(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】1または複数の微細藻類培養用バイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キット
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
C12M1/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541511
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2020051524
(87)【国際公開番号】W WO2020174351
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】102019000002641
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518375649
【氏名又は名称】ポリテクニコ ディ ミラノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スパダフォラ、サヴェリオ パスクアレ
(72)【発明者】
【氏名】パオレッティ、イングリッド
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029DA10
4B029DG10
(57)【要約】
微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットが記載される、上記キットは、鉛直に配置された透明管状カラム(1)の形式である、微細藻類培養用の少なくとも1つのバイオリアクタと、上記少なくとも1つのバイオリアクタの基礎を統合し支持するよう適応され、また、上記少なくとも1つのバイオリアクタ(1)との間で培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするためのシステムとの第1の接続(3)、ならびに、二酸化炭素を添加した空気を上記少なくとも1つのバイオリアクタに供給するためのシステムとの第2の接続(4)を内部に収容するよう適応される支持構造(2)と、内部空間(13)を有する各フレームを形成し、上記少なくとも1つのバイオリアクタ(1)を上記空間に収容するよう互いに接続されるよう適応された複数のモジュールであって、また、フィルタリングされた光を上記少なくとも1つのバイオリアクタ(1)に伝えるような形態を有する複数のモジュール(5)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットであって、
鉛直に配置された透明管状カラムの形式である微細藻類培養用の少なくとも1つのバイオリアクタと、
前記少なくとも1つのバイオリアクタの基礎を統合および支持するよう適応され、また、前記少なくとも1つのバイオリアクタとの間で培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするためのシステムとの第1の接続、および、二酸化炭素を添加した空気を前記少なくとも1つのバイオリアクタに供給するためのシステムとの第2の接続を内部に収容するよう適応された支持構造と、
内部空間を有する各フレームを形成し、互いに接続されて、前記内部空間に前記少なくとも1つのバイオリアクタを収容するように適応される複数のモジュールであって、また、フィルタリングされた光を前記少なくとも1つのバイオリアクタ内に伝えるような形態を有する、複数のモジュールと
を備えるモジュール式キット。
【請求項2】
前記複数のモジュールの各々は、内部が空であるフレームの形式である2つの菱形要素、および、2つの台形要素を有し、
前記2つの菱形要素は、互いに垂直に接続されて前記内部空間を形成し、
前記2つの台形要素は、互いに接続された前記2つの菱形要素の2つの反対側の端に位置する、
請求項1に記載のモジュール式キット。
【請求項3】
前記菱形要素は、前記2つの菱形要素の間のジョイント接続を可能にするよう適応された、溝を縁部に有する、請求項2に記載のモジュール式キット。
【請求項4】
前記複数のモジュールは、隣り合って共に接続される、および/または、一次元もしくは二次元の方式で積み重ねられ、直線または曲線に沿ってカラムにおいて、または、マトリクス状に配置された複数の並列カラムにおいて、隣り合って配置された複数の並列バイオリアクタを前記内部空間のそれぞれに収容することが可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載のモジュール式キット。
【請求項5】
彩度および透明度を制御するべく、前記複数のモジュールは、多様な透明度勾配を有するオパールメタクリレートプレートからできている、請求項1から4のいずれか一項に記載のモジュール式キット。
【請求項6】
微細藻類培養プロセス中に光合成によって生成された酸素が環境中に放出され、二酸化炭素排出が低減されるように、前記バイオリアクタの前記透明管状カラムは上部において、開いている、または、ワイヤキャップを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のモジュール式キット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のモジュール式キットに挿入されるよう適応され、鉛直に配置された透明管状カラムの形式である、微細藻類培養のためのバイオリアクタ。
【請求項8】
微細藻類培養プロセス中に光合成によって生成された酸素が環境中に放出され、二酸化炭素排出が低減されるように、前記透明管状カラムは上部において、開いている、または、ワイヤキャップを有する、請求項7に記載のバイオリアクタ。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キット内に挿入されるよう構成される支持構造。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバイオリアクタの基礎を統合し支持するよう適応され、また、前記少なくとも1つのバイオリアクタとの間で培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするための前記システムとの前記第1の接続、および、二酸化炭素を添加した空気を前記少なくとも1つのバイオリアクタに供給するための前記システムとの前記第2の接続を内部に収容するよう適応される、請求項9に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットに関する。
【背景技術】
【0002】
開放または保護環境における、大きい工業システムのみにおける微細藻類培養に使用できる技法が知られている。また、大規模な構築生物または同様の構造、および、困難な管理、複雑な設置に関連する、培養のみに使用されるもの以外の環境におけるシステムを統合するためのシステムが知られている。
【0003】
そのようなエンジニアリングおよびアーキテクチャシステムは、小規模の環境に統合することがほとんどできず、フィルタリング壁による空間の区切りの要件を満たさない。後者は、知られている方式において、光、可視性、音をフィルタリングでき、また、空気流を制御できるグリッドが形成される要素のフレームワークを含む。
【0004】
従って、より広いユーザベースのためにより容易に組み立て可能なシステムを作成するニーズがある。これにより、小規模の環境における小さい微細藻類システムの普及を促進でき、他の解決策が取り組まない新しい需要を満たす。
【発明の概要】
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の欠点を克服することを目指す、微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットを提案することである。
【0006】
解決策は、微細藻類培養用のバイオリアクタシステムを含む、小規模の使用のためのキットを考案、設計、および構築することを伴う。
【0007】
本発明は、微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットに関連し、上記キットは、以下を含む。
【0008】
・鉛直に配置された透明管状カラムの形式である、微細藻類培養用の少なくとも1つのバイオリアクタ
・上記少なくとも1つのバイオリアクタの基礎を統合および支持するよう適応され、また、上記少なくとも1つのバイオリアクタとの間で培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするためのシステムとの第1の接続、および、二酸化炭素を添加した空気を上記少なくとも1つのバイオリアクタに供給するためのシステムとの第2の接続を内部に収容するよう適応された支持構造
・内部空間を有する各フレームを形成し、上記空間に上記少なくとも1つのバイオリアクタを収容するために互いに接続されるよう適応された上記複数のモジュールであって、また、フィルタリングされた光を上記少なくとも1つのバイオリアクタに伝えるような形態を有する複数のモジュール
【0009】
本発明はまた、モジュール式キットへの挿入に好適な微細藻類培養用のバイオリアクタに関連する。
【0010】
本発明の具体的な目的は、本明細書の不可欠の部分である特許請求の範囲において更に説明される、微細藻類培養用の1または複数のバイオリアクタの統合および設置のためのモジュール式キットを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の更なる目的および特長は、以下の好ましい実施形態(および変形)の詳細な説明から、および、単に非限定的な例として提供される添付の図面から明らかになるであろう。
【0012】
【
図1】微細藻類培養用のバイオリアクタカラム、および、本発明のキットに含まれるモジュールの組み立ての実施形態の例を示す。
【
図2】本発明のキットのモジュールおよびカラムの組み立ての例を示す。
【
図4】1つのモジュールおよび複数のモジュールをそれぞれ組み立てる方式を示す。
【
図5】1つのモジュールおよび複数のモジュールをそれぞれ組み立てる方式を示す。
【0013】
図面において、同じ参照番号は同じ品目またはコンポーネントを識別する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下は、モジュール式キットの形式である微細藻類培養用のバイオリアクタの実施形態の例を説明する。
【0015】
キットは、水平および鉛直方向に延在する組み立て可能な要素によって形成されるモジュール構造から成る統合システムと、並列接続を介して制御される微細藻類培養用のバイオリアクタから成る統合装置とを含む。
【0016】
アーキテクチャの観点からは、キットは空間を区切るためのフィルタリング壁を提供する。要素のフレームワークに起因して、光、可視性、および音をフィルタリングでき、また、空気流を制御できるグリッドが形成される。屋内または屋外環境に適応可能な生物を生成し、特定の要件を満たすべく、キットは、水平(曲線または直線の方向に沿って)および鉛直方向の両方に、異なる発展形態に適応され得る。
【0017】
更に、これは微細藻類培養のためのアクティブな構造なので、バイオリアクタを構成する透明な管状要素と、二酸化炭素を添加した空気を供給するためのシステムに統合された、培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするためのシステムと、バイオリアクタに対して天然光または電気式の光の凝縮効果を発生させるように適応される構成モジュールの形状を特徴とする、微細藻類の成長に必須である照明制御システムとを含む。
【0018】
より具体的には、図面を参照すると、バイオリアクタを構成する透明管状カラム1が、カラムの基礎を統合および支持し、かつ、複数の鉛直カラムの直列および/または並列配置を可能にする支持構造2上に鉛直方向に配置される。すなわち、カラムは、一本の線、または、複数の隣り合った線に沿って配置され得る。
【0019】
微細藻類の発達原理自体は知られている。このタイプのバイオリアクタは、多くの革新的態様を有する。それは、下部において、培養ベクタ流体のロード/アンロードおよび二酸化炭素が添加された周囲の空気の取り込みを容易に制御するよう考案された装置を装備された鉛直の管状要素を含む。管状要素は、上部において、開いているか、または、ワイヤキャップによって保護されるので、光合成によって生成された酸素は環境中に放出される。微細藻類培養の主な目的の1つは、二酸化炭素を抑制することである。なぜなら、バイオリアクタは二酸化炭素フィルタになるからである。
【0020】
各カラムの基礎において、カラムとの間で培養ベクタ流体をロードおよびアンロードするためのシステムとの接続3、および、二酸化炭素が添加された空気をカラム内に供給するためのシステムとの接続4がある。
【0021】
構成モジュール5の形状の照明を制御するためのシステムが各カラムに適用される。
【0022】
モジュール5は、内部が空であるフレームの形式である2つの菱形要素6、7と、2つの台形要素8、9とを含む。菱形要素の内部空間は、カラムの挿入を可能にする。菱形要素6、7は、互いに垂直となるように、互いに連結されることを可能にする溝を10'、11'(菱形6)、10"、11"(菱形7)を側面に有する。溝10'は溝10"に適合し、溝11'は溝11"に適合する。
【0023】
モジュールを頑丈で安定的にするように、2つの台形要素8、9は、それらが備えるタブによって、連結された菱形の2つの反対側の端で適合され、使用される材料に応じて、好適な接着剤または別のシステムを用いて固定される。
【0024】
図4の矢印は、モジュールを組み立てるのに必要なステップを示す。
【0025】
図5を参照すると、モジュールは、菱形要素の縁部上の追加の溝に適用される接続ディスク12によって互いに接続され得る。従って、モジュールは、水平方向に、または、積み重ねられて鉛直方向に隣り合って配置され得る。
【0026】
モジュールは、カラムバイオリアクタを内部に収容できるように、重なり合う内部空間13を形成する。このようにして、隣り合って配置された、積み重ねられたモジュールの構造が形成される。この内部空間には、直線または曲線に従う、並列の隣り合ったカラムを収容できる。また、マトリクスパターンに配置された並列カラムを空間に収容できるように、隣り合って配置された、積み重ねられたモジュールの三次元構造を作成することが可能である。
【0027】
【0028】
モジュールの形状によって発生する、バイオリアクタに向けて光を伝える効果は、悪い照明条件において有利に制御できるパラメータである。モジュール内の空洞は、それの固体面の幅と共に変化する。これにより、光伝達能力および換気能力の変更を可能にする。これらの態様は、フィルタリング壁によって区切られた2つの領域の環境を制御するのに重要である。したがって、それらは、微細藻類培養条件の最低化に重要であるだけでなく、壁の外側と内側との間の制御アーキテクチャを形成するためにも重要である。
【0029】
変動する基本モジュールの生成パラメータすべてを制御するべく、三次元開発CADソフトウェアを使用できる。
【0030】
屋内または屋外に設置するために考案されたプロトタイプ上で動作テストが実行され、アーキテクチャおよびエンジニアリング両方の観点から、非常に満足できる結果が得られた。
【0031】
モジュールは例えば、多様な透明度勾配を有するオパールメタクリレートプレートから形成され得る。このようにして、彩度、ひいては透明度を制御することが可能である。モジュールの4つの構成要素は、三次元形状から取得され、プロトタイプ形態制御アルゴリズムによって生成でされる二次元形状に従って数値制御レーザ切断によってプレートから取得できる。
【0032】
保護された微細藻類培養環境(カラムバイオリアクタ2)は、透明なメタクリレートの管から構築され得る。
【0033】
上記の実施形態の例は、本発明の保護範囲から逸脱することなく変動することがあり得、当業者に知られているすべての同等の設計を含む。
【0034】
様々な好ましい実施形態に示される要素および特徴は、本発明の保護範囲から逸脱することなく一緒に組み合わせることができる。
【0035】
当業者であれば、更なる何らかの構造の詳細の紹介無しで、上記の説明から、本発明の対象を作成することが可能である。
【国際調査報告】