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特表2022-521284炭化水素を製造するための方法及びプロセス配列、並びに使用
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  • 特表-炭化水素を製造するための方法及びプロセス配列、並びに使用 図1
  • 特表-炭化水素を製造するための方法及びプロセス配列、並びに使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】炭化水素を製造するための方法及びプロセス配列、並びに使用
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/14 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
C08J11/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549231
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 FI2020050111
(87)【国際公開番号】W WO2020169888
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】20195132
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】301036984
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン,マッティ
(72)【発明者】
【氏名】レイニカイネン,マッティ
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA08
4F401AA40
4F401BA03
4F401BA13
4F401BB06
4F401CA25
4F401CA70
4F401CB32
4F401DA09
4F401DA16
4F401EA11
4F401EA48
4F401FA01Y
4F401FA01Z
4F401FA06Y
4F401FA06Z
(57)【要約】
本発明は、ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造する方法及びプロセスであって、ポリマーベースの廃棄物(1)が、生成物混合物(4)を形成するために、ガス化装置(2)中、低温で、蒸気(3)によってガス化され、且つガス化装置中の温度が640~750℃であり、且つ生成物混合物(4)が、少なくとも1つの炭化水素フラクション(7、8、9)を分離するために、ガス化装置(2)から炭化水素の回収ユニット(6)へと供給される、方法及びプロセスに関する。さらに本発明は、方法の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造する方法であって、
-生成物混合物(4)を形成するために、ガス化装置(2)中、640~750℃の低温で、蒸気(3)によって前記ポリマーベースの廃棄物(1)をガス化すること、及び
-少なくとも1つの炭化水素フラクション(7、8、9)を分離するために、前記ガス化装置(2)から前記炭化水素の回収ユニット(6)へと前記生成物混合物(4)を供給すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガス化装置(2)が、少なくとも1つの分解ユニット(12)と平行に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス化装置(2)が、流動層ガス化装置であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス化装置(2)中での前記処理温度が、700~750℃であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス化装置(2)中での前記処理温度が、700~720℃であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス化装置の流動層中の前記層材料が、砂及び/又はカルシウム含有層材料であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーベースの廃棄物が、少なくともポリオレフィン及び他のポリマーを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス化装置(2)中での滞留時間が4~30秒であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生成物混合物(4)が、前記ガス化装置(2)の後で400~500℃の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生成物混合物(4)が、前記ガス化装置(2)の後で濾過されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生成物混合物(4)が、少なくともエチレン、プロピレン及び軽芳香族炭化水素を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記芳香族炭化水素が回収されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記生成物混合物(4)及び/又は前記芳香族炭化水素の望ましくない成分が、前記ガス化のためのエネルギーを発生するために使用されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記生成物混合物(4)が、前記回収ユニット(6)への前記供給の一部分であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造するためのプロセス配列であって、
-生成物混合物(4)を形成するために、640~750℃の低温で、蒸気(3)によって前記ポリマーベースの廃棄物(1)がガス化されるガス化装置(2)、
-前記ガス化装置(2)に前記蒸気(3)を供給するための蒸気インレット、及び
-前記生成物混合物(4)が前記ガス化装置(2)から供給され、且つ少なくとも1つの所望の炭化水素フラクション(7,8,9)が分離される、回収ユニット(6)
を含むことを特徴とするプロセス配列。
【請求項16】
前記ガス化装置(2)と平行に配置される少なくとも1つの分解ユニット(12)を含むことを特徴とする、請求項15に記載のプロセス配列。
【請求項17】
前記ガス化装置(2)が流動層ガス化装置であることを特徴とする、請求項15又は16に記載のプロセス配列。
【請求項18】
前記生成物混合物(4)を濾過するための少なくとも1つの加熱フィルター(5)を含むことを特徴とする、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス配列。
【請求項19】
前記回収ユニット(6)が、少なくとも分離デバイス及び/又は蒸留装置を含むことを特徴とする、請求項15~18のいずれか一項に記載のプロセス配列。
【請求項20】
前記生成物混合物(4)の望ましくない成分を前記ガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイス、及び/又は前記芳香族炭化水素を前記ガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイスを含むことを特徴とする、請求項15~19のいずれか一項に記載のプロセス配列。
【請求項21】
炭化水素、軽芳香族炭化水素、一酸化炭素、水素又はそれらの組合せの製造において使用されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、オレフィンなどの炭化水素を製造するための請求項1に定義される方法及び請求項15に定義されるプロセス配列に関する。さらに本出願は、請求項21に定義される方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
従来技術から、炭化水素及びオレフィンは、分解プロセスによって化石原料から製造されることが知られている。さらに、従来技術から、回収プロセスによって、異なるオレフィンフラクションを分離することができることが知られている。
【0003】
さらに、従来技術から、廃棄プラスチックは、リサイクルすること、そして新製品中の原料として利用することが困難であることが知られている。メカニカルリサイクルは、リサイクルを行うための最も安価な様式であるが、その適用性は、プラスチックのクリーニングに限定されており、そしてメカニカルリサイクルされたプラスチックは、典型的により低次の用途で使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的
本目的は、廃棄物原料からオレフィンなどの炭化水素を製造するための新しい種類の方法及びプロセス配列を開示することである。さらに、本目的は、ポリマーベースの廃棄物を原料として利用するための新しい種類の方法及びプロセス配列を開示することである。さらに、本目的は、オレフィン製造において、バージン化石原料を置き換えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本方法及びプロセス配列並びに使用は、請求の範囲における提示によって特徴づけられる。
【0006】
本方法及びプロセス配列において、炭化水素、例えばオレフィンは、ガス化装置中でのガス化によってポリマーベースの廃棄物を処理して、生成物混合物を形成することによって、ポリマーベースの廃棄物から製造され、そして炭化水素は、回収ユニット中で生成物混合物から分離される。
【0007】
図面の簡単な説明
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、且つ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、そして記載と一緒に、本発明の原理を説明することの補助となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるプロセスのフローチャート例である。
図2】別の実施形態によるプロセスのフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造する方法において、ポリマーベースの廃棄物(1)は、生成物混合物(4)を形成するために、ガス化装置(2)中、低温で、蒸気(3)によってガス化される。ガス化装置中の温度は640~750℃であり、且つ生成物混合物(4)は、少なくとも1つの所望の炭化水素フラクション(7、8、9)を分離するために、ガス化装置(2)から炭化水素の回収ユニット(6)へと供給される。
【0010】
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造するためのプロセス配列は、生成物混合物(4)を形成するために、640~750℃である低温で、蒸気(3)によってポリマーベースの廃棄物(1)がガス化されるガス化装置(2)と、蒸気(3)をガス化装置(2)に供給するための蒸気入口と、生成物混合物(4)がガス化装置(2)から供給され、且つ少なくとも1つの所望の炭化水素フラクション(7、8、9)が分離される回収ユニット(6)とを含む。
【0011】
方法及びプロセス配列の一実施形態は図1に示される。方法及びプロセス配列の別の実施形態は図2に示される。
【0012】
これに関連して、ポリマーベースの廃棄物(1)は、ポリマー又はポリマーを含むか、或いは1つ又はそれ以上のポリマーからなる、任意の廃棄物を意味する。ポリマーベースの廃棄物は、不均一な材料であることが多い。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、少なくともポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレンを含む。ポリマーベースの廃棄物は、他のポリマーを含んでいてもよい。さらにポリマーベースの廃棄物は、紙、ボール紙及び/又はアルミニウム材料などの他の成分を含んでいてもよい。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、混合プラスチック材料である。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、多層プラスチックパッケージ及び生成物を含む。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上のポリオレフィンを含む。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、80重量%未満、一実施形態において、70重量%未満、一実施形態において、60重量%未満、そして一実施形態において、50重量%未満のポリオレフィンを含む。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、一実施形態において、2重量%未満のPVCプラスチックを含む。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物、すなわちガス化装置(2)の供給は、固体状態、例えば細断された材料の形態である。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、ガス化装置に供給される前に、例えば、研削、ミリング加工、切断、細断、ブリケット化、ペレット化の手段、又は他の粉末形成の手段によって処理される。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物の粒径は、平坦な形態の粒子に関しては、例えば0.1mm~100mmで、そして球形の粒子に関しては、例えば0.1mm~30mmで変動可能である。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、例えば、ガス化装置中へ供給する前に、供給から酸素を減少させるために、窒素によって不活性化される。
【0013】
これに関連して、生成物混合物(4)は、ガス化装置(2)からの生成物ガスなどのいずれの生成物混合物も意味する。通常、生成物混合物は炭化水素の混合物であり、さらに一酸化炭素及び水素を含み得る。生成物混合物は、1つ又はそれ以上の成分を含む。一実施形態において、生成物混合物は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、芳香族炭化水素及び/又は他の炭化水素を含み得る。一実施形態において、生成物混合物は、少なくとも、C1~C6炭化水素などの軽炭化水素を含む。一実施形態において、生成物混合物は、少なくともオレフィンを含む。一実施形態において、生成物混合物は、少なくともエチレンを含む。一実施形態において、生成物混合物は、少なくともエチレン、プロピレン及びベンゼン又はトルエンなどの軽芳香族炭化水素を含む。一実施形態において、生成物混合物は、水素及び/又は一酸化炭素をさらに含む。さらに、生成物混合物は、固体粒子又は固体不純物などの他の成分又は化合物、例えば固体成分を含み得る。一実施形態において、生成物混合物は、オレフィンリッチな生成物混合物である。一実施形態において、生成物混合物は、エチレンリッチな生成物混合物である。
【0014】
これに関連して、ガス化装置中でのガス化は、蒸気によるいずれのガス化プロセスも意味する。ガス化は、出発材料をガス化生成物、例えば炭化水素及び水素に変換するプロセスである。これは、蒸気及び/又は追加的な酸素の制御された量を用いて、適切な温度で出発材料を処理することによって達成される。
【0015】
一実施形態において、ガス化装置(2)は、蒸気分解装置などの少なくとも1つの分解デバイスを含む、1つ又はそれ以上の既知の分解ユニット(12)と平行に配置される。一実施形態において、ガス化装置(2)は、少なくとも1つの分解ユニット(12)と平行に配置される。一実施形態において、プロセス配列は、ガス化装置(2)と平行に配置される少なくとも1つの分解ユニット(12)を含む。前記分解ユニット(12)において、分解ユニットの炭化水素混合物(13)は、原油誘導蒸留液又はそれらの高次生成物、例えばナフサ、エタン又はプロパンなどの他の原料(11)から、分解によって製造される。次いで、ガス化装置(2)からの生成物混合物(4)、及び分解ユニット(12)の炭化水素混合物(13)を回収ユニット(6)に供給することができるか、又は回収ユニット(6)の所望のステップ若しくはデバイスに提供することができ、そして生成物混合物(4)は回収ユニット(6)への供給の一部分である。一実施形態において、生成物混合物(4)及び分解ユニットの炭化水素混合物(13)を回収ユニット(6)の同一ステップ又はデバイスに供給することができる。一実施形態において、生成物混合物(4)、及び分解ユニットの炭化水素混合物(13)を回収ユニット(6)の異なるステップ又はデバイスに供給することができる。これに関連して、分解ユニットの炭化水素混合物(13)は、少なくともエチレン、プロピレン及び/又は他のオレフィンなどのオレフィンを含むいずれかの炭化水素を含有する混合物も意味する。さらに炭化水素混合物(13)は、他の炭化水素及び/又は他の成分を含み得る。
【0016】
一実施形態において、ガス化装置(2)は流動層ガス化装置である。いずれの適切な層材料も、流動層の流動材料として使用可能である。一実施形態において、層材料は、砂及び/又はカルシウム含有層材料、例えば石灰、石灰岩、ドロマイト、CaCO3又はCaOである。一実施形態において、層材料は、0~100重量%の砂及び100~0重量%のカルシウム含有層材料を含有する。一実施形態において、層材料は砂からなる。一実施形態において、層材料は、カルシウム含有層材料からなる。一実施形態において、層材料は、60体積%未満、一実施形態において、50体積%未満、一実施形態において、30体積%未満のカルシウム含有層材料を含有する。一実施形態において、Al2O3は層材料に添加される。一実施形態において、層材料は、0.1~100体積%のAl2O3を含み得る。
【0017】
一実施形態において、ガス化装置(2)中での処理温度は、700℃以上、例えば700~750℃である。一実施形態において、処理温度は、710~740℃、そして一実施形態において、720~730℃である。一実施形態において、処理温度は、690~730℃、そして一実施形態において、700~720℃である。一実施形態において、処理温度は640~700℃である。一実施形態において、処理温度は640~670℃である。
【0018】
一実施形態において、ガス化装置(2)中での処理は、大気圧下で行われる。一実施形態において、処理は、4バール未満、一実施形態において、3バール未満、そして一実施形態において、2バール未満の圧力で行われる。
【0019】
一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は、分解ユニット(12)の蒸気分解装置などの分解デバイス中での滞留時間より明らかに長い。一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は3~30秒である。一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は4~30秒である。一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は4~20秒である。一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は5~15秒である。一実施形態において、ガス化装置(2)中での滞留時間は10~20秒である。
【0020】
一実施形態において、生成物混合物(4)は、ガス化装置(2)の後で冷却される。一実施形態において、生成物混合物は、400~500℃の温度まで冷却される。一実施形態において、生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)に供給する前に冷却される。一実施形態において、プロセス配列は、生成物混合物(4)を冷却するための少なくとも1つの冷却デバイスを含む。
【0021】
一実施形態において、生成物混合物(4)は、ガス化装置(2)の後で濾過される。一実施形態において、生成物混合物(4)は、生成物混合物を冷却した後に濾過される。一実施形態において、生成物混合物(4)は、加熱フィルターによって濾過される。或いは生成物混合物は、いずれかの適切なフィルター、サイクロン又は他の濾過デバイスによって濾過されることも可能である。一実施形態において、プロセス配列は、生成物混合物(4)を濾過するために、少なくとも1つのフィルター(5)、例えば加熱フィルター又は他の適切なフィルター又は濾過デバイスを含む。濾過で、固体粒子又は固体不純物などの固体成分を生成物混合物(4)から除去することができる。一実施形態において、塩素(Cl)及び/又は塩素化合物は、ガス濾過の前に吸収材を注入するか、又はカルシウムベースの層添加剤を使用することによって、生成物混合物から除去される。
【0022】
一実施形態において、生成物混合物(4)は、30重量%以上、一実施形態において、25重量%以上、そして一実施形態において、20重量%以上のエチレン及びプロピレンなどのオレフィンを含む。一実施形態において、生成物混合物(4)は、25の重量%以上、そして一実施形態において、20重量%以上のエチレンを含む。一実施形態において、生成物混合物(4)は、13重量%以上、そして一実施形態において、10重量%以上のベンゼンなどの軽芳香族を含む。
【0023】
一実施形態において、生成物混合物(4)は、炭化水素の回収ユニット(6)の所望のステップに、例えば第1のステップ又はデバイスに、或いはその後のステップ又はデバイスに供給されることが可能である。一実施形態において、生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)への供給の一部分である。一実施形態において、生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)への供給の一部分として少なくとも使用される。一実施形態において、生成物混合物は、回収ユニットへの供給中でそのように使用されることが可能である。一実施形態において、生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)への供給の前に処理されることが可能である。一実施形態において、生成物混合物の望ましくない成分、例えば不純物、又は金属、例えばアルミニウム、或いは重芳香族炭化水素は、ガス化装置(2)の後で生成物混合物(4)から除去され得る。一実施形態において、芳香族炭化水素、例えば重芳香族炭化水素及び/又は軽芳香族炭化水素は、ガス化装置(2)の後で生成物混合物(4)から除去され得る。
【0024】
回収ユニット(6)を含む回収プロセスは、炭化水素フラクションなどの所望の炭化水素、及び/又は所望の他の成分若しくはフラクションが回収プロセスの供給から分離される、多段階プロセスであり得る。回収プロセスは、供給がその成分部分又はフラクションに分離される、炭化水素を分離するための分離プロセスである。プロセス配列は、少なくとも、炭化水素フラクション(7、8、9)などの炭化水素が回収される回収ユニット(6)を含む。回収ユニット(6)は、所望の炭化水素及び炭化水素フラクションを分離するための2つ以上のデバイスを含む。さらに他の成分又はフラクションは、回収ユニットで分離され得る。回収ユニット(6)は、分離デバイス、蒸留装置、冷却デバイス、水素化処理デバイス、脱水デバイス又は他の適切なデバイスなどの、炭化水素又は他の成分を分離するための異なるデバイスを含み得る。一実施形態において、回収ユニット(6)は、少なくとも分離デバイス及び/又は蒸留装置を含む。一実施形態において、回収ユニット(6)は、少なくとも蒸留装置を含む。一実施形態において、所望の炭化水素は、蒸留によって分離される。一実施形態において、回収ユニット(6)は、少なくとも分離デバイスを含む。一実施形態において、所望の炭化水素は、1つ又はそれ以上の分離デバイスの分離手段によって回収されるか、又は除去される。一実施形態において、一酸化炭素及び/又は水素は回収ユニット中で回収される。一実施形態において、芳香族炭化水素は、回収ユニット中で回収される。一実施形態において、生成物混合物の望ましくない成分は、回収ユニット中で除去することが可能である。それ自体が既知のいずれの適切な分離デバイスも、プロセス配列の分離デバイスとして使用可能である。それ自体が既知のいずれの適切な蒸留装置も、プロセス配列の蒸留装置として使用可能である。蒸留装置は、蒸留、例えば分別蒸留又は抽出蒸留に基づくものであってよい。
【0025】
一実施形態において、回収された水素は、処理のために水素が必要とされるプロセスの適切なプロセスステップに、又は所望の精製プロセスに再循環されることが可能である。一実施形態において、回収された一酸化炭素、芳香族炭化水素、タール及び/又はメタンは、プロセスの適切なプロセスステップに、又は所望の改質プロセスに再循環されるか、或いはガス化装置(2)に戻されて、例えば、ガス化装置のためのエネルギーを形成すること、又はガス化装置中での温度を維持することが可能である。一実施形態において、芳香族炭化水素、例えば軽芳香族炭化水素は、最終生成物として、又は化学製品のための供給源材料として使用可能である。
【0026】
一実施形態において、ガス化装置(2)中でのガス化条件及び/又は選択されたポリマーベースの廃棄物材料(1)に基づいて、生成物分布を調整することができる。一実施形態において、エチレンリッチな生成物混合物は、ガス化装置(2)中でポリマーベースの廃棄物(1)から形成される。
【0027】
一実施形態において、生成物混合物(4)の望ましくない成分、メタン、水素、一酸化炭素及び/又は芳香族炭化水素、例えば重芳香族炭化水素は、ガス化のためのエネルギーを発生するために使用されるか、又はガス化装置(2)に再循環される。一実施形態において、エネルギーを発生するためのガス化装置と集積化されたデバイス中で、前記成分及び材料を処理することができる。一実施形態において、生成物混合物(4)の望ましくない成分、メタン、水素及び/又は一酸化炭素は、ガス化装置(2)に熱を提供するためのエネルギー材料として使用されることができる。一実施形態において、芳香族炭化水素、例えば重い芳香族炭化水素は、ガス化のためのエネルギーを発生するために使用され、そしてそれらは、ガス化装置(2)に熱を提供するためのエネルギー材料として使用されることができる。
【0028】
一実施形態において、プロセス配列は、望ましくない成分、一酸化炭素及び/又は芳香族炭化水素をガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイスを含む。一実施形態において、再循環デバイスは、芳香族炭化水素、一酸化炭素及び/又は望ましくない成分を回収ユニット(6)からガス化装置(2)へと再循環させるように配置される。
【0029】
一実施形態において、プロセス配列は、ポリマーベースの廃棄物(1)を処理するための2つ以上のガス化装置(2)を含む。次いで、前記ガス化装置(2)からの生成物ガスなどの生成物混合物を回収ユニット(6)に、又は回収ユニット(6)の所望のステップ若しくはデバイスに供給することができる。
【0030】
一実施形態において、プロセス配列は、ガス化装置(2)にポリマーベースの廃棄物(1)を供給するための少なくとも1つの第1の供給入口を含む。一実施形態において、プロセス配列は、生成物混合物(4)をガス化装置(2)から外へ放出するための少なくとも1つの第1の出口を含む。
【0031】
一実施形態において、プロセス配列は、ガス化装置(2)の生成物混合物(4)及び/又は分解ユニット(12)の炭化水素混合物(13)を回収ユニット(6)に供給するための回収ユニット(6)の少なくとも1つの供給入口、例えば第2の供給入口を含む。一実施形態において、プロセス配列は、少なくとも1つのオレフィンフラクション(7、8、9)を回収ユニット(6)から外へ放出するための少なくとも1つの出口、例えば第2の出口を含む。
【0032】
供給入口は、それ自体既知のいずれかの適切な入口、例えばパイプ、ポートなどであり得る。出口は、それ自体既知のいずれかの適切な出口、例えばパイプ、出口ポートなどであり得る。
【0033】
一実施形態において、プロセス配列は、ポリマーベースの廃棄物(1)をガス化装置(2)に供給するための少なくとも1つの供給デバイスを含む。これに関連して、供給デバイスは、いずれの供給デバイス、装置又は他の適切なデバイスでもあり得る。一実施形態において、供給デバイスは、ネジ、コンベア、チューブ、パイプ、空気式供給デバイス、空気式コンベア、押出機、他の適切な供給デバイス及びそれらの組合せを含む群から選択される。一実施形態において、ポリマーベースの廃棄物は、気体としてメタン、例えばこのプロセスからリサイクルされたメタンを使用する空気式供給デバイス又は空気式コンベアによってガス化装置に供給される。
【0034】
蒸気(3)は、蒸気入口を通してガス化装置(2)に供給されることが可能である。一実施形態において、蒸気はガス化装置の底部からガス化装置へと供給される。一実施形態において、蒸気入口は、ガス化装置の底部に連結して配置される。一実施形態において、プロセス配列は、ガス化装置内部に蒸気を分布させるために、ガス化装置の底部に連結して配置される分布手段、例えば格子を含む。ガス化装置において、いずれの適切な蒸気入口及び分布手段も使用可能である。
【0035】
本方法及びプロセス配列は、連続プロセスとして作動させることができる。
【0036】
一実施形態において、本方法及びプロセス配列は、炭化水素、例えば軽炭化水素、オレフィン、例えばエチレン、プロピレン及びブタジエン、軽芳香族炭化水素、例えばベンゼン及びトルエン、一酸化炭素、水素又はそれらの組合せの製造において使用及び利用される。回収ユニットからの生成物、例えば炭化水素フラクションは、そのまま使用可能であるか、又は例えば重合プロセス、酸化プロセス、ハロゲン化プロセス、アルキル化プロセス又は他の化学的プロセスに、或いはプラスチックの製造に供給されることが可能である。例えば、エチレン及びプロピレンは、プラスチック製品、石油化学製品及び化学製品のための基礎単位である。
【0037】
本発明によって、ポリマーベースの廃棄物を容易に、且つ有効に処理及び利用することができる。オレフィンなどの所望の炭化水素を回収することができる。さらに、ポリマーベースの廃棄物から誘導される、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの軽芳香族炭化水素を回収することが可能であり、そして重芳香族炭化水素を再循環して、プロセス中で利用することができる。このプロセスでは、廃棄物を高級化することができる。本方法及びプロセス配列は、ポリマーベースの廃棄物を容易に、そしてエネルギー効率的且つコスト効率的に処理するという可能性を提供する。
【0038】
本発明は、ポリマーベースの廃棄物から炭化水素、特にオレフィンを製造するための工業的に適用可能であり、単純であり、且つ入手可能な方法を提供する。本発明は、廃棄物ポリオレフィンをオレフィンにリサイクルするためのフレキシブルで経済的に可能な方法を提供する。本方法及びプロセス配列は、製造プロセスに関して容易且つ単純に実現される。
【0039】
さらに、本発明によって、ポリマーベースの廃棄物のリサイクルを改良することができる。さらに、新規の原油ベースの原材料の一部分をポリマーベースの廃棄物と入れ替えることができる。さらに、既存の回収プロセスが適用可能である場合、回収ユニットのための出資は必要とされない。
【実施例
【0040】
実施例
図1及び2は、ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を連続的に製造する方法、さらにはプロセス配列を提示する。
【0041】
図1のプロセスは、ポリマーベースの廃棄物(1)が、生成物混合物(4)を形成するために、640~750℃、例えば720~730℃の低温で、蒸気(3)によってガス化される流動層ガス化装置(2)と、ガス化装置(2)に蒸気(3)を供給するための蒸気入口と、その中にガス化装置(2)から生成物混合物(4)が供給され、且つ少なくとも1つの所望の炭化水素フラクション(7、8、9)が分離される回収ユニット(6)とを含む。ガス化装置(2)中、大気圧下で処理が行われ、そしてガス化装置中での滞留時間は4~30秒、一実施形態において5~15秒である。
【0042】
蒸気(3)は、蒸気入口を通して、適切な蒸気供給デバイスによってガス化装置(2)へと供給される。
【0043】
生成物混合物(4)は、少なくともエチレン、プロピレン及び軽芳香族炭化水素、例えばベンゼン又はトルエンを含み、さらに水素及び一酸化炭素を含み得る。さらに生成物混合物は、他の炭化水素を含み得る。好ましくは、生成物混合物は、エチレンリッチな生成物混合物である。
【0044】
一実施形態において、生成物混合物(4)は、ガス化装置(2)の後、例えば400~500℃の温度まで冷却され得る。一実施形態において、プロセス配列は、ガス化装置の後、例えば生成物混合物を冷却した後、生成物混合物(4)を濾過するため、そして生成物混合物から固体成分を除去するための少なくとも1つのフィルタリングデバイス(5)、例えば加熱フィルターを含み得る。
【0045】
生成物混合物(4)は、炭化水素の回収ユニット(6)中の所望のステップ又はデバイスに供給されることが可能である。生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)への供給の一部分である。回収ユニット(6)において、少なくとも所望の炭化水素又は炭化水素フラクション、例えばエチレン(7)、プロピレン(8)及び芳香族炭化水素(9)は回収される。回収ユニット(6)は、所望の炭化水素を分離するための種々のデバイス、例えば分離デバイス、蒸留装置、冷却デバイス、水素化処理デバイス、脱水デバイス又は他の適切なデバイスを含む。好ましくは、回収ユニット(6)は、少なくとも分離デバイス及び/又は蒸留装置を含む。炭化水素フラクション(7、8、9)は、回収ユニット(6)中で分離及び/又は蒸留によって分離される。
【0046】
さらに、一酸化炭素、水素、メタン、芳香族炭化水素(9)及び/又は他の望ましくない成分は、回収ユニット(6)中で回復され得る。回収された水素は、処理のために水素が必要とされるプロセスの適切なプロセスステップに、又は所望の精製プロセスに再循環され得る。回収された一酸化炭素、芳香族炭化水素、メタン及び/又は他の望ましくない成分は、プロセスの適切なプロセスステップに再循環され得るか、又はガス化装置(2)に戻されてもよい。前記成分は、ガス化のためのエネルギー、温度及び/又は蒸気を発生させるために、ガス化装置に再循環されてもよい。プロセス配列は、一酸化炭素、メタン及び/又は望ましくない成分を回収ユニット(6)からガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイスを含み得る。プロセス配列は、芳香族炭化水素(9)、例えば重芳香族炭化水素(10)を回収ユニット(6)からガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイスを含み得る。或いは芳香族炭化水素、例えば軽芳香族炭化水素は、最終生成物として、又は化学製品のための源材料として使用可能である。
【0047】
図2によると、ガス化装置(2)は、蒸気分解装置などの少なくとも1つの分解デバイスを含む既知の分解装置ユニット(12)と平行に配置される。前記分解ユニット(12)において、炭化水素混合物(13)は、分解によって他の原材料(11)、例えば化石の原材料から製造される。次いで、ガス化装置(2)からの生成物混合物(4)及び分解ユニット(12)からの炭化水素混合物(13)を回収ユニット(6)に、或いは回収ユニット(6)の所望のステップ又はデバイスに供給することが可能であり、且つ生成物混合物(4)は、回収ユニット(6)への供給の一部分である。
【0048】
実施例1
本プロセスは、ベンチスケールバブリング流動層ガス化装置において研究された。
【0049】
ポリエチレンベースの廃棄物を供給として使用し、そしてガス化装置のガス化剤として蒸気が使用された。低いガス化温度を使用し、そしてガス化装置中の温度は690~730℃であった。ガス化装置中の滞留時間は約4~8秒であった。ガス化装置中でのガス化の間に生成物ガスが形成された。5つの試験期間を実行し、分析した。
【0050】
オレフィン産業では、例えばエチレン及びプロピレンを含むオレフィン混合物は、通常、分解ユニットでのナフサ、エタン又はプロパンの分解及び処理によって製造され、そして多段階回収プロセスによって、オレフィン混合物からオレフィンが回収される。
【0051】
本試験から、乾燥生成物ガス中の主要成分が以下の通りであることが観察された:28.1~33.3体積%のH2、20.0~27.7体積%のCH4及び21.1~26.5体積%のC2H4、並びに追加試験において、22.2~39.3体積%のC2H4。生成物ガスは、エチレンが驚くほど豊富だった。この結果を、オレフィン混合物が1.03体積%のH2+CO、15.35体積%のCH4及び31.02体積%のC2H4を含有する、従来のナフサ分解装置のオレフィン混合物からの結果と比較した。生成物ガスの生成物分布は、ナフサ分解装置からのオレフィン混合物の従来の生成物分布に非常に類似していた。さらに、本試験から、生成物ガスが高いタール装填量を有することが観察された。しかしながら、濾過の問題は観察されなかった。したがって、少なくともエチレン及びさらなる芳香族炭化水素、例えばタールを含む生成物ガスの混合物は、従来のオレフィン回収プロセス又は回収ユニットの下流プロセスのための適切な原料であった。本発明による蒸気ガス化装置は、従来のナフサ分解装置と平行に設置されることが可能であり、リサイクルされたポリオレフィンによってバージンナフサの部分的な置き換えを可能にする。
【0052】
実施例2
本プロセスは、ベンチスケールバブリング流動層ガス化装置中で研究された。
【0053】
ガス化装置において、ポリマーベースの供給は、生成物混合物を形成するために、700~720℃である低温において、蒸気によってガス化された。
【0054】
ポリエチレン材料を第1の試験の供給として使用し、そしてメカニカルリサイクルのために適切ではない混合プラスチック材料を第2の試験の供給として使用した。本試験中、層材料は砂又は砂とドロマイトの混合物であった。
【0055】
第1の試験において、生成物混合物はエチレン、プロピレン及び軽芳香族炭化水素、例えばベンゼンを含み、さらに水素、メタン及び他の炭化水素を含んだ。さらに、生成物混合物は二酸化炭素及び一酸化炭素を含んだ。PL-9及びPL-16では層材料として砂が使用され、そしてPL-6では層材料としてドロマイト及び砂の混合物(ドロマイト:砂は50:50であった)が使用された。PL-6及びPL-9ガス化においては、温度は705℃であり、流動速度は0.31m/秒であり、そしてPL-16ガス化においては、温度は720℃であり、流動速度は0.5m/秒であった。ポリエチレン材料供給あたりの生成物成分の収量を乾燥生成物ガスとして表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
第1の試験では、高いオレフィン収量を達成可能であることが観察された。さらに、生成物ガスが、タール、すなわち、例えば芳香族化合物を含む縮合可能な炭化水素化合物を含むことが観察された。しかしながら、濾過の問題は観察されなかった。さらに、PL-6から、層材料中のドロマイト添加(ドロマイト:砂は50:50であった)によってオレフィン収量が増加することが観察された。
【0058】
第2の試験において、生成物混合物は、エチレン、プロピレン及び軽芳香族炭化水素、例えばベンゼンを含み、そしてさらに水素、メタン及び他の炭化水素を含んだ。さらに生成物混合物は、二酸化炭素及び一酸化炭素を含んだ。NP-12では、層材料として砂が使用された。NP-12ガス化において、温度は720℃であり、流動速度は0.31m/秒であった。ポリエチレン材料供給あたりの生成物成分の収量を乾燥生成物ガスとして表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
第2の試験では、高いオレフィン収量を達成可能であることが観察された。さらに、生成物ガスが、タール、すなわち、例えば芳香族化合物を含む縮合可能な炭化水素化合物を含むことが観察された。しかしながら、濾過の問題は観察されなかった。
【0061】
これらの実施例で使用されるプロセスのデバイス及び装置は当該技術においてそれ自体既知であり、したがって、それらは、本明細書中により詳しく説明されない。
【0062】
本方法及びプロセス配列は、異なるポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造するための種々の実施形態において適切である。
【0063】
本発明は、上記の実施例にのみ限定されることはなく、その代わりに、請求の範囲によって定義される本発明の認識の範囲内で、多くの変更が可能である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造する方法であって、
-生成物混合物(4)を形成するために、ガス化装置(2)中、640~750℃の低温で、蒸気(3)によって前記ポリマーベースの廃棄物(1)をガス化すること、及び
前記ガス化装置(2)を少なくとも1つの分解ユニット(12)と平行に配置し、そして少なくとも1つの炭化水素フラクション(7、8、9)を分離するために、前記ガス化装置(2)からの前記生成物混合物(4)及び前記分解ユニットの炭化水素混合物(13)を前記炭化水素の回収ユニット(6)へと供給すること
を含み、前記生成物混合物(4)が前記回収ユニット(6)への前記供給の一部分であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガス化装置(2)が流動層ガス化装置であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス化装置(2)中の前記処理温度が700~750℃であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス化装置(2)中での前記処理温度が、700~720℃であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記層材料が、前記ガス化装置の流動層の砂及び/又はカルシウム含有層材料であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーベースの廃棄物が、少なくともポリオレフィン及び他のポリマーを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ガス化装置(2)中の滞留時間が4~30秒であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記生成物混合物(4)が、前記ガス化装置(2)の後で400~500℃の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生成物混合物(4)が、前記ガス化装置(2)の後で濾過されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記生成物混合物(4)が、少なくともエチレン、プロピレン及び軽芳香族炭化水素を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記芳香族炭化水素が回収されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記生成物混合物(4)及び/又は前記芳香族炭化水素の望ましくない成分が、前記ガス化のためのエネルギーを発生するために使用されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーベースの廃棄物から炭化水素を製造するためのプロセス配列であって、
-生成物混合物(4)を形成するために、640~750℃の低温で、蒸気(3)によって前記ポリマーベースの廃棄物(1)がガス化されるガス化装置(2)、
-前記ガス化装置(2)に前記蒸気(3)を供給するための蒸気インレット、
前記ガス化装置(2)と平行に配置される少なくとも1つの分解ユニット(12)、及び
-前記ガス化装置(2)からの前記生成物混合物(4)及び前記分解ユニットの炭化水素混合物(13)が供給され、且つ少なくとも1つの所望の炭化水素フラクション(7,8,9)が分離され、前記生成物混合物(4)が前記回収ユニット(6)への前記供給の一部分である、回収ユニット(6)
を含むことを特徴とするプロセス配列。
【請求項14】
前記ガス化装置(2)が流動層ガス化装置であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス配列。
【請求項15】
前記生成物混合物(4)を濾過するための少なくとも1つの加熱フィルター(5)を含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載のプロセス配列。
【請求項16】
前記回収ユニット(6)が、少なくとも分離デバイス及び/又は蒸留装置を含むことを特徴とする、請求項13~15のいずれか一項に記載のプロセス配列。
【請求項17】
前記生成物混合物(4)の望ましくない成分を前記ガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイス、及び/又は前記芳香族炭化水素を前記ガス化装置(2)にリサイクルするための少なくとも1つの再循環デバイスを含むことを特徴とする、請求項13~16のいずれか一項に記載のプロセス配列。
【請求項18】
炭化水素、軽芳香族炭化水素、一酸化炭素、水素又はそれらの組合せの製造において使用されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【国際調査報告】