IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テプテック マービンズ エスエイアールエルの特許一覧

特表2022-521064安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法
<>
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図1
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図2
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図3
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図4
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図5
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図6
  • 特表-安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(54)【発明の名称】安全真空包装および安全真空包装を閉鎖する方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B65B31/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547316
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2019062245
(87)【国際公開番号】W WO2020173579
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】00234/19
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355717
【氏名又は名称】テプテック マービンズ エスエイアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィス、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイダン、ヤプ
(72)【発明者】
【氏名】バックム、ダグラス
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053BA10
3E053CA00
3E053FA01
3E053JA02
(57)【要約】
本発明は、保護されるべき物体(13)および複数の粒子(15)が、安全真空包装(1)の容器(10)の内部空間(100)に配置される、安全真空包装(1)を閉鎖および保護する方法に関するものである。続いて、安全真空包装(1)は、真空シール(11)を介して真空にされ、複数の粒子(15)がランダムな不動状態に固定される。安全真空包装(1)が閉鎖され、粒子(15)のランダムな不動状態が捕捉される。粒子(15)の捕捉されたランダムな不動状態は、後で比較するために保存される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全真空包装(1)を閉鎖して保護する方法であって、
a)安全真空包装(1)を提供するステップと、
b)前記安全真空包装(1)の容器(10)の内部空間(100)に保護されるべき物体(13)を配置するステップと、
c)前記容器(10)の前記内部空間(100)に複数の粒子(15)を配置するステップと、
d)真空シール(11)を介して前記安全真空包装(1)を真空にするステップであって、前記複数の粒子(15)がランダムな不動状態で固定されているステップと、
e)前記安全真空包装(1)を閉鎖するステップと、
f)前記粒子(15)の前記ランダムな不動状態を捕捉する;
g)前記粒子(15)の前記捕捉されたランダムな不動状態を保存するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
h)前記粒子(15)の前記ランダムな不動状態を再捕捉するステップと、
i)前記粒子の再捕捉されたランダムな不動状態(15)を、前記粒子(15)の保存されたランダムな不動状態と比較および検証するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の粒子(15)は、10~1000個の粒子(15)、特に10~500個の粒子(15)、特に50~150個の粒子(15)に対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子(15)の前記ランダムな不動状態は、光学的方法によって捕捉され、特に画像として捕捉され、特に光画像またはX線画像として捕捉される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子(15)の前記ランダムな不動状態は、分光法を介して捕捉される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子の前記ランダムな不動状態がデータベース(4)に保存される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子(15)の前記ランダムな不動状態は、カメラ(2)によって写真的に捕捉され、安全なデータベース(4)に保存される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
保護されるべき物体(13)を受け入れるための内部空間(100)を有する容器(10)と、前記容器の前記内部空間に配置された複数の接続されていない粒子(15)と、前記容器(10)の内部空間を真空および密封するための真空シール(11)とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法で使用するための安全真空包装。
【請求項9】
前記複数の粒子(15)を受け入れるために、前記容器(10)の前記内部空間(100)に配置された粒子容器(14)を含み、前記複数の粒子(15)は、前記粒子容器(14)内に少なくとも部分的に配置されている、請求項8に記載の安全真空包装。
【請求項10】
表面を有する保護されるべき物体(13)を含み、前記粒子容器(14)は、第1の取り付け装置(12)を含み、それによって前記粒子容器(14)は、前記保護されるべき物体(13)の前記表面に取り付けられる、請求項9に記載の安全真空包装。
【請求項11】
前記粒子容器(14)は、第2の取り付け装置を含み、それによって前記粒子容器は、前記内部空間内で前記容器に取り付けられる、請求項8~10のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項12】
前記粒子容器は、空気透過性粒子容器である、すなわち、前記粒子容器は、前記容器の前記内部空間を有する開放系を形成する、請求項10または11に記載の安全真空包装。
【請求項13】
前記粒子(15)は、微粒子、特に直径0.01mm~5mmの間、特に0.1mm~3mmの間の微粒子である、請求項8~12のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項14】
前記容器(10)は、少なくとも透明な容器部分、特に透明な容器側面を有し、特に完全に透明である、請求項8~13のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項15】
前記粒子容器(14)は、少なくとも透明な粒子容器部分、特に透明な粒子容器側面、特に透明でかつ明るいかまたは暗い粒子容器側面を有する、請求項9~14のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項16】
前記粒子(15)は球状粒子である、請求項8~15のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項17】
前記粒子容器(14)は、薄い高剛性材料、特にガラス、アクリルガラス、またはポリカーボネートからなる、請求項9~16のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項18】
前記粒子(15)は、白色プラスチックおよび/またはゴムおよび/または砂糖および/またはガラスおよび/またはセラミックスおよび/またはポリスチレンからなる、請求項8~17のいずれか一項に記載の安全真空包装。
【請求項19】
安全真空包装(1)内で、前記粒子(15)の前記再捕捉されたランダムな不動状態を、前記粒子(15)の前記保存されたランダムな不動状態と比較することにより、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法によって捕捉された前記粒子(15)のランダムな不動状態を検証するためのコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全真空包装を閉鎖して保護する方法に関するものである。本発明はさらに、本発明に係る方法で使用するための安全真空包装、および本発明に係る方法によって捕捉(キャプチャー)されたランダムな不動状態を検証するためのコンピュータプログラム製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最新技術では、とりわけ包装業界から多種多様な真空包装が知られている。この点で、真空包装は通常、隙間、したがって気体、特に製品内の反応性気体が大部分除去された製品の気密包装である。食品業界では、包装からの酸素の抽出が特に重要である。真空包装には、食品業界でいくつかの利点がある。(窒素またはアルゴンなどの不活性ガス下における)ガス置換包装と同様に、製品には酸素が到達しないため、製品の貯蔵寿命が長くなり、これは、化学反応または生物学的プロセスにより、時間の経過とともに製品を使用不能にする可能性がある。また、真空包装を使用することによって、必要な体積も最小限に抑えられる。ポリアミドまたはポリエチレンを含む複合フィルムは、気密包装材料として好ましく使用される。
【0003】
真空包装の場合、空気(または周囲ガス)は、真空包装開口部を介して真空包装の内部から大部分が除去され、次に真空包装開口部が気密に閉鎖される。
【0004】
それらの製品を酸化から保護するという食品業界の要件に加えて、とりわけ、輸送中に開封され、例えば偽造品に交換される製品から顧客を保護する安全包装の大きな必要性もある。
【0005】
安全包装用のシールクロージャーとバーコードに加えて、現金輸送用の安全包装も知られており、これは内容物を液体で着色し、不正に開封した場合に使用できなくする。
【0006】
バーコードに関連して、特許文献1はいわゆる2Dバーコードについて説明している。ここでは、情報は2Dバーコードのパターンで保存される。
【0007】
また、安全包装は、例えばボトルの形態の最新技術で知られており、その安全装置は、開封されると不可逆的に破壊される。
【0008】
これに関連して、特許文献2は、特に試験サンプルのドーピング(不純物添加)のための不正開封防止保管用の閉鎖システムを備え、最初の使用前と閉鎖位置を埋めた後の両方で非破壊的な方法で容器本体に取り外しできないように接続されたねじ込み閉鎖キャップを備えた容器について説明している。ロック手段は容器に固定され、所定の分離領域を介して最初の開封中に破壊される。最新技術で知られている方法および装置は、真正性および最初の開封保証の組み合わせに関して比較的安全ではない。ほとんどの安全包装は、比較的少ない労力とコストで、最初の開封後にコピーされ複製と置換され得る。しかしながら、より安全な包装の必要性が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第9594993号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2363350号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、最新技術から知られている悪影響を回避する、安全包装および安全包装を保護するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、安全真空包装を閉鎖して保護するための本発明に係る方法、本発明に係る方法で使用するための安全真空包装、および本発明に係る方法によって捕捉されたランダムな不動状態を検証するためのコンピュータプログラム製品によって満たされる。
【0012】
本発明によれば、安全真空包装を閉鎖して保護するための方法が提案され、以下のステップを含む。安全真空包装が提供される。保護されるべき物体が安全真空包装の容器の内部空間に配置される。また、複数の粒子が、容器の内部空間に配置される。安全真空包装、特に容器の内部空間は、真空シールを介して真空にされ、それによって複数の粒子がランダムな不動状態で固定される。安全真空包装は、特に真空シールを介して閉鎖される。粒子のランダムな不動状態が、(後で比較するために)捕捉され、保存される。
【0013】
複数の粒子は、真空および容器の変形によってランダムな不動状態で実質的にクランプされるので、複数の粒子は真空によって容器内部に固定される。安全真空包装を開けると、空気が容器の内部空間に入り込み、複数の粒子が再び自由に移動できるため、以前のランダムな不動状態を復元できない(または、粒子の数によってはほとんど復元できない)。したがって、容器内の粒子がランダムに配置されているため、一種の固有の指紋が作成され、安全性が確保される。(後述するより多い数およびその他の要因により)粒子のエントロピーが高いほど、安全真空包装もより安全になる。
【0014】
本発明の一実施形態では、保護されるべき物体および複数の粒子は、好ましくは、最初に容器の内部空間に配置され、次に容器の内部空間が真空にされ、次に安全真空パックが閉鎖される。粒子のランダムな不動状態は、複数の粒子がランダムな不動状態に固定された後に捕捉され、保存される。複数の粒子は、真空を介してランダムな不動状態で固定される。
【0015】
保護されるべき物体と安全真空包装は、上記の方法ステップを介して保護された。これをチェックする(つまり、粒子のランダムな不動状態のチェックを実行する)には、粒子のランダムな不動状態を再捕捉する必要がある。この再捕獲は通常、安全真空包装が出荷された後に実行される。
【0016】
ここで、上記のように保存された後の粒子の捕捉されたランダムな不動状態に対応する、粒子の保存されたランダムな不動状態と、粒子の保存されたランダムな不動状態の後、好ましくは出荷後に再捕捉され、保存されたランダムな不動状態と比較されることを意図している、粒子の再捕捉されたランダムな不動状態との間で区別がなされる。
【0017】
したがって、粒子のランダムな不動状態をチェックするために、粒子の再捕捉されたランダムな不動状態と、以前に保存された粒子のランダムな不動状態との比較および検証が実行される。好ましくは、粒子のランダムな不動状態は、粒子の保存されたランダムな不動状態としてデータベースに保存され、比較および検証のためにそこで検索することができる。
【0018】
保護された安全真空包装に介入する変更(包装の欠陥/開放)が行われていない場合、粒子の再捕捉されたランダムな不動状態は、以前に保存された粒子のランダムな不動状態とほぼ一致するはずである。したがって、保護された安全真空包装に介入する変更がない場合、粒子のランダムな不動状態はほとんど変化しないはずである。
【0019】
本発明の枠組み内で、「真空包装の閉鎖」という用語は、安全真空包装の閉鎖および密封、特に、安全真空包装の真空領域の閉鎖も意味すると理解することができる。ここで、真空シールは、複数の粒子および保護されるべき物体が容器の内部空間に供給される開口部に対応し得る。しかしながら、真空シールと開口部は、安全真空包装の別々の部分にすることもできる。例えば、よく知られている真空シールは、(容器/安全真空包装としての)ポリマーバッグの溶接シームである。
【0020】
本発明の枠組み内で、「複数の粒子」という用語は、10~1000個の粒子、特に10~5000個の粒子、特に50~1500個の粒子を意味すると理解することができる。より小さな安全真空包装の場合、10~500粒子、特に10~150粒子などのより少ない粒子量も使用することができる。もちろん、他の適切な数の粒子も可能である。
【0021】
本発明によれば、安全真空包装は、本発明に係る方法で使用するためにさらに提案される。ここで、安全真空包装は、上記のように、保護されるべき物体を受け入れるための内部空間を有する容器と、容器の内部空間に配置された複数の粒子と、容器の内部空間を真空にするおよび密封するための真空シールとを含む。この場合、複数の粒子は、複数の接続されていない、すなわち、隣接していない粒子である。
【0022】
また、安全真空容器は、複数の粒子を受け入れるために容器の内部空間に配置された粒子容器を含むことができる。ここで、複数の粒子は、粒子容器内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されるべきである。したがって、複数の粒子は、粒子容器内に部分的または完全に配置することができ、粒子容器は、次に、容器の内部空間に配置される。粒子と保護されるべき物体との接触は、粒子容器を介して回避することができる。
【0023】
安全真空包装内の複数の粒子のために、エントロピーが制御され、したがって安全性が制御される(粒子が多いほど、エントロピーが高くなる)。最適な理論的エントロピーは、粒子容器の面積の30~50%、特に粒子で満たされた粒子容器の面積の50%に相当する。例えば、寸法が100mm×100mmで面積が10000mmの長方形の容器の場合、最適な複数の粒子は、約5000個の粒子であり、単一の粒子の体積は約1mmである。
【0024】
本発明の一実施形態では、安全真空包装は、第1の取り付け装置を有する粒子容器と、表面を有する保護されるべき物体とを含むことができ、粒子容器は、第1の取り付け装置によって保護されるべき物体の表面に取り付けられる。ここで、第1の取り付け装置は、粒子容器が保護されるべき物体の表面に(好ましくは可逆的に)接着される一種の接着装置とすることができる。また、第1の取り付け装置は、保護されるべき物体が内部に配置され、それを介して粒子容器が保護されるべき物体に接続されるシェルとすることができる。
【0025】
粒子容器はまた、粒子容器が内部空間内の容器に取り付けられる第2の取り付け装置を含むことができる。この場合、第2の取り付け装置は、容器の内部空間内の一種の内側ポケットとすることができる。
【0026】
さらに重要な一実施形態では、粒子容器は、空気透過性粒子容器とすることができる、すなわち、それは、容器の内部空間と(エネルギーおよび物質(この場合はガス)の両方をその環境と交換することができる)開放系を形成し得る。このようにして、本発明に係る方法を実施する場合、安全真空包装の真空処理中に、容器の内部空間と粒子容器は同時に真空にされる。
【0027】
本発明の特に有利な一実施形態では、粒子は、微粒子であり、特に、直径(すなわち、サイズ)が0.01mm~5mmの間、特に0.1mm~3mmの間の微粒子である。ここで、直径という用語は、平均粒子直径を意味する。もちろん、複数の粒子は、異なる(平均)サイズの粒子または複合粒子を含み得る。したがって、複数の第1のサブセットは第1のサイズを有することができ、粒子の第2のサブセットは第2のサイズを有することができる。例えば、第1のサイズは0.5mm、第2のサイズは1mmとすることができる。粒子の異なるサイズは、安全真空包装の安全性をさらに向上させることができる。
【0028】
この範囲内の粒子径は、一般的に、レーザ回折粒度分析による測定装置で測定することができる。レーザ回折タイプの粒度測定装置では、粉末または集合単位としての粒子のサイズは、一般的に、多数の測定結果の各サイズ(粒子径)の度数比の分布として表され、これは、粒子サイズ分布として指定される。
【0029】
容器または安全真空包装が、少なくとも透明な容器部分、特に透明な容器側面を有することも可能である。これに関連して、粒子容器が少なくとも透明な粒子容器部分、特に透明な粒子容器側面を有することもさらに可能である。もちろん、容器は完全に透明にすることもできる。
【0030】
粒子容器はまた、透明および明るいまたは暗い粒子容器部分、特に粒子容器側面を有することも可能である。白色などの明るい粒子容器部分、特に粒子容器側面は、透明容器(容器部分、または粒子容器)からの不要な光の反射を低減できるという利点がある。例えば、暗い粒子容器部分、特に粒子容器側面は、黒または紺色さえ可能である。原則として、明るい背景に暗い粒子または暗い背景に明るい粒子のいずれかが存在するように、複数の粒子と粒子容器部分、特に粒子容器側面との間に反転効果が存在することが好ましい。したがって、背景と粒子との間にコントラストが作成され、粒子のランダムな不動状態の捕捉が向上する。
【0031】
本発明に係る一方法では、実際、粒子のランダムな不動状態は、光学的方法または分光学的方法によって捕捉することができる。光学的方法では、安全真空包装は、光または光のような電磁放射線で照らされる。この放射線の一部は、特定の角度で回折または反射される。分光法では、安全真空包装は、電磁放射線と相互作用(吸収および放射)する。ここでは、様々な波長(X線、UV、Vis、およびIR)を使用できる。しかしながら、任意の波長または波長範囲の電磁放射線は、好ましくは画像に変換される。
【0032】
実際には、カメラを使用して、光学画像、すなわち安全真空包装の画像を生成することにより、粒子のランダムな不動状態を捕捉することが好ましい。もちろん、カメラは可視範囲の光で動作することが好ましい。特に好ましくは、粒子のランダムな不動状態は、一意のランダムな指紋として写真的に(例えば、スマートフォンを使用して)捕捉され、安全なデータベースに保存される。
【0033】
例えば、異なる透過特性による安全真空包装(およびそのコンポーネント)によるX線の減衰を表す、安全真空包装のX線画像を生成することもできる。本発明に係る方法によれば、粒子のランダムな不動状態は、X線画像を介して捕捉することができた。
【0034】
保護されるべき物体がプリント回路基板である場合、(USBハードウェアなどの密閉されたプラスチックハウジングを備えた)プリント回路基板は、X線画像でさらに検証され得る。ここで、プリント回路基板の位置決め、したがって安全真空パッケージ内のはんだ気泡もランダムであり、容器内のプリント回路基板の位置は真空によって固定されているので、プリント回路基板の追加のマイクロチップが検出可能であり、プリント回路基板上のランダムなはんだ気泡が、粒子のランダムな不動状態でさらに捕捉され、後で比較するために使用される。
【0035】
上記の画像の生成において、安全真空包装が、透明な容器部分(可視光に対して透明)および透明な粒子容器部分をそれぞれ有する場合、粒子のランダムな不動状態を捕捉するための画像の生成が単純化されるので、もちろん有利である。この目的のために、粒子容器は、例えば、薄い高剛性材料、特にガラス、アクリルガラス、またはポリカーボネートからなることができる。もちろん、放射線透過性容器部分または粒子容器部分が存在することも可能であるので、可視範囲以外の波長範囲の画像の生成が可能になる(例えば、主にX線を透過する容器部分)。
【0036】
容器および/または粒子容器は、好ましくは、高剛性の透明および/または黒色および/または白色のプラスチックフィルムからなる。この目的のために、長期間後でさえも複数の粒子が付着しない、とりわけ、ポリアミドまたはポリ塩化ビニル(PVC)、または特にナノコーティングを備えた特別に付着防止コーティングされた複合フィルムが適切である。特に好ましい一実施形態では、容器および/または粒子容器は、より小さな粒子も固定するために、少なくとも部分的に透明で薄い(約6~15μm)/または柔らかいポリマー(例えば、ショアDが60以下)からなり得る。また、容器および/または粒子容器はまた、粒子が真空下で硬質ポリマーと軟質ポリマーとの間で固定されるように、部分的に固体/硬質ポリマー(例えば、ショアDが60を超える)からなり得る。
【0037】
複数の粒子は、異なる形状を有することができる。ここで、粒子は球形粒子とすることができる。もちろん、粒子は、立方体、立方体状、円錐形、円筒形、ピラミッド形、または他の任意の適切な形状とすることができる。複数の粒子はまた、形状が異なるいくつかの異なる粒子を有し得る。したがって、第1の複数の粒子は球形とすることができ、第2の複数の粒子は立方体状とすることができる。さらなる区別のために、粒子は、第3の複数の粒子は赤色であり、第4の複数の粒子は青色となるように、異なる色または材料を有することができる。ここで、粒子に適した材料は、白色プラスチックおよび/またはゴムおよび/または砂糖および/またはガラスおよび/またはセラミックスおよび/またはポリスチレンである。これらの材料は、実施形態に応じて、それに応じて着色または成形することができる。粒子の異なる形状、色、および材料により、エントロピーがさらに向上し、したがって安全真空包装の安全性がさらに向上する。ゴムなどの弾性粒子材料、または砂糖、ガラス、セラミックスなどの固体粒子材料の利点は、真空によって不可逆的に変形しないことである。
【0038】
粒子(すなわち、複数の粒子)にはまた、ランダムな不動状態の粒子が(長時間経過後でも)、真空が解消された(その結果、複数の粒子のランダムな不動状態が破壊された)ときに緩く動き、粒子容器または安全真空包装の片側に付着しないように、特殊なコーティングが提供され得る。この目的のために、粒子には、例えば、テフロン(登録商標)またはナノコーティングが提供され得る。
【0039】
さらに、本発明は、安全真空包装内において、粒子の再捕捉されたランダムな不動状態を、粒子の保存されたランダムな不動状態と比較することによって、本発明に係る方法によって捕捉された粒子のランダムな不動状態を検証するためのコンピュータプログラム製品を含む。
【0040】
この目的のために、コンピュータプログラム製品はスマートフォン用のアプリケーションとして設計することができる。安全真空包装が真空にされた後、粒子のランダムな不動状態は、例えば、アプリケーションのスマートフォンカメラを介して捕捉され、好ましくは、アプリケーションを介してリンクされたデータベースに保存される。安全真空包装の粒子のランダムな不動状態を比較および検証するために、安全真空包装内の粒子のランダムな不動状態がスマートフォンのアプリケーションを介して再捕捉され、この再捕捉されたランダムな不動状態の粒子は、アプリケーションを介して取得可能な粒子の保存されたランダムな不動状態と比較される。比較と検証の後、アプリケーションは、粒子のランダムな不動状態が変化したかどうか、つまり、安全真空包装が開封されたか、および/または操作されたかどうかを表現する。
【0041】
このようにして、消費者は、自分の貨物が粒子のランダムな不動状態を介して操作されたかどうかを発見できる。本発明に係る安全真空包装はまた、表示から保護されるべきコード、例えばパスワードまたは暗号鍵など、保護されるべき物体に対して保護を提供する。
【0042】
粒子のランダムな不動状態のチェックは、粒子パラメータに基づいて、好ましくは異なる粒子パラメータに基づいて実行することができる。粒子パラメータとして、とりわけ、粒子のサイズまたは粒子の異なるサブセットの異なるサイズを使用することができる。また、材料の色と形状、ならびに粒子間の相対距離と容器/粒子容器内の位置は、チェックのために使用できる。粒子の数またはサブセットの数の違いもチェックできる。例えば、第1および第2の等しくないサブセットが存在し、粒子のランダムな不動状態が捕捉されたときに第1のサブセットは50個の粒子を含み、粒子のランダムな不動状態が捕捉されたときに第2のサブセットは55個の粒子を含む場合、これらの数値は、粒子のランダムな不動状態が再捕捉されたときにチェックできる。
【0043】
尽きることの無いリストの一部にすぎないこれらの粒子パラメータは、上記のように画像(写真/光画像、X線画像または他の適切な画像表現であるかどうか)に捕捉されるのが好ましい。
【0044】
本発明に係るコンピュータプログラム製品に使用できるような画像認識アルゴリズムは、デジタル画像を解釈する能力を有するのが好ましい。
【0045】
コンピュータプログラム製品は、人間の脳と同様に特に好ましい方法で機能する。カメラは、目と同じように、3次元環境を2次元画像として捕捉する。画像認識アルゴリズムである脳は、記録された情報を解釈する。透明な真空バッグ内の個々の粒子からなるランダムパターンを最適に捕捉するために、様々なフィルタと、必要に応じてニューラルネットワークまたはその他の「機械学習アルゴリズム」が(「深層学習」も)適用され、そこでコンピュータプログラム製品は最低限度のケースで正しく解釈することを学習するため、検証が常に改善される。
【0046】
原則として、処理される画像(好ましくはカラー画像)は、しきい値処理によって最初のステップでバイナリ画像に変換され、その後のステップで、アルゴリズムによって解釈される情報に最適に処理される。解釈の疑い/乱れの場合は、とりわけ、光の条件の変化、例えば透明な真空バッグでの光の反射によって、または捕捉される物体が捕捉される物体とわずかだけ異なる同様の背景上にある場合、または焦点が合っていない、またはコントラストが悪い、または比較する2つ(またはそれ以上)の条件の撮影角度が大きく異なる場合に発生する。さらに、アルゴリズムは、比較する2つの画像の向きを比較できる必要がある。アルゴリズムはまた、異なる条件で撮影された2つのランダムな不動状態を確実に比較できるようにするために、異なる撮影角度を補正できる必要もある。コンピュータプログラム製品がこれらの機能を備えている場合、コンピュータプログラム製品は様々な比較パラメータを出力できる。とりわけ、何個のランダムな不動状態が同一として捕捉されたかをパーセントで特定することが可能である。コンピュータプログラム製品がそれ自身のパラメータ特性にそれぞれどの程度確信があるか、とりわけ照明条件、カメラの視点、向き、背景、画像の鮮明さ、および画像の解像度が含まれ得る、比較する2つの生画像の品質がどれだけ高いかについても値を特定できる。
【0047】
以下では、本発明および最新技術を、図面を参照して実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明に係る方法の概略図である。
図2】本発明に係る安全真空包装の断面の概略図である。
図3】本発明に係る安全真空包装の平面図における概略図である。
図4】本発明に係る安全真空包装の背面図における概略図である。
図5】本発明に係る粒子容器の概略図である。
図6】本発明に係る安全真空包装のさらなる一実施形態の概略図である。
図7】本発明に係る安全真空包装のさらなる一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明に係る方法の概略図を示している。ここでは、複数の粒子を有する安全真空包装1が示されている。安全真空包装1は閉鎖されている。この目的のために、保護されるべき物体13は、安全真空包装1の容器10の内部空間100に配置された。また、複数の粒子15が、容器10の内部空間100に配置された。そして、安全真空包装1は、真空シールを介して真空にされ、それにより、複数の粒子15はランダムな不動状態で固定された。安全真空包装1は閉鎖された。
【0050】
図示のステップA1において、粒子15のランダムな不動状態は、ここで画像捕捉装置2(好ましくは、カメラおよび光学画像を捕捉する)によって捕捉される。ステップA2において、粒子の捕捉されたランダムな不動状態は、アプリケーション3によって暗号化され、ステップA3においてデータベース6(好ましくは、ブロックチェーンなどの安全なデータベース)に保存される。
【0051】
ステップBにおいて、安全真空包装1は、(例えば、顧客に)出荷される。この場合、安全真空包装1は無傷で到着し得る(B1)か、または無傷ではなく/操作されて到着し得る(B2)。ステップC1において、粒子のランダムな不動状態は、画像捕捉装置2によって再捕捉される。粒子の再捕捉されたランダムな不動状態は、ステップC2において、データベースからの粒子の保存されたランダムな不動状態と比較される。ここで、無傷の安全真空包装1で再捕捉された粒子のランダムな不動状態は、粒子の保存されたランダムな不動状態と一致することが認識される。操作された安全真空包装1bの場合、粒子の再捕捉されたランダムな不動状態は、粒子の保存されたランダムな不動状態と一致しないことが認識される。
【0052】
図2は、本発明に係る安全真空包装1の概略図を示している。本発明に係る方法で使用するための安全真空包装1は、保護されるべき物体13を受け入れるための内部空間100を有する容器10を含む。複数の接続されていない粒子15は、容器の内部空間100に配置されている。安全真空包装1の容器10の内部空間100を真空および密封するための真空シール11は、熱溶接シームとして設計されている。安全真空包装1は、好ましくは透明な真空バッグである。
【0053】
また、安全真空包装は、複数の粒子15を受け入れるために容器10の内部空間100に配置された粒子容器14を含み、複数の粒子15は、粒子容器14内に少なくとも部分的に配置されている。
【0054】
保護されるべき物体13は、粒子容器15が配置される表面を有する。粒子容器15は、保護されるべき物体13の周囲に配置され、それによって粒子容器14が保護されるべき物体13の表面に取り付けられる、高剛性シェル(開放人工シェル)の形態の第1の取り付け装置12を有する。
【0055】
また、粒子のランダムな不動状態を捕捉するとき(およびそれらを再捕捉するとき)、粒子15と背景との間の最適なコントラストを達成するために、黒色フィルム16(好ましくは黒色ポリウレタンフィルム)が粒子容器14の下側に塗布される。そのような一実施形態は、粒子のランダムな不動状態の捕捉がカメラを介して(可視範囲内で)行われる場合に特に有利である。さらに良い結果は、例えば、(例えば、ポリスチレン製の)白色粒子で達成することができる。
【0056】
複数の粒子を粒子のランダムな不動状態に固定するために、フィルム17が粒子15の上方の粒子容器14(好ましくは透明ポリウレタンフィルム)上に配置され、これは粒子15を真空下で固定する。
【0057】
図3は、本発明に係る安全真空包装1の概略図を平面図で示し、図4は、本発明に係る安全真空包装1の概略図を背面図で示している。ここで、安全真空包装1は、保護されるべき物体13の周囲に配置された、または保護されるべき物体13上に粒子容器15を配置するために、保護されるべき物体13が上に配置された高剛性シェル(開放人工シェル)の形態の取り付け装置12を有する粒子容器14を含む。
【0058】
安全真空包装1は、開口部11を有する真空バッグとして設計することが好ましく、開口部11を通して複数の粒子15を有する粒子容器14および保護されるべき物体13が容器10の内部100に配置される。開口部11は、好ましくは溶接シーム(高周波、超音波、または熱)を介して、すでに閉鎖されている。
【0059】
図5は、複数の粒子15を有する本発明に係る粒子容器14の概略図を示し、複数の粒子15は、エントロピーを増加させ、したがってこのように安全真空包装の安全性を高めるために異なって着色される。より良いコントラストのために、着色フィルム16が粒子容器14の底部に取り付けられている。
【0060】
ここで、粒子容器14は、安全真空包装に挿入することができる別個の部品として設計されていることが分かる。
【0061】
図6は、本発明に係る安全真空包装1のさらなる一実施形態の概略図を示す。ここで、保護されるべき物体13は、安全真空包装1内に配置され、これは、好ましくは、回して(ひねって)外す閉鎖具21を備えた閉鎖部311を備えたボトルとして設計される。粒子容器14は、好ましくは、接着剤で閉鎖部311に少なくとも部分的に取り付けられている。
【0062】
図7は、本発明に係る安全真空包装1のさらなる一実施形態の概略図を示す。ここで、保護されるべき物体13は、安全真空包装1内に配置され、これは、好ましくは、スリップオン式の閉鎖具22を備えたカバー132を備えたボックスとして設計される。粒子容器14は、好ましくは、接着剤でカバー132に少なくとも部分的に取り付けられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】