(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(54)【発明の名称】引出しガイド
(51)【国際特許分類】
A47B 88/473 20170101AFI20220329BHJP
【FI】
A47B88/473
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546394
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2020052698
(87)【国際公開番号】W WO2020169332
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】102019104421.9
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, オスカル
(72)【発明者】
【氏名】ロペテヒ, イケル
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA01
3B160AB31
3B160AB35
3B160AB45
3B160EA03
3B160EA13
3B160EB74
3B160EB82
(57)【要約】
引出しガイド(1)は、ガイドレール(2)と、該ガイドレール(2)上に変位可能に取り付けられた走行レール(3)とを備え、該ガイドレール(2)に対する該走行レール(3)の移動を制動する制動装置が該ガイドレール(2)と該走行レール(3)との間に設けられている。 該制動装置は、該走行レール(3)と該ガイドレール(2)との間に配置された少なくとも1つの摩擦要素(6)を備え、該摩擦要素(6)は、接触圧力を伴って摺動面に沿って変位可能である。このようにして、引出しガイド(1)は長時間に亘って連続した力を以って制動される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレール(2)と、該ガイドレール(2)上に変位可能に取り付けられた走行レール(3)とを有し、該ガイドレール(2)に対する該走行レール(3)の移動を制動する制動装置が該ガイドレール(2)と該走行レール(3)との間に設けられた引出しガイド(1)において、
該制動装置は、該走行レール(3)と該ガイドレール(2)との間に配置された少なくとも1つの摩擦要素(6)を備え、該摩擦要素(6)は、接触圧力を伴って摺動面に沿って変位可能である、引出しガイド(1)。
【請求項2】
前記摩擦要素(6)はガイドレール(2)と走行レール(3)を、ガイドレール(2)と走行レール(3)の長手方向に直交する向きに分離するように押圧する、請求項1に記載の引出しガイド。
【請求項3】
前記摩擦要素(6)は、摺動面に対して停止する少なくとも1つの接触面(8)をU字形又はV字形部分に有する、請求項1又は2に記載の引出しガイド。
【請求項4】
前記摩擦要素(6)は、ガイドレール(2)又は走行レール(3)と一体的に形成された折曲げウェブ(32)上に保持されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項5】
折曲げウェブ(32)が、ガイドレール(2)及び走行レール(3)の長手方向に対して、5°から40°の間、特に7°から20°の間の角度で指向している、請求項4に記載の引出しガイド。
【請求項6】
前記摩擦要素(6)は、前記折曲げウェブ(32)の周りに係合する2つのラッチウェブ(9)を有して、折曲げウェブ(32)に固定される、請求項4又は5に記載の引出しガイド。
【請求項7】
前記折曲げウェブ(32)は、拡大端部(33)を有する、請求項4乃至6の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項8】
前記折曲げウェブ(32)は、制動力を調整できるように折り曲げられる、請求項4乃至7のいずれかに記載の引出しガイド。
【請求項9】
前記摩擦要素(6)は、ガイドレール(2)又は走行レール(3)上のエンボス(23)、外形又は凹部(25)の少なくとも1つの位置にてラッチされる、請求項1乃至8の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項10】
前記摩擦要素(6)はバネ(40)を有する、請求項1乃至9の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項11】
前記摩擦要素(6)は、プラスチック製の本体を有する、請求項1乃至10の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項12】
金属製のバネ(40)が前記プラスチック製の本体に埋め込まれている、請求項11に記載の引出しガイド。
【請求項13】
前記走行レール(3)及び案内レール(2)は、断面がC字形に構成され、互いに対向する脚部(21、31)を持ち、該脚部上に回転要素(4)が移動可能に保持される、請求項1乃至12の何れかに記載の引出しガイド。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れかの引出しガイドの少なくとも1つを介して、変位可能に保持されたカバーを有する車両。
【請求項15】
請求項1乃至13の何れかの引出しガイドの少なくとも1つを介して、カーカス内に変位可能に保持された少なくとも1つの引出し要素を有する家具又は家庭用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレールと、該ガイドレール上に移動可能に取り付けられた走行レールとを有する引出しガイドに関し、該ガイドレールと該走行レールとの間には、該ガイドレールに対する該走行レールの移動を制動する制動装置が設けられている。
【背景技術】
【0002】
ヨーロッパ特許第2 802 239 B1号は、ガイドレールに対する走行レールの動きを制動するために、ガイドレールと走行レールとの間に歯付きラック及び回転ダンパを設けた引出しガイドを開示している。特に車両のセンターコンソールの領域で使用する場合、停止による衝撃荷重を軽減することができる。この解決策はそれ自体は証明されているが、回転ダンパの制動効果は制動流体の粘性の故に温度に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、単純な手段で動きを鈍化させることができ、かつコンパクトな構造を有する引出しガイドを作成することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する引出しガイドによって解決される。
【0005】
本発明の引出しガイドにおいて、ガイドレールと走行レールとの間には、接触圧力をもって摺動面に沿って変位させることができる摩擦要素を備えた制動装置が設けられている。これは、摩擦要素が摺動面に沿って変位するとき、摩擦によって制動効果を生じる。摩擦要素は、任意に走行レール又はガイドレールに固定することができ、一方、摺動面は、夫々の他方のレール上に一体的に形成されるのが好ましい。好ましい構成では、摩擦要素は、ガイドレール及び走行レールを、それらの長手方向に垂直な方向に離れるように押し出す。その結果、摩擦要素は、引出しガイドに存在するガイドレールと走行レールとの間の遊びを予張力によって除去することができるので、振動によってガタツキ音が発生することがない。さらに横方向の動きが調和し、ユーザが高品質のガイドとして認識している。
【0006】
摩擦要素は、好ましくは、少なくとも1つの接触面が形成されるU字形又はV字形の部分を有する。接触面は、特定の弾力性を提供する湾曲部又は曲面部の外側の領域上に形成されることが望ましい。
【0007】
摩擦要素は、ガイドレール又は走行レールと一体に形成された折曲げウェブ上に保持されることが好ましい。ウェブはU字形の部分に打ち抜くことによって製造することができ、ガイドレール又は走行レールの長手方向に対して5°から40°、特に7°から20°の角度で配向されるのが好ましい。折曲げウェブに固定するために、摩擦要素は折曲げウェブの周りに係合する2つのラッチウェブを有して、折曲げウェブに固定される。
ラッチウェブは、端部にラッチフックを有することができ、摩擦要素と一体に設計することができる。更に、更なる突起又は停止面をラッチウェブに沿って形成して、折曲げウェブへの摩擦要素の安定した固定を確実にすることができる。折曲げウェブから摩擦要素が引き出されないようにするために、折曲げウェブは、幅広い端部を持つことができる。あるいは、折曲げウェブ上に凹部、開口部、エンボス又は段部を形成することもでき、これに摩擦要素を積極的に固定することができる。
【0008】
制動時の摩擦力を調整するために、折曲げウェブは、可撓性であるのが好ましい。その後、金属製のウェブをより強く曲げて、一定時間の使用後に制動力を増加させることができる。
【0009】
さらなる構成では、摩擦要素は、エンボス又は外形上の少なくとも1つの位置にラッチされることができる。この場合、エンボスは、摺動面から突出する突起として、又は凹部として構成することができる。特に、走行レールは、両端部位置でガイドレールに対してラッチされることができる。
【0010】
摩擦要素は、プラスチックで全体を作ることもできるし、主にプラスチックに作ることもできる。任意に、摩擦要素は、摩擦要素のプラスチック製の本体内に埋め込まれたバネ、例えば金属バネを有することができる。これにより、プラスチック製の本体への疲労効果を補償することができる。
【0011】
本発明に係る引出しガイドは、好ましくは2つのレール、即ち、走行レールとガイドレールのみを備え、これらのレールには、C字形の断面をなして互いに対向する脚部が形成されており、回転要素は、脚部に移動可能に保持されている。
【0012】
引出しガイドは、カバーがスライドするように保持されている車両コンソール上で使用されることが好ましい。あるいは、引出しガイドは、家具、家庭用品の一部又はその他の用途の引出し要素にも使用することができる。引出し要素は、引出し、トレーベース、キーボードの引出し、冷蔵庫内のコンテナ、食器洗い機又はバスケット内のカトラリ引出しとして構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下、添付の図面を参照しながら、幾つかの実施形態を用いて、より詳細に説明される。
【
図3A】第1の端部位置における
図1の引出しガイドの2つの図である。
【
図3B】第1の端部位置における
図1の引出しガイドの2つの図である。
【
図4A】第2の端部位置における
図1の引出しガイドの2つの図である。
【
図4B】第2の端部位置における
図1の引出しガイドの2つの図である。
【
図5A】
図1の引出しガイドの摩擦要素の図である。
【
図5B】
図1の引出しガイドの摩擦要素の図である。
【
図5C】
図1の引出しガイドの摩擦要素の図である。
【
図6A】バネを備えた修正された摩擦要素の2つの図である。
【
図6B】バネを備えた修正された摩擦要素の2つの図である。
【
図10A】摩擦要素を取り付けた
図9の走行レールの2つの図である。
【
図10B】摩擦要素を取り付けた
図9の走行レールの2つの図である。
【
図11A】
図1の引出しガイド用の修正されたガイドレールの幾つかの図である。
【
図11B】
図1の引出しガイド用の修正されたガイドレールの幾つかの図である。
【
図11C】
図1の引出しガイド用の修正されたガイドレールの幾つかの図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
引出しガイド1は、走行レール3が移動可能に取り付けられたガイドレール2を備える。この目的のために球状の回転要素4が設けられており、これらはガイドレール2と走行レール3との間にて回転要素ケージ5に配置されている。
【0015】
図2から分かるように、ガイドレール2と走行レール3は長さが異なり、ガイドレール2は走行レール3の2倍以上の長さで構成される。ガイドレール2と走行レール3との間に摩擦要素6の形態の制動装置が設けられており、この制動装置は、組み立てられた位置において、回転要素ケージ5の開口部7内に配置されている。
【0016】
ガイドレール2は、断面がC字形に構成されており、摩擦要素6のための平坦な摺動面が形成されたベース20を備えている。ベース20の長手方向両側から脚部21が突出し、該脚部21上に回転要素4用の軌道が形成される。
【0017】
走行レール3もまた、断面がC字形であり、ベース30を備え、該ベース30からガイドレール2に対向する側に脚部31が突出し、該脚部上に回転要素4用の軌道が形成されている。ベース30上に折曲げウェブ32が一体的に形成され、該折曲げウェブ32に摩擦要素6が固定される。
【0018】
走行レール3の移動を制限するために、ベース20の領域においてガイドレール2の端部に折曲げタブ22が設けられ、該折曲げタブ22が回転要素ケージ5の移動を制限する。ガイドレール2を車両コンソールのような別の要素に取り付けるために、ガイドレール2に開口部24がさらに設けられている。また、ガイドレール2をカバーなどの要素に取り付けるための開口部34がガイドレール2に設けられている。
【0019】
摩擦要素6は、U字形又はV字形の部分にて、ガイドレール2のベース20上の平坦な摺動面に沿って移動可能な少なくとも1つの接触面8を備える。2つのエンボス23がベース20上に形成され、これは摺動面から突出し、摩擦要素6をラッチする。
【0020】
図3A及び
図3Bにおいて、引出しガイド1は、エンボス23に隣接する接触面8がラッチされる第1の端部位置に示されている。摩擦要素6は、例えば5°から40°、特に7°から20°の間の角度で走行レール3の長手方向に傾斜して配向された折曲げウェブ32に固定されていることが分かる。折曲げウェブ32は、フック形状である摩擦要素6の2つのラッチウェブ9によって包み込まれている。ラッチウェブ9は、
図3Bの詳細図で特に分かるように、走行レール3の輪郭を越えて突出することはない。
【0021】
ラッチウェブ9に隣接して、摩擦要素6は突起10を備え、該突起10は折曲げウェブ32に対して横方向に置かれて、走行レール3の長手方向に垂直な方向の摩擦要素6の移動を制限する。ラッチウェブ9の反対側には、ガイドレール2のベース20に対向する走行レール3の側面に対して少なくとも部分的に静止するストップ要素11が設けられている。
【0022】
摩擦要素6は、走行レール3をガイドレール2から押し離し、接触面8はガイドレール2のベース20に対して載置され、支持ウェブ12は走行レール3のベース30に対して支持される。走行レール3を
図3Aと
図3Bの端部位置から移動させる場合は、エンボス23を最初に越えて駆動しなければならず、当初は増加した力量を必要とする。エンボス23のラッチが解除され、エンボス23の上を通過した後、次いで、
図4A及び
図4Bに示すように、摩擦要素6は、接触面8がガイドレール2の反対側のエンボス23に到達するまで、ガイドレール2上の摺動面に沿って移動することができる。次いで、接触面8をエンボス23の上方に移動させて、摩擦要素6、ひいては走行レール3を反対の端部位置にラッチすることができる。
【0023】
図5A乃至
図5Cには、摩擦要素6が詳細に示されている。摩擦要素6は、一体のプラスチック製の本体から形成されており、この本体上には、ラッチウェブ9、突起10、及びストップ要素11が一体的に形成されており、これらは折曲げウェブ32を囲むか、又は包み込む。更にV字形部分は、接触面8と支持ウェブ12とを一体的に形成している。組み立てられた位置では、摩擦要素6が走行レール3からはみ出さないように形成されている。
【0024】
図6A及び
図6Bは、
図5の摩擦要素6と同じ外側輪郭を有する修正された摩擦要素6'を示す。しかしながら、接触面8と支持ウェブ12とを有するV字形部分の領域には、金属ばね40が埋め込まれており、この領域で摩擦要素6'を補強する。ばね40は、帯状に構成され、摩擦要素6'のV字形部分の輪郭に適合するように曲げられる。これにより、プラスチック製の本体の疲労現象を補償することができる。
【0025】
図7A及び
図7Bでは、金属ばね40は摩擦要素6'なしで示されている。ばねは、第1の脚部42が延びる約U字形部分又はV字形部分41を備え、約U字形部分又はV字形部分41に開口部45又は凹部が形成され、開口部45又は凹部に、摩擦要素6'の製造中にプラスチック材料が導入される。他の脚部43に突起部44が形成され、該突起部44は、この領域において摩擦要素6'を強化するために、ラッチウェブ9まで伸ばされる。
【0026】
図8において、摩擦要素6'は、埋め込まれたバネと共に部分的に断面位置で示されており、バネは摩擦要素6'に完全に埋め込まれてもよい。ばね40は、特に接触面8の領域で摩擦要素6'を補強するが、摩擦要素6'を取り付けるラッチウェブ9の移動を制限しないことが分かる。
【0027】
図9A及び
図9Bにおいて、より短い走行レール3が詳細に示されている。走行レール3は、折曲げウェブ32が一体的に形成された略U字形の凹部を備えている。折曲げウェブ32上に拡大端部33が形成され、該拡大端部33に摩擦要素6又は6'を固定することができる。
【0028】
図10A及び
図10Bにおいて、走行レール3は、摩擦要素6又は6'が組み立てられた位置にある状態で示されている。摩擦要素6又は6'のラッチウェブ9は、部分的に折曲げウェブ32に重なり、突起10は、拡大端部33と中央部との間の段差に対して置かれ、摩擦要素6又は6'を折曲げウェブ32に固定することが分かる。
【0029】
図11A乃至
図11Cには、以前の本実施形態と同様にベース20と突出脚部21を備えたガイドレール2の修正された実施形態が示されている。ベース20上の摺動面の領域においてのみ、特に
図11Cの詳細図に見られるように、上方に突出するエンボス23の代わりに凹部25が設けられている。このような凹部25は、接触面8が凹部25内に受け入れられたときに、摩擦要素6又は6'を2つの端部位置のうちの1つにラッチすることもできる。突起の代わりに凹部25を導入することにより、摩擦要素6又は6'のラッチ及びラッチを解除の間、材料応力が減少する。
【0030】
図示された例示の実施形態では、短い走行レール3に摩擦要素6又は6'が設けられ、摺動面は、長いガイドレール2の上に形成される。もちろん、ガイドレール2上に摩擦要素6又は6'を設け、走行レール3上に摺動面を形成することも可能である。
更にガイドレール2と走行レール3との間には、単一の摩擦要素6又は6'のみが配置されている。また、このような摩擦要素6ないし6'をいくつか提供することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 引出しガイド
2 ガイドレール
3 走行レール
4 回転要素
5 回転要素ケージ
6、6' 摩擦要素
7 開口部
8 接触面
9 ラッチウェブ
10 突起
11 ストップ要素
12 支持ウエブ
20 ベース
21 脚部
22 タブ
23 エンボス
24 開口部
25 凹部
30 ベース
31 脚部
32 ウェブ
33 端部
34 開口部
40 バネ
41 部分
42 脚部
43 脚部
44 突起
45 開口部
【国際調査報告】