IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲーの特許一覧 ▶ コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2022-521251ポリアスパラギン酸エステルを含有する新規の二成分クリアコート系
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】ポリアスパラギン酸エステルを含有する新規の二成分クリアコート系
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20220330BHJP
   C09D 175/00 20060101ALI20220330BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220330BHJP
【FI】
C08G18/32 025
C09D175/00
C09D7/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549101
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2020054418
(87)【国際公開番号】W WO2020169700
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19158880.5
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20157828.3
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グレスタ-フランツ,ドルタ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイカード,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マンドストック,ホルガー
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034CA14
4J034CC09
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034QB13
4J034QB17
4J034RA07
4J038DG061
4J038DG081
4J038DG171
4J038DG262
4J038DG271
4J038DH011
4J038DJ011
4J038JA55
4J038JB04
4J038KA09
4J038PB07
(57)【要約】
本発明は、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルおよび少量のフマル酸ジアルキルエステルを含有する二成分クリアコート系、その調製方法、ならびに車両の補修で用いるためのコーティングを製造するためのその使用、およびそれでコーティングされた基材に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのポリアスパラギン酸エステル含有成分A、
b)少なくとも1つのポリイソシアネート成分B、
c)任意に、Aとは異なり、イソシアネート基に対して反応性である1つ以上の成分C、および
d)少なくとも1つの水捕捉剤および/または加水分解安定剤(成分D1)および任意に他の補助剤および添加剤(成分D2)
を含む二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)であって、
成分Aが、
一般式(I)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
【化1】
(ここで、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性であり及び/又は100℃以下の温度で不活性であるさらなる官能基を含有してもよい、対応ポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるような、1つ以上のヘテロ原子を含有してもよい、m価の有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一または異なる有機基であり、
mは、>1の整数である)
および一般式(II)である、第一級アミノ基を有する1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
【化2】
(ここで、
nは、m-1であり、
Xならびに基R1およびR2は、上記で定義した意味を有する)
を含む組成物に対応しており、
前記一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧4%~≦20%に相当し、ここで、2つの前記一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦1.2重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする、二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)。
【請求項2】
前記一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の>4%である、請求項1に記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)。
【請求項3】
前記一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≦15%である、請求項1または2に記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)。
【請求項4】
フマル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦1重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)。
【請求項5】
フマル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦0.1重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)。
【請求項6】
少なくとも以下の工程:
i)請求項1~5のいずれかに記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)を、コーティングされる基材の少なくとも一部に適用すること、および
ii)工程i)からのコーティング組成物の硬化
を含む、基材上にコーティングを製造するための方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法に従って得られるコーティングでコーティングされた基材。
【請求項8】
前記コーティングがクリアコートであることを特徴とする、請求項6に記載の基材上にコーティングを製造するための方法、または請求項7に記載のコーティングでコーティングされた基材。
【請求項9】
前記クリアコートが、特に車両用の、再仕上げ用クリアコートであることを特徴とする、請求項8に記載の方法、または請求項8に記載の基材。
【請求項10】
水安定性コーティングを製造するための、請求項1~5のいずれかに記載の二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルを含み、少量のフマル酸ジアルキルを含有する二成分クリアコート系、その製造方法、ならびに車両補修用途のためのコーティングの製造におけるその使用およびそれでコーティングされた基材に関する。
【背景技術】
【0002】
バインダーとして、ポリイソシアネート成分を、イソシアネート基に対して反応性である成分、特にポリヒドロキシル成分と組み合わせて含む二成分(2C)コーティング組成物は長く知られている。それらは、硬く、弾性で、摩耗および溶剤に耐性があり、とりわけ耐候性になるように調整することができる高品質コーティングの製造に適している。
【0003】
この2Cポリウレタンコーティング技術の範囲内で、ある特定のエステル含有第二級ポリアミンは、近年、塗料用ポリイソシアネートと組み合わせて、低溶剤または無溶剤(高固体)コーティング組成物中のバインダーとして特に適しており、車両補修用途で必要とされるような低温でのコーティングの迅速な硬化を可能にすることが確立されている。
【0004】
これらの第二級ポリアミンは、例えばEP0403921に記載されるように、いわゆるポリアスパラギン酸エステルである。2Cコーティング組成物中におけるその単独での使用またはイソシアネート基に対して反応性であるさらなる成分との混合物中での使用は、例えば、EP0403921、EP0639628、EP0667362、EP0689881、US5214086、EP0699696、EP0596360、EP0893458、DE19701835およびUS5243012に記載されている。EP0470461は、ポリイソシアネート成分と、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびマレイン酸ジエチルから調製されたイソシアネート反応性第二級ジアミンとを含む車両補修用途のコーティングを記載している。イソシアネート反応性成分は、ヒドロキシル官能性ポリヒドロキシポリアクリレート成分またはポリヒドロキシポリアクリレートとポリエステルポリオールとの混合物をさらに含む。
【0005】
WO2015130501およびWO2015130502は、(ガスクロマトグラムにおける面積%として測定される)15~30%の第一級アミノ基を有するアスパラギン酸エステルを含有するポリアスパラギン酸エステル組成物を開示している。しかしながら、いずれの文献も、第一級アミノ基を含有するアスパラギン酸エステルの含有量の増加から生じる利点も何ら特定しておらず、許容可能なポットライフを有するポリアスパラギン酸エステル組成物は、好ましくは環状脂肪族ポリイソシアネートとのさらなる反応によってのみ達成された。従来の製造方法を考えると、このようにして製造されたコーティング組成物は、フマル酸ジエチルの含有量が減少していないと予測することができる。
【0006】
アミノ官能性アスパラギン酸エステルの調製は大体において知られている。合成は、例えばマレイン酸エステルまたはフマル酸エステル中に存在するような、ビニル系カルボニル化合物の活性炭素二重結合への第一級ポリアミンの付加によって行われ、文献(Houben Weyl,Meth.d.Org.Chemie vol.11/1,272(1957),Usp.Khim.1969,38,1933)に十分に記載されている。ポリアミンの1つのアミノ基のみがビニル系カルボニル化合物の二重結合と反応した場合、この反応は、副生成物として、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルの形成をもたらし得る。市販のポリアスパラギン酸エステルでは、ビニル系カルボニル化合物としてマレイン酸エステルが使用される。マレイン酸エステルに基づくポリアスパラギン酸エステルの製造時に、レトロ-マイケル付加が、ポリアミンの脱離によって微量成分としてフマル酸ジアルキルの形成をもたらすさらなる望ましくない副反応として起こり得る。従って、ポリアスパラギン酸エステルの典型的な製造方法は、反応物質の大部分が互いに反応した後4~6週間の貯蔵時間を必要とする。この間に、その生成物は、粘度の安定化によって明らかにされる、いわゆる熟成を受ける。この間に転化率は増加し続けるので、フマル酸ジアルキル含量も低下する。この数週間にわたる貯蔵は、製造時のかなりの物流コストを招く。生成物は貯蔵期間の終わりまで顧客に出荷されないが、それでもなおかなりの量のフマル酸ジアルキルを含み、これは激しい感作を引き起こすことがある。フマル酸ジエチルは、例えば、VOC(揮発性有機化合物)として分類され、従って、VOCを含まないコーティングの提供を妨げる。フマル酸ジアルキルの存在から生じる別の欠点は、コーティング膜の可塑化効果の結果としてコーティング膜のガラス転移温度の低下である。
【0007】
理論的には、上記の欠点を受けないポリアスパラギン酸エステル組成物を生じさせるために、ポリアスパラギン酸エステル組成物を製造するための方法を変更するための2つの選択肢がある。反応時間を延長してもよく、反応温度を上昇させてもよい。前者は、経済的な理由で考慮されない。他方、反応温度を例えば100℃または80℃に上昇させると、生成物が劇的に黄変する。
【0008】
EP0816326は、マレイン酸ジアルキルへのポリアミンの付加を加速するための、そして、特定の触媒の添加によりフマル酸ジアルキル含有量を減少させるための方法を開示している。触媒の使用にもかかわらず貯蔵の必要性を回避することができないので、このアプローチは、最終的に満足のいく結果をもたらさない。EP1197507は、フマル酸ジアルキルのための捕捉剤としてチオール化合物の添加を記載している。チオール化合物はかなりの悪臭を引き起こすことが知られているので、これは、実際に実施できる解決策ではない。
【0009】
蒸留後処理の理論的な選択肢は、例えばEP0403921に記載されている。これは、過剰のマレイン酸ジアルキルを使用する方法での蒸留によるフマル酸ジアルキルの除去を記載している。本開示は、いかなる例も与えておらず、蒸留の方法も特定していない。過剰のマレイン酸ジエチルがこの方法で使用されるので、後処理した生成物は、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルをかなりの量で含有するとは予想されない。この方法は、使用される過剰量のマレイン酸ジエチルが不十分な空時収率および多くの廃棄物をもたらし、経済的に正当化できないので、受け入れられていない。
【0010】
DE102006002153も同様に、過剰のマレイン酸ジアルキルを用いて製造される生成物と、その後の蒸留によりフマル酸ジアルキルの除去を記載している。これは、第一級アミノ基を含まないジアスパラギン酸エステルである。
【0011】
本発明の出願時に特許としてまだ公開されていない、WO2018/074884は同様に、ポリアスパラギン酸エステルの蒸留およびコーティング組成物におけるその使用の非常に一般的な説明を記載している。水捕捉剤および/または加水分解安定剤が必須であるクリアコートについての記載はない。
【0012】
先行技術に開示されたポリアスパラギン酸エステル系コーティング組成物は、適切なポットライフに加えて速い硬化時間を有し、良好な機械的および光学的特性を特徴とする。しかし、このようなコーティング組成物に対する湿気の作用は多層構造における接着および層間接着に欠陥を引き起こす傾向があることは、当業者にとって知られていることである。車両補修作業において、湿気に対するこの感受性は、コーティングされた部分が、車両に取り付けられるまでに、長期間保管される必要があることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP0403921
【特許文献2】EP0639628
【特許文献3】EP0667362
【特許文献4】EP0689881
【特許文献5】US5214086
【特許文献6】EP0699696
【特許文献7】EP0596360
【特許文献8】EP0893458
【特許文献9】DE19701835
【特許文献10】US5243012
【特許文献11】WO2015130501
【特許文献12】WO2015130502
【特許文献13】EP0816326
【特許文献14】EP1197507
【特許文献15】DE102006002153
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Houben Weyl,Meth.d.Org.Chemie vol.11/1,272(1957),Usp.Khim.1969,38,1933
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的は、バランスのとれた乾燥性能を有する、すなわち、十分なポットライフと連携した速い硬化時間を有し、さらに改善された耐水性を有するコーティングをもたらす、ポリアスパラギン酸エステルベースのコーティング組成物を提供することである。
【0016】
本発明の目的は、第一級アミノ基を有するポリアスパラギン酸エステルおよび少量のフマル酸ジアルキルを含む二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)を提供することによって達成することができた。
【0017】
本発明は、
a)少なくとも1つのポリアスパラギン酸エステル含有成分A、
b)少なくとも1つのポリイソシアネート成分B、
c)任意に、Aとは異なり、イソシアネート基に対して反応性である1つ以上の成分C、
d)少なくとも1つの水捕捉剤および/または加水分解安定剤(成分D1)および任意に他の補助剤および添加剤(成分D2)
を含む二成分コーティング組成物(2Cコーティング組成物)に関する。
【0018】
本発明の文脈において、ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、一般式(I)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
【化1】
(ここで、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性であり及び/又は100℃以下の温度で不活性であるさらなる官能基を含有してもよい、対応ポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるような、1つ以上のヘテロ原子を含有してもよい、m価の有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一または異なる有機基であり、
mは、>1の整数である)
および
一般式(II)である、第一級アミノ基を有する1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
【化2】
(ここで、
nは、m-1であり、
Xならびに基R1およびR2は、上記で定義した意味を有する)
を含む組成物であり、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧4%~≦20%に相当し、ここで、2つの一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%であり、フマル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦1.2重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする。
【0019】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル(ここで、R1およびR2は、それぞれ1~18個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基、好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基、最も好ましくはそれぞれの場合においてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基等のアルキル基である)を含む組成物である。エチルが最も好ましい。
【0020】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、Xは、以下の群から選択される、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有する対応するポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である:一般式(III)に一致する第一級アミノ基を有する全ての公知のポリアミン。例としては、以下の化合物が挙げられる:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(DuPontからのDytek(登録商標)A)、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンまたはトリアミノノナン、エーテルアミン、例えば4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン等、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有する高分子量ポリエーテルポリアミン、例えばHuntsmanによってJeffamine(登録商標)で販売されているもの。また、脂肪族多環式ポリアミン、例えばトリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナン等、アミノ官能性シロキサン、例えばジアミノプロピルシロキサンG10 DAS(Momentive製)、オレオアルキル系アミン、例えばSolvay製のFentamine、二量体脂肪酸ジアミン、例えばCroda製のPriamine等も使用可能である。
【0021】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、Xは、一般式(III)のポリアミン(ここで、m=2で、Xは、少なくとも1つの環状炭素環を含有する環状炭化水素基である)の1つから第1級アミノ基を除去することによって得られる有機基である。特に好適に使用され得るジアミンの例は、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin(登録商標)C260,BASF AG)、環においてメチル基で置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン(=C-モノメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族アミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミン等である。
【0022】
同様に、ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、1,5-ジアミノペンタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの群から選択される、一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である。3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノペンタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンが特に好ましく、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンを使用することが非常に特に好ましい。
【0023】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、特に好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの群から選択される、一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である。
【0024】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、非常に特に好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンの群から選択される、一般式(III)のポリアミンの1つから第一級アミノ基を除去することによって得られる有機基である。
【0025】
インデックスmは、>1の整数であり、好ましくは2である。
【0026】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧4%から≦20%、好ましくは>4%から≦20%、特に好ましくは≧5%から≦20%、より好ましくは≧5.3%から≦20%、最も好ましくは≧5.3%から≦15%であり、ここで、2つの一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%である。
【0027】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、一般式(I)および(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物であり、ここで、フマル酸ジアルキルの割合は、成分Aの総重量に基づいて、≧0.01重量%から≦1.2重量%、好ましくは≧0.01重量%から≦1重量%、より好ましくは≧0.01重量%から≦0.1重量%である。
【0028】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、特に好ましくは、
一般式(I)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで、
Xは、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去して得られるような、1つ以上のヘテロ原子を含有してもよい、m価の有機基であり、
R1およびR2は、それぞれ1~8個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基であり
mは、>1の整数である)
および
一般式(II)である、第一級アミノ基を有する1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで
nは、m-1であり、
Xならびに基R1およびR2は、上記で定義した意味を有する)
を含む組成物であり、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧4%~≦20%に相当し、ここで、2つの一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%であり、フタル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦1.2重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする。
【0029】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、最も好ましくは、
一般式(I)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで、
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるようなm価の有機基であり、
R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基からなる群から選択される同一または異なるアルキル基であり、
mは、2である)
および
一般式(II)である、第一級アミノ基を有する1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで
nは、m-1であり、
Xならびに基R1およびR2は、上記で定義した意味を有する)
を含む組成物であり、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧4%~≦20%に相当し、ここで、2つの一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%であり、フタル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦1重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする。
【0030】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、さらにより好ましくは、
一般式(I)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで
Xは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるようなm価の有機基であり、
R1およびR2は、エチル基であり、
mは、2である)
および
一般式(II)である、第一級アミノ基を有する1つ以上のポリアスパラギン酸エステル
(ここで
nは、m-1であり、
Xならびに基R1およびR2は、上記で定義した意味を有する)
を含む組成物であり、
一般式(II)の化合物の割合が、(ガスクロマトグラムにおいて面積%として測定される)GCによる面積の≧5%~≦20%に相当し、ここで、2つの一般式(I)および(II)の化合物のGCによる面積の合計が100%であり、フタル酸ジアルキルが、成分Aの総重量に基づいて≧0.01重量%~≦0.1重量%の量で成分A中に存在することを特徴とする。
【0031】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、好ましくは、白金-コバルト色指数が≦100、より好ましくは≦50である、一般式(I)および式(II)の1つ以上のポリアスパラギン酸エステルを含む組成物である。白金-コバルト色指数は、DIN EN ISO 6271:2016-05に従って測定される。
【0032】
上述のポリアスパラギン酸エステル含有成分Aは、以下の方法によって調製することができる:
一般式(III)のポリアミン
【化3】
(ここで、
Xは、(環状)脂肪族的または芳香脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有し、60~6000g/molの分子量範囲であり、イソシアネート基に対して反応性でありおよび/または100℃以下の温度で不活性であるさらなる官能基を含有してもよい、ポリアミンから第一級アミノ基を除去することによって得ることができるような、1つ以上のヘテロ原子を含有してもよい、m価の有機基であり、
mは、>1の整数であり、好ましくは2である)を一般式(IV)の化合物
【化4】
(ここで、R1およびR2は、同一または異なる有機基、好ましくはそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基、より好ましくはそれぞれ1~8個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基、非常に特に好ましくはそれぞれの場合においてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基等のアルキル基、最も好ましくはエチルである)と反応させること、
および、一般式(IV)の化合物の未反応フラクションを蒸留により除去すること。
【0033】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aの調製のための上記方法は、好ましくは、2工程で行われる。第1の工程では、一般式(III)および(IV)の化合物は、0℃~100℃、好ましくは20~80℃、より好ましくは20~60℃の温度で、一般式(III)の化合物中の第一級アミノ基の当量と一般式(IV)の化合物中のC=C二重結合当量の比が1:1.2~1.2:1、好ましくは1:1.05~1.05:1で、一般式(IV)の化合物の残留含量が2~15重量%、好ましくは3~10重量%になるまで、反応させる。
【0034】
第2の工程では、一般式(IV)の化合物の未反応フラクションを蒸留によって除去する。
【0035】
蒸留中の適切な条件は、0.01~2mbarの圧力範囲で、蒸留装置を出る際の底部流出物の温度が≦170℃および以下の式(V)から生じる温度以上である:
T(底部流出物)=27×ln(p)+150 (V)
ここで、T(底部流出物)は、底部流出物の温度(℃)であり、
pは、蒸留装置内の圧力(mbar)である。
【0036】
この圧力範囲を維持することにより、底部流出物中の適度な温度がフマル酸ジアルキル含有量を所望の程度まで枯渇させるのに十分であるだけでなく、この方法が工業的規模で使用可能なままであることが保証される。より低い圧力では、ガス密度が低くなりすぎ、結果的に必要な装置が非常に大きくなり、その結果、プロセスが経済的に不利になる。
【0037】
底部流出物の温度は、好ましくは≦170℃であるが、式(V)から得られる温度より少なくとも20K高く、より好ましくはそれは式(V)から得られる温度より20K~40K高いが、170℃以下である。
【0038】
上記方法において使用することができる一般式(III)の化合物はすべて一般式(III)に一致する第一級アミノ基を有する公知のポリアミンである。例としては、以下の化合物が挙げられる:エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(DuPontからのDytek(登録商標)A)、1,6-ジアミノヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンまたはトリアミノノナン、エーテルアミン、例えば4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン等、または脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有する高分子量ポリエーテルポリアミン、例えばHuntsmanによってJeffamine(登録商標)で販売されているもの。また、脂肪族多環式ポリアミン、例えばトリシクロデカンビスメチルアミン(TCDジアミン)またはビス(アミノメチル)ノルボルナン等、アミノ官能性シロキサン、例えばジアミノプロピルシロキサンG10 DAS(Momentive製)、オレオアルキル系アミン、例えばSolvay製のFentamine、二量体脂肪酸ジアミン、例えばCroda製のPriamine等も使用可能である。
【0039】
上記方法において、m=2であり、Xが少なくとも1つの環式炭素環を有する環式炭化水素基である一般式(III)のポリアミンを使用することが好ましい。特に好適に使用され得るジアミンの例は、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン(IPDA)、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン(H6-TDA)、イソプロピル-2,4-ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル-2,6-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin(登録商標)C260,BASF AG)、環においてメチル基で置換された異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン(=C-モノメチル-ジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)、および芳香脂肪族アミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼンまたはm-キシリレンジアミン等である。
【0040】
本発明による方法において、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの群から選択される一般式(III)のポリアミンを使用することが好ましい。3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンが特に好ましく、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンを使用することが非常に特に好ましい。
【0041】
本発明による方法において、脂肪族的に結合した第一級アミノ基を有するポリエーテルポリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトリレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの群から選択される一般式(III)のポリアミンを使用することが特に好ましい。
【0042】
本発明による方法において、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,4’-および/または4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンおよび1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンの群から選択される一般式(III)のポリアミンを使用することが非常に特に好ましい。
【0043】
上記方法で使用される一般式(IV)の好ましい化合物は、R1およびR2がそれぞれ1~18個の炭素原子を有する同一または異なる有機基である一般式(IV)のマレイン酸エステルまたはフマル酸エステルである。好ましくは、R1およびR2は、独立して、1~8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であり、より好ましくはそれぞれがメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルまたはイソブチル基等のアルキル基であり、特に好ましくはエチルである。
【0044】
一般式(IV)の化合物の例には、以下の化合物が含まれる:マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ-n-プロピルまたはマレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシルまたは対応するフマル酸エステル。非常に特に好ましいのはマレイン酸ジエチルである。
【0045】
本発明による2成分コーティング組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネート成分Bを含む。
【0046】
適したポリイソシアネート成分Bは、少なくとも2の平均NCO官能価および少なくとも140g/molの分子量を有する有機ポリイソシアネートである。140~300g/モルの分子量範囲の未変性有機ポリイソシアネート、300~1000g/モルの分子量範囲の塗料用ポリイソシアネート、およびウレタン、ウレアおよび/またはアロファネート基および400g/モルを超える分子量を有するNCOプレポリマー、またはそれらの混合物が特に好適である。
【0047】
本発明の文脈において、「塗料用ポリイソシアネート」の用語は、それ自体公知のオリゴマー化反応によって単純なポリイソシアネートから得ることができる化合物または化合物の混合物を意味すると理解される。適切なオリゴマー化反応の例は、カルボジイミド化、ダイマー化、トリマー化、ビウレット化、ウレア形成、ウレタン化、アロファネート化および/またはオキサジアジン構造の形成を伴う環化である。オリゴマー化は、同時にまたは連続して行われる上述の反応の1つより多くからなってもよい。
【0048】
「塗料用ポリイソシアネート」は、好ましくは、ビウレットポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、イソシアヌレートおよびウレトジオン基を含有するポリイソシアネートの混合物、ウレタンおよび/またはアロファネート基を含有するポリイソシアネート、または単純な有機ポリイソシアネートに基づくイソシアヌレートおよびアロファネート基を含有するポリイソシアネートの混合物である。
【0049】
同様に、ポリイソシアネート成分Bとして適したものは、それ自体公知であり、一方で単純な有機ポリイソシアネートおよび/または塗料用ポリイソシアネートおよび他方で300g/molを超える分子量を有する有機ポリヒドロキシ化合物に基づいた、イソシアネート基を含有するプレポリマーである。ウレタン基を含有する塗料用ポリイソシアネートは、62~300g/molの分子量範囲の低分子量ポリオールの誘導体であり、適切なポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはこれらのアルコールの混合物であり、イソシアネート基を含有するプレポリマーは、300g/molを超え、好ましくは400g/molを超え、より好ましくは400~8000g/molの分子量を有するポリヒドロキシ化合物を使用して調製される。このようなポリヒドロキシル化合物は、特に、1分子当たり2~6個、好ましくは2~3個のヒドロキシル基を有するものであり、エーテル、エステル、チオエーテル、カーボネートおよびポリアクリレートポリオールならびにこのようなポリオールの混合物からなる群から選択される。
【0050】
イソシアネート基を含有するプレポリマーの調製において、上記の高分子量ポリオールはまた、上記の低分子量ポリオールとの混合物の形態で使用され得、本発明によるポリイソシアネート成分b)として同様に適切であるウレタン基を含有する低分子量塗料用ポリイソシアネートおよび高分子量NCOプレポリマーの混合物を直接生じさせる。
【0051】
イソシアネート基を含有するプレポリマーまたはその塗料用ポリイソシアネートとの混合物の調製のために、以下に例として記載されたタイプの単純な有機ポリイソシアネートまたは塗料用ポリイソシアネートを、高分子量ヒドロキシル化合物または例として記載されたタイプの低分子量ポリヒドロキシル化合物とその混合物と反応させ、その一方で、1.1:1~40:1、好ましくは2:1~25:1のNCO/OH当量比を維持し、ウレタンおよび/またはアロファネートを形成させる。過剰の蒸留可能な単純な有機ポリイソシアネートを使用する場合、これは蒸留による反応後に任意に除去され得、その結果、モノマーを含まないイソシアネート基を含有するNCOプレポリマーが存在し、これは同様にポリイソシアネート成分b)として使用され得る。
【0052】
適切な単純有機ポリイソシアネートの例は、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン2,4’-ジイソシアネートおよび/または4,4’-ジイソシアネート、1,10-ジイソシアナトデカン、1,12-ジイソシアナトドデカン、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート異性体、トリイソシアナトノナン(TIN)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、2,4-ジイソシアナトトルエンまたはその2,6-ジイソシアナトトルエンとの混合物、好ましくは、混合物に基づき、35重量%以下の2,6-ジイソシアナトトルエンを含有するもの、2,2’-、2,4’-、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンまたはジフェニルメタンシリーズの工業用ポリイソシアネート混合物、または上記のポリイソシアネートの任意の所望の混合物である。
【0053】
ここで、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン2,4’-および/または4,4’-ジイソシアネート、1,10-ジイソシアナトデカン、1,12-ジイソシアナトデカン、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート異性体、トリイソシアナトノナン(TIN)、またはこのようなポリイソシアネートの任意の所望の混合物の群から選択される脂肪族、環状脂肪族または芳香脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0054】
原則として、当然ながら、上記のタイプの異なるポリイソシアネート成分の混合物を使用することも可能である。
【0055】
ポリアスパラギン酸エステル含有成分Aに加えて、本発明による2成分組成物は、イソシアネート基に対して反応性であるさらなる成分(成分C)を含み得る。
【0056】
これらは、例えば、62~300g/molの分子量範囲の低分子量ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはこれらのアルコールの混合物、または300g/molを超える、好ましくは400g/molを超える、より好ましくは400~20000g/molの分子量を有するポリヒドロキシ化合物であり得る。このようなポリヒドロキシル化合物は、特に、1分子当たり2~6個、好ましくは2~3個のヒドロキシル基を有するものであり、エーテル、エステル、チオエーテル、ポリウレタン、カーボネートおよびポリアクリレートポリオールならびにこのようなポリオールの混合物からなる群から選択される。
【0057】
さらに、本発明による2成分組成物は、少なくとも1つの水捕捉剤および/または加水分解安定剤(成分D1)を含む。
【0058】
適切な水捕捉剤は、例えば、オルトギ酸トリエチル、トルエンスルホニルイソシアネート、モノオキサゾリジンまたはモレキュラーシーブであり、適切な加水分解安定剤は、例えば、カルボジイミドである。
【0059】
さらに、本発明による組成物は、ポリイソシアネート重付加化合物によるコーティング技術、および特にポリウレタン化合物に典型的なさらなる助剤および添加剤(成分D2)を含み得る。例としては、触媒/活性剤、例えば、WO05058996に記載されているような、チタン-、ジルコニウム-、ビスマス-、スズ-および/または鉄-含有触媒等である。アミンまたはアミジンを添加することも可能である。
【0060】
他の適切な助剤および添加剤D2の例は、特に、UV吸収剤および立体障害アミン(HALS)等の光安定剤、ならびに安定剤、消泡剤、クレーター形成防止剤および/または湿潤剤、レベリング剤、膜形成助剤、反応性希釈剤、殺生物剤、溶媒またはレオロジー制御のための物質である。
【0061】
光安定剤、特にUV吸収剤、例えば置換ベンゾトリアゾール、S-フェニルトリアジンまたはオキサラニリド、および立体障害アミン、特に2,2,6,6-テトラメチルピペリジル構造を有するもの-HALSと呼ばれるもの-の使用は、例としてA.Valet,Lichtschutzmittel fuer Lacke[Light stabilizers for paints],Vincentz Verlag,Hanover,1996に記載される。
【0062】
安定剤、例えばフリーラジカル捕捉剤、および他の重合防止剤、例えば立体障害フェノール等は、貯蔵中に塗料成分を安定化し、硬化中の変色を防止することを意図する。湿潤剤およびレベリング剤は、コーティングの表面湿潤および/またはレベリングを改善する。例としては、フルオロ界面活性剤、シリコーン界面活性剤および特定のポリアクリレートである。レオロジー制御添加剤は、適用時および基材上のレベリング相における2成分系の特性を制御するために重要であり、例えば、特許明細書WO9422968、EP0276501、EP0249201またはWO9712945に開示されている。
【0063】
組成物は、溶媒を含んでもよい。溶媒は、有機溶媒または有機溶媒の混合物、または水または有機溶媒と水の混合物であってもよい。適切な溶媒は、当業者に公知の様式で使用されるべきであり、この使用は、組成物および適用プロセスに合わせて調整される。溶媒は、使用される成分を溶解し、それらの混合を促進し、不相溶性を回避することが意図される。加えて、塗布および硬化の間、それらは、最適な外観を有し、ポッピングまたはピンホール等の欠陥のない無溶剤コーティングを与えるように、進行中の架橋反応に合わせて調整された様式でコーティングから出るべきである。適切な溶媒には、特に、二成分技術で使用されるものが含まれる。有機溶媒の例は、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンまたはヘキサノン等、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル等、置換グリコールおよび他のエーテル、芳香族化合物、例えばキシレンまたは溶媒ナフサ、例えばExxon-Chemie製のもの等、および上記の溶媒の混合物である。組成物のNCO反応性成分が水性分散液の形態である場合、水も溶媒または希釈剤として適している。
【0064】
組成物中のポリイソシアネート成分Bとポリアスパラギン酸エステル含有成分Aとの比は、NCO反応性基に対するポリイソシアネート基のモル量に基づいて、好ましくは0.5:1.0~3.0:1.0である。0.9:1.0~1.5:1.0の比が特に好ましく、1.05:1.0~1.25:1.0の比が非常に特に好ましい。
【0065】
本発明による二成分組成物は、好ましくは、発泡性または発泡形成性組成物ではない。組成物は、好ましくはラジカル重合性ではなく、特に光重合性ではなく、すなわち、組成物は、ラジカルプロセスによって硬化せず、特に化学線によって開始されるラジカル重合プロセスによらない。
【0066】
本発明による二成分コーティング組成物は、塗料技術においてそれ自体公知の方法によって製造される。
【0067】
イソシアネート反応性成分(R)およびイソシアネート含有成分(H)は、それぞれのイソシアネート反応性成分AとCを混合するか、またはそれぞれのポリイソシアネート成分Bを混合することによって、最初に別々に調製される。助剤および添加剤D1およびD2は、好ましくはイソシアネート反応性成分Rと混合される。このようにして製造された成分RおよびHは、適用直前または適用時まで混合されない。混合が適用前に行われる場合、構成成分の反応は混合直後に開始することに留意すべきである。反応速度は、成分および添加剤の選択に従って変わる。組成物を適用しなければならない処理時間はポットライフとしても知られており、成分の混合から流動時間の倍増までの時間として定義され、成分の選択に応じて、これは1分~24時間の範囲、通常は10分~8時間の範囲である。ポットライフは、当業者に公知の方法によって決定される。
【0068】
本発明はまた、少なくとも以下の工程を含む、基材上にコーティングを製造するための方法にも関する:
i) コーティングすべき基材の少なくとも一部に上記の二成分コーティング組成物を適用すること、および
ii) 工程i)からのコーティング組成物の硬化すること。
【0069】
したがって、本発明はさらに、基材上のコーティングの製造における本発明による二成分コーティング組成物の使用、基材をコーティングするための上記の方法、およびこのようにして得られるコーティングされた基材自体を提供する。
【0070】
基材は、1つ以上のコーティング層で完全にまたは部分的に既にコーティングされていてもよい。これらのコーティング層は未硬化であっても湿潤であってもよく、部分的に硬化されていても完全に硬化されていてもよく、基材上のさらなるコーティング層は、好ましくは部分的に硬化されているか完全に硬化されている。コーティング層の例は、下塗りコート、プライマー、フィラー、スパックリングコート、ベースコート、または既に完全に塗装され、サンディングまたはプラズマ活性化等の可能な前処理の後に再コーティングされている基材である。特に適しているのは、例えば車両、特に船舶、航空機、自動車(motor vehicle)、例えば自動車(automobile)、トラック、コーチ、大型車両、鉄道車両等における修復またはメンテナンス作業における再仕上げまたは仕上げにおいて生じるような基材である。
【0071】
したがって、本発明はさらに、好ましくは、基材、特に自動車における修復またはメンテナンス作業における再仕上げまたは仕上げにおいて生じる基材上のクリアコートの製造において上記二成分コーティング組成物の使用、これらの特定の基材をコーティングするための上記方法、およびこのようにして得られるコーティングされた基材自体を提供する。
【0072】
コーティング組成物は、慣用の塗布方法によって塗布することができる。塗布方法の例は、ブラッシング、ローラー塗布、ナイフ塗布、浸漬および噴霧であり、噴霧塗布が好ましい。任意のフラッシュオフ時間の後、塗布に続いて、基材または物体上での本発明による組成物の硬化および乾燥が行われる。これは、周囲条件(温度および大気湿度)下、または、例えばオーブン温度の上昇による、赤外線、近赤外線またはマイクロ波放射線等の放射線の使用、および除湿および/または加熱された空気または他の気体の使用による強制条件下で、コーティング技術において通常の方法に従って行われる。これは、好ましくは、強制硬化のための装置を使用せずに行われる。塗布されたコーティング組成物は、例えば、-20~100℃、好ましくは-10~80℃、より好ましくは0~60℃、最も好ましくは10~40℃の温度で硬化される。好ましくはないが、より低い硬化温度を使用してもよいが、より長い硬化時間をもたらす。
【0073】
好ましくはないが、より高い温度、例えば80~160℃またはそれ以上で組成物を硬化させることも同様に可能である。
【0074】
第1のコーティング層が硬化した後、さらなるコーティング層が適用され得、同様に硬化され得る。
【0075】
本発明はさらに、耐水性コーティングの製造における本発明による二成分コーティング組成物の使用を提供する。
【実施例
【0076】
実験セクション
原料および基材:
PACM20:2,4-および4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンの混合物、製造業者:Evonik
Desmodur N 3900:約23.5%のNCOを含有する低粘度HDI三量体、製造業者:Covestro
Byk331:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン表面添加剤、製造業者:Byk
Tinuvin384-2:ベンゼンプロパン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ、C-C分岐及び線状アルキルエステル、BASFからの光安定剤
添加剤OF:オルトギ酸トリエチル、Borchersからの添加剤
基材:コイルコーティングされたテストプレート、灰色、供給者:Heinz Zanders Pruef-Blech-Logistik(Solingen)
【0077】
方法:
フマル酸ジエチル含量は、内部標準を用いたGC法を用いて定量した。標準GCキャピラリー(100%ポリシロキサン相)およびFID検出器を有するAgilent6890ガスクロマトグラフを使用した。注入器温度(スプリット出口)は180℃であった。キャリアガスとしてヘリウムを用いた。この方法の定量限界は300ppmであった。
GC-MS分析は、Agilent6890ガスクロマトグラフおよびAgilent5973質量スペクトル検出器を用いて、70eVでの標準イオン化(電子衝撃)、標準GCキャピラリー(100%ポリシロキサン相)および250℃の注入器温度での分割注入を用いて行われた。ガスクロマトグラムの評価は面積%であった。
全ての粘度測定は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従って、Anton Paar Germany GmbH(DE)からのPhysica MCR 51レオメーターを用いて行われた。
ハーゼンカラーインデックス数は、DIN EN ISO 6271:2016-05に従って、Hach Lange GmbH,DuesseldorfからのLico400比色計で決定された。
アミン値は、その結果がアミン値として表されたことを除いて、EN ISO 9702:1998(過塩素酸法)に従って滴定により決定された。アミン値(mgKOH/g)は、以下の式に従って計算された:
【数1】
a=メインテストで消費された過塩素酸の体積(ミリリットル)、c=0.1mol/L;
b=ブランクテストで消費された過塩素酸の体積(ミリリットル)、c=0.1mol/L;
W=サンプルの重量(グラム)
凝縮水試験は、DIN EN ISO 6270-2:2017に従って行われた。膨れは、DIN EN ISO 4628-2:2016に従って評価された(n.c.=変化なし/bl.=膨れ数/bs=膨れサイズ)。
【0078】
例1(比較)
Desmophen NH 1420の名でCovestroから市販されているポリアスパラギン酸エステル。
材料データ:
式(II)のモノアミン(GC-MS): 4.0%
フマル酸ジエチル(GC) 2.9重量%
粘度 1220mPas
カラーインデックス 27APHA
アミン値 201mgKOH/g
【0079】
例2
最初に、341.8gのPACM20を、撹拌しながら、乾燥窒素下、23℃で充填した。これに567.6gのマレイン酸ジエチルを滴下し、温度が60℃を超えて上昇しないことを確実にした。添加終了時に、温度を45℃に調整し、混合物を45℃で2時間撹拌した。次に、その混合物を23℃で7週間貯蔵した。貯蔵後のフマル酸ジエチルの含有量は2.7重量%であった。次に、フマル酸ジエチルを120℃および0.2mbarで留去した。以下の材料データを有する薄い色の生成物を得た:
式(II)のモノアミン(GC-MS): 5.3%
フマル酸ジエチル(GC) 0.08重量%
粘度 1810mPas
カラーインデックス 19APHA
アミン値 203mgKOH/g
【0080】
コーティング試験
コーティングベースの調製
表1に示された量の成分Aに、表に示された添加剤及び量の酢酸ブチルを添加し、その混合物を均一に撹拌した。
【0081】
硬化剤溶液の調製
表1に示された量の成分Bに、示された量の酢酸ブチルを添加し、その混合物を均一に撹拌した。
【0082】
コーティング構造:基材を、Sata Jet RP、ノズル1.3mm/2.1barを用いた空気圧スプレー法によって、深い黒色のPermahydシリーズ280ベースコート(供給業者:ケルンのSpies Hecker GmbH)でコーティングし、室温で20分間乾燥させた(乾燥膜の層厚:15μm)。木製ヘラで15秒間撹拌することで適用の直前に成分AおよびBを混合して2Cクリアコートを製造し、次いで、Sata Jet RP、ノズル1.3mm/2.1barを用いた空気圧スプレー法でプレコートされた基材に適用した。乾燥は、室温(24℃/30%相対湿度)で7日間であった。50~60μmの層厚を有するブリリアントな高光沢コーティングが得られた。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
例3の比較コーティングは、凝縮水試験において96時間後にすでに膨れを示していたが、例4の本発明によるコーティングは、240時間後まで膨れを示さなかった。これらの結果は、本発明によるポリアスパラギン酸エステル組成物が従来のコーティングよりも著しい工業的利点を達成することができるという証拠を提供する。
【0086】
コーティングは、凝縮試験(DIN EN ISO 6270-2:2017に準拠)が100時間後、好ましくは150時間後、最も好ましくは200時間後でさえコーティングに変化を生じない場合、水耐性/水安定性(DIN EN ISO 4628-2:2016に準拠する評価)であると考えられる。
【0087】
【表3】
【0088】
比較コーティング(例4)について表3に示されるコーティング特性を本発明によるコーティング(例3)と比較すると、本発明によるコーティングはポットライフを変化させずに、より迅速に乾燥することが実証されている。
【国際調査報告】