(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】固体粒子の製造方法、固体粒子およびその使用
(51)【国際特許分類】
C01B 33/26 20060101AFI20220330BHJP
C01B 33/20 20060101ALI20220330BHJP
C22B 3/00 20060101ALI20220330BHJP
C22B 3/22 20060101ALI20220330BHJP
C22B 26/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
C01B33/26
C01B33/20
C22B3/00
C22B3/22
C22B26/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549220
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020054561
(87)【国際公開番号】W WO2020169777
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】102019104577.0
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516368302
【氏名又は名称】ゲブルーダー ドルフナー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カオリン- ウント クリスタルクァルツサント-ヴェルケ カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Gebrueder Dorfner GmbH & Co. Kaolin- und Kristallquarzsand-Werke KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オッツェル、エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クラウター、ラインハルト
【テーマコード(参考)】
4G073
4K001
【Fターム(参考)】
4G073BA03
4G073BB02
4G073BB03
4G073BB04
4G073BB24
4G073BB57
4G073BB59
4G073BD21
4G073CB03
4G073CC01
4G073CC08
4G073CD01
4G073CE01
4G073CE07
4G073FC01
4G073FF05
4G073GA01
4G073GA11
4G073GA12
4G073GA16
4G073GA20
4G073GA34
4G073GB02
4G073UA02
4G073UA06
4G073UB05
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4G073UB20
4G073UB21
4G073UB25
4G073UB30
4G073UB32
4K001AA34
4K001AA36
4K001BA01
4K001DB02
4K001DB04
4K001DB05
4K001DB08
(57)【要約】
本発明は少なくとも1つのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する無機固体から固体粒子を製造する方法に関し、少なくとも以下の工程を含むa)少なくとも1種のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する前記無機固体を提供すること、b)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する前記無機固体から少なくとも1種のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を抽出し、前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属及びアルカリ金属枯渇及び/又はアルカリ土類金属枯渇残渣を含有する抽出物を得ること、c)前記残渣から前記抽出物を分離すること、d)前記固体粒子を得るために前記残渣を処理すること、ここで前記処理工程の少なくとも1つは、輸送、充填、包装、洗浄、乾燥、pH値の調整、平均粒径及び/又は質量及び/又は密度による分離、平均粒径の調整、磁気分離、焼成、熱丸め、及び表面コーティングを含む群から選択される。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体から固体粒子を製造する方法であって、少なくとも以下の工程を含む方法。
a)少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体を提供することと、
b)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体から少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を抽出し、前記アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属ならびにアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇残渣を含有する抽出物を得ることと、
c)前記残渣から前記抽出物を分離することと、
d)前記固体粒子を得るために前記残渣を処理すること、ここで、前記処理工程の少なくとも1つは、輸送、充填、包装、洗浄、乾燥、pH値の調整、平均粒径および/または質量および/または密度による分離、平均粒径の調整、磁気分離、焼成、熱丸め、および表面コーティングを含む群から選択される。
【請求項2】
前記残渣がリチウム枯渇および/またはマグネシウム枯渇残渣であり、前記残渣が、抽出されたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の7質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、特に好ましくは1.5質量%未満、および特に好ましくは1質量%未満を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程d)が記載された前記処理工程の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、およびより好ましくは少なくとも4つを含み、記載された前記処理工程は、好ましくは空間および/または時間において互いに別々に行われることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記固体粒子は、R 457に従って測定された白色度が>50%、好ましくは>70%、および特に好ましくは>80%、および/またはEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L
*値)が>60、好ましくは>70、より好ましくは>80、および特に好ましくは>90であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記固体粒子が、0.01m
2/g~300m
2/g、好ましくは0.1m
2/g~250m
2/g、および特に好ましくは0.5m
2/g~250m
2/gの範囲の比表面積(BET)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記固体粒子が、0.1μm~5mm、好ましくは0.1μm~100μmまたは100μm~500μmまたは500μm~1000μmまたは1mm~5mmの範囲の平均粒径(d
50、Sedigraph)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記固体粒子がケイ酸塩成分、および好ましくはケイ酸アルミニウム成分を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体からのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属抽出物の残渣から得られる固体粒子であって、
前記固体粒子は、輸送される、および/または充填される、および/または包装される、および/または洗浄される、および/または乾燥される、および/またはpH値を調整される、および/または平均粒径に従っておよび/または質量に従っておよび/または密度に従って分離される、および/または平均粒径に基づいて調整される、および/または磁気的に分離される、および/または焼成される、および/または熱的に丸められる、および/または表面被覆される残渣であることを特徴とする固体粒子。
【請求項9】
前記固体粒子が、列挙された特性の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つを含むことを特徴とする請求項8に記載の固体粒子。
【請求項10】
前記固体粒子が表面コーティングを有することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の固体粒子。
【請求項11】
前記固体粒子が、0.01m
2/g~300m
2/g、好ましくは0.1m
2/g~250m
2/g、および特に好ましくは0.5m
2/g~250m
2/gの範囲の比表面積(BET)を有することを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項12】
前記固体粒子が、0.1μm~5mm、好ましくは0.1μm~100μmまたは100μm~500μmまたは500μm~1000μmまたは1mm~5mmの範囲の平均粒径(d
50、Sedigraph)を有することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項13】
前記固体粒子が、>50%、好ましくは>70%、および特に好ましくは>80%のR 457に従って測定された白色度、および/または>60、好ましくは>70、より好ましくは>80、および特に好ましくは>90のEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L
*値)を有することを特徴とする請求項8~12のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項14】
前記固体粒子がケイ酸塩成分、および好ましくはケイ酸アルミニウム成分を有することを特徴とする、請求項8~13のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項15】
充填剤、塗料、ワニス、ポリマー、紙、紙充填剤、剥離剤、自由流動剤、耐火材料、鋳造添加剤、吸着剤、吸収剤、担体、濾過添加剤、医療用および/または農業用製品、複合材料、ゴムおよびタイヤを含む群から好ましくは選択される、製品を製造するための、好ましくは請求項8~14のいずれかに記載の、および/または好ましくは請求項1~7のいずれかに記載の方法の工程の少なくとも1つに従って製造される固体粒子の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体から固体粒子を製造する方法に関する。本発明はまた、このような固体粒子およびこのような固体粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、天然には存在せず、塩および鉱物などの化合物の成分としてのみ存在する。従来技術では、それらはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体、主として鉱石を処理することによって、抽出(浸出)によって、またはサラー(salars)からの塩溶液を処理することによって得られる。鉱石を浸出する場合、抽出されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属は通常、適切な溶媒で溶解され、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する溶液(抽出物)は残渣として知られる残りの不溶性固体から分離される。アルカリ金属が枯渇したおよび/またはアルカリ土類金属が枯渇した残渣、いわゆる浸出残渣(「浸出テーリング」としても知られる)は、通常、さらに処理または使用されず、廃棄商品として備蓄に投棄される。
【0003】
鉱石は、低濃度のアルカリ金属およびアルカリ土類金属のみを含有し、これは、抽出から大量の残渣が生成されることを意味する。このため、これらの残渣はコストファクタとして計算に含まれなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、さらなる使用のために、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体からアルカリ金属およびアルカリ土類金属抽出において得られる残渣を提供すること、または残渣からさらなる商品を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体から固体粒子を製造する方法によって達成され、少なくとも以下の工程を含む:
a)少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体を提供することと、
b)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体から少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を抽出し、前記アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属ならびにアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇残渣を含有する抽出物を得ることと、
c)前記残渣から前記抽出物を分離することと、
d)前記固体粒子を得るために前記残渣を処理すること、ここで、前記処理工程の少なくとも1つは、輸送、充填、包装、洗浄、乾燥、pH値の調整、平均粒径および/または質量および/または密度による分離、平均粒径の調整、磁気分離、焼成、熱丸め、および表面コーティングを含む群から選択される。
【0006】
浸出、または対応する方法/プロセスとしても知られる抽出は、以下では、混合物、好ましくは様々な鉱物または岩石を含む鉱石などの固体混合物から単離される成分または物質の分離または除去または枯渇と呼ばれる。固体混合物は好ましくは適切な処理の後に反応物質と一緒にされ、これは種々の要因に依存し、以下により詳細に特定されるが、単離される物質は好ましくは化学反応によって可溶性形態に変換され、適切な溶媒によって固体混合物から前記物質を分離することが可能である。反応物および溶媒は、有利には単離される物質が可能な限り完全かつ選択的に混合物から分離され得るように選択される。単離されるべき物質を溶解した形態で有利に含有する溶液(抽出物)を不溶性固体(残渣)から分離した後、溶液をさらに処理することができる。この方法では単離される物質に加えて固形混合物からも分離された望ましくない不純物が除去され、単離される物質は適切な形態で、好ましい程度の純度で得ることができる。枯渇した残渣は、抽出によって可溶性形態に変換することができなかった成分または物質を含有する。単離される物質は、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属である。
【0007】
既に述べたように、アルカリ金属が枯渇した及び/又はアルカリ土類金属が枯渇した残渣は、以前はそれ以上使用されておらず、備蓄されているに過ぎない。本発明は、残渣をさらに使用することができ、固体粒子をそこから得ることができ、次いで、二次生成物の製造にも使用することができることを確実にする。その結果、アルカリおよび/またはアルカリ土類抽出からの残渣、または少なくとも1つの処理工程後にそれから得られる固体粒子は、この目的のために特別に採掘および/または製造された粒子の費用効果の高い代替物として役立つことができる。
【0008】
本方法の工程d)による処理または処理工程は、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属または残渣を含有する無機固体および/または固体粒子の所望の特性に基づいて好ましくは選択することができる。
【0009】
とりわけ、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を得るために、抽出および/または浸出方法が使用されるが、これはこれらが容易に可溶性形態に変換され得るからである。リチウムイオン電池を製造するために使用されるリチウムの抽出は、この場合に重要な役割を果たす。リチウムが抽出されると、多量のリチウム枯渇残渣が生成される。
【0010】
プロセスのタイプ(例えば、酸性または塩基性)、条件(温度T、時間t、圧力p)、方法工程の数、順序およびタイプ、ならびに物質(特にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属)が得られる材料の組成に関して、多くの異なる抽出および浸出方法が従来技術から知られている。しかしながら、この方法の目的は同一であり、所望の物質の抽出または回収に使用されることが意図され、この場合、アルカリ金属が枯渇したおよび/またはアルカリ土類金属が枯渇した残渣が残る。本発明の意味の範囲内でアルカリ金属が枯渇した及び/又はアルカリ土類金属が枯渇した残渣を生じる全ての公知の抽出及び/又は浸出方法は、たとえこれらが以下に明確に言及されていなくても、有利に開示されることが意図される。
【0011】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機材料からのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の抽出は、好ましくは堆積物/鉱山において最初に採掘される鉱石から実施される。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または鉱石は、好ましくは異なる鉱物または岩石、抽出されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する少なくとも1つの鉱物/岩石の混合物からなる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体の正確な組成は、好ましくは堆積物の位置および堆積物内の採掘場所に応じて異なる。
【0012】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属が得られるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または鉱物は、好ましくは所望のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属に応じて異なる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または鉱物は、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属が適切な抽出プロセスによって分離され得るように、および/またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または鉱物が十分な量で、かつ凝集性堆積物として利用可能であるように選択される。例えば、リチウムは、ジンワルダイト(zinnwaldite)、レピドライト(lepidolite)、スポジュメン(Spodumene)および/またはペタライト(petalite)から得られる。今日では、ペグマタイトの中で数えられるスポジュメンおよびペタライト、ならびにレピドライトがリチウムの抽出に特に好ましい。リチウムの抽出に使用することができるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または鉱物は、言及した例に限定されることを意図しない。さらに、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する他の無機固体および/またはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有しない他の無機固体との混合物として存在することができると考えられる。
【0013】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する好ましい無機固体スポジュメンおよびペタライトはケイ酸塩である。スポジュメンは化学組成(LiAl)[Si2O6]または(Li2O x Al2O3x 4 SiO2)を有し、鎖状ケイ酸塩である。テクトシリケートの1つペタライトは、化学組成(LiAl)[Si4O10]または(Li2O x Al2O3x 8 SiO2)を有する。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体レピドライトは、一般経験式K(Li, Al)3[(F,OH)2(Si, Al)4O10]を有し、フィロシリケートの1つである。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する、好ましいと言及されている全ての無機固体は、アルミニウム‐ケイ素‐酸素構造(ケイ酸アルミニウム)に基づく。リチウムまたはLi2Oは、この構造または格子内で自由空間を占有する。
【0014】
抽出の別の例は、塩酸を用いた蛇紋岩からのマグネシウムの浸出である。アルカリ土類金属を含有する無機固体蛇紋岩、または蛇紋岩群に属するアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体はケイ酸塩である。
【0015】
本発明の意味の範囲内のアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇残渣に特に好ましいのは、ケイ酸塩、特にケイ酸アルミニウム(アルミニウム‐ケイ素‐酸素構造)を含むアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する鉱石または無機固体に由来するものである。しかしながら、本発明は、そのような残渣に限定されることを意図していない。
【0016】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体は、好ましくは、工程a)の前に、抽出される少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属に基づく第1のプロセス(「濃縮」)において、機械的および/または水力学的方法によって、望ましくない第2の岩石、いわゆる脈石を分離することによって濃縮され、したがって濃縮物が得られる。好ましくは行われる第1の濃縮プロセスは、破壊、分離、遊離、光学的選別、磁気分離、密度分離、サイクロニング、ふるい分け、浮遊および/または電気断片化のような先行技術から公知の方法を含むことができる。しかしながら、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体中で抽出されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を濃縮するための方法は、これらの例に限定されず、様々な変形例および/または組み合わせで使用することができる。脈石は、例えば、石英、長石および/またはマイカであり得る。
【0017】
濃縮物は、好ましくは異なる平均粒径(d50、Sedigraph)を有する粒子を含むことができる。平均粒径は、好ましくは、とりわけ、濃縮のために使用される方法および計画された後続の工程に依存し、それに応じて調整することができる。平均粒径は、1μm~1cm、1μm~5mm、1μm~1mm、1μm~500μm、1μm~100μm、100μm~500μm、500μm~1mm又は1mm~5mmの範囲であることが考えられる。しかしながら、平均粒径は、これらの値または範囲に限定されない。平均粒径は、好ましくはアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属抽出のための以下の工程に従って選択または調整することができる。
【0018】
第1の濃縮プロセス後の少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体の濃縮度は、好ましくは濃縮前の少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体中のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量に基づいて、少なくとも1.5倍である。例えば、鉱石(少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体)中の酸化リチウム(Li2O)含有量は、大部分が1~3%である。濃縮後、濃縮物中のLi2O含有量は、通常、5~6.5%である。以下において、パーセンテージまたは含有量が異なるように定義されない限り、これらは、全質量に対する質量パーセンテージとして理解されるべきである。
【0019】
アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、好ましくは少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体(または場合によっては対応する濃縮物)(「転化率」)から抽出され(浸出としても知られる)、これはまた、好ましくは鉱物の格子構造を破壊または緩めることを意味すると理解することもできる。
【0020】
本発明による方法の工程a)およびb)および/または工程c)およびd)は、好ましくは、空間および/または時間において互いに別々に行われる。しかしながら、それぞれの工程が直接連続して実行されることも考えられる。
【0021】
好ましくは、工程b)の前および/または間に、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体を、最初に、焼成などの熱的方法によって活性化することができる。焼成は、シャフト炉、ロータリーキルン、トンネル炉および/または流動床炉の助けを借りて行うことができる。焼成は、自由落下焼成および/または3秒未満の好ましい焼成時間を有する短期焼成であることも考えられる。水熱法もまた、好ましくは、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体を活性化するために使用される。
【0022】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体を活性化するための熱的および水熱的方法は、好ましくは組み合わせて、並行してまたは連続して実施することもできる。さらに、本方法は酸を用いて、または用いずに、好ましくは純粋な物質または水溶液として、エアロゾルとして、または気体として実施することができる。
【0023】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体の任意の活性化は、好ましくは、抽出前に、0~1500℃、500~1300℃、800~1250℃、900~1150℃または1050~1100年℃の温度で行うことができる。温度は、一定に保たれるか、または活性化の過程で変化することが考えられる。可能な活性化温度のリストは、網羅的であることを意図していない。温度は、好ましくは少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する本発明の無機固体、またはその中に含有される鉱物に適合される。鉱物は、それを超えると不溶性ガラス相に変化する特徴的なガラス転移温度を有する。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、ガラス相から非常に不十分にしか抽出することができない。
【0024】
例えば、リチウムの抽出におけるスポジュメンの活性化は、好ましくは1050~1100℃で行われる。この結果、αスポジュメンからβスポジュメンへの相変化が生じる。この相変化は、約20%の体積増加をもたらす。α‐スポジュメンからβ‐スポジュメンへの相変化は、有利にはリチウムのより効率的な抽出を可能にする。
【0025】
活性化の持続時間または活性化時間は、好ましくは0.1秒~24時間である。特に、指定された範囲内のすべての時間も、有利に開示されることが意図される。しかしながら、活性化の持続時間は、これらの時間に限定されることを意図していない。さらに、上述の温度変化に対して、異なる温度に対して異なる保持時間を提供することが可能である。
【0026】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属またはその濃縮物を含有する無機固体の活性化は、好ましくは大気圧~300バール圧で実施され、この範囲内のすべての圧力値もまた、有利に開示されることが意図される。作動中、圧力を一定に保つか、または変化させることが考えられる。さらに、異なる圧力値に対して異なる保持時間を設けることができる。
【0027】
本発明による方法の工程a)の前および/または後および/または間に少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体を濃縮するための、または本発明による方法の工程b)における抽出の前および/または間に少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体を活性化するための、例として上述した任意の方法またはプロセスは、単に好ましい任意の方法工程である。
【0028】
好ましくは、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体の活性化後、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体または好ましくはその活性化濃縮物からの少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の抽出または浸出が行われる。種々の浸出プロセスまたは方法が、好ましくは、先行技術から公知であり、そして使用され得る。浸出は、例えば、酸性またはアルカリ性であり得る。酸またはアルカリ液は、好ましくは少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属と反応して、溶剤、好ましくは水によって、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体から分離される、可溶性の、好ましくは水溶性の、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物を形成する。
【0029】
酸浸出(抽出)については、塩酸HCl、硝酸HNO3、硫酸H2SO4、リン酸H3PO4、炭酸H2CO3、酢酸C2H4O2および/またはシュウ酸C2H2O4を使用することが好ましいが、酸はこれらの例に限定されることを意図しない。酸は、純粋な物質として、および/または水溶液として、および/またはそれ自体および/または他の添加剤との混合物として使用することができると考えられる。酸浸出プロセス中のpH値は、好ましくは0~6.5である。pHについての全ての中間値もまた、有利に開示されることが意図される。
【0030】
塩基による抽出または浸出において、例えば、炭酸ナトリウムNa2CO3、炭酸水素ナトリウムNaHCO3、炭酸アンモニウム(NH4)2CO3などの炭酸塩、および/または、例えば、水酸化カルシウムCa(OH)2またはNaOHなどの水酸化物を使用することが好ましい。塩基の選択は、言及された塩基に限定されることを意図しない。塩基浸出プロセス中のpH値は、好ましくは8~14である。pHについての全ての中間値もまた、有利に開示されることが意図される。
【0031】
抽出プロセスの持続時間は、好ましくは1分~24時間、1分~6時間、1分~30分、1時間~6時間、30分~1時間、または6時間~24時間である。特に、特定の範囲内の全ての時間もまた、有利に開示されることが意図される。しかしながら、抽出プロセスの持続時間は、これらの時間に限定されることを意図していない。
【0032】
抽出プロセスは、好ましくは0~800℃、0~30℃、30~100℃、100~300℃または300~800℃の範囲の温度で行われる。特に、特定の範囲内の全ての温度もまた、有利に開示されることが意図される。抽出プロセスの間、温度を一定に保ち、および/または変化させることが考えられる。異なる温度に対して異なる保持時間を設けることも可能である。
【0033】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体の抽出プロセスは、好ましくは大気圧~300バール圧で実施され、同様に有利に開示されることが意図される範囲内のすべての圧力値を伴う。作動中、圧力を一定に保つか、または変化させることが考えられる。さらに、異なる圧力値に対して異なる保持時間を設けることができる。
【0034】
したがって、懸濁液は、抽出プロセスの後/間に存在することが好ましく、懸濁液は、溶解したアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属または溶解したアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物を含有する、抽出物として知られる溶液と、残渣として知られる、溶解していないアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇固体とを含む。抽出物と残渣とは、好ましくは先行技術から公知の方法によって互いに分離される。溶液は、好ましくはさらに処理され、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は最終的に塩として、好ましくは炭酸塩または水酸化物として得られる。
【0035】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、残渣は、リチウム枯渇および/またはマグネシウム枯渇残渣である。より好ましくは、残渣が抽出されたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の7質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、特に好ましくは1.5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満を含む。したがって、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体は、好ましくはリチウムおよび/またはマグネシウムを含有する無機固体である。さらに、抽出される少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属は、したがって、好ましくはリチウムおよび/またはマグネシウムであり、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する抽出物は、好ましくはリチウムおよび/またはマグネシウムを含有する抽出物である。
【0036】
本方法のさらに好ましい実施形態によれば、本発明による方法の工程d)は、記載された処理工程の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、およびより好ましくは少なくとも4つを含む。上述の処理工程は、好ましくは空間的及び/又は時間的に互いに別々に行われる。しかしながら、処理工程を直接連続して実行することも考えられる。固体粒子の特性は、有利には複数の処理工程によって正確に調整することができる。
【0037】
残渣は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する抽出物が分離された後に、好ましくは最初の洗浄に供されることが考えられる。追加の酸または塩基残基および他の可溶性成分は、有利に除去される。最初の洗浄は、好ましくは水で実施される。
【0038】
本方法の好ましい実施形態によれば、固体粒子は、0.1μm~5mm、好ましくは0.1μm~100μm、または100μm~500μm、または500μm~1000μm、または1mm~5mmの範囲の平均粒径(d50、Sedigraph)を有する。これらの範囲内に位置する全ての粒径はまた、有利には、開示されているとみなされることが意図される。対応する平均粒径のおかげで、固体粒子は、様々な用途に適することができる。
【0039】
本方法の好ましい実施形態によれば、固体粒子は、0.01m2/g~300m2/g、好ましくは0.1m2/g~250m2/g、および特に好ましくは0.5m2/g~250m2/gの範囲の比表面積(BET)を有する。さらに、有利には、すべての中間値も開示されることが意図される。このような比表面積は、固体粒子の特に有利な吸着または吸収特性を保証する。
【0040】
固体粒子は、好ましくは0~99質量%、より好ましくは1~50質量%、特に好ましくは1~25質量%、特に好ましくは0~1質量%または<1質量%の水分または含水量を有する。含水量は、好ましくは乾燥の任意の処理工程によって調節することができる。
【0041】
固体粒子は、好ましくは>100mg Ca(OH)2/g、好ましくは>300mg Ca(OH)2/g、および特に好ましくは>500mg Ca(OH)2/gのポゾラン活性を有する。これは、チャペルテストに従って決定される。したがって、粒子は、好ましくは水力学的に活性である。
【0042】
本方法の好ましい実施形態によれば、固体粒子は、R 457に従って測定された白色度>50%、好ましくは>70%、および特に好ましくは>80%、および/またはEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L*値)>60、好ましくは>70、より好ましくは>80、および特に好ましくは>90を有する。これらの有利な光学値、特に高度の白色度のために、固体粒子は、好ましくは塗料における使用に適している。
【0043】
固体粒子は、好ましくは<3.0g/ml、好ましくは<2.9g/ml、および特に好ましくは<2.8g/ml、または0.5~5g/ml、好ましくは1~4g/ml、および特に好ましくは2~3g/mlの範囲の密度を有する。
【0044】
固体粒子は、好ましくはDIN EN ISO 787‐5に従って測定された<200g/g、好ましくは<150g/g、および特に好ましくは<100g/g、または1g/g~300g/g、好ましくは5g/g~250g/g、および特に好ましくは10g/g~200g/gの範囲の吸油値を有する。
【0045】
固体粒子はまた、好ましくは、結晶性および/または非晶質成分を有する。
【0046】
固体粒子は、好ましくは少なくとも1つの化学元素アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)、水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、タングステン(W)、マンガン(mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、 金(Au)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Hg)、水銀(Hg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、および/またはヨウ素(I)を含む。言及した化学元素は固体粒子中に異なる割合または質量%で含有させることができ、好ましくは0~99.99質量%の間の値が考えられる。特に、記載された範囲内の全ての割合または質量%値が、有利に開示されることが意図される。化学元素は、好ましくは結合形態(化合物)、例えば塩として、および/または元素形態で含有される。
【0047】
本方法の好ましい実施形態によれば、固体粒子は、ケイ酸塩成分および好ましくはケイ酸アルミニウム成分を有する。固体粒子は、特に好ましくはAl‐Si‐O構造を有する。構造は、好ましくはケイ酸アルミニウム構造であると考えられる。ケイ酸アルミニウムは好ましくは鎖状ケイ酸塩、フィロケイ酸塩またはテクトケイ酸塩であり、ケイ酸塩タイプの混合物も考えられることも考えられる。ケイ酸塩成分またはケイ酸アルミニウム成分は、好ましくは固体粒子の主成分を表す。
【0048】
例えば、スポジュメン(LiAl)[Si2O6]またはLi2O x Al2O3x 4 SiO2)またはペタライト(LiAl)[Si4O10]または(Li2O x Al2O3x 8 SiO2)からのリチウムの抽出において、リチウムまたはLi2O成分は、抽出工程によって分離され、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体に対応するAl‐Si‐O構造(ケイ酸アルミニウム)を有する残渣が残る。構造元素の他に、少なくとも1つの元素アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)、水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、タングステン(W)、マンガン(mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、 白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、 金(Au)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、および/またはヨウ素(I)を含有することができる。これらのさらなる元素は例えば、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する提供された無機固体に由来し、他の鉱物または岩石、および/または抽出プロセスからの副産物によって引き起こされる汚染であり得る。言及した化学元素はアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇固体中に、異なる割合または質量%で含有させることができ、0.01~99.99質量%の値が考えられる。特に、記載された範囲内の全ての割合または質量%値が、有利に開示されることが意図される。化学元素は、好ましくは結合形態(化合物)、例えば塩として、および/または元素形態で含有される。
【0049】
工程d)において、処理の結果として、重金属などの破壊的不純物が好ましくは除去され、pHが実質的に中性に調整され、および/または残渣が乾燥され、および/または所望の粒径が調整され、対応する固体粒子がこのようにして得られる。
【0050】
以下では、本発明による方法の工程d)の可能な処理工程がより詳細に提示され、これらは単に好ましい実施形態であることが意図される。言及された処理工程は、好ましくは従来技術においてこの目的のために知られている全ての方法/処理を含むことが意図されている。
【0051】
工程d)による処理は、好ましくは湿式または乾式方法で、または両方法の部分工程の組み合わせで実施される。
【0052】
pHは、好ましくは調整または中和される。洗浄は、好ましくは水を用いて行うこともできる。pH値は、酸浸出後、水酸化ナトリウム溶液NaOH、水酸化カリウム溶液KOH、アンモニアNH3および/または石灰乳のようなアルカリ、または、このアルカリの水溶液を用いて増加される。塩基浸出の場合、pH値は、塩酸HCl、硝酸HNO3、硫酸H2SO4、リン酸H3PO4、炭酸H2CO3、酢酸C2H4O2および/またはシュウ酸C2H2O4などの酸またはこの酸の水溶液によって低下させることができる。
【0053】
好ましくは、中和またはpH調整の間に生じる塩の形態の不純物を除去しない。しかしながら、得られる不純物は、分離工程において、または以下に述べる工程のうちの1つの間に、中和によって除去されることも考えられる。
【0054】
湿式処理の場合、残渣は好ましくは平均粒径および/または質量および/または密度に従って分離され、一方、なお湿ったおよび他の破壊的な鉱物不純物は好ましくは除去される。密度分離法、スパイラル分離器、アップカレント分級器、サイジング法、サイクロンおよび/または遠心分離機が、この目的のために好ましくは使用される。さらに、磁性不純物は好ましくは例えば、磁気分離によって除去される。
【0055】
次いで、残渣の平均粒径は、好ましくは所望に応じて調整される。これは、例えば、粉砕、ビーズミル、分散工程および/または超音波によって行われる。平均粒径は好ましくは可変的に調節可能であり、後の用途に依存する。
【0056】
さらに、残渣は好ましくは平均粒径に従って分離され、この目的のために、例えば、サイジング、サイクロン分離、篩い分け、デカンターおよび/または遠心分離を使用することが可能である。
【0057】
残渣は、好ましくは脱水および/または乾燥される。例えば、フィルタープレス、真空ドラムフィルター、脱水スクリーン、増粘サイクロン、増粘剤、ラメラ増粘剤、遠心分離機、デカンター、粉砕乾燥機および/または流動床乾燥機がこの目的のために使用される。
【0058】
乾式処理のためには、残渣を最初に脱水し、乾燥させることが好ましい。これは、例えば、フィルタープレス、真空ドラムフィルター、脱水スクリーン、増粘サイクロン、増粘剤、ラメラ増粘剤、遠心分離機、デカンター、粉砕乾燥機および/または流動床乾燥機によって保証される。
【0059】
乾燥された残渣は、好ましくは平均粒径および/または質量および/または密度に従って分離される。さらに、磁性不純物は好ましくは例えば、磁気分離によって除去される。また、鉱物分離には、例えば、密度分離法および/または静電法が用いられる。
【0060】
乾式処理における次の工程は、好ましくは例えばボールミル、ジェットミル、ピンミルおよび/またはハンマーミルによって残渣の平均粒径を調節することである。
【0061】
残渣は、好ましくは粒径に従って分離される。ふるい分け、空気分離および/またはサイクロン分離が考えられる。
【0062】
乾式処理の例は、好ましくは以下の処理工程を含む:残渣を提供する工程;NaOHまたは石灰乳で中和する工程;脱水する工程;乾式磁気分離する工程;乾式粉砕および空気分離する工程;包装する工程。
【0063】
例示的な乾式処理では、好ましくは再洗浄はなく、代わりに、pH値の調整または中和が行われる。pH値は、酸浸出後、水酸化ナトリウム溶液NaOH、水酸化カリウム溶液KOH、アンモニアNH3および/または石灰乳のようなアルカリまたは、このアルカリの水溶液を用いて増加される。塩基浸出の場合、pH値は、塩酸HCl、硝酸HNO3、硫酸H2SO4、リン酸H3PO4、炭酸H2CO3、酢酸C2H4O2および/またはシュウ酸C2H2O4などの酸またはこの酸の水溶液によって低下させることができる。再洗浄は膨大な量の水の管理を必要とし、これは、地域的に希少であり得る。中和によって引き起こされる塩汚染は、低く、用途に許容されると考えることができる。
【0064】
より好ましくは、この例の乾式処理では、大きなサイクロンおよび水の管理を必要とするので、乾燥前に湿式分級がない。
【0065】
記載された処理工程は、示された順序で実行される必要はなく、可変である。言及された処理工程のさらなる組み合わせおよび変形も考えられる。湿式処理のために開示された特徴の全ては、乾式処理のためにも開示されることが意図されており、その逆もまた同様である。
【0066】
輸送は、好ましくは抽出の位置から始まる位置の任意の能動的な変化を意味すると理解されるべきである。例えば、抽出後の残渣をさらなる処理等に輸送することが好ましい。充填は、好ましくは例えば、さらなる処理、例えば、いわゆるビッグパックへの充填のための、残渣の分割を意味すると理解されるべきである。包装はまた、販売または輸送のために適切な容器に入れることを意味すると理解される。
【0067】
さらに、残渣の表面コーティングは、物理的および/または化学的に行うことができ、例えば、疎水化、シラン化、および/または化学反応を、温度、圧力、時間の下で、および任意選択でさらなる試薬の添加と共に含むことが考えられる。
【0068】
さらに、この目的は、少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体からアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属抽出物の残渣から得られた固体粒子によって達成され、この固体粒子は本発明によれば、輸送される、および/または充填される、および/または包装される、および/または洗浄される、および/または乾燥される、および/またはpH調整される、および/または平均粒径に従って、および/または質量に従って、および/または密度に従って分離される、および/または平均粒径に基づいて調整される、および/または磁気的に分離される、および/または焼成される、および/または熱的に丸められる、および/または表面被覆される残渣である。
【0069】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は、列挙された特性の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つを含む。
【0070】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体からのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属抽出物の残渣から得られる固体粒子は、輸送され、充填され、包装され、洗浄され、乾燥され、pH調整され、平均粒径に従って、および/または質量に従って、および/または密度に従って分離され、平均粒径に基づいて調整され、磁気的に分離され、焼成され、熱的に丸められ、および/または表面被覆されたものを含む群から選択される特性の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、特に好ましくは少なくとも4つを含むことも考えられる。
【0071】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は表面コーティングを有する。好ましい表面コーティングは、固体粒子の特性を目標とする方法で調整することを可能にする。表面コーティングは好ましくは疎水性表面コーティングであり得、これは特に好ましくはアルキルトリメトキシシラン、アルキルトリエトキシシランおよび/またはアルキルシロキサンの物質の1つを含む。
【0072】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は、0.01m2/g~300m2/g、好ましくは0.1m2/g~250m2/g、および特に好ましくは0.5m2/g~250m2/gの範囲の比表面積(BET)を有する。
【0073】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は、0.1μm~5mm、好ましくは0.1μm~100μm、または100μm~500μm、または500μm~1000μm、または1mm~5mmの範囲の平均粒径(d50、Sedigraph)を有する。
【0074】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は、R 457に従って測定された白色度>50%、好ましくは>70%、および特に好ましくは>80%、および/またはEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L*値)>60、好ましくは>70、より好ましくは>80、および特に好ましくは>90を有する。これらの有利な光学値または特性、特に高度の白色度のために、固体粒子は、好ましくは塗料における使用に適している。
【0075】
水性溶媒中の固体粒子は、好ましくは0~7.5、好ましくは0~6.5、およびより好ましくは0~6、または8~14、好ましくは8.5~14、およびより好ましくは9~14、または6~8の範囲のpH値を有する。
【0076】
好ましい実施形態によれば、固体粒子は、ケイ酸塩成分、および好ましくはケイ酸アルミニウム成分を有する。固体粒子は、特に好ましくはAl‐Si‐O構造を有する。構造は、好ましくはケイ酸アルミニウム構造であると考えられる。ケイ酸アルミニウムは好ましくは鎖状ケイ酸塩、フィロケイ酸塩またはテクトケイ酸塩であり、ケイ酸塩タイプの混合物も考えられることも考えられる。ケイ酸塩成分またはケイ酸アルミニウム成分は、好ましくは固体粒子の主成分を表す。
【0077】
本発明によれば、本発明による固体粒子に関して開示された特徴の全ては、有利には必要な変更を加えて、本発明による方法または本方法によって得られた固体粒子について開示されることも意図され、その逆も同様である。
【0078】
加えて、この目的は、好ましくは充填剤、塗料、ワニス、ポリマー、紙、紙充填剤、剥離剤、自由流動剤、耐火材料、注型添加剤、吸着剤、吸収剤、担体、濾過添加剤、医療用および/または農業用製品、複合材料、ゴムおよびタイヤを含む群から好ましくは選択される製品を製造するための、本発明によるおよび/または好ましくは本発明による方法の工程の少なくとも1つに従って製造される固体粒子の使用によって達成される。
【0079】
固体粒子は、好ましくは機能性充填剤、特に塗料、ワニス、ポリマー(熱可塑性樹脂、熱硬化性プラスチック、エラストマー)、紙および/または水硬性用途の製造に使用される。
【0080】
固体粒子は、好ましくは剥離剤、自由流動剤、耐火材料、注型添加剤、吸着剤、吸収剤、担体、濾過添加剤および/または紙充填剤の製造のために使用される。
【0081】
固体粒子は、医学、農業および/または生命科学の分野の製品を製造するために使用されることも考えられる。
【0082】
固体粒子は例えば、焼成カオリン、珪藻土および/または沈降シリカの代替物として塗料の製造に好ましく使用され、好ましくは、レオロジーおよび処理に影響を及ぼす艶消し剤として役立つ。
【0083】
固体粒子は、好ましくは長石、ネフェリンおよびシリカに代わる新しい種類のワニスの製造に使用される。木材ワニス用途のための透明な耐引っ掻き性増大充填剤の製造のための使用も考えられる。
【0084】
固体粒子は好ましくは複合材料のための充填剤の製造のために、または複合材料の製造のために使用される。固体粒子の縁部は、熱丸めを受けることができる。固体粒子中のLi残留物は特に、それらがリチウム枯渇残留物の処理によって得られた場合、この処理をフラックスとして支持することができる。固体粒子は、好ましくは複合材料用の極めて白色の硬質でレオロジー最適化な充填剤の製造に使用することができる。
【0085】
固体粒子は、好ましくは活性充填剤としてのシリカまたは沈降二酸化ケイ素(SiO2)の代替物として、ゴムまたはタイヤの製造に使用することができる。
【0086】
固体粒子は、好ましくは珪藻土の代替物として、液体、ワイン、ビールおよび/またはジュースを洗浄するためのフィルター材料の製造に使用することができる。
【0087】
固体粒子は、好ましくは油濾過/油精製(鉱油およびヤシおよびオリーブなどの天然油の両方)のための活性化フラー土(ベントナイト)の代替として吸着剤の製造に使用することができる。
【0088】
固体粒子は、好ましくは空気、排気および/または水浄化のための吸着剤の製造に使用することができる。また、固体粒子は比表面積(BET)が増大した不燃性吸収剤、特に水銀吸収剤の製造のために、発電所/廃棄物焼却廃空気浄化における活性炭の代替物として使用することができることも考えられる。
【0089】
固体粒子は好ましくは模様形成を回避するために、鋳造に使用される弾性/変形可能な添加剤(無機)の製造に使用することができる。
【0090】
固体粒子は、好ましくは耐火材料(高融点、不活性)の製造に使用することができる。
【0091】
用途または使用例は、これらに限定されることを意図するものではなく、さらなる用途または用途も考えられる。この場合、固体粒子は製品の製造に適しているべきである。
【0092】
それから製造される製品中の固体粒子は有利には改善された艶消し、光沢、難燃性、粘度影響性、コスト低減性および/または機械的性質を保証する。
【0093】
本出願の観点から、用語「粒径(grain size)」および「粒径(particle size)」は好ましくは同義的に、または互換的に使用される。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0094】
図面において:
図1a、bは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 5.0)。
【0095】
図2a、bは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 7.0)。
【0096】
図1aおよび1bに、リチウム枯渇残渣の粒子のSEM画像を示す。粒子は検体TLR 5.0に相当し、焼成および抽出後に画像化した。
【0097】
図2aおよび2bに、リチウム枯渇残渣の粒子のSEM画像を示す。粒子は試料TLR 7.0に相当し、焼成および抽出後に画像化した。
【0098】
試料TLR 5.0およびTLR 7.0の粒子は、それぞれ、破片状で不規則な粒子形状を示す。さらに、抽出前および抽出中の化学処理から生じる孔、ギャップおよび隙間が見られ、これらはTLR 5.0よりもTLR 7.0でより顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1a】
図1aは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 5.0)。
【
図1b】
図1bは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 5.0)。
【
図2a】
図2aは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 7.0)。
【
図2b】
図2bは、リチウム枯渇残渣からの固体粒子の形態を示す(例TLR 7.0)。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0100】
リチウム抽出に由来し、a)5.0質量%のLi2Oおよびb)7.0質量%のLi2Oを含む、実質的にスポジュメンからなる2つの鉱物濃縮物または濃縮物(少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体)を、以下の条件下で、実験室規模で焼成および浸出処理(抽出)に供した:
焙焼温度: 1100 ℃
焙煎時間:1時間
ベーキング温度: 250 °C
ベーキング時間:1時間
H2SO4/スポジュメン:0.3
水/スポジュメン: 3:1
洗浄液/スポジュメン: 1:1
抽出温度: 90℃
抽出時間:1時間
上記の抽出または浸出の後、以下でTLR 5.0およびTLR 7.0(TLR =試験浸出残渣)と呼ぶ、2つのリチウム枯渇残渣およびそれから本発明による固体粒子が得られた。以下の化学的、物理的および鉱物学的特性を、表1に示すTLR 5.0およびTLR 7.0から決定した。
【0101】
【0102】
11μmでのTLR 7.0の平均粒径(d50、Sedigraph)は、処理により80μmでのTLR 5.0よりも有意に微細である。
【0103】
白色度(ISO、R 457に従って測定)はTLR 5.0およびTLR 7.0について92%であり、これは、例えば、+/-90%のカオリン焼成物よりも高い。
【0104】
TLR 5.0についての1.9%およびTLR 7.0についての2.5%の黄色値は、約3~5%の黄色値を有する焼成物と比較して非常に低い。
【0105】
比表面積(BET)は細かさと共に増加し、TLR 7.0の場合、11.2m2/gは約2~3m2/gの焼成物より低かった。
【0106】
吸油値も細かさと共に増加し、TLR 7.0の吸油値は46g/100gであった。
【0107】
pH値はわずかに酸性であり、TLR 5.0についてはpH 3.1であり、TLR 7.0については4.1である。
【0108】
TLR 5.0およびTLR 7.0は水力学的に活性であり、チャペルテストによれば、中型メタカオリンのレベルである。
【0109】
TLR 5.0およびTLR 7.0の化学組成は、スポジュメンに由来する残りのAl‐シリケート構造(Al‐Si‐O構造)を示す。
【0110】
鉄含有量は、TLR 5.0およびTLR 7.0について<0.1質量%で非常に低い。
【0111】
TLR 7.0の濃縮物のより高いLi含有量も残渣中に見出され、TLR 7.0中で1.0質量%以下であった。
【0112】
TLR 5.0およびTLR 7.0の粒度分布も測定した。値を表2に示す。
【0113】
【0114】
試料TLR 5.0およびTLR 7.0もまた、X線回折法(粉末)によって試験した。両方の試料が結晶相としてケイ酸水素アルミニウムを含有することが見出された。さらに、X線構造分析によれば、両方のサンプルは石英を含む。
【0115】
試料TLR 5.0およびTLR 7.0の物理的特性および化学組成は異なる。異なる特性は、抽出前および/または抽出中の異なるLi2O含有量または関連する異なる処理に起因するか、または得られた試料TLR 5.0およびTLR 7.0の最初に異なる化学組成に起因すると考えられる。
【0116】
次いで、固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0を、さらなる処理工程に供した。
【0117】
固体粒子TLR 5.0は、湿式およびその後の乾式磁気分離によって磁性成分を除去した。湿式磁気分離は、約2テスラの磁場強度を有するステンレス鋼グリッドマトリックス(約1mmメッシュサイズ)上の水性懸濁液中の磁気分離器(Eriez社製)によって実施された。除去された材料を乾燥させた。除去された磁性成分を乾燥させ、次いで、テープ磁気セパレータ(Eriez社製)を用いてさらに除去した。
【0118】
固体粒子TLR 7.0は、湿式およびその後の乾式磁気分離によって磁性成分を除去した。湿式磁気分離は、約2テスラの磁場強度を有するステンレス鋼グリッドマトリックス(約1mmメッシュサイズ)上の水性懸濁液中の磁気分離器(Eriez社製)によって実施された。
【0119】
磁気分離の後、および特定用途試験の前に、乾燥固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0の両方を40μmで篩い分けした。この手順により、空気分離器を用いて粒度分類をシミュレートする。
【0120】
最後に、市販されている他の製品(市販製品; MP)と比較して、エマルジョン塗料に使用するための以下の充填剤試験を、固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0のふるい分けから40μm未満の画分について実施した。
【0121】
固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0、ならびに他の全ての調査された材料/充填剤MP1~7を、唯一の無機成分(充填剤)として結合剤‐添加剤混合物中に導入した。他の充填剤または顔料は含まれなかった。充填剤試験の結果を表3に要約する。
【0122】
【0123】
混合物中の固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0の平均粒径d50は、それぞれ11μmおよび13μmである。
【0124】
混合物中の固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0の粒度分布は、市場製品(MP)に匹敵する。
【0125】
混合物中の固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0のR 457による白色度は約94%である。
【0126】
混合物中の固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0は、それぞれ48および46の吸油値を有する。
【0127】
固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0との混合物の粘度は比較的高い。これは、粒子の形状または形態に起因し得る。
【0128】
固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0との混合物の隠蔽力は低い。これは、着色された配合物における高い色強度およびワニスにおけるより良好な透明性を示唆する。
【0129】
固体粒子TLR 5.0およびTLR 7.0との混合物の艶消しは高く、市場製品(MP)の艶消しに匹敵する。
【0130】
さらに、特定用途試験(AST)を行った。他の添加剤(追加の充填剤、顔料、消泡剤など)を含む完成塗料を調製した。塗料組成物間の唯一の違いは、使用した充填剤であり、固体粒子TLR 7.0および他の市場製品(MP)を使用した。種々の塗料組成物に使用した処方または組成物を表4に要約する。実施した特定用途試験の結果を表5に示す。
【0131】
【0132】
【0133】
特定用途試験(AST)は、固体粒子TLR 7.0から製造された充填剤を含む塗料組成物が市販の同等の製品と実質的に同様の特性を有することを示す。このことから、アルカリおよび/またはアルカリ土類抽出の処理残渣から得られる固体粒子は、この目的のために市販されているものと同様の特性を提供することが分かる。
【0134】
出願人は、出願書類に開示されている全ての特徴が個々に又は組み合わせて先行技術に対して新規であることを条件として、本発明に不可欠であると主張する権利を留保する。また、個々の図面、表、および/または画像には、それ自体が有利であり得る特徴が記載されていることにも留意されたい。当業者は、1つの図面、表、および/または画像に記載された特定の特徴が前記図面、表、および/または画像からさらなる特徴を採用することなく有利であり得ることを直ちに認識するのであろう。また、当業者は、個々の又は異なる図面、表及び/又は画像に示される複数の特徴の組み合わせからも利点が得られることを認識するのであろう。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体から固体粒子を製造する方法であって、少なくとも以下の工程を含む方法。
a)少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体を提供することと、
b)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する前記無機固体から少なくとも1種のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を抽出し、前記アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属ならびにアルカリ金属枯渇および/またはアルカリ土類金属枯渇残渣を含有する抽出物を得ることと、
c)前記残渣から前記抽出物を分離することと、
d)前記固体粒子を得るために前記残渣を処理すること、ここで、前記処理工程の少なくとも1つは、輸送、充填、包装、洗浄、乾燥、pH値の調整、平均粒径および/または質量および/または密度による分離、平均粒径の調整、磁気分離、焼成、熱丸め、および表面コーティングを含む群から選択される。
【請求項2】
前記残渣がリチウム枯渇および/またはマグネシウム枯渇残渣であり、前記残渣が、抽出されたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の
7質量%未満を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程d)が記載された前記処理工程の少なくとも
2つを含む請求項1または請求項2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記固体粒子は、R 457に従って測定された白色度が
>50%、および/またはEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L
*値)が
>60であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記固体粒子が、0.01m
2/g~
300m
2
/gの範囲の比表面積(BET)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記固体粒子が、0.1μm~
5mmの範囲の平均粒径(d
50、Sedigraph)を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記固体粒子がケイ酸塩
成分を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を含有する無機固体からのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属抽出物の残渣から得られる固体粒子であって、
前記固体粒子は、輸送される、および/または充填される、および/または包装される、および/または洗浄される、および/または乾燥される、および/またはpH値を調整される、および/または平均粒径に従っておよび/または質量に従っておよび/または密度に従って分離される、および/または平均粒径に基づいて調整される、および/または磁気的に分離される、および/または焼成される、および/または熱的に丸められる、および/または表面被覆される残渣であることを特徴とする固体粒子。
【請求項9】
前記固体粒子が、列挙された特性の少なくとも
2つを含むことを特徴とする請求項8に記載の固体粒子。
【請求項10】
前記固体粒子が表面コーティングを有することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の固体粒子。
【請求項11】
前記固体粒子が、0.01m
2/g~
300m
2
/gの範囲の比表面積(BET)を有することを特徴とする請求項8~10のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項12】
前記固体粒子が、0.1μm~
5mmの範囲の平均粒径(d
50、Sedigraph)を有することを特徴とする請求項8~11のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項13】
前記固体粒子が、>50
%のR 457に従って測定された白色度、および/または>
60のEN ISO 11664‐4に従って測定された輝度値(L
*値)を有することを特徴とする請求項8~12のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項14】
前記固体粒子がケイ酸塩
成分を有することを特徴とする、請求項8~13のいずれかに記載の固体粒子。
【請求項15】
充填剤、塗料、ワニス、ポリマー、紙、紙充填剤、剥離剤、自由流動剤、耐火材料、鋳造添加剤、吸着剤、吸収剤、担体、濾過添加剤、医療用および/または農業用製品、複合材料、ゴムおよびタイヤを含む群
から選択される、製品を製造するための
、請求項8~14のいずれかに記載の、および/
または請求項1~7のいずれかに記載の方法の工程の少なくとも1つに従って製造される固体粒子の使用。
【国際調査報告】