(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】電子インクを使用した構造的特徴上のアニメーションのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A63G 31/00 20060101AFI20220330BHJP
A63G 31/02 20060101ALI20220330BHJP
A63J 13/00 20060101ALI20220330BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
A63G31/00
A63G31/02
A63J13/00
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549250
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 US2020018841
(87)【国際公開番号】W WO2020172287
(87)【国際公開日】2020-08-27
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】ブラム スティーヴン シー
(72)【発明者】
【氏名】マクィリアン ブライアン バーニー
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA11
5E555AA76
5E555BA90
5E555BB40
5E555BC04
5E555CA41
5E555DB57
5E555DC85
5E555FA00
(57)【要約】
娯楽イメージシステムは、ディスプレイを組み込んだ構造と、アクティビティを検出するように動作するセンサと、を含む。ディスプレイは、電子インクシステム内の電子インク粒子を遷移させることを通じてディスプレイ上にアニメーションを提供するように動作する電子インクシステムを含む。娯楽イメージシステムのコントローラは、センサによって検出されたアクティビティと協調してアニメーションを提供するように電子インクシステムを制御するよう動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
娯楽システムであって、
アニメフィギュアと、
電子インクシステムを備えたディスプレイを含む前記アニメフィギュアのコンポーネントと、
前記アニメフィギュアの前記コンポーネントの前記ディスプレイを介してアニメーションイメージを提供するように前記ディスプレイを動作させるよう構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記アニメフィギュアは、アンドロイドを含み、前記コンポーネントは、前記アンドロイドの頭部を含み、前記ディスプレイの形状は、マスクの形状に対応する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイは、当該ディスプレイの外方に面する側に配置された透明または半透明のテクスチャ加工層を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子インクシステムは、透明または半透明フィルム間に挟持された電子インクカプセルを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電子インクシステムは、透明または半透明電極間に挟持された前記電子インクカプセルおよびフィルムを含む、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラによって制御されるように構成された作動可能特徴を備え、前記コントローラは、前記作動可能特徴の動作プロファイルを前記アニメーションイメージと協調させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラによって制御されるように構成された作動可能特徴を備え、前記コントローラは、アクチュエータの動きを前記アニメーションイメージと相関させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラはプロセッサおよびメモリを含み、当該メモリは、前記アクチュエータの動きに基づいてアルゴリズムを実行しまたはデータベースを検索して前記アニメーションイメージを識別するためのプロセッサ実行可能命令を記憶する有形の非一時的なコンピュータ可読媒体である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電子インクシステムは、当該電子インクシステムを介して前記ディスプレイのアニメーションを容易にするように送電網に結合される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
娯楽イメージシステムであって、
アクティビティを検出するように構成されたセンサと、
ディスプレイを組み込んだ構造と、
内部の電子インク粒子の遷移を通じて前記ディスプレイ上にアニメーションを提供するように構成された、前記ディスプレイの電子インクシステムと、
前記センサによって検出された前記アクティビティと協調して前記アニメーションを提供するように前記電子インクシステムを制御するよう構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項11】
前記構造は、アニメフィギュアの顔を含み、前記センサは、前記アニメフィギュアの身体特徴を動かすように構成されたアクチュエータの動きを含むアクティビティを検出するように構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記センサによって検出された、前記アニメフィギュアの四肢に関連するアクチュエータの動きを含む前記アクティビティに応じて、前記ディスプレイ上に顔の表情のアニメーションを提供するように前記電子インクシステムを作動させるよう構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサは、気候センサを含み、前記コントローラは、前記センサによる気候のタイプを含む前記アクティビティの検出に基づいて前記ディスプレイ上に特定のアニメーションを提供するように前記電子インクシステムを作動させるよう構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサは、風センサ、雨センサまたは温度センサを含む、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイは、当該ディスプレイの最外面にテクスチャ加工層を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記構造は、乗り物システムの乗り物車両、前記乗り物システムの風景、またはこれらの両方のコンポーネントである、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記センサによって検出された、前記乗り物システム内の前記乗り物車両のアクティビティを含む前記アクティビティに基づいて、前記ディスプレイ上の前記アニメーションを制御するように構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記アクティビティは、前記乗り物車両が乗り物経路沿いの位置に到着することを含む、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
建造物アニメーションシステムであって、
電子インクシステム内の電子インク粒子の遷移を通じて構造の壁部に協働的にアニメーションを提示するように構成された前記電子インクシステムおよび電源をそれぞれが含む、前記構造の前記壁部に組み込まれた複数のディスプレイと、
検出されたアクティビティの指示を受け取り、前記アニメーションを前記検出されたアクティビティと協調させるように前記複数のディスプレイの少なくとも一部を制御するよう構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【請求項20】
気候を検出して当該気候に関するデータを前記検出されたアクティビティの前記指示として前記コントローラに提供するように構成されたセンサを備え、前記コントローラは、前記検出された気候に基づいて前記アニメーションを制御するように構成される、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年2月20日に出願された「アニメフィギュアシステムおよび方法(ANIMATED FIGURE SYSTEMS AND METHODS)」という名称の米国仮特許出願第62/808156号に基づく優先権およびその利益を主張するものであり、この出願は引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般にアミューズメントパークの分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、没入効果で強化されたアミューズメントパーク体験を提供するために利用されるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アミューズメントパークおよびその他の娯楽会場は、数あるアトラクションの中でも特に、アミューズメントパークゲストを楽しませてこれらと相互作用するアニメフィギュアを含む。たとえば、アニメフィギュアは、ゲストが待ち行列で待っている間にゲストを楽しませまたは乗り物体験を補って、より没入的な体験をゲストに提供することができる。他の例では、アニメフィギュアがアミューズメントパーク内を動き回って楽しみを与え、別様にゲストと相互作用することができる。いくつかのアニメフィギュアは、実演者の顔を覆うアニメの頭部などの、実演者の衣装のコンポーネントを含むことができる。今では、このようなアニメフィギュアおよびその他のアミューズメントパーク特徴に改善されたリアリズムおよび没入的特徴を提供することが望ましいと認識されている。
【発明の概要】
【0004】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する実施形態の範囲を限定するものではなく、むしろ特許請求する実施形態の考えられる形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得るまたは異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0005】
ある実施形態において、娯楽システムは、アニメフィギュアを含む。アニメフィギュアのコンポーネントが、電子インクシステムを備えたディスプレイを含む。さらに、娯楽システムは、アニメフィギュアのコンポーネントのディスプレイを介してアニメーションイメージを提供するようにディスプレイを動作させるよう構成されたコントローラを含む。
【0006】
ある実施形態において、娯楽イメージシステムは、アクティビティを検出するように構成されたセンサと、ディスプレイを組み込んだ構造と、を含む。ディスプレイは、電子インクシステム内の電子インク粒子の遷移を通じてディスプレイ上にアニメーションを提供するように構成された電子インクシステムを含む。娯楽イメージシステムは、センサによって検出されたアクティビティと協調してアニメーションを提供するように電子インクシステムを制御するよう構成されたコントローラも含む。
【0007】
ある実施形態において、建造物アニメーションシステムは、構造の壁部に組み込まれた複数のディスプレイを含み、複数のディスプレイの各々は、電子インクシステム内の電子インク粒子の遷移を通じて建造の壁部に協働的にアニメーションを提示するように構成された電子インクシステムおよび電源を含む。建造物アニメーションシステムのコントローラが、検出されたアクティビティの指示を受け取って、アニメーションを検出されたアクティビティと協調させるように複数のディスプレイのうちの少なくとも一部を制御するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらのおよびその他の特徴、態様および利点がより良く理解されるであろう。
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による、電子インクシステムを使用したアニメーションを採用するディスプレイを備えたアニメフィギュアを含むシステムの実施形態の概略図である。
【0010】
【
図2】本開示の実施形態による、実質的電源に結合された電子インクシステムを含むディスプレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示はアミューズメントパークに関する。具体的には、本開示は、アニメフィギュアおよびその他のアミューズメントパーク特徴(たとえば、建物)に関連する視覚的側面を制御することに関連するシステムおよび方法に関する。具体的に言えば、たとえば本実施形態は、電子インクおよび/または電子ペーパーを利用して所望の審美性を提供し、バックライト、プロジェクションマッピングおよび/またはその他の従来技術の特徴を使用することなく観察を可能にする、アニメ化された顔フィギュアを提供するシステムを含む。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」および「the」といった冠詞は、これらの要素が1つまたは2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」または「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0013】
本実施形態は、アミューズメントパークに来ているゲストの体験を向上させることができる構造的特徴(たとえば、アンドロイドの顔)によりリアルなイメージおよび特性を提供する1または2以上の特徴を組み込むものである。本実施形態は、アニメフィギュア(たとえば、アンドロイドまたはロボット)の構造的特徴、アニメ衣装要素(animated costume piece)(たとえば、実演者によって着用される、作動機構を有するキャラクタ頭部)の構造的特徴、或いは様々なリアルな表情(たとえば、顔特徴の動き、肌特徴の遷移)または効果(たとえば、建物に生じたひび)の表示を容易にするその他の特徴に組み込むことができる。電子インクおよび/または電子ペーパーを使用したアニメキャラクタおよび特徴の表示を、コントローラに記憶されてコントローラからアクセスできるアニメーションのライブラリ(たとえば、アニメーションのデータベースまたは選択メニュー)と組み合わせて、固有の没入的相互作用体験を提供することができる。
【0014】
電子インクおよび/または電子ペーパーの使用を通じてアニメーションを生成して、特徴の動きおよび活動的な質感などの錯覚をもたらすことができる。従来技術とは対照的に、機械的作動および照明特徴(たとえば、液晶ディスプレイ、プロジェクションマッピング)を回避することができる。たとえば、従来技術は、ソレノイドによる機械的な口または目の作動などの機械的な特徴の作動を採用することが多いのに対し、本実施形態は、この作動を、アニメインクを使用してアニメーションを作成する一連のディスプレイを介して提供されるアニメーションに置き換え、またはこのようなアニメーションで補完する。これにより、このような従来の手法に伴う機械部品の設置および修理に関連する複雑性および間接費を低減または回避することができる。別の例として、従来技術は、半透明表面(たとえば、キャラクタの顔)の背面部分への画像投影を含むことができるプロジェクションマッピングまたはバックライト付きディスプレイを採用してアニメーションを提供することが多い。このような従来技術では、アニメーションの観察に関連する問題を避けるために、しばしば周囲領域に特定のタイプの照明(たとえば、減光照明)が必要とされる。たとえば、周囲光が明るすぎる(たとえば、明るい日光)場合には、周囲の明るい光に圧倒されることによって投影画像の視認性が低下する。本実施形態は、より幅広い照明条件においてゲストに見える電子インク技術を採用することができる。たとえば、電子インクは光の反射に基づいて視認できるので、通常の小道具に使用される照明を使用することができる。さらに、本実施形態は、建物などの大型構造上で使用される従来のプロジェクションマッピングに取って代わって所望の効果を示すこともできる。本実施形態は、電子インクを利用することによって、このような効果の同様の(さらにリアルな)実装を可能にする一方で、より多くの光(たとえば、幅広い昼光)を利用することができる。従来のプロジェクションマッピングは、構造上に投影されるイメージが容易に見えやすいように暗い間に行われる。
【0015】
図1は、本開示の実施形態による、電子インクおよび/または電子ペーパーを使用したアニメーションを採用する(たとえば、所望の特徴を表すように成形された)ディスプレイ12を備えたアニメフィギュア10を含むシステム8の実施形態の概略図である。なお、以下でさらに詳細に説明するように、電子インクおよび電子ペーパーという用語は、一般に紙の上に配置されたインクを電子的に模倣またはシミュレートするように動作できる技術を示す。従って、本開示では、電子インクおよび電子ペーパーの両方を単純に電子インクと呼ぶこともできる。上述したように、一般に電子インクは紙の上に配置されたインクを模倣するために使用されるが、この技術は、実際の基質上に配置された様々な異なるタイプの提示物質を模倣またはシミュレートできる実施形態も含む。たとえば、単に白紙上に配置された従来のインクだけでなく、多色提示も利用可能である。
【0016】
インクは、本開示においてこの用語を使用する際には提示物質の一例である。たとえば、本開示によれば、提示物質は、インク、塗料、染料および鉛などを含むことができる。さらに、紙は、本開示においてこの用語を使用する際には基質の一例である。たとえば、本開示によれば、基質は、紙、布、木、土および煉瓦などを含むことができる。本実施形態によれば、様々な技術を採用して所望の提示物質および基質を模倣することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、電子インクが、染色紙、剥がれた塗料、錆、顔料または木炭などを示唆する特性を含むことができる(たとえば、このようなパターンで活性化することができる)。特定の特性をさらに強化するために、電子インクを透過表示するスクリーンまたはフィルムは、所望の基質を表すようにテクスチャ加工することができる。たとえば、スクリーンは、それぞれ木または布を模倣する木目状組織または繊維状組織を含むことができる。
【0017】
図示の実施形態では、ディスプレイ12が、単一の顔を表すように成形される。しかしながら、
図1のディスプレイ12の図は代表的なものであり、ディスプレイ12の性質を限定するものではない。実際には、ディスプレイ12は、本開示による電子インクによって提供されるアニメーションから恩恵を受ける数多くの異なる物理的特徴または構造のうちのいずれかを表すように意図される。所望の特徴を表す特定の形状および/またはテキスチャリングを含むことができるディスプレイ12は、電子インクシステム14も含む。電子インクシステム14は、ディスプレイ12を介して一連の画像を立て続けに提示してアニメーションを提供するように作動することができる。たとえば、画素化された色(pixilated colors)を所望の順序で提示するように電子インクシステム14を制御することによって、ディスプレイ12上に顔の表情を表すことができる。
【0018】
システムのコントローラ16は、メモリ20に記憶された命令を実行して、電子インクシステム14を介してディスプレイ12上で実行すべきアニメーションの決定、および参照される方法でのアニメーションの実行などの動作を実行するプロセッサ18を含むことができる。プロセッサ18はいずれかの数のプロセッサを表すことができ、メモリ20はいずれかの数のメモリを表すことができる。従って、いくつかの実施形態では、コントローラ16が、1または2以上の汎用マイクロプロセッサ、1または2以上の特定用途向けプロセッサ(ASIC)、1または2以上のフィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、或いはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。また、メモリ20(1または2以上のメモリ)は、プロセッサ18(1または2以上のプロセッサ)が実行できる命令およびプロセッサ18が処理すべきデータを記憶する有形の非一時的な(単に信号ではない)コンピュータ可読媒体とすることができる。従って、いくつかの実施形態では、メモリ20が、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、書き換え可能な不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、ハードドライブおよび光ディスクなどを含むことができる。
【0019】
コントローラ16は、電子インクシステム14および対応するアニメーションを制御するために採用することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ16が、累積効果を協調させるように他の関連する効果を制御することもできる。たとえば、図示の実施形態では、コントローラ16が、音源22(たとえば、スピーカ)、照明24(たとえば、スポットライト、花火)、および作動可能特徴26(たとえば、ロボット、アクチュエータ)を制御して複合効果を示すことができる。具体的には、たとえばコントローラ16は、アンドロイドの(作動可能特徴26によって示す)ロボット本体を、電子インクシステム14を介して(ディスプレイ12によって示す)アンドロイドの顔に驚きのアニメ表現が提示されると同時にアームを振るように動かすことができる。同様に、コントローラ16による音源22および照明24の制御を介して所望の照明効果および音響効果を協調させることもできる。単一のコントローラ(たとえば、プログラマブルロジックコントローラ)またはコントローラのシステム(たとえば、ネットワーク内の数多くのコントローラ)を表すことができるコントローラ16は、同様に他の特徴を制御することもできる。たとえば、コントローラ16は、システム8の他の側面と連動して乗り物システムを制御することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、コントローラ16が、アニメーションに関するデータをアニメーションのライブラリに記憶することができる。このようなデータは、メモリ20に記憶することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、メモリ20に加えてまたはメモリ20とは別に独立したデータベース30によってストレージを提供することもできる。アニメーションは、所望の出力(たとえば、顔が表情を変えるアニメーション、皮膚が色を変えるアニメーション、筋肉が収縮するアニメーション、亀裂が生じるアニメーション)を提供するように電子インクシステム14を制御するための異なる命令またはルーチンセットを含むことができる。従って、本実施形態は、ディスプレイ12によって表されるような物理的構造(たとえば、アニメフィギュアの顔または建物)を介して提示される電子インクを使用して、記憶されたアニメーションシナリオを再生することができる。さらに、所望の効果の提示を容易にする他のルーチンを記憶することもできる。たとえば、作動可能特徴の動き、光制御および音響制御に関連するルーチンまたは命令セット(たとえば、運きプロファイル)をコントローラ16および/またはデータベース30によって記憶し、コントローラ16によって実行することができる。
【0021】
上述したように、電子インクシステム14は、作動可能特徴26と協調して複合効果をもたらすように制御することができる。作動可能特徴26は、電気機械式アクチュエータ(たとえば、線形アクチュエータ、回転アクチュエータ)およびロボット部品などのいずれかの好適なアクチュエータを含むことができる。作動可能特徴26は、シース(たとえば、ゴム製の皮膚)内に配置されて、アニメフィギュアの特定の特徴または部分を調整するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ12が、同様に操作されるように構成された柔軟なコンポーネントを含むことができる。同様に、ディスプレイ12のアニメーションの提供と共に様々なディスプレイ12を作動させて効果を提供もたらすこともできる。たとえば、頭部、付属器官または動物のような形状の特定のディスプレイ(たとえば、ディスプレイ12)を、関連する電子インクシステム(たとえば、電子インクシステム14)を介して特定のディスプレイ上に提示されるアニメーションと組み合わせてアクチュエータによって動かして、全体的効果(たとえば、キャラクタが笑いながら踊っている印象)をもたらすことができる。別の例として、異なる形状を有する様々なディスプレイ(キャラクタの体の一部)をアニメーションと協調させて複合効果(たとえば、オオカミ人間に変身するキャラクタ)をもたらすこともできる。
【0022】
図示の実施形態では、システム8が、基地局制御システム40(たとえば、遠隔制御システム)も含む。基地局制御システム40は、コントローラ16とのユーザインタラクションおよび管理のための遠隔アクセスポイントの一例である。有線および/または無線通信を採用することができるが、図示の実施形態では、コントローラ16の通信コンポーネント42が基地局制御システム40から有線および無線通信の両方を受け取る。いくつかの実施形態では、基地局制御システム40とコントローラ16との間でのフィードバックの提供を容易にするために双方向通信が実行される。従って、通信コンポーネント42は、基地局制御システム40に命令またはデータを提供する。なお、図示のシステムは例示を意図するものにすぎず、開示する実施形態によれば、実行を容易にするためにいくつかの特徴およびコンポーネントを省略して様々な他の特徴およびコンポーネントを追加することもできると理解されたい。
【0023】
さらに、通信コンポーネント42は、コントローラ16が基地局制御システム40のみに留まらず他の様々な電子装置と連動することを可能にすることもできる。たとえば、通信コンポーネント42は、コントローラ16がパーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはワイドエリアネットワーク(WAN)などのネットワークに通信可能に結合することを可能にすることができる。さらなる実施形態では、コントローラ16が、有線(たとえば、陸上通信線)または無線接続を介して電子インクシステム14などのシステム8の様々なコンポーネントに通信可能に結合することができる。従って、いくつかの実施形態では、コントローラ16が、通信装置42が遠隔入力から受け取ったデータを処理し、電子インクシステム14およびディスプレイ12を介して提示されたアニメーションなどのシステム8の側面を修正することによって入力に応答することができる。たとえば、ユーザは、基地局制御システム40の入力装置(たとえば、キーボード)を使用して、作動可能特徴26の動作プロファイルと共にディスプレイ12および電子インクシステム14を介してアニメーションの作動を引き起こすデータまたは命令を通信コンポーネント42を介して送信することができる。
【0024】
図2は、本開示の実施形態による電子インクシステム14を含むディスプレイ12の概略図である。図示の実施形態では、ディスプレイ12および電子インクシステム14がプロセッサ52およびメモリ54と一体化することができる。しかしながら、他の実施形態では、これらが上述した実施形態におけるコントローラ16などのコンピュータまたは制御装置内に個別に設けられる。
図1と同様に、
図2に示すディスプレイ12は、マスクまたは顔の形状因子を有する構造として提示される。従って、図示のディスプレイ12および電子インクシステム14を使用して本実施形態によるアニメ化された顔特徴を提供することができる。しかしながら、上述したように、他の実施形態ではディスプレイ12の形態が異なることもできる。このことを説明するために、
図2には異なるディスプレイ形状を示す。具体的には、乗り物システム62、動物フィギュア64、ロボットまたはアンドロイド66および建造物68を含む例を示す。これらのディスプレイ構造の各々をディスプレイ12として利用することができる。さらに、各ディスプレイ構造のいくつかの態様を別様に制御することもできる。たとえば、1つの実施形態では、乗り物システム62の乗り物車両72および風景74の各々を、それぞれの電子インクシステム14を管理するそれぞれの制御特徴(たとえば、コントローラ16)を使用して特定の固定色、固定パターン、アニメパターンまたはアニメシーンなどを独立して表示するように、それぞれ単独で制御することができる。いくつかの実施形態では、乗り物システム62が、乗り物環境への没入を促すように本実施形態に従って動作するディスプレイおよび一体型電子インクシステムを採用するアニメフィギュアを含むこともできる。様々なタイプのディスプレイ12は、コントローラ16によって他のアクティビティ76(たとえば、検出または開始された効果または行動)と協調して複合効果をもたらすように管理することができる。たとえば、建造物68は、検出された気候に基づいてアニメ化することができる。具体的には、気候センサ78が強風を検出して、強風を示すデータをコントローラ16に提供し、コントローラ16がアルゴリズムまたはデータベースおよび提供されたデータを利用して、建造物68に一体化されたディスプレイ12を介して提示すべき対応するアニメーション(たとえば、建物から吹き飛ぶように見えるアニメ化された屋根板)を識別することができる。他の例では、アニメーションが、検出された気候をアニメーションに相関させるアルゴリズムおよび/またはデータベースに基づいて、暑い気候で溶ける特徴または寒い気候でひび割れる特徴を示すこともできる。別の実施形態では、ルートに沿った乗り物車両72の位置に基づいて乗り物車両72および/または風景74を修正することができる。事前プログラムまたは検出された乗り物経路または乗り物プロファイルを利用して乗り物車両72の位置を特定し、この位置に基づいて画像を調整することができる。具体的例として、モニタされた乗り物車両72の位置がコントローラ16をトリガして、乗り物車両72に一体化されたディスプレイ12を、関連する乗り物経路の水をテーマにした部分を乗り物車両72が通過する際にアニメ化された水効果を表示するように管理することができる。他の協調効果としては、特徴のアニメーション(たとえば、アニメ化された顔の表情)と連動するロボットのアクチュエータ(たとえば、頭の動き)、およびアニメ化された毛皮が音響効果と共に逆立つことなどを挙げることができる。これらの各アニメーションは、プログラムされたアルゴリズム(たとえば、プロセッサ実行可能命令)またはデータベースに基づいて、検出または命令された行動と相関することができる。
【0025】
図2には、本実施形態による電子インクシステム14のコンポーネントの概略図も示す。具体的には、
図2にはディスプレイ12の一部の概略的断面図を示しており、この断面図に電子インクシステム14の実施形態の別個のコンポーネントおよびこれらがどのように相互作用するかを示す。ディスプレイ12の外方に面する側86は、一般にゲストによって観察されるように意図されたディスプレイ12の側を表し、ディスプレイ12の内方に面する側88は、一般にゲストによって観察されるように意図されていない裏側または部分を表す。しかしながら、いくつかの実施形態では、ゲストが両側を見ることもでき、そのように意図することもできる。
【0026】
図示の電子インクシステム14のコンポーネントは、帯電して所望のコンテンツ(たとえば、アニメーション)を表示するように電子的に再配置できる電子インク粒子を含むマイクロカプセルのフィルムと呼ぶことができるものを提供するように組み合わさる。図示のコンポーネントは、それぞれがフィルム106および電極108を含むパネル104間に配置された電子インクカプセル102を含む。具体的には、図示の実施形態では、図示のディスプレイ12の部分の外方に面する側86に沿って第1のフィルム110が配置され、図示のディスプレイ12の部分の内方に面する側88に沿って第2のフィルム112が配置され、第1のフィルム106および第2のフィルム112は、それぞれの外方および内方に面する側86、88の内側部分で互いに向かい合う。さらに、第1のフィルム110に隣接して、ディスプレイ12の外方に面する側86の外側部分の方に第1の電極114が配置され、第2のフィルム112に隣接して、ディスプレイ12の内方に面する側88の外側部分の方に第2の電極116が配置される。第1の電極114は、電子インクカプセル102の観察を容易にする透明または半透明電極である。第2の電極116は、実施形態に応じて透明、半透明または不透明とすることができる。図示の実施形態では、ディスプレイ12の外方に面する側86に、テクスチャ加工スクリーン118も設けられる。このテクスチャ加工スクリーン118は、電子インクシステム14によって提供されるイメージのテクスチャリングフィルタ(texturing filter)などのさらなる没入効果をもたらすことができる。たとえば、テクスチャ加工スクリーン118は、木目状または鱗状などの見た目を提供することができる。内方に面する側88にも、(同じまたは異なる質感の)別のテクスチャ加工スクリーン118を使用することができる。いずれにせよ、テクスチャ加工スクリーン118は、外方または内方に面する側86、88をそれぞれ完全にまたは部分的に覆うことができる。
【0027】
パネル104のフィルム106および電極108、並びにテクスチャ加工スクリーン118は、概ね平面として示している。しかしながら、これは全体的形状の比較的小さなコンポーネントの表現であるように意図するものである。全体的形状は、全体的ディスプレイ形状(たとえば、顔、車両、ドア)を形成する輪郭を含むことができる。全体的ディスプレイ形状は、本実施形態に従って提供されるアニメーションから恩恵を受ける様々な構造のうちのいずれかを含むことができる。たとえば、
図2の電子インクシステム14の図示のコンポーネントの切り欠きは、図示のようなマスクまたは顔を含むディスプレイ12の小さな断面部分を表すことができる。なお、単一のディスプレイ12を形成するために数百万個もの電子インクカプセル102を採用することができる。数多くの電子インクカプセル102を利用して、ディスプレイ12上の単一の画素を提供することができる。
【0028】
電子インクカプセル102は、それぞれが流体148(一般に透明液)と、電子インク粒子150と呼ぶことができる帯電粒子150とを含む。電子インク粒子150は、電子インクシステム14内の電場の活性化に関連する制御特徴に基づいてこれらの電子インク粒子150が電子インクカプセル102内で遷移することを可能にする流体148中に懸濁している。電子インク粒子150は帯電しているため、第1の電極114および/または第2の電極116の活性化は、帯電粒子150の位置付けに影響を及ぼす。たとえば、白黒ディスプレイでは、帯電粒子150の第1の組162を正に帯電した白色粒子とすることができ、帯電粒子150の第2の組164を負に帯電した黒色粒子とすることができる。流体148および電子インク粒子150を含む電子インクカプセル102は、ディスプレイ12の画素に対応する領域に分割できる第1および第2の電極114、116間に狭持される。従って、電極(または電極領域)の帯電に応答して、各領域の可視的な電子インク粒子150の比率が変化する。たとえば、第2の電極116が正の電場を発生している時には、電子インク粒子150の第1の組162がディスプレイ12の外方に面する側86に向かって進み、ディスプレイ12の内方に面する側88に押しやられた電子インク粒子150の第2の組164を隠蔽する。図示の実施形態では、第1の組162が第2の電極116によって反発され、第2の組164はそうではない。この例では、白色画素が生成されるようになる。第2の電極116によって負の電場が発生した場合には、逆の配置が生じて黒色画素が生成されるようになる。第2の電極116によって電場の混合が発生した場合には、黒色と白色の混合が画素色として提供される。他の実施形態では、他の色を採用して数多くの異なる色の画素の組み合わせでイメージを提供することができる。
【0029】
電子インク技術は、基本的に領域毎に電極の極性を変化させるためにしか電力を使用しないので、ほとんどのディスプレイシステムに比べて限られた量の電力しか使用しない。従って、追加電力を必要とすることなく1つの画像を長期間にわたって持続させることができる。しかしながら、アニメーションを提供するために定期的なイメージの更新が必要になるので、電子インク技術を使用してアニメーションを容易にするためにはかなりの量の電力が必要になる場合もある。従って、本実施形態は、
図2に示すように実質的電源(substantial power source)170(たとえば、配電網に結合された電源)との結合を含むことができる。本実施形態は、ディスプレイ12を実質的電源170に直接結合することによって所望のアニメーション効果を達成することができる。
【0030】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のものまたは純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物および具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「…[特徴]を[実行]する手段」または「…[特徴]を[実行]するステップ」として指定されている1または2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【0031】
本明細書では、本開示のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正および変更が思い浮かぶであろう。さらに、本明細書で開示した様々な実施形態の構成要素は、互いに組み合わせ、または入れ換えることもできると理解されたい。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正および変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。
【国際調査報告】