IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デントスプリー・インターナショナル・インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2022-521304抜歯部位における歯槽提保存のための及び顎骨再生を促進するための歯科デバイス
<>
  • 特表-抜歯部位における歯槽提保存のための及び顎骨再生を促進するための歯科デバイス 図1
  • 特表-抜歯部位における歯槽提保存のための及び顎骨再生を促進するための歯科デバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】抜歯部位における歯槽提保存のための及び顎骨再生を促進するための歯科デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/02 20060101AFI20220330BHJP
【FI】
A61C8/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549326
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2020053914
(87)【国際公開番号】W WO2020169475
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】19020081.6
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルーツェ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】カラジバン,ナイム
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA62
(57)【要約】
本発明は、抜歯したソケット(2)の周りの歯槽提保存のための及び抜歯したソケット(2)内の顎骨再生を促進するための歯科デバイス(1)に関する。歯科デバイス(1)は、除去処置を不要とするために全体が生分解性材料で形成されているスクリュー(3)を備えることを特徴とし、ここで、スクリュー(3)が、骨組織再生中の微動を防ぐために、ソケット(2)の顎骨(4)内にしっかりと固定するように適合され、スクリュー(3)が、ソケット(2)内に充満した骨再生を促進するために、挿入された状態で、その頭部がソケット(2)の周りの歯槽堤(5)と同一平面上となる長さを有し、スクリュー(3)が、ソケット(2)内の骨成長の生物学的マトリックスとして機能する血液凝固物を形成するために、くぼみ(6)と、くぼみ(6)に血液を灌流させる細孔(7)とを有し、細孔(7)の直径が実質的に20マイクロメートル若しくはそれ以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜歯したソケット(2)の周りの歯槽提保存のための及び抜歯したソケット(2)内の顎骨再生を促進するための歯科デバイス(1)であって、
除去処置を不要とするために全体が生分解性材料で形成されているスクリュー(3)を備え、
ここで、前記スクリュー(3)が、骨組織再生中の微動を防ぐために、前記ソケット(2)の顎骨(4)内にしっかりと固定するよう適合され、
前記スクリュー(3)が、前記ソケット(2)内に充満した骨再生を促進するために、挿入された状態で、その頭部が前記ソケット(2)の周りの歯槽堤(5)と同じ高さとなる長さを有し、及び
前記スクリュー(3)が、前記ソケット(2)内の骨成長の生物学的マトリックスとして機能する血液凝固物を形成するために、くぼみ(6)と、前記くぼみ(6)に血液を灌流させる細孔(7)とを有し、
1つ又は複数の前記細孔(7)の直径が、それぞれ、実質的に20マイクロメートル若しくはそれ以上である、
ことを特徴とする歯科デバイス(1)。
【請求項2】
前記細孔(7)の直径が実質的に30マイクロメートル若しくはそれ以上である又は実質的に60マイクロメートル若しくはそれ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項3】
前記細孔(7)の直径が実質的に500マイクロメートルよりも小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項4】
前記スクリュー(3)の長さ及び/又は直径が、それぞれ異なる前記ソケット(2)の深さ及びサイズに応じたすべての解剖学的症例に対応するために、複数の所定の長さ及び/又は直径のいずれかを有していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項5】
前記生分解性材料がポリマーベース及び/又は金属ベースであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項6】
前記生分解性材料がマグネシウムを含むことを特徴とする、請求項5に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項7】
前記生分解性材料がストロンチウムを含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項8】
前記生分解性材料が成長因子及び/又は抗生物質を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項9】
前記成長因子及び/又は抗生物質が前記スクリュー(3)の表面に処置されていることを特徴とする、請求項8に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項10】
前記スクリュー(3)のねじ山(8)がセルフタッピングに適合していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項11】
前記スクリュー(3)のねじ山(8)がプレタッピングに適合していることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項12】
前記ねじ山(8)が前記スクリュー(3)の先細りの先端部のみに設けられていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項13】
前記スクリュー(3)の頭部に形成された平面部(9)であって、前記ソケット(2)と前記スクリュー(3)との間の空間を覆うように、スクリュー(3)の外径と等しいか又は実質的にそれよりも大きい平面部(9)を更に備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項14】
前記ソケット(2)を覆うための歯科用バリア膜であって、ここで、前記平面部(9)が前記歯科用バリア膜を下から支持するよう適合された寸法及び形状を有し、前記平面部(9)とは別個に設けられる歯科用バリア膜を備えることを特徴とする、請求項13に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項15】
前記平面部(9)が、それぞれ異なる前記ソケット(2)のサイズ及び形状に応じたすべての解剖学的症例に対応するために、いくつか異なる所定の寸法及び形状のいずれかを有していることを特徴とする、請求項13又は14に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項16】
前記くぼみ(6)及び細孔(7)が、前記生分解性材料から製造される一体部として提供されることを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項17】
積層造形法により部分的に又は一体的に製造されたことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項18】
前記積層造形法が選択的レーザー溶融法を含むことを特徴とする、請求項17に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項19】
スクリュー(3)が、前記くぼみ(6)を取り囲む、グリッドのような、孔の空いた、及び/又は台のような構造を有することを特徴とする、請求項18に記載の歯科デバイス(1)。
【請求項20】
スクリュー(3)が、顎骨(4)から前記くぼみ(6)への血液の灌流を可能とするために先端部に開口部(10)を有し、軟組織等のくぼみ(6)への侵入を防ぐために末端部が閉塞されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の歯科デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植(インプランティング)に先立ち、抜歯部位における歯槽提保存(リッジプリザベーション)と顎骨再生を促進するための歯科技術に関する。本発明は、より具体的には、移植に先立ち、抜歯したソケットの周りの歯槽提保存のため及び抜歯したソケット内の顎骨再生を促進するための歯科デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フレッシュな抜歯ソケットに歯科インプラントを直ちに配置することは、継続的にソケットを治癒し移植処置をする場合に比較して、インプラントのより高い失敗率が認められることから推奨されないことが多い。この継続的な処置に関連して、抜歯ソケット周囲の歯槽堤が治癒時間中に大量に吸収されるという問題がある。最悪のシナリオでは、インプラントを配置するのには不十分な骨量しか残らなくなる。それ故、顎骨の吸収を減少させるための、いくつかの歯槽提保存技術が提案され開発されてきた。移植材料によるソケットの充填、コラーゲンプラグ及び様々な膜又は歯肉パンチでの被覆のように、広範な歯槽提保存技術においてその有効性が示されたが、しかしその効果の範囲は限定的でしかない。これらの歯槽提保存技術では、2~3mmの横方向(頬舌側)の菲薄化及び1~2mmの垂直方向の高さの損失を防ぐことができない。これらの技術は、いずれも、顎の元の形状を維持する効果を欠いている。したがって、歯科臨床研究コミュニティは、歯槽提を完全に保存することは不可能と判定している。
【0003】
国際公開WO2016/134979号は、顎骨の欠落部が骨移植材料で充満され、且つ、生体吸収性のマグネシウム膜で覆われ、その生体吸収性膜がマグネシウム合金製のピン、釘、又はネジで顎の骨に固定される歯槽提保存技術を開示する。単に、欠落部を粒子状の又は成形可能な生体材料で埋め、欠落部に生体吸収性膜を配置するといった一般的に知られている技術では、垂直崩壊が起こる可能性が高い。さらに、安定化されていない移植材料は、咀嚼力にさらされると変形する可能性もある。また、組織再生中の基質の微動は、新しい骨組織よりも軟組織の成長のほうにかなうことも知られている。さらに、濃いパテでは、とりわけ、骨移植材料内の栄養の灌流が不十分となることが観察されている。この一般的に知られている歯槽提保存技術では、血液供給が制限され、その結果、治癒段階での骨の成長が遅れる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の不利な点を効果的な方法で克服し、抜歯部位における歯槽提保存及び顎骨再生を促進するための歯科デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に規定される歯科デバイスにより達成される。従属請求項は、本発明を通じた達成の更なる発展を規定する。
【0006】
本発明によれば、歯科デバイスは、除去処置を不要とするために、全体が生分解性材料で形成されているスクリューを有している。スクリューは、骨組織再生中の微動を防ぐために、ソケットの顎骨内にしっかりと固定するよう適合されている。スクリューは、ソケット内に充満した骨再生を促進するために、挿入された状態で、その頭部がソケットの周りの歯槽堤と同じ高さとなる長さを有している。そして、スクリューは、ソケット内の骨成長の生物学的マトリックスとして機能する血液凝固物を形成するために、くぼみと、くぼみに血液を灌流させる細孔とを有している。
【0007】
本発明の歯科デバイスは、抜歯部位における歯槽提保存(リッジプリザベーション)と顎骨再生を促進するための効果的な技術を提供する。スクリューは生分解性材料から製造されているため、チタンセラミック材料での以前の実験的なアプローチに比べて大きな利点がある。チタンセラミック材料は生涯にわたり患者内に留まる必要性があり、コスチューマーに悪い認識を引き起こすだろうし、インプラントに必要とされるチタンセラミック材料を穿孔するときの微粒子の発生も懸念される。歯科デバイスは、スクリューのようにソケットにしっかりと挿入できるため、組織再生中の欠落部の安定性が向上し、新しい骨組織と比較して軟組織のほうの成長を防ぐ。この咀嚼力にさらされると変形する可能性がある、安定化されていない移植材料と比較して、スクリューは更なる利点を提供する。スクリューが歯槽堤の高さを維持するための支柱として機能するため、垂直崩壊は発生せず、ベースラインの状況においては歯槽の形状が維持され、骨の高さの損失が阻止され、そして顎の元の形状を維持することができる。移植材料ではその吸収が垂直高さの損失につながるため、移植材料を使用して膜をアンダーフィルするアプローチと比較しても、この利点は価値がある。スクリューは、くぼみと細孔とを有しているため、血液の灌流、血栓への密接なコネクション及びそれに続く骨再生の促進が可能となる。
【0008】
本発明によれば、異なるソケットの深さ及びサイズに応じた様々な解剖学的症例に対応するため、歯科デバイスのスクリューが、個々のソケットの深さ及びサイズにそれぞれ調整可能とするように、異なる所定の長さ及び直径で提供されてもよい。これにより歯科医師は患者のニーズに応じて歯科デバイスを選択し適用することができる。
【0009】
本発明によれば、歯科デバイスは適切な機械的特性を与える任意のタイプの吸収性材料から製造されてもよい。例えば生分解性金属及び/又は生分解性ポリマーを使用することができる。
【0010】
本発明によれば、スクリューの異なる部分が異なる組成及び密度を有する生分解性材料から製造されてもよい。これによりスクリューの全体を通して吸収率を調整して、ソケット内での均一な治癒を実現することができる。これによりスクリューの全体を通した機械的強度も調整できる。
【0011】
本発明によれば、歯科デバイスはマグネシウム又はマグネシウム合金から製造されてもよい。この点において、スクリューの崩壊が骨成長促進性を有するマグネシウムイオンの配給につながり、それにより有利な効果が達成される。マグネシウムが新しい骨形成のための分子経路の誘因となること、及びマグネシウムが生体内でリン酸カルシウム骨移植材料の活性を高めることがよく知られている。したがって、本発明は、最もよく知られている骨形成環境及び生物学的刺激を提供する。
【0012】
本発明によれば、マグネシウムの他にストロンチウムなどの他の骨形成促進元素が生分解性マグネシウム合金に含められてもよい。
【0013】
本発明によれば、スクリュー、特にスクリューの表面を、骨形成を促進する抗生物質又は成長因子で豊富化してもよい。
【0014】
本発明によれば、スクリューのねじ山が、挿入中に、その末端部のレベルが歯槽堤の高さ相当に調整できるようにその先端部に形成されてもよい。歯科デバイスのスクリューのねじ山はセルフタッピング又はプレタッピングのいずれの方法でもソケット内にしっかりと固定するのに役立つ。血液凝固物のための空間を確保するため、スクリューは、好ましくはソケットよりも幅が小さく、それ故ねじ山は、好ましくはスクリューの先細りの先端部のみに設けられる。
【0015】
本発明によれば、別個の歯科用バリア膜のための下敷きとして機能するように、スクリューの頭部に平面部が形成されている。或いはまた、平面部は、ソケットそのものを覆うバリアとして機能するのに十分な寸法及び形状で形成されてもよい。平面部は、スクリューとソケットとの間の空間を含むソケット全体を覆うことができるように、実質的にスクリューの外径と等しいか又はそれよりも大きい。平面部は、それぞれ異なるソケットのサイズ及び形状に応じたすべての解剖学的症例に対応するために、いくつか異なる所定の寸法及び形状を有してもよい。ここで、当業者に通常知られている如何なる歯科用バリア膜でも、本歯科デバイスと共に使用することができる。この歯科用バリア膜はソケットの周りの歯肉弁を介してさらに固定されてもよい。同様にスクリューの平面部がソケットの周りの歯肉弁で覆われてもよい。
【0016】
本発明によれば、歯科デバイスは、平面部と、くぼみ及び細孔を含むスクリューとが、1つ又は複数の生分解性材料から形成されている一体部品である。歯科デバイスは、好ましくは、部分的又は全体的に積層造形法により製造され、好ましくは選択的レーザー溶融法により製造される。
【0017】
本発明によれば、スクリューは、細孔を形成するくぼみを取り囲む、均一なグリッド状の構造、台状の構造又は孔構造を有してもよい。機械的強度を向上させるためには、細孔の寸法を比較的小さくする必要があるが、しかし、細孔はまた、くぼみへの血液の灌流を可能にするのに十分大きくなければならない。ここで、それぞれの細孔は、好ましくは0.005から3ミリメートル、より好ましくは少なくとも20マイクロメートル、さらにより好ましくは少なくとも30マイクロメートル、さらにより好ましくは少なくとも60マイクロメートル、さらにより好ましくは500マイクロメートル未満のサイズであってもよい。
【0018】
本発明によれば、スクリューは顎骨からくぼみへの血液の灌流を可能とするために先端部に開口部を有するものでもよく、そしてスクリューの末端部が、好ましくは軟組織又は不純物等のくぼみへの侵入を防ぐために閉塞されている。
【0019】
以下、本発明を例示的な実施形態を用い及び図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による歯科デバイスが挿入された抜歯部位の概略斜視断面図である。
図2】本発明の実施形態による歯科デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に示されている参照番号は以下にリストされている要素を示し、続く例示的な実施形態の説明において参照される。
1 歯科デバイス
2 ソケット
3 スクリュー
4 顎骨
5 歯槽堤
6 くぼみ
7 細孔
8 ねじ山
9 平面部
10 開口部
11 歯肉弁
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による、抜歯したソケット(2)の周りの歯槽提保存のための及び抜歯したソケット(2)内の顎骨再生を促進するための歯科デバイス(1)を示す。歯科デバイス(1)は全体が生分解性材料で形成されているスクリュー(3)を有している。スクリュー(3)はソケット(2)の顎骨(4)内にしっかりと固定するよう適合されている。スクリュー(3)は、挿入された状態で、その頭部がソケット(2)の周りの歯槽堤(5)と同一平面上となるような長さを有している。スクリュー(3)は、くぼみ(6)と、くぼみ(6)に血液を灌流させる細孔(7)とを有している。細孔(7)の直径は、好ましくは実質的に20マイクロメートル若しくはそれ以上であり、より好ましくは実質的に30マイクロメートル若しくはそれ以上であり、又はさらにより好ましくは実質的に60マイクロメートル若しくはそれ以上である。細孔(7)の直径は、好ましくは500マイクロメートル未満である。
【0023】
本実施形態の代替バージョン(図示せず)において、スクリュー(3)は、それぞれ異なるソケット(2)の深さ及びサイズに応じたすべての解剖学的症例に対応するために、いくつか異なる所定の長さ及び直径を有している。
【0024】
生分解性材料は、好ましくはポリマーベース及び/又は金属ベースである。生分解性材料は、好ましくはマグネシウム及び/又はストロンチウムを含む。生分解性材料は、また、スクリュー(3)の内部又は表面上に成長因子及び/又は抗生物質を含むものでもよい。スクリュー(3)の異なる部分が、異なる組成及び/又は密度を有する生分解性材料から製造されてもよい。
【0025】
本実施形態において、スクリュー(3)のねじ山(8)はプレタッピングに適合している。或いは、スクリュー(3)のねじ山(8)はセルフタッピングに適合するものでもよい。ねじ山(8)は好ましくはスクリュー(3)の先細りの先端部のみに設けられる。
【0026】
図2図1の歯科デバイス(1)の断面図を示している。図2に示されるように、歯科デバイス(1)は、スクリュー(3)の頭部に形成された平面部(9)を有しており、平面部(9)はそれ自体がバリアとして機能し、又は歯科用バリア膜を支持するものとして機能する。平面部(9)は、ソケット(2)全体を覆うことができるように、スクリュー(3)の外径と等しいか又は実質的にそれよりも大きい。歯科用バリア膜はソケット(2)を覆うために用いられる。歯科用バリア膜は平面部(9)とは別個に設けられる。平面部(9)は下敷きのように歯科用バリア膜を支持するよう適合された寸法及び形状を有している。
【0027】
本実施形態の代替バージョンにおいて、平面部(9)は、それぞれ異なるソケット(2)のサイズ及び形状に応じたすべての解剖学的症例に対応するために、いくつか異なる所定の寸法及び形状を有している。
【0028】
図2に示されるように、平面部(9)と、くぼみ(6)及び細孔(7)を含むスクリュー(3)とが、生分解性材料(群)、好ましくはマグネシウム合金からの一体部品として提供される。歯科デバイス(1)は、好ましくは、部分的又は全体的に積層造形法により製造される。積層造形法は、好ましくは、粉末状の上述の生分解性材料に適用される選択的レーザー溶融法を含む。細孔(7)は生分解性材料の選択的レーザー溶融法による積層造形プロセスにおいて好ましい直径又は寸法に形成される。
【0029】
図2に示されるように、スクリュー(3)は、くぼみ(6)を取り囲む孔構造を有している。この孔構造は、スクリュー(3)に血液の灌流のための細孔(7)を形成する。或いは、グリッドのような、又は台のような構造が、スクリュー(3)に血液の灌流のための細孔(7)を形成するために製造されてもよい。
【0030】
図2に示されるように、スクリュー(3)は、顎骨(4)からくぼみ(6)への血液の灌流を可能とするために、先端部に開口部(10)を有している。そしてスクリュー(3)は、軟組織等のくぼみ(6)への侵入を防ぐために、その末端部が閉塞されている。
【0031】
歯科デバイス(1)は、移植前のフレッシュな抜歯部位に使用することができる。歯科医師は、ソケット(2)の深さ、サイズ及び形状を測定し、長さ、直径、寸法及び形状が正確に一致する歯科デバイス(1)を選択する。その後、上端が歯槽堤(5)と同じレベルとなるようにスクリュー(3)をソケット(2)に挿入する。次に、任意で、歯科用バリア膜を平面部(9)に配置し、歯肉の周囲の歯肉弁(11)を介した所定の位置に固定する。歯肉弁(11)は縫合される。抜歯部位が治癒されたときには、歯科デバイス(1)は完全に吸収され、除去処置が必要なくなる。その後、再生された顎骨にインプラントを挿入することができる。本発明により、インプラントの失敗率を大幅に低減することができる。
図1
図2
【国際調査報告】