽微なものになる(すなわち、他の車両、物体、または人への重大な被害をもたらさず、直立した後に車両を動作不能にしない)。したがって、車両が、事故後に自らを直立位置に戻すことができる場合、事故現場で行動を取る必要がない場合がある。
【0181】
I.例示的制御方法
この節では、自律傾斜可能車両を制御するための例示的方法のステップについて記載する。
図48~49を参照されたい。上記の車両の態様は、以下に記載される方法ステップで利用されてよい。適切な場合には、各ステップを行うのに使用され得る構成要素およびシステムを参照してよい。これらの参照は、説明のためであり、方法の特定のステップを行う可能な方法を限定することを意図するものではない。
【0182】
概して、自律車両制御器は、所望の車両経路を決定し、かつ/または受け取る。次いで、適切なリーン対操向比が、所与の速度に基づいて計算される。次いで、それに応じて、シャシ傾斜および/または操向が並行して作動されて、合力ベクトルをシャシの正中面と一直線に維持する。地形調節が、測定されたシャシ傾斜からのフィードバックに基づいて行われ得る。
【0183】
a.操向の後にリーンが続く
操向の後にリーンが続く制御スキーム(LFS)では、車両操向の後に車両傾斜が続く。言い換えれば、カーブに進入すると、最初に車輪が操向され、車両シャシは遠心力に応答して自動的に傾斜し、その結果、力は釣り合い、重力および遠心力による合力ベクトルは傾斜しているシャシの正中面と一直線にとどまる。
【0184】
図48は、LFS制御スキームを実装する例示的方法3500で行われるステップを示すフローチャートであり、方法の完全なプロセスまたはすべてのステップを列挙しているとは限らない。方法3500の様々なステップが以下に記載され、
図48に示されているが、ステップは、必ずしもすべて行われる必要はなく、場合によっては、同時に、または示された順序と異なる順序で行われてもよい。
【0185】
方法3500のステップ3502は、水平面上の直線経路に沿って車両(例えば、車両100)を運転することを含む。この状況では、合力ベクトルは、重力に実質的に等しく、車両シャシと一直線である。
【0186】
方法3500のステップ3504は、操向リンクに結合された操向アクチュエータを使用して、車両の車輪を旋回させ、それにより遠心力を付与し、車両上の合力ベクトルの変化を引き起こすことを含む。したがって、合力ベクトルは、もはやシャシの正中面と一直線ではない。
【0187】
方法3500のステップ3506は、車両の正中面と遠心力および重力による合力ベクトルとの間のずれを感知することを含む。このステップは、車両に搭載された傾斜センサによって行われてよい。
【0188】
方法3500のステップ3508は、シャシを傾斜させて遠心力の増加を補償する、すなわち、合力ベクトルが正中面と一直線になるようにシャシを位置合わせすることを含む。この例では、車両の傾斜リンクは、車輪をシャシとともに(例えば、同程度まで)自動的に傾斜させる。
【0189】
方法3500のステップ3510は、任意選択で、シャシがステップ3508で傾斜された後でも、センサは直立位置(例えば、ステップ3502と同じ位置)にとどまるように、ジンバルによって傾斜シャシに結合されたセンサを使用して、姿勢依存情報を感知することを含む。センサは、例えば、LIDARユニット、レーダユニット、光学撮像装置、熱撮像装置、および/または姿勢依存的に環境情報を感知するように構成された任意の他の装置を備えてよい。ジンバルマウントは、感知された情報が、車両傾斜による悪影響を受けないように、シャシ傾斜を補償する。例えば、センサが、車両の環境の画像を取得するように構成される場合、取得された画像は、傾斜していない。
【0190】
方法3500のステップ3512は、ステップ3504で開始した旋回を終えるために、車両の車輪を中立位置に戻させることを含む。そのステップでは、車輪は、車両制御システムからの信号に応答する操向アクチュエータを使用して操向される。この行為は、遠心力を低減または排除し、それにより、依然としてリーンしているシャシに対する合力ベクトルの別のずれを引き起こす。
【0191】
方法3500のステップ3514は、車両の制御システムによって命令される傾斜アクチュエータを使用して、シャシを直立方向に傾斜させて合力ベクトルと正中面との間の不一致を補償することを含む。
【0192】
b.リーンの後に操向が続く(SFL)
別の例示的制御スキームでは、車両傾斜の後に車両操向が続く。言い換えれば、カーブに進入すると、車両が能動的に傾斜され、それに応じて、車輪は自然に操向するかおよび/または操向され、その結果、力は釣り合い、重力および遠心力による合力ベクトルは傾斜しているシャシの正中面と一直線にとどまる。言い換えれば、シャシが最初に、または車輪の旋回と少なくとも同時に傾斜し、車輪は、車速および傾斜角を考慮する決定値まで旋回する。
【0193】
高速では、操向は、トルクが加えられず、車輪が自然に操向角まで動く状態にされることを意味する、「自在キャスタ」(FTC)モードになってよい。低速では、操向は、操向アクチュエータ(例えば、サーボモータ)によって完全に制御されてよい。低速と高速との間の移行領域または範囲も規定されてよく、そこでは操向制御は、フルトルクからトルクなしへ、線形または非線形のいずれかで、徐々に移行する。例えば、時速約10マイル(mph)未満では、車両の車輪は、操向アクチュエータからトルクを加えることによって完全に制御され得る。この例では、約20mph超で、車輪は完全にFTCであり得る。約10mph~約20mphの間では、制御は、例えば、クラッチ機構等を使用して、フルトルクからゼロトルクへ移行される。極低速(例えば、1mph未満)では、車両傾斜は、(例えば、本明細書に記載された例示的チルトロック装置の1つを使用して)ロックされ得る。これらの速度は例示的なものにすぎず、任意の他の好適な速度が、所望の特性、車両性能、および動作条件に応じて、選択されてよい。
【0194】
図49は、SFL制御スキームを実装する例示的方法3600で行われるステップを示すフローチャートであり、方法の完全なプロセスまたはすべてのステップを列挙しているとは限らない。方法3600の様々なステップが以下に記載され、
図49に示されているが、ステップは、必ずしもすべて行われる必要はなく、場合によっては、同時に、または示された順序と異なる順序で行われてもよい。
【0195】
上で説明したように、SFL制御スキームは、車速および/または他の因子(例えば、車両荷重)に応じて、3つの段階を含んでよい。この例では、方法3600のステップ3602は、所与の速度で、水平面上の直線経路に沿って車両(例えば、車両100)を運転することを含む。この状況では、合力ベクトルは、重力に実質的に等しく、シャシと一直線である。
【0196】
方法3600のステップ3604は、少なくとも部分的に旋回を生じさせるように計算された量で、旋回によって引き起こされるであろう予想遠心力と反対の方向に、(例えば、車両制御システムによって命令される傾斜アクチュエータを使用して)シャシを傾斜させて応答することを含む。(遠心力および重力による)合力ベクトルとシャシの正中面との間に、不一致が生じることになる。
【0197】
方法3600のステップ3506は、任意選択で、シャシが傾斜された後でも、センサは直立位置にとどまるように、ジンバルによって傾斜シャシに結合されたセンサを使用して、姿勢依存情報を感知することを含む。
【0198】
車両の速度が選択された第1閾値未満である場合、方法3600のステップ3608は、合力ベクトルが正中面と一直線になり、所望の旋回経路を実質的に辿るように、(例えば、制御器から操向アクチュエータにコマンドを送ることによって)、車輪を操向させることを含んでよい。選択された第1速度閾値未満では、車両は、二重制御モードで動作すると呼ばれてよい(すなわち、傾斜および操向の両方が、能動的に制御される)。
【0199】
車両の速度が選択された第2閾値超である場合、方法3600のステップ3610は、車輪が自在キャスタになることを可能とする、すなわち、車輪に加えるさらなるトルクをゼロとし、それにより、車両の傾斜の結果として、車輪がその自然な位置を見つけることを可能とすることを含んでよい。選択された第2速度閾値超では、車両は、自在キャスタまたはFTCモードで動作すると呼ばれてよい(すなわち、傾斜のみが、能動的に制御される)。
【0200】
車両の速度が第1閾値と第2閾値との間にある場合、方法3600のステップ3612は、旋回を維持し、支持面に対する車輪スクラブを少なくとも部分的に防止するために、操向システムに選択された量のトルクを加えることを含んでよい。フルトルクからゼロトルクのこの移行領域または移行範囲では、操向に加えられるトルクのレベルは、所望の特性に応じて、車速に比例してよい(例えば、速さと線形関係、または速さと非線形関係にあってよい)。
【0201】
方法3600のステップ3614は、ステップ3604で開始した旋回を終えるために、車両の傾斜を中立(例えば、直立)位置に戻すことを含む。速度に応じて、上記のように、合力ベクトルの位置合わせを維持するために、車輪は、程度の差はあるが能動的に操向されてよい。
【0202】
非常に低速、例えば、(第1閾値および第2閾値より低い)第3閾値未満では、シャシ傾斜は、一定に保持されてよいか、または所定位置にロックされてよく、その結果、車輪操向のみが、選択された車両経路を達成するために利用されてよい。
【0203】
いくつかの例では、例えば、車両が、第1速度閾値未満の場合、LFSスキームに従い、第2閾値超では、FTCスキームに従うように、方法3500および3600の態様は組み合わされてよい。
【0204】
c.地形に対する補正
制御スキームにかかわらず、本明細書に記載されたような車両および制御システムは、地形変化およびささいな障害物、すなわち、非平面走行面に(自動的に)対処するように構成されてよい。
【0205】
概して、左右どちらかの車輪の下で障害物に遭遇している車両は、その命令された傾斜値または範囲から外れて傾斜されることになり、車両を不安定化する。車両安定性は、車両の車輪リンクに対して車両のシャシをリーンすることによって維持および制御され、それにより、水平面(例えば、重力に直交する平面、または理想化された平面走行面)に対してシャシの角度を維持しながら、障害物の結果として車輪リンクが傾斜することを可能とする。これは、車両の傾斜センサ(単数または複数)によって測定された通りに、合力ベクトルとシャシの正中面との間を一直線に維持することによって達成される。
【0206】
例えば、1つの車輪が障害物と遭遇する時、車両は、直線またはカーブを走行していてよい。いずれの場合も、障害物は、最初に、シャシを合力ベクトルからずれて傾斜させる。車両の制御器は、合力ベクトルが正中面と再び一直線になるまでシャシの傾斜角を調節することによって、このずれを補償する。リンク傾斜角が地形に基づいて変化する一方、水平に対するシャシの初期角度は、制御システムによって維持される。障害物が乗り越えられると(例えば、車両が障害物を通過し、実質的に水平な地形上に再び戻った後に)、シャシは再び傾斜し、制御システムは、傾斜を調節して補償し、元の構成に戻るであろう。
【0207】
地形補償は、所望の経路の維持に困難をもたらし得る。したがって、能動的な操向が典型的には使用されないモード(例えば、自在キャスタモード)で動作していても、制御システムは、動的条件に対処するために、操向システムに選択的にトルクを加えるように構成されてよい。
【0208】
J.例示的データ処理システム
図50に示すように、この例は、本開示の態様に従う、(コンピュータ、コンピューティングシステム、および/またはコンピュータシステムとも呼ばれる)データ処理システム4000について記載する。この例では、データ処理システム4000は、自律傾斜車両の態様を実装するのに適した例示的データ処理システムである。より具体的には、いくつかの例では、データ処理システムの実施形態である装置(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ)は、車両制御システムもしくはフリート管理コンピュータシステムの態様を備えてよく、かつ/または任意の他の好適な方法で車両に含まれてよいか、もしくは車両と併用されてよい。いくつかの例では、データ処理システムは、自律傾斜車両の制御器と通信する(例えば、車両に指示を伝送する)のに使用可能である。いくつかの例では、車両の車載電子制御器(単数または複数)の1つ以上の態様は、データ処理システムを備えてよい。
【0209】
この説明のための例では、データ処理システム4000は、(通信フレームワークとも呼ばれる)システムバス4002を含む。システムバス4002は、(プロセッサ(単数または複数)とも呼ばれる)プロセッサユニット4004、メモリ4006、永続記憶装置4008、通信ユニット4010、入力/出力(I/O)ユニット4012、コーデック4030、および/またはディスプレイ4014の間の通信を提供してよい。メモリ4006、永続記憶装置4008、通信ユニット4010、入力/出力(I/O)ユニット4012、ディスプレイ4014、およびコーデック4030は、システムバス4002を介してプロセッサユニット4004によってアクセス可能であり得るリソースの例である。
【0210】
プロセッサユニット4004は、メモリ4006にロードされ得る命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット4004は、特定の実装に応じて、複数のプロセッサ、マルチプロセッサコア、および/または特定の種類の単数または複数のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)等)を備えてよい。さらに、プロセッサユニット4004は、メインプロセッサが二次プロセッサとともに単一のチップ上に存在する、複数の異種プロセッサシステムを使用して実装されてよい。別の説明のための例として、プロセッサユニット4004は、同じ種類の複数のプロセッサを含む対称型マルチプロセッサシステムであってよい。
【0211】
メモリ4006および永続記憶装置4008は、記憶装置4016の例である。記憶装置は、一時的または永続的に、データ、関数形式のプログラムコード、および/または他の好適な情報などの情報(例えば、デジタル情報)を格納することができる任意の好適なハードウェアを含んでよい。
【0212】
記憶装置4016は、コンピュータ可読記憶装置またはコンピュータ可読媒体とも呼ばれてよい。メモリ4006は、揮発性記憶メモリ4040および不揮発性メモリ4042を含んでよい。いくつかの例では、起動中などにデータ処理システム4000内の要素間で情報を伝達する基本ルーチンを含む、基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ4042に格納されてよい。永続記憶装置4008は、特定の実装に応じて様々な形態を取ってよい。
【0213】
永続記憶装置4008は、1つ以上の構成要素または装置を含んでよい。例えば、永続記憶装置4008は、磁気ディスクドライブ(ハードディスクドライブもしくはHDDとも呼ばれる)、固体ディスク(SSD)、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティック等、またはこれらの任意の組み合わせなどの、1つ以上の装置を含んでよい。これらの装置の1つ以上は、取り外し可能および/または持ち運び可能なもの、例えば、取り外し可能なハードドライブであってよい。永続記憶装置4008は、別々に、または他の記憶媒体と組み合わせて、1つ以上の記憶媒体を含んでよく、コンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、記録可能CDドライブ(CD-Rドライブ)、書き換え可能CDドライブ(CD-RWドライブ)、および/またはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの、光ディスクドライブが挙げられる。システムバス4002への永続記憶装置4008の接続を容易にするために、インターフェース4028などの、取り外し可能または取り外し不可能なインターフェースが、典型的には使用される。
【0214】
入力/出力(I/O)ユニット4012は、データ処理システム4000に接続され得る他の装置とのデータの入力および出力を可能とする(すなわち、入力装置および出力装置)。例えば、入力装置は、キーボード、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドまたはタッチスクリーン、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラ等のような、1つ以上のポインティングおよび/または情報入力装置を含んでよい。これらのまたは他の入力装置は、インターフェースポート(単数または複数)を介してシステムバス4002を通してプロセッサユニット4004に接続されてよい。好適なインターフェースポート(単数または複数)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、および/またはユニバーサルシリアルバス(USB)が挙げられ得る。
【0215】
1つ以上の出力装置は、同じ種類のポートの一部、場合によっては、入力装置(単数または複数)と実際に同じポートを使用してよい。例えば、USBポートは、データ処理システム4000に入力を提供し、データ処理システム4000から出力装置に情報を出力するのに使用されてよい。1つ以上の出力アダプタが、特殊なアダプタを必要とする特定の出力装置(例えば、とりわけ、モニタ、スピーカ、およびプリンタ)のために設けられてよい。好適な出力アダプタとしては、例えば、出力装置とシステムバス4002との間の接続手段を提供するビデオおよびサウンドカードが挙げられ得る。遠隔コンピュータ(単数または複数)4060などの、他の装置および/または装置のシステムは、入力および出力機能の両方を提供してよい。ディスプレイ4014は、任意の好適なヒューマンマシンインターフェース、またはユーザに情報を表示するように構成された他の機構、例えば、CRT、LED、またはLCDモニタまたはスクリーン等を含んでよい。
【0216】
通信ユニット4010は、他のデータ処理システムまたは装置との通信を提供するために採用される任意の好適なハードウェアおよび/またはソフトウェアを指す。通信ユニット4010は、データ処理システム4000の内部に示されているが、いくつかの例では、データ処理システム4000の少なくとも部分的に外部に存在してよい。通信ユニット4010は、例えば、モデム(通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、およびDSLモデムを含む)、ISDNアダプタ、ならびに/または有線および無線イーサネットカード、ハブ、ルータ等の、内部および外部技術を含んでよい。データ処理システム4000は、1つ以上の遠隔コンピュータ4060への論理接続を使用して、ネットワーク環境で動作してよい。遠隔コンピュータ(単数または複数)4060は、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースのアプライアンス、ピア装置、スマートフォン、タブレット、別のネットワークノート等を含んでよい。遠隔コンピュータ(単数または複数)4060は、典型的には、データ処理システム4000に関して記載された要素の多くを含む。遠隔コンピュータ(単数または複数)4060は、通信ユニット4010を介してデータ処理システム4000に接続されるネットワークインターフェース4062を通して、データ処理システム4000に論理的に接続されてよい。ネットワークインターフェース4062は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、およびセルラーネットワークなどの、有線および/または無線通信ネットワークを包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、イーサネット、トークンリング等を含んでよい。WAN技術は、ポイントツーポイントリンク、回線交換ネットワーク(例えば、サービス総合デジタル網(ISDN)およびその変形)、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)を含む。
【0217】
コーデック4030は、エンコーダ、デコーダ、または両方を含んでよく、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを備える。コーデック4030は、伝送および保存のために、データストリームまたは信号を符号化、圧縮、および/または暗号化し、(例えば、動画の再生または編集のために)データストリームまたは信号を復号、解凍、および/または解読することによって、データストリームまたは信号を復号するように構成された、任意の好適な装置および/またはソフトウェアを含んでよい。コーデック4030は、別個の構成要素として示されているが、コーデック4030は、メモリ、例えば、不揮発性メモリ4042内に含まれるか、または実装されてよい。
【0218】
不揮発性メモリ4042は、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。揮発性記憶メモリ4040は、外部キャッシュメモリとして働き得るランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでよい。RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期型DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)等、またはこれらの任意の組み合わせを備えてよい。
【0219】
システム、アプリケーション、および/またはプログラムを動作させるための命令は、システムバス4002を通してプロセッサユニット4004と通信する記憶装置4016内にあってよい。これらの説明のための例では、命令は、関数形式で永続記憶装置4008内にある。これらの命令は、プロセッサユニット4004による実行のために、メモリ4006にロードされ得る。本開示の1つ以上の実施形態のプロセスは、メモリ4006などのメモリ内にあり得るコンピュータ実装命令を使用して、プロセッサユニット4004によって行われ得る。
【0220】
これらの命令は、プロセッサユニット4004内のプロセッサにより実行されるプログラム命令、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、またはコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。異なる実施形態のプログラムコードは、メモリ4006または永続記憶装置4008などの、異なる物理またはコンピュータ可読記憶媒体に具現化されてよい。プログラムコード4018は、関数形式で、選択的に取り外し可能なコンピュータ可読媒体4020上にあってよく、プロセッサユニット4004による実行のために、データ処理システム4000にロードまたは転送され得る。プログラムコード4018およびコンピュータ可読媒体4020は、これらの例では、コンピュータプログラム製品4022を形成する。一例では、コンピュータ可読媒体4020は、コンピュータ可読記憶媒体4024またはコンピュータ可読信号媒体4026を備えてよい。
【0221】
コンピュータ可読記憶媒体4024は、例えば、永続記憶装置4008の一部であるハードドライブなどの記憶装置への転送のために、永続記憶装置4008の一部であるドライブまたは他の装置内に挿入または配置される、光または磁気ディスクを含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体4024はまた、データ処理システム4000に接続される、ハードドライブ、サムドライブ、またはフラッシュメモリなどの永続記憶装置の形態を取ってよい。いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体4024は、データ処理システム4000から取り外し可能ではない場合がある。
【0222】
これらの例では、コンピュータ可読記憶媒体4024は、プログラムコード4018を伝播または伝送する媒体ではなく、プログラムコード4018を格納するのに使用される非一時的物理または有形記憶装置である。コンピュータ可読記憶媒体4024は、コンピュータ可読有形記憶装置またはコンピュータ可読物理記憶装置とも呼ばれる。言い換えれば、コンピュータ可読記憶媒体4024は、人が触ることができる媒体である。
【0223】
あるいは、プログラムコード4018は、コンピュータ可読信号媒体4026を使用して、例えば、ネットワークを介して遠隔で、データ処理システム4000に転送されてよい。コンピュータ可読信号媒体4026は、例えば、プログラムコード4018を含む伝播データ信号であってよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体4026は、電磁信号、光信号、および/または任意の他の好適な種類の信号であってよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、有線、および/または任意の他の好適な種類の通信リンクなどの、通信リンクを介して伝送されてよい。言い換えれば、通信リンクおよび/または接続は、説明のための例では、物理的または無線であってよい。
【0224】
いくつかの例示的実施形態では、プログラムコード4018は、データ処理システム4000内で使用するために、コンピュータ可読信号媒体4026を通して別の装置またはデータ処理システムから永続記憶装置4008に、ネットワークを介してダウンロードされてよい。例えば、サーバデータ処理システムのコンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムコードは、サーバからデータ処理システム4000に、ネットワークを介してダウンロードされてよい。プログラムコード4018を提供するコンピュータは、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、またはプログラムコード4018を格納および伝送することができる他の装置であってよい。
【0225】
いくつかの例では、プログラムコード4018は、オペレーティングシステム(OS)4050を備えてよい。永続記憶装置4008に格納されてよいオペレーティングシステム4050は、データ処理システム4000のリソースを制御しかつ割り当てる。1つ以上のアプリケーション4052は、プログラムモジュール4054を介したオペレーティングシステムのリソース管理、および記憶装置4016に格納されたプログラムデータ4056を利用する。OS 4050は、アプリケーション4052による共有および使用のために、コンピュータ4000のハードウェアリソースを管理および公開するように構成された、任意の好適なソフトウェアシステムを含んでよい。いくつかの例では、OS 4050は、異なる種類のハードウェアの接続を容易にし、かつ/またはアプリケーション4052にハードウェアおよびOSサービスへのアクセスを提供する、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を提供する。いくつかの例では、あるアプリケーション4052は、例えば、いわゆる「ミドルウェア」と同様に、他のアプリケーション4052が使用するためのさらなるサービスを提供してよい。本開示の態様は、様々なオペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの組み合わせに対して実装されてよい。
【0226】
データ処理システム4000について説明された異なる構成要素は、異なる実施形態が実装され得る方法にアークテクチャ上の制限を設けることを意図していない。本開示の1つ以上の実施形態は、より少ない構成要素を含むか、またはコンピュータ4000について説明されたものに加えてかつ/もしくはその代わりに構成要素を含む、データ処理システムに実装されてよい。
図50に示された他の構成要素は、示された例から変動し得る。異なる実施形態が、プログラムコードを実行することができる任意のハードウェア装置またはシステムを使用して実装されてよい。一例として、データ処理システム4000は、無機構成要素と統合された有機構成要素を含んでよく、かつ/または(人間を除く)有機構成要素で完全に構成されてよい。例えば、記憶装置は、有機半導体で構成されてよい。
【0227】
いくつかの例では、プロセッサユニット4004は、特定の使用のために、または特定の結果もしくは経過をもたらすように、特に製造または構成されるハードウェア回路を有するハードウェアユニットの形態を取ってよい。この種類のハードウェアは、演算を行うように構成されるために、プログラムコード4018が記憶装置からメモリにロードされることを必要とせずに、演算を行ってよい。例えば、プロセッサユニット4004は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理装置、または複数の演算を行うように構成された(例えば、事前構成もしくは再構成された)他の好適な種類のハードウェアであってよい。プログラム可能論理装置を用いて、例えば、装置は、複数の演算を行うように構成され、その後再構成されてよい。プログラム可能論理装置の例としては、プログラム可能論理アレイ、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および他の好適なハードウェア装置が挙げられる。この種類の実装で、実行可能な命令(例えば、プログラムコード4018)は、例えば、ハードウェア記述言語(HDL)を使用してFPGA構成を指定し、次いで、生じるバイナリファイルを使用してFPGAを(再)構成することによって、ハードウェアとして実装されてよい。
【0228】
別の例では、データ処理システム4000は、FPGAベースの(または場合によってはASICベースの)専用の状態機械(例えば、有限状態機械(FSM))のセットとして実装されてよく、重要なタスクが分離され、カスタムハードウェア上で実行されることを可能とし得る。CPUなどのプロセッサは、それに提供される命令を実行する共用の汎用状態機械として記述することができるが、FPGAベースの状態機械(単数または複数)は、専用に構築され、リソースを共有することなくハードウェア符号化論理を実行し得る。そのようなシステムは、しばしば、安全関連および基幹タスクに利用される。
【0229】
さらに別の説明のための例では、プロセッサユニット4004は、コンピュータおよびハードウェアユニットで見られるプロセッサの組み合わせを使用して実装されてよい。プロセッサユニット4004は、複数のハードウェアユニット、およびプログラムコード4018を実行するように構成された複数のプロセッサを有してよい。この示された例で、プロセスのいくつかは、複数のハードウェアユニットで実装されてよく、一方、他のプロセスは、複数のプロセッサで実装されてよい。
【0230】
別の例では、システムバス4002は、システムバスまたは入力/出力バスなどの、1つ以上のバスを備えてよい。もちろん、バスシステムは、バスシステムに取り付けられた異なる構成要素または装置間でデータの転送を提供する任意の好適な種類のアーキテクチャを使用して実装されてよい。システムバス4002は、メモリバスもしくはメモリ制御器、周辺機器用バスもしくは外部バス、ならびに/または任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャ(例えば、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)、カードバス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、アドバンストグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、Firewire(IEEE 1394)、および小型計算機システムインターフェース(SCSI)))を使用するローカルバスを含む、いくつかの種類のバス構造(単数または複数)を含んでよい。
【0231】
加えて、通信ユニット4010は、データを送信するか、データを受信するか、またはデータの送受信の両方を行う、複数の装置を含んでよい。通信ユニット4010は、例えば、1つのモデムもしくは1つのネットワークアダプタ、2つのネットワークアダプタ、またはそれらのいくつかの組み合わせであってよい。さらに、メモリは、例えば、メモリ4006、またはシステムバス4002に存在し得るインターフェースおよびメモリコントローラハブで見られるもののような、キャッシュであってよい。
【0232】
利点、特徴、および利益
本明細書に記載された自律配送車両の種々の実施形態および例は、品物および他の積荷を配送するための既知の解決法に対するいくつかの利点を提供する。例えば、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、買い手および売り手の双方の配送コストの削減、注文履行時間の短縮、混雑の減少、資産活用の増加、および/または配送のための労力の削減を可能とし得る。
【0233】
加えて、いくつかある利益の中でもとりわけ、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、占有面積が小さく、複数の車両を車またはトラックと同じフォームファクタに収めることを可能とし、したがって混雑を改善し、同じ業務に車またはトラックを使用するのに比べて、車両当たりのコストを潜在的に削減する。
【0234】
加えて、いくつかある利益の中でもとりわけ、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、専用の配送ロボットのより軽い重量を可能とし、それにより、配送当たりのエネルギーを節約し、歩行者および他の運転者の安全性を高め、車両当たりの内包エネルギーを削減することができる。
【0235】
加えて、いくつかある利益の中でもとりわけ、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、車両をリーンさせて旋回することによって、比較的高速での、コーナリング操縦、回避操縦、荒れた地形/くぼみ、乏しいトラクション等における安定性を維持する、比較的幅の狭い自律配送車両を可能とする。
【0236】
加えて、いくつかある利益の中でもとりわけ、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、枢動し、かつ/または外側ではなく上に向かって持ち上がるガルウイングドア(別名、ファルコンウイングドア)を有する荷室を含む。この種類のドアは、典型的には、開いた時に車両の占有面積を大きく超えず、いくつかの例では、開いた時に車両の占有面積をまったく超えない。これは、空間を節約し、所与の状況で、ドアを安全に開閉することができるかどうかに関する、車両制御器による任意の決定を単純化し得る。
【0237】
既知のシステムまたは装置は、特に自律車両において、これらの機能を果たせない。したがって、本明細書に記載された例示的実施形態および例は、車両を運転(riding)または運転(driving)する人間の操作者なしで動作するように意図されている自律配送車両に特に有用である。しかしながら、本明細書に記載されたすべての実施形態および例が、同じ利点または同程度の利点を提供するわけではない。
【0238】
結論
上述の開示は、独立した有用性を有する複数の別個の例を包含してよい。これらの各々は、その好ましい形態(単数または複数)で開示されているが、本明細書で開示および説明されたようなその特定の実施形態は、多くの変形形態が可能であるため、限定的な意味と見なされるべきではない。節の見出しが本開示内で使用される限り、そのような見出しは単に構成用である。開示の主題は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、および/または性質の、すべての新規および非自明の組み合わせおよび組合せの構成要素を含む。以下の特許請求の範囲は、新規および非自明と見なされる、ある組み合わせおよび組合せの構成要素を指摘する。特徴、機能、要素、および/または性質の他の組み合わせおよび組合せの構成要素は、本出願または関連出願からの優先権を主張する出願で特許請求されてよい。そのような特許請求の範囲も、元の特許請求の範囲より広いか、狭いか、等しいか、または異なるかにかかわらず、本開示の主題内に含まれると見なされる。
【国際調査報告】