(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】刃部交換ツールおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20220330BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20220330BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D3/26 603B
B26D3/28 620L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541612
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020019085
(87)【国際公開番号】W WO2020172442
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504444120
【氏名又は名称】アーシェル ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲレグ,ダスティン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クロッコー,スコット アラン
【テーマコード(参考)】
3C021
【Fターム(参考)】
3C021JA10
(57)【要約】
切断装置の刃部を交換するためのツールが提供される。前記ツールは、基部、ブラケット、クランプ、および刃部サポートタブを有するクランプ本体を含む。前記ブラケットは、前記基部の上面から離隔したフランジ部を有する。前記クランプは、前記基部に対して、前記基部の長手方向軸を横断する方向に移動することができるよう、前記基部に連結されている。前記クランプは、背面と同じ側に配置されたリフトタブを含み、ハンドルは前記ブラケットのフランジ部に固定され、前記基部のリフトタブと同じ側に配置される。前記サポートタブは、前記基部の正面から突出し、前記クランプは、前記サポートタブに向かって付勢されるため、前記クランプおよびサポートタブは、刃部のエッジ部を前記タブに対してクランプするための刃部把持機構を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断装置の切断ユニットへの刃部の取り付けおよび取り外しを行うための刃部交換ツールであって、
前記刃部交換ツールは、
基部と、ブラケットと、クランプと、少なくとも1つの刃部サポートタブとを備えるクランプ本体であって、前記基部は、下面、上面、正面、および背面を構成する断面を有し、前記ブラケットは、前記基部の前記上面に隣接し、かつ、該上面から離隔するフランジ部を有し、前記クランプは、前記基部に対して連結され、前記基部の長手方向軸を横断する並進方向に移動することが可能であり、前記クランプは、前記基部の前記背面と同じ側に配置されたリフトタブを備え、および、前記刃部サポートタブは、前記クランプの前記並進方向を横断する方向に前記基部の前記正面から突出している、クランプ本体と、
前記クランプを前記刃部サポートタブに向かって付勢する手段と、および、
前記ブラケットの前記フランジ部に固定されたハンドルであって、該ハンドルの少なくとも一部は、前記基部の前記リフトタブと同じ側に配置されている、ハンドルと、
を備え、
前記クランプおよび前記刃部サポートタブは、前記刃部のエッジ部を前記タブに対してクランプするための刃部把持機構を構成している、
刃部交換ツール。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記基部に固定されて、前記基部に対して所定位置に保持される、請求項1に記載の刃部交換ツール。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記基部の前記正面および前記背面の間で前記基部を通過するファスナにより前記基部に固定されている、請求項2に記載の刃部交換ツール。
【請求項4】
前記ブラケットは、前記基部の前記背面にクランプされた下部フランジ部を備える、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項5】
前記クランプは、前記基部に取り付けられて、前記基部の前記正面に対して平行に、かつ。、前記基部の前記下面および前記上面に対して垂直に、移動することが可能である、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項6】
前記クランプは、前記ブラケットの前記フランジ部と前記基部の前記上面との間に形成される間隙に配置されるフランジ部を有する、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項7】
前記付勢手段は、前記ブラケットの前記フランジ部と前記基部の前記上面との間の間隙に掛け渡された少なくとも1つのロッドと、前記ロッドに取り付けられ、前記クランプの前記フランジ部に係合し、前記フランジ部を前記基部の前記上面に向かって付勢する、少なくとも1つの圧縮ばねとを備える、請求項6に記載の刃部交換ツール。
【請求項8】
前記リフトタブおよび前記ハンドルは、操作者が手で前記ハンドルを把持し、同時に前記タブを把持して前記ハンドルに向かって引くことができるよう配置されており、前記クランプを移動させることにより、前記クランプの前記フランジ部は、前記付勢手段の付勢効果に逆らって前記基部の前記上面から離れ、前記ブラケットの前記フランジ部に向かって移動される、請求項6または7に記載の刃部交換ツール。
【請求項9】
前記刃部サポートタブは、前記ブラケットの一部であり、前記基部の前記下面に隣接して当接している、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項10】
前記付勢手段は、前記クランプの前記フランジ部を、前記刃部サポートタブと当接するように付勢する、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項11】
前記クランプの最下端縁は、前記刃部の波形によって形成される前記刃部の谷部に係合する突起を有し、前記突起は、前記刃部を前記基部の長手方向に配置し固定する補助となるように、前記谷部と係合可能である、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項12】
前記刃部交換ツールは、前記基部の前記下面にマグネットをさらに備える、請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項13】
前記刃部交換ツールは、前記基部の前記下面に、前記切断ヘッドの一部を収容する大きさに形成されたスロットをさらに備える、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツール。
【請求項14】
請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツールに使用する磁気的ツールであって、前記磁気的ツールは、前記磁気的ツールの表面に形成された谷部あるいは凹面に配置される少なくとも1つのマグネットを備える、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載のハブ交換ツール。
【請求項15】
前記少なくとも1つのマグネットは、複数のマグネットのうちの第1のマグネットであって、前記第1マグネットは、前記切断ユニットのナイフクランプを引き付けるために前記磁気的ツールの表面の谷部の中間点付近の中心部に配置され、第2および第3のマグネットは、前記磁気的ツールの表面の外側付近に配置され、前記磁気的ツールを前記切断ヘッドに磁気的に固定する、請求項14に記載の磁気的ツール。
【請求項16】
請求項1~15のうちのいずれか1項に記載の刃部交換ツールの使用方法であって、
前記方法は、
前記切断ユニットのクランプアセンブリのナイフホルダに対してナイフクランプを固定するクランプ力を解放して、前記ナイフクランプと前記ナイフホルダとの間に間隙を形成し、
前記クランプ本体の前記クランプと前記刃部サポートタブとの間に前記刃部を把持し、
前記クランプ本体を前記クランプアセンブリに隣接する前記切断ユニットに対して当接させ、
前記刃部交換ツールを前記クランプアセンブリに向かって移動させ、前記刃部を前記ナイフクランプと前記ナイフホルダとの間の間隙に完全に取り付け、
前記クランプアセンブリを操作して、前記刃部を前記ナイフクランプと前記ナイフホルダとの間にクランプし、および、
前記クランプの前記刃部との係合を解除する、
ことを備える、方法。
【請求項17】
前記切断ユニットは、切断装置の環状の切断ヘッドである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記基部の前記下面にある少なくとも1つのマグネットによって、前記刃部交換ツールの前記クランプ本体を前記切断ユニットに対して保持することをさらに備える、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、前記刃部サポートタブを前記切断ユニットの溝に挿入し、前記刃部交換ツールを前記切断ユニットに対して配置させることをさらに備える、請求項16~18のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記切断ユニットの一部を前記基部の前記下面に形成されたスロットに挿入し、前記刃部交換ツールを前記切断ユニットに対して配置させることをさらに備える、請求項16~19のうちのいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年2月20日に出願された米国特許仮出願第62/807,838号の優先権の利益を主張する。当該出願の内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品をスライスすることなどを含む、製品を切断するための装置と、このような装置の操作を調整またはメンテナンスするために使用されるツールに関する。
【背景技術】
【0003】
野菜、果実、乳製品、肉製品などの食品をスライス、細断、および粉砕するためのさまざまな装置が知られている。このような目的に広く使用されている装置は、アーシェル・ラボラトリーズ・インク.から、「モデルCC(Model CC(登録商標))」および「モデルCCL(Model CCL)」のブランド名で市販されている。モデルCCおよびモデルCCLは、遠心タイプのスライサを備え、さまざまな食品のスライスを高い生産能力で行うことができる。モデルCCシリーズの装置は、均一なスライス、皮むき、細断、および粉砕を行うのに適しており、モデルCCLシリーズは、格子形状のスライスまたはチップを生産するのに特に適している。モデルCCシリーズの装置の構成および態様に関しては、米国特許第3,139,128号公報、米国特許第3,139,129号公報、米国特許第5,694,824号公報、米国特許第6,968,765号公報、米国特許第7,658,133号公報、米国特許第8,161,856号公報、および、米国特許第9,193,086号公報、米国特許第10,456,943号公報、並びに、米国特許出願公開第2016/0361831号公報において明示されており、これらのすべての内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0004】
図1は、モデル・CC・シリーズの装置の代表的な装置10を模式的に示している。装置10は、内周に切断刃部(図示せず)を備える略環状のヘッド12を有する。インペラ14は、切断ヘッド12内に同軸に取り付けられており、切断ヘッド12の中心軸と一致する回転軸17を有する。インペラ14は、ハウジング18内に収容され、かつ、ギアボックス16に連結されたシャフトを介して、回転軸17を中心に回転駆動される。切断ヘッド12は、ギアボックス16の上方にあるサポートリング15に取り付けられ、インペラ14が回転する際には静止している。製品は、インペラ14の上方に位置するホッパ11を介して、切断ヘッド12およびインペラ14に運ばれる。作動時に、ホッパ11が製品をインペラ14に運ぶと、遠心力により、製品は外方に移動し、切断ヘッド12の刃部との係合部へと運ばれる。インペラ14は、実質的に径方向を向いたパドル13を備え、それぞれのパドル13は、インペラ14が回転するにしたがって、製品と係合し、かつ、製品を径方向外方に向けさせ、切断ヘッド12の刃部に接触させるための面を有する。モデルCCシリーズの装置の様々な実施形態を含む構成および操作に関するその他の特徴に関しては、上述した先行特許文献に明示され、本明細書に参照として組み込まれる。
【0005】
図2および
図3は、
図1に示したモデルCCシリーズのスライス装置10を含む、さまざまな切断装置に使用可能な切断ヘッド12の実施形態を取り出して示す図である。
図2および
図3に示した切断ヘッド12については、
図1に示したインペラ14を備えるスライス装置10を参照して説明する。切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づく「軸方向」、「周方向」、「径方向」などの相対的な用語、および、これらに関連する表現が、
図2および
図3に示された切断ヘッド12を説明するために使用される。
【0006】
図2では、切断ヘッド12は、略環状で、その周囲に切断刃部20が取り付けられている。
図2および
図3に示した刃部20は、「フラットな刃部」と称する、フラットなスライスを生産するための直線状の刃先を有する。ただし、切断ヘッド12に、製品を波形に切断、細断、および粉砕するため、沿層方向から見て、鋭角なピークと谷が連続する周期的パターンを有する波形など他の形状を有する刃部を適用することも可能である。それぞれの刃部20は、切断ヘッド12内でインペラ14の回転方向とは実質的に反対方向を向き、かつ、径方向内方に突出しており、刃部20の径方向で最も内側に刃先が形成されている。切断ヘッド12は、下部サポートリング22および上部サポートリング24をさらに備え、これらの間に周方向に間隔をあけて配置されたスライスユニット26が取り付けられ、それぞれのスライスユニット26は、切断ヘッド12の切断ステーションを形成する。切断ヘッド12の刃部20は、クランプアセンブリ28によって、スライスユニット26にそれぞれ固定される。
図2に示した特定の構成においては、それぞれの刃部20は、その長手方向の上端部に、上部サポートリング24の開口部を通過して突出するハンドル56を有する。ハンドル56は、それぞれの刃部20のうちでユーザが直接触れることができる部位であり、刃部20の刃先から離れているため、安全に刃部20を切断ヘッド12に取り付けあるいは切断ヘッド12から取り外すことが可能となる。
【0007】
図3からより明らかなように、それぞれのスライスユニット26のクランプアセンブリ28は、1対の取付ブロック34の間にファスナ32により取り付けられたナイフホルダ30を備える。取付ブロック34は、ファスナ36により、サポートリング22および24に強固に固定されている。それぞれのクランプアセンブリ28は、刃部20を固定するためにナイフホルダ30の径方向外面側に配置されたクランプ31をさらに備える。
図3に示すように、刃部20は、ナイフホルダ30の径方向外面に支持され、クランプ31は、ナイフホルダ30上にあるため、刃部20は、ナイフホルダ30と、ナイフホルダ30と向き合うクランプ31の径方向内面との間に位置する。刃部20、ナイフホルダ30、およびクランプ31の位置合わせは、ナイフホルダ30から刃部20の相補スロットおよびクランプ31の孔に突出するピン48により達成される。クランプ31に対してナイフホルダ30の方向に向けて力を加えることにより、クランプ31は、刃部20のうちの刃先に隣接する部分にクランプ力を付与する。
【0008】
図2および
図3は、ファスナ42により取付ブロック34に固定された調整可能なゲート40を備えたスライスユニット26を示す。食品は、ゲート40を横切ってから、スライスユニット26に取り付けられた刃部20に接する。刃部20の刃先および先行するゲート40の先行する後縁46により、刃部20によって生産されるスライスの厚さを決定するゲート開口部が形成される。スライスされる食品の厚さをよりきめ細かく微調整できるようにするために、取付ブロック34は、ゲート40と係合する調節ねじ44を備える。調節ねじ44は、ゲート40と係合し、後続する刃部20の刃先に対するゲート40の後縁46の径方向位置を変更する。
【0009】
図3に示すように、偏心カムロッド50は、クランプ31にクランプ力を付与するためのクイッククランプ装置として機能する。カムロッド50は、取付ブロック34の孔を通過し、ファスナ36により構成されるクランプ31の枢動軸とともに、クランプ31を取付ブロック34に緩く組み付けている。
図3に示すように、ハンドル58を使用してカムロッド50を時計回りに回転させることにより、カムロッド50が偏心的に移動して、クランプ31の表面と係合することにより、クランプ31が刃部20と係合する。カムロッド50からクランプ31に付与された力は、カムロッド50を反時計回りに回転させることにより解除される。クランプ力が解除されると、ハンドル56を把持し、上部サポートリング24の開口部を通って上方に刃部20を引き抜くことによって、刃部20を取り外すことができる。
【0010】
クランプ31は、取付ブロック34に枢動可能に取り付けられている。図示した例においては、取付ブロック34をサポートリング22および24に固定するファスナ36が、取付ブロック34を通過して伸長して、クランプ31のピボットピンとしても機能している。取付ブロック34は、サポートリング22および24に備わる孔に係合するピン38を有する。サポートリング22および24に備わる孔を適切に位置させることで、取付ブロック34の向き、したがって、取付ブロック34に取り付けられた刃部20、ナイフホルダ30、およびクランプ31の向きにより、切断ヘッド12の軸に対する刃部20の刃先の径方向位置を変更することができる。これにより、スライスされた食品の相対的な厚さを制御することが可能となる。
【0011】
本明細書に参照として組み込まれる、上述した先行特許文献に開示されているように、
図2および
図3のクイッククランプ構成に代替して、刃部20およびクランプ31をそれぞれのナイフホルダ30に固定するためにボルトを用いることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,139,128号公報
【特許文献2】米国特許第3,139,129号公報
【特許文献3】米国特許第5,694,824号公報
【特許文献4】米国特許第6,968,765号公報
【特許文献5】米国特許第7,658,133号公報
【特許文献6】米国特許第8,161,856号公報
【特許文献7】米国特許第9,193,086号公報
【特許文献8】米国特許第10,456,943号公報
【特許文献9】米国特許出願公開第2016/0361831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
モデルCCシリーズに代表される遠心タイプのスライサは、その用途に対して最適に機能するが、装置のメンテナンスに関する改良を含むさらなる改良が継続的に要求されている。非限定的な例として、ジャガイモなどの商品に頻繁に付随する石、砂、およびその他の破片との衝突によって損傷を受けやすい刃先を有する刃部の交換が挙げられる。
【0014】
本発明は、複数のナイフアセンブリが取り付けられた切断ヘッドを備える遠心タイプのスライス装置を含む切断装置において、刃部を交換するためのツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様では、刃部交換ツールは、クランプ本体およびハンドルを含む。前記クランプ本体は、基部、ブラケット、クランプ、および少なくとも1つの刃部サポートタブを含む。前記基部は、下面、上面、正面、および背面を構成する断面を有する。前記ブラケットは、前記基部の前記上面に隣接し、かつ、離隔して配置されたフランジ部を有する。前記クランプは、前記基部に対して連結され、前記基部の長軸を横断する並進方向に移動することができる。前記クランプは、前記背面と同じ側に配置されたリフトタブを含み、前記ハンドルは前記ブラケットの前記フランジ部に固定され、前記ハンドルの少なくとも一部は、前記基部の前記リフトタブと同じ側に配置される。前記刃部サポートタブは、前記基部の正面から、前記クランプの前記並進方向を横断する方向に突出する。前記クランプは、前記刃部サポートタブに向かって付勢されるため、前記クランプおよび前記刃部サポートタブは刃部把持機構を形成し、これによって前記クランプは、刃部のエッジ部を前記タブに対してクランプすることができる。
【0016】
本発明の一態様では、装置の切断ユニットに刃部を取り付け、刃部を取り外すために、前記刃部交換ツールを使用する方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
上述した構成を有するの刃部交換ツールの技術的な特徴により、刃部の取り付けおよび取り外しの作業において、刃部に直接触れることなく、切断装置に刃部を取り付けたり取り外したりすることができる。このため、操作のメンテナンス作業中における負傷のリスクを低減させることが可能となる。
【0018】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、従来の遠心タイプのスライス装置の部分断面概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したスライス装置に適用可能である、非限定的な例の切断ヘッドの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した切断ヘッドの一部の詳細図である。
【
図4】
図4は、本発明の非限定的な実施形態による、
図2および
図3に示した切断ヘッドを非限定的な例とする、スライス装置の切断ヘッドに刃部を取り付け、切断ヘッドから刃部を取り外すことができる刃部交換ツールの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の非限定的な実施形態による、
図2および
図3に示した切断ヘッドを非限定的な例とする、スライス装置の切断ヘッドに刃部を取り付け、切断ヘッドから刃部を取り外すことができる刃部交換ツールの一部の斜視図である。
【
図6】
図6は、遠心タイプのスライス装置の切断ヘッドに取り付ける前あるいは切断ヘッドから取り外した後の波形刃部を把持した状態での、
図4および
図5に示した刃部交換ツールの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示した刃部交換ツールと、刃部交換ツールに把持された波形刃部の一部の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6に示した刃部交換ツールと、刃部交換ツールに把持された波形刃部の一部の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図4~
図8に示した刃部交換ツールを用いて、遠心タイプのスライス装置の切断ヘッドに刃部を取り付ける工程を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、遠心タイプのスライス装置の切断ヘッドに取り付ける前あるいは切断ヘッドから取り外した後のフラットな刃部を把持した状態の、
図4および
図5に示した刃部交換ツールの斜視図である。
【
図16】
図16は、切断ヘッドへの刃部の取り付けおよび取り外しを補助するオプションツールを示す図である。
【
図17】
図17は、刃部を切断ヘッドに取り付ける場合あるいはボルトで固定された刃部を切断ヘッドから取り外す場合に、
図16に示したオプションツールを使用している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図4~
図17は、
図1に示した遠心タイプのスライス装置10を含む、さまざまな切断装置に使用可能な刃部交換ツールを示す図である。本発明の非限定的な実施形態について、
図1~
図3に示したインペラ14および環状の切断ヘッド12を備える、
図1に示したスライス装置10を参照しつつ、説明する。したがって、以下の説明は、スライス装置10および切断ヘッド12を参照して、主に本発明の特定の特徴に焦点を当てている。ただし、本発明は、その他のタイプの切断装置にも適用可能である。
【0021】
以下に示す、図示された刃部交換ツールの説明を容易にするために、
図1に示した装置10および
図2に示した切断ヘッド12の方向に関する相対的な用語が使用される。
図1に示した装置10の切断ヘッド12およびインペラ14の同軸配置に基づき、相対的な用語には、「軸方向」、「周方向」、「径方向」などが含まれるが、これらに限定されることはない。これらと同様の語も、図示された非限定的な実施形態を説明する上で利用される。このような相対的な用語はすべて、図示された実施形態を説明するために有用であるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
図4および
図5は、
図2および
図3に示した切断ヘッド12の刃部の取り付けおよび取り外しを含むがこれらに限定されない用途に対して、特に適した刃部交換ツール60の非限定的な実施形態を模式的に示す図である。
図4および
図5に示したツール60は、クランプ本体62とハンドル64とを備える。クランプ本体62は、基部66と、ブラケット68と、基部66に固定されたクランプ70とを備える。基部66は、矩形断面を有する全体として細長形状である。
図4および
図5に示したように、基部66の矩形断面は、下面72と、下面72と反対側に配置された上面74と、正面76と、正面76と反対側に配置された背面78とを構成している。ブラケット68は、好ましくは基部66に固定されていて、基部66に対して所定位置に保持される。クランプ70は、基部66に対して固定されており、基部66の長手方向軸に対して横方向の並進方向に移動可能となっている。
図4および
図5に示した非限定的な実施形態では、ブラケット68は、正面76および背面78の間で基部66を通過するファスナ80によって、基部66に固定されている。ブラケット68の下部フランジ部82は、基部66の背面78に対してクランプされ、ブラケット68の上部フランジ部84は、基部66の上面74に隣接し、かつ、離隔して配置されている。ハンドル64は、上部フランジ部84に固定されており、ハンドル64の大部分が基部66の背面78と同じ側に配置されている。ハンドル64は、基部66の上面74に対して鋭角に伸長する。
【0023】
図4および
図5に示した非限定的な実施形態では、クランプ70は、基部66に取り付けられており、基部66の正面76に対して平行かつ基部66の下面72および上面74に対して垂直に移動可能となっている。クランプ70の下部フランジ部86は、ファスナ80により基部66の正面76に固定されている。クランプ70の上部フランジ部88は、ブラケット68と基部66の上面74との間に形成された間隙90の内側に配置されている。ファスナ80は、クランプ70の下部フランジ部86にある長スロット92を通過する。長スロット92は、実質的にクランプ70が基部66の正面76に対して平行かつ基部66の下面72および上面74に対して垂直にのみ移動することを制限するように配向されている。一対のピンまたはロッド94は、ブラケット68の上部フランジ部84と基部66の上面74との間の間隙90に掛け渡されている。圧縮コイルばね96は、ロッド94に取り付けられており、クランプ70の上部フランジ部88に係合し、上部フランジ部80を基部66の上面74に向かって下方に付勢している。圧縮コイルばねを図示したが、非限定的な例として、ガスまたは油圧を含む1つ以上のばね、および/または、圧縮、張力、または捩り力を付与し、レバーまたは他の中間機構を介して作動する弾性部材など、他の付勢手段を用いることも可能である。
【0024】
クランプ70は、上部フランジ部88からブラケット68のスロット99(
図5および
図6を参照)を通過して突出するリフトタブ98を含む。タブ98は、基部66のハンドル64と同じ側(後側)に配置されている。タブ98およびハンドル64は、操作者が手でハンドル64を把持し、同時にタブ98を把持してハンドル64に向かって引くことができるように配置される。これにより、クランプ70は上方に移動し、上部フランジ部88は、ばね96の付勢効果に逆らって基部66の上面74から離れ、ブラケット68の上部フランジ部84に向かって移動する。タブ98を解除することにより、ばね94はクランプ70を下方に移動させることができ、上部フランジ部88は、ブラケット68の上部フランジ部84から離れ、基部66の上面74に向かって移動する。
【0025】
クランプ本体62は、基部66の正面76およびクランプ70の下部フランジ部86から、クランプ70の並進方向を横断する方向に突出する、複数の刃部サポートタブ100を有する。図示した実施形態では、タブ100は基部66の下面72に対して概ね平行である。さらに、図示した実施形態では、タブ100はブラケット68の下部フランジ部82の一部として形成され、タブ100は基部66の下面72に隣接し、好ましくは当接している。ばね96は、クランプ70の下部フランジ部86をタブ100に向かって下方に付勢しており、必要に応じて、タブ100と当接させることもできる。このようにして、クランプ70の最下端縁102(
図4、
図5、および
図7)および刃部サポートタブ100は、刃部把持機構またはクランプ機構を形成し、これにより、
図6、
図7、および
図8に示した刃部20のように、クランプ70の最下端縁102がタブ100とともに刃部20のエッジ部を挟持することができる。
図6、
図7、および
図8に示した刃部20は波形であり、
図7から明らかなように、クランプ70の最下端縁102は、波形刃部20の谷部に係合する突起104を有し、刃部20を基部66の長手方向に対して、配置し固定することを補助することができる。
【0026】
図9は、切断ヘッド12に対し、刃部20を切断ヘッド12のクランプアセンブリ28に取り付けるあるいは取り外す位置にあるツール60を示す。クランプアセンブリ28は、
図2および
図3に示したタイプのクイッククランプアセンブリ28として図示したが、他のクランプアセンブリの構成を採用することもできる。ツール60を切断ヘッド12に対して位置決めし、その位置を維持するために、ツール60は、切断ヘッド12の上部リング24を受け入れられる大きさで、基部66の下面72に設けられたスロット106を備えるとともに、基部66の下面72に埋め込まれ、切断ヘッド12の径方向内面、たとえば、刃部20が取り付けられるあるいは取り外されるクランプアセンブリ28に隣接する位置にあるゲート40に対して、基部66を磁気的に保持するマグネット107(
図8を参照)をさらに備える。ジャガイモなどの食品に頻繁に付随する石、砂、およびその他の破片の排出を促す溝108を備えるゲート40を有する、
図2に示したような切断ヘッド12においては、
図10に示すように、刃部サポートタブ100は、溝108に収容される大きさに形成されており、切断ヘッド12に対するツール60の配置を補助する。
【0027】
図11~
図14は、ツール60を用いて刃部20を取り付ける工程を示す。
図11~
図14では、ツール60の操作を明確にするために、上部サポートリング24は省略されている。
図14では、クランプアセンブリ28のハンドル58はすでに回転されていて、カムロッド50をクランプ31から解除できるようになっている。これにより、クランプ31のナイフホルダ30に対するクランプ力が解放され、そのために形成された間隙120へ刃部20を取り付けることが可能となっている。クランプ本体62は、ツール60によって保持される刃部20が取り付けられる、クランプアセンブリ28に隣接するゲート40に当接している。前述したように、基部66の下面72にあるマグネット107は、ツール60のクランプ本体62がゲート40に対して保持されることを補助し、刃部サポートタブ100は、ゲート40の溝108に収容され、ツール60が切断ヘッド12に対して設置されることを補助する。さらに、
図11~
図14には図示していない切断ヘッド12の上部サポートリング24は、基部66の下面72のスロット106に挿入され、
図9から明らかなように、刃部交換ツール60が切断ヘッド12に対して設置されることを補助する。
【0028】
図12では、ツール60は、クランプアセンブリ28の刃部ホルダ30に向かって移動され、刃部20の一部は、クランプ31とナイフホルダ30との間の間隙120に収容されている。
図13では、ツール60はさらに移動され、刃部20は、クランプ31とナイフホルダ30との間に完全に取り付けられている。
図14に示すように、クランプアセンブリ28のハンドル58は、図示しないカムロッド50を回転させることにより、カムロッド50が偏心的に移動して、クランプ31の表面と係合することにより、クランプ31が刃部20と係合し、刃部20はクランプ31とナイフホルダ30との間で挟持される。その後、ツール60のクランプタブ98を解除して、クランプ70の刃部20への係合を外し、ツール60を切断ヘッド12から引き抜く。刃部20を取り外す場合には、
図11~
図14に示した工程を逆に行えばよい。
【0029】
図15に示すように、刃部交換ツール60は、フラットなスライスを生産するための直線状の刃先を有するフラットな刃部20を把持することもできる。したがって、
図9~
図14を参照して上述した工程は、フラットな刃部の取り付けおよび取り外しに適用することも可能である。ツール60を用いることによって、実際に取り付けおよび取り外し操作を行う際に、操作者は刃部20に直接触れる必要がないため、たとえば
図2および
図3に示した刃部20のハンドル56のような刃部ハンドルを省略することができる。
【0030】
図16および
図17は、
図4~
図15に示した刃部交換ツール60と組み合わせて使用するための追加的なオプションツール110を示す。
図17に示したツール110は、切断ヘッド12の外側で使用される点で、
図9に示した刃部交換ツール60とは反対である。ツール110は、ツール110の表面114に形成された谷部あるいは凹面に配置された1つ以上の、好ましくは複数のマグネット112を備える。マグネット112は十分に強力であるため、
図17に示すように、ツール110が切断ヘッド12に配置された場合に、ツール110は切断ヘッド12に磁気的に固定され、クランプ31をナイフホルダ30から引き離して、クランプ31とナイフホルダ30との間の間隙120への刃部20の取り付けを容易にする。この目的のため、
図16に示したツール110のマグネット112のうちの1つは、クランプ31を引き付けるために谷部の中間点付近の中心に位置し、マグネット112のうちの2つは、ツール表面114の外側付近に配置され、ツール110を切断ヘッド12に磁気的に固定する。
図9および
図11~
図14に示したクイッククランプアセンブリ28の代わりに、
図17に示した切断ヘッド12は、それぞれのナイフホルダ30に刃部20およびクランプ31を固定するためにボルト116を採用している。
【0031】
以上のように、本発明について、特定の実施形態に関して説明を行ったが、本発明の代替態様についても、当業者によって適用可能である。たとえば、装置10、切断ヘッド12、インペラ14、ツール60、およびこれらそれぞれの部品は、図示の態様および構造とは異なっていてもよい。装置10、切断ヘッド12、インペラ14、および/またはツール60、ツール110の特定の部品の機能は、異なる構造を有するが機能が類似する(必ずしも同等でなくてもよい)部品により達成されてもよい。装置10、切断ヘッド12、インペラ14、ツール60、ツール110、およびこれらそれぞれの部品の製造においては、さまざまな材料を採用することができる。さらに、本発明は、特定の実施形態の1つ以上の特徴または特性が採用されていない、あるいは、異なる実施形態の2つ以上の特徴または特性を組み合わせた、追加的または代替的な実施形態を包含する。したがって、本発明は、本明細書に記述された実施形態または図示された実施形態に限定されない。また、図示した実施形態を説明する目的で本明細書において使用した語法および用語は、必ずしも本発明の範囲を限定するものではない。したがって、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲のみによって限定される。
【国際調査報告】