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特表2022-521203デジタル-アナログハイブリッド触覚効果コントローラのためのシステム、デバイス、及び方法
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  • 特表-デジタル-アナログハイブリッド触覚効果コントローラのためのシステム、デバイス、及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】デジタル-アナログハイブリッド触覚効果コントローラのためのシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220330BHJP
   G05B 11/36 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G05B11/36 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548138
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2020019187
(87)【国際公開番号】W WO2020176337
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/810,174
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クルズ ヘルナンデス,ファン マヌエル
【テーマコード(参考)】
5E555
5H004
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC30
5E555DA24
5E555FA00
5H004GA26
5H004GB09
5H004HA12
5H004HB12
5H004KB02
5H004KB06
5H004KB24
(57)【要約】
【課題】デジタル-アナログハイブリッド制御回路を含む触覚対応デバイスが提供される。
【解決手段】デジタル-アナログ制御回路は、アナログ制御回路及び少なくとも1つのプロセッサを含み、持続時間が限定された触覚効果を生成するために振動アクチュエータを制御するように構成される。デジタル-アナログ制御回路は、センサから運動特性フィードバック信号を受信し、運動特性フィードバック信号を使用して、振動アクチュエータを制御するコマンド信号に連続調整を提供する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動アクチュエータと、
前記振動アクチュエータの運動特性を測定すると共に運動特性フィードバック信号を出力するように構成されたセンサと、
アナログ制御回路及び少なくとも1つのプロセッサを有し、持続時間が限定された触覚効果を生成するために前記振動アクチュエータを制御するように構成されたデジタル-アナログハイブリッド制御回路と、を備え、
前記デジタル-アナログハイブリッド制御回路は、
前記プロセッサにおいて、前記持続時間が限定された触覚効果を表す基準信号を生成すること、
エラー信号を前記アナログ制御回路に提供すること、
前記エラー信号に基づいて、前記アナログ制御回路がコマンド信号を前記振動アクチュエータに提供すること、
前記運動特性フィードバック信号をサンプリングすること、及び、
前記基準信号と前記運動特性フィードバック信号との間のエラーを最小限にするように、前記アナログ制御回路に前記コマンド信号を連続的に調整させるために、前記プロセッサが、前記運動特性フィードバック信号及び前記基準信号に従って、前記サンプリング周波数において前記エラー信号の連続調整を提供すること、
によって、前記持続時間が限定された触覚効果を生成する、触覚対応デバイス。
【請求項2】
前記コマンド信号の連続的な調整を提供することは、比例微分制御に従って実行される、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
【請求項3】
前記コマンド信号の連続的な調整を提供することは、リード補償制御に従って実行される、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
【請求項4】
前記振動アクチュエータは、線形共振アクチュエータ、マクロファイバ複合アクチュエータ、及び圧電アクチュエータのうちの、少なくとも1つを含む、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
【請求項5】
前記運動特性フィードバック信号は、少なくとも1kHzのサンプリング周波数でサンプリングされる、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
【請求項6】
アナログ制御回路及びプロセッサを有するデジタル-アナログハイブリッド制御回路によって、持続時間が限定された触覚効果を生成するために振動アクチュエータを制御する方法であって、
前記プロセッサによって、前記持続時間が限定された触覚効果を表す基準信号を生成することと、
前記プロセッサによって、前記アナログ制御回路に初期エラー信号を提供し、前記振動アクチュエータを活動化するためのコマンド信号を当該アナログ制御回路に生成させることと、
センサによって経時的に、前記振動アクチュエータの運動特性を測定することと、
前記センサによって、前記運動特性を示す運動特性フィードバック信号を出力することと、
前記持続時間が限定された触覚効果を提供するために前記振動アクチュエータを制御することと、を含み、
前記振動アクチュエータを制御することは、
前記プロセッサによって、前記運動特性フィードバック信号をサンプリングすること、及び、
前記アナログ制御回路によってコマンド信号を提供する間に、前記プロセッサによって、前記運動特性フィードバック信号及び前記基準信号に従って、前記サンプリング周波数において前記エラー信号の連続調整を提供すること、
によってなされ、
前記エラー信号の連続調整を提供することは、前記基準信号と前記運動特性フィードバック信号との間のエラーを最小限にするように、前記アナログ制御回路に前記コマンド信号を連続的に調整させる、方法。
【請求項7】
前記コマンド信号の連続的な調整を提供することは、比例微分制御に従って実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コマンド信号の連続的な調整を提供することは、リード補償制御に従って実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記振動アクチュエータは、線形共振アクチュエータ、マクロファイバ複合アクチュエータ、及び圧電アクチュエータのうちの、少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記運動特性フィードバック信号は、少なくとも1kHzのサンプリング周波数でサンプリングされる、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[001] 本願は、2019年2月25日に出願された先願の米国出願第62/810,174号の利益を主張し、その全体内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[002] 本発明は、持続時間が限定された触覚効果を提供するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。特に、本発明は、デジタル-アナログハイブリッドコントローラを使用して、明確に定義された、持続時間が限定された触覚効果を生成するために、振動アクチュエータの閉ループフィードバック制御のための技法を提供することを対象とする。
【背景技術】
【0003】
[003] 振動効果を生成するための触覚アクチュエータ、すなわち、偏心回転質量などの振動アクチュエータ、線形共振アクチュエータ、圧電ベースアクチュエータなどが、触覚対応デバイス(haptically enabled device)内で従来使用され、中程度から長い持続時間の振動効果を提供している。こうした触覚効果は、バズ(buzzing)又は振動の感覚としてユーザに提示される。バズ感覚を提供することは、多くの、例えば何十、何百、あるいは何千もの発振に対する振動アクチュエータの励振を介して実装可能である。こうした振動効果は、振動アクチュエータの従来の開ループ制御技法を介して実装される。これらの状況における限定された持続時間にわたる精密なアクチュエータ制御は要求されず、デバイス製造に不必要なコストを招くことになる。
【0004】
[004] いくつかの状況において、持続時間が限定された触覚効果を生成することが望ましい場合があり、振動アクチュエータは、少々の、例えば10未満の発振を受ける。こうした触覚効果は、バズではなくクリックとしてユーザに提示することができる。これらのタイプのクリックは、例えば、タッチスクリーン入力への機械的応答の感覚及び満足度を提供するために、望ましい場合がある。従来、開ループ制御技法及びハードウェアは、例えばアクチュエータ制動を実装することによって、これらの持続時間が短いクリックを提供するように適合される。開ループを介した鋭いエッジを伴う高品質の明確に定義された感覚を保持するために、制動は良好なアクチュエータ特性化を必要とする場合がある。アクチュエータにおける開ループ制御機構の特性からの逸脱は、結果として、急に終了するのではなく次第に小さくなる効果を生じさせることができる。従って、例えば、線形共振アクチュエータの指定された共振周波数からの変動は、結果として、持続時間が限定された触覚効果を低下させる可能性がある。この問題に対する従来の解決策は、アクチュエータ出力の製造後特性化及び開ループ制御パラメータの調整を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005] 本明細書で説明する発明は、触覚対応デバイスにおいて持続時間が限定された触覚効果を生成する、改良された方法を提供する。
【0006】
[006] 本明細書では、持続時間が限定された精密な触覚振動効果を生成するために、振動アクチュエータの閉ループフィードバック制御に対処するためのシステム、デバイス、及び方法が提供される。従来の振動効果は精密な制御を必要としないと考えられることから、これまで、閉ループフィードバック制御は振動アクチュエータに適用されてこなかった。従来、触覚対応デバイスも、閉ループ制御のために必要な構成要素を含んでおらず、こうした構成要素の導入は、こうしたデバイスのコストを不必要に上昇させることが考えられる。本明細書で説明するデジタル-アナログハイブリッド制御システムは、精密な閉ループ制御を触覚対応デバイスに安価に提供するのに役に立つものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007] 本明細書の実施形態は、持続時間が限定された振動効果の発生のための閉ループ制御機能を提供するように具体的に構成された、センサ、制御回路、及び振動アクチュエータを含むことができる。更に実施形態は、これらの構成要素を組み込んだデバイス及びシステム、並びに、持続時間が限定された触覚効果を提供するために閉ループ制御技法を実装する方法を含むことができる。
【0008】
[008] 本明細書の実施形態は、触覚対応デバイスを含む。触覚対応デバイスは、振動アクチュエータと、振動アクチュエータの運動特性を測定すると共に運動特性フィードバック信号を出力するように構成されたセンサと、アナログ制御回路及び少なくとも1つのプロセッサを有し、持続時間が限定された触覚効果を生成するために振動アクチュエータを制御するように構成されたデジタル-アナログハイブリッド制御回路と、を含む。デジタル-アナログハイブリッドコントローラは、プロセッサにおいて、持続時間が限定された触覚効果を表す基準信号を生成すること、エラー信号をアナログ制御回路に提供すること、エラー信号に基づいてアナログ制御回路がコマンド信号を振動アクチュエータに提供すること、運動特性フィードバック信号をサンプリングすること、並びに、基準信号と運動特性フィードバック信号との間のエラーを最小限にするようにアナログ制御回路にコマンド信号を連続的に調整させるために、プロセッサが、運動特性フィードバック信号及び基準信号に従って、サンプリング周波数においてエラー信号の連続調整を提供することによって、振動アクチュエータを制御するように構成される。
【0009】
[009] 更なる実施形態は、アナログ制御回路及びプロセッサを備えるデジタル-アナログハイブリッド制御回路によって、持続時間が限定された触覚効果を生成するために振動アクチュエータを制御する方法を含む。方法は、プロセッサによって、持続時間が限定された触覚効果を表す基準信号を生成することを含む。方法は更に、振動アクチュエータを活動化するためのコマンド信号をアナログ制御回路に生成させるために、プロセッサによって、アナログ制御回路に初期エラー信号を提供すること、センサによって経時的に振動アクチュエータの運動特性を測定すること、運動特性を示す運動特性フィードバック信号をセンサによって出力すること、及び、持続時間が限定された触覚効果を提供するために振動アクチュエータを制御することを含む。振動アクチュエータを制御することは、プロセッサによって運動特性フィードバック信号をサンプリングすること、及び、アナログ制御回路によってコマンド信号を提供する間に、プロセッサによって、運動特性フィードバック信号及び基準信号に従って、サンプリング周波数においてエラー信号の連続調整を提供することを含み、エラー信号の連続調整を提供することは、基準信号と運動特性フィードバック信号との間のエラーを最小限にするようにアナログ制御回路にコマンド信号を連続的に調整させる。
【0010】
[010] 本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面に示される本明細書の実施形態の下記の説明から明らかとなろう。更に、本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成及び使用できるようにする働きをする。図面は一定の縮尺ではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[011]本明細書の実施形態にかかる、触覚対応デバイスの態様を示す概略図である。
図2A】[012]本明細書の実施形態にかかる、集積回路を介して実装されるデジタル-アナログハイブリッド制御回路を示す概略図である。
図2B】[012]本明細書の実施形態にかかる、集積回路を介して実装されるデジタル-アナログハイブリッド制御回路を示す概略図である。
図3】[013]本明細書の実施形態に適合する、アクチュエータプロセスを示すフローチャートである。
図4A】[014]本明細書の実施形態に適合する、LRA試験の結果を示す図表である。
図4B】[014]本明細書の実施形態に適合する、LRA試験の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[015] 次に、本発明の特定の実施形態について図面を参照しながら説明する。下記の詳細な説明は本来単なる例示であって、本発明又は本発明の適用例及び使用を限定することは意図されていない。更に、先行技術分野、背景、概要、又は下記の詳細な説明に提示される、いずれの明示又は暗示の理論によっても制約されるものとは意図されない。
【0013】
[016] 本明細書で説明する実施形態は、触覚対応デバイスに関する。本明細書における実施形態に適合する触覚対応デバイスは、スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、スマートウォッチ、フィットネスバンド、触覚対応ウェアラブルデバイス、眼鏡、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、及び/又は複合現実(MR)ヘッドセット、ハンドヘルドゲーミングデバイス、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなど)、テレビジョン、インタラクティブサイン、及び/又は、触覚出力をユーザに提供するようにプログラム可能な他のデバイスとして、構成可能である。本明細書の実施形態に適合する触覚対応デバイスは、触覚対応デバイスに振動効果を送達するための1つ以上の振動アクチュエータを有するデバイスを含む。本明細書の実施形態において、触覚対応デバイスは、ユーザがコンピュータシステムと対話できるようにするための、ユーザ入力要素、例えばトリガ、ボタン、ジョイスティック、ジョイパッド、タッチスクリーン、タッチパッドなどの制御要素も含むことができる。触覚対応デバイスは、触覚対応であるか否かに関わらず、他のデバイスの機能を拡張するように構成された周辺デバイスを更に含むことができる。
【0014】
[017] 本明細書の実施形態に適合する触覚対応デバイスは、処理システムを含むことができる。本明細書で説明する実施形態に適合する処理システムは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリユニット、オーディオ出力、ユーザ入力要素、通信ユニット、及び/又は他の構成要素を含む。プロセッサは、本明細書で説明する方法を実施するために1つ以上のコンピュータプログラム命令によってプログラム可能である。本発明に適合する通信ユニットは、周辺デバイスと伝送又は通信可能な、ワイヤード又はワイヤレスの任意の接続デバイスを含むことができる。
【0015】
[018] 本明細書の実施形態では、触覚対応デバイスは、触覚対応デバイスに触覚制御信号を提供するように構成された処理システムとは別々に提供可能である。こうした触覚対応デバイスは、振動アクチュエータ、並びに、振動アクチュエータを活動化するために必要な制御回路及び電源を含む。処理システムとは別々に提供される触覚対応デバイスは、例えば、中央処理システムとの通信が意図されるウェアラブルデバイスとすることができる。これらの実施形態に従った触覚対応デバイスは、リストバンド、指輪、レッグバンド、指用アタッチメント、手袋、眼鏡、及び、触覚出力を提供するように構成された他のタイプのデバイスを含むことができる。
【0016】
[019] 本明細書の実施形態は、持続時間が限定された触覚効果を生成するための、デジタル-アナログハイブリッドコントローラを介した振動アクチュエータの閉ループ制御に関する。本明細書の実施形態に適合するフィードバック制御システムは、基準信号によって表される所期の触覚効果と、運動特性信号によって表される出力触覚効果との間のエラーを、低減及び/又は最小限にするように構成される。基準信号は、振動アクチュエータによって生成することが意図された触覚効果を表す。本明細書で説明するフィードバック制御システムは、基準信号に応答して、運動特性信号を出力するセンサによって測定される触覚出力を制御する。運動特性信号は、触覚出力におけるエラーを最小限にするために、フィードバックシステムによって使用される。
【0017】
[020] 本明細書で使用される「振動アクチュエータ」は、コマンド信号に応答して発振又は振動によって触覚効果を生成するように構成されたアクチュエータを指す。本明細書の実施形態に適合する振動アクチュエータは、1Hz以上の発振又は振動によって触覚効果を生成することが可能である。持続時間が限定された触覚効果は、100ms未満の持続時間を有する触覚効果を指す。持続時間が限定された触覚効果の長さは、アクチュエータの周波数に従って変化し得る。例えば、10Hzにおけるアクチュエータの1つの発振は100msを必要とし、持続時間が限定された触覚効果は100ms以下であり得る。これに対して、1,000Hzでは、1つの発振は1msのみを必要とし、持続時間が限定された触覚効果は15の発振を包含し得、およそ15msを要する。実施形態において、持続時間が限定された触覚効果は、100ms未満、50ms未満、30ms、25ms未満、20ms未満、及び/又は15ms未満の持続時間を有し得る。実施形態において、持続時間が限定された触覚効果は、15msから50msの間の持続時間について、1Hzから1000Hzの間で動作する振動アクチュエータを採用することができる。持続時間が限定された触覚効果の持続時間の選択は、使用されるアクチュエータのタイプ、振動アクチュエータによって提供される力又は変位の量、及び/又は、設計者が求める効果のタイプに基づいて実行することができる。実施形態において、持続時間が限定された触覚効果の持続時間は、触覚効果を生成する振動アクチュエータの代表的な過渡時間に従って決定可能である。持続時間が限定された触覚効果は、1発振からおよそ15発振の間のいずれかを実行する振動アクチュエータによって発生され得、送達される発振の数は、振動アクチュエータの周波数に従って選択可能である。本明細書の実施形態は更に、持続時間が限定された鋭い触覚効果を生成するために、振動アクチュエータの閉ループフィードバック制御に関する。本明細書で使用される「鋭い触覚効果」は、効果の完了時に突然の遮断を有する触覚効果を指す。
【0018】
[021] 実施形態において、本明細書の実施形態に適合する振動アクチュエータは、1Hzから10,000Hzの間の周波数で振動効果を生成することが可能な、マクロファイバ複合アクチュエータを含むことができる。更なる実施形態において、本明細書の実施形態に適合する振動アクチュエータは、およそ1Hzから10,000Hzの間の周波数で振動効果を生成することが可能な、圧電セラミックアクチュエータなどの、圧電性材料ベースの振動アクチュエータを含むことができる。更なる実施形態において、本明細書の実施形態に適合する振動アクチュエータは、およそ50Hzから500Hzの間の周波数で振動効果を生成することが可能なLRAを含むことができる。1Hzから10,000Hzの範囲の周波数内で振動する構成要素を介して触覚効果を送達するように構成された、ERMアクチュエータなどの他のタイプの振動アクチュエータを、本明細書の実施形態と共に採用することができる。
【0019】
[022] LRAなどの、本明細書の実施形態に適合するいくつかの振動アクチュエータは、周波数入力に対して共振応答を提供し、しばしば高いQ値又は狭い帯域幅を有するように設計される。こうしたアクチュエータは、より高い効率を提供するためにダンピングを最小限にするように構築される。従って、振動アクチュエータの共振周波数においてコマンド信号が提供されるとき、振動触覚応答は最大化される。エネルギーの浪費を防ぐために、こうしたアクチュエータは、摩擦及び他のダンピング源を最小にするように構築される。振動アクチュエータへのコマンド信号が停止されたとき、振動アクチュエータは依然として、その共振周波数において何回か発振することになる。強い触覚効果を作り出すためには、それに応じて強力な信号を必要し、ダンピングなしで、減速して停止する前に振動アクチュエータを何回か発振させることになる。振動アクチュエータの従来の使用の場合、コマンド信号の停止後、発振のない数十ミリ秒は、数百ミリ秒の振動又はバズ触覚効果を低下させることはないため、これは許容できる結果である。これに対して、発振のない数十ミリ秒は、所期の15ミリ秒の触覚効果を大幅にゆがめることになる。
【0020】
[023] 高周波数で発振する振動アクチュエータの閉ループ制御は、こうしたアクチュエータの運動の高周波数測定値並びに高周波数制御方式を必要とする。1000Hzで発振するアクチュエータは、500Hzでコマンドを提供する制御方式によって確実に制御することはできない。従来のモバイルデバイスには、典型的には、高周波数でのデジタル制御方式を実装するのに十分なデジタル信号処理回路要素が装備されていない。高周波数デジタル制御用に具体的に調節された処理ユニットが存在する一方で、モバイルデバイスにこれらを追加することは、モバイルデバイスの費用の許容できない増加を表す可能性がある。
【0021】
[024] 本明細書における実施形態は、デジタル処理ユニットと組み合わせた専用アナログ集積回路の使用を介して高周波数制御を提供するように構成された、ハイブリッドデジタル-アナログ制御システムの使用を説明する。本明細書の実施形態に適合するデジタル処理ユニットは、モバイルデバイスの中央処理ユニットを含むことができる。従って、高周波数閉ループ制御方式を、触覚対応デバイスに安価に追加することができる。
【0022】
[025] 図1は、本明細書の実施形態にかかる、触覚対応デバイス100の態様を示す概略図である。触覚対応デバイス100は、1つ以上の振動アクチュエータ105、アナログ制御回路102、1つ以上の運動特性センサ107、及びハウジング101を含む。任意選択として、触覚対応デバイス100は、更に、ディスプレイ106、少なくとも1つのプロセッサ108、少なくとも1つのメモリユニット120、1つ以上のユーザ入力要素110、1つ以上のオーディオ出力109、及び1つ以上の通信ユニット112を含む。
【0023】
[026] 振動アクチュエータ105は、発振用に構成されたアクチュエータを含み、コマンド信号に応答して振動する。振動アクチュエータ105は、50Hzを超える周波数で発振するとき、触覚効果を生成するように構成される。振動アクチュエータ105は、線形共振アクチュエータ(LRA)及び音声コイルアクチュエータなどのばね質量振動システムと共に構成されたアクチュエータを含むことができる。本明細書の実施形態に適合する振動アクチュエータ105は、およそ50Hzから1000Hzの間の範囲の発振効果を生成するように構成される。
【0024】
[027] 運動特性センサ107は、運動を測定するように構成されたセンサ及びトランスデューサを含む。運動特性センサ107は、触覚対応デバイス100の振動アクチュエータ105の運動特性を測定するように構成される。運動特性センサ107は、アクチュエータ構成要素の運動特性を決定するように構成されたセンサを含む。こうした運動特性は、例えば、変位、力、速度、運動量、角速度、角運動量、及び加速度などのベクトル値、並びに、速さ、距離、及び加速度の大きさなどのスカラー値を含むことができる。他の運動特性は、周波数、振幅、及び位相などの、発振特性を含むことができる。実施形態において、上述の運動特性のうちの1つ以上の直接測定を使用して、他の運動特性の値を決定することができる。例えば、加速度の直接測定を使用して、速度及び/又は変位を間接的に決定することができる。いくつかの例において、システムパラメータは、こうした決定において使用するためにメモリに記憶することができる。例えばシステムの質量は、パラメータとして記憶し、加速度の測定値と組み合わせて、力を決定できるようにすることができる。運動特性センサ107の一例において、運動特性センサ107は、振動アクチュエータ105の移動質量の運動特性を決定するように構成される。別の例において、運動特性センサ107は、ばね質量アクチュエータシステムに関連付けられたばねのひずみを測定するように構成される。
【0025】
[028] 運動特性センサ107は、例えば加速度計とすることができる。運動特性センサ107は、加速度計として実装可能であり得るし、及び/又は、振動アクチュエータ105の運動特性を検出するために具体的に選択されたトランスデューサであり得るし、及び/又は、他の目的で触覚対応デバイス100内に含められるトランスデューサであり得る。例えば、触覚対応デバイス100はしばしば、傾斜制御又はステップ計数目的の加速度計を含む。こうした加速度計は、運動特性センサ107として運動特性情報を提供することができる。任意選択の実施形態において、加速度計として実装される運動特性センサ107は、振動アクチュエータ105が運動を生成するように配向されるときと同じ移動軸における運動を検出するように配向される。
【0026】
[029] 本明細書の実施形態での使用のためのアナログ制御回路102は、振動アクチュエータ105を制御するために構成された構成要素の集合であり得る。実施形態において、制御回路102は、触覚制御機能を提供することに専念する構成要素を含む集積回路を含むことができる。例えば、制御回路102は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブルゲートアレイ(「PGA」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、システムオンチップ(「SoC」)、又は他のタイプの集積回路を含むことができる。更なる実施形態において、制御回路102は、完全にハードウェア構成要素内に実装可能であり、また、本明細書で考察する機能を実行するように構成された、例えばキャパシタ、レジスタ、演算増幅器などの様々な電子構成要素を含むことができる。
【0027】
[030] 触覚対応デバイス100の任意選択構成要素は、更に、ディスプレイ106、少なくとも1つのプロセッサ108、少なくとも1つのメモリユニット120、ユーザ入力要素110、オーディオ出力109、及び1つ以上の通信ユニット112を含む。
【0028】
[031] 触覚対応デバイス100は、1つ以上のプロセッサ108及び1つ以上のメモリユニット120を含むことができる。プロセッサ108は、メモリユニット120に記憶された1つ以上のコンピュータプログラム命令によってプログラム可能である。本明細書で説明するプロセッサ108の機能は、メモリユニット120或いは別のコンピュータ可読媒体又は有形媒体に記憶され、プロセッサ108によって実行される、ソフトウェアによって実装可能である。便宜上、本明細書で使用される様々な命令は、実際に様々な命令が演算を実行するようにプロセッサ108をプログラムするとき、演算を実行するものとして説明可能である。
【0029】
[032] 本明細書で説明する様々な命令は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、及び/又は、ソフトウェア命令を記憶するのに適した任意の他のメモリを含み得る、メモリユニット120に記憶可能である。メモリユニット120は、プロセッサ108によって実行されるべきコンピュータプログラム命令(例えば、前述の命令)、並びに、プロセッサ108によって操作可能なデータを、記憶することができる。
【0030】
[033] プロセッサ108は、下記でより詳細に考察するように、振動アクチュエータ105の閉ループ制御をデジタル-アナログハイブリッドコントローラとして提供するために、アナログ回路102と関連して動作するように構成される。
【0031】
[034] 本明細書の実施形態と共に使用するためのユーザ入力要素110は、ユーザ入力を受け入れるのに適した任意の要素を含むことができる。これらは、ボタン、スイッチ、ダイアル、レバー、タッチスクリーン、タッチパッドなどを含むことができる。ユーザ入力要素110は更に、マウス、ジョイスティック、ゲームコントローラ、キーボードなどの、周辺に接続されたデバイスを含むことができる。ユーザ入力要素110は更に、カメラ、レーダーデバイス、ライダーデバイス、超音波デバイス、及び、ユーザのジェスチャをリモートにキャプチャするように構成された他のデバイスを、含むことができる。
【0032】
[035] 本明細書の実施形態に従った通信ユニット112は、外部通信のために構成された1つ以上のデバイス又は構成要素を含むことができる。通信ユニットは、USBポート、HDMI(登録商標)ポート、A/Vポート、光ケーブルポート、及び、情報をワイヤード様式で送信又は受信するように構成された任意の他の構成要素又はデバイスなどの、ワイヤード通信ポートを含むことができる。通信ユニットは更に、BLUETOOTH(登録商標)アンテナ、WI-FI(登録商標)アンテナ、セルラアンテナ、赤外線センサ、光センサ、及び、情報をワイヤレスに受信及び/又は送信するように構成された任意の他のデバイスなどの、ワイヤレス通信デバイスを含むことができる。更なる実施形態において、通信ユニット112は、超音波を介して情報を伝送するように構成された、超音波スピーカ及びマイクロフォンを含むことができる。
【0033】
[036] 本明細書の実施形態と共に使用するためのディスプレイ106は、視覚出力をユーザに提供するためのスクリーンとすることができる。ディスプレイ106は、タッチスクリーン機能を含むことができる(及び従って、ユーザ入力要素110としても働く)。ディスプレイ106は、触覚対応デバイス100のニーズに合わせて、任意のサイズ、形状、又は構成とすることができる。触覚効果を送達するために構成されたウェアラブルデバイスなどの、触覚対応デバイス100のいくつかの実施形態において、ディスプレイ106は不要である。実施形態において、ディスプレイ106は、VR、AR、又はMRヘッドセット、ゴーグル、及び/又は、他のVR/AR/MRディスプレイデバイスなどの、頭部装着型ディスプレイを含む。実施形態において、ディスプレイ106は、表面上又は空中表示用のいずれかに投影可能である。
【0034】
[037] オーディオ出力109は、ユーザにオーディオ出力を提供するように構成されたデバイスを含む。オーディオ出力109は、スピーカ、並びに、スピーカ又はヘッドフォンにオーディオ信号を送達するために構成されたヘッドフォンジャックなどのオーディオ出力ポートを含むことができる。オーディオ出力109は更に、例えばBluetoothプロトコルを介したオーディオ信号のワイヤレス伝送に必要な、任意のハードウェア及び/又はアンテナを含むことができる。
【0035】
[038] 図2A及び図2Bは、本明細書の実施形態に適合するデジタル-アナログハイブリッド制御システムを示す。図2Aは、本明細書の実施形態に適合するデジタル-アナログハイブリッド制御システム111を示す。デジタル-アナログハイブリッド制御システム111は、アナログ制御回路102及びデジタル制御回路208を含む。デジタル制御回路208は、少なくともプロセッサ108、メモリユニット120を含む。デジタル-アナログハイブリッド制御システム111は更に、アナログデジタル変換器(ADC)121及びデジタルアナログ変換器(DAC)122を含む。図2Aに示されるように、ADC121及びDAC122はデジタル制御回路208の一部であってよい。ADC121及びDAC122は、別々の構成要素であってよい、及び/又は、プロセッサ108の一部として含められるそれらの機能を有してよい。ADC121及びDAC122は、アナログ制御回路102の一部とすること、及び/又は、アナログ制御回路102又はデジタル制御回路208のいずれかに含められないことが可能である。アナログ制御回路102及びデジタル制御回路208は、持続時間が限定された触覚効果を生成するように、振動アクチュエータ105の高周波数制御を提供するために協働する。
【0036】
[039] アナログ制御回路102は、図2Aでは集積回路として実装されている。図2Aに示されるように、アナログ制御回路102は、PIDコントローラとして構成された集積回路である。アナログ制御回路102の図示された実施形態は単なる例であり、本発明を逸脱することなく追加又は異なるアナログ回路構成要素及びコントローラ方式が使用可能である。
【0037】
[040] プロセッサ108は、基準信号を受信又は生成する。基準信号は所望の触覚出力を表す。基準信号は、経時的に測定される運動特性の所望の値を表す時変信号である。基準信号は、本明細書で考察する各々を含む、任意の運動特性の時変信号であってよい。例えば基準信号は、経時的な加速度であってよい。基準信号は、振動アクチュエータ105の所望の運動特性を表すことができる。実施形態において、基準信号は、振動アクチュエータ105に結合された触覚対応デバイス100の異なる構成要素の所望の運動特性を表すことができる。基準信号は、触覚対応デバイス100のプロセッサ108によって生成されること、少なくとも1つのメモリユニット120から受信すること、及び/又は、触覚対応デバイス100外部のソースから受信することが、可能である。例えば、触覚対応デバイス100が、触覚効果を提供するためにブレスレットなどのウェアラブルデバイスとして実装されるとき、基準信号は、ウェアラブルデバイスが関連付けられたより大きなシステムのプロセッサからプロセッサ108に送達することができる。実施形態において、基準信号は、運動特性センサ107と同じパラメータを追跡することが可能であり、例えば基準信号は、運動特性センサ107が加速度計であるときに、所望の加速度を経時的に示すことができる。更なる実施形態において、基準信号は、運動特性センサ107からの異なるパラメータを追跡することができる。例えば基準信号は、運動特性センサ107が加速度計であるとき、所望の速度を経時的に示すことができる。
【0038】
[041] プロセッサは、運動特性センサ107から運動特性フィードバック信号222を受信するように構成される。運動特性フィードバック信号222は、ADC121によってアナログ信号からデジタル信号に変換される。運動特性センサ107は、振動アクチュエータ103の少なくとも1つの運動特性を検出、測定、及び/又は決定するように、また運動特性に基づいて、運動特性フィードバック信号222をプロセッサ108に送達するように、構成される。前述のように、運動特性センサ107は、直接測定された運動特性、例えば加速度計によって測定された加速度に基づいて、運動特性フィードバック信号222を送達すること、及び/又は、測定された運動特性から導出される運動特性フィードバック信号222、例えば加速度計によって測定された加速度から導出される速度信号を送達することが、可能である。運動特性フィードバック信号222は、振動アクチュエータ105に結合された触覚対応デバイス100の一部の運動測定に基づくこともできる。運動特性フィードバック信号222は、一旦受信されると、プロセッサ108による処理のためにアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0039】
[042] プロセッサ108は基準信号を受信(又は生成)し、運動特性フィードバック信号222を受信し、エラー信号223をアナログ制御回路102に出力する。プロセッサ108は、基準信号と運動特性フィードバック信号222とを比較して、それらの間のエラーを決定する。エラーに基づいて、プロセッサ108はデジタルエラー信号を生成し、デジタルエラー信号はDAC122によってアナログエラー信号223に変換された後、アナログ制御回路102に送達される。
【0040】
[043] アナログ制御回路102はエラー信号223を受信する。アナログ制御回路102の制御部分104は、増幅されていないコマンド信号224を生成するために、エラー信号223上でPIDコントローラとして動作する。制御部分104の増幅されていないコマンド信号224は、コマンド信号221を生成するために増幅器部分103によって増幅される。
【0041】
[044] コマンド信号221は、触覚出力を生じさせるために振動アクチュエータ105に出力される。振動アクチュエータ105がコマンド信号221によって駆動されると、振動アクチュエータ105の触覚出力は運動特性センサ107によって測定される。
【0042】
[045] プロセッサ108は、運動特性フィードバック信号222を受信し、これを基準信号と比較して、エラー信号223を、また従って、振動アクチュエータ105に出力されるコマンド信号221を、連続的に調整し、基準信号と運動特性フィードバック信号222との間のエラーを最小限にする。
【0043】
[046] 本明細書で使用する際、連続調整とは、プロセッサ108によって出力される信号、例えばエラー信号223が、触覚効果又は出力を調整するために、その信号の出力中に継続的に調整されることを意味する。デジタル適用例の場合、連続調整は反復離散調整を含むことを理解されよう。本明細書で使用する連続調整は、たとえ定期的に実行される場合であっても、将来の触覚効果のためのパラメータの調整で使用するための触覚出力の測定値の使用は含まない。実施形態において、連続調整は、500Hzを超える、1kHz、5kHz、10kHz、及び20kHzを超える周波数で、デジタル的に実行することができる。実施形態において、運動特性フィードバック信号222は、連続調整周波数に等しいか又はこれを超える周波数でサンプリングされる。実施形態において、運動特性フィードバック信号222は、連続調整周波数の少なくとも2倍の周波数でサンプリングされる。「連続調整」のこれらの定義は、本明細書で考察するこの用語のすべての実施形態及び使用に適用される。
【0044】
[047] デジタル-アナログハイブリッド制御システム111において、プロセッサ108は、基準信号及び運動特性フィードバック信号222に基づいて、エラー信号223を生成するために単純な計算を実行する。これらの(アナログ制御回路102のPID制御によって実行される計算に比べて)比較的単純な計算は、専用及び特殊化されたデジタル信号プロセッサを必要とせずに、従来のモバイルデバイスに見られる中央処理ユニットによって実行可能である。アナログ制御回路102は、PID制御方式又は任意の他の適切な制御方式の、より複雑な計算を実行する。アナログ制御回路102のハードワイヤードなアナログ的性質(hardwired analog nature)によって、アナログ制御回路102は制御計算を、デジタルバージョンよりも効率的に、及びより安価なパッケージで実行することができる。
【0045】
[048] 実施形態において、プロセッサ108は、触覚効果の実行中又は実行直後に、調整された基準信号を受信又は生成するように更に構成される。要求される触覚出力は、触覚対応デバイス100とのユーザ対話に基づいて決定することができ、こうした要件は継続的に変更可能である。触覚対応デバイス100の中央処理ユニットとして動作することが可能なプロセッサ108は、必要に応じて基準信号を更新又は調整することができる。
【0046】
[049] 実施形態において、プロセッサ108は、アナログ制御回路102の特性を調整するように更に構成される。アナログ制御回路102は、FPGAなどの調整可能パラメータを有する集積回路として実装可能である。プロセッサ108は、アナログ制御回路102によって実装される制御方式のパラメータを調整するように、FPGAのパラメータを調整するように構成可能である。実施形態において、プロセッサ108は、アナログ制御回路102によって実装されるべき複数の事前定義された制御方式の中からの1つに対応するように、FPGAのパラメータを調整するように構成可能である。例えば、複数の潜在的FPGAプログラミングの制御方式パラメータは、異なる制御結果、例えば異なる利得又は異なるダンピングを生成するように調節可能である。実施形態において、複数のFPGAプログラミングは、異なる周波数で振動アクチュエータ105を駆動させる際に最適な実行であるように構成可能である。プロセッサ108は、基準信号(及び望ましい触覚効果)に従って、好ましいアナログ制御回路102を選択するように、複数のFPGAプログラミング間で切り替えることができる。
【0047】
[050] 実施形態において、デジタル-アナログハイブリッド制御システム111は複数のアナログ制御回路102を含むことができる。各アナログ制御回路102は、制御方式パラメータが異なってよい。例えば、複数のアナログ制御回路102の制御方式パラメータは、異なる制御結果、例えば異なる利得又は異なるダンピングを生成するように調節可能である。実施形態において、複数のアナログ制御回路102は、異なる周波数で振動アクチュエータ105を駆動させる際に最適な実行であるように構成可能である。プロセッサ108は、基準信号(及び望ましい触覚効果)に従って、好ましいアナログ制御回路102を選択するように、複数のアナログ制御回路102間で切り替えることができる。
【0048】
[051] 図2Bに示されるような追加の実施形態において、デジタル-アナログハイブリッド制御システム311は、開ループ制御と閉ループ制御との間の切り替えを可能にするためにスイッチ301を採用することができる。デジタル-アナログハイブリッド制御システム311は、アナログ制御回路102、デジタル制御回路208、振動アクチュエータ105、及び1つ以上の運動特性センサ107を含む、デジタルアナログ制御システム111と同じ要素の各々を含むことができる。デジタル-アナログハイブリッド制御システム311は更に、スイッチ301及び総和回路302を含む。
【0049】
[052] デジタル-アナログハイブリッド制御システム311は下記のように動作可能である。開ループ動作の間、スイッチ301はA位置であり得る。開ループ動作の間、スイッチ301は、デジタル制御回路208と振動アクチュエータ105との間に直接制御経路を提供する。デジタル制御回路208は基準信号224を出力する。開ループ動作の間、基準信号224は、出力を制御するために振動アクチュエータによって受信される、コマンド信号221と同じである。
【0050】
[053] 閉ループ動作の間、スイッチ301は位置Bであり得る。閉ループ動作の間、スイッチ301は、デジタル制御回路208と総和回路302との間に経路を提供する。デジタル制御回路208は、アナログ制御回路102の閉ループ動作について基準信号224を提供する。総和回路302は、デジタル制御回路208及び運動特性信号222から基準信号224を受信し、基準信号224と運動特性信号222との間の差としてエラー信号223を出力する。
【0051】
[054] このように、デジタル-アナログハイブリッド制御システム311に従って、振動アクチュエータ105は、触覚対応デバイス101の要件に従い、代替的に開ループ制御又は閉ループ制御によって制御可能である。
【0052】
[055] 実施形態において、アナログ制御回路102は任意の適切な制御方式を実装することができる。例えば、アナログ制御回路102は、リード補償コントローラを実装することができる。リード補償制御は、共振周波数においてLRAシステムにおける遅れに起因してLRAを用いて実装するとき、有利であり得る。LRAが共振周波数で励振されるとき、初期周波数応答は入力信号に関して位相遅れを示す。リード補償制御は、この遅れをカウントするため、及び、基準信号と運動特性フィードバック信号222との間のエラーを減らすために作用することができる。他の例において、アナログ制御回路102は、比例コントローラ、比例微分(PD)コントローラ、比例積分微分(PID)コントローラ、比例積分(PI)コントローラ、リード遅れ補償コントローラ、及び/又は、任意の他の適切なコントローラを実装することができる。
【0053】
[056] デジタル-アナログハイブリッド制御システム111は、持続時間が限定された触覚効果、すなわち100ms未満の持続時間を有する効果の発生に適用されるとき、有利である。実施形態において、持続時間が限定された触覚効果は、5から50msの間であってよく、振動アクチュエータ105の1から10の間の発振を使用することができる。本明細書の実施形態によって発生される持続時間が限定された触覚効果のために、デジタル-アナログハイブリッド制御システム111は、コマンド信号221の連続調整を提供するように動作する。こうした連続調整は、コマンド信号221が運動特性フィードバック信号222に基づいて、たとえ非常に短い触覚効果の間であっても、多数回調整されることを意味する。実施形態において、運動特性フィードバック信号222は、500Hzを超える、1kHzを超える、5kHzを超える、10kHzを超える、及び/又は20kHzを超えるサンプリング周波数で、振動アクチュエータ105の運動をキャプチャすることができる。プロセッサ108は、運動特性フィードバック信号222のサンプリング周波数と同じレートで、エラー信号223に対する更新を実行することができる。
【0054】
[057] 更なる実施形態において、デジタル-アナログハイブリッドコントローラの異なる部分を、デジタル形式又はアナログ形式のいずれかで実装することができる。例えば、一実施形態において、エラー信号を含む制御ループ全体を、デジタルプロセッサが制御ループのアナログ部分に基準信号のみを供給するアナログ回路要素内に実装することが可能である。更なる実施形態において、デジタルプロセッサは、制御ループのより大きな部分を扱うことができる。例えばPID制御方式を採用する制御システムでは、デジタルプロセッサは、制御方式のP(比例制御)態様に必要なステップを実行することができ、アナログ回路要素は、I(積分制御)及びD(微分制御)に必要なステップを実行するように構成される。こうした実施形態において、デジタルプロセッサは、比例制御信号、並びにエラー信号及び基準信号のいずれか又は両方を、アナログ制御回路に伝送するように構成される。更なる実施形態は、実装される制御方式の任意の態様を各々が実行する、デジタルプロセッサ及びアナログ回路を含むことができる。
【0055】
[058] 図3は、振動アクチュエータの閉ループフィードバック制御を提供するプロセス400を示すフローチャートを示す。プロセス400は、本明細書で考察するように、デジタル-アナログハイブリッド制御システム111によって実行可能である。本明細書で更に考察するように、プロセス400を実装するのに適したコントローラの任意の部分をデジタル的に実装可能であり、任意の部分をアナログ的に実装可能である。プロセス400によって実装される閉ループフィードバック制御は、鋭いか又は突然の開始及び停止を含むことができる、所望の基準信号の閉追跡を提供するものと理解することができる。例えば、プロセス400は、鋭い遮断又は突然の停止を提供するように、被制御システムに被制御ダンピングを提供することができる。上記で考察したように、閉ループフィードバック制御は、例えば触覚効果の終わりの過度な振動をなくすために、送達される触覚効果の一部のみに使用可能である。こうした実施形態は、下記で考察するプロセス400に適合する。
【0056】
[059] 動作402において、プロセス400は基準信号を受信すること(又は、生成すること)を含む。基準信号は、触覚対応デバイスが生成するように試行している、触覚効果を表す。プロセス400の目標は、測定された、すなわち運動特性フィードバック信号によって測定された触覚効果と、基準信号によって発生することが意図された触覚効果との間の、エラーを減少させることである。本明細書で考察される実施形態は、50ms未満、30ms未満、20ms未満、15ms未満、及び10ms未満の、鋭い触覚効果を生成するのによく適している。
【0057】
[060] 動作404において、プロセス400は、持続時間が限定された触覚効果を振動アクチュエータに送達させるためのコマンド信号を生成するために、初期エラー信号をアナログ制御回路に提供することを含む。エラー信号の初期値は、振動アクチュエータの運動を開始するように、及び持続時間が限定された触覚効果を生じさせるように、選択される。エラー信号の初期値は、基準信号と、少なくとも振動アクチュエータ、これが結合された構成要素、及びセンサを含む、フィードバックシステムの既知の特性とに従って決定される。センサからのフィードバックは、基準信号と運動特性信号(すなわち、測定された触覚効果)との間のエラーを最小限にするために作用するが、所望の出力を達成するために必要な値近くの初期エラー信号値を選択することは、触覚効果の早期部分におけるエラーを最小限にする働きをする。
【0058】
[061] 動作406において、プロセス400は、触覚対応デバイスの触覚的に活動化された構成要素の1つ以上の運動特性を、センサによって測定することを含む。実施形態において、センサは本明細書で考察する運動特性センサである。運動特性は、変位、速度、運動量、角速度、角運動量、及び加速度などのベクトル値、並びに、速さ、距離、及び加速度の大きさなどのスカラー値を含むことができる。運動特性は、直接測定すること、又は直接測定された値から導出することが可能である。運動特性センサは、振動アクチュエータに振動的に、直接、又は間接的に、結合可能である。
【0059】
[062] 動作408において、プロセス400は、振動アクチュエータのフィードバック制御に使用される運動特性を示す運動特性フィードバック信号を、センサによって出力することを含む。
【0060】
[063] 動作410において、プロセス400は、更新されたエラー信号をアナログ制御回路に提供することを含む。更新されたエラー信号は、運動特性フィードバック信号と基準信号との間の差に基づく。
【0061】
[064] 動作412において、プロセス400は、アナログ制御回路によってコマンド信号を連続的に提供しながら、運動特性フィードバック信号及び基準信号に従って、プロセッサによってエラー信号の連続調整を提供することを含む。エラー信号の連続調整は、基準信号と運動特性フィードバック信号との間のエラーを最小限にする。運動特性フィードバック信号は出力触覚効果を測定し、従って連続調整は、出力触覚効果を制御するように振動アクチュエータを制御する働きをする。フィードバックシステムは、基準信号によって表される所期の触覚効果と、運動特性信号によって表される出力触覚効果との間のエラーを、減少及び/又は最小限にする。実施形態において、コマンド信号の連続調整は、運動特性フィードバック信号がサンプリングされるレートと同等のレートで実行される。
【0062】
[065] 上記では、本明細書で説明する実施形態に従った、持続時間が限定された触覚効果を生成するために振動アクチュエータの閉ループ制御を提供する例示のプロセス400の例示的フローを説明している。図3に示すプロセスは単なる例示であり、本明細書で開示される実施形態の範囲を逸脱することのない変形形態が存在する。記述した順番とは異なる順番でステップを実行すること、追加のステップを実行すること、及び/又は、より少ないステップを実行することが可能である。
【0063】
[066] 本明細書で説明する閉ループ制御方式に適合するシステム及び方法は、従来よりも幅広い特性の変動を有するアクチュエータの使用を可能にし得る。前述のように、アクチュエータの正確な開ループ制御は、アクチュエータ特性が狭い範囲内にあることを必要とする。この範囲外の特性は、結果として、アクチュエータからの異常な挙動を生じさせることになる。しかしながら、本明細書の説明に適合する閉ループコントローラを使用することで、規格外の特性を備えるアクチュエータ、並びに規格内のアクチュエータを実行することが可能になる。このより広範囲な許容特性によって、より安価なアクチュエータを使用することが可能になる。
【0064】
[067] 20のLRAについて実験が行われ、そのうちの10は規格内であり、10は品質管理に不合格であった。図4Aは、10が規格内及び10が規格外の、20のLRAの共振周波数を示す。図4Bは、持続時間が限定された鋭い触覚効果を生成する際の、規格内の5つのLRA及び規格外の5つのLRAの加速度応答を示す。これらのLRAは、本明細書の実施形態に適合する閉ループ制御方式を介して制御された。図4Bに示されるように、規格内及び規格外の両方のLRAが、持続時間が限定された優れた反応性を示した。従って、持続時間が限定された触覚効果の間に振動アクチュエータの精密な制御を提供するために、デジタル-アナログハイブリッド閉ループ制御システムを使用する、システム、デバイス、及び方法が提供される。本明細書における実施形態によって実行可能な精密な制御方法により、鋭いか又は突然の終了を有する持続時間が限定された触覚効果の発生が可能になる。以上、本発明に従った様々な実施形態を説明してきたが、これらは限定ではなく、単なる例として示されたものであることを理解されたい。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、形式及び細部における様々な変更が実行可能であることが明らかであろう。本明細書で考察される各実施形態、及び本明細書に記載される各参照の各特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用可能であることも理解されよう。言い換えれば、触覚効果を表す上記の方法の態様は、本明細書で説明する他の方法との任意の組み合わせで使用可能であるか、方法は別々に使用可能である。下記に、本発明の追加の態様及び実施形態を記述する。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】