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特表2022-521069磁性塗料に模様が形成されたスポーツ用具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(54)【発明の名称】磁性塗料に模様が形成されたスポーツ用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/10 20150101AFI20220329BHJP
   A63B 53/12 20150101ALI20220329BHJP
   A63B 59/50 20150101ALI20220329BHJP
   A63B 59/70 20150101ALI20220329BHJP
   A63B 60/00 20150101ALI20220329BHJP
   A63C 11/22 20060101ALI20220329BHJP
   A63B 102/18 20150101ALN20220329BHJP
   A63B 102/22 20150101ALN20220329BHJP
   A63B 102/24 20150101ALN20220329BHJP
   A63B 102/14 20150101ALN20220329BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220329BHJP
   A63B 102/00 20150101ALN20220329BHJP
【FI】
A63B53/10 Z
A63B53/12 Z
A63B59/50
A63B59/70
A63B60/00
A63C11/22 Z
A63B102:18
A63B102:22
A63B102:24
A63B102:14
A63B102:32
A63B102:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547459
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020015652
(87)【国際公開番号】W WO2020167474
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/805,512
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045213
【氏名又は名称】トゥルー テンパー スポーツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ドナルド,コリンズ,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】モレノ,ジョゼ
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA05
2C002PP04
(57)【要約】
スポーツ用具には、表面と、磁性粒子を含むベース塗料とが含まれ、ベース塗料は、スポーツ用具の表面上にあり、磁性粒子は、1つ以上の磁石によって発生した磁場の中におかれた後、所定のデザインに基づいて配列される。スポーツ用具の製造方法には、所定のデザインで配置された1つ以上の磁石を含む物体を得ることと、スポーツ用具の外面に、磁性粒子を含むベース塗料を塗布することと、ベース塗料が流体である間に、スポーツ用具を1つ以上の磁石の磁場内に配置することと、少なくとも所定の期間、スポーツ用具の位置を維持することで、ベース塗料中の磁性粒子を1つ以上の磁石の所定のデザインに基づいて配列させることと、が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ用具であって
表面と、
磁性粒子を含み前記スポーツ用具の前記表面上に配置されるベース塗料と、を含み、
前記磁性粒子は、1つ以上の磁石によって発生した磁場の中におかれた後、所定のデザインに基づいて配列される、スポーツ用具。
【請求項2】
前記スポーツ用具がゴルフクラブのシャフトである、請求項1に記載のスポーツ用具。
【請求項3】
前記スポーツ用具がホッケー用のスティックであり、前記表面が前記ホッケー用のスティックのグリップ部の表面である、請求項1に記載のスポーツ用具。
【請求項4】
前記スポーツ用具がホッケー用のスティックであり、前記表面が前記ホッケー用のスティックのブレード部の表面である、請求項1のスポーツ用具。
【請求項5】
前記スポーツ用具がラクロス用のクロスであり、前記表面がラクロス用のクロスのグリップ部の表面である、請求項1のスポーツ用具。
【請求項6】
前記スポーツ用具が野球用のバットである、請求項1に記載のスポーツ用具。
【請求項7】
前記ベース塗料の上に施される第2の塗料コーティングをさらに含む、請求項1に記載のスポーツ用具。
【請求項8】
スポーツ用具の製造方法であって、
所定のデザインで配置された1つ以上の磁石を含む物体を得る工程と、
前記スポーツ用具の外面に、磁性粒子を含むベース塗料を塗布する工程と、
前記ベース塗料が流体である間に、前記1つ以上の磁石の磁場内に前記スポーツ用具を配置する工程と、
少なくとも所定の期間、前記スポーツ用具の位置を維持することで、前記ベース塗料中の前記磁性粒子を、前記1つ以上の磁石の前記所定のデザインに基づいて配列させるようにする工程と、を含む、方法。
【請求項9】
前記スポーツ用具の前記位置を少なくとも前記所定の期間維持した後、前記ベース塗料を硬化させる工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スポーツ用具の前記位置を少なくとも前記所定の期間維持した後、前記ベース塗料の上に第2の塗料コーティングを施す工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記スポーツ用具を配置する工程は、前記スポーツ用具を前記物体の中空の内部に配置することを含み、前記1つ以上の磁石が前記物体の内面上に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記スポーツ用具を配置する工程は、前記スポーツ用具の中空の内部に前記物体を配置することを含み、前記1つ以上の磁石が前記物体の外面上に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記スポーツ用具を配置する工程は、前記スポーツ用具の中空の内部に前記物体を配置することを含み、前記1つ以上の磁石が前記物体の内部に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記物体が非磁性材料で作られている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の磁石が1つ以上の希土類磁石を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上の磁石が1つ以上のネオジム磁石を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記スポーツ用具を配置する工程は、前記スポーツ用具を前記物体に隣接して配置することを含み、前記1つ以上の磁石が前記物体の表面上に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記スポーツ用具がゴルフシャフトである、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記スポーツ用具が、ホッケー用のスティック、ラクロス用のクロス、および野球用のバットのうちの1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記磁性粒子が強磁性粒子を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本開示は、PCT国際出願であり、2019年2月14日に出願された米国特許仮出願第62/805,512号の利益を主張するものである。上記で言及した出願の開示内容全体を、本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、ゴルフクラブのシャフトに関し、特に、磁性塗料が付されたスポーツ用具ならびに、スポーツ用具の磁性塗料にデザインを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の背景を大まかに示すことを目的としたものである。この背景技術部分に記載した範囲での、現行の発明者の業績、ならびに、そうでなければ出願時における先行技術としては適さないかもしれない説明の態様については、明示的にも黙示的にも、これを本開示に対する先行技術として認めるものではない。
【0004】
ゴルフシャフトには、ソリッドカラーであるベース塗料による塗装が施されていることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スポーツによって、使用する用具のタイプも異なる。例えば、ゴルフの競技ではゴルフ用のクラブとボールが使用され、ラクロスの競技ではラクロス用のクロスとボールが使用され、ホッケーの競技ではホッケー用のスティックとパックが使用され、野球の競技では野球用のバットとボールが使用されるといった具合である。ゴルフでは、ゴルフ用のボールを打つのにゴルフクラブが使用される。ラクロスでは、ラクロス用のボールをパスしたり、シュートしたり、運んだりするのにラクロス用のクロスが使用される。野球では、野球ボールに当てるのに野球用のバットが使用される。ホッケーでは、ホッケー用のパックのパス、ディフレクション、シュートにホッケー用のスティックが使用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある特徴では、スポーツ用具は、表面と、磁性粒子を含むベース塗料と、を含み、ベース塗料はスポーツ用具の表面にあり、磁性粒子は、1つ以上の磁石によって発生した磁場の中におかれた後、所定のデザインに基づいて配列される。
【0007】
別の特徴では、スポーツ用具がゴルフクラブのシャフトである。
【0008】
別の特徴では、スポーツ用具がホッケー用のスティックであり、表面がホッケー用のスティックのグリップ部の表面である。
【0009】
別の特徴では、スポーツ用具がホッケー用のスティックであり、表面がホッケー用のスティックのブレード部の表面である。
【0010】
別の特徴では、スポーツ用具がラクロス用のクロスであり、表面がラクロス用のクロスのグリップ部の表面である。
【0011】
別の特徴では、スポーツ用具が野球用のバットである。
【0012】
別の特徴では、ベース塗料の上に第2の塗料コーティングが施される。
【0013】
ある特徴では、スポーツ用具の製造方法は、所定のデザインで配置された1つ以上の磁石を含む物体を得ることと、スポーツ用具の外面に、磁性粒子を含むベース塗料を塗布することと、ベース塗料が流体である間に、1つ以上の磁石の磁場内にスポーツ用具を配置することと、少なくとも所定の期間、スポーツ用具の位置を維持することで、ベース塗料中の磁性粒子を、1つ以上の磁石の所定のデザインに基づいて配列させるようにすることと、を含む。
【0014】
別の特徴では、本方法は、スポーツ用具の位置を少なくとも所定の期間維持した後、ベース塗料を硬化させることをさらに含む。
【0015】
別の特徴では、本方法は、スポーツ用具の位置を少なくとも所定の期間維持した後、ベース塗料の上に第2の塗料コーティングを施すことをさらに含む。
【0016】
別の特徴では、スポーツ用具を配置することは、スポーツ用具を物体の中空の内部に配置することを含み、1つ以上の磁石が物体の内面上に配置されている。
【0017】
別の特徴では、スポーツ用具を配置することは、スポーツ用具の中空の内部に物体を配置することを含み、1つ以上の磁石が物体の外面上に配置されている。
【0018】
別の特徴では、スポーツ用具を配置することは、スポーツ用具の中空の内部に物体を配置することを含み、1つ以上の磁石が物体の内部に配置されている。
【0019】
別の特徴では、物体が非磁性材料で作られている。
【0020】
別の特徴では、1つ以上の磁石が1つ以上の希土類磁石を含む。
【0021】
別の特徴では、1つ以上の磁石が1つ以上のネオジム磁石を含む。
【0022】
別の特徴では、スポーツ用具を配置することは、スポーツ用具を物体に隣接して配置することを含み、1つ以上の磁石が物体の表面上に配置されている。
【0023】
別の特徴では、スポーツ用具がゴルフシャフトである。
【0024】
別の特徴では、スポーツ用具が、ホッケー用のスティック、ラクロス用のクロス、および野球用のバットのうちの1つである。
【0025】
別の特徴では、磁性粒子が強磁性粒子を含む。
【0026】
本開示を適用可能なさらに別の領域が、詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかになるであろう。詳細な説明と具体例については、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0027】
本開示は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、シャフト塗装装置を含むベース塗料アプリケーターシステムを例示した図を含む。
図2図2は、円形の開口を有する塗料アプリケーターを例示した図である。
図3図3は、塗料アプリケーターの開口を通して挿入されたゴルフクラブのシャフトを例示した図を含む。
図4図4は、アクチュエーターアームがベース塗料を塗料アプリケーターに向かって流すために垂直に下降しているのを例示した図を含む。
図5A図5Aは、ロッド(物体)とゴルフクラブのシャフトを例示した図である。
図5B図5Bは、ロッド(物体)とゴルフクラブのシャフトを例示した図である。
図6A図6Aは、ロッド(物体)とゴルフクラブのシャフトを例示した図である。
図6B図6Bは、ロッド(物体)とゴルフクラブのシャフトを例示した図である。
図7図7は、等間隔に配置された複数の磁石を含む物体を例示した図を含む。
図8図8は、ゴルフ(クラブ)シャフトなどの管状のスポーツ部材上で、磁性ベース塗料にデザインを作成する方法の一例を示すフローチャートを含む。
図9図9は、ホッケー用のスティックを含む例示した図を含む。
図10図10は、ホッケー用のスティックのブレード部上に形成されたデザインを例示した図を含む。
図11図11は、ホッケー用のスティックのブレード部上に形成されたデザインを例示した図を含む。
図12図12は、ホッケー用のスティックのグリップ部上に形成されたデザインを例示した図を含む。
図13図13は、ホッケー用のスティックのグリップ部上に形成されたデザインを例示した図を含む。
図14図14は、ラクロス用のクロスのグリップ部上に形成されたデザインを例示した図を含む。
図15図15は、野球用のバットに形成されたデザインを例示した図を含む。
図16図16は、スポーツ用具と、スポーツ用具上にデザインを形成するのに使用される物体の斜視図を含む。
図17図17は、スポーツ用具と、スポーツ用具上にデザインを形成するのに使用される物体の斜視図を含む。
【0029】
図面では、類似および/または同一の要素を識別するために、参照符号を繰り返して用いることがある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ゴルフシャフトに塗布されるベース塗料の層の上にデザインを付す形で、デザインをゴルフシャフトに付すことができる。例えば、ベース塗料にデザインをペイントしてもよいし、ベース塗料にデザインを接着してもよい(例えば、ステッカーの例など)といった具合である。
【0031】
ゴルフシャフトに塗布された塗料に、この塗料中の磁性粒子を用いてデザインを形成する機能によって、市場で製品を差別化するのに役立つ装飾を提供することができる。また、1つ以上のターゲットにターゲット構造(例えば、ねじり、曲げなど)の特性を持たせるのにデザインが役立つこともある。本開示では、ゴルフシャフトに塗布されたベース塗料の磁性粒子でデザインが形成された、ゴルフシャフト(例えば、グラファイト、スチールまたはグラファイトとスチールのハイブリッド)および他のタイプのスポーツ用具、ならびにその製造方法について説明する。
【0032】
一例としての方法は、デザインの形状に配置された1つ以上の磁石を有するロッドをゴルフシャフトに挿入することによって、磁性ベース塗料にデザインを形成することを含む。他の例としての方法は、デザインの形状に配置された1つ以上の磁石をゴルフシャフトの半径方向外側に置くことによって、磁性ベース塗料にデザインを形成することを含む。磁性ベース塗料にデザインを形成した後、例えば半透明または透明の塗料のコーティングを施して、色の深みを増すことができる。
【0033】
図1は、シャフト塗装装置100を含むベース塗料アプリケーターシステムを例示した図を含む。このシャフト塗装装置100を使用して、グラファイト製のゴルフクラブのシャフト、スチール製のゴルフクラブのシャフト、スチールおよびグラファイト製のハイブリッドゴルフクラブのシャフトなどのゴルフクラブのシャフトに、ベース塗料を1層以上塗布することができる。ここでは例としてゴルフクラブのシャフトを示したが、以下の内容は、ホッケー用のスティック、ラクロス用のクロス、野球用のバットなど、他の種類の管状のスポーツ用具にも適用可能である。
【0034】
シャフト塗装装置100は、第1の部分104と第2の部分108とを含んでもよい。塗料アプリケーター112(例えば、スキージまたはスポンジ)は、第1の部分104と第2の部分108との間に挟まれており、第1の部分104と第2の部分108における複数の開口に、開口116を含む。開口116は、円形であってもよい。あるいは、開口116は、三角形、正方形、五角形、六角形、七角形、八角形など、非円形であってもよい。様々な実施形態では、開口116の外縁に1つ以上のノッチが形成されていてもよい。
【0035】
図2は、開口116が円形である塗料アプリケーター112を例示した図を含む。塗料アプリケーター112は、例えば、ゴムまたは別の好適な曲げやすい材料で作られたものであればよい。開口116については、その直径が、シャフト塗装装置100を用いて塗装すべきゴルフシャフトの最小直径未満であってもよい。ゴルフシャフトは先細であってもよいし、一端から他端まで直径が異なっていてもよい。開口116は、開口116を通って引き出される管状のスポーツ用具と同じ形状(例えば、円形、長方形、六角形、八角形など)であってもよい。
【0036】
再び図1を参照し、第2部分108の凹部120にベース塗料が充填されている。シャフト塗装装置100は、軸124を中心に回転可能なものであってもよい。シャフト塗装装置100にアクチュエーターアーム128を取り付けることができ、このアクチュエーターアーム128が上下に垂直移動して、軸124を中心にシャフト塗装装置100を回転させることができる。
【0037】
アクチュエーターアーム128を垂直に下降させると、凹部120内のベース塗料は、塗料アプリケーター112に向かって流れ得る。アクチュエーターアーム128を垂直に上昇させると、凹部120内のベース塗料は、塗料アプリケーター112から離れる方向に流れ得る。ストップを設けることにより、ベース塗料が塗料アプリケーター112から離れる方向に流れる、アクチュエーターアーム128の最も高い位置(シャフト塗装装置100の静止位置)を設けてもよい。
【0038】
アクチュエーターアーム128は、アクチュエーター132によって上下に作動される。アクチュエーター132は、例えば、人間やロボットであってもよい。ここでは、シャフト塗装装置100を用いて塗装を施す例を示したが、これに加えてまたはこれに代えて、スプレーガンを用いて噴霧するなど、別の適切な方法で管状のスポーツ用具に塗装を施してもよい。
【0039】
図3は、塗料アプリケーター112の開口116を通して挿入されたゴルフクラブシャフト304を例示した図を含む。例えば、塗料アプリケーター112の開口116を通して、ゴルフシャフト304の直径が小さいほうの端を挿入することができる。ここでは例としてグラファイト製のゴルフシャフトを示したが、本願は、スチール製のゴルフシャフト、スチールおよびグラファイト製のハイブリッドのゴルフシャフト、その他のタイプのゴルフシャフトにも適用可能である。シャフト塗装装置100が静止位置にあるときに、開口116を通してゴルフシャフト304を挿入することもできる。
【0040】
開口116を通ってゴルフシャフト304が挿入されると、アクチュエーター132がアクチュエーターアーム128を下降させ、これにより、凹部120内のベース塗料が塗料アプリケーター112に向かって流れる。図4は、アクチュエーターアーム128が(静止位置での位置に対して)垂直に下降している様子を例示した図を含む。図示のように、凹部120内のベース塗料は、(重力によって)塗料アプリケーター112に向かって流れる。
【0041】
ベース塗料が塗料アプリケーター112上に存在する間に、アクチュエーター308が開口116を通してゴルフシャフト304を軸方向に引く。このゴルフシャフト304の軸方向の引っ張りを、矢印312によって示す。アクチュエーター308は、人間であってもロボットであってもよい。アクチュエーター308は、人間がゴルフシャフトにベース塗料を塗布するときなど、いくつかの例ではアクチュエーター132と同一であってもよい。
【0042】
アクチュエーター308は、開口116を通してゴルフシャフト304を軸方向に引き、ゴルフシャフト304の長さに沿って均一なベース塗料の層を作ることができる。アクチュエーター308は、開口116を通してゴルフシャフト304を引っ張るのと同時に、または、開口を通してゴルフシャフト304を引っ張るのと交互に、ゴルフシャフト304の軸を中心にゴルフシャフト304を回転させてもよい。このゴルフシャフト304の回転を、矢印316で示す。
【0043】
ここでは、シャフト塗装装置100を用いてゴルフシャフト304にベース塗料を塗布する例を示したが、ペイントガンを用いて噴霧するなど、別の適切な方法でゴルフシャフト304にベース塗料を塗布してもよい。
【0044】
1以上のベース塗料コーティングを、ゴルフシャフトに施してもよい。ベース塗料のそれぞれのコーティングを、ベース塗料の次の層をゴルフシャフトに塗布する前に硬化させてもよい。ベース塗料を塗布した(および乾燥させた)後、そのベース塗料の上に、1以上の透明または半透明の塗料のコーティングを施してもよい。透明または半透明の塗料によって、ゴルフシャフトの塗料の深みが増す場合がある。
【0045】
ベース塗料は、強磁性粒子などの磁性粒子を含む。ベース塗料の最外層の硬化および乾燥の少なくとも一方の前に(すなわち、ベース塗料がまだ流体である間に)、1つ以上のデザインの形状をした1つ以上の磁石を、ゴルフシャフトの近くに配置する。磁石は、磁性粒子を引き寄せて、ベース塗料の磁性粒子でデザインを形成する。
【0046】
図5Aは、ベース塗料がまだ流体である間に、磁性粒子を含むベース塗料の層でコーティングしたゴルフシャフト304を例示した図を含む。ロッド(または別のタイプの管状部材)504には、例えば、外面上に、磁石で形成されたデザインが含まれる。この例では、ロッド504の外面上に磁石で「DESIGN」という単語が形成されている。磁石は、例えば、ロッド504の外面に接着されていてもよい。様々な実施形態では、代わりに、図5Bに示すように、磁石によるデザインをロッド504の内面上に設け、ゴルフシャフト304をロッドの中に挿入してもよい。磁石の例としては、ネオジム磁石または別の適切なタイプの磁石があげられる。様々な実施形態では、デザインの形状をした磁石を1つだけ使用してもよい。ここでは例として「DESIGN」という単語を示したが、他の単語、文字、ロゴ(商標または商標以外)、画像などを含む他のデザインを形成するように磁石を配置してもよい。様々な実施形態では、切断装置(例えば、CNCルータなどのコンピュータ数値制御(CNC)切断機)によって、磁石のデザインを示すユーザ入力に応じて、1つ以上の磁石を切断することができる。
【0047】
ゴルフシャフト304は、内側に中空の部分を含む。図5Aの例では、ゴルフシャフト304の中にロッド504が挿入され、所定の期間、適所に維持される。図5Bの例では、ロッド504は内側に中空の部分を含む。ロッド504の中にゴルフシャフト304が挿入され、所定の期間、適所に維持される。
【0048】
図6Aは、ゴルフシャフト304に挿入されたロッド504を例示した図を含む。図6Bは、ロッド504に挿入されたゴルフシャフト304を例示した図を含む。磁石の磁場によって、(流動性のある)ベース塗料中の磁性粒子が磁石に引き寄せられ、ゴルフシャフト304上のベース塗料にデザインが形成される。少なくとも所定の期間が経過した後、ロッド504をゴルフシャフト304から取り外すことができ、ベース塗料の硬化および乾燥の少なくとも一方を行うことができる。ロッド504を取り除いた後も、磁性粒子は所定の位置に残る。
【0049】
様々な実施形態では、ロッド504の内側に中空の部分を含んでもよく、磁石をロッド504の中に配置して、ベース塗料にデザインを形成してもよい。ロッド504を、例えば、透明なプラスチックまたは他の適切なタイプの材料で製造してもよい。例えば、図7の例のように、ロッド504内に同一形状の磁石704を(例えば、非磁石708を介して)等間隔で配置してもよい。また、ロッド504内の磁石704同士の間隔は、等しくてもよいし、等しくなくてもよい。上述したように、ここでは例としてゴルフシャフト304を示したが、本願は、ホッケー用のスティック、ラクロス用のクロス、野球用のバットなど、他の種類のスポーツ用具に磁性粒子を含むベース塗料でデザインを作成するのにも適用可能である。また、ロッド504の例を示したが、代わりに、物体の平らな表面(例えば、面)上に磁石を配置してもよく、磁石の磁場によって、管状のスポーツ部材上のベース塗料中の磁性粒子に動きを与えられるほど十分に管状のスポーツ部材の近くに物体を配置してもよい。
【0050】
図9は、ホッケー用のスティック10を含めて例示した図を含む。ホッケー用のスティック10は、プレーヤー14が握るグリップ部12(すなわち、シャフト)と、ホッケーパック18またはボールを制御するのに使用されるブレード部16(すなわち、ブレード)とを含む。ホッケー用のスティック10は、ゴールキーパーのポジションを含む、ホッケーチームのあらゆるポジションに適応することができる。言い換えれば、ホッケー用のスティック10は、ゴールキーパーが用いるホッケー用のスティックであってもよいし、他のポジションで使用するように構成されたホッケー用のスティックであってもよい。また、ここでは例としてアイスホッケー用スティックを示すが、本願は、フィールドホッケー用のスティック、ローラーホッケー用のスティック、その他の種類のスポーツ用具にも適用可能である。
【0051】
グリップ部12は、細長く、長手方向にまっすぐであってもよい。いくつかの実施形態では、カバー(例えば、炭素繊維との複合材料)内に埋め込まれ、包み込まれた中空のコアを、グリップ部12は含むことができる。このグリップ部12で、磁性粒子を含むベース塗料にデザインを形成することができる。図12および図13は、上述したように、磁石を用いてグリップ部12上に「DESIGN」というデザインが形成されているのを例示した図である。図14は、上述したように、磁石を用いてラクロス用のクロスのグリップ部上に「DESIGN」というデザインが形成されているのを例示した図を含む。上述したように、磁石を用いてホッケー用のスティックまたはラクロス用のクロスのグリップ部の任意の1つ以上の側面に、1つ以上の異なるデザインを形成することができる。
【0052】
再び図9を参照し、グリップ部12は、ブレード接続端13を含む。グリップ部12のブレード接続部13には、ブレード部16が固定されている。このブレード部16をブレード接続端13に固定するには、任意の適切な方法を用いることができる。グリップ部12とブレード部16とを別々に製造し、あとから一体にすることができる。あるいは、グリップ部12とブレード部16を一緒に製造してもよい。
【0053】
ブレード部16は主に、ホッケーパック18を受けて移動させる(例えば、パス、シュートなど)のに使用できる前面20と、同じくホッケーパック18を受けて移動させるのに使用できる後面22と、を含む。ブレード部16は、グリップ部12のブレード接続端13に接続される第1の端28も含む。ブレード部16は、第1の端28とは反対側にある第2の端30も含む。
【0054】
また、ブレード部16は、上縁24と、上縁24とは反対側にある下縁26とを含む。上縁24は一般に、競技面(例えば、氷)から離れている。下縁26は、競技面に接触することもある。
【0055】
上縁24および下縁26は、どちらもブレード部16の第1の端28と第2の端30との間に延在する。前面20が凹状で後面22が凸状になるように、第1の端28と第2の端30との間で、上縁24および下縁26と前面20および後面22を湾曲させることができる。
【0056】
ブレード部16は、1つ以上のコア部材の周りに巻き付けられたカバーを含む。このカバーは、上述したゴルフクラブのシャフトと同様に、複合材料からなる1つ以上の層を含む。このブレード部16上に、磁性粒子を含むベース塗料のデザインを形成することができる。デザインは、前面20、後面22、または前面20と後面22の両方上に配置することができる。図10および図11は、上述したように磁石を用いてブレード部16にデザイン「DESIGN」が形成されているのを例示した図を含む。
【0057】
図15は、上述したように、磁石を用いて形成されたデザイン「DESIGN」を有する野球用のバット1504を含む例示した図を含む。野球用のバット1504は、プレーヤーが握るグリップ部1508と、ボールを打つおよび接触させる、の少なくとも一方のためのヘッド部すなわち胴部1512と、を含む。グリップ部1508と胴部1512は、互いに一体化された別個のピースであってもよいし、継ぎ目のない単一のピースであってもよい。また、図15では胴部1612上のベース塗料にデザインを形成する例を示したが、これに加えてまたはこれに代えて、磁石を用いてグリップ部1508上のベース塗料に1つ以上のデザインを形成してもよい。
【0058】
図8は、ゴルフ(クラブ)シャフトなどの管状のスポーツ部材のベース塗料にデザインを形成する例示的な方法を示すフローチャートを含む。制御は、(磁性粒子を含む)ベース塗料のコーティングをゴルフシャフトなどの管状のスポーツ部材に塗布する804で開始される。ゴルフシャフトの直径の大きい方の端の一部を塗料アプリケーター112から外に出し、塗装しないようにしてもよい。ゴルフシャフトの直径が大きい方の端には、あとからグリップが付けられる。
【0059】
808では、ベース塗料がまだ流体である間に、デザインの形状にした磁石によってベース塗料中の磁性粒子が移動し、ベース塗料にデザインが形成されるように、管状のスポーツ部材を磁石の磁場内に配置する。例えば、管状のスポーツ部材をロッドに挿入したり、ロッドを管状のスポーツ部材内に挿入してもよい。あるいは、表面に磁石が配置された物体の近くに管状のスポーツ部材を配置してもよい。
【0060】
812では、管状のスポーツ部材を、所定の期間、適所に維持する。これによって、磁石がベース塗料中の磁性粒子を引き寄せ、ベース塗料に磁石のデザインを形成することができる。所定の期間は、上述したように、磁石を用いてベース塗料にデザインを確実に形成するように、選択および設定のいずれか一方をすればよい。
【0061】
816では、管状のスポーツ部材を、磁場から取り出す。管状のスポーツ部材の磁場から管状のスポーツ部材を取り出したにもかかわらず、磁性粒子は適所に残っている。このように、磁石によってベース塗料に形成されたデザインは、管状のスポーツ部材を磁場から取り出した後も残る。820では、ベース塗料の硬化および乾燥の少なくとも一方を行う。これによって、デザインとベース塗料が管状のスポーツ部材の適所に固定される。任意に、透明または半透明の塗料のコーティングを、1回以上、トップコートとして管状のスポーツ部材に施してもよい。ゴルフシャフト上の塗料が乾燥したら、ゴルフシャフトの直径が小さい方の端にゴルフクラブのヘッドを取り付けることができ、ゴルフシャフトの直径が大きい方の端にグリップを取り付けることができる。
【0062】
図16および図17は、「DESIGN」という単語の形状に位置する磁石とともに、磁性粒子を含む(流体の)ベース塗料が配置された、物体1604の近くに、配置したスポーツ用具1600の一部を例示した図を含む。スポーツ用具1600は、例えば、ホッケー用のスティックのブレード部、ホッケー用のスティックのハンド部、野球用のバットの胴またはグリップ部、ラクロス用のクロスのグリップ部またはゴルフクラブのシャフトなどであってもよい。
【0063】
ここでは、磁性粒子を含むベース塗料と、1つ以上の磁石を用いてベース塗料の磁性粒子でデザインを形成する例を示したが、光、音、熱などの他のタイプのエネルギーに反応する他のタイプの粒子を含むベース塗料にも本願を適用可能である。
【0064】
上記の説明は、本質的に例示的なものにすぎず、どのような形であっても、本開示、その応用または用途を制限することを意図するものではない。本開示の広い教示内容を、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示には特定の例が含まれるとはいえ、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。なぜなら、図面、明細書および以下の特許請求の範囲を検討すれば、他の改変例も明らかになるからである。ある方法の1以上の工程が、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことが理解されるべきである。さらに、各実施形態を、特定の特徴を有するものとして上述したが、本開示のいずれかの実施形態に関して記載されたそれらの特徴は、いずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかの特徴に実装できる、および、それらの特徴と組み合わせることができる、の少なくとも一方である。その組み合わせが、明示的に記載されていない場合も同様である。言い換えれば、記載された実施形態は相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態を入れ替えても、本開示の範囲内にとどまる。
【0065】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続され(connected)」、「かみ合い(engaged)」、「結合され(coupled)」、「隣接して(adjacent)」、「隣り合って(next to)」、「の上に(on top of)」、「上に(above)」、「下に(below)」および「配置されて(disposed)」を含む様々な用語を用いて記述される。「直接(direct)」であることが明記されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記開示に記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的にまたは機能的に)存在する間接的な関係であってもよい。本明細書で使用する場合、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という言い回しは、包含的論理和を用いた論理的「AまたはBまたはC」を意味すると解されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、Cのうちの少なくとも1つ」を意味するとは解されるべきではない。
【0066】
図中、矢印の方向は、矢印の先端で示されるように、一般に、図の着目される情報(データや命令など)の流れを示している。例えば、要素Aと要素Bが様々な情報を交換するが、要素Aから要素Bに送信される情報が図に関連する場合、矢印は要素Aから要素Bを指すことがある。この一方向の矢印は、要素Bから要素Aに他の情報が送信されないことを意味するものではない。さらに、要素Aから要素Bに送信される情報について、要素Bはその情報の要求、または受信確認を要素Aに送信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】