(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(54)【発明の名称】アミノアシル-tRNA合成酵素およびこの使用
(51)【国際特許分類】
C12N 9/00 20060101AFI20220330BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20220330BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20220330BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220330BHJP
C07K 14/575 20060101ALN20220330BHJP
【FI】
C12N9/00 ZNA
C12N15/52 Z
C12P21/02 C
C12N15/11 Z
C07K14/575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549377
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020054343
(87)【国際公開番号】W WO2020169658
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/075525
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホンタオ・グアン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD02
4B050LL05
4B064AG01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045CA42
4H045DA30
4H045EA30
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、tRNAを2-アミノイソ酪酸(Aib)でアミノアシル化し、これにより、例えば、E.coliなどの真正細菌宿主細胞において、翻訳中にAibを成長するポリペプチド鎖に組み込むことを可能にするアミノアシル-tRNA合成酵素に関する。例えば、限定されないが、本発明は、新しいアミノアシル-tRNA合成酵素およびこの使用、ならびに1つ以上のAibを含有するポリペプチドを産生するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)であって、配列番号7の前記バリアントが、215Glyを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)。
【請求項2】
配列番号7の前記バリアントが、式Iのバリアントであり、式Iが、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Asp-Xaa-Val-Gly-Xaa-Xaa-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Xaa-Glu-Thr-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Thr-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Xaa-Pro-Thr-Xaa-Tyr-Asp-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa
であり、式中、式Iの各Xaaは独立して選択され、1つ以上のアミノ酸であるか、または存在せず、
式Iの前記バリアントが、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一である、請求項1に記載のAibRS。
【請求項3】
配列番号7の前記バリアントが、配列番号7と少なくとも41%同一である、請求項1または2に記載のAibRS。
【請求項4】
配列番号7の前記バリアントが、配列番号7と少なくとも55%同一である、請求項1~3のいずれかに記載のAibRS。
【請求項5】
配列番号7の前記バリアントが、配列番号7と少なくとも90%同一である、請求項1~4のいずれかに記載のAibRS。
【請求項6】
配列番号7の前記バリアントが、
192位がTrp、His、Val、Ile、またはLeuであり、
193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、
213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、
216位がPheまたはTrpであり、
217位がMet、Ile、またはLeuであり、
249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、
360位がAsnまたはAlaであり、
459位がGluまたはAlaであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のAibRS。
【請求項7】
配列番号7の前記バリアントが、[192His;215Gly];[192His;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Leu;360Ala.459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Leu;360Ala;459Ala]、[192Val;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Ile;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Leu;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;193Gly;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;213Ser;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Ser;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、[192His;213Cys;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、または[192His;213Ala;215Gly;249Phe;360Ala;459Ala]を含む、請求項1~6のいずれかに記載のAibRS。
【請求項8】
配列番号7の前記バリアントが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される、請求項1~7のいずれかに記載のAibRS。
【請求項9】
前記AibRSが、tRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、請求項1~8のいずれかに記載のAibRS。
【請求項10】
前記tRNAが、サプレッサーtRNAである、請求項7~9に記載のAibRS。
【請求項11】
1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドの調製のための、請求項1~10のいずれかに記載のAibRSの使用。
【請求項12】
前記結果として生じるポリペプチドが、配列番号32を含む、請求項11に記載のAibRSの使用。
【請求項13】
化合物を製造する方法であって、
i.請求項1~12のいずれかに記載のAibRSを使用して、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、
ii.前記結果として生じるポリペプチドを誘導体化するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記化合物が、Chem.2である、請求項13に記載の方法。
【化1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翻訳生化学の分野である。本発明は、非天然アミノ酸をポリペプチドに組み込むために使用され得るアミノアシル-tRNA合成酵素に関する。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、電子形式の配列表と共に提出される。配列表の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
組換え発現は、天然のまたは操作されたタンパク質およびペプチド(個々に、および集合的に「ポリペプチド」と称される)を産生するための効率的な方法である。既知の生物の大多数は、同じ20個の天然に存在するアミノ酸をコードし、その結果として、組換え発現は、さらなる開発なしでは、天然に存在するアミノ酸のみから作製されたポリペプチドに限定される。原核生物および真核生物の両方において、多様な非天然アミノ酸をポリペプチドにインビボで部位特異的に組み込むための、この制限を克服するための1つの戦略が開発されている(Wang L1,Schultz PG,A general approach for the generation of orthogonal tRNAs,Chem.Biol.,2001 Sep,8(9):883-90、Liu CC,Schultz PG,Adding new chemistries to the genetic code,Annu.Rev.Biochem.,2010,79:413-44)。これらの方法は、アミノアシル-tRNA合成酵素(RS)を利用し、これは、tRNAを所望の非天然アミノ酸でアミノアシル化し、次に、翻訳中にセレクターコドンに応答して、その所望の非天然アミノ酸を成長するポリペプチド鎖に組み込む。翻訳成分は、効率の低下を伴って、宿主生物の内因性tRNA、RS、またはアミノ酸と交差反応するように開発されてもよい。
【0004】
2-アミノイソ酪酸(Aib)は、構造式H2N-C(CH3)2-COOHを有する非タンパク質新生アミノ酸である。Aibは、ポリペプチドに組み込まれ、ポリペプチドに所望の特性を与えることができる。Aibを含む所望の特性を有するポリペプチドの一例は、セマグルチド、生物活性GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)類似体であり[Lau J.et.al,Discovery of the once-weekly glucagon-like peptide-1(GLP-1)analogue semaglutide,J.Med.Chem.,2015;58:7370-7380]、抗糖尿病薬Ozempic(登録商標)として販売されている。セマグルチドは、WO06097537に開示されている。
【0005】
Aibを遺伝的にコードする翻訳成分は報告されておらず、したがって、Aibを含有するポリペプチドは、現在、組換え発現から除外されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、アミノアシル-tRNA合成酵素に関し、これは、tRNAを2-アミノイソ酪酸(Aib)でアミノアシル化し、これにより、翻訳中にAibを成長するポリペプチド鎖に組み込むことを可能にする。言い換えれば、本発明は、翻訳的に組み込まれたAibを有するポリペプチドの調製のための手段を提供する。
【0007】
第1の態様では、本発明は、tRNAを2-アミノイソ酪酸でアミノアシル化する、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)に関する。第2の態様では、本発明は、Aibを含有するポリペプチドの調製のためのAibRSの使用に関する。第3の態様では、本発明は、Aibを含有するポリペプチドを含む化合物を調製するための方法に関し、本方法は、Aibを含有するポリペプチドの調製のためにAibRSを使用するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲に別段示されない限り、単数形で提示される用語は、複数の状況も含む。したがって、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」への言及は、実際問題として、多くのポリペプチドを含む。
【0009】
第1の態様では、本発明は、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)に関する。2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)は、配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含み、配列番号7のバリアントは、215位にGlyを有する。
【0010】
別の態様では、本発明は、Aibを含有するポリペプチドの調製のための本発明のAibRSの使用に関する。別の態様では、本発明は、配列番号32を含む結果として生じるポリペプチドの、本発明のAibRSの使用に関する。
【0011】
別の態様では、本発明は、(i)本発明のAibRSを使用して結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、(ii)結果として生じるポリペプチドを誘導体化するステップとを含む、Chem.2を調製するための方法に関する。
【0012】
2-アミノイソ酪酸(Aib)
本明細書で使用される場合、「2-アミノイソ酪酸」という用語は、化学構造、Chem 1によって表される非天然アミノ酸を指す。Aibは、「α-メチルアラニン」とも称され得る。
【化1】
【0013】
2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)
本明細書で使用される場合、「2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素」(AibRS)は、tRNAをAibでアミノアシル化することができるアミノアシル-tRNA合成酵素(RS)を指す。AibRSは、(i)天然に存在するアラニン-tRNA合成酵素(AlaRS)と同一または実質的に同様であってもよく、(ii)天然もしくは人工の変異誘発によって天然に存在するAlaRSから得られてもよく、または(iii)(i)もしくは(ii)の野生型もしくは変異AlaRS配列の配列を考慮に入れる任意のプロセス、例えば、ライブラリースクリーニングもしくは合理的設計によって得られてもよい。AibRSは、Pyrococcus horikoshiiのAlaRSまたは任意の天然に存在するAlaRSに由来してもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「翻訳」という用語は、分子生物学および遺伝学の分野から既知の遺伝子発現の翻訳操作と同一または同様である翻訳操作、または翻訳操作の一部を指す。翻訳の結果は、成長するポリペプチド鎖であり、これは「結果として生じるポリペプチド」とも称される。本発明のAibRSは、tRNAをAibでアミノアシル化し、tRNAを翻訳に利用可能なものにし得、翻訳の結果は、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドである。このように機能するtRNAは、「tRNAAib」とも称される。言い換えれば、AibRSは、翻訳プロセスに関連して使用される場合、Aibを結果として生じるポリペプチドに組み込むように構成されてもよい。Aibの機能は、任意の特定の結果として生じるポリペプチドに限定されない。翻訳系は、配列番号32を含む結果として生じるポリペプチドを調製するのに特に適している。
【0015】
AibRSによるtRNAのAibでのアミノアシル化は、他のアミノ酸、例えば、宿主細胞中に存在するAlaなどの天然アミノ酸との競合で行われてもよい。言い換えれば、本発明は、翻訳系のtRNAをAibでアミノアシル化するためにのみ機能するAibRSに限定されない。本発明のAibRSは、tRNAを任意のアミノ酸でアミノアシル化し得る。好ましくは、AibRSは、tRNAをAibでアミノアシル化する。AibRS機能の効率は、tRNAの翻訳時に結果として生じるポリペプチドを分析することによって決定され得る。効率は、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドの量と、別のアミノ酸、例えば、Alaを含有する結果として生じるポリペプチドの量との間の比率として表され得る。結果として生じるポリペプチドの定量化は、LC-MSを使用して実施され得る。
【0016】
本発明のAibRSの機能は、任意の特定の生物系に限定されない。AibRSは、インビトロ条件および/またはインビボ条件との関連で作動し得る。AibRSは、宿主細胞との関連で作動するのに適しており、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドの翻訳は、宿主細胞の翻訳機構の1つ以上の成分を利用することによって行われる。AibRSは、AibRSが利用される生物系の内因性成分、例えば、宿主細胞の成分と相互作用し得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アミノアシル化」という用語は、AibRS(または任意の他のアミノアシル-tRNA合成酵素)がtRNAとアミノ酸との間の結合を触媒する作用を指す。AibRSは、tRNAを「アミノアシル化」すると言われている。「アミノアシル化する」という用語は、「充填する」と互換的に使用される。
【0018】
一実施形態では、AibRSは、配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含み、バリアントは、215Glyを含む。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、式Iのバリアントである。一実施形態では、式Iのバリアントは、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一である。一実施形態では、式Iのバリアントは、Xaaと指定されていない配列位置で、式Iと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、配列番号7と少なくとも41%、少なくとも55%、または少なくとも90%同一である。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、配列番号7と少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも99%同一である。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、192位がTrp、His、Val、Ile、またはLeuであり、193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、216位がPheまたはTrpであり、217位がMet、Ile、またはLeuであり、249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、360位がAsnまたはAlaであり、459位がGluまたはAlaであることを特徴とする。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、[192His;215Gly];[192His;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Leu;360Ala.459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Leu;360Ala;459Ala]、[192Val;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Ile;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Leu;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;193Gly;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;213Ser;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Ser;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、[192His;213Cys;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、または[192His;213Ala;215Gly;249Phe;360Ala;459Ala]を含む。一実施形態では、配列番号7のバリアントは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される。一実施形態では、AibRSは、古細菌に由来する。一実施形態では、AibRSは、Pyrococcus horikoshiiに由来する。一実施形態では、AibRSは、tRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている。一実施形態では、AibRSは、tRNAをAibでアミノアシル化することができる。一実施形態では、AibRSは、宿主細胞においてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている。一実施形態では、AibRSは、E.coliにおいてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている。一実施形態では、tRNAをAibでアミノアシル化する機能の効率は、発現産物、すなわち、tRNAの翻訳時に結果として生じるポリペプチドを分析することによって決定される。一実施形態では、効率は、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドと、Aibを対象とした位置にAlaまたはAibを含有する結果として生じるポリペプチドの量との間の組み込み比として表される。一実施形態では、組み込み比は、LC-MSを使用して決定され、質量スペクトルに基づいて以下のように計算される:組み込み比=[ピーク強度]Aib含有ポリペプチド/([ピーク強度]Aib含有ポリペプチド+[ピーク強度]Ala含有ポリペプチド)*100%。一実施形態では、組み込み比は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%である。
【0019】
tRNAAib
本明細書で使用される場合、「tRNAAib」は、AibRSによってAibでアミノアシル化され得、かつ翻訳中にAibを結果として生じるポリペプチドに組み込む、tRNAを指す。tRNAは、(i)天然に存在するアラニン-tRNA(tRNAAla)と同一または実質的に同様であってもよく、(ii)天然もしくは人工の変異誘発によって天然に存在するtRNAAlaから得られてもよく、(iii)(1)もしくは(2)の野生型もしくは変異tRNAAla配列の配列を考慮に入れる任意のプロセス、例えば、ライブラリースクリーニングおよび/もしくは合理的設計によって得られてもよい。いくつかの実施形態では、tRNAは、Pyrococcus horikoshiiに由来し得る。tRNAAibは、サプレッサーtRNAであってもよい。
【0020】
tRNAAibは、充填状態(すなわち、アミノ酸でアミノアシル化されている)、または非充填状態(すなわち、アミノ酸でアミノアシル化されていない)で存在することができる。tRNAAibは、本発明のAibRSと同族であり、Aibでアミノアシル化される。AibRSによるtRNAのAibでのアミノアシル化は、別のアミノ酸、例えば、宿主細胞中に存在するAlaなどの天然アミノ酸との競合で行われてもよい。言い換えれば、tRNAAibは、AibRSによってAibおみでアミノアシル化されるtRNA分子に限定されず、tRNAAibは、AibRSによって別のアミノ酸でアミノアシル化されてもよい。tRNAAibは、セレクターコドンに応答して、翻訳中にアミノ酸を結果として生じるポリペプチドに挿入するように機能する。好ましくは、そのアミノ酸は、Aibである。
【0021】
本明細書で使用される場合、「に応答して」という用語は、本発明のtRNAがセレクターコドンを認識し、tRNAに結合されている非天然アミノ酸の結果として生じるポリペプチドへの組み込みを媒介するプロセスを指す。tRNAAibは、終止コドン、例えば、TAGであるセレクターコドンに応答してAibを組み込み得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「コードする」という用語は、分子または配列ストリング中の情報が、第1の分子または配列ストリングとは異なる第2の分子または配列ストリングの生成を誘導するために使用される、任意のプロセスを指す。特に、RNA分子は、ポリペプチドをコードすることができ、その場合、結果として生じるポリペプチドが得られ得る前に、翻訳プロセスが行われる必要がある。翻訳プロセスを説明するために使用される場合、「コードする」という用語はまた、アミノ酸または終止コドンをコードするトリプレットコドンにまで及んでもよい。特に、DNA分子は、結果として生じるポリペプチドをコードすることができ、その場合、結果として生じるペプチドが得られ得る前に、転写プロセスおよび翻訳プロセスの両方が行われる必要がある。本発明は、ポリヌクレオチドとの関連で作用することに限定されず、これに対して、翻訳プロセスのみが、結果として生じるポリペプチド(例えば、RNA)を生成するために必要とされることが理解されるべきである。本発明はまた、ポリヌクレオチドとの関連で作用してもよく、これに対して、転写プロセスおよび翻訳プロセスの両方が、結果として生じるポリペプチド(例えば、DNA)を生成するために必要とされる。
【0023】
一実施形態では、AibRSは、tRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている。一実施形態では、tRNAは、サプレッサーtRNAである。一実施形態では、tRNAは、Aibをコードする1つ以上のアンチコドンを含む。一実施形態では、AibをコードするtRNAのアンチコドンは、終止コドンに相補的である。一実施形態では、セレクターコドンは、ナンセンスコドン、例えば、終止コドン、4塩基コドン、希少コドン、ならびに天然、非天然塩基対および/または類似のものに由来するコドンである。一実施形態では、終止コドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、および/またはオパールコドンである。一実施形態では、Aibをコードするアンチコドンは、CTAである。一実施形態では、tRNAは、配列番号3またはこのバリアントによってコードされる。一実施形態では、tRNAをコードする配列番号3のバリアントは、G3A変異を含有する。一実施形態では、tRNAをコードする配列番号3のバリアントは、配列番号3と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である。一実施形態では、tRNAをコードする配列番号3のバリアントは、配列番号4である。一実施形態では、tRNAは、配列番号4によってコードされる。一実施形態では、tRNAは、古細菌に由来する。一実施形態では、tRNAは、Pyrococcus horikoshiiに由来する。
【0024】
アミノ酸
本明細書で使用される場合、「天然アミノ酸」という用語は、ヒトにおける標準遺伝子コードによってコードされる20個の標準アミノ酸を指す。天然アミノ酸はまた、「タンパク質新生アミノ酸」とも称され得る。「非天然アミノ酸」という用語は、自然界に存在し得る(ただし、ヒトにおける標準遺伝子コードによってコードされる20個の標準アミノ酸に該当しない)か、または純粋に合成のアミノ酸、例えば、修飾アミノ酸およびアミノ酸類似体であり得るアミノ酸を指す。非天然アミノ酸はまた、「非タンパク質新生アミノ酸」または「非コードアミノ酸」とも称され得る。非天然アミノ酸の非限定的な例は、Aibおよび天然アミノ酸のD異性体である。「アミノ酸」という用語が、天然または非天然であるかどうかを示すことなく本明細書で使用される場合、それは、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方を含むかのように解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「任意のアミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方を含むかのように解釈されるべきである。
【0025】
サプレッサーtRNAおよびセレクターコドン
本明細書で使用される場合、「サプレッサーtRNA」という用語は、所与の翻訳系におけるmRNAの読み取りを変化させ、そうでなければ翻訳の終了または誤翻訳(例えば、フレームシフト)をもたらすコドン(例えば、終止コドンであるセレクターコドン)の翻訳リードスルーを可能にする、tRNAを指す。典型的には、サプレッサーtRNAは、ポリペプチドの翻訳中に終止コドンに応答してアミノ酸の組み込みを可能にする(「リードスルー」と称されるプロセス)。
【0026】
本明細書で使用される場合、「セレクターコドン」という用語は、tRNA(例えば、サプレッサーtRNA)がアミノ酸を結果として生じるポリペプチドに組み込むことに応答するコドンを指す。tRNAは、セレクターコドンに対する「アンチコドン」であると言われている。セレクターコドンは、ナンセンスコドン、例えば、終止コドン、4塩基コドン、希少コドン、ならびに天然、非天然塩基対および/または類似のものに由来するコドンであり得る。終止コドンの非限定的な例は、アンバーコドン、オーカーコドン、およびオパールコドンである。
【0027】
変異および変異体
アミノ酸配列またはポリペプチドとの関連で本明細書において使用される場合、「変異」という用語は、(i)別のアミノ酸によって置換されている、(ii)欠失している、または(iii)付加されているアミノ酸を指す。アミノ酸配列との関連における変異は、「アミノ酸変化」と称され得る。アミノ酸配列(またはポリペプチド)の特定の位置における特定のアミノ酸は、問題の配列位置を参照し、続いて、その位置に存在するアミノ酸の3文字コードを参照することによって説明され得る。アミノ酸配列またはポリペプチドとの関連におけるこの命名法の非限定的な例は、「192Hisおよび215Gly」であり、Hisが192位に存在し、Glyが215位に存在することを意味する。アミノ酸配列(またはポリペプチド)における置換は、置換されるアミノ酸の3文字コードを参照し、続いて、問題の配列位置を参照し、続いて、置換するアミノ酸を参照することによって説明され得る。この命名法の非限定的な例は、「Trp192His;Val215Gly」であり、192位のTrpがHisで置換されており、215位のValがGlyで置換されている。置換は、配列表に記載される特定の配列に関連して(典型的には野生型tRNA合成酵素に関して)提供されてもよく、置換されるアミノ酸の位置は、配列表中のその特定の配列から導き出され得るナンバリングに基づいて決定されるようなものである。配列表において、配列番号1の第1のアミノ酸残基(N末端から数えて)(Met)は、番号1に割り当てられ、配列番号1の第2のアミノ酸残基(Glu)は、番号2に割り当てられる、などである。ヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドとの関連で本明細書において使用される場合、「変異」という用語は、(i)別のヌクレオチドによって置換されている、(ii)欠失している、または(iii)付加されているヌクレオチドを指す。ヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドにおける置換は、置換されるヌクレオチドの核酸塩基の1文字コードを参照し、続いて、置換されるヌクレオチドの配列位置を参照し、続いて、置換するヌクレオチドの核酸塩基を参照することによって説明され得る。ヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドとの関連における置換命名法の非限定的な例は、「G3A」であり、グアニンは、アデニンで置き換えられている。置換は、配列表に記載される特定の配列に関連して(典型的には野生型tRNAに関して)提供されてもよく、置換されるヌクレオチドの位置は、配列表中のその特定の配列から導き出され得るナンバリングに基づいて決定されるようなものである。配列表において、配列番号2の第1のヌクレオチド残基(5’末端から数えて)(G)は、番号1に割り当てられ、配列番号2の第2のアミノ酸残基(G)は、番号2に割り当てられる、などである。
【0028】
アミノ酸配列またはポリペプチドとの関連で本明細書において使用される場合、「変異体」という用語は、それが変異体である配列と比較して、1つ以上の変異を有する配列を指す。
【0029】
バリアント
本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、それがバリアントである成分と比較して構造的な差異を有し得る成分を指すが、それは同様の機能性を維持する。例えば、AibRSおよびこのバリアントは、必ずしも同じアミノ酸配列を共有するとは限らないが、それらは両方とも、同族tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。本発明のAibRSのバリアントは、バリアントが依然としてtRNAをAibでアミノアシル化するように機能する限り、AibRSと比較して1つ以上の変異を有し得る。変異は、置換、欠失、および付加を含み得る。バリアントにおける変異はまた、「変動(variation)」とも称され得る。
【0030】
ポリヌクレオチドおよびポリペプチド
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、2つ以上のヌクレオチドの配列を指す。「ポリヌクレオチド」および「ヌクレオチド配列」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、2つ以上の天然または非天然のアミノ酸の配列を指す。したがって、「ポリペプチド」という用語は、ペプチドおよびタンパク質の両方を包含する。「ポリペプチド」および「アミノ酸配列」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用される場合、「結果として生じるポリペプチド」という用語は、典型的には本発明のAibRSを伴う翻訳プロセスの産物であるポリペプチドを指す。結果として生じるポリペプチドはまた、特に、結果として生じるポリペプチドが翻訳プロセスとの関連で記載される場合、「成長するポリペプチド鎖」とも称され得る。本発明のAibRSは、セマグルチドのアミノ酸配列である配列番号32を含む結果として生じるポリペプチドの調製に特に適している、[Lau J.et.al,Discovery of the once-weekly glucagon-like peptide-1(GLP-1)analogue semaglutide,J.Med.Chem.,2015;58:7370-7380]。
【0031】
一実施形態では、AibRSは、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドの調製に使用される。一実施形態では、AibRSは、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドの調製に使用され、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドは、GLP-1類似体である。一実施形態では、AibRSは、結果として生じるポリペプチドの調製に使用され、結果として生じるポリペプチドは、配列番号32を含む。一実施形態では、AibRSは、結果として生じるポリペプチドの調製に使用され、結果として生じるポリペプチドは、配列番号32である。
【0032】
誘導体
ポリペプチドとの関連で本明細書において使用される場合、「誘導体」という用語は、1つ以上の置換基がポリペプチドに共有結合している化学修飾ポリペプチドを意味する。本明細書で使用される場合、「誘導体化」という用語は、ポリペプチドから誘導体を得るプロセスを指す。例えば、Chem.2は、Chem.3の置換基(「側鎖」とも称され得る)を導入する誘導体化によって、配列番号32から得られ得る。
【0033】
本発明のAibRSは、(i)本発明のAibRSを使用して配列番号32を含む結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、(ii)配列番号32を含むポリペプチドを、置換基Chem.3で誘導体化するステップとを含む、セマグルチド(Chem.2)を調製する方法において特に有用である。
【化2】
【化3】
【0034】
一実施形態では、本発明は、(i)本発明のAibRSを使用して1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、(ii)結果として生じるポリペプチドを誘導体化するステップとを含む、化合物を産生する方法に関し、好ましい実施形態では、化合物は、Chem.2であり、好ましい実施形態では、結果として生じるポリペプチドは、配列番号32であり、好ましい実施形態では、結果として生じるポリペプチドは、Chem.3で誘導体化される。誘導体化は、Lau J.et.al,Discovery of the once-weekly glucagon-like peptide-1(GLP-1)analogue semaglutide,J.Med.Chem.,2015;58:7370-7380に記載されるように実施されてもよい。
【0035】
同族体
本明細書で使用される場合、「同族体」は、共に機能するか、または互いに対して特異性の何らかの側面を有する成分、例えば、tRNAAibおよびAibRS、ならびにアンチコドンおよび終止コドンを指す。成分はまた、「相補的」であるものとも称され得る。一実施形態では、AibRSは、tRNAAibと同族である。
【0036】
直交
本明細書で使用される場合、「直交」という用語は、宿主細胞に内因性であるか、または細胞の内因性成分と機能しない対応する分子と比較して、低下した効率で宿主細胞の内因性成分と機能する分子(例えば、AibRSおよび/またはtRNAAib)を指す。tRNAおよびRSとの関連で、直交とは、内因性RSと機能する内因性tRNAと比較して、直交tRNAが内因性RSと機能することができないこと、もしくはその低下した効率、または内因性tRNAと機能する内因性RSと比較して、直交RSが内因性tRNAと機能することができないこと、もしくはその低下した効率を指す。直交分子は、細胞内に機能的に正常な内因性相補的分子を欠く。例えば、細胞内の直交tRNAは、内因性RSによる内因性tRNAのアミノアシル化と比較して、低下した、またはゼロでさえある効率で、細胞の任意の内因性RSによってアミノアシル化される。別の例では、直交RSは、内因性RSによる内因性tRNAのアミノアシル化と比較して、低下した、またはゼロでさえある効率で、目的の細胞の任意の内因性tRNAをアミノアシル化する。直交性は、AibRS機能の効率として表され得る。
【0037】
本発明の翻訳成分(例えば、AibRSおよび/またはtRNAAib)は、任意の他の種由来の宿主翻訳系で使用するための任意の生物(または生物の組み合わせ)に由来してもよく、ただし、翻訳成分および宿主系は、直交的に機能することに注意する必要がある。いくつかの実施形態では、翻訳成分は、真正細菌宿主系で使用するための古細菌遺伝子(すなわち、古細菌(archaebacteria))に由来する。例えば、直交tRNAAibは、古細菌生物、例えば、古細菌(archaebacterium)、例えば、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、好塩菌(例えば、Haloferax volcaniiおよび好塩菌種NRC-I)、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Aeuropyrum pernix、Methanococcus maripaludis、Methanopyrus kandleri、Methanosarcina mazei、Pyrobaculum aerophilum、Pyrococcus abyssi、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus lokodaii、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcaniumなど、または真正細菌、例えば、E.coli、ならびにThermus thermophilusに由来し得る。いくつかの実施形態では、翻訳成分は、真核細胞源、例えば、植物、藻、原生生物、真菌、酵母、動物(例えば、哺乳動物、昆虫、節足動物など)、または類似のものに由来する。
【0038】
宿主細胞
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本発明のAibRSがその機能を果たし得る細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞、例えば、細菌および古細菌、または真核細胞、例えば、酵母、藻、糸状真菌、哺乳類細胞、植物細胞、および昆虫細胞であってもよい。微生物宿主細胞はまた、「微生物」とも称され得る。真正細菌の非限定的な例としては、E.coli、Thermus thermophilus、Bacillus subtilis、Bacillus stearothermophilus、Corynebacterium glutamicumが挙げられる。古細菌の非限定的な例としては、Methanococcus jannaschii、Methanosarcina mazei、Methanobacterium thermoautotrophicum、Methanococcus maripaludis、Methanopyrus kandleri、好塩菌(例えば、Haloferax volcaniiおよび好塩菌種NRC-I)、Archaeoglobus fulgidus、Pyrococcus furiosus、Pyrococcus horikoshii、Pyrobaculum aerophilum、Pyrococcus abyssi、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus tokodaii、Aeuropyrum pernix、Thermoplasma acidophilum、ならびにThermoplasma volcaniumが挙げられる。酵母および糸状真菌の非限定的な例としては、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Pichia pfaffi、Hansenula polymorpha、Aspergillus niger、およびTrichoderma reseiが挙げられる。哺乳類細胞の非限定的な例としては、CHO、CHO-K1、CHO-DXB11、CHO-DG44、CHO-S、HEK293、またはこれらの細胞のいずれかの誘導体が挙げられる。
【0039】
宿主細胞は、典型的には、本発明のAibRSをコードするポリヌクレオチドを用いて、例えば、1つ以上のベクターを使用して、遺伝子操作される(例えば、形質転換、形質導入、またはトランスフェクトされる)。本発明のAibRSのコード領域、および翻訳されるポリペプチドは、所望の宿主細胞において機能的である遺伝子発現制御エレメントに作動可能に結合されてもよい。ベクターは、転写および翻訳ターミネーター、転写および翻訳開始配列、ならびに特定の標的核酸の発現の調節に有用なプロモーターを含有してもよい。ベクターは、少なくとも1つの独立したターミネーター配列を含有する一般的発現カセット、真核生物もしくは原核生物または両方におけるカセットの複製を可能にする配列(例えば、シャトルベクター)、ならびに原核細胞系および真核細胞系の両方の選択マーカーを含んでもよい。ベクターの非限定的な例は、プラスミド、細菌、ウイルス、裸のポリヌクレオチド、またはコンジュゲートポリヌクレオチドである。一実施形態では、宿主細胞は、E.coliである。
【0040】
コンセンサス配列
本明細書で使用される場合、「コンセンサス配列」という用語は、配列アライメントの各位置に見られる最も頻度の高いアミノ酸残基の計算された順序を指す。これは、関連する配列(例えば、古細菌AlaRS配列)が互いに比較され、同様の配列モチーフが計算される、複数の配列アライメントの結果を表す。したがって、コンセンサス配列は、生物活性ポリペプチドの機能性(例えば、フォールディングおよび/またはアミノ酸結合に関与することによる)に不可欠な推定アミノ酸位置のモデルである。概して、これらの位置のアミノ酸がしばしばループ内で溶媒曝露されるため、推定活性部位として同定されないアミノ酸配列位置に対して高い自由度があり、したがって、生物活性ポリペプチドによって果たされる機能を維持しながら、これらの位置において高度な変動が導入され得る。一実施形態では、Aibは、コンセンサス配列のバリアントとして定義される。一実施形態では、Aibは、式Iのバリアントとして定義される。一実施形態では、Aibは、式IIのバリアントとして定義される。一実施形態では、Aibは、式IIIのバリアントとして定義される。
【0041】
配列同一性
配列同一性は、2つの(ヌクレオチドまたはアミノ酸)配列が、アライメント中の同じ位置で同じ残基を有する程度である。配列同一性は、便利にパーセンテージで表され、すなわち、2つの配列間の100個のアラインされた位置のうち85個のアミノ酸が同一である場合、同一性の程度は85%である。2つの配列のうちの1つがコンセンサス配列である場合、コンセンサス配列の保存された位置のみが計算のために考慮される。すなわち、100個のアラインおよび保存された位置のうち85個のアミノ酸が同一である場合、配列が100個のアミノ酸よりも長い場合があるにもかかわらず、同一性の程度は85%である。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、単純な手書きおよび目測、ならびに/またはNeedleman-Wunschアルゴリズムに基づく「アライン」などの標準的なタンパク質もしくはペプチドアライメントプログラムを使用することによって決定される。このアルゴリズムは、Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.,(1970),Journal of Molecular Biology,48:443-453、およびMyers and W.Miller in”Optimal Alignments in Linear Space”CABIOS(computer applications in the biosciences)(1988)4:11-17によるアラインプログラムに記載されている。アライメントのために、デフォルトのスコアマトリックスBLOSUM62およびデフォルトの同一性マトリックスが使用されてもよく、ギャップにおける第1の残基に対するペナルティは-12、または好ましくは-10に設定されてもよく、ギャップにおける追加の残基に対するペナルティは-2、または好ましくは-0.5に設定されてもよい。
【0042】
特定の実施形態
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、したがって限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
1.配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)であって、バリアントが、215Glyを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)。
2.配列番号7のバリアントが、式Iのバリアントであり、式Iが、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Asp-Xaa-Val-Gly-Xaa-Xaa-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Xaa-Glu-Thr-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Thr-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Xaa-Pro-Thr-Xaa-Tyr-Asp-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa
であり、式中、式Iの各Xaaは独立して選択され、1つ以上のアミノ酸であるか、または存在せず、
式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一である、実施形態1に記載のAibRS。
3.配列番号7のバリアントが、式Iのバリアントであり、式Iが、以下の式:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Asp-Xaa-Val-Gly-Xaa-Xaa-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Xaa-Glu-Thr-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Thr-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Xaa-Pro-Thr-Xaa-Tyr-Asp-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa
のコンセンサス配列に対応し、式中、式Iの各Xaaは独立して選択され、1つ以上のアミノ酸であるか、または存在せず、
式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一である、実施形態1または2に記載のAibRS。
4.式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない配列位置で、式Iと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~3のいずれかに記載のAibRS。
5.Xaaが、任意の種類の1つ以上のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~4のいずれかに記載のAibRS。
6.式IのXaaが、任意のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~5のいずれかに記載のAibRS。
7.式IのXaaが、任意のアミノ酸である、実施形態1~6のいずれかに記載のAibRS。
8.配列番号7のバリアントが、配列番号7と少なくとも41%同一である、実施形態1~7のいずれかに記載のAibRS。
9.配列番号7のバリアントが、配列番号7と少なくとも55%同一である、実施形態1~8のいずれかに記載のAibRS。
10.配列番号7のバリアントが、配列番号7と少なくとも90%同一である、実施形態1~9のいずれかに記載のAibRS。
11.配列番号7のバリアントが、配列番号7と少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも99%同一である、実施形態1~10のいずれかに記載のAibRS。
12.配列番号7のバリアントが、
192位がTrp、His、Val、Ile、またはLeuであり、
193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、
213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、
216位がPheまたはTrpであり、
217位がMet、Ile、またはLeuであり、
249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、
360位がAsnまたはAlaであり、
459位がGluまたはAlaであることを特徴とする、実施形態1~11のいずれかに記載のAibRS。
13.配列番号7のバリアントが、
192位がHis、Val、Ile、またはLeuであり、
193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、
213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、
216位がPheまたはTrpであり、
217位がMet、Ile、またはLeuであり、
249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、
360位がAlaであり、
459位がAlaであることを特徴とする、実施形態1~12のいずれかに記載のAibRS。
14.配列番号7のバリアントが、[192His;215Gly];[192His;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Leu;360Ala.459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Leu;360Ala;459Ala]、[192Val;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Ile;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Leu;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;193Gly;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;213Ser;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Ser;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、[192His;213Cys;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、または[192His;213Ala;215Gly;249Phe;360Ala;459Ala]を含む、実施形態1~13のいずれかに記載のAibRS。
15.配列番号7のバリアントが、[192His;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;217Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;216Trp;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;193Ile;217Leu;360Ala.459Ala]、[192His;215Gly;193Leu;217Leu;360Ala;459Ala]、[192Val;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Ile;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192Leu;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;193Gly;215Gly;217Ile;360Ala;459Ala]、[192His;213Ser;215Gly;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Ser;360Ala;459Ala]、[192His;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、[192His;213Cys;215Gly;249Val;360Ala;459Ala]、または[192His;213Ala;215Gly;249Phe;360Ala;459Ala]を含む、実施形態1~14のいずれかに記載のAibRS。
16.配列番号7のバリアントが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される、実施形態1~15のいずれかに記載のAibRS。
17.配列番号7のバリアントが、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される、実施形態1~16のいずれかに記載のAibRS。
18.AibRSが、古細菌に由来する、実施形態1~17のいずれかに記載のAibRS。
19.AibRSが、Pyrococcus horikoshiiに由来する、実施形態1~18のいずれかに記載のAibRS。
20.AibRSが、tRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~19のいずれかに記載のAibRS。
21.AibRSが、tRNAをAibでアミノアシル化することができる、実施形態1~20のいずれかに記載のAibRS。
22.tRNAが、サプレッサーtRNAである、実施形態1~21に記載のAibRS。
23.tRNAが、Aibをコードする1つ以上のアンチコドンを含む、実施形態1~22のいずれかに記載のAibRS。
24.AibをコードするtRNAのアンチコドンが、終止コドンに相補的である、実施形態1~23のいずれかに記載のAibRS。
25.Aibをコードするアンチコドンが、CTAである、実施形態1~24のいずれかに記載のAibRS。
26.tRNAが、配列番号3またはこのバリアントによってコードされる、実施形態1~25のいずれかに記載のAibRS。
27.tRNAをコードする配列番号3のバリアントが、G3A変異を含有する、実施形態1~26のいずれかに記載のAibRS。
28.tRNAをコードする配列番号3のバリアントが、配列番号3と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~27のいずれかに記載のAibRS。
29.tRNAをコードする配列番号3のバリアントが、配列番号4である、実施形態1~28のいずれかに記載のAibRS。
30.tRNAが、配列番号4によってコードされる、実施形態1~29のいずれかに記載のAibRS。
31.tRNAが、古細菌に由来する、実施形態1~30のいずれかに記載のAibRS。
32.tRNAが、Pyrococcus horikoshiiに由来する、実施形態1~31のいずれかに記載のAibRS。
33.AibRSが、宿主細胞においてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~32のいずれかに記載のAibRS。
34.AibRSが、E.coliにおいてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~33のいずれかに記載のAibRS。
35.機能の効率が、発現産物、すなわち、tRNAの翻訳時に結果として生じるポリペプチドを分析することによって決定される、実施形態1~34のいずれかに記載のAibRS。
36.効率が、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドと、Aibを対象とした位置にAlaまたはAibを含有する結果として生じるポリペプチドの量との間の組み込み比として表される、実施形態1~35のいずれかに記載のAibRS。
37.組み込み比が、LC-MSを使用して決定され、質量スペクトルに基づいて以下のように計算される、実施形態1~36のいずれかに記載のAibRS。組み込み比=[ピーク強度]
Aib含有ポリペプチド/([ピーク強度]
Aib含有ポリペプチド+[ピーク強度]
Ala含有ポリペプチド)*100%。
38.組み込み比が、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%である、実施形態1~37のいずれかに記載のAibRS。
39.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドの調製のための、実施形態1~38のいずれかに記載のAibRSの使用。
40.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドが、GLP-1類似体である、実施形態1~39のいずれかに記載のAibRSの使用。
41.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドが、配列番号32を含む、実施形態1~40のいずれかに記載のAibRSの使用。
42.化合物を産生する方法であって、
i.実施形態1~41のいずれかに記載のAibRSを使用して、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、
ii.結果として生じるポリペプチドを誘導体化するステップと、を含む、方法。
43.化合物が、Chem 2である、実施形態1~42のいずれかに記載の方法。
【化4】
【0043】
さらなる特定の実施形態
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、したがって限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
1.配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)であって、バリアントが、215Glyを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)。
2.配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号7と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
3.配列番号10のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号10と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
4.配列番号11のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号11と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
5.配列番号12のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号12と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
6.配列番号13のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号13と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
7.配列番号14のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号14と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
8.配列番号15のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号15と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
9.配列番号16のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号16と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
10.配列番号17のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号17と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
11.配列番号18のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号18と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
12.配列番号19のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号19と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
13.配列番号20のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号20と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
14.配列番号21のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号21と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
15.配列番号22のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号22と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
16.配列番号23のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号23と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
17.配列番号24のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号24と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
18.配列番号25のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号25と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
19.配列番号26のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号26と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
20.配列番号27のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号27と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
21.配列番号28のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号28と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
22.配列番号29のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号29と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
23.配列番号30のアミノ酸配列またはこのバリアントを含むAibRSであって、バリアントが、配列番号30と少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、AibRS。
24.バリアントは、215Glyを含む、実施形態4~23のいずれかに記載のAibRS。
25.バリアントが、式Iまたはこのバリアント:
式I:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Asp-Xaa-Val-Gly-Xaa-Xaa-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Xaa-Glu-Thr-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Thr-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Xaa-Pro-Thr-Xaa-Tyr-Asp-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa、
のものであり、式中、Xaaは、任意の種類の1つ以上のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~24のいずれかに記載のAibRS。
26.式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない配列位置で、式Iと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~25のいずれかに記載のAibRS。
27.式IのXaaが、任意のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~26のいずれかに記載のAibRS。
28.式IのXaaが、任意のアミノ酸である、実施形態1~27のいずれかに記載のAibRS。
29.バリアントが、式IIまたはこのバリアント:
式II:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Arg-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Asp-Pro-Asp-Arg-Glu-Thr-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Asp-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Glu-Xaa-Phe-Leu-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Ser-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Ser-Ile-Arg-Xaa-Thr-Asp-Xaa-Asp-Asn-Val-Gly-Xaa-Thr-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Asp-Glu-Thr-Val-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ile-Thr-Phe-Lys-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Pro-Xaa-Xaa-Glu-Val-Leu-Xaa-Arg-Gly-Leu-Glu-Val-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Gln-Tyr-Lys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Met-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Val-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Thr-Pro-Thr-Ala-Tyr-Asp-Ala-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Glu-Asn-Ser-Xaa-Leu-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Ile-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Asp-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Ile-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Val-Lys-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Leu-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Leu-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Glu-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Thr-Leu-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Leu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Lys-Lys-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Pro-Leu-Glu-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Val-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Leu-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa、
のものであり、式中、Xaaは、任意の種類の1つ以上のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~28のいずれかに記載のAibRS。
30.式IIのバリアントが、Xaaと指定されていない配列位置で、式IIと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~29のいずれかに記載のAibRS。
31.式IIのXaaが、任意のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~30のいずれかに記載のAibRS。
32.式IIのXaaが、任意のアミノ酸である、実施形態1~31のいずれかに記載のAibRS。
33.バリアントが、式IIIまたはこのバリアント:
式III:
Met-Xaa-Met-Asp-Met-Xaa-Thr-Arg-Met-Phe-Lys-Glu-Glu-Gly-Trp-Ile-Arg-Lys-Xaa-Cys-Lys-Xaa-Cys-Gly-Lys-Xaa-Phe-Trp-Thr-Leu-Asp-Pro-Asp-Arg-Glu-Thr-Cys-Gly-Asp-Pro-Pro-Cys-Asp-Glu-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Lys-Pro-Gly-Ile-Pro-Lys-Lys-Tyr-Thr-Leu-Xaa-Glu-Met-Arg-Glu-Lys-Phe-Leu-Ser-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Gly-His-Gly-Arg-Val-Lys-Arg-Tyr-Pro-Val-Leu-Pro-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Leu-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Met-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Ile-Ser-Gly-Glu-Ala-Asp-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Thr-Ile-Ser-Gln-Pro-Ser-Ile-Arg-Phe-Thr-Asp-Ile-Asp-Asn-Val-Gly-Ile-Thr-Gly-Arg-His-Phe-Thr-Ile-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Tyr-Pro-Gly-Lys-Pro-Ile-Tyr-Trp-Met-Asp-Glu-Thr-Val-Glu-Leu-Ala-Phe-Glu-Phe-Phe-Thr-Lys-Xaa-Leu-Gly-Met-Lys-Pro-Glu-Asp-Ile-Thr-Phe-Lys-Glu-Asn-Pro-Trp-Ala-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Pro-Ala-Phe-Glu-Val-Leu-Tyr-Arg-Gly-Leu-Glu-Val-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Gln-Tyr-Lys-Xaa-Ala-Pro-Xaa-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Gln-Val-Val-Xaa-Ile-Lys-Gly-Asp-Xaa-Tyr-Val-Pro-Met-Xaa-Thr-Xaa-Val-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Leu-Val-Trp-Met-Ser-Gln-Gly-Thr-Pro-Thr-Ala-Tyr-Asp-Ala-Val-Leu-Gly-Tyr-Val-Val-Glu-Pro-Leu-Lys-Xaa-Met-Ala-Gly-Xaa-Glu-Lys-Ile-Asp-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Met-Glu-Asn-Ser-Arg-Leu-Ala-Gly-Met-Phe-Asp-Ile-Glu-Asp-Met-Gly-Asp-Leu-Arg-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Arg-Val-Gly-Ile-Ser-Val-Glu-Glu-Leu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Pro-Tyr-Glu-Leu-Ile-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Lys-Ala-Leu-Thr-Phe-Met-Leu-Ala-Asp-Gly-Val-Ile-Pro-Ser-Asn-Val-Lys-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Leu-Ile-Arg-Lys-Ser-Ile-Arg-His-Leu-Arg-Glu-Leu-Gly-Leu-Glu-Xaa-Pro-Leu-Ser-Glu-Ile-Val-Ala-Met-His-Ile-Lys-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Thr-Phe-Pro-Glu-Phe-Lys-Glu-Met-Glu-Asp-Val-Ile-Leu-Asp-Ile-Xaa-Xaa-Val-Glu-Glu-Lys-Arg-Tyr-Xaa-Glu-Thr-Leu-Xaa-Arg-Gly-Ser-Xaa-Leu-Val-Xaa-Arg-Glu-Ile-Xaa-Lys-Leu-Lys-Lys-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Pro-Leu-Glu-Lys-Leu-Ile-Leu-Phe-Tyr-Glu-Ser-His-Gly-Leu-Thr-Pro-Glu-Ile-Val-Xaa-Glu-Ile-Ala-Glu-Lys-Glu-Gly-Xaa-Lys-Val-Xaa-Ile-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Ser-Leu-Val-Ala-Lys-Xaa-Ala-Glu-Xaa-Xaa、
のものであり、式中、Xaaは、任意の種類の1つ以上のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~32のいずれかに記載のAibRS。
34.式IIIのバリアントが、Xaaと指定されていない配列位置で、式IIIと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~33のいずれかに記載のAibRS。
35.式IIIのXaaが、任意のアミノ酸であるか、または存在しない、実施形態1~34のいずれかに記載のAibRS。
36.式IIIのXaaが、任意のアミノ酸である、実施形態1~35のいずれかに記載のAibRS。
37.バリアントが、10Phe、12Glu、14Gly、18Lys、20Cys、23Cys、24Gly、27Phe、28Trp、29Thr、34Arg、37Cys、38Gly、39Asp、41Pro、42Cys、45Tyr、47Phe、48Ile、49Gly、51Pro、59Leu、61Glu、63Arg、66Phe、69Phe、70Phe、71Glu、75His、80Arg、81Tyr、82Pro、83Val、86Arg、87Trp、88Arg、89Asp、90Asp、91Val、93Leu、94Val、95Gly、96Ala、97Ser、98Ile、100Asp、101Phe、102Gln、103Pro、104Trp、105Val、108Gly、112Pro、113Pro、114Ala、115Asn、116Pro、117Leu、119Ile、120Ser、121Gln、122Pro、124Ile、125Arg、128Asp、130Asp、132Val、133Gly、136Gly、137Arg、138His、140Thr、142Phe、143Glu、144Met、145Met、146Ala、147His、148His、149Ala、150Phe、151Asn、158Tyr、159Trp、162Glu、163Thr、164Val、170Phe、182Ile、183Thr、184Phe、186Glu、189Trp、191Gly、192Gly、193Gly、194Asn、195Ala、196Gly、200Glu、201Val、205Gly、207Glu、209Ala、210Thr、211Leu、212Val、213Phe、214Met、216Tyr、238Pro、244Val、245Asp、246Thr、247Gly、248Tyr、249Gly、250Leu、251Glu、252Arg、255Trp、257Ser、259Gly、261Pro、262Thr、264Tyr、265Asp、266Ala、275Leu、279Ala、280Gly、289Ile、290Leu、297Ala、298Gly、301Asp、308Leu、311Leu、312Arg、315Val、316Ala、325Glu、326Leu、332Pro、334Glu、337Tyr、338Ala、339Ile、340Ala、341Asp、342His、343Thr、346Leu、348Phe、349Met、350Leu、352Asp、353Gly、354Val、356Pro、357Ser、358Asn、361Ala、362Gly、363Tyr、364Leu、365Ala、366Arg、367Leu、369Ile、370Arg、374Arg、379Leu、380Gly、384Pro、385Leu、388Ile、401Pro、402Glu、405Glu、417Glu、418Glu、424Thr、427Arg、428Gly、440Lys、443Gly、448Pro、452Leu、456Tyr、458Ser、459His、460Gly、463Pro、464Glu、468Glu、470Ala、477Val、480Pro、481Asp、482Asn、483Phe、484Tyr、487Val、および488Alaからなるリストから選択される少なくとも197個のアミノ酸を含む、実施形態1~36のいずれかに記載のAibRS。
38.バリアントが、10Phe、12Glu、14Gly、17Arg、18Lys、20Cys、23Cys、24Gly、27Phe、28Trp、29Thr、31Asp、32Pro、33Asp、34Arg、35Glu、36Thr、37Cys、38Gly、39Asp、41Pro、42Cys、43Asp、45Tyr、47Phe、48Ile、49Gly、51Pro、57Tyr、59Leu、61Glu、63Arg、64Glu、66Phe、67Leu、69Phe、70Phe、71Glu、75His、77Arg、80Arg、81Tyr、82Pro、83Val、86Arg、87Trp、88Arg、89Asp、90Asp、91Val、93Leu、94Val、95Gly、96Ala、97Ser、98Ile、100Asp、101Phe、102Gln、103Pro、104Trp、105Val、107Ser、108Gly、112Pro、113Pro、114Ala、115Asn、116Pro、117Leu、119Ile、120Ser、121Gln、122Pro、123Ser、124Ile、125Arg、127Thr、128Asp、130Asp、131Asn、132Val、133Gly、135Thr、136Gly、137Arg、138His、140Thr、142Phe、143Glu、144Met、145Met、146Ala、147His、148His、149Ala、150Phe、151Asn、153Pro、158Tyr、159Trp、161Asp、162Glu、163Thr、164Val、165Glu、170Phe、172Thr、175Leu、180Glu、182Ile、183Thr、184Phe、185Lys、186Glu、189Trp、191Gly、192Gly、193Gly、194Asn、195Ala、196Gly、197Pro、200Glu、201Val、202Leu、204Arg、205Gly、206Leu、207Glu、208Val、209Ala、210Thr、211Leu、212Val、213Phe、214Met、215Gln、216Tyr、217Lys、233Gly、238Pro、239Met、244Val、245Asp、246Thr、247Gly、248Tyr、249Gly、250Leu、251Glu、252Arg、254Val、255Trp、257Ser、259Gly、260Thr、261Pro、262Thr、263Ala、264Tyr、265Asp、266Ala、267Val、271Val、275Leu、279Ala、280Gly、289Ile、290Leu、292Glu、293Asn、294Ser、296Leu、297Ala、298Gly、301Asp、302Ile、303Glu、307Asp、308Leu、311Leu、312Arg、315Val、316Ala、320Gly、321Ile、325Glu、326Leu、332Pro、334Glu、336Ile、337Tyr、338Ala、339Ile、340Ala、341Asp、342His、343Thr、346Leu、348Phe、349Met、350Leu、352Asp、353Gly、354Val、356Pro、357Ser、358Asn、359Val、360Lys、361Ala、362Gly、363Tyr、364Leu、365Ala、366Arg、367Leu、368Leu、369Ile、370Arg、374Arg、379Leu、380Gly、381Leu、384Pro、385Leu、387Glu、388Ile、396Leu、401Pro、402Glu、405Glu、410Ile、417Glu、418Glu、421Tyr、424Thr、425Leu、427Arg、428Gly、431Leu、432Val、439Leu、440Lys、441Lys、443Gly、446Glu、448Pro、449Leu、450Glu、452Leu、456Tyr、458Ser、459His、460Gly、463Pro、464Glu、466Val、468Glu、470Ala、474Gly、477Val、480Pro、481Asp、482Asn、483Phe、484Tyr、486Leu、487Val、488Ala、および492Gluからなるリストから選択される少なくとも264個のアミノ酸を含む、実施形態1~37のいずれかに記載のAibRS。
39.バリアントが、1Met、3Met、4Asp、5Met、7Thr、8Arg、9Met、10Phe、11Lys、12Glu、13Glu、14Gly、15Trp、16Ile、17Arg、18Lys、20Cys、21Lys、23Cys、24Gly、25Lys、27Phe、28Trp、29Thr、30Leu、31Asp、32Pro、33Asp、34Arg、35Glu、36Thr、37Cys、38Gly、39Asp、40Pro、41Pro、42Cys、43Asp、44Glu、45Tyr、47Phe、48Ile、49Gly、50Lys、51Pro、52Gly、53Ile、54Pro、55Lys、56Lys、57Tyr、58Thr、59Leu、61Glu、62Met、63Arg、64Glu、65Lys、66Phe、67Leu、68Ser、69Phe、70Phe、71Glu、74Gly、75His、76Gly、77Arg、78Val、79Lys、80Arg、81Tyr、82Pro、83Val、84Leu、85Pro、86Arg、87Trp、88Arg、89Asp、90Asp、91Val、92Leu、93Leu、94Val、95Gly、96Ala、97Ser、98Ile、99Met、100Asp、101Phe、102Gln、103Pro、104Trp、105Val、106Ile、107Ser、108Gly、109Glu、110Ala、111Asp、112Pro、113Pro、114Ala、115Asn、116Pro、117Leu、118Thr、119Ile、120Ser、121Gln、122Pro、123Ser、124Ile、125Arg、126Phe、127Thr、128Asp、129Ile、130Asp、131Asn、132Val、133Gly、134Ile、135Thr、136Gly、137Arg、138His、139Phe、140Thr、141Ile、142Phe、143Glu、144Met、145Met、146Ala、147His、148His、149Ala、150Phe、151Asn、152Tyr、153Pro、154Gly、155Lys、156Pro、157Ile、158Tyr、159Trp、160Met、161Asp、162Glu、163Thr、164Val、165Glu、166Leu、167Ala、168Phe、169Glu、170Phe、171Phe、172Thr、173Lys、175Leu、176Gly、177Met、178Lys、179Pro、180Glu、181Asp、182Ile、183Thr、184Phe、185Lys、186Glu、187Asn、188Pro、189Trp、190Ala、191Gly、192Gly、193Gly、194Asn、195Ala、196Gly、197Pro、198Ala、199Phe、200Glu、201Val、202Leu、203Tyr、204Arg、205Gly、206Leu、207Glu、208Val、209Ala、210Thr、211Leu、212Val、213Phe、214Met、215Gln、216Tyr、217Lys、219Ala、220Pro、223Ala、227Gln、228Val、229Val、231Ile、232Lys、233Gly、234Asp、236Tyr、237Val、238Pro、239Met、241Thr、243Val、244Val、245Asp、246Thr、247Gly、248Tyr、249Gly、250Leu、251Glu、252Arg、253Leu、254Val、255Trp、256Met、257Ser、258Gln、259Gly、260Thr、261Pro、262Thr、263Ala、264Tyr、265Asp、266Ala、267Val、268Leu、269Gly、270Tyr、271Val、272Val、273Glu、274Pro、275Leu、276Lys、278Met、279Ala、280Gly、282Glu、283Lys、284Ile、285Asp、288Ile、289Leu、290Met、291Glu、292Asn、293Ser、294Arg、295Leu、296Ala、297Gly、298Met、299Phe、300Asp、301Ile、302Glu、303Asp、304Met、305Gly、306Asp、307Leu、308Arg、310Leu、311Arg、314Val、315Ala、317Arg、318Val、319Gly、320Ile、321Ser、322Val、323Glu、324Glu、325Leu、326Glu、330Arg、331Pro、332Tyr、333Glu、334Leu、335Ile、336Tyr、337Ala、338Ile、339Ala、340Asp、341His、342Thr、343Lys、344Ala、345Leu、346Thr、347Phe、348Met、349Leu、350Ala、351Asp、352Gly、353Val、354Ile、355Pro、356Ser、357Asn、358Val、359Lys、360Ala、361Gly、362Tyr、363Leu、364Ala、365Arg、366Leu、367Leu、368Ile、369Arg、370Lys、371Ser、372Ile、373Arg、374His、375Leu、376Arg、377Glu、378Leu、379Gly、380Leu、381Glu、383Pro、384Leu、385Ser、386Glu、387Ile、388Val、389Ala、390Met、391His、392Ile、393Lys、394Glu、395Leu、398Thr、399Phe、400Pro、401Glu、402Phe、403Lys、404Glu、405Met、406Glu、407Asp、408Val、409Ile、410Leu、411Asp、412Ile、415Val、416Glu、417Glu、418Lys、419Arg、420Tyr、422Glu、423Thr、424Leu、426Arg、427Gly、428Ser、430Leu、431Val、433Arg、434Glu、435Ile、437Lys、438Leu、439Lys、440Lys、442Gly、445Glu、447Pro、448Leu、449Glu、450Lys、451Leu、452Ile、453Leu、454Phe、455Tyr、456Glu、457Ser、458His、459Gly、460Leu、461Thr、462Pro、463Glu、464Ile、465Val、467Glu、468Ile、469Ala、470Glu、471Lys、472Glu、473Gly、475Lys、476Val、478Ile、479Pro、480Asp、481Asn、482Phe、483Tyr、484Ser、485Leu、486Val、487Ala、488Lys、490Ala、および491Gluからなるリストから選択される少なくとも434個のアミノ酸を含む、実施形態1~38のいずれかに記載のAibRS。
40.バリアントが、
192位がTrp、His、Val、Ile、またはLeuであり、
193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、
213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、
216位がPheまたはTrpであり、
217位がMet、Ile、またはLeuであり、
249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、
360位がAsnまたはAlaであり、
459位がGluまたはAlaであることをさらに特徴とする、実施形態1~39のいずれかに記載のAibRS。
41.バリアントが、
192位がHis、Val、Ile、またはLeuであり、
193位がAla、Leu、Ile、またはGlyであり、
213位がThr、Ser、Cys、またはAlaであり、
216位がPheまたはTrpであり、
217位がMet、Ile、またはLeuであり、
249位がThr、Ser、Val、またはPheであり、
360位がAlaであり、
459位がAlaであることをさらに特徴とする、実施形態1~40のいずれかに記載のAibRS。
42.バリアントが、192Trp、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Ala、193Leu、193Ile、193Gly、213Thr、213Ser、213Cys、213Ala、216Phe、216Trp、217Met、217Ile、217Leu、249Thr、249Ser、249Val、249Phe、360Asn、360Ala、459Glu、および459Alaからなるリストから選択される1つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~41のいずれかに記載のAibRS。
43.バリアントが、192Trp、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Ala、193Leu、193Ile、193Gly、213Thr、213Ser、213Cys、213Ala、216Phe、216Trp、217Met、217Ile、217Leu、249Thr、249Ser、249Val、249Phe、360Asn、360Ala、459Glu、および459Alaからなるリストから選択される2つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~42のいずれかに記載のAibRS。
44.バリアントが、192Trp、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Ala、193Leu、193Ile、193Gly、213Thr、213Ser、213Cys、213Ala、216Phe、216Trp、217Met、217Ile、217Leu、249Thr、249Ser、249Val、249Phe、360Asn、360Ala、459Glu、および459Alaからなるリストから選択される3つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~43のいずれかに記載のAibRS。
45.バリアントが、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Leu、193Ile、193Gly、213Ser、213Cys、213Ala、216Trp、217Ile、217Leu、249Ser、249Val、249Phe、360Ala、および459Alaからなるリストから選択される1つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~44のいずれかに記載のAibRS。
46.バリアントが、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Leu、193Ile、193Gly、213Ser、213Cys、213Ala、216Trp、217Ile、217Leu、249Ser、249Val、249Phe、360Ala、および459Alaからなるリストから選択される2つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~45のいずれかに記載のAibRS。
47.バリアントが、192His、192Val、192Ile、192Leu、193Leu、193Ile、193Gly、213Ser、213Cys、213Ala、216Trp、217Ile、217Leu、249Ser、249Val、249Phe、360Ala、および459Alaからなるリストから選択される3つ以上のアミノ酸をさらに含む、実施形態1~46のいずれかに記載のAibRS。
48.バリアントが、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される、実施形態1~47のいずれかに記載のAibRS。
49.バリアントが、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、および配列番号30からなるリストから選択される、実施形態1~48のいずれかに記載のAibRS。
50.AibRSが、古細菌に由来する、実施形態1~49のいずれかに記載のAibRS。
51.AibRSが、Pyrococcus horikoshiiに由来する、実施形態1~50のいずれかに記載のAibRS。
52.AibRSが、tRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~51のいずれかに記載のAibRS。
53.tRNAが、サプレッサーtRNAである、実施形態1~52に記載のAibRS。
54.tRNAが、Aibをコードする1つ以上のアンチコドンを含む、実施形態1~53のいずれかに記載のAibRS。
55.AibをコードするtRNAのアンチコドンが、終止コドンに相補的である、実施形態1~54のいずれかに記載のAibRS。
56.Aibをコードするアンチコドンが、CTAである、実施形態1~55のいずれかに記載のAibRS。
57.tRNAが、配列番号3またはこのバリアントによってコードされる、実施形態1~56のいずれかに記載のAibRS。
58.tRNAをコードするバリアントが、G3A変異を含有する、実施形態1~57のいずれかに記載のAibRS。
59.tRNAをコードするバリアントが、配列番号3と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも100%同一である、実施形態1~58のいずれかに記載のAibRS。
60.tRNAをコードするバリアントが、配列番号4である、実施形態1~59のいずれかに記載のAibRS。
61.tRNAが、配列番号4によってコードされる、実施形態1~60のいずれかに記載のAibRS。
62.tRNAが、古細菌に由来する、実施形態1~61のいずれかに記載のAibRS。
63.tRNAが、Pyrococcus horikoshiiに由来する、実施形態1~62のいずれかに記載のAibRS。
64.AibRSが、宿主細胞においてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~63のいずれかに記載のAibRS。
65.AibRSが、E.coliにおいてtRNAをAibでアミノアシル化する機能を果たすように構成されている、実施形態1~64のいずれかに記載のAibRS。
66.機能の効率が、発現産物、すなわち、tRNAの翻訳時に結果として生じるポリペプチドを分析することによって決定される、実施形態1~65のいずれかに記載のAibRS。
67.効率が、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドと、Aibを対象とした位置にAlaまたはAibを含有する結果として生じるポリペプチドの量との間の組み込み比として表される、実施形態1~66のいずれかに記載のAibRS。
68.組み込み比が、LC-MSを使用して決定され、質量スペクトルに基づいて以下のように計算される、実施形態1~67のいずれかに記載のAibRS。組み込み比=[ピーク強度]
Aib含有ポリペプチド/([ピーク強度]
Aib含有ポリペプチド+[ピーク強度]
Ala含有ポリペプチド)*100%。
69.組み込み比が、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%である、実施形態1~68のいずれかに記載のAibRS。
70.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドの調製のための、実施形態1~69のいずれかに記載のAibRSの使用。
71.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドが、GLP-1類似体である、実施形態1~70のいずれかに記載のAibRSの使用。
72.1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドが、配列番号32を含む、実施形態1~71のいずれかに記載のAibRSの使用。
73.化合物を産生する方法であって、
a.実施形態1~72のいずれかに記載のAibRSを使用して、1つ以上のAib残基を含有する結果として生じるポリペプチドを調製するステップと、
b.結果として生じるポリペプチドを誘導体化するステップと、を含む、方法。
74.結果として生じるポリペプチドが、配列番号32を含む、実施形態1~73のいずれかに記載の方法。
75.化合物が、Chem.2である、実施形態1~74のいずれかに記載の方法。
【化5】
76.結果として生じるポリペプチドが、配列番号32を含み、化合物が、Chem.2である、実施形態1~75のいずれかに記載の方法。
【化6】
77.誘導体化が、Chem.3の置換基を導入する、実施形態1~76のいずれかに記載の方法。
【化7】
【実施例】
【0044】
一般手順
SDS-PAGE
SDS-PAGEを、4~12%のNuPAGE(商標)Bis-Trisを使用して当技術分野における標準として実行して、発現試料を分析した。ゲルおよび試料の調製については、供給業者(Thermofisher社)のプロトコルを適用した。
【0045】
tRNAAib、AibRS、および標的ポリペプチド(すなわち、結果として生じるポリペプチド)の発現のためのプラスミド構築
tRNAAib、AibRS、および標的ポリペプチド(すなわち、結果として生じるポリペプチド)の発現を、2つの別個のプラスミドまたは単一のプラスミドから行った。2つの別個のプラスミドを使用する場合、各々は、別個の選択マーカー、すなわち、ampおよびkan耐性マーカーを含有した。単一のプラスミドを使用する場合、単一のマーカー、すなわち、ampを用いた。tRNAAib、AibRS、および標的ポリペプチド(すなわち、結果として生じるポリペプチド)の発現を、別個のプロモーター配列およびターミネーター配列、すなわち、標的ポリペプチドの発現を制御するT7プロモーターおよびターミネーター、AibRSの発現を制御するlacプロモーターおよびターミネーター、ならびにtRNAAibの発現を制御するlppプロモーターおよびターミネーターによって制御した。好ましくは、tRNAAibを、tDNAの複数のコピーについて、すなわち、2つの別個の3×コンカテマーとして発現し、各々からの発現を、それぞれlppプロモーターおよびターミネーター、ならびにtetプロモーターおよびターミネーターによって制御した。コンカテマー中の各個々のtRNAAibを、ValU-ValXオペロンリンカーならびにIleTおよびAlaTオペロンリンカーによって離間して、RNAseによる処理が別個のtRNA分子を放出することを可能にした。
【0046】
E.coli形質転換
E.coliの形質転換を、Sambrook et al.(1989)[Sambrook J,Fritsch EF,Maniatis T.;Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edn;Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York;1989]に従った標準方法によって、またはDower et al.(1988)[Dower,W.J.,Miller,J.F.,&Ragsdale,C.W.(1988)Nucleic Acids Res.16,6127-6145]に従った、2mmのキュベットにおける、25μF、200オーム、および2.5kVに設定したBio-Rad Gene Pulserを用いたエレクトロポレーションによって行った。形質転換細胞を、適切な選択抗生物質、すなわち、アンピシリンおよび/またはカナバニンが補充されたLB培地上で選択した。
【0047】
E.coli培養
試験されるプラスミドで形質転換したE.coli TKO細胞(WO/2010/052335)を、凍結ストックから、または(適切な抗生物質を用いて)LBプレート上の新鮮な形質転換体から直接、採取した。次いで、細胞を、8mLのLB培地および抗生物質を充填した50mL tubespin bioreactor P50に接種した。細胞を、220rpmで5時間振盪しながら37℃で増殖させた。前培養物からの細胞を、適切な抗生物質を125mL Corning(登録商標)Disposable Erlenmeyer Flaskに充填した、20mLの最小規定培地(M9)に希釈した。Aibを10mMの濃度まで添加した。細胞を37℃において1.0のOD600まで培養した。標的タンパク質発現を、1mMのIPTGの添加によって誘導し、30℃または37℃で最低4時間から一晩までさらに培養した。封入体画分を単離し、次の段落に記載されるように、超音波処理および遠心分離を用いて採取した。
【0048】
試料調製およびLC-MS方法
10ODに相当するE.coli細胞の懸濁液を、13000×gで5分間遠心分離した。結果として生じる沈殿物を、1mLの10mMリン酸カリウム、pH 5.0の緩衝液中に再懸濁し、30%の振幅で2分間、5”/5”オン/オフでソニフィケーション処理した。13000×gで5分間繰り返し遠心分離した後、沈殿物画分を8M尿素/100mM DTT/50mM CAPS、pH12の緩衝液で溶解し、室温で1時間、2000×rpmで振盪した。試料を、0.2μmのUPLCフィルタで濾過し、以下の設定を使用してLC-MSによって分析した。
【表1】
【0049】
翻訳中のポリペプチドへの2-アミノイソ酪酸の組み込みに適したtRNA合成酵素およびtRNA
E.coli、酵母、および哺乳類細胞の遺伝子コードへの非天然アミノ酸の系統的付加を可能にする方法論は、以前に報告されている[Wals K.and Ovaa H;Unnatural amino acid incorporation in E.coli:current and future applications in the design of therapeutic proteins;Front Chem.Apr 1;2:15(2014)]、[Wang Q.and Wang L;Genetic incorporation of unnatural amino acids into proteins in yeast;Methods Mol.Biol;794:199-213(2012)]、および[Schmied WH,Elsasser SJ;Efficient multisite unnatural amino acid incorporation in mammalian cells via optimized pyrrolysyl tRNA synthetase/tRNA expression and engineered eRF1;Am Chem Soc.Nov 5;136(44):15577-83(2014)]。方法は、内因性宿主tRNA、RS、またはアミノ酸との交差反応の低下を伴って、または伴わず、細胞が固有のコドンに応答して所与のアミノ酸を組み込むことを可能にする、遠隔生物から単離された直交tRNA/RS対の選択に基づく。
【0050】
2-アミノイソ酪酸(Aib)をポリペプチドに特異的に組み込むために、tRNAをAibで充填することができるRSを、宿主細胞(例えば、E.coli)の内因性部分などの他の翻訳機構と共に開発および利用することができる。tRNAをAibで充填することができるRSは、以下で、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)と称される。Aibで充填されたtRNA分子は、以下で、tRNAAibと称される。AibRSおよびtRNAAibは、以下で集合的に、AibRS/tRNAAib対と称される。
【0051】
AlaがAibと構造的類似性を共有するため、AibRSおよびtRNAAibは便利に、それぞれAlaRSおよびtRNAAlaに由来し得る。AlaRSおよびtRNAAlaは、理論上、任意の生物に由来し得る。この場合、AibRSおよびtRNAAibは、古細菌、Pyrococcus horikoshii(ph)(phAlaRS(wt)(配列番号1)、およびphtRNAAla(wt)(配列番号2)からの野生型AlaRSおよび野生型tRNAAlaに由来した。この場合、任意の宿主細胞が理論上この目的に使用され得るが、モデル系としてE.coliを使用して、tRNAAib最適化およびAibRS開発を行った。
【0052】
tRNAAibの最適化
[実施例1]
tRNAAibは、原則として、AibRSと同族である任意のtRNA(例えば、tRNAAla)であってもよい。しかしながら、Aib残基を組み込む翻訳プロセスの効率を改善するために、tRNAが最適化されて、望ましくない翻訳産物、例えば、AibではなくAlaを含有するポリペプチドの形成が低減され得る。
【0053】
望ましくないAibを、Alaをコードするすべての位置に組み込むことを回避するために、phtRNAAla(wt)(配列番号2)中のアンチコドンをCTAに変更し、アンバー終止コドンであるTAGで逆補完し、これにより、サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)を得た。任意の終止コドンが、この目的のために原則として使用され得る。
【0054】
サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)は、内因性E.coli翻訳系に直交せず、サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)が、E.coli(ecAlaRS)の内因性AlaRSによって認識され、AibではなくAlaでアミノアシル化され得ることを意味する。Aibでのアミノアシル化に有利に働くために、変異がptRNAAla(配列番号3)に導入されて、AibRSに対するその相補性を維持しながら、ecAlaRSに直交させることができる。そのような変異は、効率の改善をもたらし得るが、それらは原則として、本発明が作用するために必要とされない。パブリックドメイン(すなわち、GenbankまたはEMBL)からの配列、phtRNAAla(wt)(配列番号2)二次構造におけるG-U対を形成するG3およびT72 DNAヌクレオチドのアライメントは、異なる種にわたってtRNAAlaで保存される。さらに、Aquifex aeolicusのtRNAAlaにおけるG3Aの変異が、tRNAAlaを任意のAlaRSに対して認識不可能にすることが、他の古細菌について実証されている[MA Swairjo et al.;Alanyl-tRNA Synthetase Crystal Structure,and Design for Acceptor-Stem Recognition;Molecular Cell,Vol.13,829-841,(2004)]。Aquifex aeolicusにおける観察から発想を得て、G3A変異を含有するサプレッサーphtRNAAla(配列番号3)を調製し、tRNAAib(配列番号4)を得た。
【0055】
サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)およびtRNAAib(配列番号4)の直交性を試験した。第1の試料では、E.coli細胞を標準プラスミド形質転換によって修飾し、外因性DNAコード化サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)、およびモデルポリペプチドMS-(Aib)-hsLeptin(配列番号5)を細胞内に導入した。第2の試料では、E.coli細胞を標準プラスミド形質転換によって修飾し、外因性DNAコード化tRNAAib(配列番号4)、およびモデルポリペプチドMS-(Aib)-hsLeptin(配列番号5)を細胞内に導入した。理論上、内因性ecAlaRSが外因性サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)を認識した場合、完全長モデルポリペプチドが発現される(モデルポリペプチドMS-(Aib)-hsLeptinは、AibではなくAlaを含有するが)。細胞を一般的な手順に従って培養し、SDS-PAGEによって分析した。分析は、完全長モデルポリペプチドが、サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)を含有する細胞中で発現された一方で、tRNAAib(配列番号4)をコードするDNAを含有する細胞中では、完全長モデルポリペプチドは全く(またはほとんど)発現されなかったことを示し、したがって、tRNAAib(配列番号4)は、著しく低下した効率で、ecAlaRSによって認識されることが判明した。
【0056】
2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)の開発
[実施例2]
Alaと比較して、2-アミノイソ酪酸(Aib)(Chem.1)は、アルファ-炭素位置に余分なメチル基を含有し、これにより、Aibは、立体障害のためにphAlaRS(wt)と相互作用することができない。
【化8】
【0057】
Ala結合ポケットを含有するphAlaRS(wt)のAlaRSクラスIIコア触媒ドメインは、野生型配列の1~263位に及ぶアミノ酸配列であり、Ala結合およびtRNAAla結合機能を含むN末端ドメインの一部であり、これは以下で、「aa1-495」と称される。編集およびオリゴマー化ドメイン(aa496~915)は、本試験のすべての構築物から省略され、したがって、以下のすべてのRS構築物は、phAlaRS(wt)(配列番号6)のaa1~495部分に基づく。N末端ドメイン(aa1~752)のphAlaRS(wt)結晶構造は、M.Sokabe et al.(2009)[Sokabe M,Ose T,Nakamura A,Tokunaga K,Nureki O,Yao M,Tanaka I;The structure of alanyl-tRNA synthetase with editing domain;PNAS 106(27):11028-11033(2009)]によって公開されている。
【0058】
結晶構造2ZZG(オリゴマー化ドメインなしの5”-O-(N-(L-アラニル)-スルファミオキシル)アデニンと複合したアラニン-tRNA合成酵素の結晶構造)中のアラニンC-アルファ炭素原子に5オングストロームよりも近い原子を有する残基に基づいて、AlaRSのアラニン結合ポケットを計算した。2ZZG.pdbファイルをロードし、A5A999.CA原子を選択し、次いで、5オングストローム以内の原子を選択することによって、標準的な構造可視化ソフトウェア、特にAccelrys VL Viewerで、距離を計算した。これらの原子は、A99、M147、W192、T213、V215、D248、T249、およびG250に属した。特に、W192およびV215は、Aibの余分なメチル基の推定位置に近接していた。Aibの余分なメチル基は、これら2つの位置の変異によって適合され得ると推測された。phAlaRS(wt)(配列番号6)のaa1~495部分の変異体を調製し、具体的には、192位の2つの変異、すなわち、W192HおよびW192Fを試験し、215位の1つの変異、すなわち、V215Gを単独で、およびW192Hと組み合わせて試験し、合計4つの変異体をもたらした。また、phAlaRS(wt)(配列番号6)の野生型aa1~495部分も試験した。
【表2】
【0059】
変異体を、標準プラスミド形質転換方法によって、サプレッサーphtRNAAla(配列番号3)の1コピー、およびモデルポリペプチドMS-(Aib)-hsLeptin(配列番号5)をコードするポリヌクレオチドと共に、E.coli TKO細胞に形質転換した。E.coli細胞を、一般的な手順に従って培養した。単離した封入体画分を、SDS-PAGEで分析した。V215Gおよび/またはW192H変異を含むすべての変異体(すなわち、配列番号7、配列番号9、および配列番号10)について、約16kDaにおける異なる強度のバンドが観察された(配列番号8または野生型については、バンドは観察されなかった)。可溶化封入体を、一般的な手順に従ってLC-MSを使用して分析し、配列番号7を有する試料におけるバンドが、発現したポリペプチドMS-(Aib)-hsLeptin(配列番号5)の小さい部分を表したことが確認された(実測値[m/1]=16198.6;計算値[m/1]=16198.4)。変異体の効率を組み込み比として表し、実施例3に記載されるように計算した。配列番号7の組み込み比は、10%以上であった。
【0060】
[実施例3]
古細菌のArchaeoglobus fulgidusについては、tRNAAlaアミノアシル化機構が、DNAポリヌクレオチド中のG3およびT72に対応する単一のG-U対に基づいていてもよいこと、ならびにこの対との相互作用に関与するAlaRSの主要な残基が、N359およびD450であること、ならびにPyrococcus horikoshiiのAlaRSについては、2つの対応する主要な残基が、N360およびE459であることが報告されている。さらに、AlaRS中のこれらの主要な残基が、古細菌ドメインにわたって保存されることが報告されている[M.Naganuma et al.,Nature 510,pages 507-511(2014)]。
【0061】
W192H、V215G、N360A、およびE459A変異を含有するphAlaRS(wt)(配列番号11)のaa1~495の変異体を、一般的な手順に従って、tRNAAib(配列番号4)の6コピー、ならびに1~24位のIL-21タンパク質からの封入体誘導領域およびAib含有GLP-1類似体領域を含む、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1(配列番号31)をコードするポリヌクレオチドを含有する、プラスミド上のE.coli TKO細胞に形質転換した。Aib含有GLP-1領域は、セマグルチドのポリペプチド骨格(配列番号32)と同一であった[Lau J.et.al,Discovery of the once-weekly glucagon-like peptide-1(GLP-1)analogue semaglutide,J.Med.Chem.,2015;58:7370-7380]。E.coli細胞を一般的な手順に従って培養し、SDS-PAGEによって分析した。約8kDaの強力なバンドが識別され、LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1(配列番号31)が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3。Aib機能の効率を、Aibを含有する結果として生じるポリペプチドの量と、Aibをコードする位置にAibまたはAlaを含有する結果として生じるポリペプチドの量との間の組み込み比として表し、質量スペクトルに基づいて以下のように計算した:組み込み比=[ピーク強度]Aib含有ポリペプチド/([ピーク強度]Aib含有ポリペプチド+[ピーク強度]Ala含有ポリペプチド)*100%。配列番号11の組み込み比は、63%であると計算された。
【0062】
[実施例4]
W192H、V215G、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号12)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324,6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、82%であった。
【0063】
[実施例5]
W192H、V215G、M217L、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号13)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、66%であった。
【0064】
[実施例6]
W192H、V215G、A193L、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号14)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324,6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、71%であった。
【0065】
[実施例7]
W192H、V215G、F216W、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号15)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、66%であった。
【0066】
[実施例8]
W192H、V215G、A193L、F216W、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号16)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、63%であった。
【0067】
[実施例9]
W192H、V215G、およびA193I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号17)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.8;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、60%であった。
【0068】
[実施例10]
W192H、V215G、A193I、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号18)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、72%であった。
【0069】
[実施例11]
W192H、V215G、A193L、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号19)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、82%であった。
【0070】
[実施例12]
W192H、V215G、A193I、M217L、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号20)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.8;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、51%であった。
【0071】
[実施例13]
W192H、V215G、A193L、M217L、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号21)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.8;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、57%であった。
【0072】
[実施例14]
W192V、V215G、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号22)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.4;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、77%であった。
【0073】
[実施例15]
W192I、V215G、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号23)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.4;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、74%であった。
【0074】
[実施例16]
W192L、V215G、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号24)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8325.0;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、54%であった。
【0075】
[実施例17]
W192H、A193G、V215G、M217I、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号25)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.4;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、86%であった。
【0076】
[実施例18]
W192H、T213S、V215G、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号26)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.2;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、56%であった。
【0077】
[実施例19]
W192H、V215G、T249S、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号27)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8325.0;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、67%であった。
【0078】
[実施例20]
W192H、V215G、T249V、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号28)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.8;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、78%であった。
【0079】
[実施例21]
W192H、T213C、V215G、T249V、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号29)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.8;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、82%であった。
【0080】
[実施例22]
W192H、T213A、V215G、T249F、N360A、およびE459Aを含有するphAlaRS(wt)(配列番号30)のaa1~495の変異体を調製し、実施例3に記載される手順に従って試験した。LC-MSは、モデルポリペプチドIL21-H(Aib)-GLP-1が発現されていることを確認した(実測値[m/1]=8324.6;計算値[m/1]=8324.3)。計算された組み込み比は、83%であった。
【0081】
[実施例23]
古細菌AlaRSのコンセンサス配列を、phAlaRS(wt)(配列番号6)のaa1~495部分と最も同一の100個の配列を抽出することによって作製した。「All non-redundant GenBank CDS translations+PDB+SwissProt+PIR+PRF」に対するクエリーとして配列番号6を使用し、かつNCBIオンラインblastpスイートを使用した、NCBI配列データベースから。抽出した配列を、配列番号6と同じ長さまでN末端およびC末端でトリミングし(N末端伸長およびC末端編集ドメインを除去するために)、次いで、標準アライメントアルゴリズム、特に,Blosum62マトリックスを用いたMultiple Alignを使用したGeneious(登録商標)10.2.2ソフトウェアを使用してアラインした。アミノ酸位置が保存されたかどうかを示すために、アライメント中のすべての配列にわたって、同一性の閾値をそれぞれ85%、75%、または50%として設定することによって、3つのコンセンサス配列を作り出した。次いで、コンセンサス配列中の所与のアミノ酸位置を、設定された閾値を超えて保存される場合は特定のアミノ酸として、またはそうでなければ、閾値を超えて保存されていない場合は任意のアミノ酸に対するXaaとして、のいずれかで示した。コンセンサス配列を表2に提供する。コンセンサス配列は、NCBIゲノムデータベースが定期的に更新されるにつれて、経時的に変化し得る。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0082】
クレームされたAibRSは、コンセンサス配列に関して、例えば、コンセンサス配列のバリアントとして定義されてもよい。コンセンサス配列のバリアントとして定義されるクレームされたAibRSは、コンセンサス配列と参照配列との保存されたアミノ酸(すなわち、Xaaと指定されていないアミノ酸)の間の特定のレベルの配列同一性によってさらに定義されてもよい。この場合、コンセンサス配列のクレームされたバリアントが、コンセンサス配列と参照配列との間の特定の配列同一性によって設定される限界内に入る限りにおいて、保存されたアミノ酸位置の変動を有し得ることが理解されるべきである。コンセンサス配列のバリアントとして定義されるクレームされたAibRSの非限定的な例が、以下に提供される:
A.配列番号7のアミノ酸配列またはこのバリアントを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)であって、配列番号7のバリアントが、215Glyを含む、2-アミノイソ酪酸-tRNA合成酵素(AibRS)。
B.配列番号7のバリアントが、式Iのバリアントであり、式Iが、
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Xaa-Xaa-Phe-Trp-Thr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Cys-Gly-Asp-Xaa-Pro-Cys-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Phe-Ile-Gly-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Glu-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Phe-Phe-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-His-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Tyr-Pro-Val-Xaa-Xaa-Arg-Trp-Arg-Asp-Asp-Val-Xaa-Leu-Val-Gly-Ala-Ser-Ile-Xaa-Asp-Phe-Gln-Pro-Trp-Val-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Pro-Ala-Asn-Pro-Leu-Xaa-Ile-Ser-Gln-Pro-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Asp-Xaa-Val-Gly-Xaa-Xaa-Gly-Arg-His-Xaa-Thr-Xaa-Phe-Glu-Met-Met-Ala-His-His-Ala-Phe-Asn-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Trp-Xaa-Xaa-Glu-Thr-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Phe-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Thr-Phe-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Gly-Gly-Gly-Asn-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Val-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Thr-Leu-Val-Phe-Met-Xaa-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Asp-Thr-Gly-Tyr-Gly-Leu-Glu-Arg-Xaa-Xaa-Trp-Xaa-Ser-Xaa-Gly-Xaa-Pro-Thr-Xaa-Tyr-Asp-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Xaa-Xaa-Asp-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Leu-Arg-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Tyr-Ala-Ile-Ala-Asp-His-Thr-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Phe-Met-Leu-Xaa-Asp-Gly-Val-Xaa-Pro-Ser-Asn-Xaa-Xaa-Ala-Gly-Tyr-Leu-Ala-Arg-Leu-Xaa-Ile-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Arg-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Leu-Xaa-Xaa-Ile-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Thr-Xaa-Xaa-Arg-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Lys-Xaa-Xaa-Gly-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Xaa-Xaa-Tyr-Xaa-Ser-His-Gly-Xaa-Xaa-Pro-Glu-Xaa-Xaa-Xaa-Glu-Xaa-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Val-Xaa-Xaa-Pro-Asp-Asn-Phe-Tyr-Xaa-Xaa-Val-Ala-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa
であり、式中、各Xaaは独立して選択され、1つ以上のアミノ酸であるか、または存在せず、
式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一である、クレームAに記載のAibRS。
【0083】
本実施例では、クレームBのクレーム用語は、クレームされたAibRSをコンセンサス配列のバリアント、すなわち、式Iのバリアントとして定義する。さらに、クレームBのクレーム用語は、式Iのバリアントが、Xaaと指定されていない位置で、配列番号7と少なくとも90%同一であることを定義し、配列番号7と比較した場合の10%の変動が、保存されたアミノ酸で許容されることを意味する。クレームBが依存するクレームAによると、215位は、Glyでなければならない。しかしながら、式Iは、215位をValであると定義し、これは、クレームBのクレームされたAibRSが、式Iのバリアントとして(および式Iそれ自体としてではなく)定義され、保存されたアミノ酸における変動が、上記で説明したように許容され、したがって、式Iのクレームされたバリアントが、215位にGlyを含有してもよいためであり、その結果、クレームAとBとの間に矛盾はない。
【0084】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例示および記載されているが、ここで、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこうしたすべての修正および変更を網羅することを意図していることが理解されるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】