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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】圧力可変動脈バルーン
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20220330BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/10 520
A61M25/10 550
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549178
(86)(22)【出願日】2019-09-01
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EG2019000018
(87)【国際公開番号】W WO2020169167
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】2019020282
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521366964
【氏名又は名称】エルタラウィ,モハマド アブダラ マハムード
【氏名又は名称原語表記】ELTAHLAWI,Mohammad Abdalla Mahmoud
【住所又は居所原語表記】6 Macca Street,Elsalam Quarter Zagazig 44512 (EG)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】エルタラウィ,モハマド アブダラ マハムード
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB03
4C267BB08
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB28
4C267BB31
4C267BB40
4C267CC09
4C267DD01
4C267EE13
(57)【要約】
この発明(圧力可変動脈バルーン)は、バルーンのシャフトに沿って互いに融合する複数の小型セグメント(バルーン)を有するバルーンからなる。各セグメントは異なる圧力プロファイルを有する。各セグメントには、動脈壁の病変の狭さ及び石灰化に応じた必要圧力で膨張されるのに使用される個別の出口(スロット)がある。各セグメントを異なる圧力で膨張させ、重なるステントの配置を、多くの難問を有し追加費用を発生させる別のノンコンプライアントなバルーンを必要とすることなく、確かめることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管形成術を行うためのカテーテルであって、
最終的には1個の膨張バルーンカテーテルとして融合された、それぞれ直径範囲(2~4.5mm)を有する5~10mm長の複数のバルーン(3~5個のバルーン)であって、前記バルーンは互いに隣接するが、それぞれの孔は重なっておらず、前記バルーンのそれぞれには、他の隣接する部分(バルーン)なしに単独で膨張できるよう、その膨張に使用される圧力の量に応じて個々かつ個別に拡張する能力を有し、
前記バルーンが単独で血管形成における拡張で作動可能であり、その上にステントを搭載可能であり、その場合に前記ステントの送達に利用可能である、複数のバルーンと、
非常に細いガイドワイヤ(0.014インチ)を通すことができる孔(腔)を有する、カテーテルシャフト部であって、
前記シャフト部には、通常は(空気ではなく)食塩水で前記バルーンを膨張させるための別の孔(腔)を有し、
前記バルーンの前記シャフト部の端部には、インフレータ用の接続部がある、カテーテルシャフト部と、
各バルーンを個別に膨張させるための、前記シャフト部内の個別の開口部又はスロットと、
前記バルーンの膨張が行われる、前記カテーテルシャフト部内の摺動カラム又は軸(アーム)と、を備え、
前記カラム(アーム)は、操作者の選択に応じて、膨張中に前記バルーンの開口部を閉鎖するために用いられる複数の凸部を保有する、カテーテル。
【請求項2】
各小型バルーンは、ポリマー材料の単一の連続する管から形成され、
前記バルーンはその上にステントを搭載可能であり、
前記小型バルーンは、前記バルーンが選択的かつ互いより独立して膨張可能とする、互いに独立した膨張孔を有することで、
前記膨張を、
第1のバルーンのみの膨張、
第1及び第2のバルーンのみの膨張、
第1及び第3のバルーンのみの膨張、
3つのバルーンの同時膨張、
任意の前記バルーンを、異なる圧力を用いて、かつ異なる直径への膨張、
などの異なるストラテジーで実行可能である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記バルーンに対面する、各バルーンを個別に膨張させるための個別のスロット(開口部)が存在し、前記スロット(開口部)は、前記カテーテルシャフト部の前記端部に存在し、等間隔で設けられ、それぞれが対面する前記バルーンに接続する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記膨張用開口部を制御するための摺動ワイヤ/アーム/軸(カラム)が存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記バルーンの前記開口部を、選択的に必要に応じて、一度に1個、2個、又は3個の前記バルーンを膨らませることができるよう、前記カラム(アーム)に異なる突部(凸部)が存在し、
前記突部は、(中間)凸部は1つ目から距離Xにあり、3つ目(遠位)凸部が中間突部から距離1/2Xにあり、隣接するバルーンが4個以上になる場合、前記突部は等間隔で配置されるが、最後ののみ2倍の間隔とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記摺動カラムの端部に、費用及び術中の空間を減少させる、全ての前記バルーンに使用される1つの膨張装置(エンドフレータ)に接続される接続部が存在する、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルシャフト部の膨張部分にラベル(マーク)を有しており、前記マークは前記摺動カラムの移動を、必要な膨張ストラテジーに応じて異なるバルーンの膨張に必要な距離に誘導し、前記移動は係止部によって制御され、所望の距離に到達して目標ストラテジーが達成されたときに前記摺動カラムの前記移動を係止する、請求項1、2、又は4に記載のカテーテル。
【請求項8】
血管(病変)の長さに沿って異なる直径又は異なる石灰化を有する血管(病変)の、請求項1又は2に記載される形成術を実施するための方法であって、
対象の前記病変に対面する対象の前記血管内に前記バルーンを配置することと、
所望ストラテジーにしたがって前記摺動カラムを制御することと、を含み、
1.前記バルーンを膨張させるとき、一度に2つの凸部が対面する前記バルーンを閉鎖して、1個の前記バルーンのみが膨張されるようにし、バルーンを2個膨張させるときには、前記カラムを引いて、1つの凸部だけが前記対面するバルーンを閉鎖するようにし、3つの部分を膨張させるときは、全ての前記凸部がその対面する前記開口部から離れるような形で前記カラムが引かれ、
2.各バルーンの膨張圧力はエンドフレータによって制御されるが、各小型バルーンは異なる必要性及び圧力に応じて膨張され、
3.前記バルーンが膨らまされる(又は前記ステントが留置される)と、前記バルーンは上記のとおりにコントロールワイヤを引いて全ての前記開口部が露出され、同時に前記バルーンを膨張させることが容易になるようにして、完全に膨張され、
4.任意の部分(血管の箇所)の再膨張は、そのような箇所でより狭い狭窄又はより石灰化が進んでいる場合に、前記ステントの送達後に対応する前記小型バルーンをより所望の圧力及び/又は直径で膨張させることで行うことが可能である、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用工学の分野に関連する。本発明は、心血管カテーテル法にて使用する医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
狭窄した動脈は、介入カテーテル法により、かつカテーテルデバイス(カテーテル検査室)下で拡張される。これは、バルーンを使用して、又は金属ステントを使用して動脈にステントを留置させることで行われる。医師は、太もも又は腕の動脈を通して、動脈に小型バルーンを有するカテーテルを挿入し、例えば、冠動脈内の狭窄箇所に向かわせる。ステントもまた、バルーン上に設置(搭載)されている。ステントの直径は、そのバルーンの圧力を上昇させることで拡張させる際にそれ以後はバルーンが破裂する一定の度合い(最大拡張圧)まで徐々に拡大する。
【0003】
バルーンは、圧力、裂けや爆発に耐える特殊な材料からなり、時には大気圧の20倍の値に耐える。これらの材料はすべて、ポリエチレン又はナイロンなどのように、体に対して適合性を有する。
【0004】
狭窄した血管の処置と拡張に使用されるバルーンは、低圧、中圧、又は高圧のバルーンであり得る。
【0005】
これは、このようなバルーンが破裂する前に拡張させるのに必要な圧力の量を指す。これらの病変(狭窄)の処置に使用されるステントはまた、異なる圧力を有するバルーンに設置される。
【0006】
空のバルーンカテーテルを配置し、次に膨張させて必要な手順を実行し、抜去前に再度すぼませる。バルーンが膨張すると、ステントが拡張される。バルーンが後に空にされると、ステントは血管壁に残り、その後にバルーンカテーテルを抜去することができる。これは、バルーンを膨らませるのに必要な圧力による。これらのバルーンはそれぞれ、動脈内の損傷部位の狭さと石灰化に応じて使用され、動脈の冒された部分の狭窄又は石灰化がひどいほど、必要な圧力が増大する。
【0007】
各バルーンには、それぞれに割り当てられた半径まで拡張することができる最低圧力があり、超えると爆発する最大圧力がある。
【0008】
各バルーンはコンプライアンスを有し得て(内圧を低く保ちながら、膨張圧力が増大すると直径が継続して増大する)も、コンプライアンスを有し得ない(すなわち、膨張圧力が増大するにつれてバルーンの内圧も増加するが、直径は相当する増加をしないことで、動脈のきつく狭窄した又は重度に石灰化した箇所の拡張を可能とする)でもよい。
【0009】
従来技術の問題、すなわち欠点は以下のとおりである。
【0010】
多くの場合、動脈の直径は動脈の上部と下部とでは異なる。他の場合では、動脈の病変箇所はその全長にわたって異なる重症度及び石灰化を有する。したがって、必要なバルーンの直径の選択及びバルーンを膨張させる圧力量は分かりづらく、不確かである。
【0011】
バルーンが動脈の小さい部分に適切な低い圧力で膨張されると、動脈の広く大きい箇所はバルーンの膨張に益しない。バルーンが高圧で膨張された場合、バルーンとステントの直径は動脈の小さい部分よりも大きく増大し、そのことで動脈の破裂を引き起こす可能性がある。したがって、医師は、動脈の狭窄部分を広げるために、狭さを部分的に開く低圧でのバルーン(又はバルーン搭載ステント)を最初に使用し、次に別のより高圧のバルーンを使用して、より広い直径の動脈の部分を拡張する。
【0012】
この場合のバルーンの種類は、残る狭窄長と同様の長さを有して動脈の拡張を完成させ、完全に動脈壁に対するステントの位置を確認する、(ノンコンプライアント)と呼ばれる。
【0013】
2つ以上のバルーンを異なる圧力で使用して、異なる直径及び異なる石灰化率の動脈の異なる部分を拡張してもよい。これは費用を増大させ、毎回、動脈を破裂させるリスクがある。
【0014】
いくつかの場合では、移植されたステントの内部破砕が、ステントの質及びステントが位置する解剖学的部位によっては、例えば、定期的にかつ様々な方向に動く「ひざ下」領域などに発生し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明(圧力可変動脈バルーン)は、複数の小型バルーンがバルーンカラムに沿って互いに合体してなるバルーンである。カラムは、膨張中に個別に検出され得る複数のスロット(ポート)を含み、ブロー圧力は一度に1スロットのみを対象としている。
【0016】
各部分は異なる圧力特性を有することで、異なる耐圧特性が得られる。
【0017】
各セクションは別個の出口を有し、対応する動脈壁の狭窄及び石灰化に応じた所望の圧力でバルーンを膨張させるために使用される。
【発明の効果】
【0018】
ノンコンプライアントであって多くの難題を有する他のバルーンや追加の費用を必要とすることなく、必要性及び石灰化率に応じて各部分を個々に異なる圧力で膨張させ、動脈の壁及びその隣接するものに対して局部ステントの配置を確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
バルーンは通常、非常に細いガイドワイヤ(0.014インチ)が通るのを許容する孔を有するカラムを備えている。
【0020】
アームには、バルーンを膨張させるのに使用する別の孔があり、これは通常は(空気ではなく)食塩水を用いて使用される。
【0021】
バルーンアームの端にはインフレータがある。バルーンは、それぞれ隣接するが、それらの孔は重ならない、3~5個の小型バルーンの群からなる。各バルーンには長さ範囲(5~10mm)及び直径範囲(2~4mm)がある。
【0022】
小型バルーンにはそれぞれ、他の隣接する部分(バルーン)なしに単独で拡張するよう、それらを膨張させるために使用される圧力の量に応じて拡張する能力がある。
【0023】
バルーンの端にあるアームには等間隔に配置された隣接する開口部がいくつかあり、それぞれ面するバルーンに対応している。細い金属ワイヤ(コントロールワイヤ)上にバルーンが膨張されるアーム(カラム)孔の前部には、その端に、等間隔での3つの凸部が設けられるが、3つ目は等間隔の2倍の間隔で設けられる。
【0024】
動作の仕方:
1-バルーンを膨張させると、2つの凸部が一度に、対面するバルーンを閉鎖させるため、1個のバルーンのみが膨張する。バルーンを2個膨張させるときには、カラムを引いて、1つの凸部だけがその対面するバルーンを閉鎖するようにする。3つの部分を膨張させるときは、全ての凸部がその対面する開口部から離れるような形でカラムを引く。
2.各バルーンの膨張圧力は、(現在使用されるバルーン全てと同様に)エンドフレータによって制御されるが、小型バルーンはそれぞれ異なる必要性及び圧力に応じて膨張される。
3.バルーンが膨らまされる(又はステントが留置される)と、バルーンは上記のとおりにコントロールワイヤを引いて全ての開口部が露出され、同時にバルーンを膨張させることが容易になるようにして、完全に膨張される。
【0025】
活用方法:
1-実験、及びエジプトの保健省による必要な規則に従う。
2-米国、ひいては残りの全世界において使用するために必要なライセンスを取得するために、食品医薬品局の要件を満たす。
3-冠動脈及び周辺病変の管理、特に均等でない狭窄及び石灰化に用いられる。
4-ステントをバルーンに搭載して、冠動脈又は周辺の動脈に移植することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
1 第1のバルーン
2 第2のバルーン
3 第3のバルーン
4 エンドフレータに接続される膨張用摺動カラム(アーム)
5 第1の(遠位)凸部。
6 第2の(中間)凸部(1つ目(5)より距離Xのところにある)。
7 第3の(遠位)凸部(中間凸部(6)より1/2Xに等しい距離にある)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】