(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】コンパクト型拡張現実用光学装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20220330BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02C7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549303
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 KR2019013928
(87)【国際公開番号】W WO2020171338
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0020906
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0131552
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518374631
【氏名又は名称】レティノル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ジョンフン
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
【Fターム(参考)】
2H006DA00
2H199CA23
2H199CA46
2H199CA49
2H199CA86
2H199CA94
(57)【要約】
本発明はコンパクト型拡張現実用光学装置に関するものであり、実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させ、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を内面で反射させて第1反射部に伝達する光学手段と、前記光学手段の内部に配置され、前記光学手段の内面で反射されて伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第2反射部に伝達する第1反射部と、前記光学手段の内部に配置され、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達することにより使用者に拡張現実用画像を提供する第2反射部とを含み、前記第2反射部のサイズは8mm以下であることを特徴とするコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクト型拡張現実用光学装置であって、
実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させ、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を内面で反射させて第1反射部に伝達する光学手段と、
前記光学手段の内部に配置され、前記光学手段の内面で反射されて伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第2反射部に伝達する第1反射部と、
前記光学手段の内部に配置され、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達することにより使用者に拡張現実用画像を提供する第2反射部と、
を含み、
前記第2反射部のサイズは8mm以下であることを特徴とする、
コンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項2】
前記光学手段は、実際事物から出射した画像光が入射する第1面と、前記第2反射部を介して伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が出射する第2面とを有し、
前記光学手段は、前記第1面を介して画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第1反射部に伝達する、
ことを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項3】
前記画像出射部は、光学手段の第1面で拡張現実用画像に相応する画像光が反射されて第1反射部に伝達されるように第1面に対して傾くように配置されることを特徴とする、
請求項2に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項4】
前記第1反射部は、前記第2反射部に向けて拡張現実用画像に相応する画像光を反射させるように、前記第1面と第2面との間に配置されることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項5】
前記第1反射部は曲面形に形成されることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項6】
前記第1反射部は凹面鏡であることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項7】
前記第1反射部の幅方向への長さは8mm以下であることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項8】
前記第2反射部は、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達するように、光学手段の表面に対して傾くように配置されることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項9】
前記第2反射部は複数の第2反射部を含み、
前記複数の第2反射部のそれぞれは、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が他の第2反射部によって遮断されないように配置されることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項10】
前記複数の第2反射部のそれぞれのサイズは8mm以下であることを特徴とする、
請求項9に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項11】
前記第2反射部の少なくとも一部の表面は曲面形に形成されることを特徴とする、
請求項9に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項12】
前記第2反射部の少なくとも一部の傾斜角は他の第2反射部の傾斜角と異なることを特徴とする、
請求項11に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項13】
前記光学手段は屈折率を有するレンズであることを特徴とする、
請求項1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【請求項14】
実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させるレンズ部及び前記レンズ部を固定するフレーム部を含むメガネ型の拡張現実提供装置であって、
前記レンズ部は前記請求項1~13のいずれか一項に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置であることを特徴とする、
拡張現実提供装置。
【請求項15】
前記レンズ部の外側又は内側の少なくとも一方に視力補正のための屈折率を有するレンズが配置されるか、前記レンズ部の全部又は一部が屈折率を有する視力補正レンズから形成されることを特徴とする、
請求項14に記載の拡張現実提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は拡張現実用光学装置に関するもので、より詳しくは複数の小型反射部を用いて視野角を拡大しながらも追加的な光学手段を必要としないので、サイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことができるコンパクト型拡張現実用光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実(Augmented Reality、AR)とは、周知のように、現実世界の実際映像にコンピュータなどによって生成される仮想の映像やイメージを重ねて提供することを意味する。
【0003】
このような拡張現実を具現するためには、コンピュータのようなデバイスによって生成される仮想の映像やイメージを現実世界の映像に重ねて提供することができるようにする光学系を必要とする。このような光学系としては、HMD(Head Mounted Display)又はメガネ型装置を用いて仮想映像を反射又は屈折させるプリズムなどのような光学手段を使う技術が知られている。
【0004】
しかし、このような従来の光学系を用いた装置は、その構成が複雑であって重さ及び体積が相当なので使用者が着用するのに不便さがあり、製造工程も複雑なので製造コストが高いという問題がある。
【0005】
また、従来の装置は、使用者が現実世界を見つめるときに焦点距離を変更する場合、仮想映像の焦点が合わなくなるという限界がある。これを解決するために、仮想映像に対する焦点距離を調節することができるプリズムのような構成を用いるか焦点距離の変更によって可変型焦点レンズを電気的に制御するなどの技術が提案されている。しかし、このような技術も焦点距離を調節するために使用者が別に操作しなければならないか焦点距離の制御のための別途のプロセッサなどのようなハードウェア及びソフトウェアを必要とするという点で問題がある。
【0006】
このような従来技術の問題点を解決するために、本出願人は特許文献1に記載されているように、人の瞳孔より小さいサイズの反射部を用いて仮想映像を瞳孔を通して網膜に投映することによって拡張現実を具現することができる装置を開発したことがある。
【0007】
図1は前記特許文献1に開示されたような拡張現実用光学装置を示す図である。
【0008】
図1を参照すると、画像出射部30は拡張現実用画像に相応する画像光を出射する手段であり、例えば小型ディスプレイ装置によって具現されることができる。反射部20は画像出射部30から出射した拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の瞳孔に向けて反射させることによって拡張現実用画像を提供する。
【0009】
光学手段10は実際の事物から出射した画像光の少なくとも一部を透過させる手段であり、例えばメガネレンズであることができ、その内部に反射部20が埋め込まれている。フレーム部40は画像出射部30と光学手段10を固定及び支持する手段である。
【0010】
図1の反射部20は、人の瞳孔サイズより小さなサイズ、すなわち8mm以下に形成されている。このように反射部20を瞳孔サイズより小さく形成することにより、反射部20を介して瞳孔に入射する光に対する深度(Depth of Field)をほとんど無限大に近く、すなわち深度を非常に深くすることができる。ここで、深度とは焦点が合うものと認識される範囲を言う。深度が深くなれば拡張現実用画像に対する焦点距離も深くなるということを意味し、よって使用者が実際世界を見つめながら実際世界に対する焦点距離を変更しても、これにかかわらず拡張現実用画像の焦点はいつも合っているものと認識することになる。これは一種のピンホール効果(pin hole effect)と見なすことができる。したがって、使用者が実際世界に存在する実際事物を見つめながら焦点距離を変更することに関係なく、拡張現実用画像に対してはいつも鮮かな仮想映像を提供することができる。
【0011】
しかし、このような技術は深度を深くし、ピンホール効果を得ることができるが、視野が狭いという問題があり、また平行光のためのコリメーターなどのような追加的な光学手段が必要であるので、装置のサイズ、厚さ及び体積が大きくなるという限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国特許第10-1660519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前述したような限界点を解決するためのものであり、複数の小型反射部を用いて視野角を拡大しながらも追加的な光学手段を必要としないので、サイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことができるコンパクト型拡張現実用光学装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、ゴーストイメージを最小化し、外部に流出する外部流出光を減らすことにより、より鮮かな仮想イメージを提供することができるコンパクト型拡張現実用光学装置を提供することを他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、サイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことにより、人が不便なしに着用することができるメガネ型の拡張現実提供装置を提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述したような課題を解決するために、本発明は、コンパクト型拡張現実用光学装置であって、実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させ、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を内面で反射させて第1反射部に伝達する光学手段と、前記光学手段の内部に配置され、前記光学手段の内面で反射されて伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第2反射部に伝達する第1反射部と、前記光学手段の内部に配置され、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達することにより使用者に拡張現実用画像を提供する第2反射部とを含み、前記第2反射部のサイズは8mm以下であることを特徴とするコンパクト型拡張現実用光学装置を提供する。
【0017】
ここで、前記光学手段は、実際事物から出射した画像光が入射する第1面と、前記第2反射部を介して伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が出射する第2面とを有し、前記光学手段は、前記第1面を介して画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第1反射部に伝達するように構成することができる。
【0018】
また、前記画像出射部は、光学手段の第1面で拡張現実用画像に相応する画像光が反射されて第1反射部に伝達されるように第1面に対して傾くように配置されることができる。
【0019】
また、前記第1反射部は、前記第2反射部に向けて拡張現実用画像に相応する画像光を反射させるように、前記第1面と第2面との間に配置されることができる。
【0020】
また、前記第1反射部は曲面形に形成されることができる。
【0021】
また、前記第1反射部は凹面鏡であることが好ましい。
【0022】
また、前記第1反射部の幅方向への長さは8mm以下であることが好ましい。
【0023】
また、前記第2反射部は、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達するように、光学手段の表面に対して傾くように配置されることができる。
【0024】
また、前記第2反射部は複数の第2反射部を含み、前記複数の第2反射部のそれぞれは、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が他の第2反射部によって遮断されないように配置されることができる。
【0025】
また、前記複数の第2反射部のそれぞれのサイズは8mm以下であることが好ましい。
【0026】
また、前記第2反射部の少なくとも一部の表面は曲面形に形成されることが好ましい。
【0027】
また、前記第2反射部の少なくとも一部の傾斜角は他の第2反射部の傾斜角と異なることができる。
【0028】
また、前記光学手段は屈折率を有するレンズであってもよい。
【0029】
本発明の他の側面によれば、実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させるレンズ部及び前記レンズ部を固定するフレーム部を含むメガネ型の拡張現実提供装置であって、前記レンズ部は前記コンパクト型拡張現実用光学装置であることを特徴とする拡張現実提供装置を提供する。
【0030】
また、前記レンズ部の外側又は内側の少なくとも一方に視力補正のための屈折率を有するレンズが配置されるか、前記レンズ部の全部又は一部が屈折率を有する視力補正レンズから形成されることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数の小型反射部を用いて視野角を拡大しながらも、追加的な光学手段を必要としないので、サイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことができるコンパクト型拡張現実用光学装置を提供することができる。
【0032】
また、本発明によれば、ゴーストイメージを最小化し、外部に流出する外部流出光を減らすことにより、より鮮かな仮想イメージを提供することができる効果がある。
【0033】
また、本発明は、サイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことにより、人が不便なしに着用することができるメガネ型の拡張現実提供装置を提供することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】特許文献1に開示されたような拡張現実用光学装置を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による拡張現実用光学装置(100)の側面図である。
【
図3】本発明の一実施例による拡張現実用光学装置(100)の正面図である。
【
図4】本発明の一実施例による拡張現実用光学装置(100)の斜視図である。
【
図5】第1反射部(20)の幅が8mm以上の場合、ゴーストイメージが発生する状態を説明するための図である。
【
図6】第1反射部(20)の幅が8mm以下の場合、ゴーストイメージが発生しない状態を示す図である。
【
図7】
図2~
図6で説明した本発明による拡張現実用光学装置(100)を用いてメガネ型の拡張現実提供装置(200)を具現した例を示す図である。
【
図8】
図2~
図6で説明した本発明による拡張現実用光学装置(100)を用いてメガネ型の拡張現実提供装置(200)を具現した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に基づいて本発明による実施例を詳細に説明する。
【0036】
図2~
図4は本発明の一実施例によるコンパクト型拡張現実用光学装置100の全体的な構成を示す図で、
図2は拡張現実用光学装置100の側面図、
図3は正面図、
図4は斜視図をそれぞれ示す。
【0037】
図2~
図4を参照すると、本実施例によるコンパクト型拡張現実用光学装置100は、光学手段10、第1反射部20及び第2反射部30を含む。
【0038】
光学手段10は、実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の瞳孔に向けて透過させ、画像出射部40から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を内面で反射させて第1反射部20に伝達する手段である。
【0039】
光学手段10は、実際事物から出射した画像光が入射する第1面11と、前記第1面11を透過した実際事物から出射した画像光及び第2反射部30を介して伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が出射する第2面12とを備える。また、光学手段10は、前記第1面11を介して画像出射部40から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第1反射部20に伝達し、第1反射部20によって反射された拡張現実用画像に相応する画像光は第2反射部30で反射されて第2面12を介して使用者の瞳孔50に出射する。
【0040】
したがって、画像出射部40は、光学手段10の第1面11で拡張現実用画像に相応する画像光が反射されて第1反射部20に伝達されるように第1面11に対して傾くように配置される。
【0041】
ここで、画像出射部40は拡張現実用画像に相応する画像光を光学手段10に向けて出射する手段であり、例えば小型のLCDのようなディスプレイ装置であるか、ディスプレイ装置から出射する画像光を反射又は屈折させて光学手段10に向けて伝達する反射手段又は屈折手段であることができる。
【0042】
すなわち、画像出射部40は拡張現実用画像を表示するディスプレイ装置であるか、このようなディスプレイ装置から出射した画像光を最終的に光学手段10に伝達する反射又は屈折手段などのその他の多様な手段を意味し、画像出射部40自体は本発明の直接的な目的ではなく従来技術に知られているものなので、ここでは詳細は説明を省略する。
【0043】
一方、拡張現実用画像とは、ディスプレイ装置に表示されて画像出射部40、光学手段10、第1反射部20及び第2反射部30を介して使用者の瞳孔50に伝達される仮想画像を意味し、イメージ形態の静止映像又は動画のようなものであることができる。
【0044】
このような拡張現実用画像はディスプレイ装置から画像光として出射し、画像出射部40、光学手段10、第1反射部20及び第2反射部30によって使用者の瞳孔50に伝達されることによって使用者に仮想画像を提供し、これと同時に、使用者は光学手段10を介して実際世界に存在する実際事物から出射する画像光を目で直接見つめることにより拡張現実サービスを受けるようになる。
【0045】
第1反射部20は前記光学手段10の内部に配置され、前記光学手段10の内面で反射されて伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第2反射部30に伝達する手段である。
【0046】
第1反射部20は、第2反射部30に向けて拡張現実用画像に相応する画像光を反射させるように前記第1面11と第2面12との間に配置される。すなわち、第1反射部20は光学手段10の第1面11で反射されて出射した拡張現実用画像に相応する画像光を第2反射部30に反射させて伝達するように第1面11と第2面12との間の光学手段10の内部空間に配置される。
【0047】
第1反射部20は、
図4に示すように、拡張現実用画像に相応する画像光をより第2反射部30に集中させるように、その表面が曲面に形成されることができる。
【0048】
また、第1反射部20は凹面鏡から形成することもできる。
【0049】
一方、後述するように、第2反射部30のサイズは人の一般的な瞳孔のサイズである8mmより小さく、より好ましくは4mm以下に形成される。よって、第1反射部20の幅方向の長さは第2反射部30のサイズに相応するように、すなわち第1反射部20の幅方向の長さは8mm以下、好ましくは4mm以下に形成することがよい。
【0050】
ここで、第1反射部20の幅方向とは、第1反射部20が第1面11と第2面12との間に延びている方向を意味する。
【0051】
一方、第1反射部20は、使用者が瞳孔50を通して第1反射部20をほとんど認識することができないようにするために、
図3及び
図4に示すように、瞳孔50側の正面から見るとき、厚さを非常に薄くすることが好ましい。
【0052】
第1反射部20を曲面を有する凹面鏡形に構成する場合、第1反射部20は画像出射部40から伝達される画像光をコリーメーションさせるコリメーター(collimator)としての役割を果たす。すなわち、第1反射部20は第2反射部30に伝達される画像光をコリーメーションさせることにより、第2反射部30から使用者の瞳孔50に伝達されるイメージが重畳するとき、各ピンミラーが形成するイメージがずれないようにする機能を果たす。
【0053】
また、第1反射部20を幅8mm以下の形状を有する鏡から構成する場合、第1反射部20は、画像出射部40から伝達される画像光のうち使用者の瞳孔50に伝達されなければならない画像光を反射して第2反射部30に伝達し、使用者の瞳孔50にゴーストイメージを発生させる雑光は通過させることによって第2反射部30に伝達しない絞り(aperture)としての機能を果たす。
【0054】
図5及び
図6は第1反射部20によるゴーストイメージの除去効果を説明するための図面で、
図5は第1反射部20の幅が8mm以上の場合、ゴーストイメージが発生する状態を説明するための図、
図6は第1反射部20の幅が8mm以下の場合、ゴーストイメージが発生しない状態を示す図である。
【0055】
図5に示すように、第1反射部20の幅が人の一般的な瞳孔のサイズである8mmより大きい場合には、画像出射部40から出射した画像光のうち光学手段10の内面で正常に反射されて第1反射部20に到逹する正常光は第2反射部30を介して瞳孔50に伝達されるが、画像出射部40から出射した画像光のうち光学手段10の内面で出射角の差、反射回数の差などによって瞳孔50にゴーストイメージを生成する意図せぬ雑光も第1反射部20で反射されて第2反射部30に伝達される。よって、
図5の左側に示すように、使用者は雑光によるゴーストイメージを認識することになる。
【0056】
一方、
図6を参照すると、第1反射部20の幅が人の一般的な瞳孔のサイズである8mmより小さいから、雑光は第1反射部20を透過するから第2反射部30及び瞳孔50に伝達されない。よって、ゴーストイメージが発生しなく、使用者は正常イメージのみ認識することになることが分かる。
【0057】
一方、第2反射部30は前記光学手段10の内部に配置され、前記第1反射部20から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔50に向けて反射させて伝達することにより、使用者に拡張現実用画像を提供する手段である。
【0058】
第2反射部30は、第1反射部20から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔50に向けて反射させて伝達するように、光学手段10の表面に対して傾くように配置される。
【0059】
一方、第2反射部30は、先に背景技術で説明したように、深度を深くしてピンホール効果を得ることができるように、人の瞳孔サイズより小さいサイズ、すなわち8mm以下、好ましくは4mm以下に形成することが好ましい。
【0060】
すなわち、第2反射部30は、人の一般的な瞳孔サイズより小さいサイズ、すなわち8mm以下に形成される。これにより、第2反射部30を介して瞳孔に入射する光に対する深度(Depth of Field)をほぼ無限大に近く、すなわち深度を非常に深くすることができ、よって使用者が実際世界を見つめながら実際世界に対する焦点距離を変更しても、これに関係なく拡張現実用画像の焦点はいつも合っているものと認識するようにするピンホール効果(pin hole effect)を発生させることができる。
【0061】
一方、第2反射部30は複数が形成されることができる。ここで、第2反射部30のそれぞれは、
図4に示すように、第1反射部20から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が他の第2反射部20によって遮断されないように配置される。
【0062】
この場合にも、それぞれの第2反射部30のサイズは8mm以下に形成することが好ましい。
【0063】
また、第2反射部30の少なくとも一部の表面は曲面に形成されることができる。
【0064】
また、第2反射部30の少なくとも一部の傾斜角は他の第2反射部30と異なるように形成することができる。
【0065】
第2反射部30は第1反射部20と一緒にゴーストイメージ及び外部流出光を著しく減らすことができる効果を提供する。すなわち、先に第1反射部20で説明したように、第1反射部20と第2反射部30はコリメーター(collimator)とコンバイナー(combiner)の役割を果たすとともに絞り(aperture)としての役割を果たす。よって、他の角度で入射する光を遮断することにより、雑光を除去し、外部の光を散乱させない効果がある。
【0066】
図7及び
図8は
図2~
図6で説明した本発明によるコンパクト型拡張現実用光学装置100を用いてメガネ型に具現した拡張現実提供装置200の一実施例を示す図である。
【0067】
図7及び
図8に示すように、拡張現実提供装置200は、従来のように全体的にレンズ部210と前記レンズ部210を固定するフレーム部220とからなるメガネ型に形成され、レンズ部210を前述したようなコンパクト型拡張現実用光学装置100から具現したことを特徴とする。
【0068】
この場合、レンズ部210は前述したような拡張現実用光学装置100の光学手段10に相応し、レンズ部210の内部に第1反射部20及び第2反射部30が前述したような方式で配置される。
【0069】
フレーム部220はレンズ部210の周囲を取り囲む形態の公知のメガネ型に構成されることができ、画像出射部40は、前述したように、フレーム部220の適切な位置に配置されることができる。この場合、例えば、拡張現実提供装置200を使用者が耳にかけることができるようにするフレーム部220のつる部221の端部にスマートフォンやコンピュータなどと連結されるようにする連結ポートを形成し、前記連結ポート及びフレーム部220の内部に形成されたケーブルを介して画像出射部40に拡張現実用画像に相応するイメージや動画データを伝送し、画像出射部40が拡張現実用画像に相応する画像光を出射するようにすることができる。
【0070】
前述したように、本発明によるコンパクト型拡張現実用光学装置100によれば、装置の全体的なサイズ、厚さ、体積を著しく減らすことができるので、
図7及び
図8に示すように、拡張現実提供装置200もサイズ、厚さ及び体積を著しく減らすことができる。よって、従来技術に比べ、複雑な構成を必要としなく着心地に優れた拡張現実提供装置200を提供することができる。
【0071】
一方、
図7及び
図8のような拡張現実提供装置200において、屈折異常を有する使用者のために、所定の屈折率を有する視力補正レンズをレンズ部210の外側又は内側の少なくとも一方に配置するか、レンズ部210(光学手段10)自体の全部又は一部を所定の屈折率を有する視力補正レンズから形成することができる。このような構成によれば、使用者の視力に応じて視力補正効果を提供することができる利点がある。
【0072】
以上で、本発明の好適な実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その他の多様な修正及び変形実施が可能であるというのは言うまでもない。
【0073】
(付記)
(付記1)
コンパクト型拡張現実用光学装置であって、
実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させ、画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を内面で反射させて第1反射部に伝達する光学手段と、
前記光学手段の内部に配置され、前記光学手段の内面で反射されて伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第2反射部に伝達する第1反射部と、
前記光学手段の内部に配置され、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達することにより使用者に拡張現実用画像を提供する第2反射部と、
を含み、
前記第2反射部のサイズは8mm以下であることを特徴とする、
コンパクト型拡張現実用光学装置。
【0074】
(付記2)
前記光学手段は、実際事物から出射した画像光が入射する第1面と、前記第2反射部を介して伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が出射する第2面とを有し、
前記光学手段は、前記第1面を介して画像出射部から出射する拡張現実用画像に相応する画像光を反射させて第1反射部に伝達する、
ことを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0075】
(付記3)
前記画像出射部は、光学手段の第1面で拡張現実用画像に相応する画像光が反射されて第1反射部に伝達されるように第1面に対して傾くように配置されることを特徴とする、
付記2に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0076】
(付記4)
前記第1反射部は、前記第2反射部に向けて拡張現実用画像に相応する画像光を反射させるように、前記第1面と第2面との間に配置されることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0077】
(付記5)
前記第1反射部は曲面形に形成されることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0078】
(付記6)
前記第1反射部は凹面鏡であることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0079】
(付記7)
前記第1反射部の幅方向への長さは8mm以下であることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0080】
(付記8)
前記第2反射部は、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光を使用者の目の瞳孔に向けて反射させて伝達するように、光学手段の表面に対して傾くように配置されることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0081】
(付記9)
前記第2反射部は複数の第2反射部を含み、
前記複数の第2反射部のそれぞれは、前記第1反射部から伝達される拡張現実用画像に相応する画像光が他の第2反射部によって遮断されないように配置されることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0082】
(付記10)
前記複数の第2反射部のそれぞれのサイズは8mm以下であることを特徴とする、
付記9に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0083】
(付記11)
前記第2反射部の少なくとも一部の表面は曲面形に形成されることを特徴とする、
付記9に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0084】
(付記12)
前記第2反射部の少なくとも一部の傾斜角は他の第2反射部の傾斜角と異なることを特徴とする、
付記11に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0085】
(付記13)
前記光学手段は屈折率を有するレンズであることを特徴とする、
付記1に記載のコンパクト型拡張現実用光学装置。
【0086】
(付記14)
実際事物から出射した画像光の少なくとも一部を使用者の目の瞳孔に向けて透過させるレンズ部及び前記レンズ部を固定するフレーム部を含むメガネ型の拡張現実提供装置であって、
前記レンズ部は前記付記1~13のいずれか一つに記載のコンパクト型拡張現実用光学装置であることを特徴とする、
拡張現実提供装置。
【0087】
(付記15)
前記レンズ部の外側又は内側の少なくとも一方に視力補正のための屈折率を有するレンズが配置されるか、前記レンズ部の全部又は一部が屈折率を有する視力補正レンズから形成されることを特徴とする、
付記14に記載の拡張現実提供装置。
【符号の説明】
【0088】
10 光学手段
11 第1面
12 第2面
20 第1反射部
30 第2反射部
40 画像出射部
50 瞳孔
100 コンパクト型拡張現実用光学装置
200 拡張現実提供装置
210 レンズ部
220 フレーム部
【国際調査報告】