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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】呼吸ガス加湿器に関する改良
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/284 20060101AFI20220330BHJP
   G01F 23/292 20060101ALI20220330BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20220330BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G01F23/284
G01F23/292 A
A61M16/00 380
A61M16/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549155
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2020054919
(87)【国際公開番号】W WO2020173945
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】1902508.9
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507289070
【氏名又は名称】インターサージカル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン、フィリップ ウィリアム
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014FA03
2F014FC01
2F014GA01
(57)【要約】
呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を判定するセンサ及び方法であって、センサは、電磁放射信号を放射するための送信器と、電磁放射信号を受信し、出力信号を供給するための受信器と、送信器によって放射される電磁放射信号の強度及び/又は受信器のゲイン設定を変化させるためのコントローラとを備え、コントローラは、送信器が第1の強度を有し、受信器が第1のゲイン設定を有し、受信器が第1の出力信号を提供する第1の構成と、送信器が第2の強度を有し、受信器が第2のゲイン設定を有し、受信器が第2の出力信号を提供する第2の構成の2つのセンサ構成を有し、第1の強度は第2の強度と異なるか、且つ/又は第1のゲイン設定は第2のゲイン設定と異なり、コントローラは、受信器の第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較することによって、加湿チャンバの状態を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を決定するセンサであって、前記センサは、電磁放射信号を放射する送信器と、前記電磁放射信号を受信し、出力信号を供給する受信器と、前記送信器によって放射される電磁放射信号の強度及び/又は前記受信器のゲイン設定を変化させるコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記送信器が第1の強度を有し、前記受信器が第1のゲイン設定を有し、かつ前記受信器が第1の出力信号を提供する第1の構成と、前記送信器が第2の強度を有し、前記受信器が第2のゲイン設定を有し、かつ前記受信器が第2の出力信号を提供する第2の構成の2つのセンサ構成を有し、
前記第1の強度は前記第2の強度と異なり、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なり、且つ
前記コントローラは、前記受信器の前記第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較することによって、前記加湿チャンバの状態を決定する、センサ。
【請求項2】
上に定義されたセンサを用いて呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を決定する方法であって、前記方法は、以下のステップ、即ち
(a)第1の強度を有する第1の電磁放射信号を送信器から放射し、受信器が第1の出力信号を提供するように、第1のゲイン設定を有する受信器で前記第1の電磁放射信号を受信するステップ、
(b)送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、受信器が第2の出力信号を提供するように、第2のゲイン設定を有する受信器で前記第2の電磁放射信号を受信するステップ、及び
(c)受信器の第1及び第2の出力信号を1つ以上の閾値と比較し、加湿チャンバの状態を決定するステップ
を含み、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる方法。
【請求項3】
呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を決定する方法であって、以下のステップ、即ち
(a)送信器から第1の強度を有する第1の電磁放射信号を放射し、受信器が第1の出力信号を提供するように、第1のゲイン設定を有する受信器で前記第1の電磁放射信号を受信するステップ、
(b)送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、受信器が第2の出力信号を提供するように、第2のゲイン設定を有する受信器で前記第2の電磁放射信号を受信するステップ、及び
(c)受信器の第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較し、それによって加湿チャンバの状態を決定するステップ
を含み、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる方法。
【請求項4】
呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの故障を判定する方法であって、以下のステップ、即ち
(a)送信器から第1の強度を有する第1の電磁放射信号を放射し、受信器が第1の出力信号を提供するように、第1のゲイン設定を有する受信器で前記第1の電磁放射信号を受信するステップ、
(b)送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、受信器が第2の出力信号を提供するように、第2のゲイン設定を有する受信器で前記第2の電磁放射信号を受信するステップ、
(c)受信器の第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較し、それによって、加湿チャンバの状態を決定するステップ、及び
(d)加湿チャンバの決定された状態に基づいて、加湿チャンバとの故障を表示すべきかどうかを判断するステップ
を含み、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる、
方法。
【請求項5】
前記加湿チャンバが第1の状態にあるか否かは、前記第1の出力と前記閾値の1つとの比較に直接に基づいて判断されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項6】
前記第1の出力と前記閾値の1つとの比較に直接に基づいて、前記加湿チャンバとの故障を表示するか否かを判断することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項7】
前記センサ又は方法は、少なくとも3つの異なる状態から前記加湿チャンバの状態を決定する、請求項1~6のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項8】
前記少なくとも3つの異なる状態は、(i)加湿チャンバが存在し、前記貯水槽のレベルが閾値レベルを上回っている、(ii)加湿チャンバが存在し、前記貯水槽のレベルが閾値レベルを下回っている、及び(iii)加湿チャンバが存在しない、ことを含む、請求項7に記載のセンサ又は方法。
【請求項9】
前記第1の出力信号が得られ、次いで、前記第2の出力信号が得られる前に第1の閾値と比較され、次いで、第2の閾値と比較される、請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項10】
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号が得られ、次いで第1の閾値及び第2の閾値と比較される、請求項1~8のいずれか一項に記載のセンサ又は方法。
【請求項11】
前記加湿チャンバの状態の判定は、前記加湿チャンバの状態の定期的な判定が得られるように、間隔をおいて繰り返されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項12】
加湿チャンバが空又はほぼ空であることを判定することに対応して、且つ/又は加湿チャンバが存在しないことを判定することに対応して警報信号が開始される、請求項1~11のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項13】
前記コントローラは、前記送信器が第3の強度を有する基準電磁放射信号を放射し、前記受信器が第3のゲイン設定を有し、前記受信器が第3の出力信号を提供する第3のセンサ構成を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のセンサ又は方法。
【請求項14】
前記第3の強度は、最小強度であり、且つ/又は前記第3のゲイン設定は、最小ゲイン設定である、請求項13に記載のセンサ又は方法。
【請求項15】
前記第3の出力信号を前記第1の出力信号から減算して較正された第1の出力信号を生成することができ、且つ/又は前記第3の出力信号を前記第2の出力信号から減算して較正された第2の出力信号を生成することができる、請求項13又は請求項14に記載のセンサ又は方法。
【請求項16】
前記第1の出力信号を閾値と比較することは、前記較正された第1の出力信号を前記閾値と比較することを含み、且つ/又は前記第2の出力信号を閾値と比較することは、前記較正された第2の出力信号を前記閾値と比較することを含む、請求項15に記載のセンサ又は方法。
【請求項17】
コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに請求項2、3又は5~16のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項18】
前記送信器及び前記受信器は、前記加湿チャンバと、前記加湿チャンバの対向する壁に配置される請求項1~16のいずれか1項に記載のセンサとを備える加湿器。
【請求項19】
前記加湿器が単一の送信器-受信器対を有する、請求項18に記載の加湿器。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸用ガスの加湿器に関し、特に呼吸用ガスの加湿器における貯水槽室の状態を検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康な人の場合、呼吸の機能は完全に自発的である。脳は血液中の二酸化炭素の蓄積を感知し、直ちにより多くの酸素を要求する。この酸素は自発的吸気によって体内に取り込まれ、呼吸の受動的呼気相で二酸化炭素が除去される。健常者は一定量の湿度を発し、肺内の分泌物の蓄積を止めるために使用される。
【0003】
自然に呼吸する能力は、いくつかの理由で失われることがある。例えば、外科的処置の結果(術後)、肺を侵すある種の筋疾患の結果、又は臨床医による鎮静の結果である。従って、患者は酸素化と二酸化炭素除去を達成するために、機械的手段によって換気されなければならない。
【0004】
患者が機械的に換気される場合、空気の湿度が十分に高いレベルに維持されることが不可欠である。これは、従来、熱水分交換器(HME)又は加湿器を使用して達成される。HMEは、水分を呼気呼吸で保持し、この水分は次の吸気相で肺に送り返される。加湿器では、吸気ガスは、貯水槽を収納した加熱加湿チャンバを通過し、吸気ガスは肺に入る前に湿度をピックアップする。
【0005】
従来の加湿器は、貯水槽を収容した加湿チャンバと、加湿チャンバの貯水槽を加熱するヒータ板を備えた基部とから構成されている。加湿チャンバは、また、呼吸ガスが加熱された貯水槽の表面上を流れるように、ガスが加湿チャンバに出入りする2つのポートを備える。さらに、多くの加湿チャンバは、加湿チャンバから失われる水を置換する手段を含み、これによって水位を比較的一定に維持する。このような手段は、典型的には、チャンバ内への液体の流れを制御するためのバルブを含む流体入口の形成をとる。バルブは、典型的にはフロートアクチュエータを有し、それによって、使用中のフロートアクチュエータの上昇及び下降は、バルブを開閉して加湿チャンバ内の水位を比較的一定に維持するように作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加湿器には、加湿チャンバ内の水が不足していることを検出し、これが発生したときに警報を発する手段が含まれることが知られている。加湿チャンバ内の水の不足は、フロートバルブの動作不良や、水の供給が阻害され、又は接続が断たれて発生することがある。加湿チャンバ内の水が不足している場合に警報を発するための既存の加湿器の基部は、複雑さ及び製造コストを含む多くの欠点に悩まされている。
【0007】
従来技術に関連する上記及び/又は他の欠点を克服又は実質的に緩和する呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を決定するための改良されたセンサ及び方法が、現在考案されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を決定するためのセンサが提供され、前記センサは、電磁放射信号を放射するための送信器と、前記電磁放射信号を受信し、出力信号を供給するための受信器と、前記送信器によって放射される電磁放射信号の強度及び/又は前記受信器のゲイン設定を変化させるためのコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記送信器が第1の強度を有し、前記受信器が第1のゲイン設定を有し、前記受信器が第1の出力信号を提供する第1の構成と、前記送信器が第2の強度を有し、前記受信器が第2のゲイン設定を有し、かつ前記受信器が第2の出力信号を提供する第2の構成の2つのセンサ構成を有し、ここで、前記第1の強度は第2の強度と異なり、且つ/又は前記第1のゲイン設定は第2のゲイン設定と異なり、前記コントローラは、前記受信器における第1及び第2の出力と1つ以上の閾値とを比較して加湿チャンバの状態を判断する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、上記のようなセンサを用いて呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を判定する方法が提供され、前記方法は、以下のステップ、即ち
(a)第1の強度を有する第1の電磁放射信号を送信器から放射し、第1のゲイン設定を有する第1の電磁放射信号を受信器で受信して、前記受信器において第1の出力信号を提供するステップ、
(b)前記送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、第2のゲイン設定を有する第2の電磁放射信号を受信器で受信して、前記受信器において第2の出力信号を提供するステップ、及び
(c)前記受信器の第1及び第2の出力信号を1つ以上の閾値と比較し、それによって、加湿チャンバの状態を決定するステップ
を有し、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの状態を判定する方法が提供され、前記方法は、以下のステップ、即ち
(a)送信器から第1の強度を有する第1の電磁放射信号を放射し、第1のゲイン設定を有する受信器で第1の電磁放射信号を受信して、前記受信器が第1の出力信号を提供するステップ、
(b)送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、第2のゲイン設定を有する受信器で第2の電磁放射信号を受信して、前記受信器が第2の出力信号を提供するステップ、及び
(c)受信器の第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較し、それによって加湿チャンバの状態を決定するステップを有し、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバの故障を判定するセンサが提供され、前記センサは、電磁放射信号を放射する送信器と、前記電磁放射信号を受信し、出力信号を供給する受信器と、前記送信器によって放射される電磁放射信号の強度及び/又は前記受信器のゲイン設定を変化させるコントローラとを備え、前記コントローラは、前記送信器が第1の強度を有する電磁放射信号を放射し、前記受信器が第1のゲイン設定を有し、かつ前記受信器が第1の出力信号を提供する第1の構成と、前記送信器が第2の強度を有する電磁放射信号を放射し、前記受信器が第2のゲイン設定を有し、前記受信器が第2の出力信号を提供する第2の構成との2つのセンサ構成を有し、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なり、前記コントローラは、前記受信器の第1及び第2の出力と1つ以上の閾値とを比較することによって、前記加湿チャンバの状態を判定するとともに、加湿チャンバの決定された状態に基づいて、前記加湿チャンバの故障を表示するか否かを決定する。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、呼吸ガス加湿器内の加湿チャンバとの故障を判定する方法が提供され、前記方法は、以下のステップ、即ち
(a)送信器から第1の強度を有する第1の電磁放射信号を放射し、第1のゲイン設定を有する受信器で第1の電磁放射信号を受信して、前記受信器において第1の出力信号を提供するステップ、
(b)送信器から第2の強度を有する第2の電磁放射信号を放射し、2のゲイン設定を有する受信器で第2の電磁放射信号を受信して、前記受信器において第2の出力信号を提供するステップ、
(c)前記受信器の第1及び第2の出力を1つ以上の閾値と比較し、それによって、加湿チャンバの状態を決定するステップ、及び
(d)加湿チャンバの決定された状態に基づいて、加湿チャンバとの故障を示すべきかどうかを判断するステップ
を備え、前記第1の強度は前記第2の強度と異なるか、且つ/又は前記第1のゲイン設定は前記第2のゲイン設定と異なる。
【0013】
本発明に係るセンサ及び方法は、主に、送信器によって放射される電磁放射の強度の変動及び/又は受信器のゲイン設定の変動が、単一の送信器-受信器対によって提供され得る第1及び第2の出力信号を提供し、加湿チャンバの異なる状態を1つ以上の閾値に対応させることを可能にし得ることから、有利である。このことにより、更に、加湿チャンバ及び/又は加湿チャンバの動作に故障があるか否かの判定が可能になる。
【0014】
整数が第1及び第2と呼ばれる場合、明示的に述べられていない限り、これはこれらの整数が必ずしも異なると推測しないことが理解されるであろう。
【0015】
本発明によるセンサ及び方法は、加湿チャンバの状態を少なくとも3つの異なる状態から決定することができる。少なくとも3つの異なる状態は、加湿チャンバの状態に関するものであってもよい。例えば、少なくとも3つの異なる状態は、加湿チャンバの存在及び/又は充填レベルに関するものであってもよい。少なくとも3つの異なる状態は、(i)加湿チャンバが存在し、貯水槽のレベルが閾値レベルを超えている(すなわち、故障していない状態)、(ii)加湿チャンバが存在し、貯水槽のレベルが閾値レベルを下回っている(すなわち、低水位の故障)、(iii)加湿チャンバが存在していない(すなわち、チャンバが欠落している故障)ことに対応し得る。
【0016】
加湿チャンバが第1の状態にあるかどうかは、第1の出力と閾値の1つとの比較に直接に基づいて判断され得る。加湿チャンバが第1の状態にあるかどうかは、単に、第1の出力信号の閾値の1つとの比較に基づいて判断されてもよい。なお、第2の出力といずれかの閾値との比較に基づいて、加湿チャンバが第2の状態にあるか第3の状態にあるかを判断してもよい。第1の出力が比較される閾値は、第2の出力が比較される閾値とは異っていてよい。
【0017】
第1の出力信号と第1の閾値との比較の後、加湿チャンバが、i)第1の状態、又はii)2つのさらなる状態のうちの1つ、すなわち、第2の状態及び第3の状態のうちの1つであると判断することができる。2つのさらなる状態は、この段階において、すなわち、第1の出力信号と第1の閾値との比較においては区別不可能又は解消不可能であってもよく、又は、少なくとも、さらなる妥当性確認を必要とするほどに近接していてもよい。例えば、2つのさらなる状態は、例えば、互いに1%、5%又は10%の範囲内の同様の強度を有する第1の電磁放射信号をもたらし得る。したがって、2つのさらなる状態は、例えば、互いに1%、5%又は10%の範囲内で、同様の強度を有する第1の出力信号を生成し得る。
【0018】
加湿チャンバがi)第1の状態にあると判断される場合、方法は終了することができ、すなわち、前記方法においては第2の出力信号を第2の閾値と比較することは行わなくてもよい。加湿チャンバがii)2つのさらなる状態のうちの1つにあると判断される場合、第2の出力信号を第2の閾値と比較して、加湿が第2の状態にあるか第3の状態にあるかを判断してもよい。例えば、第1の出力信号と第1の閾値を比較する第1の比較段階と、第1の比較段階に応じて、加湿チャンバが第1の状態であること、又は、ii)加湿チャンバが第1の状態でないこと、及び、第2の比較段階と第3の状態であることを判断するために、第2の比較段階と第2の出力段階とが必要であることを判断する第1の出力段階とを備えてもよい。
【0019】
したがって、第1の出力段の出力に依存して、加湿チャンバの状態を判定するステップは、第2の出力信号が第2の閾値と比較される第2の比較段と、第2の比較段に依存して、加湿チャンバが第2の状態iii)又は第3の状態iv)のいずれかであることが出力される第2の出力段とをさらに備えることができる。
【0020】
第2の閾値は、第1の閾値とは異なっていてもよい。3つの状態はそれぞれ異なる状態であってもよい。
【0021】
方法が、加湿チャンバの故障を判定する方法である場合、又はセンサが、加湿チャンバの故障を判定するためのセンサである場合、加湿チャンバの故障を示すべきかどうかの判定は、第1の出力と閾値の1つとの比較、及び/又は第2の出力と閾値の1つとの比較に基づいてもよい。
【0022】
第1の出力信号が取得され、次いで、第2の出力信号が取得される前に第1の閾値と比較され、次いで、第2の閾値と比較され得る。あるいは、第1及び第2の出力信号が取得され、次いで、第1及び第2の閾値と比較されてもよい。上記で定義された方法ステップは、加湿チャンバの状態の定期的な決定が得られるように、間隔をおいて繰り返されてもよい。
【0023】
第2の強度及び/又は第2のゲイン設定は、第1の強度及び/又は第1のゲイン設定に対して減少されてもよい。この例では、第1の出力信号が第1の閾値よりも低いことに応じて、加湿チャンバが第1の状態にあると判断してもよい。第1の状態は、加湿チャンバに故障がないこと、すなわち加湿チャンバに水が含まれていることであってよい。第1の出力信号が第1の閾値よりも高いことに対応して、第2の出力信号を第2の閾値と比較してもよい。第2の出力信号が第2の閾値よりも低いことに対応して、加湿チャンバが第2の状態にあると判断してもよい。
【0024】
第2の状態は、加湿チャンバが空又はほぼ空であることであってよい。第2の出力信号が第2の閾値よりも高いことに応じて、加湿チャンバが第3の状態であると判断してもよい。第3の状態は、加湿チャンバが存在しない状態であってよい。
【0025】
あるいは、第2のゲイン設定及び/又は第2の強度は、第1のゲイン設定及び/又は第1の強度に対して増加されてもよく、即ち、第2のゲイン設定は、第1のゲイン設定より高くてもよく、且つ/又は第2の強度は、第1の強度より高くてもよい。この例では、第1の出力信号が第1の閾値より高いことに応答して、加湿チャンバが第1の状態であると判断されてもよい。第1の状態は、加湿チャンバが存在しない状態であってもよい。第1の出力信号が第1の閾値よりも低いことに応答して、第2の出力が第2の閾値と比較されてもよい。第2の出力が第2の閾値よりも低いことに応じて、加湿チャンバが第2の状態にあると判断してもよい。第2の状態は、加湿チャンバに故障がないこと、すなわち加湿チャンバに水が含まれていることであってもよい。第2の出力が第2の閾値よりも高いことに応じて、加湿チャンバが第3の状態であると判断してもよい。第3の状態は、加湿チャンバが空であるか、又はほぼ空であることであってもよい。
【0026】
センサ及び方法のこれらの特徴は更に有利である。何故ならば、複数の閾値を有する複数の出力信号の比較は、さもなければ、受信器で同様の出力信号を生成する加湿チャンバの異なる状態を確実に区別することを可能にするからである。
【0027】
加湿チャンバが空又はほぼ空であると判定することに応答して、警報信号を発してもよい。アラーム信号は、視覚信号であってもよい。アラーム信号は、音声信号であってもよい。アラーム信号は、音声信号と視覚信号の組み合わせであってもよい。警報信号は、加湿チャンバの近傍で発してもよく、及び/又は警報信号は、遠隔地で発してもよい。
【0028】
あるいは、加湿チャンバが空又はほぼ空であると判定することに応答して、加湿チャンバの自動補充が開始されてもよい。
【0029】
加湿チャンバが存在しないと判断することに応答して、警報信号を発してもよい。アラーム信号は、視覚信号であってもよい。アラーム信号は音声信号であってもよい。アラーム信号は、音声信号と視覚信号の組み合わせであってもよい。警報信号は、加湿チャンバの近傍で発してもよく、及び/又は警報信号は、遠隔地で発してもよい。
【0030】
あるいは、加湿チャンバが存在しないと判断することに応答して、加湿チャンバの自動交換が開始されてもよい。
【0031】
アラーム信号の発生又は自動補充によって、加湿チャンバの故障ができるだけ迅速に解決又は修理されることが確実になるので、センサ及び方法のこれらの特徴はさらに有利である。
【0032】
コントローラは、送信器が第3の強度を有する基準電磁放射信号を放射し、受信器が第3のゲイン設定を有し、受信器が第3の出力信号を供給する第3のセンサ構成を有してもよい。第3の強度は、最小の強度であってもよく、第3のゲイン設定は、最小のゲイン設定であってもよい。
【0033】
本発明の第2の態様及び/又は第3の態様による方法は、さらに、送信器から第3の強度を有する第3の基準電磁放射信号を放射し、受信器が第3の出力信号を提供するように、第3のゲイン設定を有する受信器で第3の基準電磁放射信号を受信するステップを含んでもよい。第3基準電磁放射信号を送信器から放射し、第3基準電磁放射信号を受信器で受信するステップは、1つ以上の閾値を有する第1出力信号及び/又は第2出力信号の比較より前に位置し得る。第3のゲイン設定は、最小ゲインであってもよい。第3強度は、最小強度であってもよい。
【0034】
第3の出力信号は、周囲放射線及び/又は環境条件の結果として受信器で受け取られる放射線であってもよい。第3の出力信号は、較正された第2の出力信号を生成するために、第2の出力信号から減算されてもよい。これは、第2の出力信号を第2の閾値と比較する前に発生する可能性がある。したがって、第2の出力信号を第2の閾値と比較することは、較正された第2の出力信号を第2の閾値と比較することを含んでよい。
【0035】
同様に、第3の出力信号を第1の出力信号から減算して、較正された第1の出力信号を生成することができる。これは、第1の出力信号を第1の閾値と比較する前に発生する可能性がある。したがって、第1の出力信号を第1の閾値と比較することは、較正された第1の出力信号を第1の閾値と比較することを含むことができる。
【0036】
第1の閾値は、第1、第2、及び第3の状態のそれぞれについての前回受信した値を表す特性データによって決定されてもよい。第2の閾値は、第1、第2、及び第3の状態のそれぞれについての前回受信した値を表す特性データによって決定されてもよい。
【0037】
本発明の第6の態様によれば、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供され、この記憶媒体は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明の第2及び/又は第3及び/又は第5の態様による方法を実行させる命令を含む。
【0038】
第7の発明によれば、第2又は第5の発明に係る方法を実施するための加湿装置が提供される。前記加湿器は、加湿チャンバと、本発明の第1又は第4の態様によるセンサとを備える。送信器及び受信器は、加湿チャンバの対向する壁に配置することができる。加湿器は、単一の送信器-受信器対を有することができる。
【0039】
加湿器は、使用中の加湿チャンバ内に貯蔵された水を加熱するためのヒータをさらに備えることができる。ヒータは、使用時に加湿チャンバが配置されたプレートを備えることができる。加湿器は、本発明の第2及び/又は第3の態様による方法を実施するためのコントローラをさらに備えてもよい。加湿器は、警報信号を発する警報器をさらに備えてもよい。
【0040】
加湿チャンバは、加湿チャンバの内部にガス流を供給するための入口を備えることができる。加湿チャンバは、加湿チャンバから呼吸チューブなどの呼吸システムの別の構成要素に加熱且つ/又は加湿されたガス流を供給するための出口を備えることができる。入口及び/又は出口は、呼吸チューブの物理的接続のための従来の形状及び寸法であってもよい。
【0041】
加湿チャンバは、加湿器基部と取り外し可能に係合可能であってもよく、使用時に加湿器基部上に位置決めされてもよい。加湿チャンバは、加湿チャンバへの水の流れを調節するためのバルブを備えることができ、例えば、使用時に実質的に一定レベルの水を維持するために、バルブは、使用時に、加湿チャンバ内の貯水槽内に配置されたフロートを備えてよい。送信器及び受信器は、加湿チャンバの対向する壁に配置されてもよい。送信器及び受信器は、加湿器基部に取り付けられ、それらの間の理論上の直線経路が、加湿器基部に係合された加湿チャンバ内の貯水槽によって交差するように配置されてもよい。送信器と受信器との間の経路は、加湿器基部に係合された加湿チャンバの中心からオフセットされていてもよく、加湿チャンバ内の任意の弁又はフロートの側面にあってもよい。送信器及び受信器は、異なるチャンバが受信器で受信した電磁放射信号に測定可能な変化を与えるように、加湿器基部上の任意の場所に配置することができ、チャンバの状態は、(i)加湿チャンバが存在し、貯水槽のレベルが閾値レベル(すなわち、故障なし状態)を上回っている、(ii)加湿チャンバが存在し、貯水槽のレベルが閾値レベル(すなわち、低水位故障)を下回っている、(iii)加湿チャンバが存在しない(すなわち、チャンバの欠落故障)ことに対応する。
【0042】
送信器は、2つ以上の強度設定を有し、受信器は、より多くのパラメータを解決するためにさらなる区別が必要とされる2つ以上のゲイン設定を有し得る。送信器には、3、4、5、6、7の強度設定がある。受信器には、3、4、5、6、又は7のゲイン設定がある。より多くの強度又はゲイン設定が実装される場合には、強度及びゲイン設定の各組み合わせが逐次的にテストされるように、より多くの制御が必要となり得る。
【0043】
送信器は、可視放射源又は赤外線放射源のいずれかであってもよく、赤外線放射源であってもよい。第1及び第2の電磁放射信号は、同じ波長を有してもよく、400nm~15μmの範囲、又は好ましくは400~1000nmの範囲の波長を有してもよい。送信器は、LEDであってもよい。
【0044】
受信器は、フォトダイオードであってもよく、ゲイン設定が適用される増幅器を含んでもよい。
【0045】
以下、添付図面を参照して、本発明の実用可能な実施形態を説明する:
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】加湿器基部の平面図である。
図2】種々の加湿チャンバ状態について、電磁放射が低強度で送信され、低ゲイン設定で受信されたときの、加湿器基部の受信器で受信される電磁放射に対するシステム応答を示すグラフである。
図3】種々の加湿チャンバ状態について、図2の強度よりも高い強度で電磁放射が送信され、かつ/又は図2のゲイン設定よりも高いゲイン設定で受信されたときの、加湿器基部の受信器で受信された電磁放射に対するシステム応答を示すグラフである。
図4図1の加湿基部の加湿チャンバの状態を判定する第1の方法を示すフロー図である。
図5図1の加湿基部の加湿チャンバの状態を判定する第2の方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、加湿チャンバ10を有する加湿器5を示す。加湿チャンバ10には水15が充填され、フロート20は水15内に位置する。フロート20は、フロート弁(図示せず)の一部を形成し、これが給水チューブと協働して加湿チャンバ10に水を供給し、加湿チャンバ10内の水位を実質的に一定のレベルに維持する。送信器25及び受信器30は、加湿チャンバ10の対向する壁にある加湿器基部(図示せず)上に配置されている。送信器25は、光源、すなわちLEDなどの電磁放射源である。受信器30は、送信器25によって送信される特定の電磁放射を検出するように構成される。送信器25及び受信器30は、それらの間の理論経路35がフロート20との接触を回避するように、加湿チャンバ10の対向する側に配置される。
【0048】
図2は、送信器25が低強度で電磁放射線を放射し、受信器30が低ゲイン設定で電磁放射線を受信した場合の、受信器30で検出された放射線に対するシステム応答を示す。低いゲイン設定及び低い強度では、チャンバが欠落しているときの受信器30で受信された電磁放射線に対するシステム応答は、チャンバが満杯のとき又はチャンバが空のときに受信器30で受信された電磁放射線に対するシステム応答とは、著しく異なることが分かる。しかしながら、チャンバが空であるときに受信器30で受信される電磁放射線に対するシステム応答は、チャンバが満杯であるときに受信器30で受信される電磁放射線に対するシステム応答とは、目立った違いはなく、したがって、これらのチャンバ状態を区別することは困難である。
【0049】
したがって、図2に関連して説明された送信器-受信器構成が最初に実装される場合、チャンバが満杯になったときと空になったときとを区別するために、図2の例及び/又は受信器30の例における強度と比較して高い強度で電磁放射線を放射するように送信器25を変更して、図2の例と比較して高い設定ゲインで受信する必要がある。送信器25によって放出される電磁放射線のゲイン設定及び/又は強度の増加の結果、チャンバが空になったときに受信器30で受信された電磁放射線に対するシステムの応答は、チャンバが満杯になったときに受信器30で受信された電磁放射線に対するシステムの応答とは著しく異なる。これにより、これらの電離箱の状態を区別することができる。
【0050】
この差異は、図3によって示される。図3は、送信器25が高強度の電磁放射線を放出し、受信器30が高ゲイン設定で電磁放射線を受け取った場合の、受信器30で受け取った放射線に対するシステム応答を示す。高いゲイン設定及び高い強度では、チャンバが満杯のときに受信器30で受け取られる電磁放射線に対するシステム応答は、チャンバが欠落しているとき又はチャンバが空のときに受信器30で受け取られる電磁放射線に対するシステム応答と著しく異なることが分かる。しかしながら、チャンバが空であるときに受信器30で受信される電磁放射線に対するシステム応答は、チャンバが欠落しているときに受信器30で受信される電磁放射線に対するシステム応答とは、目立った差異はなく、したがって、これらのチャンバ状態を区別することは困難である。
【0051】
したがって、チャンバが欠落している場合からチャンバが空である場合を区別するために、図3の例で説明したエミッタ-受信器構成を最初に実装することにした場合には、図3の例でのゲイン設定に対して低いゲイン設定で電磁放射線を受け取るために、図3及び/又は受信器30の例での強度に対して低い強度で電磁放射線を放射するために、エミッタ25を変更する必要がある(すなわち、図2に示すシステム応答に向かって戻る。ただし、図2に関連して説明したように、必ずしも低強度と低ゲインの両方の設定であるとは限らないが、図2に示すシステム応答に向かって戻る)。ゲイン設定及び/又は送信器25によって放射される電磁放射の強度の減少の結果として、チャンバが空であるときに受信器30で受信される電磁放射に対するシステム応答は、チャンバが欠落しているときに受信器30で受信される電磁放射に対するシステム応答と著しく異なる。これにより、これらのチャンバ状態間の区別が可能になる。
【0052】
図2及び図3のグラフは、必ずしも縮尺通りではなく、異なる設定間のシステムの正確な動きを表すものでもないが、説明を簡単にするために、このようにして作成されていることに留意されたい。すなわち、図2のシステムの強度及び/又はゲイン設定を増加させても、図3の正確なグラフは得られない。反対に、図2の強度及び/又はゲイン設定を増加させると「チャンバ満杯」及び「チャンバ空」ラインが図3のように現れるように、チャンバ状態ラインの3つすべてが立ち上がるが、「チャンバ欠落」ラインはチャートから外れるであろう。同様に、図3のシステムの強度及び/又はゲイン設定を下げても、図2の正確なグラフは得られない。逆に、図3の強度及び/又はゲイン設定を下げると、「チャンバ空」及び「チャンバ欠落」ラインが図2のように表示されるように、チャンバ状態の3つすべてが下がるであろうが、「チャンバ満杯」ラインはチャートから外れてしまうであろう。
【0053】
強度及びゲイン設定が低いと称される場合、低という用語は、強度及びゲイン設定が高いと称される場合よりも低いことを意味するが、受信器30において検出可能な信号を受信するのには常に十分高いことを意味する。すなわち、強度及びゲイン設定が低いと称される場合、これは、最小であることを意味するものではない。
【0054】
理論的には、強度又はゲインのいずれかを増加/減少させて、図2及び3の構成間を移動させることができるが、強度設定が低すぎる場合、周囲光の結果として受信器30で受信される電磁放射の量が、送信器25の結果として受信される電磁放射を圧倒するため、受信器30で信号の受信を実行できないことがある。
【0055】
従って、チャンバが満杯であるか否かを確立することができるように強度を増加させることが好ましく、チャンバが空であることとチャンバが欠落していることとを区別するためにゲインを減少させることが好ましい。
【0056】
図2及び図3に関連して参照されるシステム応答は、図4及び図5に示される方法の以下の説明において、出力信号と呼ばれる。
【0057】
図4は、3つの前述の加湿チャンバ状態のいずれかが決定される第1の方法を図示する。この方法を制御器により実装した。コントローラは、加湿器5の不可欠な部分であってもよく、あるいは遠隔ユーザによる制御のために加湿器5の遠隔に配置されてもよい。
【0058】
ステップ100では、この方法は、送信器25が高強度の電磁放射線を放射することによって開始される。ステップ110において、受信器30は、ステップ100で放射された電磁放射の少なくとも一部を、高ゲイン設定で受信する。ステップ110で受け取られる電磁放射の正確な量は、加湿チャンバ10の状態に依存する。受信された電磁放射は、第1の出力信号に変換される。ステップ120では、ステップ110で生成された第1の出力信号が、所定の第1の閾値と比較される。所定の第1の閾値は、チャンバの状態のそれぞれについての前回受け取った値の特性データによって決定される。第1の出力信号が所定の第1の閾値未満である場合、ステップ130において、加湿チャンバに故障がないと判断され、すなわち、水が存在し、加湿チャンバが通常通りに動作している。
【0059】
加湿チャンバに故障がないと判断された場合、方法はステップ130で終了する。第1の出力信号が第1の所定の閾値より大きい場合、加湿チャンバとの間に故障があると判断し、加湿チャンバが水で空にされているか、又は加湿チャンバがまったく存在しないかを判断し、方法を継続する。ステップ140で、送信器25は最小強度の放射線を放射し、ステップ150で、受信器30はステップ140で放射された電磁放射線の少なくとも一部を最小ゲイン設定で受信する。
【0060】
ステップ140で、送信器25は最小強度の放射線を放射し、ステップ150で、受信器30はステップ140で放射された電磁放射線の少なくとも一部を最小ゲイン設定で受信する。受信された電磁放射は、第2の出力信号に変換される。第2の出力信号は、基準点として作用し、太陽光及び/又は室内照明のような周囲光の結果として受信器30で受け取られる電磁放射の量を示す。ここで、「最小強度」及び「最小ゲイン設定」という用語は、受信器によって周囲条件が検出可能である強度及びゲイン設定を指す。
【0061】
ステップ160において、送信器25は、高強度の放射線を放射する。ステップ170において、受信器30は、ステップ160で放射された電磁放射の少なくとも一部を最小ゲイン設定で受信し、受信された電磁放射を第3の出力信号に変換する。ステップ170で受け取る電磁放射の正確な量は、加湿チャンバが空であるか欠落しているかによって決まる。
【0062】
次いで、ステップ150及び170で生成された第2及び第3の出力信号がステップ180で比較され、出力信号間の差が第2の所定の閾値と比較される。第2の所定の閾値は、チャンバの状態のそれぞれについての前回受け取った値の特性データによって決定される。第2の出力信号と第3の出力信号との間の差(すなわち、送信器25の結果として受け取られた全放射線と、任意の周囲光条件との結果として受け取られた放射線との差から、周囲光条件の結果として受け取られた放射線とを引いたもの)が、第2の所定の閾値未満である場合、ステップ190において、チャンバが空であると判断される。この決定に応答して、チャンバが補充を必要とするという警報信号が発せられる。
【0063】
第2の出力信号と第3の出力信号との間の差が第2の所定の閾値よりも大きい場合、ステップ200でチャンバが欠落していると判断する。この判定に応答して、アラーム信号が発せられ、チャンバが継続して使用する前に交換が必要であることを信号で知らせる。
【0064】
図5は、前述の3つの加湿チャンバの状態のいずれかが判定される第2の方法を示す。この方法を制御器により実装した。コントローラは、加湿器5と一体的な部分であってもよく、あるいは遠隔ユーザによる制御のために加湿器5から離れて配置されてもよい。
【0065】
ステップ300で、この方法は、低い強度で電磁放射線を放射する送信器25によって開始される。ステップ310で、受信器30は、ステップ300で放射された電磁放射の少なくとも一部を、低ゲイン設定で受信する。ステップ310で受け取られる電磁放射の正確な量は、加湿チャンバ10の状態に依存する。受信された電磁放射は、第1の出力信号に変換される。ステップ320では、ステップ310で生成された第1の出力信号が、所定の第1の閾値と比較される。所定の第1の閾値は、チャンバの状態のそれぞれについての前回受け取った値の特性データによって決定される。第1の出力信号が所定の第1の閾値を超えている場合、次いでステップ330で加湿チャンバが欠落していると判断し、すなわち動作に不具合がある。この判定に応答して、アラーム信号が発せられ、チャンバが継続して使用する前に交換が必要であることを信号で知らせる。
【0066】
加湿チャンバが欠落していると判断された場合、方法はステップ330で終了する。第1の電気信号が第1の所定の閾値未満である場合、方法はステップ340に継続する。
【0067】
ステップ340で、送信器25は最小強度の放射線を放射し、ステップ350で、受信器30はステップ340で放射された電磁放射線の少なくとも一部を最小ゲイン設定で受信する。受信された電磁放射は、第2の出力信号に変換される。第2の出力信号は、基準点として作用し、太陽光及び/又は室内照明のような周囲光の結果として受信器30で受け取られる電磁放射の量を示す。ステップ360で、送信器25は、高強度の放射線を放射する。ステップ370で、受信器30は、ステップ360で放射された電磁放射の少なくとも一部を低ゲイン設定で受信し、受信した電磁放射を第3の出力信号に変換する。ステップ370で受け取られる電磁放射の正確な量は、加湿チャンバが空であるか、又は満杯であるかに依存するであろう。
【0068】
次いで、ステップ350及び370で生成された第2及び第3の出力信号がステップ380で比較され、出力信号間の差が第2の所定の閾値と比較される。第2の所定の閾値は、チャンバの状態のそれぞれについての前回受け取った値の特性データによって決定される。第2の出力信号と第3の出力信号との間の差(すなわち、送信器25の結果として受け取られた全放射線と、任意の周囲光条件との結果として受け取られた放射線との差、周囲光条件の結果として受け取られた放射線との差)が、第2の所定の閾値未満である場合、ステップ390において、チャンバが満杯であると判断され、すなわち、動作に障害がないと判断される。
【0069】
第2の出力信号と第3の出力信号との間の差が第2の所定の閾値よりも大きい場合、ステップ400でチャンバが空であると判断し、すなわち、動作に障害がある。この判定に応答して、警報信号が行われ、チャンバが補充を必要とすることをシグナルする。
【0070】
理論的には、上述の方法のいずれにおいても、ステップ160、360において、送信器25は、低強度の電磁放射を放射することができ、ステップ170、370において、受信器30は、高ゲイン設定で電磁放射を受信することができる。すなわち、図2及び3に関連して記載されるように、受信器30のゲイン設定のうちの少なくとも1つと、放出器25によって放出される電磁放射線の強度とが、ステップ100、300及び160、360とステップ110、310及び170、370との間で増加又は減少されるという条件で、本方法は、議論される3つのチャンバ状態のそれぞれを区別することができるであろう。しかしながら、ステップ140、340において放出器25によって放出される電磁放射の強度及びステップ150、350における受信器のゲイン設定は、いずれも、周囲光条件を考慮するための基準点を提供するために最小に設定されなければならない。しかしながら、実際には、これは、ゲイン設定よりも低い強度設定が、周囲光が送信器25の結果として受け取られる電磁放射を圧倒する結果として、受信器30において受け取られる電磁放射の量につながる可能性があるため、あまり好ましくない。
【0071】
あるいは、上述した方法のいずれにおいても、送信器25は2つ以上の強度設定を有し、受信器30は2つ以上のゲイン設定を有し得る。すなわち、上述した特定の方法は、この用途のための異なる加湿チャンバ状態を解決するが、より多くのパラメータを解決するためにさらなる区別が必要とされる場合、送信器25は、3つ、4つ、又は5つの強度設定を有してもよく、且つ/又は受信器30は、3つ、4つ、又は5つのゲイン設定を有してもよい。もちろん、より多くの強度又はゲイン設定が実施される場合、強度及びゲイン設定の各組み合わせが連続的にテストされるように、より多くの制御が必要である。
【0072】
代替の実施形態では、加湿チャンバ10の異なる状態が受信器30で受信される信号に測定可能な変化を与える限りにおいて、図1に関連して説明した送信器25及び受信器30は、加湿器基部上の任意の場所に配置されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】