(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】スラリーウォールカッター用の掘削ホイールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B02C 7/08 20060101AFI20220330BHJP
E21B 10/08 20060101ALI20220330BHJP
E02F 5/02 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
B02C7/08
E21B10/08
E02F5/02 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549355
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2020054342
(87)【国際公開番号】W WO2020169657
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】202019101004.5
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202019102438.0
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512197434
【氏名又は名称】リープヘル-コンポーネンツ ビーベラッハ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ウィッドマン,ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ハルダー,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2D129
4D063
【Fターム(参考)】
2D129AB22
2D129BB11
2D129GA18
4D063DD02
4D063DD05
4D063DD15
4D063GA07
4D063GB07
4D063GC23
4D063GD13
4D063GD27
(57)【要約】
本発明は、特殊な土木工事においてスラリーウォールを形成するためのスラリーウォールカッターに関する。本発明は、回転駆動可能なカッターハブ(8)と同期回転のためにカッターハブに取り外し可能に固定し得る掘削ホイール(3)とを備えるスラリーウォールカッター(1)用の掘削ホイールアセンブリに関する。本発明によれば、掘削ホイール及びカッターハブはその端面で相互に固定され高い作用力を摩擦なし又は少なくとも摩擦のみで伝達しないよう相互に連動して固定される。本発明によれば、対向配置可能な掘削ホイールの端面とカッターハブの端面とに同期回転のために相互に噛み合う側歯(16、17)が設けられる。一対の側歯の噛合によりカッターハブと掘削ホイールとが同期回転のために相互に連動して保持される。同時に、相互に接した端面は掘削ホイールが所定位置に保持されるような軸方向の力を伝達できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動可能なカッターハブ(8)と、前記カッターハブ(8)に回転固定で取り外し可能に固定された掘削ホイール(3)とを有し、対向配置可能な前記カッターハブ(8)及び前記掘削ホイール(3)の端面(10,14)には、対向配置可能な前記端面において形状適合した状態で相互に回転固定に係合する連結手段(16,17)が設けられることを特徴とする、スラリーウォールカッター(1)用の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項2】
前記端面(10,14)は、前記連結手段(16,17)の間に歯のない面(21)を有する、先行する請求項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項3】
軸方向固定手段(18)は、前記掘削ホイール(3)の端面(10)と前記カッターハブ(8)の端面(14)とを相互に軸方向に固定するために設けられた、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項4】
前記軸方向固定手段(18)は、前記端面歯(16,17)を通るピッチ円に沿って分布して配置されたねじ及び/又はねじボルト(19)を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項5】
前記端面歯(16,17)は、それぞれ、相互に間隔を置いて円周方向に分布して配置された複数の歯群(20)を有する、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項6】
各歯群(20)は、複数の歯(22)を有し、前記歯群(20)内の前記歯(22)は、相互に平行に並んでおり、前記複数の歯群(20)は、別の歯群の前記歯(22)が相互に鋭角に傾斜して延びるように相互に回転させて配置した、先行する請求項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項7】
前記端面歯(16,17)は、歯の先端が直線状とされた歯(22)を有する、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項8】
少なくとも1つの歯群(20)の中央の歯(22)は、前記カッターハブ(8)及び前記掘削ホイール(3)の回転軸に対して径方向に配置され、同じ歯群の残りのすべての歯(22)は、前記中央の歯(22)と平行に配置される、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項9】
前記端面歯(16,17)の前記歯(22)は、それぞれ、断面視で円錐台状の輪郭とされる、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項10】
前記端面歯(16,17)の前記歯(22)は、平らな歯面を有し、かつ/又は、2×50°、2×15°又は2×40°から2×25°の範囲のくさび角に設定された直線状の断面の歯面を有する、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項11】
前記掘削ホイール(3)の前記端面歯(16)は、掘削ホイール本体に取り外し可能に固定される固定用フランジ(13)に設けられ、前記掘削ホイール本体が掘削ツールを支持する、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項12】
前記カッターハブ(8)の前記端面歯(17)は、ハブポット(9)に取り外し可能に固定されたハブプレート又はハブフランジに設けられた、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項13】
前記端面歯(16,17)は、前記掘削ホイール(3)が、前記カッターハブ(8)に対して最大6つの異なる回転位置、最大2つの異なる回転位置、又は、最大1つのみの回転位置で前記カッターハブ(8)に固定可能に構成された、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項14】
前記端面歯(16,17)は、2つの反対の回転方向に等しく力及び/又はトルクを伝達するものとして形成された、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項15】
前記カッターハブ(8)は、特に前記ハブポット(9)の形状で変速段の出力部により形成されることにより、前記掘削ホイール(3)が、トルク伝達されるように掘削駆動部(4)に連結される、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項16】
前記変速段は、遊星歯車を含み、前記カッターハブ(8)は、前記遊星歯車の遊星キャリヤにより形成される、先行する請求項の一項に記載の掘削ホイールアセンブリ。
【請求項17】
先行する請求項の一項にしたがって構成された掘削ホイールアセンブリを有するスラリーウォールカッター。
【請求項18】
前記掘削ホイール(3)及び前記カッターハブ(8)は、前記掘削駆動部(4)を支持する細長く直立した掘削フレーム(2)に支持され、地面に立つ移動可能な支持装置(5)で吊り下げられる、先行する請求項に記載のスラリーウォールカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、特殊な土木工事においてスラリーウォールを形成するためのスラリーウォールカッターに関するものである。本発明は、特に、回転駆動可能なカッターハブと、カッターハブに回転固定で取り外し可能に固定し得る掘削ホイールとを有するスラリーウォールカッター用の掘削ホイールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
スラリーウォールカッターは、一般的には、特殊な土木工事において、土、岩盤又は下層土にトレンチを掘削するのに使用されており、そのトレンチには、スラリーウォールを形成するための例えばコンクリートを含む懸濁液が充填される。スラリーウォールは、一般に、例えば、コンクリート、鉄筋コンクリート及び同類のものからなる下層土中の壁建造物である。このようなスラリーウォールを作り出すために、上部が開いた実質的に垂直なトレンチが、スラリーウォールカッターを使用して、掘削ツールを上から土の中へ下降させ、地面に支持され好ましくは移動可能なクローラーショベル等の支持装置によりガイドすることで掘削される。スラリーウォールカッターは、本明細書では、通常、細長く直立した掘削フレームを含み、当該掘削フレームは、支持装置で垂直に移動可能に吊り下げられるとともに、通常、水平な各軸の周りを反対方向に駆動可能な複数の掘削ホイールを下端で支持する。掘削ホイールを回転駆動させるための駆動部は、同様に、掘削フレームの下部で支持され得る。例えば掘削ホイールを、例えばチェーン駆動及び/又は1つ以上の変速段を介して駆動させ得る1つ以上の油圧モーターを含み得る。
【0003】
本明細書におけるこのようなスラリーウォールカッターの掘削ホイールは、定期的かつ比較的頻繁に交換する必要がある。一方で、掘削ホイールにおいて円周側に配置された掘削ツールは、非常に摩耗しやすい。多数の切歯を個別に交換せずに済むように、通常は、掘削ホイール全体を取り外して新しい切歯を有する別の掘削ホイールと交換する。ただし、他方で、土壌の状態に合わせて、最適化された様々な掘削ホイールが使い分けられている。掘削する深さによって土壌の状態が変化する場合があることから、単一のトレンチを掘削する際、掘削の深さが増すにつれて土壌の状態が変化しなくても、掘削ホイールを交換することが多い。各種掘削ホイールをさらにトレンチの幅と深さによって使い分けるので、スラリーウォールカッターの掘削ホイール全体を交換する必要が非常に頻繁に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掘削ホイールを建設現場で交換する時間をできる限り短くて済むように、また、機械の休止時間を最小限にするために、できる限り交換プロセスを単純にすることが望ましい。通常、スラリーウォールカッターの掘削ホイールは、カッターハブに摩擦により締め付け固定される。掘削作動において、非常に大きな力とトルクとを掘削ホイールとカッターハブとの間に伝えることができるように、非常に多数のねじ、例えば、掘削ホイールごとに48本のねじが通常使用され、それにより、各掘削ホイールが摩擦によりカッターハブに締め付けられる。均一の締め付けを行うために、全てのねじボルトを、例えば、トルクレンチにより同じトルクで締める必要があり、その結果、ねじの予荷重力の合計によって、掘削ホイールがカッターハブにおいて締め付けられ、それらが摩擦によりしっかり保持される。しかしながら、全てのねじを、緩め、続いて、掘削ホイールの交換時に、均一のトルクで締め付けて、再度装着する必要があり、これは、非常に複雑であり、まとまった時間を要することが、ここでは欠点である。
【0006】
掘削ホイールの交換にかかる時間を削減するために、カッターハブと掘削ホイールとの間に一種の差し込みピン式取り付け具を設けることが、すでに提案されている(欧州特許第2597205号明細書を参照)。当該明細書では、カッターハブの円周上には、一方側に開口しているスリット状の凹部が設けられ、掘削ホイールに設けられた適切に形成された突起をポケット状の凹部に挿入し、回転させることによりロック可能となっている。この点において、突起とポケット状の凹部とは、掘削ホイールがハブに対して回転すると相互に締め付け合うように、それぞれくさび状に形成される。しかしながら、差し込みピン式取り付け具型の連結では、前記締め付けおよび力を一方向の回転においてのみ伝えることが可能なものである。掘削ホイールが逆方向に回転した場合、差し込みピンの締め付けによる連結が不意に解除されてしまう。
【0007】
この回転方向の課題を回避するために、カッターハブを、六角形に形成し、六角形と同様の相補的な凹部を掘削ホイールに設けて、ハブの六角形の輪郭に押し込み得ることが、すでに考案されている。このような多角形の端部連結は、通常、簡単な組立及び分解を可能とするように、クリアランスを伴って形成する必要があるが、そのことによって、作動時に相応の摩耗が生じる。その上、力はそれ自体、径方向にしか伝わらず軸方向へは伝わらないため、作動時に発生する軸方向の力を伝えるには、追加の締め付け又は引張力付加手段を設ける必要がある。
【0008】
したがって、本発明の基本的な目的は、先行技術の欠点を回避するとともに後者を有利なやり方でさらに発展させた改良型スラリーウォールカッター及び改良型掘削ホイールアセンブリを提供することである。簡単に素早く組立及び分解を行うことができ、作動時の力及びトルクをできる限り摩耗なしで伝達することができる掘削ホイールの固定が、特に提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、前記目的は、請求項1に係る掘削ホイールアセンブリと、請求項17に係るスラリーウォールカッターとにより達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属項の対象である。
【0010】
したがって、掘削ホイールとカッターハブとを、端面で相互に固定して、高い作用力が摩擦で又は少なくとも摩擦だけで伝達しないように、それらを形状適合させることにより相互に固定することを提案する。本発明によれば、対向配置可能な掘削ホイール及びカッターハブの端面に、回転固定で相互に係合する端面歯を設ける。カッターハブと掘削ホイールとは、一対の端面歯が相互に係合することにより相互に形状が適合して、回転固定に保持される。同時に、相互に当接した端面はまた、掘削ホイールが軸方向の力を伝えることができるので、掘削ホイールが傾かないように保持することができる。作用力及びトルクが、端面歯が係合して形状が適合することによって伝わることから、掘削ホイールは、比較的簡単に、例えば数本のねじにより、カッターハブに固定されて、その結果、分解又は組立に費やす時間を大幅に短縮することができる。
【0011】
掘削ホイールの端面とカッターハブの端面を相互に係合させる端面歯は、特に、クリアランスがないことから、微小移動を防止することにより摩耗が著しく減少するクリアランスのない形状適合連結を作り出すことができる。同時に、掘削ホイールとカッターハブとを、1次元の動きで、特に、簡単に端面で相互に押し付けることにより、差し込みピン式取り付けを用いた場合に必要な回転又は螺合動作をさらに行うことなく、組み立て又は分解することができる。
【0012】
しかしながら、一般には、端面歯状をクリアランスが少ない状態に構成することも考えられる。本発明がさらに進歩したものでは、径方向の力をさらに伝達して端面歯を緩和するように、例えば、センタリング又はセンタリング装置をハブポットに装着することができる。
【0013】
カッターハブ及び掘削ホイールを軸方向に相互にかつ/又は端面で固定するために、又はそれらに相互に引張力を付加するために、カッターハブをカッターハブに対して回転軸方向に引張りかつ/又は押し付ける軸方向に有効な固定手段を、掘削ホイールとカッターハブとの間に設けることができる。このような軸方向固定手段は、一般的に、様々に構成することができ、例えばセントラルロック、例えばセントラルネジキャップの形態で備え得る。その代わりに又はさらに、数本のねじボルトを、掘削ホイールをカッターハブに向けて引張力をかけるようにかつ/又はそこに堅固に締め付けるように、円周上に分布させて設けることができる。前記ねじボルトは、有利には、端面歯を通過するピッチ円に沿って分布して配置することができる。ねじボルトは、作用力の下、端面歯が相互に正確に係合されることを保証するように、特に相互に係合する端面歯部分の領域に設けることができる。
【0014】
相互に係合する端面歯は、一般的に、様々に構成することができ、例えば、各端面の端面歯の外周を環状に閉じることができる。しかしながら、本発明を有利にさらに進歩したものでは、カッターハブの端面及び掘削ホイールの端面の端面歯は、有利には、それぞれ、相互に間隔を置いて円周上に分布させて配置され、相互に間隔を置いて配置された複数の歯群を備え得る。端面歯のある面と端面歯のない面とは、例えば、円周方向に見て互い違いとすることができる。
【0015】
このような歯群は、最小で3つ、最大で10を、有利には設けることができ、4~8つ又は特に6つの歯群を円周上に分布させて配置可能である。しかしながら、その代わりに、円周全体に分布させ得る唯一の歯群を設けてもよい。
【0016】
端面歯の歯は、本明細書では、様々な輪郭及び/又は形を備えることができる。トルクと径方向及び軸方向の力とを等しく伝えることができるように、それぞれの歯群の歯が、相互に平行に配置され又は位置合わせされても、異なる歯群は、それらの歯の向きに対して相互に回転させて配置されることが有利となり得る。
【0017】
本発明がさらに有利に進歩したものでは、歯がそれぞれ直線状の歯面を備えるとともに、それぞれの歯群の歯が相互に平行に配置されるようにできる。各歯の先端を検討した場合、先端を形成する突起部分が徐々に直線状にすることができる。歯を徐々に湾曲させることも、一般的に考えられる。しかしながら、有利には、歯は、それぞれ、その先端又は突起部分と歯の間に配置された谷部分とから見ると、徐々に直線状にし得る。
【0018】
各歯群では、特に、1つの歯が径方向に延び、これに対して、残りの歯は、それと平行に延びるので径方向に角度をつけてオフセットし得る。各歯群の各中央の歯は、特に、径方向に延び、それと平行に位置調整された歯が左右両側に配置され得る。
【0019】
前記歯群は、本明細書では、様々な数の歯を備え、例えば、3~10の歯を備えることができ、特に、およそ6~8の歯を含むことができ、全ての歯群は、同じ数の歯を備えることができる。
【0020】
本発明のさらに進歩したものでは、歯群はまた、例えば、1つの歯群がその他の歯群よりもさらに少ない数の歯を備える点で、全体が非対称的なものとして配置又は構成することができる。これにより、掘削ホイールが1つのみの所定の回転位置でカッターハブに取り付けられることを保証することができる。しかしながら、その代わりに又はさらに、掘削ホイールの所定の回転組立位置は、ねじボルトの対応する配置、例えば、円周方向の一様でない分布、例えば、そうでなければ均一な分配パターンを有する追加のねじボルトにより、達成できる。
【0021】
所望の相互の回転位置は、複数の掘削ホイールを、関連のカッターハブにおける掘削ホイールの回転組立位置を同期回転を保証するように、完全に固定することにより又は掘削ツールを相互に係合させることにより、特に保証できる。掘削ホイールは、特に、円周側において突出する切歯が、掘削ホイールが相互に非常に接近して配置されても相互に衝突しないように、相互に位置合わせされ得る。
【0022】
端面歯の歯は、一般的に、様々な形を備えることができ、歯は、有利には、力を両方の回転方向に一様に伝えることができるように、断面視した各歯形を、それぞれの歯形を通る回転軸に平行な切断面に対して対称となるように形成できる。
【0023】
断面で見ると、歯は、特に、それぞれ円錐台状の輪郭としかつ/又は直線状もしくは平らな歯面を備えるようにできる。くさび形の輪郭とされたこのような歯は、例えば、くさび角度が2×10°から2×40°もしくは2×15°から2×30°、又は特におよそ2×20°の輪郭にすることができる。2×15°から2×25°の範囲のくさび角度では、一方で、クリアランスなしに相互に係合することが保証され、他方で締めている間の過剰な締め付けが防止され得る。
【0024】
歯は、本明細書では、鋭角の面を平坦にすることができる。2つの歯の間の谷部分又は各歯元は、有利には、歯の基部の引張力ピークを回避するように、断面視で丸い輪郭にすることができる。
【0025】
本発明を好ましい実施形態及び関連の図面を参照してさらに詳細に以下に説明する。図面に示すのは以下のものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の有利な実施形態に係るスラリーウォールカッターの概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、先行する図のスラリーウォールカッターの掘削ホイール及びカッターハブの部分断面斜視図であり、カッターハブ及び掘削ホイールは、相互に装着した状態で示している。
【
図3】
図3は、
図2と同様の掘削ホイール及びカッターハブの部分断面斜視図であり、掘削ホイール及びカッターハブは、相互に分解した状態で示している。
【
図4】
図4は、端面歯をそれぞれ有する、先行する図の掘削ホイール及びカッターハブの端面の平面図である。
【
図5】
図5は、カッターハブ及び掘削ホイールの端面歯を示す、
図4のA-A線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、スラリーウォールカッター1は、格子状キャリヤとして構成可能でありかつ/又は横方向に配置された長手方向の2つのガイド部分を含み得る、直立して配置された細長い掘削フレーム2を備え得る。掘削フレーム2は、少なくとも2つの掘削ホイール3を下端部分に備えることができ、前記掘削ホイール3は、相互に隣接して配列され、水平な各回転軸周りを回転駆動することができ、掘削ホイール3の回転軸は、特に、掘削フレーム2の平坦な側面に垂直に、相互に平行に延び得る。
【0028】
2つの掘削ホイール3は、本明細書では、相互に反対方向に駆動させ得る。掘削駆動部4が、掘削ホイール3の上方、掘削フレーム2の下端部分に配置させることができ、例えば、前記掘削ホイール3を、1つ以上の変速段を介して駆動させることができる1つ以上の油圧モーターを含み得る。
【0029】
図1に示すように、掘削ホイール3を有する掘削フレーム2は、支持装置5により上昇及び下降可能に保持され又は吊り下げられ得る。前記キャリヤ支持装置5は、各トレンチが掘削される地面に立ち、有利には移動可能なものとして構成され得る。例えばトラックシャーシ6(tracked chassis)の形態のシャーシを有するケーブル掘削機を、特に、支持装置5として設けることができ、掘削フレーム2は、支持装置5のブーム7により上昇及び下降可能である。
【0030】
図2~
図5に示すように、それぞれの掘削ホイール3は、掘削フレーム2に回転可能に支持されたカッターハブ8に固定され、掘削駆動部4により駆動可能である。カッターハブ8は、本明細書では、掘削駆動部4の出力要素又は介在型変速段により形成可能である。前記変速段は、特に、遊星歯車として構成することができ、カッターハブ8は、例えば、遊星歯車の遊星キャリヤにより形成することができる。
【0031】
カッターハブ8は、特に、掘削ホイール3に固定することができ、例えば平面として形成された端面10を備え得る回転可能に支持されたハブポット9を備えることができる。
【0032】
掘削ホイール3は、リムのように設置することができ、それとは別に、掘削ツール12の1つ以上の列が例えば切歯の形態でその外側に配置され得る円周壁11を備えることができる。前記円周壁11は、プレート又はリングとして形成され得るとともに、それとは別に、カッターハブ8の端面10に対して配置可能な端面14を有する固定用フランジ13に強固に固定されている。前記固定用フランジ13は、およそ回転軸に垂直な平面を延び得るとともに、カッターハブ8に面した平坦な端面14を備え得る。
【0033】
前記固定用フランジ13は、有利には、掘削ホイール3の残りの主要部分に取り外し可能に固定される。前記固定用フランジ13は、例えば、複数のねじ15により掘削ホイール3の本体に固定させ得る。
【0034】
図3、
図4及び
図5に示すように、対向配置可能なカッターハブ8の端面10と、掘削ホイール3の端面14とにはそれぞれ、端面歯16、17の形状が相互に適合するように形成されるとともに、2つの端面歯16及び17が、カッターハブ8の端面10と掘削ホイール3の端面14とが対向配置されると、相互に歯が係合するような配置で設けられている。端面歯16及び17は、本明細書では、掘削ホイール3とカッターハブ8とを単に軸方向に相互に押しつけることにより、回転軸と平行に相互に係合するように構成されている。2つの端面歯16及び17が相互に係合するように相互に当接した場合、
図5に示すように、掘削ホイール3が、カッターハブ8に、形状が適合し回転固定された状態で固定される。
【0035】
掘削ホイール3に、本明細書では、カッターハブ8に対して、有利には複数のねじボルト19を含み得る軸方向固定手段18により、掘削ホイール3をカッターハブ8に対して軸方向に固定し、端面歯16及び17の形状を適合させることにより係合する状態を保持することができる。
図3に示すように、複数のねじボルト19を、円周方向に分布させて配置することができ、特に、端面歯16及び17を均一に係合位置に固定するように端面歯16及び17の領域に設けることができる。
【0036】
図4に示すように、端面歯16及び17は、それぞれ、複数の歯群20、図示した実施形態で6つ、を備えることができ、それらは、円周方向に相互に間隔をおいて配置され、円周方向に一様に、場合によっては非一様に分布され得る。歯群20は、特に、共通のピッチ円上に配置され、それぞれ、歯のない面21により相互に離すことができる。
【0037】
図4に示すように、それぞれの歯群20は、それぞれ、直線状に延びる歯面を備え得る複数の歯22を備えることができ、歯群の全ての歯面は、相互に平行に配置することができ、また、歯群20は、相互に回転可能であるか又は異なる方向に整列させることができる。各歯群20の各中央の歯は、特に、回転軸に対して径方向に延び、それと平行に配置された歯が左右両側に配置され得る。
【0038】
図5に示すように、端面歯16及び17の歯22は、それぞれ、断面視で、円錐台状の輪郭とすることができ、円錐台形状の歯22の歯面は、例えば、2×20°のくさび角で延ばすことができる。
【0039】
歯22は、歯の先端の領域を平ら又は平面状に切ることができる。それとは別に、歯22又は歯元の領域の間の谷を丸くすることができる(
図5を参照)。
【国際調査報告】