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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】保存剤系およびそれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/362 20060101AFI20220330BHJP
   A61K 8/368 20060101ALI20220330BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20220330BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61K8/362
A61K8/368
A61K8/40
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021547711
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020053226
(87)【国際公開番号】W WO2020169372
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19157769.1
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カダムコデ,ヴィニタ
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,ルパック
(72)【発明者】
【氏名】ポイントン,トーマス・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ストット,イアン・ピーター
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC511
4C083AC512
4C083BB01
4C083BB60
4C083CC23
4C083CC24
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE50
(57)【要約】
本発明は、特にパーソナルケア組成物に使用するための相乗的な保存作用を提供する活性物質の組合せに関する。保存剤系は、安息香酸ナトリウムと、ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸から選択される第2の活性物質との組合せを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸から選択される第2の活性物質と組み合わせて安息香酸ナトリウムを含む保存剤系と、
(b)界面活性剤と、
を含む組成物であって、
前記第2の活性物質がベンズヒドロキサム酸である場合、前記第2の活性物質と安息香酸ナトリウムとの重量比が1:8~1:2の範囲であり、
前記第2の活性物質がトリカルバリル酸である場合、前記第2の活性物質と安息香酸ナトリウムとの重量比が1:8~4:1の範囲である組成物。
【請求項2】
前記組成物の重量の0.01~5%の前記保存剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
パーソナルケア組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
パーソナルクレンジング組成物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物のpHが3.5よりも高く11.0未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記安息香酸ナトリウムおよび前記第2の活性物質が、保存される前記組成物に加えられる前に予備混合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を保存する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存剤系に関し、さらに詳細には、パーソナルケア組成物に使用するための保存剤系に関する。
【背景技術】
【0002】
消費物資産業は、抗微生物特性を有する薬剤、特に、普通なら腐敗しやすい製品(例えば、化粧品、医薬品または食品など)の保存のための薬剤を常に必要としている。天然源由来であり、豊富で容易に入手可能なそのような保存化学物質が好ましい。
【0003】
パーソナルケア産業では、多数の抗微生物活性化合物が既に使用されているが、それでもなお代替物が引き続き求められている。あらゆる抗微生物剤が保存特性を有するわけではないため、新しい保存化学物質に対する必要性が特に求められている。パーソナルケア分野で使用される物質は、毒物学的に許容されなければならず、皮膚によって容易に許容されなければならず、組み込まれる組成物中で安定でなければならず、無色および無臭であり、調製が安価であり、生態学的重要性が低く、製剤化が容易でなければならないことに留意されたい。
【0004】
本出願では、消費物資、特にパーソナルケア組成物とともに使用するのに適した保存剤系が見出された。該保存剤系は、費用効果が高く、本発明の組成物とともに製剤化するのが容易である。該保存剤系は、酸基、例えば、ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸を有する特定の脂肪族または芳香族短鎖化合物と組み合わせて、周知の広く使用されている保存性安息香酸ナトリウムの組合せを含む。
【0005】
さらに、パラベン、メチルイソチアゾリノン(MIT)、メチルクロロイソチアゾリノン(CIT)およびヒダントインのような多くの従来の保存剤は、今後、様々な国の規制当局によって使用が制限され得ることが予測される。そのため、医薬/化粧品組成物中の微生物の増殖を阻害する点で増強された保存活性をもたらす新しい保存活性物質、または活性物質の組合せを同定する研究が最近相次いで行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、低濃度で増強された活性をもたらすために相乗的に相互作用する2つの活性物質を含む効果的な保存剤系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸から選択される第2の活性物質と組み合わせて安息香酸ナトリウムを含む保存剤系に関する。
【0008】
保存剤系は、界面活性剤をさらに含む組成物に含まれる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、本発明の保存剤系を組成物に加える工程を含む、組成物を保存する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴が、本発明の他の任意の態様において利用されてもよい。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書および特許請求の範囲中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせるすべての範囲も企図されることが理解されよう。
【0011】
本発明は、保存剤系に関する。保存剤系は、ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸から選択される第2の活性物質と組み合わせて安息香酸ナトリウムを含む。これらの化合物は、以下にさらに詳細に記載される。
【0012】
以下の構造を有する安息香酸ナトリウムが知られており、これを含有する組成物中の微生物の増殖を阻害するための保存剤として使用されている。
【化1】
【化2】
【0013】
トリカルバリル酸は、βカルボキシグルタル酸としても知られており、以下に示す構造を有する:
【化3】
【0014】
保存剤系では、ベンズヒドロキサム酸と安息香酸ナトリウムとの重量比は、1:8~1:2の範囲であることが好ましい。トリカルバリル酸と安息香酸ナトリウムとの重量比は、1:8~4:1の範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明の別の態様は、本発明の保存剤系を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、好ましくはホームケアまたはパーソナルケア用である。そのような組成物は、一般に、界面活性剤を含む。界面活性剤は、好ましくは組成物の重量の少なくとも0.1%、さらに好ましくは少なくとも0.5%、さらになお好ましくは少なくとも1.0%の範囲で含まれる。界面活性剤は、好ましくは組成物の重量の最大80%、さらに好ましくは最大75%の範囲で含まれる。本発明の組成物に含めるための界面活性剤は、下端で2%、3%または5%を超えてもよく、上端で70%、60%または50%を下回ってもよい。組成物は、好ましくは化粧品組成物またはパーソナルケア組成物であるが、ホームケア調製物または食品調製物に使用されてもよい。パーソナルケア組成物とは、組成物が外部に、すなわち身体の局所表面、例えば皮膚、毛髪、頭皮、口腔粘膜、歯に塗布され、特定の期間にわたりその上に放置されるか、組成物を皮膚に塗布した直後にすすぎ落とされ得ることを意味する。本発明の保存剤系が含まれ得る様々なタイプのパーソナルケア組成物を以下に記載する。
【0016】
本発明の組成物は、口腔ケア製品またはスキンケア製品、頭皮ケア製品もしくはヘアケア製品として使用するのに適しているように調製され得る。特に好ましい組成物はパーソナルクレンジング用である。製品は、固体、軟質固体、液体、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ローション、クリーム、ゲルまたはエアロゾルの形態で送達され得る。最も好ましい形態は、エマルジョン(ローションまたはクリームのような)、またはゲルとしてである。下端での組成物のpHは、好ましくは3.5よりも高く、さらに好ましくは4よりも高く、さらになお好ましくは4.5よりも高い。上端では、pHは、好ましくは11.0未満、さらに好ましくは10.0未満、さらになお好ましくは9.0未満、さらになお一層好ましくは8.5未満である。非常に好ましいpH範囲は4~8.5であり、さらになお好ましい範囲は5~7.5である。
【0017】
口腔ケア
パーソナルケア組成物が口腔ケアのために送達される場合、パーソナルケア組成物は、研磨剤、増粘剤、保湿剤または経口的に許容される界面活性剤であり得る、化粧品として許容される基剤を含む。製品は、軟膏、ゲル、歯磨き剤またはマウスウォッシュの形態で送達され得る。
【0018】
口腔ケア組成物は、好ましくは研磨剤を含む。ゲルは通常シリカを含有するが、不透明なクリームは、一般にカルシウム系研磨剤、特にチョークを含有する。
【0019】
好ましい練り歯磨き組成物は、5~60重量%のカルシウム系研磨剤を有する。好ましい実施形態では、組成物は増粘剤を含む。典型的には、増粘シリカ(thickening silica)、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはカルボマーが、本発明の組成物に使用するための好ましい増粘剤である。増粘シリカは、ゲル練り歯磨きに使用されることが特に好ましい。ゲル練り歯磨きは一般に最大8.5重量%の増粘シリカを含有し、不透明練り歯磨きは一般に3~4重量%の増粘シリカを含有する。増粘剤は、存在する場合、好ましくは、組成物の重量の0.01~約10%、さらに好ましくは0.1~9%、最も好ましくは1.5~8%を構成する。
【0020】
本発明の口腔ケア組成物には、好適な保湿剤が好ましくは使用される。グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトールまたはそれらの混合物が好ましい保湿剤である。保湿剤は、口腔ケア組成物の重量の10~90%の範囲で存在し得る。さらに好ましくは、保湿剤は、組成物の総重量に基づいて、組成物の重量の25~80%、最も好ましくは45~70%を構成し、好ましくは、口腔ケア組成物は界面活性剤を含む。好ましいアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。最も好ましくは、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。水は、好ましくは、組成物の総重量の5~95%、具体的には10~75%、特に10~60%、さらになお好ましくは10~45%の範囲で含まれ得る。
【0021】
ヘアケア
本発明の別の好ましい態様によれば、組成物は、ヘアケアのために使用され得る。これを送達し得る1つの媒体がシャンプーの媒体である。本発明の組成物、特にシャンプーは、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルサルフェートおよび/またはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤とともに製剤化される。これらのアニオン性界面活性剤は、1~20%、好ましくは2~16%のレベルで存在するのが好ましい。好ましいアルキルサルフェートは、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンとの塩の形態のC8~18アルキルサルフェート、さらに好ましくはC12~18アルキルサルフェートである。好ましいエトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3の平均エトキシル化度を有するSLESが特に好ましい。本発明の組成物は、両性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタインをさらに含むことが好ましい。好ましい実施形態では、組成物は、0.1~10重量%のベタイン界面活性剤を含む。
【0022】
本発明の組成物、特にシャンプーからの活性物質の堆積を増強するために、カチオン性ポリマーが一般に含まれる。本発明ではまた、組成物が0.01~2.0%のカチオン性ポリマーをさらに含むことが好ましい。カチオン性ポリマーは、好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0023】
ヘアケア製品の好ましい形態は、ヘアコンディショニング組成物である。ヘアコンディショニング組成物は通常、単独でまたは混合して使用されるカチオン性界面活性剤から選択されるコンディショニング界面活性剤を含む。組成物に使用するための最も好ましいカチオン性界面活性剤は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘントリモニウムクロリドまたはステアリルトリメチルアンモニウムクロリドである。本発明のコンディショナーでは、カチオン性界面活性剤のレベルは、一般に、組成物の重量の0.1%~5%、好ましくは0.5~2.5%の範囲である。
【0024】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは脂肪アルコールをさらに含んでもよい。代表的な脂肪アルコールは、8~22個の炭素原子、さらに好ましくは16~22個の炭素原子を含む。本発明のコンディショナー中の脂肪アルコールのレベルは、一般に、組成物の重量の0.5~10%の範囲である。
【0025】
スキンケア
本発明の組成物は、スキンケアに使用され得る。スキンケア組成物は、皮膚に局所塗布するのに適したトナー、ローション、クリーム、ムース、スクラブ、セラムまたはゲルを含む任意の形態であり得る。組成物は、スキンローション、クリーム、制汗剤、デオドラント、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナーおよび日焼け止めローションなどのリーブオン製品であり得る。スキンケア組成物は、一般に、共溶媒として作用するエモリエントオイルを含む。好適なエモリエントオイルには、例えば、アルコキシル化芳香族アルコールと脂肪カルボン酸とのエステル、ポリグリコールまたはジオールと脂肪カルボン酸とのエステル、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、脂肪アルコールと脂肪酸とのエステル、ベンジルアルコールのアルコキシル化誘導体およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは、エモリエントオイルはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。
【0026】
共溶媒は、一般に、スキンケア組成物の総重量に基づいて0.01~10%の量で含まれる。スキンケア組成物は、無機日焼け止め剤などの日焼け止め剤をさらに含み得る。例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカ。日焼け止め組成物の総重量の0.1~5%のそのような日焼け止め剤の量が組み込まれることが好ましい。本発明の組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択されるUV-A日焼け止め剤を含み得る。本発明の組成物はまた、UV-B日焼け止め剤を含み得る。本発明の好適なUV-B日焼け止め剤は、ベンゾフェノン、アントラニレート、サリチレート、シンナメート、カンフル、ベンジリデンマロネート、トリアゾンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される。さらに、美白剤も本発明の組成物に組み込まれ得る。最も好ましい美白活性物質は、ビタミンB3化合物である。ビタミンB3化合物は、ナイカシン(nicacin)、ニコチン酸またはナイアシンアミド、好ましくはナイアシンアミドであり得る。
【0027】
特定のクラスのスキンケア組成物には、悪臭を減少させるために、または発汗を減少させるために、個体の腋窩に通常塗布されるデオドラント組成物として知られるものがある。発汗を減少させる組成物は、制汗組成物として知られている。これらは、2つの方法のうちの1つによって美容的に塗布することができる。1つの方法では、組成物を用いて皮膚の表面全体を拭き取り、組成物の一部を通過時に堆積させる。この方法では、製品は、いわゆるロールオン組成物によって、またはスティックもしくは軟質固体組成物によって送達される。第2の方法では、組成物はディスペンサーから噴霧される。一般にエアロゾルと呼ばれるディスペンサー。
【0028】
皮膚洗浄
本発明の保存剤系は、好ましくは、皮膚洗浄組成物に含まれる。数秒から数分程度と塗布時間が短く、その後、組成物が水ですすぎ落とされるか、拭き取られる場合、そのような組成物は、皮膚洗浄組成物またはウォッシュオフ組成物として知られている。そのような組成物には、外観、洗浄、臭気制御または一般的な美観も改善するために人体に塗布される任意の製品が含まれる。本発明の皮膚洗浄用組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、バー、手洗い製品、洗顔製品または身体洗浄製品の形態であり得る。
【0029】
本発明の組成物は、皮膚洗浄のために、例えば手洗い製品として使用され得る。組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。界面活性剤を使用する場合、特に好ましい界面活性剤は石鹸である。石鹸は、本発明の抗微生物性組成物のパーソナル洗浄用途に適した界面活性剤である。石鹸は、好ましくはC~C24石鹸、さらに好ましくはC10~C20石鹸、最も好ましくはC12~C18石鹸である。石鹸のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムであり得る。好ましくは、石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムから選択される。さらに好ましくは、石鹸のカチオンはナトリウムまたはカリウムである。
【0030】
典型的な脂肪酸ブレンドは、石鹸の重量の5~30%のヤシ脂肪酸および70~95%の脂肪酸からなっていた。例えば、落花生、大豆、獣脂、パーム、パーム核などの他の好適な油/脂肪に由来する脂肪酸もまた、他の所望の割合で使用され得る。
【0031】
本発明の石鹸は、存在する場合、組成物の重量の1~90%、好ましくは10~85%、さらに好ましくは25~75%の量で存在することが好ましい。
【0032】
他の好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えば、製品が液体形態である場合、1~8個のエチレンオキシド基を含む、C8~C22、好ましくはC8~C16脂肪アルコールエトキシレートである。界面活性剤は、好ましくは、第一アルキルサルフェート、第二アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネートまたはエトキシル化アルキルサルフェートから選択される。組成物は、アニオン性界面活性剤、例えば、アルキルエーテルサルフェート、好ましくは天然源または合成源のいずれかに由来する、1~3個のエチレンオキシド基を有するもの、および/またはスルホン酸をさらに含み得る。ナトリウムラウリルエーテルサルフェートが特に好ましい。アルキルポリグルコシド、好ましくはC6~C16の炭素鎖長を有するものも組成物中に存在し得る。
【0033】
好ましい組成物は、香料、顔料、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、乳化剤、ゲル化剤および増粘剤などの他の公知の成分を含み得る。これらの成分の選択は、組成物の形態に大きく依存する。
【0034】
水が好ましい担体である。水は、存在する場合、好ましくは組成物の重量の少なくとも1%、さらに好ましくは少なくとも2%、さらになお好ましくは少なくとも5%の範囲で存在する。水が担体である場合、好ましい液体組成物は、10~99.8重量%の水を含む。液体抗微生物性組成物は、皮膚洗浄用、特に手洗いまたは洗顔用の皮膚消毒液として有用である。水が担体である場合、好ましい固体組成物は、5~30重量%の水を含む。
【0035】
固体抗微生物性組成物は、好ましくは成形された固体、さらに好ましくはバーの形態である。固体抗微生物性組成物は、皮膚洗浄、特に手洗いまたは洗顔に特に有用である。
【0036】
別の態様によれば、無機粒子状材料も好適な担体である。無機粒子状材料が担体である場合、組成物は固体形態である。好ましくは、無機粒子状材料はタルクである。無機粒子状材料がタルクである場合、固体組成物は、顔または身体に塗布するためのタルカムパウダーとして特に有用である。
【0037】
本発明の別の態様では、本発明の組成物は、パーソナル衛生用ワイプに使用するのに適している。
【0038】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の重量の0.01~5%の保存剤系を含む。組成物は、好ましくは皮膚洗浄組成物である。
【0039】
パーソナルケア組成物はまた、物理的特性および物理的性能を高めるために、当技術分野で一般的な他の成分を含み得る。好適な成分には、限定するものではないが、保湿剤、増粘剤、乳白剤、結合剤、着色剤および顔料、pH調整剤、光学物質、香料、粘度調整剤、生物学的添加剤、緩衝剤、コンディショナー、天然抽出物、精油、および抗炎症剤を含む皮膚有益剤、冷却剤、制汗剤、抗老化剤、抗アクネ剤、抗微生物剤ならびに抗酸化剤が含まれる。
【0040】
本発明の別の態様によれば、本発明の保存剤系を組成物に加える工程を含む、組成物を保存する方法が提供される。保存剤系の2つの成分は、組成物に連続的に加えることができるが、保存される組成物に加える前にこの2つを予備混合することが好ましい。
【0041】
これより、以下の非限定的な実施例によって本発明を説明する。
【0042】
[実施例]
単独および混合物中の阻害性抗微生物剤の様々な挙動は、部分濃度および部分阻害濃度(FIC)の概念を使用して広く研究されてきた。例えば、JRW Lambert and R Lambert,J.Appl.Microbiol 95,734(2003);T.Jadavji,CG Prober and R Cheung,Antimicrobial Agents and Chemotherapy 26,91(1984)、および国際公開第2004/006876号を参照されたい。これらのパラメーターは、以下のように定義することができる:
FC(成分a)=混合物中の試験した成分aの濃度/MIC(単一活性物質として試験した成分a)
FIC(成分a)=MIC(混合物中の試験した成分a)/MIC(単一活性物質として試験した成分a)
抗微生物剤間の相互作用は、組合せの効果が、単独で試験した場合の個々の成分の同じ総濃度に対して得られるものと同等であるか、それよりも大きいか、それよりも小さいかに応じて、相加的であり得るか、相乗的であり得るか、場合により拮抗的であり得る。
【0043】
これらの関係は、混合物中に存在するあらゆる成分の部分MIC値を合計して「部分阻害指数」を得ることによって数学的に表すことができる:
ΣFIC=FIC(成分1)+FIC(成分2)
その結果:
ΣFIC≧1は、相加的または拮抗的な活性に対応する
ΣFIC<1は相乗的な活性に対応する
同等の方法には、Kull,F.C.;Eisman,P.C.;Sylwestrowicz,H.D.and Mayer,R.L.,in Applied Microbiology 9:538-541(1961)によって記載された工業的に許容された方法である相乗効果指数(SI)の計算がある。
【0044】
保存化学物質の個々の組合せおよび二成分の組合せの(1または複数の)最小濃度を特定するために、液体ブロスアッセイ(MICおよびチェッカーボード)を行った。ISO 20776-1:2006に対する改変された方法を以下のようにスクリーニングに利用した。保存化学物質およびトリプシンソイブロスの原液に1~5×10個の微生物を接種し、30℃で24時間インキュベートした後、OD600nmでの光学密度を測定した。MICは、保存化学物質を含有しない陽性増殖対照と比較して<25%の増殖が観察された濃度として定義した。0.0156~2%の濃度範囲で保存化学物質をスクリーニングした。
【表1】
【0045】
上記の表のデータは、ベンズヒドロキサム酸と安息香酸ナトリウムとの組合せが、複数の微生物プールに対して相乗的な抗微生物活性をもたらすことを示している。相乗効果は、ベンズヒドロキサム酸と安息香酸ナトリウムとの重量比範囲1:8~1:2で特に効果的である。
【表2】
【0046】
上記の表のデータは、トリカルバリル酸と安息香酸ナトリウムとの組合せが、複数の微生物プールに対して相乗的な抗微生物活性をもたらすことを示している。相乗効果は、1:8~4:1の重量比範囲で特に効果的である。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベンズヒドロキサム酸またはトリカルバリル酸から選択される第2の活性物質と組み合わせて安息香酸ナトリウムを含む保存剤系と、
(b)界面活性剤と、
を含む組成物であって、
前記第2の活性物質がベンズヒドロキサム酸である場合、前記第2の活性物質と安息香酸ナトリウムとの重量比が1:8~1:2の範囲であり、
前記第2の活性物質がトリカルバリル酸である場合、前記第2の活性物質と安息香酸ナトリウムとの重量比が1:8~4:1の範囲であり、
前記組成物がパーソナルクレンジング組成物である、組成物。
【請求項2】
前記組成物の重量の0.01~5%の前記保存剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物のpHが3.5よりも高く11.0未満である、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記安息香酸ナトリウムおよび前記第2の活性物質が、保存される前記組成物に加えられる前に予備混合される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物を保存する方法。
【国際調査報告】