(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(54)【発明の名称】車両の座標を特定する方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220329BHJP
【FI】
G05D1/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535937
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2018085575
(87)【国際公開番号】W WO2020125951
(87)【国際公開日】2020-06-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ピール,ヤコブ
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB02
5H301FF06
5H301FF15
5H301FF27
5H301GG08
(57)【要約】
特に、車両(100)の周囲に取り付けられた光学式の機械可読タグ(302)に関連付けられた情報を取得するように配置されたセンサ装置(202)を使用して、車両(100)の座標を特定する方法である。また、位置特定装置(200)、及び対応するコンピュータプログラム製品である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置(202)及び制御ユニット(204)を含む位置特定装置(200)を備えた車両(100)の座標を特定するコンピュータ実装方法であって、前記センサ装置(202)は、車両基準位置(V
ref)に対して所定の関係を持って前記車両(100)に設けられ、
前記方法は、
前記センサ装置(202)及び前記制御ユニット(204)を使用して、前記車両(100)の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物(304)に取り付けられた、光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,…,d
n)を特定するステップ(S1)と、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,…,d
n)の中から最短距離(d
short)を特定するステップ(S2)と、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)に関連付けられたIDコードに基づいて、前記光学式の機械可読タグ(302)のタグ基準座標を特定するステップ(S3)と、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記タグ基準座標、前記最短距離(d
short)、前記所定の凸形状、及び前記センサ装置と前記車両基準位置(V
ref)との間の所定の関係に基づいて、前記車両(100)の座標を特定するステップ(S4)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記センサ装置(202)を使用して前記光学式の機械可読タグ(302)を走査することで、前記IDコードを取得するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御ユニット(204)を使用して、前記最短距離(d
short)について前記センサ装置(202)と前記光学式の機械可読タグ(302)との間の相対角度(α)を特定するステップと、
前記車両基準位置(V
ref)に対する前記車両(100)の羅針方位を取得するステップと、
前記相対角度(α)及び前記羅針方位に基づいて、前記特定された車両の座標における車両の方位を特定するステップと、
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサ装置(202)がパルスレーザを含み、
前記複数の距離を特定するステップは、
複数の測定点を含む点群を形成するステップと、
前記光学式の機械可読タグ(302)の外形を推定するステップと、
を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記固定構造物(304)の前記所定の凸形状が円形である、
請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記円形の固定構造物(304)が所定の半径を有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記光学式の機械可読タグ(302)の前記タグ基準位置を特定するステップは、前記光学式の機械可読タグ(302)の地理的座標に関連する情報、及び前記固定構造物(304)の前記所定の凸形状に関連する情報を取得することを含む、
請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
データベース(206)から、前記光学式の機械可読タグ(302)の前記地理的座標、及び前記固定構造物(304)の前記所定の凸形状に関連する情報を取得するステップをさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記データベース(206)が前記車両(100)に搭載された、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記データベース(206)が前記車両(100)から離れて配置された、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記特定された車両の座標を、前記車両(100)の周囲の地図に関連付けるステップをさらに含む、
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
車両(100)の位置特定装置(200)であって、前記位置特定装置(200)は、センサ装置(202)及び制御ユニット(204)を含み、前記センサ装置(202)は、車両基準位置(V
ref)に対して所定の関係を持って前記車両(100)に設けられ、
前記位置特定装置(200)が、
前記センサ装置(202)及び前記制御ユニット(204)を使用して、前記車両(100)の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物(304)に取り付けられた、光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,…,d
n)を特定し、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,…,d
n)の中から最短距離(d
short)を特定し、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)に関連付けられたIDコードに基づいて、前記光学式の機械可読タグ(302)のタグ基準座標を特定し、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記タグ基準座標、前記最短距離(d
short)、前記所定の凸形状、及び前記センサ装置と前記車両基準位置(V
ref)との間の所定の関係に基づいて、前記車両(100)の座標を特定する、
ように適合された位置特定装置(200)。
【請求項13】
前記位置特定装置(200)が、前記センサ装置(202)を使用して前記光学式の機械可読タグ(302)を走査することで前記IDコードを取得するようにさらに適合された、
請求項12に記載の位置特定装置(200)。
【請求項14】
前記位置特定装置(200)が、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記最短距離(d
short)について前記センサ装置(202)と前記光学式の機械可読タグ(302)との間の相対角度(α)を特定し、
前記車両基準位置(Vref)に対する前記車両(100)の羅針方位を取得し、
前記相対角度(α)及び前記羅針方位に基づいて、前記特定された車両の座標における前記車両(100)の方位を特定する、
ようにさらに適合された、請求項12又は13に記載の位置特定装置(200)。
【請求項15】
前記センサ装置(202)がパルスレーザを含む、
請求項12~14のいずれか1つに記載の位置特定装置(200)。
【請求項16】
前記センサ装置(200)がLiDARシステムを含む、
請求項12~15のいずれか1つに記載の位置特定装置(200)。
【請求項17】
前記位置特定装置(200)が、前記特定された車両の座標を、前記車両(100)の周囲の地図に関連付けるようにさらに適合された、
請求項12~16のいずれか1つに記載の位置特定装置(200)。
【請求項18】
前記位置特定装置(200)が、前記車両(100)のユーザインターフェースに前記地図を表示するようにさらに適合された、
請求項17に記載の位置特定装置(200)。
【請求項19】
請求項12~18のいずれか1つに記載の位置特定装置(200)を含んだ車両(100)。
【請求項20】
前記車両(100)が、掘削機、ホイールローダ、ドーザ、グレーダ及びバックホーローダなどの作業機械である、
請求項19に記載の車両(100)。
【請求項21】
前記車両が自律的に走行する、
請求項19又は20に記載の車両(100)。
【請求項22】
請求項12~18のいずれか1つに記載の位置特定装置(200)と、
車両(100)の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物(304)に取り付けられた光学式の機械可読タグ(302)と、
を含む、位置特定システム(310)。
【請求項23】
前記固定構造物(304)がポール及び杭の少なくとも一方である、
請求項22に記載の位置特定システム(310)。
【請求項24】
前記光学式の機械可読タグ(302)が繰り返しパターンとして提供された、
請求項22又は23に記載の位置特定システム(310)。
【請求項25】
前記光学式の機械可読タグ(302)がバーコードである、
請求項22~24のいずれか1つに記載の位置特定システム(310)。
【請求項26】
車両(100)の位置特定装置(200)を制御するコンピュータプログラム手段を格納した非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、
前記位置特定装置(200)が、センサ装置(202)及び制御ユニット(204)を含み、前記センサ装置(202)が、車両基準位置(V
ref)に対して所定の関係を持って前記車両(100)に設けられ、
前記コンピュータプログラム製品が、
前記センサ装置(202)及び前記制御ユニット(204)を使用して、前記車両(100)の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物(304)に取り付けられた光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,...,d
n)を特定するコードと、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,...,d
n)の中から最短距離(d
short)を特定するコードと、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記光学式の機械可読タグ(302)に関連付けられたIDコードに基づいて、前記光学式の機械可読タグ(302)のタグ基準座標を特定するコードと、
前記制御ユニット(204)を使用して、前記タグ基準座標、前記最短距離(d
short)、前記所定の凸形状、及び前記センサ装置と前記車両基準位置(V
ref)との間の所定の関係に基づいて、前記車両(100)の座標を特定するコードと、
を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、車両の周囲に取り付けられた光学式の機械可読タグに関連付けられた情報を取得するように配置されたセンサ装置を使用して、車両の座標を特定する方法に関する。本開示はまた、位置特定装置、及び対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両の半自律走行又は全自律走行が大きく進歩し、アダプティブクルーズコントロール、歩行者検知、前後衝突警報、車線逸脱警報、及び一般的な障害物検知などのドライバー支援及び安全機能が効果的に提供されている。このような自律走行車両は、一般的に、車両を取り巻く環境に関する情報を検出するように構成された、複数のセンサを利用している。
【0003】
一般的に、このような半自律走行車両又は全自律走行車両の適切なナビゲーションを確保するため、車両の現在位置が持続的に分かっていることを保証する必要がある。通常、車両には、例えば、車両の現在位置を取得する、GPS受信機などの衛星測位装置が含まれている。しかしながら、いくつかの状況では、衛星受信がない鉱山や、及び/又は衛星測位装置を使用して達成可能な精度が車両の特定の走行について不十分となる場所など、複数の衛星から信号を受信することが問題となり得る。
【0004】
その代わりに、例えば、(既知の座標を持つ)既知の位置に物体を配置することによって、車両が物体にどのように関連するかを演算することによって位置特定が行われる、ローカルナビゲーション手段を頼りにすることができる。このような車両の座標を特定する「局所的な」方法の一例は、米国特許出願公開第2003/0057270号明細書に開示されている。
【0005】
米国特許出願公開第2003/0057270号明細書は、構造の形状の特定位置に配置された「識別デバイス」を頼りにしており、車両に配置された読み取り装置は、識別デバイスが近くになったときに、そのデバイスを登録する。米国特許出願公開第2003/0057270号明細書は、バーコードを含む識別デバイスを例示している。米国特許出願公開第2003/0057270号明細書で提示された解決策は、配達やサービスコールなどの商業的利用、不慣れな場所において家や構造物の場所を特定する個人的使用、又は警察官や消防士などによる緊急使用の目的で、例えば、住所に対するいくつかの確信を追加するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米国特許出願公開第2003/0057270号明細書における解決策がローカルナビゲーション手段への興味深いアプローチを表していても、自律走行車両のナビゲーションに必要な精度が大幅に不足している。従って、例えば、自律走行車両の安全なナビゲーションを確保するための適切なレベルの精度を提供するように適合された、ローカルナビゲーション手段についてさらなる改善の余地があるように思われる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、上記の課題は、車両の座標を特定するコンピュータ実装方法によって少なくとも部分的に軽減される。車両には、センサ装置及び制御ユニットを含む位置特定装置が備えられている。センサ装置は、車両基準位置に対して所定の関係を持って車両に設けられている。この方法は、センサ装置及び制御ユニットを使用して、車両の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物に取り付けられた、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離を特定するステップと、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離の中から最短距離を特定するステップと、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグに関連付けられたIDコードに基づいて、光学式の機械可読タグのタグ基準座標を特定するステップと、制御ユニットを使用して、タグ基準座標、最短距離、所定の凸形状、及びセンサ装置と車両基準位置との間の所定の関係に基づいて、車両の座標を特定するステップと、を含んでいる。
【0008】
本開示は、光学式の機械可読タグまでの距離を測定可能なセンサ装置も導入することによって、車両の座標の信頼性及び精度を向上させることが可能であるという認識に基づいている。光学式の機械可読タグが配置されている構造体の既知の形状も考慮することによって、特に、比較的高精度が達成される。従って、光学式の機械可読タグまでの距離と構造体の既知の形状とを組み合わせることによって、構造体の中心の座標が事前に特定されている場合、例えば、構造体の中心までの物像距離(overall distance)を特定することが可能である。
【0009】
その結果、車両(一般的には、センサ装置に対する既知の関係を有する車両の基準位置について)と光学式の機械可読タグが配置された構造体の中心との間の距離を特定することができる。上記のことから明らかなように、車両の座標の信頼性/精度は、例えば、センサ装置が光学式の機械可読タグまでの距離をどれほど正確に特定できるか、及び構造体の中心の座標がどれほど正確に事前に特定されているかに基づいている。
【0010】
例えば、従来技術の解決策と比較すると、本開示に沿った解決策は、車両について本質的に正確な位置を特定することができる可能性がある。センサ装置と光学式の機械可読コードとの間の特定された相対角度(最短距離のため)をさらに考慮することによって、本開示に従って、一般的な従来技術に従って提案されたように、複数の既知の座標を使用して、例えば、車両の位置を三角測量する必要がなくなる。むしろ、本開示による概念は、単一の光学式の機械可読タグのみを頼りにして、車両の座標を特定している。
【0011】
本開示の一般的な実装において、センサ装置は、光学式の機械可読タグまでの複数の距離を特定するように配置され、そのうえ、最短距離を選択して、さらなる座標特定において使用することができる。しかしながら、本開示は、光学式の機械可読タグまでの単一の距離を特定する場合にも、適用可能であると理解されたい。
【0012】
「凸形状」という表現は、本開示に沿って広く解釈されるべきであり、構造体の形状が既知である限り、任意の形状、又は、例えば、(所定の半径を持つ)円形、楕円形、アングル形、若しくは他の「膨出(bulging)」構造が適用可能であることを意味している。上記のことから理解されるように、センサ装置は、一般的に、光学式の機械可読タグに関連付けられた識別可能なデータ(IDコード)を読み取り、IDコードは次に、構造体の形状、及び光学式の機械可読タグについて事前に特定された座標(及び/又は、例えば、光学式の機械可読タグが配置された構造体の中心)に関する情報を取得するために使用される。
【0013】
いくつかの実施形態におけるIDコードは、光学式の機械可読タグがバーコードである例示的な実施形態など、センサ装置を使用して光学式の機械可読タグを走査することによって取得できることを理解されたい。しかしながら、いくつかの代替的な実施形態では、例えば、Wi-Fi、NFCなどの無線手段を使用してIDコードが取得可能な場合、光学式の機械可読タグとは別にIDコードを配置することができる。
【0014】
光学式の機械可読タグのタグ基準座標の「検索(Look-up)」、及び構造体の所定の凸形状は、データベースから取得することができる。データベースは、いくつかの実施形態では、車両に搭載、例えば、制御ユニットと直接通信するように配置することができる。しかしながら、代替的な実施形態では、データベースは、制御ユニットとネットワーク通信するように配置されたサーバなど、遠隔地に配置されていてもよい。さらに別の代替的な実施形態では、光学式の機械可読タグのタグ基準座標、及び構造体の所定の凸形状は、例えば、センサ装置、及び/又は上述した無線手段などの他の手段を使用して、例えば、光学式の機械可読タグの近くで利用可能な情報を「光学的に読み取る」ことによって取得してもよい。
【0015】
望ましくは、この方法は、車両基準位置に対する車両の羅針方位(a compass direction)を取得するステップと、相対角度及び羅針方位に基づいて、特定された車両の座標における車両の方位を特定するステップと、をさらに含んでいる。従って、そのような実装によって、(そのような情報が利用可能な限り)車両の外縁など、車両の全体的な方位を特定することもできる。
【0016】
特定された座標(及び全体的な方位)は、いくつかの実施形態では、例えば、車両の周辺の地図に関係付けられていてもよい。次に、地図を使用して、例えば、他の車両、構造体、障害物、道路区分(road segments)などに関連付けられた車両の位置、及び車両の方位/走行を視覚化することができる。
【0017】
車両の方位及び展開/分布について十分な知識を持つことで、例えば、限定された「余地(wiggling room)」が利用可能な、(例えば、二次元又は三次元の観点から見た)狭いスペースで車両が走行する場合に役立つ。そのような情報を利用可能にすることで、例えば、車両の自律走行、即ち、車両が自律走行車両である場合であっても望ましい。車両の羅針方位は、例えば、車両に配置されて制御ユニットと通信するデジタル羅針盤を使用して特定できることを理解されたい。
【0018】
上記で使用されている「自律走行車両」という表現は、広く解釈されるべきであり、完全な自律走行モード又は部分的な自律走行モードで走行する車両に関連付けられるべきであることに注意されたい。部分的な自律走行車両では、オプションとして、いくつかの機能は、(例えば、ドライバーによって)時々又はいつも手動で制御することができる。また、部分的な自律走行車両は、完全手動の走行モード、並びに部分的な自律走行及び/若しくは完全な自律走行の走行モードを切り替えるように構成されていてもよい。
【0019】
本開示の考えられる実施形態では、センサ装置はパルスレーザーを含み、複数の距離を特定するステップは、複数の測定点を含む点群(a point cloud)を形成するステップと、光学式の機械可読タグの外形形状(an appeared shape)を推定するステップと、を含んでいる。従って、いくつかの実施形態では、IDコードを使用して取得された(構造体に配置された)光学式の機械可読タグの知識を、推定された光学式の機械可読タグの形状に対応付けることができる可能性がある。そのような作用を使用して、例えば、光学式の機械可読タグまでの最短距離、及びオプションとして、センサ装置に対して光学式の機械可読タグがどのように方向付けられているかを特定することができる。
【0020】
センサ装置は、いくつかの実施形態では、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離を特定し、及び場合によってはIDコードを取得するように特に適合されたLiDARシステムであってもよい。LiDARシステムは、いくつかの実施形態では、光学式の機械可読タグに対して車両が連続して移動している場合に特に適している、比較的高い更新レートであるため有利であることが示されている。
【0021】
本開示の他の態様によれば、車両の位置特定装置が提供される。位置特定装置は、センサ装置及び制御ユニットを含んでいる。センサ装置は、車両基準位置に対して所定の関係を持って車両に設けられている。位置特定装置は、センサ装置及び制御ユニットを使用して、車両の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物に取り付けられた、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離を特定し、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離の中から最短距離を特定し、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグに関連付けられたIDコードに基づいて、光学式の機械可読タグのタグ基準座標を特定し、制御ユニットを使用して、タグ基準座標、最短距離、所定の凸形状、及びセンサ装置と車両基準位置との間の所定の関係に基づいて、車両の座標を特定するように適合されている。本開示のこの態様は、本開示の先の態様に関連して上述したのと同様な利点を提供する。
【0022】
位置特定装置は、車両が、例えば、掘削機、ホイールローダ、ドーザ、グレーダ及びバックホーローダなどの作業機械である場合、車両のコンポーネントとして提供されることが望ましい。上述したように、車両は、いくつかの実施形態では、自律的に走行することができる。
【0023】
位置特定装置はまた、若しくは代替的に、上述した光学式の機械可読タグをさらに含む、位置特定システムのコンポーネントとして提供されてもよい。光学式の機械可読タグは、車両の周囲において、所定の凸形状を有する固定構造物に取り付けられている。固定構造物は、例えば、ポール及び杭(a stake)の少なくとも一方とすることができる。
【0024】
一実施形態では、光学式の機械可読タグは、繰り返しパターンとして提供される。そのような繰り返しパターンは、例えば、接近方向に関係なく同じように見えるように配置することができ、光学式の機械可読タグに対して車両がどこに位置しているかに関係なく、同じパターンを有利に取得できることを意味している。
【0025】
制御ユニットは、一実施形態では、一般的には、車両の車載コンポーネントとして提供される電子制御ユニット(ECU)であってもよい。車両は、例えば、バス、トラック、乗用車、又は任意形態の建設機械である。さらに、車両は、純粋な電気自動車(PEV)、及びハイブリッド電気自動車(HEV)の少なくとも一方であってもよい。
【0026】
本開示のさらなる態様によれば、車両の位置特定装置を制御するコンピュータプログラム手段を格納した、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品が提供される。位置特定装置は、センサ装置及び制御ユニットを含んでいる。センサ装置は、車両基準位置に対して所定の関係を持って車両に設けられている。コンピュータプログラム製品は、センサ装置及び制御ユニットを使用して、車両の周囲において所定の凸形状を有する固定構造物に取り付けられた、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離を特定するコードと、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグまでの少なくとも1つの距離の中から最短距離を特定するコードと、制御ユニットを使用して、光学式の機械可読タグに関連付けられたIDコードに基づいて、光学式の機械可読タグのタグ基準座標を特定するコードと、制御ユニットを使用して、タグ基準座標、最短距離、所定の凸形状、及びセンサ装置と車両基準位置との間の所定の関係に基づいて、車両の座標を特定するコードと、を含んでいる。本開示のこの態様はまた、本開示の先の態様に関連して上述したのと同様な利点を提供する。
【0027】
コンピュータ可読媒体は、取り外し可能な不揮発性ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ、SDメモリカードの1つを含む任意のタイプのメモリデバイス、又は本技術分野で周知の同様なコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0028】
本開示のさらなる利点及び有利な特徴は、以下の説明及び従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付の図面を参照して、以下、例として挙げられる本開示の実施形態についてより詳細に説明する。
【0030】
【
図1A】本開示による位置特定装置を組み込むことができるホイールローダを示している。
【
図1B】本開示による位置特定装置を組み込むことができるトラックを示している。
【
図2】本開示の現在望ましい実施形態による概念的な位置特定装置を示している。
【
図3】車両の周囲においてポールに取り付けられた複数の光学式の機械可読タグから車両がデータを取得する、
図1Aの車両の動作環境の例示的な図である。
【
図4】本開示による方法を実行する処理ステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の現在望ましい実施形態を示している添付の図面を参照して、以下に本開示をより完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈するべきではない。むしろ、これらの実施形態は、一貫性及び完全性のために提供され、当業者に対して本開示の範囲を完全に伝えるものである。同様な参照符号は、全体を通して同様な要素を指す。
【0032】
ここで、図面、特に
図1Aを参照すると、(
図2に示されるような)本開示による位置特定装置200を組み込むことができる、ここではホイールローダ100として示される、例示的な車両が示されている。もちろん、位置特定装置200は、場合によってはわずかに異なる方法で、
図1Bに示されるようなトラック102、乗用車、バスなどに実装することができる。
【0033】
車両は、例えば、電気車両、ハイブリッド車両、又は場合によってはガス車両、ガソリン車両若しくはディーゼル車両の1つであってもよい。車両は、電気機械(電気車両若しくはハイブリッド車両の場合)、又はエンジン(ガス車両、ガソリン車両若しくはディーゼル車両の場合には内燃機関など)を含んでいる。車両はさらに、手動で走行、完全自律走行又は半自律走行であってもよい。
【0034】
図2は、位置特定装置200の概念的及び例示的な実装を示している。位置特定装置200は、例えば、車両100,102の任意の一方の座標を特定する電子制御ユニット(ECU)などの制御ユニット204を含んでいる。ECU204は、
図2では(上述した)LiDAR装置として実装された、センサ装置202からデータを受信するインターフェースを実装している。LiDARの動作は、本技術分野の当業者に周知である。そのようなLiDAR装置は、例えば、車両100,102の屋根部分に配置することができる。
【0035】
図2の位置特定装置200はさらに、データベース206を含んでいる。データベース206は、(車両100,102などに)局所的に配置、又は制御ユニット204とネットワーク通信する、遠隔地に配置されたサーバなど遠隔地に配置されていてもよい。
【0036】
参考までに、制御ユニット204は、例えば、汎用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、処理コンポーネントを含む回路、分散処理コンポーネントのグループ、処理用に構成された分散コンピュータのグループ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などとして表すことができる。プロセッサは、データ又は信号を処理するため、又はメモリに格納されたコンピュータコードを実行するための任意数のハードウエアコンポーネント又はこれを含むことができる。メモリは、本説明に記載の様々な方法を完全なもの又は容易にするためのデータ及び/又はコンピュータコードを格納する、1つ以上のデバイスであってもよい。メモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、本説明の様々な活動を支援するためのデータベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、又は他の任意のタイプの情報構造を含んでいてもよい。例示的な実施形態によれば、任意の分散型又はローカル型のメモリデバイスは、この説明のシステム及び方法と共に利用することができる。例示的な実施形態によれば、メモリは、(例えば、回路、又は任意の他の有線接続、無線接続若しくはネットワーク接続を介して)プロセッサに通信可能に接続され、本明細書に記載の1つ以上の処理を実行するためのコンピュータコードを含んでいる。
【0037】
図3をさらに参照すると、上述したように、位置特定装置200は、ホイールローダ100など、車両のコンポーネントとして配置されることが望ましい。
図3では、位置特定装置200は、ホイールローダ100の屋根部分など、ホイールローダ100の高い部分に配置されている。
【0038】
ホイールローダ100は、
図3において、鉱山の道路セクションに沿ってなど、経路310に沿って走行している。上述したように、鉱山内では、状況によっては、衛星信号が地下や鉱山内に到達しないため、例えば、全地球測位システム(GPS)に頼ることができないか、非常に限られている可能性がある。経路310に沿って、複数の構造体304が配置されている。各構造体304には、ここでは(構造体304のそれぞれに個別である)バーコードとして提供される、光学式の機械可読タグ302が備えられている。
図3のバーコードは、水平方向にラインで配置され、その結果、バーコードに含まれる情報は、ホイールローダ100が光学式の機械可読タグ302を有する構造体304に接近する方向に関係なく、センサ装置202を使用して取得(光学的に読み取る)ことができる。
【0039】
図3には、2つのタイプの構造体304が示されている。ホイールローダ100の左側では、構造体304は(経路310の2つの車線間に配置された)ポールであり、ホイールローダ100の右側では、構造体304は、例えば、鉱山の壁に配置された「膨出面(a bulging surface)」である。また、光学式の機械可読タグ302としてバーコードを使用することで、本開示に沿って、バーコードに埋め込まれた個々のIDコードを含めることが可能である。
図3に示すように、ホイールローダ100には、センサ装置202に対して所定の関係を有する車両の設定位置として、車両基準位置V
refが定義されている。
【0040】
本開示に沿って、異なる構造体304の座標は、以前の時点で(できるだけ正確に)特定されている。そして、各構造体304の座標は、例えば、特定の構造体304のIDコードに関連付けられたデータベース206に格納されている。
【0041】
従って、ホイールローダ100の走行中、
図4も参照すると、ホイールローダ100は、構造体304の1つに接近し、センサ装置202及び制御ユニット204を使用して、光学式の機械可読タグ302の存在を識別する。そして、センサ装置202及び制御ユニット204は、S1において、光学式の機械可読タグ302までの少なくとも1つの距離(d
1,d
2,…,d
n)を特定する。
図3に示す例では、3つの距離(d
1,d
2及びd
3)が特定されている。しかしながら、3つより多い距離が特定されてもよく、場合によっては1つの距離のみが特定されてもよいことを理解されたい。
【0042】
次に、制御ユニット304は、S2において、どの距離が最短距離であるかを特定し、
図3に示す例示的な例では、距離d
2が最短距離d
shortであると特定する。そして、制御ユニット204は、S3において、光学式の機械可読タグ302に関連付けられたIDコードに基づいて、光学式の機械可読タグ302のタグ基準座標を特定する。
図3に示す例に沿って、これは、構造体304に配置されたバーコードに埋め込まれた個々のIDコードを取得することによって実装される。次に、制御ユニット204は、個々のIDコードをデータベース206に送信し、その応答として、構造体304に配置された光学式の機械可読タグ302のタグ基準座標、及び特定の構造体304の形状を受信する。
【0043】
手元にある特定の構造体304のタグ基準座標を用いて、最短距離dshortと構造体304の形状に関する情報とを組み合わせて、制御ユニット204は、S4において、ホイールローダ100の座標を特定することができる。即ち、本開示によって、車両基準位置Vrefと特定の構造体304に関連付けられた既知の位置との間の関係を形成することができる。ここで、特定の構造体304の既知の位置は、特定の構造体304が少なくとも部分的に円形状を有して形成されていれば、中心点であることが望ましい。
【0044】
車両基準位置V
refと特定の構造体304の既知の位置との関係は、センサ装置202と光学式の機械可読タグ302との間の最短距離だけでなく、これらの間の相対角度αを考慮に入れることが望ましい。そして、(オプションとして)相対角度αと既知の半径(構造体304の形状が既知であるため)との組み合わせを使用して、
図3にさらに示すように、構造体304の既知の位置が車両基準位置V
refにどのように関連しているのかを演算することができる。これによって、特定の構造体304の既知の位置(座標)を車両基準位置V
refに関連付けることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、ホイールローダ100について、車両基準位置V
refの座標を使用して、ホイールローダ100の完全な方位も特定することが望ましい場合がある。
図3に例示されるように、車両基準位置V
refに対するホイールローダ100の羅針方位を考慮に入れて、ホイールローダ100の羅針方位を、最短距離d
shortについてセンサ装置202と光学式の機械可読タグ302との間の相対角度αに関連付けることもできる。従って、そのような実装を使用して、(車両基準位置V
refに関連して)ホイールローダ100の任意の位置の座標を特定することができる。
【0046】
特定されたホイールローダ100の座標及び方位は、その後、ホイールローダ100のナビゲーションに使用することができる。センサ装置202として例示されたLiDAR装置を使用すると、本開示に沿って、比較的高速に、ホイールローダ100の位置を連続して特定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、LiDAR装置は、毎秒最大150万のデータポイントをサンプリングすることができる。考えられる実施形態では、LiDAR装置は、回転速度が5~20Hzである、ホイールローダ100の屋根に取り付けられた回転装置として提供することができ、同じ位置を1/5秒~1/20秒ごとに走査できることを意味している。従って、特定の光学式の機械可読タグ302/構造体304に関連付けられた車両100,102の座標の更新速度は、毎秒5~20回もの速さである。
【0047】
要約すると、本開示は、特に、車両100の周囲に取り付けられた光学式の機械可読タグ302に関連する情報を取得するように配置されたセンサ装置202を使用して、車両100の座標を特定する方法に関する。本開示はまた、位置特定装置200、及び対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【0048】
本開示に沿って、光学式の機械可読タグまでの距離と構造体の既知の形状とを組み合わせることで、例えば、構造体の中心の座標が事前に特定されている場合、構造体の中心までの完全な距離を特定することができる。
【0049】
本開示は、様々な動作を達成する、方法、装置、及び任意の機械可読媒体上のプログラム製品を開示している。本開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、又はこの目的若しくは他の目的のために組み込まれた適切なシステムの特別な目的のコンピュータプロセッサによって、又はハードワイヤードシステムによって実装することができる。本開示の範囲内の実施形態は、機械可読媒体に格納された機械実行可能な命令又はデータ構造を保持又は有する、機械可読媒体を含むプログラム製品を含んでいる。そのような機械可読媒体は、汎用コンピュータ、特別な目的のコンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスすることができる、任意の利用可能な媒体とすることができる。
【0050】
例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、他の磁気ストレージデバイス、又は他の媒体を含むことができる。これらは、汎用コンピュータ、特別な目的のコンピュータ、若しくはプロセッサを有する他の機械によってアクセスすることができる、機械実行可能な命令若しくはデータ構造の形態をとる所望のプログラムコードを保持若しくは格納するために使用することができる。ネットワーク又は他の通信接続(有線、無線、又は有線と無線との組み合わせ)を介して、情報が機械に伝達又は提供されると、機械は、機械可読媒体としての接続を適切に調べる。従って、そのような接続は、機械可読媒体と呼ぶにふさわしい。上記の組み合わせはまた、機械可読媒体の範囲内に含まれている。機械実行可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、特別の目的のコンピュータ、特別の目的の処理機械が特定の機能又は機能のグループを実行する命令及びデータを含んでいる。
【0051】
図面が方法ステップの特定の順序を示しているが、ステップの順序は、図示のものとは異なっていてもよい。また、2つ以上のステップが、同時又は部分的に同期して実行されてもよい。そのような変形は、選択されたソフトウエアシステム及びハードウエアシステム、並びに設計者の選択に左右されている。そのようなすべての変形は、本開示の範囲内である。同様に、ソフトウエアの実装は、様々な接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ及び特定ステップを達成するルールベースのロジック及び他のロジックを使用した、標準的なプログラミング技術で達成することができる。さらに、本開示をその特定の例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本技術分野の当業者であれば、多くの異なる変形及び修正などが明らかになるであろう。
【0052】
説明した実施形態の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された開示を実行する際に当業者によって理解及び成し遂げることができる。また、特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。
【国際調査報告】