(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】マイクロ送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/155 20060101AFI20220330BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A61M5/155
A61M5/142
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548630
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2020075801
(87)【国際公開番号】W WO2020169045
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138863
【氏名又は名称】マイクロメッド・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MicroMED Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】リィ,ポ-イン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ツン-チー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066DD03
(57)【要約】
電気化学ポンプ、及び該電気化学ポンプを備えるマイクロ送達装置が提供されている。この電気化学ポンプ(3)は、基板(310)と、少なくとも1つの平面電極(311)とを備える。基板(310)は、上面(3101)を有する。平面電極(311)は、上面(3101)に配置され、少なくとも1つの尖った角部(3113)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する基板と、
基板の上面に配置されるシェルで、該シェルと基板との間にチャンバーを形成するシェルと、
基板の上面に配置される平面電極と、
チャンバー内に配置され、チャンバーを上部リザーバー及び下部リザーバーに分割するセパレータと、
剛性のシェルの開口部に挿入され、上部リザーバーと流体連通するカニューレと、
を備え、
少なくとも1つの尖った角部が平面電極の表面に形成されている、
マイクロ送達装置。
【請求項2】
平面電極は、第1側面と、断面図において第1側面の反対側にある第2側面とを有し、少なくとも1つの尖った角部は、第1側面及び/又は第2側面に形成されている、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項3】
平面電極は、第1側面と、断面図において第1側面の反対側にある第2側面とを有し、平面電極は、さらに、第1側面及び第2側面を接続する頂面を有し、少なくとも1つの尖った角部は、頂面に形成されている、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項4】
平面電極は、さらに、頂面と、頂面の反対側にある底面とを備え、頂面の面積は、底面の面積よりも大きく、断面図では側面と頂面との間に尖った角部を形成する、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項5】
尖った角部は、0.01-90°間の範囲の鋭角を有する、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項6】
尖った角部は、0.01-100μm間の範囲の幅を有する、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項7】
尖った角部は、等方性エッチング又は異方性エッチングの方法によって形成されている、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項8】
尖った角部は、ジグザグの形で表面に形成され、表面から突出している、請求項1、2、3のいずれかに記載のマイクロ送達装置。
【請求項9】
尖った角部は、ピラミッドの先端の形で表面に形成され、表面から突出している、請求項1、2、3のいずれかに記載のマイクロ送達装置。
【請求項10】
平面電極は、多孔質電極である、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項11】
平面電極に電気的に接続されている電子デバイスをさらに備える、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【請求項12】
平面電極は親水性であり、基板は親水性である、請求項1に記載のマイクロ送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
この非仮出願は、35 U.S.C.§119(a)に基づき、2019年2月19日に出願された米国特許仮出願第62/807,538号に優先権を主張する。その全内容は、参考により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、マイクロ送達装置(micro-delivery device)に関する。より具体的には、本開示は、マイクロ送達装置用の電気化学ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、電解ポンプ製品には、滑らかな微小電極が使用されていた。以前は、ポンプの出力効率を増すために、電気めっき微小電極を使用して表面粗さを増す改良が開発されてきた。しかしながら、この電極設計用の製造方法は、電極表面の反復形態を与えることができず、ポンプのエネルギー性能の信頼性を低下させる。
【0004】
最近、製薬業界における問題を改善するために、治療薬の最小化された送達ポンプが提案された。しかしながら、治療薬の送達ポンプにおける従来の設計に関して、未だ改善されるのを待ついくつかの欠陥がある。例えば、電解液における低い局所電場に起因する、従来のポンプ電極構造に関する低いポンプエネルギー効率、及び低い固体表面自由エネルギーからの低いポンプエネルギー効率である。
【0005】
したがって、改善されるべき、及び上述した未解決の問題の少なくとも1つを解決する、装置及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で提供される態様は、マイクロ送達装置であり、該マイクロ送達装置は、上面を有する基板と、基板の上面に配置されるシェルで、該シェルと基板との間にチャンバーを形成するシェルと、基板の上面に配置される平面電極と、チャンバー内に配置されてチャンバーを上部リザーバーと下部リザーバーとに分割するセパレータと、剛性(硬質)のシェルの開口部に挿入され上部リザーバーと流体連通するカニューレとを備え、ここで、少なくとも1つの尖った角部が平面電極の表面に形成されている。
【0007】
特定の実施形態では、平面電極は、第1側面と、断面図において第1側面に反対側の第第2側面とを有し、少なくとも1つの尖った角部が第1側面及び/又は第2側面にそれぞれ形成される。
【0008】
特定の実施形態では、平面電極は、第1側面と、断面図において第1側面に反対側の第第2側面とを有し、平面電極は、第1側面と第2側面とを接続する頂面をさらに有し、少なくとも1つの尖った角部は、頂面に形成される。
【0009】
特定の実施形態では、平面電極は、頂面、及び頂面に反対側の底面をさらに備え、頂面の面積は、底面の面積よりも大きく、断面図において側面と頂面との間に尖った角部を形成している。
【0010】
特定の実施形態では、尖った角部は、0.01-90°間の範囲を有する鋭角を有する。
【0011】
特定の実施形態では、尖った角部は、0.01-100μm間の範囲を有する幅を有する。
【0012】
特定の実施形態では、尖った角部は、等方性エッチング又は異方性エッチングの方法によって形成される。
【0013】
特定の実施形態では、尖った角部は、ジグザグの形状で表面に形成され及び表面から突出している。
【0014】
特定の実施形態では、尖った角部は、ピラミッドの先端の形状で表面に形成され及び表面から突出している。
【0015】
特定の実施形態では、平面電極は、多孔質電極である。
【0016】
特定の実施形態では、平面電極に電気的に接続される電子デバイスをさらに備える。
【0017】
特定の実施形態では、平面電極は親水性であり、基板は親水性である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
上述の概要、及び以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1による送達装置の概略断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態2による電気化学ポンプの斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態3-1による電気化学ポンプの上面図である。
【
図4】
図4は、平面電極に形成された尖った角部の例示的な図であり、(a)はピラミッド形状で、(b)はチップ形状である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態3-2による電気化学ポンプの概略断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態4による電気化学ポンプの概略断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態5による電気化学ポンプの概略断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の別の実施形態による送達装置の概略断面図である。
【
図9】
図9は、尖った角部又は平坦な表面による平面電極を有するマイクロ送達装置の流量対時間のプロットを示すグラフ、及び、走査型電子顕微鏡による平面電極の表面の図、である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施形態は、添付の図面とともに読んだとき、上述の内容、並びに本開示の他の技術的内容、特徴、及び効果を明確に示すように作成されている。特定の実施形態による説明を通じて、人々は、上述の目的を達成するために本開示が採用する技術的手段及び効果をさらに理解するであろう。さらに、本明細書に開示される内容は、当業者によって容易に理解され実施可能であるべきように、本開示の概念から逸脱しないすべての同等の変更又は修正は、添付の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【0020】
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「又は」もしくは「及び」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、及び他の形式、例えば「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」の使用は、限定することではない。本書で使用されるセクションの見出しは、構成的な目的のみであり、記述されている主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
さらに、明細書及び特許請求の範囲において記載された、例えば「第1」、「第2」などの序数詞は、クレームされた要素を説明することのみを意図しており、クレームされた要素が任意の手順の序数詞を有することも、及びクレームされた要素と別のクレームされた要素との間の順序を、又は製造方法のステップ間の順序を暗示するあるいは表すことも意図するものではない。これらの序数詞の使用は、特定の指定を有するあるクレームされた要素を、同じ指定を有する別のクレームされた要素と区別するためだけのものである。
【0022】
さらに、「上に(on)」、「上方に(above)」、「越えて(over)」などのような本明細書に記載の用語は、他の構成要素、例えば基板、との直接接触だけでなく、他の構成要素、例えば基板、との間接接触も意図している。
【0023】
実施形態1
【0024】
図1を参照されたい。
図1は、本開示の実施形態1による送達装置の断面図である。
図1に示すように、送達装置1は、基板110、剛性(硬質)のシェル12、セパレータ13、カニューレ14、及び電子デバイス15を備える。
【0025】
平面電極111及び剛性シェル12は、基板110の上面に配置され、チャンバー16は、剛性シェル12及び基板111によって形成される。セパレータ13は、チャンバー16内に構成され、チャンバーを上部リザーバー161及び下部リザーバー162に分割する。治療薬は、上部リザーバー161に充填可能である。電気分解用の液体試薬は、下部リザーバー162に充填可能である。カニューレ14は、剛性シェル12の開口部に挿入され、上部リザーバー161と流体連通している。電子デバイス15は、平面電極111に電気的に接続され、平面電極111に電力を供給する。本実施形態では、セパレータは、ダイヤフラムである。基板110、平面電極111、カニューレ14、チャンバー16、及びセパレータ13は、共に、薬物を送達するために使用される本発明の電気化学ポンプを構成する。さらに、セパレータ13は、ゴム製プランジャーで作製され、ストッパーとして使用される。
【0026】
実施形態2
【0027】
図2を参照されたい。
図2は、本開示の実施形態2による電気化学ポンプの斜視図である。
図2に示すように、電気化学ポンプ2は、基板210、及び少なくとも1つの平面電極211(例えば、アノード電極及びカソード電極)を備える。
【0028】
基板210は、上面2101を有する。さらに、基板210は、これに限定されないが、生体適合性材料で作製することができる。本実施形態では、基板210はガラス製である。
【0029】
平面電極211は、基板210の上面2101に配置されている。
【0030】
実施形態3-1
【0031】
実施形態3-1は、実施形態1及び実施形態2と同様であり、以下の違いを除いて、ここでは詳細には繰り返されない。本開示の実施形態3による電気化学ポンプの水平断面図である
図3を参照されたい。
図3に示すように、電気化学ポンプ3は、基板310及び少なくとも1つの平面電極311を備える。
【0032】
平面電極311は、基板310の上面3101に配置されている。さらに、この実施形態では、平面電極311は、第1側面3111、第2側面3112、及び第3側面3110を有する。電気化学ポンプの水平断面図から、少なくとも1つの尖った角部(sharp corner)3113が観察可能である。平面電極311の第3側面3110は、第1側面3111及び第2側面3112を接続する表面として定義される。第1側面3111は、第2側面3112の反対側にあり、第1側面3111及び第2側面3112の両方が、第3側面3110に接続されている。
【0033】
少なくとも1つの尖った角部3113は、第1側面3111及び/又は第2側面3112に形成され、かつ、それらから突出されている。特定の実施形態では、平面電極311の尖った角部3113は、電気化学ポンプ3の上面図ではジグザグの形状で形成されている。さらにこの実施形態では、平面電極は、多孔質である。しかしながら、代替の実施形態では、尖った角部は、第1側面3111、第2側面3112、及び第3側面3110に形成される。
【0034】
本発明において、尖った角部は、当該技術分野の当業者によって知られている技術によって形成可能である。例えば、尖った角部は、等方性エッチング又は異方性エッチングの方法を介して形成可能である。
【0035】
しかしながら、尖った角部の形状は、エッチングの方法にしたがい、変更され及び調整されることができる。例えば、尖った角部は、ピラミッド形状(
図4の(a))又はチップ(先端、尖端)形状(
図4の(b))にすることができる。尖った角部は、0.01-90°の間の範囲を有する鋭角(θ)を有する。尖った角部はまた、0.01-100μmの間の範囲を有する幅(L)も有する。
【0036】
実施形態3-2
【0037】
実施形態3-2は、実施形態3-1の代替のものであり、ここでは詳細に繰り返されない。本開示の実施形態3による電気化学ポンプの概略断面図である
図5を参照されたい。
図5に示すように、電気化学ポンプ4は、基板410及び少なくとも1つの平面電極411を備える。
【0038】
基板410は、上面4101を有する。平面電極411は、基板410の上面4101に配置されている。さらに、この実施形態では、平面電極411は、頂面4110、第1側面4111、第2側面4112、及び少なくとも1つの尖った角部4113を有する。平面電極411の頂面4110は、基板410の上面4101に実質的に平行である。第1側面4111は、第2側面4112に反対側であり、第1側面4111及び第2側面4112の両方は、頂面4110に接続され、基板410の上面4101に実質的に垂直である。
【0039】
図3に示す実施形態と同様に、尖った角部4113は、第1側面4111及び第2側面4112に形成され第1側面4111及び第2側面4112から突出しており、この実施形態では、平面電極411は、多孔質である。しかしながら、平面電極411の尖った角部4113は、電気化学ポンプ4の側面断面図からジグザグ形状において観察される。
【0040】
さらに、
図3及び
図5を参照すると、いくつかの実施形態(図には示されていない)では、平面電極は、多孔質であることができ、特定の実施形態では、尖った角部の数は、複数である。
【0041】
実施形態4
【0042】
実施形態4は、実施形態1及び実施形態2と同様であり、以下の違いを除いて、ここでは詳細には繰り返さない。本開示の実施形態4による電気化学ポンプの概略断面図である
図6を参照されたい。
図6に示すように、電気化学ポンプ5は、基板510及び少なくとも1つの平面電極511を備える。
【0043】
基板510は、上面5101を有する。平面電極511は、基板510の上面5101に配置されている。さらに、この実施形態では、平面電極511は、頂面5110、第1側面5111、第2側面5112、及び底面5114を有する。底面5114は、頂面5110の反対側にある。頂面5110は、底面5114及び基板510の上面5101に実質的に平行である。第1側面5111は、第2側面5112の反対側にあり、第1側面5111及び第2側面5112の両方は、尖った角部5113によって頂面5110に接続されている。この実施形態では、頂面及び第1/第2の側面5111、5112を接続する尖った角部は、0.01-90°の間の角度を有する。その上、この実施形態では、平面電極511は、多孔質であることができる。
【0044】
さらに、頂面5110の面積は、底面5114の面積よりも大きく、側面断面図では、第1側面5111と頂面5110との間、及び第2側面5111と頂面5110との間で尖った角部5113を形成する。
【0045】
いくつかの実施形態では、平面電極511の形状は、逆台形のようなものである(図には示されていない)。
【0046】
実施形態5
【0047】
実施形態5は、実施形態1及び実施形態2と同様であり、以下の違いを除いて、ここでは詳細には繰り返されない。本開示の実施形態5による電気化学ポンプの概略断面図である
図7を参照されたい。
図7に示すように、電気化学ポンプ6は、基板610及び少なくとも1つの平面電極611を備える。
【0048】
基板610は、上面6101を有する。平面電極611は、基板610の上面6101に配置されている。さらに、この実施形態では、平面電極611は、頂面6110、第1側面6111、第2側面6112、及び少なくとも1つの尖った角部6113を有する。頂面6110は、基板610の上面6101に実質的に平行である。第1側面6111は、第2側面6112の反対側にあり、第1側面6111及び第2側面6112の両方が頂面6110に接続されている。
【0049】
尖った角部6113は、概略断面図では、頂面6110に形成され、頂面6110から突出している。この実施形態では、それぞれの尖った角部6113の形状は、側面断面図から見るとピラミッドのようなものである。しかしながら、尖った角部6113の形状は、この実施形態によって限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、尖った角部6113の形状は、(
図4の(b)に示されるように)チップ(先端、尖端)に類似することができる。
【0050】
実施形態6
【0051】
実施形態6は、実施形態1及び実施形態2と同様であり、以下の違いを除いて、ここでは詳細には繰り返されない。本開示の第7実施形態による送達装置の断面図である
図8を参照されたい。
【0052】
送達装置は、バイアル形状(vial-shape)であり、実施形態1では、基板110の上面は、カニューレ14が挿入される開口部に面している。しかしながら、本実施形態の装置は、カニューレ14が挿入される開口部を有し、この開口部は、開口部に面していない。一実施形態では、開口部は、基板110に実質的に平行な方向に存在する。さらに、本実施形態の装置は、セパレータ13も備えており、該セパレータは、ダイヤフラムで作製され、これはストッパーとして使用される。
【0053】
本発明によれば、尖った角部を有する平面電極を備えたマイクロ送達装置は、尖った角部を有さない電極と比較して、すなわち平坦な表面を有する電極と比較して、より速い始動速度及びより大量の流体を提供する。
図9に示すように、尖った角部を持つ平面電極を有するマイクロ送達装置は、流体の出力に関してより速い始動速度を提供し、また流体量もより多い。対照的に、平坦な表面を持つ平面電極を有するマイクロ送達装置は、流体の出力に関してより遅い始動速度を提供し、流体量はより少ない。したがって、尖った角部を有する電極は、マイクロ送達装置の薬物送達の効率を大幅に改善することが観察され得る。
図9はまた、走査型電子顕微鏡による平面電極の表面における走査図も含み、これはエッチングによって電極の表面に形成された尖った角部を明示している。電極表面において観察されるように、尖った角部は、エッチングによって電極の表面に分布され、隣接する尖った角部間の距離は、約5μm以下である。
【0054】
注目すべきことに、平面電極の構造は、これに限定されないが、上述した
図3から
図7に示される実施形態の形状である。例えば、
図3及び
図7を参照して、いくつかの実施形態では、尖った角部の数は複数であり、尖った角部の各部は、上面図ではジグザグの形で側面に形成され側面から突出しており、また、尖った角部の各部は、概略断面図では頂面に形成され頂面から突出している。
【0055】
例えば、
図5及び
図7を参照して、いくつかの実施形態では、尖った角部の数は、複数であり、尖った角部の各部は、概略断面図では、ジグザグの形で側面に形成され側面から突出しており、また、尖った角部の各部は、頂面に形成され頂面から突出している。
【0056】
例えば、
図3及び
図6を参照して、いくつかの実施形態では、平面電極は多孔質であり、尖った角部の数は複数である。尖った角部の各部は、上面図では、ジグザグの形で側面に形成され側面から突出しており、また、尖った角部の各部は、概略断面図では、側面と頂面との間に形成されている。
【0057】
例えば、
図6及び
図7を参照して、いくつかの実施形態では、平面電極は多孔質であり、尖った角部の数は複数である。尖った角部の各部は、概略断面図では、側面と頂面との間に形成され、尖った角部の各部は、概略断面図では、側面と頂面との間に形成されている。
【0058】
例えば、
図5、
図6、及び
図7を参照して、いくつかの実施形態では、尖った角部の数は複数であり、尖った角部の各部は、概略断面図では、ジグザグの形で側面に形成され側面から突出しており、尖った角部の各部は、概略断面図では、側面と頂面との間に形成され、尖った角部の各部は、概略断面図では、頂面に形成され突出している。
【0059】
例えば、
図3、
図6、及び
図7を参照して、いくつかの実施形態では、尖った角部の数は複数であり、尖った角部の各部は、上面図では、ジグザグの形で側面に形成され側面から突出しており、尖った角部の各部は、概略断面図では、側面と頂面との間に形成され、尖った角部の各部は、概略断面図では、頂面に形成され頂面から突出している。
【0060】
いくつかの実施形態では、例えば
図3において、尖った角部3113は、基板310の上面3101に実質的に垂直な方向に沿って形成されている。
【0061】
別の実施形態では、例えば
図5において、尖った角部4113は、基板410の上面4101に実質的に平行な方向に沿って形成されている。
【0062】
要約すると、本開示の電気化学ポンプ及び送達装置は、平面電極を備え、平面電極は、尖った角部を備えることから、平面電極は、より良い電解効率を提供するため、強い電界を発生することができ、より大量のガス生成を誘発することができる(真空におけるコロナ放電と同様)。
【0063】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供され、組み合わせて実施できることは、当業者に明らかであろう。多くの変形、変更、及び置換は、本発明から逸脱することなく、当業者が気付くであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態への様々な代替案が、本発明を実施する際に使用されてもよいことは、理解されるべきである。以下の請求項は、本発明の権利範囲を定義し、また、それらの請求項の権利範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物は、それによってカバーされるということが意図されている。
【国際調査報告】