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特表2022-521000体腔用薬物コーティングバルーンカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(54)【発明の名称】体腔用薬物コーティングバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20220328BHJP
   A61L 29/16 20060101ALI20220328BHJP
   A61L 29/08 20060101ALI20220328BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
A61M25/10 550
A61L29/16
A61L29/08
A61L29/14
A61L29/08 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549230
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 US2020019274
(87)【国際公開番号】W WO2020172560
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/809,048
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/859,396
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515112986
【氏名又は名称】ウロトロニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Urotronic, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーシャオ
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクソン,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C081
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC08
4C081BB06
4C081CA182
4C081CE02
4C081CE11
4C081DC14
4C081EA06
4C267AA07
4C267BB06
4C267BB28
4C267CC09
4C267GG16
(57)【要約】
開示される種々の実施態様は、非血管体腔における狭窄および/または癌の再発の処置、予防または軽減または良性前立腺肥大(BPH)の処置のための薬物コーティングバルーンカテーテルおよびそれを使用する方法である。体腔狭窄の標的部位に治療剤を送達するための薬物コーティングバルーンカテーテルは、主直径を有する細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。ある実施態様において、バルーンカテーテルは、収縮した状態のときバルーンを伸張および延長し、バルーンに体腔を通したトラッキングおよび処置後の除去のための小さな横断面収縮プロファイルを与える、長さ調節機構を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非血管体腔における狭窄および/または癌の再発の処置、予防または軽減または良性前立腺肥大(BPH)の処置のためのバルーンカテーテルであって、
細長いバルーン;
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;そして
バルーンが収縮した状態にある間にバルーンを伸張し、拡張する長さ調節機構
を含む、バルーンカテーテル。
【請求項2】
長さ調節機構がバルーン膨張中エネルギーを貯蔵し、バルーンが収縮した状態で、貯蔵されたエネルギーがバルーンの伸張に使用される、請求項1のバルーンカテーテル。
【請求項3】
長さ調節機構のエネルギーがバルーンの膨張中カテーテルシャフトに貯蔵される、請求項2のバルーンカテーテル。
【請求項4】
バルーンカテーテルが細長いバルーンの遠位端から少なくとも細長いバルーンの近位端に細長く硬い要素を含む、請求項1~3の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項5】
細長く硬い要素が細長く硬い要素の長さに沿って連続または不連続である補強チューブの内側または外側に配置される、請求項4のバルーンカテーテル。
【請求項6】
細長く硬い要素の遠位端が、バルーンが膨張するにつれて、力が細長く硬い要素の近位方向に伝達されるように細長いバルーンの遠位端に機械的に結合される、請求項4~5の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項7】
細長く硬い要素の遠位端が細長いバルーンの遠位端に結合されるまたは細長く硬い要素の遠位端がカテーテルチップに結合する、請求項4~6の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項8】
バルーンカテーテルがカテーテルシャフトを含み、細長く硬い要素の近位端が細長いバルーンの近位端または細長いバルーンの近位端の近位でカテーテルシャフトに結合する、請求項4~7の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項9】
バルーンカテーテルが、細長く硬い要素が近位方向に動くにつれて、力が弾性部材に貯蔵され、力が弾性部材から放出されるにつれて、力が弾性部材から細長く硬い要素に遠位方向で適用されるように、細長く硬い要素の近位端に結合した弾性部材を含む、請求項4~8の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項10】
治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、それらのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~9の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項11】
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~10の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項12】
水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~11の何れかのバルーンカテーテル。
【請求項13】
非血管体腔における標的部位で狭窄および/または癌の再発を処置、予防または軽減するまたは良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法であって、
非血管体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法。
【請求項14】
方法が癌処置誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が癌処置誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項15】
方法が放射線誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が放射線誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項16】
方法が放射線誘導非血管狭窄の発生を低減または予防する方法であり、ここで、体腔における標的部位が放射線誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項17】
方法が癌処置誘導非血管狭窄の再発を低減するまたは予防するまたは癌の再発を低減するまたは予防する方法であり、ここで、標的部位が癌処置が実施された部位である、その近接、近位または遠位、請求項13の方法。
【請求項18】
方法が外科的吻合誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が外科的吻合誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項19】
方法が外科的吻合誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であり、ここで、標的部位が外科的吻合を実施した部位を含む、請求項13の方法。
【請求項20】
方法が炎症性疾患誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が炎症性疾患誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項21】
方法が炎症性疾患処置誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であり、ここで、体腔における標的部位が炎症性疾患処置を実施した部位を含む、請求項13の方法。
【請求項22】
方法が胃切除術誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が胃切除術誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項23】
方法が胃切除術誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であり、ここで、体腔における標的部位が胃切除術を実施した部位を含む、請求項13の方法。
【請求項24】
方法がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を処置する方法であり、ここで、標的部位がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項25】
方法がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄の発生を低減または予防する方法であり、ここで、体腔における標的部位がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、DVIU、EMRまたはESDを実施した部位を含む、請求項13の方法。
【請求項26】
方法が膀胱頚部狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が膀胱頚部狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項27】
方法が前立腺癌処置または狭窄切開術誘導膀胱頚部狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であり、ここで、体腔における標的部位が膀胱頚部にあり、前立腺癌処置または狭窄切開術の部位、近接、近位または遠位である、請求項13の方法。
【請求項28】
方法が好酸球性食道炎の食道線維性狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が好酸球性食道炎の食道線維性狭窄を含む、請求項13の方法。
【請求項29】
方法がアカラシアを処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が食道下部括約筋を含む、請求項13の方法。
【請求項30】
方法が良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が前立腺尿道を含む、請求項13の方法。
【請求項31】
方法が外傷誘導狭窄、特発性狭窄および/または医原性狭窄である尿道狭窄を処置する方法であり、ここで、体腔における標的部位が外傷誘導狭窄を含む、特発性狭窄および/または医原性狭窄、請求項13の方法。
【請求項32】
さらに標的部位へのバルーン挿入前に、体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すことを含む、請求項13~31の何れかの方法。
【請求項33】
さらに、スコープを、バルーンカテーテルを非血管管腔内に適切に配置する、バルーンの膨張を可視化する、バルーンの収縮を可視化する、標的部位の確保を可視化する、標的部位壁への治療剤の放出を可視化するまたはこれらの組み合わせのために使用することをさらに含む、請求項13~32の何れかの方法。
【請求項34】
標的部位に薬物コーティングバルーンを挿入する前に、標的部位を他のバルーンカテーテルで前拡張することをさらに含む、請求項13~33の何れかの方法。
【請求項35】
バルーンカテーテルが請求項1~12の何れかのバルーンカテーテルである、請求項13~34の何れかの方法。
【請求項36】
非血管体腔における標的部位を処置する方法であって、
非被覆バルーンカテーテルを非血管体腔に標的部位まで挿入し;
非被覆バルーンカテーテルを標的部位でバルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで標的部位で体腔の壁と接触するように膨張させ;
膨張期間後非被覆バルーンを収縮させ;
非被覆バルーンカテーテルを体腔から引き抜き;
標的部位を水または食塩水で洗い流し;
バルーンカテーテルを標的部位に挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するようにで膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;
体腔からバルーンカテーテルを引き抜き;そして
標的部位を含む体腔において標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入、標的部位での薬物コーティングバルーンの膨張、標的部位での薬物コーティングバルーンの収縮またはこれらの組み合わせの可視化のためにスコープを使用する
ことを含む、方法。
【請求項37】
非血管体腔における標的部位を処置する方法であって、
ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を標的部位で実施し;
標的部位を水または食塩水で洗い流し;
バルーンカテーテルを非血管体腔における標的部位に挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;
体腔からバルーンカテーテルを引き抜き;そして
標的部位を含む体腔においてスコープを標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入、標的部位での薬物コーティングバルーンの膨張、標的部位での薬物コーティングバルーンの収縮またはこれらの組み合わせの可視化のために使用する
ことを含む、方法。
【請求項38】
良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法であって、
前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを尿道に挿入し;
前拡張カテーテルを尿道に残しながら、尿道から第一シースを除き;
尿道に膀胱鏡を挿入し;
前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用し;
前拡張バルーンを膨張させて、前拡張バルーンで前立腺尿道を拡張して、前立腺尿道の初期交連切開を形成し;
前拡張バルーンを収縮させ;
前拡張バルーンが初期交連切開を形成していることを確認するために膀胱鏡を使用し;
尿道から膀胱鏡を除き;
前拡張バルーン上に第一シースを再挿入し;
前拡張バルーンを第一シースに引っ張り入れ;
前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを尿道から除き;
薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを尿道に挿入し、薬物コーティングバルーンカテーテルは薬物コーティングバルーンを含み、薬物コーティングバルーンはその外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
尿道に薬物コーティングバルーンカテーテルを残しながら、尿道から第二シースを除き;
尿道に膀胱鏡を挿入し;
前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用し;
コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張させ;
尿道から膀胱鏡を除き;
薬物コーティングバルーンを膨張状態に少なくとも5分間維持し;
薬物コーティングバルーンを収縮させ;
薬物コーティングバルーンカテーテルを通して第二シースを尿道に再挿入し;
薬物コーティングバルーンを第二シースに引っ張り入れ;そして
薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを尿道から除く
ことを含む、方法。
【請求項39】
良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法であって、
第一シースを尿道に挿入し;
前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを第一シースに挿入し;
第一シースを除き;
尿道に膀胱鏡を前拡張バルーンカテーテルと共に挿入し;
前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用し;
前拡張バルーンを膨張させて、前拡張バルーンで前立腺尿道を拡張して、前立腺尿道の初期交連切開を形成し;
前拡張バルーンを収縮させ;
前拡張バルーンが初期交連切開を形成していることを確認するために膀胱鏡を使用し;
尿道から膀胱鏡を除き;
尿道において第一シースを前拡張バルーン上に挿入し;
前拡張バルーンを第一シースに引っ張り入れ;
第一シースをその場に残したまま前拡張バルーンを前拡張バルーンを除去するか(ここで、第一シースは第二シースである)または
前拡張バルーンおよび第一シースを尿道から除き、第二シースを尿道に挿入し;
薬物コーティングバルーンカテーテルを第二シースに挿入し、薬物コーティングバルーンカテーテルは薬物コーティングバルーンを含み、薬物コーティングバルーンはその外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
第二シースを尿道から除き;
尿道に膀胱鏡を薬物コーティングバルーンカテーテルと共に挿入し;
前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用し;
コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張させ;
尿道から膀胱鏡を除し;
薬物コーティングバルーンを膨張状態に少なくとも5分間維持し;
薬物コーティングバルーンを収縮させ;
尿道において第二シースを薬物コーティングバルーン上に挿入し;
薬物コーティングバルーンを第二シースに引っ張り入れ;そして
薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを尿道から除く
ことを含む、方法。
【請求項40】
放射線誘導狭窄を処置する方法であって、
所望により放射線誘導狭窄をバルーンカテーテルより小さい公称径を有する前拡張バルーンで前拡張するかまたは放射線誘導狭窄に狭窄切開術を実施し;
所望により放射線誘導狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;
バルーンカテーテルを放射線狭窄における標的部位に挿入し、バルーンカテーテルは
バルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は
少なくとも1つの水溶性添加物および
バルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;
ここで、
治療剤がパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、
水溶性添加物がN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そして
コーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.05~20であり;
コーティング層が標的部位において放射線誘導狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;
0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;
バルーンカテーテルを放射線誘導狭窄から引き抜き;
所望により標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位を作り、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物を放出させるまたはこれらの何れかの組み合わせを可視化するスコープを使用し;
ここで、
処置位置での延伸比が約1.0~約40であり、そして
放射線誘導狭窄が尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄または胆管狭窄を含むものである、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願62/809,048(2019年2月22日出願)および米国仮特許出願62/859,396(2019年6月10日出願)に基づく優先権の利益を主張し、これらの開示を、引用により全体として本明細書に包含させる。
【0002】
次の出願の各々の開示を、引用により全体として本明細書に包含させる。米国仮特許出願62/502,212(5/5/2017出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2018/03108(2018年5月4日出願)の一部継続出願である、米国特許出願16/135,436。米国特許出願16/135,436はまた、米国仮特許出願62/152,559(2015年4月24日出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2016/028652(2016年4月21日出願)からの35 U.S.C. 371に基づく米国国内移行出願である、米国特許出願15/568,614(2017年10月23日出願)の一部継続出願である。米国特許出願16/135,436はまた、米国仮特許出願61/795,790(2012年10月26日出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2013/064842(2013年10月14日出願)からの35 U.S.C. 371に基づく米国国内移行出願である米国特許出願14/438,327(2015年4月24日出願)の一部継続出願である。米国仮特許出願62/502,212(5/5/2017出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2018/03108(2018年5月4日出願)の一部継続出願である米国特許出願16/135,472。米国特許出願16/135,472はまた、米国仮特許出願62/152,559(2015年4月24日出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2016/028652(2016年4月21日出願)からの35 U.S.C. 371に基づく米国国内移行出願である米国特許出願15/568,614(2017年10月23日出願)の一部継続出願である。米国特許出願16/135,472はまた、米国仮特許出願61/795,790(2012年10月26日出願)に基づく優先権の利益を主張する国際出願PCT/US2013/064842(2013年10月14日出願)からの35 U.S.C. 371に基づく米国国内移行出願である米国特許出願14/438,327(2015年4月24日出願)の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
背景
良性前立腺肥大は、60歳を超える男性の50%超が発症する前立腺の非癌性肥大である。それ以前の前立腺は、クルミの大きさおよび形であり、重さ約20gである。前立腺肥大は、正常な過程であると考えられる。年齢と共に、前立腺は、正常サイズの2倍以上まで、徐々に大きくなる。前立腺が成長するに連れて、尿道を圧迫し、狭め、排尿を困難にまたは不可能にする前立腺性尿道圧迫および尿路閉塞を引き起こす。
【0004】
男性尿道狭窄疾患は、いくつかの集団で、0.6%程度の高い割合で生じる。尿道狭窄疾患は、高齢集団でより一般的であると考えられる。尿道狭窄を有する患者は、下部尿路排尿症状または尿閉などの中程度から重度の合併症、反復性尿路感染および拡張、尿道切開または尿道形成などの高頻度の尿道処置の必要性を経験する。
【0005】
上部尿路の尿管狭窄は、先天的または後天的である。大部分の先天性尿管狭窄は、腎盂尿管移行部に位置する。尿管狭窄の大部分が後天的であり、通常医原性である。尿管狭窄の最も一般的病因は、内視鏡下、直視下または腹腔鏡下外科手技中の損傷である。
【0006】
膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄症または拘縮)および尿道狭窄は、前立腺癌の全ての処置の合併症と認識される。抵抗性膀胱頚部狭窄は全体として比較的稀である;しかしながら、相当な罹病率に関連し、しばしば付随する合併症およびクオリティ・オブ・ライフへの影響により、複数回の介入を必要とする。膀胱頚部狭窄および尿道狭窄は、前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結治療および高密度焦点式超音波治療法(HIFU)などの前立腺癌処置後の合併症である。
【0007】
消化器腔または消化管狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。疾患タイプは、狭窄を良性または悪性に分類する。
【0008】
胆汁性狭窄は、胆管狭窄とも称し、胆管が小さくまたは狭くなったときに生じる。胆管は、胆汁を肝臓から小腸に運ぶ管である。胆管が狭くなったとき、食物の消化が困難となる。胆汁性狭窄は、胆管への何れかの損傷、腫脹、膵炎、腸管損傷および胆管または膵臓の癌により生じ得る。胆汁性狭窄の症状は、疼痛、悪寒および発熱、掻痒および悪心または嘔吐を含む。
【0009】
食道狭窄は、消化器内科で一般に遭遇する問題であり、悪性または良性病変に分類され得る。嚥下障害は、全患者が経験する症状である。これらの患者の大部分は、嚥下障害の軽減のための対症的処置を必要とする。
【0010】
消化器狭窄は、腸の一部の狭小化であり、この領域を通過する食物の移動を緩徐化または遮断することにより、問題を起こす。狭窄は、反復性炎症、癌、クローン病および潰瘍性大腸炎が原因である。狭窄は、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。
【0011】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、2つの主要な気流閉塞障害である慢性気管支炎および気腫を分類するために使用される用語である。約1600万名のアメリカ人がCOPDを有し、その80~90%は、生きている間の大部分喫煙していた。COPDは米国での死亡の主因である。慢性気管支炎は気管支気道の炎症である。気管支気道は、気管と肺を接続する。炎症したら、気管支管は粘液を分泌し、慢性咳嗽を起こす。気腫は肺の肺胞または気嚢の過膨脹である。この状態は、息切れを起こす。
【0012】
喘息は、気道の炎症、過剰の粘液産生および気道過敏により特徴付けられる慢性呼吸器疾患であり、気道が過度に狭小化するまたは刺激に容易に応答しすぎる状態である。喘息エピソードまたは発作は気道を狭小化させ、これにより呼吸困難となる。喘息発作は患者の生活に相当な影響を有し得て、多くの活動への参加を制限する。重症例では、喘息発作は命を脅かし得る。現在、喘息の治癒は知られていない。
【0013】
慢性副鼻腔炎は、1以上の副鼻腔を裏打ちする膜の炎症である。慢性副鼻腔炎は3週間を超えて継続し、しばしば数ヶ月続く。慢性副鼻腔炎の場合、通常組織損傷がある。疾病管理センター(CDC)によると、年間慢性副鼻腔炎の3700万症例が報告される。
【0014】
放射線(例えば、放射線療法)は、限局性癌処置の一様式として使用される。限局性癌は、最も一般的に診断される癌である。患者の大部分は、治癒できる可能性のある初期段階で診断される。標準的局所処置選択肢は、前立腺癌については積極的監視療法、前立腺全摘出術(RP)、そして、一般に全癌処置について、放射線療法(RT)を含む。放射線療法は、外部ビーム(EBRT)または小線源治療(BT)を介して送達され得る。各処置に伴う副作用は、相当に変わり得る。限局性癌は、前立腺癌、尿道癌、輸尿管癌、食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌および肺癌を含む。放射線処置は、隣接健常組織に、狭窄などの傷害を起こし得る。放射線処置誘導狭窄は、尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含み得る。放射線誘導狭窄の処置は、複雑かつ困難であり得る。高生存率により、米国での前立腺癌サバイバー数は、年間220,000名増加し、2015年には280万人に達し、多数の男性が前立腺癌処置のための放射線治療の短期または長期副作用のリスクにさらされている。前立腺癌処置のための放射線治療の副作用としての尿道狭窄の進展は特に問題である。
【0015】
吻合は、流体を搬送する2つの身体構造間の接続または開口である。外科的吻合は、2つの流体を搬送する身体構造を一体に接続する外科的技術を介して形成される吻合である。吻合狭窄は、吻合の狭小化である。吻合狭窄は、外科的吻合および種々の他の外科的手法の一般的合併症である。吻合狭窄は通常線維性であり、管理および処置が困難であり得る。吻合狭窄は、同じ身体構造の2部分間または2つの異なる身体構造間の吻合の狭窄を含み得て、ここで、身体構造は食道、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸、大腸、結腸、直腸、尿道、輸尿管または膀胱頚部であり得る。吻合狭窄は、結腸直腸狭窄、胃バイパス後の狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄または膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄症であり得る)。バルーン拡張は、吻合狭窄の管理の安全かつ有効な非外科的方法であることが示されているが、難治性または再発性吻合狭窄による反復バルーン拡張などの問題がなお存在する。
【0016】
炎症性腸疾患(IBD)はクローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を誘導する。クローン病および潰瘍性大腸炎誘導狭窄は炎症性腸疾患およびその処置のための手術の一般的合併症である。炎症性腸疾患を有する患者の狭窄率は、経時的に34%~70%で変わる。狭窄の一部は難治性または再発性であり、処置のために反復内視鏡的拡張術を必要とする。
【0017】
好酸球性食道炎(EoE)は慢性炎症性疾患である。本疾患の症状は、嚥下障害および食片圧入を含み、しばしば食道狭窄の結果である。ブジーおよびバルーンカテーテルを使用する食道線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄の反復内視鏡的拡張術が、このような狭窄の処置に使用される。
【0018】
バレット病は、バレット食道とも称され、食道下部を裏打ちする粘膜細胞に正常層状扁平上皮から単層円柱上皮までの異常(メタ可塑性)変化があり、通常結腸にしか存在しない散在杯細胞を伴う。この変化は、高い発生率での、しばしば致命的な癌である食道腺癌へのさらなる移行と関連するため、前悪性状態と考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
種々の癌、大結腸ポリープおよびバレット食道の処置に使用される種々の低侵襲方法は世界的に実行されている。種々の低侵襲方法は、患者が外科的手術の回避を好むとき、外科的手法よりも支持を得ている。いくつかの無作為化対照臨床試験およびメタアナリシスは、種々のステージの癌およびバレット食道処置における腹腔鏡下胃切除術、ロボット支援胃切除術、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の臨床的および腫瘍学的安全性および有効性を示している。EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌および消化器癌など早期ステージ間の表在癌の処置に安全かつ有効である。EMRおよびESDは、高悪性度バレット食道の処置に安全かつ有効である。腹腔鏡下胃切除術、ロボット支援胃切除術、EMRおよびESDは、臨床的および腫瘍学的安全性の点で実行可能な方法である;しかしながら、悪性腫瘍および難治性狭窄の再発が一部患者で示された。低侵襲処置後の癌の局所再発率は、癌のタイプおよびステージならびにフォローアップ回数により2~20%である。低侵襲手法後の狭窄または狭窄症発生率は、約26%~70%である。反復内視鏡バルーン拡張が難治性または再発性狭窄または狭窄症の処置に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
種々の実施態様において、本発明は、バルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは、非血管体腔における狭窄および/または癌の再発の処置、予防または軽減に使用され得る。バルーンカテーテルは細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。ある実施態様において、バルーンカテーテルは、バルーンが収縮した状態にある間にバルーンを伸ばし、伸張する長さ調節機構も含む。
【0021】
種々の実施態様において、本発明は、非血管体腔における標的部位を処置する方法を提供する。方法は、非血管体腔における標的部位で狭窄および/または癌の再発を処置、予防または軽減するまたはBPHを処置する方法であり得る。方法は、非血管体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層も含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法はまた体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことも含む。
【0022】
種々の実施態様において、本発明は、癌処置誘導非血管狭窄を処置する方法を提供する。方法は、癌処置誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位に、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、張期間バルーンが膨張バルーン直径を達成するまで、癌処置誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、癌処置は放射線処置である。ある実施態様において、狭窄は尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄または胆管狭窄である。ある実施態様において、癌処置は前立腺の放射線処置であり、ここで、狭窄は膀胱頚部狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮過程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保(yielding)、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0023】
種々の実施態様において、本発明は、癌処置誘導非血管狭窄の再発を低減するまたは予防するまたは癌の再発を低減するまたは予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位は癌処置が実施された部位、その近接、近位または遠位であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位、その近接、近位または遠位で体腔の癌処置を実施することをさらに含む。ある実施態様において、癌処置誘導非血管狭窄は標的部位に存在し、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、狭窄切開術は、ニードルナイフ電子切開術(needle knife electroincision)、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む。ある実施態様において、癌処置は放射線処置である。ある実施態様において、狭窄は尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄または胆管狭窄である。ある実施態様において、癌処置は前立腺の放射線処置であり、ここで、狭窄は膀胱頚部狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮過程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0024】
種々の実施態様において、本発明は、外科的吻合誘導非血管狭窄を処置する方法を提供する。方法は、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを外科的吻合誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、外科的吻合誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁を接触させるようにバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、狭窄は線維性狭窄である。ある実施態様において、狭窄は、食道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパスが原因の狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、J型結腸嚢狭窄または膀胱頚部狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0025】
種々の実施態様において、本発明は、外科的吻合誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位は外科的吻合が実施された位置であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で外科的吻合の形成を実施することを含む。ある実施態様において、外科的吻合誘導非血管狭窄は標的部位に存在し、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、狭窄切開術は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む。ある実施態様において、狭窄は線維性狭窄である。ある実施態様において、狭窄は、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパスが原因の狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、J型結腸嚢狭窄または膀胱頚部狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0026】
種々の実施態様において、本発明は、炎症性疾患誘導非血管狭窄を処置する方法を提供する。方法は、細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを、炎症性疾患誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位に挿入することを含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、炎症性疾患誘導非血管狭窄の位置で、コーティング層と体腔の壁が接触するよう標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、炎症性疾患はクローン病である。ある実施態様において、炎症性疾患は潰瘍性大腸炎である。ある実施態様において、狭窄は小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0027】
種々の実施態様において、本発明は、炎症性疾患処置誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位は、炎症性疾患処置が実施された部位であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で炎症性疾患処置を実施することをさらに含む。ある実施態様において、炎症性疾患処置誘導狭窄は標的部位に存在し、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、狭窄切開術は、ニードルナイフ電子切開術または内視鏡的粘膜切除術(EMR)を含む。ある実施態様において、炎症性疾患はクローン病である。ある実施態様において、炎症性疾患は潰瘍性大腸炎である。ある実施態様において、狭窄は小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0028】
種々の実施態様において、本発明は、胃切除術誘導非血管狭窄を処置する方法を提供する。方法は、胃切除術誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、胃切除術誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0029】
種々の実施態様において、本発明は、胃切除術誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位は胃切除術を実施した部位であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で胃切除術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、胃切除術誘導非血管狭窄は標的部位に存在し、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0030】
種々の実施態様において、本発明は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を処置する方法を提供する。方法は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、ニードルナイフ電子切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、EMR(内視鏡的粘膜切除術)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、電子切開術、会陰切開術、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌または消化器癌の処置のためである。ある実施態様において、電子切開術、会陰切開術、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、結腸からポリープを除去するための処置であり、ここで、狭窄は結腸狭窄である。ある実施態様において、電子切開術、会陰切開術、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)はバレット食道の処置であり、ここで、狭窄は食道狭窄である。ある実施態様において、狭窄は食道狭窄、胆管狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0031】
種々の実施態様において、本発明は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄の発生を低減または予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位(例えば、切除部位)にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位はニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、DVIU、EMRまたはESDを実施した部位であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位でニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、DVIU、EMRまたはESDを実施することをさらに含む。ある実施態様において、標的部位はニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を含み、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、標的部位で狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌または消化器癌の処置のためである。ある実施態様において、電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)はバレット食道の処置であり、ここで、切除部位は食道狭窄である。ある実施態様において、標的部位または切除部位は、食道部位、胆管部位、小腸部位、十二指腸部位、空腸部位、回腸部位、結腸部位、直腸部位、結腸直腸部位、回結腸部位または消化器部位である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0032】
種々の実施態様において、本発明は、膀胱頚部狭窄を処置する方法を提供する。方法は、膀胱頚部狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、膀胱頚部狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、膀胱頚部狭窄は線維性である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0033】
種々の実施態様において、本発明は、前立腺癌処置または狭窄切開術誘導膀胱頚部狭窄の発生を低減するまたは予防する方法を提供する。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、ここで、標的部位は膀胱頚部にあり、前立腺癌処置または狭窄切開術部位、その近接、近位または遠位であり、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、前立腺癌処置または狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、狭窄切開術は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む。ある実施態様において、標的部位は、前立腺癌処置または狭窄切開術誘導膀胱頚部狭窄を含み、方法は、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に、狭窄切開術を実施することをさらに含む。ある実施態様において、前立腺癌処置は、前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結治療または高密度焦点式超音波治療法(HIFU)を含む。ある実施態様において、膀胱頚部狭窄は線維性である。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0034】
種々の実施態様において、本発明は、好酸球性食道炎の食道線維性狭窄(esophageal fibrostenotic stricture)を処置する方法を提供する。方法は、好酸球性食道炎の食道線維性狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、好酸球性食道炎の食道線維性狭窄位置で、コーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0035】
種々の実施態様において、本発明は、アカラシアを処置する方法を提供する。方法は、食道下部括約筋を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含み、バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、食道下部括約筋の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0036】
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法を提供する。方法は、前立腺尿道である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層も含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、前立腺尿道の位置で、コーティング層と標的部位が接触するようバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。
【0037】
種々の実施態様において、本発明は、外傷誘導狭窄、特発性狭窄および/または医原性狭窄である尿道狭窄を処置する方法を提供する。方法は、尿道狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層も含む。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法はまた体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことも含む。
【0038】
種々の実施態様において、本発明は、非血管体腔における標的部位を処置する方法を提供する。方法は、標的部位への非血管体腔に非被覆バルーンカテーテルを挿入することを含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位で体腔の壁と接触するように標的部位で非被覆バルーンカテーテルを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後非被覆バルーンを収縮させることを含む。方法は、体腔から非被覆バルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法は、標的部位を水または食塩水で洗い流すことを含む。方法は、標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入、標的部位での薬物コーティングバルーンの膨張、標的部位での薬物コーティングバルーンの収縮またはこれらの組み合わせを可視化するために、標的部位を含む体腔においてスコープを使用することも含む。
【0039】
種々の実施態様において、本発明は、非血管体腔における標的部位を処置する方法を提供する。方法は、標的部位でのニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の実施を含む。方法は、標的部位を水または食塩水で洗い流すことを含む。方法は、非血管体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは細長いバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、標的部位でコーティング層と体腔の壁を接触させるように標的部位でバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含む。方法は体腔からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入、標的部位での薬物コーティングバルーンの膨張、標的部位での薬物コーティングバルーンの収縮またはこれらの組み合わせを可視化するために、標的部位を含む体腔においてスコープを使用することも含む。
【0040】
本発明の種々の実施態様は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法を提供する。方法は、前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを尿道に挿入することを含む。方法は、前拡張カテーテルを尿道に残しながら、第一シースを尿道から除くことを含む。方法は、尿道に膀胱鏡を挿入することを含む。方法は、前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含む。方法は、前立腺尿道の初期交連切開を確保するために前立腺尿道を前拡張バルーンで拡張させるための前拡張バルーンの膨張を含む。方法は、前拡張バルーンを収縮させることを含む。方法は、前拡張バルーンが初期交連切開を作ったことを確認するための膀胱鏡の使用を含む。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含む。方法は、前拡張バルーンカテーテルを通して第一シースを尿道に再挿入することを含む。方法は、第一シース内に前拡張バルーンを引っぱり入れることを含む。方法は、尿道から前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを除くことを含む。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを尿道に挿入することを含み、薬物コーティングバルーンカテーテルは薬物コーティングバルーンを含み、薬物コーティングバルーンは外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを尿道に残しながら、第二シースを尿道から除くことを含む。方法は、尿道に膀胱鏡を挿入することを含む。方法は、前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの配置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含む。方法は、コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張させることを含む。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含む。方法は、薬物コーティングバルーンを少なくとも5分間膨張状態に維持することを含む。方法は、薬物コーティングバルーンを収縮させることを含む。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを通して第二シースを尿道に再挿入することを含む。方法は、第二シース内に薬物コーティングバルーンを引っ張り入れることを含む。方法はまた尿道から薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを除くことを含む。
【0041】
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法を提供する。方法は、尿道に第一シースを挿入することを含む。ある実施態様において、第一シースは、挿入中の適切な配置を可視化することを可能にする光学装置を含む。他の実施態様において、第一シースは、挿入を容易にするための閉塞具を有する。方法は、前拡張バルーンが前立腺尿道に入るまで前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを第一シースに入れ、次いで、第一シースを除くことを含む。ガイドワイヤを、シーストラッキングを容易にするために使用し得る。方法は、第一シースを除くことを含む。方法は、前拡張バルーンカテーテルと共に尿道に膀胱鏡を挿入することを含む。方法は、前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含む。方法は、前立腺尿道の初期交連切開を形成するために前立腺尿道を前拡張バルーンで拡張させるための前拡張バルーンの膨張を含む。方法は、前拡張バルーンを収縮させることを含む。方法は、前拡張バルーンが初期交連切開を作ったことを確認するための膀胱鏡の使用を含む。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含む。方法は、前拡張バルーン上に第一シースを再挿入し、前拡張バルーンを第一シース内に引っ張り入れることを含む。方法は、第一シースが第二シースであるとき、第一シースをその場に残しながら第一シースから前拡張バルーンを除く;または前拡張バルーンおよび第一シースを尿道から除き、尿道に膀胱鏡または閉塞具を含む第二シースを挿入することを含む(例えば、第二シースは第一シースと同じであるかまたは異なる)。第二シースを使用するならば、方法は、第二シースが適切に配置された後、膀胱鏡または閉塞具を除くことを含む。ガイドワイヤを、シーストラッキングを容易にするために使用し得る。方法は、第二シースに薬物被覆バルーンカテーテルを挿入することを含み、薬物被覆バルーンカテーテルは薬物被覆バルーンを含み、薬物被覆バルーンは外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、尿道から第二シースを除くことを含む。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルと共に尿道に膀胱鏡を挿入することを含む。方法は、前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの配置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含む。方法は、コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張させることを含む。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含む。方法は、薬物コーティングバルーンを少なくとも5分間膨張状態に維持することを含む。方法は、薬物コーティングバルーンを収縮させることを含む。方法は、薬物コーティングバルーン上に第二シースを挿入し、薬物コーティングバルーンを第二シース内に引っ張り入れることを含む。方法は、尿道から薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを除くことを含む。
【0042】
種々の実施態様において、本発明は、放射線誘導狭窄を処置する方法を提供する。方法は、所望によりバルーンカテーテルより小さい公称径を有する前拡張バルーンで放射線誘導狭窄を前拡張させるまた放射線誘導狭窄に狭窄切開術を実施することを含む。方法は、所望により放射線誘導狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すことを含む。方法は、放射線狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入することを含む。バルーンカテーテルは、バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含む。コーティング層は、少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含む。治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される。水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。コーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20である。方法は、コーティング層が放射線誘導狭窄の壁に接触し、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させることを含む。方法は、膨張期間後バルーンを収縮させることを含み、ここで、膨張期間は0.1分間~10分間である。方法は、放射線誘導狭窄からバルーンカテーテルを引き抜くことを含む。方法は、所望により標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位を確保し、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物を放出させるまたはこれらの何れかの組み合わせを可視化するスコープを使用することを含む。処置位置での延伸比は約1.0~約40である。放射線誘導狭窄は、尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄または胆管狭窄を含む。
【0043】
種々の実施態様において、バルーンカテーテル上の薬物コーティングは、処置部位での狭窄を予防または発生低減でき、処置部位での癌または悪性腫瘍を予防または発生低減でき、BPHを処置できまたはこれらの組み合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
一般に、図は、限定するものではなく、例として、本発明の種々の実施態様を記載する。
【0045】
図1A】種々の実施態様による1つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【0046】
図1B】種々の実施態様による2つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【0047】
図1C】種々の実施態様による3つのネック部を有するバルーンカテーテルを示す。
【0048】
図2】種々の実施態様によるカテーテルシャフト、カテーテルチップおよびTuohy Borstアダプターを含む2ネック型薬物コーティングバルーンカテーテルを示す(バルーンカテーテルは、図2に詳述しない固定ワイヤ、オーバー・ザ・ワイヤおよびラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含む)。
【0049】
図3】種々の実施態様による本発明のバルーンカテーテルの実施態様の透視図を示す(バルーンカテーテルは、図3に詳述しない固定ワイヤ、オーバー・ザ・ワイヤおよびラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含む)。
【0050】
図4A-4C】種々の実施態様による、コーティング層例を示す線A-Aに沿って取った、図3のバルーンカテーテルの遠位部分の種々の実施態様の横断面図である。
【0051】
図5A-5D】種々の実施態様による細長く硬い部材を含むバルーンカテーテルを示す。
【0052】
図6】種々の実施態様によるばねである細長く硬い部材を示す。
【0053】
図7A-7C】種々の実施態様による1つのネック部を有するバルーンを伴うオーバー・ザ・ワイヤカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の詳細な記載
次に、開示する主題のある実施態様をさらに詳述し、その例は一部添付する図面に図示される。開示する主題を番号付けされた特許請求の範囲と関連して記載するが、例示された主題が、特許請求の範囲を開示する主題を限定することを意図しないことは理解される。
【0055】
本明細書をとおして、範囲形式で表された値は、その範囲を限定するとして明示的に引用された数値だけでなく、その範囲内に入る全ての個々の数値または下位の範囲を、各数値および下位範囲が明示的に記載されるように含むために、柔軟に解釈されるべきである。例えば、「約0.1%~約5%」または「約0.1%~5%」の範囲は、約0.1%~約5%だけでなく、示される範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%および4%)および下位範囲(例えば、0.1%~0.5%、1.1%~2.2%、3.3%~4.4%)を含むと解釈されるべきである。「約X~Y」なる記載は、特に断らない限り、「約X~約Y」と同じ意味を有する。同様に、「約X、Yまたは約Z」なる記載は、特に断らない限り、「約X、約Yまたは約Z」と同じ意味を有する。
【0056】
本明細書において、単数表現は、文脈から異なることが明らかに示されない限り、1または1超を含むように使用される。用語「または」は、特に断らない限り、非排他的「または」をいうために使用される。記載「AおよびBの少なくとも1つ」は、「A、BまたはAとB」と同じ意味を有する。さらに、ここに用い、他に定義されない表現法または用語法は、記述のみの目的であり、限定の目的ではないことが理解されるべきである。セクションのヘディングの如何なる使用も、文章を読む助けとなることを意図するものであり、限定と解釈してはならず、あるセクションのヘディングと関連する情報は、特定のセクションの中または外に存在し得る。
【0057】
ここに記載する方法において、時間的または操作的順序が明示されている場合を除き、本発明の原則から逸脱することなく、行為は任意の順番で実施され得る。さらに、特定の行為は、明確な特許請求の範囲の用語が、別々に使用すべきであることを記載していない限り、同時に行ってよい。例えば、Xを行う特許請求の範囲の行為およびYを行う特許請求の範囲の行為は、一操作内で同時に実施でき、その結果の過程は、特許請求の範囲の過程の文言通りの範囲に入る。
【0058】
ここで使用する用語「約」は、ある値または範囲の変動性の程度、例えば、記載する値または記載する範囲の限界の10%以内、5%以内または1%以内を斟酌でき、正確な記載した値または範囲を含む。
【0059】
ここで使用する用語「実質的に」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%または少なくとも約99.999%またはそれ以上または100%のような大多数または大部分をいう。
【0060】
本発明の種々の実施態様の一態様は、狭小化または狭窄を処置または予防するための、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログなどの治療剤の、体腔壁への送達である。これらの薬物は、抗炎症剤または抗増殖剤と考えられ得る。狭窄は、血管管腔(例えば、冠動脈または末梢動脈における血管狭窄)であってよくまたは狭窄は非血管管腔であってよい。薬物は、水不溶性薬物であり得る。
【0061】
種々の脂肪酸およびC8-C12脂肪酸のモノグリセリドの抗微生物性質は、長年研究されている。脂肪酸およびモノグリセリドの両方が多数のタイプの細菌およびウイルスの増殖を阻害できることが研究で確認されている。本発明のコーティング製剤は、種々の疾患処置のための添加物の1つとして、カプリル酸、モノカプリリン、カプリン酸、モノカプリン、ラウリン酸およびモノラウリンなどの種々の脂肪酸およびC8-C12脂肪酸のモノグリセリドを含み得る。
【0062】
良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭窄、輸尿管狭窄、前立腺癌、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄および喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの非血管体腔狭窄および関連非血管疾患の原因は、癌、細菌およびウイルスなどの病原体による感染および炎症、放射線療法、腹腔鏡下胃切除術、ロボット支援胃切除術、EMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、外科的形成吻合または炎症性疾患を含み得る。本発明の種々の実施態様は、細菌およびウイルスを殺し、阻止する性質を有する薬物および添加物を含む、狭窄へのコーティング製剤の送達を提供する。
【0063】
本発明は、長期かつ持続性の効果を有するための、体腔狭窄の処置の新規方法を提供する。新規方法は管腔を開け、再狭小化および反復性狭窄を予防、減少または最小化させる。方法は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログ)などの治療剤および1以上の水溶性添加物を標的組織に送達することを含む。
【0064】
本発明の実施態様は、非血管体腔の狭窄の処置用薬物および体腔の組織への該薬物の吸収を増大させる添加物を含む医療デバイスコーティング製剤を提供する。添加物は、抗細菌および抗ウイルス性質を有し得る。バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および抗増殖性治療剤の初期薬物負荷量を含む。
【0065】
バルーンカテーテルの外表面を、例えば、治療剤および添加物を含む層でコーティングすることにより、薬物コーティングにおける1以上の治療剤の使用と関連する課題を解決するのに有用である。例えば、添加物は、親水性部分と薬物親和性部分を有し得る。薬物親和性部分は疎水性部分であり得ておよび/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有し得る。驚くことに、抗増殖性治療剤と組み合わせて親水性部分および薬物親和性部分を含む本発明の実施態様における添加物は、油および脂質を使用せず医療デバイス上に効率的薬物送達コーティングを形成し、それにより脂肪分解依存および慣用の油ベースのコーティング製剤の他の不都合を避ける。さらに、本発明の実施態様における添加物は、迅速な薬物溶出および薬物の疾患部位組織への優れた浸透を促進する。それ故に、本発明の実施態様におけるコーティングは、抗増殖性治療剤の非血管罹患組織または非血管体腔への吸収の速度および/または程度を増大する。本発明の実施態様において、被覆デバイスは、10分以内、2分以内の極めて短い留置時間中に抗増殖性治療剤を非血管組織に送達し、非血管体腔の再狭小化および狭窄の再発を減少させる。
【0066】
本発明の種々の実施態様は、治療剤を血管または非血管体腔の狭窄に送達するための医療デバイスに関し、デバイスは、医療デバイスの外表面を覆う層を含む。デバイスは、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテル、灌流バルーンカテーテル、スペースド・ダブルバルーン、カッティング・バルーンカテーテル、スコアリング・バルーンカテーテルまたは注入カテーテル(例えば、遠位穿孔薬物注入管、穿孔バルーン、スペースド・ダブルバルーン、多孔性バルーンまたは浸出性バルーン)の1つである。バルーンカテーテルは、狭めた直径の中央セクションを有する細長いバルーンを含む。バルーンカテーテルは主直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含み、少なくとも1つのネック部は、バルーンを各々主直径と等しいまたは主直径と異なる直径を有する少なくとも2つの要部に分ける。ある実施態様において、バルーンカテーテルは、ネック部を有しない円筒形バルーンを含む。さらに、非血管管腔または非血管狭窄は、食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の非血管管腔を含む。血管管腔は、動脈、静脈または血液が存在するあらゆる管腔を含む。非血管管腔は、血液がない管腔を含む。バルーンカテーテルシャフトおよびバルーン材料は、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、ポリアミド、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートまたはこれらの組み合わせから構成され得る。バルーンカテーテルシャフトは、ステンレス鋼、ポリカーボネート、チタン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、何れかの他のリジッドな生体適合性材料またはこれらの組み合わせなどのリジッドな材料を含み得る。
【0067】
ある実施態様において、添加物は、界面活性剤および化合物の少なくとも1つである。医療デバイスの外面を覆うコーティング層は、1以上の水溶性添加物を含み得る。医療デバイスの外面を覆うコーティング層は、1以上の水溶性添加物(例えば、水溶性第一添加物、水溶性第二添加物および水溶性第三添加物)を含み得る。
【0068】
医療デバイスは、さらにジメチルスルホキシド溶媒層も含んでよく、ここで、ジメチルスルホキシド溶媒層は医療デバイスの外表面を覆う。
【0069】
デバイスは、治療剤および添加物を放出し、約0.1~10分で治療剤を組織に送達することができる。層内の治療剤濃度は、バルーンを公称径まで膨張させたとき測定して、1~20μg/mmであり得る。層内の治療剤濃度は、2~10μg/mmであり得る。
【0070】
ある実施態様において、添加物は、バルーンからの治療剤の放出を増強できる。添加物は、治療剤の組織への浸透および吸収を増強できる。添加物は、少なくとも1mg/mLの水およびエタノール溶解度を有し得て、治療剤は水不溶性であり得る。
【0071】
医療デバイスの外表面を覆う層は、治療剤および少なくとも2つの添加物を含み得て、ここで、添加物の各々は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は、疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つであり、ここで、各添加物は極性有機溶媒に可溶性であり、水に可溶性である。この実施態様のある態様において、極性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジメチルホルミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、酢酸エチルおよびクロロホルムおよびこれらの極性有機溶媒と水の混合物から選択される。この実施態様の他の態様において、デバイスは、さらに、体を通って標的組織まで輸送される間の薬物の喪失を減少させるために、医療デバイスの外表面を覆う層の表面を覆う最上層を含む。
【0072】
ある実施態様において、添加物は、治療剤の結晶サイズおよび粒子数を減少させ、ここで、添加物は水溶性であり、治療剤は水溶性ではない。添加物は酸、エステル、エーテルまたはアルコールの脂肪鎖を有し得て、ここで、脂肪鎖は、組織の脂質膜構造に直接挿入され得る。添加物は、組織の脂質膜構造に浸透し、再編成し得る。添加物は、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により薬物に親和性を有する1以上の官能基を有し得る。ある実施態様において、添加物は界面活性剤および化合物の少なくとも1つであってよく、ここで、化合物は、50~750g/mol(例えば、50g/mol以上または75g/mol、100g/mol、125g/mol、150g/mol、175g/mol、200g/mol、225g/mol、250g/mol、275g/mol、300g/mol、325g/mol、350g/mol、375g/mol、400g/mol、425g/mol、450g/mol、475g/mol、500g/mol、525g/mol、550g/mol、575g/mol、600g/mol、625g/mol、650g/mol、675g/mol、700g/mol、725g/mol未満もしくは等しいまたはそれ以上または750g/mol以下)の分子量を有する。化合物は4を超えるヒドロキシル基を有し得る。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は、120℃以下の融点を有し、化合物はアルコールまたはエステルである。ある実施態様において、治療剤は水溶性ではない。
【0073】
非血管組織または非血管狭窄に薬物を送達するための医療デバイスコーティングは、混合物から製造できる。コーティングは、その中に分散した薬物粒子を含む有機相および水溶性添加物を含む水相を含む混合物から製造し得る。水溶性添加物は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ポリペプチド、水溶性界面活性剤、水溶性ビタミンおよびタンパク質から選択され得る。混合物の製造は、高剪断条件下および所望により圧力下の均質化を含み得る。
【0074】
医療デバイスの外表面を覆うコーティング層は、本質的に治療剤および添加物からなり得る。医療デバイスの外表面を覆うコーティング層は、本質的に治療剤、水溶性第一添加物および水溶性第二添加物からなり得る。医療デバイスの外表面を覆うコーティングは、本質的に治療剤および1以上の水溶性添加物(例えば、水溶性第一添加物、水溶性第二添加物および水溶性第三添加物)からなり得る。
【0075】
ある実施態様において、非血管体腔における狭窄を処置する方法は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを身体狭窄に挿入し(ここで、狭窄は尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、ステント内狭窄、大腸狭窄、副鼻腔狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄および手術関連吻合狭窄の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含み、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る。この実施態様のある態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。
【0076】
気道、副鼻腔および他の鼻腔に特に適すると考えられる種々の実施態様において使用するためのいくつかの薬物は、コルチコステロイド、例えば、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロアート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドなどである。
【0077】
種々の実施態様は、非血管体腔における狭窄を処置する方法に関し、水、食塩水溶液またはここに記載する添加物の水溶液で管腔を洗い流し、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を体腔の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む。非血管体腔における狭窄を処置する方法は、水、食塩水溶液またはここに記載する添加物の少なくとも1つを含む水溶液を注入し、コーティング層を含むバルーンカテーテルを非血管体腔の狭窄に挿入し(ここで、非血管体腔における狭窄は尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆管狭窄の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を非血管体腔の狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む。この実施態様のある態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。この実施態様の他の態様において、薬物は、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソールおよびそのアナログおよびラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムスおよびそのアナログから選択される。この実施態様の他の態様において、添加物は、PEG-脂肪酸およびPEG-脂肪酸モノおよびジエステル、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール-油エステル転移反応産物、ポリグリセリン脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステロールおよびその誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖およびその誘導体、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪可溶性ビタミンおよびその塩、水溶性ビタミンおよびその両親媒性誘導体、アミノ酸およびその塩、オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質ならびに有機酸およびそのエステルおよび無水物から選択される。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、喘息発作前、発作中または発作後に気道壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、食道壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は副鼻腔壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は胆管壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、尿路、前立腺、尿道および輸尿管管腔の壁に放出され得る。この実施態様のさらに他の態様において、薬物は、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、結腸、直腸または大腸の壁に放出され得る。この実施態様の他の実施態様において、薬物は、ステント内の非血管狭窄の壁に放出され得る。
【0078】
種々の実施態様において、本発明は、ここに記載する何れかのバルーンカテーテルなどのバルーンカテーテルを、体腔における標的部位に挿入することを含む、体腔を処置する方法を提供する。方法は、図1A、1B、1C、2、3、5A~5Dまたは7A~7Cのバルーンカテーテルを体腔における標的部位に挿入することを含む。方法は、体腔における標的部位にバルーンカテーテルおよびスコープを共にまたはスコープの管腔内のバルーンカテーテルを挿入することを含み得る。スコープは、内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であり得る。スコープを、バルーンカテーテルが標的管腔内に正しく配置されることを確実にするために使用し得る。方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。方法は、バルーンを、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させることを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での未処置体腔直径の比が約1.0~約40である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、延伸比が約1.0~約40である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後にバルーンを収縮させることを含む。方法はまたバルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことも含む。
【0079】
ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の産生、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0080】
ある実施態様において、バルーンを、コーティング層が狭窄の壁に接触し、狭窄が拡張されるまで膨張させ、同時に薬物が狭窄に移動する。ある実施態様において、バルーンを、コーティング層が狭窄の壁に接触するまで膨張させ、狭窄との接触が薬物の狭窄の壁への完全周方向移動を提供し得るように、膨張は狭窄の直径が増加するように拡張させる。ある実施態様において、バルーンの薬物を含む部分(例えば、薬物で被覆された表面積が100%未満を含む実施態様において)は、狭窄と均一に接触し得る。他の実施態様において、バルーン表面の種々の部分と狭窄の接触は、不均一である。
【0081】
バルーンの膨張直径は、標的部位で所望の膨張バルーン直径対体腔の未処置直径の比が達成されるように、膨張時間の間にまたはその間ずっと達成されるあらゆる適当な直径であり得る。バルーンの膨張直径は、膨張時間中バルーン膨張に使用した圧力に比例する。膨張圧力は、公称膨張圧力から定格破裂圧力の範囲であり得る。公称圧力は、膨張バルーンカテーテルの公称径での圧力である。公称径は、バルーンカテーテルの公称圧力での直径であり、製品表示に明記される。ある実施態様において、膨張圧力はバルーンの公称圧力であってよく、バルーンの膨張直径はバルーンの公称径とほぼ等しくてよくまたは狭窄からの圧迫によりバルーンの公称径未満であり得る。ある実施態様において、膨張時間中のバルーンの膨張圧力は公称圧力より高くても低くてもよく、バルーンの膨張直径は、それに応じて、バルーンの公称径より小さくても大きくてもよい。
【0082】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)スコープ(例えば、膀胱鏡)にバルーンカテーテルをバックロードすることを含む。方法は、2)スコープ-バルーンカテーテルアセンブリを体腔に挿入することを含む。方法は、3)バルーンを初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)前立腺組織などの管腔組織が生じるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間または1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)体腔からスコープ-バルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンカテーテルが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0083】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)フレキシブルスコープおよびシース内のバルーンカテーテルを共存させながら体腔に挿入することを含む。方法は、2)バルーン上からシースを除き、初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、3)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)体腔の組織が生じるまで3)の段階を反復することを含む。方法は、5)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、6)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、7)バルーンカテーテルをシースの中に引き戻すことを含む。方法は、8)スコープおよびバルーンカテーテル/シースを体腔から引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0084】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)フレキシブルスコープを体腔に挿入することを含む。方法はまた、2)バルーンカテーテルおよびスコープを共存させながら体腔に挿入することを含む。方法は、3)初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)体腔の組織が生じるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)体腔からスコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを、バルーンカテーテルが膨張前および/または膨張中に正しく配置されていることを確実にするために、使用し得る。
【0085】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。方法は、1)体腔にフレキシブルスコープを挿入し、ガイドワイヤを設置することを含む。方法はまた2)ガイドワイヤを通ってバルーンカテーテルを挿入し、体腔においてスコープを共存させて配置することを含む。方法は、3)初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、初期圧力を圧力が落ちなくなるまで1~2分間維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上がった次に高い圧力まで膨張させ、該高い圧力を圧力が落ちなくなるまで1~2分間維持することを含む。方法は、5)4)のステップを、体腔の組織が生じるまで繰り返すことを含む。方法は、6)バルーン膨張を1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間維持して、組織に薬物を放出させ、出血を予防することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)体腔からスコープ、ガイドワイヤおよびバルーンカテーテルアセンブリを引き抜くことを含む。この実施態様において、スコープを使用して、バルーンカテーテルが膨張前および/または中適切に配置されていることを確認できる。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0086】
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大を処置する方法を提供する。方法は、1)バルーンカテーテル・シースアセンブリおよびスコープ(例えば、膀胱鏡)を挿入することを含む。方法は、2)スコープおよびバルーンの近位端を共存させて外部括約筋近くに置くことを含む。方法は、3)バルーン上からシースを除き、初期圧力(例えば0.5気圧、1気圧または1.5気圧)まで膨張させ、圧力が落ちなくなるまで初期圧力を1~2分維持することを含む。方法は、4)先の圧力から0.5気圧、1気圧または1.5気圧上げた次に高い圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力が落ちなくなるまで高い圧力を1~2分維持することを含む。方法は、5)前立腺組織が生じ、かつ交連切開が形成されるまで4)の段階を反復することを含む。方法は、6)組織に薬物を放出させ、かつ出血を防止するためにバルーンを1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間膨張を維持することを含む。方法は、7)バルーンカテーテルを収縮させることを含む。方法は、8)スコープおよびバルーンカテーテルアセンブリを体腔から引き抜くことを含む。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での未処置体腔直径の比が約1.0~約40である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、標的部位での延伸比が約1.0~約40である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0087】
本発明の種々の実施態様は、抗炎症剤および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそのアナログ)などの治療剤の有効量を標的組織に送達することによる、体腔における狭窄を処置する方法に関する。体腔における狭窄は、血管狭窄、非血管狭窄、尿道狭窄、尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む。本発明の実施態様は、血管および非血管管腔、良性前立腺肥大(BPH)、尿道狭小化、前立腺癌、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の狭窄の少なくとも1つを処置する方法である。処置は、低出生体重児から成人などの多様な動物に対して企図される。
【0088】
バルーンカテーテルのコーティングの薬物は、標的体腔に放出され得る。小さい直径を有するネック部を備えた連続的多分割バルーンは、体腔にバルーンを機械的に固定し、それ故に体腔でのバルーンの滑りを阻止する。バルーンが標的疾患部位から滑るかまたは移動したら、標的部位を逃す可能性があり、健常管腔が損傷し得る。
【0089】
種々の実施態様において、本発明は利点を有し、少なくともその一部は予期されない。例えば、親水性部分および薬物親和性部分を有する治療剤および添加物を含む層でのバルーンカテーテルの外表面のコーティングは、ここに開示する障害の処置に有用である。薬物親和性部分は疎水性部分であるおよび/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。驚くことに、治療剤と組み合わせて、親水性部分および薬物親和性部分を含む、本発明の実施態様における添加物は、医療デバイス上に効率的薬物送達コーティングを形成する。さらに、本発明の実施態様における添加物は、迅速な薬物溶出および薬物の疾患部位組織への優れた浸透を促進し得る。それ故に、本発明の実施態様におけるコーティングは、罹患組織または体腔における治療剤の吸収の速度および/または程度の増強を提供し得る。本発明の実施態様において、被覆デバイスは、10分以内(例えば、2分以内)の極めて短い留置時間で治療剤を組織に送達でき、このようなネック部またはネック部の形状を欠く他のバルーンカテーテルと比較してなど、体腔の再狭小化および狭窄の再発を減少できる。
【0090】
種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、処置ゾーンの可視化を可能とするフレキシブルまたはリジッドスコープと適合性であり、他のバルーンカテーテルより正確かつ効率的配置を可能とする。スコープは内視鏡、小腸内視鏡、大腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡であり得る。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルは、バルーンカテーテルが膨張開始時にわずかに位置がずれていても、バルーンカテーテルのネック部がバルーンカテーテルを膨張中適切な位置に指向させるため(例えば、膀胱頸部において、最遠位ネック部などのバルーンカテーテルのネック部で)、自己探索式である。
【0091】
バルーンカテーテルおよびそれを使用する方法
種々の実施態様において、本発明は、体腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルを提供する。バルーンカテーテルは、複数要部または体部および要部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部を有する、細長いバルーンを含み得る。バルーンカテーテルは、主直径を有するまたは主直径と等しい平均直径を有する複数要部などの、主直径を有する細長いバルーンを含み得る。小さい直径のネック部を有する多分割バルーンは、バルーンを体腔に機械的に固定し、それ故に、体腔でのバルーンの滑りを阻止し得る。バルーンが標的疾患部位から離れていくならば、外れ得て、健常管腔部位が損傷し得る。バルーンカテーテルは、主直径より小さな直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含み得る。バルーンカテーテルはまたバルーンの外表面を覆うコーティング層も含み得る。コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、それらのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、そのアナログおよびそれらの組み合わせ)を含み得る。バルーンカテーテルを使用する方法において、特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での未処置体腔直径の比が約1.0~約40である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、標的部位での延伸比が約1.0~約40である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。
【0092】
バルーンの主直径は、バルーンが膨張したときのバルーン要部の直径である。ある実施態様において、主直径の決定に使用する膨張圧力は、バルーンのあらゆる折り畳まれたまたはしわになった領域を除き、バルーンの張力を達成する、任意の圧力であり得る。主直径の決定に使用する膨張圧力は、膨張バルーンが、意図する体腔処置中のバルーンの所望の形状およびサイズに相当する形状およびサイズを有するような圧力であり得る。主直径の決定に使用する膨張圧力は、バルーンカテーテルの公称径がバルーンの主直径と等しいような、バルーンの公称圧力であり得る。
【0093】
ある実施態様において、薬物コーティングバルーンは、両端に同じ直径の2つの要部、2つの要部間に小さい直径の1つのネック部ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含む。薬物コーティングバルーンは、同じ直径の3つの要部、小さい直径の2つのネック部(ここで、3つの要部および2つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。薬物コーティングバルーンは、大きい直径の4つの要部、小さい直径の3つのネック部(ここで、大きい直径の4つの要部および3つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。薬物コーティングバルーンは、大きい直径を有する5つの要部、小さい直径を有する4つのネック部、ここで、大きい直径を有する5つの要部および4つのネック部は交互に配置され、ネック部は大きい直径を有する要部に隣接する)ならびに近位および遠位バルーン本体に2つのコーンを含み得る。バルーンカテーテルは、要部のバルーン直径より小さい直径を含むバルーン上の少なくとも1つのネック部を含む。バルーンカテーテルは、種々の直径の複数セクションを有する細長い(例えば、円筒形)バルーンを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での未処置体腔直径の比が約1.0~約40である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、標的部位での延伸比が約1.0~約40である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。小さいネックを有する複数分割バルーンは、バルーンと体腔の摩擦を増加させ、それ故に、体腔でのバルーンの滑りを阻止する。
【0094】
薬物コーティングバルーンカテーテルは、良性前立腺肥大(BPH)処置用医療デバイスであり得る。バルーンカテーテルは前立腺尿道を拡張でき、尿道への挿入のためのカテーテルシャフトおよび前立腺尿道における膨張のためのコンプライアント、セミコンプライアントまたはノンコンプライアントバルーンを含み得る。バルーンは、バルーン膨張により前立腺組織および前立腺尿道に送達される治療剤で被覆され得る。バルーンを、膀胱における分離位置バルーン、尿道球における位置バルーン、蛍光透視法により可視のバルーン上または下のマーカーバンドなどのような適当な方法を使用して前立腺内に配置できまたはカテーテルシャフトは、直接可視化による配置を可能とするスコープ(例えば、膀胱鏡)互換性であるかまたはカテーテルをスコープと共によい。例えば、いくつかの可能なカテーテルデザインは、位置決めおよび膨張中のバルーンの直接可視化を可能とする。1つのデザインは膀胱鏡互換性であり、カテーテルはワーキングチャネルによりバックロードされる。膀胱鏡を通ったら、Tuohy Borstアダプターおよび1方向栓をカテーテルシャフトに接続して、バルーンを膨張させ得る。他のデザインは、硬い膀胱鏡のレンズを挿入し、バルーンの近位端の隣に配置することを可能とする、シャフトの中心に管腔を有する、多管腔カテーテルを含み得る。
【0095】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、バルーンカテーテルは、カテーテルの本体部が膀胱頸部括約筋(膀胱出口)と外部括約筋の間にあるようにサイズ設定される。他の実施態様において、カテーテルの本体部は外部括約筋の上にあり、前立腺を通って配置され、1以上の本体部が膀胱頸部括約筋を通り、膀胱に固定される。これらの実施態様において、好ましくは、バルーンカテーテルのネック領域は、膀胱頸部に沿う。ここに記載するとおり、可視化を備えたスコープを使用して、バルーンカテーテルを正しくサイズ設定し、配置できる。
【0096】
バルーンカテーテルが軟チップ、Coudeチップなどを含むある実施態様において、チップを尿道を介するデバイス挿入およびトラッキングの補助に使用し得る。他の実施態様において、バルーンカテーテルは、尿道を介する標的部位または前立腺への挿入およびトラッキングを可能とするよう設計された管腔またはチャネルを含む。
【0097】
アカラシア狭窄は、食べ物および液体が食道を通って胃に行くことを困難とする稀な障害である。ある実施態様において、アカラシア狭窄を処置するとき、図1Aに示すバルーンカテーテルは、カテーテルの近位本体部分がアカラシア狭窄内および食道下部括約筋上にあるようにサイズ設定すべきである。これらの実施態様において、バルーンカテーテルのネック領域を、食道下部括約筋ネックと一致させ得る。ここに記載するとおり、可視化を備えたスコープを使用して、バルーンカテーテルを適切にサイズ設定および配置し得る。バルーンカテーテルが軟チップを含む実施態様において、チップを括約筋(例えば、食道下部括約筋)または胃に挿入して、バルーンカテーテルを所望の位置に配置し得る。
【0098】
バルーンカテーテルは、前立腺組織の直接拡張により、BPHによる下部尿路症状(LUTS)を軽減できる。標的部位での膨張バルーン直径対未処置体腔直径の比1.0~40を有するバルーンまたは標的部位での延伸比1.0~40を有するバルーンでの前立腺拡張は、前立腺の融合部における横断面を分離する、自然の平面で交連切開を作ることができる。同時に、薬物をコーティングから前立腺組織に放出でき、これは、例えば、前立腺の肥大および新たに形成された開口部の再狭小化を予防し得る。
【0099】
種々の実施態様において、体腔でのバルーン膨張中(例えば、本発明の方法の実施中)、カテーテルのバルーン公称径(例えば、通常公称圧力で達成される直径)は、バルーン公称径対処置位置での体腔の未処置直径の比が、1.0、1.1、1.2、1.3または1.4~40(例えば、1または1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39を超える、少ないまたは等しいまたは40未満またはその間の何れかの値)またはこれらの組み合わせであるような適当な比である。ある実施態様において、公称圧力への膨張中の標的部位でのバルーンの膨張直径は公称径に等しい;しかしながら、実際の使用中、狭窄の一部が公称径の達成を妨害し得てまたはバルーンの膨張を制約して、「犬の骨」形状を形成し得る。予定圧力(例えば、2気圧、3気圧、6気圧または9気圧)でのバルーン公称径は、種々の疾患のためのバルーンの直径が異なれば、異なり得る。例えば、尿道狭窄バルーンの公称径は、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mmおよび50mmバルーン長で6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmバルーンカテーテルで6気圧膨張時6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmであり得る。BPH狭窄バルーンの公称径は、4気圧、5気圧、6気圧、8気圧または12気圧膨張で20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mmおよび60mmバルーンカテーテルのバルーン長で25mm、30mm、35mm、40mmおよび45mmであり得る。表1は、種々の疾患の狭窄の処置に使用するための、公称バルーン寸法、公称圧力および最小バルーン直径対未処置管腔直径の比の例を示す。公称圧力は、非拘束圧力漸増試験でバルーンをそのラベルされた公称径にするのに必要な圧力である。公称径は、製品がラベルされた所望の直径である。全ての医師は、バルーンを購入し、公称径により使用するためのバルーンを選択できる。定格破裂圧力は、バルーンが膨張できる最大圧力であり、破裂しないことが極めて高く信頼されており、非拘束圧力漸増試験でバルーンが破裂するときの観察された圧力の統計分析から計算された、バルーンカテーテルの表示義務である。
【0100】
【表1】
【0101】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、予定圧力(例えば、公称圧力)で、例えば、約1気圧(304kPa)~約30気圧(3040kPa)(例えば、約1気圧以下または約4気圧、5気圧、6気圧、7気圧、8気圧、9気圧、10気圧、11気圧、12気圧、13気圧、14気圧、15気圧、16気圧、17気圧、18気圧、19気圧、20気圧、22気圧、24気圧、26気圧、28気圧または約30気圧未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上)の圧力で、バルーンが処置位置での何れかの適当な膨張バルーンカテーテル直径対体腔の未処置直径の比を有することができるのに十分であり得る。
【0102】
特に断らない限り、延伸比は、バルーンカテーテルにより処置される領域における体腔のバルーンの公称径対未処置直径の比率としてここで定義する。標的部位での体腔の未処置直径は、薬物コーティングバルーンでの拡張前およびまた前拡張バルーンまたはカッティング技術、例えば、DVIUまたはホットナイフ使用前など同手法実施中実施された(例えば、同日実施)何れかの前拡張方法前の直径である。延伸比を決定するためのバルーンの公称径は、公称圧力で非拘束環境においてバルーンが達成する直径である。未処置管腔直径は、標的部位(例えば、標的部位での管腔または狭窄、狭窄もしくは病変)の平均直径である。尿路について、例えば、尿道における狭窄について、未処置体腔直径は、薬物コーティングバルーンで拡張前(および何れかの前拡張またはカッティング、例えばDVIU前)の尿道における狭窄位置の平均直径である。尿道または前立腺尿道における狭窄について、標的部位の未処置体腔直径は、特に、排尿していないときの標的部位の未処置体腔直径が0または0に近い場合、標的部位の排尿中の未処置体腔直径(例えば、排尿直径)である。BPHおよび前立腺尿道について、未処置体腔直径は、処置位置での前立腺尿道の平均直径である。膨張バルーン直径は、膨張後のバルーンの実際の直径であり、これは、ある実施態様において、バルーンの公称径に等しい、それ未満またはそれより大きくてよい。種々の実施態様において、本発明のバルーンカテーテルの延伸比により、他のカテーテルよりも非血管管腔の処置においてより有効となる。本発明の方法の実施中、延伸比は、方法中に使用する圧力の範囲で、実際の膨張バルーン直径対未処置管腔直径の所望の比を達成する何れかの適当な比であるように選択される。種々の実施態様において、バルーンの延伸比は、約1.0~約40または約4~約40または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39未満、それに等しいまたはそれを超えるまたは約40以上であり;このような延伸比は、約1.0~約40または約4~約40または約1.1、1.2、1.3、1.31、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39未満、それに等しいまたはそれを超えるまたは約40以上などの延伸比と同じ、類似または異なり得る膨張期間に使用される圧力で膨張バルーン直径対未処置管腔直径の所望の比をもたらし得る。
【0103】
種々の実施態様において、方法は、処置すべき体腔狭窄を測定することを含む。遠位および近位健常組織直径および狭窄の長さを、使用すべき薬物コーティングバルーンを選択するために評価し得る。医師は、体腔狭窄の未処置直径および延伸比1.0~40または4~40の達成に基づきバルーンを選択する。次いで、医師は、バルーンを少なくとも公称圧力まで膨張させることができ、ある場合、バルーンを公称圧力を超えて、バルーンの定格破裂圧力まで膨張させ得る。膨張時間の間に使用する圧力の範囲は、薬物コーティングバルーンの作業圧力範囲と公称得る。ある場合、方法は、バルーンの定格破裂圧力を超えることを含み得る。バルーンの公称径があらゆる抑圧無しで決定されているため、狭窄を通過する処置痛のバルーンの膨張直径は、公称径とほぼ同一またはそれ未満またはそれより大きい。破裂圧力で、それ以上でまたはそれ以下で、バルーンの膨張直径は公称径未満、公称径と等しいまたは公称径を超えてよい。例えば、体腔狭窄は、10mmの未処置直径を有すると測定され得る。医師は、6気圧の公称圧力および10気圧の定格破裂圧力を有する14mm公称径薬物コーティングバルーンを選択し得る。延伸比は1.4である。医師はバルーンを少なくとも6気圧まで膨張させ、ある場合8気圧または10気圧まで膨張させ、ある場合10気圧を超えて膨張させて、処置中の所望の膨張バルーン直径を達成する。
【0104】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、1以上の要部を分ける1以上のネック部を有し、本発明のバルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部または1以上のネック部の形状は、このようなネック部またはネック部の形状を欠く他のバルーンカテーテルと比較して、狭窄を拡張し、薬物を送達するために、より一貫しておよび効率的に処置中バルーンカテーテルが定位置に留まることを可能とする。
【0105】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、シースとアセンブルし得る。カテーテルアセンブリおよびスコープ(例えば、膀胱鏡)を、経尿道的に前立腺尿道、それらを外部括約筋近辺に共に配置する。スコープからの生動画配信を使用して、外部括約筋に位置させ得る。バルーンは、外部括約筋に隣接しかつ前立腺尿道内に位置させ得る。バルーン拡張、薬物放出およびバルーン収縮を、スコープにより可視化し得る。
【0106】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルを、シャフトをワーキングチャネルを通してバックロードさせ、近位端にTuohy Borstおよび1方向栓を接続することにより、膀胱鏡とアセンブルできる。膀胱鏡-カテーテルアセンブリを、前立腺尿道に経尿道的に挿入する。膀胱鏡からの生動画配信を使用して、外部括約筋に位置させ得る。バルーンを外部括約筋に隣接しかつ前立腺尿道内に位置させ得る。
【0107】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、外部括約筋が拡張しないように、近位バルーンウエストを外部括約筋に配置するのが好ましい。バルーンウエストが外部括約筋にあるとき、バルーンネック(例えば、最遠位バルーンネック)が膀胱頸部に合うように、バルーンをサイズ設定するのも好ましい。この配置は、バルーンが膨張中滑らないように、保持力を提供する。バルーンネックが膀胱頸部と整列させ得ないならば、バルーンを、バルーンが膨張するに連れて前立腺が対応し得るようにゆっくり膨張させるのが好ましい可能性がある。
【0108】
正しく配置されたならば、バルーンを、圧力ゲージを備えた膨張デバイスを使用するなどで膨張させる。バルーンをゆっくり膨張させてよく、前立腺組織が対応し、バルーンが膀胱内に近位方向で滑るおよび逆向きに遠位方向で滑る傾向を減少させ得る。バルーンの単ネックまたは多ネック部形状が最遠位ネックと膀胱頸部を整列させることによりバルーン移動を阻止するが、肥大中葉部を有するような異常状況において(例えば、症例の約10~15%)、バルーンのネックは膨張中膀胱頸部と整列し得ない可能性があり、バルーンの移動をさらに阻止するためのさらなる技法が有用であり得る。いくつかの例において、約0.5~1気圧/分の速度での膨張は、バルーン移動を阻止し得る。組織が対応するに連れて、バルーン圧力は対応して低下し、圧力を増大することなくバルーン内にさらなる流体を導入することを可能とする。圧力が約1~2分安定であるとき、圧力を0.5気圧または1気圧増加で上げ、類似する方法で維持し得る。圧力は、連続的に増加でき、この圧力増加方法により、交連切開または分割が達成されるまで、圧力を圧力低下後安定化させ、圧力増加を継続することが可能となる。あるいは、極低速膨張が、交連切開または前立腺分割達成までバルーン移動を阻止し得る。交連切開または前立腺尿道および前立腺分割が観察され、スコープからの動画配信で確認されたら、機械的減圧が達成され得る。バルーンを、薬物のコーティングから組織への移動を可能とするために、約1分間~7日間、1分間~1日間または1~10分間の時間膨張したままにし得る。処置が完了したら、バルーンを収縮させ得て、カテーテルおよびスコープを患者の体腔から除き得る。
【0109】
ある実施態様において、前立腺を処置するとき、狭窄の前拡張が望まれ得る。この実施態様において、前拡張カテーテルは、薬物コーティングバルーン処置カテーテルより短いおよび/または狭い直径であり得て、薬物コーティングがなくてよい。このシナリオにおいて、前拡張カテーテルを、外部括約筋におけるバルーンの近位腰に配置し、ネック領域を膀胱頚部と並べる。バルーンを、バルーン滑脱に対して保護しながら、前立腺を作る助けとして、ここに記載するとおりゆっくり膨張させる。膨張したら、前拡張バルーンを収縮させ、除き、薬物コーティング処置バルーンを挿入する。処置バルーンの近位腰を外部括約筋と並べる。前立腺が適切に前拡張されていたら、バルーンが非前拡張体腔におけるように滑りやすい傾向にないため、バルーンネックと膀胱頚部を並べる必要はない。ある実施態様において、ここに記載する他の狭窄を、薬物コーティングバルーンでの処置前に、非薬物コーティングバルーンカテーテルで前拡張し得る。
【0110】
薬物コーティングバルーンカテーテルは、複数要部、バルーン本体の遠位および近位端に2つのコーン、膨張管腔およびワイヤ管腔を備えた細長いバルーン本体を含み得て、ここで、バルーン本体は少なくとも2つの大きい直径の要部と少なくとも1つの小さい直径のネック部を含み、ここで、大きい直径の要部とネック部は交互にかつ隣接して配置される。細長いバルーンは、バルーンのあらゆるネック部、ネック部と主直径を有する要部の間のあらゆる先細部(例えば、コーン)およびバルーンの長手方向末端の何れかの先細部または鋭部以外、一般に円筒形形状である。細長いバルーンは環状(例えば、円筒形バルーン)、卵形、曲線、非対称または多角形(例えば、五角形、六角形、七角形、八角形など)またはそれらの組み合わせなどの、バルーンの長手方向に垂直である適当なプロファイルを有し得る。非円筒形バルーンの記載する直径は、長手方向に垂直な最大サイズであるかまたは長手方向に垂直な平均サイズである。
【0111】
バルーンは、ノンコンプライアントまたはセミコンプライアント生体適合性材料などの適当な材料から形成され得る。ある実施態様において、バルーンは、所望の幾何学を達成するためにブロー成形により製造され得る。ある実施態様において、バルーンは、薬物コーティングと相互作用しない材料またはナイロン(例えば、ナイロン6,6またはナイロン12などの適当なナイロン)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル、ポリウレタン、その誘導体またはそれらの組み合わせなどの材料を含み得る。
【0112】
バルーンは、適当なサイズを有し得る。バルーンは、前立腺尿道内に適合するように設計でき、バルーンの遠位セクションが膀胱内に配置される。主直径およびバルーン公称径は、約5mm~約50mm、25mm~45mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、例えば約5mm以下または約6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm未満、それと等しい、それより多いまたは約50mmまたはそれ以上の範囲から選択でき;要部直径は、これらの範囲または特定の寸法の何れかからの独立した範囲であり得る。バルーンは、約20mm~約160mm、40mm~約80mmまたは約20mm以下または約22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mm、40mm、42mm、44mm、46mm、48mm、50mm、52mm、54mm、56mm、58mm、60mm、62mm、64mm、66mm、68mm、70mm、72mm、74mm、76mm、78mm未満、それと等しい、それより多いまたは約80mmまたはそれ以上の長さを有し得る。バルーン長さおよび直径は、患者の個有の前立腺構造に基づき、選択し得る。
【0113】
バルーンは、少なくとも1つのネック部を含み得る。ネック部は、バルーンの主公称径より小さい直径を有するバルーンの部である。ネック部直径は、約2mm~約35mm、約5mm~約35mm、10mm~約35mmまたは約2mm以下また約3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mm未満、それと等しい、それより多いまたは約35mmまたはそれ以上であり得る。少なくとも1つのネック部は、独立して主直径の約5%~約99%、例えば、約20%~約99%または約5%以下または約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または約99%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である、直径を有し得る。ある実施態様において、ネック部直径は、バルーン要部の直径の35%~75%である。バルーン要部が公称径30~40mmを有するある実施態様において、ネック部は、12~20mmの直径を有する。ある実施態様において、ネック直径が要部直径に近すぎるならば、バルーンの滑りを防止する能力は低下し得る。ある実施態様において、バルーンネックを、隣接ローブ間を分離し得るカテーテルシャフトに直接結合できる。ある実施態様において、隣接バルーンローブ間の分離は、2個のバルーン間を離す距離が0mmまたは1mm、2、3、4、5、6、7、8、9または約10mm以上未満、等しいまたはそれを超えるように、2つの隣接バルーンをカテーテルに近接近で個々に結合することにより達成され得る。
【0114】
ネック部は、ネック部(例えば、ネック部直径を有するネック部の一部)の直径が、バルーン膨張中実質的に静止したままであるように、硬いまたはやや硬いネック部であり得る。ネック部は、バルーンの実質的非弾性(例えば、ノンコンプライアントまたは最小限にノンコンプライアント)部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせを含み得る。ネック部は、ネック部の外周に巻かれた非弾性材料、例えば、縫合糸またはこのような材料の単繊維もしくは多繊維、例えばナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0115】
ある実施態様において、バルーンネック部はセミコンプライアントであり、主バルーン本体と異なる速度で膨張させ得る。ネック部伸展性は、バルーン本体の伸展性を超えても、等しくても、小さくてもよい。表2は、バルーン本体より膨張するネック部を有する、バルーンの測定値例を示す。ネック直径の膨張率は、1~5気圧の試験圧力範囲で本体部の直径の膨張率より高くてよい。ネック直径の膨張率は、1~5気圧の試験圧力範囲で本体部の直径(主直径)の1.1~10倍の範囲、例えば、主直径の2~6倍の範囲であり得る。ネック直径の膨張率は、12.38%/気圧である。本体直径の膨張率は2.4%/気圧である。膨張率の差は9.98%/気圧である。表3は、2気圧~4気圧で膨張させたとき、バルーン本体より膨張しないネック部を有する、バルーンの測定値例を示す。ネック直径の膨張率は、2~4気圧の試験圧力範囲で本体部の直径の膨張率未満であり得る。
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
ネック部は、バルーンを正しい位置に維持できる、バルーンの大きい直径の部間に組織のくさびを作り得る。バルーンの大きい部分は、頸部に作られた組織障壁を超えられず、それ故に、ネック部を有するバルーンは、膨張中のバルーン移動を防止、低減または最小化する。バルーンネック部は、バルーンに添った種々の位置に配置でき、2以上または以下の数であってよく(例えば、1、2、3、4またはそれ以上)、直径が変わり得る。ネック部配置は、処置有効性をなお維持しながら、牽引性の最大増加を促進するように、設計され得る。
【0119】
ネック部は、ネック部の最小直径を有する中央狭小部分および種々の直径を有し得て、中央狭小部分と主直径を有するバルーンの部分の間にある、隣接部分を含み得る。ここでネック部の直径をいうとき、特に断らない限り、最小直径を有する中央狭小部分の直径をいい、先細部ではない。バルーンの先細部は、硬い、柔軟な(例えば、弾性)またはそれらの組み合わせであり得る。ネック部は、中央狭小部分およびそれに隣接する先細部分(例えば、コーン)を含んで測定して、適当な長さ、例えば、バルーン長の約1%~約50%または約1%以下または約2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%または約50%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上または約0.5mm~約40mmまたは約0.5mm以下または約1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、16mm、18mm、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、34mm、36mm、38mm未満、それと等しい、それより多いまたは約40mmまたはそれ以上を有し得る。
【0120】
ある実施態様において、バルーンは1つのネック部を含んでよく、バルーンが1つのネック部により離された2つの要部を含むように、他のネック部がない。1つのネック部は、バルーン長に対してほぼ中央またはバルーン長に対して偏っているように、バルーン上の任意の適当な位置を有し得る。1つのネック部は、バルーン長に対して偏ってよく、バルーンの遠位端であり得る。バルーン長に対して偏った1つのネック部を含むバルーンの実施態様を図1Aに説明する。
【0121】
ある実施態様において、バルーンは2つのネック部を含んでよく、バルーンが2つのネック部により離された3葉を含むように、他のネック部がない。2つのネック部はほぼ同じ直径を有してよくまたはネック部の一方は、他のネック部より小さい直径を有し得る。2つのネック部は、バルーン長中心に対して、対称性にまたは非対称性に位置し得る。3つの要部はほぼ等しい長さを有してよくまたは異なる長さを有してよい。図1Bは、2つのネック部と3つの要部を有するバルーンカテーテルの実施態様を記載し、ここで、ネック部は、バルーン長のほぼ中心に対して対称性に位置し、ここで、バルーンの3つの要部はほぼ同じ長さを有する。使用中、遠位ネック部(例えば、まず体に挿入されるバルーンカテーテルの遠位端のネック部)は、バルーンを膀胱頸部に固定および配置でき、一方近位ネック部は、前立腺尿道に位置し得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルの遠位要部は治療剤がなくてよい。
【0122】
ある実施態様において、バルーンは、3つのネックを含んでよく、バルーンが3つのネックにより離された4部を含むように、他のネック部がない。3つのネック部は、バルーン長に添って、任意の適当な方法で配置され得る。3つのネック部により形成される4つの要部は、等しいまたは異なる長さを有し得る。3つのネック部は等しい直径または異なる直径を有し得る。ある実施態様において、ネック部の2つは、他のネック部の直径より小さい等しい直径を有する。図1Cは、各々ほぼ等しい長さを有する3つのネック部と4つの要部を有するバルーンカテーテルの実施態様を示し、ここで、ネック部の2つは等しい直径を有し、それは他のネック部の直径より小さい。
【0123】
バルーンカテーテルは固定ワイヤバルーンカテーテルであり得る。外側シャフトは近位バルーンネックに連結でき、先細ワイヤの遠位端はバルーンの遠位ネックと連結されてよく、そしてワイヤの近位端および外側シャフトは、バルーンカテーテルの近位端でハブ(例えば、バルブ、コネクターまたはアダプター)と連結されてよい。バルーンカテーテルは、移動可能ワイヤカテーテルであり得る。外側シャフトは近位バルーンネックと連結され、先細ワイヤの遠位端はバルーンの遠位ネックと連結され、ワイヤの近位端は、バルーンカテーテルの近位端でハブに対して自由に動く。バルーンカテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテルであり得る。バルーンカテーテルはラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルであり得る。バルーンカテーテルは、バルーンの長手方向末端(例えば、遠位端挿入後体に挿入された、バルーンの近位端)にカテーテルシャフトを含み得て、カテーテルシャフトは、バルーン内部に空気、液体またはそれらの組み合わせを送達するための内部管腔を含む。カテーテルシャフトは、ポリウレタン、ポリアミド、ナイロン(例えば、ナイロン6,6またはナイロン12)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)またはそれらの組み合わせなどのバルーン材料に類似するまたは同一の材料などの高デュロメーター材料などのように、バルーンに熱的に結合する(例えば、加熱または融解により結合)熱可塑性材料を含み得る。ある実施態様において、カテーテルシャフトはスコープ(例えば、膀胱鏡)であり得る。高デュロメーター材料は、破損の防止、低減または最小化の一助となり得て、押し込み性および可動性を可能とし得る。カテーテルシャフト外径は、標準的膀胱鏡のワーキングチャネルが通過できるよう、または体腔内に膀胱鏡を共に納めるのに十分小さい直径でサイズ設定され得る。内部管腔を経る媒体注入によりバルーンを膨張させることを可能とするためのバルーン結合点下のカテーテルシャフトの孔のように、内部管腔とバルーン内部の流体連結を含んでよい。
【0124】
ある実施態様において、バルーンを、近位カテーテルに連通し、バルーンの全要部およびネック部を同時に膨張させる、単一膨張チャネルまたは管腔を介して膨張させ得る。ある実施態様において、バルーンを、一つの管腔がバルーンの近位要部、第二管腔がネック部および第三管腔がバルーンの遠位要部であるようにバルーンの異なる部分と連通する別々のチャネルまたは管腔を介して膨張させ得る。膨張管腔またはチャネルおよびバルーン内の連通位置の何れかの適当な組み合わせを使用して、本方法を実施するための適切な1以上の圧力を作り得る。
【0125】
ある実施態様において、カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトに長手方向に配置された、棒、マンドレルまたはワイヤなどの細長く硬い要素を含み得る。図5A~5Dは、細長く硬い要素、コアワイヤ505を含むバルーンカテーテルを記載する。図5Aは、膨張されたバルーンの実施態様を記載し、図5Bは非膨張状態のバルーンを記載する。シャフトの近位端で、コアワイヤ505を、ストレインリリーフ508下、カテーテルシャフト501に結合する。コアワイヤ505は、カテーテルシャフト501で遠位に膨張する。ある実施態様において、カテーテルシャフトは72D PEBAポリマー製である。シャフト501は、張力下、一定の弾性を示す材料からなる。バルーン503下、コアワイヤ505は、ハイポチューブ510で覆われる。ハイポチューブ510は、バルーン503が膨張したとき曲がらないように、コアワイヤ505に横強さを与える。カテーテルの遠位端付近で、ハイポチューブ510およびコアワイヤ505はチップ502に結合される。チップ押し出し506は、チップ502をハイポチューブ510およびコアワイヤ505と連通させる。シャフト501とコアワイヤ505間の空間は、バルーン503の膨張管腔であり、バルーン503内部はルアーハブ507と流体連通している。この実施態様を本発明の何れかの適当なバルーンで用い得るが、図5Aおよび5Bは、ネック補強に使用したポリエチレン繊維504を伴う、1ネックを有するバルーン503を示す。図5Cは、バルーン504、ハイポチューブ510およびコアワイヤ505を記載する図5Aの収縮バルーンの断面図を記載する。図5Dは、シャフト501およびコアワイヤ505を示す図5Bの断面図を記載する。
【0126】
細長く硬い要素は、円筒形、先細、長方形、六角形または他の形状である横断面プロファイルを有し得て、金属または比較的非圧縮性である非金属材料からなり得る。細長い要素は、バルーンの近位側からバルーンの遠位側またはバルーンの近位側に近位の位置からバルーンの遠位側に至り得る。細長い要素はカテーテルシャフトの中央管腔内を自由に富裕でき、多管腔カテーテルシャフトの専用管腔に配置できまたは主カテーテルシャフト外側に長手方向に位置し得る。細長い要素は、カテーテルシャフトに沿って、1点、2点または2を超える点で固定され得る。細長い要素は、カテーテルシャフトに直接熱的に融合させる、カテーテルシャフトに接着によりまたは化学的に結合させる、カテーテルの1以上の部分に延伸加工または圧着する、オーバーモールドまたは何れかの他の適当な方法により固定させ得る。細長い要素を、座屈を防止するために全長にわたりまたは一定部分に沿って補強でき;例えば、細長い金属要素は補強されたワイヤであり得る。補強は、ステンレス鋼、ニチノール(すなわち、ニッケルチタン合金)、鋼、タングステン、イリジウム、超合金(例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)またはコバルト(Co)などの元素を含む)などの何れかの硬い材料を使用して、構築し得る、PEEKまたはそれらの組み合わせは、何れかの適当な横断面形状を有し得る。ある実施態様において、補強は、円筒形、長方形、六角形または何れかの適当な外側プロファイルを有するチューブであり得る。細長い要素は、図5Cに示すとおりに補強チューブ内側にまたは補強チューブの外側に沿って配置され得る。
【0127】
図5Aおよび5Bに示すとおり、カテーテルは、収縮した状態であるとき、バルーンに体腔を介してトラッキングし、処置後除くための小さな横断面収縮プロファイルをもたらす、バルーンを伸張および延長させるバルーンの長さ調節機構を有する。バルーンを膨張させたとき、長さ調節機構は、バルーンの長さ全体を短くし、バルーンの予定された膨張直径および長さまで膨張させることを可能とする(例えば、成形または形成過程中作られる)。ある実施態様において、バルーン膨張により生じる力を、バルーンの遠位端から、例えばバルーン結合を介して細長い金属構成要素に、またはカテーテル先端と細長い金属構成要素との間の接続を介して、細長く硬い金属要素によってカテーテルシャフトを通って、バルーンの近位端またはバルーンの近位端に近接するカテーテルシャフトとの間の接続を介して、バルーンに近接するカテーテルシャフトに戻すことができる。このカテーテルシャフトへの力の伝達により、カテーテルシャフト材料が、カテーテルシャフト材料の応力-ひずみ曲線の弾性領域で作動しながら、ばねとして働くことが可能となる。カテーテルシャフトがバルーン膨張による張力下細長いとき、エネルギーを、バルーン膨張中カテーテルシャフト材料に貯蔵でき、バルーンを伸張するために収縮する間細長い金属要素にカテーテルシャフトを押すことにより放出させ得る。ある実施態様において、カテーテルシャフトに沿って長手方向に配置されたばねを使用して、バルーン長さ調節機構の力を貯蔵および放出し得る。図6は、図5A~5Dにおけるコアワイヤ505の代替として使用し得る、ばね600の実施態様を記載する。図6を参照して、ばね600は、ばね部分601およびワイヤ部分602を有する。ある実施態様において、ばね部分601は、カテーテルシャフトの近位端に位置し得る。ばねは、カテーテルシャフトにおける管腔内、管腔の外であるが、カテーテルシャフト内またはカテーテルシャフト外に位置し得る。ばねはバルーン内であり得るかまたはバルーン近位端近位などバルーンから離れてまたはこれらの組み合わせであり得る。膨張バルーンの長さと比較して、収縮バルーンの細長い長さは、約0.1mm長い~約100mm長いまたは約0.1mm長い、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1mm、1.5mm、1mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、15mm、20mm、25mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mmまたは約100mm未満、等しいまたはそれ以上長いものであり得る。カテーテルシャフトは、ポリアミド、ナイロン(例えば、ナイロン6,6またはナイロン12)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)(例えば、35D PEBA、55D PEBAまたは72D PEBA)、ポリウレタン、シリコーン、ゴム、他の熱可塑性ポリマーまたはこれらの組み合わせなどの種々の材料を、バルーン伸張に所望の量の力を達成するために含み得る。カテーテルシャフトは組成が均一であってよくまたは所望の伸長力を作るためにカテーテルシャフトの1以上の部分に沿って分配される材料の組み合わせを含み得る。異なる材料は、バルーン伸長のために細長く硬い金属要素に適用される異なる弾性張力および異なる力を生じ得る。カテーテルシャフトは、押し出しカテーテルシャフトであり得る。
【0128】
カテーテルシャフト、バルーンまたはこれらの組み合わせは、位置決めおよびある解剖学的構造との整列を助けるため、長さにそって単一または複数のマーキングを有し得る。マーキングは、カテーテルシャフトまたはバルーンに沿った周方向または長手方向などの何れかの適当な配向を有し得る。カテーテルシャフトまたはバルーンのマークは、バルーンがシースに完全に回収されたまたは患者の生体構造内のデバイスに位置することを示す、処置領域におけるバルーンの位置決めの補助として使用され得る。カテーテルシャフトのマーキングは、内視鏡、膀胱鏡を使用してまたは裸眼で可視化でき、またはマーキングは、放射線不透性材料などの放射線学的に区別可能な要素を含み得る。マーキングは、パッド印刷、レーザーマーキングまたは何れかの他の方法により、区別可能な色を有するカテーテルシャフト表面に、ポリマーを熱的に結合させることにより作り得る。図5Aおよび5Bは、バルーン再捕獲マーク509および位置決めマーク511の実施態様を示す。バルーン再捕獲マーク509は、バルーンカテーテルがバルーンを覆うシースを有するとき、使用し得る。マーク509は、シースがバルーンを覆うとき、シースの近位端のすぐ近位に位置し得る。使用者が所望の位置へとカテーテルを進め、シースを除き、バルーンを膨張させた後、使用者は、バルーンが除去用に被覆されるように、シースを後で進めることを望み得る。この場合、収縮後、使用者は、再捕獲マーク509が見えるまでシースを遠位に進める。位置決めマーク511を使用して、使用者が体腔内のカテーテルの位置決めを助け得る。例えば、図5Aおよび5Bに示す1ネックバルーンをBPH処置に使用するとき、バルーンの近位端のすぐ近位に位置し得る位置決めマークを、外部括約筋のすぐ近位に配置し得る。種々の実施態様において、使用者は、スコープを通してマーク511を見ることができ、このマークが外部括約筋のすぐ近位にきたとき、使用者は、バルーンが適切に配置されたことを確認し得る。
【0129】
種々の実施態様において、カテーテルシャフトは、尿が膀胱からカテーテルシャフトを通り、デバイスの外部部分を経て出るための経路を作る、別の管腔を有し得る。この実施態様は、出血を予防しながらかつ組織が新規配置へと治癒させながら、薬物コーティングバルーンカテーテルを0.1~約7日などの期間配置したままにすることを可能とする。薬物コーティングバルーンは、拡張および薬物送達だけでなく、フォーリーカテーテルまたは導尿カテーテルとしても使用し得る。
【0130】
本体外部に残る末端(例えば、近位末端)のカテーテルシャフトは、カテーテルシャフトの内部管腔への接続を提供するハブ(例えば、バルブ、コネクターまたはアダプター)を含み得る。膨張中、ハブは(例えば、閉じたときまたは常に)、バルーンからの流体または空気の逆流を阻止し得る。ハブは、Tuohy Borstアダプターなどの適当なバルブを含み得る。Tuohy Borstアダプターは、カテーテルシャフト上に配置でき、カテーテルシャフトの内部管腔への流体密封/気密接続を提供するために締め付けられた圧縮密閉デバイスである。1方向栓は、バルーンへの流体過流入を制御でき、標準的ルアーにより膨張デバイスに接続できる。
【0131】
カテーテルシャフトの近位側は、バルーンと接続し、膨張させる、ガイドワイヤの通過を可能とし、導尿を可能としまたはカテーテルシャフトに何れかの他の適当な接続させるためにカテーテルを介して液体、空気または他のガスを注入するためのハブまたは何れかの他の取付マニホールドを含み得る。ハブまたは取付マニホールドへの接続は、単一雌または雄ルアーハブまたは多チャネルを有するルアーマニホールドなどの何れかの適当な1以上の接続を介して行い得る。ハブまたはマニホールドは、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ナイロン、ペバックス(登録商標)、シリコーン、成形可能な何れかの他の重合材料またはこれらの組み合わせなどの何れかの適切な生体適合性材料により効率され得る。ハブは、接着剤(例えば、シアノアクリレート接着剤、シリコーン接着剤、エポキシ、本基質に適する何れかの他の接着剤またはこれらの組み合わせ)の使用または化学的結合の使用など、何れかの適当な方法でカテーテルに接着させ得る。ハブまたはマニホールドは、カテーテルシャフトに直接融合するため、カテーテルシャフトにオーバーモールディングし得る。カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトとハブまたはマニホールド接続部に張力緩和要素を有し得る。張力緩和要素は、キンキングの防止を助け得る。張力緩和要素は、ポリオレフィン、PET、FEP、他の熱収縮可能材料またはこれらの組み合わせを含み得る。張力緩和要素は熱収縮であり得る。張力緩和要素は、ハブと接する軟質成形材料であり得る(例えば、張力緩和要素はハブに接着させ得る)。
【0132】
バルーンカテーテルは、まず体に挿入される遠位末端であるバルーンの長手方向末端にカテーテルチップを含み得る。カテーテルチップは、バルーンが尿道を通るのを容易にし得る。チップは、尿道への挿入中の損傷阻止を助ける、非外傷性チップであり得る。チップは、Coude無傷チップであり得る。無傷Coudeチップは、入れている間、尿道壁への損傷を防止しながら、カテーテルが男性尿道における屈曲部を通過するのを容易にするように設計されている。カテーテルシャフトに外部被覆したまたはシャフトに接着接合させた低デュロメーター生体適合性材料であり得る。例えば、Coudeチップは、ペバックス(登録商標)または液体シリコーンゴムから製造され得る。
【0133】
ある実施態様において、カテーテルは、挿入中バルーン(例えば、被覆かつ折りたたまれた/ひだのあるバルーン)を覆い、処置中体から完全に除去され得る、挿入シースを含み得る。シースは、体腔へのシースの再挿入を容易にするために閉塞具または拡張器と組み合わせて設計され得る。シースは、1つの材料または1を超える材料を含み得る。シースは、数種の異なる材料の層が組み合わさってシースを作る層状構造を有し得るかまたは単純押出しまたは共押出しによって成形され得る。ある実施態様において、シースは、PTFEまたはFEPなどのフルオロポリマーを含む内部層、ステンレス鋼、ニチノール、PEEKまたは他の材料などの編んだまたは渦巻状ワイヤフィラメントを含む中央補強層およびペバックス(登録商標)、ナイロン、ポリウレタンまたは他の熱可塑性材料などのポリマーを含む外側層を含む。外側シース材料のデュロメーターおよび編んだまたは渦巻状補強のピッチはシースの長さに沿って均一であり得るかまたは変わり得る。閉塞具は押出しチューブであってよくまたは特定の幾何学に成形でき、LDPE、HDPE、PE、PEBA、ナイロン、シリコーン、ポリウレタンまたは他の生体適合性材料などの広範な材料を含み得る。閉塞具の遠位チップ(本体に挿入)は、体腔を通る通過を促進する先細、半径またはある組み合わせであり得る。シースおよび閉塞具は、外側被覆、加締め、圧着または接着により結合したハブ接続を有し得て、これらが互いに結合することを可能とする。あるいは、閉塞具は、把握特性を作り、シースと干渉接続するために近位側で広げてよい。処置後、閉塞具およびシースを体腔を通してバルーンの近位側に挿入し得る。配置されたら、閉塞具をシースから離してよく、シースをバルーンカテーテルの除去を容易にするために収縮バルーン上に配置し得る。
【0134】
図2は、カテーテルシャフト、カテーテルチップおよびTuohy Borstアダプター/栓アセンブリを含むバルーンカテーテルの実施態様を示す。全材料は生体適合性であり得る。バルーンはパクリタキセル溶液で被覆されているが、BPH症状の改善を促進し得る他の薬物または生物製剤で被覆し得る。使用中、遠位セクションは膀胱内にあるため、バルーンの近位の2つの要部のみが薬物で被覆される。
【0135】
バルーンカテーテルは、圧力ゲージまたは圧力センサーを含む膨張デバイスを含んでよく、膨張デバイスは、バルーンカテーテルに接続されたカテーテルシャフトに滑らかに接続される。
【0136】
図1A、1B、1Cおよび2に示すバルーンは、要部およびネック部を含む型でブロー成形される。バルーン材料の管は、所望の形状の型に注入される。バルーン材料管は予め引き延ばし得る。バルーン型は、図1A、1B、1Cまたは2に示すバルーンに対応する形状を有する。これは、近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つのネック部、少なくとも1以上の本体部および遠位コーンを含む。バルーン材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの何れかであり得る。管および型をバルーン材料の管のガラス遷移温度を超える温度まで加熱し、ガス、空気、流体などで加圧して、型の形状を取る管の材料を得る。形成されたバルーンを次いで冷却し、トリミングし、次いで、カテーテルに結合される。
【0137】
ある実施態様において、バルーンを低圧力で膨張させ、ネック部補強材を1以上のネック領域に結合させる。ネック部補強材を、バルーン膨張中のネック部膨張の制御に使用する。ネック部は、バルーンの実質的非弾性部分、バルーンの補強部分またはそれらの組み合わせであり得る。ネック部は、鋼、ステンレス鋼、ニチノール、タングステン、アルミニウム、銅、銀、金、白金、イリジウム、ニッケル(Ni)、クロミウム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)およびコバルト(Co)を含む超合金に含まれる元素、ナイロン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはそれらの組み合わせなどの縫合糸またはこのような材料の単繊維もしくは多繊維などの、ネック部の外周に巻かれた非弾性材料を含み得る。ある実施態様において、ポリマー材料は、より糸または繊維の形態であり、ネック部を多数回包み、次いで、膠または接着剤の連続ビーズ、膠または接着剤の2点以上、熱的溶接、血漿処置後接着による結合または接着層への接着結合により、正しい位置に維持する。繊維接着過程前にバルーンに適用される別の層である接着層は、1以上のバルーンネックの外表面への繊維接着剤または膠の接着を改善し得る。
【0138】
バルーンの要部は、同一または類似直径で形成され得る。ある実施態様において、種々の要部の直径は、バルーン公称径で測定したとき、互いに最大30%異なり得る。図1A、1B、1Cおよび2において、バルーンの要部を等しい直径で記載しており、すなわち、各要部の直径は一定である。実施に際し、高圧力で、要部の直径はわずかにたわみ、要部の中央部分の直径がバルーンコーンに近いおよび/またはネック部に近い要部の端よりわずかに大きい直径を有し得る。
【0139】
図1A、1B、1Cおよび2において示す、バルーンがネックおよび要部を有するおよび図3において示す、バルーンが何れネック部を有しない実施態様において、バルーンカテーテルを組み立てた後、バルーンをここに記載する少なくとも1つの水溶性添加物および薬物で被覆し得る。バルーンが複数要部を有するある実施態様において、遠位要部は被覆され得ない。バルーンは、ここに記載する方法によりコーティングし得る。シースを使用するならば、バルーン被覆後、それをバルーン上に設置する。次いでカテーテルを当分野で知られるとおり、包装し、滅菌し、ラベルする。
【0140】
本発明の実施態様は、迅速な薬物放出コーティングを有するバルーンカテーテルおよびそのような被覆デバイスを製造する方法に関する。本発明の実施態様における治療剤は遅延または長期放出を必要とせず、その代わり、例えば、治療剤および添加物は、組織との接触時に治療効果を提供するために、極めて短時間で放出される。本発明の実施態様の目的は、標的部位への一過性デバイス留置中の標的組織による薬物の迅速かつ効率的取り込みの促進である。
【0141】
薬物コーティングは、約1%~約100%または約50%~約100%、約80%~約100%または約10%以下または20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または約100%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上などの、バルーンの外表面の適当な割合(例えば、ネックおよび末端コーンを除く、公称圧力に膨張中に主直径を得るバルーンの表面の割合)を被覆し得る。
【0142】
薬物コーティングは、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択されるなどの水溶性添加物を含み得る。水溶性添加物は、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはそれらの組み合わせなどの界面活性剤である第一水溶性添加物を含み得る。水溶性添加物は、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル、例えばソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはそれらの組み合わせである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含み得る。薬物コーティングは、第一水溶性添加物および第二水溶性添加物の両方を含み得る。ある実施態様において、バルーンの遠位末端は治療剤がなくてよい。
【0143】
種々の実施態様において、本発明は、体腔を処置する方法を提供する。体腔は血管体腔または非血管体腔であり得る。方法は、バルーンカテーテル(例えば、ここに記載するバルーンカテーテルの何れかの実施態様)を体腔における標的部位に挿入することを含み得る。方法は、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで(例えば、少なくともそれまで)バルーンを膨張させることを含み得る。特徴(a)または(b)または(c)または(a)および(b)または(a)および(c)または(b)および(c)または(a)および(b)および(c)が存在する。(a)膨張バルーン直径対標的部位での未処置体腔直径の比が約1.0~約40である;または(b)膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力と同程度以上までバルーンを膨張させることを含み、標的部位での延伸比が約1.0~約40である;または(c)膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力まで膨張させることを含み、バルーンカテーテルの公称径が膨張バルーン直径未満である;または(d)(a)、(b)および(c)の組み合わせ。方法は、膨張時間後バルーンを収縮させることを含み得る。方法は、バルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことを含み得る。
【0144】
種々の実施態は、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、前立腺癌、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置する方法を提供する。方法は、尿道狭窄、良性前立腺肥大(BPH)狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆管狭窄などの体腔における狭窄の処置法である。体腔における狭窄は良性前立腺肥大(BPH)狭窄、尿道構造または食道狭窄であり得る。方法は、良性前立腺肥大、前立腺癌またはこれらの組み合わせの処置法であり得て、ここで、体腔は前立腺である。
【0145】
方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。
【0146】
体腔は前立腺であり得て、ここで、バルーンカテーテルの挿入は、スコープ(例えば、膀胱鏡など柔軟なまたは硬い)を使用する、前立腺におけるバルーンカテーテルの位置決めを含む。バルーンカテーテルはスコープを含んでよく、方法は、標的部位に位置させるためにスコープからの動画配信を使用することを含み得る。方法は、バルーンカテーテルを標的部位に位置させるためにスコープからの動画配信を使用することを含み得る。
【0147】
体腔は前立腺であり得て、バルーンは1以上のネックで分割された複数要部を有し得て、バルーンカテーテル挿入は、バルーンカテーテル要部一方の前立腺における位置決めおよびバルーンカテーテルの第二要部の膀胱における位置決めを含み得る。
【0148】
挿入は、バルーンの少なくとも1つのネック部の膀胱頸部における位置決めを含み得る。バルーンカテーテルの少なくとも1つのネック部は遠位ネック部であり得て、挿入は、膀胱頸部における遠位ネック部の位置決めを含み得る。バルーンカテーテルは近位ネック部を含み得て、挿入は、前立腺尿道における近位ネック部の位置決めを含み得る。
【0149】
膨張時間は、約0.1分~約10分、約0.5分~約2分または約0.1分以下または約0.2分、0.3分、0.4分、0.5分、0.6分、0.7分、0.8分、0.9分、1分、1.1分、1.2分、1.3分、1.4分、1.5分、1.6分、1.8分、2分、2.2分、2.4分、2.6分、2.8分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、6分、7分、8分、9分または約10分またはそれ以上などの適当な膨張時間であり得る。
【0150】
膨張は、約0.1気圧/分~約10気圧/分または約0.5~約1.5気圧/分または約0.1気圧/分以下または約0.2気圧/分、0.3気圧/分、0.4気圧/分、0.5気圧/分、0.6気圧/分、0.7気圧/分、0.8気圧/分、0.9気圧/分、1気圧/分、1.1気圧/分、1.2気圧/分、1.3気圧/分、1.4気圧/分、1.5気圧/分、1.6気圧/分、1.8気圧/分、2気圧/分、2.2気圧/分、2.4気圧/分、2.6気圧/分、2.8気圧/分、3気圧/分、3.5気圧/分、4気圧/分、4.5気圧/分、5気圧/分、6気圧/分、7気圧/分、8気圧/分、9気圧/分または約10気圧/分未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上などの、適当な速度(例えば、組織産生のために圧力が落ちる時間を除くことができ、圧力をこれらの時間維持できる)でのバルーン内の圧力増加を含む。
【0151】
膨張は、圧力ゲージによるなど、バルーン内の圧力の観察を含み得る。圧力を低下させ得る狭窄作製中、膨張は、バルーン内の圧力を安定化させ、バルーン内の安定化圧力を、組織産生中の時間安定化させ、次いで、所望の膨張直径が達成されるまでバルーン内の圧力の増加を再開させることを含み得る。安定化時間は、約0.1分~約10分、約0.5分~約2分または約0.1分以下または約0.2分、0.3分、0.4分、0.5分、0.6分、0.7分、0.8分、0.9分、1分、1.1分、1.2分、1.3分、1.4分、1.5分、1.6分、1.8分、2分、2.2分、2.4分、2.6分、2.8分、3分、3.5分、4分、4.5分、5分、6分、7分、8分、9分または約10分またはそれ以上などの適当な時間であり得る。
【0152】
図3に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスはバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、所望の使用のための適当なカテーテルであり得る。例えば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン12、カテーテル10の近位末端にハンドルアセンブリ16および近位および遠位末端間に延びる細長いフレキシブル部材14を含み得る。ハンドルアセンブリ16は、膨張媒体(例えば、空気、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材14は、適当な生体適合性材料製の管であってよく、その中に1以上の管腔を有する。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け、このような媒体を膨張のためにバルーン12に渡すように構成される。バルーンカテーテルは、ラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであってよく、適当な生体適合性材料から製造される。バルーン12の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。
【0153】
ある実施態様において、本発明は、治療剤を血管組織または非血管組織などの組織に送達するためのバルーンカテーテルを提供する。デバイスは、バルーンカテーテル外表面に適用された層を含む。層は治療剤および1以上の添加物を含む。添加物は任意の適当な添加物であり得る。層は1つの添加物を含んでよくまたは層は水溶性第一添加物および水溶性第二添加物など1つを超える添加物を含み得る。例えば、図4Aに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は、治療剤および添加物を含む層20で被覆される。ある実施態様において、層は本質的に治療剤および添加物からなり、例えば、層は、任意の他の実質的に顕著な成分がなく、治療剤および添加物のみを含む。ある実施態様において、デバイスは、所望により粘着層を含み得る。例えば、図4Bに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22で被覆される。治療剤および添加物を含む層24は、粘着層を覆う。薬物コーティング層の下にある別の層である粘着層は医療デバイスの外表面への薬物コーティング層の付着を改善し、コーティング完全性を保護する。例えば、医療デバイスへの付着が薬物と添加物で異なるならば、粘着層は、治療介入のための標的部位への輸送中、成分の異なる喪失を防止し、コーティングにおける薬物対添加物比を維持することができる。さらに、粘着層は、標的部位で組織と接触したら、コーティング層成分のデバイス表面からの迅速な放出を促進するために機能し得る。他の実施態様において、デバイスは最上層を含み得る。例えば、図4Cに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22、粘着層を覆う治療剤および添加物を含む層26および最上層28で被覆される。最上層は、標的組織と接触前、例えばバルーン12の治療介入部位への輸送中またはコーティング層20が標的組織と直接接触まで圧入される前のバルーン12の膨張の第一モーメント中の薬物層の喪失を防止できる。
【0154】
本発明の実施態様は、有効量の抗炎症および抗増殖剤(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログまたはこれらの組み合わせ)などの治療剤の送達による、体腔における狭窄の処置に関する。体腔における狭窄は、血管狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆管狭窄を含む。本発明の実施態様は、血管狭窄、良性前立腺肥大(BPH)、尿道問題、前立腺癌、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の少なくとも一つの処置法に関する。ある実施態様によると、方法は、バルーンカテーテルなどの被覆医療デバイスによる、抗炎症および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、パクリタキセルまたはそれらのアナログ)などの治療剤の送達を含む。治療剤は医療デバイスに単独でまたは1以上の添加物と共に被覆され得る。
【0155】
ある実施態様において、本発明は、体腔における狭窄を処置する方法であって、狭窄にコーティング層を含むバルーンカテーテルを挿入し(ここで、狭窄は尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄および胆管狭窄の一つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を狭窄の壁に放出させ、バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを引き抜くことを含み、ここで、残存薬物はバルーンカテーテルの総充填薬物の約1~70%であり得て、ここで、体腔壁の薬物はバルーンカテーテルの総充填薬物の約0.1~25%であり得る、方法に関する。この実施態様のある態様において、添加物は、体腔における狭窄の組織内への薬物吸収を増強し得る。
【0156】
ある実施態様において、本発明は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、体腔は食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の管腔の1つであり、ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、薬物を体腔の壁に放出させ、バルーンを収縮させ、バルーンカテーテルを引き抜くことを含む、体腔の狭窄を処置する方法に関し、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る、ここで、体腔の壁における薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約0.1~25%であり得る。この実施態様のある態様において、添加物は、体腔における組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。
【0157】
ある実施態様において、本発明は、治療剤を体腔狭窄の標的部位に送達するためのバルーンカテーテルに関し、バルーンカテーテルはバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は治療剤の初期薬物負荷量および1以上の水溶性添加物を含み、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0158】
バルーンカテーテルのある実施態様において、1以上の水溶性添加物はバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進し、これにより迅速な放出は、バルーンを体腔の標的部位で約0.1分~10分の膨張時間膨張させ、その後体腔から除かれた後のバルーンに残る治療剤の残存薬物量を含む。
【0159】
バルーンカテーテルのある実施態様において、コーティング層中の治療(例えば、疎水性)剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。バルーンカテーテルのある実施態様において、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量(例えば、コーティング層中の第一および第二水溶性添加物または第一、第二および第三水溶性添加物の総重量に対して)の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。
【0160】
ある実施態様において、本発明は、体腔における狭窄を処置する方法に関し、方法は、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流し
、バルーンカテーテルを体腔における狭窄における標的部位に挿入し(バルーンカテーテルは、バルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、治療剤はパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミンC6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される)、バルーンを、コーティング層が標的部位の体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを体腔における狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーンカテーテル直径は、膨張バルーン直径対処置体腔の未処置直径の比が約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比が1.0~約40または約4~約40であってよいようなものであり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0161】
バルーンは、引き抜いた後にその上に残存薬物量を有し得る。約90wt%、88wt%、86wt%、84wt%、82wt%、80wt%、78wt%、76wt%、74wt%、72wt%、70wt%、68wt%、66wt%、64wt%、62wt%、60wt%、58wt%、56wt%、54wt%、52wt%、50wt%、48wt%、46wt%、44wt%、42wt%、40wt%、38wt%、36wt%、34wt%、32wt%、30wt%、28wt%、26wt%、24wt%、22wt%、20wt%、18wt%、16wt%、14wt%、12wt%、10wt%、8wt%、6wt%、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%または約0wt%未満、それと等しい、それより多いような適当な残存薬物量が引き抜いた後に残ってよい。
【0162】
ある実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大および前立腺癌の少なくとも1つを処置する方法に関し、方法は、前立腺を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを前立腺の標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み得る)、コーティング層が標的部位で良性前立腺肥大または前立腺癌の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを前立腺から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対体腔の未処置直径の比は、約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0163】
ある実施態様において、本発明は尿道狭窄を処置する方法に関し、方法は、尿道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを尿道狭窄の標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で尿道狭窄に接触し、バルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを尿道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄位置での尿道の未処置直径の比は、約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。拡張後、尿道狭窄の直径は、6.7mmまたはそれ以上、例えば、約6.7mm~約50mmまたは約6.7mm~約20mmまたは約6.7mm、6.8mm、6.9mm、7.0mm、7.2mm、7.4mm、7.6mm、7.8mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm未満、それと等しい、それより多いまたは約50mmまたはそれ以上であり得る。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0164】
ある実施態様において、本発明は、アカラシア狭窄などの食道狭窄を処置する方法に関し、方法は、所望によりバルーンカテーテル挿入前、挿入中またはその後に食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。バルーン直径対狭窄位置での食道の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。ある実施態様において、バルーンカテーテル性質は、表4に示すのと等しいまたは類似するものであり、高圧力で遅延する成長速度を有する。伸展性は、直径@RBP-直径@公称圧力)/直径@公称圧力)*100%として計算する、公称径から定格破裂圧力(RBP)直径までのバルーン直径の変化パーセントである。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0165】
【表4】
【0166】
ある実施態様において、本発明は、アカラシア狭窄などの食道狭窄を処置する方法に関し、方法は、所望によりバルーンカテーテル挿入前、挿入中、その後に食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、食道狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄位置での食道の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルの性質は、表5に示すのと等しいまたは類似するものであり、慣用のコンプライアントバルーンと比較して、比較的高い作業圧力で広範囲のバルーン直径を達成する能力を有する単一バルーンカテーテルである。表5におけるバルーンは、3段階増加膨張圧力で、3バルーン直径増加がある特有の性質を有する。公称膨張直径は、段階Iの直径である。直径は、圧力増加の各段階で約0.5~4mm、好ましくは0.75~3mm、最も好ましくは0.9~2mm増加する。例えば、圧力I(3気圧)で直径15mmを有するバルーンは、圧力II(4.5気圧)で直径16.5mmを有し、圧力III(7気圧)で直径18mmを有する。
【0167】
【表5】
【0168】
ある実施態様において、本発明は、消化器狭窄を処置する方法に関し、消化器狭窄は胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄または胆管狭窄を含み、方法は、消化器狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、消化器狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で食道狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーンカテーテル直径は、バルーン直径対狭窄位置での食道の未処置直径の比が約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよいであってよいようなものである。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルは、表4および5に示すのと等しいまたは類似するものであり、高圧力で遅延する成長速度を有し、高作業圧力で広範囲のバルーン直径を達成する能力を有する単一バルーンカテーテルを有する。
【0169】
種々の実施態様において、食道狭窄、アカラシア狭窄、消化器狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄を含む消化器狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄および胆管狭窄の処置に使用される薬物コーティングバルーンカテーテルは、固定ワイヤ、ワイヤガイド型、オーバー・ザ・ワイヤカテーテルまたはラピッド・エクスチェンジ型デザインカテーテルであるカテーテルデザインを有する。
【0170】
ある実施態様において、本発明は、副鼻腔狭窄を処置する方法に関し、方法は、副鼻腔狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄における標的部位に挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーンの公称径で1mmあたり1~6μgの治療剤である初期薬物負荷量の治療剤を含み、治療剤はブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロアート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトロセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され、コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は約0.05~20である)、コーティング層が標的部位で副鼻腔狭窄の壁に接触し、かつ、バルーンが膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10である)、バルーンカテーテルを副鼻腔狭窄から引き抜くことを含む。
【0171】
ある実施態様において、薬物コーティングバルーンの使用前に、前立腺尿道または何れかの他の標的部位などの体腔の標的領域を前拡張することが望まれ得る。ある実施態様において、前拡張バルーンを、処置バルーンよりわずかに短いおよび/またはわずかに小さい公称径を有するように選択する。前拡張バルーンが処置バルーンより短いならば、前拡張帯または領域全体が、処置バルーンにより処置される可能性が高い。ある実施態様において、前拡張バルーンは、前拡張バルーンの公称径および長さが処置バルーンと実質的に適合するように、処置バルーンと実質的に同じサイズであり得る。ある実施態様において、体腔の標的領域を、前拡張なく直接処置することが望まれる。ある実施態様において、方法は、標的部位への前拡張バルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の産生またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。
【0172】
本発明の実施態様は、迅速な薬物放出コーティングを有するバルーンカテーテルおよびそのような被覆デバイスを製造する方法に関する。本発明の実施態様における治療剤は遅延または長期放出を必要とせず、その代わり、例えば、治療剤および添加物は、組織との接触時に治療効果を提供するために、極めて短時間で放出される。本発明の実施態様の目的は、標的部位への一過性デバイス留置中の標的組織による薬物の迅速かつ効率的取り込みの促進である。
【0173】
種々の実施態様において、バルーンカテーテルは、バルーンの本体に添って、1または複数(例えば、2)ネック部を有し得る。ネック部はバルーン本体公称径より小さい公称径(例えば、1.5~2.5倍小さい)を有し得て、約10~20mm長など適当な長さを有し得る。ネック部はバルーンを対称性に分割できまたはあるバルーン本体部が他より長くなってよい。公称バルーン直径は6~45mmの範囲であり、作業長20~160mmである。
【0174】
図1Aにおいて、ある実施態様において、1つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン100はウエスト101、コーン102、第一本体部103、ネック104、第二本体部105、コーン106およびウエスト107を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト101および107は、カテーテルシャフト(示していない)に接続または固着などされる。膨張中、ウエスト101および107は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。セクション102、103、104、105および106は、カテーテルシャフトおよび外部ルアーハブとの連通で単一膨張点を介して全て同時に膨張され得る。図1Bにおいて、ある実施態様において、2つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン120は、ウエスト121、コーン122、第一本体部123、第一ネック124、第二本体部125、第二ネック126、第三本体部127、コーン128およびウエスト129を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト121および129は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト121および129は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。セクション122、123、124、125、126、127および128は、カテーテルシャフトおよび外部ルアーハブとの連通で単一膨張点を介して全て同時に膨張され得る。ネック部124および126は、現況の膨張では同じ直径として示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。図1Cにおいて、ある実施態様において、3つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン140は、ウエスト141、コーン142、第一本体部143、第一ネック144、第二本体部145、第二ネック146、第三本体部147、第三ネック148、第四本体部149、コーン150およびウエスト151を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト141および151は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト141および151は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。セクション142、143、144、145、146、147、148、149および150は、カテーテルシャフトおよび外部ルアーハブとの連通で単一膨張点を介して全て同時に膨張され得る。ネック部144、146および148は、現況の膨張では異なる直径を有して示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。
【0175】
図2に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスは、当分野の当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルである。例えば、バルーンカテーテル160は、カテーテル160の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン162、カテーテル160の近位末端にハンドルアセンブリ161、近位末端から遠位末端に延びる細長いフレキシブル部材164および遠位端に非外傷性Coudeチップ163を含み得る。ハンドルアセンブリ161は、膨張媒体(例えば、空気、水、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材164は適当な生体適合性材料製であり、かつその中に1以上の管腔を有する管であり得る。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け入れ、そのような媒体をバルーン162にその膨張のために通すように構成される。バルーンカテーテルは固定ワイヤまたはラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであり、任意の適当な生体適合性材料から製造され得る。バルーン162の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。図2において、ある実施態様において、2つのネック部を有するバルーンを示す。バルーン162は、ウエスト165、コーン166、第一本体部167、第一ネック168、第二本体部169、第二ネック170、第三本体部171、コーン172およびウエスト173を有する。当業者に知られるとおりバルーンカテーテルにアセンブルされたら、ウエスト165および173は、カテーテルシャフトに接続または固着などされる。膨張中、ウエスト165および173は、カテーテルシャフトに接続されているため、膨張しない。セクション166、167、168、169、170、171および172は、カテーテルシャフトおよび外部ルアーハブとの連通で単一膨張点を介して全て同時に膨張させ得る。ネック部168および170は現況の膨張では同一直径として示しているが、それらは同一または異なる伸展性を有する同一または異なる直径であり得る。
【0176】
図3に示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスはバルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、当分野の当業者に知られる慣用のバルーンカテーテルを含む、固定ワイヤバルーンカテーテル、移動可能ワイヤカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルを含む、所望の使用のための任意の適当なカテーテルであり得る。例えば、バルーンカテーテル10は、カテーテル10の遠位末端に拡張可能、膨張可能バルーン12、カテーテル10の近位末端にハンドルアセンブリ16および近位および遠位末端間に延びる細長いフレキシブル部材14を含み得る。ハンドルアセンブリ16は、膨張媒体(例えば、空気、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスに接続されおよび/または受け取り得る。フレキシブル部材14は適当な生体適合性材料製であり、かつその中に1以上の管腔を有する管であり得る。管腔の少なくとも1つは、膨張媒体を受け入れ、そのような媒体をバルーン12にその膨張のために通すように構成される。バルーンカテーテル10は、ラピッド・エクスチェンジ型またはオーバー・ザ・ワイヤカテーテルであり、任意の適当な生体適合性材料から製造され得る。バルーン12の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタンおよびポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーの1以上を含み得る。
【0177】
図7A~7Cに示すとおり、ある実施態様において、医療デバイスは、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテルまたはラピッド・エクスチェンジ型バルーンカテーテルである。図7Aは側面図を示す。図7Bは、図7Aにおけるシャフトの断面図を記載する。図7Cは、図7Aのバルーンの断面図を記載する。バルーンカテーテル700は、カテーテル700の遠位端に拡張可能、膨張可能バルーンを含み得る。バルーン711は、近位コーン部分706、第一本体部分707、ネック部708、第二本体部分709および遠位コーン部分710を有し得る。バルーンカテーテル700は、バルーン711を膨張させ、チャネル703を介するガイドワイヤ設置を可能とするチャネル704を介して連通するハンドルまたはルアーアセンブリ705を有し得る。ハンドルアセンブリ705は、膨張媒体(例えば、空気、水、食塩水または造影媒体)の供給源などの1以上の適当な医療デバイスと接続および/または受容し得る。可撓性部材701および702は、適当な生体適合性材料からなり、その中に1以上の管腔を有するチューブであり得る。外側可撓性部材または押し出し701は、可撓性部材または押し出し702の上部の上に配置され、近位バルーン結合で終わる。内部可撓性部材または押し出し702は、バルーン711下のバルーンカテーテル700長さ全体にわたり、カテーテルの遠位端の可撓性ラディアスドチップで終わる。バルーン711の材料は、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン12、ナイロン11、ポリアミド12、ポリエーテルとポリアミドのブロックコポリマー、ペバックス(登録商標)、ポリウレタン、ポリエーテルとポリエステルのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせの1以上を含み得る。
【0178】
ある実施態様において、本発明は、血管組織または非血管組織などの罹患組織または狭窄に治療剤を送達するための医療デバイスを提供する。デバイスは、バルーンカテーテル外表面に適用された層を含む。層は治療剤および1以上の添加物を含む。添加物は任意の適当な添加物であり得る。層は1つの添加物を含んでよくまたは層は水溶性第一添加物および水溶性第二添加物などの1を超える添加物を含み得る。例えば、図4Aに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は、治療剤および添加物を含む層20で被覆される。ある実施態様において、層は本質的に治療剤および添加物からなり、例えば、層は、任意の他の実質的に意味のある成分がなく、治療剤および添加物のみを含む。ある実施態様において、デバイスは、所望により粘着層を含み得る。例えば、図4Bに記載する実施態様に示すとおり、バルーン12は粘着層22で被覆される。治療剤および添加物を含む層24は、粘着層を覆う。薬物コーティング層の下にある別の層である粘着層は医療デバイスの外表面への薬物コーティング層の付着を改善し、コーティングの完全性を保護する。例えば、医療デバイスへの付着が薬物および添加物で異なるならば、粘着層は、治療介入のための標的部位への輸送中、成分の異なる喪失を防止し、コーティングにおける薬物対添加物比を維持することができる。さらに、粘着層は、標的部位で組織と接触したら、コーティング層成分のデバイス表面からの迅速な放出を促進するために機能し得る。他の実施態様において、デバイスは最上層を含み得る。最上層は、標的組織に接触する前、例えばバルーン12の治療介入部位への輸送中またはコーティング層20が標的組織に直接接触まで圧入される前にバルーン12の膨張の第一モーメント中、薬物層の喪失を減少させ得る。
【0179】
本発明の実施態様は、有効量の抗炎症および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそれらのアナログ)などの治療剤の送達による、非血管体腔における狭窄の処置に関する。非血管体腔の狭窄は、尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、アカラシア狭窄、ステント内狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、J型結腸嚢狭窄、膀胱頚部狭窄(例えば、狭窄)、線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)誘導狭窄、放射線誘導狭窄、内視鏡切除(EMRおよびESD)誘導狭窄、手術関連吻合狭窄、アカラシア狭窄、胃切除術誘導狭窄および胆管狭窄を含む。本発明の実施態様は、良性前立腺肥大(BPH)、前立腺癌、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の少なくとも一つを処置する方法に関する。種々の実施態様によると、方法は、被覆バルーンカテーテルによる抗炎症および抗増殖剤(例えば、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセルまたはそれらのアナログ)などの治療剤の送達を含む。抗炎症および抗増殖剤は、医療デバイスに単独でまたは1以上の添加物と共に被覆され得る。
【0180】
非血管体腔における狭窄を処置する方法は、コーティング層を含むバルーンカテーテルを体腔に挿入し(ここで、コーティング層は薬物および添加物を含む)、バルーンカテーテルを膨張させ、非血管体腔の壁に薬物を放出させ、バルーンを収縮させ、そしてバルーンカテーテルを引き抜くことを含み、ここで、残存薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約1~70%であり得る、ここで、体腔の壁における薬物は、バルーンカテーテルの総負荷薬物の約0.1~25%であり得る。方法は、バルーンの標的部位への挿入前、挿入中またはその後に、水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で体腔を洗い流すことを含み得る。この実施態様のひとつの態様において、添加物は、非血管体腔の組織への薬物の吸収を増大する。この実施態様の他の態様において、添加物は親水性部分および薬物親和性部分を含み、ここで、薬物親和性部分は疎水性部分、水素結合により治療剤に親和性を有する部分およびファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する部分の少なくとも1つである。
【0181】
非血管体腔の標的部位に治療剤を送達するためのバルーンカテーテルは、バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み得て、ここで、コーティング層は治療剤の初期薬物負荷量および1以上の水溶性添加物を含み、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、そのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0182】
非血管体腔は、食道、気道、副鼻腔、気管、結腸、胆管、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、直腸、大腸、尿路、前立腺、尿道、輸尿管および他の非血管管腔の1つであり得る。
【0183】
ある実施態様において、1以上の水溶性添加物はバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進でき、これによる迅速な放出は、バルーンを非血管体腔の標的部位で約0.1分~10分の膨張時間膨張させ、続いて非血管管腔から除いた後のバルーン上に残存する治療剤の残存薬物量を含む。
【0184】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比(例えば、コーティング層中の第一および第二水溶性添加物または第一、第二および第三水溶性添加物の総重量に対して)は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0185】
初期薬物負荷量は、バルーン1mmあたり(すなわち、バルーンの公称径の外部表面積あたり)治療剤1μg~20μgまたは約2~約6μgまたは約1μg以下または約2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、12μg、14μg、16μg、18μgまたは約20μg未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。残存薬物量は、初期薬物負荷量の70%以下であり得る。
【0186】
非血管体腔における狭窄を処置する方法は、非血管体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し、非血管体腔における狭窄における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し(バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外部表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、それらのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムスおよびそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミンC6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される)、バルーンをコーティング層が標的部位での非血管体腔における狭窄の壁に接触し、かつバルーンが膨張時間の膨張バルーン直径を達成するまで膨張させ、膨張時間後バルーンを収縮させ(ここで、膨張時間は0.1分~10分である)、バルーンカテーテルを非血管体腔における狭窄から引き抜くことを含む。ある実施態様において、バルーン直径は、6気圧の公称膨張圧力で10mmである。膨張バルーン直径対体腔の標的部位の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。所望により、膨張はバルーンカテーテルの公称圧力と等しいまたは高い圧力までの膨張を含み得る。
【0187】
バルーンは、引き抜いた後にその上に残存薬物量を有し得る。適当な残存薬物量が引き抜いた後に残ってよく、例えば、約70wt%、65wt%、60wt%、55wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%、25wt%、20wt%、15wt%、10wt%、5wt%または約0wt%より多い、これに等しいまたはこれ未満である。
【0188】
コーティング層中の治療剤対コーティング層中の1以上の添加物の総重量の重量比は、約0.05~約20、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.5~約8、約0.5~約3、約2~約6または約0.05以下または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または約20未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0189】
種々の実施態様において、コーティング層は、1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み得て、治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され、水溶性添加物はN-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される。
【0190】
ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0191】
良性前立腺肥大および前立腺癌の少なくとも一つを処置する方法は、所望により前立腺を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを前立腺における標的部位に挿入し;そして、バルーンネックがバルーン膨張時膀胱頚部にあるように、バルーン本体を前立腺内および外部尿道括約筋上で位置決めすることを含み得る。方法は、コーティング層が標的部位で良性前立腺肥大または前立腺癌の壁と接触し、前立腺分裂を拡大し、交連切開を作り、バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを前立腺から引き抜くことを含み得る。膨張バルーン直径対標的部位の未処置体腔直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0192】
アカラシア狭窄を処置する方法は、所望によりアカラシア狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを食道における標的部位に挿入し;バルーンネックがバルーン膨張時食道下部括約筋にあり、バルーンの遠位セグメントが胃の上端であるように食道においておよび食道括約筋上でバルーン本体を位置決めすることを含む。方法は、コーティング層が標的部位においてアカラシア狭窄の壁と接触し、膨張期間用の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを食道から引き抜くことを含み得る。膨張バルーン直径対標的部位の未処置体腔直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。ある場合、アカラシア狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により、膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。バルーンカテーテルは、図1A~1Cおよび図2に示す1以上のネックを含み得る。種々の実施態様において、バルーンのネックは、食道下部括約筋に配置され、胃内にネックに遠位の1以上のバルーンローブおよび食道内にネックに近位の1以上のバルーンローブがあってよい。
【0193】
尿道狭窄を処置する方法は、尿道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを尿道狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含み;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において尿道狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを尿道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対尿道狭窄の部位での体腔の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。拡張後、尿道狭窄の直径は、6.7mm以上、例えば約6.7mm~約50mmまたは約6.7mm~約20mmまたは約6.7mm、6.8mm、6.9mm、7.0mm、7.2mm、7.4mm、7.6mm、7.8mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm未満、それと等しい、それより多いまたは約50mmまたはそれ以上であり得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。
【0194】
ある実施態様において、バルーンは、引き抜いた後、初期薬物負荷量の70%未満の残存薬物量を有する。
【0195】
食道狭窄を処置する方法は、所望により食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを食道狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において食道狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを食道狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄の位置での食道の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在するある場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。
【0196】
好酸球性食道炎(EoE)は慢性炎症性疾患である。本疾患の症状は嚥下障害および食片圧入を含み、しばしば食道狭窄または狭小化の結果である。ブジーおよびバルーンカテーテルを使用する食道線維狭窄性好酸球性食道炎狭窄の反復内視鏡的拡張術がEoEの食道狭窄の処置に必要である。
【0197】
好酸球性食道炎の食道狭窄を処置する方法は、所望により食道狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを食道狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において食道狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを好酸球性食道炎の食道狭窄を含むから引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄の位置での食道の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在するある場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。ある場合、食道狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。
【0198】
炎症性腸疾患(IBD)はクローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む。CDおよびUC誘導狭窄は、炎症性腸疾患(IBD)およびその関連手術の一般的合併症である。狭窄率は、経時的に34%~70%の範囲であり得る。狭窄の一部は難治性または再発性である。先行文献の技術を使用して、反復内視鏡的拡張術が難治性または再発性狭窄の処置に必要である。
【0199】
クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)の炎症性腸狭窄を処置する方法は、所望により炎症性腸狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンカテーテルを炎症性腸狭窄処置の標的部位に挿入し、バルーンカテーテルはバルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において炎症性腸狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを炎症性腸狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄の位置での炎症性腸の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在するある場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。ある場合、狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)の炎症性腸狭窄は小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄およびJ型結腸嚢狭窄を含む。バルーン拡張はクローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)の炎症性腸狭窄の処置に安全かつ有効な非外科的方法であることが示されているが、問題が残っている。狭窄は難治性または再発性狭窄であり得て、先行文献の技術を使用して、反復バルーン拡張が必要である。他の実施態様において、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)の炎症性腸狭窄を処置する方法は、薬物コーティングバルーン膨張前に狭窄切開術を実施することを含む。狭窄切開術は内視鏡的粘膜切除術、内視鏡粘膜下層剥離術、ニードルナイフ電子切開術および電気焼灼を含み得る。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の産生、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0200】
放射線誘発狭窄を処置する方法は、所望により放射線誘発狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを放射線狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において放射線誘発狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを放射線誘発狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄の位置での放射線体腔の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。ある場合、放射線誘発狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。放射線誘発狭窄は、癌の処置による放射線傷害により誘導されたあらゆる狭窄を含む。放射線狭窄は尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄および胆管狭窄を含み得る。他の実施態様において、放射線狭窄を処置する方法は、薬物コーティングバルーン拡張前に狭窄切開術を実施することを含む。狭窄切開術は、尿道切開術、内視鏡的粘膜切除術、内視鏡粘膜下層剥離術、ニードルナイフ電子切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)および電気焼灼を含み得る。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0201】
外科的吻合狭窄を処置する方法は、所望により外科的吻合狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを外科的吻合狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において外科的吻合狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを外科的吻合狭窄から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対狭窄の位置での体腔の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在するある場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。ある場合、吻合狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。外科的吻合狭窄は、流体を搬送する体の2か所の狭窄間の外科的接続のあらゆる狭窄を含む。外科的吻合は、流体を搬送する体の2か所の狭窄間を新しく接続するのに使用する外科的技術である。吻合狭窄は、種々の外科的手法の一般的合併症である。これらの狭窄は大部分線維性であり、管理が困難である。吻合狭窄は、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパス後狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、J型結腸嚢狭窄および膀胱頚部狭窄(狭窄症)を含む。バルーン拡張は、外科的吻合狭窄の管理の安全かつ有効な非外科的方法であることが示されている。吻合狭窄は、先行文献の技術を使用して反復バルーン拡張を必要とする、難治性または再発性狭窄であり得る。他の実施態様において、外科的吻合狭窄を処置する方法は、薬物コーティングバルーン拡張前に狭窄切開術を実施することを含む。狭窄切開術は、尿道切開術、内視鏡的粘膜切除術、内視鏡粘膜下層剥離術、ニードルナイフ電子切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)および電気焼灼を含み得る。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0202】
膀胱頚部狭窄(狭窄または拘縮)は、前立腺癌の多くの処置の合併症と認識されている。抵抗性膀胱頚部狭窄は全体として比較的稀である;しかしながら、相当な罹病率と関係し、しばしば合併症を伴い、クオリティ・オブ・ライフに影響する多くの介入を必要とする。これらの膀胱頚部狭窄疾患は、しばしば前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結治療および高密度焦点式超音波治療法(HIFU)を含む前立腺癌の処置後の合併症であり、前立腺処置後に形成され得るかまたは他の状態により形成され得る。
【0203】
膀胱頚部狭窄(狭窄または拘縮) を処置する方法は、所望により膀胱頚部狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを膀胱頚部狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において膀胱頚部狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを膀胱頚部狭窄を含むから引き抜く。膨張バルーン直径対狭窄の位置での膀胱頚部の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在するある場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。ある場合、狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。膀胱頚部狭窄は、膀胱と前立腺または尿道管腔の間の外科的接続のあらゆる狭窄を含む。膀胱頚部狭窄は、前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結治療および高密度焦点式超音波治療法(HIFU)を含む種々の外科的手法の一般的合併症である。これらの狭窄は大部分線維性であり、管理が困難である。膀胱頚部狭窄は、先行文献の技術を使用して、反復バルーン拡張が必要である難治性または再発性狭窄であり得る。他の実施態様において、膀胱頚部狭窄を処置する方法は、薬物コーティングバルーン拡張前に狭窄切開術を実施することを含む。狭窄切開術は、尿道切開術、内視鏡的粘膜切除術、内視鏡粘膜下層剥離術、ニードルナイフ電子切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)および電気焼灼を含み得る。
【0204】
種々のステージの癌およびバレット食道の処置におけるEMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)。ニードルナイフ、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、初期ステージの表在癌の処置に使用される。癌は、食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌および消化器癌を含む。EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、高度バレット食道疾患の処置に使用される。EMRおよびESDは、臨床的有効性および安全性の観点から実行可能な手法である;しかしながら、悪性腫瘍および難治性狭窄の再発が、一部患者で示された。処置癌の局所再発率は、癌の種類およびステージならびにフォローアップ回数により2~20%の範囲である。狭窄または狭窄症の再発率は約26%~70%である。反復内視鏡バルーン拡張が、先行文献の技術を使用する難治性または再発性狭窄または狭窄症の処置に必要である。種々の実施態様において、本発明は、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)後の薬物コーティングバルーンの拡張を使用した悪性腫瘍または癌の再発を低減する。種々の実施態様において、本発明は、EMR(内視鏡的粘膜切除術)またはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)後の薬物コーティングバルーンの拡張を使用する、狭窄の反復バルーン拡張の必要性を低減する。
【0205】
ニードルナイフ、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の外科的手法後の狭窄および癌の再発を低減する方法が提供される。方法は、ニードルナイフ、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を使用する体腔の癌性領域の内視鏡切除を実施し;所望により切除を受けた体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを切除を受けた体腔における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において切除を受けた体腔の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを切除を受けた体腔から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対体腔の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。ある場合、狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。薬物コーティングバルーンの長さは切除を受けた体腔の長さより長く、それゆえに、切除領域は、バルーン拡張後薬物製剤で完全に覆われる。薬物コーティングバルーンの長さは、切除を受けた体腔の長さより1~2mm長い。2つの薬物コーティングバルーンを使用して、より長い長さの病変を覆うことがある。癌は食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌および消化器癌、特に癌の早期ステージのものを含み得る。癌および狭窄の再発は、体腔の切除面積および深さが増えるほど、増え得る。ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0206】
ニードルナイフ、EMR(内視鏡的粘膜切除術)およびESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の外科的手法後に狭窄、結腸ポリープまたはバレット食道の再発を低減する方法は、まず、ニードルナイフ、EMR(内視鏡的粘膜切除術)またはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を使用して体腔の結腸ポリープまたはバレット領域の内視鏡切除を実施し;所望により切除を受けた体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを切除を受けた体腔における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性第二添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はパクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において切除を受けた体腔の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを切除を受けた体腔から引き抜くことを含む。膨張バルーン直径対体腔の未処置直径の比は約1.0~約40または約4~約40であってよく、処置位置での延伸比は約1.0~約40または約4~約40であってよい。重度狭窄が存在する場合、未処置管腔直径までバルーンを膨張させることが不可能であり得て、バルーンは0.7、0.8、0.9以上の拡大比を達成し得る。ある場合、狭窄は、処置バルーンの公称径より小さいものであり得るコーティング層がないバルーンで前拡張され得る。所望により膨張は、バルーンカテーテルの公称圧力に等しいまたはそれを超える圧力への膨張を含み得る。薬物コーティングバルーンの長さは切除を受けた体腔の長さより長く、それゆえに、切除領域は、バルーン拡張後薬物製剤で完全に覆われる。薬物コーティングバルーンの長さは、切除を受けた体腔の長さより1~2mm長い。ポリープまたはバレット食道および狭窄の再発は、体腔の切除面積および深さが増えるにつれて、増え得る。
【0207】
副鼻腔狭窄を処置する方法は、副鼻腔狭窄を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流し;バルーンおよびバルーンの外表面を覆うコーティング層を含むバルーンカテーテルを副鼻腔狭窄における標的部位に挿入し、ここで、コーティング層は少なくとも1つの水溶性添加物およびバルーン平方ミリメートルあたり治療剤1~6マイクログラムの初期薬物負荷量である治療剤を含み;治療剤はブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロアート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択され;水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択され;そしてコーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比は、約0.05~20であり;コーティング層が標的部位において副鼻腔狭窄の壁と接触し、膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを膨張させ;0.1分間~10分間である膨張期間後バルーンを収縮させ;そしてバルーンカテーテルを副鼻腔狭窄から引き抜くことを含む。
【0208】
ある実施態様において、方法は、標的部位への薬物コーティングバルーンカテーテルの挿入および配置、膨張および収縮工程、バルーン膨張中の直径の増加、バルーン収縮中の直径の減少、標的部位の確保、バルーン収縮後標的部位の壁から薬物の放出またはこれらの何れかの組み合わせの可視化ためにスコープを使用することを含む。方法は、狭窄または標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に、スコープを介して水または食塩水溶液で標的部位を洗い流すことを含み得る。
【0209】
添加物
種々の実施態様において、添加物は、2つの部分を有し得る。一方の部分は親水性であり、他の部分は薬物親和性部分である。薬物親和性部分は、疎水性部分および/または水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。添加物の薬物親和性部分は、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせなどの親油性薬物を結合し得る。親水性部分は拡散を加速させ、薬物の組織への浸透を増加させる。それは、疎水性薬物分子が互いにおよびデバイスに凝集することを防止し、間質性間隙における薬物溶解度を増加し、/または薬物が極性末端基により標的組織の細胞膜の脂質二層まで管腔を移動することを加速させることにより、標的部位での留置中、薬物が医療デバイスを離れて移動することを促進し得る。本発明の実施態様の添加物は、一体となって、標的部位でのデバイス留置前にデバイス表面からの薬物の早期放出を阻止しながら、留置中のデバイス表面からの薬物の迅速な放出および標的組織による取り込みを促進する(薬物が、薬物が高親和性を有する組織との接触するのを加速することにより)ように機能する2つの部分を有する。
【0210】
本発明の実施態様において、治療剤は、医療デバイスが組織と接触した後迅速に放出され、容易に吸収される。例えば、本発明のデバイスのある実施態様は、非血管バルーン拡張中に、高薬物濃度での、簡単な直接的圧迫接触により、親油性抗増殖性医薬(例えばパクリタキセルまたはラパマイシン)などの治療剤を非血管組織に送達する、薬物被覆バルーンカテーテルを含む。親油性薬物は、例えば、送達部位での標的組織に維持され、そこで、上皮化をなお可能としながら、過形成および再狭窄を阻止する。これらの実施態様において、本発明のコーティング製剤は、留置中のバルーン表面からの薬物の迅速な放出と標的組織への薬物の移動を促進するだけでなく、薬物が複雑な体内構造を通る輸送を経て標的部位到達し、薬物コーティングが体腔の表面と直接接触するまで圧入される前に、薬物がデバイスから追い出されることおよびバルーン膨張の初期相においてデバイスが破裂することを阻止する。
【0211】
ある実施態様における添加物は、薬物親和性部分および親水性部分を有する。薬物親和性部分は、疎水性部分であり、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用により治療剤に親和性を有する。薬物親和性部分は、ベンゼン、トルエンおよびアルカンなどの、脂肪族および芳香族有機炭化水素化合物を含み得る。これらの部分は水溶性ではない。それらは構造類似性を共有する疎水性薬物および細胞膜の脂質の両方に結合し得る。薬物親和性部分は、薬物およびそれ自身と水素結合を形成できる官能基を含み得る。親水性部分は、ヒドロキシル基、アミン基、アミド基、カルボニル基、カルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、ポリエチレングリコール、アスコルビン酸、アミノ酸、アミノアルコール、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機塩およびそれらの置換された分子などを含み得る。1以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、酸基、アミド基またはアミン基は、例えば、極性末端基部分および細胞膜の表面タンパク質に水素結合した水分子を容易に置き換え、疎水性薬物と細胞膜脂質の間のこの障壁の除去に機能し得るため、有利であり得る。これらの部分は、水および極性溶媒に溶解し得る。本発明の添加物は、薬物に結合し、かつ留置中および標的組織への医療デバイスからのその迅速な移動の放出の両方のための成分を有する。
【0212】
本発明の添加物は、界面活性剤およびヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物であり得る。界面活性剤は、イオン性、非イオン性、脂肪族および芳香族界面活性剤を含む。ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸および無水物、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、糖、グルコース、スクロース、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機酸、エステル、塩、ビタミンおよびそれらの置換された分子から選択される。
【0213】
当分野で周知のとおり、用語「親水性」および「疎水性」は、相対的用語である。本発明の実施態様例で添加物として機能するために、化合物は極性または荷電親水性部分ならびに非極性疎水性(親油性)部分を含む。
【0214】
医薬化合物の相対的親水性および疎水性を特徴付けるための医薬品化学で一般に使用される経験的パラメータは、2つの非混和性溶媒、通常オクタノールおよび水の混合物の2相における非イオン化化合物の濃度比である分配係数P、例えば、P=([溶質]オクタノール/[溶質]水)である。高いlogPを有する化合物はより疎水性であり、低いlogPを有する化合物はより親水性である。リピンスキーの法則は、logP<5を有する医薬化合物は、より膜透過性であり得ることを示す。ある本発明の実施態様の目的のために、例えば、添加物は、製剤する薬物のlogP(例として、パクリタキセルのlogPは7.4である)より小さいlogPを有する。薬物と添加物のlogPの差が大きいほど、薬物の相分離が促進され得る。例えば、添加物のlogPが薬物のlogPよりはるかに小さいならば、添加物は、薬物がこれ以外では密接に付着しているはずであるデバイス表面からの薬物の水性環境への放出を促進でき、それにより介入部位での短い留置中の組織への薬物送達を促進できる。本発明のある実施態様において、添加物のlogPは負である。他の実施態様において、添加物のlogPは薬物のlogPより小さい。化合物のオクタノール-水分配係数PまたはlogPは、相対的親水性および疎水性の測定に有用であるが、本発明の実施態様において使用するための適当な添加物の定義としては、おおよその目安に過ぎない。
【0215】
本発明の実施態様において使用し得る適当な添加物は、有機および無機医薬レシピエント、天然物およびその誘導体(例えば糖、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質および脂肪酸)、低分子量オリゴマー、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、非イオン性およびイオン性)およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。本発明に有用であるとしてここに記載する添加物は例示目的でのみ提供しており、包括的であることを意図しない。多くの他の添加物が、本発明の目的に有用であり得る。
【0216】
界面活性剤
界面活性剤は、医薬組成物における使用に適する、あらゆる界面活性剤であり得る。このような界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性であり得る。界面活性剤の混合物も、界面活性剤および他の添加物の組み合わせと同様、本発明の種々の実施態様の範囲内である。界面活性剤は、しばしば、細胞膜の脂質二層に直接挿入し、脂質構造の部分を形成し得る脂肪酸などの1以上の長脂肪族鎖を有するが、界面活性剤の他の成分は脂質構造を緩め、薬物浸透および吸収を促進する。造影剤イオプロミドはこれらの性質を有しない。
【0217】
界面活性剤の相対的親水性および疎水性の特徴付けに一般的に使用される経験的パラメータは、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。低HLB値を有する界面活性剤はより疎水性であり、油に大きな溶解度を有し、一方高HLB値を有する界面活性剤はより親水性であり、水溶液に大きな溶解度を有する。おおよその目安としてHLB値を使用して、親水性界面活性剤は、一般に約10より大きいHLB値を有する化合物であり、アニオン性、カチオン性または両性化合物にはHLBスケールが一般に適用不可能であると考えられる。同様に、疎水性界面活性剤は、約10未満のHLB値を有する化合物である。本発明のある実施態様において、親水性増加がデバイスの表面からの疎水性薬物放出を促進し得るため、高HLB値が利用される。ある実施態様において、界面活性剤添加物のHLBは10より高い。添加物HLBは14より高くてよい。あるいは、低HLBを有する界面活性剤を、例えば、超親水性添加物を有する薬物層を覆う最上コートにおける、標的部位へのデバイス留置前の薬物喪失の防止に使用し得る。
【0218】
界面活性剤のHLB値は、一般に、例えば、工業用、医薬品および化粧品エマルジョンの製剤を可能にするために使用されるおおよその目安に過ぎない。数種のポリエトキシル化界面活性剤を含む多くの重要な界面活性剤について、HLB値は、HLB値の決定のために選択した実験方法により、約8HLB単位ほど大きく異なり得ることが報告されている(Schott, J. Pharm. Sciences, 79(1), 87-88 (1990))。これらの困難さに留意し、HLB値を目安として使用して、界面活性剤は、ここに記載するとおり、本発明の実施態様において使用するために適当な親水性または疎水性を有すると同定され得る。
【0219】
PEG-脂肪酸およびPEG-脂肪酸モノおよびジエステル
ポリエチレングリコール(PEG)自体は界面活性剤として機能しないが、多様なPEG-脂肪酸エステルは有用な界面活性剤性質を有する。PEG-脂肪酸モノエステルの中で、ラウリン酸、オレイン酸およびステアリン酸のエステルが本発明の実施態様において最も有用である。親水性界面活性剤の例は、PEG-8ラウレート、PEG-8オレアート、PEG-8ステアレート、PEG-9オレアート、PEG-10ラウレート、PEG-10オレアート、PEG-12ラウレート、PEG-12オレアート、PEG-15オレアート、PEG-20ラウレートおよびPEG-20オレアートを含む。HLB値は4~20の範囲である。
【0220】
ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルも、本発明の実施態様の組成物において界面活性剤として使用するのに適する。親水性界面活性剤は、PEG-20ジラウレート、PEG-20ジオレアート、PEG-20ジステアレート、PEG-32ジラウレートおよびPEG-32ジオレアートを含む。HLB値は5~15の範囲である。
【0221】
一般に、2以上の市販界面活性剤の混合物およびに界面活性剤と他の1以上の添加物の混合物を含む界面活性剤の混合物も、本発明の実施態様において有用である。数種のPEG-脂肪酸エステルが、モノおよびジエステルの混合物として市販されている。
【0222】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル
親水性界面活性剤は、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルオレアートおよびPEG-30グリセリルオレアートを含み得る。
【0223】
アルコール-油エステル転移反応産物
疎水性または親水性の程度が様々な多くの界面活性剤を、アルコールまたはポリアルコールと多様な天然および/または水素化油の反応により製造できる。最も一般的に、使用される油はヒマシ油または水素化ヒマシ油またはトウモロコシ油、オリーブ油、ピーナツ油、パーム核油、杏仁油またはアーモンド油などの可食植物油である。アルコールはグリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトールおよびペンタエリスリトールを含む。これらのアルコール-油エステル転移界面活性剤中、親水性界面活性剤はPEG-35ヒマシ油(Incrocas-35)、PEG-40水素化ヒマシ油(Cremophor RH 40)、PEG-25トリオレアート(TAGATTM TO)、PEG-60コーングリセリド(CrovoI M70)、PEG-60アーモンド油(Crovol A70)、PEG-40パーム核油(Crovol PK70)、PEG-50ヒマシ油(Emalex C-50)、PEG-50水素化ヒマシ油(Emalex HC-50)、PEG-8カプリル/カプリン酸グリセライド(Labrasol)およびPEG-6カプリル/カプリン酸グリセライド(Softigen 767)である。例えば、この群の疎水性界面活性剤は、PEG-5水素化ヒマシ油、PEG-7水素化ヒマシ油、PEG-9水素化ヒマシ油、PEG-6トウモロコシ油(LabrafilTM M 2125 CS)、PEG-6アーモンド油(LabrafilTM M 1966 CS)、PEG-6杏仁油(LabrafilTM M 1944 CS)、PEG-6オリーブ油(LabrafilTM M 1980 CS)、PEG-6ピーナツ油(LabrafilTM M 1969 CS)、PEG-6水素化パーム核油(LabrafilTM M 2130 BS)、PEG-6パーム核油(LabrafilTM M 2130 CS)、PEG-6トリオレイン(LabrafilTMb M 2735 CS)、PEG-8トウモロコシ油(LabrafilTM WL 2609 BS)、PEG-20コーングリセリド(Crovol M40)およびPEG-20アーモンドグリセリド(Crovol A40)を含む。
【0224】
ポリグリセリル脂肪酸
脂肪酸のポリグリセロールエステルも、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの中で、疎水性界面活性剤は、ポリグリセリンオレアート(Plurol Oleique)、ポリグリセリン-2ジオレアート(Nikkol DGDO)、ポリグリセリン-10トリオレアート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテートおよびポリグリセリンリノレアートを含む。親水性界面活性剤は、ポリグリセリン-10ラウレート(Nikkol Decaglyn 1-L)、ポリグリセリン-10オレアート(Nikkol Decaglyn 1-O)およびポリグリセリン-10モノ、ジオレアート(CaproITM PEG 860)、ポリグリセリン-10ステアレート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、ポリグリセリン-10リノレアート、ポリグリセリン-6ステアレート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテートおよびポリグリセリン-6リノレアートを含む。ポリグリセリンポリリシンオレアート(Polymuls)も界面活性剤である。
【0225】
プロピレングリコール脂肪酸エステル
プロピレングリコールおよび脂肪酸のエステルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。この界面活性剤群において、疎水性界面活性剤は、プロピレングリコールモノラウレート(Lauroglycol FCC)、プロピレングリコールリシンオレアート(Propymuls)、プロピレングリコールモノオレアート(Myverol P-06)、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート(CaptexTM 200)およびプロピレングリコールジオクタノエート(CaptexTM 800)を含む。
【0226】
ステロールおよびステロール誘導体
ステロールおよびステロール誘導体は、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。誘導体はポリエチレングリコール誘導体を含む。この群の界面活性剤はPEG-24コレステロールエーテル(Solulan C-24)である。
【0227】
ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル
多様なPEG-ソルビタン脂肪酸エステルが利用可能であり、本発明の実施態様において界面活性剤として使用するのに適当である。PEG-ソルビタン脂肪酸エステルの中で、界面活性剤はPEG-20ソルビタンモノラウレート(Tween-20)、PEG-20ソルビタンモノパルミテート(Tween-40)、PEG-20ソルビタンモノステアレート(Tween-60)、PEG-20ソルビタンモノオレアート(Tween-80)を含む。ある実施態様において、オレアートエステルと比較して短い脂質鎖を有し、薬物吸収を増加させるため、ラウレートエステルが使用される。
【0228】
ポリエチレングリコールアルキルエーテル
ポリエチレングリコールおよびアルキルアルコールのエーテルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。エーテルは、PEG-3オレイルエーテル(Volpo 3)およびPEG-4ラウリルエーテル(Brij 30)を含む。
【0229】
糖およびその誘導体
糖誘導体は、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。この群の界面活性剤は、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシドおよびオクチル-β-D-チオグルコピラノシドを含む。
【0230】
ポリエチレングリコールアルキルフェノール
PEG-10~100ノニルフェノールおよびPEG-15~100オクチルフェノールエーテル、チロキサポール、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノールなどの数種のPEG-アルキルフェノール界面活性剤が利用可能であり、本発明の実施態様における使用に適する。
【0231】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロックコポリマー
POE-POPブロックコポリマーは、ポリマー界面活性剤の独特な群である。十分に定義された比および位置の親水性POEおよび疎水性POP部分を有する界面活性剤の独特な構造は、本発明の実施態様における使用に適する広範な界面活性剤を提供する。これらの界面活性剤は種々の商品名の下に入手可能であり、Synperonic PEシリーズ(ICI);PluronicTMシリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、PluracareおよびPlurodacを含む。これらのポリマーについての一般的用語は「ポロクサマー」(CAS 9003-11-6)である。これらのポリマーは、式:HO(CO)(CO)(CO)H(式中、「a」および「b」は、それぞれポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン単位の数をいう)を有する。
【0232】
この群の親水性界面活性剤は、ポロクサマー108、188、217、238、288、338および407を含む。この群の疎水性界面活性剤は、ポロクサマー124、182、183、212、331および335を含む。
【0233】
ソルビタン脂肪酸エステル
脂肪酸のソルビタンエステルは、本発明の実施態様における使用に適する界面活性剤である。これらのエステルの中で、疎水性界面活性剤は、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span-40)およびソルビタンモノオレアート(Span-80)、ソルビタンモノステアレートを含む。
【0234】
ビタミンCの両親媒性誘導体であるソルビタンモノパルミテート(ビタミンC活性を有する)は、可溶化系で2つの重要な機能を果たし得る。第一に、微小環境を調節できる有効な極性基を有する。これらの極性基は、ビタミンC自体(アスコルビン酸)を、入手可能な最も水溶性の有機固体化合物とするのと同じ基であり、アスコルビン酸は水に約30wt/wt%で可溶性である(例えば、塩化ナトリウムの溶解度に極めて近い)。第二に、pHが上昇したとき、アスコルビルパルミテートの画分を、ナトリウムアスコルビルパルミテートなどのより可溶性の塩に変換する。
【0235】
イオン性界面活性剤
カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤を含むイオン性界面活性剤は、本発明の実施態様における使用に適する親水性界面活性剤である。イオン性界面活性剤は、四級アンモニウム塩、脂肪酸塩および胆汁塩を含む。具体的に、イオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト二ウム、塩化セチルピリジニウム、ドセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ナトリウムドセチルスルフェート、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化エドロホニウム、臭化ドミフェン、ナトリウムスルホンコハク酸のジアルキルエステル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、コール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムを含む。それらは、有機溶媒(例えばエタノール、アセトンおよびトルエン)および水の両方に溶解する。調製およびコーティング過程を単純化し、良好な接着剤性質を有するため、これは、医療デバイスコーティングに特に有用である。水不溶性薬物は、一般に有機溶媒に溶解する。
【0236】
ここに記載する界面活性剤のいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらは、エチレンオキシド滅菌過程で残る。それらは、滅菌過程下、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの薬物と反応しない。ヒドロキシル基、エステル基、アミド基が、薬物と反応する可能性が低く、アミン基および酸基が滅菌中パクリタキセルまたはラパマイシンと反応するため、利用される。さらに、界面活性剤添加は、粒子が取扱中に落ちないように、コーティング層の完全性および品質を改善する。ここに記載する界面活性剤をパクリタキセルと製剤するとき、実験的に標的部位での0.2~10分の極めて短い留置時間中のパクリタキセルの迅速な放出および溶出を促進しながら、デバイス送達過程中の薬物の早期放出を保護する。標的部位での組織による薬物吸収は、実験的に予想外に高い。
【0237】
1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分を有する化学化合物
ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル/カプリン酸ジグリセライド、PEG8カプリル/カプリン酸グリセライド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート(例えば、Labrasol(登録商標))、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレインおよびモノオレインを含む。
【0238】
ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物は、アミノアルコール、ヒドロキシルカルボン酸、エステル、無水物、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシルエステル、糖リン酸、糖硫酸、エチルオキシド、エチルグリコール、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ソルビタン、グリセロール、ポリアルコール、ホスフェート、スルフェート、有機酸、エステル、塩、ビタミン、アミノアルコールと有機酸の組み合わせおよびそれらの置換された分子を含む。5,000~10,000未満の分子量を有する親水性ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する化合物が、ある実施態様において利用される。他の実施態様において、ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシル、酸、アミドまたはエステル部分の1以上を有する添加物の分子量は、1000~5,000未満または750~1,000未満または750未満である。これらの実施態様において、添加物の分子量送達する薬物より小さくなければならない。さらに、添加物の分子量は、80未満の分子量を有する分子が極めて容易に揮発し、医療デバイスのコーティングに留まらないため、80より高くなければならない。小分子は、迅速に拡散し得る。それ自体、送達バルーンから容易に放出され、薬物の放出を加速し、薬物が体腔の組織に結合したとき、薬物から拡散して離れ得る。
【0239】
ある実施態様において、例えば、高分子量添加物の場合、4を超えるヒドロキシル基を有する添加物が利用される。大分子はゆっくり拡散する。添加物または化合物の分子量が高いならば、例えば分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超えるまたは2000を超えるならば、大分子は、2分以内に薬物を放出するには遅すぎるように、医療デバイスの表面を溶出し得る。これらの大分子が4を超えるヒドロキシル基を有するならば、親水性性質が増大し、これは、比較的大分子が薬物を迅速に放出するのに必要である。親水性増加は、コーティングをバルーンから溶出させることを助け、薬物の放出を加速し、水障壁および脂質二層の極性頭部を経て組織に浸透する薬物移動を促進する。ある実施態様において、ヒドロキシル基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの水不溶性薬物と反応する可能性が低いため、親水性部分として利用される。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は120℃以下の融点を有する。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は、3つの隣接ヒドロキシル基を有し、これらは全てが分子の一方の面にある立体配置である。例えば、ソルビトールおよびキシリトールは、全てが分子の一方の面にある立体配置である3つの隣接ヒドロキシル基を有し、一方ガラクチトールは有しない。この差異は、融解温度などの異性体の物理的性質に影響する。3つの隣接ヒドロキシル基の立体配置は、薬物結合を増強し得る。これは、水不溶性薬物および親水性添加物の適合性の改善および薬物の組織取り込みおよび吸収の改善に至る。
【0240】
ここに記載する1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物のいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらはエチレンオキシド滅菌過程で残り、滅菌中水不溶性薬物パクリタキセルまたはラパマイシンと反応しない。他方で、L-アスコルビン酸およびその塩およびジエタノールアミンはこのような滅菌過程で必ずしも残らず、パクリタキセルと反応する。それ故にL-アスコルビン酸およびジエタノールアミンのために異なる滅菌方法が利用される。例えば、ヒドロキシル基、エステル基およびアミド基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの治療剤と反応する可能性が低いため、利用される。時折、アミン基および酸基はパクリタキセルと反応し、例えば、実験的に、安息香酸、ゲンチジン酸、ジエタノールアミンおよびアスコルビン酸は、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエージング過程下で安定ではなく、パクリタキセルと反応する。ここに記載する化合物がパクリタキセルと製剤されるとき、トップコート層は、時折親水性小分子は、薬物をあまりにも簡単に放出するため、標的部位への留置前にデバイス送達過程中の早期薬物喪失から保護するのに有利であり得る。ここに記載する化合物は、標的部位で留置中バルーンから迅速に薬物を放出する。驚くことに、デバイスを標的部位に輸送中、薬物が一部喪失しても、コーティングがこれらの添加物を含むとき、例えば、リボ酸ラクトンおよびグルコノラクトンなどの添加物ヒドロキシルラクトンで、組織による実験的に薬物吸収は、わずか0.2~10分の留置で予想外に高い。
【0241】
脂肪可溶性ビタミンおよびその塩
ビタミンA、D、EおよびKは、種々の形態およびプロビタミン形態のほとんどで脂肪可溶性ビタミンと考えられ、これらに加えて、数種の他のビタミンおよびビタミン源または密接な関係物も脂肪可溶性であり、極性基および比較的高いオクタノール-水分配係数を有する。明らかに、化合物このような化合物の一般的群は、安全使用および高ベネフィット対リスク比の歴史を有し、本発明の実施態様における添加物として有用となる。
【0242】
次の脂肪可溶性ビタミン誘導体および/または源の例も添加物として有用である:アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、デルタ-トコフェロール、トコフェロールアセテート、エルゴステロール、1-アルファ-ヒドロキシコレカルシフェロール、ビタミンD2、ビタミンD3、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ガンマ-カロテン、ビタミンA、フルスルチアミン、メチロールリボフラビン、オクトチアミン、プロスルチアミン、リボフラビン、ビンチアモール、ジヒドロビタミンK1、メナジオールジアセテート、メナジオールジブチレート、メナジオールジスルフェート、メナジオール、ビタミンK1、ビタミンK1オキシド、ビタミンK2およびビタミンK--S(II)。葉酸もこのタイプであり、生理学的pHで水溶性であるが、遊離酸形態で製剤され得る。本発明の実施態様において有用な脂肪可溶性ビタミンの他の誘導体は、親水性分子との周知化学反応により容易に得られ得る。
【0243】
水溶性ビタミンおよびその両親媒性誘導体
ビタミンB、C、U、パントテン酸、葉酸およびメナジオン関連ビタミン/プロビタミンのいくつかは、それらの種々の形態の大部分で、水溶性ビタミンと考えられる。これらはまた、疎水性部分または多価イオンとコンジュゲートまたは複合体化させ、比較的高いオクタノール-水分配係数および極性基を有する両親媒性形態にし得る。同様に、このような化合物は低毒性および高ベネフィット対リスク比のものであり得て、本発明の実施態様における添加物として有用となる。これらの塩も本発明における添加物として有用であり得る。水溶性ビタミンおよび誘導体の例は、アセチアミン、ベンフォチアミン、パントテン酸、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6およびビタミンUを含むが、これらに限定されない。また、上記のとおり、葉酸は、生理学的pHを含む広いpH範囲にわたり、塩として水溶性である。
【0244】
アミノまたは他の塩基性基が存在する化合物は、脂肪酸(特にラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸または2-エチルヘキサン酸)、低溶解度アミノ酸、安息香酸、サリチル酸または酸性脂肪可溶性ビタミン(例えばリボフラビン)などの疎水性基含有酸との単純酸-塩基反応により容易に修飾され得る。他の化合物は、このような酸と、ヒドロキシル基などのビタミンの他の基を反応させて、エステル結合などのような結合を形成させることにより、得られる。酸性基を有する水溶性ビタミンの誘導体は、ステアリルアミンまたはリボフラビンなどの疎水性基含有反応体と反応させて、例えば、本発明の実施態様において有用である化合物を産生し得る。パルミテート鎖のビタミンCへの結合は、アスコルビルパルミテートを生じる。
【0245】
アミノ酸およびその塩
アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよびその誘導体は、本発明の実施態様において有用な他の添加物である。
【0246】
あるアミノ酸は、両性イオン形態および/または単価または多価イオンとの塩形態で、極性基、比較的高いオクタノール-水分配係数を有し、本発明の実施態様において有用である。本明細書の記載において、我々は、「低溶解度アミノ酸」を、非緩衝化水に約4%(40mg/mL)未満の溶解度を有するアミノ酸を意味すると解釈する。これらは、システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびメチオニンを含む。
【0247】
アミノ酸二量体、糖コンジュゲートおよび他の誘導体も有用である。当分野で周知の簡単な反応により、親水性分子を疎水性アミノ酸にまたは疎水性分子を親水性アミノ酸に結合させて、本発明の実施態様において有用なさらなる添加物を製造し得る。
【0248】
ドーパミン、レボドパ、カルビドパおよびDOPAなどのカテコラミンも、添加物として有用である。
【0249】
オリゴペプチド、ペプチドおよびタンパク質
オリゴペプチドおよびペプチドは、疎水性および親水性アミノ酸が容易に結合でき、種々の配列のアミノ酸が試験で薬物による組織の浸透を最大に促進し得るため、添加物として有用である。
【0250】
タンパク質も、本発明の実施態様における添加物として有用である。血清アルブミンは、例えば、水溶性であり、薬物に結合する顕著な疎水性部分を含むため、有用な添加物であり、パクリタキセルは、ヒト静脈内点滴後、主に(97%)アルブミンに89%~98%タンパク質結合であり、ラパマイシンは、92%タンパク質結合である。さらに、PBS中のパクリタキセル溶解度は、BSA添加で20倍を超えて増加する。アルブミンは血清に高濃度で天然に存在し、故に、ヒト使用に極めて安全である。
【0251】
他の有用なタンパク質は、他のアルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、イムノグロビン、a-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼなどを含むが、これらに限定されない。
【0252】
有機酸ならびにそのエステルおよび無水物
例は、酢酸および無水物、安息香酸および無水物、ジエチレントリアミン五酢酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、マレイン酸および無水物、コハク酸および無水物、ジグリコール酸無水物、グルタル酸無水物、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸アスパラギン酸、ニコチン酸、2-ピロリドン-5-カルボン酸および2-ピロリドンを含む。
【0253】
これらのエステルおよび無水物は、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に可溶性である。水不溶性薬物を、これらのエステルおよび無水物を用いて有機溶媒に溶解し、次いで医療デバイスを容易に被覆し、次いで高pH条件下で加水分解する。加水分解した無水物またはエステルは酸またはアルコールであり、これらは水溶性であり、薬物をデバイスから体腔の壁に効率的に運搬し得る。
【0254】
1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する他の化学化合物
ある実施態様における添加物は、環状および直鎖脂肪族および芳香族基両方のアミノアルコール、アルコール、アミン、酸、アミドおよびヒドロキシル酸を含む。例は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸、シナピン酸、バニリン酸、バニリン酸ジエチルアミド、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、ここに記載する有機酸およびアミンの何れかの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール(例えば、複数ヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)、ガラクチトール、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせである。
【0255】
添加物の組み合わせも本発明の目的で有用であり得る。ある実施態様は、2つの添加物、例えば、界面活性剤を含む第一添加物および1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物を含む第二添加物の組み合わせまたは混合物を含む。
【0256】
界面活性剤および小水溶性分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)の組み合わせまたは混合物は利点を有する。2つの添加物と水不溶性薬物の混合物を含む製剤は、ある場合、何れかの添加物単独を含む混合物より優れる。疎水性薬物は、極度に水溶性の小分子に、界面活性剤より結合が乏しい。それらは、小水溶性分子から分離した相であり、これは、最適以下のコーティング均一性および完全性に至り得る。水不溶性薬物は、界面活性剤および小水溶性分子の両方より高いlogPを有する。しかしながら、界面活性剤のlogPは、一般に1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物のlogPより高い。界面活性剤は比較的高いlogP(通常0を超える)を有し、水溶性分子は低logP(例えば、0未満)を有する。いくつかの界面活性剤は、本発明の実施態様における添加物として使用するとき、水不溶性薬物および医療デバイスの表面に、薬物が標的部位で医療デバイスの表面から迅速に放出できないほど強く接着する。他方で、水溶性小分子(1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する)のいくつかは、標的部位到達前、例えば、被覆バルーンカテーテルの介入標的部位への輸送中、血清で薬物を放出するほど、医療デバイスへの接着が悪い。驚くことに、製剤中の小親水性分子および界面活性剤の濃度比を調節することにより、本発明者らは、輸送中のコーティング安定性と、膨張し、治療介入標的部位の管腔壁の組織に押しつけられたときの迅速な薬物放出が、ある場合、何れかの添加物単独を含む製剤より優れていることを発見した。さらに、界面活性剤の存在は、水不溶性薬物と高度に水溶性の分子の混和性および適合性を改善する。界面活性剤はまた薬物および小分子への良好な接着により、コーティング均一性および完全性を改善する。界面活性剤の長鎖疎水性部分は薬物に結合し、界面活性剤の親水性部分は水溶性小分子に結合する。
【0257】
混合物または組み合わせにおける界面活性剤は、本発明の実施態様における使用について、ここに記載する界面活性剤全てを含む。混合物中の界面活性剤は、PEGソルビタン脂肪エステル;PEGオメガ-3脂肪エステル、エーテルおよびアルコール;グリセロール脂肪エステル、ソルビタン脂肪エステル、PEGグリセリル脂肪エステル、PEG脂肪エステルおよびアルコール、糖脂肪エステル、PEG糖エステル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGラウレート、PEGオレアート、PEGステアレート、PEGグリセリルラウレート、PEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリルオレアート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリル-6オレアート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリル-10オレアート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアート、PEGソルビタンステアレート、PEGオレイルエーテル、PEGラウリルエーテル、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシドおよびそれらの誘導体から選択され得る。
【0258】
混合物または組み合わせ中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物の実施態様は、本発明の実施態様における使用について、ここに記載するあらゆる1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物を含み得る。種々の実施態様において、混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。ある実施態様において、例えば高分子量添加物の場合、4を超えるヒドロキシル基を有する添加物が利用される。ある実施態様において、4を超えるヒドロキシル基を有する化合物は120℃以下の融点を有する。大分子はゆっくり拡散する。添加物または化合物の分子量が高いならば、例えば分子量が800を超える、1000を超える、1200を超える、1500を超えるまたは2000を超えるならば、大分子は、2分以内に薬物を放出するには遅すぎるように、医療デバイスの表面を溶出し得る。これらの大分子が4を超えるヒドロキシル基を有するならば、親水性性質が増大し、これは、比較的大分子が薬物を迅速に放出するのに必要である。親水性増加は、コーティングをバルーンから溶出させることを助け、薬物の放出を加速し、水障壁および脂質二層の極性頭部を経て組織に浸透する薬物移動を促進する。ある実施態様において、ヒドロキシル基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの水不溶性薬物と反応する可能性が低いため、親水性部分として利用される。
【0259】
混合物中の1以上のヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物は、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、ソルビトール、グルシトール、糖リン酸、リン酸グルコピラノース、糖硫酸、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトール、2-エトキシエタノール、糖、ガラクトース、グルコース、リボース、マンノース、キシロース、スクロース、ラクトース、マルトース、アラビノース、リキソース、フルクトース、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、ここに記載する有機酸およびアミンの何れかの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせから選択される。
【0260】
界面活性剤および水溶性小分子の混合物または組み合わせは、両添加物の利益を与える。水不溶性薬物はしばしば高度に水溶性の化合物と適合性が悪く、界面活性剤は適合性を改善する。界面活性剤はまたコーティング品質、均一性および完全性を改善し、粒子は取扱中にバルーンから落ちない。界面活性剤は、標的部位への輸送中の薬物喪失を減少させる。水溶性化合物は、バルーンからの薬物の放出および組織における薬物の吸収を改善する。実験的に、組み合わせは、驚くことに輸送中の薬物放出阻止および極めて短い0.2~2分留置後の組織における高薬物レベルに有効である。さらに、動物実験において、効果的に狭窄を減少させ、管腔喪失を遅延させた。
【0261】
界面活性剤および水溶性小分子の混合物または組み合わせのいくつかは、加熱下で極めて安定である。それらはエチレンオキシド滅菌過程で残り、滅菌中水不溶性の1種以上の薬物(例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤またはそのアナログおよびそれらの組み合わせ)と反応しない。ある実施態様において、ヒドロキシル基、エステル基、アミド基は、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの治療剤と反応する可能性が低いため、利用される。時折アミン基および酸基はパクリタキセルと反応し、エチレンオキシド滅菌、加熱およびエージング下で安定ではない。ここに記載する混合物または組み合わせをパクリタキセルと製剤するとき、トップコート層は、薬物層をデバイスの早期薬物喪失から保護するために有利であり得る。
【0262】
添加物の例は、p-イソノニルフェノキシポリグリシドール、PEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリルオレアート、ポリグリセリンミリステート、ポリグリセリンパルミテート、ポリグリセリン-6ラウレート、ポリグリセリル-6オレアート、ポリグリセリン-6ミリステート、ポリグリセリン-6パルミテート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリル-10オレアート、ポリグリセリン-10ミリステート、ポリグリセリン-10パルミテート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアート、PEGソルビタンステアレート、オクトキシノール、オクトキシノール-9、ノノキシノール、チロキサポール、スクロースモノパルミテート、スクロースモノラウレート、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル-β-D-グルコピラノシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-グルコピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトシド、ヘプタノニル-N-メチルグルカミド、n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド、n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド、n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、オクチル-β-D-チオグルコピラノシド;システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸およびメチオニン(アミノ酸)、セトチアミン、シクロチアミン、デクスパンテノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸およびその塩、ピリドキサール5-ホスフェート、ニコチンアミドアスコルベート、リボフラビン、リン酸リボフラビン、チアミン、葉酸、二リン酸メナジオール、メナジオン重亜硫酸ナトリウム、メナドキシム、ビタミンB12、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK6およびビタミンU(ビタミン類);アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、ヘモグロビン、リゾチーム、イムノグロビン、a-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、リパーゼ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼト二ウム、ドセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ナトリウムドセチルスルフェート、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロライドおよびナトリウムスルホンコハク酸のジアルキルエステル、L-アスコルビン酸およびその塩、D-グルコアスコルビン酸およびその塩、トロメタミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メグルミン、グルカミン、アミンアルコール、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、ラクトビオン酸、グルコサミン、グルタミン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、リシン酢酸塩、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、ラクチトール、シナピン酸、バニリン酸、バニリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビトール、キシリトール、シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-シクロデキストリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、レチノイン酸、酢酸リシン、ゲンチジン酸、カテキン、没食子酸カテキン、チレタミン、ケタミン、プロポフォール、乳酸、酢酸、あらゆる有機酸および有機アミンの塩、ポリグリシドール、グリセロール、マルチグリセロール、ガラクチトール、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4、ジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)、ペンタ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)オリゴマー、ジ(プロピレングリコール)、トリ(プロピレングリコール)、テトラ(プロピレングリコールおよびペンタ(プロピレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)オリゴマー、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマーおよび誘導体およびそれらの組み合わせを含む。(1以上のヒドロキシル、アミノ、カルボニル、カルボキシルまたはエステル部分を有する化合物)。これらの添加物のいくつかは、水溶性かつ有機溶媒に可溶性である。これらは良好な接着剤性質を有し、バルーンカテーテルなどのポリアミド医療デバイスの表面に接着する。それらは、それ故に本発明の実施態様における粘着層、最上層および/または薬物層で使用し得る。芳香族および脂肪族基は、コーティング溶液における水不溶性薬物の溶解度を上げ、アルコールおよび酸の極性基は、組織の薬物浸透を加速する。
【0263】
本発明の他の実施態様における添加物は、ヒドロキシルケトン、ヒドロキシルラクトン、ヒドロキシル酸、ヒドロキシルエステルおよびヒドロキシルアミドを含む。例は、グルコノラクトン、D-グルコヘプトノ-1,4-ラクトン、グルコオクタン酸ラクトン、グロン酸ラクトン、マンノン酸ラクトン、エリトロン酸ラクトン、リボ酸ラクトン、グルクロン酸、グルコン酸、ゲンチジン酸、ラクトビオン酸、乳酸、アセトアミノフェン、バニリン酸、シナピン酸、ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベンおよびその誘導体を含む。
【0264】
構造の観点から、これらの添加物は構造類似性を共有し、水不溶性薬物(例えばパクリタキセルおよびラパマイシン)と適合性である。それらは、しばしば芳香族または脂肪族構造にC=C、C=N、C=Oなどの二重結合を含む。これらの添加物はまたアミン、アルコール、エステル、アミド、無水物、カルボン酸および/またはヒドロキシル基を含む。それらは、薬物と水素結合および/またはファンデルワールス相互作用を形成し得る。それらはまたコーティングにおける最上層にも有用である。1以上のヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミン基を含む化合物は、デバイス表面からの薬物放出を促進し、極性頭部および細胞膜の表面タンパク質に隣接する水を容易に置換し、それにより疎水性薬物透過性のためにこの障壁を除き得るため、例えば、添加物として特に有用である。それらは、疎水性薬物を、バルーンから、それらが極めて高親和性を有する細胞膜および組織の脂質層への移動を加速する。それらはまた薬物のバルーンから、例えば、バルーン血管形成術またはステント膨張により損傷されている、非血管組織間質性間隙などのより水性の環境への移動を運びまたは加速もし得る。ポリグリセリン脂肪エステル、脂肪酸のアスコルビン酸エステル、糖エステル、アルコールおよび脂肪酸のエーテルなどの添加物は、標的組織膜の脂質構造に統合され得て、薬物を脂質構造に運搬する脂肪鎖を有する。アミノ酸、ビタミンおよび有機酸の一部は、構造に芳香族C=N基ならびにアミノ、ヒドロキシルおよびカルボン酸要素を有する。それらは、パクリタキセルまたはラパマイシンなどの疎水性薬物と結合または複合体化できる構造的部分を有し、疎水性薬物と細胞膜の脂質構造の間の障壁を除去することにより組織浸透を促進する構造的部分も有する。
【0265】
例えば、イソノニルフェニルポリグリシドール(Olin-10 Gおよび界面活性剤-10G)、PEGグリセリルモノオレアート、ソルビタンモノラウレート(Arlacel 20)、ソルビタンモノパルミテート(Span-40)、ソルビタンモノオレアート(Span-80)、ソルビタンモノステアレート、ポリグリセリン-10オレアート、ポリグリセリン-10ラウレート、ポリグリセリン-10パルミテートおよびポリグリセリン-10ステアレートは、全て親水性部分に4を超えるヒドロキシル基を有する。これらのヒドロキシル基は体腔の壁に対して極めて良好な親和性を有し、水素結合水分子を置き換え得る。同時に、それらは疎水性薬物と複合化でき、かつ細胞膜の脂質構造に統合され、脂質構造の部分を形成し得る脂肪酸、アルコール、エーテルおよびエステルの長鎖を有する。標的細胞の脂質膜のこの変形または弛緩は、さらに、疎水性薬物の組織への浸透を加速し得る。
【0266】
他の例として、L-アスコルビン酸、チアミン、マレイン酸、ナイアシンアミドおよび2-ピロリドン-5-カルボン酸は全て極めて高い水およびエタノール溶解度ならびに低分子量および小サイズを有する。それらはまた芳香族C=N、アミノ基、ヒドロキシル基およびカルボン酸基を含む構造的要素も有する。これらの構造は、パクリタキセルおよびラパマイシンと極めて良好な適合性を有し、これらの水不溶性薬物の水への溶解度を増加させ、組織へのその吸収を加速し得る。しかしながら、それらはしばしば医療デバイスの表面への接着が悪い。それらは、それ故にそれらが薬物吸収の増強に有用である場所である薬物層および最上層で他の添加物と組み合わせて使用される。ビタミンD2およびD3は、特にパクリタキセルと組み合わせて使用されるとき、抗再狭窄効果を有し、血栓症を減少させるため、特に有用である。
【0267】
本発明の実施態様において、添加物は水性溶媒に可溶性であり、有機溶媒に可溶性である。色素スーダンレッドなどの十分な親水性部分を欠き、水性溶媒に不溶性である極度に疎水性化合物は、これらの実施態様において添加物として有用ではない。スーダンレッドは遺伝毒性でもある。
【0268】
ある実施態様において、医療デバイスの表面に適用される少なくとも1つの治療剤の濃度密度は、約1~20μg/mmまたは約2~6μg/mmまたは約0.5μg/mm以下または約1μg/mm、2μg/mm、3μg/mm、4μg/mm、5μg/mm、6μg/mm、7μg/mm、8μg/mm、9μg/mm、10μg/mm、12μg/mm、14μg/mm、16μg/mm、18μg/mmまたは約20μg/mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。医療デバイスがバルーンであるならば、これらの測定値は公称径で計算する。ある実施態様において、医療デバイスの表面に適用する少なくとも1つの添加物の濃度は、約0.5~20μg/mmまたは約2~6μg/mmまたは約0.5μg/mm以下または約1μg/mm、2μg/mm、3μg/mm、4μg/mm、5μg/mm、6μg/mm、7μg/mm、8μg/mm、9μg/mm、10μg/mm、12μg/mm、14μg/mm、16μg/mm、18μg/mmまたは約20μg/mm未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。本発明の実施態様においてコーティング層中の添加物対薬物の重量比は約20~0.05、約10~0.1または約5~0.15であり得る。
【0269】
コーティング層中の治療剤と添加物の相対的量は、適用可能な環境により変わり得る。添加物の最適量は、例えば、選択した特定の治療剤および添加物、表面モディファイヤーがミセルを形成するならばその臨界ミセル濃度、界面活性剤の親水性-親油性-バランス(HLB)または添加物のオクタノール-水分配係数(P)、添加物の融点、添加物および/または治療剤の水溶解度、表面モディファイヤーの水溶液の表面張力などにより得る。
【0270】
他の考察事項は、種々の添加物の特定の割合の選択をさらに情報提供する。これらの考察事項は、添加物の生体認容性の程度および所望の提供すべき治療剤の用量を含み得る。
【0271】
治療剤
本発明の実施態様において使用し得る治療剤は、あらゆる薬物または生物学的活性物質であり得る。治療剤は、疎水性治療剤、抗増殖性治療剤、抗炎症剤またはそれらの組み合わせであり得る。薬物は、種々の物理的状態、例えば、分子分布、結晶形態またはクラスター形態であり得る。本発明の実施態様において特に有用である薬物の例は、親油性の実質的に水不溶性の薬物、例えばパクリタキセル、ラパマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ラパコン、ビタミンD2およびD3およびアナログおよびその誘導体である。これらの薬物は、脈管構造の組織の処置に使用するバルーンカテーテルのコーティングで使用するのに特に適する。治療剤、例えば、パクリタキセル、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、エベロリムス、mTOR阻害剤(すなわち、ラパマイシンの機構的標的を阻害する薬物群)またはそのアナログなどの抗増殖剤を、狭小化または狭窄処置のために体腔壁に送達し得る。
【0272】
本発明の実施態様において有用であり得る他の薬物は、グルココルチコイド(例えば、デキサメサゾン、ベタメタゾン)、ヒルジン、アンジオペプチン、アスピリン、増殖因子、アンチセンス剤、抗癌剤、抗増殖剤、オリゴヌクレオチドおよび、より一般に、抗血小板剤、抗凝固剤、有糸分裂阻害剤、抗酸化剤、代謝拮抗剤、抗走化性剤、抗炎症剤およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0273】
特に気道、副鼻腔および他の鼻腔だけでなく、尿道適用のために、種々の実施態様において有用であり得るいくつかの薬物は、ブデソニド、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルチカゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、デキサメサゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニドなどのコルチコステロイドである。他のいくつかの適当な薬物は、テルブタリン、アルブテロール、イプラトロピウム、ピルブテロール、エピネフリン、サルメテロール、レバルブテロール、フォルモテロールなどであり、薬物は気管支拡張剤または血管収縮剤であり得る。
【0274】
本発明の実施態様においてまた有用なのは、例えば、炎症および/または平滑筋細胞または線維芽細胞増殖を阻害する、ポリヌクレオチド、アンチセンス、RNAiまたはsiRNAである。
【0275】
抗血小板剤は、アスピリンおよびジピリダモールなどの薬物を含み得る。アスピリンは、鎮痛、解熱、抗炎症および抗血小板薬物として分類される。ジピリダモールは、抗血小板特性を有する点でアスピリンに類似する薬物である。ジピリダモールは冠血管の血管拡張剤としても分類される。本発明の実施態様において使用するための抗凝固剤は、ヘパリン、プロタミン、ヒルジンおよびダニ抗凝固タンパク質などの薬物を含み得る。抗酸化剤はプロブコールを含み得る。抗増殖剤は、アムロジピンおよびドキサゾシンなどの薬物を含む。本発明の実施態様において使用し得る有糸分裂阻害剤および代謝拮抗剤は、メトトレキサート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、5-フルオロウラシル、アドリアマイシンおよびムタマイシンなどの薬物を含み得る。本発明の実施態様において使用するための抗生物質は、ペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンを含む。本発明の実施態様において使用するのに適当な抗酸化剤はプロブコールを含む。さらに、遺伝子または核酸またはその一部が、本発明の実施態様において治療剤として使用され得る。さらに、トラニラストなどのコラーゲン合成阻害剤が、本発明の実施態様において治療剤として使用され得る。
【0276】
例えば、ポルフィマーなどの種々のポルフィリン化合物を含む光線力学または放射線療法のための感光剤も、本発明の実施態様において薬物として有用である。
【0277】
本発明の実施態様において使用するための薬物は、エベロリムス、ソマトスタチン、タクロリムス、ロキシスロマイシン、ズナイマイシン、アスコマイシン、バフィロマイシン、エリスロマイシン、ミデカマイシン、ジョサマイシン、コンカナマイシン、クラリスロマイシン、トロレアンドマイシン、フォリマイシン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、エトポシド、テニポシド、ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、4-ヒドロキシシクロホスファミド、エストラムスチン、メルファラン、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、ベンダムスチン、ダカルバジン、ブスルファン、プロカルバジン、トレオスルファン、テモゾロミド、チオテパ、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、メトトレキサート、フルダラビン、フルダラビン-5’-ジハイドロゲンホスフェート、クラドリビン、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ドセタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、ヒドロキシカルボアミド、ミルテホシン、ペントスタチン、アルデスロイキン、トレチノイン、アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、フォルメスタン、アミノグルテチミド、アドリアマイシン、アジスロマイシン、スピラマイシン、セファランチン、smc増殖阻害剤-2w、エポチロンAおよびB、ミトキサントロン、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、c-myc-アンチセンス、b-myc-アンチセンス、ベツリン酸、カンプトテシン、ラパコール、ベータ.-ラパコン、ポドフィロトキシン、ベツリン、ポドフィリン酸2-エチルヒドラジド、モルグラモスチム(rhuGM-CSF)、ペグインターフェロンa-2b、レノグラスチム(r-HuG-CSF)、フィルグラスチム、マクロゴール、ダカルバジン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、セレクチン(サイトカインアンタゴニスト)、CETP阻害剤、カドヘリン、サイトカイニン阻害剤、COX-2阻害剤、NFkB、アンジオペプチン、シプロフロキサシン、カンプトテシン、フルオロブラスチン、筋肉細胞増殖を阻害するモノクローナル抗体、bFGFアンタゴニスト、プロブコール、プロスタグランジン、1,11-ジメトキシカンチン-6-オン、1-ヒドロキシ-11-メトキシカンチン-6-オン、スコポレチン、コルヒチン、ペンタエリスリトールテトラニトレートおよびシンドノエイミンなどのNOドナー、S-ニトロソ誘導体、タモキシフェン、スタウロスポリン、ベータ.-エストラジオール、a-エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、シピオン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、トラニラスト、カメバカウリンおよび癌の治療に適用される他のテルペノイド、ベラパミル、チロシンキナーゼ阻害剤(チロホスチン)、シクロスポリンA、6-a-ヒドロキシ-パクリタキセル、バッカチン、タキソテールおよび他の炭素亜酸化物の大環状オリゴマー(MCS)およびその誘導体、モフェブタゾン、アセメタシン、ジクロフェナク、ロナゾラク、ダプソン、o-カルバモイルフェノキシ酢酸、リドカイン、ケトプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、メロキシカム、リン酸クロロキン、ペニシラミン、ヒドロキシクロロキン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オキサセプロール、セレコキシブ、β-シトステリン、アデメチオニン、ミルテカイン、ポリドカノール、ノニバミド、レボメントール、ベンゾカイン、エスシン、エリプチシン、D-24851(Calbiochem)、コルセミド、サイトカラシンA~E、インダノシン、ノコダゾール、S 100タンパク質、バシトラシン、ビトロネクチン受容体アンタゴニスト、アゼラスチン、金属プロテイナーゼ-1および-2のグアニリルシクラーゼ刺激因子組織阻害剤、遊離核酸、ウイルス伝達物質に取り込まれた核酸、DNAおよびRNAフラグメント、プラスミノーゲンアクティベーター阻害剤-1、プラスミノーゲンアクティベーター阻害剤-2、アンチセンスオリゴヌクレオチド、VEGF阻害剤、IGF-1、抗生物質、例えばセファドロキシル、セファゾリン、セファクロル、セフォタキシム、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ペニシリン、例えばジクロキサシリン、オキサシリン、スルホンアミド、メトロニダゾール、抗血栓剤、例えばアルガトロバン、アスピリン、アブシキシマブ、合成抗トロンビン、ビバリルジン、クマジン、エノキサパリン、脱硫酸化およびN-再アセチル化ヘパリン、組織プラスミノーゲン活性化因子、GpIIb/IIIa血小板膜受容体、第Xa因子阻害剤抗体、ヘパリン、ヒルジン、r-ヒルジン、PPACK、プロタミン、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ワルファリン、ウロキナーゼ、血管拡張剤、例えばジピリダモール、トラピジル、ニトロプルシド、PDGFアンタゴニスト、例えばトリアゾロピリミジンおよびスラミン、ACE阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、リシノプリル、エナラプリル、ロサルタン、チオールプロテアーゼ阻害剤、プロスタサイクリン、バピプロスト、インターフェロンα、βおよびγ、ヒスタミンアンタゴニスト、セロトニンブロッカー、アポトーシス阻害剤、アポトーシスレギュレーター、例えばp65 NF-kBまたはBcI-xLアンチセンスオリゴヌクレオチド、ハロフジノン、ニフェジピン、トラニラスト、モルシドミン、茶ポリフェノール、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、ボスウェリン酸およびその誘導体、レフルノミド、アナキンラ、エタネルセプト、スルファサラジン、エトポシド、ジクロキサシリン、テトラサイクリン、トリアムシノロン、ムタマイシン、プロカインアミド、レチノイン酸、キニジン、ジソピラミド、フレカイニド、プロパフェノン、ソタロール、アミオダロン、天然および合成により得るステロイド、例えばブリオフィリンA、イノトジオール、マキロサイドA、ガラキノシド、マンソニン、ストレブロサイド、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメサゾン、非ステロイド性物質(NSAIDS)、例えばフェノプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾンおよび他の抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビルおよびジドブジン、抗真菌剤、例えばクロトリマゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィン、抗原虫剤、例えばクロロキン、メフロキン、キニン、さらに天然テルペノイド、例えばヒポカエスクリン、バリングトゲノール-C21-アンゲラート、14-デヒドロアグロスチスタチン、アグロスケリン、アグロスチスタチン、17-ヒドロキシアグロスチスタチン、オバトジオリド、4,7-オキシシクロアニソメル酸、バッカリノイドB1、B2、B3およびB7、ツベイモシド、ブルセアノールA、BおよびC、ブルセアンチノシドC、ヤダンジオリドNおよびP、イソデオキシエレファントピン、トメンファントピンAおよびB、コロナリンA、B、CおよびD、ウルソール酸、ヒプタチン酸A、ゼオリン、イソ-イソイリドゲルマナール、メイテンホリオール、エフサンチンA、エクシサニンAおよびB、ロンギカウリンB、スクルポネアチンC、カメバウニン、ロイカメニンAおよびB、13,18-デヒドロ-6-a-セネシオイルオキシシャパリン、タキサマイリンAおよびB、レジェニロール、トリプトリド、さらにシマリン、アポシマリン、アリストロキア酸、アノプテリン、ヒドロキシアノプテリン、アネモニン、プロトアネモニン、ベルベリン、ケリブリンクロライド、シクトキシン、シノコクリン、ボムブレスタチンAおよびB、クドライソフラボンA、クルクミン、ジヒドロニチジン、ニチジンクロライド、12-ベータ-ヒドロキシプレグナジエン-3,20-ジオン、ビロボール、ギンクゴール、ギンコール酸、ヘレナリン、インジシン、インジシン-N-オキシド、ラシオカルピン、イノトジオール、グリコシド1a、ポドフィロトキシン、ジュスチシジンAおよびB、ラレアチン、マロテリン、マロトクロマノール、イソブチリルマロトクロマノール、マキロサイドA、マルカンチンA、マイタンシン、リコリシジン、マルゲチン、パンクレアスタチン、リリオデニン、ビスパルテノリジン、オキソウシンスニン、アリストラクタム-AII、ビスパルテノリジン、ペリプロコシドA、ガラキノシド、ウルソール酸、デオキシソロスペルミン、サイコルビン、リシンA、サンギナリン、マヌー小麦酸、メチルソルビホリン、スファセリアクロメン、スチゾフィリン、マンソニン、ストレブロサイド、アカゲリン、ジヒドロウサンバレンシン、ヒドロキシウサンバリン、ストリキノペンタミン、ストリクノフィリン、ウサンバリン、ウサンバレンシン、ベルベリン、リリオデニン、オキソウシンスニン、ダフノレチン、ラリシレシノール、メトキシラリシレシノール、シリンガレシノール、ウンベリフェロン、アフロモソン、アセチルビスミオンB、デスアセチルビスミオンAおよびビスミオンAおよびBからなる群から選択される活性剤も含む。
【0278】
薬物の組み合わせも、本発明の実施態様において使用され得る。パクリタキセルとラパマイシン、パクリタキセルと活性ビタミンD、パクリタキセルとラパコン、ラパマイシンと活性ビタミンD、ラパマイシンとラパコンなどの、組み合わせのいくつかは、異なる機序を有するため、相加効果を有する。相加効果のために、薬物の用量は同様に減少させ得る。これらの組み合わせは、高薬物の用量の使用による合併症を減らし得る。
【0279】
溶媒
コーティング層製造のための溶媒は、例として、次の(a)水、(b)ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンおよびヘプタンなどのアルカン、(c)ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族溶媒、(d)エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、ジエチルアミド、エチレングリコールモノエチルエーテル、トランスクトールおよびベンジルアルコールなどのアルコール、(e)ジオキサン、ジメチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル、(f)酢酸エチルおよび酢酸イソブチルなどのエステル/アセテート、(g)アセトン、アセトニトリル、ジエチルケトンおよびメチルエチルケトンなどのケトンおよび(h)水/エタノール、水/アセトン、水/メタノール、水/テトラヒドロフランなどの水と有機溶媒の混合物の1個または組み合わせを含み得る。トップコーティング層における溶媒は、例えば、メタノール、エタノールおよびアセトンであり得る。
【0280】
短鎖アルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒は、これらの有機溶媒が、一般にコロイド凝集を破壊し、コーティング溶液中の要素全部を共可溶化するため、本発明の実施態様において特に有用な溶媒である。
【0281】
治療剤および1以上の添加物は、溶媒に分散、可溶化または他に混合され得る。溶媒中の薬物および添加物の重量パーセントは、0.1~80重量%または2~20重量%の範囲であり得る。
【0282】
種々の実施態様は、バルーンカテーテルを調製する方法を提供する。まず、少なくとも1つの溶媒、少なくとも1つの治療剤および少なくとも1つの添加物を含むコーティング溶液または懸濁液を製造する。少なくとも1つの実施態様において、コーティング溶液または懸濁液は、これら3要素しか含まない。コーティング溶液中の治療剤の含量は、溶液の総重量に基づき0.5~50重量%であり得る。コーティング溶液中の添加物の含量は、溶液の総重量に基づき、約0.1wt%~約45wt%、約0.2wt%~約40wt重量%、約0.3~約15wt%または約0.1wt%以下または約0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.8wt%、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、12wt%、14wt%、16wt%、18wt%、20wt%、22wt%、24wt%、26wt%、28wt%、30wt%、35wt%、40wt%または約45wt%未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。使用する溶媒の量は、コーティング過程および粘性による。それは、薬物-添加物コーティングの均一性に影響するが、蒸発される。
【0283】
他の実施態様において、2以上の溶媒、2以上の治療剤および/または2以上の添加物がコーティング溶液で使用され得る。
【0284】
他の実施態様において、治療剤、添加物およびポリマー材料がバルーンカテーテルのコーティング溶液で使用され得る。コーティングにおいて、治療剤はポリマー粒子に封入されていない。
【0285】
一体成型、固定容積液体分注、計量(例えば、バルーン上に容積に基づき固定量のコーティング溶液を分配)、スピニング、噴霧、ディッピング(浸漬)、インクジェット印刷、静電気技法およびこれらの方法の組み合わせなどの種々の技法を、コーティング溶液の医療デバイスへの適用に使用し得る。コーティング溶液の適用中、バルーンは、少なくとも一部膨張してよい。計量は、液体コーティング溶液を、リザーバーからバルーン表面(例えば、少なくとも一部膨張したバル-ンの表面)の近位であるノズルにポンプ輸送するなどにより、任意の適当な方法で実施し得る。ノズルはそこから液体を分注し、これはノズルへの近さのため、バルーンの外部に即時に伝達され得る(例えば、ノズルは、ノズルから出た液体が、ノズルから出る液体の滴を形成する前に、バルーン外部と接触し、伝達され得るようにバルーンと近い)。ノズルは、液体の喪失が実質的にないように、バルーン外部に液体を分注し得る。バルーンはノズルからの液体分注中、長軸周囲を回転し得る。ノズルは、バルーン長軸に並行なバルーンの外部に添うように、分注中移動できる。ある実施態様において、実質的にバルーン表面全体がコーティング溶液で被覆されるように、バルーンは分注中その長軸周囲を回転でき、ノズルは、バルーン長軸に添って移動し得る(例えば、旋盤上で回転している木の円筒形切片上の木工用ノミの動きに類する)。
【0286】
適用技法の選択は、主に溶液の粘性および表面張力による。本発明のある実施態様において、計量は、コーティング層の厚さおよび医療デバイスに適用された治療剤濃度の均一性の制御を容易にするため、利用され得る。
【0287】
本発明のある実施態様において、バルーンは膨張または一部膨張され、コーティング溶液を、バルーン膨張中および長軸に添って回転中に計量により膨張バルーンに適用させる。次いで、バルーンを乾燥させ、その後収縮させ、折り畳み、シースに入れる。
【0288】
適用デバイス、治具および計量技法の実施態様の記載は例である。任意の適当な計量または他の技法を、バルーンカテーテルのコーティングに使用し得る。
【0289】
医療デバイスをコーティング溶液で被覆後、被覆バルーンを、コーティング溶液中の溶媒を蒸発させる乾燥に付す。これにより、バルーン上に治療剤を含むコーティングマトリクスを作る。乾燥技法の一例は、被覆バルーンを約20℃以上のオーブンに約24時間入れることである。コーティング溶液乾燥の任意の他の適当な方法を使用し得る。時間、温度および相対湿度は、特定の添加物および治療剤に応じて変わり得る。
【0290】
本発明の実施態様は、良性前立腺肥大を処置する方法に関する。方法は、コーティングを含む医療デバイスを前立腺尿道に挿入することを含む。コーティング層は、治療剤および添加物を含む。この実施態様において、医療デバイスは、少なくとも拡張可能部分を有するように構成され得る。このようなデバイスのいくつかの例は、バルーンカテーテル、固定ワイヤバルーンカテーテル、オーバー・ザ・ワイヤバルーンカテーテル、ラピッド・エクスチェンジ型カテーテル、灌流バルーンカテーテル、注入カテーテル(例えば、遠位穿孔薬物注入カテーテル、穿孔バルーン、スペースド・ダブルバルーン、多孔性バルーンおよび浸出性バルーン、カッティング・バルーンカテーテル)、スペースド・ダブルバルーン、カッティング・バルーンカテーテル、スコアリング・バルーンカテーテル、自己拡張型およびバルーン拡張型ステント、ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、塞栓保護デバイスおよび種々の造影デバイスを含む。
【0291】
ここに記載するとおり、本発明で特に有用な医療デバイスの一例は、被覆バルーンカテーテルである。バルーンカテーテルは、一般に微小な、収縮バルーンが貼り付いた長く、狭い、中空管を有する。本発明の実施態様において、バルーンは薬物溶液で被覆される。次いで、バルーンは、非血管体腔における狭窄を通って、治療剤を必要とする封鎖、閉塞または他の組織に誘導される。適当な位置についたら、バルーンを膨張させ、非血管体腔における狭窄および/または封鎖または閉塞の壁と接触させる。薬物を標的組織に迅速に送達し、吸収を促進するのが本発明の実施態様の目的である。種々の実施態様において、デバイスが標的部位に配置されている間に、できるだけ短い時間で薬物を組織に効率的に送達するのが有利であり得る。治療剤は、薬物コーティングを罹患非血管組織に押し当てて接触させるバルーン膨張時間の約0.1~30分、例えばまたは約0.1~10分または約0.2~2分または約0.1~1分で、このような組織、例えば管腔壁に放出され得る。
【0292】
薬物の治療有効量が本発明の実施態様の実施により、例えば、前立腺に、送達されると考えると、ある場合ステントの必要性は無くなり、それに付随する破砕および液だれの合併症を無くし得る。
【0293】
バルーンカテーテルを、単独でまたは非脈管構造の処置のための他の方法および医療デバイス、例えば、狭窄についての直視下内尿道切開術(DVIU)およびBPHについての経尿道的前立腺切除術(TURP)と組み合わせて、非血管組織/疾患の処置に使用し得る。DVIUは、尿道狭窄の開口のために使用される方法である。具体的に、DVIUは、尿道管腔形成のために狭窄に減張切開が行われる方法である。DVIUは、コールドナイフ(尿道切開刀)またはホットナイフ(電極)を使用して達成され得る。カッターを体に入れ、尿道を通って、狭小化領域まで進める。減張切開が成された後、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張が実施され得る。さらに、ステント留置が、その後またはここに記載する被覆バルーンの膨張と同時に行われ得る。他の実施態様において、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張は、留置ステント内で実施され得る。TURPについて、一般に使用される医療デバイスはホットナイフ(電極)またはレーザーである。何れの場合も、デバイスを体に入れ、尿道を通って、前立腺尿道まで進める。前立腺組織が切除された後、本発明の実施態様の被覆バルーンを使用するバルーン拡張が実施され得る。さらに、ステント留置が、その後またはここに記載する被覆バルーンの膨張と同時に実施され得る。他の実施態様において、本発明の治療剤および添加物で被覆した自己拡張型ステントを、食道狭窄、アカラシア狭窄、胆汁性狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄および大腸狭窄を含む体腔狭窄に送達し、中に配置し得る。
【0294】
調製
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成する方法を提供する。方法は、近位コーン、少なくとも1つの本体部、少なくとも1つの本体部より小さい直径を有する少なくとも1つのネック部、他の少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有するバルーン型などの任意の適当な形状を有する型にバルーン材料を含む管を置くまたはバルーン材料を押し出すことを含み得る。方法は、バルーン材料をそのガラス転移温度を超える温度まで加熱し、バルーン材料チューブの内部を加圧し、バルーン厚を低減するためにバルーン材料を伸ばすことを含み得る。方法は、バルーン材料管を型内部に接触させるまで膨張させることも含み得る。
【0295】
本発明の種々の実施態様は、バルーンを形成させ、次いで、大きな直径範囲とするためにそれを収縮させる方法を提供する。方法は、バルーン材料を含む管をバルーン型に置くことを含み、ここで、バルーン型は、近位コーン、少なくとも1つの本体部および遠位コーンを含む形状を有する。方法は、バルーン材料管内部を加圧することを含む。方法は、バルーン材料管を型内部に接触させるまで200~400psiの圧力および100~200℃の温度で膨張させることを含む。形成されたバルーンを、次いで、バルーンを、形成過程より低い温度で、低膨張圧力で特定の時間、好ましくは1~30psiで70~90℃で、3~30秒徐冷することにより、収縮させる。バルーンが収縮したら、カテーテルシャフトに接続し、薬物で被覆し得る。本発明の実施態様において、製造技法、体腔を処置する方法または次の特許(これらは引用によりその全体がここに再現されているかのように本明細書に包含させる)に記載されるバルーンの何れもが使用され得る。米国特許7,163,522および7,108,826。
【0296】
本発明の実施態様の医療デバイスおよびコーティング層は、種々の方法により製造し得る。例えば、コーティング溶液を、治療剤、添加物および溶媒などの成分を全て、同時に、一緒に分散、溶解、拡散または他に混合することにより製造し得る。また、コーティング溶液は、溶解度または何れかの他のパラメータに基づき、各成分を連続的に添加することにより製造し得る。例えば、コーティング溶液を、まず治療剤を溶媒に添加し、次いで添加物を添加することにより製造し得る。あるいは、添加物を溶媒に最初に添加してよく、治療剤を後に添加してよい。使用する溶媒が薬物を十分に溶解しないならば、添加物が溶媒における薬物溶解度を上げるため、まず添加物を溶媒に添加し、次いで薬物を添加するのが有用である。
【0297】
国際前立腺症状スコア(IPSS)およびQ max
maxは、尿流動態検査中に得られる最大尿流量の測定値である。排尿中の尿の最大体積流量である。特定の時間(秒あたりまたは分あたり)排尿される尿の量の測定値である。尿流測定により測定し得る。Qmaxは排尿サイクル中の最大流量を示す。Qmaxは、肥大前立腺または他の尿路閉塞または尿道狭窄の診断の指標として使用される。低いQmaxは、肥大前立腺による閉塞または尿道狭窄で尿道が一部閉塞していることを示し得る。
【0298】
本発明、例えば、図3に示すバルーンを使用して、尿道狭窄を有する患者は、Qmaxの増加を経験し得る。尿道狭窄を有する人の典型的Qmaxは、0~10mL/秒の範囲である。本発明のバルーンでの処置後(測定値は、通常処置後14~30日に取る)、Qmaxは9~52mL/秒までまたは最低限15mL/秒または、ある実施態様において、最低限20mL/秒または、ある実施態様において、約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上まで上昇することが予測される。この処置は、Qmaxに長期効果を有することが示されている。ある実施態様において、6ヶ月後、Qmaxはなお15mL/秒、20mL/秒またはそれ以上または6~50mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、種々の実施態様において、Qmaxはなお15mL/秒、20mL/秒を超えまたは6~50mL/秒、9~32mL/秒の範囲、約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。
【0299】
本発明、例えば、図1A、1B、1C、2、5A~5Dまたは7A~7Cに示すバルーンを使用して、良性前立腺肥大を有する患者は、Qmaxの増加を経験し得る。BPHを有する人の典型的Qmaxは、0~12mL/秒の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、種々の実施態様において、Qmaxは最低限16mL/秒、4~58mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒、50mL/秒、55mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたは約60mL/秒またはそれ以上まで増加し得る。処置は、Qmaxに長期効果を有することが示されている。6ヶ月後、Qmaxは最低限16mL/秒を超えまたは、ある実施態様において、16~32mL/秒の範囲または約8mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、~28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、Qmaxは最低限16mL/秒を超えまたは、ある実施態様において、16~30mL/秒の範囲または約8mL/秒mL/秒、9mL/秒、10mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、13mL/秒、14mL/秒、15mL/秒、16mL/秒、17mL/秒、18mL/秒、19mL/秒、20mL/秒、22mL/秒、24mL/秒、26mL/秒、28mL/秒、30mL/秒、35mL/秒、40mL/秒、45mL/秒または約50mL/秒未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0300】
国際前立腺症状スコア(IPSS)は、有効な患者報告転帰尺度(PROM)スコアリングシステムである。世界中で泌尿器科医はそれを認め、良性前立腺肥大(BPH)および他の下部尿路症状(LUTS)および尿道狭窄などの疾患のスクリーニングおよび診断に使用される。IPSSスコアにより、泌尿器科医が症状のモニターおよび疾患をどのように管理するかの決定を可能とし、ガイドする。IPSSは8つの質問の回答からなり、7問は疾患症状に関し、1問は患者のクオリティ・オブ・ライフに関する。症状問診について、患者は、状態を表す最良の等級づけを選択するよう求められる。スケールは0~5の範囲であり、5は最も症候性の疾患を表す。7症状スコアを合算して、最大35点の可能性のある全体スコアを得る。クオリティ・オブ・ライフ問診に対する回答は、スケール0~6で採点する。これらのスコアリングシステムにより、スコアを次のとおり分類し得る。スコアが7以下ならば症状は軽度;スコアが8~19ならば症状は中程度;そしてスコアが20~35ならば症状は重度。
【0301】
本発明、例えば図3に示すバルーンを使用して、尿道狭窄を有する患者は、IPSS減少を経験し得る。尿道狭窄を有する人の典型的IPSSは、15~35の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、IPSSは最大14または、ある実施態様において0~13、4~13、0~11の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であることが予測される。この処置は、IPSSに長期効果を有することが示されている。6ヶ月後、IPSSはなお最大14より低く、ある実施態様において0~13、1~13、0~11または0の範囲または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上である。12ヶ月後、IPSSはなお最大14より低くまたは0~7または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0302】
本発明、例えば図1A、1B、1Cまたは2に示すバルーンカテーテルを使用して、良性前立腺肥大を有する患者は、IPSS減少を経験し得る。煩わしい症候性BPHを有する人の典型的IPSSは、15~35の範囲である。本発明のバルーンでの処置後、IPSSは、最大14または、ある実施態様において、4~13の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。この処置は、IPSSに長期効果を有し得る。6ヶ月後、IPSSはなお最大14であり、ある実施態様において1~13の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。12ヶ月後、IPSSはなお最大14を下回りまたはある実施態様において1~14の範囲または0または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または約14未満、それと等しい、それより多いまたはそれ以上であり得る。これらの効果により、本発明は先行技術デバイスおよび方法と区別される。
【0303】
所望のQmax増加またはIPSS減少を得るために、ある実施態様において、ここに記載した、抗増殖性または抗炎症性薬物などの治療剤および1以上の水溶性添加物で被覆したバルーンを、尿道狭窄領域内または前立腺内に配置する。狭窄について、次いで、バルーンを、尿道の標的位置の未処置直径より1.0~40倍大きい、例えば、約1.2~3倍大きい直径まで膨張させる。BPH処置について、バルーンを、未処置前立腺尿道より約1.0~40倍大きいまたは約1.2~10倍大きい直径まで膨張させる。すなわち、尿道狭窄処置位置でのバルーン直径対体腔の未処置直径の比は1.2~3およびBPH処置については1.2~10であってよく、延伸比は同一でも異なってもよい。バルーンを、尿道に薬物を送達させるため、0.1~10分膨張を維持させ得る。ある実施態様において、膀胱鏡などのスコープを、バルーン配置の補助として使用し得る。ある実施態様において、バルーンカテーテルシャフトはスコープの管腔内にあってよく、他の実施態様においてスコープと共に配置され得る。ある実施態様において、狭窄または前立腺を、薬物被覆バルーンでの処置前に、非薬物被覆バルーンで前拡張させ得る。ある実施態様において、前拡張バルーンは、前拡張された尿道または前立腺の全領域が後に薬物被覆バルーンで処置されることを確実にするために、処置バルーンよりわずかに短い。ある実施態様において、管腔および/または薬物被覆バルーンを、薬物被覆バルーン挿入前に水、食塩水、尿または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すか、それに浸す。薬物被覆バルーンは、処置部位への送達中のコーティングの保護をもたらすために、シースで覆われていてよい。シースを、バルーンを膨張させる前にバルーンから除き得る。
【0304】
BPHの処置
本発明の種々の実施態様は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法を提供する。方法は、前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを、尿道に挿入することを含み得る。方法は、前拡張カテーテルを尿道に残しながら、尿道から第一シースを除くことを含み得る。方法は、尿道に膀胱鏡を挿入することを含み得る。方法は、前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを膨張させて、前拡張バルーンで前立腺尿道を拡張して、前立腺尿道の初期交連切開を形成することを含む。方法は、前拡張バルーンを収縮することを含み得る。方法は、前拡張バルーンが初期交連切開を形成していることを確認するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含み得る。方法は、前拡張バルーン上に第一シースを再挿入することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを第一シースに引っ張り入れることを含み得る。方法は、尿道から前拡張バルーンカテーテルを含む第一シースを除くことを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを尿道に挿入することを含み得て、薬物コーティングバルーンカテーテルは薬物コーティングバルーンを含み、薬物コーティングバルーンは外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、尿道に薬物コーティングバルーンカテーテルを残しながら、尿道から第二シースを除くことを含み得る。方法は、尿道に膀胱鏡を挿入することを含み得る。方法は、前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張することを含み得る。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを少なくとも5分間膨張状態に維持することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを収縮することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを通して第二シースを尿道に再挿入することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを第二シースに引っ張り入れることを含み得る。方法はまた尿道から薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを除くことを含み得る。
【0305】
BPHを処置する方法は、尿道膀胱鏡、切除鏡または他の適切にサイズ設定されたシースであり得る第一シースを、経尿道的に膀胱に挿入することを含み得る。方法は、シースの中から光学または閉塞具を除き、シースを残すことを含み得る。ガイドワイヤを、シーストラッキングを容易にするために使用し得る。前拡張バルーンが挿入シースにより覆われているならば、方法は、挿入シースを除くことを含み得る。方法は、前拡張バルーンを、シースに、該デバイスが少なくとも一部膀胱に入るまで挿入することを含み得る。ある実施態様において、前拡張バルーンは、薬物被覆バルーンより直径が小さいものである。方法は、シースを体から除き、前拡張バルーンカテーテルデバイスを膀胱/尿道に残すことを含み得る。方法は、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入することを含み得る。スコープは、尿道を部分的に膨張させるために、一定の流水を維持する。方法は、前拡張バルーンの設置を可視化することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを膨張することを含み得る。方法は、前拡張バルーンが初期交連切開を形成したか否かを可視化するためにスコープを使用することを含み得る。方法は、尿道からスコープを除くことを含み得る。方法は、前拡張バルーンカテーテル上に第一シース(例えば、尿道膀胱鏡シース、切除鏡シースまたは他の適切にサイズ設定されたシース)を、シースの遠位端がバルーンの近位端にあたるまで、挿入することを含み得る。方法は、バルーンをシースに引っ張り入れ、シースおよびバルーンカテーテル両者を除くことを含み得る。ある実施態様において、バルーンを引き抜き得て、シースは尿道に残る。方法は、スコープまたは閉塞具を第二シース(例えば、第一シースと同一または異なる尿道膀胱鏡、切除鏡または他の適切にサイズ設定されたシース)に入れ、シースの遠位端が膀胱に位置するまで尿道に挿入することを含み得る。ガイドワイヤを、シーストラッキングを容易にするために使用し得る。方法は、光学または閉塞具をシースから除くことを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルをシースに、薬物コーティングバルーンカテーテルが少なくとも一部膀胱にあるまで挿入することを含み得る。方法は、シースを除くことを含み得る。方法は、膀胱鏡をカテーテルシャフトとと共に挿入することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンの設置を可視化することを含み得る。方法は、薬物被覆バルーンを膨張させることを含み得る。薬物被覆バルーンが膨張したら、方法はスコープを除くことを含み得る。方法は、少なくとも5分間薬物コーティングバルーン膨張を維持することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを収縮させ、薬物コーティングバルーンの近位端が位置付けされるまでカテーテルシャフトに沿ってシースを摺動させることを含み得る。方法は、薬物被覆バルーンをシースに引っ張り入れ、シース/薬物被覆バルーンを尿道から取り出すことを含み得る。
【0306】
BPHの処置
種々の実施態様において、本発明は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法を提供する。方法は、第一シースを尿道に挿入することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを含む前拡張バルーンカテーテルを、第一シースに挿入することを含み得る。方法は、第一シースを除くことを含む。方法は、尿道に膀胱鏡を前拡張バルーンカテーテルと共に挿入することを含み得る。方法は、前立腺尿道における前拡張バルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを膨張させて、前拡張バルーンで前立腺尿道を拡張して、前立腺尿道の初期交連切開を形成することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを収縮させることを含み得る。方法は、前拡張バルーンが初期交連切開を形成していることを確認するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含み得る。方法は、尿道において第一シースを前拡張バルーン上に挿入することを含み得る。方法は、前拡張バルーンを第一シースに引っ張り入れることを含み得る。方法は、第一シースをその場に残したまま前拡張バルーンを除去する(ここで、第一シースは第二シースである);または前拡張バルーンおよび第一シースを尿道から除き、第二シースを尿道に挿入する(例えば、ここで、第二シースは第一シースと同じであるかまたは異なる)ことを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンカテーテルを第二シースに挿入することを含み得て、薬物コーティングバルーンカテーテルは薬物コーティングバルーンを含み、薬物コーティングバルーンは外表面を覆うコーティング層を含み、コーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含む。方法は、第二シースを尿道から除くことを含み得る。方法は、尿道に膀胱鏡を薬物コーティングバルーンカテーテルと共に挿入することを含み得る。方法は、前立腺尿道における薬物コーティングバルーンの設置を可視化するために膀胱鏡を使用することを含み得る。方法は、コーティング層と前立腺尿道を接触させるために薬物コーティングバルーンを膨張させることを含み得る。方法は、尿道から膀胱鏡を除くことを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを少なくとも5分間膨張状態に維持することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを収縮させることを含み得る。方法は、尿道において第二シースを薬物コーティングバルーン上に挿入することを含み得る。方法は、薬物コーティングバルーンを第二シースに引っ張り入れることを含み得る。方法は、尿道から薬物コーティングバルーンカテーテルを含む第二シースを取り出すことを含み得る。
【0307】
種々の実施態様がここに具体的に説明され、記載されているが、本発明の修飾および変更が上記教示に含まれており、本発明の精神および意図する範囲から逸脱することなく、それらが下記の特許請求の範囲の範囲内であることが認識される。
【0308】
操作例以外または他に示される以外、本明細書および特許請求の範囲で使用する層における要素の量、反応条件などを表す全数字は、全ての場合に用語「約」が付されていることが理解されるべきである。従って、反する指示がない限り、本明細書および付記される特許請求の範囲に示す数値的パラメータは、本開示により得ることが求められる所望の性質により、変わり得る凡その値である。
【実施例
【0309】
本発明の種々の実施態様は、説明のために提供する下記実施例を参照することにより、よりよく理解され得る。本発明は、ここに記載する実施例に限定されるものではない。
【0310】
実施例をとおして、特に断らない限り、延伸比は、処置位置での公称バルーン直径対体腔の未処置直径の比として計算した。処置位置での体腔の未処置直径は、処置位置での体腔の正常直径であり、管腔の狭窄または狭窄症または病変の近位および遠位の狭窄、狭窄症または病変に隣接する健常組織の平均直径として計算し得る。膨張バルーン直径は、膨張時間に使用した圧力でのバルーン公称径とほぼ同じであり、バルーン公称径の10%以内であった。
【0311】
パートI. 前臨床およびベンチテスト
実施例I-1. コーティング溶液の調製
製剤1:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリドおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0312】
製剤2:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg ウラシルおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0313】
製剤3:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg ウリジンおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0314】
製剤4:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg スクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0315】
製剤4a:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg スクラロースおよび2~6mlエタノールを、パクリタキセル:PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド:スクラロースの1:1:1の質量比で混合した。
【0316】
製剤4b:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg スクラロースおよび2~6mlエタノールを、パクリタキセル:PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド:スクラロースの1:1:2の質量比で混合した。
【0317】
製剤5:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg クレアチニンおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0318】
製剤6:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、25~300mg ウラシルおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0319】
製剤7:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg C6-セラミドおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0320】
製剤8:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg モノラウリン、25~300mg スクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0321】
製剤9:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg スクラロースおよび2~6mlエタノールを混合した。
【0322】
製剤10:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8 モノカプリレート/カプレートおよび1~6mlエタノールを混合した。
【0323】
製剤11:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg PEG8 モノカプリレート/カプレート、25~300mg スクラロースおよび1~6mlエタノールを混合した。
【0324】
製剤12:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgチミジンおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0325】
製剤13:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg ウリジンおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0326】
製剤14:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mgカフェインおよび1~6ml(96/4v/v)THF/水を混合した。
【0327】
製剤15:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 18クラウン6および1~6mlエタノールを混合した。
【0328】
製剤16:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 18クラウン6および1~6mlエタノールを混合した。
【0329】
製剤17:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、10~100mg 18クラウン6、10~100mg ペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0330】
製剤18:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg ペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0331】
製剤19:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg トリメチルプロパンエトキシレート(Mw~1014))および1~6mlエタノールを混合した。
【0332】
製剤20:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg ペンタエリスリトールエトキシレート(3/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0333】
製剤21:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg 15クラウン5および1~6mlエタノールを混合した。
【0334】
製剤22:25~100mg(0.03~0.12mmole)パクリタキセル、25~300mgチミジンおよび1~6ml(90/10v/v)THF/水を混合した。
【0335】
製剤23:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、5~75mg ペンタエリスリトールエトキシレート(15/4)、10~200mg ペンタエリスリトールエトキシレート(3/4)および1~6mlエタノールを混合した。
【0336】
製剤24:50~150mg(0.06~0.18mmole)パクリタキセル、25~300mg トリメチルプロパンエトキシレート(Mw~170))および1~6mlエタノールを混合した。
【0337】
実施例I-2. 前臨床試験1および2:前立腺、尿道および輸尿管
21個のバルーンカテーテル(12個は直径4mmおよび長さ40mm、6個は直径8mmおよび長さ40mm、3個は直径20mmおよび長さ50mm)を1~2気圧圧力まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。次にバルーンを、バルーン表面1mmあたり2~4μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1からの種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0338】
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン尿道造影像を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。薬物被覆バルーンカテーテルを、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は約3.5~4.5mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーンの延伸比が約4~10であるように選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。18~20mm公称径バルーンを前立腺尿道で膨張させ、8mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。18~20mm公称径バルーンを処置部位で4気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを処置部位で12気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。膨張させた20mm公称径バルーンの延伸比は4.4~6.3であった。膨張させた8mm公称径バルーンの延伸比は2.0~2.5であった。屠殺動物の処置尿道組織における残存薬物量を4時間および1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0339】
薬物被覆バルーンカテーテルを雌ブタの左輸尿管および尿道に挿入した。4mm公称径バルーンを、輸尿管で14気圧まで膨張させ、8mmバルーンを、尿道で12気圧まで膨張させた。バルーンを、処置部位で10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させ、ブタから引き抜いた。4mm公称径バルーンの延伸比は2~2.5であった。8mm公称径バルーンの延伸比は2.0~2.5であった。屠殺動物の尿道および輸尿管組織における薬物濃度を4時間後測定した。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0340】
製剤4aを使用した、前立腺尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で0.4μg/gであった。製剤4aを使用した、前立腺サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で0.367μg/gであった。製剤4bを使用した、骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で11.7μg/gであった。製剤4aを使用した、球部尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、4時間で25.2μg/gであった。製剤4aを使用した、前立腺尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.586μg/gであった。製剤4aを使用した、前立腺サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.429μg/gであった。製剤4bを使用した、骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で26.6μg/gであった。製剤4aを使用した、遠位尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で2.04μg/gであった。製剤4aを使用した、元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、45~87%の範囲であった。
【0341】
製剤4bを使用した、サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、83~85%の範囲であった。
【0342】
4時間でサンプルからの近位(製剤4b)左輸尿管ブタ組織薬物濃度は17.3μg/gであった。4時間で雌ブタ尿道(製剤4a)薬物濃度は66.9μg/gであった。元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、6~58%の範囲であった。製剤4aの平均残存バルーン含量は、52.8%であった。製剤4bの平均残存バルーン含量は、64.7%であった。
【0343】
実施例I-3. 前臨床試験3:尿道および前立腺
23個のバルーンカテーテル(12個は直径8mmおよび長さ40mm、6個は直径10mmおよび長さ40mm、4個は直径12mmおよび長さ30mmおよび3個は直径10mmおよび長さ30mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。次にバルーンを、バルーン表面1mmあたり2μgパクリタキセルを達成するために十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0344】
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン逆行性尿道造影を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。薬物被覆バルーンカテーテルを、前立腺、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は、約2.1~8.5mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーンが約1.7~3.4となるように計画して選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3となるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。12mm公称径バルーンを前立腺尿道で膨張させ、8および10mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。12mm公称径バルーンを、処置部位で9気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを、処置部位で10気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。12mm公称径バルーンの延伸比は2.0~3.0であった。8mmおよび10mm公称径バルーンの延伸比は1.3~3.0であった。屠殺動物の処置尿道組織における薬物量を1日および7日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0345】
サンプルからのイヌ組織薬物濃度は1日目は4~176μg/gおよび7日目は0.003~23μg/gの範囲であった。サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、5~98%の範囲であった。
【0346】
実施例I-4. 前臨床試験4:前立腺および尿道
108個のバルーンカテーテル(42個は直径8mmおよび長さ20mm、27個は直径10mmおよび長さ40mm、25個は直径12mmおよび長さ40mm、5個は直径8mmおよび長さ55mm、9個は直径12mmおよび長さ55mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面のmmあたり2μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの製剤1および製剤4を使用して被覆し、他方の群は、バルーン表面のmmあたり4μgパクリタキセル達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの同じ製剤を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0347】
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン逆行性尿道造影を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。薬物被覆バルーンカテーテルを、前立腺、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。処置部位直径は、約2.6~7.7mmであった。バルーンカテーテルを、前立腺尿道バルーンの延伸比が約2~4となるように計画して、選択した。前部尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3となるように選択した。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。8mmおよび12mm公称径を有するバルーンを前立腺尿道で膨張させ、8mm公称径バルーンを前部尿道で膨張させた。前立腺尿道バルーンを、処置部位で6~9気圧で10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを、処置部位で10気圧まで10分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前立腺尿道バルーンの延伸比は2.0~5、10、15または20であった。前部尿道バルーンの延伸比は1.1、1.2、1.3、1.4または1.5~1.75、2.0、2.25、2.50、2.75、3.0であった。屠殺動物の処置尿道組織の尿道直径および薬物量を1日、7日および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。28日目にサンプルを組織試験のためにとり、薬物被覆バルーン組織と、平坦な旧型バルーンおよび未処置組織を比較した。
【0348】
サンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は1日目で582μg/g、7日目で0.347μg/gおよび28日目で4μg/gであった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤1サンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は、それぞれ28日目で20.34μg/gおよび0.73μg/gであった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤4サンプルからのイヌ組織平均薬物濃度は、それぞれ28日目で0.01μg/gおよび1.20μg/gであった。サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、0~60%の範囲であった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤1サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての平均残存バルーン含量はそれぞれ11.5%および2.4%であった。2μg/gおよび4μg/g用量密度製剤4サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての平均残存バルーン含量はそれぞれ12.2%および19.9%であった。28日目処置部位尿道直径から処置時の尿道直径を減じた28日目平均尿道増大は、1.6mmからマイナス4.4mmの範囲であった。サンプルの組織試験では、薬物被覆バルーン処置、平坦なバルーン処置および未処置組織での差異は示されなかった。
【0349】
実施例I-5. 前臨床試験5:尿道および輸尿管
40個のバルーンカテーテル(20個は直径6mmおよび長さ20mm、20個は直径8mmおよび長さ20mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆し、他方の群はバルーン表面1mmあたり10μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0350】
この試験では、輸尿管の容易な利用を可能とするために雌ブタを使用した。薬物被覆バルーン処置前に、ベースライン尿管造影図および尿道造影図を撮り、処置前の輸尿管および尿道処置部位の内部直径を測定した。尿道の処置部位直径は約4.0~6.0mmであった。尿道について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。輸尿管の処置部位直径は約2.0~4.0mmであった。輸尿管について、バルーンカテーテルを、延伸比が約1.2~1.7または最大2.0であるように選択した。薬物コーティングバルーンカテーテルを、非重複処置のために使用した。2つの方法パラメータ試験のために、対照実験を実施した;尿道伸展のためのバルーン、膨張時間および一製品デザイン特性;薬物用量密度。同様に、バルーン延伸比、膨張時間および用量密度を輸尿管処置について評価した。屠殺動物の処置組織における薬物の量を1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0351】
平均組織薬物濃度は、尿道処置部位で1日目で4.5μg/gであった。平均組織薬物濃度は、輸尿管処置部位で1日目で20.5μg/gであった。輸尿管および尿道処置両者で、3.5μgおよび10.0μg用量密度間で組織薬物濃度の差異はなかった。組織薬物濃度は、用量密度と無関係に組織延伸比に比例して増加した。輸尿管および尿道処置の残存バルーン含量は、元の薬物負荷の1~52%の範囲であった。
【0352】
実施例I-6. 前臨床試験6:尿道
87個のバルーンカテーテル(37個は直径12mmおよび長さ20mm、50個は直径8mmおよび長さ20mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。次にバルーンを2群に分けた;一方の群はバルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆し、他方の群はバルーン表面1mmあたり10μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0353】
この試験に、去勢雄ブタを使用した。薬物被覆バルーン処置前に、ベースライン尿道造影図を撮って、処置前の尿道処置部位の内部直径を測定した。薬物被覆バルーンカテーテルを非重複処置で使用した。膨張前に、5~10mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。対照実験を、処置尿道組織における薬物の量に対する二重膨張および薬物用量密度の影響を試験するために実施した。組織薬物含量を1日後および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。組織試験サンプルを28日目に採り、2つの異なる薬物用量密度カテーテル群を比較した。
【0354】
サンプルからのブタ尿道組織平均薬物濃度は、1日目83ng/gおよび28日目2.5ng/gであった。サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、19~73%の範囲であった。
【0355】
実施例I-7. 前臨床試験7:前立腺および尿道
57個のバルーンカテーテル(43個は直径8mmおよび長さ20mm、14個は直径20mmおよび長さ60mm)を、その公称膨張圧力の50%まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。バルーンを、バルーン表面1mmあたり3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて、実施例I-1の種々の製剤(1~6)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0356】
この試験のために、雄イヌを使用した。これらの処置を、2.4mm外径内視鏡を使用する直接可視化の下に実施した。内視鏡は、一定食塩水灌注を利用し、視野から視界遮蔽物を洗い流し、従って、処置ゾーンは、常に一定に洗い流されていた。処置の第一段階は、前立腺尿道、中央尿道および遠位尿道へのカッティング・バルーン(バルーンの長さに沿って長手方向に向けた刃を有するバルーンカテーテル)の使用であった。次に、非被覆バルーンを使用して、カッティング・バルーンを使用した場所である処置位置を拡張させた。次いで、ベースライン尿道造影図を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために撮った。最後に、薬物被覆バルーンカテーテルおよび非被覆バルーンカテーテル(対照として)を使用した。20mm公称径バルーンを前立腺尿道に使用し、8mm公称径バルーンを前部尿道に使用した。前立腺尿道バルーンを処置部位で4~5気圧まで2分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。8mm公称径バルーンを処置部位で10気圧まで2分膨張させて、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前立腺尿道バルーンの延伸比は2.9~9.7であった。前部尿道バルーンの延伸比は1.5~2.8であった。組織薬物含量を3日、7日および28日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。組織試験サンプルを3日目および28日目に採って、直接薬物被覆バルーン処置と、カッティング・バルーン前処置とそれに続く薬物被覆バルーン処置を比較した。
【0357】
サンプルからのイヌ尿道組織平均薬物濃度は3日目100μg/gおよび7日目62μg/gおよび28日目33μg/gであった。サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は、2~50%の範囲であった。
【0358】
実施例I-8. 前臨床試験8:尿道
39個のバルーンカテーテル(直径8mmおよび長さ30mm)を3気圧まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。バルーンを、バルーン表面1mmあたり2.5μgパクリタキセルの達成に十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1からの製剤18、19および23を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、動物試験に備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0359】
この試験のために、雄イヌを使用した。ベースライン尿道造影を、薬物被覆バルーン処置前の尿道処置部位の内部直径を測定するために行った。処置部位直径は約3.5~4.5mmであった。バルーンカテーテルを、前部尿道バルーンの延伸比が約1.8~2.3であるように選択した。薬物被覆バルーンカテーテルを、骨盤、球部および陰茎骨の直近位の遠位尿道で非重複処置で使用した。陰茎骨尿道は処置しなかった。カテーテル挿入前に、約5mLの食塩水を使用して、尿道を洗い流した。8mm公称径バルーンを、処置部位で12気圧まで2分膨張させ、薬物および添加物を放出させ、次いで収縮させて、イヌから引き抜いた。前部尿道バルーンの延伸比は約2.0~2.5であった。組織薬物含量を1日後に測定し、使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。
【0360】
骨盤尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.305μg/g、1.17μg/g、17.3μg/g、33.4μg/gであった。球部尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で0.28μg/g、4.31μg/g、44.5μg/g、57.8μg/gであった。遠位尿道サンプルからのイヌ組織薬物濃度は、1日目で7.37μg/g、38.9μg/g、238μg/g、268μg/gであった。製剤18、19および23からの平均薬物濃度は、それぞれ1日目で6.5μg/g、33.6μg/gおよび137.7μg/gであった。サンプルからの元の薬物負荷のパーセントとしての残存バルーン含量は20.4~81.7%の範囲であった。製剤18、19および23からの元の薬物負荷のパーセンテージとしての平均残存バルーン含量は、それぞれ57.7%、68.7%および51.9%であった。
【0361】
実施例I-9. ベンチトップ薬物放出試験サンプル
49個のバルーンカテーテル(31個は直径8mmおよび長さ30mm、6個は直径10mmおよび長さ20mm、13個は直径12mmおよび長さ20mm)を3気圧まで膨張させ、エタノールティッシュで拭いて、バルーン表面を浄化した。バルーンを、バルーン表面1mmあたり2.5μgまたは3.5μgパクリタキセルを達成するのに十分なコーティング溶液を用いて実施例I-1の種々の製剤(1~34)を使用して被覆した。次いでバルーンを乾燥させ、折り畳み、シースに入れ、タイベックポーチで包装し、ベンチテストに備えてエチレンオキシド滅菌した。
【0362】
温度制御水浴に入った10インチ長×2インチ直径円筒形容器からなるベンチトップ薬物放出装置を開発した。円筒形容器を0.9%食塩水で満たし、試験のために37℃に維持した。8フレンチ(すなわち、ここで、3フレンチは1mm)×13cm長イントロデューサシースで、円筒形容器の最上部を穿孔し、バルーンカテーテルサンプルを円筒形容器内に通す導管として使用した。サンプルを、個々に円筒形容器に入れ、そこで1分浸漬させ、その後10気圧まで1分膨張させ、次いで引き抜いた。バルーン上の残存薬物を分析して、どの程度薬物が放出されたかを決定した。この試験中に放出された薬物の量は37%~97%の範囲であった。
【0363】
パートII. ベンチおよび前臨床試験:マルチローブバルーンでの前立腺尿道
実施例II-1. ブタ尿道のベンチテスト
この実験の目的は、ネック付バルーンデザインが、解剖モデルにおいて膨張中の移動を阻止できたかの評価であった。
【0364】
インタクトな雄ブタ膀胱および尿道を、地元の研究施設から得た。バルーンカテーテルを、20mm直径×80mm長 7233ペバックス(登録商標)バルーンで構築した。UHMWPE縫合糸を使用して、バルーンに2つのバルーンネック部を作った。バルーン膨張を阻止するために、所望の位置でバルーンを縫合糸で縛り、それによりネックを作った。ネックを、バルーンの長さに添って対称に配置させ、80mm長を3つの約20mm本体部に分けた。ネック部は、10mm長および直径約8mmとサイズ設定した。ネック部は、1つの大きな本体部から隣接する大きな本体部までの長さと測定される。バルーンを10フレンチカテーテルシャフトに接続し、ひだ状にし/折り畳み、挿入を容易にするためにシースに入れた。
【0365】
インタクトなブタ尿道および膀胱を37℃水浴に入れて、体温を模した。バルーンカテーテルを尿道を通して入れ、近位頸部が前立腺尿道に位置するように、中バルーンローブの遠位端を膀胱頸部に位置させるように配置した。バルーンを、尿道分裂が目で確認できるかまたは6気圧の最大定格破裂圧力(RBP)まで膨張させた。バルーンを、尿道分裂の確認直後に収縮させた。膨張速度は、0.5気圧/分、1.0気圧/分および2.0気圧/分を使用して、サンプル間で変えた。総膨張時間は、膨張速度によって3~10分であった。
【0366】
この試験のネック付バルーンは、膨張中のバルーン移動を阻止できた。膨張バルーン直径対未処置前立腺尿道直径の延伸比は約3.0~3.5であった。さらに、この試験は、膨張率がバルーン移動に役割を有することを示した。バルーンを低速で膨張させ、組織を弛緩および作製を強いることにより、バルーンの膀胱への移動はさらに最小化した。0.5気圧/分および1.0気圧/分の速度は、膨張中のバルーン移動が少なかった。
【0367】
実施例II-2. BPH前臨床試験1
バルーンカテーテルを、単一ネックの22mm直径×32mm長さバルーンで構築した。バルーンは7233ペバックス製であった。単一ネックはバルーンの中央に位置し、17mm直径×12mm長であった。遠位および近位の二つの得られる本体部分は22mm直径×10mm長であった。バルーンを10Frカテーテルシャフトに接続し、ひだをつけ/折り畳み、バルーンプロテクターシースに入れた。
【0368】
この実験は雑種犬で実施した。バルーンカテーテルを、ガイドワイヤを使用して経尿道的に挿入した。バルーンを、蛍光透視法を使用して前立腺尿道に配置させ、バルーンネック部はイヌ膀胱頚部にあった。バルーンを、蛍光透視法で交連切開が観察されるまで、一般に3~4気圧まで1気圧/分の速度で膨張させた。総膨張時間は3~5分間であった。バルーン移動を、膨張中蛍光透視法でモニターした。交連切開が達成された後、バルーンを速やかに収縮させ、除いた。経尿道的膀胱鏡検査を実施して、前立腺交連切開を目視で確認した。
【0369】
前立腺交連の開裂を、膨張中、最小バルーン移動で両動物で達成した。膨張バルーン直径対イヌ前立腺尿道直径の延伸比は約4.0~4.5であった。
【0370】
実施例II-3. BPH前臨床試験2
バルーンカテーテルを40mm直径×70mm長さバルーンで構築した。バルーン材料はナイロン12であった。2つのバルーンネックを、UHMWPE縫合糸を使用してバルーンに作った。縫合糸を、バルーンに所望の位置で縛ってバルーン拡大を阻止し、ネック特性を作った。ネックをバルーン長にわたり対称的に配置して、70mm本体長を3本体部に分けた。バルーンの近位端から、次の部分が作られた:近位バルーン本体部分は40mm直径×20mm長、第一ネック部は15mm直径×5mm長、中央バルーン本体部分は40mm直径×20mm長、第二ネック部は15mm直径×5mm長および遠位バルーン本体部分は40mm直径×20mm長であった。バルーンを12Frカテーテルシャフトに接続し、バルーンプロテクターシースを用いてひだをつけ、折り畳んだ。
【0371】
この実験を、死亡したヒト男性で実施した。会陰を切開して、球状尿道にアクセスした。尿道を単一縦切開で開け、カテーテルアクセスを可能とした。カテーテルを挿入し、デジタル/目視で前立腺尿道に配置した。バルーンの近位結合を、バルーンネックの一方が膀胱頚部にあるように外部括約筋に近位に配置した。バルーンを1気圧/分で膨張させ、組織がゆっくり作られ、バルーン移動を最小限とすることを可能とした。バルーンを4~5気圧に膨張させ、次いですぐに収縮させ、取り除いた。総膨張時間は約4~5分間であった。前立腺交連を、デジタルでおよび膀胱鏡を使用して、開裂について調べた。
【0372】
膨張中、バルーンの膀胱への近位移動は観察されなかった。全バルーンは、前立腺尿道内で4~5気圧で十分に膨張させた。評価した全3死体は、バルーン拡張による前部前立腺交連切開および相当な管腔増大を示した。膨張バルーン直径対ヒト前立腺尿道直径の延伸比は約2.5~3.5であった。結果は、バルーンのローブが、初期膨張が組織抵抗により止まったとき、ネックより大きいため、小さいネックバルーンが膨張中のバルーン移動を阻止することを示した。ローブがバルーンが組織抵抗にあったときネック領域より直径が大きくないならば、バルーンは、一定直径円筒形バルーンのように働く。
【0373】
実施例II-4. BPH前臨床試験3
バルーンカテーテル(計8)を、単一ネックを有する22mm直径×32mm長さバルーンで構築した。バルーン材料は7233ペバックスであった。単一ネックはバルーンの中央に位置し、17mm直径および12mm長であり、22mm直径×10mm長の2個の本体部を作成した。4バルーンは、製剤23を使用して3.5μg パクリタキセル/バルーン表面平方mmで薬物被覆した。4バルーンは被覆しないままであった。バルーンを10Frカテーテルシャフトに置いた。全バルーンをバルーンプロテクターシースに折りたたみ、ひだをつけて入れ、タイベックポーチに包装し、滅菌した。
【0374】
雑種犬を、前立腺生体構造がヒトによく合うため、この実験に使用した。ベースライン逆行性尿道造影を完了し、初期前立腺尿道直径を測定した。バルーンカテーテルを、ガイドワイヤを使用して経尿道的に挿入した。バルーンを、蛍光透視法を使用して前立腺尿道に配置させ、バルーンネック部はイヌ膀胱頚部にあった。バルーンを、蛍光透視法で交連切開が観察されるまで、1.0気圧/分の速度で約3.5~5.0気圧まで膨張させた。バルーン移動を、膨張中蛍光透視法でモニターした。バルーンを収縮させ、除き、交連切開を膀胱鏡で確認した。パクリタキセル薬物コーティングバルーンをガイドワイヤを通して挿入し、蛍光透視法で前立腺尿道内に配置した。バルーンを4~5気圧に膨張させ、5分間その場において、薬物を組織に移行させた。バルーンの残存薬物を、どの程度の薬物が放出されたかを決定するために分析した。動物を1時間、7日および28日で屠殺した。イヌ組織を終わりに採取し、パクリタキセル含量を分析した。逆行性尿道造影を、管腔増大を決定するために終了前に行った。
【0375】
前立腺交連の分裂は、全3動物で達成された。膨張バルーン直径対イヌ前立腺尿道直径の延伸比は約4.0~4.5であった。前立腺尿道管腔増加は3.1~4.0であった。この試験中放出された薬物量は78%~85%の範囲であった。イヌ前立腺尿道薬物濃度は1時間目218μg/g、7日目0.737μg/gおよび28日目0.375μg/gであった。イヌ前立腺組織薬物濃度は1時間目19.8μg/g、7日目2.38μg/gおよび28日目0.081μg/gであった。
【0376】
実施例II-5. BPH前臨床試験4
使用したデバイスは単一補強バルーンネックのダブルローブ設計であり、ナイロン12製であった。前立腺拡張ローブの直径は22mmであり、長さ20mmであった。バルーンネックは17mm直径であり、UHMWPE繊維で補強された。カテーテルはオーバー・ザ・ワイヤ設計を有し、ガイドワイヤ上をイヌ前立腺までトラックできた。最大用量アームの処置で使用した薬物コーティングバルーンは各9.8mgのパクリタキセルに達し、標準用量薬物コーティングバルーンは6.8mg パクリタキセルコーティング用量を有した。最大用量アームは、19.6mgの総薬物送達のために、9.8mg パクリタキセル被覆バルーンでの2重複処置を含んだ。薬物コーティングバルーンを、コーティングが近位コーンの半分、遠位膀胱バルーンの処置ローブ、ネック部および本体全体を覆うように被覆した。非被覆対照バルーンは薬物コーティングがなかった。
【0377】
この試験を雑種犬で実施した。バルーンカテーテルを、ガイドワイヤを使用して経尿道的に挿入した。バルーンを、蛍光透視法を使用して前立腺尿道に配置させ、バルーンネック部はイヌ膀胱頚部にあった。試験は最大用量アーム、標準用量アームおよび対照アームの3アームあった。最大用量アームは10処置動物含み、標準用量アームは18動物含み、対照アームは4動物を有した。最大用量および標準用量アームの動物は急性(1時間)または7日間、28日間または70日間生存し、対照アーム動物は7日間または28日間生存した。最大用量および標準用量アームは、前立腺、前立腺尿道、膀胱、膀胱頚部、尿道外部括約筋、精管、輸尿管、精巣および精巣上体および腎臓のパクリタキセル薬物含量を分析するため組織薬物動態(PK)を有した。最大用量および標準用量アームは、血漿におけるPK薬物含量も評価し、前立腺の組織検査も完了した。対照アームは前立腺組織のみ評価した。さらに、尿道管腔直径を逆行性尿道造影を使用してベースラインおよび終了時に測定し、何れかの口径変化を決定した。
【0378】
交連切開の結果としての尿道管腔直径は約50%であり、7~70日間変化しなかった。ベースライン処置部位直径は約3.5~4.5mmであった。前立腺尿道の延伸比は約4.5~6.5であった。標準用量アームの平均前立腺尿道パクリタキセル濃度は1時間で28.04μg/g、7日目4.60μg/gおよび28日目0.058μg/gおよび70日目0.004μg/gであった。最大用量アームの平均前立腺尿道パクリタキセル濃度は28日目0.66μg/gおよび70日目0.082μg/gであった。最大用量アーム前立腺尿道組織は28日目標準用量より11倍高い薬物濃度および70日目23倍高い薬物濃度を有した。標準用量アームの平均前立腺パクリタキセル濃度は1時間目0.811μg/g、7日目0.576μg/gおよび28日目0.020μg/gおよび70日目0.0003μg/gであった。最大用量アームの平均前立腺パクリタキセル濃度は28日目0.087μg/gおよび70日目0.007μg/gであった。最大用量アーム前立腺組織は28日目標準用量より4.5倍高い薬物濃度および70日目23倍高い薬物濃度を有した。
【0379】
最高パクリタキセル濃度を有する隣接組織は、尿道膜様部であり、処置直後(1時間急性)平均濃度1.29μg/gであり、精巣上体は最低平均薬物濃度を有し、処置直後0.0017μg/gであった。大部分の非尿道近接近組織サンプル濃度は、28日目移行定量限界以下(BLOQ)であった。血漿パクリタキセル濃度を1時間、3時間、7時間、12時間、1日、3日、7日、14日および28日に測定した。全標準用量血漿パクリタキセル濃度は全時点でBLOQであり、標準用量動物でパクリタキセルの全身暴露は無視できることが示された。12時間移行の全最大用量パクリタキセル血漿濃度はBLOQであった。組織検査結果は、最大用量動物が28日目治癒中であることを示し、標準用量および対照動物と比較して、治癒過程が遅いことを示した。
【0380】
動物は試験中健康であり、予定された終了日に全て生存していた。試験の何れでも、何れの動物にも顕著な臨床的異常は観察されなかった。全試験動物で、尿道は開存したままであり、動物は正常に排尿できた。19.6mgのパクリタキセルを使用する最大用量処置アームで異常または合併症はなかった。
【0381】
パートIII. ヒト臨床試験尿道狭窄
尿流測定(Qmax測定)。尿流測定を、測定デバイスが組み込まれた特別な尿瓶、便器または使い捨てデバイスへの排尿により行う。パラメータQmaxは、尿流測定試験中測定される最大流量である。この方法を、処置の持続性を示すために、処置前(ベースライン)およびその後の14日、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月および2年のフォローアップ来院時に使用した。
【0382】
排尿後残尿(PVR)は、排尿後膀胱に残留する尿体積の指標である。処置前(ベースライン)およびその後の14日、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月および2年のフォローアップ来院時超音波検査を使用して測定し、処置の継続性を示した。
【0383】
国際前立腺症状スコア(IPSS)。IPSSは8つの質問に対する回答に基づく - 7問は疾患症状に関し、1問は患者のクオリティ・オブ・ライフに関する:1)残尿感;どのくらいの頻度で膀胱が空になっていない感覚があったか?2)頻度;どのくらいの頻度で2時間毎より短く排尿をしなければならなかったか?3)間欠性;どのくらいの頻度で排尿時に何回も止まって、また再開することがあったか?4)緊急性;どのくらいの頻度で排尿を我慢することが難しいことがあったか?5)流れが弱い;どのくらいの頻度で排尿の勢いが弱かったか?6)いきみ;どのくらいの頻度で排尿開始のためにいきんだか?7)夜間多尿;夜中に排尿のために通常何回起きたか?8)泌尿器症状によるクオリティ・オブ・ライフ;これから死ぬまで泌尿器の状態が今のままで過ごさなければならないとしたら、どう感じるか?IPSSはBPHのために開発されたが、閉塞性症状が医学的処置後に改善したかを決定するために、狭窄などの他の膀胱出口閉塞性疾患に適用し得る。症状問診について、患者は、状態を表す最良の等級づけを選択するよう求められる。スケールは0~5の範囲であり、5は最も症候性の疾患を表す。7症状スコアを合算して、最大35点の可能性のある全体スコアを得る。クオリティ・オブ・ライフ問診に対する回答は、スケール0~6で採点する。これらのスコアリングシステムにより、スコアを次のとおり分類し得る。スコアが7以下ならば症状は軽度;スコアが8~19ならば症状は中程度;そしてスコアが20~35ならば症状は重度。この問診を処置の持続性を示すために、処置前(ベースライン)およびその後の14日、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月および2年のフォローアップ来院時に行った。
【0384】
実施例III-1. ヒト対象の尿道狭窄における薬物コーティングバルーン試験
バルーン表面積平方ミリメートルあたり3.5μgのパクリタキセルの用量密度の薬物コーティングバルーンカテーテルを、臨床治験において狭窄疾患を有するヒト対象処置に使用した。薬物コーティングバルーンカテーテルは、6気圧の公称圧力で公称径6mm、8mm、10mm、12mmおよび14mmおよび長さ30mmおよび50mmを有した。バルーンサイズあたりのパクリタキセル(PTX)用量を表6に見ることができる。
【0385】
【表6】
【0386】
薬物コーティングバルーンカテーテルは、単一膨張可能バルーンを有するデュアル管腔シャフト設計を有した。一つの管腔は、0.038インチガイドワイヤ管腔を収容するようサイズ設定された。他方の管腔は、膨張ポート管腔であり、バルーンが食塩水と造影流体の混合物で膨張させることを可能とした。薬物コーティングバルーンカテーテルは2ルアー型接続を有するマニホールドを有し、一方の接続は膨張シリンジに適合し、他方はガイドワイヤがマニホールドから突出して、バルーンカテーテルがガイドワイヤ上を自由にスライドすることを可能とする。6mmおよび8mm薬物コーティングバルーンカテーテルは、12気圧の定格破裂圧力を有した。10mm、12mmおよび14mm薬物コーティングバルーンカテーテルは、10気圧の定格破裂圧力を有した。バルーンはポリアミド製であった。
【0387】
処置を、球状尿道狭窄について53名の患者で実施した。これらの患者のうち、5名は狭窄再発により再処置し、処置総数が58となった。全患者は、本治験が女性を除外したため男性であった。治験に登録した対象は、尿道狭窄について最小1および最大3の先の介入があった。年齢範囲は50.7±15.47歳であった。患者集団の尿道狭窄の病因は50.9%外傷性、45.3%医原性および3.8%特発性であった。53名の患者中、7名がベースライン時恥骨上カテーテルを有した。平均狭窄長さは0.9cmおよび平均狭窄直径は2.47mmであった。
【0388】
臨床処置戦略は、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、非被覆非柔軟バルーンまたは両者の組み合わせでの狭窄の前拡張を含んだ。非被覆バルーンを32名の患者の前拡張に使用し、16名の患者を非被覆バルーンおよびDVIU両者で前拡張し、10名の患者をDVIUのみで前拡張した。前拡張後、全対象をパクリタキセル薬物コーティングバルーンで処置した。26名の患者を8x30mmバルーンで処置した。27名の患者を10x30mmバルーンで処置した。
【0389】
被験対象を、指針方法の14日、30日、90日、180日、365日および2年後氷菓した。評価は、無狭窄率、Qmaxを含む尿流量およびPVRの分析を含んだ。さらに、薬物動態分析を、血液、尿、精液におけるパクリタキセル含量および薬物コーティングバルーンの残存薬物で完成した。
【0390】
平均で、患者IPSSは、ベースライン平均25.2から14日目5.2、30日目4.3、90日目6.1、180日目4.6、365日目4.5および2年目6.9に改善した。ベースライン平均患者Qmaxは5.0mL/秒であり、14日目22.2mL/秒、30日目22.8mL/秒、90日目21.4mL/秒、180日目19.8mL/秒、365日目20.1mL/秒および2年目17.5mL/秒に改善した。平均患者PVRはベースライン時141.4mLであり、14日目35.7mL、30日目36.1mL、90日目38.8mL、180日目30.1mL、365日目24.6mLおよび2年目45.5mLに改善した。無狭窄率は180日目75.5%(37/49)および365日目74.5%(37/47)であった。
【0391】
平均ヒト血漿パクリタキセル濃度は処置直後0.1ng/mLであり、全ての後の他の時点、1時間、3時間、5時間、10時間、24時間および5日は定量限界未満であった。ヒト尿パクリタキセル濃度は方法直後平均184ng/mLであり、5日目2.6ng/mL、14日目0.3ng/mLおよび30日目0.1ng/mLであった。ヒト精液パクリタキセル濃度は14日目2.5ng/mLおよび30日目1.0ng/mLであった。
【0392】
ヒト対象処置に使用したバルーンの残存薬物含量は元の用量の平均2.7%であり、0.1%~28.0%の範囲であった。
【0393】
実施例III-2
非被覆前拡張バルーン、続いて8mm公称径薬物コーティングバルーンカテーテルで処置した実施例III-1のヒト被検対象A
対象Aは、0.6cm長×0.6mm直径狭窄を前部尿道に有した。具体的に、前部尿道の球状部分。これは、逆行性尿道造影実施により決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax6.6mL/秒、ベースラインPVR298mLおよびベースラインIPSSスコア25を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径7mmおよび長さ20mmを有した前拡張バルーンをガイドワイヤに沿って尿道に入れ、バルーンが狭窄を縦断するように配置した。前拡張バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジで14気圧まで膨張させた。シリンジは食塩水と造影媒体の混液を含んだ。蛍光透視画像を、バルーンが均一に膨張したことを確実するために得た。これが確認されたら、バルーンを収縮させ、尿道から引き抜いた。次に公称径8mmおよび長さ30mmを有した薬物被覆バルーンを、ガイドワイヤに沿って尿道に入れた。薬物被覆バルーンを、バルーン本体が前拡張狭窄領域を完全にカバーするように配置した。薬物被覆バルーンを膨張前に少なくとも1分その位置に保持し、コーティングを水和させた。次いで、薬物被覆バルーンを、圧力ゲージを備えたシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混液で膨張させた。バルーンを11気圧で膨張させ、8.5mmの膨張直径を達成し、膨張圧力に5分維持した。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。8mm公称径薬物被覆バルーンの延伸比は13.3~14.7であった。拡張した狭窄直径は、拡張後7mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は28.2μg(初期薬物負荷量の1.1%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、PVRおよびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日、365日および2年にフォローアップ来院した。さらに、ヒト被検対象の尿道径を6ヶ月および12ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかどうかを決定した。ヒト被検対象は、最大尿流量が6.6ml/秒から14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ35.1mL/秒、38.8mL/秒、29.0mL/秒、26.6mL/秒、33.9mL/秒および22.9mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが298mLから14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ10mL、106mL、31mL、58mL、70mLおよび24mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが、25から、14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ1、1、1、1、1および2に改善した。ヒト被検対象は、6カ月および12カ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0394】
実施例III-3. 非被覆前拡張バルーン、続いて10mm公称径薬物コーティングバルーンカテーテルで処置した実施例III-1のヒト被検対象B
対象Bは、前部尿道に1.8cm長×2.0mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球状部分。これは、逆行性尿道造影実施により決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax8mL/秒、PVR45mLおよびベースラインIPSSスコア30を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径10mmおよび長さ20mmを有した前拡張バルーンをガイドワイヤに沿って尿道に入れ、バルーンが狭窄を縦断するように配置した。前拡張バルーンを、圧力ゲージを有するシリンジで20まで膨張させた。シリンジは食塩水と造影媒体の混合物を含んだ。蛍光透視像を取得して、バルーンが均一に拡大されていることを確認した。これが確認されたら、バルーンを収縮させ、尿道から引き抜いた。次に、公称径10mmおよび長さ30mmを有する薬物コーティングバルーンを、ガイドワイヤを通して尿道に挿入した。薬物コーティングバルーンを、バルーン本体が前拡張狭窄領域を完全にカバーするように配置した。薬物コーティングバルーンを、コーティングを水和するため膨張させる前に、少なくとも1分間その位置に維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを10気圧で5分間膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、5.0~5.5であった。拡張後の拡張狭窄の直径は10mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は49.1μg(初期薬物負荷量の1.5%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、PVRおよびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日、365日および2年にフォローアップ来院した。さらに、ヒト被検対象の尿道径を6ヶ月および12ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より膨張を決定した。ヒト被検対象は、最大尿流量が8mL/秒から14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ25mL/秒、29mL/秒、36mL/秒、34mL/秒、34mL/秒および23mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが45mLから14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ30、28、35、26、3および10mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが、30から、14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ4、3、5、2、3および3に改善した。ヒト被検対象は、6カ月および12カ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0395】
実施例III-4. 直接視覚内尿道切開術(DVIU)、続いて10mm公称径薬物コーティングバルーンカテーテルで処置した実施例III-1のヒト被検対象C
対象Cは、前部尿道に0.6cm長×4.0mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球状部分。これは、逆行性尿道造影実施により決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax5mL/秒、PVR360mLおよびIPSSスコア24を有した。まず、切除鏡を尿道に挿入した。次いで、ガイドワイヤを切除鏡のワーキングチャネル内に入れた。次に、切除鏡を使用して、尿道を12時の方向に切開して、20フレンチ(6.7mm)より大きく狭窄した尿道広げた。切開する長さは狭窄の長さであった。次に、公称径10mmおよび長さ30mmを有する薬物コーティングバルーンを、ガイドワイヤに沿って尿道に挿入した。薬物コーティングバルーンを、バルーン本体が切断狭窄領域を完全にカバーするように配置した。薬物コーティングバルーンを、コーティングを水和するため膨張させる前に、少なくとも1分間その位置に維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させした。バルーンを10気圧で5分間膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、2.5~2.75であった。拡張後の拡張狭窄の直径は9.5mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は28.6μg(初期薬物負荷量の0.9%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、PVRおよびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日、365日および2年にフォローアップ来院した。さらに、ヒト被検対象の尿道径を6ヶ月および12ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト被検対象は、最大尿流量が5mL/秒から14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ50mL/秒、43mL/秒、37mL/秒、27mL/秒、19mL/秒および19mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが360mLから14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ21mL、32mL、28mL、30mL、1mLおよび111mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが、24から、14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ9、9、1、15、11および4に改善した。ヒト被検対象は、6カ月および12カ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0396】
実施例III-5. 10mm直径薬物コーティングバルーンカテーテルで直接処置した実施例III-1のヒト被検対象D
対象Dは、前部尿道に1.7cm長×2.5mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球状部分。これは、逆行性尿道造影実施により決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax3.0mL/秒およびベースラインIPSSスコア27を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた。次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に、公称径10mmおよび長さ30mmを有する薬物コーティングバルーンを、ガイドワイヤに沿って尿道に挿入した。薬物コーティングバルーンを、バルーン本体が狭窄の中央となるよう配置した。薬物コーティングバルーンを、コーティングを水和するため膨張させる前に、少なくとも1分間その位置に維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを10気圧で5分間膨張させた。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。10mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、4.0~4.4であった。拡張後の拡張狭窄の直径は8mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は99μg(初期薬物負荷量の3%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量およびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。さらに、ヒト被検対象の尿道径の尿道径を6ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト被検対象は、14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ40.0/秒、37.0/秒、36.0/秒および31.0mL/秒の最大尿流量を示した。ヒト被検対象は、14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ4、2、3および2のIPSSを有した。ヒト被検対象は、6カ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0397】
実施例III-6. 非被覆前拡張バルーン、続いて8mm公称径薬物コーティングバルーンカテーテルで処置した実施例III-1のヒト被検対象E
対象Aは、前部尿道に0.6cm長×1.0mm直径狭窄を有した。具体的に、前部尿道の球状部分。これは、逆行性尿道造影実施により決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax2mL/秒、ベースラインPVR172mLおよびベースラインIPSSスコア32を有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れた次いで、ガイドワイヤを膀胱鏡のワーキングチャネルに入れた。次に公称径7mmおよび長さ20mmを有した前拡張バルーンをガイドワイヤに沿って尿道に入れ、バルーンが狭窄を縦断するように配置した。前拡張バルーンを、圧力ゲージを有するシリンジで14まで膨張させた。シリンジは食塩水と造影媒体の混合物を含んだ。蛍光透視像を取得して、バルーンが均一に拡大されていることを確認した。これが確認されたら、バルーンを収縮させ、尿道から引き抜いた。次に、公称径8mmおよび長さ30mmを有する薬物コーティングバルーンを、ガイドワイヤにそって尿道に挿入した。薬物コーティングバルーンを、バルーン本体が前拡張狭窄領域を完全に覆うように配置した。薬物コーティングバルーンを、コーティングを水和するため膨張させる前に、少なくとも1分間その位置に維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを11気圧に膨張させ、8.7mmの膨張直径を達成し、膨張圧力を5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、ヒト対象から引き抜いた。8mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、8.0~8.8であった。拡張後の拡張狭窄の直径は8mmであった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は46.3μg(初期薬物負荷量の17.5%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、PVRおよびIPSSスコア測定のために、14日、30日、90日、180日、365日および2年にフォローアップ来院した。さらに、ヒト被検対象の尿道径を6ヶ月および12ヶ月に評価し、視診し、先に処置した領域をフレキシブル膀胱鏡を通すことにより、尿道が16フレンチ(5.3mm)より大きいかを決定した。ヒト被検対象は、最大尿流量が2ml/秒から14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ16mL/秒、21mL/秒、16mL/秒、18mL/秒、16mL/秒および13mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが172mLから14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ17mL、15mL、60mL、10mL、10mLおよび20mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが32から、14日、30日、90日、180日、365日および2年のフォローアップ来院でそれぞれ12、7、11、11、12および12に改善した。ヒト被検対象は、6カ月および12カ月で16フレンチ(5.3mm)より大きい尿道径を有した。
【0398】
パートIV. ヒト臨床試験良性前立腺肥大
尿流測定(Qmax測定)、排尿後残尿(PVR)および国際前立腺症状スコア(IPSS)は、パートIIIに定義したとおりである。
【0399】
実施例IV-1. BPHヒト臨床試験:単一管腔および補強固定ワイヤ薬物コーティングバルーンカテーテル
平方ミリメートルあたり2.4μgのパクリタキセルの用量密度の薬物コーティングバルーンカテーテルを使用して、臨床治験で良性前立腺肥大疾患を有するヒト対象の処置に使用した。バルーンは、バルーンの遠位コーンから約10mmに位置する単一ネックを有した。ネック長は、バルーン全体について2mmであった。近位ローブまたは処置ローブは一定範囲の種々の直径および長さを有し、一方遠位ローブまたは膀胱ローブは常に同じ10mm長であり、処置ローブの直径に一致した。薬物コーティングバルーンカテーテルは、公称径30mm、35mm、40mmおよび45mmおよび公称膨張圧力2気圧で拡張長30mm、35mm、40mm、45mmおよび50mmを有した。バルーン直径30mmに対してネック直径は12mm、バルーン直径35mmに対してネック直径は15mm、バルーン直径40mmに対してネック直径は20mmおよびバルーン直径45mmに対してネック直径は23mmであった。全バルーンサイズは、4気圧の定格破裂圧力を有した。バルーンを近位コーンの上半分、処置ローブ全体、ネック部全体および膀胱ローブ本体部分をパクリタキセルで被覆した。バルーンサイズあたりのパクリタキセル(PTX)用量を表7に見ることができる。
【0400】
【0401】
この試験に2つのカテーテル設計を使用した。バルーン形状、材料および寸法は、2つのカテーテルプラットフォームにわたり同一であった。2つのバルーンカテーテルの違いは、カテーテルシャフト設計であった。第一設計はルアーハブがない単一管腔設計であり、膀胱鏡に積み戻されるよう設計した。第二設計はルアーハブが結合した補強固定ワイヤカテーテルシャフトであり、膀胱鏡と共に配置するよう設計した。
【0402】
単一管腔設計:薬物コーティングバルーンカテーテルは、薬物コーティングバルーンの膨張を可能にするためにバルーン下穿刺した孔を有する単一管腔ナイロン12シャフト設計であった。カテーテルシャフトはルアーを有さず、膀胱鏡のワーキングチャネルを通った後、Tuohy Borstバルブおよびルアー適合性栓に接続するよう設計した。バルーンネックを、膨張中直径増加を最小化するために特定位置に固定した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維で補強した。バルーンネックはバルーン膨張中膀胱頚部に固定され、近位バルーンローブの膀胱への移動が阻止される。バルーンの近位ローブ(処置ローブ)は前立腺尿道に位置し、前立腺に合うようサイズ調整される。遠位バルーンローブは、位置決めに使用され、バルーン膨張中存在する膀胱頚部およびあらゆる前立腺内突出部の拡張を提供する。バルーンは、高デュロメーターポリエーテルブロックアミド(74D PEBA)製である。カテーテルの遠位端に、シリコーンCoudeチップが結合され、カテーテルの前立腺尿道内へのトラックを可能とする。Coudeチップは、男性の尿道生体構造に合うように特定の曲線形であり、挿入中の損傷を阻止するために非損傷形成的形状である。カテーテルのバルーン部分を、19フレンチ口径までひだをつけ、折り畳み、シースをバルーン上に置いた。送達シースは3つの機能を有した。一つはバルーンを覆いかつ保護することであった。二つ目は、バルーンカテーテルが尿道内にトラックされ、前立腺尿道に入ることを可能にする滑らかな円筒形カテーテル本体を形成することであった。最後は、デバイスの除去を容易にするために処置後にバルーンを再捕獲することであった。直径30mmまたは35mmのバルーンカテーテルは21Frシースを有し、直径40mmまたは45mmのバルーンカテーテルは24Frシースを有した。シースはエッチングされたPTFEライナーの内部層、平らな渦巻状ワイヤの中央層およびポリエーテルブロックアミン(35D PEBA)の外側層から構築された。シースおよびCoudeチップを同一サイズとし、単一の平滑挿入表面を形成するようなはめ合い特性を有した。
【0403】
補強固定ワイヤ設計:薬物コーティングバルーンカテーテルは、高デュロメーターポリエーテルブロックアミド(72D PEBA)の単一管腔押し出しからなるカテーテルシャフトを有した。押し出し管腔内で、円筒形304ステンレス鋼マンドレルはカテーテルの全長およびバルーン下にわたった。マンドレルを、遠位チップおよびルアーハブ近くのカテーテルの近位端に熱的に結合する。マンドレルを、座屈を防止するためeバルーン部分下を304ステンレス鋼チューブで補強する。カテーテルシャフト押し出しを、薬物コーティングバルーンの膨張を可能とする、近位バルーン結合下で停止する。カテーテルシャフトの近位端で、雌ルアーハブをカテーテルシャフト押し出しに接着により結合して、膨張デバイスの接続を可能とする。バルーンネックを、膨張中直径増加を最小化するために特定位置に固定した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維で補強する。バルーンネックはバルーン膨張中膀胱頚部に固定され、近位バルーンローブの膀胱への移動が阻止される。バルーンの近位ローブ(処置ローブ)は前立腺尿道に位置し、前立腺に合うようサイズ調整される。遠位バルーンローブは、位置決めに使用され、バルーン膨張中存在する膀胱頚部およびあらゆる前立腺内突出部の拡張を提供する。バルーンは、高デュロメーターポリエーテルブロックアミド(74D PEBA)製であった。カテーテルの遠位端に、シリコーンCoudeチップが結合され、カテーテルの前立腺尿道内へのトラックを可能とする。Coudeチップは、男性の尿道生体構造に合うように特定の曲線であり、挿入中の損傷を予防するために傷つけるものではない。カテーテルのバルーン部分を、19フレンチ口径までひだをつけ、折り畳み、シースをバルーン上に置いた。送達シースは3つの機能を有した。一つはバルーンを覆いかつ保護することであった。二つは、バルーンカテーテルが尿道を通してトラックされ、前立腺尿道に入ることを可能にする滑らかな円筒形カテーテル本体の形成であった。最後は、デバイスの除去を容易にするために処置後のバルーンの再捕獲であった。直径30mmおよび35mmのバルーンカテーテルは21Frシースを有し、直径40mmおよび45mmのバルーンカテーテルは24Frシースを有した。シースはエッチングされたPTFEライナーの内部層、平らな渦巻状ワイヤの中央層およびポリエーテルブロックアミン(72D PEBA)の外側層で形成された。シースおよびCoudeチップを同一サイズとし、単一の平滑挿入表面を作るようはめ合い特性を有した。この設計はまたカテーテルシャフトの上部に配置された予め充填された閉塞具も含む。閉塞具はLDPE製であり、ラディアスド遠位チップを有し、シースと整合するため広がった近位端を有した。組み合わせたシースおよび閉塞具を尿道を通してトラックし、処置後バルーンを再捕捉するのに使用した。
【0404】
計80名の患者の良性前立腺肥大を処置した。全患者は、本治験が女性を除外したため男性であった。治験に登録した対象の最小IPSSスコアは13、Qmaxは5~15mLの範囲、前立腺体積は20~80グラムおよび前立腺尿道長は35~55mmであった。平均年齢は65.8±7.82歳であった。
【0405】
臨床処置戦略は、側面ローブ間の交連切開を作るための前立腺の前拡張を含んだ。前拡張バルーンと選択した薬物コーティングバルーンと同じサイズであるかまたは小さかった。前拡張バルーンを薬物コーティングバルーンと同様に設計した。49名の患者を単一管腔カテーテルシャフト設計で処置し、31名の患者を補強固定ワイヤカテーテルシャフト設計で処置した。18名の患者を30×35mm薬物コーティングバルーンで処置し、32名の患者を35×35mm薬物コーティングバルーンで処置し、8名の患者を35×45mm薬物コーティングバルーンで処置し、22名の患者を40×45mm薬物コーティングバルーンで処置した。
【0406】
被験対象を、指針方法後14日、30日、90日、180日および365日にヨウ化した。評価は、IPSS、Qmaxを含む尿流量およびPVRの分析を含んだ。さらに、薬物動態分析は、血液、尿、精液におけるパクリタキセル含量および薬物コーティングバルーンの残存薬物で完成した。
【0407】
平均で、患者IPSSはベースライン平均22.3から14日目10.7、30日目9.0、90日目8.1、180日目8.0および365日目8.3に改善した。ベースライン平均患者Qmaxは10.9mL/秒であり、14日目18.5mL/秒、30日目20.1mL/秒、90日目20.4mL/秒、180日目20.1mL/秒および365日目18.3mL/秒に改善した。平均患者PVRはベースライン時64.0mLであり、14日目41.4mL、30日目28.4mL、90日目33.9mL、180日目29.7mLおよび365日目31.7mLに改善した。
【0408】
平均ヒト血漿パクリタキセル濃度は、処置直後0.2ng/mL、1時間目0.2ng/mL、3時間目0.1ng/mL、5時間目0.1ng/mL、10時間目0.07ng/mL、24時間目0.03ng/mLおよび4日目0.02ng/mLであった。ヒト尿パクリタキセル濃度は、方法直後平均598ng/mLであり、4日目202ng/mL、14日目5.2ng/mLおよび30日目5.1ng/mLであった。ヒト精液パクリタキセル濃度は平均で14日目5.3ng/mL、30日目3.2ng/mLおよび6カ月目0.12ng/mLであった。
【0409】
ヒト対象処置に使用したバルーンの残存薬物含量は、元の用量の平均23.0%であり、7.7%~47.1%の範囲であった。
【0410】
実施例IV-2. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象A:35mm×35mm単一管腔薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Aは、22.9g前立腺を有し、前立腺幅45.2mm、高さ25.2mmおよび長さ38.5mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax9mL/秒、ベースラインIPSSスコア25およびベースラインPVR116mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価し、膀胱頚部および外部括約筋などの解剖学的ランドマークの蛍光透視法画像を合わせた。次いで、膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンの近位結合は、シャフトに結合するバルーンの小さい一定直径である。前立腺尿道の測定および適切な寸法のバルーンカテーテルの選択により、バルーンの近位結合を外部括約筋に隣接して近くに配置することにより、遠位ネックは自然に膀胱頚部に位置した。バルーンを、約2気圧で、側面ローブ間に交連切開が作られるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。バルーンを、上記のとおり膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。35mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、7.0~7.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は2304μg(初期薬物負荷量の16.6%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が9mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ7mL/秒、18mL/秒、20mL/秒、18mL/秒および19mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが116mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ76、23、22、15および38mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが25から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ12、8、5、0および0に改善した。
【0411】
実施例IV-3. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象B:35mm×45mm単一管腔薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Bは、39g前立腺を有し、前立腺幅51mm、高さ31mmおよび長さ48mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax15mL/秒、ベースラインIPSSスコア27およびベースラインPVR34mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価し、膀胱頚部および外部括約筋などの解剖ランドマークの蛍光透視法画像を合わせた。次いで、膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約2気圧で、側面ローブ間に交連切開が作られるまで膨張しせた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。35mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、7.0~7.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は2682μg(初期薬物負荷量の16.2%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が15mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ20mL/秒、19mL/秒、22mL/秒、14mL/秒および20mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが34mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ0mL、12mL、98mL、2mLおよび0mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが27から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ13、9、4、5および1に改善した。
【0412】
実施例IV-4. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象C:40mm×45mm単一管腔薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Cは、78.4g前立腺を有し、前立腺幅64mm、高さ48mmおよび長さ48mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax12mL/秒、ベースラインIPSSスコア29およびベースラインPVR122mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価し、膀胱頚部および外部括約筋などの解剖ランドマークの蛍光透視法画像を合わせた。次いで、膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約3気圧で、側面ローブ間に交連切開が作られるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。Tuohy Borstバルブをカテーテルシャフトに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。40mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、8.0~9.0であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は6767μg(初期薬物負荷量の34.6%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が12mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ21、23、31、43および30mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが122mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ0、0、0、0および0mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが29から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ12、10、13、9および5に改善した。
【0413】
実施例IV-5. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象D:30mm×35mm補強固定ワイヤ薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Dは、26.7g前立腺を有し、前立腺幅50mm、高さ29mmおよび長さ39mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax14mL/秒、ベースラインIPSSスコア21およびベースラインPVR80mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価した。この方法を、蛍光透視法を用いずに達成した。膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようにトラックした。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約2気圧で、側面ローブ間に交連切開が作られるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。30mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、6.0~6.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は1281μg(初期薬物負荷量の11.2%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が14mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ30mL/秒、23mL/秒、27mL/秒、18mL/秒および31mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが80mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ15mL、18mL、11mL、23mLおよび9mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが21から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ6、4、7、6および4に改善した。
【0414】
実施例IV-6. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象E:35mm×35mm補強固定ワイヤ薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Eは、30g前立腺を有し、前立腺幅48mm、高さ28mmおよび長さ41mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax10mL/秒、ベースラインIPSSスコア35およびベースラインPVR100mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価した。この方法を、蛍光透視法を用いずに達成した。膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約2気圧で、側面ローブ間に交連切開が形成されるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水と造影媒体の混合物で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。35mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、7.0~7.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は2982μg(初期薬物負荷量の21.4%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が10mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ9mL/秒、11mL/秒、12mL/秒、16mL/秒および17mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが100mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ10mL、5mL、20mL、10mLおよび10mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが35から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ22、21、6、2および4に改善した。
【0415】
実施例IV-7. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象E:35mm×35mm補強固定ワイヤ薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Eは、43.2g前立腺を有し、前立腺幅52mm、高さ39mmおよび長さ41mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax12mL/秒、ベースラインIPSSスコア29およびベースラインPVR85mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価した。膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約3気圧で、側面ローブ間に交連切開が作られるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目で確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張させる前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。35mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、7.0~7.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は3569μg(初期薬物負荷量の25.6%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が12mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ14mL/秒、20mL/秒、19mL/秒、16mL/秒および14mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが85mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ35mL、96mL、29mL、29mLおよび35mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが29から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ10、7、7、8および9に改善した。
【0416】
実施例IV-8. 実施例IV-1のBPHヒト被検対象E:35mm×45mm補強固定ワイヤ薬物コーティングバルーンカテーテル
ヒト対象Cは、68g前立腺を有し、前立腺幅55mm、高さ54mmおよび長さ43mmであった。経直腸超音波(TRUS)の実施によりこれを決定した。ヒト被検対象は、ベースラインQmax7mL/秒、ベースラインIPSSスコア25およびベースラインPVR65mLを有した。まず、膀胱鏡を尿道に入れて尿道狭窄を調べ、BPHによる前立腺閉塞を目視かつ評価した。この方法を、蛍光透視法を用いずに達成した。膀胱鏡を除き、前拡張バルーンを尿道に挿入し、バルーンが前立腺尿道にあるようトラックした。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。次に、送達シースをバルーンを露出するために除き、膀胱鏡をカテーテルシャフトと共に挿入した。次に、バルーンの近位結合が外部括約筋に隣接するよう、バルーン位置をわずかに調節した。バルーンを、約1.5気圧で、側面ローブ間に交連切開が形成されるまで膨張させた。交連切開を、膀胱鏡からのビデオ画像で目視確認した。交連切開達成後、バルーンを収縮させ、シースを尿道を通して再挿入し、バルーンをシースに再捕捉し、前拡張バルーンを除いた。次いで、薬物コーティングバルーンを尿道に挿入し、前立腺尿道にトラックし、送達シースを除いた。圧力モニタリング能を有する膨張デバイスを、デバイスの近位端でルアーハブに接続した。バルーンを、上記の通り、膀胱鏡と配置した。バルーンを、薬物コーティングを水和するために膨張する前少なくとも1分間膨張させずに維持した。次いで、薬物コーティングバルーンを、圧力ゲージを有するシリンジを使用して、食塩水で膨張させた。バルーンを4気圧の定格破裂圧力まで膨張させ、その圧力に5分間維持した。次いで、バルーンを収縮させ、送達シースを尿道に再挿入し、バルーンを再捕捉し、対象から除いた。35mm公称径薬物コーティングバルーンの延伸比は、7.0~7.6であった。使用後にバルーンに残る残存薬物を分析した。バルーンに残ったパクリタキセル残存量は2471μg(初期薬物負荷量の12.6%)であった。ヒト被検対象は、最大尿流量、IPSSスコアおよびPVR測定のために14日、30日、90日、180日および365日にフォローアップ来院した。ヒト被検対象は、最大尿流量が7mL/秒から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ14mL/秒、16mL/秒、16mL/秒、11mL/秒および14mL/秒に改善した。ヒト被検対象は、PVRが65mLから14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ30mL、7.5mL、0mL、32mLおよび9mLに改善した。ヒト被検対象は、IPSSが25から14日、30日、90日、180日および365日のフォローアップ来院でそれぞれ10、22、15、10および14に改善した。
【0417】
用いている用語および表現は、限定ではなく、記載の用語として使用し、このような用語および表現の使用により、ここに示し、かつ記載した特性のあらゆる均等物またはその一部を除外する意図はなく、むしろ、本発明の実施態様の範囲内で種々の修飾が可能であることは認識される。それ故に、本発明が特定の実施態様および任意の特性により具体的に開示されているが、ここに開示する概念の修飾および変更は、当業者より用いられ得て、このような修飾および変更が本発明の実施態様の範囲内であると考えられることは理解されるべきである。
【0418】
例示的実施態様
次の例示的実施態様が提供され、その番号付けは、重要度を指定すると解釈すべきではない。
【0419】
実施態様1は、癌処置誘導非血管狭窄を処置する方法であって、
癌処置誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで癌処置誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0420】
実施態様2は、癌処置が放射線処置である、実施態様1の方法を提供する。
【0421】
実施態様3は、狭窄が尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄または胆管狭窄である、実施態様1~2の何れかの方法を提供する。
【0422】
実施態様4は、癌処置が前立腺の放射線処置であり、ここで、狭窄が膀胱頚部狭窄である、実施態様1~3の何れかの方法を提供する。
【0423】
実施態様5は、癌処置誘導非血管狭窄の再発を低減するまたは予防するまたは癌の再発を低減するまたは予防する方法であって、
バルーンカテーテルを、癌処置が実施された部位、その近接、近位または遠位である体腔における標的部位に挿入し、バルーンカテーテルが
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するように、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するまで膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0424】
実施態様6は、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位の近接、近位または遠位の体腔で癌処置を実施することを含む、実施態様5の方法を提供する。
【0425】
実施態様7は、癌処置誘導非血管狭窄が標的部位に存在し、さらに標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で狭窄切開術を実施することを含む、実施態様5~6の何れかの方法を提供する。
【0426】
実施態様8は、狭窄切開術がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む、実施態様7の方法を提供する。
【0427】
実施態様9は、癌処置が放射線処置である、実施態様5~7の何れかの方法を提供する。
【0428】
実施態様10は、狭窄が尿道狭窄、輸尿管狭窄、食道狭窄、副鼻腔狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、膀胱頚部狭窄または胆管狭窄である、実施態様5~8の何れかの方法を提供する。
【0429】
実施態様11は、癌処置が前立腺の放射線処置であり、ここで、狭窄が膀胱頚部狭窄である、実施態様5~9の何れかの方法を提供する。
【0430】
実施態様12は、外科的吻合誘導非血管狭窄を処置する方法であって、
外科的吻合誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで外科的吻合誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0431】
実施態様13は、狭窄が線維性狭窄である、実施態様12の方法を提供する。
【0432】
実施態様14は、狭窄が、食道狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパスが原因の狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、J型結腸嚢狭窄または膀胱頚部狭窄である、実施態様12~13の何れかの方法を提供する。
【0433】
実施態様15は、外科的吻合誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であって、
外科的吻合を実施する部位である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0434】
実施態様16は、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で外科的吻合を実施することを含む、実施態様15の方法を提供する。
【0435】
実施態様17は、外科的吻合誘導非血管狭窄が標的部位に存在し、さらに標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で狭窄切開術を実施することを含む、実施態様15~16の何れかの方法を提供する。
【0436】
実施態様18は、狭窄切開術がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む、実施態様17の方法を提供する。
【0437】
実施態様19は、狭窄が線維性狭窄である、実施態様15~18の何れかの方法を提供する。
【0438】
実施態様20は、狭窄が、食道狭窄、胆管狭窄、胃狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、胃バイパスが原因の狭窄、回結腸狭窄、消化器狭窄、尿道狭窄、輸尿管狭窄、J型結腸嚢狭窄または膀胱頚部狭窄である、実施態様15~19の何れかの方法を提供する。
【0439】
実施態様21は、炎症性疾患誘導非血管狭窄を処置する方法であって、
炎症性疾患誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで炎症性疾患誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0440】
実施態様22は、炎症性疾患がクローン病である、実施態様21の方法を提供する。
【0441】
実施態様23は、炎症性疾患が潰瘍性大腸炎である、実施態様21~22の何れかの方法を提供する。
【0442】
実施態様24は、狭窄が小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である、実施態様21~23の何れかの方法を提供する。
【0443】
実施態様25は、炎症性疾患処置誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であって、
炎症性疾患処置を実施した部位である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで、バルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0444】
実施態様26は、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で炎症性疾患処置を実施することを含む、実施態様25の方法を提供する。
【0445】
実施態様27は、炎症性疾患処置誘導狭窄が標的部位に存在し、さらに標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で狭窄切開術を実施することを含む、実施態様25~26の何れかの方法を提供する。
【0446】
実施態様28は、狭窄切開術がニードルナイフ電子切開術または内視鏡的粘膜切除術(EMR)を含む、実施態様27の方法を提供する。
【0447】
実施態様29は、炎症性疾患がクローン病である、実施態様25~28の何れかの方法を提供する。
【0448】
実施態様30は、炎症性疾患が潰瘍性大腸炎である、実施態様25~29の何れかの方法を提供する。
【0449】
実施態様31は、狭窄が小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、大腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である、実施態様25~30の何れかの方法を提供する。
【0450】
実施態様32は、胃切除術誘導非血管狭窄を処置する方法であって、
胃切除術誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで胃切除術誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0451】
実施態様33は、胃切除術誘導非血管狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であって、
胃切除術を実施した部位である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0452】
実施態様34は、さらに、標的部位へのバルーンカテーテルの挿入前に標的部位で胃切除術を実施することを含む、実施態様33の方法を提供する。
【0453】
実施態様35は、胃切除術誘導非血管狭窄が標的部位に存在し、さらに標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で狭窄切開術を実施することを含む、実施態様33~34の何れかの方法を提供する。
【0454】
実施態様36は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を処置する方法であって、
ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでニードルナイフ電子切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、EMR(内視鏡的粘膜切除術)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0455】
実施態様37は、電子切開術、会陰切開術、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌または消化器癌の処置のためである、実施態様36の方法を提供する。
【0456】
実施態様38は、電子切開術、会陰切開術、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が結腸からポリープを除去するための処置であり、ここで、狭窄が結腸狭窄である、実施態様36~37の何れかの方法を提供する。
【0457】
実施態様39は、電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)はバレット食道の処置であり、ここで、狭窄が食道狭窄である、実施態様36~38の何れかの方法を提供する。
【0458】
実施態様40は、狭窄が食道狭窄、胆管狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である、実施態様36~39の何れかの方法を提供する。
【0459】
実施態様41は、ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄の発生を低減または予防する方法であって、
ニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、DVIU、EMRまたはESDを実施した部位である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0460】
実施態様42は、さらに、標的部位へのバルーンカテーテル挿入前に標的部位でニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、DVIU、EMRまたはESDを実施することを含む、実施態様41の方法を提供する。
【0461】
実施態様43は、標的部位がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)誘導非血管狭窄を含み、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に標的部位で狭窄切開術を実施することを含む、実施態様41~42の何れかの方法を提供する。
【0462】
実施態様44は、電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が食道癌、胆管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、空腸癌、回腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、回結腸癌または消化器癌の処置のためである、実施態様41~43の何れかの方法を提供する。
【0463】
実施態様45は、電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)はバレット食道の処置であり、ここで、狭窄が食道狭窄である、実施態様41~44の何れかの方法を提供する。
【0464】
実施態様46は、狭窄が食道狭窄、胆管狭窄、小腸狭窄、十二指腸狭窄、空腸狭窄、回腸狭窄、結腸狭窄、直腸狭窄、結腸直腸狭窄、回結腸狭窄または消化器狭窄である、実施態様41~45の何れかの方法を提供する。
【0465】
実施態様47は、膀胱頚部狭窄を処置する方法であって、
膀胱頚部狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで膀胱頚部狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0466】
実施態様48は、膀胱頚部狭窄が線維性である、実施態様47の方法を提供する。
【0467】
実施態様49は、前立腺癌処置または狭窄切開術誘導膀胱頚部狭窄の発生を低減するまたは予防する方法であって、
膀胱頚部であり、前立腺癌処置または狭窄切開術の部位、近接、近位または遠位である体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0468】
実施態様50は、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に前立腺癌処置または狭窄切開術を実施することを含む、実施態様49の方法を提供する。
【0469】
実施態様51は、狭窄切開術がニードルナイフ電子切開術、会陰切開術、尿道切開術、経尿道的内尿道切開術(DVIU、内視鏡的粘膜切除術(EMR)または内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を含む、実施態様49~50の何れかの方法を提供する。
【0470】
実施態様52は、標的部位が前立腺癌処置または狭窄切開術誘導膀胱頚部狭窄を含み、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前に狭窄切開術を実施することを含む、実施態様49~51の何れかの方法を提供する。
【0471】
実施態様53は、前立腺癌処置が前立腺全摘出術(RP)、放射線療法、凍結治療または高密度焦点式超音波治療法(HIFU)を含む、実施態様49~52の何れかの方法を提供する。
【0472】
実施態様54は、膀胱頚部狭窄が線維性である、実施態様49~53の何れかの方法を提供する。
【0473】
実施態様55は、好酸球性食道炎の食道線維性狭窄を処置する方法であって、
好酸球性食道炎の食道線維性狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで好酸球性食道炎の食道線維性狭窄の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0474】
実施態様56は、アカラシアを処置する方法であって、
食道下部括約筋を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで食道下部括約筋の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0475】
実施態様57は、良性前立腺肥大(BPH)を処置する方法であって、
前立腺尿道を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまで前立腺尿道の位置でコーティング層と体腔の壁が接触するように標的部位でバルーンを膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0476】
実施態様58は、BPHが中央ローブ肥大を含む、実施態様57の方法を提供する。
【0477】
実施態様59は、BPHが側面ローブ肥大を含む、実施態様57~58の何れかの方法を提供する。
【0478】
実施態様60は、BPHが中央ローブ肥大および側面ローブ肥大両者を含むである、実施態様57~59の何れかの方法を提供する。
【0479】
実施態様61は、外傷誘導狭窄、特発性狭窄および/または医原性狭窄である尿道狭窄を処置する方法であって、
尿道狭窄を含む体腔における標的部位にバルーンカテーテルを挿入し、ここで、バルーンカテーテルは
細長いバルーンおよび
バルーンの外表面を覆うコーティング層を含み、ここでコーティング層は1以上の水溶性添加物および治療剤の初期薬物負荷量を含むものであり;
バルーンが膨張期間の膨張バルーン直径を達成するまでバルーンを標的部位でコーティング層が体腔の壁に接触するように膨張させ;
膨張期間後バルーンを収縮させ;そして
体腔からバルーンカテーテルを引き抜く
ことを含む、方法を提供する。
【0480】
実施態様62は、バルーンカテーテルが細長いバルーンに加えて1以上のさらなるバルーンを含み、該さらなるバルーンは伸張され、ここで、バルーン間の空間は約0~約10mm(例えば、0mmまたは約0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mm未満、それに等しいまたは大きい)であり、ここで、該さらなるバルーンは所望により細長いバルーンのコーティング層と同一または類似するコーティング層を含むものである、実施態様1~61の何れかの方法を提供する。
【0481】
実施態様63は、細長いバルーンが主直径を有する、実施態様1~62の何れかの方法を提供する。
【0482】
実施態様64は、バルーンが主直径バルーンが膨張したときより小さい直径を含む少なくとも1つのネック部を含み、少なくとも1つのネック部が各直径を有する少なくとも2つの要部にバルーンを分割する、実施態様63の方法を提供する。
【0483】
実施態様65は、バルーンカテーテルがバルーンの長手方向端にカテーテルシャフトを含み、ここで、少なくとも1つのネック部がカテーテルシャフトに直接結合する、実施態様64の方法を提供する。
【0484】
実施態様66は、主直径が少なくとも13mmまたは少なくとも15mmまたは少なくとも20mmまたは少なくとも30mmまたは少なくとも35mmである、実施態様63~65の何れかの方法を提供する。
【0485】
実施態様67は、少なくとも2つの要部の直径が細長いバルーンの主直径と等しいまたは少なくとも1つのネック部が少なくとも2つの要部の少なくとも一方の直径の約5%~約99%である直径を有する、実施態様64~65の何れかの方法を提供する。
【0486】
実施態様68は、少なくとも1つのネック部が独立して約2mm~約35mmである直径を有する、実施態様64~67の何れかの方法を提供する。
【0487】
実施態様69は、少なくとも1つのネック部の直径がバルーンの膨張中実質的に動かない、実施態様64~68の何れかの方法を提供する。
【0488】
実施態様70は、少なくとも1つのネック部がバルーンの実質的に非弾性部分、バルーンの補強部分またはこれらの組み合わせを含む、実施態様64~69の何れかの方法を提供する。
【0489】
実施態様71は、少なくとも1つのネック部がネック部外周に非弾性材料を含む、実施態様64~70の何れかの方法を提供する。
【0490】
実施態様72は、非弾性材料が超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリアミドまたはこれらの組み合わせを含む、実施態様71の方法を提供する。
【0491】
実施態様73は、細長いバルーンが長さ約20mm~約160mmを有する、実施態様1~72の何れかの方法を提供する。
【0492】
実施態様74は、少なくとも1つのネック部が1つのネック部であり、バルーンが他のネック部がない、実施態様64~73の何れかの方法を提供する。
【0493】
実施態様75は、バルーンカテーテルがバルーンの長手方向端にカテーテルシャフトを含み、カテーテルシャフトがバルーン内部にガス、液体またはこれらの組み合わせを送達するための内部管腔を含む、実施態様1~74の何れかの方法を提供する。
【0494】
実施態様76は、カテーテルシャフトの近位端がカテーテルシャフトの内部管腔に1以上の接続を提供するハブを含む、実施態様75の方法を提供する。
【0495】
実施態様77は、バルーンカテーテルがバルーンが収縮した状態にある間にバルーンを伸ばし、拡張する長さ調節機構を含む、実施態様1~76の何れかの方法を提供する。
【0496】
実施態様78は、長さ調節機構がバルーン膨張中エネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーがバルーンが収縮したらバルーンの伸長に使用される、実施態様77の方法を提供する。
【0497】
実施態様79は、長さ調節機構のエネルギーがバルーンの膨張中カテーテルシャフトに貯蔵される、実施態様78の方法を提供する。
【0498】
実施態様80は、バルーンカテーテルが細長いバルーンの遠位端から少なくとも細長いバルーンの近位端に細長く硬い要素を含む、実施態様1~79の何れかの方法を提供する。
【0499】
実施態様81は、細長く硬い要素の長さに沿って連続または不連続である補強チューブの内側または外側に細長く硬い要素が配置される、実施態様80の方法を提供する。
【0500】
実施態様82は、細長く硬い要素の遠位端が、バルーンが膨張するにつれて、力が細長硬い要素の近位方向に伝達されるように細長いバルーンの遠位端に機械的に結合される、実施態様80~81の何れかの方法を提供する。
【0501】
実施態様83は、細長く硬い要素の遠位端が細長いバルーンの遠位端に結合されるまたは細長いリジッドな要素の遠位端がカテーテルチップに結合する、実施態様80~82の何れかの方法を提供する。
【0502】
実施態様84は、バルーンカテーテルがカテーテルシャフトを含み、細長いリジッドな要素の近位端が細長く硬いバルーンの近位端または細長いバルーンの近位端の近位でカテーテルシャフトに結合する、実施態様80~83の何れかの方法を提供する。
【0503】
実施態様85は、バルーンカテーテルが、細長く硬い要素が近位方向に動くにつれて、力が弾性部材に貯蔵され、力が弾性部材から放出されるにつれて、力が弾性部材から細長く硬い要素に遠位方向で適用されるように、細長く硬い要素の近位端に結合した弾性部材を含む、実施態様80~84の何れかの方法を提供する。
【0504】
実施態様86は、治療剤がパクリタキセル、ドセタキセル、タキソール、それらのアナログ、ラパマイシン、シロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、タクロリムス、mTOR阻害剤、そのアナログおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様1~85の何れかの方法を提供する。
【0505】
実施態様87は、水溶性添加物は、N-アセチルグルコサミン、N-オクチル-D-グルコンアミド、N-ノナノイル-N-メチルグルカミン、N-オクタノイル-N-メチルグルタミン、C6-セラミド、ジヒドロ-C6-セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ラクトセレブロシド、N-アセチル-D-スフィンゴシン、N-ヘキサノイル-D-スフィンゴシン、N-オクトノイル-D-スフィンゴシン、N-ラウロイル-D-スフィンゴシン、N-パルミトイル-D-スフィンゴシン、N-オレオイル-D-スフィンゴシン、PEGカプリル酸/カプリン酸ジグリセリド、PEG8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEGカプリレート、PEG8カプリレート、PEGカプレート、PEGカプロエート、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプロン酸グリセリル、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン、モノミリスチン、モノパルミトオレイン、モノオレイン、クレアチン、クレアチニン、アグマチン、シトルリン、グアニジン、スクラロース、アスパルテーム、ヒポキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、アデニン、ウラシル、ウリジン、グアニン、チミン、チミジン、キサンチン、キサントシン、一リン酸キサントシン、カフェイン、アラントイン、(2-ヒドロキシエチル)尿素、N,N’-ビス(ヒドロキシメチル)尿素、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート/エトキシレート、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、クラウンエーテル、18-クラウン-6,15-クラウン-5,12-クラウン-4およびそれらの組み合わせから選択される、実施態様1~86の何れかの方法を提供する。
【0506】
実施態様88は、水溶性添加物がペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートおよびそれらの組み合わせから選択される、実施態様87の方法を提供する。
【0507】
実施態様89は、水溶性添加物が界面活性剤である第一水溶性添加物を含む、実施態様1~88の何れかの方法を提供する。
【0508】
実施態様90は、第一水溶性添加物がPEGソルビタンモノラウレート、PEGソルビタンモノオレアートまたはこれらの組み合わせである、実施態様89の方法を提供する。
【0509】
実施態様91は、水溶性添加物がヒドロキシル、アミン、カルボニル、カルボキシルまたはエステルである1以上の部分を有する化合物である第二水溶性添加物を含む、実施態様1~90の何れかの方法を提供する。
【0510】
実施態様92は、第二水溶性添加物がソルビトール、ソルビタン、キシリトール、グルコノラクトンまたはこれらの組み合わせである、実施態様91の方法を提供する。
【0511】
実施態様93は、使用後、残存薬物量がバルーンの治療剤の初期負荷量の約70%以下である、実施態様1~92の何れかの方法を提供する。
【0512】
実施態様94は、治療剤の初期負荷量が、バルーンがその公称径であるとき測定して約1マイクログラム~約20マイクログラム治療剤/バルーン平方ミリメートルである、実施態様1~93の何れかの方法を提供する。
【0513】
実施態様95は、初期負荷量が、バルーンがその公称径であるとき測定して、約2~約6マイクログラム治療剤/バルーン平方ミリメートルである、実施態様1~94の何れかの方法を提供する。
【0514】
実施態様96は、コーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.05~約20である、実施態様1~95の何れかの方法を提供する。
【0515】
実施態様97は、コーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約0.5~約8である、実施態様1~96の何れかの方法を提供する。
【0516】
実施態様98は、コーティング層の治療剤対コーティング層の1以上の水溶性添加物の総重量の重量比が約2~約6である、実施態様1~97の何れかの方法を提供する。
【0517】
実施態様99は、バルーンカテーテルが約1.0、1.1、1.2、1.3または1.4~40(例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40またはその間の何れかの値)またはこれらの組み合わせの延伸比を有する、実施態様1~98の何れかの方法を提供する。
【0518】
実施態様100は、バルーンカテーテルがさらに細長いバルーンを覆うシースを含む、実施態様1~99の何れかの方法を提供する。
【0519】
実施態様101は、バルーンカテーテルが、体腔が水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流された後、標的部位に治療剤を送達するものである、実施態様1~100の何れかの方法を提供する。
【0520】
実施態様102は、膨張が、バルーンカテーテルの公称圧力以上までバルーンを膨張させることを含み、標的部位での延伸比(例えば、公称圧力での非拘束環境におけるバルーンの公称径対バルーンカテーテルで処置される領域における体腔の未処置直径の比)が約1.0~約40または1.4~約40である、実施態様1~101の何れかの方法を提供する。
【0521】
実施態様103は、膨張がバルーンカテーテルの公称圧力を超える圧力に膨張させることを含み、バルーンの公称径カテーテルが膨張バルーン直径より小さい、実施態様1~102の何れかの方法を提供する。
【0522】
実施態様104は、膨張がバルーンカテーテルの公称圧力未満の圧力に膨張することを含む、実施態様1~103の何れかの方法を提供する。
【0523】
実施態様105は、標的部位へのバルーン挿入前に、体腔を水、食塩水溶液または少なくとも1つの水溶性添加物を含む水溶液で洗い流すことをさらに含む、実施態様1~104の何れかの方法を提供する。
【0524】
実施態様106は、挿入が、膀胱頚部におけるバルーンの少なくとも1つのネック部の位置決めを含む、実施態様1~105の何れかの方法を提供する。
【0525】
実施態様107は、膨張が約0.1~約10気圧/分の速度でバルーン内の圧力を増加させることを含む、実施態様1~106の何れかの方法を提供する。
【0526】
実施態様108は、膨張がバルーン内の圧力を観察することを含む、実施態様1~107の何れかの方法を提供する。
【0527】
実施態様109は、膨張が、バルーンを第一圧力まで膨張させ、バルーン内の圧力を安定化時間バルーンにおいて第一圧力を維持しながら、バルーン内の圧力を安定化させ、次いで、所望の膨張直径が達成されるまでバルーン内の圧力を再び増加させることを含む、実施態様1~108の何れかの方法を提供する。
【0528】
実施態様110は、膨張期間が約0.1分間~約7日間である、実施態様1~109の何れかの方法を提供する。
【0529】
実施態様111は、1以上の水溶性添加物が、膨張期間中標的部位でバルーンからの治療剤の迅速な放出を促進する、実施態様1~110の何れかの方法を提供する。
【0530】
実施態様112は、バルーンが、引き抜き後、残存薬物量を有する、実施態様1~111の何れかの方法を提供する。
【0531】
実施態様113は、バルーンが、引き抜き後、初期負荷量の約70%未満の残存薬物量を有する、実施態様112の方法を提供する。
【0532】
実施態様114は、バルーンカテーテルがバルーンを覆うシースをさらに含み、シースがバルーンの膨張前にバルーンから除かれる、実施態様1~113の何れかの方法を提供する。
【0533】
実施態様115は、スコープを、バルーンカテーテルを適切に配置する、バルーンの膨張を可視化する、バルーンの収縮を可視化する、標的部位の確保を可視化する、標的部位壁への治療剤の放出を可視化する、またはこれらの組み合わせのために使用する、実施態様1~114の何れかの方法を提供する。
【0534】
実施態様116は、さらに、標的部位にバルーンカテーテルを挿入する前にスコープによって標的部位を水または食塩水溶液で洗い流すことを含む、実施態様115の方法を提供する。
【0535】
実施態様117は、スコープが内視鏡、小腸内視鏡、結腸内視鏡、S状結腸鏡、直腸鏡、肛門鏡、鼻鏡、気管支鏡または膀胱鏡である、実施態様115~116の何れかの方法を提供する。
【0536】
実施態様118は、バルーンカテーテルがスコープの管腔内に配置される、実施態様115~117の何れかの方法を提供する。
【0537】
実施態様119は、バルーンカテーテルが体腔にスコープと共に配置される、実施態様115~118の何れかの方法を提供する。
【0538】
実施態様120は、バルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2、1.3または1.4~40(例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40またはその間の何れかの値)の膨張バルーン直径対標的部位の未処置体腔直径の比を有するまたはバルーンカテーテルが1.0、1.1、1.2、1.3または1.4~40(例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.2、2.4、2.6、2.8、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40またはその間の何れかの値)の標的部位での延伸比を有するまたはこれらの組み合わせを有する、実施態様1~119の何れかの方法を提供する。
【0539】
実施態様121は、標的部位に薬物コーティングバルーンを挿入する前に、標的部位を他のバルーンカテーテルで前拡張することをさらに含む、実施態様1~120の何れかの方法を提供する。
【0540】
実施態様122は、前拡張に使用するバルーンカテーテルが実質的に薬物コーティングを欠く、実施態様1~121の何れかの方法を提供する。
【0541】
実施態様123は、前拡張に使用するバルーンカテーテルが薬物コーティングバルーンより小さい公称径を有する、実施態様1~122の何れかの方法を提供する。
【0542】
実施態様124は、バルーンカテーテルが、位置決めまたは配置を目視または放射線的に補助する1以上のマーキングを含む、実施態様1~123の何れかの方法を提供する。
【0543】
実施態様125は、実施態様1~124の何れかのバルーンカテーテルを含むバルーンカテーテルを提供する。
【0544】
実施態様126は、所望により記載する全要素または選択肢が使用または選択に利用可能であるように設定される、実施態様1~125の方法またはバルーンカテーテルの何れかまたは何れかの組み合わせを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】