(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(54)【発明の名称】揮発性物質を散布するデバイス
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20220329BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A01M1/20 D
A61L9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535821
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2019086380
(87)【国際公開番号】W WO2020127785
(87)【国際公開日】2020-06-25
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509312330
【氏名又は名称】ゾベル・ホールディングス・エッセピア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・カマレロ・ディエス
(72)【発明者】
【氏名】フリオ・セサル・ルイス・バジェステロス
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・シモンズ
【テーマコード(参考)】
2B121
4C180
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA02
2B121CA15
2B121CA32
2B121CC02
2B121CC13
2B121CC27
2B121CC31
4C180AA03
4C180AA18
4C180CA07
4C180FF01
4C180GG16
4C180GG17
4C180GG19
4C180LL03
(57)【要約】
揮発性物質を有する材料を収容する容器(1)と、前記揮発性物質を有する前記材料が染み込む多孔質散布器(2)と、散布させる当該デバイスを初めて使用する前に取り除かれる保護シート(3)と、を備えた、揮発性物質を散布するデバイスであって、当該デバイスは、窓(41)を備えた保護層(4)をまた備え、前記保護層(4)は容器(1)と接合しかつ前記多孔質散布器(2)と保護シート(3)との間に位置することを特徴とする揮発性物質を散布するデバイスであり、窓の存在のおかげで、揮発性物質は保護シートが取り除かれる瞬間から高い散布率で散布する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を有する材料を収容する容器(1)と、
前記揮発性物質を有する前記材料が染み込む多孔質散布器(2)と、
散布させるデバイスを初めて使用する前に取り除かれる保護シート(3)と、を備えた、揮発性物質を散布するデバイスであって、
当該デバイスは、窓(41)を備えた保護層(4)をも備え、前記保護層(4)は容器(1)と接合しかつ前記多孔質散布器(2)と保護シート(3)との間に位置することを特徴とする揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項2】
前記容器(1)は、周縁部(11)を備え、前記保護層(4)は前記周縁部(11)に接合している請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項3】
前記窓(41)は、前記保護層(4)において切り込まれ、前記保護層(4)においてフレーム(42)を画定する請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項4】
前記保護層(4)は、プラスチックで構成されている請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項5】
前記多孔質散布器(2)は、セルロースで構成されている請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項6】
前記多孔質散布器(2)は、0.4~0.6mmの厚み、225g/m
2~400g/m
2の重さを有する請求項1または5に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項7】
前記保護シート(3)は、アルミニウムで構成されている請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項8】
前記容器(1)は、熱成形プラスチックで構成されている請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項9】
前記保護層(4)は、前記多孔質散布器(2)に接合されている請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項10】
前記揮発性物質を有する前記材料は、ゲル又は液体である請求項1に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【請求項11】
前記多孔質散布器(2)は、前記保護層(4)に直接貼り付けられている請求項1または9に記載の揮発性物質を散布するデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は揮発性物質を散布するデバイスに関し、容器と、前記揮発性物質の散布を可能にするための前記容器から取り除かれる保護シートを備える。
【背景技術】
【0002】
固体、液体またはゲルの活性物質を有する容器からなり、揮発性物質、例えば殺虫剤又は芳香族物質、を大気へ散布させるデバイスは、最先端の技術でよく知らせている。
【0003】
前記活性物質は通常、半透膜のバリア又は多孔質散布器によって容器の外側とは分離され、これは活性物質がゲル状の状態で半透膜を通過して大気へ散布されることを可能にする。
【0004】
現在知られている解決策の難点の一つは、半透膜バリアが、活性物質の放出率を制御して、活性物質がゲル状の状態で通過することのみを可能にするので、表面領域での顕著な上昇なしには、半透膜バリアは十分の量の揮発性物質が半透膜バリアに通過することができない。
【0005】
半透膜バリアを通過するこのわずかな量の揮発性物質は、起動してから最初の数分又は数時間の間、使用者が揮発性物質の存在に気付くことを妨げる。同様に、半透膜バリアは大きい揮発性物質の通過を妨げ、半透膜バリアの使用を適切なサイズを有する特定の種類の化合物に制限する。
【0006】
さらに、半透膜バリアは小さい吸収容量を有し、これにより半透膜バリアの活性段階の間での低い揮発性物質の散布率をもたらす。
【0007】
さらに、大気へ散布するための活性物質を事前に染み込ませた材料からなる揮発性物質を散布するデバイスは、一般的に材料が吸収できる液体の量に限定される。
【0008】
従って、本発明の一つの目的は、サイズの観点で揮発性物質を広範囲に散布させるためのデバイスを提供することであり、揮発性物質は保護シートが取り除かれる瞬間から高い散布率で散布され、それと同時に、揮発性物質が思いがけずに容器から抜け出ることを防ぐ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明に係る揮発性物質を散布するデバイスは、前述の難点を解決し、以下で述べられる他の利点を示す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
揮発性物質を有する材料を収容する容器(1)と、
前記揮発性物質を有する前記材料が染み込む多孔質散布器(2)と、
散布させる当該デバイスを初めて使用する前に取り除かれる保護シート(3)と、を備え、
デバイスは、窓(41)を備える保護層(4)をも備え、前記保護層(4)は容器(1)と接合しかつ前記多孔質散布器(2)と保護シート(3)との間に位置することを特徴とする揮発性物質を散布するデバイス。窓の存在のおかげで、揮発性物質は保護シートが取り除かれる瞬間から高い散布率で散布される。
【0011】
さらに、保護層は、揮発性物質を有する材料の思いがけず容器の外部に抜け出ることを防ぐ。
【0012】
有利には、容器は、周縁部を備え、保護層は周縁部に接合する。
【0013】
さらに、有利には、窓は保護層に切り込まれ、保護層においてフレームを画定する。
【0014】
保護層は、揮発性物質が材料を通過することを防ぐ任意な材料で構成されることができるが、好ましくは、プラスチックで構成される。
【0015】
一つの実施形態では、多孔質散布器は、例えば0.4~0.6mmの厚さ、225g/m2~400g/m2の重さのセルロースで構成される。
【0016】
さらに、保護シートは、散布デバイスを初めて使用する前に取り付けられるよりも前に揮発性物質の蒸発又は散布を防ぐための任意な適切な材料で構成されることができるが、好ましくは、アルミニウムで構成される。
【0017】
容器は、例えばゲル又は液体である揮発性物質を有する材料を収容するための任意な他の適切な材料で構成されることができるが、好ましくは、熱成形プラスチックで構成される。
【0018】
もし所望されるなら、保護層は、例えば貼り付けのような任意な適切な手法で多孔質散布器と接合することができる。
【0019】
明細書のより良い理解を与えるために、概略的に、そして限定の目的ではなく単なる例として、本発明の実際の実施形態を表す一連の図面が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、この発明に係る揮発性物質を散布するデバイスの立体分解図である。
【
図2】
図2は、保護シートを取り除かれている状態での本発明に係る揮発性物質を散布するデバイスの一端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、揮発性物質、例えば揮発性芳香族物質又は殺虫材、を散布させるためのデバイスは、揮発性物質を有する材料を収容する容器1と、揮発性物質を有する材料を染み込ませた多孔質散布器2と、散布デバイスを初めて使用する前に取り除かれる保護シート3とを備える。
【0022】
さらに、本発明に係る散布デバイスは、窓41を備える保護層4を備え、保護層4は容器1に接合され、多孔質散布器2と保護シート3との間に位置する。
【0023】
窓4は、保護層4に切り込まれ、保護層4においてフレーム42を画定する。つまり、保護シート4が取り除かれる前に、保護層4は窓41をフレーム42から分離するカットラインを有し、窓41はデバイスが作動するときに保護シートと一緒に取り除かれる保護層4の一部によって覆われている。この保護層4の構成は、異なる方法でなされることができるが、保護層4の製造を容易する。
【0024】
多孔質散布器2の要素と同様に、窓41が揮発性物質を高い蒸発率又は散布率で散布することを可能にする間、保護層4は、ゲル又は液体である揮発性物質を含む材料の思いがけないこぼれ又は漏れを防ぐ。
【0025】
図1に示すように、保護層4において、窓41は外部フレームを画定し、すなわち、窓は保護層4の表面のほとんどを占有する。
【0026】
揮発性物質を含む活性成分又は材料のための容器は、例えばポリエチレン(EP)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような、熱成形プラスチックで構成されてもよい。
【0027】
容器1は、頂部に位置することができる垂直ノズルから満たされることができるように、水平位置に配置する方法で形成され又はモールドされる。
【0028】
容器1は、保護層4が取り付けられている周縁部11を備え、この保護層4は、もし所望される場合、保護層4に取り付けないまま散布器2上に位置することができるが、散布器2に取り付けられていてもよい。
【0029】
散布器2は、高い吸収容量を有する多孔質材料で構成され、多孔質材料は活性成分が染み込ませている。この方法で、その製造の間、保護シートの下に位置し、直接バリア4と接し、及び容器の上に位置する場合、散布器2は、容器1から活性物質が染み込み飽和している。他の可能な構成では、散布器2は容器1及び/又は保護層4に密封されている。
【0030】
目的は、いったん保護シート3が取り除かれたとき、散布器2は、その多孔質材料の高い吸収率により、十分な量の活性物質で完全に飽和し、染み込ませられる。
【0031】
この散布器2に使用できる材料は、異なる厚さで構成されるセルロース紙であってもよく、異なる厚さで構成されるシートに成形される非織物材料(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのような)であってもよい。セルロース紙は、例えば0.4~0.6mmの間で厚さが異なってもよく、225g/m2~400g/m2の間で重さが異なってもよい。
【0032】
保護シート3は、エンドユーザーがデバイスを初めて使用するためにデバイスを起動する時点で、取り除かれ破棄されることができる薄い材料からなる。この材料は、特に限定されないが、アルミホイール、EVOH(登録商標)及び類似の材料であってもよい。
【0033】
保護層4は、熱成形プラスチックの容器1の表面に直接に貼り付けられ、積層され、又は接着される。この保護層4は、窓41を形成するために容器と連結する工程に先立ってカットされる。
【0034】
この方法では、保護シート3が取り除かれるとき、保護層4は容器1に接合したままであり、これは散布器2を保持する及び活性物質の直接的な漏れを防ぐ手段である。
【0035】
積層を容易にするために、保護シート3と保護層4との間または保護層4と容器1との間に接合部材があってもよい。これらの接続部材は、特に限定されないが、ポリオレフィン、樹脂及び類似の材料であってもよい。
【0036】
本発明に係る揮発性物質を散布するデバイスの二つの具体的な実施例が以下で述べられる。
【0037】
第一実施例によれば、容器1は、熱形成PP/PETプラスチックで構成され、厚さは0.4~0.7mmであり、異なる三つの表面階層が形成される。
【0038】
容器1では、揮発性物質へ散布される主要な活性成分としての香料を伴う、中から高粘度のゲルフィルターがある。
【0039】
散布器2は、0.4~0.6mmの厚さ、225g/m2~400g/m2の重さのセルロースで構成される。保護層4は、ポリエチレンで構成され、保護シート3はアルミニウムで構成される。
【0040】
容器1は、ゲルで満たされる。このゲルは散布器2を満たし飽和させる。保護シート3及び保護層4の組立体は、次に容器1に貼り付けられ、容器1を密封する。
【0041】
保護層4は、前もって切り離される窓41を備え、保護シート3が取り除かれるとき、窓41を残したまま保護層4のフレーム42は容器1と接合したままであり、これにより散布器2に染み込まれる香料(揮発性物質)はすぐに蒸発し始めるだろう。
【0042】
第二の実施例によれば、容器1は、熱形成PP/PETプラスチックで構成され、厚さは0.4~0.7mmであり、異なる三つの表面階層が形成され、容器1は、主要な活性成分としての香料を伴う液体又は低粘度ゲルで満たされる。
【0043】
散布器2は、0.4~0.6mmの厚さ、225g/m2~400g/m2の重さのセルロースで構成され、保護層4は、ポリエチレンで構成され、保護シート3はアルミニウムで構成される。
【0044】
第一の実施例との主な違いは、保護層4が容器1に貼り付けられるだけではなく、部分的に散布器2にも貼り付けられていることである。この方法では、液体又は低粘度ゲルは、漏れのおそれがなく容器の中に留まるだろう。
【0045】
本発明の特定の実施形態を参照したが、当業者にとって、記載された揮発性物質を散布するためのデバイスに多数の変形および修正を加えることができ、言及された詳細のすべてが添付の請求項で定義されている保護の範囲外にならないように、他の技術的に同等の詳細に置き換えられる。
【符号の説明】
【0046】
1 容器
2 散布器
3 保護シート
4 保護シート
11 周縁部
41 窓
42 フレーム
【国際調査報告】